JP5612620B2 - フォトニック結晶デバイス - Google Patents

フォトニック結晶デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP5612620B2
JP5612620B2 JP2012042042A JP2012042042A JP5612620B2 JP 5612620 B2 JP5612620 B2 JP 5612620B2 JP 2012042042 A JP2012042042 A JP 2012042042A JP 2012042042 A JP2012042042 A JP 2012042042A JP 5612620 B2 JP5612620 B2 JP 5612620B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photonic crystal
crystal device
region
mode
defect
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012042042A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013179170A (ja
Inventor
浩司 武田
浩司 武田
松尾 慎治
慎治 松尾
納富 雅也
雅也 納富
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2012042042A priority Critical patent/JP5612620B2/ja
Publication of JP2013179170A publication Critical patent/JP2013179170A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5612620B2 publication Critical patent/JP5612620B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Optical Integrated Circuits (AREA)
  • Semiconductor Lasers (AREA)

Description

本発明は、例えば半導体レーザなどのフォトニック結晶デバイスに関する。
近年、CMOSチップの配線層における消費電力を削減するために、CMOSチップの上で、または、CMOSチップの内部で光通信を行うことの検討が進められている。光通信用の光源としては、低消費電力という特徴をもつフォトニック結晶レーザの重要性が増している。フォトニック結晶レーザは、化合物半導体の利得によって光を閉じ込めて、レーザ発振を行うようになっている。
このような状況下において、例えば非特許文献1に開示されたフォトニック結晶レーザでは、フォトニック結晶の面積を大きくし、10μW程度の出力パワーを有する単一モード発振を得るようにしている。
非特許文献2では、フォトニック結晶穴を少なくして、単一モード発振を得るようにしている。
非特許文献3,4では、フォトニック結晶のInP層に活性層を埋め込んで、単一モードのレーザを得るようにしている。
H. Matsubara et al., GaN photonic-crystal surface-emitting laser at blue-violet wavelengths, Science, Vol. 319, No. 5862, pp. 445−447, 2008. A. V. Giannopoulos et al., Decimated photonic crystal defect cavity lasers, IEEE Journal of Selected Topics on Quantum Electronics, early access. S. Matsuo et al., High-speed ultracompact buried heterostructure photonic-crystal laser with 13 fJ of energy consumed per bit transmitted, Nature Photonics, Vol. 4, pp. 648−654, 2010. C.-H. Chen et al., All-optical memory based on injection-locking bistability in photonic crystal lasers, Optics Express, Vol. 19, pp. 3387−3395, 2011.
非特許文献1ないし4に開示されたレーザでは、フォトニック結晶がもつフォトニックバンドギャップを利用して、非常に高い光閉じ込め構造をもつ光共振器を有する構成となっている。しかしながら、共振器内部に閉じ込められる光が強くなりすぎて、多モード発振となりやすい。
