JP5628473B2 - アレルギーワクチンの粘膜投与によるアレルギーの予防治療方法 - Google Patents

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Description

(技術分野)
本発明は、対象の粘膜表面にアレルギーワクチンを投与することを含んでなる、対象におけるアレルゲンに対するアレルギーの予防治療方法に関する。
(発明の背景)
アレルギーは、西洋風ライフスタイルに順応している国々における主要な健康問題である。更に、アレルギー疾患の罹患率はこれらの国々で増加している。アレルギー一般は生死にかかわる疾患と考えられないかもしれないが、喘息は毎年相当多くの死亡を引き起こしている。十代における約30%の異常な罹患率は、クオリティーオブライフ、就労日やお金の実質的な喪失をもたらし、西洋世界における主要な健康問題のうちの一分類とする十分な根拠となっている。
アレルギーは複雑な疾患である。多くの要因が感作事象に寄与している。これらのうちの1つが、幾つかの遺伝子間の未だ十分に理解されていない相互関係により規定される個体の感受性である。別の重要な要因は、或る閾値を上回るアレルゲン曝露である。汚染、小児期感染、寄生生物感染、腸内微生物などを含む幾つかの環境要因が、感作プロセスで重要であり得る。一旦、個体が感作されてアレルギー性免疫応答が樹立されると、ほんの僅かな量のアレルゲンの存在が効率的に症状に翻訳される。
アレルギー疾患の自然経過には、通常、2つのレベルの悪化が伴う。1つは、症状及び疾患重篤度の進行並びに疾患の進行(例えば枯草熱から喘息へ)である。2つめは、ほとんどの場合、加害アレルゲンの内転移が起こり、結果としてアレルギー性多反応性を生じることである。慢性的な炎症は、粘膜防御機構の全体的弱化を導き、結果として非特異刺激を生じ、最終的には粘膜組織の破壊を生じる。乳児は、主に食物(すなわち乳)に感作され、湿疹又は胃腸障害を生じ得る;しかし、ほとんどの場合、乳児は大きくなると自然にこれらの症状がなくなる。このような乳児は、以後の人生で吸入アレルギーを発症する危険にある。
最も重要なアレルゲン供給源は、我々が呼吸する空気中で最も優勢な或るサイズの粒子の中に見出されている。これら供給源は驚くほど一般的であり、イネ科草本花粉(grass pollen)及びチリダニ糞粒子(これらは併せて全てのアレルギーの約50%の原因となっている)を含む。世界的には、動物鱗屑(すなわち、ネコ及びイヌの鱗屑)、他の花粉(例えば、ヨモギ花粉(mugwort pollen))及び微小真菌類(micro-fungi)(例えばアルテルナリア属)もまた重要である。地域的には、更に他の花粉が優勢であり得る。例えば、北米及び中央ヨーロッパのカンバ花粉(Birch pollen)、米国東部及び中央部のブタクサ花粉(ragweed pollen)、日本のスギ花粉(Japanese cedar pollen)である。昆虫(すなわちミツバチ毒及びスズメバチ毒)及び食物はそれぞれが、全てのアレルギーの約2%の原因となっている。
アレルギー(すなわちI型過敏)は、外来の非病原性物質に対する不適切な免疫学的反応により生じる。アレルギーの重要な臨床症状発現としては、喘息、枯草熱、湿疹及び胃腸障害が挙げられる。アレルギー反応は、加害アレルゲンとの接触に際して速やかであり、20分以内にピークに達する。更に、アレルギー反応は、特定の個体が特定のアレルゲンに感作される一方で、その個体はアレルギー疾患を引き起こすことが知られている他の物質に対してはアレルギー反応を必ずしも示さないという意味で特異的である。アレルギー表現型は、標的器官たる粘膜の顕著な炎症、並びに循環中及びマスト細胞表面及び好塩基球表面でのIgEクラスのアレルゲン特異的抗体の存在により特徴付けられる。
アレルギー性攻撃は、外来アレルゲンとアレルゲン特異的IgE抗体との反応により、該抗体がマスト細胞及び好塩基球の表面の高親和性IgE特異的レセプターに結合したときに開始する。マスト細胞及び好塩基球は、2又はそれ以上のレセプター結合IgE抗体の架橋に際して遊離される、予め形成されたメディエータ(すなわち、ヒスタミン、トリプターゼ及び他の物質)を含有する。IgE抗体は1つのアレルゲン分子の同時結合によって架橋される。したがって、1つの抗体結合性エピトープのみ有する外来物質はアレルギー反応を開始しないことが分かる。マスト細胞表面でのレセプター結合IgEの架橋はまた、アレルギー性応答部位への好酸球、アレルゲン特異的T細胞及び他のタイプの細胞の誘引を担う信号伝達分子(signaling molecule)の遊離を導く。これら細胞が、アレルゲン、IgE及びエフェクター細胞と相互関係して、アレルゲン遭遇の12〜24時間後に起こる症状の急速再発(renewed flash of symptoms)(後期反応)を導く。
アレルギー疾患管理には、診断及び予防治療を含む治療が含まれる。アレルギーの診断は、アレルゲン特異的IgEの実証及びアレルゲン供給源の同定による。多くの場合、注意深い回想がアレルギーの診断及び加害アレルゲン供給源材料の同定に十分であり得る。しかし、ほとんどの場合、診断は客観的な尺度(例えば、皮刺検査、血液検査又は誘発試験)により補助される。
治療選択肢は3つの主要なカテゴリーに分類される。第1の選択肢はアレルゲン回避又はアレルゲン曝露の減少である。アレルゲン回避は例えば食物アレルゲンの場合には一目瞭然であるが、チリダニアレルゲン(house dust mite allergen)に関しては困難か又は費用が高価であるかもしれないし、或いは花粉アレルゲンに関しては不可能かもしれない。第2の、最も広く使用されている治療選択肢は、抗ヒスタミン及びステロイドのような古典的な対症薬(symptomatic drug)の処方である。対症薬は安全で効率的である;しかし、これらは、疾患の自然経過を変更しないし、疾患の内転移を抑制もしない。第3の治療代替案は、ほとんどの場合で問題のアレルゲンにより引き起こされるアレルギー性症状を減少させるか又は緩和する特異的アレルギー予防接種である。
従来の特異的アレルギー予防接種はアレルギー疾患の原因療法である。これは基本の免疫学的機構に干渉し、結果として患者の免疫状態の持続的な改善を生じる。したがって、特異的アレルギー予防接種の保護効果は、対症薬治療とは対照的に、治療期間を超えて延びる。この治療を受けている患者には治癒した人もおり、加えてほとんどの患者は疾患重篤度及び経験する症状の緩和又は少なくとも疾患悪化の停止を経験する。よって、特異的アレルギー予防接種は、枯草熱が喘息に進展する危険を減少させ、新たな感受性を発症する危険を減少させる予防効果を有する。
