JP5617531B2 - 燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法および高炉操業方法 - Google Patents

燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法および高炉操業方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄鋼製造プロセスで副生される高炉ガス等のような低発熱量ガスを燃焼バーナにより安定的に燃焼させるための燃焼方法と、安定した低還元材比操業を実施するための高炉操業方法に関する。
近年、炭酸ガス排出量の増加による地球温暖化が問題となっており、製鉄業においても排出CO2の抑制は重要な課題である。これを受け、最近の高炉操業では低還元材比(低RAR)操業が強力に推進されている。
高炉操業では、高炉羽口部でのコークスの燃焼により発生したCO等の還元ガスを鉄鉱石の還元に利用するが、その利用効率を高めることがRAR(Reduction Agent Ratio:銑鉄1t製造当たりの、吹き込み燃料と炉頂から装入されるコークスの合計量)の低減に繋がる。
元来、高炉ガスは低発熱量ガスであるが、上記のようにRARが低減すると、発生する高炉ガスの発熱量は一層低下することになる。また、鉄鋼製造プロセスでは、排熱回収の一環として、コークス炉から排出される赤熱コークスの顕熱をコークス乾式消火設備(CDQ)で回収している。CDQは不活性ガスでコークスを冷却するが、回収時のコークスからの発生ガスも混入し、300kcal/Nm程度の低発熱量ガスとして回収される。
工業的に用いられるガスバーナは、燃料ガスと支燃ガス(酸素含有ガス)の混合形式によって、拡散燃焼方式(外部混合)のものと、予混合燃焼方式(内部混合)のものとに大別されるが、いずれのバーナも、バーナ先端よりも前方で火炎が形成される構造になっている。拡散燃焼方式(外部混合)のものは、バーナ先端で燃料ガスと支燃ガスを混合して燃焼させるものであり、高温の火炎を得ることができ、広く利用されている。また、予混合燃焼方式のものは、比較的短い火炎を形成させることができる等の利点を有している。しかし、これら従来のバーナは、バーナ先端よりも前方で火炎が形成されるため、バーナ前方に広い燃焼用の空間を確保する必要があり、必然的に燃焼設備が大型になるという問題がある。
一方、従来のバーナに使用されている燃料ガスとしては、LNGやプロパンガスのほかに、鉄鋼製造プロセスで副生されるコークス炉ガス、高炉ガス、高炉ガスと転炉ガスを混合したMIXガス等があるが、これらのうち、高炉ガスのような低発熱量ガスを単独で使用した場合、空気比の変更やガス発熱量の増減により火炎の安定が充分でなく、消炎することもある。そのため、火炎の維持や燃焼の維持のためにパイロットバーナを別途設置したり、燃料ガスや支燃ガスを事前に予熱する方法が採られている。また、低発熱量ガスを用いた場合、燃焼条件によっては、NOなどの有害物質の生成量が増加したり、炭化水素などの未燃焼分が排出したり、煤煙が生成するなどの問題を生じやすく、環境汚染源の一つになることが懸念される。
以上のような問題に対して、特許文献1には、低発熱量ガスを燃焼させるために、管状火炎バーナを用い、燃焼室内に燃料ガスと酸素含有ガス(支燃ガス)を旋回させながら導入して燃焼させる方法が示されている。この特許文献1の方法は、支燃ガスとして酸素濃度が60vol%以上の酸素含有ガスを用い、理論酸素量に対する供給酸素量の比が1.0〜1.4となる範囲で実施するものである。
特開2007−271188号公報 特開2008−214735号公報 特開昭62−27509号公報
大野ら,「鉄と鋼」日本鉄鋼協会 75(1989年),p.1278
しかし、上記特許文献1の方法には、以下のような問題がある。
(1)支燃ガスとして、60vol%以上の酸素濃度を有する酸素含有ガスが必要であるが、このような高濃度の酸素を得るためには、別途深冷分離や膜分離等の酸素分離プロセスが必要となる。
(2)低発熱量ガスを高濃度の酸素で燃焼させた場合、局所的に高温となり、環境上問題となるサーマルNOの生成が懸念される。また、燃料ガス中にS分が含有される場合には、SOの生成が助長される。
(3)高濃度の酸素を配管等で導入する場合、脱脂処理等の実施、ステンレス製パイプ等による配管およびバルブ類の施工が必要となる。このため高価な材料が必要となり、設備コストが高くなる。
一方、高炉の低RAR操業では、RARが低下すると原理的に送風量が低下し、この結果、シャフト上部においては装入物の昇温が遅れ、順調な還元が達成されなくなる。加えて、亜鉛化合物などの壁付きが助長され、風圧変動や荷下がり異常などの炉況不調を招くことが懸念される。また、炉頂温度が低下して100℃を割り込むような場合には、排ガス中の水分が配管内に凝縮する問題が生じる。
通常の高炉操業において、上述したような各種炉況不調、特に炉上部での装入物の昇温不良を防止するには、以下のような対策が採られるのが通例である。
(a)酸素富化率を下げ、ガス量を増加させる(熱流比を下げ、ガス温度を上昇させる)。
(b)微粉炭などの燃料吹き込み量を増加させる(熱流比を下げ、ガス温度を上昇させる)。
(c)還元効率(シャフト効率)を下げ、還元材比を高くする。
しかしながら、上記(a)の対策は生産量低下に繋がるため望ましくない。上記(b)は吹き込み能力の余裕代に依存するが、能力限界近くで操業している製鉄所では、その増加量に制約がある。また、燃料吹き込み量を増加させた場合には、ボッシュガス量が増えて生産量を低下させるため、酸素富化を同時に実施する必要がある。しかし、使用できる酸素量にも供給能力上の制限がある。上記(c)はわざわざ効率を下げた操業を指向することで、CO2削減に関する本来の目的に逆行する。
このように、普通高炉において低RAR操業を行なう場合、通常の操業範囲内での操業条件の変更により各種炉況不調、特に炉上部の昇温不良を回避することは困難である。
特許文献2には、上述した課題、すなわち普通高炉(酸素富化率が10体積%以下の羽口熱風吹込みを行なう高炉)において低RAR操業を行った場合にシャフト上部での装入物の昇温が遅れるという課題を解決するために、炉頂温度が110℃以下となった場合に、炉頂ガス量の10体積%以下の量のガスをシャフトガスとしてシャフト上部から炉内に吹き込む方法が示されている。また、同文献には、炉頂部から排出された後、ガスクリーニング装置を通過した高炉ガスの一部を抜き出し、燃焼炉で加熱した後、上記シャフトガスとして使用することが示されている。
特許文献2の方法では、高炉ガスを燃焼炉で加熱(予熱)してから炉内に吹き込むものであるが、その吹き込みガスは十分に予熱され、しかも吹き込む位置の炉内圧よりも高い圧力を有する必要がある。
しかし、純酸素送風を行う所謂酸素高炉プロセス(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)とは異なり、普通高炉プロセスで発生する高炉ガスは低発熱量であるため、燃焼炉で所望の温度まで昇温させるのが難しい場合があり、例えば、高発熱量の補助燃料を使用するなどの対策が必要になる場合がある。また、高炉ガスは低発熱量であるため、通常の燃焼炉では燃焼温度のバラツキが生じやすく、またこのため、燃焼ガス中に酸素が残り、炉内に吹き込まれた際に還元中の鉄酸化物(Fe、FeO)を再酸化させてしまう問題がある。また、所定の炉内圧を有する高炉内に安定して予熱ガスを吹き込むことも難しい。
したがって本発明の第一の目的は、低発熱量ガスを燃焼バーナで燃焼させる場合の従来技術の課題を解決し、燃焼バーナにおいて高酸素濃度の支燃ガスを用いることなく、低発熱量ガスを安定して燃焼させることができる燃焼方法を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、普通高炉の操業において、低RAR操業時の炉況不調、特に炉上部での装入物の昇温不良を防止することができるとともに、高炉ガス等のような低発熱量ガスを安定して燃焼させて予熱ガスとすることができ、且つその予熱ガスを所定の炉内圧を有する高炉内に安定して吹き込むことができる高炉操業方法を提供することにある。
本発明者らは、まず、上記第一の課題を解決するために検討を行った結果、800kcal/Nm以下(特に700kcal/Nm以下)の低発熱量ガスを安定燃焼させるには、管状火炎バーナを用いるとともに、燃料ガスに水素を加えることが有効であることを見出した。
また、上記第二の課題を解決するために、特に予熱ガスの生成・吹込手段を中心に検討を行った結果、従来、加熱炉や燃焼機器に使用されている管状火炎バーナの方式を利用したガス燃焼・吹込装置をシャフト部に設け、このガス燃焼・吹込装置の燃料ガスとして用いる低発熱量ガスに水素を加え、その燃焼ガスを予熱ガスとして炉内に吹き込むことにより、高炉ガス(特に、低RAR操業での高炉ガス)等のような低発熱量ガスを安定して燃焼させて予熱ガスとすることができ、且つその予熱ガスを所定の炉内圧を有する高炉内に安定して吹き込むことができることを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成した燃焼バーナにおいて、発熱量が800kcal/Nm以下のガスを燃料ガスとして用いる際に、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が5vol%以下、発熱量が900kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[2]上記[1]の燃焼方法において、先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向に燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成した燃焼バーナを用いることを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[3]上記[1]または[2]の燃焼方法において、発熱量が700kcal/Nm以下のガスを燃料ガスとして用いる際に、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が8vol%以下、発熱量が800kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの燃焼方法において、COを含有する燃料ガスに、断熱火炎温度が750℃以上となるように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの燃焼方法において、燃焼室の内壁面に形成された開口を通じて燃焼室内に燃料ガスと支燃ガスを各々供給するためのガスノズル若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを供給するためのガスノズルが、バーナ軸方向で並列した複数のノズル管で構成された燃焼バーナを用いることを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの燃焼方法において、燃料ガスが高炉ガスであることを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの燃焼方法において、燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるようにガスを吹き込むための他の開口を形成した燃焼バーナを用い、前記開口から燃焼室内に水素を吹き込む(但し、水素含有ガスとして吹き込む場合を含む)ことを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[8]上記[7]の燃焼方法において、燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向にガスを吹き込むための他の開口を形成した燃焼バーナを用いることを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[9]上記[7]または[8]の燃焼方法において、燃焼室の内壁面に形成された他の開口を通じて燃焼室内に水素を供給するためのガスノズルが、バーナ軸方向で並列した複数のノズル管で構成された燃焼バーナを用いることを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[10]上記[1]〜[9]のいずれかの燃焼方法において、燃焼室内のガス流のスワール数Swを3〜10とすることを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[11]上記[1]〜[10]のいずれかの燃焼方法において、燃焼室内に、燃焼ガスを希釈してガス温度または/およびガス組成を調整する希釈ガスを供給することを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
[12]空気または酸素富化空気を羽口送風する高炉操業において、
予熱ガスをシャフト部に設けられたガス吹込部(A)から高炉内に吹き込むに当たり、ガス吹込部(A)を、先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成し、前記燃焼室の先端を高炉内部と連通させたガス燃焼・吹込装置(a)で構成し、
ガス燃焼・吹込装置(a)では、燃料ガスとして発熱量が800kcal/Nm以下のガスを用いるとともに、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が5vol%以下、発熱量が900kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加えて(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)燃焼させ、その燃焼ガスを予熱ガスとして高炉内に吹き込むことを特徴とする高炉操業方法。
[13]上記[12]の高炉操業方法において、先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向に燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成したガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする高炉操業方法。
[14]上記[12]または[13]の高炉操業方法において、ガス燃焼・吹込装置(a)では、燃料ガスとして発熱量が700kcal/Nm以下のガスを用いるとともに、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が8vol%以下、発熱量が800kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする高炉操業方法。
[15]上記[12]〜[14]のいずれかの高炉操業方法において、COを含有する燃料ガスに、断熱火炎温度が750℃以上となるように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする高炉操業方法。
[16]上記[12]〜[15]のいずれかの高炉操業方法において、燃焼室の内壁面に形成された開口を通じて燃焼室内に燃料ガスと支燃ガスを各々供給するためのガスノズル若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを供給するためのガスノズルが、装置の軸線方向で並列した複数のノズル管で構成されたガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする高炉操業方法。
[17]上記[12]〜[16]のいずれかの高炉操業方法において、ガス燃焼・吹込装置(a)に供給される燃料ガスが高炉ガスであることを特徴とする高炉操業方法。
[18]上記[12]〜[17]のいずれかの高炉操業方法において、燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるようにガスを吹き込むための他の開口を形成したガス燃焼・吹込装置(a)を用い、前記開口から燃焼室内に水素を吹き込む(但し、水素含有ガスとして吹き込む場合を含む)ことを特徴とする高炉操業方法。
[19]上記[18]の高炉操業方法において、燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向にガスを吹き込むための他の開口を形成したガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする高炉操業方法。
[20]上記[18]または[19]の高炉操業方法において、燃焼室の内壁面に形成された他の開口を通じて燃焼室内に水素を供給するためのガスノズルが、装置の軸線方向で並列した複数のノズル管で構成されたガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする高炉操業方法。
[21]上記[12]〜[20]のいずれかの高炉操業方法において、ガス燃焼・吹込装置(a)において、燃焼室内のガス流のスワール数Swを3〜10とすることを特徴とする高炉操業方法。
[22]上記[12]〜[21]のいずれかの高炉操業方法において、ガス燃焼・吹込装置(a)の燃焼室内に、燃焼ガスを希釈してガス温度または/およびガス組成を調整する希釈ガスを供給することを特徴とする高炉操業方法。
本発明に係る燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法によれば、高炉ガス(特に、低RAR操業での高炉ガス)やCDQから回収されたガス等のような低発熱量ガスを安定的に燃焼させることができ、低発熱量ガスを燃料として有効利用することができる。
また、本発明に係る高炉操業方法によれば、普通高炉の操業において、低RAR操業時の炉上部での装入物の昇温不良を防止できるとともに、炉頂温度低下による水分凝縮や亜鉛化合物の壁付き等も効果的に抑えることができので、低RAR操業を安定的に実施することができる。しかも、高炉ガス(特に、低RAR操業での高炉ガス)等のような低発熱量ガスを安定して燃焼させて予熱ガスとすることができ、且つその予熱ガスを所定の炉内圧を有する高炉内に安定して吹き込むことができる。
本発明で使用される燃焼バーナの一実施形態を示す部分切欠平面図 図1のII−II線に沿う断面図 本発明で使用される燃焼バーナの他の実施形態を示すもので、図2と同様の断面線に沿う断面図 本発明で使用される燃焼バーナの他の実施形態を示す部分切欠平面図 図4の燃焼バーナを部分的に示す底面図 図4のVI−VI線に沿う断面図 図4のVII−VII線に沿う断面図 本発明の高炉操業方法の一実施形態を模式的に示す説明図 実施例の燃焼試験で用いた燃焼バーナを示す説明図 本発明で使用される燃焼バーナにおいて、開口2a,2bが形成された位置での燃焼室内部の径方向断面を模式的に示す説明図 本発明で使用される燃焼バーナにおいて、開口2a,2bが形成された位置での燃焼室内部の径方向断面を模式的に示す説明図
図1および図2は、本発明で使用される燃焼バーナ(管状火炎バーナ)の一実施形態を示すもので、図1は部分切欠平面図、図2は図1中のII−II線に沿う断面図である。
図において、1は先端が開放された管状(円筒状)の燃焼室、3aは燃料ガス用のガスノズル、3bは支燃ガス用のガスノズルである。
前記燃焼室1の内方(後端側)の内壁面100には、燃焼室内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるように燃料ガス(および水素)と支燃ガスを各々吹き込むための開口2a,2b(ノズル口)が形成され、これら開口2a,2bに、それぞれ前記ガスノズル3a,3bが接続されている。前記開口2a,2b(ノズル口)は、燃焼室1内に吹き込んだガスが旋回流となるよう、燃焼室1の軸芯を外した方向(偏芯方向)にガスを吹き込むように形成される。本実施形態の開口2a,2bは、内壁面100のほぼ接線方向に燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むように形成されている。
前記開口2a,2bは、管軸方向に沿ったスリット状に形成され、内壁面100(内周面)で180°対向する位置に設けられている。これら開口2aと開口2bはそれぞれ複数設けてもよく、その場合には、各開口2a,2bに対してガスノズル3a,3bが接続される。
