JP5612448B2 - 発光素子駆動方法 - Google Patents
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この調整方法として、例えば、発光素子に2通りの駆動電流を供給し、2通りの駆動電流と、この2通りの駆動電流を供給したときの発光素子の実際の発光量との関係から発光素子自体の特性である閾値電流を算出し、この算出した閾値電流を利用して、発光素子を任意の発光量で発光させる方法が提案されている。つまり、閾値電流は、固定ではなく、温度環境等によって変化するため、現時点での閾値電流を推定し、推定した閾値電流を用いて閾値電流相当のバイアス電流を供給して発光素子を駆動制御するようにしている。この従来の発光素子の駆動方法を、図6から図11を伴って説明する。
この発光素子駆動装置は、比較器11と、駆動値制御部12と、スイッチ13と、駆動部14と、発光素子15と、光学ピックアップ16と、メモリ17と、演算部18と、を備える。
前記比較器11は、発光素子15の目標とする発光量である基準値Kmと、光学ピックアップ16で受光した受光量K16、すなわち、発光素子15の実際の発光量とを比較しその差分信号K11を出力する。
発光素子15は、例えば、半導体レーザや発光ダイオードなどで構成され、供給される駆動電流に応じた光量で発光する。
光学ピックアップ16は、発光素子15の発光量を受光し、これを受光量K16として比較器11に出力する。
つまり、図6の発光素子駆動装置は帰還回路を構成し、受光量K16と基準値Kmとが釣り合うように発光素子15への駆動電流K14を自動調整して前記発光素子15の発光量の光量調整を行う。
この2点APC処理では、まず、ステップS101で、任意に設定した第1の発光量である基準値aを基準値Kmとして設定する。ついで、ステップS102に移行して上述の手順でAPC処理を実行し、光学ピックアップ16で検出された受光量K16と基準値Km(=a)とが平衡となるときの制御値K12を検出し、基準値aと制御値K12とを対応付けてメモリ17に記憶する(ステップS103)。なおAPC処理の詳細は後述する。
図8は、図7のステップS102及びステップS105で実行されるAPC処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。この図8のフローチャートは、図6の発光素子駆動装置において、スイッチ13が駆動値制御部12の出力する制御値K12を選択している状態におけるAPC処理の動作そのものを示している。
一方、光学ピックアップ16で検出された受光量K16と基準値Kmとが等しくなければ、ステップS112に移行し受光量K16が基準値Kmよりも大きいか(K16>Km)を判断する。そして、受光量K16が基準値Kmよりも大きいときにはステップS113に移行して駆動値制御部12では、発光素子15への駆動電流K14を減少させる制御値K12を生成しこれを出力する。また、受光量K16が基準値Kmよりも小さいときにはステップS114に移行し、駆動値制御部12では発光素子15への駆動電流K14を増加させる制御値K12を生成しこれを出力する。
前記発光素子15として、例えば半導体レーザや発光ダイオードなどの半導体発光素子を用いた場合、駆動電流(I)と発光量(P)との関係は図9の実線L0で表される特性を持つことが知られており、さらに、この実線L0で表される特性において、閾値電流は固定ではなく、温度環境等の要因によって変化することが知られている。
図9に示すように、発光素子15は、閾値電流Ith以下では発光せず、駆動電流が閾値電流Ithよりも大きいときに発光する。そして、駆動電流が閾値電流Ithよりも大きいときには、駆動電流が大きいときほど発光量は大きくなり、且つ、駆動電流が大きいときほど駆動電流の変化に対する発光量の変化量がより大きくなる。
なお、以下、駆動電流から閾値電流Ithを差し引いた電流、つまり発光素子15が発光する領域に流す電流を発光電流Ionという言葉で表現する。
すなわち、図9中の破線L51において、発光量が零となるときの駆動電流が発光素子15の閾値電流であると想定することができる。この発光量が零となるときの駆動電流、すなわち破線L51から想定される閾値電流Ith′は、次式(1)で求めることができる。
Ith′=(Ib×Pa−Ia×Pb)/(Pb−Pa) ……(1)
また、図9において、平衡点Aの発光量を発光素子15による発光量の目標値とした場合、この目標の発光量を得るために必要な発光電流Ion′は次式(2)で表すことができる。
