以下、図面を参照して、本発明に係る端末数推計装置および端末数推計方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の通信システム1のシステム構成図である。図1に示すように、第1実施形態の通信システム1は、携帯端末(例えば携帯電話であって、特許請求の範囲の「端末」に相当)100、BTS(基地局)200、RNC(無線制御装置)300、交換機400、各種処理ノード700、および管理センタ500を含んで構成されている。また、この管理センタ500は、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503、および可視化ソリューションユニット504を含んで構成されている。
交換機400は、BTS200、RNC300を介して、携帯端末100についての後述する第1位置情報および第2位置情報を収集する。交換機400は収集した第1位置情報および第2位置情報を記憶しておき、所定のタイミング又は管理センタ500からの要求に応じて、収集した第1位置情報および第2位置情報を管理センタ500に出力する。
各種処理ノード700は、RNC300及び交換機400を通じて携帯端末100の第1位置情報および第2位置情報を取得し、場合によっては位置の再算出等を行い、所定のタイミングで又は管理センタ500からの要求に応じて、収集された位置情報を管理センタ500に出力する。
携帯端末100は、第1周期(例えば、54分周期)で第1位置情報を送信する。当該第1位置情報は、例えば、位置登録情報であって、BTS200、RNC300、交換機400を介し、後述の社会センサユニット501に蓄積される。この第1位置情報には、携帯端末100を識別可能な端末ID(特許請求の範囲の「端末識別情報」に相当)と、携帯端末100が在圏しているエリアである第1位置登録エリアを識別可能なエリアID(特許請求の範囲の「エリア識別情報」に相当)と、が記録される。さらに、第1位置情報には、後述する第1時刻情報が記録されてもよい。なお、エリアは、例えばBTS200のアンテナの勢力範囲であるセクタである。また、携帯端末100は、第1周期に限らず、その他のタイミング(例えば、エリア跨がり時、発信時など)で第1位置情報を送信してもよい。
また、一部の携帯端末100は、上記第1周期よりも短い第2周期(例えば、5分周期)で第2位置情報を送信する。当該第2位置情報は、例えば、GPS情報であって、BTS200、RNC300、交換機400を介し、後述の社会センサユニット501に蓄積される。但し、携帯端末100の第2位置情報がGPS情報であれば、各種処理ノード700はRNC300および交換機400を経由せずに携帯端末100のGPS情報を取得することができる。GPS情報の取得については、後述する。第2位置情報には、携帯端末100を識別可能な端末IDと、携帯端末100の位置する緯度および経度を示す座標情報(特許請求の範囲の「位置情報」に相当)と、が記録される。
携帯端末100の位置する緯度および経度は、携帯端末100が有する機能(GPSなど)を用いて取得される。さらに、第2位置情報には、後述する第2時刻情報が記録されてもよい。なお、携帯端末100は、第2周期に限らず、その他のタイミング(例えば、GPS情報を用いたサービス利用時、ユーザによるGPS情報問い合わせ時など)で第2位置情報を送信してもよい。
ここでGPS情報の収集について述べると、社会センサユニット501又はモバイルデモグラフィユニット503に設けられた図示しないGPS情報収集部が、各携帯端末100から発信された各携帯端末100の位置を示す経度情報および緯度情報を収集する。なお、GPS情報収集部は、収集した携帯端末100の経度情報および緯度情報を当該携帯端末100のユーザ識別子および測位時刻情報とともに、GPS情報として、例えばペタマイニングユニット502に設けられた図示しないGPS情報蓄積部に蓄積してもよい。
社会センサユニット501は、携帯端末100の第1位置情報および第2位置情報等を含んだデータを蓄積するサーバ装置である。この社会センサユニット501は、交換機400からのデータ受信要求に応じ、または交換機400にデータ送信要求を出すことでデータを取得し、蓄積する。
ペタマイニングユニット502は、社会センサユニット501から受信したデータを所定のデータ形式に変換するサーバ装置である。例えば、ペタマイニングユニット502は、識別子をキーにソーティング処理を行ったり、エリアごとにソーティング処理を行ったりする。本実施形態による端末数推計装置10は、例えば、ペタマイニングユニット502内に構成されており、端末数推計対象(ここでは端末数推計対象エリアおよび時間帯)の端末数を算出する。
モバイルデモグラフィユニット503は、ペタマイニングユニット502において処理されたデータに対する集計・統計解析処理、空間解析処理を行うサーバ装置である。
可視化ソリューションユニット504は、モバイルデモグラフィユニット503において集計処理されたデータを可視化するサーバ装置である。例えば、可視化ソリューションユニット504は、集計されたデータを地図上にマッピング処理することができる。この可視化ソリューションユニット504にて処理されたデータは、企業、官公庁または個人等に提供され、店舗開発、道路交通調査、災害対策、環境対策等に利用される。なお、このように統計処理された情報は、当然に個人情報は特定されないように加工されている。
なお、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィユニット503および可視化ソリューションユニット504はいずれも、前述したようにサーバ装置により構成され、図示は省略するが、通常の情報処理装置の基本構成(即ち、CPU、RAM、ROM、キーボードやマウス等の入力デバイス、外部との通信を行う通信デバイス、情報を記録する記録デバイス、および、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイス)を備えることは言うまでもない。
続いて、端末数推計装置10の機能について説明する。図2は、端末数推計装置10の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、端末数推計装置10は、第1位置情報取得部11(特許請求の範囲の「第1位置情報取得手段」に相当)と、第2位置情報取得部12(特許請求の範囲の「第2位置情報取得手段」に相当)と、対応情報生成部13(特許請求の範囲の「対応情報生成手段」に相当)と、エリア情報取得部14(特許請求の範囲の「エリア情報取得手段」に相当)と、在圏端末数取得部15(特許請求の範囲の「在圏端末数取得手段」に相当)と、端末数補正部16(特許請求の範囲の「端末数補正手段」に相当)と、を含んで構成されている。
第1位置情報取得部11は、端末IDとエリアIDとを含む第1位置情報を取得する第1位置情報取得手段として機能する。端末IDとエリアIDとを含む第1位置情報は、端末数推計装置10の外部の装置(例えば、管理センタ500のいずれかのユニット)により取得され、不図示の第1蓄積部に蓄積されている。この第1蓄積部は、端末数推計装置10内に設けられても、端末数推計装置10の外部に設けられてもよい。そして、第1位置情報取得部11は、第1蓄積部から第1位置情報を取得し、第1位置情報管理テーブルに記録して管理している。
また、第1位置情報は、当該第1位置情報が取得された時刻を示す第1時刻情報を含んでいてもよい。この第1時刻情報は、例えば、管理センタ500のいずれかのユニットが当該第1位置情報を取得した時刻とすることができる。また、第1時刻情報は、携帯端末100が第1位置情報を送信した時刻など第1位置情報の送受信に関する時刻を示す情報としてもよく、通信システム1内のいずれの装置において付与された時刻を用いてもよい。なお、第1位置情報取得部11は、滞在状態を把握するための開始時刻と終了時刻との組を含む観測対象期間情報、および観測エリア情報の少なくともいずれかを含む第1観測対象情報が、外部から入力された場合には、入力された第1観測対象情報の観測対象期間および観測エリアの第1位置情報を取得するようにしてもよい。ここで、観測エリア情報は、例えばエリアID、地理的な範囲(例えば市区町村)などとして与えられる。また、第1位置情報取得部11は、定期的に第1位置情報を取得するようにしてもよい。
図3は、第1位置情報管理テーブルの一例を示す図である。第1位置情報管理テーブルには、端末IDと第1時刻情報とエリアIDとを対応付けた第1位置情報が記録されている。端末IDは、上述したように当該第1位置情報を送信した携帯端末100を識別する識別情報である。第1時刻情報は、上述したように当該第1位置情報が取得された時刻を示す。エリアIDは、上述したように当該第1位置情報を送信した携帯端末100が当該第1位置情報を送信した際に在圏していた第1位置登録エリアを識別する識別情報である。
第2位置情報取得部12は、端末IDと座標情報とを含む第2位置情報を取得する第2位置情報取得手段として機能する。端末IDと座標情報とを含む第2位置情報は、端末数推計装置10の外部の装置(例えば、管理センタ500のいずれかのユニット)により取得され、不図示の第2蓄積部に蓄積されている。この第2蓄積部は、例えば、上述のGPS情報蓄積部であって、端末数推計装置10内に設けられても、端末数推計装置10の外部に設けられてもよい。そして、第2位置情報取得部12は、第2蓄積部から第2位置情報を取得し、第2位置情報管理テーブルに記録して管理している。
また、第2位置情報は、当該第2位置情報が取得された時刻を示す第2時刻情報を含んでいてもよい。この第2時刻情報は、例えば、管理センタ500のいずれかのユニットが当該第2位置情報を取得した時刻とすることができる。また、第2時刻情報は、携帯端末100が第2位置情報を送信した時刻など第2位置情報の送受信に関する時刻を示す情報としてもよく、通信システム1内のいずれの装置において付与された時刻を用いてもよい。なお、第2位置情報取得部12は、滞在状態を把握するための開始時刻と終了時刻との組を含む観測対象期間情報、および観測範囲情報の少なくともいずれかを含む第2観測対象情報が、外部から入力された場合には、入力された第2観測対象情報の観測対象期間および観測範囲の第2位置情報を取得するようにしてもよい。ここで、観測範囲情報は、例えば緯度経度、地理的な範囲(例えば市区町村)などとして与えられる。また、第2位置情報取得部12は、定期的に第2位置情報を取得するようにしてもよい。
図4は、第2位置情報管理テーブルの一例を示す図である。第2位置情報管理テーブルには、端末IDと第2時刻情報と座標情報とを対応付けた第2位置情報が記録されている。端末IDは、上述したように当該第2位置情報を送信した携帯端末100を識別する識別情報である。第2時刻情報は、上述したように当該第2位置情報が取得された時刻を示す。座標情報は、上述したように当該第2位置情報を送信した携帯端末100が当該第2位置情報を送信した際に存在していた位置の座標を示す。
対応情報生成部13は、第1位置情報取得部11によって取得された第1位置情報と第2位置情報取得部12によって取得された第2位置情報とを用いて、エリアIDと座標情報とに基づく対応情報を生成する対応情報生成手段として機能する。具体的に説明すると、対応情報生成部13は、第1位置情報管理テーブルに記憶されている第1位置情報と第2位置情報管理テーブルに記憶されている第2位置情報とから、同一の端末IDを有する第1位置情報と第2位置情報とを抽出する。
そして、対応情報生成部13は、第1位置情報に含まれる第1時刻情報が示す時刻と第2位置情報に含まれる第2時刻情報が示す時刻との時差を算出する。対応情報生成部13は、算出した時差が予め設定された所定値(例えば、5分)以内であるか否かを判定する。対応情報生成部13は、時差が所定値以内であれば、第1位置情報に含まれるエリアIDと第2位置情報に含まれる座標情報と算出した時差を示す時差情報とを対応付けた対応情報を生成し、対応情報管理テーブルに記録する。このように、それぞれ測位手法および測位タイミングが異なる第1位置情報および第2位置情報に基づいて、エリアIDと座標情報との対応関係を推測し、エリアIDと座標情報とを対応付けた対応情報を生成する。
