以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態にかかる車両用通信システムが適用されたタイヤ空気圧検出装置およびリモートキーエントリシステムの構成を図1に示す。以下、この図を参照して、本実施形態にかかる車両用通信システムが適用されたタイヤ空気圧検出装置およびリモートキーエントリシステムについて説明する。
図1に示されるように、車両用通信システムが適用されたタイヤ空気圧検出装置およびリモートキーエントリシステムは、車輪側に備えられるセンサ送信機1およびユーザが所持しているリモートキー2を有し、車体側に備えられる装置としては、タイヤ空気圧検出用の受信機3(以下、TPMS受信機3という)、リモートキーエントリ用の受信機4(以下、RKE受信機4という)、制御ECUとしてのボデーECU5およびドアコントロールECU6、メータ7、およびドアアクチュエータ8を有する構成とされている。
タイヤ空気圧検出装置は、上記構成のうちのセンサ送信機1、TPMS受信機3、ボデーECU5およびメータ7にて構成される。リモートキーエントリシステムは、上記構成のうちのリモートキー2、RKE受信機4、ボデーECU5、ドアコントロールECU6およびドアアクチュエータ8にて構成される。そして、車両用通信システムは、TPMS受信機3、RKE受信機4、およびボデーECU5等によって構成されている。
センサ送信機1は、タイヤ空気圧やタイヤ内温度を検出するセンシング部を備え、検出結果が表されたデータが格納されたタイヤ空気圧に関するデータ信号を繰り返し定期的にTPMS受信機3に向けて出力するものである。このセンサ送信機1が出力する信号はTPMS受信機3に入力される入力信号となり、その周波数は例えば米国等では315MHz付近、欧州等では433MHz付近とされている。センサ送信機1は、車輪ごとに備えられ、タイヤ空気圧やタイヤ内温度が検出できるように、例えば各車輪のホイールのリム部に固定されることで、センシング部がタイヤ内に配置された構成とされている。各車輪それぞれに備えられたセンサ送信機1が送信する信号には、センサ送信機1毎に個別に付けられた識別信号が含まれ、TPMS受信機3側で受信した信号が自車両のものか他車両のものかの識別や、自車両におけるどの車輪に取り付けられたセンサ送信機1から送られてきた信号であるかの識別が行えるようになっている。
リモートキー2は、図示しない送信機を備えており、ドライバによって操作されることで、送信機からドアロックもしくはアンロックの信号を出力するものである。このリモートキー2が出力する信号はRKE受信機4に入力される入力信号となり、その周波数は例えば315MHz付近とされている。例えば、リモートキー2は、図示しないキーシリンダに挿入されるイグニッションキー2aと一体化された構成とされている。各リモートキー2の送信機が送信する信号には、リモートキー2の認証番号などが含まれており、RKE受信機4側で受信した信号が自車両のリモートキー2が送信してきたものであるか否かを認証できるようになっている。
なお、リモートキー2は、ドライバによって1回操作される度に、上記ドアロックもしくはアンロックの信号を含む同じ内容のフレームを所定の複数回(例えば5回)無線送信する。このようにするのは、フレームを確実にRKE受信機4に届けるためである。
TPMS受信機3は、センサ送信機1から送られてくる信号を受信するためのものであり、受信アンテナ3a、受信回路3b、マイコン3c、I/F3dを備えている。このTPMS受信機3では、受信アンテナ3aを通じて各センサ送信機1から送信された各種信号を入力し、受信回路3bにて必要に応じて信号処理を行ったのちマイコン3cに伝える。
TPMS受信機3は、イグニッション(以下、IGという)電源からの電力供給によって作動するようになっていてもよいし、定電圧源(+B)からの電力供給に基づいて作動するようになっていてもよい。前者の場合は、IGスイッチがオンのときにのみ作動し、後者の場合は、IGスイッチのオン、オフに関わらず作動する。
受信回路3bは、例えばスーパーヘテロダイン方式によって信号の受信を行っている。送信される信号が米国等のように315MHz付近とされる場合には、例えば304.3MHzの周波数とのミキシングにより315MHzとの差分となる10.7MHzの周波数にダウンコンバートし、欧州等のように433MHz付近とされる場合には、例えば422.3MHzの周波数とのミキシングにより433MHzとの差分となる10.7MHzの周波数にダウンコンバートする。そして、ダウンコンバートした10.7MHzの周波数の信号を検波する。このような形態とすることにより、受信回路3bにて複数の周波数帯域に対応した受信が行えるようにされている。
