JP5611789B2 - 重合体含有組成物、セメント混和剤及びセメント組成物 - Google Patents
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Description
また、従来のポリアルキレングリコール鎖を含有する重合体を用いたセメント混和剤においては、セメント分散能力を充分なものとするためにはその添加量を多くしなければならず、経済的に不利益が生じるという問題点も残されていた。
以下に本発明を詳述する。
本発明におけるポリアルキレングリコール系重合体の構造については、後述する。
以下では、本発明における、ポリアルキレングリコール鎖の末端の少なくとも1つにおける末端酸素原子が、直接結合又は有機残基を介してビニル系単量体由来の構造単位の主鎖末端と結合した構造を有し、該ビニル系単量体は、酸基を有する単量体を含むポリアルキレングリコール系重合体を「重合体(i)」、そのポリアルキレングリコール鎖が直接結合又は有機残基を介して結合することになるビニル系単量体由来の構造単位を形成する重合体を「重合体(ii)」ともいう。
以下においては、重合体含有組成物が含む2種類の重合体(i)のうち、酸量のより多い方をポリアルキレングリコール系重合体(A)、少ない方をポリアルキレングリコール系重合体(B)とする。
なお、本明細書においては、上記ビニル系単量体由来の構造単位(BL)における酸量を単に「酸量」ともいう。
上記重合体(A)及び(B)とは異なる構造を有するポリアルキレングリコール系重合体を含む場合、上記重合体(A)及び(B)とは異なる重合体の酸量は、重合体(A)又は(B)のいずれかの酸量と同じであってもよいし、いずれとも異なっていてもよい。すなわち、上記重合体含有組成物が、重合体(i)を3種類以上含む場合、組成物中に含まれる重合体(i)の酸量はそれぞれに異なっていてもよいし、酸量が同じ重合体(i)が少なくとも2種上記重合体含有組成物に含まれていてもよい。
なお、重合体含有組成物が重合体(i)に該当するポリアルキレングリコール系重合体を3種類以上含む場合、これら3種類のうち、酸量の異なる任意の2種類のポリアルキレングリコール系重合体をポリアルキレングリコール系重合体(A)及び(B)とすることができる。本発明の重合体含有組成物においては、後述するように、ポリアルキレングリコール系重合体(A)と(B)との酸量の差が、当該重合体1g当たりの酸基のミリ当量数(meq/g)で0.1以上であるものが好ましいため、酸量の差がこのようなものとなる2種類のポリアルキレングリコール系重合体の組み合わせがあれば、それらをポリアルキレングリコール系重合体(A)と(B)とし、それらが上記含有量を満たすのが好ましい。
このように、本発明の重合体含有組成物が、その他の重合体を含む場合、ポリアルキレングリコール系重合体(本発明の重合体(i))の合計の含有量は、重合体含有組成物に含まれる全重合体100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましい。重合体含有組成物におけるポリアルキレングリコール系重合体の合計の含有量をこのような範囲とすることによって、ポリアルキレングリコール系重合体の有する減水性能等の特性を損なわずに発揮することのできる重合体含有組成物とすることができる。ポリアルキレングリコール系重合体の合計の含有量としてより好ましくは、重合体含有組成物に含まれる全重合体100質量%に対して、30質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上であり、最も好ましくは、70質量%以上である。
上記酸量の差は、重合体(A)の酸量をA、重合体(B)の酸量をBとすると、A−Bとして表されるものである。
なお、上記ポリアルキレングリコール系重合体(A)及びポリアルキレングリコール系重合体(B)のビニル系単量体由来の構造単位における酸量は、それらの差(A−B)が上述した範囲となるように、適宜設定されるものである。
(算出例1)
上記酸基を有する単量体としてアクリル酸を用い、全ビニル系単量体成分/酸基を有する単量体=100/10(重量%)の組成比として共重合した場合、アクリル酸の分子量は72であるので、酸基を有する単量体に由来する酸基を未中和型に換算した該重合体1g当りの酸基のミリ当量数(meq/g)=(0.1/72)×1000=1.39となる。
上記酸基を有する単量体としてメタクリル酸ナトリウムを用い、全ビニル系単量体成分/酸基を有する単量体=100/10(重量%)の組成比として共重合した場合、メタクリル酸ナトリウムの分子量は108、メタクリル酸の分子量は86であるので、酸基を有する単量体に由来する酸基を未中和型に換算した該重合体1g当りの酸基のミリ当量数(meq/g)=(0.1×86/108)/(0.9+0.1×86/108)/86×1000=0.95となる。尚、重合時にはメタクリル酸を用い、重合後にメタクリル酸に由来するカルボキシル基を水酸化ナトリウムで完全に中和した場合も、この算出例と同様となる。
上記酸基を有する単量体としてマレイン酸ナトリウムを用い、全ビニル系単量体成分/酸基を有する単量体=100/10(重量%)の組成比として共重合した場合、マレイン酸ナトリウムの分子量は160、マレイン酸の分子量は116であり、かつ、マレイン酸は1分子中に2個のカルボキシル基を有する2価の酸であるので、酸基を有する単量体に由来する酸基を未中和型に換算した該重合体1g当りの酸基のミリ当量数(meq/g)=(0.1×116/160)/(0.9+0.1×116/160)/(116/2)×1000=1.29となる。
上記酸基としては、カルボキシル基、スルホン基等が好適である。
上記ポリアルキレングリコール系重合体はまた、数平均分子量(Mn)が50万以下であることが好適である。より好ましくは25万以下、更に好ましくは15万以下、特に好ましくは10万以下、最も好ましくは75000以下である。Mnはまた、1000以上であることが好ましい。より好ましくは2500以上であり、更に好ましくは5000以上であり、特に好ましくは10000以上であり、最も好ましくは15000以上である。
上記ポリアルキレングリコール系重合体はまた、ピークトップ分子量(Mp)が100万以下であることが好適である。より好ましくは50万以下、更に好ましくは30万以下、特に好ましくは20万以下である。Mpはまた、1000以上であることが好ましい。より好ましくは5000以上であり、更に好ましくは10000以上であり、特に好ましくは20000以上である。
なお、上記重量平均分子量、数平均分子量及びピークトップ分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算により測定することができ、以下のような測定条件により測定することができる。
装置:Waters Alliance(2695);
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション;
使用カラム:東ソー社製、TSK guard columns SWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL;
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters社製 2996);
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に酢酸でpH6.0に調整した溶液を使用した;
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp):272500、219300、107000、50000、24000、12600、7100、4250、1470);
