以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
《実施形態1》
−全体構成−
図1及び図2に示すように、本実施形態1では、本発明の実施形態に係る冷凍装置の一例として空気調和装置(1)について説明する。
上記空気調和装置(1)は、室内ユニット(1A)と、室外ユニット(1B)とを備えている。上記空気調和装置(1)は、室内ユニット(1A)と室外ユニット(1B)とに跨って配設された冷媒回路(2)を備え、該冷媒回路(2)において冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。
上記冷媒回路(2)は、圧縮機(11)、四路切換弁(12)、室外熱交換器(13)、室内熱交換器(14)、膨張機構(15)及びブリッジ回路(16)を有している。また、冷媒回路(2)には、二酸化炭素(CO2)が冷媒として充填されている。なお、冷媒回路(2)に充填される冷媒は二酸化炭素以外のものであっても勿論よいが、二酸化炭素は、例えばHFC系の冷媒と比較して、冷媒配管を流れる際の圧力損失が小さくなる特性を有している。そのため、冷媒として二酸化炭素を用いることにより、室外熱交換器(13)や室内熱交換器(14)を流通する際の圧力損失を低減して、熱交換を効率よく行わせることができる。
上記圧縮機(11)は、冷媒配管によって、吐出側が四路切換弁(12)の第1ポートに接続される一方、吸入側が四路切換弁(12)の第3ポートに接続されている。なお、本実施形態では、圧縮機(11)の吸入側と四路切換弁(12)の第3ポートとの間にアキュムレータ(25)が設けられている。該アキュムレータ(25)は、圧縮機(11)に吸入される冷媒中に含まれる液冷媒を除去し、ガス冷媒のみを圧縮機(11)に吸入させる。また、本実施形態では、圧縮機(11)に吸入された冷媒(二酸化炭素(CO2))は、圧縮機(11)において臨界圧力以上の圧力に圧縮される。
上記四路切換弁(12)は、第1〜第4までの4つポートを有し、第1ポートと第4ポートとが連通し且つ第2ポートと第3ポートとが連通する第1の状態(図1参照)と、第1ポートと第2ポートとが連通し且つ第3ポートと第4ポートとが連通する第2の状態(図2参照)とに切り換わるように構成されている。四路切換弁(12)の状態を切り換えることにより、冷媒回路(2)における冷媒の循環方向が切り換わり、後述する冷房運転と暖房運転とが切り換えられる。つまり、四路切換弁(12)は、空気調和装置(1)における運転を切り換える運転切換手段を構成している。
上記室外熱交換器(13)は、空冷式の熱交換器によって構成されている。室外熱交換器(13)は、冷媒配管によって、一端が四路切換弁(12)の第4ポートに接続される一方、他端がブリッジ回路(16)に接続されている。また、室外熱交換器(13)には、図示を省略する室外ファンによって室外空気が供給され、室外熱交換器(13)では、供給された室外空気と冷媒回路(2)の冷媒との間において熱交換が行われる。なお、本実施形態では、室外熱交換器(13)が本発明に係る熱源側熱交換器を構成する。
上記室内熱交換器(14)は、空冷式の熱交換器によって構成されている。室内熱交換器(14)は、冷媒配管によって、一端が四路切換弁(12)の第2ポートに接続される一方、他端がブリッジ回路(16)に接続されている。また、室内熱交換器(14)には、図示を省略する室内ファンによって室内空気が供給され、室内熱交換器(14)では、供給された室内空気と冷媒回路(2)の冷媒との間において熱交換が行われる。なお、本実施形態では、室内熱交換器(14)が本発明に係る利用側熱交換器を構成する。
上記膨張機構(15)は、本実施形態では、膨張弁(15a)によって構成されている。該膨張弁(15a)は、上記冷媒回路(2)の一部を構成する高圧冷媒流路(4)と低圧冷媒流路(5)との間に設けられている。具体的には、該膨張弁(15a)の流入側端に高圧冷媒流路(4)が接続される一方、流出側端に低圧冷媒流路(5)が接続されている。なお、高圧冷媒流路(4)及び低圧冷媒流路(5)は、それぞれ冷媒配管によって形成されている。また、高圧冷媒流路(4)及び低圧冷媒流路(5)は、後述するブリッジ回路(16)の一方向通路を構成する。さらに、膨張弁(15a)は、開度が調節可能に構成された電動弁によって構成され、冷媒回路(2)の蒸発圧力が所定の圧力になるように開度調節される。
上記ブリッジ回路(16)は、室外熱交換器(13)と室内熱交換器(14)との間に設けられている。ブリッジ回路(16)は、ブリッジ状に接続された第1〜第4管路(16a〜16d)と、第1〜第4逆止弁(17a〜17d)と、上記一方向通路とを備えている。
第1〜第4管路(16a〜16d)は、四角状の閉回路を形成している。第1管路(16a)の一端と第2管路(16b)の一端とが接続され、第2管路(16b)の他端と第3管路(16c)の一端とが接続され、第3管路(16c)の他端と第4管路(16d)の一端とが接続され、第4管路(16d)の他端と第1管路(16a)の他端とが接続されている。また、第1管路(16a)と第4管路(16d)の接続部と、第2管路(16b)と第3管路(16c)の接続部とが上記一方向通路によって接続されている。具体的には、上記一方向通路の上記高圧冷媒流路(4)の流入側端が第2管路(16b)と第3管路(16c)の接続部に接続される一方、上記一方向通路の上記低圧冷媒流路(5)の流出側端が第1管路(16a)と第4管路(16d)の
接続部に接続されている。
上記第1管路(16a)に第1逆止弁(17a)が設けられ、上記第2管路(16b)に第2逆止弁(17b)が設けられ、上記第3管路(16c)に第3逆止弁(17c)が設けられ、第4管路(16d)に第4逆止弁(17d)が設けられている。
また、上記第1〜第4逆止弁(17a〜17d)は、それぞれ入口側から出口側に向かう方向への冷媒の流通だけを許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止するように構成されている。そして、第1逆止弁(17a)は、第1管路(16a)において、入口側が第4管路(16d)側に且つ出口側が第2管路(16b)側になるように配置されている。第2逆止弁(17b)は、第2管路(16b)において、入口側が第1管路(16a)側に且つ出口側が第3管路(16c)側になるように配置されている。第3逆止弁(17c)は、第3管路(16c)において、入口側が第4管路(16d)側に且つ出口側が第2管路(16b)側になるように配置されている。第4逆止弁(17d)は、第4管路(16d)において、入口側が第1管路(16a)側に且つ
出口側が第3管路(16c)側になるように配置されている。
上述のように、上記ブリッジ回路(16)には、室内熱交換器(14)と、室外熱交換器(13)とが接続されている。具体的には、上記室外熱交換器(13)は、冷媒配管によって第1管路(16a)と第2管路(16b)の接続部に接続されている。上記室内熱交換器(14)は、冷媒配管によって第3管路(16c)と第4管路(16d)の接続部に接続されている。
上述のような構成により、冷房運転の際にも暖房運転の際にも、ブリッジ回路(16)では、一方向通路において冷媒が常に高圧冷媒流路(4)側から低圧冷媒流路(5)側へ一方向に流れる。そのため、冷房運転及び暖房運転のいずれの運転の際にも、放熱器として機能する熱交換器から流出した高圧冷媒は、まず高圧冷媒流路(4)に導かれて膨張弁(15a)で減圧された後、低圧冷媒流路(5)に流入して蒸発器として機能する熱交換器に導かれることとなる。なお、具体的な動作については後述する。
上記高圧冷媒流路(4)には、補助熱交換器(20)が接続されている。補助熱交換器(20)は、ペルチェ素子(21)と冷却用部材(22)とを有している。
上記ペルチェ素子(21)は、2種類の金属部材の接続部に直流電流を供給すると、一方の金属部材から他方の金属部材へ熱が移動する所謂ペルチェ効果を利用した素子であり、一方の金属部材側の第1伝熱部(21a)と、他方の金属部材側の第2伝熱部(21b)とを有している。なお、図示を省略しているが、ペルチェ素子(21)の第1伝熱部(21a)と第2伝熱部(21b)との接続部には、直流電流を供給する電源が接続されている。また、本実施形態では、第1伝熱部(21a)が吸熱側となり、第2伝熱部(21b)が発熱側となるように電源から直流電流が供給される。
上記冷却用部材(22)は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属からなる本体部(22a)と、同様に熱伝導率の高い金属からなり、上記本体部(22a)に埋設された冷媒管(22b)とを備えている。本実施形態では、冷媒管(22b)の内部流路は、上記高圧冷媒流路(4)の一部を構成している。また、冷却用部材(22)は、冷媒管(22b)内を流れる冷媒とペルチェ素子(21)の第1伝熱部(21a)との熱交換が可能になるように、本体部(22a)が第1伝熱部(21a)に接触するように設けられている。なお、冷却用部材(22)は、本体部(22a)と冷媒管(22b)が一体に形成されたものであってもよい。
