JP5618069B2 - 固体酸化物形燃料電池装置 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池装置に係わり、特に、起動中における改質器等の過昇温を防止する固体酸化物形燃料電池装置に関する。
従来、固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)は、起動工程において、燃料ガスを改質器において改質する複数の工程、すなわち、部分酸化改質反応工程(POX工程)、オートサーマル改質反応工程(ATR工程)、水蒸気改質反応工程(SR工程)を経て、発電工程へ移行するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
SOFCでは、これらの工程を順に実行することにより、燃料電池モジュール収納室内に配置された改質器や燃料電池セルスタック等を動作温度まで昇温させることができる。
また、SOFCは、動作温度が600〜800℃と高温であり、燃料電池モジュール収納室周囲に蓄熱材が配置されている。したがって、この蓄熱材は、動作中に多量の熱量を保持し、動作中の熱効率を向上させることができる。
特開2004−319420号公報
しかしながら、動作中のSOFCを一旦停止動作に移行させた後、再起動させる場合、上述のように蓄熱材には多量の熱量が蓄えられているため、通常の起動工程で起動させると、改質器や燃料電池セルスタックの温度が上昇し過ぎてしまうという問題があった。
例えば、通常の起動動作中において、改質器内での改質反応工程のうち、発熱反応であるPOX工程で発生した熱は、改質器自体を昇温させるが、改質器外の構成部材である蓄熱材等をも昇温させる。
これに対して、再起動動作中には、改質器外の構成部材が既にある程度の温度まで昇温されており、また、蓄熱材が多量の熱量を保持しているため、POX工程で発生した熱が、主に改質器を昇温するために用いられる。その結果、再起動動作中には、改質器が、通常の起動動作中よりも大きな昇温速度で昇温し、所定の動作温度を超えた状態となる過昇温が引き起こされるおそれがあった。そして、この過昇温により改質器が劣化したり損傷したりするおそれがあった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、起動工程において、燃料電池モジュール内の温度が上昇し過ぎることを防止する固体酸化物形燃料電池装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、固体酸化物形燃料電池装置において、複数の燃料電池セルを組み合わせてなるセルスタックと、燃料電池セルに供給する燃料ガスを改質する改質器と、燃料電池セルを通過した余剰の燃焼ガス又は改質された燃焼ガスを燃焼させることにより発生する排気ガスによって改質器及びセルスタックを加熱する燃焼部と、セルスタックの温度及び改質器の温度をそれぞれ検出する温度検出器と、セルスタック及び改質器を収納するモジュール収納室と、モジュール収納室の周囲に配置された蓄熱手段と、燃料電池装置の起動中に蓄熱手段が蓄積している熱量によって改質器及び/又はセルスタックの昇温が助長される状態である昇温助長状態であるか否かを判定する判定手段と、燃料電池装置の起動を制御する制御手段と、を備えており、制御手段は、燃料電池装置の起動工程において、改質器に供給する燃料ガス、酸化剤ガス、水蒸気の供給量をセルスタックの温度及び改質器の温度に基づいて制御し、改質器で行われる燃料ガス改質反応工程において、発熱反応である部分酸化改質反応を生じる工程から水蒸気改質反応を生じるSR工程へ移行させた後、発電工程へ移行させ、各工程においてセルスタックの温度及び改質器の温度がそれぞれに対して設定された移行温度に到達した場合に、次の工程へ移行するように制御するよう構成されており、判定手段は、工程の移行時において、セルスタックの温度及び改質器の温度の一方が、設定された移行温度よりも所定温度以上高い場合に、昇温助長状態であると判断するように構成されており、判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、制御手段は、少なくとも発電工程への移行時において改質器の温度が、改質器が劣化又は損傷を引き起こす所定値以上に昇温されることを防止する過昇温抑制制御を実行することを特徴としている。
蓄熱手段に所定量以上の残存熱量がある状況において燃料電池装置を起動する場合、改質器内での部分酸化改質反応で生じた熱が蓄熱手段に奪われ難くなる。このため、起動中における改質器の温度上昇速度が大きくなる。このように改質器温度の上昇速度が大きい場合に、通常の起動時と同じ方法・条件で起動動作を実行すると、改質器の温度が上昇し過ぎてしまい、例えば改質器の温度が異常判定温度以上に過昇温し、改質器の劣化・損傷及び燃料電池セルの劣化が生じるおそれがある。
本発明によれば、判定手段によって、過昇温が発生し易い状況である昇温助長状態であるか否かを判定し、この判定に基づいて、制御手段が、起動工程中、特に発電工程への移行時や、発電工程移行後の所定期間(すなわち、温度が最も高くなる時点又は期間)において改質器の温度が所定値以上(例えば改質器が劣化するおそれのある異常判定温度)にならないようにする過昇温抑制制御を実行する。これにより、本発明では、起動時に改質器の温度が所定値以上に上昇し過ぎること(過昇温)を防止することができる。
なお、本発明における過昇温抑制制御は、起動工程における各改質工程の移行条件を緩和して早めに次工程へ移行させる制御、改質器温度の上昇を抑制しつつセルスタック温度の上昇を促して両者の温度差を縮小する制御、起動工程における燃料ガス供給量を低減する制御、発電工程移行後の出力電力制御により改質器温度の上昇を抑制する制御のように、発電工程移行前及び発電工程移行後に過昇温を抑制する制御を含んでいる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、起動工程中において発電工程への移行前に、過昇温抑制制御を開始する。
発電の開始後は、セルスタック温度は発電反応等により更に温度が上昇する傾向にある。本発明では、発電工程移行前に過昇温抑制制御が開始されるため、発電開始時点までには残存熱量による局所的又は全体的な温度上昇の影響が解消されるので、発電開始に伴って、セルスタック温度や、セルスタック温度の上昇に伴って上昇する改質器温度がそれぞれに対応する所定値以上となることを防止できる。
本発明において、好ましくは、SR工程は、SR1工程と、このSR1工程よりも燃料ガス供給量が低減されたSR2工程とを有しており、制御手段は、改質器の温度及びセルスタックの温度がこれらに対してそれぞれ設定された、SR1工程からSR2工程への移行温度であるSR2移行温度に到達した場合に、SR1工程をSR2工程へ切り替えるものであって、制御手段は、判定手段が昇温助長状態であると判定した場合には、SR2移行温度に到達する前であってもSR2工程へ移行することを過昇温抑制制御として実行する
SR2工程ではSR1工程よりも燃料ガス供給量が低減されるので、燃焼部による改質器の加熱が抑制され、SR2工程ではSR1工程よりも改質器温度の上昇が抑制される。
本発明では、一部低温状態であって移行条件が満足される前であっても、昇温助長状態では残存熱量による温度上昇が見込まれるので、より温度上昇を抑制するSR2工程へ早期に移行することにより、残存熱量に起因する過昇温の発生を防止することができる。また、残存熱量によりセルスタック等の温度上昇の不足分が補われるので、次工程以降において温度上昇不足となる問題は生じない。
