JP5570242B2 - 表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置、及びその検出方法 - Google Patents
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Description
磁粉探傷法は、磁化された被検査体に蛍光特性を有する磁粉を散布し、その磁粉に紫外光源を照射して得られる磁粉指示模様を観察することで表面欠陥を検出するものである。
浸透探傷法は、被検査体の表面に蛍光浸透剤を塗布してクラックに染み込ませ、クラック内の浸透剤が被検査体表面ににじみ出してできた指示模様に紫外線を当てて得られる蛍光を観察することで表面欠陥を検出するものである。
また、渦流探傷法は、被検査体の表面に検出コイルを近付けて被検査体表面に渦電流を流し、その検出コイルを被検査体上で移動させながら誘導電流の変化を検出することで被検査体の欠陥とその深さを検出するものである。
そこで、一般的には、特許文献1に示すような超音波表面探傷法が用いられることが多い。超音波探傷法は、超音波探触子から被検査体内に表面波となる超音波を送出し、被検査体内で反射して戻ってきた超音波を超音波探触子で受信することで、被検査体の表面欠陥及び表面皮下欠陥を検出するものである。このとき、探傷領域内の超音波伝播経路に、超音波探触子で用いられる接触媒質が存在していたり、水滴や粉塵などが付着していたりすると、欠陥ではないこれら接触媒質や付着物で超音波が反射するので、探傷領域内の接触媒質や付着物などをエアブロアで吹き飛ばすか、ワイパーで除去している。このような超音波表面探傷法は、欠陥の検出精度が良く、また検査作業者にとっての作業性も良いという利点がある。
そこで特許文献1に開示されるように、探傷領域の伝播経路内に接触媒質や表面付着物が入らないようにエアノズルで吹き飛ばして除去するという手段が採られる。特許文献1に開示される方法では、被検査体を回転させながら、回転方向とは逆向きにエアを噴射して、探傷領域に接触媒質が進入しないようにしている。しかしこの方法では、探傷領域から除去した又は除去できなかった接触媒質や表面付着物が、常に超音波の伝播方向に存在し、外乱となる。これにより、図10(b)の破線で示すように、接触媒質を除去できた一部の領域でしか検査できず、1度の検査で欠陥を検出できる探傷領域が、被検査体の一部分のみに限定される。よって、被検査体の周方向の検査を数度に分けて行わねばならず、その周方向の検査を終えるまで、被検査体を被検査体の長さ方向に移動させることができないという問題がある。
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、探傷する被検査体の通材方向、表面波の伝播方向、エアノズルの位置と噴射方向のそれぞれを適切に設定することで、超音波の表面波を被検査体の周方向に一周させて全面探傷することができ、欠陥以外からの反射波を低減する表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置及びその方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置は、被検査体に対して被検査体の表面直下を伝播する超音波を送出する送信部、及び送出された超音波のうち、少なくとも被検査体内の欠陥で反射して戻った超音波を受信する受信部を備えた探触子と、前記送信部から送出される超音波の伝播方向にある被検査体の表面付着物を、前記伝播方向に対して略垂直方向へ除去する除去手段と、を具備することを特徴とする。
また、本発明に係る表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置は、前記探触子を2つ有しており、該2つの探触子は、被検査体の長手方向において異なる位置に配置され、被検査体の周方向において互いに対向する方向に超音波を送出することを特徴とする。
加えて、本発明に係る表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置は、長尺であって長手方向に沿った通材方向に移動する被検査体に対して、前記被検査体の表面直下を伝播する超音波を該被検査体の周方向に沿って送出する送信部、及び送出された超音波のうち、少なくとも被検査体内の欠陥で反射して戻った超音波を受信する受信部を備えた探触子と、前記通材方向において前記探触子の下流側に配備され、前記探触子へ向けて下流側から上流側へエアを吹き付けることで、前記送信部から送出される超音波の伝播範囲にある被検査体の表面付着物を、前記探触子よりも下流側から上流側へ、且つ前記超音波の伝播方向に対して略垂直方向へ除去する除去手段と、を具備することを特徴とする。
本発明に係る表面欠陥及び表面皮下欠陥検出方法は、超音波を用いて被検査体内の欠陥を検出する方法であって、超音波の伝播方向にある被検査体の表面付着物を、前記伝播方向に対して略垂直方向へ除去し、被検査体に対して、被検査体の表面直下を伝播する超音波を送出し、被検査体に送出された超音波のうち、少なくとも被検査体内の欠陥で反射した超音波を受信することを特徴とする。
