JP5610124B2 - 成形工具の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属缶等のワークに複雑な立体的模様等を形成するための成形工具の加工方法に関する。
従来、例えば缶容器の缶胴の全体又は一部を図8に示すようにダイヤカット状の連続凹凸の立体的模様を形成した周状多面体壁にしたものが知られている。この缶胴101の周状多面体壁102は、位相を缶軸方向に1/2ずつずらして配置した多数の構成単位面103から構成され、隣り合う個々の構成単位面は境界稜線104とこの境界稜線同士が交わる交叉部105とを共有し、境界稜線及び交叉部は構成単位面に比べて相対的に外側に凸となっている。本出願人は、この複雑な立体的模様を形成するための周状多面体壁缶製造用金型及びその製造方法を先に提案した(特許文献1参照)。該提案の金型は、図9に示すように、内型工具107と外型工具108とから構成され、内型工具107と外型工具108とで缶胴101を挟み込み同期回転させることにより、缶胴101をダイヤカット状に加工している。内型工具107は周状多面体壁缶と似た単純な形状であるが、外型工具108は缶胴の板厚に相当する寸法分だけ内型工具107より大きい基準型を回転させて得られた包絡線からなる複雑な形状となっている。このような成形工具は、耐久性・耐磨耗性の観点から超硬合金で作られているが、上記の外型工具のように形状が複雑であると切削加工が困難であるため、一般に放電加工により形成している(特許文献1参照)。しかしながら、超硬合金は材料原価が高価である点、また放電加工での成形加工は、加工速度が遅く長時間要し(例えば、特許文献1に示すような外型工具の加工には約30乃至40時間を要していた。)、効率の点、消費電力の点でコスト高であるという問題点があった。そのため、従来このような複雑形状で且つ高硬度を有する成形工具は高価であり、且つ製造に長期間要するため、設計変更等に容易に対応することができなかった。
一方、従来金型材としてSKD11等の高C−高Cr鋼が使用されているが、この場合は焼きなまし状態の素材を切削加工による粗加工後、焼入れ等の熱処理をして必要な表面硬さを得、その後研削、或いは放電加工等の仕上げ加工を行わなければならず、型製作の工程数が多いという問題点がある。そこで、近年切削加工後の熱処理、仕上げ加工が不要な鋼材として、プリハードン鋼が提供され、プラスチック型等に採用されてきている(特許文献2、3)。プリハードン鋼は、表面から芯まで均一な硬度をもっており、硬度が40HRC程度の硬度で切削加工が可能であり、且つ研摩性に優れている特徴を有している。しかし、プリハードン鋼は、プラスチック型等の金型材としては用いられているが、より耐久性・耐摩耗性が求められる成形工具には一般に採用されていない。また、プリハードン鋼であっても、硬度がHRC50以上の高硬度になると、前記の外型工具のような複雑な形状で精密な加工を必要とする場合は切削加工が困難であり、やはり放電加工に頼らざるを得なかった。
特許第4333501号公報 特開2008−38219号公報 特開2008−127643号公報
そこで、本発明は、周状多面体壁缶成型用の外型工具のような形状が複雑で且つ成形工具として必要な硬度と耐久性を有し、放電加工によらずに切削加工により短時間に安価に得ることができる高硬度の成形工具の加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の成形工具は、ワークに立体的模様を形成するための加工面を有する成形工具の加工方法であって、
前記成形工具は、加工面の形状が基準型を円筒回転体の周面を回転させて得られた包絡線からなる多面体であり、硬度がHRC35〜50で、Ni−Al−Cu系時効硬化型のプリハードン鋼からなり、且つ前記立体模様を形成するための凹凸を有する加工面を切削加工により形成してなり、