ガスノズル3aのガス導入部には、燃料ガスと水素を混合するための混合室4が設けられ、この混合室4に燃料ガス供給管5と水素供給管6が接続されている。一方、ガスノズル3bのガス導入部には支燃ガス供給管7が接続されている。
その他図面において、8〜10は燃料ガス供給管5、水素供給管6および支燃ガス供給管7にそれぞれ設けられる流量調整弁、11は水素供給管6に設けられる流量計、12は燃焼室1内の燃焼状況を検知するための燃焼状況検知装置、13は点火プラグである。前記燃焼状況検知装置12は、例えば、火炎中に熱電対等を装入して温度計測するような方式、ウルトラビジョン等を用いて火炎中の紫外線を検出する光学方式などでもよい。また、xは燃焼バーナが設けられる炉体である。
ここで、開口2a,2b(ノズル口)からは、燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるように燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込めばよいが、特に、ガス旋回流が後述するような好ましいスワール数Sw(旋回を伴う流体の流れにおいて旋回の強さを表す無次元数)の範囲となるように、開口2a,2bからのガスの吹き込み方向を設定するのが好ましい。図10は、開口2a,2bが形成された位置での燃焼室内部の径方向断面を模式的に示している。このような燃焼室1の径方向断面において、内壁面100の周方向における開口2a,2bの端部のうち、開口2a,2bから吐出して旋回するガス流の旋回(回転)方向における先端側の端部を点pとし、この点pにおける内壁面100の接線をx、開口2a,2bから吐出するガス流の中心線(=ガスノズル3a,3bの軸芯)をy、接線xとガス流中心線yとが成す角度をガス吹込み角度θとした場合、このガス吹込み角度θを、好ましいスワール数Swの範囲(Sw:3〜10)となるように設定することが好ましい。すなわち、ガスノズル3aの内径から算出される開口2aでの燃料ガス速度をVf、ガスノズル3bの内径から算出される開口2bでの支燃ガス速度をVaとした場合、接線x方向での燃料ガス速度成分Vf1と支燃ガス速度成分Va1は以下のようになる。
Vf1=Vf×cosθ
Va1=Va×cosθ
そして、このVf1、Va1を開口2a,2bでのガス速度として算出されるスワール数Swが所定の好ましい範囲になるように、ガス吹込み角度θを決めることが好ましい。スワール数Swの求め方は、後述のとおりである。
一方、燃焼バーナの構造面から言うと、燃焼バーナは、燃焼室1の内壁面100に、該内壁面のほぼ接線方向に燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための開口2a,2bを形成した構造のものが好ましい。これは、そのような構造にしておけば、ガス量やガス速度の変更や変化に拘わりなく、好ましいスワール数Swを実現できるからである。具体的には、図10に示すガス吹込み角度θを30°以下、より好ましくは10°以下とすることが望ましい。このガス吹込み角度θが大きくなると、ガス量やガス速度によっては、内壁面100に沿ったガス旋回流を適切に形成できなくなる恐れがある。本実施形態、後述する図3の実施形態、図4〜図7の実施形態では、いずれもガス吹込み角度θ≒0°〜5°程度である。
本発明は、以上のような管状火炎バーナにおいて、例えば、高炉ガス、CDQガス、可燃成分を少量含む排ガス等のような発熱量が800kcal/Nm以下、特に700kcal/Nm以下の低発熱量ガスを燃料ガスとして用いる際に、これを安定的に燃焼させるために燃料ガスに水素を加えるものである。この水素は、純水素ガスとして加えてもよいし、水素含有ガスとして加えてもよい(以下、本明細書において「(燃料ガスに加えられる)水素」という場合には、「水素含有ガス」を含む意味とする)。この水素含有ガスの水素濃度は、燃料ガスが元々水素を含んでいる場合には、当然のことながら、燃料ガスの水素濃度を上回るものである必要がある。したがって、燃料ガスとして高炉ガス(通常、H濃度:2〜3vol%)を用いる場合には、高炉ガスより水素濃度が高い水素含有ガスを用いる必要がある。この点以外に水素含有ガスの水素濃度に特別な制限はないが、一般には水素濃度が20vol%以上の水素含有ガスを用いることが好ましい。鉄鋼製造プロセスで発生するガスのなかでは、例えば、コークスを製造する際に得られるコークス炉ガスが特に水素濃度が高く(通常、55vol%程度)、水素含有ガスとして好適である。
但し、燃料ガス(燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガス)に水素を加えるに当たっては、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が5vol%以下、発熱量が900kcal/Nm未満の条件を満足するようにする。なお、燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスに水素を加える場合、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が5vol%以下、発熱量が900kcal/Nm未満の条件を満足するとは、予混合ガス中の「添加した水素を含む燃料ガス成分」における水素濃度と発熱量がそのような範囲を満足するということである。
ここで、本発明を後述するような高炉操業方法に適用し、燃焼バーナの燃焼ガスを予熱ガスとして高炉内に吹き込むような場合、一般に燃料ガスの水素濃度が高くなると炉内の鉄酸化物の還元(水素還元)で吸熱となり、低温領域が拡大しやすくなる問題があり、さらにはヘマタイトからマグネタイトへの還元(物性の変化)による粉化が助長されやすくなる。このため本発明では、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度は5vol%以下とする。
また、本発明において燃料ガスに水素を加えるのは、発熱量を高めるためではなく、後述するようにガスの燃焼安定性を高めるためであり、このため水素を加えた燃料ガスの発熱量は900kcal/Nm未満でよい。
一般に製鉄所では、燃料ガスとして、低発熱量の高炉ガス(CO:22.0vol%、CO:21.1vol%、H:2.8vol%、N:54.1vol%)にコークス炉ガス(H:50vol%、CH:30vol%、C:4vol%、N:4vol%、CO:7vol%、CO:2vol%、残:水分)を加えたMガスと呼ばれる混合ガスが用いられているが、一般に、このMガスは発熱量が1200〜2500kcal/Nm、水素濃度が8.8〜25vol%程度であり、本発明において用いる水素を加えた燃料ガスの発熱量及び水素濃度のレベルは、これとは異なる。
また、以上のような観点から、発熱量が700kcal/Nm以下のガスを燃料ガスとして用いる場合、この燃料ガス(燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガス)に対して水素を加えるに当たっては、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が8vol%以下、発熱量が800kcal/Nm未満の条件を満足することが好ましい。なお、燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスに水素を加える場合、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が8vol%以下、発熱量が800kcal/Nm未満の条件を満足するとは、予混合ガス中の「添加した水素を含む燃料ガス成分」における水素濃度と発熱量がそのような範囲を満足するということである。
燃料ガスに水素を加えるために、図1および図2に示す燃焼バーナでは、ガスノズル3aの混合室4に燃料ガス供給管5と水素供給管6を通じて燃料ガスと水素が供給され、ここで燃料ガスに水素が混合され、この水素混合燃料ガス(水素が混合された燃料ガス。以下同様)がノズル本体に入る。一方、ガスノズル3bには支燃ガス供給管7を通じて支燃ガスが供給される。このようにしてガスノズル3a,3bに供給された水素混合燃料ガスと支燃ガスは、開口2a,2b(ノズル口)から燃焼室1内に吹き込まれる。この水素混合燃料ガスと支燃ガスは、燃焼室1の内壁面100に沿って旋回流を形成しながら燃焼し、火炎が形成される。なお、以上のような燃焼は、点火プラグ13による着火により開始され、燃焼が継続する場合には、その時点で点火プラグ13による点火は終了する。
燃料ガスの発熱量が変動し、例えば、より低発熱量となることで、燃焼状況検知装置12により検知される燃焼状況が安定しない場合には、水素供給管6に設けられた流量計11と流量調整弁9により、水素の供給量を増加させる。
なお、この燃焼バーナは、燃料ガスと支燃ガスを予め混合したガス(予混合ガス)を用いてもよく、この場合には、燃焼室1の内壁面100に、燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるように燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための1つ以上の開口2(ノズル口)が形成され、この開口2に予混合ガス供給用のガスノズル3が接続される。前記開口2は、図1および図2の開口2a,2bと同様、燃焼室1内に吹き込んだガスが旋回流となるよう、燃焼室1の軸芯を外した方向(偏芯方向)にガスを吹き込むように形成されるが、特に、内壁面100のほぼ接線方向にガス(予混合ガス)を吹き込むように形成されることが好ましい。そして、水素は、支燃ガスと予混合される前の燃料ガスまたは予混合ガスに加えられ、このようにして水素が添加された予混合ガスがガスノズル3を通じて開口2から燃焼室1内に吹き込まれる。なお、この開口2からも燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるようにガスを吹き込めばよいが、ガスの吹込み方向の好ましい設定方法や、バーナ構造として好ましいガス吹込み角度θは、さきに図10に基づいて説明した開口2a,2bと同様である。
