ところで、本発明者は、上記従来の負帰還光増幅効果を利用して、光学部品を保持する構造を不要とし且つ装置を小型、安価に構成できる3端子型の光増幅装置を着想した。この光増幅装置は、未公知であるが、(a)第1波長の入力信号光が入力されると、該入力信号光の強度に応じて該第1波長の周囲光の光強度増幅特性を変調し、該入力信号光を増幅した光と該入力信号光の強度に対して強度反転した該第1波長を含まない第1周囲光とを出力する第1半導体光増幅器と、(b)第2波長の第2入力信号光が入力されると、該第2入力信号光の強度に応じて該第2波長以外の光の光強度増幅特性が変調され、該第2入力信号光を増幅した出力光と該第2入力信号光の強度に対して強度反転した該第2波長を含まない第2周囲光とを出力する第2半導体光増幅器と、(c)前記第1半導体光増幅器から出力された光のうち前記第1周囲光を選択して前記第2半導体光増幅器へ入力させる第1波長選択素子と、(d)前記第2半導体光増幅器から出力された光のうち前記第2周囲光を反射し、該第2周囲光を該第2半導体光増幅器へ再入力して負帰還増幅させる第2波長選択素子とを、含むものである。
しかしながら、上記光信号増幅装置によれば、第1半導体光増幅器から出力された第1周囲光を反射する第1ブラッグ反射格子は前記第1波長の両側の反射波長帯を有するとともに、負帰還増幅のために第2半導体光増幅器から出力された第2周囲光を再入力させるために反射する第2ブラッグ反射格子も前記第1波長帯の両側の反射波長帯を有することから、第1ブラッグ反射格子の反射波長帯と第2ブラッグ反射格子の反射波長帯とが相互に重複する部分を有することになるので、光共振による発振が発生して光信号増幅動作が不安定となるおそれがあった。
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、光共振による発振が発生せず、光信号増幅動作が安定した光信号増幅装置を提供することにある。
本発明者は以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、第1半導体光増幅器から出力された第1周囲光を反射する第1ブラッグ反射格子の反射波長帯と、負帰還増幅のために第2半導体光増幅器から出力された第2周囲光を再入力させるために反射する第2ブラッグ反射格子の反射波長帯とが相互に重ならないようにすると、負帰還増幅を利用した光信号増幅作用が安定して得られるという点を見いだした。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
すなわち、前記目的を達成するための請求項1に係る発明は、(a)第1波長の入力信号光が入力されると、該入力信号光の強度に応じて該第1波長の周囲光の光強度増幅特性を変調し、該入力信号光を増幅した光と該入力信号光の強度に対して強度反転した該第1波長を含まない第1周囲光とを出力する第1半導体光増幅器と、(b)第2波長の第2入力信号光が入力されると、該第2入力信号光の強度に応じて該第2波長以外の光の光強度増幅特性が変調され、該第2入力信号光を増幅した出力光と該第2入力信号光の強度に対して強度反転した該第2波長を含まない第2周囲光とを出力する第2半導体光増幅器と、(c)前記第1半導体光増幅器から出力された光のうち前記第1周囲光を選択して前記第2半導体光増幅器へ入力させる第1波長選択素子と、(d)前記第2半導体光増幅器から出力された光のうち前記第2周囲光を反射し、該第2周囲光を該第2半導体光増幅器へ再入力して負帰還増幅させる第2波長選択素子とを、含み、(e)前記第1周囲光とは異なる波長の制御光が前記第2入力信号光として前記第2半導体光増幅器へ入力させられることにより該制御光と同じ波長の前記出力光を出力する光信号増幅装置であって、(f)前記第1波長選択素子および第2波長選択素子は、相互に重複しない反射波長帯を有することを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、(g)共通ファイバ部と、該共通ファイバ部の一端から分岐された一対の第1分岐ファイバ部および第2分岐ファイバ部とを備え、該第1分岐ファイバ部に前記第1半導体光増幅器から出力される光が入力され、該共通ファイバ部に前記制御光が入力され、該第2分岐ファイバ部から前記第2半導体光増幅器へ入力される第1光カプラと、(h)前記第2半導体光増幅器から出力される光を導く出力用光ファイバとを、含み、(i)前記第1波長選択素子は、前記共通ファイバ部に設けられ、前記第1半導体光増幅器から出力された第1周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの一方の波長帯に属する第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第1部分周囲光を前記第2半導体光増幅器へ入力させる第1ブラッグ反射格子から構成されたものであり、(j)前記第2波長選択素子は、前記出力用光ファイバに設けられ、前記第2半導体光増幅器から出力された第2周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの他方の波長帯に属する第2部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第2部分周囲光を該第2半導体光増幅器へ再入力させる第2ブラッグ反射格子から構成されたものであることