次に、本発明に係る層別割当装置及び層別割当方法を適用した移動通信システムの好適な一実施形態について説明する。まず、移動通信システム10の機能ブロック構成について説明する。図1は、移動通信システムの機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、移動通信システム10は、移動機100と、BTS(基地局)200と、RNC(無線ネットワーク制御装置)300と、交換機400と、GPS位置管理部501と、位置収集部502と、層別割当装置としての人口算出装置600とを含んで構成されている。
移動機100は、GPS機能部101を含んで構成されている。GPS機能部101は、GPS(第2の測位)を用いて移動機100の存在位置を示す詳細な位置情報(以下「GPS座標情報」と称する。)を取得するものである。GPS座標情報(第2の測位位置情報)は、移動機100に搭載された所定のアプリケーション(GPS座標情報を用いるアプリケーション)の実行時等に取得される。GPS機能部101は、GPS座標情報を取得すると、取得したGPS座標情報をGPS位置管理部501に対して出力する。
BTS200は、アンテナ201から移動機100と通信を行うための電波を放射し、通信エリアであるセクタを形成する。なお、セクタの種類として、有指向性セクタと、無指向性セクタとがある。有指向性セクタは、指向性を有するアンテナを用いて形成されるセクタである。例えば、図2(a)に示すように、アンテナ201が指向性を有する6つのアンテナを備え、各アンテナがそれぞれ60度ずつ異なる方向に電波を放射する場合、6つの有指向性セクタC1〜C6が形成される。無指向性セクタは、例えば、一つのアンテナからすべての方向に電波を放射することによって形成されるセクタである。例えば、図2(b)に示すように、アンテナ201からすべての方向に電波を放射することによって無指向性セクタC10が形成される。
RNC300は、通信制御部301と、位置特定部302とを含んで構成されている。通信制御部301は、移動機100とBTS200を介して通信接続を行う部分であり、例えば、移動機100からの発信処理若しくは着信処理に基づいた通信接続処理に基づいた通信接続処理等を行う部分である。
位置特定部302は、PRACH-PD測位方式(第1の測位)を用いて、移動機100のセクタ内の位置を特定する。このPRACH-PD測位方式を用いた移動機100のセクタ内の位置の特定は、移動機100が通信接続(例えば、発信時、着信時、又はハンドオーバ時における接続処理等)を行う際に実行される。詳細には、位置特定部302は、図3に示すように、移動機100へ向けて送信されたPRACH信号が移動機100で折り返してBTS200に到達するまでの伝播時間(第1の測位位置情報、伝播時間情報)を測定する。この伝播時間の測定結果は、電波の位相周期に基づいて得られる所定の単位時間毎となる。
位置特定部302は、図4に示すように、PRACH-PD測位方式を用いて移動機100の位置を測位した測位時刻と、移動機100が在圏するセクタのセクタ識別子と、伝播時間とを対応付けた情報を遅延情報(第1の測位位置情報、第1の対応情報)として算出する。この遅延情報は、セクタが有指向性セクタであるか、無指向性セクタであるかを問わず算出することができる。なお、この伝播時間により、アンテナ201と移動機100との離間距離を求めることができ、伝播時間が移動機100の位置を表していると言える。即ち、遅延情報は、移動機100の位置を示す位置情報であると言える。
また、位置特定部302は、PRACH-PD測位方式を用いて遅延情報を算出する以外にも、移動機100の位置を特定する情報として、移動機100の座標を用いたPRACH-PD位置情報(第1の測位位置情報、対応情報)を算出する。具体的には、セクタが有指向性セクタである場合、図5に示すように、位置特定部302は、電波の指向方向に沿った直線L上に移動機100が位置しているものと仮定し、離間距離に基づいて得られる直線L上の位置P1を移動機100の位置として算出する。そして、位置特定部302は、図6に示すように、移動機100の位置を測位した測位時刻と、移動機100が在圏するセクタのセクタ識別子と、離間距離に基づいて得られる直線L上における移動機100の座標(緯度・経度)とを対応付けたPRACH-PD位置情報を算出する。
また、セクタが無指向性セクタである場合、図2(b)に示すように、位置特定部302は、アンテナ201の位置P10に移動機100が位置しているものと仮定する。そして、位置特定部302は、図7に示すように、移動機100の位置を測位した測位時刻と、移動機100が在圏するセクタのセクタ識別子と、移動機100の座標(緯度・経度)(アンテナ201の位置)とを対応付けたPRACH-PD位置情報を算出する。なお、セクタが無指向性セクタである場合、PRACH-PD測位方式を用いて測位される移動機100の位置は、ほぼ全てがアンテナ201の位置と一致する。
位置特定部302は、算出した遅延情報及びPRACH-PD位置情報を、通信制御部301を通じて交換機400へ出力する。
交換機400は、通信制御部401と、位置情報管理部402とを含んで構成されている。通信制御部401は、RNC300の通信制御部301と同様に、通信接続処理を行う部分である。
位置情報管理部402は、位置特定部302から送信された遅延情報及びPRACH-PD位置情報を記憶する。なお、図4,図6,及び図7に示すように、遅延情報(図4参照)とPRACH-PD位置情報(図6,図7参照)とを別テーブルで示したが、遅延情報の伝播時間とPRACH-PD位置情報の座標情報とが同一テーブルで保持されていてもよい。
GPS位置管理部501は、図8に示すように、移動機100によってGPS座標情報が取得された時刻と、当該移動機100が在圏するセクタのセクタ識別子と、緯度・経度とを対応付けし、対応付けした結果をGPS位置情報(第2の対応情報)として記憶する。
位置収集部502は、GPS位置管理部501が記憶するGPS位置情報と、位置情報管理部402が記憶する遅延情報、PRACH-PD位置情報を収集する。そして、位置収集部502は、収集した情報を所定のタイミング、又は人口算出装置600からの要求に応じて人口算出装置600に出力する。
人口算出装置600は、人口分布算出単位エリア(分布算出単位エリア)毎の人口を算出するものである。図9に示すように、人口算出装置600は、GPS位置情報取得部(第2の対応情報取得手段)601、遅延位置情報取得部(第1の対応情報取得手段)602、設備変更検出部603、設備情報蓄積部604、層状分割部(層状分割手段)605、層内人口算出部(層別割当手段)606、算出単位エリア変換部(算出単位エリア変換手段)607、人口出力部609、及び層状領域作成パラメータ推定部610を含んで構成される。
GPS位置情報取得部601は、位置収集部502から出力されたGPS位置情報(図8参照)を取得する。遅延位置情報取得部602は、位置収集部502から出力された遅延情報及びPRACH-PD位置情報(図4,図6,図7参照)を取得する。
層状領域作成パラメータ推定部610は、GPS位置情報取得部601又は遅延位置情報取得部602によって取得されたGPS位置情報、遅延情報PRACH-PD位置情報のうち、少なくともいずれか一つに基づいて、セクタの種別や主勢力エリア等を算出する。詳細には、層状領域作成パラメータ推定部610は、図9に示すように、セクタ種別判断部611、アンテナ位置算出部612、主勢力エリア推定部(主勢力エリア推定手段)613、放射方向算出部615、放射幅算出部(放射幅算出手段)616、及び層幅算出部(層幅算出手段)617を含んで構成される。
セクタ種別判断部611は、BTS200によって形成されるセクタが有指向性セクタであるか、無指向性セクタであるかを、遅延位置情報取得部602によって取得されたPRACH-PD位置情報に基づいて判断する。以下、セクタ種別を判断する3つの方法について説明する。
ここで、PRACH-PD測位方式を用いて算出された移動機100のPRACH-PD位置情報の詳細について説明する。まず、セクタが有指向性セクタであり、当該セクタ内に複数の移動機100が在圏している場合について説明する。この場合、伝播時間の測定結果は所定の単位時間毎となるため、図10に示すように、PRACH-PD位置情報における各移動機100の座標位置は、各移動機100におけるアンテナ201との距離に基づいて、電波の指向方向に沿った直線L上の位置P1,P2,P3,P4,P5のいずれかの位置となる性質を持っている。
しかしながら、複数のセクタの境界に移動機100が存在する状態でPRACH-PD測位を行うと、各セクタ間の中心位置に移動機100の測位点が近似されることがある。アンテナ201の近傍においては、複数のセクタが近い間隔で隣接しており、特に、アンテナ201の近傍において、移動機100の測位点として、直線L上以外の位置(例えば、図10の位置P11,P12,P13等)が算出されることがある。但し、移動機100がセクタの境界に位置する頻度が少ないため、移動機100の測位点が直線L以外の位置として算出されることは少ない。例えば、位置P1〜P5には、それぞれ数百個の移動機100が測定されたものとする。また、P11〜P13には、それぞれ数個程度の移動機100が測定されたものとする。
次に、セクタが無指向性セクタであり、当該セクタ内に複数の移動機100が在圏している場合について説明する。この場合、図11に示すように、PRACH-PD位置情報における各移動機100の測位点は、アンテナ201の位置P10に集まる性質を持っている。しかしながら、上述のように、複数のセクタの境界に移動機100が存在する状態でPRACH-PD測位を行うと、各セクタ間の中心位置に移動機100の測位点が近似されることがある。このため、頻度は少ないものの、移動機100の測位点として、アンテナ201の位置P10以外の位置(例えば、図11の位置P14,P15,P16,P17等)が算出されることがある。例えば、位置P10には、数百個の移動機100が存在するものとして測定されたものとする。P14〜P17には、それぞれ数個程度の移動機100が測定されたものとする。
まず、セクタ種別判断部611によるセクタ種別判断の第1の方法について説明する。セクタ種別判断部611は、セクタ種別の判断対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計する。この測位点の位置が一点に集中する場合、セクタ種別判断部611は、対象とするセクタは無指向性セクタであるものとして判断する。
次に、セクタ種別判断部611によるセクタ種別判断の第2の方法について説明する。セクタ種別判断部611は、セクタ種別の判断対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計する。そして、セクタ種別判断部611は、測位点毎の移動機100の端末数(信号数)を計数する。そして、セクタ種別判断部611は、最も信号数が多い測位点と2番目に信号数が多い測位点とを結ぶ直線を求め、求めた直線上に測位点が所定の閾値以上(例えば、3点以上等)存在しているか否かを判断する。なお、直線上の測位点以外にも、直線から所定距離(例えば、20m等)以内に存在する測位点を用いてもよい。直線上の測位点が所定の閾値以上あると判定される場合、セクタ種別判断部611は、対象とするセクタは有指向性セクタであるものとして判断する。これは、有指向性セクタである場合には、図10に示すように測位点が電波の指向方向に沿った直線L上に並ぶ性質を利用したものである。
次に、セクタ種別判断部611によるセクタ種別判断の第3の方法について説明する。セクタ種別判断部611は、セクタ種別の判断対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計する。例えば、図10に示す有指向性のセクタC11についてのPRACH-PD位置情報を集計した場合には、図12に示すように、移動機100が測位された測位点である各位置P1〜P5,P11〜P13毎に、移動機100の端末数(信号数)が集計される。なお、位置P2の緯度をY2、経度をX2とし、信号数を400とする。また、位置P5の緯度をY5,経度をX5とし、信号数を200とする。
また、例えば、図11に示す無指向性のセクタC12についてのPRACH-PD位置情報を集計した場合には、図13に示すように、移動機100が測位された測位点である各位置P10,P14〜P17毎に、移動機100の端末数(信号数)が集計される。なお、位置P10の緯度をY10、経度をX10とし、信号数を400とする。また、位置P15の緯度をY15,経度をX15とし、信号数を2とする。