アレルギー予防接種の成功の基礎をなす免疫学的機構は詳細には分かっていない。特異的免疫応答(例えば、特定の病原体に対する抗体の産生)は、適応免疫応答として知られている。この応答は、病原体に対する非特異的反応である生得の免疫応答と識別することができる。アレルギーワクチンは、抗原特異性を有する細胞及び分子(例えばT細胞及び抗体産生B細胞)が関与する適応免疫応答を取り扱わざるを得ない。B細胞は、対応する特異性のT細胞からの援助なくして、抗体産生細胞に成熟することができない。アレルギー性免疫応答の刺激に関与するT細胞は、主にTh2タイプである。Th1細胞とTh2細胞との間の新たな均衡の確立が特異的アレルギー予防接種の免疫学的機構に有益であり、該機構の骨格であると提案されている。これが、Th2細胞の減少、Th2細胞からTh1細胞へのシフト、又はTh1細胞のアップレギュレーションにより引き起こされるかは議論がある。最近、調節性T細胞は、アレルギー予防接種の機構に重要であると提案されている。このモデルによれば、調節性T細胞(すなわち、Th3細胞又はTr1細胞)は、対応する抗原特異性のTh1細胞及びTh2細胞を両方ともダウンレギュレートする。これら多義性にかかわらず、一般には、能動ワクチンはアレルゲン特異的T細胞、好ましくはTH1細胞を刺激する能力を有しなければならないと考えられている。
特異的アレルギー予防接種は、その長所にもかかわらず、主として2つの理由から、広範には使用されていない。1つの理由は、繰り返される予防接種、とりわけ数ヶ月にわたる注射を含んでなる伝統的な予防接種プログラムと関連する不便性である。他方の理由は、より重要であるが、アレルギー性副反応の危険である。感染性物質に対する通常の予防接種は、単回又は数回の高用量免疫処置を使用して効率的に行われる。しかし、このストラテジーはアレルギー予防接種に使用することができない。なぜなら、病理学的な免疫応答は既に進行中であるからである。
したがって、従来の特異的アレルギー予防接種は、延長された期間にわたって適用される多数回の皮下免疫処置を使用して行われる。このコースは、用量増大期と維持期の2つの期に分けられる。用量増大期では、微小用量から始めて、代表的には16週間にわたって漸増用量が適用される。推奨される維持用量に達したら、この用量が維持期の間、代表的には6週間ごとに注射で適用される。各注射の後、患者は、アナフィラキシー性副反応の危険(基本的には極めて稀ではあるが生死にかかわることがあり得る)のため、30分間は看護下におかれなければならない。加えて、診療所は緊急処置に対応する備えをしなければならない。異なる投与経路に基づくワクチンは、現行の皮下ベースのワクチンに特有のアレルギー性副反応の危険を解消し又は減少させ、より広範な使用を容易にし、おそらく家庭での自己予防接種(self vaccination)でさえ可能にすることは疑いない。
特異的アレルギー予防接種用のワクチンを改善する試みは、30年以上の間行われてきた。その試みには雑多なアプローチが含まれる。幾つかのアプローチは、IgE反応性の改変を通じたアレルゲン自体に向けられている。
Fantaら(Int. Arch. Allergy Immunol, 1999, 120: 218-224)は、イネ科草本花粉季節の間に臨床症状(鼻炎及び/又は季節性気管支喘息)を有すること、イネ科草本花粉抽出物に対する陽性の皮刺試験結果を有すること、及びRAST-CAPにより決定されるイネ科草本花粉に対する特異的IgEを有するという基準により選択したイネ科草本花粉アレルギー患者群において、SLITにより誘導される免疫学的変化の研究に関する。SLITは、アレルゲン抽出物ドロップの舌下投与により行われた。
Holtら(「Suppression of IgE responses following inhalation of antigen」, Immunology Today, vol. 8, No. 1, 1987)は、吸入されたか又は口鼻に滴下されたアレルゲンの曝露に対する応答として、寛容が、食事性抗原により胃腸管で誘導される寛容に対応して、上気道で誘導される事実に言及している。
Holtら(「Sublingual allergen administration. I. Selective suppression of IgE production in rats by high allergen doses」, Clinical Allergy, 1988, Volume 18, pages 229-234)は、無処置(naive)のラットへのアレルゲン(オボアルブミン)の連続7日間の舌下投与に関し、ラットは最後の舌下投薬の5日後にオボアルブミンによる非経口攻撃される。結果は、オボアルブミンに特異的なIgEの選択的抑制を示した。この治療の機構にアレルゲン特異的サプレッサー細胞の刺激が関与すると仮説が立てられる。提案された治療には無処置動物が含まれており、該治療は舌下脱感作プロセスとは区別されるべきであることが更に言及されている。
WO 95/17208は、予め感作されていない対象に、アレルゲン特異的Tヘルパー-2様リンパ球の活性を阻害することができるアレルゲン特異的Tヘルパー-1様記憶リンパ球の安定集団の樹立を誘導するに有効な用量のアレルゲンを投与することを含んでなるアレルギー疾患の予防法を開示している。治療すべき対象は、好ましくは3ヶ月〜7年の間である。アレルゲンとして、例えばチリダニ、イネ科草本花粉、及び木本花粉(tree pollen)が言及されている。アレルゲンの投与は、経口経路、鼻内経路、口鼻経路、直腸経路、皮内経路、筋内経路又は皮下経路により行われてよい。
ホームページ(www.immunetolerance.org (2004年10月11日))は、例えば、吸入剤に対する感作のない子供の予防治療の計画された臨床研究を開示している。そこでは、いずれかのアレルゲン(チリダニ、オオアワガエリ(timothy grass)、及びネコ)を含有する舌下ドロップが子供に投与され、アレルギーの進展について子供を3年間追跡している。その研究に動員された子供は、アトピー性皮膚炎又は食物アレルギーの病歴を有し、彼らの生物学的な母親若しくは父親又は同親の兄弟姉妹の1人はアトピーの病歴を有する。
本発明の目的は、個体、特に子供の改善された予防治療方法を提供することである。
(発明の要旨)
上記目的は、対象におけるアレルゲンに対するアレルギーの予防治療方法に関する本発明により達成することができる。この予防治療方法は、対象の粘膜表面に活性物質として該アレルゲンを含有するアレルギーワクチンを投与することを含んでなり、ここで
a)治療すべき対象が該アレルゲンに特異的なIgE応答を示すように感作されており、
b)治療すべき対象に該アレルゲンと関連する該アレルギーの臨床症状がなく、
c)前記予防治療は該アレルゲンと関連する該アレルギーのその後の臨床症状を予防するか又は減少させることを目的とする。