Ion′=Ia−Ith′ ……(2)
そして、(1)式で求められた閾値電流Ith′と(2)式で求められた発光電流Ion′とを加算し、これを発光素子15の駆動電流とすることにより、任意の発光量で発光素子15を発光させることができる。
しかしながら、発光素子15の真の閾値電流(以下、実閾値電流Ithという)は、図9の駆動電流−発光量特性線L0において発光量が零となるときの駆動電流であって、前記(1)式で求められる2点の一次近似で想定される発光素子15の閾値電流(以下、推定閾値電流という)Ith′とは値が異なる。このような実閾値電流Ithと推定閾値電流Ith′との差異は、高精度が要求される発光素子駆動装置の場合には問題となる。
つまり、A点で特定される発光量Paを発光素子15により得るために必要な発光電流Ion′は、前記(2)式から演算することができる。
Ion_c′=k×(Ia−Ith′) ……(3)
Ion=Ia−Ith ……(4)
前記(3)式と同様に、補正の目的などで、発光量Paを得るために必要な発光電流Ionに任意の係数kを乗算し、この乗算の結果得られる発光電流Ion_cに対応する発光量Pcを発光素子15の発光量の目標値とした場合、この発光量Pcを得るために必要な、実閾値電流Ithに基づく発光電流Ion_cは、次式(5)で表すことができる。なお、図10において、この発光電流Ion_cに対応する発光量Pcを得られる平衡点をC点(駆動電流Ic、発光量Pc)とする。
Ion_c=k×(Ia−Ith) ……(5)
ΔIon_c′=Ion_c−Ion_c′=k×(Ith′−Ith) ……(6)
図10において、C′点は、(1)式で求められた推定閾値電流Ith′と(3)式で求められた発光量Pc′を発光素子15の発光量の目標値とした場合に必要な推定閾値電流Ith′に基づく発光電流Ion_c′とを加算して駆動電流を得て、この駆動電流で発光素子15を駆動した場合の発光量Pc′を表している。
図10からわかるように、実閾値電流IthにもとづくC点(駆動電流Ic)の発光量Pcと、推定閾値電流Ith′にもとづくC′点の発光量Pc′とはΔPc′の差がある。
そして、駆動電流が閾値電流よりも大きい発光領域における傾き、つまり図10の駆動電流−発光量特性線L0において、発光量を駆動電流で微分した値δP/δIが大きいときほど前記差分値ΔPc′は大きくなり、本来目標とした発光量とはかけ離れてしまう。つまり、前記(6)式は、発光素子15の発光量を高精度に制御するには発光素子15の閾値電流を高精度で算出して発光電流を制御する必要があることを示している。
しかしながら、発光素子15の実閾値電流Ith近傍の発光量は、発光素子15が発光する限界の領域である。このため、平衡点B(駆動電流Ib、発光量Pb)の駆動電流Ibおよび発光量Pbに基づき演算される推定閾値電流Ith′を発光素子15の実閾値電流Ithに近づける目的で、駆動電流Ibが、発光素子15が発光する限界である実閾値電流Ith近傍となるように基準値Km、つまり図7のステップS104で基準値bを設定してAPC処理を実行すると、駆動部14が基準値b相当の発光量を得るための駆動電流Ibを出力して発光素子15に発光を促しても、駆動電流Ibは発光するぎりぎりの電流値であるため、発光量Pbが安定せず、つまりは安定したAPC処理を行うことができない可能性がある。
{(Pb_mean′±ΔPb′)−Pa}
=Ith_mean″±ΔIth″ ……(7)
ΔIth″={Pa×ΔPb′×(Ib−Ia)}/
[{(Pb_mean′±ΔPb′)−Pa}×{Pb_mean′−Pa}]
……(8)
そのため、精度向上の目的のために、閾値電流の検出に3点以上のバイアス電流を流して最小2乗法を用いて検出する方法(例えば、特許文献1参照)、或いは、最小2乗法の回帰を利用して発光素子の特性を演算する方法(例えば、特許文献2参照)等も開示されている。
例えば、上記2点APC処理と同様に、発光素子に2通りの駆動電流を流し、前記駆動電流と前記発光素子の発光量とから発光素子自体の特性である閾値電流を算出する。具体的には、図7のステップS102で実行されるAPC処理によって図9中の平衡点A(駆動電流Ia、発光量Pa)、図7のステップS105で実行されるAPC処理によって図9中の平衡点B(駆動電流Ib、発光量Pb)が得られたとすると、前述の特許文献1や特許文献2で開示されている最小2乗法を用いて発光素子の閾値電流を算出した場合、閾値電流Ithmは、次式(9)で表される。