マイコン3cは、受信回路3bを通じて送られてきたタイヤ空気圧に関するデータ信号、もしくは、その信号に基づいて検出したタイヤ空気圧を表す信号やタイヤ空気圧が低下していることを示す信号を、1つのTPMS信号として、I/F3dを通じてボデーECU5に送信する。
I/F3dは、I/F3dから伸びるシリアル信号線であるローカル配線9a、9bを介してボデーECU5と接続されることで、ボデーECU5とローカル通信が行えるように構成され、マイコン3cから送られてきたシリアル信号を増幅して、上りローカル配線9aに送出することでボデーECU5側に出力する役割と、下りローカル配線9bを介してボデーECU5側から送られてきたシリアル信号を増幅してマイコン3cに出力する役割を果たす。
RKE受信機4は、リモートキー2から送られてくる信号を受信するためのものであり、受信アンテナ4a、受信回路4b、マイコン4cおよびI/F4dを備えている。このRKE受信機4は、IGスイッチがオフであるときにもリモートキー2の送信機からの信号を受信できるように、定電圧源(+B)からの電力供給に基づいて作動している。
このRKE受信機4では、受信アンテナ4aを通じてリモートキー2の送信機から送信された各種信号を入力し、受信回路4bにて必要に応じて信号処理を行ったのちマイコン4cに伝える。
受信回路4bは、リモートキー2の送信機から送信される信号の周波数と受信できる周波数帯域を合せてあるが、基本的には、上述したタイヤ空気圧検出装置におけるTPMS受信機3に備えられた受信回路3bと同様の構成とされる。
マイコン4cは、受信回路4bを通じて送られてきたドアロックもしくはアンロックの信号に基づいて、当該ドアロックもしくはアンロックを示す1つのRKE信号を、I/F4dを通じてボデーECU5側に出力する。
ただし、ドアロックもしくはアンロックの信号を含む無線フレームを一度受けると、それより後の所定期間は、受信回路4bを通じてドアロックもしくはアンロックの信号を含む無線フレームを再度受信しても無視するようになっている。この所定期間は、リモートキーがドアロックもしくはアンロックの信号を含む同じ内容の無線フレームを上記所定の複数回だけ無線送信するのに要する時間としてあらかじめ定められている。このようにすることで、冗長化のために複数回送信されたドアロックもしくはアンロックの信号のすべてに反応してしまう無駄がなくなる。
I/F4dは、シリアル信号線であるローカル配線9c、9dを介してボデーECU5と接続されることでローカル通信が行えるように構成され、マイコン4cから送られてきた信号を増幅して上りローカル配線9cに送出してボデーECU5側に出力する役割と、下りローカル配線9dを介してボデーECU5側から送られてきた信号を増幅してマイコン4cに伝える役割を果たす。
ボデーECU5とTPMS受信機3に備えられたI/F3dとを結ぶ上りローカル配線9aには、I/F4dから伸びる上りローカル配線9cが接続されている。つまり、上りローカル配線9a、9cは、分岐する1つの上り信号線として機能する。そしてこの信号線9a、9cは、TPMS受信機3からボデーECU5へのTPMS信号の送信、および、RKE受信機4からボデーECU5へのRKE信号の送信のために共用される。そして、TPMS受信機3とRKE受信機4のうち上り信号線9a、9cへの送信を許可する方を切り替える装置もないので、上り信号線9a、9cにおいてTPMS受信機3(より具体的にはTPMS受信機3のマイコン3c)から送出されたTPMS信号とRKE受信機4(より具体的にはRKE受信機4のマイコン4c)から送出されたRKE信号とが混信することも許可された状態となっている。
また、上りローカル配線9aからは、シリアル信号線である自己チェック用配線9eが分岐し、マイコン3cに戻って接続されている。マイコン3cは、自己チェック用配線9eから戻る入力電圧を検出することで、上り信号線9a、9cを通る信号の内容を常時チェックすることができる。
また、ボデーECU5とタイヤ空気圧検出装置のTPMS受信機3に備えられたI/F3dとを結ぶ下りローカル配線9bには、I/F4dから伸びる下りローカル配線9dが接続されている。つまり、下りローカル配線9b、9dは、分岐する1つの信号線として機能する。そしてこの信号線9b、9dは、ボデーECU5からTPMS受信機3への信号の送信、および、ボデーECU5からRKE受信機4への信号の送信のために共用される。なお、ボデーECU5から下りローカル配線9b、9dに送出された信号は、TPMS受信機3およびRKE受信機4のいずれにも届くが、この信号中に宛先(TPMS受信機3かRKE受信機4か)の情報が含まれているので、TPMS受信機3のマイコン3cおよびRKE受信機4のRKE受信機4cは、この宛先の情報に基づいて、自機宛の情報のみを用いて処理を行い、自機以外宛の情報は破棄するようになっている。