また、空気調和装置(1)は、上記ペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21a)を冷却する冷却機構(30)を備えている。該冷却機構(30)は、冷媒回路(2)で放熱後の高圧冷媒の一部を分岐させ、該分岐冷媒に第2伝熱部(21a)から放出される熱を吸収させた後、分岐冷媒を圧縮機(11)の吐出側に戻すように構成されている。具体的には、冷却機構(30)は、冷媒回路(2)に接続された分岐路(31)と、冷媒冷却器(32)と、冷媒ポンプ(33)とを備えている。
上記分岐路(31)は、一端が高圧冷媒流路(4)の補助熱交換器(20)の上流側に接続される一方、他端が冷媒回路(2)の冷媒配管の一部である圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に接続されている。分岐路(31)は、冷媒配管によって形成されている。
上記冷媒冷却器(32)は、上記分岐路(31)に設けられている。冷媒冷却器(32)は、例えば、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属からなる本体部(32a)と、同様に熱伝導率の高い金属からなり、上記本体部(32a)に埋設された冷媒管(32b)とを備えている。本実施形態では、冷媒管(32b)の内部流路が、上記分岐路(31)の一部を構成している。また、冷媒冷却器(32)は、上記冷媒管(32b)内を流れる冷媒とペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)との熱交換が可能になるように、本体部(32a)がペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)に接触するように設けられている。
上記冷媒ポンプ(33)は、上記分岐路(31)の上記冷媒冷却器(32)の上流側に設けられている。また、冷媒ポンプ(33)は、吸入した冷媒を所定圧力だけ昇圧して圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すように構成されている。
以上のような構成により、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)を駆動すると、高圧冷媒流路(4)の高圧冷媒の一部が分岐路(31)に引き込まれて冷媒ポンプ(33)において昇圧され、冷媒冷却器(32)においてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)から吸熱した後、圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻される。
−運転動作−
次に、上記空気調和装置(1)の運転動作について説明する。空気調和装置(1)では、四路切換弁(12)の状態が切り換えられることにより、冷媒回路(2)における冷媒の循環方向が切り換わる。これにより、空気調和装置(1)において、室外熱交換器(13)が放熱器として機能し且つ室内熱交換器(14)が蒸発器として機能する冷房運転と、室内熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する暖房運転とが切り換えられる。
《冷房運転》
図1に示すように、冷房運転の際には、四路切換弁(12)が第1の状態に切り換えられ、膨張弁(15a)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(11)を駆動すると、冷媒回路(2)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。また、圧縮機(11)の駆動と共に、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給すると共に、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)を駆動する。
冷房運転では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒は、四路切換弁(12)を通って室外熱交換器(13)に流入する。室外熱交換器(13)に流入した上記吐出冷媒は、室外熱交換器(13)において室外空気と熱交換を行い、室外空気に対して放熱する。
室外熱交換器(13)において放熱後、該室外熱交換器(13)から流出した高圧冷媒は、ブリッジ回路(16)の第2管路(16b)に流入し、第2逆止弁(17b)によって高圧冷媒流路(4)に導かれる。該高圧冷媒流路(4)に流入した高圧冷媒は、上記冷媒ポンプ(33)の駆動によって一部が分岐されて分岐路(31)に流入する一方、残りは補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入する。
ところで、上記ペルチェ素子(21)には、第1伝熱部(21a)が吸熱側となって第2伝熱部(21b)が発熱側となるように、電源から第1伝熱部(21a)と第2伝熱部(21b)の接続部に直流電流が供給される。これにより、第1伝熱部(21a)において吸収された熱が第2伝熱部(21b)に搬送され、該熱がペルチェ素子(21)自体の消費電力分の熱と共に第2伝熱部(21b)から放出される。
上述のように、補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)は、冷媒管(22b)内を流れる冷媒とペルチェ素子(21)の第1伝熱部(21a)との熱交換が可能になるように設けられている。そのため、冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒は、第1伝熱部(21a)によって冷却される。具体的には、冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒の熱が、冷媒管(22b)及び本体部(22a)によって第1伝熱部(21a)に導かれて該第1伝熱部(21a)に吸収されることによって、冷媒管(22b)の高圧冷媒が冷却される。このようにして第1伝熱部(21a)によって冷却された高圧冷媒は、冷媒管(22b)から流出して膨張弁(15a)に流入する。
ここで、ペルチェ素子(21)に流す直流電流が少なすぎると高圧冷媒を冷却する効果が十分に得られない一方、ペルチェ素子(21)に流す直流電流が多すぎるとペルチェ素子(21)の吸熱側となる第1伝熱部(21a)と発熱側となる第2伝熱部(21b)との温度差が大きくなってペルチェ素子(21)自体の効率が低下してしまう。そこで、ペルチェ素子(21)には、空気調和装置(1)全体の効率が最大となる最適な値の直流電流を供給する。
一方、上記分岐路(31)に流入した分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)に吸入される。該冷媒ポンプ(33)に吸入された分岐冷媒は、所定圧力だけ昇圧されて冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入する。
なお、上記所定圧力は、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒が、室外熱交換器(13)を通過後、冷却機構(30)によって分岐されてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)と熱交換して再び圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に返送されるまでの間に、各配管において損失される圧力の総和(主に室外熱交換器(13)において損失される圧力)によって求められる。つまり、冷媒ポンプ(33)では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒が、室外熱交換器(13)を通過後、冷却機構(30)によって分岐されてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)と熱交換して再び圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に返送されるまでの間に損失される圧力分だけ昇圧すればよい。
