JP5627527B2 - 波力発電装置の固有振動調整機構 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明にかかる波力発電装置は、バネを介して浮体の内部に取り付けられて、水面の変動に応じて往復直線運動する振動体と、該振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電する発電機とを備えた波力発電装置において、前記振動体の質量に対して、質量を付加する付加質量体を備え、該付加質量体の付加質量が調整可能とされていることを特徴とする。
なお、本発明の発電機は、振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電するものであればよく、発電機に伝達される駆動力は振動体から直接得てもよく(例えばリニア発電機)、あるいは間接的に他の機構を介して得ても良く、さらには、付加質量体を介して駆動力を得ても良い。
本発明の付加質量体は、回転中心から半径方向に移動可能とされた移動錘を備え、この移動錘を移動手段によって半径方向に移動させて所望の付加質量となるように位置させることとした。具体的には、移動錘を半径方向外側に位置させれば重心が半径方向外側に移ることによって慣性モーメントが大きくなり付加質量を増大させることができ、反対に、移動錘を半径方向内側に位置させれば重心が半径方向内側に移ることによって慣性モーメントが小さくなり付加質量を減少させることができる。
なお、付加質量体としては、ブレードのみで構成しても良く、或いは、ブレードと、慣性モーメントを得るための例えば円板状とされた回転板状体との組合せとしてもよい。
また、フィンを分割して、個別に進退可能とすることにより、付加質量の調整幅を細かく設定できるようにしても良い。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
図1には、第1実施形態にかかる波力発電装置の概略構成が示されている。
波力発電装置1は、海洋の水面7上に上部が露出して浮かぶ箱形の浮体2を備えている。浮体2内には、バネ4を介して浮体2内に取り付けられたウェイト(振動体)3と、ウェイト3に対して回転するボールネジ軸(回転体)5と、ボールネジ軸5に固定された付加質量体6と、ボールネジ軸5によって駆動されて発電する発電機8とを備えている。
移動用ボールネジ軸12は、その一端がボールネジ軸5に対して固定されるとともに、半径方向に延在してリング体10を挿通して他端が移動用モータ16に接続されている。
移動錘14は、移動錘用ボールネジ軸12の回転に応じて半径方向に変位させられるようになっている。
移動用モータ16は、図示しない制御部からの指令に基づいて駆動されるようになっており、リング体10に対して固定されている。
付加質量体6は、移動用モータ16によって移動錘14の半径位置が決定された状態で、リング体10,移動錘用ボールネジ軸12、移動錘14および移動用モータ16が一体でボールネジ軸5とともに回転するようになっている。したがって、付加質量体6の回転時の慣性モーメントによる付加質量は、移動錘14の半径方向位置に応じて変化させることができるようになっており、具体的には、移動錘14を半径方向外側(リング体10側)に位置させれば重心が半径方向外側に移ることによって慣性モーメントが大きくなり付加質量を増大させることができ、反対に、移動錘14を半径方向内側(ボールネジ軸5側)に位置させれば重心が半径方向内側に移ることによって慣性モーメントが小さくなり付加質量を減少させることができる。
図3には、図1に示した波力発電装置1の振動系モデルが示されている。
同図において各記号は以下の通りである。
zm : ウェイト3の変位
zb : 浮体2の変位
mm : ウェイト3の質量
mb : 浮体2の質量
k : 浮体2−ウェイト3間バネ定数
kb : 浮力バネ定数
c : 浮体2−ウェイト3間の減衰定数(例えば発電機8)
cb : 造波減衰定数
cf : 付加質量体6の減衰定数
I : 付加質量体6の慣性モーメント
mba : 付加水質量
Ff : 波外力
付加質量体6の移動錘14の半径方向位置を変化させることによって、付加質量体6の慣性モーメントIを変化させ、付加質量Δmを調整できるようにした。これにより、式(1)及び式(12)から分かるように、ウェイト3の固有振動数を調整することができるので、変化する波周期に対応させてウェイト3を共振させることができ、結果として波力発電装置1の設備利用率を向上させることができる。