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成した;
流量:1.0mL/min;
カラム温度:40℃;
測定時間:45分;
試料液注入量:100μL(試料濃度:0.5質量%)。
本発明におけるポリアルキレングリコール系重合体は、重合体の主鎖にポリアルキレングリコール鎖とビニル系単量体由来の構造単位とを有し、ポリアルキレングリコール鎖(PAG)の末端の少なくとも1つにおける末端酸素原子が、直接結合又は有機残基を介してビニル系単量体由来の構造単位(BL)の主鎖末端と結合した構造を有し、該ビニル系単量体は、酸基を有する単量体を必須として含むものである。なお、上記ポリアルキレングリコール系重合体は、ポリアルキレングリコール鎖(PAG)、及び、該ポリアルキレングリコール鎖と直接結合又は有機残基を介して結合するビニル系単量体由来の構造単位(BL)を有する限り、その他の構造部位を有していてもよい。
ポリアルキレングリコール鎖(PAG)、ビニル系単量体由来の構造単位(BL)、及び、Yの3つの構造部位から構成される重合体(i−1)としては、例えば、以下のような構造のものがある。
(BL)−Y−(PAG)−Y−(BL) (a)
で表されるように、ポリアルキレングリコール鎖の両端に直接結合又は有機残基を介して上記重合体(ii)が結合した形態、
下記一般式(b);
(PAG)−Y−(BL) (b)
で表されるように、ポリアルキレングリコール鎖の一端に直接結合又は有機残基を介して上記重合体(ii)が結合した形態、
下記一般式(c);
(PAG)−Y−(BL)−Y−(PAG) (c)
で表されるように、上記重合体(ii)の両端に直接結合又は有機残基を介してポリアルキレングリコール鎖が結合した形態、
下記一般式(d);
−[(PAG)−Y−(BL)]− (d)
で表される繰り返し単位の繰り返しにより構成される形態等。なお、これら(a)〜(d)の重合体において、ポリアルキレングリコール鎖(PAG)が重合体の構造の末端に位置する場合、該ポリアルキレングリコール鎖(PAG)は、末端に水素原子を有することになる。すなわち、ポリアルキレングリコール鎖(PAG)の末端構造は、水酸基となる。
なお、本発明の重合体含有組成物が、重合体(i)に該当するポリアルキレングリコール系重合体を3種類以上含む場合、ポリアルキレングリコール鎖(I)及び(II)は、それぞれ同一であっても良いし、異なっていても良い。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、製造の容易さの観点から、プロピレンオキシド基及びブチレンオキシド基が好ましく、中でも、プロピレンオキシド基がより好適である。
なお、上記重合体(i)に求められる用途によっては、炭素数3以上のアルキレンオキシドを含まない態様が好ましい場合もある。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基、アルキルグリシジルエーテル残基等が挙げられる。中でも、製造の容易さからオキシプロピレン基、オキシブチレン基が好ましい。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基の導入量としては、求められる耐加水分解性の程度によるが、ポリアルキレングリコール鎖(I)の両末端に対して、導入量が50モル%以上であることが好ましくい。より好ましくは100モル%以上であり、更に好ましくは150モル%以上であり、特に好ましくは200モル%以上である。
また付加反応の際の反応温度は、二級アルコール基の導入率を高めるために50〜200℃であることが好ましい。より好ましくは70〜170℃、更に好ましくは90〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。
なお、上記アルキレンオキシドの平均繰り返し数n(オキシアルキレン基の平均付加モル数)とは、上記重合体(i)が有するポリアルキレングリコール鎖1モル中において付加しているアルキレンオキシドのモル数の平均値を意味する。
このように上記有機残基が硫黄原子を有する場合には、該硫黄原子を介して上記重合体(ii)の主鎖末端とが結合することが好適である。このような形態では、後述するように、その製造時に、硫黄原子の反応性に起因して硫黄原子を介して単量体が次々に付加し、重合体(ii)部位を形成することになるため、製造に有利である。
この場合、上記有機残基とポリアルキレングリコール鎖との結合部位においては、カルボニル基(アミド基中の−CO基を含む)に含まれる炭素原子と、ポリアルキレングリコール鎖の末端酸素原子とが隣接することが好適である。すなわち、上記重合体(i)は、ポリアルキレングリコール鎖とY2とがエステル結合又はアミド結合を介して結合したものであることが好ましい。
上記酸基を有する単量体は、ビニル系単量体であって、上述した酸基を分子内に1つ以上有していればよい。1分子内に2個以上の酸基を有する場合には、該酸基は同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。また、上記酸基を有する単量体としては、酸基の種類が同じである単量体(1分子内に2個以上の酸基を有する場合にはその組合せが同じである単量体)のみを用いてもよく、酸基の種類(又は組合せ)が異なる単量体を併用してもよい。
また、本発明の重合体含有組成物が、重合体(i)に該当するポリアルキレングリコール系重合体を3種類以上含む場合、上記酸基を有する単量体(又は組合せ)は、それぞれ同一であっても良いし、異なっていても良い。
なお、上記単量体(a)由来の構造単位とは、重合反応によって上記一般式(1)で表される単量体(a)の重合性二重結合が開いた構造(二重結合(C=C)が、単結合(−C−C−)となった構造)に相当する。
なお、上記単量体(b)由来の構造単位とは、重合反応によって上記一般式(2)で表される単量体(b)の重合性二重結合が開いた構造(二重結合(C=C)が、単結合(−C−C−)となった構造)に相当する。
また、本発明の重合体含有組成物が、重合体(i)に該当するポリアルキレングリコール系重合体を3種類以上含む場合、上記不飽和ポリアルキレングリコール系単量体(又は組合せ)は、それぞれ同一であっても良いし、異なっていても良い。
上記R7で表される末端基としては、セメント混和剤用途に用いる場合には、セメント粒子の分散性の観点から親水性基であることが好適であり、具体的には、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、更に好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、特に好ましくは、水素原子又はメチル基である。
ここで、「主として」とは、例えば、ポリアルキレングリコール鎖(II)を構成する全オキシアルキレン基(アルキレングリコール単位)100モル%中のオキシエチレン基をモル%で表すとき、50〜100モル%となるものであることが好ましい。50モル%未満であると、オキシアルキレン基の親水性が充分とはならず、セメント粒子の分散性能を充分に付与することができないおそれがある。より好ましくは60モル%以上であり、更に好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上であり、最も好ましくは90モル%以上である。
上記炭素数3以上のオキシアルキレン基としては、製造の容易さの観点から、プロピレンオキシド基及びブチレンオキシド基が好ましく、中でも、プロピレンオキシド基がより好適である。
なお、上記重合体(ii)に求められる用途によっては、炭素数3以上のアルキレンオキシドを含まない態様が好ましい場合もある。