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、(k)前記入力信号光を前記第1半導体光増幅器へ導く第1入力用光ファイバと、(l)該第1入力用光ファイバに設けられ、該第1半導体光増幅器から出力された前記第1周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの一方の波長帯に属する前記第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第1部分周囲光を該第1半導体光増幅器へ再入力して負帰還増幅させる第3ブラッグ反射格子とを、含むことを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、(m)前記第1波長の入力信号光が入力されると、該入力信号光の強度に応じて該第1波長の周囲光の光強度増幅特性を変調し、該入力信号光を増幅した光と該入力信号光の強度に対して強度反転した該第1波長の周囲の第3周囲光とを前記第1半導体光増幅器へ出力する第3半導体光増幅器を、含むことを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、(n)前記第3半導体光増幅器からの前記入力信号光の増幅光である前記第1波長の出力光を反射するための第4ブラッグ反射格子が設けられた共通ファイバ部と、該共通ファイバ部の一端から分岐する一対の前記第1分岐ファイバ部および第2分岐ファイバ部とを有し、該第1分岐ファイバ部に該第3半導体光増幅器からの該第1波長の出力光が入力され、該第4ブラッグ反射格子により反射された該第1波長の出力光が該第2分岐ファイバ部を介して前記第1半導体光増幅器に入力させる第2光カプラを、含むことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、請求項4または5に係る発明において、(o)前記入力信号光を前記第3半導体光増幅器へ導く第2入力用光ファイバと、(p)該第2入力用光ファイバに設けられ、前記第3半導体光増幅器から出力された前記第3周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの一方の波長帯に属する第5部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第5部分周囲光を該第3半導体光増幅器へ再入力して負帰還増幅させる第5ブラッグ反射格子とを、含むことを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、請求項5に係る発明において、(q)前記第2光カプラの第2分岐部の第1半導体光増幅器側の端部に、該第1半導体光増幅器からの第1周囲光のうち前記第1波長を挟む一対の波長帯の一方の波長帯に属する第1部分周囲光を該第1半導体光増幅器へ反射する反射波長帯を有する第6ブラッグ反射格子を備えることを特徴とする。
また、請求項8に係る発明は、請求項2に係る発明において、(m)前記第1波長の入力信号光が入力されると、該入力信号光の強度に応じて該第1波長の周囲光の光強度増幅特性を変調し、該入力信号光を増幅した光と該入力信号光の強度に対して強度反転した該第1波長の周囲の第3周囲光とを前記第1半導体光増幅器へ出力する第3半導体光増幅器と、(n)前記第3半導体光増幅器からの前記入力信号光の増幅光である前記第1波長の出力光を反射するための第4ブラッグ反射格子が設けられた共通ファイバ部と、該共通ファイバ部の一端から分岐する一対の前記第1分岐ファイバ部および第2分岐ファイバ部とを有し、該第1分岐ファイバ部に該第3半導体光増幅器からの該第1波長の出力光が入力され、該第4ブラッグ反射格子により反射された該第1波長の出力光が該第2分岐ファイバ部を介して前記第1半導体光増幅器に入力させる第2光カプラとを、含み、(r)前記第1ブラッグ反射格子は、前記第2光カプラの共通ファイバ部の他端部から入力され且つ前記第1半導体光増幅器により増幅された前記第1波長とは異なる第3波長のバイアス光を、前記第1半導体光増幅器から出力された第1周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの他方の波長帯に属する第1部分周囲光と共に、前記第2半導体光増幅器へ反射するものであることを特徴とする。
また、請求項9に係る発明は、請求項2の発明において、(s)前記第1ブラッグ反射格子は、前記第2ブラッグ反射格子の反射波長帯よりも広い反射波長帯を有するものであることを特徴とする。
また、請求項10に係る発明は、請求項2の発明において、(t)前記第1光カプラを構成する光ファイバおよび前記出力用光ファイバは、偏波面無依存性光ファイバから構成されていることを特徴とする。
また、請求項11に係る発明は、請求項5の発明において、(u)前記第2光カプラを構成する光ファイバは、偏波面無依存性光ファイバから構成されていることを特徴とする。
