JP5629529B2 - 吸収性樹脂粒子及び吸収性物品 - Google Patents

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本発明は吸収性樹脂粒子及び吸収性物品に関する。
吸収性樹脂粒子は、吸収した液体を多少の圧力では容易に放出しない特徴を活かし吸収性物品に多く用いられている。吸収性物品は、被吸収液を吸収しきれずに発生する「モレ」や一旦吸収した被吸収液が逆戻りすることによる「カブレ」などの無いことが求められている。吸収性樹脂粒子としては、吸収速度を速めて「モレ」を防止したり、吸収量を高めて「カブレ」を防止したりしている(特許文献1、2)。
特開平07−88171号公報 特開2005−97569号公報
従来の吸収性樹脂粒子では、無加圧下の吸収量と加圧下の吸収量とで差異があり、加圧下の吸収量の方が低い。この為、吸収性物品に使用した際、吸収性物品の装着者が座った状況や寝転がった状況など吸収性物品に圧力が加わった場合は、吸収性物品の吸収量が無加圧下に比べ低下することから、加圧下での吸収性物品の表面ドライ感が悪くなる場合がある。
すなわち、本発明の目的は、吸水性樹脂粒子の吸収量が加圧下でも無加圧下と同等以上の吸収量がある吸収性樹脂粒子を提供すること、そして、加圧下の吸収性物品の表面ドライ感が高い吸収性物品を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、150G保水量が6〜20g/gであり、40g/cm 加圧下吸収量が150G保水量以上であり、40g/cm加圧下吸収量と150G保水量の差が、1〜10g/gであって、ゲル通液速度が200ml/min以上であることを要旨とする。
また、本発明の吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と水とを含み、含水率が40〜80重量%の含水ゲルを、さらに架橋剤(b2)で架橋させて得られる架橋重合体(A’)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、150G保水量が6〜20g/gであり、40g/cm 加圧下吸収量が150G保水量以上であり、40g/cm加圧下吸収量と150G保水量の差が、1〜10g/gであって、ゲル通液速度が200ml/min以上であることを要旨とする。
本発明の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、加圧下でも吸収性物品の表面ドライ感に優れるという効果をもたらす。
ゲル通液速度を測定するための濾過円筒管を模式的に表した断面図である。 ゲル通液速度を測定するための加圧軸及びおもりを模式的に表した斜視図である。
水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。
加水分解性ビニルモノマー(a2)は、加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマーを意味し、特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。また、加水分解性とは、50℃の水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマーの加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれでもよいが、得られる吸収性樹脂粒子の分子量の観点等から重合後が好ましい。
これらのうち、吸収特性の観点等から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ−、ジ−若しくはトリ−アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、次に好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、次に特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としてもよい。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比(a1/a2)は、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜95/5、特に好ましくは90/10〜93/7、最も好ましくは91/9〜92/8である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
吸収性樹脂粒子の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。
共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、下記の(i)〜(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレンモノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレンモノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