上記不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した構造を有する化合物であればよい。
上記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された構造を有する単量体であればよく、不飽和カルボン酸ポリアルキレングリコールエステル系化合物が好適であり、中でも、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好適である。
単量体(b)としては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
この場合、上記ビニル系単量体由来の構造単位は、更に上記単量体(c)由来の構造単位を含むことになるが、上記単量体(c)由来の構造単位とは、重合反応によって単量体(c)の有する重合性二重結合が開いた構造(二重結合(C=C)が、単結合(−C−C−)となった構造)に相当する。
上記単量体(c)を用いる場合、その含有量としては、全ビニル系単量体成分100質量%に対し、30質量%以下とすることが好適である。より好ましくは25質量%以下であり、更に好ましくは20質量%以下である。
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素原子数23〜30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素原子数23〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸系単量体とのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素原子数5〜18のグリコール若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル、ジエステル類;マレアミン酸と炭素原子数5〜18のグリコール若しくはこれらのグリコールの付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;
また、Y1で表される直接結合又は有機残基、及び、Zで表される酸基を有するビニル系単量体由来の構造単位としては、それぞれ、上述したY、及び、ビニル系単量体由来の構造単位(BL)を形成する重合体(ii)と同様である。またmは、上記Xで表される活性水素を1又は2個以上有する化合物に結合する、直接結合又は有機残基を介して上記ビニル系単量体由来の構造単位が結合したポリアルキレングリコール鎖の数を表す。
なお、非多分岐構造のポリアルキレングリコール系重合体は、活性水素を3個以上有する化合物の残基を基点として上記重合鎖が放射線状に枝分かれした構造を有さないものであれば、例えば、ビニル系単量体由来の構造単位(BL)が、ポリアルキレングリコール鎖を有する不飽和単量体を原料として用いて形成されたものである場合のように、主鎖から枝分かれした分岐構造を有するものであってもよい。
上記多分岐ポリアルキレングリコール系重合体は、多分岐構造を有するが、上述したように、多分岐構造とは、活性水素を3個以上有する化合物の残基を基点としてポリアルキレングリコール鎖を含有する重合鎖が放射線状に枝分かれした構造であることを意味する。すなわち、活性水素を3個以上有する化合物の残基を基点として、そこからポリアルキレングリコール鎖及び有機残基を介して、上記重合体(ii)が結合した構造を意味する。この多分岐構造に起因する立体反発により、セメント粒子を分散させる性能が飛躍的に向上する。
本発明の重合体含有組成物が多分岐ポリアルキレングリコール系重合体を含む場合、該重合体が酸基を有することに起因して、また、多分岐構造による立体反発との相乗効果により、特にセメント分散性能、セメント保持性能に優れるものとなる。
活性水素を1又は2個以上有する化合物の残基としては、具体的には、例えば、1価又は多価アルコールの水酸基から活性水素を除いた構造を有するアルコール残基、1価又は多価アミンのアミノ基から活性水素を除いた構造を有するアミン残基、1価又は多価イミンのイミノ基から活性水素を除いた構造を有するイミン残基、1価又は多価アミド化合物のアミド基から活性水素を除いた構造を有するアミド残基等が好適である。中でも、アミン残基、イミン残基及びアルコール残基が好ましい。これによって、各種用途に好適な化合物とすることが可能となる。
なお、活性水素を有する化合物残基の形態としては、鎖状、分岐状、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。
これらの中でも、ポリアルキルアミンを用いることが好ましく、ポリアルキルアミンを構成するアルキルアミンとしては、ラウリルアミン等の炭素数8〜18のアルキルアミンが好適である。
これらの中でも、上記多分岐構造を有するポリアルキレングリコール系重合体が奏する性能の観点から、エチレンイミンが主体を占めるポリアルキレンイミンであることがより好適である。
これらの中でも、工業的な生産効率の観点から、より好ましくは、トリメチロールプロパンやソルビトールである。
下記式(A)は、活性水素を3個以上有する化合物の残基がグリセリン残基(多価アルコール残基)であり、グリセリンが有する活性水素全てに、ポリアルキレングリコール鎖と、硫黄原子を含む有機残基を介してビニル系単量体由来の構造単位とが結合した構造を模式的に示したものである。
また下記式(B)は、活性水素を3個以上有する化合物の残基がソルビトール残基(多価アルコール残基)であり、ソルビトールが有する活性水素全てに、ポリアルキレングリコール鎖と、硫黄原子を含む有機残基とが結合し、更に硫黄原子のいくつかにビニル系単量体由来の構造単位が結合した構造を模式的に示したものである。
このようなポリアルキレングリコール鎖の末端(活性水素を3個以上有する化合物の残基とは反対側の末端)は、例えば、水素原子、1価金属原子、2価金属原子、アンモニウム基、有機アミン基、炭素数1〜30の炭化水素基、オキソ炭化水素基、アミド炭化水素基、カルボキシル炭化水素基、炭素数0〜30のスルホニル(炭化水素)基等のいずれかに結合した構造を有することが好適であり、1分子内に2つ以上の当該ポリアルキレングリコール鎖を有する場合には、その末端構造が同一であってもよく異なっていてもよい。このような末端構造の中でも、汎用性の点から、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基、より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜10の炭素水素基に結合した構造であり、炭素数1〜10の炭化水素基の中でもアルキル基やアルキレン基が好適である。
すなわち、例えば上記ポリアルキレングリコール系重合体(i)が上記一般式(3)で表される重合体である場合、該重合体は、下記一般式(4);
Y3は、上述したY1と同様である。
上記pは、X1で表される活性水素を3個以上有する化合物の活性水素数及びmの数に依存して最大数が決まる数であるが、有機残基を介してビニル系単量体由来の構造単位が結合するポリアルキレングリコール鎖に起因した効果を充分に発揮させるため、活性水素を3個以上有する化合物に結合する該ポリアルキレングリコール鎖の数が3以上となるように、pが、〔(活性水素を3個以上有する化合物の全活性水素数)−3〕以下の数であることが好適である。
上記一般式(5)におけるA1O、Y1、Z、n及びmについては上述したとおりである。上記一般式(5)においてX’がZ−Y1−で表される基又は水素原子である場合、mは1である。