ボデーECU(制御装置の一例に相当する)5は、I/F5aを通じて双方の受信機3、4からの信号(TPMS信号、RKE信号)をマイコン5bに入力し、入力した信号を必要に応じて処理することで、その信号に応じた内容を表した信号をドアコントロールECU6やメータ7に対して出力する。ボデーECU5とドアコントロールECU6やメータ7とは車内LAN(例えばCAN(登録商標))を通じて接続されており、この車内LANを通じて信号の受け渡しが行われる。
ただしボデーECU5は、受信機3、4からの信号が所定のエラー判定条件を満たすような信号となっている場合は、当該信号を破棄し、当該信号に応じた内容を表した信号をドアコントロールECU6、メータ7に出力しない。所定のエラー判定条件については後述する。
また、ボデーECU5は、自己チェック時や登録時には、マイコン5bからI/F5aを通じて自己チェックや登録を行うことを示す指令信号を出力し、各受信機3、4のI/F3d、4dを通じてマイコン3c、4cにその指令信号を伝える。
ドアコントロールECU6は、ボデーECU5から入力された信号に基づいてドアアクチュエータ8を駆動し、ドアのロック/アンロックを制御する。
メータ7は、ボデーECU5から入力された信号に基づいて、タイヤ空気圧そのものもしくはタイヤ空気圧が低下したことを警告する表示を行う。例えば、タイヤ空気圧が低下したことを警告する表示は、メータ7に備えられる警報ランプを点灯することなどにより行われる。
以上のようにして本実施形態にかかる車両用通信システムが適用されたタイヤ空気圧検出装置およびリモートキーエントリシステムが構成されている。次に、このように構成されたタイヤ空気圧検出装置およびリモートキーエントリシステムの作動について説明する。
まず、TPMS受信機3およびRKE受信機4が上り信号線9a、9cに送出する信号の形式について説明する。TPMS受信機3およびRKE受信機4は、それぞれTPMS信号、RKE信号を、1まとまりのフレームとして、上り信号線9a、9cに送出する。
1つのフレームは、図2に示すように、キャラクタという信号22(具体的には22a〜22c)が複数個集まってから構成される。そして、1つのフレームの先頭の制御キャラクタ22aは、当該フレームのメッセージ種類および当該フレームに含まれる情報データのバイトサイズを規定する特別なキャラクタである。
また、1つのフレーム中の2番目以降(ただし最後を除く)の情報データキャラクタは、情報データそのものを含むキャラクタである。情報データとは、当該フレームによってボデーECU5に送信したい情報である。具体的には、TPMS受信機3から送信されるフレーム中の情報データは、例えば、タイヤの空気圧を表すデータまたはタイヤ空気圧が低下していることを示すデータである。また、RKE受信機4から送信されるフレーム中の情報データは、ドアロックもしくはアンロックを示すデータである。
また、1つのフレーム中の最後のキャラクタ22cは、当該フレームのエラー検出のための誤り検出符号を含むFCC(Frame Check Code)キャラクタである。誤り検出符号としては、周知の符号(例えばCRC)を用いればよい。
1つのフレーム中のキャラクタの数は、TPMS受信機3が送信するフレームとRKE受信機4が送信するフレームとで異なるようになっていてもよいし、同じになっていてもよい。また、同じ受信機3、4内においても、フレーム毎に含むキャラクタの数が異なっていてもよいし、同じになっていてもよい。
また、1つのフレーム中の各キャラクタ間のインターバルは、例えば800マイクロ秒であり、その間は、信号がハイ(論理値の1を示す)となっている。
また、図3に例示するように、各キャラクタ22は、送信元に関わらず一定のビット数(図3の例では11ビット)のデータを表す信号となっている。図3の例では、NRZ方式を採用し、H(ハイ)レベルの信号が論理値の1を示し、L(ロー)レベルの信号が論理値のゼロを示す。
図3に示すように、1つのキャラクタ22の各ビットのうち、先頭のビットは、当該キャラクタの開始を意味するスタートビットSTAであり、ハイからローに立ち下がる信号で表現される。
また、先頭から2番目のビット以降のビット列D0〜D7(ただし、最後および最後から2番目のビットP、STOは除く)は、情報データキャラクタにおいては情報データの一部を含むビット列であり、制御キャラクタにおいてはメッセージ種類および情報データのバイトサイズを含むビット列であり、FCCキャラクタにおいては、誤り検出符号を含むビット列である。