その他のビニルモノマー(a3)を構成単位とする場合、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収特性の観点等から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
内部架橋剤(b1)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の架橋剤等が使用できる。
エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジ又はトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトール(ジ、トリ又はテトラ)(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
エチレン性不飽和基と反応性基とを有する架橋剤としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。
反応性官能基を2個以上有する架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン(ジ又はトリ)グリシジルエーテル等が挙げられる。
内部架橋剤(b1)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
架橋重合体(A)は1種でもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
架橋重合体(A)としては、公知のもの{たとえば、以下の(1)〜(16)の重合体等}をそのまま用いることができる。
(1)特公昭53−46199号公報又は特公昭53−46200号公報等に記載のデンプン−アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体。
(2)特開昭55−133413号公報等に記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合又は噴霧重合等)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(3)特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報又は特開平11−5808号公報等に記載の逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(4)特開昭52−14689号公報又は特開昭52−27455号公報等に記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体のケン化物。
(5)特開昭58−2312号公報又は特開昭61−36309号公報等に記載のアクリル酸(塩)とスルホ(スルホネート)基含有モノマーとの共重合体。
(6)米国特許第4389513号等に記載のイソブチレン−無水マレイン酸共重合架橋体のケン化物。
(7)特開昭46−43995号公報等に記載のデンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物。
(8)米国特許第4650716号等に記載の架橋カルボキシメチルセルロース。
(9)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリアルキレン(エチレン、プロピレン等)グリコール架橋体。
(10)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリビニルアルコール架橋体。
(11)特開2003−48997号公報に記載のデンプン放射線架橋体。
(12)特開平9−85080号公報に記載のカルボキシル基含有架橋セルロース。
(13)特開平10−251402号公報に記載のポリアミノ酸放射線架橋体。
(14)特開2002−179770号公報に記載の架橋ポリアスパラギン酸。
(15)特開2001−120992号公報に記載の多糖類の多価金属イオン架橋体。
(16)特開2003−052742号公報、特開2003−082250号公報、特開2003−165883号公報、特開2003−176421号公報、特開2003−183528号公報、特開2003−192732号公報、特開2003−225565号公報、特開2003−238696号公報、特開2003−335970号公報、特開2004−091673号公報、特開2004−121400号公報、特開2004−123835号公報、特開2005−075982号公報、特開2005−095759号公報、特開2005−186015号公報、特開2005−186016号公報、特開2006−110545号公報、特開2006−122737号公報、特開2006−131767号公報、特開2006−160774号公報、特開2006−206777号公報、特開2006−219661号公報、特開2007−069161号公報等に記載された高性能吸水性樹脂{架橋ポリアクリル酸(塩)}。
なお、酸(塩)との記載は、酸及び/又は酸塩を意味し、以下同様である。
これらのうち、架橋重合体あたりの吸収量の観点から、(1)、(2)、(3)及び(16)が好ましく、さらに好ましくは(1)、(2)及び(16)、特に好ましくは(2)及び(16)である。
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法としては、水溶液重合又は逆相懸濁重合による製造方法を用いることができる。