上記一般式(5)においてX’がZ−Y1−で表される基であり、かつmが1である形態は、上記一般式(a)で表される構造を有する重合体に該当し、X’が水素原子であり、かつmが1である形態は、上記一般式(b)においてポリアルキレングリコール鎖(PAG)の一末端が水素原子である構造を有する重合体に該当する。また、X’が活性水素を1若しくは2個以上有する化合物の残基である形態は、上記一般式(3)で表される構造を有する重合体に該当する。
このように、上記ポリアルキレングリコール系重合体が上記一般式(5)で表される構造を有するものであることは、本発明における好ましい実施形態の1つである。
本発明におけるポリアルキレングリコール系重合体の製造方法としては、(A)ポリアルキレングリコール鎖とラジカル発生部位とを有する高分子開始剤の存在下で、上記ビニル系単量体成分を重合させる方法、(B)ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物の存在下で、上記ビニル系単量体成分を重合させる方法等が挙げられる。上記高分子開始剤や、ポリアルキレングリコール鎖含有化合物を使用することによって、本発明におけるポリアルキレングリコール系重合体にポリアルキレングリコール鎖が導入されることとなる。
上記重合反応において、上記ポリアルキレングリコール鎖の使用量と、上記ビニル系単量体成分の単量体、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の使用量(質量%)との関係は、上記ポリアルキレングリコール鎖/(単量体(a)+単量体(b)+単量体(c))の比率として表すと、単量体(a)が主成分である場合には、好ましくは5/95〜99/1、より好ましくは10/90〜97/3、さらに好ましくは20/80〜95/5、特に好ましくは30/70〜92.5/7.5である。また、単量体(b)が主成分である場合には、好ましくは2/98〜95/5、より好ましくは4/96〜90/10、さらに好ましくは8/92〜80/20、さらに好ましくは、10/90〜75/25、さらに好ましくは15/85〜70/30、さらに好ましくは17.5/82.5〜65/35、特に好ましくは20/80〜60/40である。特に、単量体(a)は、単量体(a)/(上記ポリアルキレングリコール鎖+単量体(b)+単量体(c))の比率(単位は質量%)で、好ましくは1〜50/99〜50、より好ましくは2.5〜40/97.5〜60、さらに好ましくは5〜35/95〜65である。
ポリアルキレングリコール鎖とラジカル発生部位とを有する高分子開始剤の存在下で、ビニル系単量体成分を重合させる方法(以降、製造方法(A)ともいう。)においては、後述するポリアルキレングリコール鎖とラジカル発生部位とを有する高分子アゾ開始剤を用いることにより、該高分子アゾ開始剤中のアゾ基が熱で分解して、ラジカルが発生し、そこからビニル系単量体成分の重合が開始されることとなる。
−[Y―N=N−Y−(PAG)]− (e)
で表される繰り返し単位を有する高分子アゾ開始剤の存在下で、ビニル系単量体成分を重合させる方法、
下記一般式(f);
(PAG)−Y−N=N−Y−(PAG) (f)
で表される高分子アゾ開始剤の存在下で、ビニル系単量体成分を重合させる方法等。なお、これら(e)〜(f)の高分子アゾ開始剤において、ポリアルキレングリコール鎖(PAG)が構造の末端に位置する場合、該ポリアルキレングリコール鎖(PAG)は、末端に水素原子を有することになる。すなわち、ポリアルキレングリコール鎖(PAG)の末端構造は、水酸基となる。
上記一般式(e)〜(f)における「PAG」及び「Y」は、上記一般式(a)〜(d)と同様である。
上記一般式(e)で表される繰り返し単位を有する高分子アゾ開始剤の好ましい形態としては、下記一般式(6);
上記一般式(e)で表される繰り返し単位を有する高分子アゾ開始剤の更に好ましい形態としては、下記一般式(8);
上記一般式(8)における、A1Oで表される炭素数2〜18のオキシアルキレン基、及び、nで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数については、上述したとおりである。
上記一般式(f)で表される高分子アゾ開始剤の更に好ましい形態としては、下記一般式(11);
上記一般式(11)における、A2Oで表される炭素数2〜18のオキシアルキレン基、及び、kで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数については、上述したとおりである。
なお、上記一般式(12)におけるmが1又は2である高分子アゾ開始剤を用いることで、上記非多分岐構造のポリアルキレングリコール系重合体を製造することができ、上記一般式(12)におけるXが活性水素を3個以上有する化合物の残基であり、mが3以上である高分子アゾ開始剤を用いた場合に、上記多分岐構造を有するポリアルキレングリコール系重合体を製造することができる。
上記ラジカル重合開始剤の使用量は、上記高分子アゾ開始剤の種類や量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、ラジカル重合開始剤が重合する単量体に対して少なすぎると、ラジカル濃度が低すぎて重合反応が遅くなるおそれがある。上記ラジカル重合開始剤の使用量は、不飽和単量体成分100モル%に対して、好ましくは0.001モル%以上、より好ましくは0.01モル%以上、更に好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは0.2モル%以上であり、また、好ましくは5モル%以下、より好ましくは2モル%以下、更に好ましくは1モル%以下、特に好ましくは0.5モル%以下である。
例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物、2,4’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)と(アルコキシ)ポリエチレングリコールとのエステル等のマクロアゾ化合物等の水溶性アゾ開始剤;等が使用される。これらのラジカル重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、後述する水溶性アゾ系開始剤が好ましい。
上記通常使用される連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロピルアルコール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等)の低級酸化物及びその塩;等の通常使用される親水性連鎖移動剤が挙げられる。
なお、上記連鎖移動剤としては、1種又は2種以上使用することができ、また、親水性連鎖移動剤と疎水性連鎖移動剤とを組み合わせて用いてもよい。
(1)溶媒を入れた密閉容器内に窒素等の不活性ガスを加圧充填後、密閉容器内の圧力を下げることで溶媒中の酸素の分圧を低くする。窒素気流下で、密閉容器内の圧力を下げてもよい。
(2)溶媒を入れた容器内の気相部分を窒素等の不活性ガスで置換したまま液相部分を長時間激しく攪拌する。
(3)容器内に入れた溶媒に窒素等の不活性ガスを長時間バブリングする。
(4)溶媒を一旦沸騰させた後、窒素等の不活性ガス雰囲気下で冷却する。
(5)配管の途中に静止型混合機(スタティックミキサー)を設置し、溶媒を重合反応槽に移送する配管内で窒素等の不活性ガスを混合する。
従って、低いpHで重合反応を行った後にアルカリ性物質を添加してより高いpHに調整することが好ましい。
上記一般式(13)におけるA1Oで表される炭素数2〜18のオキシアルキレン基、及び、nで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数については、上述したとおりである。また、Y6で表される有機残基は、上記一般式(3)のY1における有機残基と同様である。