上述のように、上記冷媒冷却器(32)は、冷媒管(32b)の内部流路を流れる冷媒とペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)との熱交換が可能になるように設けられている。そのため、冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入した高圧の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)を冷却する。具体的には、第2伝熱部(21b)から放出される熱が、本体部(32a)及び冷媒管(32b)を介して該冷媒管(32b)に流入した分岐冷媒に吸収されることによって、第2伝熱部(21b)が冷却される。一方、冷媒管(32b)の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)によって加熱されることとなる。そして、第2伝熱部(21b)によって加熱された分岐冷媒は、冷媒管(32b)から流出して圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入する。
なお、上述のように、分岐路(31)の分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)において所定圧力だけ昇圧されているため、容易に且つ円滑に圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入して圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒に合流することとなる。
一方、上記膨張弁(15a)に流入した高圧冷媒は、該膨張弁(15a)において減圧されて低圧冷媒となり、低圧冷媒流路(5)に流入する。該低圧冷媒流路(5)に流入した低圧冷媒は、第4管路(16d)に流入し、第4逆止弁(17d)によって蒸発器として機能する室内熱交換器(14)に導かれる。
室内熱交換器(14)に流入した低圧冷媒は、室内空気と熱交換を行い、室内空気から吸熱して蒸発する。室内熱交換器(14)において低圧冷媒に吸熱されて冷却された室内空気は、室内へ送り返される。一方、室内熱交換器(14)において蒸発した低圧ガス冷媒は、室内熱交換器(14)から流出してアキュムレータ(25)及び四路切換弁(12)を通過した後、再び圧縮機(11)に吸入される。圧縮機(11)に吸入された低圧ガス冷媒は、臨界圧力以上の高圧圧力状態になるまで圧縮されて圧縮機(11)から吐出される。
《暖房運転》
図2に示すように、暖房運転の際には、四路切換弁(12)が第2の状態に切り換えられ、膨張弁(15a)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(11)を駆動すると、冷媒回路(2)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。また、圧縮機(11)の駆動と共に、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給すると共に、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)を駆動する。
暖房運転では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒は、四路切換弁(12)を通って室内熱交換器(14)に流入する。室内熱交換器(14)に流入した上記吐出冷媒は、室内熱交換器(14)において室内空気と熱交換を行い、室内空気に対して放熱する。室内熱交換器(14)において吐出冷媒から放出された熱を吸収して加熱された室内空気は、室内へ送り返される。
室内熱交換器(14)において放熱後、該室内熱交換器(14)から流出した高圧冷媒は、ブリッジ回路(16)の第3管路(16c)に流入し、第3逆止弁(17c)によって高圧冷媒流路(4)に導かれる。該高圧冷媒流路(4)に流入した高圧冷媒は、冷房運転と同様に、上記冷媒ポンプ(33)の駆動によって一部が分岐されて分岐路(31)に流入する一方、残りは補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入する。
ところで、上記ペルチェ素子(21)では、冷房運転と同様に、上記第1伝熱部(21a)が吸熱側となって第2伝熱部(21b)が発熱側となるように、電源から第1伝熱部(21a)と第2伝熱部(21b)の接続部に直流電流が供給される。これにより、第1伝熱部(21a)において吸収された熱が第2伝熱部(21b)に搬送され、該熱がペルチェ素子(21)自体の消費電力分の熱と共に第2伝熱部(21b)から放出される。
上述のように、補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)は、冷媒管(22b)内を流れる冷媒とペルチェ素子(21)の第1伝熱部(21a)との熱交換が可能になるように設けられている。そのため、冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒は、第1伝熱部(21a)によって冷却される。具体的には、冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒の熱が、冷媒管(22b)及び本体部(22a)によって第1伝熱部(21a)に導かれて該第1伝熱部(21a)に吸収されることによって、冷媒管(22b)の高圧冷媒が冷却される。このようにして第1伝熱部(21a)によって冷却された高圧冷媒は、冷媒管(22b)から流出して膨張弁(15a)に流入する。なお、冷房運転と同様に、ペルチェ素子(21)には、空気調和装置(1)全体の効率が最大となる最適な値の直流電流を供給する。
一方、上記分岐路(31)に流入した高圧の分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)に吸入される。該冷媒ポンプ(33)に吸入された分岐冷媒は、所定圧力だけ昇圧されて冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入する。
なお、上記所定圧力は、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒が、室内熱交換器(14)を通過後、冷却機構(30)によって分岐されてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)と熱交換して再び圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に返送されるまでの間に、各配管において損失される圧力の総和(主に室内熱交換器(14)において損失される圧力)によって求められる。つまり、冷媒ポンプ(33)では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒が、室内熱交換器(14)を通過後、冷却機構(30)によって分岐されてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)と熱交換して再び圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に返送されるまでの間に損失される圧力分だけ昇圧すればよい。
上述のように、上記冷媒冷却器(32)は、冷媒管(32b)の内部流路を流れる冷媒とペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)との熱交換が可能になるように設けられている。そのため、冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入した高圧の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)を冷却する。具体的には、第2伝熱部(21b)から放出される熱が、本体部(32a)及び冷媒管(32b)を介して該冷媒管(32b)に流入した分岐冷媒に吸収されることによって、第2伝熱部(21b)が冷却される。一方、冷媒管(32b)の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)によって加熱されることとなる。そして、第2伝熱部(21b)によって加熱された分岐冷媒は、冷媒管(32b)から流出して圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入する。
なお、上述のように、分岐路(31)の分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)において所定圧力だけ昇圧されているため、容易に且つ円滑に圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入して圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒に合流することとなる。