図5は、対応情報管理テーブルの一例を示す図である。対応情報管理テーブルには、エリアIDと座標情報と時差情報とを対応付けた対応情報が記録されている。エリアIDは、上述したように第1位置情報から取得された情報である。座標情報は、上述したように第2位置情報から取得された情報である。時差情報は、上述したようにエリアIDに対応付けられた第1時刻情報が示す時刻と、座標情報に対応付けられた第2時刻情報が示す時刻と、の時差を示す情報である。また、対応情報生成部13は、対応情報を生成した時刻を取得して、その時刻を示す第3時刻情報を対応情報に含めてもよい。
図3の第1位置情報管理テーブルおよび図4の第2位置情報管理テーブルを用いて、対応情報の生成処理について具体的に説明する。対応情報生成部13は、図3の第1位置情報管理テーブルおよび図4の第2位置情報管理テーブルから、例えば、端末IDが「2」である第1位置情報D2と第2位置情報E2とを抽出する。そして、対応情報生成部13は、第1位置情報D2の第1時刻情報が示す時刻「2010/12/11 8:20」と第2位置情報E2の第2時刻情報が示す時刻「2010/12/11 8:22」との時差を算出する。この場合、時差は2分であるので、対応情報生成部13は、第1位置情報D2のエリアID「B」と第2位置情報E2の座標情報「(x2,y2)」と時差「0:02」とを対応付けた対応情報M2を生成して、図5の対応情報管理テーブルに記録する。
一方、対応情報生成部13は、図3の第1位置情報管理テーブルおよび図4の第2位置情報管理テーブルから、端末IDが「1」である第1位置情報D1、第1位置情報D3、第2位置情報E1、および第2位置情報E4を抽出する。そして、対応情報生成部13は、第1位置情報D1の第1時刻情報が示す時刻「2010/12/11 8:20」と第2位置情報E1の第2時刻情報が示す時刻「2010/12/11 8:20」および第2位置情報E4の第2時刻情報が示す時刻「2010/12/11 9:30」との時差をそれぞれ算出する。第1位置情報D1の第1時刻情報が示す時刻と第2位置情報E1の第2時刻情報が示す時刻との時差はないため、対応情報生成部13は、第1位置情報D1のエリアID「A」と第2位置情報E1の座標情報「(x1,y1)」と時差「0:00」とを対応付けた対応情報M1として、図5の対応情報管理テーブルに記録する。
また、第1位置情報D1の第1時刻情報が示す時刻と第2位置情報E4の第2時刻情報が示す時刻との時差は70分であるため、対応情報生成部13は、対応情報を生成しない。同様に、対応情報生成部13は、第1位置情報D3の第1時刻情報が示す時刻「2010/12/11 8:50」と第2位置情報E1の第2時刻情報が示す時刻「2010/12/11 8:20」および第2位置情報E4の第2時刻情報が示す時刻「2010/12/11 9:30」との時差をそれぞれ算出する。第1位置情報D3の第1時刻情報が示す時刻と第2位置情報E1の第2時刻情報が示す時刻との時差は30分であり、第1位置情報D3の第1時刻情報が示す時刻と第2位置情報E4の第2時刻情報が示す時刻との時差は40分であるので、対応情報生成部13は、対応情報を生成しない。
ここで、第1位置情報の第1時刻情報が示す時刻に対して、時差が所定値以内である時刻を示す第2時刻情報を含む第2位置情報が複数存在する場合、対応情報生成部13は、それぞれについて対応情報を生成してもよいし、最も時差が少ない時刻を示す第2時刻情報を有する第2位置情報に基づいて、対応情報を生成してもよい。
エリア情報取得部14は、エリアIDと当該エリアIDによって識別されるエリアの地理的範囲を示すエリア範囲に関するエリア範囲情報とを含むエリア情報を取得するエリア情報取得手段として機能する。エリア情報取得部14は、例えば、外部のサーバ装置からエリア情報を取得する。管理センタ500内のいずれかのユニットにエリア情報を格納しておき、エリア情報取得部14は当該ユニットからエリア情報を取得するようにしてもよい。ここで、地理的範囲とは、座標などによって定められる範囲を意味する。
在圏端末数取得部15は、エリアIDによって識別されるエリアに在圏している携帯端末100の端末数を取得する在圏端末数取得手段として機能する。在圏端末数取得部15は、例えば、外部のサーバ装置において推計された端末数を取得する。管理センタ500内のいずれかのユニットにおいて端末数の推計を行い、在圏端末数取得部15は当該ユニットから端末数を取得するようにしてもよい。
在圏端末数取得部15は、少なくとも推計対象のエリアおよびそのエリアの近傍のエリアに在圏している携帯端末100の端末数をそれぞれ取得する。ここで、所定のエリアの近傍のエリアとは、所定のエリアに対する第1位置情報の登録処理を行う場合に、電波の遠方捕捉が生じる可能性のあるエリアを意味する。この近傍のエリアは、端末数推計装置10に各エリアごとに予め定められていてもよい。
端末数補正部16は、対応情報生成部13によって生成された対応情報とエリア情報取得部14によって取得されたエリア情報とに基づいて、在圏端末数取得部15によって取得された端末数を補正する端末数補正手段として機能する。端末数補正部16は、補正行列生成部161と補正実行部162とを備えている。
補正行列生成部161は、在圏端末数取得部15によって取得された端末数を補正するための補正行列を生成する補正行列生成手段として機能する。具体的に説明すると、補正行列生成部161は、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報のうち同一のエリアIDを有する対応情報を抽出する。そして、補正行列生成部161は、エリア情報取得部14によって取得されたエリア情報に基づいて、抽出した対応情報に対する実在エリアを判定する。そして、補正行列生成部161は、実在エリアごとに対応情報の数を算出する。なお、上記実在エリアは、対応情報の座標情報によって示される座標位置が属するエリアを意味する。言い換えれば、実在エリアは、携帯端末100が第2位置情報を送信した時に実際に存在していたエリアを意味する。
補正行列生成部161は、同一のエリアIDを有する対応情報数について、実在エリアごとの対応情報数の比率である実在エリア比率を算出する。そして、補正行列生成部161は、算出した実在エリア比率に基づいて、各実在エリアの対応情報数の割合を算出し、これを補正ベクトル(特許請求の範囲の「補正係数」に相当)とする。すなわち、補正行列生成部161は、あるエリアの第1位置情報の送信を行った携帯端末100が実際にどのエリアに存在していたのかを判定し、あるエリアの第1位置情報の送信を行った携帯端末100に対して実在エリアごとの端末数の割合を算出して、補正ベクトルとする。
具体的には、補正行列生成部161は、補正ベクトルa=[(エリアIDがAで、実在エリアがエリアAである対応情報の数)/(エリアIDがAである対応情報の数),(エリアIDがAで、実在エリアがエリアBである対応情報の数)/(エリアIDがAである対応情報の数),(エリアIDがAで、実在エリアがエリアCである対応情報の数)/(エリアIDがAである対応情報の数),・・・]、補正ベクトルb=[(エリアIDがBで、実在エリアがエリアAである対応情報数)/(エリアIDがBである対応情報の数),(エリアIDがBで、実在エリアがエリアBである対応情報の数)/(エリアIDがBである対応情報数),(エリアIDがBで、実在エリアがエリアCである対応情報の数)/(エリアIDがBである対応情報の数),・・・]などを生成する。そして、補正行列生成部161は、以下の式(1)に基づいて各エリアの補正ベクトルを転置して並べることにより補正行列Mを生成する。
補正行列M=[aT,bT,cT,・・・]・・・(1)
図6は、第1位置情報の送信を行った携帯端末100の位置の一例を示す図である。図6に示されている例では、エリアAの第1位置情報の送信を行った複数の携帯端末100Aと、エリアBの第1位置情報の送信を行った複数の携帯端末100Bとがそれぞれ所定の位置に存在している。また、境界線LABは、エリア情報取得部14によって取得されたエリア情報に基づいて定められたエリアAとエリアBとの境界線である。
補正行列生成部161は、エリアAの第1位置情報の送信を行った携帯端末100Aの総端末数のうち、実在エリアごとに携帯端末100Aの端末数の割合を算出する。具体的には、補正行列生成部161は、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報のうち、エリアIDがAである対応情報を読み出す。そして、補正行列生成部161は、エリア情報取得部14によって取得されたエリア情報に基づいて、読み出した対応情報の座標情報によって示される座標位置が属するエリア(実在エリア)を判定する。そして補正行列生成部161は、実在エリアごとに対応情報の数を算出し、読み出した対応情報数に対する実在エリアごとの対応情報数の割合を算出する。
図6の例では、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報において、エリアIDがAである対応情報の総数7のうち、実在エリアがエリアAである対応情報の数は6、実在エリアがエリアBである対応情報の数は1である。したがって、補正行列生成部161は、エリアAの補正ベクトルa=[6/7,1/7]を生成する。同様に、補正行列生成部161は、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報において、エリアIDがBの対応情報の総数6のうち、実在エリアごとに対応情報の数を算出する。その結果、補正行列生成部161は、エリアBの補正ベクトルb=[1/6,5/6]を生成する。
各エリアについて補正ベクトルを生成した後、補正行列生成部161は、上記式(1)により補正行列Mを生成する。図6に示されている例では、補正行列生成部161は、補正行列M=[a
T,b
T]を生成する。
補正実行部162は、補正行列生成部161によって生成された補正行列Mを用いて在圏端末数取得部15によって取得された端末数の補正を実行する補正実行手段として機能する。補正実行部162は、以下の式(2)により補正端末数Eを算出する。ここで、nは、各エリアの端末数を示す端末数ベクトルである。
補正端末数E=M×nT・・・(2)
図6に示されている例を用いて具体的に説明する。在圏端末数取得部15によって取得されたエリアAの端末数nAが210、エリアBの端末数nBが120であったとする。すなわち、端末数ベクトルn=[n
A,n
B]=[210,120]である。補正実行部162は、上記式(2)基づいて補正端末数Eを算出する。その結果、補正後のエリアAの端末数は200台、補正後のエリアBの端末数は130台となる。
次に、図7を参照して、端末数推計装置10の動作について説明する。図7は、端末数推計装置10の端末数推計処理を示すフローチャートである。
まず、第1位置情報取得部11は、第1位置情報を取得し、第1位置情報管理テーブルに記録する(S11,第1位置情報取得ステップ)。また、第2位置情報取得部12は、第2位置情報を取得し、第2位置情報管理テーブルに記録する(S12,第2位置情報取得ステップ)。
次に、対応情報生成部13は、第1位置情報取得部11によって取得された第1位置情報と第2位置情報取得部12によって取得された第2位置情報のうち、同一の端末IDを有するものを抽出する。そして、対応情報生成部13は、抽出した第1位置情報に含まれている第1時刻情報によって示される時刻と、抽出した第2位置情報に含まれている第2時刻情報によって示される時刻と、の時差を算出する。時差が所定値以内であれば、対応情報生成部13は、第1位置情報に含まれているエリアIDと第2位置情報に含まれている座標情報と算出した時差とを対応付けた対応情報を生成し、対応情報管理テーブルに記録する(S13,対応情報生成ステップ)。
