JP5627563B2 - 表面探傷装置及び表面探傷方法 - Google Patents
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磁粉探傷法及び浸透探傷法はともに湿式の検査技術である。そのため、磁粉液や蛍光浸透剤の被検査材表面への散布量変化による輝度の変動、被検査材の表面粗度分布などの影響を大きく受けるので、検査結果の再現性が良くない。
そこで、特許文献1で用いられるような超音波を用いた超音波探傷法が採用されることが多い。超音波探傷法としては、垂直探傷法と斜角探傷法と表面探傷法の3つの技術が一般に用いられる。
特許文献1に開示の超音波探傷用探触子は、上述の表面探傷法を用いたものであり、回転する円柱体の表面に、接触媒質の膜を介して表面波探触子を円柱体の回転軸方向に線状若しくはこれに近い帯状に接触させ、前記表面波探触子から円柱体回転方向の逆方向に向かって超音波を伝播させるとともに、表面波伝播領域における円柱体表面には接触媒質の膜が形成されないようにして、円柱体表層部に存在する欠陥を検出する円柱体表層部の超音波探傷方法に使用する探触子であって、前記探触子の前面下部に接触媒質膜側へ突出する板状体が設置されており、前記板状体の突出長さは前記探触子の下面と前記円柱体表面との間のギャップの30〜50%の範囲内で調整自在であることを特徴とする。
また、特許文献1の超音波探傷用探触子では、円柱体に表面波を送出するために、表面波探触子と円柱体表面の間に水などの接触媒質が用いられており、表面波探触子から出て円柱体表面に残った接触媒質が、表面波探触子から送出された表面波の伝播方向(伝播先)に必ず存在する構成となっている。円柱体表面に残った接触媒質は表面波を反射したり減衰させたりするので、接触媒質を除去する部材が必要となり、探傷装置の構成を小型化及び簡素化するのは困難である。
本発明の表面探傷装置は、長尺の被検査材に対して当該被検査材の周表面を伝播する表面超音波を送出する送信部と、送出された超音波が被検査材の表面の欠陥で反射して戻った反射超音波を受信する受信部とを有する探触子が備えられた表面探傷装置において、前記探触子は、表面超音波を送出できる帯状の有効送出領域を有し、送信部から送出される表面超音波の送出方向が前記被検査材の周方向に対して斜めとなるように、前記有効送出領域を被検査材の長手方向に対して斜めにし、且つ前記有効送出領域を被検査材の幅方向一端側から他端側へ亘るように配備していることを特徴とする。
また、前記探触子から送出された表面超音波が伝播する先に、前記探触子からの表面超音波の送出を確認するために当該表面超音波を受波する他の探触子が備えられていてもよい。
本発明の表面探傷方法は、長尺の被検査材に対して当該被検査材の周表面を伝播する表面超音波を送出し、送出された超音波が被検査材の表面の欠陥で反射して戻った反射超音波を受信する表面探傷方法において、前記表面超音波を、前記被検査材の周方向に対して斜めとなる方向に送出するために、表面超音波を送出できる帯状の有効送出領域を、被検査材の長手方向に対して斜めにし、且つ前記有効送出領域を被検査材の幅方向一端側から他端側へ亘るように配備することを特徴とする。
また、前記表面超音波が伝播する先で、前記表面超音波の送出を確認するために当該表面超音波を受波してもよい。
図1〜図4を参照しながら、以下に、本発明の実施形態による表面探傷装置1について説明すると共に、表面探傷装置1を用いた表面探傷方法について説明する。
本実施形態による表面探傷装置1は、棒鋼や鋼片、特に小径の線材などの長尺の被検査材Sの表面や表面皮下に存在する欠陥を、超音波を用いて検出(探傷)する装置である。被検査材Sは、例えば鉄やアルミニウムなどの金属製線材である。
図1は、長尺の被検査材Sの表面欠陥及び表面皮下欠陥を検出する表面探傷装置1の概略構成を示す図である。
表面探傷装置1は、探触子3(第1の探触子)とセンサホルダ4とからなるセンサヘッド2、超音波探傷器5、及び信号記録処理装置6を含んで構成されるものであり、センサヘッド2が、金型Dから伸線された被検査材Sの下部に配置されている。