また、請求項12に係る発明は、請求項1乃至11のいずれか1の発明において、(v)前記制御光の波長は前記第1波長であることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の光信号増幅装置によれば、(a)第1波長の入力信号光が入力されると、該入力信号光の強度に応じて該第1波長の周囲光の光強度増幅特性を変調し、該入力信号光を増幅した光と該入力信号光の強度に対して強度反転した該第1波長を含まない第1周囲光とを出力する第1半導体光増幅器と、(b)第2波長の第2入力信号光が入力されると、該第2入力信号光の強度に応じて該第2波長以外の光の光強度増幅特性が変調され、該第2入力信号光を増幅した出力光と該第2入力信号光の強度に対して強度反転した該第2波長を含まない第2周囲光とを出力する第2半導体光増幅器と、(c)前記第1半導体光増幅器から出力された光のうち前記第1周囲光を選択して前記第2半導体光増幅器へ入力させる第1波長選択素子と、(d)前記第2半導体光増幅器から出力された光のうち前記第2周囲光を反射し、該第2周囲光を該第2半導体光増幅器へ再入力して負帰還増幅させる第2波長選択素子とを、含み、(e)前記第1周囲光とは異なる波長の制御光が前記第2入力信号光として前記第2半導体光増幅器へ入力させられることにより該制御光と同じ波長の前記出力光を出力する光信号増幅装置において、(f)前記第1波長選択素子および第2波長選択素子は、相互に重複しない反射波長帯を有することから、それらの間の発振或いは光共振が抑制されるので、安定した光信号増幅動作が得られる。
また、請求項2に係る発明によれば、(g)共通ファイバ部と、該共通ファイバ部の一端から分岐された一対の第1分岐ファイバ部および第2分岐ファイバ部とを備え、該第1分岐ファイバ部に前記第1半導体光増幅器から出力される光が入力され、該共通ファイバ部に前記制御光が入力され、該第2分岐ファイバ部から前記第2半導体光増幅器へ入力される第1光カプラと、(h)前記第2半導体光増幅器から出力される光を導く出力用光ファイバとを、含み、(i)前記第1波長選択素子は、前記共通ファイバ部に設けられ、前記第1半導体光増幅器から出力された第1周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの一方の波長帯に属する第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第1部分周囲光を前記第2半導体光増幅器へ入力させる第1ブラッグ反射格子から構成されたものであり、(j)前記第2波長選択素子は、前記出力用光ファイバに設けられ、前記第2半導体光増幅器から出力された第2周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの他方の波長帯に属する第2部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第2部分周囲光を該第2半導体光増幅器へ再入力させる第2ブラッグ反射格子から構成されたものであることから、第1ブラッグ反射格子と第2ブラッグ反射格子との間の発振或いは光共振が抑制されるので、安定した光信号増幅動作が得られる。また、第1ブラッグ反射格子は制御光入力用光ファイバに設けられ、第2ブラッグ反射格子は出力用光ファイバに設けられていることから、光カプラの分岐部に設けられる場合に比較して容易且つ安定に形成されるので、安定した精度の高い反射波長帯が得られる。
また、請求項3に係る発明によれば、(k)前記入力信号光を前記第1半導体光増幅器へ導く第1入力用光ファイバと、(l)該第1入力用光ファイバに設けられ、該第1半導体光増幅器から出力された前記第1周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの一方の波長帯に属する前記第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第1部分周囲光を該第1半導体光増幅器へ再入力して負帰還増幅させる第3ブラッグ反射格子とを、含むことから、第1半導体光増幅器を負帰還増幅させることによりS/N比の高い安定した入力信号光の光信号増幅が得られる。
また、請求項4に係る発明によれば、 (m)前記第1波長の入力信号光が入力されると、該入力信号光の強度に応じて該第1波長の周囲光の光強度増幅特性を変調し、該入力信号光を増幅した光と該入力信号光の強度に対して強度反転した該第1波長の周囲の第3周囲光とを前記第1半導体光増幅器へ出力する第3半導体光増幅器を、含むことから、第1半導体光増幅器へ入力される入力信号光強度が高められ、比較的小さな強度の入力信号光によって、負帰還増幅を伴う光信号増幅が得られる。
また、請求項5に係る発明によれば、 (n)前記第3半導体光増幅器からの前記入力信号光の増幅光である前記第1波長の出力光を反射するための第4ブラッグ反射格子が設けられた共通ファイバ部と、該共通ファイバ部の一端から分岐する一対の前記第1分岐ファイバ部および第2分岐ファイバ部とを有し、該第1分岐ファイバ部に該第3半導体光増幅器からの該第1波長の出力光が入力され、該第4ブラッグ反射格子により反射された該第1波長の出力光が該第2分岐ファイバ部を介して前記第1半導体光増幅器に入力させる第2光カプラを、含むことから、第1半導体光増幅器へ入力される入力信号光強度が高められ、比較的小さな強度の入力信号光によって、負帰還増幅を伴う光信号増幅が得られる。また、第4ブラッグ反射格子は共通ファイバ部に設けられることから、光カプラの分岐部に設けられる場合に比較して容易且つ安定に形成されるので、安定した精度の高い反射波長帯が得られる。