また、エリア情報取得部14は、エリアIDとエリア範囲情報とを対応付けたエリア情報を取得する(S14,エリア情報取得ステップ)。在圏端末数取得部15は、推計対象のエリアIDによって識別されるエリアおよびその近傍のエリアに在圏している携帯端末100の端末数を取得する(S15,在圏端末数取得ステップ)。続いて、端末数補正部16の補正行列生成部161は、対応情報生成部13によって生成された対応情報とエリア情報取得部14によって取得されたエリア情報とに基づいて、同一のエリアIDを有する対応情報について、実在エリアごとの対応情報の数を算出する。
そして、補正行列生成部161は、同一のエリアIDを有する対応情報の総数に対する実在エリアごとの対応情報の数の割合を算出して補正ベクトルを生成する。補正行列生成部161は、上記式(1)に基づいて、各エリアの補正ベクトルを用いて補正行列Mを生成する(S16,端末数補正ステップ)。補正実行部162は、上記式(2)に基づいて補正行列生成部161によって生成された補正行列Mを用いて在圏端末数取得部15によって取得された端末数を補正する(S17,端末数補正ステップ)。
次に、端末数推計装置10の作用効果について説明する。端末数推計装置10において、第1位置情報取得部11は、携帯端末100を識別する端末IDと当該携帯端末100の在圏エリアを識別するエリアIDとを含む第1位置情報を取得する。また、第2位置情報取得部12は、端末IDと当該携帯端末100の位置を示す座標情報とを含む第2位置情報を取得する。そして、対応情報生成部13は、第1位置情報取得部11によって取得された第1位置情報と第2位置情報取得部12によって取得された第2位置情報とを用いて、エリアIDと座標情報とに基づく対応情報を生成する。また、エリア情報取得部14は、エリアIDと当該エリアIDによって識別されるエリアの地理的範囲を示すエリア範囲とを含むエリア情報を取得し、在圏端末数取得部15は、エリアIDによって識別されるエリアに在圏している携帯端末の端末数を取得する。そして、端末数補正部16は、対応情報生成部13によって生成された対応情報とエリア情報取得部14によって取得されたエリア情報とに基づいて、在圏端末数取得部15によって取得された端末数を補正する。
これにより、例えば、電波の遠方捕捉によって、携帯端末100が存在していた位置が属するエリアである実在エリアが、エリアIDによって識別されるエリアと異なる場合に、各エリアに在圏している携帯端末100の端末数を補正することが可能となる。その結果、各エリアに在圏している携帯端末100の端末数をより精度よく推計することができる。
また、第1位置情報は、さらに当該第1位置情報が取得された時刻を示す第1時刻情報を含み、第2位置情報は、さらに当該第2位置情報が取得された時刻を示す第2時刻情報を含んでもよい。そして、端末数推計装置10において、対応情報生成部13は、同一の端末IDを有し、かつ、第1時刻情報が示す時刻と第2時刻情報が示す時刻との時差が所定値以下である第1位置情報および第2位置情報を抽出し、抽出された第1位置情報のエリアIDと、抽出された第2位置情報の座標情報と、に基づく対応情報を生成する。これによって、より信頼度の高い対応情報を得ることができる。
また、端末数推計装置10において、第1位置情報取得部11は、観測対象の期間を示す観測対象期間情報および観測対象のエリアを示す観測エリア情報の少なくともいずれかを含む第1観測対象情報が外部から入力された場合、当該第1観測対象情報に基づいて第1位置情報を取得してもよい。同様に、第2位置情報取得部12は、観測対象の期間を示す観測対象期間情報および観測対象の地理的範囲(例えば、座標範囲)を示す観測範囲情報の少なくともいずれかを含む第2観測対象情報が外部から入力された場合、当該第2観測対象情報に基づいて第2位置情報を取得してもよい。
なお、第1観測対象情報および第2観測対象情報は、両方が外部から入力された場合だけでなく、いずれか一方が入力された場合でも、第1位置情報取得部11および第2位置情報取得部12は、それぞれ第1位置情報および第2位置情報を取得することができる。例えば、第1観測対象情報が入力された場合、第2位置情報取得部12は、第1観測対象情報の観測エリア情報が示すエリアを、エリアIDによって示されるエリアのエリア範囲に関するエリア範囲情報に基づいて、観測範囲情報に変換する。そして、第2位置情報取得部12は、その地理的範囲に含まれる第2位置情報を取得する。
一方、第2観測対象情報が入力された場合、第1位置情報取得部11は、第2観測対象情報の観測範囲情報が示す地理的範囲を、エリアIDによって示されるエリアのエリア範囲に関するエリア範囲情報に基づいて、観測エリア情報に変換する。そして、第1位置情報取得部11は、その観測エリア情報が示すエリアの第1位置情報を取得する。
以上のように、第1観測対象情報および第2観測対象情報の少なくともいずれかが入力されることにより、所望の時間的範囲、又は地理的範囲における対応情報を生成することができる。このため、対応情報の生成の負荷を低減することが可能となる。
また、端末数推計装置10において、端末数補正部16は、同一のエリアIDを有する複数の対応情報を抽出し、抽出した複数の対応情報の座標情報によって示される位置が属するエリア(実在エリア)をそれぞれ判定する。そして、端末数補正部16は、抽出した複数の対応情報の数に対する実在エリアごとの対応情報の数の割合を算出して補正係数とし、在圏端末数取得部15によって取得された端末数を当該補正係数で補正する。
これによって、電波の遠方捕捉により第1位置登録エリアと実在エリアとが異なる携帯端末100が存在しているとしても推計された携帯端末100の端末数を補正することができる。その結果、各エリアに在圏している端末数をより一層精度よく推計することができる。
(第2実施形態)
上述した第1実施形態では、在圏端末数取得部15がエリアの在圏端末数を外部から取得する例を説明した。しかしながら、ボロノイ分割などにより設定したエリア範囲が実際のエリア範囲と異なる場合、位置登録信号を用いてエリアごとの端末数を推計する際の誤差要因となるという問題があった。以下の第2実施形態では、エリア範囲をより適切に設定し、端末数の推計を行う例、すなわち、端末数推計を行う前に予めエリアIDによって示されるエリアのエリア範囲を推定しておき、推定されたエリア範囲を用いて端末数を推計する例を説明する。なお、第2実施形態の通信システムのシステム構成は、図1の第1実施形態におけるシステム構成と同様であるため、同システム構成の説明を省略する。
続いて、端末数推計装置10Aの機能について説明する。図8は、端末数推計装置10Aの機能構成を示すブロック図である。図8に示すように、端末数推計装置10Aは、第1実施形態に係る端末数推計装置10と同様の構成要素を備え、各構成要素の機能はほぼ同様であるため、ここでは、第1実施形態に係る端末数推計装置10との相違点を中心に説明する。端末数推計装置10Aは、端末数推計装置10の構成要素に加えて、さらにエリア範囲推定部14aを含んで構成されている。
エリア範囲推定部14aは、対応情報生成部13によって生成された対応情報に基づいてエリア範囲を推定するエリア範囲推定手段として機能する。具体的に説明すると、エリア範囲推定部14aは、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報を読み出す。そして、エリア範囲推定部14aは、対応情報に含まれているエリアIDと座標情報とに基づいて、隣接するエリアとの境界を推定する。このエリア境界の推定は、例えばkNN法、SVM法、ベイズ法といった周知のクラスタリング手法に基づいて行われる。(各クラスタリング手法は、「石井健一郎,“わかりやすいパターン認識”,株式会社オーム社,ISBN 4−274−13149−1,1998」、「金明哲,“Rによるデータサイエンス”,森北出版,ISBN 4−627−09601−1,2007」などに記載されている。)
エリア範囲推定部14aは、あるエリアについて、当該エリアと隣接するエリアとの境界をすべて組み合わせることで、当該エリアの地理的な範囲であるエリア範囲を決定する。そして、エリア範囲推定部14aは、エリアIDと当該エリアIDによって示されるエリアのエリア範囲に関するエリア範囲情報とを対応付けたエリア情報を生成する。なお、エリア範囲情報は、隣接するエリアとの境界を示す座標の組み合わせ、隣接するエリアとの境界線を示す関数の組み合わせなどによって表現されている。そして、エリア範囲推定部14aは、生成したエリア情報をエリア情報取得部14に供給する。
エリア情報取得部14は、エリア範囲推定部14aからエリア情報を取得し、取得したエリア情報を端末数補正部16に供給する。
次に、図9を参照して、端末数推計装置10Aの動作について説明する。図9は、端末数推計装置10Aの端末数推計処理を示すフローチャートである。S21〜S23の処理はそれぞれ、図7のS11〜S13の処理と同様であるので、その説明を省略する。
S23の次に、エリア範囲推定部14aは、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報に基づいて、各エリアのエリア範囲を推定する(S24)。そして、エリア範囲推定部14aは、エリアIDと当該エリアIDによって識別されるエリアのエリア範囲に関するエリア範囲情報とを対応付けたエリア情報を生成する。そして、エリア情報取得部14は、エリア範囲推定部14aからエリア情報を取得する(S25,エリア情報取得ステップ)。
以下、S26〜S28の処理は、図7のS15〜S17の処理と同様であるので、その説明を省略する。
次に、端末数推計装置10Aの作用効果について説明する。端末数推計装置10Aにおいて、エリア範囲推定部14aは、対応情報生成部13によって生成された対応情報に基づいてエリアIDによって識別されるエリアのエリア範囲を推定し、エリア情報取得部14は、エリア範囲推定部14aによって推定されたエリア範囲に関するエリア範囲情報と当該エリアのエリアIDとをエリア情報として取得する。
これにより、携帯端末100が第1位置情報の送信を行ったエリアと携帯端末100が第2位置情報の送信を行った位置とを対応付けた対応情報に基づいてエリアIDで識別されるエリアのエリア範囲を推定することで、より適切なエリア範囲に基づいて各エリアに在圏している端末数を推計することができる。このため、端末数推計の精度をより一層向上することが可能となる。
(第3実施形態)
上述した第1および第2実施形態では、対応情報生成部13によって生成された対応情報と、エリア情報取得部14によって取得されたエリア情報と、に基づいて補正行列Mを生成する例を説明した。しかしながら、GPS衛星からの電波が届かないエリアであるGPS不感地帯に存在する携帯端末100は、第2位置情報の送信を行わない。このため、対応情報生成部13によって取得された対応情報には、GPS不感地帯内の座標を有する情報が存在しないため、生成された補正行列Mは適切でない可能性がある。以下の第3実施形態では、GPS不感地帯を考慮した補正行列Mを生成し、端末数の補正を行う例、すなわち、補正ベクトルの調整を行い、調整された補正ベクトルを用いて補正行列Mを生成する例を説明する。なお、第3実施形態の通信システムのシステム構成は、図1の第1実施形態におけるシステム構成と同様であるため、同システム構成の説明を省略する。
続いて、端末数推計装置10Bの機能について説明する。図10は、端末数推計装置10Bの機能構成を示すブロック図である。図10に示すように、端末数推計装置10Bは、第1実施形態に係る端末数推計装置10と同様の構成要素を備え、各構成要素の機能はほぼ同様であるため、ここでは、第1実施形態に係る端末数推計装置10との相違点を中心に説明する。端末数推計装置10Bは、端末数推計装置10の端末数補正部16に代えて、端末数補正部16bを含んで構成されている。
