JP2023031404A - 高炉羽口用バーナ - Google Patents

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Yasuyuki Yamamoto
雅志 山口
Masashi Yamaguchi
圭佑 阿部
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義之 萩原
Yoshiyuki Hagiwara
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Abstract

【課題】高温還元ガスを効率よく発生させることができるとともに、高炉内のCO2発生量を低減させることができ、ノズル燃焼室における各ガスの噴出口に閉塞等が生じることなく、安定した運転が可能な高炉羽口用バーナを提供する。【解決手段】ノズル出口20の側壁22が排出口25側に向かって漸次縮径しており、ノズル燃焼室16の底部16a側に、中心軸Jと同軸で燃料ガスG1をノズル燃焼室16内に噴出する燃料ガス噴出口12aと、燃料ガス噴出口12aをとり囲むように配置され、1次支燃性ガスG21をノズル燃焼室16内に噴出する1次支燃性ガス噴出口13aと、が備えられ、ノズル燃焼室16の側壁16bに、下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら燃料ガスG1に対して2次支燃性ガスG22を噴出する2次支燃性ガス噴出口14aと、中心軸Jに向けて還元ガスG4を斜交流として噴出する還元ガス噴出口15aとを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、高炉羽口用バーナに関するものである。
従来から、例えば、一般的な鉄鋼プロセスで用いられる高炉においては、羽口から高炉内に向けて熱風及び微粉炭を吹き込み、これらを高炉の熱源とすることで、溶銑の製造が行われている。
一方、近年では、羽口から熱風を吹き込むことなく、純酸素及び微粉炭を高炉内に吹き込むことで溶銑を製造する酸素高炉が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された酸素高炉によれば、高炉の下部に高炉羽口用バーナを設置し、空気を加熱した熱風に代えて純酸素を供給することで、高炉内に窒素が導入されるのを抑制できることから高い出銑比が得られ、省エネルギー化による二酸化炭素(CO)削減効果も期待できる。
また、昨今、地球温暖化問題に鑑み、高炉から排出されるCOを低減することがより強く求められるようになっている。このため、各高炉メーカーにおいては、COの発生源となるコークス及び微粉炭の使用量を低減するための技術開発が行われている。
ここで、高炉羽口用バーナにおいては、量論比よりも低い酸素比で燃焼させる、所謂部分燃焼により、一酸化炭素(CO)や水素(H)を主成分とする高温の還元ガスを発生させ、このガスを羽口から高炉内に吹き込むことが求められる。このような部分燃焼を行うバーナとしては、例えば、合成ガスを製造する分野で用いられているものがあり、具体的には、開口側に向かって漸次拡開した断面円錐台状の燃焼室を有し、燃焼室の底部における中央から燃料ガスを高速で噴出させるとともに、燃焼室の側壁から酸素を高速の斜交流で噴出させ、燃料ガスと酸素とを混合させることで、煤の発生が抑制された合成ガスを生成するバーナがある。しかしながら、このような構造の部分燃焼バーナでは、燃料ガスと酸素の混合が十分に行われず、燃焼室の内部の短い距離において燃焼を完結できないという問題があった。また、仮に、上記構造の部分燃焼バーナを高炉羽口用に適用した場合、燃料ガス及び酸素の噴出口が高炉内で厳しい環境に曝され、溶銑によってバーナのノズル部分が閉塞してしまい、長時間の運転ができなくなるおそれがあった。
特開2017-053029号公報
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、高炉内に供給するための高温還元ガスを効率よく発生させることができるとともに、高炉内におけるCOの発生量を低減させることができ、ノズル燃焼室における各ガスの噴出口に閉塞等が生じることなく、安定した運転が可能な高炉羽口用バーナを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の態様を包含する。
即ち、請求項1に係る発明は、燃料ガスと支燃性ガスとを量論比以下の酸素比で燃焼させることにより、還元ガスを加熱して高温還元ガスを発生させるノズル燃焼室と、該ノズル燃焼室に連通するように配置され、前記高温還元ガスが吹き込まれるノズル出口とを備える高炉羽口用バーナであって、前記ノズル出口は、前記高温還元ガスの噴出方向に沿った側壁における少なくとも一部が、排出口側に向かうに従って漸次縮径する断面円錐台状とされており、前記ノズル燃焼室は、底部側に、前記高炉羽口用バーナの中心軸と同軸で配置され、前記燃料ガスを前記ノズル燃焼室内に向けて噴出する燃料ガス噴出口と、平面視で前記燃料ガス噴出口を前記高炉羽口用バーナの径方向で外側からとり囲むように配置され、前記支燃性ガスとして1次支燃性ガスを前記ノズル燃焼室内に向けて噴出する1次支燃性ガス噴出口とを有しており、さらに、前記ノズル燃焼室は、前記側壁に、前記支燃性ガスとして2次支燃性ガスを、前記高温還元ガスの噴出方向における下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら、前記燃料ガスに対して噴出する2次支燃性ガス噴出口と、前記2次支燃性ガス噴出口よりも前記下流側に設けられ、前記高炉羽口用バーナの中心軸に向けて、前記還元ガスを斜交流として噴出する還元ガス噴出口を有していることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の高炉羽口用バーナであって、前記ノズル燃焼室の前記側壁における前記還元ガス噴出口の近傍に、前記側壁の周方向で環状に設けられる保炎溝を有することを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の高炉羽口用バーナであって、前記燃料ガス噴出口から噴出される前記燃料ガスと、前記還元ガス噴出口から噴出される前記還元ガスとの流量比[燃料ガス:還元ガス]が[7:3~2:8]の範囲であることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