次に、セクタ種別判断部611は、集計したPRACH-PD位置情報の測位点毎の信号数より、信号数が多い測位点を多いものから順に2つ抽出する。例えば、図12に示す有指向性のセクタC11についてのPRACH-PD位置情報の集計結果では、信号数が多い2つの測位点として位置P2(X2,Y2)と位置P5(X5,Y5)が抽出される。また、例えば、図13に示す無指向性のセクタC12についてのPRACH-PD位置情報の集計結果では、信号数が多い2つの測位点として位置P10(X10,Y10)と位置P15(X15,Y15)が抽出される。
次に、セクタ種別判断部611は、抽出した2つの測位点の信号数を比較する。比較の結果、セクタ種別判断部611は、2つの測位点における信号数の差が所定値より大きい場合、又は比率が所定値より小さい場合にはそのセクタを無指向性セクタであると判断し、信号数の差が所定値より小さい場合、又は比率が所定値より大きい場合にはそのセクタを有指向性セクタであると判断する。これは、無指向性セクタの場合には、ほぼ全ての移動機100の測位点がアンテナ201の位置となり、アンテナ201以外の位置に測位されることが少ないことを利用したものである。更に、有指向性セクタの場合には、電波の指向方向の直線上の各位置において比較的均等に移動機100が測位されることを利用したものである。
例えば、図12に示す有指向性のセクタC11についてのPRACH-PD位置情報から抽出された2つの測位点の信号数は、位置P2における信号数400と、位置P5における信号数200となっている。また、図13に示す無指向性のセクタC12についてのPRACH-PD位置情報から抽出された2つの測位点の信号数は、位置P10における信号数400と、位置P15における信号数2となっている。従って、セクタ種別判断部611は、図13に示すように、信号数の差が大きいセクタC12(図11参照)を無指向性セクタとして判断し、図12に示すように、信号数の差が小さいセクタC11(図10参照)を有指向性セクタとして判断する。
次に、セクタ種別判断部611における第3の方法に関する処理の流れについて、図14に示すフローチャートを用いて説明する。まず、セクタ種別判断部611は、セクタ種別の判断対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を取得し、取得したPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計する(ステップS101)。次に、セクタ種別判断部611は、集計したPRACH-PD位置情報の測位点毎の信号数より、信号数が多い測位点を多いものから順に2つ抽出する(ステップS102)。2つの測位点が抽出できない場合(ステップS102:NO)、セクタ種別判断部611は、判断対象としたセクタは無指向性セクタであるものとして判断する(ステップS105)。
一方、2つの測位点が抽出できた場合(ステップS102:YES)、セクタ種別判断部611は、抽出した2つの測位点における信号数の差が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS103)。なお、この判断において、2つの信号数のうち、小さい方の信号数が大きい方の信号数に対して所定の閾値(例えば5%等)以下の場合に、信号数の差が所定値以上であるものとして判断することもできる。
信号数の差が所定値以上である場合(ステップS103:YES)、セクタ種別判断部611は、判断対象としたセクタは無指向性セクタであるものとして判断する(ステップS105)。一方、信号数の差が所定値以上でない場合(ステップS103:NO)、セクタ種別判断部611は、判断対象としたセクタは有指向性セクタであるものとして判断する(ステップS104)。
以上のようにして、セクタ種別判断部611は、PRACH-PD位置情報を用いて、各セクタについてのセクタ種別を判断する。また、上述したセクタ種別を判断するための3つの方法のうち、所定の2以上の方法を組み合わせて用いてもよい。即ち、セクタ種別判断部611は、上述したセクタ種別判断の第1の方法のようにPRACH-PD位置情報の各測位点の位置が一点に集中するか否かを判断し、一点に集中する場合、対象とするセクタは無指向性セクタであるものとして判断する。測位点の位置が一点に集中しない場合、セクタ種別判断部611は、上述したセクタ種別判断の第2の方法のように最も信号数が多い測位点と2番目に信号数が多い測位点とを結ぶ直線を求め、求めた直線上に測位点が所定の閾値以上(例えば、3点以上等)あると判定されるか否かを判断し、測位点が所定の閾値以上あると判定されない場合、対象とするセクタは無指向性セクタであるものとして判断する。測位点が所定の閾値以上あると判定される場合、セクタ種別判断部611は、上述したセクタ種別判断の第3の方法のように、最も信号数が多い測位点における信号数と2番目に信号数が多い測位点における信号数との差が所定値より大きい場合、又は比率が所定値より小さい場合、対象とするセクタは無指向性セクタであるものとして判断する。一方、最も信号数が多い測位点における信号数と2番目に信号数が多い測位点における信号数との差が所定値より小さい場合、又は比率が所定値より大きい場合、セクタ種別判断部611は、対象とするセクタを無指向性セクタであるものとして判断する。この場合には、セクタ種別の判断の精度を向上させることができる。なお、セクタ種別判断部611によるセクタ種別の判断は必須ではなく、予め設備情報蓄積部604にセクタ種別を記憶しておくこともできる。
アンテナ位置算出部612は、PRACH-PD位置情報によって得られる移動機100の分布に基づいて、アンテナ201の位置を算出する。なお、アンテナ位置算出部612は、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200が形成するセクタが、有指向性セクタであるか或いは無指向性セクタであるかに基づいて、異なる方法によってアンテナ201の位置を推定する。このセクタ種別は、セクタ種別判断部611によって判断されたセクタ種別を用いることができる。以下、第1〜第7の方法として、BTS200によって形成されるセクタが有指向性セクタである場合にアンテナ201の位置を算出する方法を説明し、第8,第9の方法として、無指向性セクタである場合にアンテナ201の位置を算出する方法を説明する。
まず、アンテナ201の位置を算出する第1の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200が形成するセクタが有指向性セクタである場合、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200についてのPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。なお、PRACH-PD位置情報には、例えば図6に示す各情報の他に、BTSを識別するための識別情報が付加されているものとする。
アンテナ位置算出部612は、取得したあるBTSについてのPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計し、図15(a)に示すようにマッピングする。ここでは、算出対象としたBTS200のアンテナ201は、指向性を有する3つのアンテナを備えており、3つのセクタC21,C22,C23が形成されているものとする。また、ここでは、BTS B1のアンテナ201の位置を求めるものとする。
アンテナ201が指向性を有する場合、PRACH-PD測位を行うと、上述のように、セクタ毎に電波の指向方向に沿って移動機100の測位点が並ぶ性質を有する。図15(a)では、BTS B1についてセクタ識別子C21〜C23に対応付けられた各移動機100の測位点が示されている。
次に、アンテナ位置算出部612は、図15(b)に示すように、セクタ毎に、マッピングした測位点を通る直線L21,L22,L23を求める。なお、例えば、直線L21を求める場合、セクタC21についての移動機100の各測位点のうち、信号数の多い2つの測位点に基づいて求めることもできる。そして、アンテナ位置算出部612は、直線L21〜L23の交点A1の位置を、BTS B1のアンテナ201の位置として算出する。
次に、アンテナ201の位置を算出する第2の方法について説明する。ここでは、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200が図2(a)と同様に、6つのセクタを形成しているものとする。アンテナ位置算出部612は、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200が形成するセクタが有指向性セクタである場合、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200についてのPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。
アンテナ位置算出部612は、取得したあるBTSについてのPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計し、図16(a)に示すようにマッピングする。ここでは、算出対象としたBTS200のアンテナ201は、指向性を有する6つのアンテナを備えており、6つのセクタC31,C32,C33,C34,C35,C36が形成されているものとする。また、ここでは、BTS B2のアンテナ201の位置を求めるものとする。図16(a)では、BTS B2についてセクタ識別子C31〜C36に対応付けられた各移動機100の測位点が示されている。
次に、アンテナ位置算出部612は、図16(b)に示すように、マッピングした測位点を通る直線L31,L32,L33,L34,L35,L36をセクタ毎に求める。この直線を求める際に、上述の第1の方法と同様に、信号数の多い2つの測位点に基づいて求めることもできる。
そして、アンテナ位置算出部612は、直線L31〜L36の所定の2つの組み合わせにおける交点をそれぞれ求める。具体的には、電波の放射方向が180度程度(例えば、180度±5度程度等)異なるセクタについて、測位点を通る直線の交点を求めると、微細なずれによって、交点の位置が実際のアンテナの位置と乖離する場合が考えられる。そこで、電波の放射方向が180度程度異なるセクタについては、測位点を通る直線の交点を求めることは行わない。従って、直線L31と直線L32との交点、直線L31と直線L33との交点、直線L31と直線L35との交点、直線L31と直線L36との交点、直線L32と直線L33との交点、直線L32と直線L34との交点、直線L32と直線L36との交点、直線L33と直線L34との交点、直線L33と直線L35との交点、直線L34と直線L35との交点、直線L34と直線L36との交点、及び、直線L35と直線L36との交点をそれぞれ求める。
そして、アンテナ位置算出部612は、求めた各交点の平均の位置A2を、BTS B2のアンテナ201の位置として算出する。なお、各交点の平均の位置と、各交点の位置との距離が所定距離(例えば、数メートル程度)以内である場合に、求めた各交点の平均の位置をアンテナ位置として算出することもできる。
次に、アンテナ201の位置を算出する第3の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、ある有指向性セクタを形成するBTS200のアンテナ201の位置を算出する場合、アンテナ201の位置の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。
アンテナ位置算出部612は、取得したあるセクタについてのPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計し、図12と同様に、測位点毎に信号数を算出する。集計結果をマッピングすると、図17に示すように、測位点が電波の指向方向に並ぶ性質を有する。
そして、アンテナ位置算出部612は、図17に示す各測位点のうち、測位点の並び方向の一方の端点を原点として、原点からの距離と、各測位点における信号数との関係を求める。これをグラフで表すと、図18で表される。図18では、横軸に原点からの距離、縦軸に信号数を表している。
図18に示す例では、信号数の多い部分が、原点位置側に偏っている。従って、アンテナ位置算出部612は、各測位点のうち、原点とした測位点の位置をアンテナ201の位置として算出する。これは、BTS200に近いほど、そのBTS200に移動機100が属しやすい(信号数が多くなる)という無線の特性を利用するものである。
なお、図18において、信号数の多い部分が原点とは反対側(原点からの距離が遠い側)に偏っていた場合、アンテナ位置算出部612は、測位点の並び方向の他方の端点の位置をアンテナ201の位置として算出する。