以上のような燃焼バーナにおいて、ガスノズル3a,3bおよび開口2a,2bから燃焼室1内に吹き込まれて旋回流を形成する水素混合燃料ガスと支燃ガス(または両者の予混合ガス)はガスの密度差によって層別され、火炎の両側に密度の異なるガス層ができる。すなわち、旋回速度の小さい軸心側には高温の燃焼排ガスが存在し、旋回速度の大きい内壁面100側には未燃焼のガスが存在するようになる。また、内壁面100近傍では、旋回速度が火炎伝播速度を上回っているため、火炎は内壁面近傍に留まることはできない。このため、燃焼室1内には管状の火炎が安定的に生成する。また、燃焼室1の内壁面付近には未燃焼のガスが存在しているので、燃焼室1の内壁面が直接的な伝熱により高温に加熱されることはない。そして、燃焼室1内のガスは旋回しながら先端側へ流れるが、その間、内壁面100側のガスが順次燃焼して軸心側へ移動し、燃焼ガスが開放した先端から排出される。
水素の燃焼速度はCO等の他の可燃性ガスに較べて極めて速く、このため水素を加えることで低発熱量ガスを安定して燃焼させることが可能となる。ここで、ガスの燃焼速度(MCP:maximum combustion potential)は、その組成によって決まり、次式によって算出される。
Figure 0005617531
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上記式により計算されるMCPは、水素が282、COが100であり、水素はCOの2.8倍燃焼速度が速い。したがって、水素を添加することにより、低発熱量ガスを安定的に燃焼させることが可能となる。低発熱量ガスの燃焼を継続するためには、理論的には、低発熱量ガスの断熱火炎温度が、その燃料ガスに含まれるガス種の発火点以上(CO発火点:609℃、H発火点:500℃)の温度であるか、燃料ガス中に含まれる可燃性ガスの濃度が爆発限界下限濃度以上(CO爆発限界下限濃度:12.5vol%、H:4vol%)であればよい。しかしながら、本発明者が検討したところ、高炉ガスなどのようなCOを含む低発熱量ガスでは、水素を添加した後の断熱火炎温度が750℃以上となると、安定的な燃焼が可能となることが判った。例えば、COが10.1vol%(残部はN等の不活性ガスおよび/またはCO)のガスでは、発熱量が305kcal/Nm、断熱火炎温度が645℃であり、この状態では安定的に燃焼が継続せず、別途助燃のためのパイロットバーナが必要となる。このガスに水素を3.0vol%添加することで、断熱火炎温度は750℃となり、安定した燃焼が継続可能となる。断熱火炎温度は、燃焼で発生した熱が外部に失われることなく、燃焼ガスの温度上昇に使われるものとして理論的に計算した温度である。
したがって、高炉ガスなどのようなCOを含む低発熱量ガスでは、断熱火炎温度が750℃以上となるように水素を加えるのが好ましい。一方、水素の添加量が多ければ、それだけ燃焼の安定性は高まるが、水素添加量が多すぎると経済性が損なわれるだけでなく、さきに述べたように、本発明を後述するような高炉操業方法に適用し、燃焼バーナの燃焼ガスを予熱ガスとして高炉内に吹き込むような場合、炉内の鉄酸化物の水素還元による問題が生じやすくなる。
さきに述べたように、本発明は、元々水素を含有している低発熱量ガスを燃料ガスとして用いる場合にも適用可能であり、当然のことながら、元々含まれる水素濃度に応じて水素の添加量が調整される。
また、本発明の燃焼方法において、燃焼室1を加圧状態とすれば、ガス密度が増加し、見掛けの発熱量が増加するので、より低発熱量の燃料ガスであっても安定的な燃焼が可能となる。
本発明では、支燃ガスとして空気などの酸素含有ガス、酸素ガスを用いることができるが、本発明は支燃ガスとして空気を用いる場合に特に有用である。支燃ガスの供給量は、安定した燃焼状態を維持するのに必要な量である。支燃ガスとして空気を用いる場合、通常、空気比1以上となるように供給される。空気比とは、燃料の燃焼に必要な理論的な空気量と実際に供給する空気量の比(実際の空気量/理論空気量)であり、空気比1で燃料ガスは完全燃焼し、COおよびHOとなる。空気比が1未満の条件では不完全燃焼となり、安定した燃焼が継続できなくなる。また、空気比が過剰の場合には希薄燃焼となり、この場合も安定な燃焼状態が維持できない。したがって、通常は空気比1.0〜1.5の範囲で支燃ガスを供給することが好ましい。
燃料ガスと支燃ガスのノズル(開口)からの噴出速度に特に制限はないが、両者は同程度の速度であることが好ましい。
図1および図2の実施形態では、燃焼室1に吹き込まれる前の燃料ガスに水素を加えるものであるが、燃焼室1に吹き込まれた燃料ガスに水素を加える(すなわち、燃焼室1内で燃料ガスに水素を加える)ようにしてもよい。図3は、この場合に使用される燃焼バーナの一実施形態を示す断面図(図2と同様の断面線に沿う断面図)である。この燃焼バーナは、燃焼室1の内方(後端側)の内壁面100に、図2と同様の開口2a,2bが形成されるとともに、内壁面100の周方向で開口2a−開口2b間の中央位置(すなわち、周方向で開口2a,2bに対して90°の位置)に、燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるように水素(水素ガスまたは水素含有ガス。以下同様)を吹き込むための開口2c,2c(ノズル口)が形成され、この開口2c,2cに水素用のガスノズル3c,3cがそれぞれ接続されている。開口2a,2bと同様、前記開口2c,2c(ノズル口)も、燃焼室1内に吹き込んだガスが旋回流となるよう、燃焼室1の軸芯を外した方向(偏芯方向)にガス(水素)を吹き込むように形成される。本実施形態の開口2c,2cは、内壁面100のほぼ接線方向に水素を吹き込むように形成されている。
前記開口2a,2bと同じく、前記開口2c,2cは、管軸方向に沿ったスリット状に形成されている。なお、この開口2c,2cはいずれか一方のみを設けても、また、3つ以上設けてもよく、その場合には、各開口2cに対してガスノズル3cが接続される。
なお、この開口2c,2cからも燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるようにガス(水素)を吹き込めばよいが、ガスの吹込み方向の好ましい設定方法や、バーナ構造として好ましいガス吹込み角度θは、さきに図10に基づいて説明した開口2a,2bと同様である。
このような燃焼バーナでは、水素をガスノズル3cを通じて開口2c,2cから燃焼室1内に吹き込むことにより、燃焼室1内で燃料ガスに水素が添加される。
図3の実施形態の燃焼バーナの他の構造、機能は、図1および図2に示す実施形態の燃焼バーナと同じであるので、詳細な説明は省略する。なお、図1および図2に示す実施形態の燃焼バーナと同様、燃料ガスと支燃ガスを予め混合したガス(予混合ガス)を用いてもよく、この場合には、さきに述べたように、上記開口2a,2bに代えて、燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための1つ以上の開口2(ノズル口)が形成され、この開口2に予混合ガス供給用のガスノズル3が接続される。
本発明では燃焼バーナの燃焼室1内において、水素が添加された燃料ガスと支燃ガスが旋回流を形成することにより、低発熱量の燃料ガスを安定的に燃焼させることができるものであるが、燃料ガスが高炉ガスなどのようにCO、CO、Nを主体としたガスである場合、水素はこれらのガス成分と比較してガス密度が低いため、図3の実施形態のように水素を旋回流となるように吹き込むと、その密度差によって水素が軸心側に移行して優先的に燃焼し、その他のガスの燃焼を促進することになる。このため、低発熱量の燃料ガスの燃焼性をより高めることができる。
図4〜図7は、本発明で使用される燃焼バーナ(管状火炎バーナ)の他の実施形態を示すもので、図4は燃焼バーナの部分切欠平面図、図5は燃焼バーナを部分的に示す底面図、図6は図4中のVI−VI線に沿う断面図、図7は図4中のVII−VII線に沿う断面図である。
図4〜図7の実施形態では、燃料ガス用のガスノズル3aと支燃ガス用のガスノズル3bが、それぞれバーナ軸方向で並列した複数のノズル管300a,300bで構成されている。このようにガスノズル3a,3bを複数のノズル管300a,300bで構成するのは、後述するように、ガスノズル3a,3bによって燃焼室1内で適切な旋回流が形成されるようにしつつ、スワール数Swを所定の好ましい範囲にするためである。
図1および図2の実施形態と同様、前記燃焼室1の内方(後端側)の内壁面100には、燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるように燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための開口2a,2b(ノズル口)が形成されるが、これら開口2a,2bも各々複数の開口200a,200bで構成されている。そして、各開口200aにそれぞれ前記ノズル管300aが接続され、各開口200bにそれぞれ前記ノズル管300bが接続されている。前記開口200a,200bは、燃焼室1内に吹き込んだガスが旋回流となるよう、燃焼室1の軸芯を外した方向(偏芯方向)にガスを吹き込むように形成される。本実施形態の開口200a,200bは、内壁面100のほぼ接線方向に燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むように形成されている。
また、前記ガスノズル3a,3b(開口2a,2b)よりも燃焼室先端寄りの位置には、燃焼ガスを希釈してその温度および/または組成を調整する希釈ガスを燃焼室1内に供給するためのガスノズル14が設けられている。このガスノズル14は、燃焼ガスを希釈するガスを供給するものであるため、燃焼室1内でのガス燃焼を妨げない位置に設ければよく、燃焼室長手方向での設置(接続)位置に特別な制限はないが、本実施形態では、燃焼室長手方向の中央位置よりも燃焼室先端寄りの位置に設けられている。
ガスノズル14は単一のノズル管で構成してもよいが、本実施形態では、バーナ軸方向で並列した複数のノズル管140で構成されている。ガスノズル14が設置される位置の燃焼室1の内壁面100には、燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるように、同内壁面のほぼ接線方向に希釈ガスを吹き込むための開口15(ノズル口)が形成され、この開口15に前記ガスノズル14が接続されている。本実施形態では、開口15は複数の開口150で構成され、各開口150にそれぞれ前記ノズル管140が接続されているが、開口15を管軸方向に沿ったスリット状の単一の開口とし、これに単一のガスノズル14を接続してもよい。なお、この希釈ガス用の開口15は、必ずしも燃焼室1内でガス旋回流が生じるようにガスを吹き込むような構造としなくてもよい。
