JP5630905B2 - ロールコネクタ装置及びロールコネクタ断線検知装置 - Google Patents

ロールコネクタ装置及びロールコネクタ断線検知装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車のステアリングホイール(ハンドル)に電気的接続手段として連結されるステアリングロールコネクタにおいて、ステアリングロールコネクタ内の構造やフラットケーブルの構造、及び、フラットケーブルの断線検知装置に関する。
従来、ステアリングロールコネクタは、ステアリングホイールに装着されているエアバッグ等の電気的接続手段として広く用いられている。
このステアリングロールコネクタは、2枚の絶縁性のベースフィルムの間に複数本の導体線を被覆して形成される帯状のフラットケーブルと、相対的に回転自在に組み合わされた一対のハウジング(固定側の外ハウジング及び可動側の内ハウジング)とによって主に構成されており、これら一対のハウジングによって画成されるケーブル収納空間内にそのフラットケーブルが巻き締め及び巻き戻し可能に収納されている(特許文献1)。
ここで、自動車内におけるステアリングロールコネクタの配置構成について、図9を参照しながら説明する。
図に示す通り、ステアリングロールコネクタ50は、ステアリングホイール51およびエアバッグ52と、ステアリングコラム53との間において、互いに電気的に接続配置されている。
この場合、例えば、自動車の前方衝突があった際には、センサ(図中54)やコントロールユニット(図中55)からの指示により、ステアリングロールコネクタ50を介して、ステアリングホイール51に装着されたエアバッグ52が電気的に動作されることとなる。
次に、従来のステアリングロールコネクタおよびフラットケーブルについて、ステアリングロールコネクタの斜視図である図10(a)と、縦断面図である図10(b)と、横断面図である図11(a)〜(c)とを参照しながら説明する。
図10(a)、および、図10(a)中のX−X矢視断面図である図10(b)は、外筒体106及び内筒部108によって画成されるケーブル収納空間109内に、これら外筒体106と内筒部108との間に配線されるフラットケーブル103が、巻回されながら収納される構成を示している。
そして、外筒体106は、ステアリングコラム(不図示)側に連結されて動きが固定されており、内筒部108は、ステアリングホイール(不図示)側に連結されるとともに、図中の軸Sを中心軸として回転が可能に組み合わされている。
この場合、実際の構成として、図10(b)に示す通り、外筒体106は底板105を含めた外ハウジング101として構成され、外筒体106は底板105の外周縁に一体化されており、内筒部108は底板105に対向する円環状の天板部107を含めた内ハウジング102として構成されることとなる。
さらに、ケーブル収納空間109内には、外ハウジング101及び内ハウジング102に対して回転自在に円盤状のベース部104が収納されており、そのベース部104には、フラットケーブル103の動きをサポートするローラ112が回転自在に設けられている。
次に、ケーブル収納空間109内の構成について、図11(a)〜(c)を参照しながら、より詳細に説明する。
図11(a)に示す通り、フラットケーブル103は、所定の高さを内筒部108に巻回されるととともに、その巻き方向を途中でU字状に反転(図中の反転部110)させて、外筒体106の内側に巻回されて、ケーブル収納空間109内に収納されている。
そして、フラットケーブル103の反転部110は、円盤状のベース部104に設けられたローラ112と、フラットケーブル103の動きをガイドするガイド壁111との間に配線されている。
このため、乗員によるステアリングホイールの右方向への操舵が行われたとき、つまり、内筒部108(内ハウジング102)が時計方向へ回転されたときには、図11(b)に示すように、フラットケーブル103の反転部110がローラ112に接触するとともに、そのローラ112を時計方向(図中Mの方向)へ押し回すこととなる。
一方、乗員によるステアリングホイールの左方向への操舵が行われたとき、つまり、内筒部108(内ハウジング102)を反時計方向へ回転したときには、図11(c)に示すように、フラットケーブル103の反転部110がガイド壁111に接触するとともに、そのガイド壁111を反時計方向(図中Nの方向)へ押し回すこととなっている。
ここにおいて、従来のステアリングロールコネクタにおけるフラットケーブル103とガイド壁111との位置関係について、図11(c)中のY−Y矢視要部断面図である図12を用いて説明する。