また、最後から2番目のビットは、データビットのパリティを表すパリティビットPである。また、最後のビットは、当該キャラクタの終了を意味するストップビットSTOであり、ハイの信号で表現される。
次に、TPMS受信機3とRKE受信機4が具体的に上り信号線9a、9cに信号を送出する処理について説明する。
TPMS受信機3のマイコン3c(より具体的にはマイコン3cに設けられたCPU)は、センサ送信機1から繰り返し定期的に送信されるタイヤ空気圧に関する信号を、受信アンテナ3a、受信回路3bを介して逐次受信し、1回受信する度に、受信した信号に基づいて、ボデーECU5に送信するための情報データ(タイヤ空気圧を表すデータまたはタイヤ空気圧が低下していることを示すデータ)を作成すると、作成した情報データを1つのフレーム(第1フレームに相当する)で送信するため、図4に示すようなキャラクタ送信処理を、当該フレームを構成するキャラクタ毎に実行する。つまり、図4のキャラクタ送信処理を1回行う度に、当該フレームを構成するキャラクタの1つが上り信号線9a、9cに送出される。
以下、1回のキャラクタ送信処理について説明する。以下、この回のキャラクタ送信処理において送信の対象とするキャラクタを対象キャラクタという。
まずステップ110では、対象キャラクタに含めるための複数のデータビットを、上述のように作成した情報データに基づいて作成する。
具体的には、制御キャラクタのデータビットを作成する場合は、情報データのデータ種別として、TPMS信号である旨を示す所定のコードを読み出し、情報データのバイトサイズを算出し、この所定のコードおよびバイトサイズから成るビット列を、対象キャラクタに含めるための複数のデータビットとする。
また、情報データキャラクタのデータビットを作成する場合は、情報データのうち、まだ切り出されていない部分の先頭のビット列(図3の例では8ビット長)を切り出し、切り出したビット列を、対象キャラクタに含めるための複数のデータビットとする。
また、FCCキャラクタのデータビットを作成する場合は、情報データに基づいて周知の方法で誤り検出符号のビット列(図3の例では8ビット長)を作成し、作成したビット列を、対象キャラクタに含めるための複数のデータビットとする。
続いてステップ120では、ステップ110にて作成した複数のデータビットを含むキャラクタの送出を開始する。具体的には、ステップ110にて作成した複数のデータビットを入力(引数)として、ソフトウエアシリアル送出処理の実行を開始する。
ソフトウエアシリアル送出処理は、図4のキャラクタ送信処理と同時並行的にマイコン3cが実行する処理であり、入力されたデータビットから成るキャラクタをシリアル信号として送出する処理(例えば、周知のソフトウエアUARTの処理)である。ソフトウエアシリアル送出処理を実行することで、マイコン3cは、スタートビット、入力されたデータビット、パリティビット、ストップビットを表す信号を、この順で1ビットずつ、所定のタイミングにてI/F3dに出力する。するとI/F3dは、入力された信号を上りローカル配線9aに送出する。また、ソフトウエアシリアル送出処理は、現在送出中のビットの値の情報、および、キャラクタを送出し終えたか否かを示す情報を、マイコン3cのRAMに記録するようになっている。キャラクタを送出し終えると、ソフトウエアシリアル送出処理は終了する。
ソフトウエアシリアル送出処理が実行されている間も、マイコン3cは図4のキャラクタ送信処理を続け、ステップ130で、出力信号とFB信号の値を比較し、両者が一致しているか否かを判定する。ここで、出力信号とは、ソフトウエアシリアル送信処理によって上りローカル配線9aに現在送出されている信号であり、この信号の値は、ソフトウエアシリアル送出処理によってRAMに記録される現在送出中のビットの値の情報を読み出すことで特定する。FB信号とは、自己チェック用配線9eから現在入力されている信号である。
このステップ130の判定は、上り信号線9a、9cに混信が発生しているか否かを判定するものである。混信がなく、TPMS受信機3からのみ上りローカル配線9aに信号が送出されている場合は、出力信号とFB信号の値は一致するはずであり、また、TPMS受信機3が上りローカル配線9aに信号を送出していると同時に、RKE受信機4が上りローカル配線9cに信号を送出することで混信が発生している場合は、出力信号とFB信号の値は一致しなくなる可能性が高いからである。