本発明において、好ましくは、制御手段は、SR1工程において、改質器の温度がSR2移行温度に到達しさらに所定の強制移行温度以上であれば、セルスタックの温度がSR2移行温度に到達していなくても、SR2工程へ移行する。
POX工程、ATR工程では発熱反応である部分酸化改質反応によって熱が発生するが、この発生熱は、残存熱量が存在することによって蓄熱手段に奪われにくい。このため、起動工程における改質器温度の上昇速度がセルスタック温度の上昇速度より大きくなり易い。よって、セルスタック温度が移行条件の温度に到達するまで待つと、改質器温度が上昇し過ぎてしまう。
本発明では、SR1工程において、改質器温度が所定強制移行温度以上の高温状態であれば、セルスタック温度が移行条件の温度に到達するのを待つことなく早期にSR2工程へ移行することにより、改質器の過昇温を防止することができる。
本発明において、好ましくは、SR工程は、SR1工程と、このSR1工程よりも燃料ガス供給量が低減されたSR2工程とを有しており、制御手段は、改質器の温度及びセルスタックの温度がこれらに対してそれぞれ設定された、SR1工程からSR2工程への移行温度であるSR2移行温度に到達した場合に、SR1工程をSR2工程へ切り替えるものであって、制御手段は、判定手段が昇温助長状態であると判定した場合には、SR1工程からSR2工程へ切り替える前に、燃料ガス供給量がSR1工程よりも少なくSR2工程よりも多い、SR1.5工程を実行することを過昇温抑制制御として実行する
このように構成された本発明によれば、燃料ガス供給量を多段階で低下させていくことにより、温度分布の急激な変化を防止しながら改質器の過昇温を防止することができる。
本発明において、好ましくは、SR1工程からSR1.5工程に切り替える際の移行温度は、SR2移行温度よりも低い温度である。
このように構成された本発明によれば、燃料ガス供給量を多段に低下させることで、温度分布の急激な変化を防止しながら改質器の過昇温を防止できることに加えて、さらに、SR1.5工程への移行条件はSR2移行条件よりも低い温度条件であるので、SR1工程からSR1.5工程へ早めに移行させることができ、改質器の過昇温を防止することが可能となる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、改質器の温度とセルスタックの温度との温度差を小さくする温度差縮小制御を過昇温抑制制御として実行する。
改質器温度は残存熱量の影響で温度が上昇し易いが、本発明によれば、改質器温度とセルスタック温度の温度差を小さくする温度差縮小制御を実行することにより、起動工程及び発電工程において一方の温度のみが上昇してしまうことが防止され、過昇温を防止することができる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、SR工程において、温度差縮小制御として、発電工程への移行前に定格より低い電力取出しを行う。
SR工程であれば定格より低い電力なら取出しが可能である。電力取出しを行うと、改質された燃料ガスが発電により消費されるので、燃焼部で発生する排気ガス量が少なくなり、改質器の温度上昇を抑制することができる。また、電力取出しを行うと、セルスタックは発電反応により加熱が促進される。これにより、本発明では、改質器の温度上昇を抑制しつつ、セルスタックの温度の上昇を促進することにより、改質器とセルスタックとの温度差を縮小することができる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、発電工程への移行前における電力取出し量を一定にする。
電力取出しを開始した後は、改質器及びセルスタックにおける発熱及び吸熱のバランスが変化し、温度が過渡的に変わっていく。このとき、電力取出し量が変動すると、過渡的な変化に変動要因が更に加わってしまい、局所的に温度差が緩和されないことも考えられる。このため、本発明では、電力取出し量を一定にしており、これにより確実に温度差を縮小させることができる。
本発明において、好ましくは、制御手段は、発電工程への移行前に取出した電力を固体酸化物形燃料電池装置の補機へ供給する。
このように構成された本発明によれば、起動工程で取出した電力を発熱体等で無駄に消費するのではなく、補機で有効利用することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池装置によれば、起動工程において、燃料電池モジュール内の温度が上昇し過ぎることを防止することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池装置を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す正面断面図である。 図2のIII-III線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セル単体を示す部分断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動時の動作を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動処理手順の動作テーブルである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動時における過昇温抑制制御の説明図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の過昇温抑制制御の動作テーブルである。 本発明の第2の実施形態による燃料電池装置の起動時における過昇温抑制制御の説明図である。 本発明の第2の実施形態による燃料電池装置の過昇温抑制制御の動作テーブルである。 本発明の第3の実施形態による燃料電池装置の起動時における過昇温抑制制御の説明図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置又は固体電解質型燃料電池(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6周囲には、蓄熱材7を介して密封空間8が形成されている。なお、蓄熱材7は、燃料モジュール2内で発生した熱を蓄熱することができるようになっており、燃料電池モジュール2の熱効率を向上させることができる。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図4参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、燃焼熱を受けて空気を加熱するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って断面図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密閉空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bを形成され、改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図3に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。