端末数補正部16bは、GPS不感地帯を考慮して在圏端末数取得部15によって取得された端末数を補正する。端末数補正部16bは、補正行列生成部161bと補正実行部162bとを備えている。
補正行列生成部161bは、在圏端末数取得部15によって取得された端末数を補正するための補正行列を生成する補正行列生成手段として機能する。具体的に説明すると、補正行列生成部161bは、補正行列生成部161と同様にして、同一のエリアIDを有する対応情報について、実在エリア比率を算出する。
さらに、補正行列生成部161bは、対応情報の作成対象期間において、第1位置情報に基づいて、各エリアの第1位置登録端末数を推計する。そして、補正行列生成部161bは、推計した各エリアの第1位置登録端末数に基づいて、いずれかのエリアを基準として、他のエリアの第1位置登録端末数の割合(特許請求の範囲の「第2割合」に相当)を算出する。まず、補正行列生成部161bは、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報のエリアIDに基づいて、各エリアのエリアIDを有する対応情報の数をそれぞれ算出する。そして、補正行列生成部161bは、第1位置登録端末数の割合の算出時に基準としたエリアを基準として、他のエリアの対応情報数の割合(特許請求の範囲の「第1割合」に相当)を算出する。
続いて、補正行列生成部161bは、算出した各エリアの第1位置登録端末数の割合と対応情報数の割合とを比較する。補正行列生成部161bは、両者に相違がある場合、GPS不感地帯に関する対応情報が生成されなかったものとして、両者が同一の割合になるように各エリアの対応情報数の割合を調整する調整係数をそれぞれ算出する。そして、補正行列生成部161bは、算出した調整係数に基づいて、実在エリア比率における対応するエリアの対応情報数の割合を調整する。そして、補正行列生成部161bは、調整後の実在エリア比率の各エリアの割合を算出し、補正ベクトルを生成する。補正行列生成部161bは、上記式(1)に基づいて各エリアの調整後の補正ベクトルを転置して並べることにより補正行列Mを生成する。
図11は、第1位置情報を送信した携帯端末100の所在地の他の一例を示す図である。図11に示されている例では、エリアAの第1位置情報を送信した複数の携帯端末100Aと、エリアBの第1位置情報を送信した複数の携帯端末100Bとがそれぞれ所定の位置に存在している。また、エリアAおよびエリアBに、GPS不感地帯を示すエリアNが存在している。
補正行列生成部161bは、エリアAの第1位置情報を送信した携帯端末100Aの総端末数のうち、実際に存在する位置が属するエリア(実在エリア)ごとに携帯端末100Aの端末数の比率(実在エリア比率)を算出する。具体的には、補正行列生成部161bは、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報のうち、エリアIDがAである対応情報を読み出す。そして、補正行列生成部161bは、エリア情報取得部14によって取得されたエリア情報に基づいて、読み出した対応情報の座標情報によって示される座標位置が属するエリア(実在エリア)を判定する。
図11の例では、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報において、エリアIDがAである対応情報の総数7のうち、実在エリアがエリアAである対応情報の数は6、実在エリアがエリアBである対応情報の数は1である。したがって、エリアIDがAである対応情報についての実在エリア比率は、6:1である。同様に、エリアIDがBである対応情報についての実在エリア比率は、1:4である。
次に、補正行列生成部161bは、対応情報の作成対象期間において、第1位置情報に基づいて、エリアAおよびエリアBの第1位置登録端末数を推計する。補正行列生成部161bは、例えば第1位置情報管理テーブルを参照して、対象情報作成期間において、エリアAおよびエリアBの第1位置情報を送信した端末数をエリアごとにそれぞれ計数し、その端末数を各エリアにおける第1位置登録端末数とする。ここで、エリアAの第1位置登録端末数は700台、エリアBの第1位置登録端末数は1000台であったとする。
そして、補正行列生成部161bは、エリアAを基準としたエリアBの第1位置登録端末数の割合を算出する。その結果、エリアBの第1位置登録端末数の割合は、10/7となる。また、補正行列生成部161bは、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報のエリアIDに基づいて、各エリアのエリアIDを有する対応情報の数をそれぞれ算出する。ここで、エリアIDがAである対応情報の数が7、エリアIDがBである対応情報の数が5であったとする。そして、補正行列生成部161bは、エリアAを基準としたエリアBの対応情報数の割合を算出する。その結果、エリアBの対応情報数の割合は、5/7となる。
続いて、補正行列生成部161bは、算出したエリアBの在圏端末数の割合10/7と対応情報数の割合5/7とを比較し、エリアBの対応情報数の割合を調整する調整係数を算出する。この場合、エリアBの対応情報数の調整係数は、2.0と算出される。そして、補正行列生成部161bは、算出した調整係数に基づいて、算出した各実在エリア比率を調整する。補正行列生成部161bは、例えば、エリアIDがAである対応情報について、実在エリアがエリアBである対応情報の数に調整係数を掛け合わせることで、調整後の実在エリア比率を算出する。その結果、当該調整後の実在エリア比率は、6:2となる。
そして、補正行列生成部161bは、エリアIDがAである対応情報について、各実在エリアの割合を算出し、補正ベクトルを生成する。したがって、補正行列生成部161bは、エリアAの補正ベクトルa=[3/4,1/4]を生成する。同様に、対応情報管理テーブルに記録されている対応情報において、エリアIDがBである対応情報についての実在エリア比率を1:8に調整し、エリアBの補正ベクトルb=[1/9,8/9]を生成する。
各エリアの補正ベクトルを調整した後、補正行列生成部161bは、上記式(1)により補正行列Mを生成する。図11に示されている例では、補正行列生成部161bは、補正行列M=[a
T,b
T]を生成する。
補正実行部162bは、補正行列生成部161bによって生成された補正行列Mを用いて在圏端末数取得部15によって取得された端末数の補正を実行する補正実行手段として機能する。補正実行部162bは、上記式(2)により補正端末数Eを算出する。図11に示されている例を用いて説明する。例えば、在圏端末数取得部15によって取得されたエリアAの端末数nAが200、エリアBの端末数nBが90であったとする。すなわち、端末数ベクトルn=[nA,nB]=[200,90]である。この場合、補正実行部162は、上記式(2)基づいて補正端末数Eを算出する。その結果、補正後のエリアAの端末数は160台、補正後のエリアBの端末数は130台となる。
次に、図12を参照して、端末数推計装置10Bの動作について説明する。図12は、端末数推計装置10Bの端末数推計処理を示すフローチャートである。S31〜S35の処理はそれぞれ、図7のS11〜S15の処理と同様であるので、その説明を省略する。
S35の次に、端末数補正部16bの補正行列生成部161bは、第1位置情報に基づいて各エリアの第1位置登録端末数を算出する。また、補正行列生成部161bは、対応情報生成部13によって生成された対応情報に基づいて、各エリアのエリアIDを有する対応情報の数をそれぞれ算出する。そして、補正行列生成部161bは、各エリアの第1位置登録端末数の割合と、各エリアのエリアIDを有する対応情報の数の割合とを算出して、両者を比較する。
比較の結果、両者が異なる場合、補正行列生成部161bは、各エリアのエリアIDを有する対応情報の数の割合を各エリアの第1位置登録端末数の割合と同一にする調整係数を算出する(S36)。次に、補正行列生成部161bは、対応情報生成部13によって生成された対応情報とエリア情報取得部14によって取得されたエリア情報とに基づいて、同一のエリアIDを有する対応情報について、実在エリアごとの対応情報の数を算出する。そして、補正行列生成部161bは、実在エリアごとの対応情報の数に調整係数を掛け合わせることで調整を行い、同一のエリアIDを有する対応情報の総数に対する調整後の実在エリアごとの対応情報の数の割合を算出して補正ベクトルを生成する。そして、補正行列生成部161bは、上記式(1)に基づいて各エリアに対する補正ベクトルを用いて補正行列Mを生成する(S37,端末数補正ステップ)。そして、補正実行部162bは、上記式(2)に基づいて補正行列生成部161bによって生成された補正行列Mを用いて在圏端末数取得部15によって取得された端末数を補正する(S38,端末数補正ステップ)。
次に、端末数推計装置10Bの作用効果について説明する。携帯端末100は、GPS不感地帯に存在している場合でも第1位置情報を送信することができる。したがって、端末数推計装置10Bにおいて、端末数補正部16bは、まずこの第1位置情報に基づいて、各エリアの第1位置情報を送信した携帯端末100の端末数である第1位置登録端末数を推計する。そして、端末数補正部16bは、エリアごとの第1位置登録端末数の割合を、GPS不感地帯が存在しない場合の各エリアを示すエリアIDを有する対応情報の数の割合と仮定して、各エリアに対する調整係数を算出する。そして、端末数補正部16bは、算出した調整係数を用いて補正ベクトルを調整した後、各エリアに在圏している端末数の補正を行う。
これにより、GPS不感地帯によって生成されなかった対応情報を考慮して補正係数を調整することができる。このため、GPS不感地帯を考慮した端末数を推計することができ、各エリアに在圏している端末数の推計の精度をより一層向上することが可能となる。
(端末数推計装置の変形例)
上記第1〜第3実施形態の端末数推計装置10,10A,10Bにおける対応情報生成部13は、第1位置情報に含まれるエリアIDと、第2位置情報に含まれる座標情報とを対応付けて対応情報を生成するものとしたが、これ以外の方法によって対応情報を生成することもできる。以下、対応情報生成部13が行う、対応情報生成処理の変形例について説明する。
本変形例において対応情報生成部13は、第1位置情報に含まれる第1時刻情報が示す時刻における携帯端末100の位置(座標情報)を、第2位置情報に基づいて推定し、推定した座標情報と、第1位置情報に含まれるエリアIDと、に基づく対応情報を生成する。
ここで、第1位置情報には、エリアIDが含まれているものの、第1位置情報が取得されたときに携帯端末100が存在していた位置を示す座標情報は含まれていない。一方、第2位置情報には、第2位置情報を送信した際に携帯端末100が存在していた位置を示す座標情報が含まれている。そこで、対応情報生成部13は、ある所定の第1位置情報の第1時刻情報が示す時刻における携帯端末100の位置を推定する場合、まず、ある所定の第1位置情報に含まれる端末IDと同一の端末IDを有する第2位置情報であって、第1位置情報の第1時刻情報が示す時刻よりも、第2時刻情報が示す時刻が時間的に前の第2位置情報を所定数抽出し、さらに、第1位置情報の第1時刻情報が示す時刻よりも、第2時刻情報が示す時刻が時間的に後の第2位置情報を所定数抽出する。即ち、所定数抽出された第2位置情報のうち、時間的に連続する2つの第2位置情報の第2時刻情報が示す時刻によって、第1位置情報の第1時刻情報が示す時刻が、時間的に挟まれる状態となる。そして、抽出された所定数の第2位置情報の座標情報が示す位置間を補間することによって、第1位置情報の第1時刻情報が示す時刻における携帯端末100の位置を推定する。