なお、混信がなく、TPMS受信機3からのみ上りローカル配線9aに信号が送出されている場合でも、RAMに現在送出中のビットの値が記録されるタイミングよりも、FB信号がそのビットの値になるまでに遅延が生じる可能性がある。しかし、一般的にこの遅延は非常に短い(例えば、30マイクロ秒)ものであり、1ビットを信号として送出する時間は、典型的な2.4kbpsなら417マイクロ秒なので、このような遅延によって、混信が発生していると判定してしまう可能性は非常に低い。また、このような遅延を考慮して、ステップ130で、RAMに記録される現在送出中のビットの値が前回から変化している場合は、上述の遅延時間よりも長い時間(例えば35マイクロ秒)だけ待機し、待機後に改めてRAMに記録される現在送出中のビットの値を読み出し、それが待機前の値から変化していなければ、その時点でこの値とFB信号の値を比較するようになっていればよい。なお、待機後にRAMに記録される現在送出中のビットの値がまた変化していれば、更に同じ時間だけ待機する。
ステップ130において、出力信号とFB信号の値が一致する場合は、続いてステップ140で、対象キャラクタの送信が完了したか否かを、キャラクタを送出し終えたか否かを示す情報(ソフトウエアシリアル送出処理によってRAMに記録される)に基づいて判定し、送信が完了していれば、今回のキャラクタ送信処理を終了する。
つまり、マイコン3cは、対象キャラクタの送信が終了すると判定するまでの間、上りローカル配線9cに送出した出力信号と、自己チェック用配線9eから入力されるFB信号とを繰り返し比較する。
そして、ステップ130で出力信号とFB信号の値が一致しないと判定した場合は、続いてステップ150に進む。ステップ130で出力信号とFB信号の値が一致しないと判定した場合、すなわち、上り信号線9a、9cに混信が発生した場合としては、例えば、図5に示すように、TPMS受信機3が1つのキャラクタ31を送出中に、RKE受信機4がフレームの送信を開始し、当該フレームの最初のキャラクタ32とキャラクタ31とが上り信号線9a、9c中で混信する場合が挙げられる。なお、図5では、右方向が時間の向きである。
ここで、RKE受信機4によるRKE信号の送信処理について説明する。RKE受信機4のマイコン4cは、リモートキー2に備えられた送信機から送信されるドアロックもしくはアンロックを指示する信号を、受信アンテナ4a、受信回路4bを介して受信し、受信した信号に基づいて、ドアロックもしくはアンロックを示す情報データを作成し、作成した情報データを、TPMS受信機3のマイコン3cと同様の方法で、複数のキャラクタを含む1つのフレーム(第2のフレームに相当する)として、I/F4dを介して上りローカル配線9cに送出する。
ボデーECU5のマイコン5bは、I/F5aを介してこのフレームを混信なく正常に受信できたと判定した場合は、この当該正常に受信できたフレーム中の情報データに従って、ドアコントロールECU6にドアロックもしくはアンロックの信号を送信し、ドアコントロールECU6は、この信号に基づいてドアアクチュエータ8を制御することで、リモートキー2によって指示されたドアロックもしくはアンロックが実現する。
ここで、一般的な混信が発生した場合の信号状態について、図6を用いて説明する。なお、図6では、右方向が時間の向きである。仮にTPMS受信機3が実線41のような信号を上りローカル配線9aに送出し、RKE受信機4が実線42のような信号を上りローカル配線9cに送出すると、上り信号線9a、9cにおける信号レベルは、実線43のようになる。
RKE受信機4の出力42がハイ(H)の場合は、TPMS受信機3の出力41と上り信号線9a、9cにおける信号レベル43とは一致する。また、RKE受信機4の出力42がロー(L)でも、TPMS受信機3の出力もローならば、TPMS受信機3の出力41と上り信号線9a、9cにおける信号レベル43とは一致する。しかし、タイミング44のように、RKE受信機4の出力42がロー(L)で、TPMS受信機3の出力がハイと食い違えば、上り信号線9a、9cにおける信号レベル43はローとなり、TPMS受信機3の出力41と同じではなくなる。
このような混信が発生すると、上り信号線9a、9c上の信号の内容が出鱈目になり、その結果、信号を受信したボデーECU5において、キャラクタのチェックサムとデータビットとの食い違いが発生する、ストップビットを検出できない、誤り検出符号に基づいて情報データに誤りが発見される等の所定のエラー判定条件のうちいずれか1つが満たされ、その結果、ボデーECU5が受信したフレームやキャラクタを破棄する場合が多いと考えられる。
しかし、常にエラー判定条件のいずれかが満たされてフレームやキャラクタが破棄されるとは限らない。すなわち、TPMS受信機3から送出された信号が一部書き換えられた状態で、ボデーECU5において、キャラクタのチェックサムとデータビットとが偶々食い違わず、ストップビットを偶々検出でき、誤り検出符号に基づいて情報データ中の誤りが偶々発見できず、その結果、ボデーECU5が、受信した信号を正常な形式のフレームやキャラクタとして扱う可能性がある。