空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図3に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図1に示す上述した温水製造装置50に接続されている。
図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルユニット16について説明する。図4は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に図5により燃料電池セルスタック14について説明する。図5は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図5では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図6により本実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)に取り付けられたセンサ類等について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
図6に示すように、固体電解質型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
次に、制御部110には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
電力状態検出センサ126は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水流量センサ134は、改質器20に供給される純水(水蒸気)の流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
発電室温度センサ142は、図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、燃料電池セルスタック14の近傍の温度を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セル84自体)の温度を推定するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体電解質型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
これらのセンサ類からの信号は、制御部110に送られ、制御部110は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
また、制御ユニット110は、インバータ54に、制御信号を送り、電力供給量を制御するようになっている。
次に図7により本実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)による起動時の動作を説明する。図7は、本発明の一実施形態による固体電解質型燃料電池(SOFC)の起動時の動作を示すタイムチャートである。
最初は、燃料電池モジュール2を温めるために、無負荷状態で、即ち、燃料電池モジュール2を含む回路を開いた状態で、運転を開始する。このとき、回路に電流が流れないので、燃料電池モジュール2は発電を行わない。
先ず、改質用空気流量調整ユニット44から改質用空気を第1ヒータ46を経由して燃料電池モジュール2の改質器20へ供給する。また、同時に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気を第2ヒータ48を経由して燃料電池モジュール2の空気用熱交換器22へ供給し、この発電用空気が、発電室10及び燃焼室18に到達する。
この直ぐ後、燃料流量調整ユニット38からも燃料ガスが供給され、改質用空気が混合された燃料ガスが、改質器20及び燃料電池セルスタック14、燃料電池セルユニット16を通過して、燃焼室18に到達する。
次に、点火装置83により着火して、燃焼室18にある燃料ガスと空気(改質用空気及び発電用空気)とを燃焼させる。この燃料ガスと空気との燃焼により排気ガスが生じ、この排気ガスにより、発電室10が暖められ、また、排気ガスが燃料電池モジュール2の密封空間8内を上昇する際、改質器20内の改質用空気を含む燃料ガスを暖めると共に、空気熱交換器22内の発電用空気も暖める。
このとき、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、改質用空気が混合された燃料ガスが改質器20に供給されているので、改質器20において、式(1)に示す部分酸化改質反応POXが進行する。この部分酸化改質反応POXは、発熱反応であるので、起動性が良好となる。また、この昇温した燃料ガスが燃料ガス供給管64により燃料電池セルスタック14の下方に供給され、これにより、燃料電池セルスタック14が下方から加熱され、また、燃焼室18も燃料ガスと空気が燃焼して昇温されているので、燃料電池セルスタック14は、上方からも加熱され、この結果、燃料電池セルスタック14は、上下方向において、ほぼ均等に昇温可能となっている。この部分酸化改質反応POXが進行しても、燃焼室18では継続して燃料ガスと空気との燃焼反応が持続される。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
部分酸化改質反応POXの開始後、改質器温度センサ148により検出された改質器20の温度、及び発電室温度センサ142により検出された燃料電池セルスタック14の温度に基づいて、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、燃料ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスの改質器20への供給が開始される。このとき、改質器20においては、上述した部分酸化改質反応POXと後述する水蒸気改質反応SRとが併用されたオートサーマル改質反応ATRが進行する。このオートサーマル改質反応ATRは、熱的に内部バランスが取れるので、改質器20内では熱的に自立した状態で反応が進行する。即ち、酸素(空気)が多い場合には部分酸化改質反応POXによる発熱が支配的となり、水蒸気が多い場合には水蒸気改質反応SRによる吸熱反応が支配的となる。この段階では、既に起動の初期段階は過ぎており、発電室10内がある程度の温度まで昇温されているので、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を引き起こすことはない。また、オートサーマル改質反応ATRが進行中も、燃焼室18では燃焼反応が継続して行われている。
式(2)に示すオートサーマル改質反応ATRの開始後、改質器温度センサ146により検出された改質器20の温度、及び発電室温度センサ142により検出された燃料電池セルスタック14の温度に基づいて、改質用空気流量調整ユニット44による改質用空気の供給が停止されると共に、水流量調整ユニット28による水蒸気の供給を増加させる。これにより、改質器20には、空気を含まず燃料ガスと水蒸気のみを含むガスが供給され、改質器20において、式(3)の水蒸気改質反応SRが進行する。
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