そこで本発明は、単一モード発振を得ることができるフォトニック結晶デバイスを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するためのフォトニック結晶デバイスは、第1の屈折率を有する媒質からなるスラブ内に上記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する媒質からなるフォトニック結晶穴が規則的に配列されたフォトニック結晶と、上記フォトニック結晶内の線状の欠陥に沿って形成され、活性層を含む光導波路と、を含み、上記フォトニック結晶は、当該フォトニック結晶の電磁分布の基本モードが2次モードに優先して共振するように、上記フォトニック結晶穴が形成されていない欠陥領域を前記線状の欠陥以外の領域に備える。
ここで、上記欠陥領域は、上記光導波路の導波方向に対して、±30°の領域を除いた範囲の領域に形成されていてもよい。
フォトニック結晶デバイスは、上記光導波路の導波方向に対して±30°の領域に、線状の欠陥に沿って形成された出力導波路をさらに含むようにしてもよい。
上記欠陥領域は、上記±30°の領域を除いた範囲の領域の全域に形成されていてもよい。
本発明によれば、単一モード発振を得ることができる。
第1実施形態におけるフォトニック結晶デバイスの構成例を示す斜視図である。 図1のI−I方向に沿ったフォトニック結晶デバイスの断面例を示す図である。 フォトニック結晶デバイスの作製方法を説明するための説明図である。 従来例1のフォトニック結晶デバイスの構成を示す図である。 第1実施形態のフォトニック結晶デバイスの発振スペクトルを図4の従来例1と比較して説明するための図である。 第1実施形態のフォトニック結晶デバイスにおける基本モードおよび2次モードの磁界分布を図4の従来例と比較して説明するための図である。 第2実施形態におけるフォトニック結晶デバイスの構成例を示す斜視図である。 従来例2のフォトニック結晶デバイスの構成を示す図である。 第2実施形態のフォトニック結晶デバイスの発振スペクトルを図8の従来例2と比較して説明するための図である。 第2実施形態のフォトニック結晶デバイスにおける基底モードおよび2次モードの分布を説明するための図である。 第3実施形態におけるフォトニック結晶デバイスの構成例を示す斜視図である。 第3実施形態のフォトニック結晶デバイスの発振スペクトルを図4の従来例1と比較して説明するための図である。 第3実施形態のフォトニック結晶デバイスにおける基底モードおよび2次モードの分布を説明するための図である。 第4実施形態におけるフォトニック結晶デバイスの構成例を説明するための図である。 第4実施形態のフォトニック結晶デバイスの発振スペクトルを説明するための図である。
以下、本発明の複数の実施形態について説明する。各実施形態に係るフォトニック結晶デバイスは、屈折率の異なる媒質である空気および半導体材料が規則的に配列されたフォトニック結晶を含んで構成され、フォトニック結晶を利用して光を出力するための半導体レーザである。
<第1実施形態>
本発明のフォトニック結晶デバイスの第1実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。
[フォトニック結晶デバイスの構成]
図1は、本実施形態におけるフォトニック結晶デバイス10の構成例を示す斜視図である。
図1に示すように、このフォトニック結晶デバイス10は、全体としてInP基板11上に形成されており、基板11の上には、犠牲層12および埋め込み成長層13が順に形成されている。
この実施形態では、基板11として例えばInP基板を適用する一例を示している。一般に、光通信に用いられる光の波長は1.3〜1.5μm帯であるため、その波長帯にバンドギャップをもつInP系の基板が広く用いられている。
犠牲層12は、エアギャップ構造21を有する構成となっている。犠牲層12の材料としては、例えばInGaAsが用いられる。
埋め込み成長層13には、例えば、複数の空気穴(フォトニック結晶穴)20を有する2次元フォトニック結晶スラブが構成されており、このフォトニック結晶中に、活性層14が形成されている。埋め込み成長層13は、活性層14を含むコア層領域よりも熱伝導率が高く、かつ、コア層領域よりもバンドギャップが大きい化合物(III−V族混合結晶)で形成される。埋め込み成長層13の材料としては、例えばInPが用いられる。
この実施形態では、複数の空気穴20は、xz平面において、一定の間隔で互いに正三角形(規則的)になるように配列されている。一定の間隔、すなわち隣接する各空気穴の間隔は、フォトニック結晶デバイス10の動作波長をλ、埋め込み成長層13の屈折率をNとすると、λ/Nで求められる大きさに調整される。図1の例では、隣接する空気穴20の間隔は例えば422nmに設定されるが、適宜変更してもよい。
また、埋め込み成長層13は、空気穴が形成されない領域、すなわち屈折率の周期構造が乱す欠陥領域15,17,18を有する。
欠陥領域15は、例えばz軸方向に沿って線状に欠陥が形成され、光を通過する光導波路として形成されている。この欠陥領域15内には、上述した活性層14が形成されている。
欠陥領域17,18は、フォトニック結晶スラブ面(xz平面)に対して対称な形状となっている。すなわち、欠陥領域17は、光導波路の導波方向(z軸方向)に対して、x軸方向に+60°〜+120°の範囲に形成され、欠陥領域18は、導波路の導波方向(z軸方向)に対して、x軸方向に−60°〜−120°の範囲(導波方向に対して±30°の領域を除いた範囲の領域)に形成されている。