Ithm
=(Ia2×Pb+Ib2×Pa−Ia×Ib×Pa−Ia×Ib×Pb)/
(Ia×Pa+Ib×Pb−Ia×Pb−Ib×Pa)
……(9)
また、ここでは、前記(9)式を一例として、APC処理によって得られた2つの平衡点を用いて最小2乗法によって閾値電流を算出する例を挙げているが、より精度をより向上させる目的で2点より多く、例えば3点、4点といったAPC処理により得た平衡点から閾値電流を算出する場合には(9)式よりさらに被除数及び除数に含まれる項が増え、演算がさらに複雑になる。
そこで本発明は、複雑な演算をすることなく発光素子の閾値電流を高精度に算出して、発光素子の発光量を高精度に制御できる発光素子駆動方法を提供することを目的としている。
また、請求項4にかかる発光素子駆動方法は、前記補正演算は、前記零駆動電流の平均値を予め設定した補正値で割り算する処理であることを特徴としている。
また、請求項5にかかる発光素子駆動方法は、前記補正演算は、前記零駆動電流の平均値から予め設定した補正値を減算する処理であることを特徴としている。
さらに、発光素子の駆動電流−発光量特性線に対する一次近似式の設定位置に起因する推定閾値電流と真の閾値電流との誤差を、この誤差を小さくすることの可能な一次近似式の設定位置を予め検出しておきこれに基づき一次近似式を演算すること、或いは、この誤差を抑制するために必要な補正演算を、零駆動電流の平均値に対して行うこと等により、さらに高精度な推定閾値電流を得ることができる。
まず、第1の実施の形態を説明する。
本発明を適用した発光素子駆動装置の構成は、図6に示す従来の発光素子駆動装置の構成と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
すなわち、図6の発光素子駆動装置では、APC処理実行時には、スイッチ13により駆動値制御部12が出力する制御値K12を選択し、光学ピックアップ16が受光した受光量K16と基準値Kmとが釣り合うように、発光素子15の駆動電流K14を自動調整して、発光素子15の光量調整を行う。そして、APC処理を実行することで検出される基準値Kmと受光量K16とが平衡する制御値K12をメモリ17に記憶する。
一方、発光素子15を任意の発光量で発光させる時には、スイッチ13により演算部18からの制御値K18を選択する。そして、メモリ17に記憶されている、基準値Kmと受光量K16とが平衡するときの制御値K12をもとに、演算部18が演算を行って制御値K18を出力する。
図1は、APC処理により、発光量とこれに対応する制御値K12をN=4通り求め、4つの平衡点を用いて閾値電流を推定する場合のAPC処理(以後、4点APC処理という。)の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、Nは、3以上の整数であり、ここでは、N=4としている。
この4点APC処理では、図1に示すように、まず、ステップS1で、第1の基準値Kmとして任意の基準値aを設定し、ステップS2に移行してAPC処理を実行する。すなわち、光学ピックアップ16からの受光量K16が基準値aと一致するように、制御値K12を調整する。そして、受光量K16と基準値aとが平衡状態となったとき、この平衡状態における制御値K12と基準値aとを対応付けてメモリ17に格納する(ステップS3)。
同様に、ステップS7では、第3の基準値Kmとして任意の基準値eを設定し、光学ピックアップ16からの受光量K16が基準値eと一致するようにAPC処理を実行し(ステップS8)、受光量K16と基準値eとが平衡状態となったとき、この平衡状態における制御値K12と基準値eとを対応付けてメモリ17に格納する(ステップS9)。
ついで、ステップS13に移行し、後述の閾値電流演算処理を実行し、メモリ17に記憶した4つの基準値Kmとこれに対応する制御値K12とから閾値電流を演算する。そして、処理を終了する。
なお、これら基準値はこれに限るものではなく任意に設定することができる。
前述のように、発光素子15として、例えば、半導体レーザや発光ダイオードなどの半導体発光素子を用いた場合、駆動電流と発光量との関係は、図2の実線で示す駆動電流−発光量特性線L0で表される特性を持つことが知られている。すなわち、図2中の実閾値電流Ith以下では発光素子15は発光せず、実閾値電流Ithよりも大きな駆動電流の領域で発光素子15は発光する。また、実閾値電流Ithよりも大きな駆動電流の領域では、駆動電流が大きいときほど、駆動電流の変化に対する発光量の変化がより大きくなる特性を持つ。