一方、上記膨張弁(15a)に流入した高圧冷媒は、該膨張弁(15a)において減圧されて低圧冷媒となり、低圧冷媒流路(5)に流入する。該低圧冷媒流路(5)に流入した低圧冷媒は、第1管路(16a)に流入し、第1逆止弁(17a)によって蒸発器として機能する室外熱交換器(13)に導かれる。
室外熱交換器(13)に流入した低圧冷媒は、室外空気と熱交換を行い、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(13)において蒸発した低圧ガス冷媒は、室外熱交換器(13)から流出してアキュムレータ(25)及び四路切換弁(12)を通過した後、再び圧縮機(11)に吸入される。圧縮機(11)に吸入された低圧ガス冷媒は、臨界圧力以上の高圧圧力状態になるまで圧縮されて圧縮機(11)から吐出される。
−実施形態1の効果−
以上のように、上記実施形態1では、ペルチェ素子(21)と冷却機構(30)を備えている。そのため、冷房運転の際には、室外熱交換器(13)で放熱した高圧冷媒の分岐冷媒でペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)を冷却して、吸熱側の第1伝熱部(21a)から発熱側の第2伝熱部(21b)への熱移送を円滑にすることにより、 室外熱交換器(13)で放熱した高圧冷媒を第1伝熱部(21a)によって十分に冷却することができる。よって、室内熱交換器(14)における吸熱量が増大し、空気調和装置(1)の冷却能力及び冷却効率の向上を図ることができる。一方、暖房運転の際には、室内熱交換器(14)で放熱した高圧冷媒の分岐冷媒をペルチェ素子(21)の発熱側の第2伝熱部(21b)から放出される熱によって加熱して圧縮機(11)の吐出側に戻すことにより、室内熱交換器(14)における冷媒の放熱量を増大させることができる。よって、空気調和装置(1)の加熱能力及び加熱効率の向上を図ることができる。
また、上記実施形態1によれば、ペルチェ素子(21)の発熱側となる第2伝熱部(21b)を大型の放熱フィン等によって冷却するのではなく、放熱器となる熱交換器(13,14,74)で放熱した高圧冷媒の分岐冷媒によって冷却することとした。そのため、フィン等で空冷する場合に比べて、ペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)を冷却する冷却手段をコンパクトに形成することができる。また、空気に比べて冷媒は伝熱性能が高いため、冷媒によってペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)を効率よく冷却することができる。その結果、ペルチェ素子(21)の吸熱側となる第1伝熱部(21a)と発熱側となる第2伝熱部(21b)とにおける温度差を小さくすることができ、ペルチェ素子(21)自体の効率を向上させることができる。
ところで、上記実施形態1では、放熱器となる熱交換器(13,14)で放熱した高圧冷媒の分岐冷媒(分岐路(31)の冷媒)を、圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すこととしているが、上記分岐冷媒を圧縮機(11)の吸入側や圧縮機(11)内の圧縮途中の冷媒に戻すことも可能である。
しかしながら、上記分岐冷媒を圧縮機(11)の吸入側や圧縮機(11)内の圧縮途中の冷媒に戻す場合、分岐冷媒を接続先の圧力に合うように減圧した後、圧縮機(11)において再度圧縮する必要があり、圧縮機(11)の動力が増大してしまう。また、圧縮機(11)内に冷媒を戻す場合、圧縮途中に冷媒を導入するため、戻す冷媒の圧力や流量の制約が大きく、効率よく分岐冷媒を冷媒回路(2)に戻すことが難しい。
それに比べ、上記実施形態1によれば、上記分岐冷媒を圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すこととしているため、分岐冷媒を減圧する必要がなく、また、戻した冷媒を圧縮機(11)において再度圧縮することもない。よって、上記分岐冷媒を効率よく冷媒回路(2)に戻すことができる。さらに、上記分岐冷媒を圧縮機(11)内に戻す場合に比べて戻す冷媒の流量の制約が小さいため、放熱後の高圧冷媒のより多くを分岐させることができる。これにより、冷房運転の際には、ペルチェ素子(21)の発熱側となる第2伝熱部(21b)を十分に冷却することができるため、第1伝熱部(21a)によって上記高圧冷媒を十分に冷却することができる。これにより、冷媒回路(2)において蒸発器となる室内熱交換器(14)での吸熱量を増大させて空気調和装置(1)の冷却能力及び冷却効率の向上を図ることができる。一方、暖房運転の際には、ペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)から放出される熱の多くを分岐冷媒に吸収させることができるため、放熱器となる室内熱交換器(14)における吐出冷媒の放熱量を増大させて空気調和装置(1)の加熱能力及び加熱効率の向上を図ることができる。
また、上記実施形態1によれば、分岐冷媒を冷媒ポンプ(33)を用いることによって容易に冷媒回路(2)の圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すことができる。なお、上述のように、冷媒ポンプ(33)は、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒が、放熱器となる熱交換器(13,14)を通過後、冷却機構(30)によって分岐されてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)と熱交換して再び圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に返送されるまでの間に損失される僅かな圧力分だけを昇圧できればよい。従って、上記実施形態1によれば、小型の冷媒ポンプ(33)を用いて装置の大型化を抑制しつつ、分岐冷媒を容易に圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すことができる。
また、上記実施形態1によれば、ブリッジ回路(16)を備えているため、冷房運転及び暖房運転のいずれの運転の際にも、放熱後の高圧冷媒をペルチェ素子(21)の第1伝熱部(21a)によって冷却すると共に、放熱後の高圧冷媒の一部を分岐路(31)に分岐させてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)から吸熱させた後に圧縮機(11)の吐出側に戻すことができる。これにより、冷房運転の際には、放熱後の高圧冷媒をペルチェ素子(21)の第1伝熱部(21a)によってさらに冷却することができるため、冷却性能及び冷却効率の向上を図ることができる。一方、暖房運転の際には、放熱後の高圧冷媒の一部を分岐させてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)によって加熱した後に圧縮機(11)の吐出側に戻すことで、暖房能力及び暖房効率の向上を図ることができる。従って、冷房運転及び暖房運転のいずれの際にも効率の向上を図ることができる。
また、上記実施形態1によれば、ブリッジ回路(16)を備えているため、冷房運転用と暖房運転用とで別個にペルチェ素子(21)を設けるのではなく、ブリッジ回路(16)によって冷媒の流通経路を変更することによって、1つのペルチェ素子(21)でいずれの運転の際にも空気調和装置(1)の能力及び効率の向上を図ることができる。
また、上記実施形態1によれば、冷媒回路(2)において冷媒として二酸化炭素を用
いることにより、冷媒が室外熱交換器(13)や室内熱交換器(14)を通過する際の圧力損失を低減して、放熱器や蒸発器における熱交換効率を向上させることができる。従って、空気調和装置(1)の能力及び効率の向上をより図ることができる。
《実施形態2》
図3及び図4に示すように、実施形態2は、実施形態1の空気調和装置(1)の冷却機構(30)の構成を変更したものである。その他の構成は、実施形態1と同様である。
具体的には、実施形態2では、冷却機構(30)は、分岐路(31)と、冷媒冷却器(32)と、流量調整弁(34)と、エジェクタ機構(50)とを備えている。分岐路(31)及び冷媒冷却器(32)は、実施形態1と同様に構成されている。
上記流量調整弁(34)は、上記分岐路(31)の分岐部分(上流側端部)と冷媒冷却器(32)との間に配置されている。また、流量調整弁(34)は、開度が調節可能に構成された電動弁によって構成されている。そして、流量調整弁(34)の開度を調節すると、分岐路(31)に分岐する高圧冷媒の流量が調整される。つまり、流量調整弁(34)の開度を調節することによって、冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)への冷媒流入量が調整され、分岐冷媒によるペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)からの吸熱量を調整することができる。