このような場合、実際には正しくない信号をボデーECU5が通常通り扱って各種処理を行ってしまうことで、単に破棄する場合と比べても好ましくない事態が発生する恐れが高くなる。例えば、その書き替えられた信号の内容に基づいて、メータ7に誤った空気圧の表示を行わせてしまったり、誤ったパンク警報を表示させてしまったりする可能性がある。
そこで、本実施形態のマイコン3cは、上述の通り、対象キャラクタの送信が終了すると判定するまでの間(ステップ140)、上りローカル配線9cに送出した出力信号と、自己チェック用配線9eから入力されるFB信号とを繰り返し比較する(ステップ130)。そして、ステップ130で出力信号とFB信号の値が一致しないと判定した場合は、続いてステップ150に進む。
ステップ150では、現在マイコン3cが送信中のフレーム(第1のフレームに相当する)をボデーECU5に破棄させるため、上り信号線9a、9cに所定の無効化期間だけ無効化信号36(図5参照)を送出し続ける。具体的には、ソフトウエアシリアル送信処理を制御して、現在のキャラクタの送出を直ちに停止させ、シリアル信号としての無効化信号をI/F3dに当該無効化期間だけ出力させる。
この無効化信号は、上り信号線9a、9cの信号を、RKE受信機4の出力内容に関わりなく、強制的に所定の信号レベルとするための信号である。具体的には、本実施形態では、図6に示すように、ロー(L)レベルの信号45である。マイコン3cからの出力がローレベルになれば、RKE受信機4から上りローカル配線9cへの出力内容によらず、上り信号線9a、9cの信号レベルは強制的にローとなる。これは、マイコン3c、4cのどちらからもキャラクタが送出されていない状態における上り信号線9a、9cの信号レベル(ハイ)とは異なる信号レベルである。
無効化期間の長さは、ボデーECU5におけるいくつかのエラー判定条件のうち、できるだけ多くの判定を実施することにより確実に送信データを無効化できる期間に設定するのが望ましい。それは、個々の誤り検出が確実にエラー検出できるものではなく、偶発的に検出できない場合もあり得るためである。
具体的には、ボデーECU5におけるエラー判定条件としては、受信したキャラクタ中のデータビットのパリティとパリティビットの値が食い違っているという条件(すなわち、キャラクタのパリティエラーが発生しているという条件)が採用されている。このエラー判定条件を満たす程度に無効化期間の長さを設定してもよいが、その場合は、無効期間の長さは、例えば、パリティビットを破壊するため、1キャラクタ分の長さであればよい。
また、ボデーECU5におけるエラー判定条件としては、ストップビットを受信すべきタイミングでストップビットを受信できないという条件(すなわち、フレーミングエラーが発生しているという条件)が採用されている。このエラー判定条件を満たす程度に無効化期間の長さを設定してもよいが、その場合は、無効期間の長さは、例えば、パリティビットを破壊するため、1キャラクタ分の長さであればよい。
また、ボデーECU5におけるエラー判定条件としては、予め定められた規定時間以上キャラクタを受信しない状態(ローレベルの信号を受信し続ける状態)が続くという条件が採用されている。このエラー判定条件を満たす程度に無効化期間の長さを設定してもよいが、その場合は、無効期間の長さは、例えば、上記の規定時間とすればよい。
また、ボデーECU5におけるエラー判定条件としては、受信したフレーム中のFCCキャラクタ22cに含まれる誤り検出符号に基づいて、受信したフレーム中の情報データキャラクタ22b中の情報データに誤りが発生しているという条件が採用されている。このエラー判定条件を満たす程度に無効化期間の長さを設定してもよいが、その場合は、無効期間の長さは、例えば、FCCキャラクタ22cを破壊するため、1フレーム分の長さであればよい。
ボデーECU5において、受信した信号が、ボデーECU5において予め定められたエラー判定条件のうち少なくとも1つを満たすと判定した場合は、現在受信中のフレームについてそれまで受信したデータをすべて破棄し、その後、制御キャラクタの受信待ち状態となる。このとき、再送信要求をTPMS受信機3に送信してもよい。
無効化期間が終了すると、続いてステップ160に進み、所定の待機時間だけ、上りローカル配線9aへの信号の送出を停止する。この所定の待機時間の間は、ボデーECU5からフレームやキャラクタの再送信要求を受けたとしても、上りローカル配線9aへの信号の送出は行わない。