項4に係る発明は、請求項1~請求項3の何れかに記載の高炉羽口用バーナであって、前記燃料ガス及び前記還元ガスが同一組成のガスであることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項5に係る発明は、請求項1~請求項3の何れかに記載の高炉羽口用バーナであって、前記還元ガスが、炭化水素ガスを含まない組成のガスであることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項6に係る発明は、請求項1~請求項5の何れかに記載の高炉羽口用バーナであって、前記燃料ガスが、300~900℃の温度に予熱されたガスであることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項7に係る発明は、請求項1~請求項6の何れかに記載の高炉羽口用バーナであって、前記還元ガスが、300~900℃の温度に予熱されたガスであることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項8に係る発明は、請求項1~請求項7の何れかに記載の高炉羽口用バーナであって、前記支燃性ガスが、400~1200℃の温度に予熱されたガスであることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項9に係る発明は、請求項1~請求項8の何れかに記載の高炉羽口用バーナであって、前記支燃性ガス中の酸素濃度が90体積%以上であることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項10に係る発明は、請求項1~請求項9の何れかに記載の高炉羽口用バーナであって、前記燃料ガス噴出口に向けて前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記燃料ガス供給路を前記高炉羽口用バーナの径方向で外側から取り囲むように配置され、前記1次支燃性ガス噴出口に向けて前記1次支燃性ガスを供給する1次支燃性ガス供給路と、前記1次支燃性ガス供給路を前記径方向で外側から取り囲むように配置され、前記2次支燃性ガス噴出口に向けて前記2次支燃性ガスを供給する2次支燃性ガス供給路と、前記2次支燃性ガス供給路を前記径方向で外側から取り囲むように配置され、前記還元ガス噴出口に向けて前記還元ガスを供給する還元ガス供給路と、前記還元ガス供給路を前記径方向で外側から取り囲むように配置され、前記高炉羽口用バーナを冷却するための冷却水が流通する冷却水流路と、を備え、前記径方向における、前記燃料ガス供給路と前記1次支燃性ガス供給路との間、前記1次支燃性ガス供給路と前記2次支燃性ガス供給路との間、前記2次支燃性ガス供給路と前記還元ガス供給路との間、及び、前記還元ガス供給路と前記冷却水流路との間の少なくとも何れかの位置に断熱材が配置されていることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の高炉羽口用バーナであって、前記断熱材がパーライトからなることを特徴とする高炉羽口用バーナである。
本発明に係る高炉羽口用バーナによれば、上記のように、ノズル出口における側壁の少なくとも一部が、排出口側に向かうに従って漸次縮径するノズル構造とされ、ノズル燃焼室の底部側に、高炉羽口用バーナの中心軸と同軸で燃料ガスをノズル燃焼室内に噴出する燃料ガス噴出口と、燃料ガス噴出口をとり囲むように配置され、1次支燃性ガスをノズル燃焼室内に噴出する1次支燃性ガス噴出口とが備えられ、さらに、ノズル燃焼室の側壁に、2次支燃性ガスを、下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら、燃料ガスに対して噴出する2次支燃性ガス噴出口と、を備えた構成を採用している。これにより、燃料ガスと1次支燃性ガス及び2次支燃性ガスとが急速に混合されるので、ノズル燃焼室内において、高温で安定した火炎が形成される。
さらに、2次支燃性ガス噴出口よりも下流側に、燃料ガスに対して、還元ガスを斜交流として噴出する還元ガス噴出口が設けられていることにより、高温の火炎と還元ガスとが急速に混合され、高温還元ガスを生成させる反応を急速に進行させることができる。
従って、高炉内に供給するための高温還元ガスを効率よく発生させることができるとともに、高炉内におけるCOの発生量を低減させることができ、ノズル燃焼室における各ガスの噴出口に閉塞等が生じることなく、安定した運転が可能な高炉羽口用バーナを提供することが可能になる。
本発明の実施形態である高炉羽口用バーナの構成を模式的に説明する図であり、高炉羽口用バーナのバーナ構造及びノズル構造を示すとともに、燃料ガス、支燃性ガス、並びに還元ガスの各々の流れを示す、高炉羽口用バーナの軸方向に沿った断面図である。 本発明に係る高炉羽口用バーナの実施例について説明する図であり、支燃性ガスに用いる酸素の温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナの排出口からの距離と、メタンガス濃度との関係を示すグラフである。 本発明に係る高炉羽口用バーナの実施例について説明する図であり、支燃性ガスに用いる酸素の温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナの排出口からの距離と、酸素濃度との関係を示すグラフである。 本発明に係る高炉羽口用バーナの実施例について説明する図であり、燃料ガスに用いる天然ガスの温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナの排出口からの距離と、メタンガス濃度との関係を示すグラフである。 本発明に係る高炉羽口用バーナの実施例について説明する図であり、燃料ガスに用いる天然ガスの温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナの排出口からの距離と、酸素濃度との関係を示すグラフである。 本発明に係る高炉羽口用バーナの実施例について説明する図であり、還元ガスの流量を、燃料ガスの流量と還元ガスの流量との合算流量で除した値と、排出口から排出される高温還元ガスに含まれるメタンガス濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明を適用した一実施形態である高炉羽口用バーナについて、図1を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<高炉羽口用バーナの構造>