水溶液重合では、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b1)並びに水を用いて水溶液を作成し(以降、これをモノマー溶液と述べる)、モノマー溶液を重合させて、塊状の含水架橋重合体(以降、含水ゲルと述べる)を得ることができる。
含水ゲルは、必要に応じて公知の方法等により破砕(ミンチ)することができ、含水ゲル粒子となる。破砕(ミンチ)後の含水ゲル粒子の大きさ(最長径)は、50μm〜10cmが好ましく、さらに好ましくは100μm〜2cm、特に好ましくは1mm〜1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が良好となる。また、破砕(ミンチ)は重合中に行ってもよく、その場合は重合熱の放熱がしやすくなる。
逆相懸濁重合では、モノマー溶液を有機溶媒中に公知の分散剤等を使用して分散させて重合させ、粒子状の含水架橋重合体(以降、含水ゲル粒子と述べる)を得ることができる。
含水ゲルおよび含水ゲル粒子は公知の方法等により乾燥させることができる。熱風による乾燥(パドル式乾燥機、ベルト式乾燥機及び浮遊式乾燥機等)、共沸脱水による乾燥、凍結乾燥及び遠赤外線による乾燥等を用いることができる。
吸収性樹脂粒子は、公知の方法等により、粉砕及び/又は粒度調整をすることができる。吸収性樹脂粒子が溶媒を含む場合、溶媒を留去(乾燥)してから粉砕及び/又は粒度調整することが好ましい。
吸収性樹脂粒子の重量平均粒径(μm)は、100〜800が好ましく、さらに好ましくは200〜600、特に好ましくは300〜500である。この範囲であると、ハンドリング性(吸収性樹脂粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。
重量平均粒子径は、測定試料の粒度分布を測定し、対数確率紙{横軸:粒径、縦軸:累積含有量(重量%)}に、累積含有量と粒子径との関係をプロットし、累積含有量が50重量%に対応する粒子径を求めることにより得られる。粒度分布は、JIS Z8815−1994に準拠して測定され、たとえば、内径150mm、深さ45mmのふるい{目開き:710μm、500μm、300μm、150μm及び106μm}を、目開きの狭いふるいを下にして重ね、一番上の最も目開きの広い710μmのふるいの上に、測定試料50gを入れ、ふるい振動機にて10分間ふるい、各ふるいの上に残った測定試料の重量を測定し、最初の測定試料の重量に基づく各ふるいの上に残った測定試料の重量%を求めることによって測定される。
吸収性樹脂粒子には、吸収性能の観点等から、微粒子の含有量は少ない方が好ましい。吸収性樹脂粒子の全粒子に占める150μm(好ましくは106μm)以下の微粒子の含有量は、3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1重量%以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒径を求める際に作成するプロットを用いて求めることができる。
吸収性樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、真球状、不定形造粒状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ等に適用した場合の繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状及び不定形造粒状が好ましく、さらに好ましくは不定形破砕状である。
吸収性樹脂粒子は、必要に応じて公知の方法等により、表面架橋を行うことができる。
本発明の吸収性樹脂粒子の含水率(重量%)は、吸収性物品に適用する場合、作業性・風合い・耐湿性等の観点から、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜15、特に好ましくは4〜12である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子が衝撃により破壊されるのを防ぎ、作業性等がさらに良好となる。
なお、含水率は、乾燥工程のみで決まるのではなく、必要に応じて行われる表面架橋工程及び加水工程等で調整される。なお、含水率は、120±5℃、30分で乾燥前後の重量減少率により求められる。
本発明において、150G保水量は、下記の測定法により測定される。
<150G保水量の測定法>
目開き63μmのナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1000cc中に無撹拌下、1時間浸漬させた後、15分間吊るして水切りした後、ティーバッグごと、遠心分離器に入れ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定する。一方、測定試料を入れないこと以外同様の操作により、ティーバッグの重量(h2)を求める。そして、重量(h1)から重量(h2)を差し引くことにより保水量(g/g)を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行う。
吸収性樹脂粒子の150G保水量は、吸収性物品に適用した際の吸収性物品の吸収量の観点から6〜20であり、加圧下での吸収性物品の表面ドライ感の観点から、好ましくは8〜15、特に好ましくは10〜12である。この範囲外であると、加圧下での吸収性物品の表面ドライ感が悪化する。