図4〜図7の実施形態の燃焼バーナの他の構造、機能は、図1および図2に示す実施形態の燃焼バーナと同じであるので、詳細な説明は省略する。
また、前記開口200a,200bからも燃焼室1内でガス旋回流(内壁面100の周方向に沿ったガス旋回流)が生じるようにガスを吹き込めばよいが、ガスの吹込み方向の好ましい設定方法や、バーナ構造として好ましいガス吹込み角度θは、さきに図10に基づいて説明した開口2a,2bと同様である。
本発明で使用する燃焼バーナでは、燃焼室1内で高温の燃焼ガスが発生し、例えば、高炉ガスの理論燃焼温度は空気比1.0で約1300℃となる。本発明を後述するような高炉操業方法に適用し、燃焼バーナの燃焼ガスを予熱ガスとして高炉内に吹き込む場合、吹き込まれた燃焼ガス中のCOによって炉内のコークスが消費され、或いは炉内で還元された鉄鉱石(マグネタイト)が再酸化されることがないよう、燃焼ガスを希釈してその温度や組成を管理することが好ましい。本実施形態では、そのような目的で、燃焼ガスの温度および/または組成を調整するための希釈ガスをガスノズル14から燃焼室1内に供給する。
使用する希釈ガスの種類は、燃焼ガスに添加する目的(ガス温度調整および/またはガス組成調整)に応じて適宜選択すればよいが、燃焼ガスの組成を調整するという面からは、CO、Hなどの還元ガスを含むものが好ましい。例えば、高炉ガス、転炉ガス、コークス炉ガス等の1種以上を用いることができ、特に、高炉ガスの一部を抜き出して希釈ガスとして用いることが好ましい。
また、燃焼バーナの燃焼ガスを予熱ガスとして高炉内に吹き込む場合、後述するように予熱ガスの温度は500℃以上、好ましくは800℃以上が望ましいので、このような予熱ガス温度になるように希釈ガスの温度と供給量が選択されることが好ましい。
なお、燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むためのガスノズルを有する燃焼バーナや、図3の実施形態のような水素吹き込み用のガスノズル3cを有する燃焼バーナについても、それらのガスノズルをバーナ軸方向で並列した複数のノズル管で構成することができる。また、これらの燃焼バーナにおいても、上記のような希釈ガス用のガスノズル14と開口15を設けることができる。
本発明の燃焼方法では、燃焼室1内でのガス流のスワール数Swを3〜10の範囲とするのが好ましい。スワール数は、旋回を伴う流体の流れにおいて旋回の強さを表す無次元数であり、スワール数が大きいほど旋回の強い流れとなる。スワール数が小さ過ぎると燃料ガスと支燃ガスの混合が不十分となり、燃料ガスの着火が安定しなくなり、一方、大き過ぎると燃焼火炎が吹き消える場合がある。以上の観点から、スワール数Swは3〜10の範囲が好ましい。
スワール数Swは、これを算出するための公知の基本式に従い、使用する燃焼バーナの形式やその使用形態に応じた式で算出することができ、例えば、図1および図2の実施形態のような、燃料ガス吹き込み用の開口2aと支燃ガス吹き込み用の開口2bを有する燃焼バーナを用いる場合には、スワール数Swは下式により求めることができる。なお、下式において燃料ガスとは、水素混合燃料ガスである。
Figure 0005617531
また、燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を有する燃焼バーナを用いる場合には、スワール数Swは下式により求めることができる。なお、下式において予混合ガスとは「燃料ガス+水素+支燃ガス」である。
Figure 0005617531
さらに、図3の実施形態のような、燃料ガス吹き込み用の開口2aと支燃ガス吹き込み用の開口2bに加えて、水素吹き込み用の開口2cを有する燃焼バーナを用いる場合には、スワール数Swは下式により求めることができる。
Figure 0005617531
スワール数Swを上記のような好ましい範囲にする当たり、図4〜図7の実施形態のように、燃料ガス用のガスノズル3aと支燃ガス用のガスノズル3bを、それぞれバーナ軸方向で並列した複数のノズル管300a,300bで構成することが好ましい。これは以下のような理由による。例えば、燃焼室内径:50mm、燃焼ガス量(高炉ガス):30Nm/h(ガス密度:1.34kg/Nm)、空気量:21.4Nm/h(ガス密度:1.29kg/Nm)、空気比:1.1、炉内圧:245kPa(後述する高炉操業方法のように燃焼バーナをガス燃焼・吹込装置aとして高炉に設置した場合の炉内圧)という条件の場合、ガスノズル3a,3bがそれぞれ単一(1本)のノズル管で構成されるとすると、スワール数Swが3となるノズル管の内径(円換算の内径。すなわち、ノズル管内部の断面積を円の面積に換算した時の当該円の直径。以下、「ノズル管の内径」という場合には、同様の意味とする。)は、ガスノズル3aが21mm(開口2aでの燃料ガス速度:7m/s)、ガスノズル3bが21mm(開口2bでの支燃ガス速度:5m/s)となる。しかし、このようにガスノズル3a,3bを単一のノズル管で構成した場合には、図1のII-II線断面において、ノズル管の内径が燃焼室内径の約4/10となり、燃料ガスおよび支燃ガスとも、燃焼室中心方向(軸心)への流れが増加し、良好な旋回流が形成されにくくなる。このため軸心側に存在する高温燃焼排ガスが冷却される恐れがあり、本発明の効果が低下する可能性がある。図11は、開口2a,2bが形成された位置での燃焼室内部の径方向断面を模式的に示しており、燃焼室1の半径をR、燃焼室径方向でのガスノズル3a,3bの内部幅または実内径をtとしたとき、開口2a,2bから吹き込まれるガス流の中心位置(=ガスノズル3a,3bの軸芯)は、燃焼室1の中心から距離(R−t/2)の位置にある。ここで、Rに対してtが大きくなると、燃焼室中心方向(軸心)への流れが増加して良好な旋回流が形成されにくくなり、管状火炎が管壁から離れた位置に形成されて燃焼が不安定となりやすい。このような観点から(R−t/2)/R≧0.8が好ましいが、上記の例ではこの好ましい条件から外れてしまう。
これに対して、ガスノズル3a,3bをバーナ軸方向で並列した複数のノズル管300a,300bで構成した場合には、ノズル管1本当たりの内径が小さくなるので、上記のような問題が生じにくく、スワール数Swを好ましい範囲にしつつ、良好な旋回流を生じさせることができる。そのため、燃料ガス用のガスノズル3aと支燃ガス用のガスノズル3bは、それぞれバーナ軸方向で並列した複数のノズル管300a,300bで構成することが好ましい。同様の理由で、燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むためのガスノズルを有する燃焼バーナや、図3の実施形態のような水素ガス吹き込み用のガスノズル3cを有する燃焼バーナについても、それらのガスノズルをバーナ軸方向で並列した複数のノズル管で構成することが好ましい。
本発明において燃料ガスとして使用する低発熱量ガスは、発熱量が800kcal/Nm以下のものである。このような低発熱量ガスは、安定した燃焼性が得られにくい。また、発熱量が700kcal/Nm以下のガスは、特に安定した燃焼性が得られにくいので、これを燃料ガスとして使用する場合に、特に本発明の有用性が高い。一方、燃料ガスの発熱量が300kcal/Nm未満では、本発明を適用しても安定して燃焼させることが難しくなる場合があるので、本発明で使用する燃料ガスは、発熱量が300kcal/Nm以上のものが好ましい。
次に、以上のような燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法を適用した高炉操業方法について説明する。
この本発明の高炉操業方法は、空気または酸素富化空気を羽口送風する高炉操業、すなわち普通高炉の操業を対象とする。酸素富化空気を羽口送風する場合には、通常、酸素富化率20体積%以下、好ましくは10体積%以下での操業が行われる。なお、酸素富化率が増加するにしたがい炉内を通過するガス量が減り、シャフト上部を昇温するために必要な吹き込みガス量が大幅に増加するため、この点からも、上記のような酸素富化率での操業が好ましい。
図8は、本発明の高炉操業方法の一実施形態を模式的に示す説明図である。図において、20は高炉、21はその羽口であり、この羽口21から熱風と補助還元材(例えば、微粉炭、LNGなど)が炉内に吹き込まれる。
高炉20の炉頂部から排出された高炉ガス(炉頂ガス)は、ガス清浄装置であるダストキャッチャー22でダストを除去され、同じくミストセパレータ23で水分を除去された後、炉頂ガス発電装置24に導かれ、炉頂ガスの圧力が電気として回収された後、系外に導かれる。
本発明では、シャフト部(好ましくはシャフト中部〜上部)に設けられたガス吹込部Aから高炉内にガスを吹込む。このようにしてガスを炉内に吹き込む主たる目的は、低RAR操業による送風量の低下を補い、炉上部でのガス流量を確保するためであるが、無用に炉頂ガス温度を低下させるような温度のガスを吹き込むことは発明の主旨に反するので、吹き込みガスとしては予熱ガスを用いる。
このようにガス吹込部Aから予熱ガスを高炉内に吹き込むに当たり、本発明では、ガス吹込部Aを、さきに述べたような燃焼バーナ(例えば、図1および図2の燃焼バーナ、図3の燃焼バーナ、図4〜図7の燃焼バーナのいずれか)の燃焼室の先端を高炉内部と連通させたガス燃焼・吹込装置aで構成し、このガス燃焼・吹込装置aの燃焼ガスを予熱ガスとして高炉内に吹き込むものである。すなわち、図1や図4において、xが高炉20の炉体であり、燃焼室1の先端を高炉内部と連通させるようにして燃焼バーナを炉体xに取り付け、ガス燃焼・吹込装置aを構成する。
