JP5627844B2 - 歯の白色化に有用な組成物 - Google Patents

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Description

開示の内容
〔発明の分野〕
本発明は、液晶ゲルあるいはマイクロエマルジョン液の形態であり、物理的に、かつ、化学的に安定した、歯の白色化用組成物に関するものである。
〔発明の背景〕
歯科用産業界では、ゲル類およびペースト類は、歯に対して、歯磨剤、漂白助剤、ミネラル成分補給剤およびフッ化物成分を塗布するための伝達手段として利用されている。ゲルは、粘性を有し、ジェル状の半固形材料を生成するように、連続相(すなわち、分散用の媒体またはマトリックス)に分散相を混合することによって生成されたコロイドである。「歯科用の漂白ゲル」は、歯に対して安全に塗布される漂白剤を運ぶゲルである。過酸化水素および他の過酸化物を製造する起点は、歯科用の漂白ゲルへの使用に選択される漂白剤にあった。過酸化水素は、強力な酸化剤であり、歯の外因性および内因性の色原体を漂白するのに役立ち、これによって、歯の外観を、より白色化できる。
粘性は、歯科用の漂白ゲルを有効に制御するための非常に重要なパラメータであり、実際は、過酸化物の放出量、すなわち、白色化性能を決定づける主な要因である。過酸化水素については、市販されている歯科用の漂白ゲルあるいはペーストを製造する上で共通して使用される特定のゲル化剤および/または増粘剤を攻撃することが知られている。例えば、白色化用ゲルに使用された従来のカルボキシポリメチレン増粘剤には、特定の条件下で、過酸化水素の影響を受けて劣化し易い。このような攻撃の結果として、ゲル化剤または増粘剤は、ゲルの粘性が使用に適した程度より低くなり過ぎた場合に、時間の経過とともに分解する。粘性の低いゲルは、分配管、分配用注射器等から制御不能な状態で流出することになり、当該ゲル等の作用を操ることが困難となる。それどころか、より重要なことには、仮に粘性が低くなり過ぎた場合に、ゲルが歯から流出するが、これによって、歯上でのゲルの滞留時間が短くなり、かつ、軟組織に対する過酸化物の不要な相互作用による刺激が大きくなる。滞留時間は、歯科用の漂白ゲルが、実際に、歯のエナメル質に接触している時間である。
市販されている歯科用の漂白ゲルあるいはペーストに関係した他の問題は、過酸化水素が室温で分解し易い点にある。この過酸化水素の分解速度は、多くの因子に依存している。鉄、マグネシウム、銅およびクロム等、種々の金属性不純物が存在すると、当該不純物が痕跡程度の量で存在する場合でも、分解反応を触媒することがある。さらに、溶液のpHがpH緩衝液等の使用によって調整される必要がある場合には、特に、カルボキシポリメチレン増粘剤等、従来の増粘剤の存在下で、アルカリ性および温度が高まるにつれて、過酸化水素の安定性が低下する。歯科用の漂白ゲルの白色化性能が、過酸化水素の濃度に依存するので、過酸化水素の早期分解は、ゲルの白色化性能を減退させる。この過酸化水素の不安定性により、感度を低減させ、かつ、ミネラル成分補給効果を増大させる他の成分を導入することが困難になっていた。
上述した問題に対する一つの解決策としては、歯科用の漂白ゲルまたはペーストを、使用するまで、冷蔵する方法があった。冷蔵は、ゲル化剤に対する過酸化水素の攻撃を鈍化させ、かつ、過酸化水素の分解をも鈍化させる。しかし、冷蔵は、高価で、かつ不便である。種々の安定化剤は、室温で安定した歯科用の漂白ゲルおよびペーストを含有する過酸化水素を開発する試みで、調査されてきた。
従来の増粘剤を用いる先行技術からの教示を考慮すると、改善された白色化作用を与えるばかりでなく、消費者に肯定的な経験をも与える、熱力学的かつ化学的に安定した歯の白色化用配合物が必要とされている。
〔発明の概要〕
本発明は、液晶とマイクロエマルジョン成分とからなる群から選択される歯の白色化用組成物を提供するものである。この組成物は、歯を白色化するのに有効な量の歯科用の白色化剤と、水を含有する親水相と、少なくとも一種の油を含有する疎水相と、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および両性イオン性界面活性剤からなる群から選択される、界面活性剤と、12(cal/cm31/2より大きいヒルデブランド溶解パラメータ(Hildebrand solubility parameter)を有する水溶性の共溶媒とを含む。また、本発明は、歯を白色化するのに有効な時間および条件下で、本発明の組成物を歯に塗布することを含む歯の白色化方法をも含む。