活性層14は、量子井戸構造を有しており、キャリアの注入により光を励起する化合物(III−V族混合結晶)で形成される。活性層14の材料としては、例えばInGaAsPが用いられる。
図2は、図1のI−I方向に沿ってみたときのフォトニック結晶デバイス10の一部の断面図である。
図2に示したフォトニック結晶デバイス10では、基板11上に、エアギャップ21、埋め込み成長層13の順に、それらが形成されている。そして、埋め込み成長層13には、エアギャップ21へ通じる複数の空気穴20が形成されている様子が示してある。
また、この実施形態では、図2に示したように、埋め込み成長層13には、上述した活性層14と、活性層14の上部および下部の各々に形成されるキャリア閉じ込め層141、142とを有するコア層領域30が形成されている様子が示してある。
コア層領域30は、空気穴20に接しないように形成されている。換言すると、コア層領域30は、埋め込み成長層13で覆われている。このように構成することで、励起光がコア層領域30で吸収され、活性層14にキャリアを注入することが可能となる。
この場合、フォトニック結晶デバイス10では、y軸方向(上下方向)には空気(媒質)により共振器が形成され、また、xz方向(フォトニック結晶スラブ面方向)には複数の空気穴20により共振器が形成される。
[フォトニック結晶デバイスの作製方法]
次に、本実施形態におけるフォトニック結晶デバイス10の作製方法について図1ないし図3を参照して説明する。
図3は、フォトニック結晶デバイス10の作製方法を説明するための説明図である。
まず、図3(a)に示すように、InP基板11上に、InGaAs犠牲層12、InP層131、キャリア閉じ込め層142、InGaAsP活性層13、キャリア閉じ込め層141、InP層132を順番に結晶成長させる。
次に、図3(b)に示すように、リソグラフィおよびエッチングにより、キャリア閉じ込め層142、InGaAsP活性層14、キャリア閉じ込め層141およびInP層132を除去して、図1に示した活性層14を含むコア層領域30を形成する部分以外の部分を露出させる。
次に、図3(c)に示すように、キャリア閉じ込め層142、InGaAsP活性層13、キャリア閉じ込め層141およびInP層132の両端面に、再度、InP層133を成長させる。
次に、図3(d)に示すように、InP層132,133の上面にわたりInP層134を成長させる。
次に、図3(e)に示すように、ドライエッチングにより、InP層134,133,131を貫通して、InGaAs犠牲層12の中間付近まで達する複数の空気穴20を形成する。図3(e)の例では、複数の空気穴20は、一定の間隔(例えば、422nm)で互いに正三角形になるように配列されている。この場合、空気穴20を形成しない領域は、図1に示した欠陥領域15,17,18となる。
次に、複数の空気穴20を用いて、InGaAs犠牲層12をウエットエッチングして、図3(f)に示すように、基板11とInP層131との間に、エアギャップ21を形成する。このようにして、本実施形態のフォトニック結晶デバイス10が作製できる。なお、図3において、InP層131,132,133,134は、それぞれ図1,2に示した埋め込み成長層13に対応する。
本実施形態のフォトニック結晶デバイス10では、単一横モード発振が得やすくなるが、この特性は、従来のフォトニック結晶デバイスの場合と比較することによって、理解が容易となる。
従来のフォトニック結晶デバイスは、図4に示すような構成とされることが知られている(例えば、非特許文献3を参照)。図4は、従来例1のフォトニック結晶デバイス100の構成例を示す斜視図である。
図4において、従来例1のフォトニック結晶デバイス100が第1実施形態と異なるのは、InP埋め込み成長層103に形成された欠陥領域のみである。すなわち、従来例1のInP埋め込み成長層103は、前述のInP埋め込み成長層13とは異なり、欠陥領域105、すなわち光導波路のみを有するようにしてある点のみが第1実施形態と異なる。
したがって、従来例1のフォトニック結晶デバイス100では、第1実施形態と同様に、n−InP基板101上に、エアギャップ201を有するInGaAs犠牲層102、および、複数の空気穴200を有するInP埋め込み成長層103が順に形成されている。この場合、空気穴200の配列および間隔は、図1に例示した配列および間隔と同じようにしてある。また、活性層104は、図1と同様に欠陥領域105内に埋め込まれてある。
[発振スペクトル特性]
次に、この実施形態のフォトニック結晶デバイス10の発振スペクトルを従来例1と比較して説明する。
図5は、第1実施形態のフォトニック結晶デバイス10の発振スペクトルを図4の従来例1と比較して説明するための図である。
図5に示す発振スペクトルは、数値電磁解析の一手法である有限差分時間領域法(FDTD法:Finite Difference Time Domain method)により計算されたものである。
図5の破線で示すように、従来例1の場合の発振スペクトルは、波長が1518nm付近、1532nm付近でそれぞれピークとなり、結果として、ピークの強度が強い2つのモードがともに発振するようになっている。