このようなガス燃焼・吹込装置aの基本構造は、管状火炎バーナとして知られたものである。しかし、この管状火炎バーナは、加熱炉や燃焼機器用として開発され、使用されてきたものであり、高炉のガス吹込手段に適用することについては、全く検討されていなかった。また、近年の高炉操業は高圧条件で行われ、予熱ガスは吹き込み位置の炉内圧よりも高い圧力に昇圧して吹き込む必要があるが、管状火炎バーナは常圧状態での使用を前提としており、上記のような圧力条件下で使用することについても、全く検討されていなかった。これに対して本発明では、高炉ガス(特に、低RAR操業での高炉ガス)などの低発熱量ガスを燃焼させて予熱し、これを高炉のシャフト部から炉内に吹き込む手段として、管状火炎バーナタイプのガス燃焼・吹込装置aが非常に優れた機能を有することを見出したものである。また、高炉ガス(特に、低RAR操業での高炉ガス)などの低発熱量ガスを燃料ガスとして用いる場合、さきに述べたように燃料ガスに水素を加えることにより、安定的な燃焼が可能となることを見出したものである。
図8の実施形態では、炉頂部から排出された後、ガス清浄装置(ダストキャッチャー22およびミストセパレータ23)、炉頂ガス発電装置24を経た高炉ガスの一部を抜き出し、昇圧機25aで昇圧した後、ガス吹込部Aを構成するガス燃焼・吹込装置aに燃料ガスとして導入する。水素を燃料ガスに混合するには、燃料ガスの配管内に水素を直に導入するか、或いは図示しない混合機を用いて燃料ガスに水素を混合し、水素混合燃料ガスとする。高炉20の炉頂部から排出される高炉ガスの流路27のうち、炉頂ガス発電装置24の下流側の流路部分から、高炉ガスの一部をガス燃焼・吹込装置aに供給するための流路28が分岐している。
また、ガス燃焼・吹込装置aには、酸素含有ガス(空気、酸素富化空気、高酸素濃度ガスなど)である支燃ガスが供給されるが、この支燃ガスも昇圧機25bで昇圧した後、ガス燃焼・吹込装置aに導入する。なお、ガス燃焼・吹込装置aで燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを用いる場合には、事前に昇圧機25a,25bで燃料ガスと支燃ガスを別々に昇圧してもよいし、予混合ガスを単一の昇圧機25で昇圧してもよい。この場合、支燃ガスと予混合される前の燃料ガスに水素を導入(または混合機で水素を混合)するか、或いは予混合ガスに水素を導入(または混合機で水素を混合)する。
また、図3に示す燃焼バーナの場合には、水素は昇圧機で昇圧された後、燃料ガスとは別にガス燃焼・吹込装置aに導入され、その燃焼室に吹き込まれる。
また、図4〜図7に示す燃焼バーナの場合には、高炉内に吹き込まれた燃焼ガス中のCOによってコークスが消費され、或いは炉内で還元された鉄鉱石(マグネタイト)が再酸化されることがないよう、燃焼ガスを希釈してその温度や組成を管理するために、ガスノズル14から希釈ガスが燃焼室1内に供給される。さきに述べたように、希釈ガスとしては、CO、Hなどの還元ガスを含むものが好ましく、例えば、高炉ガス、転炉ガス、コークス炉ガス等の1種以上を用いることができ、なかでも高炉ガスの一部を抜き出して希釈ガスとして用いることが好ましい。また、予熱ガスの温度は500℃以上、好ましくは800℃以上が望ましいので、このような予熱ガス温度になるように希釈ガスの温度と供給量が選択される。
本発明の高炉操業方法は、さきに述べた「燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法」を適用するものであるため、ガス燃焼・吹込装置a(燃焼バーナ)で使用する低発熱量ガスや水素添加条件などは、さきに述べた「燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法」と同様である。
すなわち、ガス燃焼・吹込装置aにおいて、燃料ガスとして使用する低発熱量ガスは、安定した燃焼性が得られにくい発熱量が800kcal/Nm以下のものであり、また、発熱量が700kcal/Nm以下のガスは、特に安定した燃焼性が得られにくいので、これを燃料ガスとして使用する場合に、特に本発明の有用性が高い。
また、燃料ガス(燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガス)に対して水素を加えるに当たっては、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が5vol%以下、発熱量が900kcal/Nm未満の条件を満足するようにする。
また、発熱量が700kcal/Nm以下のガスを燃料ガスとして用いる場合、この燃料ガス(燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガス)に対して水素を加えるに当たっては、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が8vol%以下、発熱量が800kcal/Nm未満の条件を満足することが好ましい。
以上のような低発熱量ガスや水素添加条件の意義・限定理由は、さきに述べた「燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法」と同様である。
次に、本発明において管状火炎バーナタイプのガス燃焼・吹込装置aを用い、且つ燃料ガスである低発熱量ガス(特に、低還元材比操業で発生する高炉ガスを用いる場合)に水素を添加することにより得られる効果を、従来の他のタイプのガスバーナを用いた場合と比較して説明する。
従来、工業的に用いられているガスバーナの多くは、バーナ先端よりも前方に火炎が形成される構造になっている。したがって、このようなガスバーナをガス燃焼・吹込装置aとして用いた場合、火炎が高炉上部から降下する装入物(鉄鉱石、コークス)に直接あたり、コークスのソリューションロス反応を生じさせ、コークスが無用に消費されるなどの問題を生じる。
また、純酸素送風を行う酸素高炉プロセスの炉頂ガスは、窒素が少なくCOが主体のガスであるため、発熱量が高い(例えば、約1200kcal/Nm)。このため上記のような従来の一般的なガスバーナでも、特に問題なく燃料ガスとして使用することができる。これに対して本発明が対象とする普通高炉プロセスで発生する高炉ガスは発熱量が低く(一般に800kcal/Nm以下)、上記のような従来の一般的なガスバーナに適用しても安定燃焼は難しい。また、低RAR操業を指向した場合には、高炉ガスの発熱量はさらに低下する。例えば、高炉内物質熱収支モデルで計算すると、高炉ガスの発熱量は、(1)RAR494kg/t相当の操業(PCR:130kg/t、送風温度:1150℃)では722kcal/Nm、(2)RAR450kg/t相当の操業(PCR:130kg/t、送風温度:1200℃、高反応性コークス使用、熱損失を43%低減、シャフト効率を上記(1)の操業に対して2%アップ)では620kcal/Nm、(3)RAR412kg/t相当の操業(PCR:130kg/t、送風温度:1200℃、高反応性コークス使用、熱損失を57%低減、シャフト効率を上記(1)の操業に対して4%アップ)では517kcal/Nmとなる。同計算では、上記(2)および(3)の操業において、高炉炉頂ガスの温度は110℃以下となる。そこで、例えば、炉頂部から排出された高炉ガスの一部を抜き出し、酸素で燃焼させた予熱ガスをシャフト部から炉内に吹込み、高炉炉頂ガス温度を110℃以上に保持した場合、高炉ガス発熱量はさらに低下する。例えば、上記(2)の操業において、800℃の予熱ガスを100Nm/t吹込んだ場合、高炉ガス発熱量は590kcal/Nmとなり、また、上記(3)の操業において、800℃の予熱ガスを150Nm/t吹込んだ場合、高炉ガス発熱量は477kcal/Nmとなる。このような低RAR操業による高炉ガス発熱量の低下は、上記のような従来の一般的なガスバーナによる安定した燃焼をさらに困難とする。
また、通常の高炉は4〜5kg/cmの加圧下で操業されるとともに、高炉上部から装入物が降下するため常時圧力変動がある。また、高炉炉壁への付着物の生成に起因する吹抜け等も発生する。上記のような従来の一般的なガスバーナでは、これらの要因によっても火炎の安定性が阻害され、吹き消え等も起こるおそれがある。
以上のような従来の一般的なガスバーナの問題に対して、本発明において管状火炎バーナタイプのガス燃焼・吹込装置aを用い、且つ燃料ガスとして用いられる高炉ガスなどの低発熱量ガスに水素を加えて安定燃焼させることにより、次のような効果が得られる。
(a)燃焼室1内でガスが燃焼し、燃焼室1の外側には火炎が存在しないので、高炉上部から降下する装入物(鉄鉱石、コークス)に直接火炎があたらず、装入物に与える影響が少ない。また、同じく燃焼室1の外側に火炎が存在しないので、高炉の炉内圧やその変動、吹抜けなどに影響されることなく、安定した火炎が形成され、所望の温度の燃焼ガスを炉内に安定的に吹き込むことができる。
(b)炉内に吹き込む予熱ガスは、吹き込む位置の炉内圧よりも高い圧力を有する必要があり、したがって、実質的にガス燃焼・吹込装置aの燃焼室1内では加圧下でガス燃焼が生じることが必要であるが、このように燃焼室1が加圧状態になることにより、特に高炉ガスのような低発熱量ガスを安定して燃焼させるのに有利な条件となる。ガス燃焼・吹込装置aでは、燃焼室1内に安定的な火炎が形成され、燃料ガスと支燃ガスとの混合性もよいため、ガスを効率的且つ均質に燃焼させることが可能であるが、特に、上述したように燃焼室1が加圧状態になることにより、標準状態での発熱量に対して、ガス密度が増加することから見掛けの発熱量が増加する。このため、燃料ガスが高炉ガスのような低発熱量ガスであっても、或いは燃料ガス成分の濃度が非常に低い場合であっても、燃料ガス中への水素の添加と相俟って、安定して燃焼させることが可能となる。
(c)同じく燃焼室1が加圧状態になることにより、ガス密度が高くなり、燃料ガスの保有する熱量を有効に燃焼ガスに伝えることができる。特に、燃焼室1の内壁面100付近には未燃焼のガスおよび支燃ガスが存在しているので、燃焼室1の内壁面100が直接的な伝熱により高温に加熱されることがなく、管壁からの熱損失が少ないことにより、その効果がより高まる。
(d)ガス吹込部Aから吹き込む予熱ガスは、酸素(O2としての酸素ガス。以下同様)を含まない或いは酸素濃度が低いことが好ましい。予熱ガスに酸素があると炉内で還元中の鉄酸化物(Fe、FeO)を再酸化させるためである。この点、ガス燃焼・吹込装置aは、燃焼室1内で安定な火炎が形成されることにより酸素利用効率が高く、特に燃焼室1が加圧状態になることにより、酸素利用効率をより高めることが可能となり、理論酸素量より少ない酸素量で安定した燃焼が可能となる。したがって、酸素を含まない若しくは酸素濃度が非常に低い予熱ガスを炉内に吹き込むことができる。
