JP5610887B2 - 分割コア式ワークの巻線機及び巻線方法 - Google Patents

分割コア式ワークの巻線機及び巻線方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5610887B2
JP5610887B2 JP2010161180A JP2010161180A JP5610887B2 JP 5610887 B2 JP5610887 B2 JP 5610887B2 JP 2010161180 A JP2010161180 A JP 2010161180A JP 2010161180 A JP2010161180 A JP 2010161180A JP 5610887 B2 JP5610887 B2 JP 5610887B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
winding
wire
row
pressing
pressing member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010161180A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012023908A (ja
Inventor
博幸 住友
博幸 住友
渡 森川
渡 森川
範雄 西田
範雄 西田
益宏 福谷
益宏 福谷
武夫 山川
武夫 山川
渉 遠藤
渉 遠藤
裕典 甲斐
裕典 甲斐
一行 小林
一行 小林
将志 倉知
将志 倉知
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bestec Corp
Original Assignee
Bestec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bestec Corp filed Critical Bestec Corp
Priority to JP2010161180A priority Critical patent/JP5610887B2/ja
Publication of JP2012023908A publication Critical patent/JP2012023908A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5610887B2 publication Critical patent/JP5610887B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture Of Motors, Generators (AREA)

Description

本発明は、分割コア式ワーク(すなわち多極電機子が所定角度範囲のヨーク部からなる外側鍔部と、巻胴部及び内側鍔部を有する1つの極部とを単位として有するように複数に分割されたワーク)の巻胴部に、断面多角形状の線材(例えば断面長方形状の平角線)を巻き付けるための巻線機に関する。また、そのような巻線機を用いた巻線方法に関する。
従来より、軸端部に同心的に保持したワークとともにスピンドル(主軸)を駆動回転させ、ワークの内外鍔部間に形成された巻胴部(ボビン)の外周に沿って巻線するタイプの巻線機(スピンドル巻線機と通称されている)が知られており、上下方向のスピンドルを有する縦型スピンドル巻線機と、水平方向のスピンドルを有する横型スピンドル巻線機とに大別される。これらのスピンドル巻線機では、スピンドルの駆動回転を直接的にワークに伝達することにより高速回転でも芯ブレ等の少ない安定した巻線を可能としている。
ところで、電気自動車(EV:Electric Vehicle)の駆動用モータ、ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)のアシスト用モータ等の電動機、あるいは発電機のような回転式電気機械において、リング状の外周を形成するヨーク部から半径方向内側に突出する複数の極部を有するインナーコアタイプ(アウタステータタイプ)の多極電機子を含む場合がある。しかし、スピンドル巻線機は、上記した巻線方式のままでは、このようなインナーコアタイプの多極電機子の極部に巻線することはできない。
また、上記回転式電気機械に求められる小型化と高性能化とを実現するために、従来の断面円形状の丸線に代わり、断面長方形状の平角線を多極電機子の極部に巻線することにより、占積率(巻線可能な全断面積に対し、実際に巻線された線材の総断面積の比率)を高める工夫も行われている。
そこで近年、スピンドル巻線機の高速での巻線性能を活かして、いわゆる分割コア式ワークに平角線の巻線を行うことが知られている。分割コア式ワークWは、多極電機子が、所定角度範囲のヨーク部からなる外側鍔部yと、巻胴部d及び内側鍔部gを有する1つの極部pとを単位として有するように複数に分割されている(図18参照)。したがって、外側鍔部(又は内側鍔部)をスピンドルに取り付けて回転させ、ノズルに保持された平角線を巻胴部にらせん状に巻き付けることによって、分割コア式ワークの巻胴部1個を単位として高占積率で巻線する(特許文献1,2参照)。さらに、巻線を終えた複数の分割コア式ワークを環状に集合・配列することにより多極電機子を製造できる(特許文献3参照)。
特許文献1,2に開示されているように、スピンドル巻線機を用いて分割コア式ワークに平角線を巻線する場合、巻線は分割コア式ワークの巻胴部1個単位で行われ、巻き付け後の線材を巻軸方向に押圧する線材ガイド(押さえ部材)を有するので、多くの巻数を複数列かつ複数層にて高速・高占積率で巻線(高能率で整列巻)することが可能となる。
特開2008−148470号公報 特開2009−55710号公報 特開2006−352966号公報
ところが、一般的に平角線は丸線に比べて、断面の形状や寸法の精度(精密度)を維持することが難しく、製造時・保管時等にバラツキが発生しやくなる傾向がある。したがって、図18に示すように、すでに巻き付けられた前列の巻線(平角線)に密着するように、ノズルNから引き出された線材L(平角線)をいかに正確に正規の位置に誘導したとしても、前列の巻線の角部に引っ掛かってずれたり傾斜したりした状態で巻胴部dに巻き付けられる場合がある。このような不良巻き付け状態が発生したとき、巻き付け直後の線材を特許文献1,2に開示されたような線材ガイドや押さえ部材Pで巻軸方向に押圧しても、不良巻き付け状態は改善されず、むしろ線材L(平角線)がねじれたり切れたりするおそれがある。そして、上記不良巻き付け状態は、巻胴部dの3つの外周面d1〜d3に線材L(平角線)の幅広面LWを巻き付けて周回巻線m1を形成するときよりも、特定の外周面d4において前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ線材L(平角線)を斜め移行して斜め掛け巻線m2を形成するときに一層発生しやすい。
なお、平角線Lの角部には図18に示すような面取りr(アール)を施すのが一般的であるが、それでも特許文献1,2に開示された巻線機では上記不良巻き付け状態の発生を防止することは困難である。また、このような不良巻き付け状態は、平角線Lに限らず断面多角形状の線材全般に発生しやすい。
本発明の課題は、分割コア式ワークの巻胴部に平角線等の断面多角形状の線材をスピンドル方式で巻線する場合、ノズルから引き出された線材の巻胴部への巻き付け形態(態様)を工夫することにより、前列の巻線の角部への引っ掛かり等による不良巻き付け状態の発生を防止し、高速、高占積率、高精度にて複数列かつ複数層の巻線部を巻胴部に形成することのできる分割コア式ワークの巻線機と巻線方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の課題を解決するために、本発明の分割コア式ワークの巻線機は、
リング状の外周を形成するヨーク部から半径方向内側に突出する巻胴部と、その巻胴部の先端部に形成された内側鍔部とを有する複数の極部において、前記巻胴部のそれぞれに、ノズルに保持された断面多角形状の線材を電気的絶縁状態でらせん状に巻き付けることにより、前記巻胴部に対して複数列かつ複数層をなす巻線部が形成された多極電機子を製造するために、その多極電機子が所定角度範囲のヨーク部からなる外側鍔部と1つの極部とを単位として有するように複数に分割された分割コア式ワークの巻線機であって、
前記巻胴部が自身の軸線に沿うように、前記分割コア式ワークを保持するスピンドル軸と、
前記分割コア式ワークが保持されたスピンドル軸を前記軸線周りで駆動回転させるためのワーク駆動機構と、
を含むワークユニットを備えるとともに、
前記巻胴部の周方向所定位置を各列の巻き始め位置として前記線材を前記巻胴部の周囲に巻き付ける際に、前記各列の巻き始め位置から前記スピンドル軸の軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、前記軸線方向の既巻線側へ押圧して周回巻線を形成するための第一押圧部材と、
前記第一押圧部材を前記軸線方向に移動するための第一移動機構と、
前記巻胴部に対する前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ前記線材を斜め移行する際に、前記前列の巻き終り位置を出発し、前記後列の巻き始め位置よりもさらに前記軸線方向の未巻線側に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、前記軸線方向の既巻線側へ押圧して斜め掛け巻線を形成するための第二押圧部材と、
前記第二押圧部材を前記軸線方向に移動するための第二移動機構と、
を含む押圧ユニットを備え
前記第一押圧部材は、前記各列の巻き始め位置から周回方向に沿って前記巻胴部の周囲に複数配置され、
周回方向の上流側に位置する第一押圧部材が、前記軸線方向の既巻線側へ押圧した線材を引き続き押圧し、前記ノズルが、下流側ほど大きくなるくさび状の周回方向の隙間を形成しながら前記軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように移動して前記線材を前記巻胴部に巻き付ける隙間形成態様と、
前記上流側の第一押圧部材よりも周回方向の下流側に位置する第一押圧部材が、前記隙間形成態様で新たに前記巻胴部に巻き付けられた線材を前記軸線方向の既巻線側へ押圧して前記周回方向の隙間をなくす隙間消滅態様とを、前記巻胴部の周回方向に繰り返すことによって各列1周分の前記周回巻線を形成することを特徴とする。
また、上記の課題を解決するために、本発明の分割コア式ワークの巻線方法は、
リング状の外周を形成するヨーク部から半径方向内側に突出する巻胴部と、その巻胴部の先端部に形成された内側鍔部とを有する複数の極部において、前記巻胴部のそれぞれに、ノズルに保持された断面多角形状の線材を電気的絶縁状態でらせん状に巻き付けることにより、前記巻胴部に対して複数列かつ複数層をなす巻線部が形成された多極電機子を製造するために、その多極電機子が所定角度範囲のヨーク部からなる外側鍔部と1つの極部とを単位として有するように複数に分割された分割コア式ワークの巻線方法であって、
前記分割コア式ワークの巻胴部がスピンドル軸の軸線に沿うように、前記スピンドル軸の軸端部に前記分割コア式ワークの外側鍔部側又は内側鍔部側を保持するワークセット工程と、