次に、アンテナ201の位置を算出する第4の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、ある有指向性セクタを形成するBTS200のアンテナ201の位置を算出する場合、アンテナ201の位置の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。
アンテナ位置算出部612は、取得したあるセクタについてのPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計し、図12と同様に、測位点毎に信号数を算出する。集計結果をマッピングすると、図19(a)に示すように、測位点が電波の指向方向に並ぶ性質を有する。ここでは、11個の測位点(測位点T1〜T11)が存在するものとする。
そして、アンテナ位置算出部612は、図19(a)に示す各測位点のうち、信号数が多い測位点を多いものから順に2つ抽出する。例えば、測位点T2の信号数が400であり、測位点T5の信号数が200であり、この測位点T2,T5が抽出されたものとする。アンテナ位置算出部612は、図19(b)に示すように、測位点T2と測位点T5とを通る直線L40を求める。
アンテナ位置算出部612は、図19(b)及び図19(c)に示すように、求めた直線L40から所定距離以内にある測位点のうち、直線L40の両端部にそれぞれ位置する測位点T1,T11を求める。これにより、上述したように、PRACH-PD測位を行ったときに、電波の指向方向とは異なる位置に移動機100が測位された場合であっても、これらの測位点をアンテナ位置の候補から除外することができ、アンテナ位置の算出精度を向上させることができる。
次に、アンテナ位置算出部612は、図19(d)に示すように、各測位点における信号数を求める。そして、アンテナ位置算出部612は、測位点T1,T11のうち、信号数の多い部分が偏っている側の測位点の位置を、アンテナ201の位置として算出する。図19(d)に示す例では、信号数の多い部分が測位点T1側に偏っているものとする。このため、アンテナ位置算出部612は、測位点T1の位置を、アンテナ201の位置として算出する。
なお、信号数の多い部分が偏っている側の測位点の位置を、アンテナ201の位置として算出する以外にも、以下の方法によってアンテナ201の位置を算出することもできる。具体的には、アンテナ位置算出部612は、例えば、図19(c)に示すように測位点T1〜T11が求められている場合、測位点T1〜T5における信号数の合計(以下「S(T1〜T5)」と表す)と、測位点T7〜T11における信号数の合計(以下「S(T7〜T11)」と表す)とを求める。即ち、測位点T1を含むグループにおける測位点の数と、測位点T11を含むグループにおける測位点の数とが同じであればよい(例えば、図19(c)に示す測位点が測位点T1〜T10までである場合、測位点T1〜T5と、測位点T6〜T10とに分けることができる。)。そして、アンテナ位置算出部612は、一方のグループの信号数の合計の値と他方のグループの信号数の合計の値との比が所定の閾値以上となっている場合に、測位点T1,T11のうち、信号数の合計の値が大きいグループに属する方の測位点を、アンテナ201の位置として算出することもできる。ここで、比が所定の閾値以上とは、例えば、一方のグループの信号数の合計の値が、他方のグループの信号数の合計の値の2倍よりも大きい場合とすることができる。
次に、アンテナ201の位置を算出する第5の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、ある有指向性セクタを形成するアンテナ201の位置を算出する場合、アンテナ201の位置の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。
アンテナ位置算出部612は、取得したあるセクタについてのPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計し、図12と同様に、測位点毎に信号数を算出する。集計結果をマッピングすると、図20に示すように、測位点が電波の指向方向に並ぶ性質を有する。更に、上述したように、PRACH-PD測位により、電波の指向方向である直線L41上以外の場所にも、測位点T20〜T25が測位されているものとする。
直線L41上以外の場所で測位される測位点T20〜T25は、アンテナ201の設置位置の近傍で特に多く測位される。そこで、アンテナ位置算出部612は、この測位点T20〜T25の分布に基づいて、アンテナ201の位置を算出する。図20に示す例では、例えば、直線L41上の端点を中心とする所定半径(例えば1km)の円で囲んだエリアR1内の所定位置(例えば、直線L41上に並ぶ測位点の端点等)にアンテナ201が存在するものとして算出される。
次に、アンテナ201の位置を算出する第6の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、ある有指向性セクタを形成するアンテナ201の位置を算出する場合、アンテナ201の位置の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。ここでは、取得されたPRACH-PD位置情報が示す各測位点は、図20に示すように、直線L41上に並ぶ測位点と、直線L41上以外に位置する測位点T20〜T25とを含むものとする。また、直線L41上に並ぶ測位点のうち、両端部の測位点をそれぞれ測位点T26,T27とする。
アンテナ位置算出部612は、直線L41上以外の場所で測位される測位点T20〜T25を抽出する。そして、アンテナ位置算出部612は、直線L41上に並ぶ測位点の端部に位置する測位点T26と、抽出した各測位点T20〜T25との距離の総和を求める。同様に、アンテナ位置算出部612は、直線L41上に並ぶ測位点の端部に位置する測位点T27と、抽出した各測位点T20〜T25との距離の総和を求める。アンテナ位置算出部612は、直線L41上に並ぶ測位点の両端の測位点T26,T27のうち、各測位点T20〜T25との距離の総和が小さい方の測位点(図20の例では測位点T26)を、アンテナ201の位置として算出する。
次に、アンテナ201の位置を算出する第7の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、ある有指向性セクタを形成するアンテナ201の位置を算出する場合、アンテナ201の位置の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。
アンテナ位置算出部612は、取得したあるセクタについてのPRACH-PD位置情報を測位点毎に集計し、図12と同様に、測位点毎に信号数を算出する。集計結果をマッピングすると、図21(a)に示すように、測位点が電波の指向方向に並ぶ性質を有する。更に、PRACH-PD測位により、電波の指向方向に沿った直線上以外の場所にも、測位点が測位されているものとする。
そして、アンテナ位置算出部612は、図21(a)に示す各測位点のうち、信号数が多い測位点を多いものから順に2つ抽出する。例えば、測位点T32の信号数が400であり、測位点T35の信号数が200であり、この測位点T32,T35が抽出されたものとする。アンテナ位置算出部612は、図21(b)に示すように、測位点T32と測位点T35とを通る直線L42を求める。
アンテナ位置算出部612は、図21(b)及び図21(c)に示すように、求めた直線L42から所定距離以内にある測位点のうち、直線L40の両端部にそれぞれ位置する測位点T31,T39を求める。これにより、上述したように、PRACH-PD測位を行ったときに、電波の指向方向とは異なる位置に移動機100が測位された場合であっても、これらの測位点をアンテナ位置の候補から除外することができ、アンテナ位置の算出精度を向上させることができる。
次に、アンテナ位置算出部612は、図21(d)に示すように、測位定点T31の周囲における測位点の分散と、測位定点T39の周囲における測位点の分散とを算出する。そして、アンテナ位置算出部612は、分散の大きい側に位置する測位点T31の位置を、アンテナ201の位置として算出する。これは、直線L42上以外の場所で測位される測位点は、アンテナ201の設置位置の近傍において、特に多く集まることを利用したものである。
なお、上述したアンテナ201の位置を算出する第1〜第7の方法のうち、所定の2以上の方法を組み合わせてアンテナ201の位置を算出することもできる。この場合、アンテナ201の位置の算出精度を向上させることができる。
次に、アンテナ201の位置を算出する第8の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200が形成するセクタが無指向性セクタである場合、アンテナ201の位置の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。この場合、移動機100の位置は、ほぼ全てがアンテナ201の位置と一致する。このため、アンテナ位置算出部612は、最も信号密度が高い測位点をアンテナ201の位置として算出する。
次に、アンテナ201の位置を算出する第9の方法について説明する。アンテナ位置算出部612は、アンテナ201の位置の算出対象とするBTS200が形成するセクタが無指向性セクタである場合、アンテナ201の位置の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を、遅延位置情報取得部602から取得する。
そしてアンテナ位置算出部612は、最も信号密度が高い測位点(以下「第一位高密度点」という)と、第一位高密度点における信号数との比が5%以上の信号数を有する測位点と、をアンテナ201の位置として算出する。ここで、同じセクタ識別子を持ち、異なる複数のアンテナで運用されているセクタがある。このような場合、第8の方法を用いることで、一つの無指向性セクタに対して複数のアンテナ位置が推定されるが、例えば、勢力エリアを描画するときにはそれぞれのアンテナ位置を中心として勢力エリアを描画する。
以上のようにして、アンテナ位置算出部612は、アンテナ201の位置を算出する。なお、アンテナ位置算出部612によるアンテナ201の位置の算出は必須ではなく、予め設備情報蓄積部604にアンテナ201の位置を記憶しておくこともできる。
主勢力エリア推定部613は、遅延情報、PRACH-PD位置情報、又はGPS位置情報に基づいて移動機100の分布を算出し、算出した分布と、アンテナ201の位置とに基づいて、推定対象とするセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する。主勢力エリア推定部613は、取得された情報(遅延情報、PRACH-PD位置情報、又はGPS位置情報)に応じて、以下の方法によって主勢力エリアの半径を推定する。
まず、PRACH-PD位置情報を用いて、推定対象とするセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合について説明する。なお、ここでは、推計対象とするセクタは有指向性セクタであるものとする。主勢力エリア推定部613は、あるセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合、主勢力エリアを推定する対象となるセクタのセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報(例えば、図6に示す情報)を、遅延位置情報取得部602から取得する。ここでは、セクタ識別子C8のセクタについて主勢力エリアの半径を算出する場合を説明する。
そして、主勢力エリア推定部613は、図22に示すように、取得したPRACH-PD位置情報を緯度・経度毎に集計し、緯度・経度毎の信号数を算出する。なお、ここで用いられるPRACH-PD位置情報は、電波の放射方向に沿った直線上に並ぶ測位点についての情報のみを用いることが好ましい。また、電波の放射方向に沿った直線として、信号数が最も多い測位点と2番目に信号数が多い測位点とを結ぶ直線を用いることができる。次に、主勢力エリア推定部613は、主勢力エリアの推定対象となるセクタを形成するアンテナ201の位置情報を取得する。ここでは、アンテナ位置算出部612によって算出されたアンテナ201の位置情報を用いたり、予めアンテナ201の位置情報が設備情報蓄積部604に記憶されている場合には記憶されたアンテナ201の位置情報を用いたりすることができる。
次に、主勢力エリア推定部613は、移動機100の測位結果の緯度・経度(図22に示す緯度・経度)と、アンテナの位置とに基づいて、アンテナ201と移動機100との間の距離を算出する。そして、主勢力エリア推定部613は、緯度・経度毎に集計したPRACH-PD位置情報から、図23に示すように、セクタ識別子と、アンテナ201と移動機100との距離と、信号数とを対応付けた中間テーブルを算出する。