この水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるので、燃焼室18からの燃焼熱と熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、燃料電池モジュール2の起動の最終段階であるため、発電室10内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応が進行しても、発電室10が大幅な温度低下を招くこともない。また、水蒸気改質反応SRが進行しても、燃焼室18では継続して燃焼反応が進行する。
このようにして、燃料電池モジュール2は、点火装置83により点火した後、部分酸化改質反応POX、オートサーマル改質反応ATR、水蒸気改質反応SRが、順次進行することにより、発電室10内の温度が徐々に上昇する。以上の起動処理が終了した後、燃料電池モジュール2からインバータ54に電力が取り出される。即ち、発電が開始される。燃料電池モジュール2の発電により、燃料電池セル84自体も発熱し、燃料電池セル84の温度も上昇する。
発電開始後においても、改質器20の温度を維持するために、燃料電池セル84で発電に消費される燃料ガス及び発電用空気の量よりも多い燃料ガス及び発電用空気を供給し、燃焼室18での燃焼を継続させる。なお、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応SRで発電が進行する。
次に、図8により本実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を説明する。図8は、本実施形態により固体電解質型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。
図8に示すように、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、先ず、燃料流量調整ユニット38及び水流量調整ユニット28を操作して、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させる。
また、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させると同時に、改質用空気流量調整ユニット44による発電用空気の燃料電池モジュール2内への供給量を増大させて、燃料電池セル集合体12及び改質器20を空気により冷却し、これらの温度を低下させる。その後、発電室温度が所定温度、例えば、400℃まで低下したとき、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給を停止し、改質器20の水蒸気改質反応SRを終了する。この発電用空気の供給は、改質器20の温度が所定温度、例えば、200℃まで低下するまで、継続し、この所定温度となったとき、発電用空気流量調整ユニット45からの発電用空気の供給を停止する。
このように、本実施形態においては、燃料電池モジュール2の運転停止を行うとき、改質器20による水蒸気改質反応SRと発電用空気による冷却とを併用しているので、比較的短時間に、燃料電池モジュールの運転を停止させることができる。
次に、図7及び図9を参照して、本実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時の動作を詳細に説明する。
図9は、燃料電池1の起動処理手順を示す基本となる動作テーブルであり、起動開始時に燃料電池モジュール2に残存する熱量が所定量以下で、後述する過昇温のおそれがない場合に用いられるものである。
図9に示すように、起動工程では、制御部110が各運転制御状態(燃焼運転工程、POX1工程、POX2工程、ATR1工程、ATR2工程、SR1工程、SR2工程)を時間的に順に実行し、発電工程へ移行するように構成されている。
なお、POX1工程及びPOX2工程は、改質器20内で部分酸化改質反応が行われる工程である。また、ATR1工程及びATR2工程は、改質器20内でオートサーマル改質反応が行われる工程である。また、SR1工程及びSR2工程は、改質器20内で水蒸気改質反応が行われる工程である。上記各POX工程、ATR工程、SR工程は、それぞれ2つに細分化されているが、これに限らず、3つ以上に細分化してもよいし、細分化しない構成とすることもできる。
まず、時刻t0において燃料電池1を起動すると、制御部110は、改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45に信号を送って、これらを起動させ、改質用空気(酸化剤ガス)及び発電用空気を燃料電池モジュール2に供給する。なお、本実施形態においては、時刻t0において供給が開始される改質用空気の供給量は10.0(L/min)、発電用空気の供給量は100.0(L/min)に設定される(図9の「燃焼運転」工程参照)。
次いで、時刻t1において、制御部110は、燃料流量調整ユニット38に信号を送って、改質器20への燃料ガス供給を開始する。これにより、改質器20へ送り込まれた燃料ガス及び改質用空気は、改質器20、燃料ガス供給管64、マニホールド66を介して各燃料電池セルユニット16内に送り込まれる。各燃料電池セルユニット16内に送り込まれた燃料ガス及び改質用空気は、各燃料電池セルユニット16の燃料ガス流路98上端から流出する。なお、本実施形態において、時刻t1において供給が開始される燃料ガスの供給量は6.0(L/min)に設定されている(図9の「燃焼運転」工程参照)。
さらに、時刻t2において、制御部110は、点火装置83に信号を送り、燃料電池セルユニット16から流出する燃料ガスに点火する。これにより、燃料室18内で燃料ガスが燃焼され、これによって生成した排気ガスにより、その上方に配置された改質器20が加熱されると共に、燃焼室18、発電室10、及びその中に配置された燃料電池セルスタック14の温度(以下「セルスタック温度」という)も上昇する(図7の時刻t2〜t3参照)。燃料ガス流路98を含む燃料電池セルユニット16及びその上端部位は燃焼部に相当する。
改質器20が加熱されることにより、改質器20の温度(以下「改質器温度」という)が300℃程度まで上昇すると、改質器20内においては、部分酸化改質反応(POX)が発生する(図7の時刻t3:POX1工程開始)。部分酸化改質反応は発熱反応であるため、改質器20は、部分酸化改質反応の発生により、その反応熱によっても加熱されるようになる(図7の時刻t3〜t5)。
さらに温度が上昇し、改質器温度が350℃に達すると(POX2移行条件)、制御部110は、燃料流量調整ユニット38に信号を送り、燃料ガス供給量を減少させると共に、改質用空気流量調整ユニット38に信号を送り、改質用空気供給量を増加させる(図7の時刻t4:POX2工程開始)。これにより、燃料ガス供給量は5.0(L/min)に変更され、改質用空気供給量は18.0(L/min)に変更される(図9の「POX2」工程参照)。これらの供給量は、部分酸化改質反応を発生させるために適切な供給量である。即ち、部分酸化改質反応が発生し始める初期の温度領域においては、供給する燃料ガスの割合を多くすることにより、燃料ガスに確実に着火させる状態を形成すると共に、その供給量を維持して着火を安定させる(図9の「POX1」工程参照)。さらに、安定して着火され、温度が上昇した後には、部分酸化改質反応を生成するために必要にして十分な燃料ガス供給量として、燃料の浪費を抑えている(図9の「POX2」工程参照)。