また、請求項6に係る発明によれば、 (o)前記入力信号光を前記第3半導体光増幅器へ導く第2入力用光ファイバと、(p)該第2入力用光ファイバに設けられ、前記第3半導体光増幅器から出力された前記第3周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの一方の波長帯に属する第5部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、該第5部分周囲光を該第3半導体光増幅器へ再入力して負帰還増幅させる第5ブラッグ反射格子とを、含むことから、第3半導体光増幅器の負帰還増幅作用によって安定した入力信号光の増幅が得られる。
また、請求項7に係る発明によれば、(q)前記第2光カプラの第2分岐部の第1半導体光増幅器側の端部に、該第1半導体光増幅器からの第1周囲光のうち前記第1波長を挟む一対の波長帯の一方の波長帯に属する第1部分周囲光を該第1半導体光増幅器へ反射する反射波長帯を有する第6ブラッグ反射格子を備えることから、第1半導体光増幅器に負帰還増幅を発生させることができる。
また、請求項8に係る発明によれば、(r)前記第1ブラッグ反射格子は、前記第2光カプラの共通ファイバ部の他端部から入力され且つ前記第1半導体光増幅器により増幅された前記第1波長とは異なる第3波長のバイアス光を、その第1半導体光増幅器から出力された第1周囲光のうち前記第1波長を挟む波長帯のうちの他方の波長帯に属する第1部分周囲光と共に、前記第2半導体光増幅器へ反射するものであることから、相互利得変調されたバイアス光と制御光とが重畳されて第2半導体光増幅器へ供給されるので、一層安定した高い強度の光信号増幅出力が得られる。
また、請求項9に係る発明によれば、(s)前記第1ブラッグ反射格子は、前記第2ブラッグ反射格子の反射波長帯よりも広い反射波長帯を有するものであることから、第1半導体光増幅器14から出力される周囲光のうち第2半導体光増幅器16へ供給される割合が高められ、反転した入力信号が確実に第2半導体光増幅器16に伝達される利点がある。
また、請求項10に係る発明によれば、(t)前記第1光カプラを構成する光ファイバおよび前記出力用光ファイバは、偏波面無依存性光ファイバから構成されていることから、振動や温度に対して安定な光信号増幅出力が得られる。
また、請求項11に係る発明によれば、(u)前記第2光カプラを構成する光ファイバは、偏波面無依存性光ファイバから構成されていることから、振動や温度に対して安定な光信号増幅出力が得られる。
また、請求項12に係る発明によれば、(v)前記制御光の波長は前記第1波長であることから、第1波長の出力光を得ることができる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。尚、以下の説明に用いる図面において各部の寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例の光信号増幅装置10の構成を示す図である。図1において、光信号増幅装置10は、第1入力用光ファイバ12、第1半導体光増幅器14、第2半導体光増幅器16、第1光カプラ18、第1ブラッグ反射格子20、出力用光ファイバ22、第2ブラッグ反射格子24等を備え、第1波長λ1の入力信号光Iinを制御光Ic を用いて変調した出力光Iout を出力する。図4は、第1波長λ1 が1551nmである場合の出力光Iout のパワー( 強度) を例示するスペクトルである。
上記第1半導体光増幅器14は、たとえば図2に示すチップ状の素子から構成されており、化合物半導体たとえばインジウム燐InPから構成される半導体基板14a と、その上にエピタキシャル成長させられたIII-V 族混晶半導体から成り、ホトリソグラフィーにより所定幅に形成された相対的に屈折率の高い多層膜から成る光導波路14b と、その光導波路14b 内の多層膜の一部を構成するpn接合であって、バルク、多重量子井戸、歪み超格子、量子ドットのいずれかから構成された活性層14c と、光導波路14b の上面に固着された上部電極14e と、半導体基板14a の下面に固着された下部電極14f とを、備えている。上部電極14e と下部電極14f との間に注入電流が流される状態では、所定波長λ1の入力信号光Iinが入射されて上記光導波路14b 内を伝播させられる過程で活性層14c を通過させられるとき、誘導放射作用による光増幅を受け、出力される。同時に、所謂相互利得変調作用により、波長λ1を中心とするその波長λ1以外の周囲波長を有してその入力信号光L1の強度変調に反比例して強度が増減( 強度反転) する第1周囲光( 自然発生光) が発生させられて、これも出力される。
上記第2半導体光増幅器16は、図2に示す第1半導体光増幅器14と同様に、化合物半導体たとえばインジウム燐(InP)から構成される半導体基板16a と、その上にエピタキシャル成長させられたIII-V 族混晶半導体から成り、ホトリソグラフィーにより所定幅に形成された相対的に屈折率の高い多層膜から成る光導波路16b と、その光導波路16b 内の多層膜の一部を構成するpn接合であって、バルク、多重量子井戸、歪み超格子、量子ドットのいずれかから構成された活性層16c と、光導波路16b の上面に固着された上部電極16e と、半導体基板16a の下面に固着された下部電極16f とを、備えている。上部電極16e と下部電極16f との間に注入電流が流される状態では、所定波長λ1の制御光Ic および上記第1周囲光が入射されて上記光導波路16b 内を伝播させられる過程で活性層16c を通過させられるとき、誘導放射作用による光増幅を受け、所謂相互利得変調作用により、入力信号光Iinが制御光Ic の変調を受けた波長λ1の出力光Iout と、第1波長λ1を中心とするその第1波長λ1以外の周囲波長を有してその出力光Iout の強度変調に反比例して強度が増減( 強度反転) する第2周囲光( 自然発生光) とが発生させられて、これも出力される。
