JP5991511B2 - 固体酸化物型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物型燃料電池に係わり、特に、需要電力に応じて発電電力を変化させる固体酸化物型燃料電池に関する。
固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下「SOFC」とも言う)は、電解質として酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を取り付け、一方の側に燃料ガスを供給し、他方の側に酸化剤(空気、酸素等)を供給して、比較的高温で動作する燃料電池である。
特開2011−76934号公報(特許文献1)には、固体電解質型燃料電池が記載されている。この燃料電池においては、需要電力の増加に応じて発電電力を増加させる際に、燃料電池モジュールに供給する燃料供給量を増加させた後、所定時間遅れて、増加された燃料供給量により発電可能な電力(燃料供給量に対応する電力)まで電力取り出し量を増加させている。この固体電解質型燃料電池において、燃料供給量の増加の後、所定時間遅れて、燃料電池モジュールから取り出す電力を増加させているのは、供給された燃料が、燃料電池セルスタックを構成する各燃料電池セルユニットに行き渡るまでの時間を考慮したものである。即ち、供給された燃料は、まず、改質器において改質され、その後、所定の管路を通って各燃料電池セルユニットに分配される。このため、燃料供給量を増加させた後、増加された燃料が各燃料電池セルユニットに到達するまでにはタイムラグが存在する。
従って、燃料供給量を増加させた後、電力取り出し量を増加させるまでの遅延時間が十分でない場合には、各燃料電池セルユニットが、増加された燃料に対応した大きな電力が取り出し可能な状態になる前に、燃料電池セルスタックから増加された電力が取り出されてしまう。このため、各燃料電池セルユニットは、一時的に燃料枯れ(燃料不足)の状態となり、燃料電池セルユニットが劣化されてしまい、場合によっては損傷される。
一方、燃料供給量を増加させた後、電力取り出し量を増加させるまでの遅延時間が長すぎる場合には、燃料供給量が増加され、各燃料電池セルユニットが、増加された燃料に対応した大きな電力が取り出し可能な状態であるにも関わらず、実際に取り出される電力量が抑制されることになる。このため、供給された燃料のうち、発電に寄与しない余剰燃料の量が増加するので、燃料電池の総合的なエネルギー効率が低下するという問題がある。加えて、発電に利用されずに残った余剰燃料は、燃料電池モジュール内を加熱するために利用されるので、燃料電池モジュール内の温度が過剰に上昇するという問題を引き起こす。
このため、特開2011−76934号公報記載の固体電解質型燃料電池においては、これらの問題を回避すべく、燃料供給量増加後の遅延時間が選択されている。
特開2011−76934号公報
しかしながら、特開2011−76934号公報記載の固体電解質型燃料電池においては、依然として、燃料枯れの回避と、余剰燃料の抑制を十分に両立することができないという問題がある。
従って、本発明は、各燃料電池セルユニットにおける燃料枯れを回避しながら、十分に余剰燃料を抑制することができる固体酸化物型燃料電池を提供することを目的としている。
上述した課題を解決するために、本発明は、需要電力に応じて発電電力を変化させる固体酸化物型燃料電池であって、燃料電池セルスタックを備えた燃料電池モジュールと、燃料電池セルスタックに供給する燃料を改質する改質器と、この改質器により改質された燃料を蓄積し、燃料電池セルスタックを構成する各燃料電池セルユニットに分配する分散室と、改質器に燃料を供給する燃料供給手段と、燃料電池セルスタックに発電用の酸化剤ガスを供給する発電用酸化剤ガス供給手段と、需要電力に応じた電力を生成するように、燃料供給手段、及び発電用酸化剤ガス供給手段を制御する制御手段と、を有し、制御手段は、発電電力を需要電力に追従させるべく、発電電力を増加させる場合において、燃料供給量を増加させた後、所定の電力遅延時間遅れて、増加された燃料供給量に対応する電力まで発電電力を増加させ、この制御を繰り返すことにより発電電力を需要電力に近づける遅延制御手段と、現在の発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合には、遅延制御手段による電力遅延時間を中間帯域における電力遅延時間よりも長い時間に設定する遅延時間補正手段と、を備えたことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、制御手段が、燃料供給手段、及び発電用酸化剤ガス供給手段を制御して、燃料及び発電用酸化剤ガスを、燃料電池モジュールに内蔵された燃料電池セルスタックに供給し、需要電力に応じた電力を生成させる。制御手段に備えられた遅延制御手段は、発電電力を需要電力に追従させるべく、発電電力を増加させる場合において、燃料供給量を増加させた後、所定の電力遅延時間遅れて、増加された燃料供給量に対応する電力まで発電電力を増加させる。また、遅延時間補正手段は、発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合には、遅延制御手段による電力遅延時間を延長する。
