JP5619985B1 - 樹脂製ラジエータキャップ - Google Patents

樹脂製ラジエータキャップ Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂製ラジエータキャップが経年劣化しても、その弁機能を維持すること。【解決手段】 第1シールリング12と第2シールリング13との間に、経年劣化に対して優先的に破壊される脆弱部30を設け、その脆弱部30はその破壊によっても、第1シールリング12および第2シールリング13とフィラーネック2とのシール性が保たれる位置にある。【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車用の樹脂製ラジエータキャップであって、それがキャップ本体と弁本体とからなり、より詳しくは、経年劣化した場合であっても、シール部に破壊が及ばないように、優先的に破壊される部分を設けることにより、弁機能を維持するものに関する。
本出願人はすでに、下記特許文献1のラジエータの樹脂製キャップを提案している。これは、上端閉塞の筒状のキャップ本体と、その下端開口に接続される弁本体とを有する。
このラジエータキャップは、ラジエータのタンク本体の上端に突出されたフィラーネックに着脱自在に取付られるものである。ところで、キャップ本体と弁本体とはともに複雑な形状を有するため、成形の都合上、両者をそれぞれ単独で射出成形し、その後、両者を溶着接合することが好ましい。
そこで、キャップ本体と弁本体とを溶着部で接合した後、キャップ本体に上蓋を被嵌して、それらをフィラーネックに螺着締結するようにしている。
特開2012−233452号公報
ところが、自動車用ラジエータのキャップは加温され、また内圧が加わると共に、自動車の振動や各種の衝撃が加わり、さらには、キャップに内装された加圧スプリングにより加圧されているため、やがて経年劣化する。そしてこの経年劣化により、樹脂製キャップが破損して弁機能を損なうおそれがある。
そこで、経年劣化した場合であっても、シール部に破壊が及ばないように、優先的に破壊される部分を設けることにより、弁機能を維持することを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、ラジエータのタンク本体(1)のフィラーネック(2) に着脱自在に取付られる樹脂製のキャップであって、
そのキャップは、上端閉塞の筒状体からなるキャップ本体(3)と、
そのキャップ本体(3)の下端開口からその本体(3)内に、その上端部の外周が嵌入し、その中間部の内周に内フランジ状の弁座(4)を有すると共に、その中間部にフィラーネック(2)の出入口パイプ(5)に連通する連通孔(6)を有する筒状の弁本体(7)と、を具備し、
前記キャップ本体(3)の軸方向の中間部外周に上側環状溝(10)が形成され、前記弁本体(7)の軸方向の下部外周に下側環状溝(11)が形成され
上側環状溝(10)に第1シールリング(12)が嵌着されて、その第1シールリング(12)がフィラーネック(2)の開口部内周であって、前記出入口パイプ(5)より上方位置で圧接され、
下側環状溝(11)に第2シールリング(13)が嵌着されて、その第2シールリング(13)がフィラーネック(2)のネック部(8)の内周に圧接され、
キャップ本体(3)の下部内周と弁本体(7)の上部外周とが溶着により接合され、
前記第1シールリング(12)と第2シールリング(13)との間に、経年劣化に対して優先的に破壊される脆弱部(30)が設けられ、その脆弱部(30)はその破壊によっても、第1シールリング(12)および第2シールリング(13)とフィラーネック(2)とのシール性が保たれる位置にあることを特徴とする樹脂製ラジエータキャップである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂製ラジエータキャップにおいて、
前記下側環状溝(11)の上コーナと前記内フランジ状の弁座(4)の付根との間の肉厚が、他の部分よりも薄肉にされて、そこに前記脆弱部(30)が形成された樹脂製ラジエータキャップである。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の樹脂製ラジエータキャップにおいて、