〔発明の詳細な説明〕
本明細書で使用されているように、用語「マイクロエマルジョン」とは、等方性の透明液体である、油、水および界面活性剤の混合物をいう。マイクロエマルジョン(MEs)は、油が分散相であり、かつ、水が連続相である水中油(O/W)であってもよく、あるいは、油が連続相であり、かつ、水が分散相である油中水(W/O)であってもよい。上記組成物は、実質的に透明あるいは半透明であり、分散相の粒子は、約150ナノメートル未満の粒径を有している。
液晶は、従来の液体と結晶性固体との間の特性を呈する物質である。例えば、液晶(LC)は、液体あるいはゲルのように流動できるが、結晶方向に配列し、かつ、配向した液体中に粒子を有している。液晶(LC)は、油、水、界面活性剤および共力剤(co-surfactant)を含有している。液晶(LC)およびマイクロエマルジョン(MEs)の双方は、ミセルあるいは界面活性剤の二重層中に活性成分を溶解し、かつ、所望の基質への標的化導入を支援できる。これらの系を上記配合物中の可溶化油相で構成することにより、過酸化水素の分配係数を変更できる。さらに、本発明の組成物中に存在する分散相の粒径が小さいことから、歯上に活性成分を、より均一に付着させることができる。
本発明の組成物には、歯を白色化するのに有効な量の歯科用の白色化剤が含まれる。白色化剤は、例えば、過酸化水素等の過酸化物、あるいは、水性媒体中に配された場合に過酸化水素を産生する任意の物質から選択されてもよい。例えば、過酸化カルバミドは、水中に配された場合に、過酸化水素を産生する。過酸化カルバミドの別名には、過酸化尿素、尿素過酸化水素、過酸化水素カルバミド、およびパーハイドロールウレアが含まれる。例えば、peroxydone(登録商標)、PVP-K90、PVP-K30、PVP-XL10等のガラス転移点を有する親水性ポリマーに共役した過酸化水素は、過酸化水素の供給源としても使用できる。本発明の組成物に利用される白色化剤の含有量は、当該組成物の約0.1重量%〜約50重量%、例えば、約1重量%〜約35重量%の範囲とされる。当該組成物を一回あるいは二回、塗布するだけで、当該組成物が歯を白色化できる「即効性の白色化用ゲル」として役立つ点で、高含有量の白色化剤は好適である。
本発明の組成物は、主として水を含む親水相を含有している。当該組成物中での水の含有量は、当該組成物が水中油(O/W)あるいは油中水(W/O)であるか否か、および、当該組成物が液晶(LC)あるいはマイクロエマルジョン(MEs)であるか否かに依存して変更されるはずである。液晶(LC)の場合には、水の含有量は、当該組成物の約1重量%〜約60重量%の範囲とされる。マイクロエマルジョン(MEs)の場合には、水の含有量は、当該組成物の約1重量%〜約80重量%の範囲とされる。
また、本発明の組成物は、主として油を含む、あるいは、本質的に油からなる疎水相を含有している。当該油は、通常、約5〜15(cal/cm31/2、あるいは約5〜約12(cal/cm31/2の範囲のヒルデブランド溶解パラメータを有している。適切な油には、ココナッツ油、クローブ油、鉱物油、ミリスチン酸イソプロピル、アマニ油、パルミチン酸オクチルおよびこれらの同等物、並びに、本明細書で引用した学術誌に挙げられた油が含まれるが、これらに限定されるものではない。ヒルデブランド溶解パラメータは、標準的な化学教科書あるいは類似の参考マニュアルを参照することによって、概ね、利用できる。コスメティックケミストリ学会誌第36巻、第319頁〜第333頁およびコスメティックス・アンド・トイレタリーズ第103巻、第47頁〜第69頁(1988年10月)は、広範囲の化粧品成分に関するヒルデブランド溶解パラメータと、この溶解パラメータの算出方法を掲載している。液晶(LC)の場合には、油の含有量は、当該組成物の約1重量%から約50重量%未満までの範囲、あるいは、約1重量%〜約30重量%の範囲、あるいは、約1重量%〜約25重量%の範囲とされる。マイクロエマルジョン(MEs)の場合には、油の含有量は、当該組成物の約1重量%から約50重量%未満までの範囲、あるいは、約1重量%〜約25重量%の範囲、あるいは、約1重量%〜約10重量%の範囲とされる。本発明の組成物では、親水相が、疎水相に対して優勢的な重量比で含まれている。本発明の組成物における疎水相に対する親水相の重量比は、通常、約1.5:1〜約10:1の範囲、あるいは約2:1〜約5:1の範囲とされてもよい。