本件発明者は、このように、燃料供給量を増加させた後、増加された燃料供給量に対応する電力まで発電電力を増加させるまでの電力遅延時間を、発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合に延長することにより、燃料枯れを回避しながら、十分に余剰燃料を抑制できることを見出した。まず、発電電力が大きい領域においては、発電に必要な燃料の量が多くなるため、供給される燃料の絶対量が多く、このような多量の燃料を改質器内において十分に改質し、各燃料電池セルユニットに送り込むために必要な時間が長くなる。このため、発電電力が大きい領域においては、電力遅延時間が延長される。
一方、発電電力が小さい領域においては、発電に必要な燃料の量が少なくなるため、改質に要する時間も短く、電力遅延時間を短縮することができると考えられていた。しかしながら、実際には、発電電力が小さい領域において、電力遅延時間が短い場合には、各燃料電池セルユニットにおいて燃料枯れが発生してしまい、必要な電力遅延時間は、発電電力の中間帯域よりも寧ろ長くなることが見出された。
これは、発電電力が小さい領域においては、燃料供給量が極めて少なくなることに起因している。まず、供給される燃料が送り込まれる改質器内には、水蒸気改質に使用される水蒸気が充満しており、改質器内部の圧力は高くなっている。このため、流量が低下されている燃料は改質器に導入されにくくなり、改質された燃料が改質器から流出する流速も低下する。さらに、改質器から流出した燃料は、分散室に流入して蓄積され、燃料電池セルユニットに分配される。この分散室は、供給される燃料の脈動や不均質を吸収する重要な機能を果たすものであるが、燃料供給量が低下した状態においては、分散室内の圧力が低下し、分散室に流入した燃料が、各燃料電池セルユニットに分配されるまでの時間遅れが長くなってしまう。これらの理由から、発電電力が小さい領域においても電力遅延時間の延長が必要であることが見出された。
従って、本発明によれば、発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合に、電力遅延時間が延長されるので、燃料枯れを回避しながら、十分に余剰燃料を抑制することができる。
本発明において、好ましくは、遅延制御手段は、発電電力を増加させる場合において、発電用酸化剤ガス供給量を増加させた後、所定の燃料遅延時間遅れて燃料供給量を増加させるように構成され、遅延時間補正手段は、発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合には、遅延制御手段による燃料遅延時間を延長する。
本件発明者は、発電用酸化剤ガス供給量を増加させた後、燃料供給量を増加させるまでの時間である燃料遅延時間についても、同様に、延長する必要があることを見出した。各燃料電池セルユニットに沿って流れる発電用の酸化剤ガスの流れは、各燃料電池セルユニットの燃料極側の出口付近に負圧を発生させる。燃料極側の出口付近に発生した負圧は、各燃料電池セルユニットの燃料極側に沿って流れてくる燃料を吸引するように作用する。このため、燃料供給量の増加に対して発電用酸化剤ガスの増加を先行させる燃料遅延時間を設定しておくことにより、各燃料電池セルユニットの燃料極側における流れを円滑にし、燃料枯れの発生を抑制することができる。また、燃料枯れが発生しやすい発電電力が中間帯域よりも大きい領域及び小さい領域において、燃料遅延時間を延長することにより、より確実に燃料枯れ抑制の効果を得ることができる。
本発明の固体酸化物型燃料電池によれば、各燃料電池セルユニットにおける燃料枯れを回避しながら、十分に余剰燃料を抑制することができる。
本発明の一実施形態による燃料電池装置を示す全体構成図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す正面断面図である。 図2のIII-III線に沿った断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の起動時の動作を示すタイムチャートである。 本発明の一実施形態による燃料電池装置の停止時の動作を示すタイムチャートである。 需要電力の変化と、燃料供給量、及び燃料電池モジュールから実際に取り出される電流の関係を模式的に示したグラフである。 遅延制御における燃料、発電用空気、及び水供給量と、発電量の関係を詳細に示したタイムチャートである。 遅延時間補正手段による遅延時間設定のフローチャートである。 遅延時間補正手段における発電電力と遅延時間の関係を示すグラフである。
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料と酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図5参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図4参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料と残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料を改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2及び図3により、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿って断面図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密閉空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bを形成され、これらの蒸発部20aと改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気(純水)が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図3に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。