上記エジェクタ機構(50)は、分岐路(31)の下流側端部に配置されている。図5に示すように、エジェクタ機構(50)は、圧縮機(11)の吐出側配管(11a)の一部として構成された本体部(51)と、該本体部(51)と分岐路(31)の下流側端部とを接続する接続部(52)とを有している。
上記本体部(51)の内部には、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒を流通させる内部流路(53)が形成されている。本体部(51)は、圧縮機(11)の吐出冷媒を加速して噴射するノズル部(51a)と、該ノズル部(51a)の下流側に連続する拡径部(51b)とを有している。ノズル部(51a)は、中途部から下流側に向かって、内部流路(53)の流路断面積が徐々に小さくなるように形成されている。一方、拡径部(51b)は、上流側から下流側に向かって、内部流路(53)の流路断面積が徐々に大きくなるように形成されている。
上記接続部(52)は、本実施形態では上記本体部(51)と一体に形成されている。接続部(52)は、本体部(51)において内部流路(53)の流路断面積が最も小さくなった部分から径方向外側へ向かって突出するように形成されている。そして、接続部(52)の内部には、上記本体部(51)の内部流路(53)と分岐路(31)とを連通させる連通路(52a)が形成されている。
詳細な動作については後述するが、このような構成のエジェクタ機構(50)を備えた冷却機構(30)によって、高圧冷媒流路(4)の高圧冷媒の一部が分岐路(31)に分岐されて冷媒冷却器(32)においてペルチェ素子(21)の第2伝熱部(21b)から吸熱した後、圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻される。
運転動作については、分岐路(31)における冷媒の動作が異なる以外は実施形態1とほぼ同様であるため、分岐路(31)における冷媒の動作についてのみ説明する。また、図3は冷房運転の際、図4は暖房運転の際の冷媒の流れをそれぞれ示しているが、分岐路(31)における冷媒の動作は、いずれの運転の場合も同じであるため、合わせて説明する。
図3及び図4に示すように、分岐路(31)に流入した高圧の分岐冷媒は、流量調整弁(34)を通過する際に流量が調整されて冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入する。該冷媒管(32b)に流入した分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)から吸熱して加熱される一方、該第2伝熱部(21b)を冷却する。冷媒管(32b)から流出した分岐冷媒は、エジェクタ機構(50)に引き込まれる。
図5に示すように、エジェクタ機構(50)では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒が本体部(51)の内部流路(53)に流入する。該内部流路(53)に流入した吐出冷媒は、ノズル部(51a)において圧力エネルギの一部が速度エネルギに変換され、圧力が低下すると共に加速されてノズル部(51a)から噴射される。このようにして、ノズル部(51a)から噴射される際の吐出冷媒の圧力は、ノズル部(51a)流入時より低下している。このようなノズル部(51a)における吐出冷媒の圧力低下によって、分岐路(31)の分岐冷媒が接続部(52)の連通路(52a)を介して内部流路(53)に吸引される。つまり、分岐路(31)の分岐冷媒がノズル部(51a)の下流側端部から噴射される吐出冷媒に吸引されて合流する。合流後の吐出冷媒は、拡径部(51b)において速度エネルギの一部が圧力エネルギに変換され、減速すると共に圧力が上昇して、エジェクタ機構(50)から流出する。
以上のように、実施形態2によれば、分岐路(31)にエジェクタ機構(50)を設けることにより、ポンプ等の昇圧手段を設けることなく、簡単且つ低コストな構成で冷媒回路(2)から分岐路(31)に分岐された高圧の分岐冷媒を、再び冷媒回路(2)の上記圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すことができる。
《実施形態3》
図6及び図7に示すように、実施形態3は、実施形態1の空気調和装置(1)の冷媒回路(2)のブリッジ回路(16)を省略したものである。
具体的には、冷媒回路(2)は、圧縮機(11)、四路切換弁(12)、室外熱交換器(13)、室内熱交換器(14)及び膨張機構(15)を有している。また、冷媒回路(2)には、二酸化炭素(CO2)が冷媒として充填されている。
上記冷媒回路(2)に設けられた各要素は、実施形態1と同様に構成され、これらの接続態様が実施形態1と一部異なる。具体的には、実施形態1において冷媒配管によってブリッジ回路(16)に接続されていた室外熱交換器(13)及び室内熱交換器(14)が、膨張機構(15)を構成する膨張弁(15a)の一端と他端にそれぞれ冷媒配管によって接続されている。
また、実施形態3では、実施形態1と同様に構成された補助熱交換器(20)が、室外熱交換器(13)と膨張弁(15a)との間に接続されている。具体的には、冷却用部材(22)の冷媒管(22b)が、室外熱交換器(13)と膨張弁(15a)との間に接続されている。
さらに、実施形態3においても、実施形態1と同様の要素を備えた冷却機構(30)が設けられている。実施形態3では、冷却機構(30)の分岐路(31)の一端が、室外熱交換器(13)と補助熱交換器(20)との間に接続されている。分岐路(31)の他端は、実施形態1と同様に、冷媒回路(2)の冷媒配管の一部である圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に接続されている。
−運転動作−
実施形態3においても、実施形態1と同様に、四路切換弁(12)の状態が切り換えられることによって冷媒回路(2)における冷媒の循環方向が切り換わる。これにより、空気調和装置(1)において、室外熱交換器(13)が放熱器として機能し且つ室内熱交換器(14)が蒸発器として機能する冷房運転と、室内熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する暖房運転とが切り換えられる。
《冷房運転》
図6に示すように、冷房運転の際には、四路切換弁(12)が第1の状態に切り換えられ、膨張弁(15a)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(11)を駆動すると、冷媒回路(2)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。また、圧縮機(11)の駆動と共に、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給すると共に、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)を駆動する。
冷房運転では、圧縮機(11)から吐出された吐出冷媒は、四路切換弁(12)を通って室外熱交換器(13)に流入する。室外熱交換器(13)に流入した上記吐出冷媒は、室外熱交換器(13)において室外空気と熱交換を行い、室外空気に対して放熱する。
室外熱交換器(13)において放熱後、該室外熱交換器(13)から流出した高圧冷媒は、上記冷媒ポンプ(33)の駆動によって一部が分岐されて分岐路(31)に流入する一方、残りは補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入する。
ところで、上記ペルチェ素子(21)には、実施形態1と同様に直流電流が供給され、第1伝熱部(21a)が吸熱側となり、第2伝熱部(21b)が発熱側となっている。これにより、補助熱交換器(20)の冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒は、第1伝熱部(21a)によって冷却される。そして、第1伝熱部(21a)によって冷却された高圧冷媒は、冷媒管(22b)から流出して膨張弁(15a)に流入する。