一方、フォトニック結晶デバイス10の場合の発振スペクトルは、図5の実線で示すように、波長が1532nm付近のみでピークとなり、1つのモードのみが発振するようになっている。すなわち、単一モード発振となる。
[基本モードおよび2次モード磁界分布]
次に、この実施形態のフォトニック結晶デバイス10における基本モードおよび2次モードの磁界分布を従来例1と比較して説明する。
図6は第1実施形態のフォトニック結晶デバイス10における基本モードおよび2次モードの磁界分布を図4の従来例1と比較して説明するための図であって、(a)はフォトニック結晶デバイス10の基本モード、(b)はフォトニック結晶デバイス10の2次モード、(c)は従来例1の基本モード、(d)は従来例1の2次モードの磁界分布を示す。
図6に示す基本モードおよび2次モードの磁界分布は、有限差分時間領域法(FDTD法)により計算されたものである。この場合、磁界分布はxz平面上の磁界分布である。
例えば、フォトニック結晶デバイス10の場合には、図6(a)に示した基本モードは、z軸方向(上下方向)に対して、x軸方向(左右方向)に-30°、+30°傾いた分布となり、2次モードは、図6(b)に示したような分布となる。この場合、共振の強さを示すQ値は、基本モードでは546000となり、2次モードでは7900となった。
一方、従来例1の場合には、図6(c)に示した基本モードは、図6(a)と同じような磁界分布となり、図6(d)に示した2次モードは、楕円形状の分布となる。この場合、基本モードのQ値は2080000となり、2次モードのQ値は110000となった。これに対して、図6(b)の場合の2次モードのQ値は、上述したように、7900となったので、図6(d)の場合のQ値(110000)よりも102100小さくなることがわかる。換言すると、本実施形態の場合には、2次モードのQ値(7900)は、従来例1の場合のQ値(110000)を7.2%程度まで減少させた値となる。これは、本実施形態のフォトニック結晶デバイス10において、埋め込み成長層13は、基本モードの電磁分布が強い領域を除く範囲に形成された欠陥領域17,18を備えるため、基本モードのみが優先的に共振するようになるためである。
以上説明したように、本実施形態のフォトニック結晶デバイス10によれば、基本モードのみが優先的に共振するように、欠陥領域17,18が形成されている。これにより、単一モード発振ができる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について図7ないし図10を参照して説明する。
図7は、本実施形態におけるフォトニック結晶デバイス10Aの構成例を示す斜視図である。
図7において、フォトニック結晶デバイス10Aが第1実施形態と異なるのは、InP埋め込み成長層13に出力導波路81が形成されている点のみが第1実施形態と異なる。したがって、フォトニック結晶デバイス10Aでは、第1実施形態と同様に、InP基板11上に、エアギャップ21を有するInGaAs犠牲層12、および、複数の空気穴20を有するInP埋め込み成長層13が順に形成されている。空気穴20の配列および間隔は、図1に例示した配列および間隔と同じようにしてある。また、活性層14は、図1と同様に欠陥領域15内に埋め込まれてある。
出力導波路81は、フォトニック結晶内の線状の欠陥で形成される。この実施形態では、出力導波路81は、欠陥領域15すなわち光導波路の導波方向に対して±30°の領域、例えば、光導波路からx軸方向に所定距離だけシフトする位置に形成されている。
ここで、従来のフォトニック結晶デバイスは、図8に示すような構成とされることが知られている(例えば、非特許文献4を参照)。図8は、従来例2のフォトニック結晶デバイス100Aの構成例を示す斜視図である。
図8において、従来例2のフォトニック結晶デバイス100Aが第2実施形態と異なるのは、InP埋め込み成長層103に形成された欠陥領域のみである。すなわち、従来例2のInP埋め込み成長層103は、前述の図7のInP埋め込み成長層13とは異なり、欠陥領域105および出力導波路111のみを有するようにしてある点のみが第2実施形態と異なる。すなわち、従来例2では、図7の欠陥領域17,18に対応するものがない。
したがって、従来例2のフォトニック結晶デバイス100Aでは、第2実施形態と同様に、n−InP基板101上に、エアギャップ201を有するInGaAs犠牲層102、および、複数の空気穴200を有するInP埋め込み成長層103が順に形成されている。この場合、空気穴200の配列および間隔は、図7に例示した配列および間隔と同じにようにしてある。また、活性層104は、図1と同様に欠陥領域105内に埋め込まれてある。
[発振スペクトル特性]
次に、この実施形態のフォトニック結晶デバイス10Aの発振スペクトルを従来例2と比較して説明する。
図9は、第2実施形態のフォトニック結晶デバイス10Aの発振スペクトルを図8の従来例2と比較して説明するための図である。なお、図9に示す発振スペクトルは、有限差分時間領域法(FDTD法)により計算されたものである。
図9の破線で示すように、従来例2の場合の発振スペクトルは、波長が1523nm付近、1533nm付近でそれぞれピークとなり、結果として、ピークの強度が大きい2つのモードがともに発振するようになっている。