なお、150G保水量は、後述するが架橋重合体の架橋密度と相関があり、公知の架橋剤を用いて架橋剤添加量を調整することで、調整可能である。
本発明において、40g/cm加圧下吸収量は、下記の測定法により測定される。
<40g/cm加圧下吸収量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006に準拠)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)内に測定試料0.1gを秤量し、プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整え、この測定試料の上に40g/cmの荷重となるように外径29.5mm×22mmの分銅を乗せる。生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入ったプラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、放置し、60分後に試料及び分銅の入ったプラスチックチューブを計量し、測定試料が生理食塩水を吸収して増加した重量を算出し、この増加重量の10倍値を生理食塩水に対する荷重下吸収量(g/g)とする。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行う。
吸収性樹脂粒子の40g/cm加圧下吸収量は、150G保水量以上であることが必要である。40g/cm加圧下吸収量と150G保水量の差は、吸収性物品に適用した際の加圧下の表面ドライ感の観点から、1〜10が好ましく、特に好ましくは2〜10である。40g/cm加圧下吸収量が150G保水量未満であると、加圧下での吸収性物品の表面ドライ感が悪化する。
40g/cm加圧下吸収量は、後述するが架橋重合体の架橋密度と相関があり、公知の架橋剤を用いて架橋剤添加量を調整することで、調整可能である。一般的な吸収性樹脂粒子では40g/cm加圧下吸収量より150G保水量の方が大きいが、本発明の吸収性樹脂粒子は150G保水量より40g/cm加圧下吸収量が大きく、これは後述する方法等をとることにより可能となる。
本発明において、吸収性樹脂粒子のゲル通液速度は、下記の測定法により測定される。
<ゲル通液速度の測定法>
測定試料0.32gを150ml生理食塩水(1;食塩濃度0.9重量%)に30分間浸漬して膨潤ゲル粒子(2)を調製する。そして、垂直に立てた円筒(3){直径(内径)25.4mm、長さ40cm、底部から40mlの位置及び60mlの位置に目盛り線(4、5)が設けてある。}の底部に、金網{6;目開き106μm、JIS Z8801−1:2006}と、開閉自在のコック{7;内径5mm、長さ10cm}とを有する濾過円筒管内に、コック(7)を閉鎖した状態で、調製した膨潤ゲル粒子(2)を生理食塩水と共に移した後、この膨潤ゲル粒子(2)の上に円形金網{8;目開き150μm、直径25mm}が金網面に対して垂直に結合する加圧軸(9;重さ22g、長さ47cm)を金網と膨潤ゲル粒子とが接触するように載せ、さらに加圧軸(9)におもり{10;88.5g}を載せ、1分間静置する(図1及び図2参照)。引き続き、コック(6)を開き、濾過円筒管内の液面が60ml目盛り線(4)から40ml目盛り線(5)になるのに要する時間(T1;秒)を計測し、次式よりゲル通液速度(ml/min)を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行う。
ゲル通液速度(ml/min)=20ml×60/(T1−T2)
なお、T2は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測した時間である。
吸収性樹脂粒子のゲル通液速度(ml/min)は、200以上であり、吸収性物品に適用した際の加圧下の表面ドライ感の観点から、好ましくは200〜5000、さらに好ましくは400〜4000、特に好ましくは600〜3000である。ゲル通液速度が200ml/min未満であると、加圧下での吸収性物品の表面ドライ感が悪化する。
ゲル通液速度は、膨潤したゲル粒子の表面状態と関係があり、吸収性樹脂粒子の架橋密度が高くなればゲル通液速度も高くなり、後述する架橋剤の使用方法をとるなどして、この範囲に調整することができる。
続いて本発明の吸収性樹脂粒子を得るための好ましい製造方法について説明する。
まず、一般的に、吸収性樹脂粒子の主要性能である保水量は、架橋重合体の架橋密度に比例する。架橋重合体の架橋密度が低いと保水量が高くなり、一方、架橋重合体の架橋密度が高いと保水量が低くなる。吸収性物品では多くの被吸収液を吸収できることが求められており、このニーズに適合するにはなるべく架橋密度を低く抑えた方がよい。しかしながら、架橋密度が低いと被吸収液を吸収して膨潤したゲルの強度が低く、加圧下では、ゲル強度の低さゆえに被吸収液を吸収できなくなるという課題がある。公知の表面架橋は、この課題を克服する為、吸収性樹脂粒子の表面近傍の架橋密度を高め、内部と表面とで架橋密度の異なるコアシェル構造とすることで、保水量の低減を抑えながら加圧下の吸収量を高める目的で実施している。
その為、加圧下の吸収量は向上するが、全体の架橋密度を高めないように設計しており、無加圧下で吸収された被吸収液は、圧力がかかると放出されることがある。この技術で表面架橋した吸収性樹脂粒子を吸収性物品に用いた場合、吸収性樹脂粒子の表面ドライ感が悪くなりカブレなどの原因となることがある。