ここでは、携帯端末100の位置を線形補間によって推定する際の具体例について説明する。図13に、第1位置情報及び第2位置情報が取得されたタイミングと実際の携帯端末の移動軌跡との関係を示す。なお、図13においては、時刻t3に第1位置情報L1が取得されたことを示し、同様に、時刻t1に第2位置情報G1、時刻t2に第2位置情報G2、時刻t4に第2位置情報G3、時刻t5に第2位置情報G4が取得されたことを示している。第1位置情報L1及び第2位置情報G1〜G4は、それぞれ同一の端末IDを有しているものとする。
また、図13では、時刻t1〜t5において、第1位置情報L1及び第2位置情報G1〜G4を送信した携帯端末の実際の位置を、それぞれ位置P1〜P5で示している。なお、位置P1,P2,P4,P5の位置は、第2位置情報G1,G2,G3,G4に含まれる座標情報より取得することができる。本変形例では、第1位置情報L1が取得されたときにおける携帯端末100の位置P3を、線形補間によって推定するものである。
まず対応情報生成部13は、第1位置情報L1の第1時刻情報が示す時刻t3よりも、第2時刻情報が示す時刻が時間的に前であり、かつ時間的に最も近い第2位置情報G2と、時刻t3よりも、第2時刻情報が示す時刻が時間的に後であり、かつ時間的に最も近い第2位置情報G3と、を抽出する。ここで、対応情報生成部13は、第2位置情報を抽出する際に、第1位置情報L1と同じ端末IDを有するものを抽出する。そして、対応情報生成部13は、第2位置情報G2,G3に含まれる座標情報を、時刻t2,t4における位置P2,P4の座標情報とする。
そして、対応情報生成部13は、第2位置情報G2の第2時刻情報が示す時刻t2、と第1位置情報L1の第1時刻情報が示す時刻t3との時差を算出する。ここでは、時刻t2と時刻t3との時差が2分であるものとする。同様に、対応情報生成部13は、第1位置情報L1の第1時刻情報が示す時刻t3と、第2位置情報G3の第2時刻情報が示す時刻t4との時差を算出する。ここでは、時刻t3と時刻t4との時差が3分であるものとする。以上によって得られた位置P2,P4の座標情報と、時刻t2及び時刻t3の時差(2分)と、時刻t3及び時刻t4の時差(3分)とに基づいて、時刻t3における携帯端末100の位置P3を線形補間によって推定する。詳細には、時刻t2において位置P2に存在する携帯端末100は、位置P2から位置P4まで直線的に移動したものと仮定し、位置P2から位置P4までの移動に要した時間は時刻t2と時刻t4との時差より5分であることがわかる。そして、時刻t2及び時刻t3の時差(2分)と、時刻t3及び時刻t4の時差(3分)との比(ここでは、2:3)によって、位置P2と位置P4とを直線的に結ぶ線分を按分し、按分した位置の座標を求めることで、時刻t3における携帯端末100の位置P3の座標を推定する。
なお、対応情報生成部13は、第1位置情報L1の第1時刻情報が示す時刻t3に、時間的に最も近い時刻に取得された第2位置情報(ここでは、時刻t2に取得された第2位置情報G2)を抽出する。そして、抽出した第2位置情報G2に含まれる第2時刻情報が示す時刻t2と、第1位置情報L1の第1時刻情報が示す時刻t3との時差(ここでは2分)を算出する。この時差が、予め設定された所定値(例えば、5分)以内でない場合には、当該第1位置情報L1についての対応情報は生成しないようにしてもよい。
そして、対応情報生成部13は、第1位置情報L1に含まれるエリアIDと、線形補間によって推定した、第1位置情報L1の第1時刻情報が示す時刻における携帯端末100の座標情報と、を対応付けて対応情報を生成する。なお、対応情報生成部13は、第2時刻情報が示す時刻と第1時刻情報が示す時刻との時差を時差情報として算出し、この時差情報を対応情報に対応付けることもできる。
次に、本変形例において、対応情報生成部13が対応情報を生成する処理の流れについて説明する。図14は、本変形例において、対応情報生成部13が行う対応情報生成処理を示すフローチャートである。なお、図14に示す対応情報の生成処理は、第1位置情報取得部11によって取得された全ての第1位置情報について行われる。
ある所定の第1位置情報L(i)(但し、i=1,2,3,・・・)について対応情報の生成処理を行う場合、まず、対応情報生成部13は、第1位置情報L(i)の第1時刻情報と第2位置情報G(j)(但し、j=1,2,3,・・・)の第2時刻情報との時差の絶対値が最小となる第2位置情報G(j)を抽出する(S41)。そして、対応情報生成部13は、第1位置情報L(i)と抽出した第2位置情報G(j)との時差の絶対値が、予め設定された所定値T(例えば、5分)より大きいか否かを判断する(S42)。
第1位置情報L(i)の第1時刻情報と抽出した第2位置情報G(j)の第2時刻情報との時差の絶対値が所定値Tより大きい場合(S42:YES)、対応情報生成部13は、第1位置情報L(i)については対応情報を生成せず、処理を終了する。一方、第1位置情報L(i)の第1時刻情報と抽出した第2位置情報G(j)の第2時刻情報との時差の絶対値が所定値T以下である場合(S42:NO)、対応情報生成部13は、第1位置情報L(i)の第1時刻情報が示す時刻が、抽出した第2位置情報G(j)の第2時刻情報が示す時刻よりも時間的に後か否かを判断する(S43)。
第1位置情報L(i)の第1時刻情報が示す時刻が、抽出した第2位置情報G(j)の第2時刻情報が示す時刻よりも時間的に後である場合(S43:YES)、対応情報生成部13は、第2位置情報G(j)と第2位置情報G(j+1)とを用いて、第1位置情報L(i)の座標を上述のように線形補間によって推定する(S44)。一方、第1位置情報L(i)の第1時刻情報が示す時刻が、抽出した第2位置情報G(j)の第2時刻情報が示す時刻よりも時間的に後でない場合(S43:NO)、対応情報生成部13は、第2位置情報G(j−1)と第2位置情報G(j)とを用いて、第1位置情報L(i)の座標を上述のように線形補間によって推定する(S45)。
そして、対応情報生成部13は、第1位置情報L(i)に含まれるエリアIDと、線形補間によって推定した座標情報と、を対応付けて対応情報を生成する(S46)。対応情報を生成した後の処理は、上述の第1〜第3実施形態と同様である。
以上のように、本変形例においては、第2位置情報に基づいて、第1位置情報の第1時刻情報が示す時刻における携帯端末100の座標を推定することで、第1位置情報が取得されたときの携帯端末100の座標を、より正確に把握することができる。このようにして推定された座標情報を用いて対応情報を生成し、この対応情報を用いて各エリアに在圏する端末数の推計を行うことで、端末数の推計をより一層精度よく行うことができる。
なお、上記変形例では、第1位置情報が取得されたときの携帯端末100の座標情報を、線形補間を行うことによって推定するものとしたが、線形補間以外の方法によって推定することもできる。一例としては、第1位置情報が取得された時刻に対して、前後K個の第2位置情報を用いたスプライン補間や、ベジェ補間等によって推定することもできる。
また、他の変形例として、上記第1〜第3実施形態の端末数推計装置10,10A,10Bは、図15に示すように、各エリアにおける人口を推計する人口推計部(特許請求の範囲の「人口推計手段」に相当)17をさらに備えてもよい。この人口推計部17は、予め定められた拡大係数と、端末数補正部16,16bにより得られた端末数と、に基づいて人口を推計する。拡大係数は、一例として、「在圏率と携帯端末の普及率との積(即ち、人口に対する在圏数の比率)」の逆数を用いることができる。ここで「在圏率」とは、携帯端末100の契約台数に対する在圏数の比率を意味し、「普及率」とは人口に対する契約台数の比率を意味する。このような拡大係数は、人口推計部17が人口を推計する単位である人口推計単位ごとに導出することが望ましいが、必須ではない。この「人口推計単位」としては、例えば、属性、場所、時間帯などが挙げられ、住所の都道府県ごと、5才刻み年齢層ごと、男女ごと、時間帯として1時間ごとなどを採用してもよい。
拡大係数を算出する拡大係数算出単位としては、一例として、住所の都道府県ごと、5才又は10才刻みの年齢層ごと、男女ごと、時間帯として1時間ごとなどを採用してもよいし、これらの2つ以上を組み合わせたものを採用してもよい。例えば、拡大係数算出単位を「東京都在住の20才台の男性」とした場合、日本全国における、東京都在住の(即ち、ユーザ属性における住所情報が東京都である)20才台の男性に該当する位置データを抽出して端末数を集計することでユーザ数ピラミッドデータを得るとともに、統計データ(例えば住民基本台帳など)から東京都在住の20才台の男性に関する人口ピラミッドデータを取得する。なお、上記ユーザ数ピラミッドデータを得る際に、「東京都在住」という条件については、東京都に在圏するユーザの位置データだけを抽出するのではなく、ユーザ属性における住所情報が東京都である位置データを抽出する。
そして、ユーザ数ピラミッドデータ及び人口ピラミッドデータから拡大係数算出単位(ここでは東京都在住の20才台の男性)の位置データの取得率(即ち、在圏数/人口)を算出し、得られた「位置データの取得率」の逆数を拡大係数として導出することができる。なお、ここでは、拡大係数算出単位と人口推計単位とが等しいものとして説明しているが、これはあくまでも一例であり、これに限られるものではない。
なお、人口推計部17は、端末数推計装置10,10A,10Bの外部に設けられてもよい。
(第4実施形態)
上述した各実施形態及び変形例では、対応情報生成部13が、第1位置情報及び第2位置情報に基づいて対応情報を生成するものとした。本実施形態では、対応情報を直接取得する例を説明する。なお、第4実施形態の通信システムのシステム構成は、図1の第1実施形態におけるシステム構成と同様であるため、同システム構成の説明を省略する。
続いて、第4実施形態に係る端末数推計装置10Cの機能について説明する。図16は、端末数推計装置10Cの機能構成を示すブロック図である。図16に示すように、端末数推計装置10Cは、対応情報取得部(対応情報取得手段)11Cと、エリア情報取得部14と、在圏端末数取得部15と、端末数補正部16と、を含んで構成されている。なお、第1実施形態に係る端末数推計装置10内の各構成要素と同じ構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。
ここで、携帯端末の国際標準規格である3GPPの技術報告書(3GPP TR 36.805)によると、図17に一例として示すように、携帯端末100がGPSを利用したときに当該携帯端末100が在圏するエリアIDと、携帯端末100から送信されたGPS情報(座標情報)と、測位時刻情報とが対応付けられた情報(以下「エリア情報付GPS情報」という)が生成される。このエリア情報付GPS情報を、図示しないエリア情報付GPS情報収集部が取得する。このエリア情報付GPS情報収集部は、社会センサユニット501又はモバイルデモグラフィユニット503に設けられていてもよい。対応情報取得部11Cは、図示しないエリア情報付GPS情報収集部から、エリア情報付GPS情報を取得する。
対応情報取得部11Cは、取得したエリア情報付GPS情報のうち、エリアIDと座標情報とによって構成される対応情報(図18参照)を抽出し、抽出した対応情報を端末数補正部16へ出力する。以降の処理は、第1実施形態と同じである。
このように、エリア情報付GPS情報が取得可能である場合には、エリア情報付GPS情報に含まれる対応情報を用いて端末数推計装置10の端末数を補正することができる。これにより、第1位置情報と第2位置情報とを用いて対応情報を生成する場合と比較して、処理工程を削減することができる。
なお、図17に示すように、一つのエリア情報付GPS情報に、複数のエリアIDが対応付けられている場合がある。また、この場合、エリア(セクタ)を形成するアンテナと携帯端末100との間での電波の受信レベル情報、GPS測位における誤差半径、測位の精度(衛星による測位か基地局による測位か、衛星測位の場合には捕捉した衛星の数はいくつか等にも応じて定められた値)等の品質情報がエリアID毎に付加されていることがある。また、接続中エリアとは、受信レベルが最も高いエリアであり、接続候補エリアとは、受信レベルが2番目に高いエリアである。なお、接続候補エリアは複数あっても構わない。このような場合、対応情報取得部11Cは、品質情報に基づき(例えば電波の受信レベルが最も強いエリアIDを用いる等)、対応情報を生成取得することができる。