本発明は、免疫系がアレルゲンに曝されたが、免疫応答は未だ臨床症状(例えば、鼻炎、結膜炎、鼻漏、鼻閉塞、洞炎(sinusitis)、くしゃみ、アトピー性皮膚炎、痒み、なみだ目、水鼻(watery nose)、喘鳴及び皮膚刺激)を含む状態に進行していない個体において、アレルゲンに対するアレルギーの症状が進展することを予防することが可能であるという新規な知見に基づく。今まで、アレルギーの効果的な予防治療を達成するためには、治療すべき個体は、未感作でなければならないと考えられてきた。また、今まで、アレルギーの予防に関与する機構は、食事性抗原により胃腸管で誘導される寛容に対応する経口寛容の誘導であると考えられてきた。しかし、本発明によれば、驚くべきことに、既に感作されているが、未だ臨床症状を示していない個体を治療することにより予防効果を達成することが可能であることが示された。獲得される予防効果は、特異的アレルギー予防接種(免疫療法)で生じる脱感作機構に部分的又は全体的に類似する機構により効果を奏すると考えられる。
更に、この予防治療は、感作後できるだけ直ぐ、免疫系応答がアレルギー性Th2細胞応答に更にシフトし始める前に実施されると最も効果的であると考えられる。換言すると、一般に、子供が一旦アレルゲンに曝されたら、できるだけ若いうちに治療することが有利である。また、この早期予防治療の有効性に起因して、進展した臨床症状を有する成人の特異的アレルギー予防接種と比較して、より少量の用量、より少数の投与及び/又はより短い治療期間で治療がもたらされ得る。この予防治療のプロトコルは柔和(mildness)であるので、全ての子供又は選択された子供の大集団の包括的予防接種プログラムにおける使用に適切である。
本発明の方法の更なる利点は、感作した人がアレルギーを発症する可能性が最も高い人であるので、感作した人々が予防治療に供するに最適な集団を構成することである。
本発明は、更に、対象におけるアレルギーの予防治療用粘膜ワクチンの製造のためのアレルゲンの使用に関する。この予防治療では、
a)治療すべき対象は該アレルゲンに特異的なIgE応答を示すように感作されており、
b)治療すべき対象に該アレルゲンと関連する該アレルギーの臨床症状がなく、
c)この予防治療は該アレルゲンと関連する該アレルギーのその後の臨床症状を予防するか又は減少させることを目的とする。
(図面の簡単な説明)
図1Aは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃(challenge)した感作マウスにおける臨床データ(くしゃみの回数)を示す。
図1Bは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおける血清IgEレベルを示す。
図1Cは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL IgEレベルを示す。
図1Dは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL IgEレベルを示す。
図1Eは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL好酸球レベルを示す。
図2Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける臨床データ(くしゃみの回数)を示す。
図2Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるメタコリン攻撃に対する気道過反応性(Penh値により測定)を示す。
図3Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける血清IgEレベルを示す。
図3Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける血清IgG1レベルを示す。
図4Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL IgEレベルを示す。
図4Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL IgEレベルを示す。
図4Cは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL IgAレベルを示す。
図4Dは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL IgAレベルを示す。
図5Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL中の好酸球ペルオキシダーゼレベルを示す。
図5Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL中の好酸球ペルオキシダーゼレベルを示す。
図6Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける脾臓中のT細胞増殖を示す。
図6Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるリンパ節(LN)細胞中のT細胞増殖を示す。
(発明の詳細な説明)
アレルゲン
本発明による製剤のアレルゲンは、個体への繰返し曝露に際してアレルギー性反応(すなわちIgE媒介性応答)を誘導すると報告されている任意の天然に存在するタンパク質であり得る。天然に存在するアレルゲンの例には、花粉アレルゲン(木本花粉アレルゲン、ハーブ花粉アレルゲン(herb pollen allergen)、雑草花粉アレルゲン(weed pollen allergen)、イネ科草本花粉アレルゲン)、昆虫アレルゲン(吸入物アレルゲン、唾液アレルゲン、及び毒物アレルゲン、例えば、ダニアレルゲン、ゴキブリアレルゲン及びユスリカ類アレルゲン(midges allergen)、膜翅類毒物アレルゲン(hymenopthera venom allergen))、動物の体毛アレルゲン及びフケアレルゲン(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウスなどに由来)、及び食物アレルゲンが挙げられる。
木本、イネ科草本及びハーブに由来する重要な花粉アレルゲンは、分類学上の、ブナ目(Fagales)、モクセイ目(Oleales)、マツ目(Pinales)及びスズカケノキ科(platanaceae)(とりわけ、カンバ(Birch)(カバノキ属(Betula))、ハンノキ(alder)(ハンノキ属(Alnus))、セイヨウハシバミ(hazel)(ハシバミ属(Corylus))、セイヨウシデ(hornbeam)(クマシデ属(Carpinus))及びオリーブ(olive)(オリーブ属(Olea))、シーダー(cedar)(スギ属(Cryptomeria)及びビャクシン属(Juniperus))、プラタナス(Plane tree)(プラタナス属(Platanus))が挙げられる)、イネ目(Poales)(とりわけ、ドクムギ属(Lolium)、アワガエリ属(Phleum)、イチゴツナギ属(Poa)、ギョウギシバ属(Cynodon)、カモガヤ属(Dactylis)、シラゲガヤ属(Holcus)、クサヨシ属(Phalaris)、ライムギ属(Secale)及びモロコシ属(Sorghum)のイネ科草本が挙げられる)、キク目(Asterales)及びイラクサ目(Urticales)(とりわけ、ブタクサ属(Ambrosia)、ヨモギ属(Artemisia)及びヒカゲミズ属(Parietaria)のハーブが挙げられる)に由来するものである。