次に、図7の時刻t5において、改質器温度が600℃以上、且つ、セルスタック温度が250℃以上になると(ATR1移行条件)、制御部110は、改質用空気流量調整ユニット44に信号を送り、改質用空気供給量を減少させると共に、水流量調整ユニット28に信号を送り、水の供給を開始させる(ATR1工程開始)。これにより、改質用空気供給量は8.0(L/min)に変更され、水供給量は2.0(cc/min)にされる(図9の「ATR1」工程参照)。改質器20内に水(水蒸気)が導入されることにより、改質器20内で水蒸気改質反応も発生するようになる。即ち、図9の「ATR1」工程においては、部分酸化改質反応と水蒸気改質反応が混在したオートサーマル改質(ATR)が発生するようになる。
本実施形態においては、セルスタック温度は、発電室10内に配置された発電室温度センサ142によって測定されている。発電室内の温度とセルスタック温度は、厳密には同一ではないが、発電室温度センサによって検出される温度はセルスタック温度を反映したものであり、発電室内に配置された発電室温度センサによりセルスタック温度を把握することができる。なお、本明細書において、セルスタック温度とは、セルスタック温度を反映した値を指示する任意のセンサにより測定された温度を意味するものとする。
さらに、図7の時刻t6において、改質器温度が600℃以上、且つ、セルスタック温度が400℃以上になると(ATR2移行条件)、制御部110は、燃料流量調整ユニット38に信号を送り、燃料ガス供給量を減少させる。また、制御部110は、改質用空気流量調整ユニット44に信号を送り、改質用空気供給量を減少させると共に、水流量調整ユニット28に信号を送り、水の供給量を増加させる(ATR2工程開始)。これにより、燃料ガス供給量は4.0(L/min)に変更され、改質用空気供給量は4.0(L/min)に変更され、水供給量は3.0(cc/min)に変更される(図9の「ATR2」工程参照)。改質用空気供給量が減少され、水供給量が増加されることにより、改質器20内においては、発熱反応である部分酸化改質反応の割合が減少し、吸熱反応である水蒸気改質反応の割合が増加する。これにより、改質器温度の上昇は抑制され、一方、改質器20から受けるガス流により燃料電池セルスタック14が昇温されることによって、セルスタック温度は改質器温度に追い付くように昇温していくので、両者の温度差が縮小され、両者は安定的に昇温されていく。
次に、図7の時刻t7において、改質器温度とセルスタック温度の温度差が縮まり、改質器温度が650℃以上、且つ、スタック温度が600℃以上になると(SR1移行条件)、制御部110は、改質用空気流量調整ユニット44に信号を送り、改質用空気の供給を停止する。また、制御部110は、燃料流量調整ユニット38に信号を送り、燃料ガス供給量を減少させると共に、水流量調整ユニット28に信号を送り、水の供給量を増加させる(SR1工程開始)。これにより、燃料ガス供給量は3.0(L/min)に変更され、水供給量は8.0(cc/min)に変更される(図9の「SR1」工程参照)。改質用空気の供給が停止されることにより、改質器20内においては部分酸化改質反応は発生しなくなり、水蒸気改質反応のみが発生するSRが開始される。
さらに、図7の時刻t8において、改質器温度とセルスタック温度の温度差がさらに縮まり、改質器温度が650℃以上、且つ、スタック温度が650℃以上になると(SR2移行条件)、制御部110は、燃料流量調整ユニット38に信号を送り、燃料ガス供給量を減少させると共に、水流量調整ユニット28に信号を送り、水の供給量も減少させる。また、制御部110は、発電用空気流量調整ユニット45に信号を送り、発電量空気の供給量も減少させる(SR2工程開始)。これにより、燃料ガス供給量は2.3(L/min)に変更され、水供給量は6.3(cc/min)に変更され、発電用空気供給量は80.0(L/min)に変更される(図9の「SR2」工程参照)。
SR1工程では、改質器温度及びスタック温度を発電可能な温度付近まで上昇させるため、燃料ガス供給量及び水供給量を高めに保持している。その後、SR2工程では、燃料ガス流量及び水供給量を低減して、改質器温度及びセルスタック温度の温度分布を落ち着かせ、発電可能な温度範囲に安定化させる。
制御部110は、SR2工程において、各供給量を所定の発電移行時間以上維持した後、図7の時刻t9において、改質器温度が650℃以上、且つ、スタック温度が700℃以上になると(発電工程移行条件)、燃料電池モジュール2からインバータ54に電力を出力させ、発電工程に移行して発電を開始する(図7の時刻t9:発電工程開始)。発電工程では、制御部110は、時刻t9から時刻t10の間は燃料ガス供給量及び水供給量を一定に維持する。
その後、制御部110は、出力電力に追従させるように、燃料流量調整ユニット38及び水流量調整ユニット28に信号を送って燃料ガス供給量及び水の供給量を変更する。よって、時刻t10から時刻t11にかけて、燃料ガス供給量及び水の供給量が減少し、時刻t11以降は、要求出力電力に応じて、燃料ガス供給量及び水の供給量が調整され、負荷追従運転が実行される。
次に、図10及び図11を参照して、本実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)の過昇温抑制制御を説明する。
上述のように、燃料電池モジュール2は、熱効率向上のためにモジュール収納室としてのハウジング6の周囲に蓄熱手段としての蓄熱材7が設けられており、内部で発生した熱を外部へ逃がさずに有効利用できるように構成されている。
しかしながら、燃料電池装置1を稼動し、蓄熱材7を含む燃料電池モジュール2全体が昇温した状態で停止動作に入り、その後、蓄熱材7等が多量の熱量を蓄積した状態で再起動工程に入ると、燃料電池モジュール2内の構成部品(特に改質器20)が通常の室温状態からの起動時に比べて昇温し易くなる。例えば、発熱反応である部分酸化改質反応において改質器20で発生した熱は、通常の室温状態からの起動時には、改質器20そのものを昇温する以外に、他の構成部品や蓄熱材7を昇温するために改質器20外へ放出される。しかしながら、蓄熱材7が多量の熱量を保持している状況では、部分酸化改質反応で発生した熱は、主に改質器20を昇温するために用いられることになり、改質器20の昇温速度が速められる。これにより、例えば、改質器20が過昇温により劣化するおそれがある。
このため、本実施形態では、このような過昇温が発生するおそれがある状態(すなわち、昇温助長状態)であるか否かを検知して、この状態に応じて、過昇温抑制制御を実行し、過昇温を防止した適切な再起動が行われる。この過昇温抑制制御では、昇温助長状態を検知した場合に、SR1工程からSR2工程へ早期に次工程へ移行するように、移行温度条件が緩和されるように構成されている。
図10は、図7の場合と比べて、改質器温度の上昇速度が速い場合を示している。なお、以下では、図7及び図9で説明した通常の起動時の動作及び処理と異なる点について主に説明する。
また、図11は、図9と比べて、移行温度条件のみが異なり、各工程における燃料ガス等の供給量は同一に設定されている。なお、図11以降の動作テーブルでは、図9と異なる部分を四角で囲ってある。
時刻t20から時刻t27までの起動状態は、図7の時刻t0から時刻t7までの起動状態とほぼ同じであるので説明を省略する。