前記キャップ本体(3)の上面に隣接して、上蓋(14)がフィラーネック(2)の開口に螺着され、弁本体(7)の下面に隣接して、弁本体(7)の脱落防止手段(9)が設けられた樹脂製ラジエータキャップである。
本発明の樹脂製ラジエータキャップは、経年劣化に対して優先的に破壊される脆弱部30を有し、その脆弱部30はその破壊によっても、第1シールリング12および第2シールリング13とフィラーネック2とのシール性が保たれる位置にあるものである。
上記構成において、請求項2に記載のように、下側環状溝11の上コーナと弁座4の付根との間の肉厚が、他の部分よりも薄肉にされて、そこに脆弱部30を形成した場合には、そこが応力集中し易い部分であるので、経年劣化により優先的に破壊されて、請求項1の効果を得ることができる。
また、この部分を脆弱部にした場合には、亀裂およびそこから分離した場合、それを外部から黙視することが容易にできる。即ち、亀裂の存否は、下側環状溝11の第2シールリング13を取り外せば、亀裂を目視できる。また、その部分から上下にキャップが分離した場合には、上蓋14を螺回してそれを取り外したとき、キャップ本体3と弁本体7の上部のみフィラーネック2から分離し、弁本体の下部がフィラーネック2内に残存する。そのため、フィラーネック2内でそれらの分離が直に確認できる。そこで、ラジエータキャップの交換をすることができ、その時期を逸することがない。
上記構成において、請求項3に記載のように、キャップ本体3の上面に上蓋14を配置し、弁本体7の下面に脱落防止手段9を設けた場合には、キャップ本体3と弁本体7が脆弱部30で分離しても、夫々の位置に留まり、ラジエータキャップのシール性を維持できる。
本発明の樹脂製ラジエータキャップの要部縦断面図。 同ラジエータキャップの縦断面図。 同分解斜視図。 図3のIV−IV矢視図。 図3のV−V矢視図。
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき、説明する。
図1、図2は、本発明の実施例の樹脂製ラジエータキャップを樹脂製のフィラーネックに装着したものである。
この実施例は、樹脂製ラジエータキャップであって、それがラジエータのタンク本体1の上端に設けられたフィラーネック2に着脱自在に取り付けられるものである。
そして、図2に示す如く、そのラジエータキャップは上から順に上蓋14とキャップ本体3と弁本体7とを有する。なお、フィラーネック2は、タンク本体1との付根に断面が縮小するネック部8を有し、その付根の上縁が内フランジ状に形成され、その内フランジ部から上方に拡大する筒部が形成され、その開口の内周に雌ネジが形成されている。筒部とネック部8との付根には、出入口パイプ5が一体的に突設されている。この例のフィラーネック2は、図2に示す如く、その中心線がタンク本体1の中心から図において、左にずれている。
次に、図2に示す如く、キャップ本体3は、上端閉塞の筒状体からなり、全体がカップ状である。
そして、弁本体7は、筒状に形成され、その上端部の外周がキャップ本体3の下端部開口に嵌入して、両者間が溶着され、そこに溶着部17を形成する。
最上端の上蓋14は、上端外周にフランジ部を有する浅いカップ状で、その内周にキャップ本体3の上端部が圧入され、上蓋14の係合部23がキャップ本体3の係止部24に係合して両者間が接続されるものである。その上蓋14の外周には雄ネジである螺着部27が形成され、それがフィラーネック2の開口の雌ネジに着脱自在に螺着される。上蓋14の上面の中心には外周が四角または六角の工具嵌着部が突設されている。
キャップ本体3の中間部外周及び、弁本体7の下端部外周には環状溝10、11が形成され、それらにシール用の第1シールリング12、第2シールリング13が嵌着される。
弁本体7の下端の中心には、バネ座29が設けられている。そのバネ座29の外周に放射状のリブが突設し、そのリブの先端が弁本体7の筒状部に接続されている。
また、弁座4に正圧弁20が環状シール板22を介して着脱自在に着座する。さらに、弁本体7の中間部には、その半径方向外側に連通孔6が設けられている。