図に示す通り、従来のフラットケーブル103は、その幅方向全ての位置(図中L)に亘って均一に各種回路の導体線(図中130)を保持している。そして、その幅方向全ての面(図中L)において、ガイド壁111と接触し、ケーブル収納空間109内における動きがガイドされることとなっている。
特開2001−6835号公報
ここで、フラットケーブル103と、ローラ112と、ガイド壁111との動作関係について、図11(b)及び(c)を参照しながら具体的に説明する。
先述した通り、乗員による右方向への操舵が行われたときには、図11(b)に示すように、反転部110がローラ112を時計方向へ押し回すこととなり、その結果、外筒体106(外ハウジング101)及び内筒部108(内ハウジング102)に対して回転自在なベース部104が、時計方向に押されて、回転することとなる。
このとき、フラットケーブル103の内筒部108への巻き込み動作が同時に発生するため、反転部110においては、フラットケーブル103のスライド動作が生じ、フラットケーブル103と接触しているローラ112が回転されることとなる。
このため、右方向への操舵が行われたときには、フラットケーブル103とローラ112との間に摩擦が生じることがほとんどなく、操舵がスムーズに行われることとなる。
一方、左方向への操舵が行われたときには、図11(c)に示す通り、反転部110がガイド壁111を反時計方向へ押し回すこととなる。
この場合、内筒部108に所定の長さ分巻回されているフラットケーブル103が、内筒部108から送り出されるため、反転部110においては、フラットケーブル103のスライド動作が生じ、フラットケーブル103とガイド壁111との間に摩擦力が発生するものの、ベース部104が反時計方向に押され、回転することとなる。
上記のように、従来のステアリングロールコネクタによれば、乗員の操舵によって摩擦力が生じ、その摩擦力に伴う応力がフラットケーブル103に集中的にかかることとなる。その結果、フラットケーブル103のベースフィルムの破断を招いてしまうとともに、フラットケーブル103内に保持される各種回路の導体線が断線してしまうという問題があった。
そこで本発明は、ステアリングロールコネクタ内の構造やフラットケーブルの構造について、摩擦による各種回路の導体線の断線を極力回避することができ、断線が発生した場合であっても、フラットケーブルの断線及び交換時期を適切に判断することができるロールコネクタ装置及びロールコネクタ断線検知装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、互いに相対回転が可能に組み合わされてケーブル収納空間を画成する内ハウジングおよび外ハウジングと、前記ケーブル収納空間を介して前記内ハウジングおよび前記外ハウジングの間に配線され、複数本の導体線を導体線群として長手方向に有するフラットケーブルと、前記ケーブル収納空間内に配置され、前記両ハウジングの相対回転によって生じる前記フラットケーブルの移動をガイドするガイド部と、を備えたロールコネクタ装置において、前記フラットケーブルは、幅方向において、前記ガイド部が接触する所定幅の接触領域と前記ガイド部との非接触状態を維持する所定幅の非接触領域とを有しており、前記導体線群は、前記非接触領域にのみ配置されたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロールコネクタ装置であって、前記ガイド部は、前記接触領域に接触するガイド面と、そのガイド面から傾斜して形成され、前記非接触領域との非接触状態を維持する傾斜壁面と、を有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、互いに相対回転が可能に組み合わされてケーブル収納空間を画成する内ハウジングおよび外ハウジングと、前記ケーブル収納空間を介して前記内ハウジングおよび前記外ハウジングの間に配線され、複数本の導体線を導体線群として長手方向に有するフラットケーブルと、前記ケーブル収納空間内に配置され、前記両ハウジングの相対回転によって生じる前記フラットケーブルの移動をガイドするガイド部と、前記導体線の断線が発生した際に、その断線の発生を検知する断線検知手段と、を備えたロールコネクタ断線検知装置において、前記フラットケーブルは、幅方向において、前記ガイド部が接触する接触領域と、前記ガイド部との非接触状態を維持するとともに前記導体線群が配置された非接触領域とを有しており、前記導体線群のうち、前記接触領域に最も近い前記導体線を前記断線検知手段により断線の発生が検知される第1の断線検知導体線とし、前記導体線群には、前記第1の断線検知導体線とは別の第2の断線検知導体線と、断線の発生