本発明の組成物は、少なくとも一種の界面活性剤を含有している。本明細書で使用されているように、界面活性剤は、水相および油相と相互作用して、リオトロピック液晶、および/または、水中油(O/W)あるいは油中水(W/O)のマイクロエマルジョン(MEs)を形成できる、両親媒性の有機界面活性成分である。適切な界面活性剤には、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤あるいは両性イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
適切な陰イオン性界面活性剤には、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、および、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、あるいはトリエタノールアミン等の水溶性陽イオンを有する上記硫酸塩が含まれる。本発明の組成物に使用できる他の陰イオン性界面活性剤には、有機硫酸の反応生成物の水溶性塩である。このような陰イオン性界面活性剤の例としては、8個〜24個の炭素原子を有するn−パラフィン等の炭化水素と、三酸化硫黄等のスルホン化剤との有機硫酸の反応生成物の塩類が挙げられる。また、イセチオン酸でエステル化され、かつ、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物は、陰イオン性界面活性剤として適切である。当該脂肪酸は、例えば、ココナッツ油から誘導されてもよい。さらに、コハク酸塩およびスクシン酸塩(succinimates)も適切な陰イオン性界面活性剤である。この種の塩類には、N−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム;N−(1,2−ジカルボキシエチル)−N−オクタデシルスルホコハク酸四ナトリウム;およびスルホコハク酸ナトリウムのエステル塩、例えばスルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル塩、スルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステル塩およびこれらと同等物等の物質が含まれる。他の適切な陰イオン性界面活性剤には、約12個〜24個の炭素原子を有するオレフィンスルホン酸塩が含まれる。用語「オレフィンスルホン酸塩」とは、三酸化硫黄の非錯体化によるα−オレフィンのスルホン化、次いで、酸性反応で生成された、すべてのスルトン類(sultones)が、これらに対応するヒドロキシアルカンスルホコハク酸塩を得るために、加水分解されるという条件下での酸性反応混合物の中和化によって、生成できる物質を意味する。オレフィンスルホン酸塩が誘導されるα−オレフィンは、約12個〜24個の炭素原子、好ましくは、約14個〜16個の炭素原子を有するモノ−オレフィンである。他の種類の適切な陰イオン性界面活性剤は、β−アルコキシアルカンスルホン塩、すなわち、例えばココナッツ油系および動物油系の石鹸である、10個〜20個の炭素原子を置換した脂肪酸の塩類等の水溶性石鹸である。アンモニウム塩類、カリウム塩類およびナトリウム塩類は、好適な塩類である。さらに他の種類の陰イオン性界面活性剤には、N−アシルアミノ酸界面活性剤およびその塩類(アルカリ金属、アルカリ土類金属、およびアンモニウム塩類)が含まれる。この界面活性剤の例としては、好ましくは、ナトリウムあるいはカリウムの形態である、ラウロイルサルコシン酸塩、ミリストイルサルコシン酸塩、ココイルサルコシン酸塩およびオレオイルサルコシン酸塩を含むN−アシルサルコシン酸塩類が挙げられる。