図1は、本実施形態の高炉羽口用バーナ1のバーナ構造及びノズル構造を示すとともに、燃料ガスG1、支燃性ガス(1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22)並びに還元ガスG4の各々の流れを示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の高炉羽口用バーナ1は、燃料ガスG1と支燃性ガスである1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22とを量論比以下の酸素比で燃焼させることにより、還元ガスG4を加熱して高温還元ガスG5を発生させるノズル燃焼室16と、このノズル燃焼室16に連通するように配置され、高温還元ガスG5が吹き込まれるノズル出口20とを備える。
また、高炉羽口用バーナ1は、ノズル燃焼室16が、高温還元ガスG5の噴出方向に沿った側壁16bが、ノズル出口20側に向かって概略均一の内径を有した円筒形状のノズル構造とされている。また、ノズル出口20は、高温還元ガスG5の噴出方向に沿った側壁22における少なくとも一部が、排出口25側に向かうに従って漸次縮径する断面円錐台状とされている。
また、ノズル燃焼室16は、底部16a側に、高炉羽口用バーナ1の中心軸Jと同軸で配置され、燃料ガスG1をノズル燃焼室16内に向けて噴出する燃料ガス噴出口12aと、平面視で燃料ガス噴出口12aを高炉羽口用バーナ1の径方向で外側からとり囲むように配置され、1次支燃性ガスG21をノズル燃焼室16内に向けて噴出する1次支燃性ガス噴出口13aとを有している。
さらに、ノズル燃焼室16は、側壁16bに、2次支燃性ガスG22を、高温還元ガスG5の噴出方向における下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら、燃料ガスG1に対して噴出する2次支燃性ガス噴出口14aと、2次支燃性ガス噴出口14aよりも下流側に設けられ、燃料ガスG1に対して、還元ガスG4を斜交流として噴出する還元ガス噴出口15aとを有し、概略構成されている。
また、本実施形態の高炉羽口用バーナ1は、図1中に詳細な流路構造を示したように、燃料ガス噴出口12aに向けて燃料ガスG1を供給する燃料ガス供給路12と、この燃料ガス供給路12を高炉羽口用バーナ1の径方向で外側から取り囲むように配置され、1次支燃性ガス噴出口13aに向けて1次支燃性ガスG21を供給する1次支燃性ガス供給路13とを有する。また、高炉羽口用バーナ1は、1次支燃性ガス供給路13を径方向で外側から取り囲むように配置され、2次支燃性ガス噴出口14aに向けて2次支燃性ガスG22を供給する2次支燃性ガス供給路14と、2次支燃性ガス供給路14を径方向で外側から取り囲むように配置され、還元ガス噴出口15aに向けて還元ガスG4を供給する還元ガス供給路15とを有する。
さらに、図示例の高炉羽口用バーナ1は、還元ガス供給路15を径方向で外側から取り囲むように配置され、高炉羽口用バーナ1全体を冷却するための冷却水Wが流通する冷却水流路17を備えている。
なお、本明細書においては、高炉羽口用バーナ1における中心軸Jに関し、高炉羽口用バーナ1を構成する燃料ガス噴出口12a、ノズル燃焼室16、ノズル出口20における中心軸についても、同じ符号(J)を付与して説明する。
また、本明細書において説明する還元ガスG4の「斜交流」とは、還元ガスG4が、高炉羽口用バーナ1の中心軸J、即ち、この中心軸Jと同軸で噴出する燃料ガスG1と交わるように流れることを意味する。
本実施形態の高炉羽口用バーナ1は、鉄鋼プロセスで用いられる高炉において、例えば、1800~2800℃の高温還元ガスG5を吹き込むことで、この高温還元ガスG5を高炉の熱源及び還元剤とすることで溶銑を製造する用途に適用できる装置である。
[ノズル燃焼室]
ノズル燃焼室16は、上述したように、高温還元ガスG5の噴出方向に沿った側壁16bが、ノズル出口20側に向かって概略均一の内径を有した円筒形状のノズル構造とされている。
ノズル燃焼室16は、上記構成により、燃料ガスG1と1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22とを量論比以下の酸素比で燃焼させることにより、還元ガスG4を加熱しての高温還元ガスG5を発生させ、下流側のノズル出口20に送り込む。
ノズル燃焼室16は、図示例のように、端部16d側の一部が円筒形状とされていることが、安定した保炎確保の観点から好ましいが、例えば、基端側の底部16aから端部16d側までの側壁16bの勾配角度を一定としても構わない。
ノズル燃焼室16の内部には、上述したように、燃料ガス噴出口12a、1次支燃性ガス噴出口13a、2次支燃性ガス噴出口14a、及び還元ガス噴出口15aが開口している。これらのうち、燃料ガス噴出口12a及び1次支燃性ガス噴出口13aが、概略均一の内径を有する円筒形状とされたノズル燃焼室16における底部16aに開口しており、2次支燃性ガス噴出口14a及び還元ガス噴出口15aが、側壁16bに開口している。
ノズル燃焼室16の側壁16bには、還元ガス噴出口15aの近傍に保炎溝16cが設けられていることが好ましい。図1に示す例では、保炎溝16cは、側壁16bの端部16d側における、還元ガス噴出口15aの下流側近傍に、側壁16bの周方向で環状に形成されている。
ノズル燃焼室16の側壁16bに上記のような保炎溝16cが設けられていることにより、保炎溝16cに火炎の渦を発生させて火種を作ることができるので、例えば、還元ガスG4として燃焼しにくいガスを用いた場合でも、安定して燃焼させることが可能となる。これにより、例えば、還元ガスG4として発熱量が低いガスを用いた場合において、高温還元ガスG5を生成させる観点から特に有効となる。なお、例えば、還元ガスG4として発熱量の高いガスを用いる場合には、保炎溝16cは設けなくても構わない。
[燃料ガス供給路及び燃料ガス噴出口]
燃料ガス供給路12は、図示例では、ノズル燃焼室16の底部16aにおいて中心軸Jと同軸の位置に開口した燃料ガス噴出口12aから、バーナ10の軸方向で燃料ガスG1を噴出する。燃料ガス供給路12は、例えば、図示略の燃料流路管や燃料制御部を介して燃料ガスG1が充填されたタンク等に接続され、この燃料ガスG1を、燃料ガス噴出口12aからノズル燃焼室16内に向けて噴出する。