該切削加工は、前記プリハードン鋼の鋼塊を、先端部が立方晶窒化ホウ素焼結体から形成されたボールエンドミルで、微量の油を含ませた圧縮エアを加工点に吹き付けながら行うことからなり、
前記ボールエンドミルの先端部直径が1〜6mmであり、回転数10,000〜20,000rpm、送り速度1,000〜2,000mm/minで、かつ加工ピッチ0.05〜0.1mmで切削加工を行ない、そのR形状を用いて加工面粗さがRzjis2〜3である自由曲面を成形しながら、切削加工を行なうことを特徴とするものである。
前記プリハードン鋼の硬度は、前記硬度がHRC35未満であると成形工具として耐摩耗性・耐久性に欠け、HRC50を超えると立体的模様の複雑な形状の切削加工が困難となるし、HRC35〜50の硬さの範囲内で成形工具としての耐摩耗性・耐久性を十分確保できるので、複雑な立体的模様を切削加工で形成でき、且つ成形工具としての耐久性を確保するのに上記範囲が望ましい。
前記ボールエンドミルの先端部直径が1〜6mmであり、回転数10,000〜20,000rpm、送り速度1,000〜2,000mm/minで切削加工を行うことが望ましい。ボールエンドミルは、直径が小径のものを採用することによって切削面の品位が向上し、より複雑な模様を形成することができるが、1mm未満であると切削時間に長時間を要し、6mmを超えると複雑な形状の仕上げ加工の面品位が劣るので、上記範囲が望ましい。また、切削速度が上記範囲未満であると、切削負荷が増大し、切削が困難となり切削工具の低寿命化をもたらし、また上記範囲を超えると形状精度の確保が困難となるので、エンドミルの回転数、送り速度は上記範囲が望ましい。
そして、HRC35〜50の高硬度のプリハードン鋼の被削面に、従来放電加工に頼らざるを得なかった複雑な立体模様の形成を切削加工によって実現でき、高硬度成形工具を短時間に安価に得ることができる。
前記ボールエンドミルは、そのR形状を用いて自由曲面を成形することができ、精密な曲面加工が可能である。前記ボールエンドミルの加工ピッチは0.05〜0.1mmで切削加工を行なうことによって、切削負荷が軽減し、形状精度が向上し、面品位も向上し十点平均加工面粗さがRzjis2〜3を得ることができ、高硬度鋼の複雑な切削加工を可能にしている。
前記アウター成形工具は、加工面が前記円筒回転体の約半周部分にだけ形成して断面扇形状に構成することが望ましい。
本発明の成形工具は、プリハードン鋼から形成されているので適度の硬度を維持しており、且つ切削方法を工夫することによって、周状多面体壁缶成形用の外型工具のような形状が複雑であっても従来の放電加工によらずに切削加工により短時間に安価に得ることができる。従って、本発明によれば、切削加工により、例えば周状多面体缶壁形成用の外型工具等、金属缶等のワークの折り曲げ加工が基本の複雑な成形加工をする成形工具として必要な高度と耐久性を有している高硬度成形工具を得ることができる。
また、本発明の上記成形工具の製造方法は、先端部が立方晶窒化ホウ素焼結体から形成されているボールエンドミルを採用し、且つ微量の油を含ませた圧縮エアを加工点に吹き付けながら切削加工することによって、従来硬度が高い反面靭性に劣り欠損し易いため、適用できる加工が限定されるCBN工具の適用が上記切削条件のもとで可能となり、高度の精密切削加工が実現できると共に、切削工具の寿命を増大させ、製造の効率化・低コスト化を図ることができた。