空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図3に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス室通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図1に示す上述した温水製造装置50に接続されている。
図2に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルユニット16について説明する。図4は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図4に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に図5により燃料電池セルスタック14について説明する。図5は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図5に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図5では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図6により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)に取り付けられたセンサ類等について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)を示すブロック図である。
図6に示すように、固体酸化物型燃料電池1は、制御部110を備え、この制御部110には、使用者が操作するための「ON」や「OFF」等の操作ボタンを備えた操作装置112、発電出力値(ワット数)等の種々のデータを表示するための表示装置114、及び、異常状態のとき等に警報(ワーニング)を発する報知装置116が接続されている。なお、この報知装置116は、遠隔地にある管理センタに接続され、この管理センタに異常状態を通知するようなものであっても良い。
次に、制御部110には、以下に説明する種々のセンサからの信号が入力されるようになっている。
先ず、可燃ガス検出センサ120は、ガス漏れを検知するためのもので、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4に取り付けられている。
CO検出センサ122は、本来排気ガス通路80等を経て外部に排出される排気ガス中のCOが、燃料電池モジュール2及び補機ユニット4を覆う外部ハウジング(図示せず)へ漏れたかどうかを検知するためのものである。
貯湯状態検出センサ124は、図示しない給湯器におけるお湯の温度や水量を検知するためのものである。
電力状態検出センサ126は、インバータ54及び分電盤(図示せず)の電流及び電圧等を検知するためのものである。
発電用空気流量検出センサ128は、発電室10に供給される発電用空気の流量を検出するためのものである。
改質用空気流量センサ130は、改質器20に供給される改質用空気の流量を検出するためのものである。
燃料流量センサ132は、改質器20に供給される燃料ガスの流量を検出するためのものである。
水流量センサ134は、改質器20に供給される純水の流量を検出するためのものである。
水位センサ136は、純水タンク26の水位を検出するためのものである。
圧力センサ138は、改質器20の外部の上流側の圧力を検出するためのものである。
排気温度センサ140は、温水製造装置50に流入する排気ガスの温度を検出するためのものである。
発電室温度センサ142は、図3に示すように、燃料電池セル集合体12の近傍の前面側と背面側に設けられ、燃料電池セルスタック14の近傍の温度を検出して、燃料電池セルスタック14(即ち燃料電池セル84自体)の温度を推定するためのものである。
燃焼室温度センサ144は、燃焼室18の温度を検出するためのものである。
排気ガス室温度センサ146は、排気ガス室78の排気ガスの温度を検出するためのものである。
改質器温度センサ148は、改質器20の温度を検出するためのものであり、改質器20の入口温度と出口温度から改質器20の温度を算出する。
外気温度センサ150は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)が屋外に配置された場合、外気の温度を検出するためのものである。また、外気の湿度等を測定するセンサを設けるようにしても良い。
これらのセンサ類からの信号は、制御部110に送られ、制御部110は、これらの信号によるデータに基づき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38、改質用空気流量調整ユニット44、発電用空気流量調整ユニット45に、制御信号を送り、これらのユニットにおける各流量を制御するようになっている。