ここで、エリア情報付GPS情報は、第1の実施形態等において説明した第1位置情報と第2位置情報との時差がゼロである対応情報として取り扱うことができる。なお、本実施形態においても、第1実施形態等で説明した方法によって対応情報を生成し、生成した対応情報と、エリア情報付GPS情報から抽出した対応情報との両方の対応情報を用いて端末数の補正を行ってもよい。
また、端末数補正部16は、対応情報に含まれる品質情報に基づき、信頼性が低いと判断された対応情報を、補正処理に用いないようにすることができる。ここで、対応情報の信頼性を判断する基準は、対応情報(エリア情報付GPS情報)に含まれる品質情報のうちどの情報に基づいて判断するかによって異なる。以下に3つの方法を説明する。
まず、エリア情報付GPS情報の誤差半径に基づいて、対応情報の信頼性を判断する場合について説明する。ここで、誤差半径が小さいほど情報の信頼性は高いと考えることができる。そこで、端末数補正部16は、エリア情報付GPS情報に含まれる「誤差半径」の値が、所定の閾値以上である場合に、そのエリア情報付GPS情報の信頼性が低いと判断し、端末数の補正処理に用いないようにすることができる。この所定の閾値は、予め定めた固定値でもよいし、在圏エリアの面積に応じて可変(在圏エリアが広ければ、所定の閾値を大きくする等)の値でもよい。
次に、エリア情報付GPS情報の受信レベルに基づいて、対応情報の信頼性を判断する場合について説明する。ここで、受信レベルが高いほど情報の信頼性は高いと考えることができる。そこで、例えば、端末数補正部16は、エリア情報付GPS情報に含まれる接続中エリアの「受信レベル」の値が、所定の閾値以下である場合に、そのエリア情報付GPS情報の信頼性が低いと判断し、端末数の補正処理に用いないようにすることができる。なお、接続中エリアの受信レベルではなく、接続候補エリアの受信レベルを用いてもよい。或いは、接続中エリアの受信レベルと接続候補エリアの受信レベルとの両方を用いてもよい。
なお、エリア情報付GPS情報が、「接続中エリア」の受信レベルと「接続候補エリア」の受信レベルを含んでいる場合には、二つの受信レベルの差が大きいほど情報の信頼性は高いと考えることができる。例えば、この差が所定の閾値以下である場合に、そのエリア情報付GPS応報の信頼性が低いと判断し、端末数の補正処理に用いないようにすることができる。また、エリア情報付GPS情報が、複数の「接続候補エリア」の受信レベルを含んでいる場合には、「接続中エリア」の受信レベルと、複数の「接続候補エリア」の受信レベルのうち、受信レベルが最大である「接続候補エリア」の受信レベルの差を用いることができる。また、エリア情報付GPS情報に「接続中エリア」の受信レベルが含まれておらず、複数の「接続候補エリア」の受信レベルが含まれている場合には、最大の受信レベルと2番目に大きい受信レベルの差を用いることができる。
次に、エリア情報付GPS情報の精度に基づいて、対応情報の信頼性を判断する場合について説明する。ここで、精度が高いほど情報の信頼性は高いと考えることができる。そこで、例えば、端末数補正部16は、エリア情報付GPS情報に含まれる「精度」の値が、所定の閾値以下である場合に、そのエリア情報付GPS情報の信頼性が低いと判断し、端末数の補正処理に用いないようにすることができる。
なお、エリア情報付GPS情報(対応情報)の品質情報(誤差半径、受信レベル、及び精度の少なくとも1つを含む)のうち、任意の複数の情報を組み合わせることにより、エリア情報付GPS情報の信頼性を判断することもできる。なお、エリア情報付GPS位置情報には、品質情報として、上述の受信レベル、誤差半径、及び精度のうち少なくともいずれかが含まれていればよい。
(第5実施形態)
上述した第1〜第3実施形態では、在圏端末数取得部15が、エリアに在圏している携帯端末100の端末数を外部のサーバ等から取得するものとした。本実施形態では、在圏端末数取得部が第1位置情報取得部11で取得された第1位置情報(位置登録情報)に基づいて特徴量を算出し、算出した特徴量を用いて端末数を算出する実施形態について説明する。本実施形態では、第1位置情報が位置登録情報であるものとして説明する。なお、「特徴量」とは、携帯端末によって生成された位置登録情報についての推定生成密度に対応する情報である。また、ここでの「推定生成密度」とは、当該位置登録情報を生成した携帯端末が、位置登録情報が生成された時刻周辺で単位時間あたりに生成する位置登録情報の数の推定値を意味する。
この特徴量は、概念的には以下のようにして求めることができる。即ち、携帯端末を識別する端末IDと、携帯端末の位置に関する位置情報と、位置情報が取得された位置取得時刻情報と、を含む位置データを取得する位置データ取得手段と、ある第1の位置データについて、当該第1の位置データと同一の識別情報を含む位置データのうち、当該第1の位置データの直前の位置データである第2の位置データの位置取得時刻情報、及び当該第1の位置データの直後の位置データである第3の位置データの位置取得時刻情報を取得する前後位置データ取得手段と、第1の位置データの位置取得時刻情報、第2の位置データの位置取得時刻情報及び第3の位置データの位置取得時刻情報のうち2つ以上に基づいて、第1の位置データについての特徴量を計算する特徴量計算手段と、観測すべき観測期間に関する観測開始時刻以降であり且つ観測終了時刻以前である位置取得時刻情報を含み、且つ観測すべき観測エリアに関する観測エリア情報に対応づけられる位置情報を含む1乃至複数の位置データを、観測対象位置データとして取得する観測対象取得手段と、観測対象位置データについての特徴量、及び観測開始時刻と観測終了時刻との差である観測期間長に基づいて、観測期間中に観測エリアに在圏した端末数を推計する端末数推計手段と、を備えることで特徴量を求めることができる。
また、端末数を人口に変換するための拡大係数を記憶した拡大係数記憶手段、をさらに備え、端末数推計手段は、観測対象位置データについての特徴量、観測期間長、及び拡大係数に基づいて、観測期間中に観測エリアに在圏した人口を推計する、ことができる。
次に、特徴量を算出する具体的な処理について説明する。なお、第5実施形態の通信システムのシステム構成は、図1の第1実施形態におけるシステム構成と同様であるため、同システム構成の説明を省略する。
続いて、第5実施形態に係る端末数推計装置10Dの機能について説明する。図19は、端末数推計装置10Dの機能構成を示すブロック図である。図19に示すように、端末数推計装置10Dは、第1位置情報取得部11と、第2位置情報取得部12と、対応情報生成部13と、エリア情報取得部14と、在圏端末数取得部15Dと、端末数補正部16と、を含んで構成されている。なお、第1実施形態に係る端末数推計装置10内の各構成要素と同じ構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。
在圏端末数取得部15Dは、第1位置情報取得部11から、位置登録情報が取得された時刻が集計時間帯の集計開始時刻以降であり且つ集計終了時刻以前である1又は複数の位置登録情報を、集計対象位置登録情報として取得する。なお、集計時間帯は、端末数推計装置10Dにおいて携帯端末100の端末数を推計する(補正する)対象となる時間帯である。
在圏端末数取得部15Dは、特徴量を求める対象の集計対象位置登録情報(以下「第1の位置登録情報」という)について、当該第1の位置登録情報と同一の端末IDを含む位置登録情報のうち、当該第1の位置登録情報の直前の位置登録情報(以下「第2の位置登録情報」という)が取得された時刻、及び当該第1の位置登録情報の直後の位置登録情報(以下「第3の位置登録情報」という)が取得された時刻を取得する。なお、在圏端末数取得部15Dは、第2又は第3の位置登録情報の全体を取得することは必須ではなく、少なくとも、位置登録情報に含まれる時刻についての情報を取得すればよい。
在圏端末数取得部15Dは、第1の位置登録情報それぞれについての特徴量を計算する。例えば、在圏端末数取得部15Dは、第2の位置登録情報が取得された時刻と第3の位置登録情報が取得された時刻との差を、当該第1の位置登録情報についての特徴量として計算する。
また、在圏端末数取得部15Dは、第2の位置登録情報が取得された時刻が異常値である場合、ここでは一例として第1の位置登録情報が取得された刻と第2の位置登録情報が取得された時刻との差が所定の基準値(例えば1時間)より大きい場合に、第1の位置登録情報が取得された時刻から予め定められた時間(例えば1時間)だけ過去に遡った時刻を第2の位置登録情報が取得された時刻として用いて、第1の位置登録情報についての特徴量を計算する。同様に、在圏端末数取得部15Dは、第3の位置登録情報が取得された時刻が異常値である場合、ここでは一例として第1の位置登録情報が取得された時刻と第3の位置登録情報が取得された時刻との差が所定の基準値(例えば1時間)より大きい場合に、第1の位置登録情報が取得された時刻から予め定められた時間(例えば1時間)だけ未来に進めた時刻を第3の位置登録情報が取得された時刻として用いて、第1の位置登録情報についての特徴量を計算する。
このような第2、第3の位置登録情報が取得された時刻が異常値である場合の処理は、必須の処理ではないが、上記処理を行うことで、携帯端末100が圏外に位置していることや携帯端末100の電源がオフされていること等に起因して位置登録情報の取得時間間隔が異常に長くなった際に、当該異常に長くなった取得時間間隔による影響が過大に出ることを防ぐことができる。
在圏端末数取得部15Dは、位置登録情報についての特徴量、及び集計開始時刻と集計終了時刻との差である集計時間帯の時間長に基づいて、携帯端末数を推計する。詳細には、在圏端末数取得部15Dは、エリアIDが同一の位置登録情報を抽出し、抽出した位置登録情報に対応付けられた特徴量に基づいて携帯端末数を推計する。
詳細は後述するが、在圏端末数取得部15Dは、携帯端末数を推計する際に、エリアIDが同一の位置登録情報の特徴量の総和を集計時間帯の時間長の2倍によって除して得られた数値を携帯端末数として推計する。
[携帯端末数推計の考え方及び計算方法]
ここで、携帯端末数推計の考え方及び計算方法を説明する。図20に示すモデルのように、ある集計時間帯(長さT)の間に、n個の携帯端末a
1,a
2,…,a
nがエリアSを通過し、各携帯端末a
iの集計時間帯内のエリアSの滞在時間がt
i(0<t
i≦T)であったとする。このとき、エリアSに存在する携帯端末数m(実際にはエリアSに存在する携帯端末数mの集計時間帯内における平均値)は、以下の式(3)で表わされる。
即ち、各携帯端末a
iの集計時間帯内のエリアSの滞在時間t
iの総和を集計時間帯の長さTで除した結果を、携帯端末数mとして推計する。ただし、携帯端末a
iの集計時間帯内のエリアSの滞在時間t
iの真の値は観測不能であるが、各携帯端末a
iは位置登録情報を発信し、それらの位置登録情報は観測可能である。
携帯端末a
iが集計時間帯内にエリアSで発信した位置登録情報を、時刻順に
(x
iは、携帯端末a
iが集計時間帯内にエリアSで発信した位置登録情報の総数)とすると、携帯端末数の推計とは、観測された位置登録情報q
ij(jは1以上x
i以下の整数)からmの値を推計することに他ならない。
さて、図21に基づき携帯端末数推計の計算方法を説明する。携帯端末a
iから位置登録情報q
ijが送信される密度(即ち、単位時間あたりの位置登録情報数)をp
iとする。このとき、位置登録情報が送信される確率がエリアに対して独立であれば、携帯端末a
iが集計時間帯内にエリアSで発信した位置登録情報の総数x
iの期待値E(x