上述した組成物は、陰イオン性界面活性剤に代えて、あるいは、陰イオン性界面活性剤に加えて、一種またはそれ以上の非イオン性界面活性剤を含有してもよい。非イオン性界面活性剤は、概ね、疎水性物質とアルキレンオキシド基との縮合によって生成される物質である。適切な種類の非イオン性界面活性剤には、(a)約1個〜3個の炭素原子を有する一つの短鎖のアルキルラジカルあるいはヒドロキシアルキルラジカルと、アルキルラジカル、アルケニルラジカル、ヒドロキシアルキル、あるいは、約8個〜20個の炭素原子、0個〜10個のエチレンオキシド部分および0個または1個のグリセリル部分を含むケトアルキルラジカルとを含有する長鎖のジアルキルスルホオキシド類;(b)例えば、スクロースココエート、スクロースベヘエートおよびこれらの同等物など、脂肪酸のスクロースエステル類等のポリソルベート類;(c)アルキルフェノール類のポリエチレンオキシド縮合物、例えば、アルキルフェノールの1モル当たり、約10〜60モルの量でエチレンオキシドが存在するエチレンオキシドと、約6個〜20個の炭素原子を有するアルキル基を有するアルキルフェノール類との縮合生成物;(d)プロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合生成物;(e)例えば、10個〜14個の炭素原子を有するフラクションを有するココナッツアルコールの1モル当たり、10〜30モルのエチレンオキシドを有するココナッツアルコール/エチレンオキシドの縮合物等、エチレンオキシドと8個〜18個の炭素原子を有する脂肪族アルコールとの縮合生成物;(f)長鎖の第三級アミンオキシド類;(g)長鎖の第三級ホスフィンオキシド類;(h)6個〜30個、好ましくは、10個の炭素原子と、グルコースあるいはガラクトース等のポリサッカライド基とを有するアルキル多糖類であって、オクチル、ノニデシル、アンデシルドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、およびオクタデシル、ジグルコシド類、トリグルコシド類、テトラグルコシド類、ペンタグルコシド類、およびヘキサグルコシド類、ガラクトシド類、ラクトシド類、グルコース類、フルクトシド類、フルクトース類およびこれらの同等物等が適切なアルキル多糖類;(i)ポリエチレングリコール(PEG)グリセリル脂肪酸エステル類;(j)12個〜18個の炭素原子を置換したメチルグルカミド類、N−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド類、N−プロピルからN−ヘキシルまでの12個〜18個の炭素原子を置換したグルカミド類およびこれらの同等物等の12個〜18個の炭素原子を置換したアルキルを有する(1個〜6個の炭素原子を置換した)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド類を含み、使用できる他の非イオン性界面活性剤が含まれる。
本発明の組成物に使用できる両性界面活性剤は、概ね、一つの脂肪族ラジカルが8個〜18個を有する炭素原子で構成された直鎖あるいは分岐鎖であり、他の脂肪族ラジカルがカルボキシ等の陰イオン基、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、あるいはホスホン酸塩を含有する、脂肪族第2級アミンあるいは脂肪族第3級アミンの誘導体として記述されている。適切な両性界面活性剤は、ココアンホカルボキシプロピオン酸塩、ココアンホカルボキシプロピオン酸、ココアンホカルボキシグリシン酸塩、およびココアンホカルボキシ酢酸塩等のモノカルボン酸塩あるいはジカルボン酸塩に加えて、イミダゾリニウム化合物であってもよい。他の種類の両性界面活性剤には、アミノアルカン酸塩あるいはイミノ2アルカン酸塩およびこれらの混合物が含まれる。このような両性界面活性剤の例としては、ミラノール・インクから商品名「MIRATAINE」で市販され、あるいは、ヘンケル社から商品名「DERIPHA」で市販されている、n−アルキルアミノプロピオン酸塩およびn−アルキルイミノ2プロピオン酸塩が挙げられるが、具体的には、N−ラウリル−β−アミノプロピオン酸、N−ラウリル−β−イミノ−2プロピオン酸、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