第1入力用光ファイバ12は、光の偏波面を保存して光を伝送する偏波無依存性を有する良く知られたクラッド型、セルホック型等の光ファイバであり、図示しない信号源から出力された第1波長λ1の入力信号光Iinを導いて第1半導体光増幅器14へ入射させる。この第1入力用光ファイバ12の第1半導体光増幅器14側の端面には先球レンズ12z が形成されており、第1半導体光増幅器14の入力側と光学的に結合されている。
第1光カプラ18は、偏波無依存性の光ファイバから構成されており、共通ファイバ部18c と、その共通ファイバ部18c の一端から分岐する一対の第1半導体光増幅器14へ向かう分岐ファイバ部18a と第2半導体光増幅器16へ向かう分岐ファイバ部18b とを有し、共通ファイバ部18c からの第1波長λ1 の制御光Ic や第1ブラッグ反射格子20により反射された第1周囲光をたとえば1対5の分岐比で、第2半導体光増幅器16側へ多く分配する。この第1光カプラ18は、たとえば一対の光ファイバの端部が溶融延伸されることにより構成される。上記一対の分岐ファイバ部18a および分岐ファイバ部18b の先端面にはそれぞれ先球レンズ18azおよび18bzが形成されており、第1半導体光増幅器14の出力側および第2半導体光増幅器16の入力側と光学的に結合されている。
第1ブラッグ反射格子20は、上記第1光カプラ18の分岐点から所定距離離れた共通ファイバ部18c またはそれに結合された光ファイバに設けられている。この第1ブラッグ反射格子20は、たとえば図3に示すように、たとえば、ゲルマニウムGeを添加した石英SiO2から成る略円柱形状のコア30と、そのコア30よりも屈折率が低く且つそれの外周面を覆う略円筒形状の石英SiO2であるクラッド32とによって構成された光ファイバ( 共通ファイバ部18c ) において、コア20に対して位相マスクなどを利用した紫外線照射による光誘起屈折率変化による、代表的には10000層乃至20000層程度の周期的な屈折率変化が、そのコア20の伝搬方向に1群または複数群で光伝播方向に形成された光ファイバグレーティングから構成されている。上記屈折率変化は等周期とされる場合もあるが、チャープ状に周期が順次変化させられるものであってもよい。この第1ブラッグ反射格子20は、その屈折率の周期と実効屈折率に対応した波長の光を選択的に反射する特性を有し、たとえば第1波長λ1 が1551nmであるとすると、その1551nmを中心とする第1波長λ1を含まない前記第1周囲光のうちの第1波長λ1に対して一方の側を反射し且つ他方の側を透過させるために、その第1周囲光の波長帯のうち、第1波長λ1に対して片側の波長帯、たとえば第1波長λ1よりも短波長側の光を反射する、少なくとも5nm以上たとえば8.5nm程度の反射波長帯域幅を有する反射特性を有しており、波長選択性フィルタとして機能している。図5の実線は、上記ブラッグ反射格子20の反射波長帯域を例示する図である。第1ブラッグ反射格子20の反射波長帯域幅は広いほど、反転した入力信号を第2半導体光増幅器16に確実に伝達する効果が得られる。
出力用光ファイバ22は、偏波無依存性光ファイバから構成されており、第2半導体光増幅器16から出力された出力光Iout を受けて図示しない所定位置へ導く。この出力用光ファイバ22の第2半導体光増幅器16側の端面にも先球レンズ22z が形成されており、第2半導体光増幅器16の出力側と光学的に結合されている。
第2ブラッグ反射格子24は、上記出力用光ファイバ22の第2半導体光増幅器16側の端部に設けられている。この第2ブラッグ反射格子24は、第1ブラッグ反射格子20と同様に、光伝播方向において多数層の屈折率変化を設けることにより形成された光ファイバグレーティングから構成されている。この第2ブラッグ反射格子24は、第2半導体光増幅器16から出力された、第1波長λ1を中心とするその第1波長λ1以外の周囲波長を有する第2周囲光を第2半導体光増幅器16へ再入射させることにより、その第2半導体光増幅器16において負帰還増幅を発生させて変調度およびS/N比を高めるためのものである。この第2ブラッグ反射格子24は、上記第2周囲光を反射するとともに、第1ブラッグ反射格子20との間で共振( 発振) を発生することを防止するために、その第1ブラッグ反射格子20の反射波長帯とは周波数帯が重ならないように相互に相違する反射波長帯を備えている。たとえば、図5の実線に示すように第1ブラッグ反射格子20の反射波長帯が第1波長λ1 に対して短波長側の光を反射する反射波長帯を有する場合には、第2ブラッグ反射格子24は、図5の破線に示すように、第1波長λ1 に対して長波長側の光を反射する反射波長帯を有する。この第2ブラッグ反射格子24の反射波長帯域は、5nm程度が好適である。広すぎると負帰還増幅効果が大きくなって出力光Iout の強度が低下し、狭すぎると負帰還増幅効果が小さくなって変調度が十分に得られない。