一方、フォトニック結晶デバイス10Aの場合の発振スペクトルは、図9の実線で示すように、波長が1522nm付近、1533nm付近でそれぞれピークとなるが、ピークの強度が大きい1533nm付近の基本モードが優先的に発振するようになっている。
[基本モードおよび2次モード磁界分布]
次に、この実施形態のフォトニック結晶デバイス10Aにおける基本モードおよび2次モードの磁界分布を説明する。
図10は第2実施形態のフォトニック結晶デバイス10Aにおける基本モードおよび2次モードの磁界分布を説明するための図であって、(a)は基本モード、(b)は2次モードの磁界分布を示す。なお、図10に示した磁界分布は、有限差分時間領域法(FDTD法)により計算されたものである。また、磁界分布は、xz平面上の磁界分布である。
基本モードは図10(a)に示すような磁界分布となり、2次モードは図10(b)に示すような磁界分布となる。この場合、それぞれのモードのQ値の差は小さくなる。すなわち、基本モードのQ値は3105となり、2次モードのQ値は2091となった。これは、基本モードが、フォトニック結晶デバイス10の出力導波路81に結合する度合が強くなり、フォトニック結晶デバイス10Aの共振強度が弱い状態となるためである。
一方、従来例2では、基本モードのQ値は3176となり、2次モードのQ値は11884となった。図10(b)では、2次モードのQ値が2091であったため、(b)の場合には、従来例2の場合よりも2次モードのQ値が20%程度下がったことがわかる。これにより、本実施形態のフォトニック結晶デバイス10Aでは、基本モードのQ値を劣化させないようにしつつ、2次モードのQ値を小さくすることができる。
以上説明したように、本実施形態のフォトニック結晶デバイス10Aでは、欠陥領域17,18および出力導波路81を構成することによって、単一モード発振が可能となる。
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について図11ないし図13を参照して説明する。
図11は、本実施形態におけるフォトニック結晶デバイス10Bの構成例を示す斜視図である。
図11において、フォトニック結晶デバイス10Bが第1実施形態と異なるのは、InP埋め込み成長層13に形成された欠陥領域91,92,93,94であるため、欠陥領域91,92,93,94について主に以下説明する。
欠陥領域91,92は、フォトニック結晶スラブ面(xz平面)に対して対称な形状となっている。すなわち、欠陥領域91は、光導波路(活性層14が埋め込まれたz軸方向の欠陥領域の部分)の導波方向(z軸方向)に対して、x軸方向に-30°〜+30°の範囲(光導波路の導波方向に対して±30°の領域を除いた範囲の領域)に形成され、欠陥領域92は、光導波路の導波方向(z軸方向)に対して、x軸方向に+150°〜+210°の範囲(光導波路の導波方向に対して±30°の領域を除いた範囲の領域)に形成されている。
欠陥領域93,94は、フォトニック結晶スラブ面(xz平面)に対して対称な形状となっている。すなわち、欠陥領域93は、x軸方向に対して、z軸方向に-60°〜+60°の範囲(光導波路の導波方向に対して±30°の領域を除いた範囲の領域)に形成され、欠陥領域94は、x軸方向に対して、z軸方向に+120°〜+240°の範囲(光導波路の導波方向に対して±30°の領域を除いた範囲の領域)に形成されている。
なお、フォトニック結晶デバイス10Bでは、第1実施形態と同様に、InP基板11上に、エアギャップ21を有するInGaAs犠牲層12、および、X状に配列された複数の空気穴20を有するInP埋め込み成長層13が順に形成されている。空気穴20の間隔は、例えば図1に例示した間隔と同じようにしてある。
[発振スペクトル特性]
次に、この実施形態のフォトニック結晶デバイス10Bの発振スペクトルを従来例1と比較して説明する。
図12は、第3実施形態のフォトニック結晶デバイス10Bの発振スペクトルを図4の従来例1と比較して説明するための図である。なお、図12に示す発振スペクトルは、有限差分時間領域法(FDTD法)により計算されたものである。
図12の破線で示すように、従来例1の場合の発振スペクトルは、図5の場合と同様に波長が1518nm付近、1532nm付近でそれぞれピークとなり、結果として、ピークの強度が強い2つのモードがともに発振するようになっている。
一方、フォトニック結晶デバイス10Bの場合の発振スペクトルは、図12の実線で示すように、波長が1522nm付近、1533nm付近でともにピークとなるが、ピークの強度が大きい1532nm付近の基本モードが優先的に発振するようになっている。
[基本モードおよび2次モード磁界分布]
次に、この実施形態のフォトニック結晶デバイス10Bにおける基本モードおよび2次モードの磁界分布を説明する。
図13は第3実施形態のフォトニック結晶デバイス10Bにおける基本モードおよび2次モードの磁界分布を説明するための図であって、(a)は基本モード、(b)は2次モードの磁界分布を示す。なお、図13に示した磁界分布は、有限差分時間領域法(FDTD法)により計算されたものである。また、磁界分布は、xz平面上の磁界分布である。