上述したように、本実施形態で説明する例においては、燃料ガス供給路12をなす配管が底部16aからノズル燃焼室16の内部空間に突出していることで、燃料ガス噴出口12aが、底部16aから上記の内部空間に入り込むように配置されているが、燃料ガス噴出口12aは、底部16a側に開口していれば、その配置位置や形状等は特に限定されず、任意に設定可能である。
[1次支燃性ガス供給路及び1次支燃性ガス噴出口]
1次支燃性ガス供給路13は、高炉羽口用バーナ1の径方向で燃料ガス供給路12を外側から取り囲むように配置され、図示例では、ノズル燃焼室16の底部16aにおいて中心軸Jよりも外側の位置に開口した1次支燃性ガス噴出口13aから、バーナ10の軸方向で1次支燃性ガスG21を噴出する。1次支燃性ガス供給路13は、例えば、図示略の支燃性ガス流路管や制御部を介して1次支燃性ガスG21が充填されたタンク等に接続され、この1次支燃性ガスG21を1次支燃性ガス噴出口13aからノズル燃焼室16内に向けて噴出する。
1次支燃性ガス噴出口13aは、詳細な図示は省略するが、例えば、ノズル燃焼室16の底部16aにおける、中心軸Jを中心とした円周上において、中心軸Jと同軸で配置された燃料ガス噴出口12aを取り囲むように、複数且つ均等間隔で配置される。
なお、複数の1次支燃性ガス噴出口13aは、ノズル燃焼室16の底部16a側に開口していれば、その配置間隔や孔数、形状等は特に限定されず、任意に設定可能である。
また、本実施形態の高炉羽口用バーナ1においては、上述したように、燃料ガス供給路12をなす配管が底部16aからノズル燃焼室16の内部空間に突出するように配置されている。これにより、1次支燃性ガス噴出口13aは、ノズル燃焼室16の側壁16bと燃料ガス供給路12をなす配管とに囲まれるように、底部16aにおいて、基端側に奥まって位置するように構成されている。
[2次支燃性ガス供給路及び2次支燃性ガス噴出口]
2次支燃性ガス供給路14は、高炉羽口用バーナ1の径方向で1次支燃性ガス供給路13を外側から取り囲むように配置され、ノズル燃焼室16の側壁16bに開口した2次支燃性ガス噴出口14aから、高温還元ガスG5の噴出方向における下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら、2次支燃性ガスG22を噴出する。即ち、2次支燃性ガス供給路14は、2次支燃性ガス噴出口14aから、バーナ10の中心軸Jに対して傾斜しながら該中心軸J側に向かうように、旋回流を形成させながら2次支燃性ガスG22を噴出する。
2次支燃性ガス噴出口14aは、例えば、ノズル燃焼室16の側壁16bにおいて、中心軸Jを中心とした円周上で、燃料ガス噴出口12a及び1次支燃性ガス噴出口13aを平面視で外側から囲むように、複数で均等間隔にて配置される。
また、図1に示す例においては、2次支燃性ガス噴出口14aは、高温還元ガスG5の噴出方向で、ノズル燃焼室16の側壁16bにおいて2列に並べられて配置されている。
なお、複数の2次支燃性ガス噴出口14aも、ノズル燃焼室16の側壁16bに開口していれば、その配置間隔や孔数、形状等は特に限定されず、任意に設定可能である。例えば、複数の2次支燃性ガス噴出口14aは、図示例のような2列に並べられた構成に限定されるものではなく、燃焼量(バーナの規模)や燃料ガスの種類等を勘案しながら列数を変更することができ、例えば、1列で配置された構成を採用してもよい。
[還元ガス供給路及び還元ガス噴出口]
還元ガス供給路15は、高炉羽口用バーナ1の径方向で2次支燃性ガス供給路14を外側から取り囲むように配置される。還元ガス供給路15は、上述したように、2次支燃性ガス噴出口14aよりも下流側に設けられた還元ガス噴出口15aから、燃料ガスG1に対して、還元ガスG4を斜交流として噴出する。即ち、還元ガス噴出口15aは、高炉羽口用バーナ1の中心軸Jと同軸で噴出する燃料ガスG1と交わるように流れるように、還元ガスG4を噴出する。
ノズル燃焼室16の内部においては、上記構成とされた燃料ガス噴出口12a、1次支燃性ガス噴出口13a、2次支燃性ガス噴出口14a及び還元ガス噴出口15aの各々が開口した構成を備えることで、まず、燃料ガスG1と1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22とが急速に混合され、高温で安定した火炎が形成される。また、2次支燃性ガス噴出口よりも下流側において、燃料ガスG1に対して還元ガスG4を斜交流として噴出することで、高温の火炎と還元ガスG4とが急速に混合され、反応を急速に進行させることができるので、高温還元ガスG5を効率よく生成させることが可能となる。
[各ガスの種類及び供給条件]
本実施形態の高炉羽口用バーナ1で用いられる燃料ガスG1としては、例えば、天然ガスの他、プロパンガス等の炭化水素系ガス、COG(コークス炉ガス)、BFG(高炉ガス)、H、CO、並びにそれらの混合ガス等が挙げられる。
また、本実施形態で説明する支燃性ガスである1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22としては、例えば、酸素富化空気、又は、酸素等が挙げられる。
また、還元ガスG4としては、例えば、燃料ガスG1と同一組成の可燃性ガスを用いることができる。
ここで、燃料ガス噴出口12aから噴出される燃料ガスG1と、還元ガス噴出口15aから噴出される還元ガスG4との流量比[燃料ガスG1:還元ガスG4]は、特に限定されないが、例えば、[燃料ガスG1:還元ガスG4]=[7:3~2:8]の範囲であることが好ましい。燃料ガスG1と還元ガスG4との流量比が上記範囲であることで、上述したような、高温の火炎と還元ガスG4とを急速に混合させて反応を進行させる効果が顕著に得られる。
また、燃料ガスG1及び還元ガスG4は、それぞれ異なる可燃性ガス等を採用してもよいが、上述したような、同一組成の可燃性ガスを用いることがより好ましい。燃料ガスG1及び還元ガスG4を同一組成とすることで、高炉羽口用バーナ1へのガス供給設備をシンプルな構成とすることができ、設備及び製造コストを低減することが可能になる。
あるいは、燃料ガスG1及び還元ガスG4は、例えば、炭化水素ガスを含まない組成のガスを用いてもよい。燃料ガスG1及び還元ガスG4ともに炭化水素ガスを含まない組成のガスを用いることで、高炉内におけるCOの発生量をさらに低減させることが可能になる。