他の重要な吸入アレルゲンは、ヒョウヒ属(Dermatophagoides)及びユーログリファス属(Euroglyphus)のチリダニ、貯蔵庫ダニ(storage mite)(例えば、レピドグリフィス属(Lepidoglyphys)、ニクダニ属(Glycyphagus)及びケナガコナダニ属(Tyrophagus))に由来するもの、ゴキブリ、ユスリカ及びノミ(glea)(例えば、チャバネゴキブリ属(Blatella)、ペリプラネタ属(Periplaneta)、キロノムス属(Chironomus)及びクテノケファリデス属(Ctenocephalides))に由来するもの、及び哺乳動物(例えば、ネコ、イヌ及びウマ)に由来するもの、毒物アレルゲン(刺すか又は噛み付く昆虫(分類学上のハチ目(Hymenoptera)(ミツバチ(ミツバチ上科(superfamily Apidae))、スズメバチ(スズメバチ上科(superfamily Vespidea))及びアリ(アリ上科(superfamily Formicoidae))を含む)に由来するもの)である。真菌に由来する重要な吸入アレルゲンは、とりわけ、アルテルナリア属(Alternaria)及びクラドスポリウム属(Cladosporium)に由来するものである。
本発明の特定の実施形態では、アレルゲンは、Bet v 1、Aln g 1、Cor a 1及びCar b 1、Que a 1、Cry j 1、Cry j 2 、Cup a 1、Cup s 1、Jun a 1、Jun a 2、jun a 3、Ole e 1 、Lig v 1、Pla l 1、Pla a 2、Amb a 1、Amb a 2、Amb t 5、Art v 1、Art v 2、Par j 1 、Par j 2、Par j 3、Sal k 1、Ave e 1、Cyn d 1、Cyn d 7、Dac g 1、Fes p 1、Hol l 1、Lol p 1及び5、Pha a 1、Pas n 1、Phl p 1、Phl p 5、Phl p 6、Poa p 1、Poa p 5、Sec c 1、Sec c 5、Sor h 1、Der f 1、Der f 2、Der p 1、Der p 2、Der p 7、Der m 1、Eur m 2、Gly d 1、Lep d 2、Blo t 1、Tyr p 2、Bla g 1、Bla g 2、Per a 1、Fel d 1、Can f 1、Can f 2、Bos d 2、Equ c 1、Equ c 2、Equ c 3、Mus m 1、Rat n 1、Apis m 1、Api m 2、Ves v 1、Ves v 2、Ves v 5、Dol m 1、Dil m 2、Dol m 5、Pol a 1、Pol a 2、Pol a 5、Sol i 1、Sol i 2、Sol i 3及びSol i 4、Alt a 1、Cla h 1、Asp f 1、Bos d 4、Mal d 1、Gly m 1、Gly m 2、Gly m 3、Ara h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、又はこれらのいずれかの分子育種(Molecular Breeding)によるシャッフルハイブリッド(shufflant hybrid)である。
本発明の好ましい実施形態では、アレルゲンは、木本花粉アレルゲン、イネ科草本花粉アレルゲン、チリダニアレルゲン、ハーブアレルゲン及び動物アレルゲンからなる群より選択される。好ましくは、アレルゲンは、イネ科草本花粉アレルゲン、チリダニアレルゲン、ブタクサアレルゲン、シーダー花粉、ネコアレルゲン及びカンバアレルゲンからなる群より選択される。
本発明のなお別の実施形態では、製剤は、少なくとも2つの異なるタイプのアレルゲン(同じアレルゲン供給源に由来するか又は異なるアレルゲン供給源に由来するもの)、例えば、異なるダニ種又はイネ科草本種にそれぞれ由来するイネ科草本グループ1アレルゲン及びイネ科草本グループ5アレルゲン又はダニグループ1アレルゲン及びダニグループ2アレルゲン、ブタクサ(short ragweed)アレルゲン及びオオブタクサ(giant ragweed)アレルゲンのような雑草抗原、アルテルナリア属菌及びクラドスポリウム属菌のような異なる真菌アレルゲン、カンバアレルゲン、セイヨウハシバミアレルゲン、セイヨウシデアレルゲン、オーク(oak)アレルゲン及びハンノキアレルゲンのような木本アレルゲン、落花生アレルゲン、大豆アレルゲン及び乳アレルゲンのような食物アレルゲンを含んでなる。
製剤に組み込まれるアレルゲンは、抽出物、精製アレルゲン、改変アレルゲン、組換えアレルゲン又は組換えアレルゲンの変異体の形態であり得る。アレルゲン抽出物は、天然に、同じアレルゲンの1又はそれ以上のアイソフォームを含有し得る一方、組換えアレルゲンは、代表的には、アレルゲンの唯1つのアイソフォームを表す。好ましい実施形態では、アレルゲンは抽出物の形態である。別の好ましい実施形態では、アレルゲンは組換えアレルゲンである。更に好ましい実施形態では、アレルゲンは、天然に存在する低IgE結合性変異体又は組換えの低IgE結合性変異体である。
アレルゲンは等モル量で存在してもよいし、又は存在するアレルゲンの比は、好ましくは1:20まで、変化してもよい。
本発明の更なる実施形態では、低IgE結合性アレルゲンは、WO 99/47680、WO 02/40676又はWO 03/096869 A2によるアレルゲンである。
予防治療
特異的アレルギー予防接種(SAV)(以前は特異的免疫療法又は減感作として知られている)は、今世紀の初頭から、I型IgE媒介アレルギー疾患の治療に使用されてきた。
SAVにより得られる一般的な利点は、a)アレルギー性症状及び医薬消費の低減、b)眼、鼻及び肺におけるアレルゲンに対する改善された寛容、及びc)減少した皮膚反応性(初期反応及び後期反応)である。
SAVにより得られる改善の背後にある基本機構は未知であるが、この数十年間に実施された膨大なSAV研究から、多くの共通する特徴を抽出することができる:1)総IgEの量が治療期間の間変化しない、2)アレルゲン特異的IgEの量は投薬量を増加させる間は一過性に上昇し、その後下降して初期(治療前)レベルに戻る、3)IgEのエピトープ特異性及び親和性は変化しないままである、4)アレルゲン特異的IgG(特にIgG4)はSAVの間急激に上昇する、5)新たなTh0/1/Reg応答が明確に開始される、及び6)Th2応答は変化しないようである。SAVにより誘導される効果と特異的IgGの発現との間には相関はない。