改質器20の温度上昇が燃料電池セルスタック14の温度上昇よりも早いので、時刻t27よりも前に改質器20の温度は、ATR2工程からSR1工程への移行温度条件である650℃を超えている。そして、セルスタック温度が移行温度条件である600℃に到達した時刻t27に、両方の移行条件が満たされたことにより、制御部110は、ATR2工程からSR1工程へ移行させている。
SR1工程からSR2工程への通常の移行条件は、改質器温度が650℃以上、且つ、セルスタック温度が650℃以上である(SR2移行条件)。SR1工程移行後も改質器温度は上昇を続け、時刻t28には、SR2への移行温度条件である650℃を超えて所定の強制移行温度(本例では700℃)に到達している。一方、セルスタック温度は、時刻t28においてもSR2への移行温度条件である650℃に達していない。
改質器温度が先に650℃以上に達した後、セルスタック温度が650℃以上に達するまでには時間が掛かるため、セルスタック温度が650℃に達したときには、改質器温度が過昇温により異常判定温度である800℃に達してしまうおそれがある。異常判定温度は、改質器20が劣化・損傷するおそれのあるため、燃料電池1を強制的に異常停止させる設定温度である。
判定手段としての制御部110は、SR1工程において、セルスタック温度がSR2工程への移行温度条件に到達していないにもかかわらず、改質器温度が強制移行温度(本例では700℃)以上に到達した場合には、図9の動作テーブルで示した改質器温度及びセルスタック温度の基準となる移行温度の昇温過程から外れ、改質器温度の昇温速度が速まっているので、燃料電池モジュール2に多量の熱量が蓄積されており、この熱量に起因して改質器20の昇温が助長されている状態、又は、昇温速度が通常の起動時よりも速まっている状態、すなわち昇温助長状態であると判定する。
すなわち、本実施形態では、セルスタック温度の昇温速度に比べて改質器温度の昇温速度が速く、両者の温度差が通常よりも大きくなり、セルスタック温度が移行温度に達する前に改質器温度が移行温度よりも所定温度以上高い強制移行温度に達した場合に、昇温助長状態であると判定される。
これにより、制御部110は、SR1工程からSR2工程への移行温度条件を、改質器温度が650℃以上、且つ、セルスタック温度が650℃以上であることに加えて、セルスタック温度にかかわらず、改質器温度が700℃以上であることを付加又は変更する(変更後のSR2移行条件)。よって、制御部110は、セルスタック温度が650℃に到達していないが、改質器温度が強制移行温度(700℃)に到達しているので、SR1工程からSR2工程へ移行させる。
したがって、図10の場合、燃料ガス供給量及び水供給量がSR2工程よりも多いSR1工程の期間が短縮化され、改質器20の温度上昇が抑制される。さらに、SR2工程へ移行後は、燃料ガス供給量及び水供給量がSR1工程よりも低減されるので、改質器温度の上昇が抑制される。
SR2工程ではSR1工程よりも燃料ガス供給量及び水供給量が低減されるので、吸熱反応である水蒸気改質反応が抑えられる点では、改質器温度の上昇抑制効果としては不利である。しかしながら、SR2工程で燃料ガス供給量が低減されることにより、燃料電池セルユニット16から流出する改質後の燃料ガスの流出量も減少し、改質器20を加熱する燃焼部からの排気ガス量が減少するので、改質器温度の上昇は全体として抑制される。
一方、セルスタック温度は、SR2工程において改質器20からガス流を受けることにより、徐々に改質器温度に追い付くように上昇していき、発電可能な温度まで到達する。これにより、時刻t29に、改質器温度及びセルスタック温度がそれぞれ650℃以上、700℃以上の移行温度条件(発電工程移行条件)を満たし、制御部110は、SR2工程から発電工程へ移行させる。
発電工程に移行すると、燃料電池セルスタック14での発電反応に起因して、セルスタック温度が上昇する。また、これに伴って、改質器温度も上昇する。本実施形態では、このような発電工程における改質器温度やセルスタック温度の上昇分を考慮して、発電工程移行時に、及び発電工程移行後の所定期間に、改質器温度及びセルスタック温度がそれぞれの所定値(例えば改質器20や燃料電池セルスタック14が劣化・損傷するおそれのある異常判定温度)以上にならないように制御している。
このように、本実施形態の過昇温抑制制御では、改質器温度の上昇速度がセルスタック温度の上昇速度よりも速い場合、移行温度条件を変更することにより、セルスタック温度が移行温度条件を満たしていなくても、改質器温度が通常の移行温度条件よりも高温に設定された強制移行温度に到達することにより、次工程へ早期に移行される。これにより、本実施形態では、改質器温度の上昇を抑制し、SR工程を含む起動工程及び発電工程、特に、発電工程への移行時及び発電工程移行後の所定期間において、改質器温度やセルスタック温度が劣化・損傷を引き起こす所定値(異常判定温度)以上に過昇温してしまうことを防止することができる。
なお、本実施形態では、SR工程中に昇温助長状態を判定して、SR1工程からSR2工程への移行温度条件を変更しているが、これに限らず、POX工程、ATR工程においても同様に昇温助長状態を判定して、早期に次工程へ移行するように移行温度条件を変更するように構成してもよい。
次に、図12及び図13を参照して、第2実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)の過昇温抑制制御を説明する。
本実施形態の過昇温抑制制御では、昇温助長状態を検知した場合に、SR1工程とSR2工程との間にSR1.5工程を追加して過昇温を防止するように構成されている。
図12は、図7及び図10の場合と比べて、さらに改質器温度及びセルスタック温度の上昇速度が速い場合を示している。なお、以下では、図7及び図9で説明した通常の起動時の動作及び処理と異なる点について主に説明する。
また、図13は、図9と比べて、SR1工程とSR2工程の間にSR1.5工程が追加されており、これに伴い関連する移行温度条件が異なっている。
時刻t40から時刻t47までの起動状態は、図7の時刻t0から時刻t7までの起動状態とほぼ同じであるので説明を省略する。
改質器20の温度上昇が燃料電池セルスタック14の温度上昇よりも早いので、時刻t47よりも前に改質器20の温度は、ATR2工程からSR1工程への移行温度条件である650℃を超えて700℃に達している。そして、セルスタック温度が移行温度条件である600℃に到達した時刻t47に、両方の移行条件が満たされたことにより、制御部110は、ATR2工程からSR1工程へ移行させている。
制御部110は、ATR工程からSR1工程への移行時における改質器温度が移行温度条件である650℃をさらに上回って所定の移行条件変更温度(本例では700℃)以上に達している場合、燃料電池モジュール2に多量の熱量が蓄積されており、この熱量によって改質器20が昇温されている昇温助長状態であると判定する。これにより、制御部110は、SR1工程以降の起動工程を図13に示す工程に変更する。
本実施形態では、セルスタック温度について、SR1工程からSR1.5工程への移行条件(SR1.5移行条件:620℃)は、図9に示された通常のSR1工程からSR2工程への移行条件(650℃)よりも低い温度条件に設定されている。よって、SR1工程へ移行後、セルスタック温度が620℃に到達した時点(時刻t48)で、制御部110は、SR1工程からSR1.5工程へ早期に次工程へ移行させる。なお、時刻t48において、改質器温度は移行温度条件である650℃以上であり、図12ではSR1工程開始時(時刻t47)よりもさらに昇温し依然として700℃を超えている。