また、本実施形態においては、ノズル燃焼室16の内部に噴射される1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22の温度は、特に限定されないが、例えば、400~1200℃の温度に予熱された酸素等からなる支燃性ガスを用いることが好ましい。ノズル燃焼室16における燃焼効率を考慮した場合、1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22の温度は高ければ高いほど好ましいが、ノズル燃焼室16を構成する材料の耐熱温度も考慮し、例えば、その上限を1200℃とすることができる。
なお、本実施形態で説明する1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22の温度とは、例えば、高炉羽口用バーナ1の1次支燃性ガス供給路13及び2次支燃性ガス供給路14に対する外部のガス供給設備からの接続部において、従来公知で一般的に用いられる熱電対を用いて測定した値である。
また、本実施形態では、ノズル燃焼室16の内部に噴射される燃料ガスG1の温度も、特に限定されないが、例えば、300~900℃の温度に予熱されたガスであることが好ましい。燃料ガスG1の温度は、燃焼時に十分な熱量を与える観点から、300℃を下限とすることが好ましい。また、ノズル燃焼室16における燃焼効率を考慮した場合、燃料ガスG1の温度も高ければ高いほど好ましいが、燃料ガスG1の供給設備の耐熱温度も考慮し、例えば、その上限を900℃とすることができる。
なお、燃料ガスG1として炭化水素ガスを含むものを用いる場合には、燃料ガスG1の予熱温度を500℃未満とすることで、バーナ内におけるクラッキングが発生して流路内にカーボン析出が生じるのを抑制できる効果が得られる。このため、流路の閉塞やバーナの運転不良が発生するのを防止する観点から、燃料ガスG1の予熱温度は500℃未満とすることがより好ましい。
また、本実施形態では、ノズル燃焼室16の内部に噴射される還元ガスG4の温度も、特に限定されないが、例えば、燃料ガスG1と同様、300~900℃の温度に予熱されたガスであることが好ましい。
なお、還元ガスG4として炭化水素ガスを含むものを用いる場合には、還元ガスG4の予熱温度を500℃未満とすることで、燃料ガスG1の場合と同様、バーナ内におけるクラッキングが発生して流路内にカーボン析出が生じるのを抑制できる効果が得られる。このため、上記同様、流路の閉塞やバーナの運転不良が発生するのを防止する観点から、還元ガスG4の予熱温度は500℃未満とすることが好ましい。
また、1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22の組成としても、特に限定されないが、例えば、これら1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22中の酸素濃度が90体積%以上であることが好ましい。1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22中の酸素濃度が90体積%未満だと、これら各支燃性ガスが燃焼しきれず、高温還元ガスG5中における残存酸素濃度が上昇してしまうおそれがある。また、1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22中に窒素が混入すると、燃焼効率が低下して、上記同様、高温還元ガスG5中における残存酸素濃度が上昇するおそれがあることを考慮した場合、1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22中の酸素濃度は、より高いほど好ましい。
[ノズル出口]
ノズル出口20は、ノズル燃焼室16の端部16d側に、ノズル燃焼室16と内部空間が連通するように設けられる。上述したように、ノズル出口20は、高温還元ガスG5の噴出方向に沿った側壁22における少なくとも一部が、排出口25側に向かうに従って漸次縮径する断面円錐台状とされ、図1に示す例においては、ノズル燃焼室16の端部16d側から排出口25の直前の位置までの側壁22が断面円錐台状とされている。また、図示例では、側壁22における排出口25の近傍のみが、均一な径を有した円筒形状に形成されている。
ノズル出口20は、図示を省略するが、鉄鋼プロセス等に用いられる高炉の羽口に接続される部分であり、この部分が高炉の羽口に接続されることで、排出口25から高炉の羽口に向けて高温還元ガスG5を送出する。
本実施形態においては、上述したように、まず、ノズル燃焼室16における側壁16bの一部をノズル出口20側に向かうに従って漸次拡径する構造としたうえで、ノズル出口20における側壁22の一部を、排出口25側に向かうに従って漸次縮径するノズル構造を採用している。これにより、燃料ガスG1と1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22とが急速に混合され、高温で安定した火炎が形成される効果がより顕著に得られるので、高温の火炎と還元ガスG4とが急速に混合され、高温還元ガスG5を生成させる反応を急速に進行させることが可能となる。
[冷却水流路]
冷却水流路17は、高炉羽口用バーナ1全体を冷却するために設けられるものであり、図示例においては、高炉羽口用バーナ1の径方向で還元ガス供給路15を外側から取り囲むように配置された環状の空間として構成されている。また、図1に示す例の冷却水流路17は、高炉羽口用バーナ1の先端1a側で折り返す二重管構造とされており、冷却水Wの通水によって高炉羽口用バーナ1全体を冷却することが可能な構成とされている。
図示例の冷却水流路17は、図1中では詳細な図示を省略しているが、入口側から冷却水Wが通水され、この冷却水Wが、先端1a側で折り返しながら冷却水流路17を通過して出口側から排出される。本実施形態においては、冷却水Wが冷却水流路17を通過する際に、高炉羽口用バーナ1を構成する各流路やノズル燃焼室16、ノズル出口20が冷却される。即ち、冷却水流路17は、火炎による高温雰囲気や輻射熱から高炉羽口用バーナ1の各構成部品を保護する。
[断熱材]
本実施形態の高炉羽口用バーナ1においては、図1中に示す例のように、高炉羽口用バーナ1の径方向における、燃料ガス供給路12と1次支燃性ガス供給路13との間、1次支燃性ガス供給路13と2次支燃性ガス供給路14との間、2次支燃性ガス供給路14と還元ガス供給路15との間、及び、還元ガス供給路15と冷却水流路17との間の少なくとも何れかの位置に断熱材18が配置されていることが好ましい。