センサヘッド2は、探触子3と、探触子3を保持するセンサホルダ4と、センサホルダ4を支持し被検査材Sに当接させるホルダ支持体(図示せず)からなるものである。
探触子3は、例えば圧電素子によって構成されており、所定電圧のパルス電圧が加えられるとパルス電圧に対応する周波数の表面超音波(表面波)を送出する送信部としての機能と、表面欠陥及び表面皮下欠陥で反射して戻ってきた反射超音波(反射表面波)を受波する受信部としての機能とを有するものである。探触子3は、反射表面波を受波すると、受波した反射表面波に対応するパルス電圧を発生することで受信部としての機能を実現する。圧電素子型探触子では、送信部と受信部を同一の振動子で実現する場合が多いが、送信部と受信部とで独立した振動子を用いる場合もある。
超音波探傷器5は、センサヘッド2に備えられた探触子3に接続されており、探触子3の送信部として働く圧電素子へ所定電圧のパルス電圧を出力する。また、超音波探傷器5は、圧電素子が反射表面波を受波して受信部として機能したときに生じたパルス電圧を受け取り、後述する信号記録処理装置6に反射表面波信号として出力するものである。
図1に示すように、上述の構成の表面探傷装置1を被検査材Sの検査ラインに設置して、センサヘッド2を被検査材Sに当接させる。このときセンサヘッド2は、被検査材Sの下方で探触子3を上方に向けて、探触子3と被検査材Sの下部面が対向するように配置される。被検査材Sの下方に配置されたセンサヘッド2は、表面波の送出方向が被検査材Sの軸心方向に対して垂直ではなく斜めに所定角度θをなすように配置される。このセンサヘッド2の配置は、本実施形態による表面探傷装置1特有の特徴的な構成であり、この特徴的な構成によって、センサヘッド2から送出された表面超音波を、被検査材Sの外表面上で被検査材Sの長手方向(軸心方向)に垂直となる方向(周方向という)に対して斜めに送出し、図1、図3に示す如く、表面波を被検査材Sの表面上で螺旋状に伝播させることができる。
まず、センサヘッド2の従来の配置について説明する。
図4は、センサヘッド2の従来の配置を示す図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は上面図である。センサヘッド2の探触子3には、効果的に表面超音波を送出できる領域(有効送出領域)8が存在し、その有効送出領域8がハッチングで示されている。この有効送出領域8から矢印で示す送出方向に向かって表面超音波が送出される。
図2は、センサヘッド2の本実施形態による配置を示す図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は上面図である。
図2(a)に示すように、本実施形態によるセンサヘッド2は、表面超音波の送出方向が被検査材Sの移動方向(通材方向)における上流側に向い、且つ被検査材Sの周方向に対して斜めとなるように配置されている。言い換えれば、センサヘッド2は、表面超音波の送出方向が被検査材Sの長手方向(軸心方向)に対してほぼ垂直方向ではなく斜めとなるように配置されている。これによって、センサヘッド2から一旦送出された表面超音波は、被検査材Sの表面上で被検査材Sの長手方向(軸心方向)に対して斜めとなる方向に沿って螺旋状に、被検査材Sの通材方向上流側へ伝播し、そのほとんどはセンサヘッド2には戻らない。
センサヘッド2から送波される表面超音波を被検査材Sへ確実に伝えるために、センサヘッド2(探触子3)と被検査材Sとの間には、接触媒質が供給される。供給された接触媒質は、センサヘッド2から下流側に位置する被検査材Sの表面(下面)に存在することになる。この接触媒質は表面波を減衰させたり反射させたりし、誤った探傷結果を導くといった望ましくない現象を引き起こす。そこで、本実施形態のセンサヘッド2は、接触媒質が存在しない領域(センサヘッド2より上流側に位置する被検査材Sの表面領域)に向けて、検査用の表面超音波を送出することとしている。