両性イオン性界面活性剤も、本発明の組成物での使用に適している。両性イオン性界面活性剤には、ベタイン類、例えば、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチル−α−カルボキシメチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチル−γ−カルボキシメチルベタイン、およびこれらの混合物が含まれる。他の適切な両性イオン性界面活性剤には、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタインおよびこれらの同等物がある。マイクロエマルジョン(MEs)の場合には、界面活性剤の含有量は、当該組成物の約1重量%〜約40重量%の範囲であってもよい。液晶(LC)の場合には、界面活性剤の含有量は、当該組成物の約5重量%〜約40重量%の範囲であってもよい。
12を超えるヒルデブランド溶解パラメータを有する特定の物質は、相対的に親水性であり、共溶媒として有用であり、油水界面において過酸化物を分配するのに役立ち、水性酸化剤を含む組成物の水相の部分をより容易に構成するはずである。したがって、本発明の組成物には、約12.00(cal/cm31/2より大きいヒルデブランド溶解パラメータ値を有する水溶性の共溶媒も含まれる。共溶媒の含有量は、当該組成物の約1重量%〜約40重量%の範囲であってもよい。適切な共溶媒には、一価アルコール類、多価アルコール類、ポリオール類およびこれらの同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。適切な一価アルコール類には、エタノールおよびプロパノールが、これらに限定されるものではない。適切な多価アルコール類には、グリセリンおよび、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびエチレングリコールを含むグリコール類が含まれるが、これらに限定されるものではない。適切なポリオール類には、ポリエチレングリコール類が含まれる。適切な糖類には、グルコース、フルクトース、マンノース、マンニトール、マリトール、ラクチトール、イノシトールおよびこれらの同等物が含まれる。
本発明の組成物の安定性は、エチレンジアミン四酢酸(およびその塩)等のキレート剤と、pH3.5とpH6.0との間にpH調整されたリン酸塩緩衝液の使用によって、さらに高められる。
本発明の組成物が、従来の白色化用製品、例えば、白色化用切片、塗布用ゲル、トレイにおいて使用されることが公知の従来の増粘剤と組み合わせて使用されてもよいが、そのような増粘剤は、本発明の白色化用組成物を提供する上で、必須ではない。このような増粘剤には、合成ポリマー類、例えば、セルロース誘導体およびカルボマーポリマー類、天然および合成のゴム類およびこれらの同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。一つの実施の形態では、当該組成物は、上述のような増粘剤を本質的に含まない。「本質的に含まない」とは、当該組成物が、当該増粘剤を全く含まない組成物と比較して粘性が相当程度、増加するのに有効な量では、当該増粘剤を含まないことを意味し、実際には、例えば、約0.4%未満、あるいは0.1%未満、あるいは0.01%未満しか、当該増粘剤を含まないことを意味する。他の実施の形態では、当該組成物は、上述の増粘剤を全く含まない。
上述の組成物は、白色化用切片、塗布用組成物、歯磨剤、トレイおよびこれらの同等物を含むが、これらに限定されるものではなく、互換性があり、歯を白色化するための従来の白色化用製品において使用されてもよい。このような製品は、その製品の性質に応じて、歯科医院で、その歯科医によって職業的に使用され、あるいは、個人の自宅で、その個人自身によって使用されてもよい。本発明のマイクロエマルジョン(ME)組成物あるいは液晶(LC)組成物が実質的に透明あるいは半透明であるという事実によって、当該組成物は、可撓性あるいは恒久的に変形可能である白色化用切片であって、切片自体が社会的に目立たない、すなわち、実質的に透明な白色化用切片と共に使用される場合に、特に有利である。
本発明の組成物を含有する白色化用製品は、歯を白色化するのに有効な時間、当該歯に塗布される。特定の白色化用製品および当該製品に適応される治療計画に応じて、適用時間は、約2分間から約24時間までの範囲、あるいは、約2分間から約1時間までの範囲、あるいは、約2分間から約30分間までの範囲であってもよいが、適切な場合、あるいは、必要に応じて、より長い適用時間、あるいは、より短い適用時間が使用されてもよい。本発明の組成物を含有する白色化用製品は、一つの用途に適用されてもよく、あるいは、上述の公知の白色化用製品に関して、所定の時間間隔で、かつ、当技術分野における当業者に公知の条件下で、反復して塗布されてもよい。