前記分割コア式ワークが保持されたスピンドル軸をワーク駆動機構により前記軸線周りで駆動回転させるとともに、前記スピンドル軸の駆動回転と同期して第一押圧部材及び第二押圧部材を前記軸線周りで一体的に回転させ、前記巻胴部の周方向所定位置を各列の巻き始め位置として前記線材を前記巻胴部の周囲に巻き付ける際に、前記各列の巻き始め位置から前記スピンドル軸の軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、第一移動機構により前記第一押圧部材が前記軸線方向の既巻線側へ押圧して周回巻線を形成する周回巻線工程と、
前記スピンドル軸の駆動回転と、その駆動回転と同期した前記第一押圧部材及び第二押圧部材の一体的な回転とを継続しつつ、前記巻胴部に対する前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ前記線材を斜め移行する際に、前記前列の巻き終り位置を出発し、前記後列の巻き始め位置よりもさらに前記軸線方向の未巻線側に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、第二移動機構により前記第二押圧部材が前記軸線方向の既巻線側へ押圧して斜め掛け巻線を形成する斜め掛け巻線工程と、
を含み、
前記第一押圧部材は、前記各列の巻き始め位置から周回方向に沿って前記巻胴部の周囲に複数配置され、
前記周回巻線工程において、
周回方向の上流側に位置する第一押圧部材が、前記軸線方向の既巻線側へ押圧した線材を引き続き押圧し、前記ノズルが、下流側ほど大きくなるくさび状の周回方向の隙間を形成しながら前記軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように移動して前記線材を前記巻胴部に巻き付ける隙間形成態様と、
前記上流側の第一押圧部材よりも周回方向の下流側に位置する第一押圧部材が、前記隙間形成態様で新たに前記巻胴部に巻き付けられた線材を前記軸線方向の既巻線側へ押圧して前記周回方向の隙間をなくす隙間消滅態様とを、前記巻胴部の周回方向に繰り返すことによって各列1周分の前記周回巻線を形成することを特徴とする。
このように、分割コア式ワークの巻胴部に平角線等の断面多角形状の線材をスピンドル方式で巻線するとき、ノズルから引き出された線材の巻胴部への巻き付け形態(態様)は次のようになる。
(1)巻胴部の周囲に線材を巻き付けて周回巻線を形成する際(つまり周回巻線工程)には、まず各列の巻き始め位置からスピンドル軸の軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように線材を巻胴部に巻き付けておき、巻き付け直後の線材を第一押圧部材が軸線方向の既巻線側へ押圧することによって、巻胴部に巻き付けられた線材を正規の巻線位置に移動させる。
(2)巻胴部に対する前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ線材を斜め移行して斜め掛け巻線を形成する際(つまり斜め掛け巻線工程)には、まず前列の巻き終り位置を出発し、後列の巻き始め位置よりもさらにスピンドル軸の軸線方向の未巻線側に遠ざかるように線材を巻胴部に巻き付けておき、巻き付け直後の線材を第二押圧部材が軸線方向の既巻線側へ押圧することによって、巻胴部に巻き付けられた線材を正規の巻線位置に移動させる。
つまり、正規の巻線位置よりも軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように線材を巻胴部に巻き付けてから、巻き付け直後の線材を押圧部材(第一押圧部材又は第二押圧部材)が軸線方向の既巻線側へ押圧することによって、巻胴部に巻き付けられた線材を正規の巻線位置に移動させる。これによって、巻線中の線材が前列の巻線の角部に引っ掛かってずれたり傾斜したりするような不良巻き付け状態の発生を防止できるので、高速、高占積率、高精度にて複数列(例えば10列)かつ複数層(例えば5層)の巻線部を巻胴部に形成することができるようになる。
具体的には、上記巻線機において、
第一押圧部材は、第一移動機構の作動により、
1列目の巻線時においては、外側鍔部又は内側鍔部と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を外側鍔部又は内側鍔部と密着させ、かつ2列目以降の巻線時においては、前列の周回巻線と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前列の周回巻線と密着させる一方、
第二押圧部材は、第二移動機構の作動により、
1列目の巻き終り位置から2列目の巻き始め位置への移行時においては、1列目の周回巻線の始端部と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を1列目の周回巻線の始端部と密着させ、かつ2列目以降の巻き終り位置から次列の巻き始め位置への移行時においては、前列の斜め掛け巻線と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前列の斜め掛け巻線と密着させることができる。
同様に、上記巻線方法では、
周回巻線工程において、第一押圧部材は第一移動機構の作動により、
1列目の巻線時においては、外側鍔部又は内側鍔部と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を外側鍔部又は内側鍔部と密着させ、かつ2列目以降の巻線時においては、前列の周回巻線と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前列の周回巻線と密着させる一方、
斜め掛け巻線工程において、第二押圧部材は第二移動機構の作動により、
1列目の巻き終り位置から2列目の巻き始め位置への移行時においては、1列目の周回巻線の始端部と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を1列目の周回巻線の始端部と密着させ、かつ2列目以降の巻き終り位置から次列の巻き始め位置への移行時においては、前列の斜め掛け巻線と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前列の斜め掛け巻線と密着させることができる。
このように、第一押圧部材は、(周回巻線工程において、)外側鍔部又は内側鍔部と巻線中の線材との間に形成された隙間、あるいは前列の周回巻線と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動することによって、不良巻き付け状態の発生を防止しつつ、巻線中の線材を正規の巻線位置へ移動させて周回巻線を形成することができる。一方、第二押圧部材は、(斜め掛け巻線工程において、)1列目の周回巻線の始端部と巻線中の線材との間に形成された隙間、あるいは前列の斜め掛け巻線と巻線中の線材との間に形成された隙間をなくすように移動することによって、不良巻き付け状態の発生を防止しつつ、巻線中の線材を正規の巻線位置へ移動させて斜め掛け巻線を形成することができる。
また、上記巻線機において、
第一押圧部材は、各列の巻き始め位置から周回方向に沿って巻胴部の周囲に複数配置され、
周回方向の上流側に位置する第一押圧部材は、軸線方向の既巻線側へ押圧した線材を引き続き押圧して、ノズルから引き出された線材が、軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように巻胴部に巻き付けられることを許容し、
上流側の第一押圧部材よりも周回方向の下流側に位置する第一押圧部材は、新たにノズルから引き出され巻胴部に巻き付けられた線材を軸線方向の既巻線側へ押圧することが望ましい。
同様に、上記巻線方法では、
第一押圧部材は、各列の巻き始め位置から周回方向に沿って巻胴部の周囲に複数配置され、
周回巻線工程において、
周回方向の上流側に位置する第一押圧部材は、軸線方向の既巻線側へ押圧した線材を引き続き押圧して、ノズルから引き出された線材が、軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように巻胴部に巻き付けられることを許容し、
上流側の第一押圧部材よりも周回方向の下流側に位置する第一押圧部材は、新たにノズルから引き出され巻胴部に巻き付けられた線材を軸線方向の既巻線側へ押圧することが望ましい。
このように、周回方向の上流側から下流側へ第一押圧部材を複数(例えば3個)配置する場合、(周回巻線工程において、)巻胴部に巻き付けられた線材を上流側の第一押圧部材で正規の巻線位置に押圧保持しながら、それより下流側では正規の巻線位置よりも軸線方向の未巻線側に隙間が形成されるように巻胴部に線材が巻き付けられる。そして、上流側の第一押圧部材による押圧保持を維持しながら、巻き付け直後の線材を下流側の第一押圧部材が軸線方向の既巻線側へ押圧することによって、未巻線側に形成された隙間がなくなるように、巻胴部に巻き付けられた線材を正規の巻線位置に移動させるので、不良巻き付け状態の発生を一層容易に防止できる。
さらに、上記巻線機において、
第二押圧部材は、斜め掛け巻線の形成位置に対応して巻胴部の周囲に2個並設され、
斜め掛け開始側に位置する第二押圧部材は、斜め掛け開始位置にて線材を押圧し、ノズルから引き出された線材が、斜め掛け終了位置にて後列の巻き始め位置よりもさらに軸線方向の未巻線側に遠ざかるように巻胴部に巻き付けられることを許容し、
斜め掛け終了側に位置する第二押圧部材は、新たにノズルから引き出され巻胴部に巻き付けられた線材を軸線方向の既巻線側へ押圧することが望ましい。
同様に、上記巻線方法では、
第二押圧部材は、斜め掛け巻線の形成位置に対応して巻胴部の周囲に2個並設され、
斜め掛け巻線工程において、
斜め掛け開始側に位置する第二押圧部材は、斜め掛け開始位置にて線材を押圧し、ノズルから引き出された線材が、斜め掛け終了位置にて後列の巻き始め位置よりもさらに軸線方向の未巻線側に遠ざかるように巻胴部に巻き付けられることを許容し、
斜め掛け終了側に位置する第二押圧部材は、新たにノズルから引き出され巻胴部に巻き付けられた線材を軸線方向の既巻線側へ押圧することが望ましい。
このように、斜め掛け開始側と斜め掛け終了側とに第二押圧部材を並設する場合、(斜め掛け巻線工程において、)巻胴部に巻き付けられた線材を斜め掛け開始側の第二押圧部材で正規の巻線位置に押圧保持しながら、それより下流側では正規の巻線位置よりも軸線方向の未巻線側に隙間が形成されるように巻胴部に線材が巻き付けられる。そして、斜め掛け開始側の第二押圧部材による押圧保持を維持しながら、巻き付け直後の線材を斜め掛け終了側の第二押圧部材が軸線方向の既巻線側へ押圧することによって、未巻線側に形成された隙間がなくなるように、巻胴部に巻き付けられた線材を正規の巻線位置に移動させるので、不良巻き付け状態の発生を一層容易に防止できる。
そして、上記巻線機において、
スピンドル軸は、分割コア式ワークの外側鍔部側又は内側鍔部側を保持するとともに、
押圧ユニットは、分割コア式ワークの巻胴部を挟んで外側鍔部側と内側鍔部側とに各々配置されて、分割コア式ワークの巻線部のうち奇数層形成用と偶数層形成用とに使い分けられる場合がある。
同様に、上記巻線方法では、
第一押圧部材、第一移動機構、第二押圧部材及び第二移動機構を含む押圧ユニットが、分割コア式ワークの巻胴部を挟んで外側鍔部側と内側鍔部側とで対をなすように各々配置され、