SAVは、治療期間の間に成熟する新たな免疫応答を誘導する(Th0/1 T細胞が動員され、アレルゲン特異的IgX(Xは、A1、A2、G1、G2、G3、G4、M又はDであり得る)が惹起される)。この新たな抗体応答(IgX)の親和性(又は量/親和性)が成熟するにつれて、IgXは、アレルゲンに関してIgEと効率的に競合し、マスト細胞及び好塩基球の表面でのレセプター結合IgEの架橋により特徴付けられる「正常な」Th2ベースのアレルギー性応答を阻害し得る。それ故、臨床症状は徐々に減少する。
本発明において実施される予防治療は、少なくとも部分的には、SAVに関しての上記と同じ機構により機能すると考えられる。
アレルギーワクチンが投与される粘膜は任意の適切な粘膜であり得る。投与としては、経口投与(消化器系の粘膜を介する)、鼻投与、膣投与、舌下投与、眼投与、直腸投与、尿道(urinal)投与、乳房内投与、肺投与、耳(otolar)投与(すなわち耳を介する)及び頬投与、好ましくは頬投与又は舌下投与(口粘膜投与)が挙げられる。アレルギーワクチンは、スプレー、エアロゾル、混合物、懸濁液、分散液、乳濁液、ゲル、ペースト、シロップ、クリーム、軟膏、インプラント(耳、眼、皮膚、鼻、直腸及び膣)、乳房内調製物、膣坐剤(vagitory)、坐剤又は子宮坐剤(uteritory)の形態であり得る。
抗原性物質に対する自然曝露に供される粘膜を介してワクチンの粘膜投与を行うことが好ましくあり得ると推定されてきた。したがって、風媒性粘膜抗原性物質に対するアレルギーに関しては、呼吸器系を介する投与(好ましくは口粘膜投与)を使用することが好ましい。対応して、消化器系の粘膜と接触する粘膜抗原性物質に対するアレルギーに関しては、経口投与を使用することが好ましい。
本発明の1つの実施形態では、対象は、毎日のワクチン投与を含んでなる予防接種プロトコルに供される。本発明の別の実施形態では、予防接種プロトコルは、1日おき、2日おき又は3日おきのワクチン投与を含んでなる。例えば、予防接種プロトコルは、4週間を超える期間、好ましくは8週間を超える期間、より好ましくは12週間を超える期間、より好ましくは16週間を超える期間、より好ましくは20週間を超える期間、より好ましくは24週間を超える期間、より好ましくは30週間を超える期間、最も好ましくは36週間を超える期間のワクチン投与を含んでなる。
投与期間は連続期間であり得る。或いは、投与期間は、1又はそれ以上の非投与期間が介在する不連続期間である。好ましくは、(総)非投与期間は、(総)投与期間より短い。
本発明の更なる実施形態では、ワクチンは1日1回試験個体に投与される。或いは、ワクチンは1日2回試験個体に投与される。ワクチンは、単用量(uni-dose)ワクチンであり得る。
口粘膜投与
口粘膜投与は、任意の利用可能な口粘膜投与製剤(溶液、懸濁液、迅速分散(fast dispersing)剤形、ドロップ及びロゼンジを含む)を用いて実施し得る。
本発明の好ましい実施形態では、舌下免疫療法(SLIT)が使用される。この場合、迅速分散剤形、ドロップ及びロゼンジが好ましい製剤である。
迅速分散剤形の例は、US-A-5,648,093、WO 00/51568、WO 02/13858、WO99/21579、WO 00/44351、US-A-4,371,516及びEP-278 877、並びにALK-Abello A/Sの譲受人名義で出願した同時係属中のDK PA 2003 00279及びDK PA 2003 00318に開示のものである。好ましい迅速分散剤形は、凍結乾燥により製造されたものである。好ましいマトリクス形成性物質は魚ゼラチン及び加工デンプン(modified starch)である。
古典的な投薬量増加脱感作(ここで、迅速分散固形剤形の形態のアレルゲンの用量が或る最大量まで増やされる)が本発明において使用されてもよい。この剤形の単位用量の好ましい効力は、150〜1000000 SQ-u/剤形であり、より好ましくは効力は500〜500000 SQ-u/剤形であり、より好ましくは効力は1000〜250000 SQ-u/剤形であり、なおより好ましくは1500〜125000 SQ-u/剤形であり、最も好ましくは1500〜75000 SQ-u/剤形である。
本発明の別の実施形態では、剤形は、好ましくは1500〜75000 SQ-u/剤形の範囲内の、繰返しの単用量である。
感作
治療すべき対象は、投与されるアレルゲンに特異的なIgE応答を示すように感作されている。本発明に関しては、表現「アレルゲンに特異的なIgE応答を示す」は、少なくとも1つの免疫アッセイで検出可能なアレルゲン特異的IgE抗体レベルを意味する。アレルゲン特異的IgE抗体の検出は、任意の従来の免疫アッセイ、例えばWO 94/11734及びWO 99/67642に記載のものを用いて行い得る。
本発明の特定の実施形態では、対象は、更に、該アレルゲンに特異的なTh2細胞応答を示すように感作されている。
本発明の特定の実施形態では、対象は、更に、皮刺試験(Skin Prick Test)(SPT)において陽性のアレルゲン特異的応答を示すように感作されている。
本発明の更なる特定の実施形態では、対象は40歳未満、好ましくは30歳未満、より好ましくは20歳未満、最も好ましくは2〜10歳の間である。
臨床症状
治療すべき対象には、該アレルゲンと関連するアレルギーの臨床症状がない。
該アレルゲンと関連するアレルギーの臨床症状は、鼻炎、結膜炎、鼻漏、鼻閉塞、洞炎、くしゃみ、アトピー性皮膚炎、痒み、なみだ目、水鼻、喘鳴及び皮膚刺激を含む任意の従来の症状であり得る。
多くの因子が、後の人生における、顕在する臨床症状を伴うアレルギーの発症についての指標となる。以下では、1又はそれ以上のそのような標示因子を示す対象を、高リスク対象と呼ぶ。高リスク対象の標示因子は、ワクチンのアレルゲン以外の1又はそれ以上のアレルゲンと関連するアレルギーの臨床症状である。高リスク対象の更なる標示因子は、一方若しくは両方の親若しくは祖父母に又は1若しくはそれ以上の同親兄弟姉妹に1又はそれ以上のアレルギーが存在することである。本発明による予防治療は、高リスク対象に特に適切である。しかし、治療すべき対象はまた、高リスク対象の標示因子を示さない(例えば、他のアレルゲンに対するアレルギーの臨床症状がない)対象であってもよい。
アレルギーワクチン製剤
本発明の方法において使用されるアレルギーワクチンは、粘膜表面への投与に適切な任意の製剤の形態であり得る。このような製剤としては、スプレー、エアロゾル、混合物、錠剤(腸溶性及び非腸溶性)、カプセル(硬カプセル剤及び軟カプセル剤、腸溶性及び非腸溶性)、懸濁剤、分散物、顆粒、散剤、溶液、乳濁液、咀嚼剤、ドロップ、ゲル、ペースト、シロップ、クリーム、ロゼンジ(散剤、顆粒、錠剤)、迅速分散錠剤、滴下流体、ガス、蒸気、軟膏、展着剤(stick)、インプラント(耳、眼、皮膚、鼻、直腸及び膣)、乳房内調製物、膣坐剤、坐剤又は子宮坐剤が挙げられる。