一方、重合時に架橋密度を高めるべく架橋剤を多く添加すると、重合が不均一になったり、保水量が極端に低くなったりするという問題が生じる。
ここで、本発明では、保水量が極端に低くならずに無加圧下で吸収された被吸収液が、圧力がかかっても放出されないようにするには、含水ゲルの含水率が40〜80%の範囲で架橋すれば目的を達成する事を見出した。
すなわち、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と水とを含み、含水率が40〜80重量%の含水ゲルを、さらに架橋剤(b2)で架橋させて架橋重合体(A’)を得る方法である。
含水ゲルの含水率は40〜80%が好ましく、さらに好ましくは45〜70%、特に好ましくは50〜60%である。この範囲であると、吸収性物品の加圧下の表面ドライ感が良好となる。なお、逆相懸濁重合で行った場合は、含水ゲルの含水率は、含水ゲル粒子の含水率を意味する。
含水率が40%未満の場合は、内部架橋剤(b1)が含水ゲルの内部まで浸透しにくく、表面付近の内部架橋剤(b1)密度が高まり、未反応の架橋剤や全ての官能基が反応しない架橋剤が発生してしまい所望の架橋密度が得られない。また、含水率が80%を超える場合は、架橋重合体(A)内で異なる分子鎖同士が架橋されるより、同じ分子鎖内で架橋されてしまう割合が大きくなり本発明の性能を実現できない。
架橋剤(b2)としては、架橋重合体(A)を合成する際に用いる公知の架橋剤が使用できる。また、架橋重合体(A)の重合時に用いた内部架橋剤(b1)と同じでも異なっても構わない。
架橋剤(b2)の添加量は、架橋剤(b2)の反応可能な官能基数が、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)の反応可能な官能基数に対し、1〜20%が好ましい。さらに好ましくは3〜15%、特に好ましくは5〜10%である。この範囲であると、吸収性物品の加圧下の表面ドライ感が良好となる。
架橋剤(b2)の添加方法は、含水ゲルと架橋剤(b2)とを直接、混合・混練する方法や、含水ゲル、架橋剤(b2)の他に溶媒を用いて混合・混練する方法、含水ゲルをさらに破砕しながら架橋剤(b2)を混合・混練する方法などを用いることができる。なお、逆相懸濁重合で行った場合は、含水ゲルは、含水ゲル粒子を意味する。
含水ゲルと架橋剤(b2)とを直接、混合・混練する場合、リボンブレンダー、双腕ニーダー及びSVミキサー等の混合・混練装置を使用できる。
含水ゲル、架橋剤(b2)の他に溶媒を用いる場合、含水ゲルを溶媒中に分散させる方法のほか、架橋剤(b2)を溶媒中に溶解又は分散させて添加する方法、含水ゲル、架橋剤(b2)の両方に溶媒を用いる方法などが挙げられる。
溶媒は公知の溶媒を用いることができる。
含水ゲルをさらに破砕しながら架橋剤(b2)を混合・混練する場合、混合・混練装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の通常の装置が使用できる。また、含水ゲルを溶媒中に分散させた状態で破砕しながら架橋剤(b2)を混合・混練する場合、ホモミキサー、バイオミキサー等の比較的攪拌力の高い装置を使用できる。
含水ゲルと架橋剤(b2)を反応させる際は、用いる架橋剤(b2)に適した公知の方法で反応させる事ができる。
本発明の吸収性樹脂粒子には、必要により任意の段階において、公知の添加物を添加することができる。添加物としては、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等が使用できる。
添加物を添加する場合、添加物の合計添加量(重量%)は、用途によって異なるが、吸収性樹脂粒子の重量に基づいて、10−6〜20が好ましく、さらに好ましくは10−5〜10、特に好ましくは10−4〜5である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能を低下させることなく、添加剤の機能を付与することができる。
本発明の吸収性樹脂粒子は、繊維状物と共に吸収体とすることができる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。また、この吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部を示し、%は重量%を示す。
<製造例1>
ガラス製反応容器に、アクリル酸ナトリウム77部、アクリル酸22.85部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.15部、脱イオン水229.54部及びジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.001部を仕込み、攪拌、混合しながら内容物の温度を3℃に保った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とし、過酸化水素の1%水溶液0.3部、アスコルビン酸の0.2%水溶液0.8部及び2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライドの2%水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が87℃に達した後、重合温度87±2℃で約5時間重合することにより、架橋重合体を含む含水ゲル(1)を得た。含水率(120±5℃×30分)は70%であった。含水ゲル(1)300部をミンチ機(目皿の穴径:6mm、飯塚工業株式会社製 12VR−400K)にて25℃で破解砕して含水ゲル粒子(1)を得た。