なお、上記製造方法(B)により得ようとするポリアルキレングリコール系重合体が上記重合体(i−1)、すなわち、ポリアルキレングリコール鎖(PAG)、ビニル系単量体由来の構造単位(BL)、及び、Yの3つの構造部位から構成される重合体である場合には、(A1O)nで表されるポリアルキレングリコール鎖が上記ポリアルキレングリコール鎖含有化合物の構造の末端に位置する場合、該ポリアルキレングリコール鎖は、末端に水素原子を有することになる。すなわち、該ポリアルキレングリコール鎖の末端構造は、水酸基となる。
なお、このようなポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物以外にも、上記ポリアルキレングリコール鎖含有化合物として、メルカプト基以外の、重合体(ii)の主鎖末端との反応性を有するものであって、連鎖移動剤又はラジカル開始剤となり得る基を有するものを用いることも可能である。このような基としては、例えば、過酸化物基、アゾ基が挙げられる。このような化合物でも、ポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物と同様に重合反応が行われることになる。
上記脱水縮合工程において、カルボキシル基を有するチオール化合物とは、1分子中にカルボキシル基(カルボン酸基)とメルカプト基とを有するメルカプトカルボン酸基含有化合物であればよい。
このようなメルカプトカルボン酸基含有化合物としては、例えば、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトイソブチル酸、チオリンゴ酸、メルカプトステアリン酸、メルカプト酢酸、メルカプト酪酸、メルカプトオクタン酸、メルカプト安息香酸、メルカプトニコチン酸、システイン、N−アセチルシステイン、メルカプトチアゾール酢酸等が挙げられる。中でも、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、メルカプトイソブチル酸が好適である。
なお、上記チオール化合物が有するメルカプト基の性質上、上記脱水縮合工程は、酸触媒下で行うことが好適である。酸触媒としては、上述したとおりである。
このように上記(ポリ)アルキレングリコールとチオール化合物との脱水縮合工程は、酸触媒を用いたエステル化反応工程であることが好適である。
なお、作業工程が増えることによる製造コストの高騰、及び、溶剤の使用による環境への負荷を考慮すると、上記溶剤を用いた洗浄作業は避けることが好ましい。この場合、原料化合物である上記(ポリ)アルキレングリコールとチオール化合物との混合比は、上述したように上記(ポリ)アルキレングリコールが有する反応に供される水酸基量に対し、上記チオール化合物が有するカルボキシル基をモル比で2倍以下とすることが好適である。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、通常使用されているものを用いればよいが、例えば、フェノチアジン及びその誘導体;ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、メトキノン、ブチルハイドロキノン、ブチルカテコール、ナフトハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、トコトリエノール、カテキン等のフェノール化合物;トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジフェニルピクリルヒドロジン、ピクリン酸等のニトロ化合物;ニトロソベンゼン、クペロン等のニトロソ化合物;ジフェニルアミン、ジ−p−フルオロフェニルアミン、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド等のアミン系化合物;TEMPOラジカル(2,2,6,6−tetramethyl−1−piperidinyloxyl)、ジフェニルピクリルヒドラジル、ガルビノキシル、フェルダジル等の安定ラジカル;アルコルビン酸やエリソルビン酸及びその塩又はエステル;ジチオベンゾイルジスルフィド;塩化銅(II)等が挙げられ、これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、フェノチアジン及びその誘導体、フェノール系化合物、アルコルビン酸やエリソルビン酸及びそのエステルが好適であり、フェノチアジン、ハイドロキノン、メトキノンがより好適である。これらの酸化防止剤は、脱水縮合工程においても溶剤留去工程においても極めて有効に重合禁止能を発揮することができる点から有用である。
例えば、上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物の存在下で重合反応を行った場合には、上述したように末端の硫黄原子(S)を介して単量体が次々に付加して上記重合体(ii)が形成され、よって、本発明の重合体(i)が主成分として生成することになるが、上記重合体(ii)の構造が2以上繰り返されている形態や、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)のうち1以上の単量体に由来する構成単位を有する重合体が副次的に生成することもある。
ただし上記製造方法(B)においては、上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物が有するメルカプト基や、その多量体中のジスルフィド結合から熱や光、放射線等によってラジカルが発生することを考えると、重合開始剤として、メルカプト基やジスルフィド結合からラジカルを発生させ易い炭素ラジカル発生剤を使用することが好適である。中でも、アゾ系開始剤が好適であり、これにより、上記ポリアルキレングリコール系重合体を効率よく得ることが可能となる。より好ましくは、上述した水溶性アゾ系開始剤である。
なお、重合開始剤として、過硫酸塩や過酸化水素を用いた場合には、上記ポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物が有するメルカプト基が酸化され、得られる重合体の収率が充分とはならないおそれがある。
また、ラジカル重合開始剤を使用する際、上記製造方法(A)と同様に、同様の促進剤(還元剤)を併用することもできる。
なお、上記製造方法(B)におけるその他の製造条件は、上記製造方法(A)と同様である。
このような製造方法において、上記活性水素を有する化合物としては、上述したように、アルコール、アミン、イミン、アミド化合物等が好ましく、中でも、アミン、(ポリ)アルキレンイミン及びアルコールが好適である。これらについては、上述したとおりである。
上記アルキレンオキシドもまた、上述したとおりである。
また上記活性水素を有する化合物と、アルキレンオキシドとの反応モル比としては、上述したポリアルキレングリコール鎖におけるアルキレンオキシドの平均繰り返し数の好適範囲になるよう、適宜設定することが好ましい。
なお、上記活性水素を有する化合物にアルキレンオキシドを付加してなる化合物(以下、単に「付加物」ともいう。)として、市販の化合物を用いることもできる。
また、このようにして得られるポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物に代表されるポリアルキレングリコール鎖含有化合物の存在下で、ビニル系単量体成分の重合反応を行うことにより、上記ポリアルキレングリコール系重合体(i−2)を得ることができる。上記ビニル系単量体成分の重合反応については、上述したとおりである。
このような効果を奏する重合体含有組成物の形態としては、上述した形態の他に、以下のような3つの形態が挙げられる。