一方、上記分岐路(31)へ流入した高圧の分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)に吸入される。該冷媒ポンプ(33)に吸入された分岐冷媒は、実施形態1と同様に所定圧力だけ昇圧されて冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入する。該冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入した分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)を冷却する。一方、冷媒管(32b)の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)によって加熱される。そして、第2伝熱部(21b)によって加熱された分岐冷媒は、冷媒管(32b)から流出して圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入する。
上記膨張弁(15a)に流入した高圧冷媒は、該膨張弁(15a)において減圧されて低圧冷媒となり、冷媒配管を介して室内熱交換器(14)に流入する。
室内熱交換器(14)に流入した低圧冷媒は、室内空気と熱交換を行い、室内空気から吸熱して蒸発する。室内熱交換器(14)において低圧冷媒に吸熱されて冷却された室内空気は、室内へ送り返される。一方、室内熱交換器(14)において蒸発した低圧ガス冷媒は、室内熱交換器(14)から流出してアキュムレータ(25)及び四路切換弁(12)を通過した後、再び圧縮機(11)に吸入される。圧縮機(11)に吸入された低圧ガス冷媒は、臨界圧力以上の高圧圧力状態になるまで圧縮されて圧縮機(11)から吐出される。
《暖房運転》
図7に示すように、暖房運転の際には、四路切換弁(12)が第2の状態に切り換えられ、膨張弁(15a)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(11)を駆動すると、冷媒回路(2)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。なお、暖房運転の際には、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給せず、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)も駆動しない。
暖房運転では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒は、四路切換弁(12)を通って室内熱交換器(14)に流入する。室内熱交換器(14)に流入した上記吐出冷媒は、室内熱交換器(14)において室内空気と熱交換を行い、室内空気に対して放熱する。室内熱交換器(14)において吐出冷媒から放出された熱を吸収して加熱された室内空気は、室内へ送り返される。
室内熱交換器(14)において放熱後、室内熱交換器(14)から流出した高圧冷媒は、膨張弁(15a)に流入する。該膨張弁(15a)に流入した高圧冷媒は、該膨張弁(15a)において減圧されて低圧冷媒となって、補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入する。
なお、上述のように、暖房運転の際には、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給しない。そのため、冷媒管(22b)に流入した低圧冷媒は、ペルチェ素子(21)の第1伝熱部(21a)によって冷却されることなく、そのまま冷媒管(22b)から流出する。
また、上述のように、暖房運転の際には、冷媒ポンプ(33)が駆動されない。そのため、冷媒管(22b)から流出した低圧冷媒は、分岐路(31)に流入することなく、室外熱交換器(13)に流入する。
室外熱交換器(13)に流入した低圧冷媒は、室外空気と熱交換を行い、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(13)において蒸発した低圧ガス冷媒は、室外熱交換器(13)から流出してアキュムレータ(25)及び四路切換弁(12)を通過した後、再び圧縮機(11)に吸入される。圧縮機(11)に吸入された低圧ガス冷媒は、臨界圧力以上の高圧圧力状態になるまで圧縮されて圧縮機(11)から吐出される。
以上のように、実施形態3によれば、冷房運転の際において、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
《実施形態4》
図8及び図9に示すように、実施形態4は、実施形態3の空気調和装置(1)の冷却機構(30)の構成を変更したものである。その他の構成は、実施形態3と同様である。
具体的には、実施形態4では、冷却機構(30)は、分岐路(31)と、冷媒冷却器(32)と、流量調整弁(34)と、エジェクタ機構(50)とが設けられている。分岐路(31)及び冷媒冷却器(32)は、実施形態3と同様に構成されている。流量調整弁(34)及びエジェクタ機構(50)は、実施形態2と同様に構成されている。
運転動作については、分岐路(31)における冷媒の動作が異なる以外は実施形態3とほぼ同様である。また、分岐路(31)における冷媒の動作は実施形態2と同様である。なお、図8は冷房運転の際、図9は暖房運転の際の冷媒の流れをそれぞれ示している。実施形態4では、冷房運転の際には、流量調整弁(34)の開度が適宜調節され、放熱後の高圧冷媒の一部が分岐路(31)に流入するが、暖房運転の際には、流量調整弁(34)が全閉状態に開度調節されるため、低圧冷媒は分岐路(31)に流入しない。
このような実施形態4によっても、圧縮機(11)の吐出側にエジェクタ機構(50)を設けることにより、ポンプ等の昇圧手段を設けることなく、簡単且つ低コストな構成で冷媒回路(2)から分岐路(31)に分岐された高圧の分岐冷媒を、再び冷媒回路(2)の上記圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すことができる。
《実施形態5》
図10及び図11に示すように、実施形態5は、実施形態1の空気調和装置(1)の冷媒回路(2)のブリッジ回路(16)を省略し、膨張機構(15)の構成を変更したものである。
具体的には、冷媒回路(2)は、圧縮機(11)、四路切換弁(12)、室外熱交換器(13)、室内熱交換器(14)及び膨張機構(15)を有している。また、冷媒回路(2)には、二酸化炭素(CO2)が冷媒として充填されている。
実施形態5では、膨張機構(15)は、第1膨張弁(15b)と第2膨張弁(15c)とを備えている。上記冷媒回路(2)に設けられた各要素は、上記膨張機構(15)以外は実施形態1と同様に構成され、これらの接続態様が実施形態1と一部異なる。具体的には、実施形態5では、室外熱交換器(13)が冷媒配管によって第1膨張弁(15b)の一端に接続され、該第1膨張弁(15b)の他端が冷媒配管によって第2膨張弁(15c)の一端に接続され、該第2膨張弁(15c)の他端が冷媒配管によって室内熱交換器(14)の一端に接続されている。
また、実施形態5では、実施形態1と同様に構成された補助熱交換器(20)が、第1膨張弁(15b)と第2膨張弁(15c)との間に接続されている。具体的には、冷却用部材(22)の冷媒管(22b)が、第1膨張弁(15b)と第2膨張弁(15c)との間に接続されている。
さらに、実施形態5においても、実施形態1と同様の要素を備えた冷却機構(30)が設けられている。実施形態5では、冷却機構(30)の分岐路(31)の一端が、第1膨張弁(15b)と補助熱交換器(20)との間に接続されている。分岐路(31)の他端は、実施形態1と同様に、冷媒回路(2)の冷媒配管の一部である圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に接続されている。
−運転動作−
実施形態5においても、実施形態1と同様に、四路切換弁(12)の状態が切り換えられることによって冷媒回路(2)における冷媒の循環方向が切り換わる。これにより、空気調和装置(1)において、室外熱交換器(13)が放熱器として機能し且つ室内熱交換器(14)が蒸発器として機能する冷房運転と、室内熱交換器(14)が放熱器として機能し且つ室外熱交換器(13)が蒸発器として機能する暖房運転とが切り換えられる。
《冷房運転》
図10に示すように、冷房運転の際には、四路切換弁(12)が第1の状態に切り換えられ、第1膨張弁(15b)が全開状態に調節されると共に、第2膨張弁(15c)の開度が適宜調節される。この状態で圧縮機(11)を駆動すると、冷媒回路(2)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。また、圧縮機(11)の駆動と共に、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給すると共に、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)を駆動する。
冷房運転では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒は、四路切換弁(12)を通って室外熱交換器(13)に流入する。室外熱交換器(13)に流入した上記吐出冷媒は、室外熱交換器(13)において室外空気と熱交換を行い、室外空気に対して放熱する。