<製造例2>
含水ゲル粒子(1)を135℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥し、乾燥体を得た。この乾燥体を市販のジューサーミキサー(松下電器産業株式会社、ファイバーミキサーMX−X57)にて粉砕し、目開き850及び150μmのふるいを用いて850〜150μmの粒度に調整して、吸収性樹脂粒子を得た。
<製造例3>
万能混合機(プライミクス株式会社製 T.K.ハイビスディスパーミックス 3D−5型)に、アクリル酸81.8部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.15部、脱イオン水299.54部及びジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.001部を仕込み、攪拌、混合しながら内容物の温度を3℃に保った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とし、過酸化水素の1%水溶液0.3部、アスコルビン酸の0.2%水溶液0.8部及び2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライドの2%水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した。80±2℃で約5時間重合・混合することにより、架橋重合体を含む含水ゲル粒子を得た。さらに水酸化ナトリウム32.77部を添加し、攪拌を続け、30分間混練して含水ゲル粒子(2)を得た。含水率(120±5℃×30分)は75%であった。
<製造例4>
アクリル酸145.4部を9.4部の水で希釈し、30〜20℃に冷却しつつ25%の水酸化ナトリウム水溶液242.3部を加えて中和した。この溶液に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.09部、次亜リン酸ソーダ1水和物0.0146部及び過硫酸カリウム0.0727部を添加・溶解し、25℃でバイオミキサー(日本精機株式会社製 ABM−2型)にて2分間撹拌してモノマー水溶液(1)を得た。
次いで、撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これに、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社、商品名:プライサーフA210G)1.56部を添加・溶解した後、撹拌しつつ窒素置換し、70℃まで昇温した。そして、70℃に保ったまま、モノマー水溶液(1)を6.6部/分で6分間滴下して75℃で15分間保持した後、残りのモノマー水溶液(1)を6.6部/分で54分間に亘って滴下した。その後、75℃で30分間熟成させて含水ゲル粒子(3)を得た。含水率(120±5℃×30分)は55%であった。
<製造例5>
製造例4の含水ゲル粒子(3)から水とシクロヘキサンとの共沸によって水を除去し、樹脂の含水率(120±5℃×30分)を約5%とした。30℃に冷却し撹拌を停止すると、樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより、樹脂粒子とシクロヘキサン層とを分離した後、濾別して、80℃で減圧乾燥し、目開き850及び150μmのふるいを用いて850〜150μmの粒度に調整することにより、架橋重合体粒子を得た。
<実施例1>
製造例1で得られた含水ゲル粒子(1)300部にエチレングリコールジグリシジルエーテル1.8部を添加し、手でよく混合した後、さらにミンチ機にて混練し含水ゲル粒子を得た。その後、製造例2において、含水ゲル粒子(1)の代わりにここで得た含水ゲル粒子を使用する以外は製造例2と同様の操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。吸収性樹脂粒子(1)の重量平均粒子径は400μmであった。
<実施例2>
「エチレングリコールジグリシジルエーテル1.8部」を「エチレングリコールジグリシジルエーテル3.6部」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。吸収性樹脂粒子(2)の重量平均粒子径は400μmであった。
<実施例3>
製造例3で得られた含水ゲル粒子(2)400部にエチレングリコールジグリシジルエーテル2部を添加して、さらに15分間万能混合機で撹拌し含水ゲル粒子を得た。その後、製造例2において、含水ゲル粒子(1)の代わりにここで得た含水ゲル粒子を使用する以外は製造例2と同様の操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。吸収性樹脂粒子(3)の重量平均粒子径は400μmであった。
<実施例4>
「エチレングリコールジグリシジルエーテル2部」を「グリセリントリグリシジルエーテル3部」に変更したこと以外、実施例3と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。吸収性樹脂粒子(4)の重量平均粒子径は400μmであった。