上記ポリアルキレングリコール系重合体、上記ビニル系単量体、及び、不飽和ジカルボン酸系単量体としては、上述したものと同様である。
上記ポリアルキレングリコール系重合体、上記ビニル系単量体、不飽和モノカルボン酸系単量体、及び、不飽和ジカルボン酸系単量体としては、上述したものと同様である。
上記ポリアルキレングリコール系重合体、上記ビニル系単量体、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体、及び、アルキレンオキシドとしては、上述したものと同様であるが、上記ポリアルキレングリコール系重合体(M)における上記アルキレンオキシドの平均繰り返し数としては、1〜75であることが好ましく、より好ましくは、4〜50であり、更に好ましくは、6〜25である。また、上記ポリアルキレングリコール系重合体(N)における上記アルキレンオキシドの平均繰り返し数としては、4〜200であることが好ましく、より好ましくは、10〜150であり、更に好ましくは、25〜100である。
さらに上記ポリアルキレングリコール系重合体(N)における上記アルキレンオキシドの平均繰り返し数は、上記ポリアルキレングリコール系重合体(M)における上記アルキレンオキシドの平均繰り返し数より3以上大きいことが好ましく、5以上大きいことがより好ましく、10以上大きいことがさらに好ましい。
上記セメント混和剤は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に加えて用いることができ、このような上記セメント混和剤を含んでなるセメント組成物、すなわち、上記重合体含有組成物を含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
なお、セメント添加剤の添加割合としては、上記重合体(i)の固形分100重量部に対し、0.0001〜10重量部とすることが好適である。
(3)遅延剤:グルコン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸並びにその塩;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル類;2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルカンジオール類等。
(20)膨張材:エトリンガイト系、石炭系等。
まず、ポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物やその重合体及び比較用重合体の分析方法として、液体クロマトグラフィー(LC)分析条件・解析条件、及び、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)分析条件・解析条件について説明する。また、これらの固形分を求める測定法についても説明する。
装置:Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製 Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
カラム:Waters社製 Atlantis dC18 ガードカラム+カラム(粒径5μm、内径4.6mm×250mm×2本)
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液:アセトニトリル/100mM酢酸イオン交換水溶液=40/60(質量%)の混合物に30%NaOH水溶液を加えてpH4.0に調整したもの
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
試料液注入量:100μL(試料濃度1〜2質量%の溶離液溶液)
原料成分であるアルコール(付加物)の消費率は、以下のようにして概算した。
LC分析により、メルカプト基が全く導入されなかったもの(未反応原料)、メルカプト基が1つ導入されたポリアルキレングリコール鎖含有チオール化合物(「PAGチオール化合物」ともいう。)、・・・、メルカプト基が(m+p)個導入されたPAGチオール化合物のピークが分離される。これらのRI(示差屈折率計)面積比(%)をS0、S1、・・・Sm+pとし、原料成分のアルコールの消費率は、以下の式(1)により概算した。
ポリアルキレングリコール鎖含有チオール系重合体や比較用重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及びピークトップ分子量(Mp)は、以下の測定条件により測定した。
装置:Waters Alliance(2695)
解析ソフト:Waters社製、Empowerプロフェッショナル+GPCオプション
使用カラム:東ソー(株)製、TSKguardcolumnsSWXL+TSKgel G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)、多波長可視紫外(PDA)検出器(Waters 2996)
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶解し、更に酢酸でpH6.0に調整したもの
較正曲線作成用標準物質:ポリエチレングリコール(ピークトップ分子量(Mp)272500、219300、107000、50000、24000、12600、7100、4250、1470)
較正曲線:上記ポリエチレングリコールのMp値と溶出時間とを基礎にして3次式で作成した
流量:1mL/分
カラム温度:40℃
測定時間:45分
試料液注入量:100μL(PAG、PAGチオール化合物は試料濃度0.4質量%、重合体は試料濃度0.5質量%の溶離液溶液)
RIクロマトグラムにおいて、溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、ピークを検出・解析した。多量体や不純物が目的ピークに一部重なって測定された場合は、ピークの重なり部分の最凹部において垂直分割し、目的物の分子量を測定した。
単量体純分量及び多量化物量の計算;
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
単量体純分量=(PAGチオール化合物面積)/(多量化物ピーク面積+PAGチオール化合物面積)
多量化物量=(多量化物ピーク面積)/(多量化物ピーク面積+PAGチオール化合物面積)
得られたRIクロマトグラムにおいて、重合体溶出直前・溶出直後のベースラインにおいて平らに安定している部分を直線で結び、重合体を検出・解析した。ただし、単量体や単量体由来の不純物のピークが重合体ピークに一部重なって測定された場合、それらと重合体の重なり部分の最凹部において垂直分割して重合体部と単量体部とを分離し、重合体部のみの分子量・分子量分布を測定した。重合体部とそれ以外が完全に重なり分離できない場合はまとめて計算した。
重合体純分の計算:
RI検出器によるピーク面積の比より、下記のようにして計算した。
重合体純分=(重合体ピーク面積)/(重合体ピーク面積+単量体や不純物のピーク面積)
サンプル約0.5gをアルミ皿に量り採り、水約1gで希釈して均一に広げた。窒素雰囲気下、130℃で1時間乾燥させ、デシケーター中で放冷した後、乾燥後質量を量った。乾燥前後の質量差により固形分(不揮発分)濃度を計算した。
PAGチオール化合物や重合体の水溶液の濃度としては、特に断りがない限り、上記の手順で測定した固形分を用いた。
製造例1
(1)脱水エステル化反応工程