ワークセット工程において、スピンドル軸は、分割コア式ワークの外側鍔部側又は内側鍔部側を保持するとともに、
周回巻線工程及び斜め掛け巻線工程において、一対の押圧ユニットのうち一方の押圧ユニットが、分割コア式ワークの巻線部のうち奇数層の周回巻線及び斜め掛け巻線を形成するときに使用され、他方の押圧ユニットが、偶数層の周回巻線及び斜め掛け巻線を形成するときに使用される場合がある。
このように、分割コア式ワークの巻胴部を挟んで外側鍔部側と内側鍔部側とに押圧ユニットを各々配置することによって、(周回巻線工程及び斜め掛け巻線工程において、)不良巻き付け状態の発生を防止しながら、巻胴部には複数層にわたって高占積率の巻線部を形成することができる。
なお、押圧ユニットにおいて、第一押圧部材、第一移動機構、第二押圧部材、第二移動機構は、それ自身が重量物であり、かつスピンドル軸(ワーク)の駆動回転と同期して回転するために、動的アンバランスを生じやすい。さらに、巻胴部への複数層の巻線を行うために、押圧ユニットには、第一押圧部材や第二押圧部材をスピンドル軸の軸線(又はワークの巻胴部)に対して接近・離間させるための機構を、第一移動機構、第二移動機構の他に設ける場合についても考慮する必要がある。しかし、縦型スピンドル巻線機に一対の押圧ユニットを搭載する場合、これらの構成部分は横型スピンドル巻線機に比べて重力の影響を受けにくく、振動、騒音が軽減される利点がある。また、一対の押圧ユニットはワークを挟んで上下に配置されるので、水平方向スペースが小さくてすむ利点もある。
本発明に係る縦型スピンドル巻線機の一例を示す全体側面図。 ワークと多極電機子との関係を説明する斜視図。 上部押圧ユニットを拡大して示す側面図。 図3の平面図。 ワークに対する押圧ガイドの平面的な配置関係を示す説明図。 図5のA−A矢視方向から見た押圧ガイドの取付構造説明図。 押圧ガイドの正面図。 ワークセット工程を平面視にて模式的に示す説明図。 ワークセット工程を側面視にて模式的に示す説明図。 第1層第1列の周回巻線工程を平面視及び側面視にて模式的かつ連続的に示す説明図。 第1層第1列から第2列に至る斜め掛け巻線工程を平面視及び側面視にて模式的かつ連続的に示す説明図。 第1層第2列の周回巻線工程を平面視及び側面視にて模式的かつ連続的に示す説明図。 第1層第2列から第3列に至る斜め掛け巻線工程を平面視及び側面視にて模式的かつ連続的に示す説明図。 第1層最終列の周回巻線工程を平面視及び側面視にて模式的かつ連続的に示す説明図。 第2層第1列の周回巻線工程を平面視及び側面視にて模式的かつ連続的に示す説明図。 第2層第1列から第2列に至る斜め掛け巻線工程を平面視及び側面視にて模式的かつ連続的に示す説明図。 押圧ガイドの作動タイミングを表す一覧図表。 多極電機子組立工程を模式的に示す説明図。 平角線巻線時における不良巻き付け状態の発生を例示する説明図。
(実施例)
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る縦型スピンドル巻線機の一例を示す全体側面図である。図1の縦型スピンドル巻線機(以下、単に巻線機ともいう)100には、ワークユニット10U,10Lと押圧ユニット20U,20Lとが、それぞれメインフレーム1を挟んで上下に対称的に振り分け配置されている。そして、これらの上部ワークユニット10U(上部保持ユニット),下部ワークユニット10L(下部保持ユニット),上部押圧ユニット20U(奇数層用押圧ユニット),下部押圧ユニット20L(偶数層用押圧ユニット)は、メインフレーム1に固定配置されたスピンドルモータ101(回転駆動源)と、そのスピンドルモータ101に直結された主軸102とによって駆動されている。また、メインフレーム1には巻線機構(巻線手段)としてのノズルユニット30も搭載されている。
下部ワークユニット10Lは、上端部(軸端部)に分割コア式ワーク(以下、単にワークともいう)Wが固定された下部スピンドル11L(スピンドル軸)と、その下部スピンドル11Lを上下方向の軸線O周りで駆動回転するためのワーク駆動機構12とを含む。一方、上部ワークユニット10Uは、下端部(軸端部)にてワークWを保持する上部スピンドル11U(スピンドル軸)と、その上部スピンドル11Uを上下方向の軸線O周りで駆動回転するためのワーク駆動機構12とを含む。ワーク駆動機構12は、主軸102及び上部スピンドル11U(下部スピンドル11L)にそれぞれ固定されたタイミングプーリ121,122と、両プーリ121,122に掛け回されたタイミングベルト123とを有している。ワークユニット10U,10Lに設けられるワーク駆動機構12は同一構造であり、両スピンドル11U,11Lは同期回転(同一方向・同一回転数で同時に回転)する。
また、各々の押圧ユニット20U,20Lには、後述する複数の押圧ガイド21,22を上下方向(軸線O方向)及び水平方向(軸線Oに直交する方向)に移動させるための移動機構23,24と、その移動機構23,24を保持するための保持機構25とが備えられている。保持機構25は、上部スピンドル11U(下部スピンドル11L)に固定され、軸線O周りで回転する上下方向の回転軸251と、メインフレーム1に対して一体固定され、回転軸251を上下で回転可能に支持する一対の固定フレーム252,252と、固定フレーム252,252を連結し、上下方向に延びる複数(例えば12本;図4参照)の連結軸253とを含む。
ノズルユニット30において、ワークWの巻胴部dに平角線L(線材)を巻き付けて巻線部mを形成する(図17参照)ためのノズル31が、軸線Oに直交する水平方向に配置されている。ノズル31は、前後方向に配置されたノズルフレーム2(前後移動フレーム)の先端部(前端部)に固定され、そのノズルフレーム2に固定された往復移動用モータ32(前後移動モータ)によって、軸線Oに対して接近・離間するように、上下方向に配置された送りフレーム3(上下移動フレーム)に対して前後方向に往復移動する。また、その送りフレーム3は、横フレーム4(左右移動フレーム)に固定された送り用モータ33(上下移動モータ)によって、左右方向に配置された横フレーム4に対し上下方向に往復移動する。さらに、その横フレーム4は、メインフレーム1に固定された横移動用モータ34(左右移動モータ)によって、メインフレーム1に対し左右方向に往復移動する。したがって、往復移動用モータ32・送り用モータ33・横移動用モータ34にサーボモータを使用することによって、ノズル31は巻線時において、前後・上下・左右の各方向へ3次元的に高精度で移動可能とされている。
図2はワーク(分割コア式ワーク)と多極電機子との関係を説明する斜視図である。図2に示すように、インナーコアタイプ(アウタステータタイプ)の電動モータ用多極電機子Aには、リング状の外周を形成するヨーク部Yから半径方向内側に突出する巻胴部dと、その巻胴部dの先端部に形成された内側鍔部gとを有する複数(例えば、u,v,wの3相で12極)の極部pが突出形成されている。多極電機子Aは、所定角度範囲(例えば30°)のヨーク部Yからなる外側鍔部yと1つの極部pとを単位として有するように複数(例えば12個)に分割されて、分割コア式ワーク(以下、単にワークともいう)W(具体的には、u相4極のワークu1〜u4,v相4極のワークv1〜v4,w相4極のワークw1〜w4)が形成されている。したがって、各ワークW(u1〜u4,v1〜v4,w1〜w4)の巻胴部dに対して、ノズル31に保持された平角線Lをインシュレータiを介して電気的絶縁状態でらせん状に巻き付けることにより、M層N列(例えば5層8列)の巻線部mが形成される(図17参照)。
図2からも明らかなように、ワークWの巻胴部dは、多極電機子Aの中心線方向を長辺とする長方形断面を有している。そこで、図8A及び図8Bに示すように、巻胴部dの断面中心がスピンドル11U,11Lの軸線Oと一致するように、ワークWをスピンドル11U,11Lの軸端部に保持し、軸線O周りで回転させると、ノズル31に保持された平角線Lが巻胴部dに巻き付けられる。具体的には、平角線Lの幅広面LWが、断面長方形をなす巻胴部dの一方の長辺に対応する第一外周面d1→隣接する短辺に対応する第二外周面d2→他方の長辺に対応する第三外周面d3→他方の短辺に対応する第四外周面d4と密着するようにらせん状に順次巻き付けられる(図18参照)。その結果、第一〜第三外周面d1〜d3には、順次周囲に巻き付けられる周回巻線m1(図9(C)参照)が形成され、第四外周面d4には、前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ斜め移行する斜め掛け巻線m2(図10(B)参照)が形成される。なお、巻胴部dの各外周面d1,d2,d3,d4は長方形状に形成されている。
図3は上部押圧ユニットを拡大して示す側面図、図4はその平面図である。また、図5はワークに対する押圧ガイドの平面的な配置関係を示す説明図、図6はそのA−A矢視方向から見た押圧ガイドの取付構造説明図、図7は押圧ガイドの正面図である。図1に表されているように、上部押圧ユニット20Uと下部押圧ユニット20Lとはメインフレーム1を挟んで上下対称的に配置されているので、図3〜図7では上部押圧ユニット20Uのみを説明する。
図3に示すように、上部押圧ユニット20Uは、上記した保持機構25の他に、以下のものを備えている。
・第一の機能として周回巻線m1(図9(C)参照)を形成するための1又は複数(例えば4個)の周回押圧ガイド21(第一押圧部材);
・第二の機能として斜め掛け巻線m2(図10(B)参照)を形成するための1又は複数(例えば2個)の斜め掛け押圧ガイド22(第二押圧部材);
・各々の押圧ガイド21,22を個別に軸線O方向(上下方向)に移動して、第一の機能又は第二の機能を達成するための複数(例えば6個)の上下移動機構23(押圧列変更機構;第一移動機構;第二移動機構);
・各々の押圧ガイド21,22を個別に軸線Oと直交する方向(水平方向)に移動して、第三の機能又は第四の機能を達成するための複数(例えば6個)の水平移動機構24(押圧層変更機構;第三移動機構;第四移動機構)。
ただし、第三の機能(又は第四の機能)とは、周回押圧ガイド21(又は斜め掛け押圧ガイド22)を巻胴部dに対し接近・離間させて、押圧すべき層を変更する機能をいう。後述するように、これら周回押圧ガイド21及び斜め掛け押圧ガイド22の機能・用途は個々に異なっている。しかし、各押圧ガイド21,22は、扁平な板状形態の先端部をはじめ、全体が同一形状であり(図5〜図7参照)、これらに対応する上下移動機構23及び水平移動機構24もすべて同一構造を有しているので、以下の構造説明では特に区別をしないこととする。
図5に示すように、巻胴部dの長辺に対応する第一外周面d1及び第三外周面d3に向き合って(対向して)それぞれ1個ずつ、巻胴部dの短辺に対応する第二外周面d2及び第四外周面d4に向き合って(対向して)それぞれ2個ずつ、合わせてワークWの周囲に最大6個の押圧ガイド21,22を配置することができる。そして、各押圧ガイド21,22には、上下移動機構23と水平移動機構24とがそれぞれ併設されている。
図3及び図4に示すように、6個の押圧ガイド21,22に設置される6セットの上下移動機構23及び6セットの水平移動機構24(合わせて12セット)が、保持機構25の固定フレーム252に対し、軸線Oを中心として周方向に等間隔(すなわち30°間隔)で放射状に配置されている。
そのうち、各上下移動機構23は、以下のものを有している。