図5に示すように、この待機時間37は、リモートキー2がロックもしくはアンロック信号を含む無線フレーム41―1〜41〜nを所定の複数回連続して送信するのに要する時間から上記無効化期間を減算した時間以上として、あらかじめ(例えばTPMS受信機3の製造時、TPMS受信機3の車両への組み付け時等に)設定しておく。そして、当該所定の待機時間37が経過すると、今回のキャラクタ送信処理を終了する。
所定の待機時間37が経過してキャラクタ送信処理を終了した後、ボデーECU5からキャラクタの再送信要求を受信するか、あるいは、当該待機時間37においてキャラクタの再送信要求を既に受信していれば、最後に実行したキャラクタ送信処理において送出しようとしていたキャラクタを、新たなキャラクタ送信処理によって送出し、その後、当該フレームの最後のキャラクタまで、順次キャラクタ送信処理を実行して送出する。つまり、送信できなかったキャラクタから送信を再開する。
また、所定の待機時間37が経過してキャラクタ送信処理を終了した後、ボデーECU5からフレームの再送信要求を受信するか、あるいは、当該待機時間37においてフレームの再送信要求を既に受信していれば、最後に実行したキャラクタ送信処理において送出しようとしていたフレームの最初のキャラクタを、新たなキャラクタ送信処理によって送出し、その後、当該フレームの最後のキャラクタまで、順次キャラクタ送信処理を実行して送出する。つまり、送信できなかったフレームの全体を再送信する。
また、所定の待機時間37が経過してキャラクタ送信処理を終了した後、ボデーECU5から何の再送信要求も受けない場合は、上述のように送信できなかったフレームの全体を再送信するようになっていてもよいし、あるいは、送信できなかったフレームの送信を行わず、次のフレームの送信機会まで待機するようになっていてもよい。
以上説明した通り、TPMS受信機3は、1つのフレーム(第1のフレーム)をボデーECU5へ送信する際、当該1つのフレームに含まれる複数のデータビットに基づく信号を上り信号線9a、9cに送出開始し(ステップ120参照)、当該信号の送信中、上り信号線9a、9cに送出した信号と、自己チェック用配線9eから入力されるFB信号とを比較し(ステップ130)、比較の結果、両者が一致しない場合は、当該1つのフレームをボデーECU5に破棄させるため、上り信号線9a、9cの信号レベルを所定の無効化期間だけ強制的に所定の信号レベルとするための所定の無効化信号を、上り信号線9a、9cに送出する(ステップ150)。
このように、2つの通信機3、4が同じ上り信号線9a、9cを共用して共通の制御装置5と通信するシステムにおいて、TPMS受信機3が、1つの第1のフレームの信号を送信中に、上り信号線9a、9cに送出した信号と、上り信号線9a、9cから分岐した自己チェック用配線9eから入力されるFB信号とを比較することで、TPMS受信機3とRKE受信機4の混信の有無を判定し、比較の結果両者の信号が一致しない場合は、当該1つのフレームをボデーECU5に破棄させるため、上り信号線9a、9cの信号を強制的に所定の信号レベルとするための所定の無効化信号を、上り信号線9a、9cに送出する。
このようにすることで、混信が発生した場合は、TPMS受信機3から所定の無効化信号が上り信号線9a、9cに送出され、その結果、上り信号線9a、9cの信号が強制的に所定のレベルとなり、さらにその結果、ボデーECU5が当該1つのフレームを破棄する。このようになっていることで、混信が発生した場合は、TPMS受信機3がボデーECU5を制御して当該1つのフレームを強制的に破棄させることができるので、混信によって正しくなくなってしまったデータをボデーECU5が通常通り扱ってしまう可能性を低減することができる。
また、TPMS受信機3は、所定の無効化信号を送出し終えた後、所定の待機時間だけ、信号の上り信号線9a、9cへの信号の送出を停止する(ステップ160)。そして、この無効化期間の長さは、RKE受信機4がRKE信号のフレームを1個送出するのに要する時間以下であり、また、所定の待機時間の長さは、リモートキー2がドアロックもしくはアンロック信号を含むフレーム41―1〜41〜nを所定の複数回連続して送信するのに要する時間から前記無効化期間を減算した時間以上とする。
本実施形態において、無効化信号36がTPMS受信機3から上り信号線9a、9cに送出されると、RKE受信機4が送出した信号もボデーECU5で破棄されることになる。