また、本発明に係る表面欠陥及び表面皮下欠陥検出方法は、超音波の送出を開始する被検査体上の伝播方向前方に存する探傷範囲を、被検査体の長手方向へ移動させることを特徴とする。
ここで、超音波の伝播方向に対して略垂直方向となるように、被検査対象の探傷範囲へエアを噴射してもよい。
加えて、本発明に係る表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出方法は、上述のいずれかの検出装置を用いて、長尺であって長手方向に沿った通材方向に移動する被検査体内の欠陥を検出する方法であって、前記通材方向において前記探触子へ向けて下流側から上流側へエアを吹き付けることで、前記送信部から送出される超音波の伝播範囲にある被検査体の表面付着物を、前記探触子よりも下流側から上流側へ、且つ前記超音波の伝播方向に対して略垂直方向へ除去し、前記被検査体に対して、前記被検査体の表面直下を伝播する超音波を該被検査体の周方向に沿って送出し、被検査体に送出された超音波のうち、少なくとも被検査体内の欠陥で反射して戻った超音波を受信することを特徴とする。
本発明による表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1aは、金属材料である棒鋼や鋼片などの被検査体2に対して被検査体2の表面直下を伝播する超音波を送出する送信部、及び送出された超音波のうち、少なくとも被検査体2内の欠陥で反射して戻った超音波を受信する受信部を備えた探触子10と、送信部から送出される超音波の伝播方向にある被検査体2の表面付着物を、前記伝播方向に対して略垂直方向へ除去する除去手段3aと、を具備するものである。
[第1実施形態]
図1を参照して、表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1aの構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態による表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1a及び被検査体2の構成と配置を示す概略図である。
表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1aは、略四角柱の棒鋼である被検査体2の製造ラインに固定及び設置されている。
センサホルダ4は、例えば略立方体で下方が開放された箱型の筐体であって、その箱型の内部において、超音波である表面波(レーリー波)を送受信する探触子10を有する。さらにセンサホルダ4は、探触子10と被検査体2との間で超音波を伝達する接触媒質を供給するための接触媒質供給管11、及びその接触媒質を回収するための接触媒質回収管12を有するものである。
図2は、センサヘッド15の構成を示す断面図である。被検査体2の側面(検査面)上に配置されたセンサヘッド15のセンサホルダ4内において、探触子10は、図2に示すように、被検査体2との間に所定の空間を確保するように浮き上がって設けられている。つまり、被検査体2に接するセンサホルダ4内で、探触子10は、被検査体2から所定の間隔だけ上方に離れている。
欠陥検出の際には、接触媒質供給管11からこの空間内に接触媒質が供給され、供給された接触媒質は、接触媒質回収管12へ回収される。
図1に示す接触媒質供給回収部6は、センサヘッド15で用いられる接触媒質を、センサホルダ4の接触媒質供給管11を通してセンサホルダ4内の空間に供給すると共に、センサホルダ4の接触媒質回収管12を通してセンサホルダ4内の空間から接触媒質を回収するものである。そのため、接触媒質供給回収部6は、センサホルダ4の接触媒質供給管11及び接触媒質回収管12に接続される。ここで接触媒質とは、水、グリセリンペースト、油など超音波を伝達する物質である。
被検査体2は、通材方向を示す矢印の始端から終端に向かって移動する。本実施形態では、この矢印の始端側を上流側といい、その終端側を下流側という。
図3(a)は、被検査体2に対するセンサヘッド15及び後述するエアブロア3aの配置を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す構成を、被検査体2の通材方向の上流側から見たときの状態を示す図である。
図1に示す超音波探傷器7は、探触子10の送信コイルへのパルス電流の送出と、受信コイルからのパルス電流の受信を制御するものであって、センサヘッド15に接続されている。超音波探傷器7でパルス電流を調整することで、被検査体2の全周にわたって伝播する強度の超音波を発生させることができる。
続いて、表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1aにおける、除去手段としてのエアブロア3aの構成について説明する。エアブロア3aは、被検査体2の側面の幅とほぼ同じ幅を持つ略直方体の筐体と、該筐体の長手方向に沿って設けられた複数のエアノズル9と、エア導入口(図示せず)とから構成される。図3に示すエアブロア3aは、7個のエアノズル9を有している。