・連結軸253に固定された上下方向駆動モータ23D(第一駆動源;第二駆動源)によって正逆駆動回転される上下方向(軸線O方向)のボールねじ231(第一駆動軸;第二駆動軸);
・ボールねじ231の回転に伴って昇降する連結ブラケット232;
・連結ブラケット232と係合して連動昇降する上下移動用昇降リング233;
・上下移動用昇降リング233とともに上下方向にスライド昇降可能な上下移動用昇降軸234(第一移動軸;第二移動軸);
・上下移動用昇降軸234の下端部(一端部)に固定された上下移動ブロック235。
上下移動機構23のうち、上下移動用昇降リング233、上下移動用昇降軸234及び上下移動ブロック235は、上部スピンドル11U及び回転軸251の駆動回転と同期して、周回押圧ガイド21及び斜め掛け押圧ガイド22とともに軸線O周りで一体的に回転する。一方、上下方向駆動モータ23D、ボールねじ231及び連結ブラケット232は、上部スピンドル11U及び回転軸251に対して非回転に保持されている。
具体的には、連結ブラケット232に固定されたカムフォロア232a(ブラケット側係合部)が上下移動用昇降リング233に突出形成された係合カム233a(リング側係合部)と係合することによって、回転中の上下移動用昇降リング233が昇降移動する。カムフォロア232aは係合カム233aを挟んで上下一対配置されているので、上下移動用昇降リング233は下降側及び上昇側へ移動可能である。
一方、各水平移動機構24は、以下のものを有している。
・連結軸253に固定された水平方向駆動モータ24D(第三駆動源;第四駆動源)によって正逆駆動回転される上下方向(軸線O方向)のボールねじ241(第三駆動軸;第四駆動軸);
・ボールねじ241の回転に伴って昇降する連結ブラケット242;
・連結ブラケット242と係合して連動昇降する水平移動用昇降リング243;
・水平移動用昇降リング243とともに上下方向にスライド昇降可能な水平移動用昇降軸244(第三移動軸;第四移動軸);
・押圧ガイド21,22に取り付けられ、押圧ガイド21,22とともに水平方向(巻胴部dに対し接近・離間する方向)にスライド移動可能な水平移動ブロック245;
・水平移動用昇降軸244の下端部(一端部)の上下方向の運動を水平移動ブロック245(押圧ガイド21,22)の水平方向の運動に変換するための運動変換部246。
水平移動機構24のうち、水平移動用昇降リング243、水平移動用昇降軸244、水平移動ブロック245及び運動変換部246は、上部スピンドル11U及び回転軸251の駆動回転と同期して、周回押圧ガイド21及び斜め掛け押圧ガイド22とともに軸線O周りで一体的に回転する。一方、水平方向駆動モータ24D、ボールねじ241及び連結ブラケット242は、上部スピンドル11U及び回転軸251に対して非回転に保持されている。
具体的には、連結ブラケット242に固定されたカムフォロア242a(ブラケット側係合部)が水平移動用昇降リング243に突出形成された係合カム243a(リング側係合部)と係合することによって、回転中の水平移動用昇降リング243が昇降移動する。カムフォロア242aは係合カム243aを挟んで上下一対配置されているので、水平移動用昇降リング243は下降側及び上昇側へ移動可能である。
図6及び図7に示すように、水平移動機構24の運動変換部246は、水平移動用昇降軸244と水平移動ブロック245とを接続するためのベルクランク246aと、水平移動ブロック245を水平方向に移動案内するための直線状案内部材246bとを含む。ベルクランク246aは、水平軸246a3によって上下移動ブロック235に軸支された中間部にてL字形に屈曲したアーム形状をなし、一方のアーム246a1の先端部が水平移動用昇降軸244の下端部に対して回動可能に取り付けられるとともに、他方のアーム246a2の先端部が水平移動ブロック245に対して回動可能に取り付けられている。直線状案内部材246bは、上下移動ブロック235と水平移動ブロック245との間に設けられている。なお、直線状案内部材246bとして、直線状レールと直線状キャリッジとの間に複数の転動体(ボール又はころ)を介在させた“LMガイド”(THK株式会社登録商標)等の直線ガイド(リニアガイドとも通称される)を用いることによって、高精度の案内部材を構成することができる。
図4及び図5に示すように、上下移動機構23の上下移動用昇降軸234と水平移動機構24の水平移動用昇降軸244とが互いに近接してペアをなし、計6組のペアを軸線Oを中心として周方向に配置することにより、各ペア毎に水平移動機構24の運動変換部246が簡素に構成できるようになる。また、ワークWの巻胴部dのうち、短辺に対応する第二外周面d2,第四外周面d4には、それぞれ2本の押圧ガイド21(又は22)が配置される。そのために、第二外周面d2,第四外周面d4に向き合って配置される2本の押圧ガイド21(又は22)に関して、各々の水平移動機構24(水平移動用昇降軸244)が内側に隣接し、各々の上下移動機構23(上下移動用昇降軸234)が外側に離隔した状態で並ぶように配置されている。
図3及び図4に示すように、単一の押圧ガイド21(又は22)に対して、上下移動機構23の上下移動用昇降リング233と水平移動機構24の水平移動用昇降リング243とが上下方向に重ね合わせて配置される。また、押圧ガイド21,22の個数(実施例では6個)に合わせて、両昇降リング233,243のペアが複数段(実施例では6段)にわたり積み重ねられている。さらに、計12本の上下移動用昇降軸234及び水平移動用昇降軸244は、軸線Oを中心として周方向に等間隔(すなわち30°間隔)で放射状に配置され、かつ、6段12枚の上下移動用昇降リング233及び水平移動用昇降リング243を上下方向に貫通している。
そして、各上下移動用昇降軸234は、対応する上下移動用昇降リング233とは固定ねじ234aによって一体固定されているが、その他の上下移動用昇降リング233及びすべての水平移動用昇降リング243に対しては、ボールブッシュ234b,244bを介して上下方向に相対摺動可能に挿通されている。同様に、各水平移動用昇降軸244は、対応する水平移動用昇降リング243とは固定ねじ244aによって一体固定されているが、その他の水平移動用昇降リング243及びすべての上下移動用昇降リング233に対しては、ボールブッシュ244b,234bを介して上下方向に相対摺動可能に挿通されている。なお、各昇降リング233,243の中央の孔には、保持機構25の回転軸251が挿通されている(図3参照)。
以上で説明した通り、実施例に示す上部押圧ユニット20U及び下部押圧ユニット20Lには、ワークW(巻胴部d)の周囲にそれぞれ最大6個の押圧ガイド21,22を配置可能である(図5参照)。ここからは、そのうち5個の押圧ガイド21,22を使用して、巻胴部dの周囲にM層N列(例えば5層8列)の巻線部m(図17参照)を形成する過程(手順)を説明する。
ところで、第一の機能として周回巻線m1(図9(C)参照)を形成するための周回押圧ガイド21は、第一外周面d1,第二外周面d2,第三外周面d3に向き合ってそれぞれ1個ずつ配置され、第一外周面用押圧ガイド211(先頭部周回押圧ガイド;第一押圧部材),第二外周面用押圧ガイド212(中間部周回押圧ガイド;第一押圧部材),第三外周面用押圧ガイド213(末端部周回押圧ガイド;第一押圧部材)として用いられる(図8A及び図8B参照)。また、第二の機能として斜め掛け巻線m2(図10(B)参照)を形成するための斜め掛け押圧ガイド22は、第四外周面d4に向き合って2個配置され、開始側斜め掛け押圧ガイド22S(第二押圧部材),終了側斜め掛け押圧ガイド22E(第二押圧部材)として用いられる(図8A及び図8B参照)。
図5との対比から明らかなように、図8A及び図8Bでは、図5において第二外周面d2に向き合って配置された2個のうち1個を第二外周面用押圧ガイド212として用い、残りの1個を不使用としている。ただし、ワークW(スピンドル11U,11L)の回転方向やワークW及び平角線Lの形態によっては、第二外周面d2に向き合って配置された2個を共に使用する場合もありうるので、その意味において本実施例で不使用の1個は予備的な構造と捉えることができる。また、このような予備的構造を有することによって、全体的な重量バランスをよくすることもできる。
このうち、周回押圧ガイド21(211,212,213)は、図9や図11において、巻胴部dの第一外周面d1の外側鍔部y寄りを各列の巻き始め位置として平角線Lの幅広面LW(図18参照)を巻胴部dの周囲に巻き付ける際に、各列の巻き始め位置から軸線O方向の内側鍔部g側(未巻線側;例えば上方側)に次第に遠ざかるように巻胴部dに巻き付けられた平角線Lを、軸線O方向の外側鍔部y側(既巻線側;例えば下方側)へ押圧して周回巻線m1を形成する。具体的には、周回方向の上流側に位置する周回押圧ガイド21は、軸線O方向の外側鍔部y側(既巻線側)へ押圧した平角線Lを引き続き押圧して、ノズル31から引き出された平角線Lが、軸線O方向の内側鍔部g側(未巻線側)に次第に遠ざかるように巻胴部dに巻き付けられることを許容する。上流側の周回押圧ガイド21よりも周回方向の下流側に位置する周回押圧ガイド21は、新たにノズル31から引き出され巻胴部dに巻き付けられた平角線Lを軸線O方向の外側鍔部y側(既巻線側)へ押圧する。
他方、斜め掛け押圧ガイド22(22S,22E)は、図10や図12において、巻胴部dに対する前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ平角線Lを斜め移行する際に、前列の巻き終り位置を出発し、後列の巻き始め位置よりもさらに軸線O方向の内側鍔部g側(未巻線側;例えば上方側)に遠ざかるように巻胴部dに巻き付けられた平角線Lを、軸線O方向の外側鍔部y側(既巻線側;例えば下方側)へ押圧して斜め掛け巻線m2を形成する。具体的には、斜め掛け開始側に位置する開始側斜め掛け押圧ガイド22Sは、斜め掛け開始位置にて平角線Lを押圧し、ノズル31から引き出された平角線Lが、斜め掛け終了位置にて後列の巻き始め位置よりもさらに軸線O方向の内側鍔部g側(未巻線側;例えば上方側)に遠ざかるように巻胴部dに巻き付けられることを許容する。斜め掛け終了側に位置する終了側斜め掛け押圧ガイド22Eは、新たにノズル31から引き出され巻胴部dに巻き付けられた平角線Lを軸線O方向の外側鍔部y側(既巻線側;例えば下方側)へ押圧する。
次に、このような巻線機100によりワークWの巻胴部dに巻線する方法について、図8A〜図17の工程説明図等を用いて工程順に説明する。このうち図16は、各工程の説明図(図8A〜図15)における、押圧ガイドの作動タイミングを一覧表示したものである。なお、本実施例では、巻胴部dの周囲にM層N列(例えば5層8列)の巻線部m(図17参照)を形成するにあたり、上部押圧ユニット20Uを用いて奇数層各列の巻線が行われ、下部押圧ユニット20Lを用いて偶数層各列の巻線が行われる。そこで、以下の記述において、下部押圧ユニット20Lについて説明する場合(例えば下部押圧ユニット20Lを用いて偶数層を形成する場合)には、周回押圧ガイド21#や斜め掛け押圧ガイド22#のように、符号に#のマークを付すこととする。
(1)ワークセット工程[図8A,図8B,図16]