図13(a)に示した基本モードは、z軸方向(上下方向)に対して、x軸方向(左右方向)に-30°、+30°傾いた分布となり、2次モードは、図10(b)に示したような分布となる。この場合、基本モードのQ値は43320となり、2次モードのQ値は1314なった。これにより、Q値が大きい基本モードのみが優先的に共振することがわかる。
以上説明したように、本実施形態のフォトニック結晶デバイス10Bでは、欠陥領域91,92,93,94を構成することによって、基本モードのみが優先的に共振するようになり、単一モード発振が可能となる。
<第4実施形態>
第4実施形態では、光励起により活性層へのキャリア注入を行う上記各実施形態のものと異なり、電流注入により活性層へのキャリア注入を行うものを例示している。
図14は、第4実施形態におけるフォトニック結晶デバイス10Cの試作例を説明するための図である。
図14において、フォトニック結晶デバイス10Cは、全体としてInP基板11上に形成されており、基板11の上には、InGaAs犠牲層12およびInP埋め込み成長層13が順に形成されている。
埋め込み成長層13には、例えば、複数の空気穴20を有する2次元フォトニック結晶スラブが構成されており、このフォトニック結晶中に、InP活性層14が形成されている。複数の空気穴20の配列は、図1に示した配列と同様になるようにしてある。
また、埋め込み成長層13には、図1と同様に欠陥領域15,17,18が形成されるとともに、線状の欠陥からなる出力導波路82が形成されている。出力導波路82は、欠陥領域15すなわち光導波路の導波方向に対して±30°の領域、例えば、光導波路からx軸方向に所定距離だけシフトする位置に形成されている。
また、この実施形態では、フォトニック結晶デバイス10Cは、p型電極31、および、n型電極30を備える。この場合、各電極30,31へ電流が注入されると、電流注入がフォトニック結晶の平面方向(xz方向)に行われ、活性層14へキャリアを注入することが可能となる。なお、図14においても、活性層14は、図2と同様にコア層領域30を構成している。
なお、図14では、PN接合とするために、イオン注入される領域d1と、不純物が拡散される領域d2が示してある。
[発振スペクトル特性]
次に、この実施形態のフォトニック結晶デバイス10Cの発振スペクトルを説明する。
図15は、第4実施形態のフォトニック結晶デバイス10Cの発振スペクトルを示す図である。図15に示す発振スペクトルは、実際に観測されたものである。
図15において、発振スペクトルの出力パワーが最大となるのは、波長が1532nm程度の場合である。スペクトル計算では、波長が基本モードより15nm大きい、または、基本モードより15nm小さい付近で高次モードが現れることになるが、図15の場合には高次モードの出力パワーのピークは観測されなかった。これにより、フォトニック結晶デバイス10Cにおいても、上記各実施形態と同様に単一モード発振とすることができることがわかる。
[フォトニック結晶デバイスの作製方法]
次に、本実施形態におけるフォトニック結晶デバイス10Cの作製方法について図15を参照して説明する。この場合、図3(a)〜(f)とほぼ同様に作製するが、図3(a)〜(d)の工程を経て埋め込みヘテロ構造を作製した後、上述したイオン注入および拡散によりPN接合を形成する。
次に、図3(e)の工程を経て空気穴20を形成した後、蒸着により電極30,31を形成する。
次に、図3(f)の工程を経てエアギャップ21を形成し、本実施形態のフォトニック結晶デバイス10Cを作製する。
<変形例>
以上では、第1実施形態ないし第4実施形態を参照して、単一モード発振を実現することができるフォトニクス結晶デバイスについて説明したが、他の形状の構成を適用することもできる。
例えば、各実施形態のフォトニクス結晶デバイスでは、活性層の材料をInGaAsとしたが、例えばInGaAsP、GaAs等を適用してもよい。また、キャリア閉じ込め層の材料をInGaAsPとしたが、例えば、InGaAs、InP等を適用してもよい。
あるいは、埋め込み成長層の材料をInPとしたが、例えばInGaAsP、GaAs等を適用してもよい。また、InP基板11を用いる場合について説明しているが、例えば、GaAs、サファイア基板、シリコン基板、または、他の半導体基板を適用することもできる。
空気穴の間隔または配列は、各実施形態に限られるものではなく、変更可能である。あるいは、欠陥領域の配置についても、各実施形態に限られるものではなく、変更可能である。例えば、フォトニック結晶の基本モードの電磁分布が強い領域を除く範囲に形成されるようにすれば、欠陥領域は、光導波路の導波方向に対して±30°の領域を除いた範囲の一部、または、全部の領域に形成するようにしてもよい。
フォトニクス結晶デバイスは、半導体レーザの場合を例にとって説明したが、例えば屈折率の変化を利用する半導体光スイッチに適用するようにしてもよい。
10 半導体レーザ
11 基板
12 活性層
13 埋め込み成長層
14 活性層
15 欠陥領域(光導波路)
17,18,91,92,93,94 欠陥領域
30 コア層領域
81 出力導波路
141,142 キャリア閉じ込め層