本発明のワクチンは、更に、当該タイプの製剤に適切な追加のアジュバント及び他の賦形剤を含み得ることが理解されるべきである。そのような追加のアジュバント及び賦形剤は当業者に周知であり、これらには、とりわけ、溶剤、乳化剤、湿潤剤、可塑剤、着色物質、増量剤、防腐剤、粘度調整剤、緩衝剤、粘膜接着性物質などが挙げられる。製剤ストラテジーの例は当業者に周知である。
アジュバント
粘膜アレルギーワクチンはアジュバントを含み得る。このアジュバントは任意の従来のアジュバントであり得る。従来のアジュバントとしては、酸素含有金属塩、易熱性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素(CT)、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、重合化リポソーム、変異体毒素、例えばLTK63及びLTR72、マイクロカプセル、インターロイキン(例えば、IL-1β、IL-2、IL-7、IL-12、INFγ)、GM-CSF、MDF誘導体、CpGオリゴヌクレオチド、LPS、MPL、ホスファゼン(phosphophazenes)、Adju-Phos(登録商標)、グルカン、抗原製剤、リポソーム、DDE、DHEA、DMPC、DMPG、DOC/ミョウバン複合体、フロイント不完全アジュバント、ISCOMs(登録商標)、LT経口アジュバント、ムラミルジペプチド、モノホスホリルリピドA、ムラミルトリペプチド、及びホスファチジルエタノールアミンが挙げられる。
酸素含有金属塩は、所望の効果を提供する任意の酸素含有金属塩であり得る。好ましい実施形態では、酸素含有金属塩のカチオンは、Al、K、Ca、Mg、Zn、Ba、Na、Li、B、Be、Fe、Si、Co、Cu、Ni、Ag、Au及びCrから選択される。好ましい実施形態では、酸素含有金属塩のアニオンは、スルフェート、ヒドロキシド、ホスフェート、ニトレート、ヨーデート、ブロメート、カルボネート、ハイドレート、アセテート、シトレート、オキサレート及びタルトレート並びにそれらの混合形態から選択される。例は、水酸化アルミニウム、リン酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、リン酸カルシウム、Maalox(水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムとの混合物)、水酸化ベリリウム、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛及び硫酸バリウムである。
水溶液又は迅速分散錠剤(WO 04/047794を参照)の形態のアレルギーワクチンは、頬投与及び舌下投与に特に適切である。
粘膜投与を用いる免疫調節治療法の効果を評価する方法
本発明は、更に、試験動物において、アレルゲンに対するアレルギーについて免疫調節治療法の効果を評価する方法に関する。この方法は、以下の工程を含んでなる:
a)動物をアレルゲンに感作させる工程、
b)動物を鼻暴露又は気管内曝露による第1のアレルゲン攻撃に付する工程、
c)動物を、口粘膜投与を用いる治療法に付する工程、
d)バイオマーカーレベルの測定を実行する工程、及び
e)測定結果を用いて治療法の効果を評価する工程。
Herzら(Methods 32 (2004) 271-280)は、多くの動物モデルを開示する総説論文である。その1つのモデル(3.1章を参照)では、マウスが、rBet v 1のi.p.注射及びBet v 1抽出物でのエアロゾル攻撃による感作に付されている。次いで、感作前又は感作後の免疫優性ペプチドの注射又はrBet v 1の粘膜適用のいずれかにより免疫調節が達成されている。rBet v 1の鼻内適用又は経口適用は、無処置動物及び感作動物において、全てのアイソタイプのアレルゲン特異的抗体レベルの抑制、IL-4、IL-5及びIFN-γの減少、並びに気道炎症及び気道過反応性の阻害を導く。Herzらは、同様にアレルゲンでの種々のタイプの非経口感作、鼻内感作及び経口感作、例えば読出し(read-out)として抗体、サイトカイン、皮膚試験、ヒスタミン遊離、好酸球、気道炎症及びT細胞を用いる攻撃及び治療を含む多くの他のモデル(表2を参照)を開示している。
本発明は、試験動物においてアレルゲンに対するアレルギーについて免疫治療法の効果を評価する方法で、口粘膜投与の使用を試験することが可能であるという認識に基いている。
この動物モデル試験方法の原理は、試験動物がアレルゲンに感作され、すなわちアレルゲンに対するアレルギー性免疫応答を示すように処理され、次いでアレルギー性応答を誘発するようにアレルゲンで攻撃され(このアレルギー性応答は、次いで、測定及び評価されてもよい)、更に治療法に付される(アレルギー性応答に対する治療法の効果を調べてもよい)ことである。
試験動物は、試験動物として従来使用されている任意の動物であり得、これには、げっ歯類(例えばマウス、ラット、モルモット及びウサギ)、ブタ、イヌ、ネコ及びサルが挙げられる。
本発明の特定の実施形態では、口粘膜投与は舌下投与(舌下免疫療法(SLIT))である。本治療法で使用するアレルゲン及び製剤は、アレルギーの予防治療方法に関連して上記したアレルゲン及び製剤の任意のものであり得る。
口粘膜投与の実施において、製剤が所定の期間、口腔内の意図された部位に保持されることを確実にしなければならない。本発明の特定の実施形態では、試験動物は、嚥下することを妨げられていてもよい。嚥下の防止は、例えば、手で動物を拘束することにより達成し得る。例えばげっ歯類に関しては、嚥下は、2本の指で頸の皮膚の襞を掴んで頭部の周りの皮膚を締め付けることによって妨げ得る。更に、嚥下は、麻酔、例えば吸入麻酔(例えばエーテル、ハロタン及びセボフルラン)又は注射麻酔(例えば、フェンタニール、フルアニソン及びミダゾラムの混合物、フェンタニール、フルアニソン及びジアゼパムの混合物、ケタミン及びメデトミジン(medetomidine)の混合物、ケタミン及びキシラジンの混合物、アチパメゾール(atipamezole)、ウレタン、及びトリブロモエタノール)を使用することにより妨げられ得る。
本発明の更に好ましい実施形態では、治療法は、感作の後で第1のアレルゲン攻撃の前に実施される。或いは、治療法は第1のアレルゲン攻撃の後に実施される。後者の場合、任意に追加し得る、鼻曝露又は気管内曝露による第2のアレルゲン攻撃を、治療法の後に行なってもよい。