<実施例5>
製造例4で得られた含水ゲル粒子(3)400部にエチレングリコールジグリシジルエーテル5部を添加し、撹拌を続けながら75℃で30分間保持して含水ゲル粒子を得た。その後、製造例5において、含水ゲル粒子(3)の代わりにここで得た含水ゲル粒子を使用する以外は製造例5と同様の操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。吸収性樹脂粒子(5)の重量平均粒子径は350μmであった。
<実施例6>
製造例4で作成したモノマー水溶液(1)を4等分し、エチレングリコールジグリシジルエーテルをそれぞれ0部、0.5部、1.5部、3部を追加添加し、25℃でバイオミキサー(日本精機株式会社製 ABM−2型)にて2分間撹拌してモノマー水溶液(2)〜(5)を得た。
次いで、撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これに、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社、商品名:プライサーフA210G)1.56部を添加・溶解した後、撹拌しつつ窒素置換し、70℃まで昇温した。そして、70℃に保ったまま、モノマー水溶液(2)を6.6部/分で6分間滴下して75℃で15分間保持した後、残りのモノマー水溶液(2)を6.6部/分で滴下した。モノマー水溶液(2)を滴下し終わると直ちにモノマー水溶液(3)を6.6部/分で滴下した。その後、同様にモノマー水溶液(4)、(5)を順次滴下していった。その後、75℃で30分間熟成させて含水ゲル粒子(4)を得た。含水率(120±5℃×30分)は55%であった。
その後、製造例5において、含水ゲル粒子(3)の代わりに含水ゲル粒子(4)を使用する以外は製造例5と同様の操作を行い、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。吸収性樹脂粒子(6)の重量平均粒子径は350μmであった。
<比較例1>
製造例2で得た吸収性樹脂粒子を、比較用の吸収性樹脂粒子(H1)とした。吸収性樹脂粒子(H1)の重量平均粒子径は400μmであった。
<比較例2>
比較例1で得られた吸収性樹脂粒子(H1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの50%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)4部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、140℃で30分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H2)を得た。吸収性樹脂粒子(H2)の重量平均粒子径は400μmであった。
<比較例3>
製造例1で得られた含水ゲル粒子(1)300部に水300部を添加し、手でよく混合した後、ミンチ機にて2回混練して含水ゲル粒子(5)を得た。含水率(120±5℃×30分)は85%となった。さらにエチレングリコールジグリシジルエーテル1.8部を添加し、手でよく混合した後、再度ミンチ機にて混練し含水ゲル粒子を得た。その後、製造例2において、含水ゲル粒子(1)の代わりにここで得た含水ゲル粒子を使用する以外は製造例2と同様の操作を行い、比較用の吸収性樹脂粒子(H3)を得た。吸収性樹脂粒子(H3)の重量平均粒子径は400μmであった。
<比較例4>
ガラス製反応容器に、アクリル酸ナトリウム77部、アクリル酸22.85部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.15部、脱イオン水229.54部、エチレングリコールジグリシジルエーテル2部及びジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.001部を仕込み、攪拌、混合しながら内容物の温度を3℃に保った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とし、過酸化水素の1%水溶液0.3部、アスコルビン酸の0.2%水溶液0.8部及び2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライドの2%水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が85℃に達した後、重合温度85±2℃で約5時間重合することにより、架橋重合体からなる含水ゲル(1)を得た。含水率(120±5℃×30分)は70%であった。含水ゲル(1)300部をミンチ機(目皿の穴径:6mm、飯塚工業株式会社製 12VR−400K)にて25℃で破解砕して含水ゲル粒子(6)を得た。その後、製造例2において、含水ゲル粒子(1)の代わりに含水ゲル粒子(6)を使用する以外は製造例2と同様の操作を行い比較用の吸収性樹脂粒子(H4)を得た。吸収性樹脂粒子(H4)の重量平均粒子径は380μmであった。
実施例及び比較例で得た吸収性樹脂粒子について、150G保水量、40g/cm加圧下吸収量、ゲル通液速度を測定し、表1に示した。
Figure 0005629529
<実施例7>