次に図7により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)による起動時の動作を説明する。図7は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の起動時の動作を示すタイムチャートである。
最初は、燃料電池モジュール2を温めるために、無負荷状態で、即ち、燃料電池モジュール2を含む回路を開いた状態で、運転を開始する。このとき、回路に電流が流れないので、燃料電池モジュール2は発電を行わない。
先ず、改質用空気流量調整ユニット44から改質用空気を第1ヒータ46を経由して燃料電池モジュール2の改質器20へ供給する。また、同時に、発電用空気流量調整ユニット45から発電用空気を第2ヒータ48を経由して燃料電池モジュール2の空気用熱交換器22へ供給し、この発電用空気が、発電室10及び燃焼室18に到達する。
この直ぐ後、燃料流量調整ユニット38からも燃料ガスが供給され、改質用空気が混合された燃料ガスが、改質器20及び燃料電池セルスタック14、燃料電池セルユニット16を通過して、燃焼室18に到達する。
次に、点火装置83により着火して、燃焼室18にある燃料ガスと空気(改質用空気及び発電用空気)とを燃焼させる。この燃料ガスと空気との燃焼により排気ガスが生じ、この排気ガスにより、発電室10が暖められ、また、排気ガスが燃料電池モジュール2の密封空間8内を上昇する際、改質器20内の改質用空気を含む燃料ガスを暖めると共に、空気熱交換器22内の発電用空気も暖める。
このとき、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、改質用空気が混合された燃料ガスが改質器20に供給されているので、改質器20において、式(1)に示す部分酸化改質反応POXが進行する。この部分酸化改質反応POXは、発熱反応であるので、起動性が良好となる。また、この昇温した燃料ガスが燃料ガス供給管64により燃料電池セルスタック14の下方に供給され、これにより、燃料電池セルスタック14が下方から加熱され、また、燃焼室18も燃料ガスと空気が燃焼して昇温されているので、燃料電池セルスタック14は、上方からも加熱され、この結果、燃料電池セルスタック14は、上下方向において、ほぼ均等に昇温可能となっている。この部分酸化改質反応POXが進行しても、燃焼室18では継続して燃料ガスと空気との燃焼反応が持続される。
mn+xO2 → aCO2+bCO+cH2 (1)
部分酸化改質反応POXの開始後、改質器温度センサ148により改質器20が所定温度(例えば、600℃)になったことを検知したとき、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、燃料ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。このとき、改質器20においては、上述した部分酸化改質反応POXと後述する水蒸気改質反応SRとが併用されたオートサーマル改質反応ATRが進行する。このオートサーマル改質反応ATRは、熱的に内部バランスが取れるので、改質器20内では熱的に自立した状態で反応が進行する。即ち、酸素(空気)が多い場合には部分酸化改質反応POXによる発熱が支配的となり、水蒸気が多い場合には水蒸気改質反応SRによる吸熱反応が支配的となる。この段階では、既に起動の初期段階は過ぎており、発電室10内がある程度の温度まで昇温されているので、吸熱反応が支配的であっても大幅な温度低下を引き起こすことはない。また、オートサーマル改質反応ATRが進行中も、燃焼室18では燃焼反応が継続して行われている。
式(2)に示すオートサーマル改質反応ATRの開始後、改質器温度センサ146により改質器20が所定温度(例えば、700℃)になったことを検知したとき、改質用空気流量調整ユニット44による改質用空気の供給を停止すると共に、水流量調整ユニット28による水蒸気の供給を増加させる。これにより、改質器20には、空気を含まず燃料ガスと水蒸気のみを含むガスが供給され、改質器20において、式(3)の水蒸気改質反応SRが進行する。
mn+xO2+yH2O → aCO2+bCO+cH2 (2)
mn+xH2O → aCO2+bCO+cH2 (3)
この水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるので、燃焼室18からの燃焼熱と熱バランスをとりながら反応が進行する。この段階では、燃料電池モジュール2の起動の最終段階であるため、発電室10内が十分高温に昇温されているので、吸熱反応が進行しても、発電室10が大幅な温度低下を招くこともない。また、水蒸気改質反応SRが進行しても、燃焼室18では継続して燃焼反応が進行する。
このようにして、燃料電池モジュール2は、点火装置83により点火した後、部分酸化改質反応POX、オートサーマル改質反応ATR、水蒸気改質反応SRが、順次進行することにより、発電室10内の温度が徐々に上昇する。次に、発電室10内及び燃料電池セル84の温度が燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む回路を閉じ、燃料電池モジュール2による発電を開始し、それにより、回路に電流が流れる。燃料電池モジュール2の発電により、燃料電池セル84自体も発熱し、燃料電池セル84の温度も上昇する。この結果、燃料電池モジュール2を作動させる定格温度、例えば、600℃〜800℃になる。