下部スピンドル11Lの上端部へ一体的に固定された下部側治具JLに、ワークWの外側鍔部yを載置固定する。一方、上部スピンドル11Uの下端部により、上部側治具JUを介して、ワークWの内側鍔部gを押圧保持する。これによって、巻胴部dの断面中心は、スピンドル11L,11Uの軸線Oと一致した状態に維持される。そして、上部押圧ユニット20Uの周回押圧ガイド211,212,213及び斜め掛け押圧ガイド22S,22Eは、それぞれに対応する上下方向駆動モータ23D及び水平方向駆動モータ24Dの駆動回転により、内側の1層目に移動し、かつ外側鍔部yの上方位置にて待機する。また、下部押圧ユニット20Lの周回押圧ガイド211#,212#,213#及び斜め掛け押圧ガイド22S#,22E#は、それぞれに対応する上下方向駆動モータ23D#及び水平方向駆動モータ24D#の駆動回転により、外側(巻線に支障のない場所)に退避した状態となる。なお、ノズルユニット31から引き出された平角線Lの線端部eは、下部側治具JLに設けられた線端保持部Hに保持されている。
(2)第1層第1列の周回巻線工程[図9,図16]
スピンドルモータ101の駆動回転によりワークWが軸線O周りで回転し、巻胴部dの第一外周面d1の外側鍔部y寄り(下端部)を巻き始め位置として、平角線Lの巻胴部dへの第1層第1列の巻き付けが開始される。このとき、ノズル31は、送り用モータ33の駆動回転により、上記巻き始め位置から軸線O方向の上方側(内側鍔部g側;未巻線側)に遠ざかるように移動する。これにより、第1層第1列における第一外周面d1への巻き付け時に、ノズル31から引き出された平角線Lと外側鍔部yとの間には、下流側ほど大きくなるくさび状の周回方向の隙間(以下、単に隙間ともいう)Gが形成される。さらに、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、第一外周面用押圧ガイド211が、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側(外側鍔部y側;既巻線側)に移動し、平角線Lを押圧して外側鍔部yと密着させる(図9(A))。
なお、隙間Gの大きさは、平角線Lの材質・寸法等によって適宜(例えば、隙間Gの最大寸法が、図18に示す幅広面LWの高さの5〜10%程度になるように)調節される。また、第一外周面用押圧ガイド211の下方押圧と同期して、送り用モータ33の駆動回転によりノズル31を下方に移動させてもよい。さらに、送り用モータ33と同時に往復移動用モータ32や横移動用モータ34を駆動回転して、ノズル31の移動方向を調整してもよい。
第1層第1列における第二外周面d2への巻き付け時において、第一外周面用押圧ガイド211が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は軸線O方向の上方側に移動する。これにより、第1層第1列における第二外周面d2においても、ノズル31から引き出された平角線Lと外側鍔部yとの間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、第二外周面用押圧ガイド212が、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側に移動し、平角線Lを押圧して外側鍔部yと密着させる(図9(B))。
次に、第1層第1列における第三外周面d3への巻き付け時において、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により第一外周面用押圧ガイド211は上方待機位置へ復帰する一方、第二外周面用押圧ガイド212が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は軸線O方向の上方側に移動する。これにより、第1層第1列における第三外周面d3においても、ノズル31から引き出された平角線Lと外側鍔部yとの間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、第三外周面用押圧ガイド213が、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側に移動し、平角線Lを押圧して外側鍔部yと密着させる(図9(C))。このように、外側鍔部yと密着した状態で第1層第1列の周回巻線m1が形成されるので、周回巻線m1の形成途中における平角線Lの引っ掛かりや傾きに基づく不良巻き付け状態が発生しにくい。
(3)第1層第1列から第2列に至る斜め掛け巻線工程[図10,図16]
第1層第1列における第四外周面d4への巻き付けでは、巻胴部dに対する第1列の巻き終り位置から第2列の巻き始め位置へ平角線Lを斜め移行する必要がある。そこで、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により第二外周面用押圧ガイド212は上方待機位置へ復帰する一方、第三外周面用押圧ガイド213が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、開始側斜め掛け押圧ガイド22Sが斜め掛け開始位置にて平角線Lを押圧する(図10(A))。なお、開始側斜め掛け押圧ガイド22Sが押圧を開始したら、対応する上下方向駆動モータ23Dを駆動回転して第三外周面用押圧ガイド213を上方待機位置へ復帰させてよい。
次に、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は第1列の巻き終り位置を出発し、第2列の巻き始め位置よりもさらに軸線O方向の上方側(内側鍔部g側;未巻線側)に遠ざかるように移動する。これにより、第1層第1列における第四外周面d4においても、ノズル31から引き出された平角線Lと第1列の周回巻線m1の始端部との間には、下流側ほど大きくなるくさび状の斜め移行の隙間(以下、単に隙間ともいう)Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、終了側斜め掛け押圧ガイド22Eが、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側(外側鍔部y側;既巻線側)に移動し、平角線Lを押圧して第1列の周回巻線m1の始端部と密着させる(図10(B))。このように、第1列の周回巻線m1の始端部と密着した状態で第1層第1列から第2列に至る斜め掛け巻線m2が形成されるので、斜め掛け巻線m2の形成途中における平角線Lの引っ掛かりや傾きに基づく不良巻き付け状態が発生しにくい。
(4)第1層第2列の周回巻線工程[図11,図16]
第1層第2列へ移行後の第一外周面d1への巻き付け時において、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により開始側斜め掛け押圧ガイド22Sは上方待機位置へ復帰する一方、終了側斜め掛け押圧ガイド22Eが引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は軸線O方向の上方側に移動する。これにより、第1層第2列における第一外周面d1においても、ノズル31から引き出された平角線Lと第1列の周回巻線m1との間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、第一外周面用押圧ガイド211が、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側に移動し、平角線Lを押圧して第1列の周回巻線m1と密着させる(図11(A))。
第1層第2列における第二外周面d2への巻き付け時において、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により終了側斜め掛け押圧ガイド22Eは上方待機位置へ復帰する一方、第一外周面用押圧ガイド211が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は軸線O方向の上方側に移動する。これにより、第1層第2列における第二外周面d2においても、ノズル31から引き出された平角線Lと第1列の周回巻線m1との間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、第二外周面用押圧ガイド212が、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側に移動し、平角線Lを押圧して第1列の周回巻線m1と密着させる(図11(B))。
次に、第1層第2列における第三外周面d3への巻き付け時において、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により第一外周面用押圧ガイド211は上方待機位置へ復帰する一方、第二外周面用押圧ガイド212が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は軸線O方向の上方側に移動する。これにより、第1層第2列における第三外周面d3においても、ノズル31から引き出された平角線Lと第1列の周回巻線m1との間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、第三外周面用押圧ガイド213が、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側に移動し、平角線Lを押圧して第1列の周回巻線m1と密着させる(図11(C))。このように、第1層第1列の周回巻線m1と密着した状態で第2列の周回巻線m1が形成されるので、第2列の周回巻線m1の形成途中における平角線Lの引っ掛かりや傾きに基づく不良巻き付け状態が発生しにくい。
(5)第1層第2列から第3列に至る斜め掛け巻線工程[図12,図16]
第1層第2列における第四外周面d4への巻き付けでは、巻胴部dに対する第2列の巻き終り位置から第3列の巻き始め位置へ平角線Lを斜め移行する必要がある。そこで、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により第二外周面用押圧ガイド212は上方待機位置へ復帰する一方、第三外周面用押圧ガイド213が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、開始側斜め掛け押圧ガイド22Sが斜め掛け開始位置にて平角線Lを押圧する(図12(A))。なお、開始側斜め掛け押圧ガイド22Sが押圧を開始したら、対応する上下方向駆動モータ23Dを駆動回転して第三外周面用押圧ガイド213を上方待機位置へ復帰させてよい。
次に、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は第2列の巻き終り位置を出発し、第3列の巻き始め位置よりもさらに軸線O方向の上方側に遠ざかるように移動する。これにより、第1層第2列における第四外周面d4においても、ノズル31から引き出された平角線Lと第2列の周回巻線m1の始端部との間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23Dの駆動回転により、終了側斜め掛け押圧ガイド22Eが、この隙間Gをなくすように、上方待機位置から軸線O方向の下方側に移動し、平角線Lを押圧して第2列の周回巻線m1の始端部と密着させる(図12(B))。このように、第2列の周回巻線m1の始端部と密着した状態で第1層第2列から第3列に至る斜め掛け巻線m2が形成されるので、斜め掛け巻線m2の形成途中における平角線Lの引っ掛かりや傾きに基づく不良巻き付け状態が発生しにくい。