ジムロート冷却管付のディーン・スターク装置、テフロン(R)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に、エチレンオキシドの付加モル数100のポリアルキレングリコール(PEG−100、1500.00g)、3−メルカプトプロピオン酸(和光純薬社製、3−MPA、80.34g)、p−トルエンスルホン酸−水和物(和光純薬社製、PTS・1H2O、31.61g)、フェノチアジン(和光純薬社製、PTZ、0.7902g)、シクロへキサン(79.02g)を仕込んだ。ディーン・スターク装置をシクロへキサンで満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。また、加温用オイルバスの温度は120±5℃とした。反応系内の温度が110±5℃になるように途中でシクロヘキサンを加えながら、40.0時間加温還流して反応終了とした。
反応終了後のLC分析結果は、PEG−100の消費率98.4%、PEG−100一分子に対する平均SH導入数は1.95個であった。また、GPC分析の結果、単量体量94.5%、残りが多量体であった。
反応終了後、固化しないように撹拌しながら60℃まで放冷した後、30%NaOH水溶液(21.05g)に水(1507.51g)を加えた水溶液を、速やかに反応器内に投入した。続いて徐々に約100℃まで加温し、シクロへキサンを留去した。加温を停止し、放冷しながら窒素を30mL/分で90分バブリングして残存シクロへキサンを除去し、目的化合物(PAGチオール化合物(T−51))の水溶液を得た。
得られた目的化合物のLC分析結果は、PEG−100の消費率100.0%、PEG−100一分子に対する平均SH導入数は1.95個であった。また、GPC分析結果は、単量体量94.2%、残りが多量体であった。
(1)脱水エステル化反応工程
ジムロート冷却管付のディーン・スターク装置、テフロン(R)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に、トリメチロールプロパン1モルにエチレンオキシドを225モル付加したポリアルキレングリコール鎖含有トリオール(TMP−225、1500.00g)、3−メルカプトプロピオン酸(和光純薬社製、3−MPA、52.30g)、p−トルエンスルホン酸−水和物(和光純薬社製、PTS・1H2O、31.05g)、フェノチアジン(和光純薬社製、PTZ、0.7762g)、シクロへキサン(77.62g)を仕込んだ。ディーン・スターク装置をシクロへキサンで満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。また、加温用オイルバスの温度は120±5℃とした。反応系内の温度が110±5℃になるように途中でシクロヘキサンを加えながら、42.0時間加温還流して反応終了とした。
反応終了後のLC分析結果は、TMP−225の消費率99.9%、TMP−225一分子に対する平均SH導入数は2.79個であった。またGPC分析結果は、単量体量90.2%、残りが多量体であった。
(2)脱溶媒工程
反応終了後、固化しないように撹拌しながら60℃まで放冷した後、30%NaOH水溶液(20.67g)に水(1487.29g)を加えた水溶液を、速やかに反応器内に投入した。続いて徐々に約100℃まで加温し、シクロへキサンを留去した。加温を停止し、放冷しながら窒素を30mL/分で90分バブリングして残存シクロへキサンを除去し、目的化合物(PAGチオール化合物(T−42))の水溶液を得た。
得られた目的化合物のLC分析結果は、TMP−225の消費率99.8%、TMP−225一分子に対する平均SH導入数は2.76個であった。またGPC分析結果は、単量体量88.5%、残りが多量体であった。
(1)脱水エステル化反応工程
ジムロート冷却管付のディーン・スターク装置、テフロン(R)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、ガラス保護管付温度センサーを備えたガラス製反応器内に、ソルビトール1モルにエチレンオキシドを450モル付加したポリアルキレングリコール鎖含有ヘキサオール(SB−450、1500.00g)、3−メルカプトプロピオン酸(和光純薬社製、3−MPA、52.53g)、p−トルエンスルホン酸−水和物(和光純薬社製、PTS・1H2O、31.05g)、フェノチアジン(和光純薬社製、PTZ、0.7763g)、シクロへキサン(77.63g)を仕込んだ。ディーン・スターク装置をシクロへキサンで満たした後、反応系内を撹拌しながら、還流するまで加温した。また、加温用オイルバスの温度は120±5℃とした。反応系内の温度が110±5℃になるように途中でシクロヘキサンを加えながら、42.0時間加温還流して反応終了とした。
反応終了後のLC分析結果は、SB−450の消費率100%、SB−450一分子に対する平均SH導入数は5.17個であった。またGPC分析結果は、単量体量86.2%、残りが多量体であった。
(2)脱溶媒工程
反応終了後、固化しないように撹拌しながら60℃まで放冷した後、30%NaOH水溶液(20.68g)に水(1487.45g)を加えた水溶液を、速やかに反応器内に投入した。続いて徐々に約100℃まで加温し、シクロへキサンを留去した。加温を停止し、放冷しながら窒素を30mL/分で90分バブリングして残存シクロへキサンを除去し、目的化合物(PAGチオール化合物(T−45))の水溶液を得た。
得られた目的化合物のLC分析結果は、SB−450の消費率100%、SB−450一分子に対する平均SH導入数は5.05個であった。またGPC分析結果は、単量体量84.2%、残りが多量体であった。
製造例1〜3における原料化合物や反応条件、脱溶媒工程後のLC分析結果及びGPC分析結果を表1及び表2に示す。
PEG−100:ポリエチレングリコールのエチレンオキシド100モル付加物
TMP−225:トリメチロールプロパンのエチレンオキシド225モル付加物
SB−450:ソルビトールのエチレンオキシド450モル付加物
3−MPA:3−メルカプトプロピオン酸
PTS・1H2O:p−トルエンスルホン酸−水和物
PTZ:フェノチアジン
製造例4
単量体溶液として、メタクリル酸ナトリウム(日本触媒社製、SMAA、2.67g)、メタクリル酸(日本触媒社製、MAA、19.16g)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(平均エチレンオキシド付加モル数25、ME25E、187.12g)、チオールとして製造例3で得たPAGチオール化合物(T−45、固形分換算で16.04g)、水酸化ナトリウム(NaOH、0.89g)、イオン交換水(86.61g)の溶液を調製した。
開始剤溶液として、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬社製、V−50、0.22g)、イオン交換水(49.78g)の溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(R)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器にイオン交換水(137.50g)を仕込み(釜仕込み)、300rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃に加温した。
続いて上記の単量体溶液を4時間、開始剤溶液を5時間かけて反応容器中に滴下した。滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。室温まで冷却後、30%NaOH水溶液を加えてpHを6.0に調整し、目的重合体(重合体245)の水溶液を得た。
GPC分析の結果、重合体はMw=158800、Mp=145800、Mn=57500であった。また重合体純分は95.3%であった。
単量体溶液及び開始剤溶液等の仕込み量を表3に記載のように変更した以外は、製造例4と同様にして目的重合体の水溶液を得た。