室外熱交換器(13)において放熱した高圧冷媒は、室外熱交換器(13)から流出して、第1膨張弁(15b)を通過する。このとき、第1膨張弁(15b)は全開状態に調節されているため、通過する高圧冷媒は、第1膨張弁(15b)において減圧されない。そして、第1膨張弁(15b)を通過した高圧冷媒は、上記冷媒ポンプ(33)の駆動によって一部が分岐されて分岐路(31)に流入する一方、残りは補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入する。
ところで、上記ペルチェ素子(21)には、実施形態1と同様に直流電流が供給され、第1伝熱部(21a)が吸熱側となり、第2伝熱部(21b)が発熱側となっている。これにより、補助熱交換器(20)の冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒は、第1伝熱部(21a)によって冷却される。そして、第1伝熱部(21a)によって冷却された高圧冷媒は、冷媒管(22b)から流出して第2膨張弁(15c)に流入する。
一方、上記分岐路(31)へ流入した高圧の分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)に吸入される。該冷媒ポンプ(33)に吸入された分岐冷媒は、実施形態1と同様に所定圧力だけ昇圧されて冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入する。該冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入した分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)を冷却する。一方、冷媒管(32b)の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)によって加熱される。そして、第2伝熱部(21b)によって加熱された分岐冷媒は、冷媒管(32b)から流出して圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入する。
上記第2膨張弁(15c)に流入した高圧冷媒は、該第2膨張弁(15c)において減圧されて低圧冷媒となり、冷媒配管を介して室内熱交換器(14)に流入する。
室内熱交換器(14)に流入した低圧冷媒は、室内空気と熱交換を行い、室内空気から吸熱して蒸発する。室内熱交換器(14)において低圧冷媒に吸熱されて冷却された室内空気は、室内へ送り返される。一方、室内熱交換器(14)において蒸発した低圧ガス冷媒は、室内熱交換器(14)から流出してアキュムレータ(25)及び四路切換弁(12)を通過した後、再び圧縮機(11)に吸入される。圧縮機(11)に吸入された低圧ガス冷媒は、臨界圧力以上の高圧圧力状態になるまで圧縮されて圧縮機(11)から吐出される。
《暖房運転》
図11に示すように、暖房運転の際には、四路切換弁(12)が第2の状態に切り換えられ、第1膨張弁(15b)の開度が適宜調節されると共に、第2膨張弁(15c)が全開状態に調整される。この状態で圧縮機(11)を駆動すると、冷媒回路(2)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。また、圧縮機(11)の駆動と共に、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給すると共に、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)を駆動する。
暖房運転では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒は、四路切換弁(12)を通って室内熱交換器(14)に流入する。室内熱交換器(14)に流入した上記吐出冷媒は、室内熱交換器(14)において室内空気と熱交換を行い、室内空気に対して放熱する。室内熱交換器(14)において吐出冷媒から放出された熱を吸収して加熱された室内空気は、室内へ送り返される。
室内熱交換器(14)において放熱後、室内熱交換器(14)から流出した高圧冷媒は、第2膨張弁(15c)を通過する。このとき、第2膨張弁(15c)は全開状態に調節されているため、通過する高圧冷媒は、第2膨張弁(15c)において減圧されない。そして、第2膨張弁(15c)を通過した高圧冷媒は、補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入する。
ところで、上記ペルチェ素子(21)には、実施形態1と同様に直流電流が供給され、第1伝熱部(21a)が吸熱側となり、第2伝熱部(21b)が発熱側となっている。これにより、補助熱交換器(20)の冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒は、第1伝熱部(21a)によって冷却される。そして、冷媒管(22b)から流出した高圧冷媒は、上記冷媒ポンプ(33)の駆動によって一部が分岐されて分岐路(31)に流入する一方、残りは第1膨張弁(15b)に流入する。
分岐路(31)へ流入した高圧の分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)に吸入される。該冷媒ポンプ(33)に吸入された分岐冷媒は、実施形態1と同様に所定圧力だけ昇圧されて冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入する。該冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入した分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)を冷却する。一方、冷媒管(32b)の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)によって加熱される。そして、第2伝熱部(21b)によって加熱された分岐冷媒は、冷媒管(32b)から流出して圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入する。
上記第1膨張弁(15b)に流入した高圧冷媒は、該第1膨張弁(15b)において減圧されて低圧冷媒となり、冷媒配管を介して室外熱交換器(13)に流入する。
室外熱交換器(13)に流入した低圧冷媒は、室外空気と熱交換を行い、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(13)において蒸発した低圧ガス冷媒は、室外熱交換器(13)から流出してアキュムレータ(25)及び四路切換弁(12)を通過した後、再び圧縮機(11)に吸入される。圧縮機(11)に吸入された低圧ガス冷媒は、臨界圧力以上の高圧圧力状態になるまで圧縮されて圧縮機(11)から吐出される。
以上のように、実施形態5によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
《実施形態6》
図12及び図13に示すように、実施形態6は、実施形態5の空気調和装置(1)の冷却機構(30)の構成を変更したものである。その他の構成は、実施形態5と同様である。
具体的には、実施形態6では、冷却機構(30)は、分岐路(31)と、冷媒冷却器(32)と、流量調整弁(34)と、エジェクタ機構(50)とが設けられている。分岐路(31)及び冷媒冷却器(32)は、実施形態5と同様に構成されている。流量調整弁(34)及びエジェクタ機構(50)は、実施形態2と同様に構成されている。
運転動作については、分岐路(31)における冷媒の動作が異なる以外は実施形態5とほぼ同様である。また、分岐路(31)における冷媒の動作は実施形態2と同様である。なお、図12は冷房運転の際、図13は暖房運転の際の冷媒の流れをそれぞれ示している。実施形態6では、冷房運転の際にも暖房運転の際にも流量調整弁(34)の開度が適宜調節され、放熱後の高圧冷媒の一部が分岐路(31)に流入する。
このような実施形態6によっても、圧縮機(11)の吐出側にエジェクタ機構(50)を設けることにより、ポンプ等の昇圧手段を設けることなく、簡単且つ低コストな構成で冷媒回路(2)から分岐路(31)に分岐された高圧の分岐冷媒を、再び冷媒回路(2)の上記圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すことができる。
《実施形態7》
図14に示すように、実施形態7では、本発明に係る冷凍装置の一例として、給湯装置(71)について説明する。上記給湯装置(71)は、冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(72)と、水が流通する水流路(80)とを備えている。