(6)第1層最終列の周回巻線工程[図13,図16]
上記周回巻線工程と斜め掛け巻線工程とを交互に繰り返すことにより、第1層の巻数が所定の最終列数(例えば8列)へ向かって増大していく。これまでの説明から明らかなように、周回巻線工程及び斜め掛け巻線工程では周回巻線m1及び斜め掛け巻線m2が高占積率で高精度に形成されるので、最終列の巻胴部dには、平角線Lが周囲を1周するだけのスペースのみが残る。したがって、最終列の巻線では、最終列用に残されたスペースをノズル31から引き出された平角線Lで埋めるだけの作業ですみ、周回押圧ガイド211,212,213や斜め掛け押圧ガイド22S,22Eに対して、平角線L押圧前の待機場所を確保する必要がない。
すなわち、第1層最終列においては、下部押圧ユニット20Lの周回押圧ガイド211#,212#,213#及び斜め掛け押圧ガイド22S#,22E#に加えて、上部押圧ユニット20Uの周回押圧ガイド211,212,213及び斜め掛け押圧ガイド22S,22Eも、それぞれに対応する上下方向駆動モータ23D及び水平方向駆動モータ24Dの駆動回転により、外側(巻線に支障のない場所)に退避した状態とする。そして、ノズル31から引き出された平角線Lを、第一外周面d1、第二外周面d2、第三外周面d3及び第四外周面d4の上端部(内側鍔部gとの接続部)に残された最終列用スペースに挿入する(図13(A)→(B)→(C))。
(7)押圧ガイドチェンジ工程[図16]
上部押圧ユニット20Uの周回押圧ガイド211,212,213及び斜め掛け押圧ガイド22S,22Eは、それぞれに対応する上下方向駆動モータ23D及び水平方向駆動モータ24Dの駆動回転により、外側(巻線に支障のない場所)に退避した状態となる。また、下部押圧ユニット20Lの周回押圧ガイド211#,212#,213#及び斜め掛け押圧ガイド22S#,22E#は、それぞれに対応する上下方向駆動モータ23D#及び水平方向駆動モータ24D#の駆動回転により、内側の2層目に移動し、かつ内側鍔部gの下方位置にて待機する。なお、押圧ガイドチェンジ工程は第1層最終列の周回巻線工程と同時平行で行うことができる。
(8)第2層第1列の周回巻線工程[図14,図16]
スピンドルモータ101の駆動回転(ワークWの軸線O周りでの回転)を継続したまま、巻胴部dの第一外周面d1の内側鍔部g寄り(上端部)を巻き始め位置として、平角線Lの巻胴部dへの第2層第1列の巻き付けが開始される。このとき、ノズル31は、送り用モータ33の駆動回転により、上記巻き始め位置から軸線O方向の下方側(外側鍔部y側;未巻線側)に遠ざかるように移動する。これにより、第2層第1列における第一外周面d1への巻き付け時に、ノズル31から引き出された平角線Lと内側鍔部gとの間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。さらに、対応する上下方向駆動モータ23D#の駆動回転により、第一外周面用押圧ガイド211#が、この隙間Gをなくすように、下方待機位置から軸線O方向の上方側(内側鍔部g側;既巻線側)に移動し、平角線Lを押圧して内側鍔部gと密着させる(図14(A))。
第2層第1列における第二外周面d2への巻き付け時において、第一外周面用押圧ガイド211#が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は軸線O方向の下方側に移動する。これにより、第2層第1列における第二外周面d2においても、ノズル31から引き出された平角線Lと内側鍔部gとの間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23D#の駆動回転により、第二外周面用押圧ガイド212#が、この隙間Gをなくすように、下方待機位置から軸線O方向の上方側に移動し、平角線Lを押圧して内側鍔部gと密着させる(図14(B))。
次に、第2層第1列における第三外周面d3への巻き付け時において、対応する上下方向駆動モータ23D#の駆動回転により第一外周面用押圧ガイド211#は下方待機位置へ復帰する一方、第二外周面用押圧ガイド212#が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は軸線O方向の下方側に移動する。これにより、第2層第1列における第三外周面d3においても、ノズル31から引き出された平角線Lと内側鍔部gとの間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23D#の駆動回転により、第三外周面用押圧ガイド213#が、この隙間Gをなくすように、下方待機位置から軸線O方向の上方側に移動し、平角線Lを押圧して内側鍔部gと密着させる(図14(C))。このように、内側鍔部gと密着した状態で第2層第1列の周回巻線m1が形成されるので、周回巻線m1の形成途中における平角線Lの引っ掛かりや傾きに基づく不良巻き付け状態が発生しにくい。
(9)第2層第1列から第2列に至る斜め掛け巻線工程[図15,図16]
第2層第1列における第四外周面d4への巻き付けでは、巻胴部dに対する第1列の巻き終り位置から第2列の巻き始め位置へ平角線Lを斜め移行する必要がある。そこで、対応する上下方向駆動モータ23D#の駆動回転により第二外周面用押圧ガイド212#は下方待機位置へ復帰する一方、第三外周面用押圧ガイド213#が引き続き平角線Lの押圧状態を維持したままで、対応する上下方向駆動モータ23D#の駆動回転により、開始側斜め掛け押圧ガイド22S#が斜め掛け開始位置にて平角線Lを押圧する(図15(A))。なお、開始側斜め掛け押圧ガイド22S#が押圧を開始したら、対応する上下方向駆動モータ23D#を駆動回転して第三外周面用押圧ガイド213#を下方待機位置へ復帰させてよい。
次に、送り用モータ33の駆動回転により、ノズル31は第1列の巻き終り位置を出発し、第2列の巻き始め位置よりもさらに軸線O方向の下方側(外側鍔部y側;未巻線側)に遠ざかるように移動する。これにより、第2層第1列における第四外周面d4においても、ノズル31から引き出された平角線Lと第1列の周回巻線m1の始端部との間には、下流側ほど大きくなるくさび状の隙間Gが形成される。そして、対応する上下方向駆動モータ23D#の駆動回転により、終了側斜め掛け押圧ガイド22E#が、この隙間Gをなくすように、下方待機位置から軸線O方向の上方側(内側鍔部g側;既巻線側)に移動し、平角線Lを押圧して第1列の周回巻線m1の始端部と密着させる(図15(B))。このように、第1列の周回巻線m1の始端部と密着した状態で第2層第1列から第2列に至る斜め掛け巻線m2が形成されるので、斜め掛け巻線m2の形成途中における平角線Lの引っ掛かりや傾きに基づく不良巻き付け状態が発生しにくい。なお、上記周回巻線工程と斜め掛け巻線工程とを交互に繰り返すことにより、層数及び巻数を適宜増大させることができる。
(10)多極電機子組立工程[図17]
すべてのワークW(u1〜u4,v1〜v4,w1〜w4)に対して巻胴部dへの巻線が終了したら、各ワークWを所定の順序で円環状に並べ、各相毎の線端部eの結線Cと隣接する外側鍔部yの溶接Bを行って、多極電機子Aが完成する。
このように、正規の巻線位置よりも軸線O方向の未巻線側(例えば下方側)に次第に遠ざかるように平角線Lを巻胴部dに巻き付けてから、巻き付け直後の平角線Lを周回押圧ガイド21又は斜め掛け押圧ガイド22が軸線O方向の既巻線側(例えば上方側)へ押圧することによって、巻胴部dに巻き付けられた平角線Lを正規の巻線位置に移動させる。これによって、巻線中の平角線Lが前列の巻線の角部に引っ掛かってずれたり傾斜したりするような不良巻き付け状態の発生を防止できるので、高速、高占積率、高精度にて複数列(例えば10列)かつ複数層(例えば5層)の巻線部mを巻胴部dに形成することができるようになる。
以上の実施例では、上部押圧ユニット20Uを用いて奇数層各列の巻線を行い、下部押圧ユニット20Lを用いて偶数層各列の巻線を行ったが、下部押圧ユニット20Lで奇数層の巻線を行い、上部押圧ユニット20Uで偶数層の巻線を行うことはもちろん可能である。また、図8A及び図8Bに示すワークセット工程では、下部スピンドル11L(下部側治具JL)にワークWの外側鍔部yを載置固定し、上部スピンドル11U(上部側治具JU)で内側鍔部gを押圧保持したが、下部スピンドル11Lに内側鍔部gを載置固定し、上部スピンドル11Uで外側鍔部yを押圧保持することもできる。
さらに、スピンドル11U,11L及びワーク駆動機構12,12を、いずれか一方(例えば下部側)のみで構成してもよい。そして、周回押圧ガイド21及び斜め掛け押圧ガイド22の個数、設置位置、形状等について、実施例には限定されず、適宜変更できる。
10U 上部ワークユニット(上部保持ユニット;ワークユニット)
10L 下部ワークユニット(下部保持ユニット;ワークユニット)
11U 上部スピンドル(スピンドル軸)
11L 下部スピンドル(スピンドル軸)
12 ワーク駆動機構
121 主軸側タイミングプーリ
122 スピンドル側タイミングプーリ
123 タイミングベルト
20U 上部押圧ユニット(奇数層用押圧ユニット;押圧ユニット)
20L 下部押圧ユニット(偶数層用押圧ユニット;押圧ユニット)
21 周回押圧ガイド(第一押圧部材)
211 第一外周面用押圧ガイド(先頭部周回押圧ガイド;第一押圧部材)
212 第二外周面用押圧ガイド(中間部周回押圧ガイド;第一押圧部材)
213 第三外周面用押圧ガイド(末端部周回押圧ガイド;第一押圧部材)
22 斜め掛け押圧ガイド(第二押圧部材)
22S 開始側斜め掛け押圧ガイド(第二押圧部材)
22E 終了側斜め掛け押圧ガイド(第二押圧部材)
23 上下移動機構(押圧列変更機構;第一移動機構;第二移動機構)
23D 上下方向駆動モータ(第一駆動源;第二駆動源)
231 ボールねじ(第一駆動軸;第二駆動軸)
232 連結ブラケット
232a カムフォロア(ブラケット側係合部)
233 上下移動用昇降リング
233a 係合カム(リング側係合部)
234 上下移動用昇降軸(第一移動軸;第二移動軸)
234a 固定ねじ
234b ボールブッシュ
235 上下移動ブロック
24 水平移動機構(押圧層変更機構;第三移動機構;第四移動機構)
24D 水平方向駆動モータ(第三駆動源;第四駆動源)
241 ボールねじ(第三駆動軸;第四駆動軸)
242 連結ブラケット
242a カムフォロア(ブラケット側係合部)
243 水平移動用昇降リング
243a 係合カム(リング側係合部)
244 水平移動用昇降軸(第三移動軸;第四移動軸)
244a 固定ねじ
244b ボールブッシュ
245 水平移動ブロック
246 運動変換部
246a ベルクランク
246b 直線状案内部材
25 保持機構
251 回転軸
252 固定フレーム
253 連結軸
30 ノズルユニット(巻線機構;巻線手段)
31 ノズル
32 往復移動用モータ(前後移動モータ)
33 送り用モータ(上下移動モータ)
34 横移動用モータ(左右移動モータ)
100 縦型スピンドル巻線機(巻線機)
101 スピンドルモータ(回転駆動源)
102 主軸
O 軸線
A 多極電機子
L 平角線(線材)
LW 幅広面
G 隙間
W(u1〜u4,v1〜v4,w1〜w4) ワーク(分割コア式ワーク)
m 巻線部
m1 周回巻線
m2 斜め掛け巻線
Y ヨーク部
y 外側鍔部
p 極部
d 巻胴部
g 内側鍔部