このSR1.5工程では、制御部110は、燃料ガス供給量を2.6(L/min)に低減する。この燃料ガス供給量は、SR1工程よりも少ないが、SR2工程よりも多い量に設定されている。これにより、排気ガス量が減少し、改質器温度の上昇が抑制される。そして、SR1.5工程において、セルスタック温度は、改質器温度に追い付くように上昇する。
SR1.5工程へ移行後、セルスタック温度が660℃に到達した時点(時刻t49)で、制御部110は、SR1.5工程からSR2工程へ移行させる(SR2移行条件)。時刻t49において、改質器温度は移行温度条件である650℃以上であり、図12では700℃を超えた状態が継続している。
SR2工程では、制御部110は、燃料ガス供給量を2.3(L/min)に低減すると共に、水供給量を6.3(cc/min)に低減する。これにより、さらに排気ガス量が減少し、改質器温度の上昇が抑制される。そして、SR2工程において、セルスタック温度は、改質器温度に追い付くように上昇する。
SR2工程へ移行後、セルスタック温度が700℃に到達した時点(時刻t50)で、制御部110は、SR2工程から発電工程へ移行させる(発電工程移行条件)。時刻t50において、改質器温度は移行温度条件である650℃以上である。
このように、本実施形態の過昇温抑制制御では、改質器温度の温度上昇が非常に早く、SR1工程移行時に移行条件変更温度(この例では700℃)以上である場合に、SR1工程から昇温抑制効果のあるSR1.5へ早期に移行させ、さらにその後、昇温抑制効果の高いSR2工程へと多段階で移行させる。これにより、本実施形態では、SR工程内での多段階での工程間移行により、温度分布の急激な変化及び改質器温度の上昇を抑制し、SR工程を含む起動工程及び発電工程、特に、発電工程への移行時及び発電工程移行後の所定期間において、改質器温度及びセルスタック温度が劣化・損傷を引き起こす異常判定温度以上に過昇温してしまうことを防止することができる。
なお、本実施形態では、SR工程移行時に昇温助長状態を判定して、SR1とSR2との間に中間工程であるSR1.5工程を設けているが、これに限らず、POX工程、ATR工程においても同様に昇温助長状態を判定して、中間工程を設けるように構成してもよい。
次に、図14を参照して、第3実施形態による固体酸化物形燃料電池(SOFC)の過昇温抑制制御を説明する。
本実施形態の過昇温抑制制御では、昇温助長状態を検知した場合に、改質器温度とセルスタック温度との温度差を小さくする温度差縮小制御を実行するように構成されている。より具体的には、この温度差縮小制御では、外部負荷に電力を供給する発電工程に移行する前に、制限的な発電工程を起動工程と並行して実行するように構成されている。
図14は、図12の場合と同様に改質器温度及びセルスタック温度の上昇速度が速い場合を示している。なお、以下では、図7及び図9で説明した通常の起動時の動作及び処理と異なる点について主に説明する。
本実施形態では、制御部110は、時刻t60から時刻t71にかけて、改質器温度とセルスタック温度の移行温度条件に基づいて、各工程間で移行処理を行っている。
制御部110は、ATR工程からSR1工程への移行時における改質器温度が移行温度条件である650℃をさらに上回って早期発電開始温度(本例では700℃)以上に達している場合、燃料電池モジュール2に多量の熱量が蓄積されており、この熱量によって改質器20が昇温されている昇温助長状態であると判定する。
これにより、制御部110は、電力量が定格値よりも低い一定値に制限された制限的な発電工程をSR1工程と並行して実行する。制限的な発電工程での電力取り出し量は一定に設定され、安定した状態で温度差縮小制御を実行するように構成されている。なお、制限的な発電工程は、SR工程(SR1.5工程を設けた場合はSR1.5工程を含む)中の任意の時点で開始してもよい。
SR工程では、本格的に外部負荷に電力供給できるほどは大きな電力を取り出すことはできないが、少量の電力であれば取り出すことができる。制限的な発電工程において、セルスタック温度は、発電反応及びジュール熱によって昇温される。一方、発電が開始されると、発電反応により改質後の燃料ガスが消費されるので、燃料電池セルユニット16から流出する改質後の燃料ガスの流出量も減少し、改質器20を加熱する排気ガス量が減少するので、改質器温度の上昇は抑制される。これにより、改質器温度及びセルスタック温度の温度差が縮小される。図14には、温度差縮小制御を実行しなかった場合(細い一点鎖線)と、実行した場合の改質器温度とセルスタック温度の温度変化の相違が示されている。
また、制限的な発電工程において発電された電力は、燃料電池装置1の補機ユニット4(例えば、水流量調整ユニット28、第1ヒータ等46)のポンプや電気抵抗に用いられる。また、外部負荷へ電力供給するように構成することもできる。
さらに、時刻t69において、SR2工程から発電工程への移行条件が満足されると、制御部110は、外部電力負荷追従を行う本格的な発電工程へ移行する。
このように、本実施形態の温度差縮小制御(過昇温抑制制御)では、改質器温度の温度上昇がセルスタック温度の温度上昇よりも早い場合に、SR工程中に制限的な発電工程を実行することにより、セルスタック温度の昇温速度を増加させると共に、改質器温度の昇温を抑制する。これにより、本実施形態では、改質器温度とセルスタック温度の温度差を縮小して、改質器温度の上昇を抑制し、SR工程を含む起動工程及び発電工程、特に、発電工程への移行時及び発電工程移行後の所定期間において、改質器温度及びセルスタック温度が劣化・損傷を引き起こす所定の異常判定温度以上に過昇温してしまうことを防止することができる。
なお、本実施形態では、SR1移行時の改質器温度が早期発電開始温度(700℃)以上である場合に、温度差縮小制御を実行するように構成されているが、これに限らず、SR1移行時における改質器温度とセルスタック温度の温度差が所定温度差以上である場合に、昇温助長状態であると判定して、温度差縮小制御を実行するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、判定手段としての制御部110が改質器温度及びセルスタック温度に基づいて、燃料電池モジュール2に蓄積している熱量によって、改質器20、燃料電池セルスタック14が過昇温される状態(昇温助長状態)であるか否かを判定していたが、これに限らず、他の方法によって判定するように構成してもよい。
例えば、各工程において、改質器温度とセルスタック温度の温度差に応じて昇温助長状態を判定してもよいし、改質器温度やセルスタック温度や蓄熱材7の温度を含む他の温度、その温度変化率又は温度変化速度に応じて判定してもよいし、燃料ガス供給量に対する改質器温度やスタック温度の温度上昇から起動時に残存していた熱量を推定し、この推定した熱量に応じて判定してもよいし、再起動前の動作状態に応じて判定してもよい。このように、種々の方法で、残存熱量に起因する過昇温の発生のおそれの程度を判定することができるが、上記実施形態では、各工程での改質器温度及びセルスタック温度の測定値から判定するという簡単な方法を採用している。