この後、定格温度を維持するために、燃料電池セル84で消費される燃料ガス及び空気の量よりも多い燃料ガス及び空気を供給し、燃焼室18での燃焼を継続させる。なお、発電中は、改質効率の高い水蒸気改質反応SRで発電が進行する。
次に、図8により本実施形態による固体酸化物型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を説明する。図8は、本実施形態により固体酸化物型燃料電池(SOFC)の運転停止時の動作を示すタイムチャートである。
図8に示すように、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、先ず、燃料流量調整ユニット38及び水流量調整ユニット28を操作して、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させる。
また、燃料電池モジュール2の運転停止を行う場合には、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給量を減少させると同時に、改質用空気流量調整ユニット44による発電用空気の燃料電池モジュール2内への供給量を増大させて、燃料電池セル集合体12及び改質器20を空気により冷却し、これらの温度を低下させる。その後、改質器20の温度が所定温度、例えば、400℃まで低下したとき、燃料ガス及び水蒸気の改質器20への供給を停止し、改質器20の水蒸気改質反応SRを終了する。この発電用空気の供給は、改質器20の温度が所定温度、例えば、200℃まで低下するまで、継続し、この所定温度となったとき、発電用空気流量調整ユニット45からの発電用空気の供給を停止する。
このように、本実施形態においては、燃料電池モジュール2の運転停止を行うとき、改質器20による水蒸気改質反応SRと発電用空気による冷却とを併用しているので、比較的短時間に、燃料電池モジュールの運転を停止させることができる。
次に、図9乃至図12を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池1の制御を説明する。
図9は、需要電力の変化と、燃料供給量、及び燃料電池モジュールから実際に取り出される電流の関係を模式的に示したグラフである。
図9に示すように、燃料電池モジュール2は、図9の最上段に示す需要電力に応じた電力を生成できるように制御される。制御手段である制御部110は、需要電力に基づいて、燃料電池モジュール2が生成すべき目標の電流である燃料供給電流値Ifを、図9の2段目のグラフに示すように設定する。燃料供給電流値Ifは、概ね需要電力の変化に追従するように設定されるが、燃料電池モジュール2の応答速度は需要電力の変化に対して極めて緩慢であるため、需要電力の短周期の急激な変化には追従せず、需要電力に緩やかに追従するように設定される。また、需要電力が固体酸化物型燃料電池の定格発電電力を超えた場合には、燃料供給電流値Ifは定格発電電力に対応する電流値まで追従し、それ以上の電流値に設定されることはない。
制御部110は、図9の3段目のグラフに示すように、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38を制御して、燃料供給電流値Ifに対応する電力が生成できる流量の燃料供給量Frを燃料電池モジュール2に供給する。なお、燃料供給量に対する実際に発電に使用される燃料の割合である燃料利用率が一定であるとすれば、燃料供給電流値Ifと燃料供給量Frは比例する。図9のグラフは、燃料供給電流値Ifと燃料供給量Frが比例するものとして描かれているが、実際には、燃料利用率は運転状態に応じて変更される。
さらに、図9の最下段のグラフに示すように、制御部110は、燃料電池モジュール2から取り出すことができる電流値である取出可能電流Iinvをインバータ54に対して指示する信号を出力する。インバータ54は、時々刻々急激に変化する需要電力に応じ、取出可能電流Iinvの範囲内で燃料電池モジュール2から電流(電力)を取り出す。需要電力が取出可能電流Iinvを上回る部分については、系統電力から供給され、これが買電力となる。ここで、図9に示すように、制御部110がインバータ54に指示する取出可能電流Iinvは、電流が増加傾向にある場合、燃料供給量Frの変化に対して所定時間遅れて変化するように設定される。例えば、図9の時刻t10においては、燃料供給電流値If及び燃料供給量Frが上昇を始めた後、遅れて、取出可能電流Iinvの増加が開始される。また、時刻t12においても、燃料供給電流値If及び燃料供給量Frの増加の後、遅れて、取出可能電流Iinvの増加が開始される。このように、燃料供給量Frを増加させた後、実際に燃料電池モジュール2から取り出す電力を増加させるタイミングを遅らせている。これにより、燃料電池モジュール2に供給された燃料が改質器20において改質され、その後、改質された燃料が分散室であるマニホールド66に流入し、燃料電池セルスタック14を構成する各燃料電池セルユニット16に分配されるまでの時間遅れに対処している。また、燃料が各燃料電池セルユニット16に分配された後、実際の発電反応が可能になるまでにも時間を要し、電力を増加させるタイミングは、この時間も考慮して設定されている。これにより、各燃料電池セルユニット16において燃料枯れが発生し、燃料電池セルユニット16が損傷されるのを確実に防止している。なお、図9は、燃料供給量Frの増加と、取出可能電流Iinvの増加のタイミングをマクロ的、概略的に示したものであり、詳細については後述する。