Claims (8)

  1. リング状の外周を形成するヨーク部から半径方向内側に突出する巻胴部と、その巻胴部の先端部に形成された内側鍔部とを有する複数の極部において、前記巻胴部のそれぞれに、ノズルに保持された断面多角形状の線材を電気的絶縁状態でらせん状に巻き付けることにより、前記巻胴部に対して複数列かつ複数層をなす巻線部が形成された多極電機子を製造するために、その多極電機子が所定角度範囲のヨーク部からなる外側鍔部と1つの極部とを単位として有するように複数に分割された分割コア式ワークの巻線機であって、
    前記巻胴部が自身の軸線に沿うように、前記分割コア式ワークを保持するスピンドル軸と、
    前記分割コア式ワークが保持されたスピンドル軸を前記軸線周りで駆動回転させるためのワーク駆動機構と、
    を含むワークユニットを備えるとともに、
    前記巻胴部の周方向所定位置を各列の巻き始め位置として前記線材を前記巻胴部の周囲に巻き付ける際に、前記各列の巻き始め位置から前記スピンドル軸の軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、前記軸線方向の既巻線側へ押圧して周回巻線を形成するための第一押圧部材と、
    前記第一押圧部材を前記軸線方向に移動するための第一移動機構と、
    前記巻胴部に対する前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ前記線材を斜め移行する際に、前記前列の巻き終り位置を出発し、前記後列の巻き始め位置よりもさらに前記軸線方向の未巻線側に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、前記軸線方向の既巻線側へ押圧して斜め掛け巻線を形成するための第二押圧部材と、
    前記第二押圧部材を前記軸線方向に移動するための第二移動機構と、
    を含む押圧ユニットを備え
    前記第一押圧部材は、前記各列の巻き始め位置から周回方向に沿って前記巻胴部の周囲に複数配置され、
    周回方向の上流側に位置する第一押圧部材が、前記軸線方向の既巻線側へ押圧した線材を引き続き押圧し、前記ノズルが、下流側ほど大きくなるくさび状の周回方向の隙間を形成しながら前記軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように移動して前記線材を前記巻胴部に巻き付ける隙間形成態様と、
    前記上流側の第一押圧部材よりも周回方向の下流側に位置する第一押圧部材が、前記隙間形成態様で新たに前記巻胴部に巻き付けられた線材を前記軸線方向の既巻線側へ押圧して前記周回方向の隙間をなくす隙間消滅態様とを、前記巻胴部の周回方向に繰り返すことによって各列1周分の前記周回巻線を形成することを特徴とする分割コア式ワークの巻線機。
  2. 前記第二押圧部材は、前記斜め掛け巻線の形成位置に対応して前記巻胴部の周囲に2個並設され、
    斜め掛け開始側に位置する第二押圧部材、斜め掛け開始位置にて線材を押圧し、前記ノズルが、下流側ほど大きくなるくさび状の斜め移行の隙間を形成しながら斜め掛け終了位置にて前記後列の巻き始め位置よりもさらに前記軸線方向の未巻線側に遠ざかるように移動して前記線材を前記巻胴部に巻き付け、
    斜め掛け終了側に位置する第二押圧部材、新たに前記ノズルから引き出され前記巻胴部に巻き付けられた線材を前記軸線方向の既巻線側へ押圧し前記斜め移行の隙間をなくして前記斜め掛け巻線を形成する請求項1に記載の分割コア式ワークの巻線機。
  3. 前記第一押圧部材は、前記第一移動機構の作動により、
    1列目の巻線時においては、前記外側鍔部又は内側鍔部と巻線中の線材との間に形成された前記周回方向の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記外側鍔部又は内側鍔部と密着させ、かつ2列目以降の巻線時においては、前列の周回巻線と巻線中の線材との間に形成された前記周回方向の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記前列の周回巻線と密着させる一方、
    前記第二押圧部材は、前記第二移動機構の作動により、
    1列目の巻き終り位置から2列目の巻き始め位置への移行時においては、1列目の周回巻線の始端部と巻線中の線材との間に形成された前記斜め移行の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記1列目の周回巻線の始端部と密着させ、かつ2列目以降の巻き終り位置から次列の巻き始め位置への移行時においては、前列の斜め掛け巻線と巻線中の線材との間に形成された前記斜め移行の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記前列の斜め掛け巻線と密着させる請求項に記載の分割コア式ワークの巻線機。
  4. 前記スピンドル軸は、前記分割コア式ワークの外側鍔部側又は内側鍔部側を保持するとともに、
    前記押圧ユニットは、前記分割コア式ワークの巻胴部を挟んで前記外側鍔部側と内側鍔部側とに各々配置されて、前記分割コア式ワークの巻線部のうち奇数層形成用と偶数層形成用とに使い分けられる請求項1ないしのいずれか1項に記載の分割コア式ワークの巻線機。
  5. リング状の外周を形成するヨーク部から半径方向内側に突出する巻胴部と、その巻胴部の先端部に形成された内側鍔部とを有する複数の極部において、前記巻胴部のそれぞれに、ノズルに保持された断面多角形状の線材を電気的絶縁状態でらせん状に巻き付けることにより、前記巻胴部に対して複数列かつ複数層をなす巻線部が形成された多極電機子を製造するために、その多極電機子が所定角度範囲のヨーク部からなる外側鍔部と1つの極部とを単位として有するように複数に分割された分割コア式ワークの巻線方法であって、
    前記分割コア式ワークの巻胴部がスピンドル軸の軸線に沿うように、前記スピンドル軸の軸端部に前記分割コア式ワークの外側鍔部側又は内側鍔部側を保持するワークセット工程と、
    前記分割コア式ワークが保持されたスピンドル軸をワーク駆動機構により前記軸線周りで駆動回転させるとともに、前記スピンドル軸の駆動回転と同期して第一押圧部材及び第二押圧部材を前記軸線周りで一体的に回転させ、前記巻胴部の周方向所定位置を各列の巻き始め位置として前記線材を前記巻胴部の周囲に巻き付ける際に、前記各列の巻き始め位置から前記スピンドル軸の軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、第一移動機構により前記第一押圧部材が前記軸線方向の既巻線側へ押圧して周回巻線を形成する周回巻線工程と、
    前記スピンドル軸の駆動回転と、その駆動回転と同期した前記第一押圧部材及び第二押圧部材の一体的な回転とを継続しつつ、前記巻胴部に対する前列の巻き終り位置から後列の巻き始め位置へ前記線材を斜め移行する際に、前記前列の巻き終り位置を出発し、前記後列の巻き始め位置よりもさらに前記軸線方向の未巻線側に遠ざかるように前記巻胴部に巻き付けられた線材を、第二移動機構により前記第二押圧部材が前記軸線方向の既巻線側へ押圧して斜め掛け巻線を形成する斜め掛け巻線工程と、
    を含み、
    前記第一押圧部材は、前記各列の巻き始め位置から周回方向に沿って前記巻胴部の周囲に複数配置され、
    前記周回巻線工程において、
    周回方向の上流側に位置する第一押圧部材が、前記軸線方向の既巻線側へ押圧した線材を引き続き押圧し、前記ノズルが、下流側ほど大きくなるくさび状の周回方向の隙間を形成しながら前記軸線方向の未巻線側に次第に遠ざかるように移動して前記線材を前記巻胴部に巻き付ける隙間形成態様と、
    前記上流側の第一押圧部材よりも周回方向の下流側に位置する第一押圧部材が、前記隙間形成態様で新たに前記巻胴部に巻き付けられた線材を前記軸線方向の既巻線側へ押圧して前記周回方向の隙間をなくす隙間消滅態様とを、前記巻胴部の周回方向に繰り返すことによって各列1周分の前記周回巻線を形成することを特徴とする分割コア式ワークの巻線方法。
  6. 前記第二押圧部材は、前記斜め掛け巻線の形成位置に対応して前記巻胴部の周囲に2個並設され、
    前記斜め掛け巻線工程において、
    斜め掛け開始側に位置する第二押圧部材、斜め掛け開始位置にて線材を押圧し、前記ノズルが、下流側ほど大きくなるくさび状の斜め移行の隙間を形成しながら斜め掛け終了位置にて前記後列の巻き始め位置よりもさらに前記軸線方向の未巻線側に遠ざかるように移動して前記線材を前記巻胴部に巻き付け、
    斜め掛け終了側に位置する第二押圧部材、新たに前記ノズルから引き出され前記巻胴部に巻き付けられた線材を前記軸線方向の既巻線側へ押圧し前記斜め移行の隙間をなくして前記斜め掛け巻線を形成する請求項に記載の分割コア式ワークの巻線方法。
  7. 前記周回巻線工程において、前記第一押圧部材は前記第一移動機構の作動により、
    1列目の巻線時においては、前記外側鍔部又は内側鍔部と巻線中の線材との間に形成された前記周回方向の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記外側鍔部又は内側鍔部と密着させ、かつ2列目以降の巻線時においては、前列の周回巻線と巻線中の線材との間に形成された前記周回方向の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記前列の周回巻線と密着させる一方、
    前記斜め掛け巻線工程において、前記第二押圧部材は前記第二移動機構の作動により、
    1列目の巻き終り位置から2列目の巻き始め位置への移行時においては、1列目の周回巻線の始端部と巻線中の線材との間に形成された前記斜め移行の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記1列目の周回巻線の始端部と密着させ、かつ2列目以降の巻き終り位置から次列の巻き始め位置への移行時においては、前列の斜め掛け巻線と巻線中の線材との間に形成された前記斜め移行の隙間をなくすように移動して、その巻線中の線材を前記前列の斜め掛け巻線と密着させる請求項6に記載の分割コア式ワークの巻線方法。
  8. 前記第一押圧部材、第一移動機構、第二押圧部材及び第二移動機構を含む押圧ユニットが、前記分割コア式ワークの巻胴部を挟んで前記外側鍔部側と内側鍔部側とで対をなすように各々配置され、
    前記ワークセット工程において、前記スピンドル軸は、前記分割コア式ワークの外側鍔部側又は内側鍔部側を保持するとともに、
    前記周回巻線工程及び斜め掛け巻線工程において、一対の押圧ユニットのうち一方の押圧ユニットが、前記分割コア式ワークの巻線部のうち奇数層の周回巻線及び斜め掛け巻線を形成するときに使用され、他方の押圧ユニットが、偶数層の周回巻線及び斜め掛け巻線を形成するときに使用される請求項ないしのいずれか1項に記載の分割コア式ワークの巻線方法。
JP2010161180A 2010-07-16 2010-07-16 分割コア式ワークの巻線機及び巻線方法 Active JP5610887B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010161180A JP5610887B2 (ja) 2010-07-16 2010-07-16 分割コア式ワークの巻線機及び巻線方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010161180A JP5610887B2 (ja) 2010-07-16 2010-07-16 分割コア式ワークの巻線機及び巻線方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012023908A JP2012023908A (ja) 2012-02-02
JP5610887B2 true JP5610887B2 (ja) 2014-10-22