すなわち、特性線L1から想定される閾値電流である、特性線L1の発光量が零となる駆動電流Ith1は(10)式で求めることができる。以後、この駆動電流Ith1を零駆動電流Ith1という。
Ith1=(Id×Pa−Ia×Pd)/(Pd−Pa) ……(10)
Ith2=(Ie×Pa−Ia×Pe)/(Pe−Pa) ……(11)
さらに、特性線L3から想定される閾値電流である、特性線L3の発光量が零となる駆動電流Ith3は(12)式で求めることができる。以後、この駆動電流Ith3を零駆動電流Ith3という。
Ith3=(If×Pa−Ia×Pf)/(Pf−Pa) ……(12)
次に、これら一次近似式それぞれから演算される零駆動電流Ith1〜Ith3の平均値を次式(13)から求める。この平均値を、推定閾値電流Ith_adv1とする。
Ith_adv1=(Ith1+Ith2+Ith3)/3 ……(13)
ここで、図2に示すように、F点は実閾値電流Ith近傍の値に設定されており、他のA点、D点、E点における発光量Pa、Pd、Peに比較して発光素子15の発光量が微小であり、また、発光素子15が温度特性を持つことなどの理由によりAPC処理実行時に発光量が不安定となりやすい。しかしながら、上述のように各特性線L1〜L3から求められる零駆動電流の平均値から推定閾値電流Ith_adv1を演算している。そのため、仮に、F点(駆動電流If、発光量Pf)を用いて算出される零駆動電流Ith3にAPC処理実行時の不安定量による影響が生じたとしても、その不安定量は低減されることになる。
Ith3=Ith3_mean±ΔIth3 ……(14)
Ith_adv1
=(Ith1+Ith2+Ith3)/3
={Ith1+Ith2+(Ith3_mean±ΔIth3)}/3 ……(15)
よって、F点を閾値近傍に設定することにより生じるAPC処理実行時の零駆動電流の不安定成分が、推定閾値電流Ith_adv1に与える影響ΔIth_adv1は次式(16)で表すことができる。
ΔIth_adv1=ΔIth3/3 ……(16)
すなわち、発光素子15の閾値電流を算出するための発光量と駆動電流とが平衡となる平衡点を得る際に、発光素子15の実閾値電流Ith近傍相当の値が平衡点となるようにAPC処理を行った場合であっても、各特性線L1〜L3に基づく零駆動電流Ith1〜Ith3の平均値を推定閾値電流Ith_adv1としているため、平衡点が実閾値電流Ith近傍相当の値とすることにより生じる不安定成分が、推定閾値電流Ith_adv1に与える影響を小さくすることができる。
したがって、1本の特性線に基づいて推定閾値電流Ith′を得る方法に比較して、特性線から得られる零駆動電流を、実閾値電流Ithに一層近づけて設定することができる。このため、結果的に、零駆動電流から得られる推定閾値電流Ith_adv1を実閾値電流Ithに近づけることができ、すなわち、閾値電流の演算精度を向上させることができる。
また、このようにして得た推定閾値電流Ith_adv1を用いて、発光素子15を発光させる場合、例えば、図2のA点の発光量Paを目標値とした場合に必要な発光電流Ion_adv1は次式(17)で表すことができる。
Ion_adv1=Ia−Ith_adv1 ……(17)
Ion_c_adv=k×(Ia−Ith_adv1) ……(18)
図3に示すように、C_adv点の発光量Pc_advを目標値として発光させる場合に必要な駆動電流Ic_advは、(13)式で求められた推定閾値電流Ith_adv1と(18)式で求められた発光電流Ion_c_advとを加算した値となる。このため、推定閾値電流Ith_adv1に基づく発光量Pc_advと、実閾値電流Ithに基づく発光量Pcとの差分ΔPc_advは、前記図10に示す閾値電流Ith′に基づく発光量Pc′と実閾値電流Ithに基づく発光量Pcとの差であるΔPc′に比較して小さく、発光素子15の発光量を高精度に制御することができることがわかる。
ΔIon_c_adv
=Ion_c−Ion_c_adv=k×(Ith_adv1−Ith) ……(19)
前述のように推定閾値電流Ith′に比較して推定閾値電流Ith_adv1は不安定成分の影響の少ないより安定した値であるから、推定閾値電流を高精度に算出することで発光素子15の発光量をより高精度に制御できることがわかる。
つまり、上述のように推定閾値電流Ith_adv1を、各特性線から得られる零駆動電流の平均値から演算しているため、少なくとも2本の特性線を得ることができればよく、2本の特性線を得るためには少なくとも3つの平衡点があればよい。