次に、主勢力エリア推定部613は、算出した中間テーブルに基づいて、図24に示すように、横軸を距離、縦軸を信号数とする距離別信号密度分布を求める。そして、主勢力エリア推定部613は、求めた距離別信号密度分布において、アンテナの位置(原点位置)から信号数の累積密度が90%となる部分までの距離Dを求める。主勢力エリア推定部613は、求めた距離Dを、セクタC8(セクタ識別子がC8のセクタ。以下、同様とする。)が主勢力となる主勢力エリアの半径として推定する。
次に、PRACH-PD位置情報を用いて、推定対象とするセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合の処理の流れを、図25を用いて説明する。まず、主勢力エリア推定部613は、遅延位置情報取得部602から、例えば図6に示すPRACH-PD位置情報を取得する(ステップS201)。次に、主勢力エリア推定部613は、取得したPRACH-PD位置情報を緯度・経度毎に集計し、緯度・経度毎の信号数(図22参照)を算出する(ステップS202)。
次に、主勢力エリア推定部613は、主勢力エリアの推定対象となるセクタを形成するアンテナ201の位置情報を取得する(ステップS203)。そして、主勢力エリア推定部613は、アンテナ201と移動機100との間の距離を算出し(ステップS204)、セクタ識別子と、距離と、信号数とを対応付けた中間テーブル(図23参照)を算出する(ステップS205)。
次に、主勢力エリア推定部613は、中間テーブルから距離別信号密度分布(図24参照)を算出する(ステップS206)。そして、主勢力エリア推定部613は、信号数の累積密度が90%となる部分までの距離Dを求め、求めた距離Dを、セクタC8が主勢力となる主勢力エリアの半径として推定する(ステップS207)。
以上のように、主勢力エリア推定部613は、取得したPRACH-PD位置情報が有指向性セクタについての情報である場合、このPRACH-PD位置情報に基づいてセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を求めることができる。
次に、遅延情報を用いて、推定対象とするセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合について説明する。主勢力エリア推定部613は、あるセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合、主勢力エリアを推定する対象となるセクタのセクタ識別子を有する遅延情報(例えば、図4に示す情報)を、遅延位置情報取得部602から取得する。ここでは、セクタ識別子C7のセクタについて主勢力エリアの半径を算出する場合を説明する。また、ここでのセクタは、有指向性セクタ及び無指向性セクタのいずれであってもよい。
そして、主勢力エリア推定部613は、図26に示すように、取得した遅延情報を伝播時間毎に集計し、伝播時間毎の信号数を算出する。次に、主勢力エリア推定部613は、伝播時間に基づいてアンテナ201と移動機100との間の距離を算出し、伝播時間毎に集計した遅延情報から、図27に示すように、セクタ識別子と、アンテナ201と移動機100との距離と、信号数とを対応付けた中間テーブルを算出する。
次に、主勢力エリア推定部613は、算出した中間テーブルに基づいて、図24に示すように、横軸を距離、縦軸を信号数とする距離別信号密度分布を求める。そして、主勢力エリア推定部613は、求めた距離別信号密度分布において、アンテナの位置(原点位置)から信号数の累積密度が90%となる部分までの距離Dを求める。但し、累積密度として用いた90%の値以外にも、所定の累積密度の値を用いることができる。主勢力エリア推定部613は、求めた距離Dを、セクタC7が主勢力となる主勢力エリアの半径として推定する。
次に、遅延情報を用いて、推定対象とするセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合の処理の流れを、図28を用いて説明する。まず、主勢力エリア推定部613は、遅延位置情報取得部602から、例えば図4に示す遅延情報を取得する(ステップS301)。次に、主勢力エリア推定部613は、取得した遅延情報を伝播時間毎に集計し、伝播時間毎の信号数(図26参照)を算出する(ステップS302)。
次に、主勢力エリア推定部613は、セクタ識別子と、距離と、信号数とを対応付けた中間テーブル(図27参照)を算出する(ステップS303)。そして、主勢力エリア推定部613は、中間テーブルから距離別信号密度分布(図24参照)を算出する(ステップS304)。
次に、主勢力エリア推定部613は、信号数の累積密度が90%となる部分までの距離Dを求め、求めた距離Dを、セクタC7が主勢力となる主勢力エリアの半径として推定する(ステップS305)。
以上のように、主勢力エリア推定部613は、取得した遅延情報に基づいて、有指向性セクタ及び無指向性セクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を求めることができる。
次に、GPS位置情報を用いて、推定対象とするセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合について説明する。主勢力エリア推定部613は、あるセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する場合、主勢力エリアを推定する対象となるセクタのセクタ識別子を有するGPS位置情報(例えば、図8に示す情報)を、GPS位置情報取得部601から取得する。ここでは、セクタ識別子C20のセクタについて主勢力エリアの半径を算出する場合を説明する。
主勢力エリア推定部613は、主勢力エリアの推定対象となるセクタを形成するアンテナ201の位置情報を取得する。ここでは、アンテナ位置算出部612によって算出されたアンテナ201の位置情報を用いたり、予めアンテナ201の位置情報が設備情報蓄積部604に記憶されている場合には記憶されたアンテナ201の位置情報を用いたりすることができる。
主勢力エリア推定部613は、GPS位置情報の緯度・経度(図8に示す緯度・経度)と、アンテナの位置とに基づいて、アンテナ201と移動機100との間の距離を算出する。そして、主勢力エリア推定部613は、GPS位置情報の信号毎に、図24に示すように、横軸を距離、縦軸を信号数とする距離別信号密度分布を求める。
そして、主勢力エリア推定部613は、求めた距離別信号密度分布において、アンテナの位置(原点位置)から信号数の累積密度が90%となる部分までの距離Dを求める。但し、累積密度として用いた90%の値以外にも、所定の累積密度の値を用いることができる。主勢力エリア推定部613は、求めた距離Dを、セクタC20が主勢力となる主勢力エリアの半径として推定する。
例えば、セクタC20が有指向性セクタである場合、図29(a)に示すように、アンテナ201の位置から半径がDである扇形のエリアR2が、セクタC20が主勢力となる主勢力エリアとして推定される。また、セクタC20が無指向性セクタである場合、図29(b)に示すように、アンテナ201の位置から半径がDである円内のエリアR3が、セクタC20が主勢力となる主勢力エリアとして推定される。
放射方向算出部615は、PRACH-PD位置情報に基づいて移動機100の分布を求め、求めた分布に基づいてアンテナ201から放射される電波の放射方向を算出する。なお、放射方向算出部615は、無指向性セクタについて電波の放射方向を算出する処理を行う必要はない。なお、無指向性セクタであるか否かは、セクタ種別判断部611の判断結果や設備情報蓄積部604に記憶されたセクタ種別の情報を用いて判断することができる。ここでは、有指向性セクタを形成するアンテナ201から放射された電波の放射方向を算出するものとする。
具体的には、放射方向算出部615は、あるセクタを形成するアンテナ201の電波の放射方向を算出する場合、算出対象となるアンテナ201によって形成されるセクタのセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報(例えば、図6に示す情報)を、遅延位置情報取得部602から取得する。ここでは、セクタ識別子C8のセクタを形成するアンテナ201から放射される電波の放射方向を算出する場合を説明する。
また、放射方向算出部615は、セクタC8を形成するアンテナの位置情報を取得する。ここでは、アンテナ位置算出部612によって算出されたアンテナ201の位置情報を用いたり、予めアンテナ201の位置情報が設備情報蓄積部604に記憶されている場合には記憶されたアンテナ201の位置情報を用いたりすることができる。取得されたPRACH-PD位置情報における移動機100の位置と、アンテナ201の位置とをマッピングすると、図30(a)に示すように、アンテナ201の位置から電波の指向方向に測位点が並ぶ性質を有する。
放射方向算出部615は、取得したセクタ識別子C8のPRACH-PD位置情報を、測位点毎(緯度・経度毎)に集計し、図31に示すように、測位点毎に信号数を算出する。
そして、放射方向算出部615は、図31に示す各測位点のうち、信号数が多い測位点を多いものから順に2つ抽出する。例えば、図30(b)に示すように、測位点T42(X2,Y2)の信号数が400であり、測位点T45(X5,Y5)の信号数が200であり、この測位点T42,T45が抽出されたものとする。また、放射方向算出部615は、図30(b)に示すように、測位点T42と測位点T45とを通る直線L43を求める。
放射方向算出部615は、アンテナ201の位置と直線L43とより、セクタC8を形成するアンテナ201から放射される電波の放射方向を求める。これは、例えば、図30(c)に示すように、北方向を0度とし、北方向に対する直線L43の角度によって電波の放射方向を表すことができる。なお、放射方向算出部615による放射方向の算出処理は必須ではなく、予め設備情報蓄積部604に保持されたデータを用いて層状分割部605等における処理を行うこともできる。
放射幅算出部616は、GPS位置情報に基づいて移動機100の分布を算出し、算出した分布に基づいて、所定のセクタを形成するアンテナから放射される電波の放射幅を算出する。なお、放射幅算出部616は、無指向性セクタについて電波の放射幅を算出する処理を行う必要はない。なお、無指向性セクタであるか否かは、セクタ種別判断部611の判断結果や設備情報蓄積部604に記憶されたセクタ種別の情報を用いて判断することができる。ここでは、有指向性セクタを形成するアンテナ201から放射された電波の放射幅を算出する場合について説明する。
具体的には、放射幅算出部616は、放射幅の算出対象となる電波によって形成されるセクタのセクタ識別子を有するGPS位置情報(例えば、図8に示す情報)を、GPS位置情報取得部601から取得する。ここでは、セクタ識別子C20のセクタを形成する電波の放射幅を算出する場合を説明する。
放射幅算出部616は、放射幅の算出対象となる電波によって形成されるセクタC20を形成するアンテナ201の位置情報を取得する。ここでは、アンテナ位置算出部612によって算出されたアンテナ201の位置情報を用いたり、予めアンテナ201の位置情報が記憶されている場合には記憶されたアンテナ201の位置情報を用いたりすることができる。
取得されたGPS位置情報における移動機100の位置と、アンテナ201の位置とをマッピングすると、図32(a)に示すように、アンテナ201の位置から電波の放射方向側に所定の広がりで移動機100の測位点が散らばる。
また、放射幅算出部616は、図32(a)に示すように、アンテナ201の位置を中心とする放射状の複数の扇形領域Sを作成する。この扇形領域Sの半径は、予め定められた所定値を用いたり、主勢力エリア推定部613で推定された主勢力エリアの半径を用いたりすることができる。
次に、放射幅算出部616は、抽出したGPS位置情報に含まれる各測位点のうち、アンテナ201との距離が所定距離未満である測位点及びアンテナ201との距離が所定距離以上である測位点、以外の測位点を抽出する。具体的には、図32(b)に示すように、アンテナ201との距離が所定距離未満である領域U1、及び、アンテナ201との距離が所定距離以上である領域U2内の測位点を除外し、残りの測位点を抽出する。これにより、アンテナ201の特性によって生じる、例えば、アンテナ201の近傍において電波の放射方向とは反対側に回り込む電波等によって測位された測位点を除外することができる。
放射幅算出部616は、抽出した各測位点に基づいて、図32(c)に示すように、電波の放射方向を基準とした角度を横軸、各扇形領域Sにおける測位点の数(信号数)を縦軸とした信号数の密度分布を作成する。なお、ここで用いる電波の放射方向は、放射方向算出部615によって算出された値を用いたり、予め電波の放射方向が設備情報蓄積部604に記憶されている場合には記憶された電波の放射方向を用いたりすることができる。