i)は、E(x
i)=t
i×p
iであるため、携帯端末a
iの集計時間帯内のエリアSの滞在時間t
iの期待値E(t
i)について以下の式(4)が成立する。
E(t
i)=x
i/p
i (4)
ここで、位置登録情報q
ijの送信時刻をu
ijとしたとき、位置登録情報q
ijの密度p
ijは、以下の式(5)で与えられる。
p
ij=2/(u
i(j+1)−u
i(j−1)) (5)
ここで、位置登録情報q
ijを第1の位置登録情報とすると、位置登録情報q
i(j−1)は第2の位置登録情報、位置登録情報q
i(j+1)は第3の位置登録情報に相当する。本実施形態では、第2の位置登録情報q
i(j−1)の送信時刻u
i(j−1)と第3の位置登録情報q
i(j+1)の送信時刻u
i(j+1)の差、即ち、上記式(5)の(u
i(j+1)−u
i(j−1))を、第1の位置登録情報についての特徴量w
ijとする。そのため、上記式(5)は、以下となる。即ち、特徴量w
ijは、密度p
ijの逆数に対応づけて算出することができる。
p
ij=2/(u
i(j+1)−u
i(j−1))=2/w
ij (6)
このとき密度p
iは、
で与えられるため、携帯端末数mの推計値E(m)は以下の式(8)で計算することができる。
図21の例に示すように、集計時間帯内であり且つ携帯端末aiがエリアSに滞在していた期間内に、携帯端末aiは位置登録情報qi1、qi2、qi3を送信し、位置登録情報qi1の直前に位置登録情報qi0を、位置登録情報qi3の直後に位置登録情報qi4を送信したものとし、位置登録情報qi0、qi1、qi2、qi3、qi4の送信時刻をそれぞれui0、ui1、ui2、ui3、ui4とすると、上記の考え方は、携帯端末aiの集計時間帯内のエリアSの滞在時間tiを、(ui0とui1の中点)から(ui3とui4の中点)までの期間と推計することに相当する。なお、携帯端末aiは、集計時間帯内ではないものの、エリアSへの滞在中に位置登録情報qi4を送信している。但し、滞在時間tiの推計量の不偏性を維持するために、ここでは一例として、滞在時間tiの終了時刻を集計時間帯Tの終了時刻と同じとして推計することは行わない処理を説明する。
以上のように、在圏端末数取得部15Dは、位置登録情報から特徴量を求め、求めた特徴量からエリア内の携帯端末数を推計することができる。この場合には、より正確に、エリア内の携帯端末数を推計することができる。なお、第4実施形態においても、第5実施形態と同様に、エリア情報付GPS情報を用いて在圏端末数取得部15Dが特徴量を求め、求めた特徴量からエリア内の携帯端末数を算出することができる。
次に、特徴量に関する変形例を述べる。前述した第5実施形態においては、特徴量を求める対象の位置登録情報(第1の位置登録情報)の前後の位置登録情報の時間差(第2の位置登録情報と第3の位置登録情報との時間差)を、第1の位置登録情報の特徴量として算出する例を示した。これを式で表すと、特徴量は、以下の式(9)で表すことができる。なお、以下の式(9)は、前述した式(6)を変形しただけであり、式(6)と等価である(即ち、式(6)の考え方を変更したものではない)。
wij=ui(j+1)−ui(j−1) (9)
本変形例は、在圏端末数取得部15Dにおいて算出される特徴量の算出方法の別のバリエーションを示すものである。
本変形例では、在圏端末数取得部15Dは、上記の第1の位置登録情報の特徴量を求める場合、第2の位置登録情報及び第3の位置登録情報についての種別情報(例えば後述する位置登録情報の生成要因(生成タイミング))を考慮する。具体的には、在圏端末数取得部15Dは、第3の位置登録情報と第1の位置登録情報との時間差に対し、第3の位置登録情報の種別情報(ここでは生成要因)に対応する補正係数αを乗算した値を算出するとともに、第1の位置登録情報と第2の位置登録情報との時間差に対し、第2の位置登録情報の種別情報(ここでは生成要因)に対応する補正係数βを乗算した値を算出する。ただし、上記以外に、在圏端末数取得部15Dは、第1の位置登録情報の種別情報に応じて補正係数α又はβを定めても良いし、また、第1及び第2の位置登録情報の種別情報に応じて補正係数βを定めても、第1及び第3の位置登録情報の種別情報に応じて補正係数αを定めてもよい。そして、在圏端末数取得部15Dは、これらの乗算で得られた値を合算した値を第1の位置登録情報の特徴量とする。在圏端末数取得部15Dにおける特徴量の算出処理を式で表すと、以下の式(10)で表される。
wij=α(ui(j+1)−uij)+β(uij−ui(j−1)) (10)
第2の位置登録情報及び第3の位置登録情報についての種別情報としては、例えば、位置登録情報の生成要因に関する情報が挙げられ、この生成要因に関する情報は、生成された位置登録情報に含まれている。位置登録情報の生成要因としては、端末が位置登録エリア(Location Area)境界を跨いだこと、周期的に行われる位置登録に基づき生成されたこと、端末の電源オン等によるアタッチ処理の実行、端末の電源オフ等によるデタッチ処理の実行などが挙げられ、これらの生成要因に対応して、補正係数α及びβの設定値を予め定めておく。そして、在圏端末数取得部15Dは、第3の位置登録情報の生成要因に関する情報に応じて第3の位置登録情報についての補正係数αを設定し、第2の位置登録情報の生成要因に関する情報に応じて第2の位置登録情報についての補正係数βを設定すればよい。なお、補正係数α、βはともに、0以上2以下の値に予め定めておいてもよい。但し、この数値範囲は必須ではない。
例えば、周期的に行われる位置登録に基づく位置登録情報のように携帯端末100の位置と位置登録情報の生成契機とが無関係である場合、現在のエリアに滞在していた時間の期待値は、当該位置登録情報の生成の前後で同じと考えられる。一方、位置登録エリア境界を携帯端末100が跨いだことで生成された位置登録情報の場合、少なくとも当該位置登録情報が生成される前は、携帯端末100は現在のエリアに滞在していなかったと判断できる。そのため、当該位置登録情報が生成される前に携帯端末100が現在のエリアに滞在していた時間を0と考え、第1の位置登録情報の種別情報(生成要因)が「位置登録エリア境界跨り」であれば、上記式(10)における補正係数β(即ち、直前の位置登録情報との時間差に関する補正係数β)を0に設定することができる。これにより、より実態に即した特徴量を算出できる。
(第6実施形態)
以下の第6、第7実施形態では、集計単位であるエリアごとの推計値(端末数)を、出力単位(ここでは一例としてメッシュ)ごとの推計値に変換する例について説明する。このうち第6実施形態では、単一の周波数帯を利用する屋外局の通信領域が存在する環境における処理を説明し、第7実施形態では、屋内局の通信領域および電波到達範囲が異なる周波数帯を利用する複数の屋外局の通信領域のうち2つ以上が地理的に重複して存在する環境における処理を説明する。なお、出力単位と集計単位とが同一の場合は、以下の第6、第7実施形態で述べる変換処理は不要である。
第6実施形態では、第1実施形態に係る端末数推計装置に対し、上述したメッシュごとの推計値への変換機能を加えた端末数推計装置およびその処理について説明する。
図22に示すように、第6実施形態における端末数推計装置10Eの機能ブロック構成は、第1実施形態における端末数推計装置の機能ブロック構成(図2)において、変換部18を加えた構成とされている。変換部18は、端末数補正部16で補正されたエリアごとの端末数を、後述の処理によりメッシュごとの端末数へ変換する。
以下、変換部18の処理を図23に基づき具体的に説明する。図23(a)はエリアのエリア範囲を示す図、図23(b)はメッシュを示す図、図23(c)はエリアとメッシュとを合成した合成図である。
変換部18は、予め記憶したエリア境界情報に基づいて再現されるエリア図(図23(a)参照)と、所定の区画分け規則に基づき再現される2次元的なメッシュ(図23(b)参照)とを合成し、図23(c)に示すような合成図を得る。次に、変換部18は、上記合成図においてメッシュ境界により各エリアを分割する。例えば、図24に示すように、図23(a)のエリアAは、メッシュ境界により4つの分割エリアA−1、A−2、A−3、A−4に分割される。そして、変換部18は、各分割エリアの面積を算出し、各分割エリアの面積比を算出する。例えば図24に示すように、分割エリアA−1、A−2、A−3、A−4の面積として、それぞれ10m2、50m2、100m2、40m2が算出されたとすると、分割エリアA−1、A−2、A−3、A−4の面積比(例えば百分率)として、5%、25%、50%、20%が算出される。
なお、変換部18が各分割エリアの面積比を算出することは必須ではない。例えば、各分割エリアの面積比は予め求められており、変換部18は、各分割エリアの面積比の情報を、端末数推計装置10E内の図示しないテーブル又は外部から参照可能とされた構成であってもよい。
次に、変換部18は、各分割エリアの端末数を算出する。例えば図23(a)のエリアAの端末数が800台であったとすると、図25に示すように分割エリアA−2の端末数として、200台(即ち、800台×25%)が算出される。同様に、エリアB、Cの端末数がそれぞれ500台、750台であったとすると、エリアBにおける面積比80%の分割エリアB−1の端末数として、400台(即ち、500台×80%)が算出され、エリアCにおける面積比80%の分割エリアC−4の端末数として、600台(即ち、750台×80%)が算出される。
さらに、変換部18は、1つのメッシュに内包された複数の分割エリアの端末数の総和を算出することで、当該メッシュの端末数を算出する。図25の例では、1つのメッシュに内包された分割エリアA−2、B−1、C−4の端末数の総和1200台(即ち、200台+400台+600台)を算出し、この1200台を当該メッシュの端末数とする。
以上のようにして、単一の周波数帯を利用する屋外局の通信領域が存在する環境において、集計単位(エリア)ごとの端末数を出力単位ごとの端末数に変換することができる。
なお、第6実施形態では、第1実施形態をベースにして、集計単位ごとの端末数を出力単位ごとの端末数に変換する処理を説明したが、第6実施形態は、前述した第2〜第5実施形態にも適用可能である。また、第6実施形態で述べた変換処理は、集計単位ごとの人口を出力単位ごとの人口に変換する場合にも適用可能であり、図15を用いて説明した変形例に適用することで、集計単位ごとの人口を出力単位ごとの人口に変換することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態では、屋内局の通信領域および電波到達範囲が異なる周波数帯を利用する複数の屋外局の通信領域のうち2つ以上が地理的に重複して存在する環境で、集計単位であるエリア(セクタ)ごとの推計値(端末数)を、出力単位(ここでは一例としてメッシュ)ごとの推計値に変換する例について説明する。
第7実施形態の端末数推計装置の機能ブロック構成は第6実施形態と同様であるが、変換部18の処理が異なるため、変換部18の処理について図26、図27に基づき説明する。
図26に示すように、屋内局の通信領域および電波到達範囲が異なる周波数帯(屋外2GHz/1.7GHzと屋外800MHz)を利用する複数の屋外局の通信領域が地理的に重複して存在する環境では、変換部18は、それぞれの通信領域について第6実施形態で述べた変換処理を行うことで、それぞれの通信領域に関する出力単位(メッシュ)ごとの端末数を求め、最後に、出力単位ごとに各通信領域に関する端末数を合算することで、出力単位ごとの端末数を得る。