を検知されない断線不検知導体線とが更に含まれており、少なくとも一本の前記断線不検知導体線を前記第1の断線検知導体線および前記第2の断線検知導体線により挟んだ構成を含んでいることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のロールコネクタ断線検知装置であって、前記第1の断線検知導体線および前記第2の断線検知導体線は、前記導体線群の両側に配置されたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のロールコネクタ断線検知装置であって、前記第2の断線検知導体線は、前記フラットケーブルの長手方向に沿って、前記フラットケーブルの側端近傍に配置されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のロールコネクタ断線検知装置であって、前記第1の断線検知導体線もしくは前記第2の断線検知導体線は、エアバッグ回路用リード線であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のロールコネクタ断線検知装置であって、前記断線不検知導体線は、前記内ハウジングに固定されたステアリングホイールの操作部と電気的に接続された補機回路用リード線であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のロールコネクタ断線検知装置であって、前記補機回路用リード線は、ホーン回路用リード線であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項3乃至請求項8のいずれかに記載のロールコネクタ断線検知装置であって、前記ガイド部は、前記接触領域に接触するガイド面と、そのガイド面から傾斜して形成され、前記非接触領域との非接触状態を維持する傾斜壁面と、を有することを特徴とする。
以上
本発明によれば、フラットケーブルに摩擦が働いても、その摩擦による各種回路の導体線の断線を極力回避することができる。
また、煩雑な構成を必要とせず、断線が発生した場合であっても、フラットケーブルの断線及び交換時期を適切に判断することができる。
本発明に係るステアリングロールコネクタの分解斜視図である。 本発明に係るステアリングロールコネクタの斜視図および横断面図である。 本発明に係るフラットケーブルとフラットケーブルの移動をガイドするガイド部を示す図である。 第1実施形態のフラットケーブルの説明図である。 第2実施形態のフラットケーブルの説明図である。 第3実施形態のフラットケーブルの説明図である。 第4実施形態のフラットケーブルの説明図である。 第5実施形態のフラットケーブルの説明図である。 自動車内におけるステアリングロールコネクタの配置構成を示す図である。 従来のステアリングロールコネクタの斜視図および縦断面図である。 従来のステアリングロールコネクタの横断面図である。 従来のフラットケーブルとフラットケーブルの移動をガイドするガイド部を示す図である。
以下、本発明におけるステアリングロールコネクタの構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るステアリングロールコネクタの主要な構成についての分解斜視図であり、フラットケーブル3、ローラ12、内筒部8、外筒体6、ベース部4およびガイド壁11を示している。
図に示す通り、本発明の特徴事項の一つであるガイド壁11については、ベース部4と一体化されるとともに、フラットケーブル3と接触するガイド面41と、そのガイド面41から傾斜して形成される傾斜壁面42とを備えている。
また、組み立て時において、ローラ12は、ベース部4と一体化されたピン部材12aに対して、回転自在に組み付けられることとなり、フラットケーブル3の反転部10は、ガイド壁11とピン部材12aに組み付けられたローラ12との間に配線されることとなる。
次に、本発明に係るステアリングロールコネクタの組み立て状態について、図2(a)を参照しながら、説明する。
先に図1にて説明した通り、本発明に係るガイド壁11は、フラットケーブル3と接触するガイド面41と、そのガイド面41から傾斜して形成される傾斜壁面42とを備えているため、斜視図である図2(a)に示す通り、傾斜壁面42において、フラットケーブル3とガイド壁11との非接触状態が維持されることとなる。
ここで、フラットケーブル3と、ローラ12と、ガイド壁11との動作関係について、図2(b)を参照しながら具体的に説明する。
本発明に係るステアリングロールコネクタにおいて、乗員による左方向への操舵が行われたときには、図に示す通り、反転部10がガイド壁11を反時計方向へ押し回すこととなる。