次に図10乃至図12を参照して、制御部による燃料、発電用空気、水供給量、及び取出可能電流の制御の詳細を説明する。
図10は、制御部による遅延制御の一例を示すタイムチャートである。図11は、遅延時間補正手段による遅延時間設定のフローチャートである。図12は、遅延時間補正手段における発電電力と遅延時間の関係を示すグラフである。
本実施形態において、制御部110は、遅延制御を実行する遅延制御手段110aと、遅延制御手段110aによる電力遅延時間を補正する遅延時間補正手段110bと、を備えている(図6)。
まず、図10を参照して、遅延制御手段110aにより実行される第1遅延制御を説明する。図10に示すタイムチャートは、その上段に需要電力、中段に買電力、下段に燃料、発電用空気、水供給量、及び取出可能電流Iinvを示している。
まず、図10の時刻t21において需要電力が増加し始めるが、取出可能電流Iinvは、この増加に直ちに追従することはないため、燃料電池モジュール2から取り出される電力に変化はなく、需要電力の増加分は全て系統電力により賄われるため、需要電力と共に買電力も増加する。次いで、時刻t22において、燃料電池モジュール2による発電電力を増加させるべく、制御部110に内蔵されている遅延制御手段110aは、水供給手段である水流量調整ユニット28に信号を送り、水供給量を増加させる。この時点においても、取出可能電流Iinvは増加されていないため、需要電力と共に買電力が増加する。
次に、時刻t22から所定時間後の時刻t23において、遅延制御手段110aは、発電用酸化剤ガス供給手段である発電用空気流量調整ユニット45に信号を送り、空気供給量を増加させる。この時点においても、取出可能電流Iinvは増加されていないため、需要電力の増加分は全て買電力により賄われている。さらに、時刻t23から所定の燃料遅延時間後の時刻t24において、遅延制御手段110aは、燃料供給手段である燃料流量調整ユニット38に信号を送り、燃料供給量を増加させる。この時点においても、取出可能電流Iinvは増加されていないため、需要電力の増加分は全て買電力により賄われている。
次いで、時刻t24から所定の電力遅延時間後の時刻t25において、遅延制御手段110aは、インバータ54に信号を送り、取出可能電流Iinvを20mA増加させる。取出可能電流Iinvの増加と共に、燃料電池モジュール2から実際に取り出される電流も増加するため、需要電力の増加分の一部が固体酸化物型燃料電池1により賄われ、買電力が減少する。このように、時刻t25において取出可能電流Iinvを増加させるために、前もって、水、発電用空気、燃料の各供給量を増加させ、その後所定時間遅延して取出可能電流Iinvを増加させている。これにより、増加された燃料が改質器2内で改質され、燃料電池セルスタック14の各燃料電池セルユニット16に行き渡った後に、取出可能電流Iinvが増加され、燃料電池モジュール2から実際に取り出される電流も増加される。なお、時刻t22、t23、t24における水、発電用空気、燃料の各増加量は、発電電流を20mA増加させることができる量に設定されている。
さらに、時刻t25においては、取出可能電流Iinvを更に増加させるべく、水供給量が、もう1段階増加される。同様に、時刻t26、t27において、発電用空気、燃料の供給量が夫々増加され、時刻t28において、取出可能電流Iinvが更に20mA増加される。これにより買電力が減少する。このように、図10に示す例においては、取出可能電流Iinvは、十数秒間に1回、20mAずつ5段階増加されることにより、時刻t29において、取出可能電流Iinvが需要電力の増加分に追いつき、買電力は、時刻t21におけるレベルまで低下する。このように、遅延制御においては、水供給量、発電用空気供給量、及び燃料供給量を増加させた後、所定の電力遅延時間遅れて、増加された燃料供給量に対応する電力まで取出可能電流Iinv(発電電力)を増加させ、この制御を繰り返すことにより取出可能電流Iinvを需要電力に対応する電流に近づける。なお、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1においては、系統電力への逆潮流等を防止するため、燃料電池モジュール2による発電電力は、需要電力が少ない場合でも常に需要電力よりも100W少なく設定されるので、買電力が0になることはない。
次に、図11及び図12を参照して、遅延時間補正手段110bによる遅延時間の補正を説明する。
図10において説明したように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1においては、発電電力を増加させる場合において、燃料供給量が増加された後、所定の電力遅延時間(図10における時刻t24とt25の間、時刻t27とt28の間等)遅れて燃料電池モジュール2から取り出される発電電力が増加される。また、本実施形態においては、発電用の空気供給量が増加された後、所定の燃料遅延時間(図10における時刻t23とt24の間、時刻t26とt27の間等)遅れて燃料供給量が増加される。制御部110に内蔵されている遅延時間補正手段110bは、これらの電力遅延時間及び燃料遅延時間を、発電電力に応じて補正するように構成されている。