図26の例では、変換部18は、まず、屋外2GHz/1.7GHzを利用する屋外局の通信領域、屋外800MHzを利用する屋外局の通信領域、屋内局の通信領域それぞれについて第6実施形態で述べた変換処理を行う。例えば、屋外2GHz/1.7GHzを利用する屋外局の通信領域において、出力単位QとエリアAとが重なった分割エリアがエリアA全体に対し40%の面積比であるとすると、エリアAの推計端末数100台に面積比0.4を乗算することで、出力単位QとエリアAとが重なった分割エリアの推計端末数40台が得られる。同様にして、出力単位QとエリアBとが重なった分割エリアについての推計端末数3台(エリアBの推計端末数30台×面積比0.1)、および、出力単位QとエリアCとが重なった分割エリアの推計端末数5台(エリアCの推計端末数100台×面積比0.05)が得られる。屋外800MHzを利用する屋外局の通信領域についても同様に、出力単位QとエリアDとが重なった分割エリアの推計端末数3台(エリアDの推計端末数10台×面積比0.3)、および、出力単位QとエリアFとが重なった分割エリアの推計端末数9台(エリアFの推計端末数30台×面積比0.3)が得られる。一方、屋内局については、個々の屋内局の電波到達範囲であるエリアは非常に小さくて、図26の例では、1つの屋内局のエリアLの全体が出力単位Qと重なっているため、100%の面積比と考えることができる。そこで、エリアLの推計端末数10台に面積比1.0を乗算することで、出力単位QとエリアLとが重なったエリア(この例ではエリアL全体)の推計端末数10台が得られる。
最後に、変換部18は、上記のようにして得られた、出力単位Qと各エリアとが重なったエリアの推計端末数を合算することで、出力単位Qの推計端末数70台を得る。以上のようにして、集計単位ごとの端末数から出力単位Qの推計端末数へ変換することができる。
図26は、1つの出力単位Qの推計端末数への変換を示しているが、同様の処理を他の出力単位についても実行することで、対象とする全ての出力単位の推計端末数への変換を行うことができる。
図27には、対象とするn個の出力単位の推計端末数への変換を行うための行列式を示す。即ち、図27の式の右辺の
(jは1以上m以下の整数(mは対象とするn個の出力単位のうち何れかと重なっている集計単位の数))は、端末数補正部16により求められた集計単位ごとの端末数(推計端末数)を意味し、左辺の
(iは1以上n以下の整数)は、出力単位ごとの端末数を意味し、右辺の行列式における
は、集計単位b
jの端末数から出力単位a
iの端末数へ変換するための変換係数を意味する。ここでの変換係数は、前述した分割エリアが元のエリア全体に占める面積比に相当する。
図27における各変換係数は、推計単位(エリア)と出力単位(メッシュ)との位置関係から予め求めることが可能であり、各変換係数を予め求めて図27の式を記憶しておくことにより、図27の式を用いて、推計により求められた集計単位ごとの端末数(推計端末数)から出力単位ごとの端末数へ簡易に且つ速やかに変換することができる。
以上のようにして、屋内局の通信領域および電波到達範囲が異なる周波数帯を利用する複数の屋外局の通信領域のうち2つ以上が地理的に重複して存在する環境であっても、集計単位ごとの端末数を出力単位ごとの端末数に変換することができる。
また、第7実施形態では、第1実施形態をベースにして、集計単位ごとの端末数を出力単位ごとの端末数に変換する処理を説明したが、第7実施形態は、前述した第2〜第5実施形態にも適用可能である。また、第7実施形態で述べた変換処理は、集計単位ごとの人口を出力単位ごとの人口に変換する場合にも適用可能であり、図15を用いて説明した変形例に適用することで、集計単位ごとの人口を出力単位ごとの人口に変換することができる。
(第8実施形態)
第8実施形態では、ある推計値(端末数や人口など)が出力される前に、予め定められた基準に基づき推計値に対し秘匿処理を行う実施形態について説明する。
図28に示すように、第8実施形態における端末数推計装置10Fの機能ブロック構成は、第1実施形態における端末数推計装置の機能ブロック構成(図2)において、秘匿処理を行う秘匿処理部19を加えた構成とされている。
秘匿処理部19は、端末数補正部16から端末数を受け取ったときに、例えば図29に示す秘匿処理を行う。即ち、秘匿処理部19は、在圏端末数取得部15によって取得された端末数の推計の基礎となったエリアごとの位置データが、何台の端末から取得されたかを示す取得元端末数を取得する。そして、秘匿処理部19は、取得元端末数が、秘匿処理が必要と判断するための予め定められた基準値(一例として10)未満であるか否かを判定する(図29のステップS41)。なお、在圏端末数取得部15によって取得される端末数は、携帯端末100の位置を表す位置データに基づいて推定されているものとする。一例として、在圏端末数取得部15によって取得される端末数には、予め取得元端末数が付加されていてもよい。
ステップS41にて、端末数の推計の基礎となったエリアごとの位置データの取得元端末数が基準値未満ならば、秘匿処理部19は当該エリアに関する端末数をゼロとすることで、当該端末数を秘匿する(ステップS42)。なお、ここでの秘匿方法は、端末数をゼロとすることに限定されるものではなく、端末数を所定の文字や記号(例えば「X」など)で表象する方法など他の方法を採用してもよい。
一方、ステップS41にて、端末数の推計の基礎となったエリアごとの位置データの取得元端末数が基準値以上ならば、秘匿処理部19は当該エリアに関する端末数に対し、以下のような、推計値出力にて用いられる階級幅の確率的丸めを行う(ステップS43)。即ち、あるエリアに関する端末数をx、階級幅をkとすると、秘匿処理部19は、kn≦x<k(n+1)(nは整数)の場合に、当該端末数xを、確率(x−kn)/kでk(n+1)に、確率(k(n+1)−x)/kでknに丸める。
例えば、端末数xが23、階級幅kが10の場合、k×2≦x<k(2+1)なので、n=2となり、端末数「23」は、確率0.3(30%の確率)で「30」に、確率0.7(70%の確率)で「20」に丸められる。
以上のような秘匿処理部19による秘匿処理により、端末数の推計結果からの個人特定を防止して推計結果の有用性を高めることができる。また、秘匿した値が他の値から推測できてしまうといった不都合を未然に防止することができる。
また、秘匿処理部19による秘匿処理は、図29に示す処理には限定されず、別の処理を採用してもよい。例えば、図29のステップS41で否定判定された場合には、ステップS43の処理を省略してもよい。
なお、本発明に係る端末数推計装置及び端末数推計方法は本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る端末数推計装置及び端末数推計方法は、各請求項に記載した要旨を変更しないように実施形態に係る端末数推計装置及び端末数推計方法を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、上記実施形態では、端末数推計装置10〜10Fは、ペタマイニングユニット502内に構成されているが、管理センタ500の他のユニット内に構成されてもよい。また、端末数推計装置10〜10Fは、管理センタ500外のサーバ装置内に構成されてもよい。
また、端末数推計装置10〜10Fは、定期的な端末数推計指示により、所定時間帯における所定エリア内の端末数を定期的に推計してもよい。また、端末数推計装置10〜10Fは、外部インターフェースから適宜端末数推計指示が入力され、所望の時間帯における所望のエリア内の端末数を推計してもよい。
また、端末数推計装置10Aにおいて、エリア範囲推定部14aを、端末数推計装置10Aの外部に設ける構成としてもよい。また、端末数推計装置10Bにおいて、エリア範囲推定部14aを更に含んでもよい。
また、上記第1〜第3、第5〜第8実施形態では、第1位置情報に含まれている第1時刻情報は、携帯端末100が第1位置情報を送信した時刻、又は管理センタ500が当該第1位置情報を受信した時刻を示す情報であるとしているが、これに限定されない。この第1時刻情報は、第1位置情報の送受信に関する時刻を示す情報であればよく、通信システム1のいずれにおいて付与された時刻を用いてもよい。
また、上記第1〜第3、第5〜第8実施形態では、第2位置情報に含まれている第2時刻情報は、携帯端末100が第2位置情報を送信した時刻、又は管理センタ500が当該第2位置情報を受信した時刻を示す情報であるとしているが、これに限定されない。この第2時刻情報は、第2位置情報の送受信に関する時刻を示す情報であればよく、通信システム1のいずれにおいて付与された時刻を用いてもよい。
また、対応情報生成部13は、エリアIDと座標情報と時差情報とを対応付けた対応情報を対応情報管理テーブルに記録しているが、時差情報を省略してもよい。例えば、対応情報生成部13は、第1時刻情報により示される時刻と第2時刻情報により示される時刻との時差が所定値以内である場合に、当該時差を示す時差情報を省略して、第1位置情報に含まれるエリアIDと第2位置情報に含まれる座標情報とを対応付けた対応情報を生成してもよい。
また、対応情報生成部13は、時差情報を用いることなく対応情報を生成することもできる。例えば、対応情報生成部13は、第1位置情報取得部11によって取得された第1位置情報と第2位置情報取得部12によって取得された第2位置情報のうち、同一の端末IDを有し、かつ、第1時刻情報により示される時刻と第2時刻情報により示される時刻とが同一であるものを抽出してもよい。そして、対応情報生成部13は、第1位置情報に含まれるエリアIDと第2位置情報に含まれる座標情報とを対応付けた対応情報を生成してもよい。また、第2位置情報がエリアIDを含んでいる場合がある。このような場合には、対応情報生成部13は、第2位置情報のみを用いて対応情報を生成することもできる。
また、エリア範囲推定部14aは、ベイズ法などを用いて、隣接するそれぞれのエリアとの境界を順次推定することなく、一回の推定処理によってエリア範囲を推定することもできる。
また、補正行列生成部161bは、あるエリアを基準として他のエリアの対応情報数の割合及び第1位置情報登録数の割合を算出しているが、全体数を基準として各エリアの対応情報数の割合及び第1位置情報登録数の割合を算出してもよい。
また、上記第1〜第8実施形態は、端末数推計装置10〜10Fにおける各機能を実行するためのプログラムモジュールとして実現されてもよい。すなわち、第1位置情報取得部11に相当する第1位置情報取得モジュール、第2位置情報取得部12に相当する第2位置情報取得モジュール、対応情報生成部13に相当する対応情報生成モジュール、エリア情報取得部14に相当するエリア情報取得モジュール、在圏端末数取得部15に相当する在圏端末数取得モジュールおよび端末数補正部16に相当する端末数補正モジュール、対応情報取得部11Cに相当する対応情報取得モジュールを適宜備えた端末数推計プログラムであって、サーバ等のコンピュータシステムに当該プログラムを読み込ませることにより、上述の端末数推計装置10〜10Fと同等の機能を実現することができる。上述の端末数推計プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVDもしくはROM等の記録媒体または半導体メモリに格納されて提供される。また、上述の端末数推計プログラムは、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号としてネットワークを介して提供されてもよい。
なお、上記各実施形態及び変形例において、第1位置情報、第2位置情報及びエリア情報付GPS情報には携帯端末100のユーザを特定する端末IDが付加されているものとした。この端末IDは、少なくとも他のユーザと区別することができるものであればよい。したがって、端末IDとして、ユーザを特定するための情報に対して一方向性関数による不可逆符号への変換を含む非識別化処理を行ったものを用いてもよい。この一方向性関数として、国内外の評価プロジェクトや評価機関により推奨されているハッシュ関数に基づく鍵付ハッシュ関数を用いることができる。この非識別化処理は、例えば、上述の、第1位置情報取得部11、第2位置情報取得部12及び対応情報取得部11Cにおいて行うことができる。但し、これら以外で非識別化処理を行ってもよい。