本実施形態の高炉羽口用バーナ1においては、燃料ガスG1、1次支燃性ガスG21、2次支燃性ガスG22、還元ガスG4を予熱して各流路に供給する場合、上記の各流路間に断熱材18を配置することで、冷却水Wによる冷却で生じる温度低下(熱損)を低減し、高温還元ガスG5を高温に維持できるので、高炉を効果的に昇温させる作用が得られる。特に、還元ガス供給路15と冷却水流路17との間に断熱材18を配置することで、上記のような冷却水Wによる熱損が生じるのを抑制できる。
また、1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22を、例えば500℃以上に予熱して使用する場合、燃料ガスG1及び還元ガスG4として炭化水素系ガスを含むガスを使用すると、バーナ内でクラッキングが発生して流路内にカーボン析出が生じ、流路の閉塞やバーナの運転不良に至るおそれがある。このため、特に、ガス種並びに予熱温度を上記の条件で選択する場合には、燃料ガス供給路12と2次支燃性ガス供給路13との間、並びに、2次支燃性ガス供給路14と還元ガス供給路15との間に断熱材18を配置することが、流路の閉塞やバーナの運転不良が発生するのを防止する観点からより好ましい。
なお、図1に示す例においては、燃料ガス供給路12と1次支燃性ガス供給路13との間、1次支燃性ガス供給路13と2次支燃性ガス供給路14との間、2次支燃性ガス供給路14と還元ガス供給路15との間、及び、還元ガス供給路15と冷却水流路17との間の全ての位置に断熱材18が配置されているが、これには限定されない。例えば、上記の各流路間のうちの少なくとも一部の位置に断熱材18が設けられていれば、上述した冷却水Wによる熱損を抑制する効果が十分に得られる。
断熱材18の材質としては、特に限定されず、高温であるバーナの使用温度に耐えうる断熱材料を適宜選択して採用できる。このような断熱材18の材料としては、例えば、パーライト等が挙げられる。
<作用効果>
上記の構成を備える本実施形態の高炉羽口用バーナ1によって得られる作用・効果について、以下に説明する。
本実施形態の高炉羽口用バーナ1によれば、上記のように、ノズル燃焼室16における側壁16bの一部が、ノズル出口20側に向かうに従って漸次拡径し、ノズル出口20における側壁22の一部が、排出口25側に向かうに従って漸次縮径するノズル構造とされている。また、ノズル燃焼室16の底部16a側には、高炉羽口用バーナ1の中心軸Jと同軸で燃料ガスG1をノズル燃焼室16内に噴出する燃料ガス噴出口12aと、燃料ガス噴出口12aをとり囲むように配置され、1次支燃性ガスG21をノズル燃焼室16内に噴出する1次支燃性ガス噴出口13aとが備えられ、ノズル燃焼室16の側壁16bに、2次支燃性ガスG22を、下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら、燃料ガスG1に対して噴出する2次支燃性ガス噴出口14aと、を備えている。これにより、燃料ガスG1と1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22とが急速に混合されるので、ノズル燃焼室16内において、高温で安定した火炎が形成される。
さらに、本実施形態の高炉羽口用バーナ1によれば、2次支燃性ガス噴出口14aよりも下流側に、燃料ガスG1に対して、還元ガスG4を斜交流として噴出する還元ガス噴出口15aが設けられていることにより、高温の火炎と還元ガスG4とが急速に混合され、高温還元ガスG5を生成させる反応を急速に進行させることができる。
従って、高炉内に供給するための高温還元ガスG5を効率よく発生させることができるとともに、高炉内におけるCOの発生量を低減させることができ、ノズル燃焼室16における各ガスの噴出口に閉塞等が生じることなく、安定した運転が可能な高炉羽口用バーナ1を提供することが可能になる。
一般に、高炉に高温還元ガスを吹き込む用途で用いられる高炉羽口用バーナにおいては、量論比よりも低い酸素比で燃焼させる部分燃焼により、CO、Hを主成分とする還元ガスを発生させて、羽口から高炉に吹き込むことが求められる。
また、高炉羽口の前に形成される、所謂レースウェイと呼ばれる燃焼空間(ノズル燃焼室16)の内部で燃焼を完結し、高炉内に供給する高温還元ガス中の残存酸素濃度及びメタン等の残存炭化水素濃度を極力低濃度に抑制することが求められる。高炉に供給される高温還元ガス中の残存酸素は、コークスの消費量を増大させる要因となる。また、高温還元ガス中の残存炭化水素は、高炉内における煤の発生要因となり、高炉内に配置された原料層の閉塞を生じさせたり、圧力損失を増大させたりする原因となる。
本実施形態の高炉羽口用バーナ1においては、上記のようなノズル構造並びに噴出構造を採用することにより、後述の実施例において詳述するように、高温還元ガス中の残存酸素濃度及び残存炭化水素濃度を低濃度に抑制できる。これにより、高炉におけるコークスの消費量を抑制し、COの発生量を低減でき、且つ、高炉内での煤の発生を抑制し、原料層の閉塞や圧力損失が発生するのを防止することが可能になる。
また、通常、高炉羽口用バーナにおいて、高炉羽口の前に上述したようなレースウェイ(燃焼空間)を形成させるためには、羽口から高速の直進流でガスを噴出させる形態とする必要がある。
本実施形態の高炉羽口用バーナ1においては、ノズル燃焼室16の内部において燃料ガスG1及び還元ガスG4を直進流で噴出させることにより、ノズル出口20の排出口25から高炉に向けて、高速の直進流で高温還元ガスG5を吹き込むことが可能になる。
また、本実施形態の高炉羽口用バーナ1によれば、上記のように、ノズル燃焼室16の内部における各ガスの噴出順を、バーナの上流側から下流側に向かって、燃料ガスG1(及び1次支燃性ガスG21)、2次支燃性ガスG22、還元ガスG4の順としている。即ち、まず、ノズル燃焼室16の上流側で、燃料ガスG1と1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22とによる燃焼で高温の雰囲気を作り、ノズル燃焼室16の下流側で還元ガスG4を供給することで、例え、還元ガスG4が燃焼し難いガス種である場合であっても、効率よく燃焼に供することができ、ノズル燃焼室16の内部において燃焼を完結することができるので、高温還元ガスG5に含まれる残存酸素濃度を低減することが可能となる。