上記冷媒回路(72)は、圧縮機(11)、放熱器(74)、膨張機構(15)及び蒸発器(76)を有している。また、冷媒回路(72)には、二酸化炭素(CO2)が冷媒として充填されている。
上記圧縮機(11)は、冷媒配管によって、吐出側が放熱器(74)の後述する第1流路(74a)に接続される一方、吸入側が蒸発器(76)に接続されている。なお、本実施形態では、圧縮機(11)の吸入側と蒸発器(76)との間にアキュムレータ(25)が設けられている。該アキュムレータ(25)は、圧縮機(11)に吸入される冷媒中に含まれる液冷媒を除去し、ガス冷媒のみを圧縮機(11)に吸入させる。また、本実施形態においても、圧縮機(11)に吸入された冷媒(二酸化炭素(CO2))は、圧縮機(11)において臨界圧力以上の圧力に圧縮される。
上記放熱器(74)は、水冷式の熱交換器によって構成されている。具体的には、放熱器(74)は、冷媒回路(72)の冷媒が流通する第1流路(74a)と、水流路(80)の水が流通する第2流路(74b)とを有し、第1流路(74a)の冷媒と第2流路(74b)の水との間で熱交換が行われるように構成されている。第1流路(74a)は、上述のように上流側端が冷媒配管によって上記圧縮機(11)の吐出側に接続される一方、下流側端が冷媒配管によって膨張機構(15)に接続されている。本実施形態では、放熱器(74)は、第1流路(74a)の冷媒と第2流路(74b)の水が対向して流れるように構成されている。
上記膨張機構(15)は、放熱器(74)と蒸発器(76)との間に設けられ、膨張弁(75)によって構成されている。該膨張弁(75)は、開度が調節可能に構成された電動弁によって構成され、冷媒回路(72)の蒸発圧力が所定の圧力になるように開度調節される。膨張弁(75)は、流入端が冷媒配管によって放熱器(74)に接続される一方、流出端が冷媒配管によって蒸発器(76)に接続されている。
上記蒸発器(76)は、空冷式の熱交換器によって構成されている。蒸発器(76)には、図示を省略するファンによって空気が供給され、蒸発器(76)では、供給された空気と冷媒回路(72)の冷媒との間において熱交換が行われる。上述のように、蒸発器(76)は、流入側端が冷媒配管によって膨張弁(75)の流出側端に接続され、流出側端が冷媒配管によって圧縮機(11)の吸入側に接続されている。
また、実施形態7では、実施形態1と同様に構成された補助熱交換器(20)が、上記冷媒回路(72)の放熱器(74)と膨張弁(75)との間に接続されている。具体的には、冷却用部材(22)の冷媒管(22b)が、放熱器(74)と膨張弁(75)との間に接続されている。
さらに、実施形態7においても、実施形態1と同様の要素を備えた冷却機構(30)が設けられている。実施形態7では、冷却機構(30)の分岐路(31)の一端が、上記冷媒回路(72)の放熱器(74)と補助熱交換器(20)との間に接続されている。分岐路(31)の他端は、実施形態1と同様に、冷媒回路(72)の冷媒配管の一部である圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に接続されている。
上記水流路(80)には、図示を省略しているが、水流路(80)に水を供給する給水源と、水流路(80)を流通後の水が貯留される貯留タンクとが接続されている。上記放熱器(74)の第2流路(74b)は、上記水流路(80)において給水源と貯留タンクとの間に接続されている。
−運転動作−
図14に示すように、圧縮機(11)を駆動すると、冷媒回路(72)において冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。また、圧縮機(11)の駆動と共に、ペルチェ素子(21)に直流電流を供給すると共に、冷却機構(30)の冷媒ポンプ(33)を駆動する。一方、水流路(80)では、例えば、ポンプ等を用いて水を流動させる。
冷媒回路(72)では、圧縮機(11)から吐出された高圧の吐出冷媒は、放熱器(74)の第1流路(74a)に流入する。第1流路(74a)に流入した上記吐出冷媒は、放熱器(74)において、第2流路(74b)を流れる水流路(80)の水と熱交換を行う。具体的には、
第1流路(74a)に流入した吐出冷媒が、第2流路(74b)を流れる水流路(80)の水に放熱する。
ここで、第2流路(74b)を流れる水流路(80)の水は、放熱器(74)において第1流路(74a)を流れる吐出冷媒から放出された熱によって加熱されて温水となる。そして、該温水は、水流路(80)を流れて貯留タンクに供給される。
一方、冷媒回路(72)において、第1流路(74a)から流出した高圧冷媒は、上記冷媒ポンプ(33)の駆動によって一部が分岐されて分岐路(31)に流入する一方、残りは補助熱交換器(20)の冷却用部材(22)の冷媒管(22b)に流入する。
ところで、上記ペルチェ素子(21)には、実施形態1と同様に直流電流が供給され、第1伝熱部(21a)が吸熱側となり、第2伝熱部(21b)が発熱側となっている。これにより、補助熱交換器(20)の冷媒管(22b)に流入した高圧冷媒は、第1伝熱部(21a)によって冷却される。そして、第1伝熱部(21a)によって冷却された高圧冷媒は、冷媒管(22b)から流出して膨張弁(75)に流入する。
一方、分岐路(31)へ流入した高圧の分岐冷媒は、冷媒ポンプ(33)に吸入される。該冷媒ポンプ(33)に吸入された分岐冷媒は、実施形態1と同様に所定圧力だけ昇圧されて冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入する。該冷媒冷却器(32)の冷媒管(32b)に流入した分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)を冷却する。一方、冷媒管(32b)の分岐冷媒は、第2伝熱部(21b)によって加熱される。そして、第2伝熱部(21b)によって加熱された分岐冷媒は、冷媒管(32b)から流出して圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に流入する。
上記膨張弁(75)に流入した高圧冷媒は、該膨張弁(75)において減圧されて低圧冷媒となり、冷媒配管を介して蒸発器(76)に流入する。
蒸発器(76)に流入した低圧冷媒は、該蒸発器(76)を通過する空気と熱交換を行い、該空気から吸熱して蒸発する。蒸発器(76)において蒸発した低圧ガス冷媒は、蒸発器(76)から流出してアキュムレータ(25)を通過した後、再び圧縮機(11)に吸入される。圧縮機(11)に吸入された低圧ガス冷媒は、臨界圧力以上の高圧圧力状態になるまで圧縮されて圧縮機(11)から吐出される。
以上のように、上記実施形態7においても、実施形態1の暖房運転時と同様に、給湯装置(71)の加熱能力及び加熱効率の向上を図ることができる。
《実施形態8》
図15に示すように、実施形態8は、実施形態7の給湯装置(71)の冷却機構(30)の構成を変更したものである。その他の構成は、実施形態7と同様である。
具体的には、実施形態8では、冷却機構(30)は、分岐路(31)と、冷媒冷却器(32)と、流量調整弁(34)と、エジェクタ機構(50)とが設けられている。分岐路(31)及び冷媒冷却器(32)は、実施形態7と同様に構成されている。流量調整弁(34)及びエジェクタ機構(50)は、実施形態2と同様に構成されている。
運転動作については、分岐路(31)における冷媒の動作が異なる以外は実施形態7とほぼ同様である。また、分岐路(31)における冷媒の動作は実施形態2と同様である。
このような実施形態8によっても、圧縮機(11)の吐出側にエジェクタ機構(50)を設けることにより、ポンプ等の昇圧手段を設けることなく、簡単且つ低コストな構成で冷媒回路(72)から分岐路(31)に分岐された高圧の分岐冷媒を、再び冷媒回路(72)の上記圧縮機(11)の吐出側配管(11a)に戻すことができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態1乃至実施形態6では、空気調和装置(1)は、冷房運転及び暖房運転が切換可能に構成されていたが、冷房運転のみ又は暖房運転のみを行うように構成されていてもよい。
また、本発明に係る冷凍装置は、上記空気調和装置(1)や上記給湯装置(71)に限定されず、例えば、上記実施形態7の蒸発器(76)を利用側熱交換器として用いて水や空気等の流体を冷却する冷却装置であってもよい。
上記各実施形態では、冷媒回路(2,72)に二酸化炭素が冷媒として充填されていたが、冷媒は二酸化炭素に限られない。例えば、HFC系の冷媒を用いることとしてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。