(e)燃焼室1内で安定な火炎が形成されることによって、炉内に吹き込まれる予熱ガス(燃焼ガス)の温度のバラツキが小さく、炉下部からの高炉ガスと炉上部から降下する装入物の温度をばらつきなく上昇させることができる。
通常、高炉ガスを昇圧機25に導く流路28には、高炉ガスの組成、温度および圧力などを測定するセンサー26が設置され、また、ガス吹込部A近傍には炉内圧力、温度を測定するセンサー26が設置され、これらのセンサー26,26の測定値に基づき、昇圧機25a,26bで昇圧するガス圧力、ガス燃焼・吹込装置aに投入する支燃ガス量、水素量などが制御される。
ガス吹込部Aからの予熱ガスの吹き込みは、常時行ってもよいし、炉頂ガス温度が低下した場合にのみ行ってもよい。後者の場合には、例えば、炉頂ガス温度をセンサーで測定し、炉頂ガス温度が所定温度以下(例えば、110℃以下)となった場合に、ガス吹込部Aから予熱ガスの吹き込みを行う。
ガス吹込部Aから吹き込む予熱ガスの温度に特別な制限はないが、吹込む位置の炉内ガス温度より低いと、炉内を逆に冷やしてしまうため、吹込む位置の炉内ガス温度よりも高い温度が好ましく、一般的には500℃以上、好ましくは800℃以上が望ましい。
予熱ガスの吹き込み量にも特別な制限はなく、一般には炉頂ガス温度を100℃以上に維持できるようなガス吹き込み量とすればよい。
炉高方向でのガス吹込部Aの設置位置(予熱ガスの吹き込み位置)はシャフト中部〜上部が好ましく、特に、炉口半径をRとし、ストックラインからの深さがRの位置をp、シャフト部下端からの高さがシャフト部全高の1/3の位置をpとしたとき、炉高方向において位置pと位置pとの間にガス吹込部Aを設置し、このガス吹込部Aから予熱ガスを吹き込むことが好ましい。予熱ガスの吹き込み位置が浅すぎる(上方位置すぎる)と、原料充填層の荷重が小さいため、原料の流動化や撹拌が生じて、原料降下の安定性が低下するおそれがある。一方、予熱ガスの吹き込み位置が深すぎる(下方位置すぎる)と炉内の軟化融着帯にかかってしまうおそれがあるので好ましくない。
炉周方向におけるガス吹込部Aの設置数や設置形態は特に限定しないが、炉周方向において等間隔で複数箇所に設けることが好ましい。特に、少なくとも、炉周方向において等間隔でn箇所(但し、nは4以上の偶数)に設け、予熱ガスの吹き込み総量に応じて、前記n箇所のガス吹込部Aのなかから、予熱ガスの吹き込みを行うガス吹込部Aを炉周方向において等間隔に選択することが好ましい。この場合のガス吹込部Aの等間隔での設置数は4,8,16,32,64などである。なお、実際の設備では、ガス吹込部Aを炉周方向で厳密に等間隔に設けることは、炉体冷却構造等との関係から困難な場合もあるので、設置する位置の若干のずれは許容される。
本発明は、低発熱量であって且つ至近場所から導入可能な高炉ガスをガス燃焼・吹込装置aの燃料ガスとして用いることが好ましい実施形態であり、なかでも、炉頂部から排出された高炉ガスの一部を適当な流路位置から抜き出し、燃料ガスとして用いることが、エネルギーの有効利用(ガス顕熱をそのまま利用できる)の面からも、また、設備面からも特に好ましい実施形態であると言える。但し、燃料ガスとして高炉ガス以外のガスを用いてもよく、また、高炉ガスとそれ以外のガスを混合して用いてもよい。また、高炉ガスとしては、ガス清浄装置(ダストキャッチャー22,ミストセパレータ23)の下流側から抜き出した高炉ガス、炉頂部とガス清浄装置間から抜き出した高炉ガス、ガスホルダーに貯蔵されている高炉ガスなどを用いてもよい。
[実施例1]
図9に示す構造の燃焼バーナの試験装置を用い、表2に示す条件で、水素を加えた燃料ガス(低発熱量ガス)および支燃ガス(空気)を用いた燃焼試験を行った。この試験装置の燃焼室は、内径:50mm、全長:300mmであり、その内壁面に形成された燃料ガス吹き込み用の開口(ノズルスリット)は長さ:48mm、幅:5mm、同じく支燃ガス吹き込み用の開口(ノズルスリット)は長さ:31mm、幅:5mmである。
発明例1〜4では、燃料ガスとして約300kcal/Nmの低発熱量ガス(CO:10.1vol%、CO:10.4vol%、N:79.5vol%)を調整し、この燃料ガスに水素を燃料ガス中の濃度でそれぞれ3.7vol%、4.0vol%、6.0vol%、2.0%となるように加え、燃焼試験を行った。また、発明例5,6では、燃料ガスとしてRAR412kg/t相当の操業での高炉ガスを用い、これに水素を加えて燃焼試験を行った。また、実施例7,8では、燃料ガスとしてRAR450kg/t相当の操業での高炉ガスを用い、これに水素を加えて燃焼試験を行った。また、発明例9では、燃料ガスとしてRAR446kg/t(PCR130kg/t、高反応性コークス使用、発明例10に対して熱損失を50%低減、シャフト効率を4%アップ)相当の操業での高炉ガスを用い、これに水素を加えて燃焼試験を行った。また、発明例10では、燃料ガスとしてRAR495kg/t(PCR130kg/t)相当の操業での高炉ガスを用い、これに水素を加えて燃焼試験を行った。いずれも、水素を混合した燃料ガス:30Nm/hに対して、理論酸素量が0.85〜0.90となるように空気を供給した。また、比較例として、水素を混合しない燃料ガスを用いた燃焼試験も行った。
この燃焼試験では、燃焼安定性を以下のような基準で評価した。
○:火炎の脈動もなく圧力変動にも追従し安定燃焼(優)
△:火炎が脈動するが、失火は認められない(良)
×:火炎が脈動し、圧力変動により失火(不可)
その結果を、試験条件とともに表2に示す。これによれば、発明例はいずれも安定的な燃焼が実現されており、特に、断熱火炎温度が750℃以上となるように水素を添加した場合には、非常に安定した燃焼が実現されている。
Figure 0005617531
[実施例2]
燃料ガス用のガスノズルと支燃ガス用のガスノズルを構成するノズル管の本数が異なる燃焼バーナの試験装置を用い、表3に示す条件で、燃料ガス(水素混合燃料ガス)および支燃ガス(空気)を用いた燃焼試験を行った。ここで、各ガスノズルが1本(単一)のノズル管で構成される燃焼バーナとは、図1および図2の実施形態のような構造のガスノズルを有するバーナであり、各ガスノズルが複数本のノズル管で構成される燃焼バーナとは、図4〜図7の実施形態のような構造のガスノズルを有するバーナである。
各燃焼バーナの燃焼室は、内径:50mm、全長:700mmであり、燃料ガス用のガスノズルと支燃ガス用のガスノズルをそれぞれ構成するノズル管の本数は、試験例1:5本、試験例2:4本、試験例3:2本、試験例4:1本、試験例5:4本、試験例6:2本である。
試験例1〜4で使用した燃焼バーナは、燃料ガス吹き込み用のガスノズルを構成するノズル管の内径が10mm、同じく支燃ガス吹き込み用のガスノズルを構成するノズル管の内径が10mmである。試験例5で使用した燃焼バーナは、燃料ガス吹き込み用のガスノズルを構成するノズル管の内径が6mm、同じく支燃ガス吹き込み用のガスノズルを構成するノズル管の内径が6mmである。試験例6で使用した燃焼バーナは、燃料ガス吹き込み用のガスノズルを構成するノズル管の内径が10mm、同じく支燃ガス吹き込み用のガスノズルを構成するノズル管の内径が10mmである。
燃料ガスとして用いた高炉ガス(水素を混合した高炉ガス)は、ガス組成がCO:22vol%、CO:21vol%、H:5vol%、N:52vol%であり、発熱量が792kcal/Nmである。この燃料ガス:30Nm/hに対して、理論酸素量が1となるように、支燃ガスとして空気:19.5Nm/hを供給した。適用した試験炉の炉内圧は245kPaである。
試験例6では、燃料ガス・支燃ガスの吹き込み位置中心からバーナ軸方向で500mm離れた位置に希釈ガス用のガスノズル(内径20mm)を設けた燃焼バーナを用い、燃焼室から排出される燃焼排ガス温度が800℃になるように、希釈ガス(高炉ガス)を33.8Nm/h供給した。この希釈ガスの添加により、燃焼ガス組成はCO(還元ガス)を10.3vol%含むものとなった。
試験例1〜6において、燃焼室内の観察(図9に示すような覗窓からの観察)と燃焼排ガスのガス組成分析を行い、燃焼状況を下記基準で評価した。その結果を、ガスノズルの構成、ガス流量、スワール数Sw、燃焼ガス組成(試験例6では、希釈ガスを添加した後のガス組成)などとともに表3に示す。
×:燃焼状況に脈動がみられ、相当量の未燃のCOが測定された。
○:安定した燃焼が継続し、未燃のCOも殆ど測定されなかった(但し、試験例6のCO濃度は希釈ガス混合によるもの)
Figure 0005617531
[実施例3]
炉内容積5000mの高炉において、図1および図2に示すようなガス燃焼・吹込装置aを用い、図8に示すような実施形態で本発明を実施した。操業条件は、微粉炭吹込み量:130kg/t、コークス比:320kg/t、送風温度:1150℃(湿分:10g/Nm)とし、高反応性コークスを使用した。炉頂ガス発電装置24の下流側から抜き出した高炉ガス(CO:17.7vol%、CO:23.1vol%、H:2.4vol%、HO:3.6vol%、N:53.2vol%)を昇圧機25aで炉内圧より0.2atm高い圧力に昇圧し、ガス吹込部Aを構成するガス燃焼・吹込装置aに燃料ガスとして導入した。その際、高炉ガスに対して、水素濃度が4.0vol%になるように水素を添加し、水素混合燃料ガスとした。また、空気を昇圧機25bで昇圧し、ガス燃焼・吹込装置aに支燃ガスとして導入した。
ガス燃焼・吹込装置aでは、水素混合燃料ガス100Nm/tを空気37.8Nm/tで燃焼させて800℃の燃焼ガスを生成させ、これを予熱ガスとして炉内に吹き込んだ。ガス燃焼・吹込装置aでの酸素比は0.736であり(理論酸素量に対して)、予熱ガスの組成は、CO:3.5vol%、CO:27.3vol%、H:0.8vol%、HO:5.0vol%、N:63.3vol%である。このような予熱ガスの吹き込みにより、炉頂ガス温度は149℃となり、高炉操業での配管内への水分の凝縮も完全に回避され、安定した操業が可能となった。予熱ガスを吹込まない場合は、物質熱収支の計算から97℃と算出される。
[実施例4]