本発明者が行った上記光信号増幅装置10の光信号増幅作動の実験結果を、図6、図7、図8を用いて説明する。図6に示す第1波長λ1の入力信号光Iinが第1入力用光ファイバ12を経て第1半導体光増幅器14へ入力されると、この第1半導体光増幅器14では、その第1波長λ1の入力信号光Iin が増幅されるとともに、それに強度反転した第1波長λ1 以外の第1周囲光が発生させられて、それぞれが合波されて出力される。第1光カプラ18の共通ファイバ部18c に設けられた第1ブラッグ反射格子20において、その出力された光のうちの第1波長λ1の増幅光は通過するが第1周囲光のうちの第1波長λ1よりも短波長側の部分周囲光が反射される。このため、その短波長側の部分周囲光は、図7に示す第1光カプラ18の共通ファイバ部18c に入力された第1波長λ1 の制御光Ic と共に、第2半導体光増幅器16に入射される。
この第2半導体光増幅器16においては、上記第1波長λ1の制御光Ic および第1波長λ1以外の光である短波長側の部分周囲光が入力されると、第1波長λ1の制御光Ic は増幅されつつ相互利得変調による上記部分周囲光の変調を受けた第1波長λ1の出力光Iout が出力されると同時に、自然発生光すなわち出力光Iout と強度反転した第1波長λ1以外の第2周囲光も出力される。図8は、上記出力光Iout を示している。図8において、出力光Iout の破線、1点鎖線、2点鎖線、3点鎖線に示す波形は、制御光Ic の破線、1点鎖線、2点鎖線、3点鎖線に示す波形に対応している。このことから、入力信号光Iinは制御光Ic により変調されて出力光Iout が出力用光ファイバ22を介して出力されるので、光信号増幅装置10は、光のみを用いてトランジスタと同様の3端子制御特性を持つこと、すなわち光3端子制御装置として機能している。
上記出力用光ファイバ22の第2半導体光増幅器16側に設けられた第2ブラッグ反射格子24は、図5の破線に示す反射波長帯域を有することから、上記第1波長λ1の出力光Iout を通過させるが、上記第2周囲光のうちの第1波長λ1よりも長波長側の部分第2周囲光を反射して第2半導体光増幅器16へ再入力させ、第2半導体光増幅器16に負帰還増幅作動させる。この負帰還増幅作動により、上記出力光Iout の変調度が高められるとともに、低雑音化されてS/N比が高められる。図8において、出力光Iout の下ピーク値すなわち最小極値( ローカルミニマム) の強度が零値( 基線) に近い値を示していることは、そのような効果を示している。
上述のように、本実施例において、第1波長λ1 の入力信号光Iinが入力されると、その入力信号光Iinの強度に応じてその第1波長λ1 の周囲光の光強度増幅特性を変調し、その入力信号光Iinを増幅した光とその入力信号光Iinの強度に対して強度反転したその第1波長λ1 を含まない第1周囲光とを出力する第1半導体光増幅器14と、その第1波長λ1 を含まない第1周囲光が入力されると、その第1周囲光の強度に応じて該第1周囲光の波長以外の光の光強度増幅特性が変調され、その第1周囲光が増幅され且つ制御光Ic の波長λ1 に波長変換された出力光Iout と該出力光Iout の強度に対して強度反転した該制御光Ic の波長λ1 を含まない第2周囲光とを出力する第2半導体光増幅器16と、制御光入力用光ファイバ( 共通ファイバ部18c ) を通して入力された第1波長λ1 の制御光Ic を分岐して、第1半導体光増幅器14および第2半導体光増幅器16へそれぞれ入力させる第1光カプラ18と、第1半導体光増幅器14から出力された第1周囲光を反射し、その第1周囲光を第2半導体光増幅器16へ入力させる第1ブラッグ反射格子20と、前記第2半導体光増幅器16から出力される光を導く出力用光ファイバ22と、第2半導体光増幅器16から出力された第2周囲光を反射し、その第2周囲光を第2半導体光増幅器16へ再入力して負帰還増幅させる第2ブラッグ反射格子24とを、含み、第2ブラッグ反射格子24を透過した第1波長λ1 の出力光Iout を出力する光信号増幅装置10によれば、第1ブラッグ反射格子20および第2ブラッグ反射格子24は、実質的に相互に重複しない反射波長帯を有することから、それらの間の発振或いは光共振が抑制されるので、安定した光信号増幅動作が得られる。
また、本実施例によれば、第1ブラッグ反射格子20は、制御光入力用光ファイバ( 共通ファイバ部18c ) に設けられ、第1半導体光増幅器14から出力された第1周囲光のうち第1波長λ1 を挟む一対の波長帯のうちの一方の波長帯に属する第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、その第1部分周囲光を第2半導体光増幅器16へ入力させるものであり、第2ブラッグ反射格子24は、出力用光ファイバ22に設けられ、第2半導体光増幅器16から出力された第2周囲光のうち第1波長λ1 を挟む波長帯のうちの他方の波長帯に属する第2部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、その第2部分周囲光を第2半導体光増幅器16へ再入力させるものであることから、第1ブラッグ反射格子20と第2ブラッグ反射格子24との間の発振或いは光共振が抑制されるので、安定した光信号増幅動作が得られる。また、第1ブラッグ反射格子20は制御光入力用光ファイバ( 共通ファイバ部18c ) に設けられ、第2ブラッグ反射格子16は出力用光ファイバ22に設けられていることから、光カプラ18の分岐部に設けられる場合に比較して容易且つ安定に形成されるので、安定した精度の高い反射波長帯が得られる。