放射幅算出部616は、作成した信号数の密度分布に基づいて、電波の放射幅を算出する。まず、電波の放射幅として、角度が0°(電波の放射方向)に対してプラスの角度側の角度範囲を求める手順を説明する。放射幅算出部616は、角度が大きい側から角度が小さい側に向かって角度毎の信号数の合計値を求める。そして、放射幅算出部616は、信号数の合計値が、全信号数の5%となる角度を求める。図32(c)に示す例では、角度30°が求められたものとする。放射幅算出部616は、このようにして求められた信号数の合計値が全信号数の5%となる角度を、電波の放射幅におけるプラスの角度側の角度境界とする。次に、電波の放射幅として、角度が0°に対してマイナスの角度側の角度範囲を求める手順を説明する。上記と同様に、放射幅算出部616は、角度が小さい側から大きい側に向かって角度毎の信号数の合計値を求める。そして、放射幅算出部616は、信号数の合計値が、全信号数の5%となる角度を求める。図32(c)に示す例では、角度−30°が求められたものとする。放射幅算出部616は、このようにして求められた信号数の合計値が全信号数の5%となる角度を、電波の放射幅におけるマイナスの角度側の角度境界とする。そして、放射幅算出部616は、プラスの角度側の角度境界30°と、マイナスの角度側の角度境界−30°との間の角度範囲である60°を、電波の放射幅として算出する。
なお、放射幅算出部616は、プラスの角度側の角度境界とマイナスの角度側の角度境界とをそれぞれの角度の絶対値を同じとしながら角度0度に向かって徐々に近づけ、プラスの角度側の角度境界とマイナスの角度側の角度境界とで挟まれる角度毎の信号数の合計値が全信号数の90%(この90%の値は一例であり、他の値を用いてもよい)となる時のそれぞれの角度境界を、電波の放射幅におけるプラスの角度側の角度境界、及び、マイナスの角度側の角度境界とすることもできる。
なお、上記では、信号数の合計値を求める際に全信号数の5%となる角度を用いたが、5%に限らず、他の値を用いてもよい。例えば、セクタのトラヒック情報等を用いて算出した人口を本実施形態で作成した主勢力エリアに対して割り当てるような場合には、以下の方法により放射幅を求めることが好ましい。ここでは、図32(c)に示す密度分布のグラフを簡略化した密度分布のグラフ(図33参照)を用いて説明する。セクタ内のトラヒック情報等を用いて人口を算出する場合、主勢力エリア内に一様に人口が分布されていると仮定し、統計処理を行うことが考えられる。即ち、図32(a)に示す各扇形領域Sにおいて、測位点の数が多い(人口が多い)扇形領域Sは、実際よりも移動機100の数が少ないものとして統計処理等が行われ、測位点の数が少ない(人口が少ない)扇形領域Sは、実際より移動機100の数が多いものとして統計処理等が行われる。
このように、所定放射幅内に一様に移動機100が分布しているものとする場合、扇形領域S毎に、実際の移動機100の数を増減させることとなるため、この増減の際に誤差が生じることがある。この誤差が小さくなるように放射幅を算出する場合、図33(a)に示す、三角形St(詳しくは図33(b)参照)内の信号数の総数と、放射幅に基づいて得られる長方形Ss(詳しくは図33(c)参照)内の信号数の総数とが同じとなることが好ましい。
この長方形Ssは、原点を通る横軸及び縦軸と、横軸方向に延びる直線Lsと、縦軸方向に延びる直線Lskとによって形成される。この直線Lskが示す角度(直線Lskと横軸との交点において横軸が示す角度)が、電波の放射幅を決定する際の一方側の角度の境界となる。以下、直線Lskと横軸との交点において横軸が示す角度を角度kという。なお、長方形Ss内の信号数の総数は、直線Lsを積分することにより求めることができる。また、この直線Lsは、以下の式(1),式(2)によって表すことができる。
Ls=h(d≦k,h=三角形St内の信号数の総数/k) (1)
Ls=0(d>k) (2)
三角形Stは、原点を通る横軸及び縦軸と、信号数の傾きLtとによって形成される。
従って、三角形St内の信号数の総数と、長方形Ss内の信号数の総数とが同じとなるようにするためには、以下の式(3)を満たす角度kを求めることとなる。
式(3)を用いて求められた角度kが、放射幅を決定する際の一方側の角度(ここでは電波の放射方向に対してプラス側の角度)の境界となる。同様に、式(3)を用いて、放射幅を決定する際の他方側の角度(ここでは電波の放射方向に対してマイナス側の角度)の境界を求める。このように、放射幅算出部616は、式(3)を用いて、セクタ内の人口を算出する場合に特に適した電波の放射幅を算出することができる。なお、放射幅算出部616による放射幅の算出処理は必須ではなく、予め設備情報蓄積部604に保持されたデータを用いて層状分割部605等における処理を行うこともできる。
層幅算出部617は、PRACH-PD測位方式を用いて得られた有指向性セクタについてのPRACH-PD位置情報に基づいて、層状分割部605においてセクタを層毎に分割する際に用いられる層幅を算出する。上述のように、有指向性セクタについてのPRACH-PD位置情報が示す各移動機100の位置(移動機100の測位点)は、図5に示すように、電波の指向方向に沿った直線L上でほぼ等間隔に並ぶ性質を有する。詳しくは後述する層状分割部605は、PRACH-PD位置情報が示す各移動機100の位置に基づいて、セクタを層毎に分割する。
しかしながら、例えば、ある位置において移動機100が存在しなかった場合(移動機100とアンテナ201とがある距離だけ離れた位置に移動機100が存在しなかった場合)には、測位点が直線L1上で等間隔に並ばず、図34に示すように、測位点が一部欠落した状態となる。図34では、位置P3において移動機100が測位されなかった状態を示している。この場合、層状分割部605は、セクタを層毎に適切に分割することはできない。そこで、層幅算出部617は、層状分割部605がセクタを分割する際の層幅を求める。
具体的には層幅算出部617は、遅延位置情報取得部602から、層幅の算出対象となるセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報を取得する。そして、層幅算出部617は、取得したPRACH-PD位置情報を、移動機100の測位点(移動機100の位置)毎に集計し、図35に示す集計結果を得る。ここでは、セクタ識別子がC30のセクタを層幅の分割対象とする。この集計結果をマッピングすると、図36(a)に示すように、測位点P1と測位点P2の間、測位点P7と測位点P8の間、及び、測位点P9と測位点P10の間が他の測位点間の長さ(例えば、測位点P2と測位点P3との間の長さ)よりも長くなっている。
次に、層幅算出部617は、各測位点間の距離を求め、図37に示す算出結果を得る。ここでは、例えば、測位点P1と測位点P2との距離が245.20×3m、測位点P2と測位点P3との距離が243.23m、・・・、測位点P9と測位点P10との距離が246.05×2m、測位点P10と測位点P11との距離が244.85mであるものとする。この距離の算出結果を図36(b)に示す。
次に、層幅算出部617は、算出された各測位点間の距離のうち、最頻値を求める。ここでは、例えば、245mが最頻値であっものとする。なお、最頻値以外にも、他の方法によって求められた値を用いてもよい。例えば、各測位点間の距離を距離が短いものから順に並べ、並べた順の中間に対応する測位点間の距離を用いてもよい。層幅算出部617は、求められた測位点間の距離(ここでは245m)を、層状分割部605がセクタC30を層状に分割する際の層幅として算出する。なお、層幅算出部617による層幅の算出処理は必須ではなく、予め設備情報蓄積部604に保持されたデータを用いて層状分割部605等における処理を行うこともできる。
なお、PRACH-PD測位では、測位点が図34に示すように直線L1上に並ばず、直線L1上以外の場所に移動機100が測位される場合がある。これは、移動機100がセクタの境界に存在する場合に、セクタ間の中心位置に移動機100の測位点が近似されること等に起因する。この場合、層幅算出部617は、測位点毎に信号数(移動機100の端末数)を求め、求めた信号数が多いものから順に2つの測位点を抽出する。そして、層幅算出部617は、抽出した測位点を通る直線を求め、求めた直線上の測位点の間隔に基づいて、層幅を求めてもよい。
設備変更検出部603は、セクタ種別判断部611において判断されたセクタ種別、アンテナ位置算出部612において算出されたアンテナ201の位置情報、主勢力エリア推定部613において推定された主勢力エリアの半径、放射方向算出部615において算出された電波の放射方向、放射幅算出部616において算出された電波の放射幅、層幅算出部617において算出された層幅を取得する。そして、設備変更検出部603は、取得したこれらの情報と、設備情報蓄積部604に記憶された情報との比較を行い、変更がある場合には、設備情報蓄積部604に記憶された情報を更新する。なお、設備変更検出部603は、計算処理量を削減するために効果的であるが、上記設備変更検出部603なしで、セクタ種別の算出結果等を設備情報蓄積部604に保存してもよい。
このように、設備変更検出部603によってアンテナやセクタについての各種の情報が更新される。従って、作業者等によってBTS200の設備情報(アンテナやセクタについての各種の情報)等が入力されることを待つことなく、アンテナやセクタについての実際の各種情報を得ることができる。
設備情報蓄積部604は、BTS200の設備に関する情報等を記憶するものであり、具体的には、セクタ種別、アンテナ201の位置情報、対象とするセクタを主勢力とする主勢力エリアの半径、アンテナ201から放射される電波の放射方向及び電波の放射幅、層幅算出部617によって算出された層幅を記憶する。
層状分割部605は、対象となるセクタを、層状に分割する。まず、対象となるセクタが有指向性セクタであり、PRACH-PD位置情報(図6参照)が取得されている場合に、層状分割部605がセクタを層状に分割する処理を説明する。
層状分割部605は、遅延位置情報取得部602から分割対象となるセクタのセクタ識別子を有するPRACH-PD位置情報(図6参照)を取得する。ここでは、セクタ識別子がC8の有指向性セクタを層状に分割するものとする。層状分割部605は、設備情報蓄積部604に記憶されたセクタC8を形成するアンテナ201の位置情報と、設備情報蓄積部604に記憶されたセクタC8を形成するアンテナ201から放射される電波の放射方向と、主勢力エリア推定部613によって推定されたセクタC8が主勢力となる主勢力エリアの半径と、放射幅算出部616によって算出されたセクタC8を形成するアンテナ201から放射された電波の放射幅とを取得する。
そして、層状分割部605は、取得された情報に基づいて、分割するセクタC8の形状を特定する。具体的には、図38(a)に示すように、層状分割部605は、アンテナ201の位置情報と、電波の放射方向と、主勢力エリアの半径と、電波の放射幅とを用いて扇形の領域を作成する。即ち、この扇形の領域が、セクタC8の範囲となる。
次に、層状分割部605は、図38(b)に示すように、アンテナ201を中心とした円弧状の線をPRACH-PD位置情報の各測位点を通るように複数引いて、扇形のセクタC8を層状に分割する。なお、ここで用いる測位点は、電波の放射方向に沿って直線上に並ぶ測位点のみを用いるものとする。また、取得したPRACH-PD位置情報の測位点が、図34に示すように一部欠落している場合(測位点が等間隔に並んでいない場合)には、欠落している部分については層幅算出部617によって算出された層幅を用いて層状に分割する。
図38(b)では、扇形の半径の線と円弧状の線とによってセクタC8が7個の分割エリアS1〜S7に分割された状態を示している。また、層状分割部605は、各分割エリアS1〜S7について、各分割エリアを代表する代表点を求める。例えば、図38(b)に示すように、電波の放射方向を示す直線L2と、各分割エリアS1〜S7の外縁との交点(移動機100の測位点)のうちアンテナ201に近い側の交点の座標を代表点とする。例えば、分割エリアS2の代表点は、分割エリアS2の外縁と直線L2との交点のうちアンテナ201に近い側の交点M2が、分割エリアS2の代表点(以下「代表点M2」と呼ぶ)となる。同様に、層状分割部605は、分割エリアS1,S3〜S7の代表点M1,M3〜M7の座標を求める。なお、代表点M1は、アンテナ201の位置となる。この場合、各代表点は、移動機100の測位点と対応している。なお、代表点の他の例として、隣接する測位点間の中点を代表点とすることもできる。