仕込み組成及びGPC分析結果を表4に示す。
末端数:1分子中の構造末端に存在するチオール基の数
EOmol:エチレンオキシドの付加モル数
SMAA:メタクリル酸ナトリウム
MAA:メタクリル酸
ME25E:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(平均エチレンオキシド付加モル数25)
NaOH:水酸化ナトリウム
V−50:2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩
酸量:重合体1g当たりの酸基のミリ当量数
単量体溶液として、アクリル酸(日本触媒社製、AA、17.09g)、チオールとして製造例2で得たPAGチオール化合物(T−42、固形分換算で26.77g)、イオン交換水(158.41g)の溶液を調製した。
開始剤溶液として、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬社製、V−50、0.17g)、イオン交換水(37.33g)の溶液を調製した。
ジムロート冷却管、テフロン(R)製の撹拌翼と撹拌シール付の撹拌器、窒素導入管、温度センサーを備えたガラス製反応容器に3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加物(平均エチレンオキシド付加数50モル、MB−E50、156.14g)、水酸化ナトリウム(NaOH、0.08g)、イオン交換水(104.02g)を仕込み(釜仕込み)、300rpmで撹拌下、窒素を200mL/分で導入しながら80℃に加温した。
続いて上記の単量体溶液を3時間、開始剤溶液を3.5時間かけて反応容器中に滴下した。
滴下完了後1時間、80℃に保って重合反応を完結させた。室温まで冷却後、30%NaOH水溶液を加えてpHを6.0に調整し、目的重合体(重合体37)の水溶液を得た。
GPC分析の結果、重合体はMw=35700、Mp=35800、Mn=20000であった。また重合体純分は87.6%であった。
単量体溶液、開始剤溶液等の仕込み量を表5に記載のように変更した以外は、製造例16と同様にして目的重合体の水溶液を得た。
仕込み組成及びGPC分析結果を表6に示す。
末端数:1分子中の構造末端に存在するチオール基の数
EOmol:エチレンオキシドの付加モル数
MAanh:マレイン酸無水物(日本触媒社製)
MB−E50:3−メチル−3−ブテン−1−オールのエチレンオキシド付加物(平均エチレンオキシド付加数50モル)
NaOH:水酸化ナトリウム
AA:アクリル酸
V−50:2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩
SMAA:メタクリル酸ナトリウム
S2MA:マレイン酸ジナトリウム
酸量:重合体1g当たりの酸基のミリ当量数
なお、表3〜6中、重合体の組成は、NaOHでの完全中和換算(カルボン酸をNaOHで完全中和した場合)の質量比で表しており、また、PAGチオール化合物は外割で考慮しているため合計は100%になっていない。
実施例1〜9、比較例1〜7
モルタル試験は、温度が20℃±1℃、相対湿度が60%±10%の環境下で行った。
モルタル配合は、C/S/W=550/1350/220(g)とした。ただし、
C:普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)
S:セメント強さ試験用標準砂(セメント協会製)
W:本発明重合体又は比較重合体、及び、消泡剤のイオン交換水溶液
Wとして、表7に示した添加量の重合体水溶液を量り採り、消泡剤MA−404(ポゾリス物産製)を有姿で重合体固形分に対して10質量%加え、更にイオン交換水を加えて所定量とし、充分に均一溶解させた。表7において重合体の添加量は、セメント質量に対する重合体固形分の質量%で表されている。
ホバート型モルタルミキサー(型番N−50;ホバート社製)にステンレス製ビーター(撹拌羽根)を取り付け、C、Wを投入し、1速で30秒間混練した。更に1速で混練しながら、Sを30秒かけて投入した。S投入終了後、2連で30秒間混練した後、ミキサーを停止し、15秒間モルタルの掻き落としを行い、その後、75秒間静置した。75秒間静置後、更に60秒間2速で混練を行い、モルタルを調製した。
なお、0打フロー値及び15打フロー値は、数値が大きいほど、分散性能が優れている。
モルタルを500mLのガラス製メスシリンダーに約200mL詰め、径8mmの丸棒で突き、手で軽く振動させて粗い気泡を抜いた。更にモルタルを約200mL加えて同様に気泡を抜いた後、モルタルの体積と質量を測り、各材料の密度から空気量を計算した。
また、判定の欄の評価基準は次のとおりである。
評価基準
++(非常に良好):重合体の混合物をモルタル試験に供した際の15打フロー値の実測値が、重合体それぞれを単独でモルタル試験に供した場合のいずれの15フロー値をも上回っている。
+(良好):上記実測値が上記予測値を上回っている。
ポリアルキレングリコール鎖の末端の少なくとも1つにおける末端酸素原子が、直接結合又は有機残基を介して、ビニル系単量体由来の構造単位の主鎖末端と結合した構造を有するポリアルキレングリコール系重合体を単独で用いる場合に比べて、ビニル系単量体由来の構造単位における酸量が異なる2種以上のポリアルキレングリコール系重合体(A)とポリアルキレングリコール系重合体(B)とを含む重合体含有組成物を用いた場合には、モルタルの流動性が重合体を単独で用いた場合の平均値以上となり、混合物とすることによって相乗効果が得られることが分かった。
Claims (8)
- 重合体の主鎖にポリアルキレングリコール鎖とビニル系単量体由来の構造単位とを有する重合体を含む重合体含有組成物であって、
該重合体は、該ポリアルキレングリコール鎖の末端の少なくとも1つにおける末端酸素原子が、直接結合又は有機残基を介して、該ビニル系単量体由来の構造単位の主鎖末端と結合した構造を有し、
該ビニル系単量体は、酸基を有する単量体を必須として含み、
該重合体含有組成物は、ビニル系単量体由来の構造単位における酸量が異なる2種以上のポリアルキレングリコール系重合体(A)とポリアルキレングリコール系重合体(B)とを含み、
重合体含有組成物は、酸量の多いポリアルキレングリコール系重合体(A)と酸量の少ないポリアルキレングリコール系重合体(B)との酸量の差が、該重合体1g当りの酸基のミリ当量数(meq/g)で0.1以上であることを特徴とする重合体含有組成物。 - 前記ビニル系単量体は、不飽和カルボン酸系単量体を必須として含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の重合体含有組成物。
- 前記ビニル系単量体は、不飽和ポリアルキレングリコール系単量体を必須として含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体含有組成物。
- 前記有機残基は、硫黄原子を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重合体含有組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体含有組成物を含むことを特徴とする微粒子分散剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体含有組成物を含むことを特徴とするセメント混和剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体含有組成物を含むことを特徴とするセメント組成物。
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