また、本実施例によれば、第1ブラッグ反射格子20は、第2ブラッグ反射格子24の反射波長帯よりも広い反射波長帯を有するものであることから、第1半導体光増幅器14から出力される周囲光のうち第2半導体光増幅器16へ供給される割合が高められ、反転した入力信号が確実に第2半導体光増幅器16に伝達される利点がある。
また、本実施例によれば、入力信号光および制御光入力用光ファイバ( 共通ファイバ部18c ) および出力用光ファイバ22は、偏波面無依存性光ファイバから構成されていることから、振動や温度に安定な光信号増幅出力が得られる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図9に示す実施例の光信号増幅装置40は、光信号増幅装置10に対して、第1入力用光ファイバ12の第1半導体光増幅器14側の端部に、その第1半導体光増幅器14から出力された第1周囲光のうち前記第1波長λ1 を挟む一対の波長帯のうちの一方の波長帯に属する第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、その第1部分周囲光を第1半導体光増幅器14へ再入力して負帰還増幅させる第3ブラッグ反射格子42を備えている点で相違し、他の部分は同様に構成されている。上記第3ブラッグ反射格子42は、たとえば図5の破線に示す反射波長帯を有している。この反射波長帯の帯域は5nm程度が好適である。広すぎると負帰還増幅効果が大きくなって出力光Iout の強度が低下し、狭すぎると負帰還増幅効果が小さくなって変調度が十分に得られない。
本実施例の光信号増幅装置40によれば、第1半導体光増幅器14から出力された第1周囲光のうち前記第1波長λ1 を挟む一対の波長帯のうちの一方の波長帯に属する第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有する第3ブラッグ反射格子42が備えられていることから、その第3ブラッグ反射格子42に反射されることによって第1部分周囲光が第1半導体光増幅器14へ再入力されてその第1半導体光増幅器14が負帰還増幅させられるので、S/N比の高い安定した第1半導体光増幅器14の光信号増幅が得られる。また、上記第3ブラッグ反射格子42は、第1ブラッグ反射格子20の反射波長帯とは周波数上で重ならないような反射波長帯を備えているので、それらの間で光信号の共振或いは発振が好適に防止される利点がある。
図10に示す実施例の光信号増幅装置50は、光信号増幅装置10に対して、第2入力用光ファイバ51を介して第1波長λ1 の入力信号光Iinが入力されると、その入力信号光Iinの強度に応じてその第1波長λ1 の周囲光の光強度増幅特性を変調し、その入力信号光Iinを増幅した光とその入力信号光Iinの強度に対して強度反転した第1波長λ1 の周囲の第3周囲光とを出力する第3半導体光増幅器52と、その第3半導体光増幅器52からの入力信号光Iinの増幅光である第1波長λ1 の出力光Iin’を第1半導体光増幅器14へ入力させる導波器54とを含む点で、相違し、他の部分は同様に構成されている。
上記導波器54は、第3半導体光増幅器52からの第1波長λ1 の出力光Iin’を反射するための第4ブラッグ反射格子56が設けられた共通ファイバ部58c と、その共通ファイバ部58c の一端から分岐する一対の第1分岐ファイバ部58a および第2分岐ファイバ部58b とを有し、その第1分岐ファイバ部58a に第3半導体光増幅器52からの第1波長λ1 の出力光Iin’が入力され、第4ブラッグ反射格子56により反射されたその第1波長λ1 の出力光Iin’が第2分岐ファイバ部58b を介して第1半導体光増幅器14に入力される第2光カプラ58から構成される。上記第2入力用光ファイバ51、一対の第1分岐ファイバ部58a および第2分岐ファイバ部58b の先端面には、先球レンズ51z 、先球レンズ58azおよび先球レンズ58bzがそれぞれ設けられており、第3半導体光増幅器52および第1半導体光増幅器14と光学的にそれぞれ結合されている。
図11は、その第4ブラッグ反射格子56の反射波長帯を示している。第4ブラッグ反射格子56は、第3半導体光増幅器52からの第1波長λ1 の出力光Iin’を反射するためのものであって、周囲光を反射させないようにするものであるから、その反射波長帯は第1波長λ1 を中心とした比較的狭い帯域たとえば1nm程度に設定されている。
本実施例の光信号増幅装置50によれば、第3半導体光増幅器52からの第1波長λ1 の入力信号光Iinが増幅されて第1半導体光増幅器14へ入力されるものであるから、入力信号光Iinの強度が低くても高強度の出力信号Iout を得ることができる。一般に、相互利得変調を発生させるためにはmWオーダの入力信号強度が必要である一方で、半導体光増幅器の出力は最大で1〜数mW程度しか得られないことから、強度比( 増幅率) Iout /Iinは1〜数倍程度以下しか得られなかったので、出力光Iout を次段の半導体光増幅器の入力信号として使用しがたい場合があった。しかし、本実施例によれば、入力光Iinの強度を小さく設定してそれを増幅することにより、上記の問題が解決される。たとえば、Iinの強度を1/10とすることが可能であるとすれば、少なくとも10個の光信号増幅装置を駆動することが可能となる。また、本実施例によれば、第4ブラッグ反射格子56は共通ファイバ部58c に設けられることから、光カプラ58の分岐部に設けられる場合に比較して容易且つ安定に形成されるので、安定した精度の高い反射波長帯が得られる。