<本発明の他の形態>
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は上記のような特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、実施例により、本発明に係る高温ガス発生装置についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本実施例で採用した各条件は、あくまで一例であり、上記同様、本発明を限定するものではない。
<実施例1>
実施例1においては、図1に示すような本発明に係る構成を有する高炉羽口用バーナ1を用い、下記表1に示すような条件で炉内燃焼を行い、火炎中のガス組成を分析することで、高炉羽口用バーナ1の中心軸J付近におけるメタンガス(CH)及び酸素(O)の濃度を測定し、これを評価指標として性能評価を行った。
また、本実施例では、支燃性ガスに用いる酸素の温度を、常温、300℃、600℃の各条件で変更しながら試験を実施した(下記表1中の実施例1-1を参照)。また、本実施例における炉内温度は、約700℃であった。
即ち、本実施例では、高炉羽口用バーナ1として、燃料ガスG1と1次支燃性ガスG21及び2次支燃性ガスG22とを量論比以下の酸素比で燃焼させることで還元ガスG4を加熱して高温還元ガスG5を発生させるノズル燃焼室16と、ノズル燃焼室16に連通し、高温還元ガスG5が吹き込まれるノズル出口20とを備えるものを使用した。また、この高炉羽口用バーナ1は、ノズル燃焼室16の側壁16bがノズル出口20側に向かって漸次拡径し、ノズル出口20の側壁22が排出口25側に向かって漸次縮径し、ノズル燃焼室16の底部16a側に、中心軸Jと同軸で燃料ガスG1をノズル燃焼室16内に噴出する燃料ガス噴出口12aと、燃料ガス噴出口12aをとり囲むように配置され、1次支燃性ガスG21をノズル燃焼室16内に噴出する1次支燃性ガス噴出口13aとを備える。そして、本実施例で用いた高炉羽口用バーナ1は、ノズル燃焼室16の側壁16bに、2次支燃性ガスG22を下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら、燃料ガスG1に対して噴出する2次支燃性ガス噴出口14aを備えるものである。
Figure 2023031404000002
図2のグラフに、本実施例における、支燃性ガスに用いる酸素の温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離と、メタンガス濃度との関係を示す。
また、図3のグラフに、本実施例における、支燃性ガスに用いる酸素の温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離と、酸素濃度との関係を示す。
なお、本試験における、燃料ガスに用いる天然ガスの温度は常温とした。
図2に示すように、常温の酸素を支燃性ガスに用いた場合、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離が200mmの位置においては、残留メタンガス濃度が3%程度になるまで燃焼しており、低濃度となっている。一方、支燃性ガスに用いる酸素の予熱温度を300℃まで上昇させると、残留メタンガス濃度がさらに低下し、さらに、酸素の予熱温度を600℃まで上昇させると、常温の場合に比べてメタンガス濃度が半分程度まで低減されている。
また、図3に示すように、残留酸素濃度については、全ての酸素温度条件において、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離が150mmの位置で0.1%以下と、非常に低濃度となっている。
上記の結果より、本発明に係る高炉羽口用バーナ1で規定するノズル構造を採用することにより、高炉羽口用バーナ1の排出口25から比較的近い位置、具体的には、概ね200mm程度の距離で燃焼がほぼ完結することが確認できた。
従って、燃焼が完結する距離を考慮した場合、支燃性ガスに用いる酸素を300℃程度まで予熱することで、燃焼面では十分な効果があることが確認できた。但し、酸素をより高温に予熱すると、羽口から高炉に吹き込む高温還元ガス中のCO,H濃度を増加させたり(低酸素比燃焼が可能になる)、高温還元ガスの顕熱量を大きくしたりすることが可能になるので、高炉におけるコークスの消費量を低減する観点から非常に有効である。
次に、図4のグラフに、本実施例における、燃料ガスに用いる天然ガスの温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離と、メタンガス濃度との関係を示す(表1中の実施例1-2も参照)。
また、図5のグラフに、燃料ガスに用いる天然ガスの温度を変更した場合の、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離と、酸素濃度との関係を示す。
なお、本試験における、支燃性ガスに用いる酸素の温度は600℃とした。
図4及び図5に示すように、燃料ガスに用いる天然ガスの温度を高くした場合、酸素の温度を高くした場合と同様に、高炉羽口用バーナ1の中心軸J上における残存メタンガス濃度、並びに、残存酸素濃度が低下することが確認できた。
また、本試験では、還元ガスとして天然ガスを使用したため、天然ガス予熱装置及びバーナの内部においてクラッキングによるカーボンが発生しない温度として、400℃の温度まで確認した。この結果、還元ガスとして炭化水素ガスを含まないガス(例えば、CO又はH等)を用いる場合には、還元ガスをより高温に予熱して高炉羽口用バーナ1に供給することができるので、羽口から高炉に吹き込む高温還元ガスの熱量をさらに増加させることができ、高炉におけるコークスの消費量を低減する観点から非常に有効である。
<実施例2>
実施例2においても、図1に示すような本発明に係る構成を有する高炉羽口用バーナ1を用い、下記表2に示すような条件で炉内燃焼を行い、火炎中のガス組成を分析することで、高炉羽口用バーナ1の中心軸J付近におけるメタンガス(CH)の濃度を測定し、これを評価指標として性能評価を行った。
また、本実施例では、燃料ガスG1と還元ガスG4との流量比率を、8/2~1/9の範囲で変化させて、火炎中のガス組成を分析した。
また、本実施例では、燃料ガスG1及び還元ガスG4として天然ガスを用いた。
本実施例では、上記以外の点については、実施例1と同様の手順並びに条件で試験を行った。