また、上記実施形態では、判定手段としての制御部110が、例えばSR工程中やSR1工程への移行時に昇温助長状態の判定を行っているが、判定の時期はこれらに限られない。また、上述の温度差、温度、温度変化率又は温度変化速度、推定熱量に応じて判定する場合には、任意の工程中に判定することができる。
また、上記実施形態では、改質器温度がセルスタック温度よりも温度上昇速度が速い場合であったが、これに限らず、蓄熱材7等に対する配置によっては、セルスタック温度が改質器温度よりも温度上昇速度が速い場合があり、この場合には、上記実施形態において改質器温度とセルスタック温度とを入れ替えた構成にすることにより、同様の技術思想によって、セルスタック温度の過昇温を防止するように構成することができる。
1 固体電解質形燃料電池(固体酸化物形燃料電池装置)
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
6 ハウジング(モジュール収納室)
7 蓄熱材(蓄熱手段)
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット
18 燃焼室
20 改質器
22 空気用熱交換器
28 水流量調整ユニット
38 燃料流量調整ユニット
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット
54 インバータ
83 点火装置
84 燃料電池セル
110 制御部(制御手段、判定手段)

Claims (10)

  1. 固体酸化物形燃料電池装置において、
    複数の燃料電池セルを組み合わせてなるセルスタックと、
    前記燃料電池セルに供給する燃料ガスを改質する改質器と、
    前記燃料電池セルを通過した余剰の燃焼ガス又は改質された燃焼ガスを燃焼させることにより発生する排気ガスによって前記改質器及び前記セルスタックを加熱する燃焼部と、
    前記セルスタックの温度及び前記改質器の温度をそれぞれ検出する温度検出器と、
    前記セルスタック及び前記改質器を収納するモジュール収納室と、
    前記モジュール収納室の周囲に配置された蓄熱手段と、
    前記燃料電池装置の起動中に前記蓄熱手段が蓄積している熱量によって前記改質器及び/又は前記セルスタックの昇温が助長される状態である昇温助長状態であるか否かを判定する判定手段と、
    前記燃料電池装置の起動を制御する制御手段と、を備えており、
    前記制御手段は、前記燃料電池装置の起動工程において、前記改質器に供給する燃料ガス、酸化剤ガス、水蒸気の供給量を前記セルスタックの温度及び前記改質器の温度に基づいて制御し、前記改質器で行われる燃料ガス改質反応工程において、発熱反応である部分酸化改質反応を生じる工程から水蒸気改質反応を生じるSR工程へ移行させた後、発電工程へ移行させ、各工程において前記セルスタックの温度及び前記改質器の温度がそれぞれに対して設定された移行温度に到達した場合に、次の工程へ移行するように制御するよう構成されており、
    前記判定手段は、前記工程の移行時において、前記セルスタックの温度及び前記改質器の温度の一方が、前記設定された移行温度よりも所定温度以上高い場合に、前記昇温助長状態であると判断するように構成されており、
    前記判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、前記制御手段は、少なくとも前記発電工程への移行時において前記改質器の温度が、前記改質器が劣化又は損傷を引き起こす所定値以上に昇温されることを防止する過昇温抑制制御を実行することを特徴とする固体酸化物形燃料電池装置。
  2. 前記制御手段は、前記判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、前記起動工程中において前記発電工程への移行前に、前記過昇温抑制制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  3. 前記SR工程は、SR1工程と、このSR1工程よりも燃料ガス供給量が低減されたSR2工程とを有しており、
    前記制御手段は、前記改質器の温度及び前記セルスタックの温度がこれらに対してそれぞれ設定された、前記SR1工程から前記SR2工程への移行温度であるSR2移行温度に到達した場合に、前記SR1工程を前記SR2工程へ切り替えるものであって、
    前記制御手段は、前記判定手段が昇温助長状態であると判定した場合には、前記SR2移行温度に到達する前であっても前記SR2工程へ移行することを前記過昇温抑制制御として実行することを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  4. 前記制御手段は、前記SR1工程において、前記改質器の温度が前記SR2移行温度に到達しさらに所定の強制移行温度以上であれば、前記セルスタックの温度が前記SR2移行温度に到達していなくても、前記SR2工程へ移行することを特徴とする請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  5. 前記SR工程は、SR1工程と、このSR1工程よりも燃料ガス供給量が低減されたSR2工程とを有しており、
    前記制御手段は、前記改質器の温度及び前記セルスタックの温度がこれらに対してそれぞれ設定された、前記SR1工程から前記SR2工程への移行温度であるSR2移行温度に到達した場合に、前記SR1工程を前記SR2工程へ切り替えるものであって、
    前記制御手段は、前記判定手段が昇温助長状態であると判定した場合には、前記SR1工程から前記SR2工程へ切り替える前に、燃料ガス供給量が前記SR1工程よりも少なく前記SR2工程よりも多い、SR1.5工程を実行することを前記過昇温抑制制御として実行することを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  6. 前記SR1工程から前記SR1.5工程に切り替える際の移行温度は、前記SR2移行温度よりも低い温度であることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  7. 前記制御手段は、前記判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、前記改質器の温度と前記セルスタックの温度との温度差を小さくする温度差縮小制御を前記過昇温抑制制御として実行することを特徴とする請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  8. 前記制御手段は、前記判定手段が昇温助長状態であると判定した場合、前記SR工程において、前記温度差縮小制御として、前記発電工程への移行前に定格より低い電力取出しを行うことを特徴とする請求項7に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  9. 前記制御手段は、前記発電工程への移行前における電力取出し量を一定にすることを特徴とする請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
  10. 前記制御手段は、前記発電工程への移行前に取出した電力を前記固体酸化物形燃料電池装置の補機へ供給することを特徴とする請求項8に記載の固体酸化物形燃料電池装置。
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