層状分割部605は、図39に示すように、セクタ識別子と、算出した代表点の座標(緯度・経度)と、分割エリア情報(分割エリアを示すポリゴン情報)とを対応付けた情報を算出する。
次に、対象となるセクタが有指向性セクタであり、遅延情報(図4参照)が取得されている場合に、層状分割部605がセクタを層状に分割する処理を説明する。
層状分割部605は、遅延位置情報取得部602から分割対象となるセクタのセクタ識別子を有する遅延情報(図4参照)を取得する。ここでは、セクタ識別子がC7の有指向性セクタを層状に分割するものとする。層状分割部605は、設備情報蓄積部604に記憶されたセクタC7を形成するアンテナ201の位置情報と、設備情報蓄積部604に記憶されたセクタC7を形成するアンテナ201から放射される電波の放射方向と、主勢力エリア推定部613によって推定されたセクタC7が主勢力となる主勢力エリアの半径と、放射幅算出部616によって算出されたセクタC7を形成するアンテナ201から放射された電波の放射幅とを取得する。
そして、層状分割部605は、取得された情報に基づいて、分割するセクタC7の形状を特定する。この特定の方法は、図38(a)を用いて説明した、分割対象のセクタが有指向性セクタ且つPRACH-PD位置情報が取得されている場合と同じ方法を用いることができる。
次に、層状分割部605は、設備情報蓄積部604から、セクタC7(有指向性セクタ且つ遅延情報が取得されるセクタ)を分割する際に用いる層幅についての情報を取得する。なお、層幅として、遅延情報に含まれる伝播時間に基づいて得られる長さ(例えば、1遅延量あたりの離間距離)を用いることもできる。そして、層状分割部605は、取得した層幅の情報に基づいて、図40に示すように、アンテナ201を中心とした円弧状の線を複数引き、扇形のセクタC7を層状に分割する。
図40では、扇形の半径の線と円弧状の線とによってセクタC7が7個の分割エリアS11〜S17に分割された状態を示している。また、層状分割部605は、各分割エリアS11〜S17について、各分割エリアを代表する代表点を求める。例えば、図40に示すように、電波の放射方向を示す直線L3と、各分割エリアS11〜S17の外縁との交点のうちアンテナ201に近い側の交点の座標を代表点とする。例えば、分割エリアS12の代表点は、分割エリアS12の外縁と直線L3との交点のうちアンテナ201に近い側の交点M12が、分割エリアS12の代表点(以下「代表点M12」と呼ぶ)となる。同様に、層状分割部605は、分割エリアS11,S13〜S17の代表点M11,M13〜M17の座標を求める。なお、代表点M11は、アンテナ201の位置となる。
層状分割部605は、図41に示すように、セクタ識別子と、算出した代表点の座標(緯度・経度)と、伝播時間と、分割エリア情報(分割エリアを示すポリゴン情報)とを対応付けた情報を算出する。なお、各分割エリアは、セクタ識別子及び代表点の座標(緯度・経度)を用いて互いに識別することができる。また、各分割エリアを識別するための分割エリア識別子を図41に示す情報に付加してもよい。
次に、対象となるセクタが無指向性セクタであり、遅延情報(図4参照)が取得されている場合に、層状分割部605がセクタを層状に分割する処理を説明する。
層状分割部605は、遅延位置情報取得部602から分割対象となるセクタのセクタ識別子を有する遅延情報(図4参照)を取得する。ここでは、セクタ識別子がC7の無指向性セクタを層状に分割するものとする。層状分割部605は、設備情報蓄積部604に記憶されたセクタC7を形成するアンテナ201の位置情報と、主勢力エリア推定部613によって推定されたセクタC7が主勢力となる主勢力エリアの半径とを取得する。
そして、層状分割部605は、取得された情報に基づいて、分割するセクタC7の形状を特定する。ここでは、対象となるセクタC7が無指向性セクタであるため、図42に示すように、セクタC7はアンテナ201の位置を中心とし、主勢力エリア推定部613によって推定された主勢力エリアの半径の長さを半径とする、円形となる。
次に、層状分割部605は、設備情報蓄積部604から、セクタC7(無指向性セクタ且つ遅延情報が取得されるセクタ)を分割する際に用いる層幅についての情報を取得する。なお、層幅として、伝播時間に基づいて得られる長さ(例えば、1遅延量あたりの離間距離)を用いることもできる。そして、層状分割部605は、取得した層幅の情報に基づいて、図42に示すように、アンテナ201を中心とした円形の線を複数引き、円形のセクタC7を層状に分割する。
図42では、円形のセクタC7が3個の分割エリアS21〜S23に分割された状態を示している。なお、分割エリアS21は円形、分割エリアS22,S23は環状となる。
なお、対象となるセクタが無指向性セクタであり、PRACH-PD位置情報(図7参照)が取得されている場合、層状分割部605は、当該セクタを層状に分割する処理は行わない。
なお、層状分割部605は、セクタを層状に分割する際に、海に対応する部分を除外して分割エリアを求めてもよい。なお、海以外にも、例えば、湖、皇居等の人口等の算出対象としない領域を除外して分割エリアを求めてもよい。即ち、図43(a)に示すように、扇形のセクタC8と海岸線K(図中、海岸線Kより右側が海、左側が陸とする。)とが重なっている場合、図43(b)に示すように、海の部分と重なる分割エリアS6,S7については、海に対応する部分を除外して分割エリアS6,S7の分割エリア情報(ポリゴン情報)を求める。この地図情報(海岸線Kについての情報)は、予め層状分割部605が記憶しておくことができる。
層内人口算出部606は、層状分割部605によって分割された分割エリア毎の人口(所定の値)を求める。例えば、対象とするセクタが有指向性セクタでありPRACH-PD位置情報(図6参照)が取得されている場合、図22に示すように、PRACH-PD位置情報に基づき、測位点毎の端末数を算出する。そして、層内人口算出部606は、測位点毎の移動機100の端末数を人口に変換する。具体的には、層内人口算出部606が、測位点毎の端末数に拡大係数を乗算することで、測位点毎の人口を得る。この拡大係数は、算出された端末数を人口に変換するための係数である。なお、上記の拡大係数は、人口を推計する単位である人口推計単位毎に導出してもよい。上記の「人口推計単位」としては、例えば、属性、場所、時間帯などが挙げられ、住所の都道府県毎、5才刻み年齢層毎、男女毎、時間帯として1時間毎などを採用してもよい。また、拡大係数は、一例として、「在圏率と端末の普及率との積(即ち、人口に対する在圏数の比率)」の逆数を用いることができる。ここで「在圏率」とは、契約台数に対する在圏数の比率を意味し、「普及率」とは人口に対する契約台数の比率を意味する。このような拡大係数は、上記の人口推計単位毎に導出することが望ましいが、必須ではない。また、拡大係数は、例えば、以下のように特徴量および集計時間帯の時間長に基づいて推計された端末数(在圏数)を用いて導出してもよい。ここで、特徴量は、生成された遅延情報又はPRACH-PD位置情報についての推定生成密度に対応する情報である。特徴量の詳細については後述する。また、集計時間帯とは、人口を算出する対象となる時間帯(例えば、1時間等)である。即ち、遅延情報又はPRACH-PD位置情報から特徴量を求め、特徴量および集計時間帯の時間長に基づいて、拡大係数算出単位毎の端末数を集計することでユーザ数ピラミッドデータを得るとともに、統計データ(例えば住民基本台帳など)として予め求められた同じ拡大係数算出単位における人口ピラミッドデータを取得する。そして、ユーザ数ピラミッドデータ及び人口ピラミッドデータにおいて拡大係数算出単位毎の遅延情報又はPRACH-PD位置情報の取得率(即ち、在圏数/人口)を算出する。ここで得られた「遅延情報又はPRACH-PD位置情報の取得率(即ち、在圏数/人口)」が、前述した「在圏率と端末の普及率との積」に相当する。このようにして得られた「遅延情報又はPRACH-PD位置情報の取得率」の逆数を拡大係数として導出することができる。なお、拡大係数を算出する拡大係数算出単位としては、一例として、住所の都道府県毎、5才又は10才刻み年齢層毎、男女毎、時間帯として1時間毎などを採用してもよいし、これらの2つ以上を組み合わせたものを採用してもよい。例えば、拡大係数算出単位を「東京都在住の20才台の男性」とした場合、日本全国における、東京都在住の(即ち、ユーザ属性における住所情報が東京都である)20才台の男性に該当する遅延情報又はPRACH-PD位置情報を抽出して端末数を集計することでユーザ数ピラミッドデータを得るとともに、統計データから東京都在住の20才台の男性に関する人口ピラミッドデータを取得する。なお、上記ユーザ数ピラミッドデータを得る際に、「東京都在住」という条件については、東京都に在圏するユーザの遅延情報、PRACH-PD位置情報又はGPS位置情報だけを抽出するのではなく、ユーザ属性における住所情報が東京都である遅延情報、PRACH-PD位置情報又はGPS位置情報を抽出する。そして、ユーザ数ピラミッドデータ及び人口ピラミッドデータから拡大係数算出単位(ここでは東京都在住の20才台の男性)の遅延情報又はPRACH-PD位置情報の取得率(即ち、在圏数/人口)を算出し、得られた「遅延情報又はPRACH-PD位置情報の取得率」の逆数を拡大係数として導出することができる。なお、本願では、拡大係数算出単位と人口推計単位とが等しいものとして説明しているが、これはあくまでも一例であり、これに限られるものではない。
ここで、各測位点と各分割エリアとの対応関係について説明する。PRACH-PD位置情報に基づいて有指向性セクタを層毎に分割した場合、図39に示すように、各分割エリアには代表点(緯度・経度)が対応付けられている。各分割エリアの人口を算出する場合、概念的には、各分割エリアに対応付けられた代表点と、PRACH-PD位置情報の測位点と、を所定条件に基づいて関連付けることで、分割エリア毎の人口を求める。具体的には、例えば、アンテナ201の位置を示す測位点における人口が図38(b)の分割エリアS1内の人口、次にアンテナ201の位置に近い位置を示す測位点における人口が分割エリアS2内の人口のように、測位点の座標(緯度・経度)毎の人口を、各分割エリアの人口として算出する。より詳細には、測位点からの距離が最小となる代表点が指し示す分割エリアにその測位点における人口を割り当てる。そして、層内人口算出部606は、図44に示すように、セクタ識別子と、分割エリアの識別子と、人口とを対応付ける。
また、対象とするセクタが有指向性セクタであり遅延情報(図4参照)が取得されている場合、図26に示すように、遅延情報を伝播時間毎に集計し、伝播時間毎の信号数を算出する。この信号数が伝播時間毎の移動機100の端末数となる。そして、層内人口算出部606は、上述したのと同様に、伝播時間毎の端末数に拡大係数を乗算することで伝播時間毎の人口を得る。ここで、遅延情報に基づいて有指向性セクタを層毎に分割した場合、図41に示すように、各分割エリアには伝播時間に関する情報が対応付けられている。各分割エリアの人口を算出する場合、概念的には、各分割エリアに対応付けられた伝播時間と、遅延情報の伝播時間と、を所定条件に基づいて関連付ける(例えば、伝播時間が最も近い分割エリアに関連付ける等)ことで、分割エリア毎の人口を求める。具体的には、例えば、最も短い伝播時間に対応する人口が図40の分割エリアS11における人口、次に短い伝播時間に対応する人口が分割エリアS12内に対応する人口のように、伝播時間毎の人口を、各分割エリアにおける人口として算出する。そして、層内人口算出部606は、図45に示すように、セクタ識別子と、分割エリアの識別子と、人口とを対応付ける。
また、対象とするセクタが無指向性セクタであり遅延情報(図4参照)が取得されている場合、上述した、対象とするセクタが有指向性セクタであり遅延情報が取得されている場合と同様に、遅延情報を伝播時間毎に集計し、伝播時間毎の信号数を算出する。この信号数が測位点毎の移動機100の端末数となる。そして、層内人口算出部606は、上述したのと同様に、伝播時間毎の端末数に拡大係数を乗算することで伝播時間毎の人口を得る。ここで、遅延情報に基づいて無指向性セクタを層毎に分割した場合、各分割エリアには伝播時間に関する情報が対応付けられている。各分割エリアの人口を算出する場合、概念的には、各分割エリアに対応付けられた伝播時間と、遅延情報の伝播時間と、を所定条件に基づいて関連付けることで、分割エリア毎の人口を求める。具体的には、例えば、最も短い伝播時間に対応する人口が図42の分割エリアS21における人口、次に短い伝播時間に対応する人口が分割エリアS22における人口のように、伝播時間毎の人口を、各分割エリアにおける人口として算出する。なお、伝播時間に対応する人口を、分割エリアに対して1対1で対応付けられない場合、伝播時間が最も近い分割エリアに人口を対応付ける。そして、層内人口算出部606は、図46に示すように、セクタ識別子と、分割エリアの識別子と、人口とを対応付ける。