フラッフパルプ100部と、実施例1で得た本発明の吸収性樹脂粒子(1)200部とを気流型混合装置で混合した混合物を、坪量約300g/mとなるように均一に積層し、5Kg/cmの圧力で30秒間プレスして、吸収体(1)を得た。吸収体(1)を14cm×36cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m、王子製紙株式会社、ネピアティッシュふんわりスリム)を配置し、さらにポリエチレンシート(有限会社カンノ商会、ポリシート、厚み0.03mm)を裏面に、ポリエチレン製不織布(坪量20.0g/m、デュポン株式会社、タイベック)を表面に配置することにより紙おむつ(1)を作成した。
<実施例8〜12>
吸収性樹脂粒子(1)を、吸収性樹脂粒子(2)〜(6)にそれぞれ変更したこと以外、実施例7と同様にして、さらに紙おむつ(2)〜(6)を作成した。
<比較例5〜8>
吸収性樹脂粒子(1)を、吸収性樹脂粒子(H1)〜(H4)にそれぞれ変更したこと以外、実施例7と同様にして、比較用の紙おむつ(H1)〜(H4)を作成した。
作成した紙おむつのSDMEによる表面ドライネス値を測定し、表2に示した。
<SDMEによる表面ドライネス値>
SDMEによる表面ドライネス値は、SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)を用いて次の手順で測定される。
SDME試験器の検出器を十分に湿らした紙おむつ(紙おむつを覆う程度の人工尿(塩化カルシウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及びイオン交換水99.09重量%)中に浸し、60分放置した)の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ(紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥した)の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行う。
次に、測定する紙おむつの中央にアクリル樹脂製リング(内径70mm、外径80mm長さ50mm、重量50g)をセットし、人工尿80mlを注入する。注入2分後にアクリル樹脂製リングを取り去り、紙おむつの中央にSDME検出器を紙おむつに接触してセットし、さらにSDME検出器の上に5Kgの錘を乗せて測定を開始する。測定開始後、3分後の値をSDMEによる表面ドライネス値とする。
Figure 0005629529
実施例1と比較例1との比較から、含水ゲル粒子に架橋をしたことで吸収性樹脂粒子の架橋密度が上がり、150G保水量より40g/cm2加圧下吸収量が大きくなっている。比較例2及び3から、同量の架橋剤を添加しても適切な架橋密度とならなければ、本発明の要件を満たさないことが分かる。
これらの吸収性樹脂粒子を用いた紙おむつの結果から、本発明の要件を満たす吸収性樹脂粒子を用いれば、高い表面ドライネス値となることが分かる。これらの結果は、紙おむつに注入された人工尿が吸収性樹脂粒子の高いゲル通液性の為に紙おむつ全体に広がり、また、圧力が加わっても人工尿は吸収性樹脂粒子に吸収されている為であると考えられる。すなわち、圧力下でも無加圧下でも、本発明の吸収性樹脂粒子を用いた吸収性物品は表面のドライ感が良好になり、カブレなどの問題を少なくすることが出来る。
本発明の吸収性樹脂粒子は、各種の吸収体に適用することにより、表面ドライ感に優れた吸収性物品にすることができる。特に、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等の衛生用品に適しており、さらには紙おむつに最適である。なお、本発明の吸収性樹脂粒子は衛生用品のみならず、ペット尿吸収剤、携帯トイレの尿ゲル化剤、青果物等の鮮度保持剤、肉類及び魚介類のドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物や土壌等の保水剤、結露防止剤、止水材やパッキング材並びに人工雪等、種々の用途にも有用である。
1 生理食塩水
2 含水ゲル粒子
3 円筒
4 底部から60mlの位置の目盛り線
5 底部から40mlの位置の目盛り線
6 金網
7 コック
8 円形金網
9 加圧軸
10 おもり

Claims (3)

  1. 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、150G保水量が6〜20g/gであり、40g/cm 加圧下吸収量が150G保水量以上であり、40g/cm加圧下吸収量と150G保水量の差が、1〜10g/gであって、ゲル通液速度が200ml/min以上である吸収性樹脂粒子。
  2. 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と水とを含み、含水率が40〜80重量%の含水ゲルを、さらに架橋剤(b2)で架橋させて得られる架橋重合体(A’)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、150G保水量が6〜20g/gであり、40g/cm 加圧下吸収量が150G保水量以上であり、40g/cm加圧下吸収量と150G保水量の差が、1〜10g/gであって、ゲル通液速度が200ml/min以上である吸収性樹脂粒子。
  3. 請求項1又は2に記載の吸収性樹脂粒子を含んでなる吸収性物品。
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