炉内容積5000mの高炉において、図4〜図7に示すようなガス燃焼・吹込装置aを用い、図8に示すような実施形態で本発明を実施した。高炉操業条件は、実施例3と同様とした。炉頂ガス発電装置24の下流側から抜き出した高炉ガス(CO:17.7vol%、CO:23.1vol%、H:2.4vol%、HO:3.6vol%、N:53.2vol%)を昇圧機25aで炉内圧より0.2atm高い圧力に昇圧し、ガス吹込部Aを構成するガス燃焼・吹込装置aに燃料ガスとして導入した。その際、高炉ガスに対して、水素濃度が4.0vol%になるように水素を添加し、水素混合高炉ガスとした。また、空気を昇圧機25bで昇圧し、ガス燃焼・吹込装置aに支燃ガスとして導入した。
ガス燃焼・吹込装置aでは、水素混合高炉ガス73.6Nm/tを空気37.8Nm/t(酸素比1.0)で燃焼させるとともに、燃焼室内に希釈ガス(BFG)を26.4Nm/t供給することで、800℃の燃焼ガスを生成させ、これを予熱ガスとして炉内に吹き込んだ。予熱ガスの組成は、実施例3と同等である。このような予熱ガスの吹き込みにより、炉頂ガス温度は147℃となり、高炉操業での配管内への水分の凝縮も完全に回避され、安定した操業が可能となった。予熱ガスを吹込まない場合は、物質熱収支の計算から97℃と算出される。
1 燃焼室
2a,2b,2c,2c 開口
3a,3b,3c,3c ガスノズル
4 混合室
5 燃料ガス供給管
6 水素供給管
7 支燃ガス供給管
8,9,10 流量調整弁
11 流量計
12 燃焼状況検知装置
13 点火プラグ
14 ガスノズル
15 開口
20 高炉
21 羽口
22 ダストキャッチャー
23 ミストセパレータ
24 炉頂ガス発電装置
25a,25b 昇圧機
26,26 センサー
27,28 流路
100 内壁面
140 ノズル管
150 開口
200a,200b 開口
300a,300b ノズル管
A ガス吹込部
a ガス燃焼・吹込装置

Claims (22)

  1. 先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成した燃焼バーナにおいて、発熱量が800kcal/Nm以下のガスを燃料ガスとして用いる際に、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が5vol%以下、発熱量が900kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  2. 先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向に燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成した燃焼バーナを用いることを特徴とする請求項1に記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  3. 発熱量が700kcal/Nm以下のガスを燃料ガスとして用いる際に、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が8vol%以下、発熱量が800kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  4. COを含有する燃料ガスに、断熱火炎温度が750℃以上となるように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  5. 燃焼室の内壁面に形成された開口を通じて燃焼室内に燃料ガスと支燃ガスを各々供給するためのガスノズル若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを供給するためのガスノズルが、バーナ軸方向で並列した複数のノズル管で構成された燃焼バーナを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  6. 燃料ガスが高炉ガスであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  7. 燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるようにガスを吹き込むための他の開口を形成した燃焼バーナを用い、前記開口から燃焼室内に水素を吹き込む(但し、水素含有ガスとして吹き込む場合を含む)ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  8. 燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向にガスを吹き込むための他の開口を形成した燃焼バーナを用いることを特徴とする請求項7に記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  9. 燃焼室の内壁面に形成された他の開口を通じて燃焼室内に水素を供給するためのガスノズルが、バーナ軸方向で並列した複数のノズル管で構成された燃焼バーナを用いることを特徴とする請求項7または8に記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  10. 燃焼室内のガス流のスワール数Swを3〜10とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  11. 燃焼室内に、燃焼ガスを希釈してガス温度または/およびガス組成を調整する希釈ガスを供給することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の燃焼バーナによる低発熱量ガスの燃焼方法。
  12. 空気または酸素富化空気を羽口送風する高炉操業において、
    予熱ガスをシャフト部に設けられたガス吹込部(A)から高炉内に吹き込むに当たり、ガス吹込部(A)を、先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成し、前記燃焼室の先端を高炉内部と連通させたガス燃焼・吹込装置(a)で構成し、
    ガス燃焼・吹込装置(a)では、燃料ガスとして発熱量が800kcal/Nm以下のガスを用いるとともに、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が5vol%以下、発熱量が900kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加えて(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)燃焼させ、その燃焼ガスを予熱ガスとして高炉内に吹き込むことを特徴とする高炉操業方法。
  13. 先端が開放された管状の燃焼室の内壁面に、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向に燃料ガスと支燃ガスを各々吹き込むための若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを吹き込むための開口を形成したガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする請求項12に記載の高炉操業方法。
  14. ガス燃焼・吹込装置(a)では、燃料ガスとして発熱量が700kcal/Nm以下のガスを用いるとともに、燃焼室に吹き込まれる前の燃料ガスまたは/および燃焼室に吹き込まれた燃料ガスに対して、水素を加えた後の燃料ガスの水素濃度が8vol%以下、発熱量が800kcal/Nm未満の条件を満足するように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする請求項12または13に記載の高炉操業方法。
  15. COを含有する燃料ガスに、断熱火炎温度が750℃以上となるように水素を加える(但し、水素含有ガスとして加える場合を含む)ことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の高炉操業方法。
  16. 燃焼室の内壁面に形成された開口を通じて燃焼室内に燃料ガスと支燃ガスを各々供給するためのガスノズル若しくは燃料ガスと支燃ガスの予混合ガスを供給するためのガスノズルが、装置の軸線方向で並列した複数のノズル管で構成されたガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の高炉操業方法。
  17. ガス燃焼・吹込装置(a)に供給される燃料ガスが高炉ガスであることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の高炉操業方法。
  18. 燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるようにガスを吹き込むための他の開口を形成したガス燃焼・吹込装置(a)を用い、前記開口から燃焼室内に水素を吹き込む(但し、水素含有ガスとして吹き込む場合を含む)ことを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載の高炉操業方法。
  19. 燃焼室の内壁面に、さらに、燃焼室内でガス旋回流が生じるように該内壁面のほぼ接線方向にガスを吹き込むための他の開口を形成したガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする請求項18に記載の高炉操業方法。
  20. 燃焼室の内壁面に形成された他の開口を通じて燃焼室内に水素を供給するためのガスノズルが、装置の軸線方向で並列した複数のノズル管で構成されたガス燃焼・吹込装置(a)を用いることを特徴とする請求項18または19に記載の高炉操業方法。
  21. ガス燃焼・吹込装置(a)において、燃焼室内のガス流のスワール数Swを3〜10とすることを特徴とする請求項12〜20のいずれかに記載の高炉操業方法。
  22. ガス燃焼・吹込装置(a)の燃焼室内に、燃焼ガスを希釈してガス温度または/およびガス組成を調整する希釈ガスを供給することを特徴とする請求項12〜21のいずれかに記載の高炉操業方法。
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