また、本実施例の光信号増幅装置50は、光信号増幅装置10に対して、入力信号光および制御光入力用光ファイバ( 共通ファイバ部18c ) および出力用光ファイバ22以外の光ファイバすなわち、第2入力用光ファイバ51および第2光カプラ58も偏波面無依存性光ファイバから構成されている。
図12に示す実施例の光信号増幅装置60は、光信号増幅装置50に対して、入力信号光Iinを第3半導体光増幅器52へ導く第2入力用光ファイバ51の第3半導体光増幅器52側端部に設けられ、その第3半導体光増幅器52から出力された第3周囲光のうち第1波長λ1 を挟む一対の波長帯のうちの一方の波長帯に属する第5部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、その第5部分周囲光を該第3半導体光増幅素子52へ再入力して負帰還増幅させる第5ブラッグ反射格子62を、備えている。第5ブラッグ反射格子62は、たとえば図13に示す反射波長帯を備え、第4ブラッグ反射格子56に対して、周波数が相互に重ならないように反射波長帯が設定されている。フィルタ64は、第1波長λ1 付近の比較的狭い帯域のみの光を透過させるものであり、出力光Iout に含まれる第1波長λ1 以外のノイズ光を除去するために設けられている。
本実施例によれば、第3半導体光増幅器52の負帰還増幅作用によって安定した入力信号光Iinの増幅が得られ、増幅後の入力信号光Iin’の変調度が高められる。
図14に示す実施例の光信号増幅装置70は、光信号増幅装置60に対して、第2光カプラ58の第2分岐ファイバ部58b の第1半導体光増幅器14側の端部に、第6ブラッグ反射格子59を備えている点で相違し、他の部分は同様に構成されている。第6ブラッグ反射格子59は、実施例2の第3ブラッグ反射格子42と同様に構成され、第1半導体光増幅器14から出力された第1周囲光のうち前記第1波長λ1 を挟む一対の波長帯のうちの一方の波長帯に属する第1部分周囲光を反射する反射波長帯を有し、その第1部分周囲光を第1半導体光増幅器14へ再入力して負帰還増幅させる。
図15に示す実施例の光信号増幅装置80は、光信号増幅装置50に対して、第2光カプラ58の共通ファイバ部58c によって、図示しないレーザ光源からの第3波長λ3 のバイアス光( 連続光) Ib が第4ブラッグ反射格子56を通過して第1半導体光増幅器14へ供給される点で相違し、他の部分は同様に構成されている。第1ブラッグ反射格子20は、図5の実線に示す反射波長帯を備えていることから、第2光カプラ58の共通ファイバ部58c の他端部から入力され且つ第1半導体光増幅器14により増幅された第1波長λ1 とは異なる第3波長λ3 のバイアス光Ib を、その第1半導体光増幅器14から出力された第1周囲光のうち前記第1波長λ1 を挟む他方の波長帯に属する第1部分周囲光と共に反射し、第2半導体光増幅器16に入力させる。これにより、第2半導体光増幅器16において相互利得変調された波長λ3 の光強度が増強される。これにより、一層高い強度の光信号増幅された出力光Iout が得られる。
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例において、制御光Icは入力信号光Iinと同じ第1波長λ1を有するものであったが、必ずしも第1波長λ1 でなくてもよく、その第1波長λ1 と異なる第2波長λ2 を有するものであってもよい。この場合には、第2波長λ2 の出力光Iout が出力される。
また、前述の実施例において、第1ブラッグ反射格子20は図5の実線に示すように第1波長λ1 に対して短波長側の反射波長帯を有し、第2ブラッグ反射格子24は図5の破線に示すように第1波長λ1 に対して長波長側の反射波長帯を有することにより、相互の反射波長帯が重ならないように設定されていたが、反対に、第1ブラッグ反射格子20の反射波長帯が第1波長λ1 に対して長波長側に設定され、第2ブラッグ反射格子24の反射波長帯が第1波長λ1 に対して短波長側に設定されてもよい。また、第1ブラッグ反射格子20の反射波長帯と第2ブラッグ反射格子24の反射波長帯とは、第1波長λ1 に対して同じ側の波長帯に設定されてもよい。要するに、周波数帯が相互に重ならないように設定されていればよい。この周波数帯の重なりは、発振が発生しない範囲で実質的に重ならない状態であればよく、周波数帯のうちのたとえば−3dBの範囲が重ならなければよいのである。
また、前述の図12、図14、図15の実施例では、出力光Iout を透過させるために第1波長λ1を中心とした比較的狭帯域の透過波長特性を備えたフィルタ64が出力用光ファイバ22に設けられていたが、必ずしも設けられていなくてもよい。また、図1、図9、図10の実施例において必要に応じて設けられてもよい。
前述の実施例に設けられた、第1光カプラ18、第2光カプラ58の一部または全部は、それと同じ機能であれば、他の光学素子またはその光学素子の結合体により置き換えらえてもよい。
また、前述の実施例の第1ブラッグ反射格子20および第2ブラッグ反射格子24は、多層膜フィルタ、波長選択ミラーなど、同様の機能を有する他の光学素子により置換されてもよい。
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。