本発明の更に好ましい実施形態では、バイオマーカーは、アレルゲン特異的抗体、臨床症状及びエフェクター細胞からなる群より選択される。抗体は、任意のクラス、サブクラス又はそれらの組み合わせであり得、これらとしては、IgA、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgMが挙げられる。アレルゲンに特異的な抗体の検出は、任意の従来の免疫アッセイを使用して行い得る。好ましい免疫アッセイは、WO 94/11734及びWO 99/67642に言及されているものである。臨床症状は、動物モデルで従来使用されている任意の症状であり得、これには、くしゃみ、鼻擦りなどの回数が挙げられる。エフェクター細胞は、例えば、好酸球、マスト細胞、好塩基球、B細胞、T細胞、抗原提示細胞(APC)及びこれらに由来する細胞からなる群より選択され得る。本発明の1つの実施形態では、エフェクター細胞のレベルは、エフェクター細胞マーカーのレベルを測定することにより測定される。このマーカーは、好ましくは、分泌分子、表面分子及び細胞内分子からなる群より選択される。好ましくは、分泌分子は、メディエータ、サイトカイン、細胞傷害性タンパク質及び可溶性レセプターからなる群より選択される。
治療法の効果は測定結果に基いて評価される。測定結果は、治療に成功したときの免疫応答におけるバイオマーカーの振る舞いについての一般的な科学知識に基いて評価される。
定義
本発明に関しては、以下の定義を使用する:
用語「口粘膜投与」とは、剤形を舌下又は口腔中の他の任意の場所(頬投与)に配置し、活性成分の局所効果又は全身効果を得るために該活性成分を患者の口腔又は咽頭の粘膜に接触させる投与経路をいう。口粘膜投与経路の例は舌下投与である。
用語「舌下投与」とは、活性成分の局所効果又は全身効果を得るために、剤形を舌下に配置する投与経路をいう。
用語「SQ-u」はSQ単位を意味する:SQ単位は、ALK-Abello A/Sの「SQバイオ効力(biopotency)」標準化法に従って決定する。ここで、100,000 SQ単位は標準的な皮下維持用量に等しい。通常、1mgの抽出物は、それが由来するアレルゲン供給源及び使用する製造プロセスに依存して、100,000〜1,000,000 SQ単位を含有する。正確なアレルゲン量(すなわち、総主要アレルゲン含量及び総アレルゲン活性)は、免疫アッセイにより決定することができる。
表現「免疫調節治療」は、当該治療が治療される対象の免疫応答を調節することを意味する。
(実施例)
実施例1:鼻炎マウスモデルにおけるSLITの効果
根拠:
この鼻炎モデルは、臨床症状発現を伴うマウスモデルにおける舌下免疫療法(SLIT)の効果を試験するために、構築された。
方法:
動物
6〜10週齢の雌性BALB/cマウスを社内で繁殖させ、チモシー(Phleum pratense)(Phl p)に対する抗血清と交差反応する成分を含有しない規定食で維持した。各実験群は8〜10匹の動物からなった。
動物実験
マウスを、ミョウバンに吸着させたPhl p抽出物の3回の腹腔内(ip)注射により感作させ、続いてPhl p抽出物又は緩衝液での舌下治療を6〜9週間行った。その後、マウスを2週間Phl p抽出物で鼻内攻撃し、下記のとおりに臨床症状について分析した。屠殺後、分析のために、血液、気管支肺胞液(BAL)、鼻咽頭液(NAL)、脾臓及び頸部リンパ節を採集した。
臨床データ
くしゃみ及び鼻擦り:Phlの鼻内投与の後、マウスを10分間観察し、くしゃみ及び鼻擦りの回数を計数した。
気道過反応性:全身プレチスモグラフを用いて、漸増濃度のエアロゾル化メタコリンにより気流閉塞を誘導した。メタコリンの投与後6分間に増強された休止(enhanced pause)(penh)による肺気流閉塞を測定した。
IgAアッセイ
ヤギ抗マウスIgAにカップリングしたEstapore磁性ビーズ(Estapore IB-MR/0,86)をBAL又はNALとインキュベートする。次いで、洗浄及びビオチン化アレルゲンとのインキュベーションを行う。次いで、洗浄及びストレプトアビジン標識LITE試薬とのインキュベーションを行い、洗浄後、照度計(Magic Lite Analyser EQ)で光発光を測定する。
IgEアッセイ
抗マウスIgEにカップリングしたEstapore磁性ビーズ(Estapore IB-MR/0,86; A0201)をマウス血清とインキュベートする。次いで、洗浄及びビオチン化アレルゲンとのインキュベーションを行う。次いで、洗浄及びストレプトアビジン標識LITE試薬とのインキュベーションを行い、洗浄後、照度計(Magic Lite Analyser EQ)で光発光を測定する。
IgG、IgG1及びIgG2aアッセイ
Phl p(10μg/ml)抽出物をELISAプレートのウェルに添加し、プレートを4〜8℃にて翌日まで静置する。次いで被覆プレートを緩衝液で洗浄し、2%カゼイン緩衝液で1時間室温にて振盪テーブル上でブロックする。カゼイン緩衝液を除去した後、希釈血清サンプルをプレートに添加し、室温にて2時間振盪テーブル上でインキュベートする。プレートを洗浄し、0.5%BSA緩衝液に希釈したビオチン化ウサギ抗マウスIgG/IgG1/IgG2aを各ウェルに添加し、振盪テーブル上で室温にて1時間放置する。洗浄後、0.5%BSA緩衝液に希釈したストレプトアビジン-HRPを各ウェルに添加し、振盪テーブル上で室温にて1時間放置する。プレートを20分間TMP基質(3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン)で発色させ、0.5M H2SO4で停止させる。得られる反応混合物を450nm終点にて分光光度測定に供する。
T細胞増殖アッセイ
脾臓を細かく裂いて単一細胞懸濁液とし、培地中で3回洗浄した。細胞を計数し、1.67×106細胞/mLに調整した。3×105細胞を96ウェル平底培養プレートの各ウェルに添加し、細胞を0、10及び40μg/mLのPhl p抽出物で刺激した。細胞を37℃及び5%CO2にて6日間培養した。培養期間の最後の18時間0.5μCiの3H-チミジンを各ウェルに加え、続いて細胞を採集し組み込まれた放射標識をカウントすることにより増殖を測定した。
結果
鼻炎の誘導
図1A〜1Eから明らかなように、i.p.感作後Phl p抽出物(5000 SQ/マウス/日)で2週間鼻内(IN)攻撃をしたマウスは、明らかな鼻炎の徴候を示した。第1に、これらマウスは、緩衝液で攻撃した感作マウスより有意に多いくしゃみをした(図1A)。第2に、これらマウスは、血清、BAL及びNALのいずれにおいてもIgEレベルが上昇していた(図1B〜1D)。第3に、これらマウスは、NALにおける好酸性顆粒球の流入が増大していた(図1E)。
鼻炎マウスモデルにおけるSLITの効果
上記の鼻炎マウスモデルにおけるSLITの効果を評価するために、Phl pでの鼻内攻撃の前に、感作マウスを125.000 SQのPhl p抽出物又は緩衝液のいずれかで9週間舌下治療した。加えて、感作マウスの一群を舌下治療に付さずに、緩衝液で鼻内攻撃して、ネガティブコントロールとした。