まず、図11のステップS1においては、燃料電池モジュール2による発電電力が増加傾向にあるか否かが、遅延時間補正手段110bによって判断される。発電電力が増加傾向にある場合には、ステップS2に進み、増加傾向にない場合には、図11に示すフローチャートの1回の処理を終了する。即ち、発電電力が増加傾向にない場合には遅延制御も実行されないため、遅延時間の補正も実行されない。
次に、ステップS2においては、図12に示すグラフを使用して、発電電力に基づいて、遅延時間補正係数αが読み込まれる。本実施形態においては、各発電電力に対する遅延時間補正係数αの値は、図12に示すように設定されている。
次いで、ステップS3においては、ステップS2において読み込まれた遅延時間補正係数αを使用して、補正された電力遅延時間TH及び燃料遅延時間TGが計算される。電力遅延時間THは、予め設定されている基本電力遅延時間TH0に遅延時間補正係数αを乗じることによって計算される。また、燃料遅延時間TGは、予め設定されている基本燃料遅延時間TG0に遅延時間補正係数αを乗じることによって計算される。なお、本実施形態においては、基本電力遅延時間TH0=10秒であり、基本燃料遅延時間TG0=5秒である。
図12に示すように、本実施形態においては、遅延時間補正係数αの値は、発電電力が中間的な値である350Wにおいて1に設定され、発電電力が350Wよりも大きい場合、及び小さい場合には、遅延時間補正係数αの値は1よりも大きい値になるように設定されている。従って、本実施形態においては、電力遅延時間THは、発電電力が中間帯域である場合に最も短く、発電電力が中間帯域よりも大きい場合及び小さい場合には、延長される。同様に、本実施形態においては、燃料遅延時間TGは、発電電力が中間帯域である場合に最も短く、発電電力が中間帯域よりも大きい場合及び小さい場合に延長される。なお、本実施形態においては、発電電力100Wにおける遅延時間補正係数α=1.3発電電力700Wにおける遅延時間補正係数α=1.5に設定されている。このように、本実施形態においては、発電電力が中間帯域よりも大きい場合には、中間帯域より小さい場合よりも、大幅に延長される。
本件発明者は、図12に一例を示すように電力遅延時間及び燃料遅延時間を補正することにより、各燃料電池セルユニット16における燃料枯れを回避しながら、十分に余剰燃料を抑制できることを見出したものである。即ち、発電電力が大きい領域においては、発電に必要な燃料の量が多くなるため、供給される燃料の絶対量が多く、このような多量の燃料を改質器20内において十分に改質し、各燃料電池セルユニット16に送り込むために必要な時間が長くなる。このため、発電電力が大きい領域においては、電力遅延時間を延長するように遅延時間補正係数αが設定されている。
一方、発電電力が小さい領域においては、発電に必要な燃料の量が少なくなるため、改質に要する時間も短く、電力遅延時間を短縮することができると考えられていた。しかしながら、実際には、発電電力が小さい領域において、電力遅延時間が短い場合には、各燃料電池セルユニット16において燃料枯れが発生してしまい、必要な電力遅延時間は、発電電力の中間帯域よりも寧ろ長くなることが本件発明者により見出された。
これは、発電電力が小さい領域においては、燃料供給量が極めて少なくなることに起因している。ここで、供給される燃料が送り込まれる改質器20の蒸発部20a(図2)内においては、水蒸気改質に使用される水の蒸発が行われており、内部の圧力が高くなっている。このため、流量が低下されている燃料は蒸発部20a内に導入されにくくなり、改質された燃料が改質器20から流出する流速も低下する。さらに、改質器20から流出した燃料は、燃料ガス供給管64(図2)を通って、分散室であるマニホールド66に導入される。マニホールド66は、改質器20から流出した燃料を多数の燃料電池セルユニット16に分配するように構成されていると共に、供給される燃料の脈動や不均質を吸収するために、適切な内容積が確保されている。しかしながら、燃料供給量が低下した状態においては、内容積の大きいマニホールド66内の圧力が低下し、マニホールド66に流入した燃料が、各燃料電池セルユニット16に分配されるまでの時間遅れが長くなってしまう。これらの理由から、発電電力が小さい領域において遅延時間補正係数αを大きく設定し、電力遅延時間THを延長する必要があるものと考えられる。
また、発電用空気供給量を増加させた後、燃料供給量を増加させるまでの時間である燃料遅延時間TGについても、同様に延長する必要がある。発電用の空気は、発電用空気流量調整ユニット45(図1)によって燃料電池モジュール2内に送り込まれ、燃料電池モジュール2に送り込まれた空気は、空気用熱交換器22により予熱される。空気用熱交換器22によって予熱された空気は、空気導入管76(図2)によって燃料電池セルスタック14の下部に導かれ、空気導入管76の水平部分に設けられた多数の吹出口76a(図2)から燃料電池セルスタック14に向けて噴射される。燃料電池セルスタック14の下部に向けて噴射された発電用の空気は、燃料電池セルスタック14を構成する各燃料電池セルユニット16の間を上方に流れ、燃料電池セルスタック14の上方に至る。このように、各燃料電池セルユニット16の周囲を上方に向かって流れる発電用の空気の流れは、各燃料電池セルユニット16の上端部に負圧を発生させる。各燃料電池セルユニット16の上端部に発生した負圧は、各燃料電池セルユニット16の内部を上端に向かって流れてくる燃料を吸引するように作用する。このため、燃料供給量の増加に対して発電用空気供給量の増加を先行させる燃料遅延時間TGを設定しておくことにより、各燃料電池セルユニット16内部の燃料の流れを円滑にし、燃料枯れの発生を抑制することができる。また、燃料枯れが発生しやすい発電電力が中間帯域よりも大きい領域及び小さい領域において、燃料遅延時間TGを延長することにより、より確実に燃料枯れ抑制の効果を得ることができる。