Figure 2023031404000003
図6のグラフに、還元ガスG4の流量を、燃料ガスG1の流量と還元ガスG4の流量との合算流量で除した値と、排出口25から排出される高温還元ガスG5に含まれる残存メタンガス濃度との関係を示す。なお、図6のグラフにおいては、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離が200mmの位置における、残存メタンガス濃度を示している。
図6示すように、燃料ガスG1と還元ガスG4との流量比率が7/3~2/8の範囲から外れた場合に、残存メタンガス濃度が急激に大きくなることが確認できた。
また、図6のグラフにおいてはデータの図示を省略しているが、本実施例においては、高炉羽口用バーナ1の排出口25からの距離が200mmの位置における、残存酸素濃度が0.1%以下に抑制されていることを確認することができた。
本発明の高炉羽口用バーナは、高炉内に供給するための高温還元ガスを効率よく発生させることができるとともに、高炉内におけるCOの発生量を低減させることができ、ノズル燃焼室における各ガスの噴出口に閉塞等が生じることなく、安定した運転が可能なものである。従って、本発明の高炉羽口用バーナは、例えば、一般的な鉄鋼プロセスで用いられる高炉に高温還元ガスを吹き込む用途において非常に好適である。
1…高炉羽口用バーナ
1a…先端
12…燃料ガス供給路
12a…燃料ガス噴出口
13…1次支燃性ガス供給路
13a…1次支燃性ガス噴出口
14…2次支燃性ガス供給路
14a…2次支燃性ガス噴出口
15…還元ガス供給路
15a…還元ガス噴出口
16…ノズル燃焼室
16a…底部
16b…側壁
16c…保炎溝
16d…端部
17…冷却水流路
20…ノズル出口
22…側壁
25…排出口
J…中心軸
W…冷却水
G1…燃料ガス
G21…1次支燃性ガス(支燃性ガス)
G22…2次支燃性ガス(支燃性ガス)
G4…還元ガス
G5…高温還元ガス

Claims (11)

  1. 燃料ガスと支燃性ガスとを量論比以下の酸素比で燃焼させることにより、還元ガスを加熱して高温還元ガスを発生させるノズル燃焼室と、該ノズル燃焼室に連通するように配置され、前記高温還元ガスが吹き込まれるノズル出口とを備える高炉羽口用バーナであって、
    前記ノズル出口は、前記高温還元ガスの噴出方向に沿った側壁における少なくとも一部が、排出口側に向かうに従って漸次縮径する断面円錐台状とされており、
    前記ノズル燃焼室は、底部側に、前記高炉羽口用バーナの中心軸と同軸で配置され、前記燃料ガスを前記ノズル燃焼室内に向けて噴出する燃料ガス噴出口と、平面視で前記燃料ガス噴出口を前記高炉羽口用バーナの径方向で外側からとり囲むように配置され、前記支燃性ガスとして1次支燃性ガスを前記ノズル燃焼室内に向けて噴出する1次支燃性ガス噴出口とを有しており、
    さらに、前記ノズル燃焼室は、前記側壁に、前記支燃性ガスとして2次支燃性ガスを、前記高温還元ガスの噴出方向における下流側に向かって傾斜するように旋回流を形成しながら、前記燃料ガスに対して噴出する2次支燃性ガス噴出口と、前記2次支燃性ガス噴出口よりも前記下流側に設けられ、前記高炉羽口用バーナの中心軸に向けて、前記還元ガスを斜交流として噴出する還元ガス噴出口を有していることを特徴とする高炉羽口用バーナ。
  2. 前記ノズル燃焼室の前記側壁における前記還元ガス噴出口の近傍に、前記側壁の周方向で環状に設けられる保炎溝を有することを特徴とする請求項1に記載の高炉羽口用バーナ。
  3. 前記燃料ガス噴出口から噴出される前記燃料ガスと、前記還元ガス噴出口から噴出される前記還元ガスとの流量比[燃料ガス:還元ガス]が[7:3~2:8]の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高炉羽口用バーナ。
  4. 前記燃料ガス及び前記還元ガスが同一組成のガスであることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の高炉羽口用バーナ。
  5. 前記還元ガスが、炭化水素ガスを含まない組成のガスであることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の高炉羽口用バーナ。
  6. 前記燃料ガスが、300~900℃の温度に予熱されたガスであることを特徴とする請求項1~請求項5の何れか一項に記載の高炉羽口用バーナ。
  7. 前記還元ガスが、300~900℃の温度に予熱されたガスであることを特徴とする請求項1~請求項6の何れか一項に記載の高炉羽口用バーナ。
  8. 前記支燃性ガスが、400~1200℃の温度に予熱されたガスであることを特徴とする請求項1~請求項7の何れか一項に記載の高炉羽口用バーナ。
  9. 前記支燃性ガス中の酸素濃度が90体積%以上であることを特徴とする請求項1~請求項8の何れか一項に記載の高炉羽口用バーナ。
  10. 前記燃料ガス噴出口に向けて前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、
    前記燃料ガス供給路を前記高炉羽口用バーナの径方向で外側から取り囲むように配置され、前記1次支燃性ガス噴出口に向けて前記1次支燃性ガスを供給する1次支燃性ガス供給路と、
    前記1次支燃性ガス供給路を前記径方向で外側から取り囲むように配置され、前記2次支燃性ガス噴出口に向けて前記2次支燃性ガスを供給する2次支燃性ガス供給路と、
    前記2次支燃性ガス供給路を前記径方向で外側から取り囲むように配置され、前記還元ガス噴出口に向けて前記還元ガスを供給する還元ガス供給路と、
    前記還元ガス供給路を前記径方向で外側から取り囲むように配置され、前記高炉羽口用バーナを冷却するための冷却水が流通する冷却水流路と、を備え、
    前記径方向における、前記燃料ガス供給路と前記1次支燃性ガス供給路との間、前記1次支燃性ガス供給路と前記2次支燃性ガス供給路との間、前記2次支燃性ガス供給路と前記還元ガス供給路との間、及び、前記還元ガス供給路と前記冷却水流路との間の少なくとも何れかの位置に断熱材が配置されていることを特徴とする請求項1~請求項9の何れか一項に記載の高炉羽口用バーナ。
  11. 前記断熱材がパーライトからなることを特徴とする請求項10に記載の高炉羽口用バーナ。
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