Claims (4)

  1. 第1の屈折率を有する媒質からなるスラブ内に上記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する媒質からなるフォトニック結晶穴が規則的に配列されたフォトニック結晶と、
    上記フォトニック結晶内の線状の欠陥に沿って形成され、活性層を含む光導波路と、を含み、
    上記フォトニック結晶は、当該フォトニック結晶の電磁分布の基本モードが2次モードに優先して共振するように、上記フォトニック結晶穴が形成されていない欠陥領域を前記線状の欠陥以外の領域に備える
    ことを特徴とするフォトニック結晶デバイス。
  2. 上記欠陥領域は、上記光導波路の導波方向に対して、±30°の領域を除いた範囲の領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶デバイス。
  3. 上記光導波路の導波方向に対して±30°の領域に、線状の欠陥に沿って形成された出力導波路をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフォトニック結晶デバイス。
  4. 上記欠陥領域は、上記±30°の領域を除いた範囲の領域の全域に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフォトニック結晶デバイス。
JP2012042042A 2012-02-28 2012-02-28 フォトニック結晶デバイス Active JP5612620B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012042042A JP5612620B2 (ja) 2012-02-28 2012-02-28 フォトニック結晶デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012042042A JP5612620B2 (ja) 2012-02-28 2012-02-28 フォトニック結晶デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013179170A JP2013179170A (ja) 2013-09-09
JP5612620B2 true JP5612620B2 (ja) 2014-10-22