ここで、上述のように、推定閾値電流Ith_adv1を、各特性線から得られる零駆動電流の平均値から演算しているため、各特性線から得られる零駆動電流が比較的小さな値であれば得られる推定閾値電流Ith_adv1は比較的小さな値となる。つまり多少温度環境の影響をうける可能性はあるが、推定閾値電流Ith_adv1と実閾値電流との誤差は小さくなる。逆に、各特性線から得られる零駆動電流が比較的大きな値であれば得られる推定閾値電流Ith_adv1は比較的大きな値となるため、比較的温度環境の影響はうけにくいが、実閾値電流との誤差が多少大きくなる可能性がある。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図1のステップS13での閾値電流演算処理の処理手順が異なることは同一であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
この第2の実施の形態では、図6に示す発光素子駆動装置は、上記第1の実施の形態と同様の手順で、基準値a、基準値d、基準値e、基準値fを基準値Kmとして順次設定してAPC処理を実行し、図2に示す、A点(駆動電流Ia、発光量Pa)、D点(駆動電流Id、発光量Pd)、E点(駆動電流Ie、発光量Pe)、F点(駆動電流If、発光量Pf)からなる平衡点を求める。基準値a、基準値d、基準値e、基準値fは、基準値a>基準値d>基準値e>基準値fである。
すなわち、この第2の実施の形態では、一次近似式を算出する際に用いる最適な2点の平衡点として、図4に示すように、例えば、A点とE点、D点とF点、E点とF点を設定している。そして、A点とE点との一次近似により特性線L11を算出し、D点とF点との一次近似により特性線L12を算出し、E点とF点との一次近似により特性線L13を算出する。
Ith11=(Ie×Pa−Ia×Pe)/(Pe−Pa) ……(20)
同様に、特性線L12において発光量が零となる駆動電流を、閾値電流に相当する零駆動電流Ith12として次式(21)から演算する。
Ith12=(If×Pd−Id×Pf)/(Pf−Pd) ……(21)
さらに、特性線L13において発光量が零となる駆動電流を、閾値電流に相当する零駆動電流Ith13として次式(22)から演算する。
Ith13=(If×Pe−Ie×Pf)/(Pf−Pe) ……(22)
Ith_adv2=(Ith11+Ith12+Ith13)/3 ……(23)
ここで、一次近似式を算出する際に最適な任意の2点とは、それぞれ最適な任意の2点から特定される一次近似式L11〜L13を用いて上記(20)から(23)式にしたがって推定閾値電流Ith_adv2を演算した際に、この得られた推定閾値電流Ith_adv2が、発光素子15の実閾値電流Ithにより近くなるように設定される2つの平衡点をいう。
このようにして演算される推定閾値電流Ith_adv2は、駆動電流−発光量特性線L0に対する特性線L11〜L13の設定位置に起因する、実閾値電流Ithと推定閾値電流Ith_adv2との誤差が比較的小さい値となる。
したがって、駆動電流−発光量特性線L0に対する特性線L11〜L13の設定位置に起因する実閾値電流Ithとの誤差の少ない、より高精度な推定閾値電流Ith_adv2を得ることができる。
この第2の実施の形態の場合も、N通りの基準値を設定する場合、発光素子15に供給可能な駆動電流の範囲内において比較的大きな電流値相当の基準値と、発光素子15が発光可能な比較的小さな電流値相当の基準値を少なくとも含むように設定する。
また、この場合も、M本の特性線の作成に必要な数以上の基準点に対応するN通りの平衡点からM本の特性線を作成する場合には、上記と同様に、駆動電流−発光量特性線L0からはずれた平衡点は、温度環境などの影響をうけている可能性があるとして、この平衡点を除く駆動電流−発光量特性線L0上に並ぶ平衡点のみを用いて推定閾値電流Ith_adv2を演算するようにしてもよい。
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図1のステップS13での閾値電流演算処理の処理手順が異なることは同一であるので同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