なお、層内人口算出部606が測位点毎の人口や伝播時間毎の人口を算出し、測位点毎の人口や伝播時間毎の人口を各分割エリアに割り当てるものとしたが、他の装置等から、測位点毎の人口や伝播時間毎の人口を取得してもよい。即ち、層状領域を作成するのに用いる位置情報と、人口を算出するのに用いる位置情報は、同じ時系列のものである必要はない。例えば、ある一ヶ月間の位置情報を用いて、層状領域を作成し、現時点の位置情報を用いて算出した人口を割り当てることができる。また、本実施形態では、人口を各分割エリアに割り当てるものとしたが、人口以外にも、例えば、在圏数、需要数等、位置情報に対応付けられた数値であれば他の値を各分割エリアに割り当てることもできる。また、第1の測位(PRACH-PD測位)による位置情報に基づいて算出した人口を割り当てることについて説明したが、これに限られるものではなく、その他の測位による位置情報であっても適用可能である。例えば、GPS測位による位置情報に対応付けられた人口については、GPS情報(座標情報)からの距離が最小となる代表点が指し示す分割エリアに割り当てることができる。
算出単位エリア変換部607は、セクタを層状に分割することで形成された分割エリア毎の人口を、人口分布を算出する人口分布算出単位エリア毎の人口に変換する。この変換の際に、算出単位エリア変換部607は、変換テーブルを用いる。この変換テーブルは、一の層の面積と、一の層内に含まれる人口分布算出単位エリア毎の面積と、の面積比を層毎に算出したものである。なお、分割エリアにおいて海等に対応する部分を除外した場合には、除外した後の後の分割エリアの面積と、人口分布算出単位エリアの面積との比を用いる。この変換テーブルは、予め算出単位エリア変換部607が算出しておくことができる。
以下、変換テーブルの具体例について説明する。ここでは、図47(a)に示す扇形のセクタC8の各分割エリアS1〜S7内の人口を、図47(b)に示す人口分布算出単位エリアM1〜M16毎の人口に変換する変換テーブルを求める場合について説明する。セクタC8の分割エリアS1〜S7と、人口分布算出単位エリアM1〜M16とを地理的に重ねると、図47(c)に示すように、複数の分割エリアに一つの人口分布算出単位エリアが跨る場合がある。
算出単位エリア変換部607は、人口分布算出単位エリアM1〜M16毎に、人口分布算出単位エリアと地理的に重なる分割エリアの面積比を求める。この面積比は、以下の式(4)によって求めることができる
面積比=(分割エリアと人口分布算出単位エリアとが重なる面積)/(分割エリアの面積) (4)
算出単位エリア変換部607は、この面積比を、人口分布算出単位エリアM1〜M16のそれぞれに対し、分割エリアS1〜S7毎に求める。そして、算出単位エリア変換部607は、求めた面積比を用いて、図48に示すように、人口分布算出単位エリアの識別子と、分割エリアの識別子と、面積比とを対応付けて変換テーブルを作成する。
算出単位エリア変換部607は、人口を変換する際に、図48に示す変換テーブルを行列形式で表した変換行列(図49)を用いる。この変換行列は、行方向が分割エリアS1〜S7、列方向が人口分布算出単位エリアM1〜M16となっている。
例えば、図47(a)に示す分割エリアS1〜S7内にそれぞれ100人ずつ人が存在していた場合を例に説明する。算出単位エリア変換部607は、図50に示すように、変換行列に分割エリアS1〜S7毎の人口(100人)を乗算し、行列計算を行うことで、人口分布算出単位エリアM1〜M16毎の人口を求める。この変換行列を用いた変換処理により、図51に示すように、人口分布算出単位エリアM1〜M16毎の人口を算出することができる。これにより、セクタよりも小さいエリアである分割エリア毎(層毎)の人口に基づいて、人口分布算出単位エリア毎の人口を求めることができる。
上記では、セクタが扇形の場合を例に説明したが、セクタ形状が丸型となる無指向性セクタの場合であっても同様に、変換テーブル及び変換行列を求め、変換行列を用いて人口分布算出単位エリア毎の人口を算出することができる。
人口出力部609は、算出単位エリア変換部607で変換された人口分布算出単位エリア毎の人口を、図示しない他の統計装置等に出力する。出力された人口分布算出単位エリア毎の人口は、例えば、店舗開発、道路交通調査、災害対策、環境対策等に利用される。
本実施形態は以上のように構成され、移動機と基地局との間で送受信される電波の伝播時間に基づいて、層状分割部605によってセクタが層状に分割される。層内人口算出部606によって、分割された層毎に人口が算出される。このように、分割された層毎に人口を算出することで、セクタよりも狭いエリアである層毎の人口を求めることができ、セクタ内における人口の分布偏りをより正確に把握することができる。また、本実施形態では、セクタ間のオーバーラップを許容することができる(セクタの領域が排他的とはならない)ため、セクタ同士の領域を個別に求めることができる。そのため、例えば、セクタが増設・廃設された場合や、セクタが工事中・故障した場合であっても、そのセクタの周辺のセクタ領域を再度推定する必要がなく、処理工数を削減することができる。
また、算出単位エリア変換部607が、層毎の人口を、人口分布算出単位エリア毎の人口に変換する。これにより、層毎の人口から、人口分布算出単位エリア毎の人口を求めることができる。即ち、セクタよりも狭いエリアである層毎の人口に基づいて人口分布算出単位エリア毎の人口を算出することで、セクタ内における人口の分布偏り等を考慮してより正確に人口分布算出単位エリア毎の人口を求めることができる。ここで、例えば、セクタ間のオーバーラップが許容できない場合には、周波数帯毎に別々のセクタ勢力エリアを推定して人口分布算出単位エリア毎の人口を求める必要がある。これに対し、本実施形態では、セクタ間、又はセクタを層状に分割した層状の領域間のオーバーラップを許容することができる、即ち、周波数帯やセクタの違いを考慮することなく、人口を求めることができる。このため本実施形態では、人口分布算出単位エリア毎の人口を効率よく求めることができる。
また、算出単位エリア変換部607が、人口分布算出単位エリアと地理的に重なる分割エリアの面積比を用いて変換テーブル算出する。そして、算出単位エリア変換部607が、変換テーブルを行列形式で表した変換行列を用いて人口の算出単位のエリア変換を行うことで、簡易な計算によってすばやく変換を行うことができる。
また、層内人口算出部606は、遅延情報やPRACH-PD位置情報の信号数に基づいて移動機の端末数を求め、求めた移動機の端末数から人口を求める。このように、電波の伝播時間に基づいて得られる遅延情報やPRACH-PD位置情報に基づいて、人口を算出することができる。
また、分割対象のセクタが有指向性セクタ又は無指向性セクタであり遅延情報が取得されている場合、層状分割部605は、伝播時間に基づいてセクタを分割することで、セクタをより適切に分割することができる。
また、分割対象のセクタが有指向性セクタでありPRACH-PD位置情報が取得されている場合、層状分割部605は、PRACH-PD位置情報に含まれる座標情報(測位点)に基づいてセクタを分割する。これにより、セクタをより適切に分割することができる。
また、放射幅算出部616が、GPS位置情報によって得られる分割対象のセクタに在圏する移動機100の分布、アンテナの位置、及び、電波の放射方向、に基づいて、電波の放射幅を算出する。これにより、電波の放射幅を取得できない場合であっても、移動機100の分布、アンテナの位置、及び、電波の放射方向に基づいて電波の放射幅を求めることができる。
また、分割対象のセクタが有指向性セクタ或いは無指向性セクタであり遅延情報が取得されている場合、主勢力エリア推定部613が、遅延情報に基づいて、分割対象のセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する。これにより、分割対象のセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径が取得できない場合であっても、遅延情報に基づいて主勢力エリアの半径を求めることができる。
また、分割の対象とするセクタが有指向性セクタである場合、主勢力エリア推定部613が、PRACH-PD位置情報、及び、アンテナの位置、に基づいて、分割対象のセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する。これにより、分割対象のセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径が取得できない場合であっても、PRACH-PD位置情報に含まれる座標情報(測位点)、及び、アンテナの位置に基づいて主勢力エリアの半径を求めることができる。
また、主勢力エリア推定部613が、GPS位置情報から得られる分割対象のセクタに在圏する移動機の分布、及び、アンテナの位置、に基づいて、分割対象のセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径を推定する。これにより、分割対象のセクタが主勢力となる主勢力エリアの半径が取得できない場合であっても、GPS位置情報から得られる移動機の分布、及び、アンテナの位置に基づいて、主勢力エリアの半径を求めることができる。
また、分割の対象とするセクタが有指向性セクタでありPRACH-PD位置情報が取得されている場合、層幅算出部617が、PRACH-PD位置情報の測位点の配列間隔に基づいて、層状分割部605によってセクタを分割する際の層幅を算出する。この場合には、例えば、偶然ある位置に移動機100が存在せずにある位置で移動機100が測位されなかった場合であっても、層幅算出部617で算出された層幅を用いることで、セクタをより適切に分割することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。例えば、層内人口算出部606が移動機の端末数を算出する際に、特徴量を用いることができる。以下、特徴量を用いて移動機の端末数を算出する処理の詳細について説明する。なお、この特徴量は、層内人口算出部606が人口を算出する際に用いた拡大係数を求める際にも用いることができる。
「特徴量」とは、上述したように、生成された遅延情報又はPRACH-PD位置情報についての推定生成密度に対応する情報である。また、ここでの「推定生成密度」とは、当該遅延情報又はPRACH-PD位置情報を生成した移動機100が、遅延情報又はPRACH-PD位置情報が生成された時刻周辺で単位時間あたりに生成する遅延情報又はPRACH-PD位置情報の数の推定値を意味する。
この特徴量は、概念的には以下のようにして求めることができる。即ち、移動機を識別する端末識別子と、移動機の位置に関する位置情報と、位置情報が取得された位置取得時刻情報と、を含む位置データを取得する位置データ取得手段と、ある第1の位置データについて、当該第1の位置データと同一の識別情報を含む位置データのうち、当該第1の位置データの直前の位置データである第2の位置データの位置取得時刻情報、及び当該第1の位置データの直後の位置データである第3の位置データの位置取得時刻情報を取得する前後位置データ取得手段と、第1の位置データの位置取得時刻情報、第2の位置データの位置取得時刻情報及び第3の位置データの位置取得時刻情報のうち2つ以上に基づいて、第1の位置データについての特徴量を計算する特徴量計算手段と、観測すべき観測期間に関する観測開始時刻以降であり且つ観測終了時刻以前である位置取得時刻情報を含み、且つ観測すべき観測エリアに関する観測エリア情報に対応づけられる位置情報を含む1乃至複数の位置データを、観測対象位置データとして取得する観測対象取得手段と、観測対象位置データについての特徴量、及び観測開始時刻と観測終了時刻との差である観測期間長に基づいて、観測期間中に観測エリアに在圏した端末数を推計する端末数推計手段と、を備えることで特徴量を求めることができる。
また、端末数を人口に変換するための拡大係数を記憶した拡大係数記憶手段、をさらに備え、端末数推計手段は、観測対象位置データについての特徴量、観測期間長、及び拡大係数に基づいて、観測期間中に観測エリアに在圏した人口を推計する、ことができる。
次に、特徴量を算出する具体的な処理について説明する。以下において、遅延情報及びPRACH-PD位置情報を総称して「第1の測位位置情報」と呼び、層内人口算出部606が第1の測位位置情報から特徴量を算出し、分割エリア内の移動機の端末数を算出する処理について説明する。
層内人口算出部606は、第1の測位位置情報が取得(測位)された時刻が集計時間帯の集計開始時刻以降であり且つ集計終了時刻以前である1又は複数の第1の測位位置情報を、集計対象位置情報として取得する。なお、集計時間帯は、層内人口算出部606において人口を得ようとする時間帯である。