この場合、内筒部8に所定の長さ分巻回されているフラットケーブル3が、内筒部8から送り出されるため、反転部10においては、フラットケーブル3のスライド動作が生じ、ベース部4が反時計方向に押されて回転するものの、フラットケーブル3とガイド壁11との間に摩擦力が発生することとなる。
ここで、本発明に係るガイド壁11は、先述した通り、フラットケーブル3との非接触状態を維持する傾斜壁面42を備えているため、フラットケーブル3上にはガイド壁11と接触して摩擦力が発生する領域と、ガイド壁11と接触しないため摩擦力が発生しない領域とが併存することとなり、この点については後述する。
次に、ガイド壁11およびフラットケーブル3に係る本発明の第1実施形態について、図3および図4を参照して詳細に説明する。
なお、以下に説明する各実施形態は、図9〜12に示す従来構成のうち、フラットケーブル103およびガイド壁111に関するものであり、他の従来構成の変更を要することなく適用可能であるため、以下、他の従来構成の説明については省略する。
従来例として図11にて述べた通り、フラットケーブル103は、ベース部104に設けられたガイド壁111に反転部110を接触させることで、ケーブル収納空間109内における動きがガイドされることとなっており、ガイド壁111と接触する部分にはその接触に伴う応力が働くこととなる。
ここで、図2(b)中のC−C矢視要部断面図である図3に示す通り、第1実施形態におけるガイド壁11は、フラットケーブル3と接触するガイド面41と、そのガイド面41から傾斜して形成される傾斜壁面42とを備える。
そして、図から明らかなように、ガイド面41の長さ(図中L1)は、フラットケーブル3の幅方向の長さ(図中L2)よりも短い寸法設計とされている。
このため、図3に示す通り、フラットケーブル3にはガイド壁11と接触する接触領域33と、ガイド壁11と接触しない非接触領域34とが設けられており、非接触領域34についてのみ各種回路の導体線(図中30)を配設させた構成としている。
即ち、ガイド面41をフラットケーブル3の幅方向全体に接触させることなく、部分的に接触させる構成としたため、フラットケーブル3上には、ガイド壁11との接触により応力が発生する部分と、応力が発生しない部分とが併存することとなっている。
次に、この第1実施形態におけるフラットケーブル3上の導体線の配置構成について、図4を参照しながら説明する。
先に述べたように、フラットケーブル3にはガイド壁11と接触する接触領域33と、ガイド壁11と接触しない非接触領域34とが設けられているため、この第1実施形態においては、フラットケーブル3上の非接触領域34にこれら導体線(図中30)を配設させる一方、接触領域33においては各種回路の導体線を配設させないこととしている。
つまり、この第1実施形態においては、ガイド壁11との接触に伴うこれら導体線の断線を極力回避することが可能となる。
なお、この第1実施形態の応用例として、接触領域33においても導体線を配設させる構成としてもよい。
つまり、ステアリングホイールに備わる操作部の多種多様化に伴い、フラットケーブル3に配設させる各種回路の導体線が多くなった場合には、各種回路の導体線に対して断線回避の優先順位を設け、その優先順位の高い導体線から順に、可能な限り多くの本数の導体線を非接触領域34に先ず配設させ、余りの導体線を接触領域33に配設させることも可能であり、この構成については、第5実施形態として後述する。
次に、図5を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。
図に示す通り、第2実施形態においては、非接触領域34において、断線検知システム(不図示)により断線の発生を検知される断線検知導体線31と、断線の発生を検知されない断線不検知導体線32とを配設させた構成とし、断線検知導体線31については、正側(図中31a)及び負側(図中31b)の2本の導体線からなる1回路分として配設させることとしている。
このため、この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、非接触領域34に導体線を配設させているため、ガイド壁11との接触に伴う断線検知導体線31及び断線不検知導体線32の断線を極力回避することができる。
また、この第2実施形態においては、エアバック回路用の導体線を断線検知導体線31として配設するとともに、ホーン用、オーディオ用、クルーズコントロール用、パドルシフト用、エアコン用の導体線を断線不検知導体線32として配設している。ただし、本発明においては、この断線検知導体線31や断線不検知導体線32をいずれの回路用の導体線として適用するか、適宜設計の変更を可能としている。したがって、例えば、断線検知導体線31をホーン用の導体線とし、断線不検知導体線32として、エアバッグ回路用、オーディオ用、クルーズコントロール用、パドルシフト用、エアコン用など、その他多くの回路用の導体線を配設させてもよい。