図2に示されるように、SLIT処置は、くしゃみの回数が緩衝液処置マウスと比較して有意に減少したので、臨床症状を減少させることができた(図2A)。同様に、メタコリン攻撃に対する気道過反応性(Penh値により測定)が、特にマウスを5〜15mg/mLの用量で攻撃したとき、減少した(図2B)。
また、血清中の抗体レベルは、SLIT処置により影響された。図3に示されるように、Phl p特異的IgEの血清レベル(図3A)及びPhl p特異的IgG1の血清レベル(図3B)は、緩衝液処置マウスと比較して、SLIT処置マウスにおいて共に有意に減少した。
特異的IgEレベルはまた、SLIT処置マウスのBAL液及びNAL液の両方で減少した。一方、特異的IgAレベルは、BAL中では減少したがNAL液中では有意には減少しなかった(図4A〜4Cを参照)。
更に、結果は、BAL中及びNAL中の両方での好酸性顆粒球レベルが、緩衝液処置マウスと比較して、SLIT処置マウスにおいて有意に減少したことを示している(図5A〜5Bを参照)。
最後に、Phl p抽出物での再刺激に対する脾臓及び頸部リンパ節(LN)細胞(舌に排出される)のエキスビボ反応性を試験した。脾臓においてはPhl p特異的T細胞応答のダウンレギュレーションの傾向があったが、これは統計学的に有意でなかった(図6A)。対照的に、Phl pに対するT細胞応答は、排出頸部LN(draining cervical LN)では、緩衝液処置マウスと比較してSLIT処置マウスにおいて有意に減少した(図6B)。
結論
結果は、SLIT処置が鼻炎マウスモデルにおいて疾患の臨床的特徴、血清学的特徴及び細胞特徴のいずれも減少させることができることを証明している。
図1Aは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃(challenge)した感作マウスにおける臨床データ(くしゃみの回数)を示す。図1Bは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおける血清IgEレベルを示す。 図1Cは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL IgEレベルを示す。図1Dは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL IgEレベルを示す。 図1Eは、5000 SQ Phl p又は緩衝液のいずれかを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL好酸球レベルを示す。 図2Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける臨床データ(くしゃみの回数)を示す。図2Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるメタコリン攻撃に対する気道過反応性(Penh値により測定)を示す。 図3Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける血清IgEレベルを示す。 図3Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける血清IgG1レベルを示す。 図4Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL IgEレベルを示す。図4Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL IgEレベルを示す。 図4Cは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL IgAレベルを示す。図4Dは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL IgAレベルを示す。 図5Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるBAL中の好酸球ペルオキシダーゼレベルを示す。図5Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるNAL中の好酸球ペルオキシダーゼレベルを示す。 図6Aは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおける脾臓中のT細胞増殖を示す。図6Bは、SLIT又は緩衝液処置のいずれかに付され、Phl pを鼻内に攻撃した感作マウスにおけるリンパ節(LN)細胞中のT細胞増殖を示す。

Claims (9)

  1. 活性物質としてアレルゲンを含んでなり、対象の粘膜表面に投与することによりアレルギーを予防治療するためのアレルギーワクチンであって、
    a)予防治療すべき対象が該アレルゲンに特異的なIgE応答を示すように感作されており、
    b)予防治療すべき対象該アレルゲンと関連するアレルギーの臨床症状を未だ示したことがなく、
    c)予防治療が該アレルゲンと関連するアレルギーのその後の臨床症状を予防するか又は減少させることを目的とする、アレルギーワクチン。
  2. 対象が前記アレルゲンに特異的なTh2細胞応答を示すように感作されている、請求項1
    に記載のアレルギーワクチン。
  3. 対象に鼻炎、結膜炎、鼻漏、鼻閉塞、洞炎、くしゃみ、アトピー性皮膚炎、痒み、なみだ目、水鼻、喘鳴及び皮膚刺激の臨床症状がない、請求項1又は2に記載のアレルギーワクチン。
  4. 対象が40歳未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアレルギーワクチン。
  5. アレルゲンが吸入アレルゲン及び毒物アレルゲンからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアレルギーワクチン。
  6. アレルゲンが木本花粉アレルゲン、イネ科草本花粉アレルゲン、チリダニアレルゲン、ハーブアレルゲン及び動物アレルゲンからなる群より選択される、請求項5に記載のアレルギーワクチン。
  7. 投与が消化器系の粘膜を介する経口投与、鼻投与、膣投与、舌下投与、眼投与、直腸投与、尿道投与、乳房内投与、肺投与、耳投与又は頬投与である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアレルギーワクチン。
  8. 投与が頬投与又は舌下投与である、請求項7に記載のアレルギーワクチン。
  9. 予防治療すべき対象が前記ワクチンのアレルゲン以外の1又はそれ以上のアレルゲンに関連するアレルギーの臨床症状を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のアレルギーワクチン。
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