次の実施例は、本発明の特定の実施の形態を例示するために与えられているが、当該実施例は、添付した特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
<実施例>
液晶(LC)白色化用配合物を、表1および表2に従って調製した。表1のサンプルは、pH4.8を呈した(サンプル1)。サンプル1を、二等分の重量部に分割した。この分割した重量部のうち、第2の重量部のpHを、水酸化ナトリウムを用いて、5.5に調整した(サンプル2)。表2のサンプル(pH3.2、サンプル3)を三分割した。三分の一のpHを4.5に調整した(サンプル4)。他の三分の一のpHを5.8に調整した(サンプル5)。二つの比較サンプルのうち、一方の比較サンプル(サンプル6)を過酸化水素とカーボポール(carbopol)980とを組み合わせることによって調製し、他方の比較サンプル(サンプル7)をカーボポール980によって調製した。各組成物に対する過酸化水素の濃度を6重量%とした。これらのサンプルにおける過酸化物の放出量、白色化性能、化学的安定性および物理的安定性を評価した。表3、表4および表5には、データが示されている。
Figure 0005627844
Figure 0005627844
過酸化物の放出特性について
低品質(LQ)の白色化用ゲルからの過酸化物の放出量を、確立した過酸化物の放出モデルを用いて測定した。当該ゲルをウシの複数の歯上に配置した。これらの歯を、当該歯の高さまでの量の合成唾液を入れたビーカー内に配した。ビーカーを震とう器上に配して、軽く揺らした。合成唾液を種々の時間に採取し、その過酸化水素の含有量を分析した。表3は、当該ゲルから放出された過酸化物の百分率を時間関数として示している。
Figure 0005627844
二つのゲルから得られる過酸化物の放出量は、過酸化水素がカーボポールゲルから、より容易に放出されることから、反復使用時における漂白に関連した歯の感度を生じさせることを示唆しており、これに対して、本発明の液晶(LC)ゲルは、過酸化物を徐々に放出し、このような感度を生じさせる可能性が低いことを示唆している。
<液晶(LC)ゲルの白色化性能について>
6重量%の過酸化水素を含有する液晶(LC)白色化用組成物の白色化性能を、これと同一量で過酸化水素を含有するカーボポールゲルと比較した。比較検討の評価を、確立した試験管内の漂白モデルとウシの複数の歯を用いて行った。ウシの複数の歯を、これらの歯についての漂白前のL値およびb値(CIE色空間に基づいた主要な白色化パラメータ)を基準にして、無作為抽出した。各組(標本数n=12)内のすべての歯に対しては、それぞれ30分間の10個の治療を施したが、各治療間の1時間、当該歯を唾液中に置いた。表4は、白色化の結果を、L値、a値およびb値の漂白前後間の差として示している。
Figure 0005627844
本発明の液晶(LC)ゲルの白色化性能は、カーボポールゲルの白色化性能と同程度であったが、顕著に異なるレオロジー特性を呈していた。
白色化用ゲルのレオロジー特性は、当該ゲルの長期間の安定性並びに白色化性能の主要な決定因子である。これらの白色化用ゲルの白色化性能は、過酸化物を放出する能力に、直接、比例している。当該白色化用ゲルの粘性および疎水性は、当該ゲルの過酸化物の放出関数の主要な決定因子である。
<レオロジー特性について>
液晶(LC)白色化用ゲルは、最も共通して使用されたカーボポールゲルおよび鉱物油ゲルと比較して、顕著に異なるレオロジー特性を呈している。すべてのレオロジー比較実験を25℃で行った。着色掃引測定法から、低品質(LQ)の白色化用ゲルが粘弾性であり、粘性が、カーボポール980ゲルおよびカーボポール956ゲルより僅かに低いレベルに位置付けられる点を確認した。さらに、低品質(LQ)の白色化用ゲルは、カーボポールゲルおよび鉱物油ゲルとは顕著に異なる特有の複合的な粘性を呈している。
マイクロエマルジョン(MEs)白色化用配合物を、表5に従って調製した(サンプル8)。
Figure 0005627844
異なる液晶(LC)白色化用組成物およびマイクロエマルジョン(MEs)白色化用組成物の化学的および物理的な安定性については、40℃で相対湿度75%の条件で、13週間、実験を行い、同一量の過酸化水素を含有するカーボポールゲルと比較した。