図5は、図6の発光素子駆動装置において、上記第1の実施の形態と同様の手順で、APC処理が実行され、発光素子15の発光量が基準値Kmと平衡となるときの駆動電流で特定される平衡点が、A点(駆動電流Ia、発光量Pa)、D点(駆動電流Id、発光量Pd)、E点(駆動電流Ie、発光量Pe)、F点(駆動電流If、発光量Pf)として検出された状態を表している。
Ith_adv3=Ith_adv/α ……(24)
このようにして補正値αを設定し前記(24)式の演算を行うことによって、得られる平均値Ith_advは補正演算によりさらに実閾値電流Ithに近づくことになり、すなわち推定閾値電流Ith_adv3と実閾値電流Ithとの誤差が抑制される。このため、温度環境等によらない、駆動電流−発光量特性線L0に対する特性線L1〜L3の設定位置に起因して生じる、推定閾値電流Ith_adv3と実閾値電流Ithとの誤差を抑制することができ、すなわちより高精度な推定閾値電流Ith_adv3を得ることができる。
例えば、上記と同様の手順で、予め所定の平衡点について前記(13)式から平均値Ith_adv(=Ith_adv1)を求め、平均値Ith_advと実閾値電流Ithとの差を検出する。そして、この実閾値電流Ith−平均値Ith_advの値をもとに、例えば余裕代を考慮して補正値βを設定する。
そして、次式(25)の演算を行う。
Ith_adv4=Ith_adv−β ……(25)
また、上記各実施の形態では、推定された閾値電流を用いて、平衡点の発光量を発光素子15の発光量の目標値として発光制御するため、発光素子15の制御可能な発光量が、平衡点に相当する発光量に限定されることになるが、例えば、基準値Kmとして、発光素子15の発光量の目標値相当の値を設定し、これに対応する平衡点を得ることによって、所望の発光量で発光させることができる。
12 駆動値制御部
13 スイッチ
14 駆動部
15 発光素子
16 光学ピックアップ
17 メモリ
18 演算部
Claims (5)
- 閾値電流よりも大きな駆動電流が供給されるときに発光し且つ前記駆動電流の大きさに応じて発光量が変化する発光素子の駆動方法であって、
前記発光素子を、N通り(Nは3以上の整数)の発光量で発光させるために必要な駆動電流とそのときの発光量との対応を検出するステップと、
前記N通りの駆動電流とこれに対応する発光量との対応から、M通り(Mは前記Nより小さい2以上の整数)の一次近似式を算出するステップと、
前記M通りの一次近似式から前記発光量が零となるときの駆動電流を零駆動電流として演算し、M通りの前記零駆動電流の平均値を推定閾値電流として演算するステップと、
検出した前記N通りの駆動電流のうち所定の駆動電流から前記推定閾値電流を減算した値を発光電流とし、減算により得た前記発光電流に任意の係数を乗算することで所望の発光量を得るために必要な発光電流を演算し、演算した発光電流と前記推定閾値電流との和を、前記所望の発光量を得るための駆動電流として前記発光素子に供給するステップと、を備えることを特徴とする発光素子駆動方法。 - 前記N通りの発光量は予め設定され、
前記N通りの駆動電流とこれに対応する発光量との対応のうちの2通りから得られる複数の一次近似式のうち、前記M通りの一次近似式から得られる前記推定閾値電流と前記発光素子の予め予測された閾値電流との差がより小さくなるときの前記一次近似式の組み合わせを予め検出しこれを閾値電流演算用の組み合わせとして設定しておき、
前記一次近似式を算出するステップでは、
検出された前記駆動電流と前記発光量との対応のうち、前記閾値電流演算用の組み合わせに属する前記一次近似式の演算に必要な前記対応を用いて、前記閾値電流演算用の組み合わせに属する複数の前記一次近似式を演算することを特徴とする請求項1記載の発光素子駆動方法。 - 前記推定閾値電流と前記発光素子の予め予測された閾値電流との差を抑制するための補正演算を予め設定しておき、
前記推定閾値電流を演算するステップでは、前記零駆動電流の平均値に対して前記補正演算を行った値を前記推定閾値電流とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発光素子駆動方法。 - 前記補正演算は、前記零駆動電流の平均値を予め設定した補正値で割り算する処理であることを特徴とする請求項3記載の発光素子駆動方法。
- 前記補正演算は、前記零駆動電流の平均値から予め設定した補正値を減算する処理であることを特徴とする請求項3記載の発光素子駆動方法。
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