環状シール板22は、その上面が正圧弁20に接続され、その下面に負圧弁21のフランジ部上面が着脱自在に接触する。この負圧弁21の底面とバネ座29との間には第2スプリング19が介装される。また、正圧弁20とキャップ本体3の上端閉塞面との間には、第1スプリング18が介装される。
キャップ本体3の第1シールリング12は、フィラーネック2の開口部内周であって、前記出入口パイプ5より上方位置で圧接され、弁本体7の第2シールリング13はフィラーネック2のネック部8の内周に圧接される。
その結果、第1シールリング12と第2シールリング13と、フィラーネック2の内周面との間にはシール空間が形成される。そして、そのシール空間の内側で、キャップ本体3の内周と弁本体7の上端部外周とが溶着により接合される。
次に、本発明の溶着によるキャップ本体3と弁本体7の接続構造につき説明する。
図2はキャップ本体3の下端内周と、弁本体7の上端部外周との溶着状態を示すものである。
溶着前では、キャップ本体3の軸線上の断面の内周は、その下端部が拡開する段つきに形成され、その下端部に末広がりの第1テーパ部を有する。その第1テーパ部は軸線に対し角αのテーパである。
弁本体7の軸線上の断面外周は、その上端部の外周が上方に先細りの第2テーパ部を有する。第2テーパ部と軸線とのなす角はβであり、その角度はキャップ本体3の前記αよりも小である。
キャップ本体3の中間部の内面側には、環状溝部15が凹陥する。その環状溝部15に略整合するように、弁本体7の上端部に環状凸部16が形成されている。
また、弁本体7の第2テーパ部の下端外周には仮組用の環状凸部26が形成され、その凸部26がキャップ本体3の下端内周に突設された同仮組用の係止爪28内に下方から圧入される。
そして、超音波溶着を開始すると共に、キャップ本体3は弁本体7側に押圧され、その溶着点が次第に下方に移動する。そして、弁本体7とキャップ本体3との間に溶着部17が形成される。その溶着部17は図1及び図2の黒塗り部となる。
次に、フィラーネック2には、弁本体7の下端面に対向して、二種の脱落防止手段9が形成されている。即ち、図2において、フィラーネック2の付根の左端に第1の脱落防止手段9として段差部9aが設けられている。さらに、フィラーネック2の付根の開口に第2の脱落防止手段9として、図3〜図5に示す、円弧状に中心側に突設した爪部9bが設けられている。
これらの脱落防止手段9は、次に述べる脆弱部において、弁本体7とキャップ本体3とが分離したとき、その弁本体7を受け、それがタンク本体1内に落下することを防止する。なお、二種の脱落防止手段9は、いずれか一方でもよい。
このラジエータキャップは、上蓋14の上端中心にスパナ等の螺回工具が嵌着され、それを回転することにより、上蓋14の螺着部27が、フィラーネック2の上端開口に螺着締結される。そして、スプリングの付勢力により、正圧弁20と負圧弁21とが閉じられ、タンク本体1の内部を密閉状態にする。タンク本体1の冷却水温度が設定温度以上になると、正圧弁20が第1スプリング18の付勢力に抗して上昇し、タンク内の蒸気および冷却水が連通孔6を介し、出入口パイプ5から図示しないサージタンクに導かれる。それにより、タンク本体1の内圧が低下すると、正圧弁20が閉塞する。
次いで、エンジンが停止し、タンク本体1の内部の冷却水温度が低下し、そのタンク内が負圧になると、第2スプリング19の付勢力に抗して負圧弁21が下方に移動し、図示しないサージタンク内の冷却水が出入口パイプ5、連通孔6を介し負圧弁21の隙間からタンク本体1内に戻されるものである。
(本発明の特徴部分)
次に、本発明の樹脂製ラジエータキャップの特徴部分につき説明する。
図1に、本発明の特徴部分が脆弱部30として記載されている。これは、第1シールリング12と第2シールリング13との間に、経年劣化に対して優先的に破壊される脆弱部30が設けられ、その脆弱部30はその破壊によっても、第1シールリング12および第2シールリング13とフィラーネック2とのシール性が保たれる位置にあるものである。
具体的には、下側環状溝11の上コーナと前記内フランジ状の弁座4の付根との間の肉厚が、他の部分よりも薄肉にされて、そこに脆弱部30が形成されている。
(作用)