このときエアブロア3aは、エアノズル9の噴射方向が、通材方向の下流側から上流側に向かって、表面波の伝播方向に対して略垂直となるように、且つ図3(a)に2本の細線で挟まれた伝播範囲を含んで下流側から上流側にエアが噴射されるように配置されている。
上述のように構成及び配置されたエアブロア3aに、工場エア供給部5からエアが供給されると、エアブロア3aは、図3(a)で矢印で示すように、エア導入口に供給されたエアを、図中矢印で示すように通材方向の下流側から上流側に向けて、複数のエアノズル9から噴射する。
このような構成の表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1aは、被検査体2を回転させることなく通材させ、センサヘッド15から被検査体2の周方向に表面波を伝播させると共に、被検査体2の通材方向に逆向きに、エアブロア3aからエアを噴射する。
[第2実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態による表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1bについて説明する。
エアブロア3b〜3eは、第1実施形態で説明したエアブロア3aと同様の構成を有しており、それぞれ、第1実施形態で説明した工場エア供給部5に接続されている。
第1実施形態と同様にして、センサヘッド15を被検査体2の検査面に配置し、エアブロア3b〜3eを、センサヘッド15に対して通材方向の下流側に配置する。エアブロア3b〜3eのそれぞれは、図5(a)に示すように、表面波の伝播範囲から所定の距離だけ離れた位置で周方向に被検査体2を取り囲むように配置される。また、エアブロア3b〜3eのそれぞれは、被検査体2の検査面から所定の間隔を空けて浮き上がるとともに、エアノズル9の噴射方向が、通材方向の下流側から上流側に向かって表面波の伝播方向に対して略垂直となるように、且つ表面波の伝播範囲を含んで下流側から上流側にエアが噴射されるように配置される。
このように、エアブロア3a〜3dを被検査体2の検査面に対応させて全周に配置することで、被検査体2の全周にわたって表面波の伝播範囲にある粉塵等を除くことができるので、欠陥以外の粉塵などからの反射波を低減することができる。
本変形例における表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1cは、本発明の第2実施形態による表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1bにおいて、4つのエアブロア3b〜3eの代わりに、エアブロア3fを採用した構成を有している。本変形例において、被検査体2bは円柱状の棒鋼である。
図5(b)に示すように、エアブロア3fは、被検査体2bが通過するための開口を有する円環状の筐体を有しており、エア導入口(図示せず)を有するとともに、該筐体の円環状の平面に複数のエアノズル9を有するものである。図5(b)では、22個のエアノズル9が示されている。エアブロア3fは、エア導入口に供給されたエアを、図中矢印で示すように複数のエアノズル9から噴射する。
このときエアブロア3fは、エアノズル9の噴射方向が、通材方向の下流側から上流側に向かって、表面波の伝播方向に対して略垂直となるように、且つ該伝播範囲を含んで下流側から上流側にエアが噴射されるように配置されている。
このような配置構成において、センサヘッド15は表面波を送出し、送出された表面波は、被検査体2bに示されている略円状の矢印の方向に伝播する。これと同時に、エアブロア3fは、矢印で示す噴射方向にエアを噴射し、送出された表面波の伝播範囲にある接触媒質や粉塵を除去する。
本変形例において、被検査体2bは円柱状の棒鋼であるとしたが、被検査体2bが被検査体2aと同様の略四角柱の棒鋼であっても、被検査体2aの全周にわたって表面波の伝播範囲にある粉塵等を除くことができる。
磁粉探傷法とは、まず被検査体2を所定の方法で磁化し、蛍光特性を有する磁粉を分散させた磁粉液を被検査体2に散布し、被検査体2の表面欠陥から漏れ出る漏洩磁束によって磁粉を引き寄せる。その後に、表面欠陥の周辺に凝集した磁粉に紫外光源を照射して蛍光発光させ、磁粉指示模様を観察して表面欠陥を検出する検査方法である。
[第3実施形態]
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態による表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1dについて説明する。本実施形態の表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1dは、第1実施形態の表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置1aにおける、エアブロア3a及びセンサヘッド15を、2つずつ採用した構成を有している。