Family

ID=49270554

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012042042A Active JP5612620B2 (ja) 2012-02-28 2012-02-28 フォトニック結晶デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5612620B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6162665B2 (ja) * 2014-08-19 2017-07-12 日本電信電話株式会社 フォトニック結晶共振器
GB2588891B (en) * 2019-10-23 2024-04-24 Smart Photonics Holding B V Manufacturing a semiconductor structure

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4569942B2 (ja) * 2002-09-26 2010-10-27 三菱電機株式会社 光アクティブデバイス
EP2475056B1 (en) * 2009-09-01 2015-04-22 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Photonic crystal device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013179170A (ja) 2013-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5363578B2 (ja) フォトニック結晶デバイス
KR101128944B1 (ko) 2차원 포토닉 결정 면발광 레이저광원
US20090225804A1 (en) Semiconductor laser and method for manufacturing the same
US10763644B2 (en) Lateral current injection electro-optical device with well-separated doped III-V layers structured as photonic crystals
WO2007027982A2 (en) Devices and methods for providing stimulated raman lasing
CN105720479A (zh) 一种具有光束扩散结构的高速半导体激光器
JP4684861B2 (ja) 導波路及びそれを有するデバイス
JP5662494B2 (ja) フォトニック結晶デバイス
Kalapala et al. Scaling challenges in high power photonic crystal surface-emitting lasers
JP2011091163A (ja) 半導体集積素子
King et al. Coherent power scaling in photonic crystal surface emitting laser arrays
JP5612620B2 (ja) フォトニック結晶デバイス
Yoshida et al. Experimental investigation of lasing modes in double-lattice photonic-crystal resonators and introduction of in-plane heterostructures
JP2014197598A (ja) 半導体レーザ装置
JP2007133332A (ja) 導波路及びそれを有するデバイス
JP5867129B2 (ja) 光半導体素子及び光半導体素子の製造方法
Dupont et al. Contradirectional coupling between III–V stacks and silicon-on-insulator corrugated waveguides for laser emission by distributed feedback effect
Czyszanowski et al. Spatial-mode discrimination in guided and antiguided arrays of long-wavelength VCSELs
Wang et al. Continuous-wave operation of 1550 nm low-threshold triple-lattice photonic-crystal surface-emitting lasers
KR20060089740A (ko) 도파관 구조를 갖는 표면 발광 반도체 레이저
JP2011119311A (ja) 半導体レーザ装置
JP2009302376A (ja) 半導体光素子およびその製造方法
JP4872096B2 (ja) フォトニック結晶発光素子及び発光装置
Sui et al. Hybrid deformed-ring AlGaInAs/Si microlasers with stable unidirectional emission
Itoh et al. High-power with single-lobe beam of 1.3-μm InP-based double-lattice photonic-crystal surface-emitting lasers

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130917

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140304

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140430

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140902

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140904

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5612620

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150