つまり、本発明においては、断線の発生を検知される導体線(断線検知導体線31)をいずれの回路用の導体線としてもよく、また、断線の発生を検知されない導体線(断線不検知導体線32)についても、いずれの回路用の導体線として適用させてもよい。
さらに、図5に示すように、この第2実施形態においては、正側導体線31a及び負側導体線31bを非接触領域34の側端近傍に配設させているため、接触領域33に応力が発生し、図中の矢印Bの方向から、これら二本のうちいずれかが断線した際には、断線の発生事実が即座に報知されることとなる。
具体的には、接触領域33に近い導体線から、接触領域33に発生した応力の影響を段階的に受けることとなり、先ず、負側導体線31bの断線が生じることとなる。
そして、応力が更に大きい場合には、続けて正側導体線31aや断線不検知導体線32についても断線が生じることとなる。
即ち、断線不検知導体線32の断線が生じる前に、必ず断線検知導体線31である負側導体線31bや正側導体線31aが断線することとなり、乗員に対して断線の事実が即座に報知される。
よって、早急にフラットケーブル3の交換を行うことができ、断線不検知導体線32の動作不良を未然に防ぐことができる。
なお、図5においては、接触領域33に近い方から順に負側導体線31bと正側導体線31aとが配設されているものの、この第2実施形態においては、負側導体線31bと正側導体線31aとの配設順が逆であってもよいものである。
また、この第2実施形態についても、先述した第1実施形態の応用例と同様に、接触領域33に導体線を配設させる構成としてもよい。
つまり、ステアリングホイールに備わる操作部の多種多様化に伴い、フラットケーブル3に配設させる各種回路の導体線が多くなった場合には、各種回路の導体線に対して断線回避の優先順位を設け、その優先順位の高い導体線から順に、可能な限り多くの本数の導体線を非接触領域34に先ず配設させ、余りの導体線を接触領域33に配設させることも可能であり、この構成については、第5実施形態として後述する。
また、この場合の導体線については、断線検知導体線31であるか断線不検知導体線32であるかを問わないものである。
次に、図6を参照しながら、本発明の第3実施形態について説明する。
図に示す通り、第3実施形態においては、非接触領域34において、正側導体線31aと負側導体線31bとの間に、断線不検知導体線32を配設させることとしている。
具体的には、断線検知導体線31の正側導体線31a及び負側導体線31bをフラットケーブル3の長手方向に沿って、非接触領域34の側端近傍にそれぞれ配設し、この正側導体線31aと負側導体線31bとの間に、複数本の断線不検知導体線32を配設させている。
この構成により、図中の矢印Bの方向、つまり、ガイド壁11との接触に起因した断線が発生した場合には、不図示の断線検知システムにより、負側導体線31bの断線が検知され、断線の発生を乗員が知ることができる。
具体的には、接触領域33に近い導体線から、接触領域33に発生した応力の影響を段階的に受けることとなり、先ず、負側導体線31bの断線が生じることとなる。
そして、応力が更に大きい場合には、続けて断線不検知導体線32についても断線が生じることとなる。
即ち、断線不検知導体線32の断線が生じる前に、必ず断線検知導体線31である負側導体線31bが断線することとなり、乗員に対して断線の事実が即座に報知される。
さらに、図中の矢印Aの方向から断線が発生した場合であっても、正側導体線31aの断線が検知され、断線の発生を乗員が知ることができる。
このように第3実施形態では、1回路分の断線検知導体線31の正側導体線31aと負側導体線31bとの間に、断線不検知導体線32を配設してあるので、図中の矢印Aや矢印Bの方向を問わず、断線が発生すると、乗員への報知が行われることとなる。
そして、早急にフラットケーブル3の交換を行うことができ、断線不検知導体線32の動作不良を未然に防ぐことができる。
なお、図6においては、接触領域33に近い方に負側導体線31bを配設し、正側導体線31aをフラットケーブル3の側端近傍に配設しているものの、この第2実施形態においては、正側導体線31aと負側導体線31bとの配設位置が逆であってもよい。
次に、図7を参照しながら、本発明の第4実施形態について説明する。