図8(b)は、2組のエアブロア3aとセンサヘッド15の組合せを、被検査体2の同一検査面上に、通材方向に連続するように配置した構成を示している。1つの組合せにおけるエアブロア3aとセンサヘッド15の配置構成は、第1実施形態で説明したものと同様であり、エアブロア3aは、エアブロア3aの噴射方向が、通材方向の下流側から上流側に向かって、表面波の伝播方向に対して略垂直となるように、且つ該伝播範囲を含んで下流側から上流側にエアが噴射されるように配置されている。
このように配備された2つのセンサヘッド15がそれぞれ表面波を送出すると、1つのセンサヘッド15だけを用いる場合では検出できない欠陥を検出することができる。この理由を、図9を用いて説明する。
図9に示すように、紙面右上から左下に向かって傾斜した欠陥13は、紙面右側のセンサヘッド15が送出した表面波を被検査体2の内部に向かって反射してしまうので、右側のセンサヘッド15は、欠陥13を検出することが困難である。しかし、紙面左側のセンサヘッド15が送出した表面波は、欠陥13と被検査体2の表面に閉じこめられる向きに反射するため、被検査体2の表面を伝わってセンサヘッド15に戻る。これによって左側のセンサヘッド15は、欠陥13を検出することができる。
その際、ひし形搬送されている被検査体2に対しては、被検査体2の上側を向く面に探触子を設置することで、接触媒質が表面波の伝播方向に侵入することを防げるので、より検出の効果が高くなる。なお、ひし形搬送とは、被検査体2の通材方向に垂直な断面における1つの対角線を水平にして、断面視ひし形形状となるように下側を向く面をピンチローラ等で支持しつつ被検査体2を搬送する方法のことである。
さらに各実施形態では、被検査体2の例として鋼片や棒鋼を開示しているが、これに限ることなく表面波が伝播できる材質のものであれば、例えば板状の部材や鍛造品でも被検査体2として適用することができる。
2 被検査体
3a〜3e エアブロア
4 センサホルダ
5 工場エア供給部
6 接触媒質供給回収部
7 超音波探傷器
8 信号記録処理装置
9 エアノズル
10 探傷子
11 接触媒質供給管
12 接触媒質回収管
13 欠陥
14 磁粉探傷装置
15 センサヘッド
Claims (7)
- 長尺であって長手方向に沿った通材方向に移動する被検査体に対して、前記被検査体の表面直下を伝播する超音波を該被検査体の周方向に沿って送出する送信部、及び送出された超音波のうち、少なくとも被検査体内の欠陥で反射して戻った超音波を受信する受信部を備えた探触子と、
前記通材方向において前記探触子の下流側に配備され、前記探触子へ向けて下流側から上流側へエアを吹き付けることで、前記送信部から送出される超音波の伝播範囲にある被検査体の表面付着物を、前記探触子よりも下流側から上流側へ、且つ前記超音波の伝播方向に対して略垂直方向へ除去する除去手段と、を具備することを特徴とする表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置。 - 前記除去手段は、被検査体の全周にわたって配備されていることを特徴とする請求項1に記載の表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置。
- 前記探触子を2つ有しており、
該2つの探触子は、被検査体の長手方向において異なる位置に配置され、被検査体の周方向において互いに対向する方向に超音波を送出することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面欠陥及び表面皮下欠陥の検出装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載された検出装置を用いて、長尺であって長手方向に沿った通材方向に移動する被検査体内の欠陥を検出する方法であって、
前記通材方向において前記探触子へ向けて下流側から上流側へエアを吹き付けることで、前記送信部から送出される超音波の伝播範囲にある被検査体の表面付着物を、前記探触子よりも下流側から上流側へ、且つ前記超音波の伝播方向に対して略垂直方向へ除去し、
前記被検査体に対して、前記被検査体の表面直下を伝播する超音波を該被検査体の周方向に沿って送出し、
被検査体に送出された超音波のうち、少なくとも被検査体内の欠陥で反射して戻った超音波を受信することを特徴とする表面欠陥及び表面皮下欠陥検出方法。 - 前記被検査体の全周にわたって同時に、前記伝播方向に対して略垂直方向へ、表面付着物を除去することを特徴とする請求項4に記載の表面欠陥及び表面皮下欠陥検出方法。
- 超音波の送出を開始する被検査体上の伝播方向前方に存する探傷範囲を、被検査体の長手方向へ移動させることを特徴とする請求項5に記載の表面欠陥及び表面皮下欠陥検出方法。
- 被検査体の長手方向における異なる位置から、被検査体の周方向において互いに対向する方向に超音波を送出することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の表面欠陥及び表面皮下欠陥検出方法。
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