また、無効化信号36を送出し終えた後、TPMS受信機3側が、所定の待機時間37だけ送出を停止し、当該待機時間37の長さは、リモートキー2が前記ドアロックもしくはアンロック信号を所定の複数回連続して送信するのに要する時間から前記無効化期間を減算した時間以上とすることで、センサ送信機1が送信した信号とリモートキー2が送信した無線フレームが混信した無線データをTPMS受信機3が受信し、TPMS受信機3がボデーECU5に誤った送信をする可能性を小さくできる。このような効果は、センサ送信機1からの送信周波数が315MHzであり、リモートキー2からの送信周波数が315MHzであるような場合、すなわち、センサ送信機1とリモートキー2が使用する周波数が近い場合ほど、著しい。なお、TPMS受信機3は、この無効化信号36の送信期間および待機時間37の間は、センサ送信機1から無線受信したデータを破棄するようになっている。
なお、上記実施形態において、TPMS受信機3のマイコン3cおよびI/F3dが第1の通信機の一例に相当し、また、RKE受信機4のマイコン4cおよびI/F4dが第2の通信機の一例に相当する。また、マイコン3cが、図4のステップ120を実行することで送出開始手段の一例として機能し、ステップ130を実行することで比較手段の一例として機能し、ステップ150を実行することで無効化手段の一例として機能し、ステップ160を実行することで待機手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
(1)TPMS受信機3のマイコン3cは、ステップ120では、ステップ110にて作成した複数のデータビットを、ソフトウエアシリアル送出処理ではなく、マイコン3c内に設けられたシリアル通信デバイス(例えばUART回路)に、入力するようになっていてもよい。この場合も、シリアル通信デバイスが、現在送出中のビットの値の情報、および、キャラクタを送出し終えたか否かを示す情報を、マイコン3cのRAMに記録するようになっていれば、図4のようなキャラクタ送信処理によって、正しいタイミングで出力信号とFB信号を比較することができる。
また、シリアル通信デバイスが、現在送出中のビットの値の情報を、マイコン3cのRAMに記録するようになっておらず、その結果、マイコン3cのCPUは、今どのビットが送出されているかわからなくなっていたとしても、ビット単位ではなく、キャラクタ単位で出力信号とFB信号とを比較すればよい。具体的には、シリアル通信デバイスが、ストップビットを送出したタイミングにおいて割り込み信号をCPUに入力するようになっており、CPUは、その送出タイミングにおいて、シリアル通信デバイスに最後に入力した複数(図3の例では8ビット)のデータビットに基づいてキャラクタを構成し、当該キャラクタと、シリアル通信デバイスに最後にデータビットを入力してから現在までの当該FB信号の値とを比較して、一致していない場合は、図4のステップ150、160を実行するようになっていればよい。この場合、1つのキャラクタの送出途中に混信が発生しても、当該キャラクタ全体を送出し終えるまでは混信が放置され、当該キャラクタ全体を送出し終えたタイミングで無効化信号が送出されることになるが、この場合も、当該キャラクタが1フレーム中の最後のFCCキャラクタでない限り、無効化信号によってFCCキャラクタを正常に受信できないので、ボデーECU5においてフレーム全体が破棄される。したがって、ボデーECU5が本当は正しくないデータを正しいものとして通常通り処理してしまうことはない。
(2)また、上記実施形態では、1キャラクタは11ビットで構成されているが、1キャラクタに含まれるビット数はどのように決められていてもよい。
(3)また、上記実施形態では、第1の通信機としてTPMS受信機3のマイコン3cおよびI/F3dが例示され、第2の通信機としてRKE受信機4のマイコン4cおよびI/F4dが例示されているが、第1の通信機、第2の通信機、制御装置は、必ずしもこのような装置でなくともよく、車両に搭載され、第1の通信機、第2の通信機から共通の上り信号線を介して制御装置にフレームが送信され、制御装置は、送信されたフレームに基づいて所定の制御を行い、フレームの信号が所定のエラー判定条件を満たす場合は、当該フレームまたはフレームの一部を破棄するようになっていればよい。この際、共用される上り信号線は、必ずしもシリアル信号線でなくともよい。
(4)また、上記実施形態では、TPMS受信機3のマイコン3cは、フレームの送信中の中でも、キャラクタの送出中に限り、上り信号線9a、9cにおける混信を検出するようになっているが、1つのフレームの送信中において1つのキャラクタの送出と次のキャラクタ送信の間の期間においても、ステップ130のように、上り信号線9a、9cにおける混信を検出するようになっていてもよい。
(5)特定の狙った(次のでなくともよい)ストップビットをローにしてしまう信号でもよい。FCCを全部ローにしてしまう信号でもよい。