図示の通り、この第4実施形態は、正側導体線31aもしくは負側導体線31bのいずれか一方(図においては負側導体線31b)を接触領域33の側端近傍に配設させるとともに、特定の断線不検知導体線32aをこれら二本の断線検知用の導体線の間に配設させた構成をしている。
つまり、この第4実施形態は図6にて示した第3実施形態とは異なり、特定の断線不検知導体線32aのみを挟んだ構成としている。
このため、正側導体線31aもしくは負側導体線31bのいずれか一方の断線の報知によってフラットケーブル3の交換を行うようにすることで、所望の導体線(図中の断線不検知導体線32a)についてのみ未然に動作不良を防ぐことが可能となるものである。
より具体的には、図中の矢印Bの方向、つまり、ガイド壁11との接触に起因した応力が接触領域33に発生した場合に、接触領域33に近い導体線から、その応力の影響を段階的に受けることとなり、先ず、負側導体線31bの断線が生じることとなる。
そして、応力が更に大きい場合には、続けて断線不検知導体線32aについても断線が生じることとなる。
即ち、断線不検知導体線32aの断線が生じる前に、必ず断線検知導体線31である負側導体線31bが断線することとなり、乗員に対して断線の事実が即座に報知される。
さらに、図中の矢印Aの方向から断線が発生した場合であっても、正側導体線31aの断線が検知された段階で、断線の発生を乗員が知ることができる。
なお、図7においては、接触領域33に近い方に負側導体線31bを配設し、正側導体線31aを接触領域33から離れた位置に配設しているものの、この第4実施形態においても、正側導体線31aと負側導体線31bとの配設位置が逆であってもよい。
次に、図8を参照しながら、本発明の第5実施形態について説明する。
上記してきた構成は、いずれも非接触領域34のみに各種回路用の導体線を配設させた構成であるが、この第5実施形態においては、接触領域33においても断線不検知導体線32を配設させた構成としている。
具体的には、複数本の断線不検知導体線32について、動作上の優先順位の高い回路の導体線と、優先順位の低い回路の導体線とに分類し、優先順位の高い回路の導体線(図中32b)については非接触領域34に配設させ、優先順位の低い回路の導体線(図中32c)については接触領域33に配設させることとしている。
即ち、この第5実施形態においては、ステアリングホイールに備わる操作部の多種多様化に伴い、フラットケーブル3に配設させる各種回路の導体線が多くなる場合に適しており、各種回路用の導体線を非接触領域34に限ることなく、フラットケーブル3の幅方向全ての領域において配設させることを可能としている。
この場合、実際には、フラットケーブル3の設計時において、優先順位の高い断線不検知導体線32を優先的に非接触領域34に可能な限り多数本配設させ、非接触領域34の領域に導体線を配設させるスペースがなくなったときに、優先順位の低い断線不検知導体線32を接触領域33に配設させることとなる。
つまり、配設される導体線の本数について、断線の危険性が高い接触領域33に比べて、断線の危険性が低い非接触領域34の方に多く配設させることが、望ましい。
ここで、優先順位の高い断線不検知導体線32の一例として、断線検知の必要性の高いエアバッグ回路用の導体線や、保安基準等で定められているホーン回路用の導体線を適用することが通常望ましい。
また、優先順位の低い断線不検知導体線32の一例としては、運転の安全性に直接影響を及ぼすことのないオーディオ回路用の導体線を適用させてもよい。
なお、これらは一例であり、優先順位の設計について適宜変更が可能であることは言うまでもない。
また、先述した通り、本発明において断線検知導体線31や断線不検知導体線32は、適用される回路の種別(エアバッグ回路、オーディオ回路など)を問わないものであるため、フラットケーブル3の幅方向における導体線の配設順を問わず、どのような配設順であっても適用が可能である。
つまり、フラットケーブル3の設計時に、所望の回路用の導体線を断線検知導体線31とするとともに、その所望の回路用の導体線を非接触領域34内であって接触領域33の側端近傍に配設させておくことで、実際の断線時には、当該所望の回路の導体線の断線が発生した段階で、フラットケーブル3の交換を行うことができるものである。
そして、当該所望の回路の導体線以外の回路の導体線の動作不良を未然に防ぐことができるものである。
また、図1に示す通り、ガイド壁11のガイド面41は、フラットケーブル3の幅方向の長さ(図中L2)よりも短い寸法であればよく、傾斜壁面42を設けない実施形態であって、ガイド面41がフラットケーブル3の幅方向において少なくとも部分的に接触する構成であるかぎり、その接触する部分の位置も問わないものである。