以下の表6および表7は、主として、6%の過酸化物を含有する液晶(LC)ゲルおよびカーボポールゲルの過酸化物およびpH特性(化学的および物理的な安定性)を示している。
Figure 0005627844
Figure 0005627844
上記表中のデータは、本発明の組成物が化学的および物理的に安定しており、有効な歯の白色化用組成物であることを示している。
〔実施の態様〕
(1)歯の白色化用組成物において、
歯を白色化するのに有効な量の白色化剤と、
水を含む親水相と、
油を含む疎水相と、
陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および両性イオン性界面活性剤からなる群から選択される、界面活性剤と、
12(cal/cm31/2より大きいヒルデブランド溶解パラメータを有する水溶性の共溶媒と、
を含み、
前記組成物は、液晶およびマイクロエマルジョンからなる群から選択される形態である、組成物。
(2)実施態様(1)記載の組成物において、
前記油は、約5〜約12(cal/cm31/2の範囲のヒルデブランド溶解パラメータ値を有している、組成物。
(3)実施態様(2)記載の組成物において、
前記組成物は、前記組成物の約1重量%〜約50重量%の前記白色化剤を含み、
前記親水相の含有量は、前記組成物の約1重量%〜約80重量%の範囲であり、
前記疎水相の含有量は、前記組成物の約1重量%から50重量%未満までの範囲であり、
前記親水相は、前記疎水相に対して優勢的な重量比で存在している、組成物。
(4)実施態様(3)記載の組成物において、
前記油は、オリーブ油、ココナッツ油、アマニ油、コーン油、鉱物油、クローブ油、ミリスチン酸イソプロピル、およびパルミチン酸イソプロピルからなる群から選択される、組成物。
(5)実施態様(4)記載の組成物において、
前記共溶媒は、一価アルコール類、多価アルコール類、糖類、およびポリオール類からなる群から選択される、組成物。
(6)実施態様(4)記載の組成物において、
前記共溶媒は、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、グルコース、フルクトース、マンノース、マンニトール、マリトール、ラクチトール、およびイノシトールからなる群から選択される、組成物。
(7)実施態様(6)記載の組成物において、
前記白色化剤は、前記組成物の約1重量%〜約35重量%の量で、過酸化物を含む、組成物。
(8)実施態様(1)記載の組成物において、
前記親水相の前記疎水相に対する重量比は、約1.5:1〜約10:1の範囲である、組成物。
(9)実施態様(3)記載の組成物において、
前記親水相の前記疎水相に対する重量比は、約1.5:1〜約10:1の範囲である、組成物。
(10)歯の白色化方法において、
歯を白色化するのに有効な時間および条件で、前記歯に組成物を塗布すること、
を含み、
前記組成物は、 歯を白色化するのに有効な量の白色化剤と、
水を含む親水相と、
油を含む疎水相と、
陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および両性イオン性界面活性剤からなる群から選択される、界面活性剤と、
12(cal/cm31/2よりも大きいヒルデブランド溶解パラメータを有する水溶性の共溶媒と、
を含み、
前記組成物は、液晶およびマイクロエマルジョンからなる群から選択される形態である、方法。
(11)実施態様(10)記載の方法において、
前記油は、約5〜約12(cal/cm31/2の範囲のヒルデブランド溶解パラメータ値を有している、方法。
(12)実施態様(11)記載の方法において、
前記組成物は、前記組成物の約1重量%〜約50重量%の白色化剤を含み、
前記親水相の含有量は、前記組成物の約1重量%〜約80重量%の範囲であり、
前記疎水相の含有量は、前記組成物の約1重量%から約50重量%未満までの範囲であり、
前記親水相は、前記疎水相に対して優勢的な重量比で存在している、方法。
(13)実施態様(12)記載の方法において、
前記油は、オリーブ油、ココナッツ油、アマニ油、コーン油、鉱物油、クローブ油、ミリスチン酸イソプロピル、およびパルミチン酸イソプロピルからなる群から選択される、方法。
(14)実施態様(13)記載の方法において、