Family

ID=45777663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010161180A Active JP5610887B2 (ja) 2010-07-16 2010-07-16 分割コア式ワークの巻線機及び巻線方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5610887B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107979250A (zh) * 2017-12-14 2018-05-01 中际旭创股份有限公司 多线并绕的绕组无交叉排线装置
CN113647000A (zh) * 2019-03-27 2021-11-12 日本电产株式会社 定子的制造方法以及定子
JP2022057091A (ja) * 2020-09-30 2022-04-11 日本電気硝子株式会社 ガラスダイレクトロービングの製造方法
JPWO2022107607A1 (ja) * 2020-11-19 2022-05-27
CN116111796B (zh) * 2022-12-12 2023-09-29 跃科智能制造(无锡)有限公司 一种发卡电机定子扁铜线抱紧机构

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4694896B2 (ja) * 2005-06-14 2011-06-08 日特エンジニアリング株式会社 分割コア配列装置、それを用いたステータ製造装置、及びステータ製造方法
JP2008148470A (ja) * 2006-12-12 2008-06-26 Hitachi Ltd 集中巻コイルおよび集中巻きコイルの製造方法
JP5196895B2 (ja) * 2007-07-13 2013-05-15 日特エンジニアリング株式会社 巻線方法及び巻線装置
JP5233207B2 (ja) * 2007-08-27 2013-07-10 日産自動車株式会社 巻線装置及び巻線方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012023908A (ja) 2012-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102457149B (zh) 定子、无刷电动机以及它们的制造方法
US8013490B2 (en) Armature
JP5610887B2 (ja) 分割コア式ワークの巻線機及び巻線方法
US7923884B2 (en) Rotary electric machine having stator coil with U-shaped segment
US7781933B2 (en) Winding arrangement for rotating electrical machine
JP4195705B2 (ja) ステータとこれを有する電気モーター
CN1967970A (zh) 电机的定子组件及其制造方法
US10547219B2 (en) Rotating electric machine having air core coil with curved end surfaces
JP5481307B2 (ja) 電動機の突極集中巻きステータ
US20160352169A1 (en) Rotary electric machine and manufacturing method for coil for rotary electric machine
US10693355B2 (en) Coil unit arrangement device
US20180198353A1 (en) Method for manufacturing stator and method for manufacturing rotating electrical machine
US20060103258A1 (en) Rotating electric machine, and winding method and core therefor
JP2009268159A (ja) インナーロータ型回転電機のステータ及びその製造方法
JP5255827B2 (ja) 分割コア式ワークの巻線方法、巻線機及び保持治具
JP5036442B2 (ja) ステータおよびステータの製造方法
JP6468124B2 (ja) 回転電機の製造方法とその回転電機に用いられるステータの製造装置
JP5497515B2 (ja) 回転電機の製造方法
JP5695365B2 (ja) 分割コア式ワークの巻線方法、巻線機、保持治具、及び分割コア式ワーク
JP2005304108A (ja) 回転電動機の固定子、回転電動機のコイル装着方法、コイル巻線機
US20220037945A1 (en) Rotary electric machine stator
US8434708B2 (en) Coil winding machine for rotor
JP5976054B2 (ja) 巻線機
JP5628095B2 (ja) コイル導線の巻取方法及び巻取装置
EP1168584A1 (en) Winding method for armature and winder

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20121017

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130702

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140411

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140604

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140822

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5610887

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250