さらに、上記してきた第3実施形態および第4実施形態においては、断線検知導体線31の正側導体線31a及び負側導体線31bの間に断線不検知導体線32を挟んだ構成を述べてきたが、断線検知導体線31を複数種類の回路、例えば、エアバッグ回路用とホーン回路用とに同時に適用させた構成であってもよい。
例えば、断線の検知が可能なエアバッグ回路用の正側導体線およびホーン回路用の負側導体線の間に、断線不検知導体線32を配設させた構成であってもよいものである。
3 フラットケーブル
11 ガイド壁
31 断線検知導体線
31a 正側導体線
31b 負側導体線
32 断線不検知導体線
33 接触領域
34 非接触領域
41 ガイド面
42 傾斜壁面

Claims (9)

  1. 互いに相対回転が可能に組み合わされてケーブル収納空間を画成する内ハウジングおよび外ハウジングと、
    前記ケーブル収納空間を介して前記内ハウジングおよび前記外ハウジングの間に配線され、複数本の導体線を導体線群として長手方向に有するフラットケーブルと、
    前記ケーブル収納空間内に配置され、前記両ハウジングの相対回転によって生じる前記フラットケーブルの移動をガイドするガイド部と、を備えたロールコネクタ装置において、
    前記フラットケーブルは、幅方向において、前記ガイド部が接触する所定幅の接触領域と前記ガイド部との非接触状態を維持する所定幅の非接触領域とを有しており、
    前記導体線群は、前記非接触領域にのみ配置されたことを特徴とするロールコネクタ装置。
  2. 前記ガイド部は、前記接触領域に接触するガイド面と、そのガイド面から傾斜して形成され、前記非接触領域との非接触状態を維持する傾斜壁面と、を有することを特徴とする請求項1に記載のロールコネクタ装置。
  3. 互いに相対回転が可能に組み合わされてケーブル収納空間を画成する内ハウジングおよび外ハウジングと、
    前記ケーブル収納空間を介して前記内ハウジングおよび前記外ハウジングの間に配線され、複数本の導体線を導体線群として長手方向に有するフラットケーブルと、
    前記ケーブル収納空間内に配置され、前記両ハウジングの相対回転によって生じる前記フラットケーブルの移動をガイドするガイド部と、
    前記導体線の断線が発生した際に、その断線の発生を検知する断線検知手段と、を備えたロールコネクタ断線検知装置において、
    前記フラットケーブルは、幅方向において、前記ガイド部が接触する接触領域と、前記ガイド部との非接触状態を維持するとともに前記導体線群が配置された非接触領域とを有しており、
    前記導体線群のうち、前記接触領域に最も近い前記導体線を前記断線検知手段により断線の発生が検知される第1の断線検知導体線とし
    前記導体線群には、前記第1の断線検知導体線とは別の第2の断線検知導体線と、断線の発生を検知されない断線不検知導体線とが更に含まれており、
    少なくとも一本の前記断線不検知導体線を前記第1の断線検知導体線および前記第2の断線検知導体線により挟んだ構成を含んでいることを特徴とするロールコネクタ断線検知装置。
  4. 前記第1の断線検知導体線および前記第2の断線検知導体線は、前記導体線群の両側に配置されたことを特徴とする請求項3に記載のロールコネクタ断線検知装置。
  5. 前記第2の断線検知導体線は、前記フラットケーブルの長手方向に沿って、前記フラットケーブルの側端近傍に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のロールコネクタ断線検知装置。
  6. 前記第1の断線検知導体線もしくは前記第2の断線検知導体線は、エアバッグ回路用リード線であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のロールコネクタ断線検知装置。
  7. 前記断線不検知導体線は、前記内ハウジングに固定されたステアリングホイールの操作部と電気的に接続された補機回路用リード線であることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のロールコネクタ断線検知装置。
  8. 前記補機回路用リード線は、ホーン回路用リード線であることを特徴とする請求項7に記載のロールコネクタ断線検知装置。
  9. 前記ガイド部は、前記接触領域に接触するガイド面と、そのガイド面から傾斜して形成され、前記非接触領域との非接触状態を維持する傾斜壁面と、を有することを特徴とする請求項3乃至請求項8のいずれかに記載のロールコネクタ断線検知装置。
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