具体的には、図2(b)の左図に示すように、帯状の有効送出領域8と被検査材Sの長手方向(軸心方向)が互いに斜めとなる。このとき、被検査材Sの湾曲面のうち探触子3と最も近接する最近接部分は、有効送出領域8のうち太線で表す領域9と対向する。このように斜めにセンサヘッド2を配置すると、センサヘッド2は、被検査材Sが振動した場合でも被検査材Sに対して確実に表面超音波を送出することができる。
しかし、探傷を正確に行うためには、表面探傷装置1において、センサヘッド2から送出された表面超音波が探傷範囲にわたって伝播していることを当該表面超音波を受波することによって確認する確認用探触子12(他の探触子、第2の探触子)が備えられていることが好ましい。表面探傷装置1が、確認用探触子12を有する確認用センサヘッド11を備えていれば、センサヘッド2が反射表面波を検出していない状態が、「被検査材Sに欠陥が存在していない」ことを示しているのか、「探触子3の送信部から超音波が送出されていない」ことを示しているのかを、確実に判断することができる。
また、被検査材Sにおいて、伸線方向に対して垂直な断面の形状は略円形には限らない。この被検査材Sの断面形状は、四角形や六角形などの多角形であっても構わない。断面形状が多角形の場合、多角形の各角部が、表面波を反射しない程度の大きさの角度であるか、例えば弧を描く滑らかな丸みを帯びた形状であればよい。
2 センサヘッド
3 探触子
4 センサホルダ
5 超音波探傷器
6 信号記録処理装置
7 接触媒質供給管
8 有効送出領域
9 領域
10 表面探傷装置
11 確認用センサヘッド
12 確認用探触子
D 金型
S 被検査材
Claims (7)
- 長尺の被検査材に対して当該被検査材の周表面を伝播する表面超音波を送出する送信部と、送出された超音波が被検査材の表面の欠陥で反射して戻った反射超音波を受信する受信部とを有する探触子が備えられた表面探傷装置において、
前記探触子は、表面超音波を送出できる帯状の有効送出領域を有し、送信部から送出される表面超音波の送出方向が前記被検査材の周方向に対して斜めとなるように、前記有効送出領域を被検査材の長手方向に対して斜めにし、且つ前記有効送出領域を被検査材の幅方向一端側から他端側へ亘るように配備していることを特徴とする表面探傷装置。 - 前記探触子は、長手方向に沿って移動する前記被検査材に対して、前記表面超音波の送出方向が前記被検査材の移動方向における上流側に向かって前記周方向に対して斜めとなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表面探傷装置。
- 前記探触子から送出された表面超音波が伝播する先に、前記探触子からの表面超音波の送出を確認するために当該表面超音波を受波する他の探触子が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面探傷装置。
- 前記他の探触子は、ドライカップリング方式の探触子であることを特徴とする請求項3に記載の表面探傷装置。
- 長尺の被検査材に対して当該被検査材の周表面を伝播する表面超音波を送出し、送出された超音波が被検査材の表面の欠陥で反射して戻った反射超音波を受信する表面探傷方法において、
前記表面超音波を、前記被検査材の周方向に対して斜めとなる方向に送出するために、表面超音波を送出できる帯状の有効送出領域を、被検査材の長手方向に対して斜めにし、且つ前記有効送出領域を被検査材の幅方向一端側から他端側へ亘るように配備することを特徴とする表面探傷方法。 - 長手方向に沿って移動する前記被検査材に対して、前記表面超音波を、前記被検査材の
移動方向における上流側に向かって前記周方向に対して斜めとなる方向に送出することを特徴とする請求項5に記載の表面探傷方法。 - 前記表面超音波が伝播する先で、前記表面超音波の送出を確認するために当該表面超音波を受波することを特徴とする請求項5又は6に記載の表面探傷方法。
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