前記共溶媒は、一価アルコール類、多価アルコール類、糖類、およびポリオール類からなる群から選択される、方法。
(15)実施態様(13)記載の方法において、
前記共溶媒は、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、グルコース、フルクトース、マンノース、マンニトール、マリトール、ラクチトール、およびイノシトールからなる群から選択される、方法。
(16)実施態様(15)記載の方法において、
前記白色化剤は、前記組成物の約1重量%〜約35重量%の量で、過酸化物を含む、方法。
(17)実施態様(10)記載の方法において、
前記時間は、約2分間〜約24時間の範囲である、方法。
(18)実施態様(17)記載の方法において、
前記組成物を、所定の時間間隔で、反復して塗布することを含む、方法。
(19)実施態様(10)記載の方法において、
前記親水相の前記疎水相に対する重量比は、約1.5:1〜約10:1の範囲である、方法。
(20)実施態様(12)記載の方法において、
前記親水相の前記疎水相に対する重量比は、約1.5:1〜約10:1の範囲である、方法。

Claims (7)

  1. 歯の白色化用組成物において、
    色化剤と、
    水を含む親水相と、
    油を含む疎水相と、
    陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および両性イオン性界面活性剤からなる群から選択される、界面活性剤と、
    12(cal/cm31/2より大きいヒルデブランド溶解パラメータを有する水溶性の共溶媒と、
    を含み、
    前記組成物は、液晶およびマイクロエマルジョンからなる群から選択される形態であ
    前記白色化剤は、前記組成物の1重量%〜35重量%の量で、過酸化物を含み、
    前記油は、ミリスチン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルからなる群から選択される、組成物。
  2. 請求項1記載の組成物において、
    前記油は、5〜12(cal/cm31/2の範囲のヒルデブランド溶解パラメータ値を有している、組成物。
  3. 請求項2記載の組成物において、
    前記組成物は、前記組成物の1重量%〜50重量%の前記白色化剤を含み、
    前記親水相の含有量は、前記組成物の1重量%〜80重量%の範囲であり、
    前記疎水相の含有量は、前記組成物の1重量%から50重量%未満までの範囲であり、
    前記親水相の前記疎水相に対する重量比は、1.5:1〜10:1の範囲である、組成物。
  4. 請求項記載の組成物において、
    前記共溶媒は、一価アルコール、多価アルコール、糖、およびポリオールからなる群から選択される、組成物。
  5. 請求項記載の組成物において、
    前記共溶媒は、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、グルコース、フルクトース、マンノース、マンニトール、マリトール、ラクチトール、およびイノシトールからなる群から選択される、組成物。
  6. 請求項1記載の組成物において、
    前記親水相の前記疎水相に対する重量比は、1.5:1〜10:1の範囲である、組成物。
  7. 歯の白色化方法において、
    記歯に組成物を塗布すること、
    を含み、
    前記組成物は、
    色化剤と、
    水を含む親水相と、
    油を含む疎水相と、
    陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および両性イオン性界面活性剤からなる群から選択される、界面活性剤と、
    12(cal/cm31/2よりも大きいヒルデブランド溶解パラメータを有する水溶性の共溶媒と、
    を含み、
    前記組成物は、液晶およびマイクロエマルジョンからなる群から選択される形態であ
    前記白色化剤は、前記組成物の1重量%〜35重量%の量で、過酸化物を含み、
    前記油は、ミリスチン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルからなる群から選択される、方法。
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