次に、ステップS4においては、ステップS3において計算された電力遅延時間TH及び燃料遅延時間TGを使用して、遅延制御が実行され、図11に示すフローチャートの1回の処理が終了する。
本発明の実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、燃料供給量を増加させた後、増加された燃料供給量に対応する電力まで発電電力を増加させるまでの電力遅延時間TH(図10における時刻t24とt25の間、時刻t27とt28の間等)を、発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合に延長(図12)しているので、燃料枯れを回避しながら、十分に余剰燃料を抑制することができる。
また、本実施形態の固体酸化物型燃料電池1によれば、発電用酸化剤ガス供給量を増加させた後、燃料供給量を増加させるまでの時間である燃料遅延時間TG(図10における時刻t23とt24の間、時刻t26とt27の間等)を、発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合に延長(図12)しているので、燃料枯れを回避しながら、十分に余剰燃料を抑制することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、燃料供給量、発電用空気供給量、及び水供給量は、ステップ状に上昇されていたが、これらのうちの少なくとも1つをランプ波状に上昇するように、本発明を構成することもできる。
1 固体酸化物型燃料電池
2 燃料電池モジュール
4 補機ユニット
7 断熱材(蓄熱材)
8 密封空間
10 発電室
12 燃料電池セル集合体
14 燃料電池セルスタック
16 燃料電池セルユニット(固体酸化物型燃料電池セル)
18 燃焼室(燃焼部)
20 改質器
22 空気用熱交換器
24 水供給源
26 純水タンク
28 水流量調整ユニット(水供給手段)
30 燃料供給源
38 燃料流量調整ユニット(燃料供給手段)
40 空気供給源
44 改質用空気流量調整ユニット
45 発電用空気流量調整ユニット(発電用酸化剤ガス供給手段)
46 第1ヒータ
48 第2ヒータ
50 温水製造装置
52 制御ボックス
54 インバータ
66 マニホールド(分散室)
76 空気導入管
76a 吹出口
83 点火装置
84 燃料電池セル
110 制御部(制御手段)
110a 遅延制御手段
110b 遅延時間補正手段
112 操作装置
114 表示装置
116 警報装置
126 電力状態検出センサ(買電力検出手段)
132 燃料流量センサ(燃料供給量検出センサ)
138 圧力センサ(改質器圧力センサ)
140 排気温度センサ
142 発電室温度センサ(温度検出手段)
148 改質器温度センサ(温度検出手段)
150 外気温度センサ

Claims (2)

  1. 需要電力に応じて発電電力を変化させる固体酸化物型燃料電池であって、
    燃料電池セルスタックを備えた燃料電池モジュールと、
    上記燃料電池セルスタックに供給する燃料を改質する改質器と、
    この改質器により改質された燃料を蓄積し、上記燃料電池セルスタックを構成する各燃料電池セルユニットに分配する分散室と、
    上記改質器に燃料を供給する燃料供給手段と、
    上記燃料電池セルスタックに発電用の酸化剤ガスを供給する発電用酸化剤ガス供給手段と、
    需要電力に応じた電力を生成するように、上記燃料供給手段、及び上記発電用酸化剤ガス供給手段を制御する制御手段と、を有し、
    上記制御手段は、発電電力を需要電力に追従させるべく、発電電力を増加させる場合において、燃料供給量を増加させた後、所定の電力遅延時間遅れて、増加された燃料供給量に対応する電力まで発電電力を増加させ、この制御を繰り返すことにより発電電力を需要電力に近づける遅延制御手段と、現在の発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合には、上記遅延制御手段による電力遅延時間を上記中間帯域における電力遅延時間よりも長い時間に設定する遅延時間補正手段と、を備えたことを特徴とする固体酸化物型燃料電池。
  2. 上記遅延制御手段は、発電電力を増加させる場合において、発電用酸化剤ガス供給量を増加させた後、所定の燃料遅延時間遅れて燃料供給量を増加させるように構成され、上記遅延時間補正手段は、発電電力が所定の中間帯域の発電電力よりも大きい場合及び小さい場合には、上記遅延制御手段による燃料遅延時間を延長する請求項1記載の固体酸化物型燃料電池。
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