経年劣化した場合であっても、他の部位に優先して、脆弱部30が破壊されて、そこに亀裂31が生じる。この場合においても、第1シールリング12とフィラーネック2の筒部内周面との気密は保たれる。それとともに、第2シールリング13とネック部8との気密も保たれる。これは、各シールリング12、13と各環状溝10、11とが圧着状態にあるからである。
その結果、タンク本体1の温度上昇時には、正圧弁20が正常に機能して上昇し、内部が負圧になると負圧弁21が下降する。そのため、本発明のキャップは脆弱部30に亀裂が生じても、ラジエータキャップの機能をそのまま維持することができる。
また、仮に亀裂31が発生し、弁本体7が下方に下がったとしても、その弁本体7がフィラーネック2の脱落防止手段9である、段差部9aと円弧状の爪部9bに当接してその弁本体7がそれ以上、下方に移動することがない。この場合にも、シール性を損なうことなく、キャップの機能を維持できる。なお、下側環状溝11の上コーナと前記内フランジ状の弁座4の付根との間の肉厚が、他の部分よりも薄肉にされて、そこに脆弱部30が形成された場合には、亀裂や破壊が外部から確認できるので、ラジエータキャップの取り替え時期を逸することがない。
1 タンク本体
2 フィラーネック
3 キャップ本体
3a スカート部
3b 内環状溝
4 弁座
5 出入口パイプ
6 連通孔
7 弁本体
8 ネック部
9 脱落防止手段
9a 段差部
9b 爪部
10 上側環状溝
11 下側環状溝
12 第1シールリング
13 第2シールリング
14 上蓋
15 環状溝部
16 環状凸部
17 溶着部
18 第1スプリング
19 第2スプリング
20 正圧弁
21 負圧弁
22 環状シール板
23 係合部
24 係止部
26 環状凸部
27 螺着部
28 係止爪
29 バネ座
30 脆弱部
31 亀裂

Claims (3)

  1. ラジエータのタンク本体(1)のフィラーネック(2) に着脱自在に取付られる樹脂製のキャップであって、
    そのキャップは、上端閉塞の筒状体からなるキャップ本体(3)と、
    そのキャップ本体(3)の下端開口からその本体(3)内に、その上端部の外周が嵌入し、その中間部の内周に内フランジ状の弁座(4)を有すると共に、その中間部にフィラーネック(2)の出入口パイプ(5)に連通する連通孔(6)を有する筒状の弁本体(7)と、を具備し、
    前記キャップ本体(3)の軸方向の中間部外周に上側環状溝(10)が形成され、前記弁本体(7)の軸方向の下部外周に下側環状溝(11)が形成され
    上側環状溝(10)に第1シールリング(12)が嵌着されて、その第1シールリング(12)がフィラーネック(2)の開口部内周であって、前記出入口パイプ(5)より上方位置で圧接され、
    下側環状溝(11)に第2シールリング(13)が嵌着されて、その第2シールリング(13)がフィラーネック(2)のネック部(8)の内周に圧接され、
    キャップ本体(3)の下部内周と弁本体(7)の上部外周とが溶着により接合され、
    前記第1シールリング(12)と第2シールリング(13)との間に、経年劣化に対して優先的に破壊される脆弱部(30)が設けられ、その脆弱部(30)はその破壊によっても、第1シールリング(12)および第2シールリング(13)とフィラーネック(2)とのシール性が保たれる位置にあることを特徴とする樹脂製ラジエータキャップ。
  2. 請求項1に記載の樹脂製ラジエータキャップにおいて、
    前記下側環状溝(11)の上コーナと前記内フランジ状の弁座(4)の付根との間の肉厚が、他の部分よりも薄肉にされて、そこに前記脆弱部(30)が形成された樹脂製ラジエータキャップ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の樹脂製ラジエータキャップにおいて、
    前記キャップ本体(3)の上面に隣接して、上蓋(14)がフィラーネック(2)の開口に螺着され、弁本体(7)の下面に隣接して、弁本体(7)の脱落防止手段(9)が設けられた樹脂製ラジエータキャップ。
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