図4は、移動錘14をリング体10の外周側で、図2と同様に移動錘用ボールネジ軸12及び移動用モータ16によって、移動錘14の半径位置を調整するものである。図4のように、移動錘14をリング体10の外周側に位置させることにより、図2の場合よりも慣性モーメントを増大させることができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図6及び図7を用いて説明する。
本実施形態は、ウェイト3が往復直線運動を行い発電機8にて発電する構成は第1実施形態と同様なので、同一符号を付しその説明を省略する。本実施形態の波力発電装置30は、付加質量体の構成が第1実施形態と異なるので、この点について説明する。
付加質量体32は、ボールネジ軸5とともに回転する円板状のイナーシャディスク33と、ブレード34とを備えている。
イナーシャディスク33は、ボールネジ軸5に固定され、ボールネジ軸5とともに回転するようになっている。したがって、イナーシャディスク33による付加質量は、円板の慣性モーメントとなり、固定値である。
ブレード34は、その基端部がボールネジ軸5の下端部に固定されており、半径方向に延在するように構成されている。ブレード34の枚数は、図6では2枚とされているが、その数は3枚以上であってもよい。
浮体2の円筒ケーシングの下端2aは開放端となっている。したがって、付加質量体32が取り付けられた空間、すなわち浮体2のベースプレート9から下方の空間は空気室となっており、浮体2の円筒ケーシングの下端2aの位置に水面が位置している。
本実施形態では、ブレード34が浮体2の下端2aの下方の水中に対して進退するようになっている。付加質量体32によって得られる付加質量は、浸水する前は、イナーシャディスク33及びブレード34の慣性モーメントと、ブレード34が空気を攪拌する抵抗力とされる。そして、図7の右図に示すようにブレード34が水中に浸水すると、水の粘性および比重によってブレード34に加わる抵抗力が更に大きくなり、付加質量が増大する。このように、付加質量体32のブレード34を水中に対して進退させることによって付加質量を調整することができる。
イナーシャディスク33の下面に設けたフィン35によって、水中での抵抗力を増大させて付加質量の調整を図る。また、フィン35が付加重量体32と一体に構成されているので、装置構成が簡便化される。
2 浮体
3 ウェイト(振動体)
4 バネ
5 ボールネジ軸(回転体)
6 付加質量体
8 発電機
14 移動錘
16 移動用モータ(移動手段)
32 付加質量体
33 イナーシャディスク
34 ブレード
35 フィン
Claims (7)
- バネを介して浮体の内部に取り付けられて、水面の変動に応じて往復直線運動する振動体と、
該振動体の往復直線運動に基づいて駆動されて発電する発電機と、
を備えた波力発電装置において、
前記振動体の質量に対して、質量を付加する付加質量体を備え、
該付加質量体の付加質量が調整可能とされていることを特徴とする波力発電装置。 - 前記振動体の往復直線運動を回転運動に変換する変換機構と、
前記変換機構を介して取り出された回転力により回転するとともに、前記発電機を駆動する回転体とを備え、
前記付加質量体は、前記回転体とともに回転するように取り付けられるとともに、回転中心から半径方向に移動可能とされた移動錘と、該移動錘を半径方向に移動させる移動手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の波力発電装置。 - 前記振動体の往復直線運動を回転運動に変換する変換機構と、
前記変換機構を介して取り出された回転力により回転するとともに、前記発電機を駆動する回転体とを備え、
前記付加質量体は、前記回転体とともに回転するように取り付けられるとともに、水中に対して進退することを特徴とする請求項1に記載の波力発電装置。 - 前記付加質量体は、前記回転体に基端部が取り付けられ半径方向に延在するブレードを備えていることを特徴とする請求項3に記載の波力発電装置。
- 前記ブレードのピッチ角が変更可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の波力発電装置。
- 前記付加質量体は、前記回転体に固定された回転板状体とされ、
該回転板状体には、フィンが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の波力発電装置。 - 前記フィンは、前記回転板状体に対して進退可能とされていることを特徴とする請求項6に記載の波力発電装置。
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