層内人口算出部606は、特徴量を求める対象の集計対象位置情報(以下「第1の集計対象位置情報」という)について、当該第1の集計対象位置情報と同一の端末識別子を含む集計対象位置情報のうち、当該第1の集計対象位置情報の直前の集計対象位置情報(以下「第2の集計対象位置情報」という)が取得された時刻、及び当該第1の集計対象位置情報の直後の集計対象位置情報(以下「第3の集計対象位置情報」という)が取得された時刻を取得する。なお、層内人口算出部606は、第2又は第3の集計対象位置情報の全体を取得することは必須ではなく、少なくとも、第1の測位位置情報に含まれる時刻についての情報を取得すればよい。また、第1の測位位置情報には、移動機を識別するための端末識別子が付加されているものとする。
層内人口算出部606は、第1の集計対象位置情報それぞれについての特徴量を計算する。例えば、層内人口算出部606は、第2の集計対象位置情報が取得された時刻と第3の集計対象位置情報が取得された時刻との差を、当該第1の集計対象位置情報についての特徴量として計算する。また、層内人口算出部606は、第2の集計対象位置情報が取得された時刻が異常値である場合、ここでは一例として第1の集計対象位置情報が取得された刻と第2の集計対象位置情報が取得された時刻との差が所定の基準値(例えば1時間)より大きい場合に、第1の集計対象位置情報が取得された時刻から予め定められた時間(例えば1時間)だけ過去に遡った時刻を第2の集計対象位置情報が取得された時刻として用いて、第1の集計対象位置情報についての特徴量を計算する。同様に、層内人口算出部606は、第3の集計対象位置情報が取得された時刻が異常値である場合、ここでは一例として第1の集計対象位置情報が取得された時刻と第3の集計対象位置情報が取得された時刻との差が所定の基準値(例えば1時間)より大きい場合に、第1の集計対象位置情報が取得された時刻から予め定められた時間(例えば1時間)だけ未来に進めた時刻を第3の集計対象位置情報が取得された時刻として用いて、第1の集計対象位置情報についての特徴量を計算する。このような第2、第3の集計対象位置情報が取得された時刻が異常値である場合の処理は、必須の処理ではないが、上記処理を行うことで、移動機100が圏外に位置していることや移動機100の電源がオフされていること等に起因して第1の測位位置情報の取得時間間隔が異常に長くなった際に、当該異常に長くなった取得時間間隔による影響が過大に出ることを防ぐことができる。また、層内人口算出部606は、図52に示すように、端末識別子を含む第1の測位位置情報(ここでは、第1の測位位置情報が遅延情報である場合を示す)と、算出した特徴量と、を対応付けたデータベースを作成する。
層内人口算出部606は、第1の測位位置情報についての特徴量、及び集計開始時刻と集計終了時刻との差である集計時間帯の時間長に基づいて、端末数を推計する。詳細には、層内人口算出部606は、例えば、第1の測位位置情報が遅延情報である場合、図52に示す遅延情報に特徴量を対応付けたデータにおいて、伝播時間が同じ遅延情報を抽出し、抽出した遅延情報に対応付けられた特徴量に基づいて端末数を推計する。この端末数が、伝播時間に対応する移動機100の端末数となる。同様に、例えば、第1の測位位置情報がPRACH-PD位置情報である場合、PRACH-PD位置情報に特徴量を対応付けたデータにおいて、緯度・経度が同じ(測位点が同じ)PRACH-PD位置情報を抽出し、抽出したPRACH-PD位置情報に対応付けられた特徴量に基づいて端末数を推計する。この端末数が、測位点における移動機100の端末数となる。
詳細は後述するが、層内人口算出部606は、端末数を推計する際に、伝播時間が同一の遅延情報の特徴量の総和、或いは、緯度・経度が同一のPRACH-PD位置情報の特徴量の総和を集計時間帯の時間長の2倍によって除して得られた数値を端末数として推計する。
[端末数推計の考え方および計算方法]
ここで、端末数推計の考え方および計算方法を説明する。図53に示すモデルのように、ある集計時間帯(長さT)の間に、n個の移動機a
1,a
2,…,a
nが分割エリアSを通過し、各移動機a
iの集計時間帯内の分割エリアSの滞在時間がt
i(0<t
i≦T)であったとする。このとき、分割エリアSに存在する端末数m(実際には分割エリアSに存在する端末数mの集計時間帯内における平均値)は、以下の式(5)で表わされる。
即ち、各移動機a
iの集計時間帯内の分割エリアSの滞在時間t
iの総和を集計時間帯の長さTで除した結果を、端末数mとして推計する。ただし、移動機a
iの集計時間帯内の分割エリアSの滞在時間t
iの真の値は観測不能であるが、各移動機a
iについての第1の測位位置情報は取得可能である。
集計時間帯内に取得された移動機a
iについての第1の測位位置情報のうち、分割エリアSに対応付けられた第1の測位位置情報を、時刻順に
(x
iは、集計時間帯内に取得された移動機a
iについての第1の測位位置情報のうち、分割エリアSに対応付けられた第1の測位位置情報の総数)とすると、端末数の推計とは、取得された第1の測位位置情報q
ij(jは1以上x
i以下の整数)からmの値を推計することに他ならない。
さて、図54に基づき端末数推計の計算方法を説明する。移動機a
iの第1の測位位置情報q
ijが取得される密度(即ち、単位時間あたりの第1の測位位置情報数)をp
iとする。このとき、第1の測位位置情報が取得される確率が分割エリアに対して独立であれば、集計時間帯内に取得された移動機a
iについての第1の測位位置情報のうち、分割エリアSに対応付けられた第1の測位位置情報の総数x
iの期待値E(x
i)は、E(x
i)=t
i×p
iであるため、移動機a
iの集計時間帯内の分割エリアSの滞在時間t
iの期待値E(t
i)について以下の式(6)が成立する。
E(t
i)=x
i/p
i (6)
ここで、第1の測位位置情報q
ijの取得時刻をu
ijとしたとき、第1の測位位置情報q
ijの密度p
ijは、以下の式(7)で与えられる。
p
ij=2/(u
i(j+1)−u
i(j−1)) (7)
ここで、第1の測位位置情報q
ijを第1の集計対象位置情報とすると、第1の測位位置情報q
i(j−1)は第2の集計対象位置情報、第1の測位位置情報q
i(j+1)は第3の集計対象位置情報に相当する。本変形例では、第2の集計対象位置情報q
i(j−1)の送信時刻u
i(j−1)と第3の集計対象位置情報q
i(j+1)の送信時刻u
i(j+1)の差、即ち、上記式(7)の(u
i(j+1)−u
i(j−1))を、第1の集計対象位置情報についての特徴量w
ijとする。そのため、上記式(7)は、以下となる。即ち、特徴量w
ijは、密度p
ijの逆数に対応づけて算出することができる。
p
ij=2/(u
i(j+1)−u
i(j−1))=2/w
ij (8)
このとき密度p
iは、
で与えられるため、端末数mの推計値E(m)は以下の式(10)で計算することができる。
図54の例に示すように、集計時間帯内であり且つ移動機a
iが分割エリアSに滞在していた期間内に、第1の測位位置情報q
i1、q
i2、q
i3が取得され、第1の測位位置情報q
i1の直前に第1の測位位置情報q
i0を、第1の測位位置情報q
i3の直後に第1の測位位置情報q
i4が取得されたものとし、第1の測位位置情報q
i0、q
i1、q
i2、q
i3、q
i4の取得時刻をそれぞれu
i0、u
i1、u
i2、u
i3、u
i4とすると、上記の考え方は、移動機a
iの集計時間帯内の分割エリアSの滞在時間t
iを、(u
i0とu
i1の中点)から(u
i3とu
i4の中点)までの期間として推計することに相当する。なお、集計時間帯内ではないものの、分割エリアSへの滞在中に移動機a
iについての第1の測位位置情報q
i4が取得されている。但し、滞在時間t
iの推計量の不偏性を維持するために、ここでは一例として、滞在時間t
iの終了時刻を集計時間帯Tの終了時刻と同じとして推計することは行わない処理を説明する。
以上のように、層内人口算出部606は、第1の測位位置情報である遅延情報及びPRACH-PD位置情報から特徴量を求め、求めた特徴量から分割エリア内の移動機の端末数を算出することができる。この場合には、より正確に、分割エリア内の端末数を算出することができる。
次に、特徴量に関する変形例を述べる。前述した特徴量の算出方法においては、特徴量を求める対象の集計対象位置情報(第1の集計対象位置情報)の前後の集計対象位置情報の時間差(第2の集計対象位置情報と第3の集計対象位置情報との時間差)を、第1の集計対象位置情報の特徴量として算出する例を示した。これを式で表すと、特徴量は、以下の式(11)で表すことができる。なお、以下の式(11)は、前述した式(8)を変形しただけであり、式(8)と等価である(即ち、式(8)の考え方を変更したものではない)。
wij=ui(j+1)−ui(j−1) (11)
本変形例では、上記の第1の集計対象位置情報の特徴量を求める場合、第2の集計対象位置情報及び第3の集計対象位置情報についての種別情報(例えば後述する第1の測位位置情報(遅延情報、PRACH-PD位置情報)の生成要因(生成タイミング))を考慮する。具体的には、第3の集計対象位置情報と第1の集計対象位置情報との時間差に対し、第3の集計対象位置情報の種別情報(ここでは生成要因)に対応する補正係数αを乗算した値を算出するとともに、第1の集計対象位置情報と第2の集計対象位置情報との時間差に対し、第2の集計対象位置情報の種別情報(ここでは生成要因)に対応する補正係数βを乗算した値を算出する。ただし、上記以外に、第1の集計対象位置情報の種別情報に応じて補正係数α又はβを定めても良いし、また、第1および第2の集計対象位置情報の種別情報に応じて補正係数βを定めても、第1および第3の集計対象位置情報の種別情報に応じて補正係数αを定めてもよい。そして、これらの乗算で得られた値を合算した値を第1の集計対象位置情報の特徴量とする。この特徴量の算出処理を式で表すと、以下の式(12)で表される。
wij=α(ui(j+1)−uij)+β(uij−ui(j−1)) (12)
第2の集計対象位置情報及び第3の集計対象位置情報についての種別情報としては、例えば、第2の集計対象位置情報及び第3の集計対象位置情報となる第1の測位位置情報の生成要因に関する情報が挙げられ、この生成要因に関する情報は、生成された第1の測位位置情報に含まれている。第1の測位位置情報の生成要因としては、前述したPRACH-PD測位方式を用いた測位が行われるタイミングである、移動機100の発信時、着信時、又はハンドオーバ時等が挙げられ、これらの生成要因に対応して、補正係数αおよびβの設定値を予め定めておく。そして、第3の集計対象位置情報の生成要因に関する情報に応じて第3の集計対象位置情報についての補正係数αを設定し、第2の集計対象位置情報の生成要因に関する情報に応じて第2の集計対象位置情報についての補正係数βを設定すればよい。なお、補正係数α、βはともに、0以上2以下の値に予め定めておいてもよい。但し、この数値範囲は必須ではない。
例えば、端末の位置と第1の測位位置情報の生成契機とが無関係である場合、現在の分割エリアに滞在していた時間の期待値は、当該第1の測位位置情報の生成の前後で同じと考えられる。一方、例えばハンドオーバを契機として生成された第1の測位位置情報の場合等、少なくとも当該第1の測位位置情報が生成される前は、端末が現在の分割エリアに滞在していなかったと判断できる場合がある。このような場合、当該第1の測位位置情報が生成される前に端末が現在の分割エリアに滞在していた時間を0と考え、第1の集計対象位置情報の種別情報(生成要因)が「ハンドオーバ」であれば、上記式(12)における補正係数β(即ち、直前の集計対象位置情報との時間差に関する補正係数β)を0に設定することができる。これにより、より実態に即した特徴量を算出できる。
このように、集計対象位置情報(第1の集計対象位置情報)についての特徴量を算出する場合、第1の集計対象位置情報の前後の集計対象位置情報である第2及び第3の集計対象位置情報についての種別情報(一例として第1の測位位置情報の生成要因)に応じて、第2の集計対象位置情報と第3の集計対象位置情報との時間差を補正し、補正した時間差を用いて特徴量を算出する。これにより、第1の測位位置情報の種別情報に基づいて特徴量をより精度よく算出することができる。
また、層状分割部605は、図38や図42に示すように、扇形や円形のセクタを層状に分割するものとしたが、扇形や円形のセクタに限らず、例えば、多角形のセクタや楕円形のセクタ等を層状に分割してもよい。
また、実施形態では、層内人口算出部606が移動機100の端末数から人口を求めるものとしたが、人口を求めずに、分割エリア毎の端末数(所定の値)を求めてもよい。この場合であっても、実施形態と同様に、セクタ内における移動機の分布偏りをより正確に把握することができる。