本発明の成形工具の実施形態に係る周状多面体壁缶成形用の外型工具により、内型工具とで缶胴を成形加工している状態を模式的に示す斜視図である。 その正面図である。 缶胴に一周の加工が終了した状態での正面図である。 本発明の実施形態にかかるCBNボールエンドミルの要部拡大正面図である。 本発明の実施形態に係るCBNボールエンドミルによる自由曲面形成を模式的に示し、(a)は中仕上げ加工におけるCBNボールエンドミルの加工ピッチを示し、(b)は仕上げ加工におけるCBNボールエンドミルの加工ピッチを示している。 (a)は本発明の実施形態に係るCBNボールエンドミルの未使用状態での刃先部の拡大写真であり、(b)は発明の実施形態に係るオイルミスト法による54時間使用した後の状態を示す刃先部の拡大写真であり、(c)は比較例としてエアブロー法により54時間使用した後の状態を示す刃先部の拡大写真である。 本発明の比較例として超硬ボールエンドミルの先端部拡大写真であり、(a)は使用前の状態、(b)は54時間使用後の状態である。 周状多面体壁缶を有する缶体の一例を示す正面図である。 周状多面体壁缶を形成する従来の外型工具と内型工具とで缶胴を成形加工している状態を模式的に示す正面図である。
以下、図面を基に本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明の成形工具の実施形態に係る周状多面体壁缶(いわゆるダイヤカット缶)製造用の外型工具1を内型工具2と共に示している。本実施形態に係る成形工具は、図8に示す缶胴101の凹凸模様を成形するための成形工具である。外型工具1は、図示のように軸方向長さが成形加工する缶胴に相当する長さを有し、周方向が缶胴の周長に相当する略半円周面を有する断面扇形状に形成され、その扇形外周面が成形型面4となっている。その成形型面4の形状は、特許文献1に示すものと略同様であり、内型工具2の多面体を構成する突条と噛合する谷で構成される多面体を有している。そして、これらの外型工具1と内型工具2とを、互いに対応する突条と谷とが噛合するように配置し、外型工具1と内型工具2との間に缶胴101の側壁を挟み込んだ状態で逆方向に同一の周速度で回転させることで、周状多面体壁を形成することができる。缶胴101の周状多面体は、外型工具1と内型工具2とが噛合した状態で互いに転動することにより形成されるため、外型工具1の多面体周方向の形状は、内型工具2が転動することによって得られる包絡線を基準とし、缶胴の板厚に相当する寸法だけ内型工具2より大きい基準型を回転させて得られた包絡線5の繰り返し連続からなる多面体形状に形成されている。
本実施形態では、上記のように外型工具1を扇形にすることによって、内型工具2と外型工具1の噛合いが解けたときにワークである缶胴101の一周の成形が終了し、内型工具2との軸心間を移動させることなく、内型工具2への缶胴の装着及び取り出しを行うことができるので、内型工具への缶胴の脱着制御が容易であるという利点がある。
以上の形状を有する本実施形態に係る周状多面体壁缶製造用の外型工具(以下、単に外型工具という。)1は、次のようにして製造される。
周状多面体壁缶の成形は、缶胴部の折り曲げ加工が基本である。超硬工具は金属加工用の成形工具としては理想的であるが、硬く且つ靱性も高いため、切削加工は非常に困難である。そのため、単純な形状であるしごきリングなどの加工には、超硬工具は最適であるが、周状多面体壁缶成形用の外型工具は包絡線の繰り返しで複雑な形状であるため、切削加工が非常に困難で上述のように放電加工に頼っていた。本発明者は、放電加工でなく、そのような複雑な加工面を有する成形工具を切削加工で成形する方法はないかと鋭意研究した結果、まず、従来この種の成形工具の材質として専ら採用されている超硬合金に代えて、成形工具に適用できる新たな材料を採用することを着想し、種々の材料について研究した。その結果、プリハードン鋼は、表面から芯まで均一な硬度を持っていること、超硬合金に比べて適度の硬度であるから、切削が可能であること、研磨性に優れていて、ラップ仕上げで鏡面にすることが可能であることに着目し、該プリハードン鋼を外型工具に採用できないか研究した結果、該プリハード鋼が一定の条件を満たし、且つ切削工具及び切削方法を工夫することによって、外型工具の材質に採用可能であることを見出し本発明に到達したものである。
本発明で採用するプリハードン鋼としては、特に限定されるものではないが、Cr系よりもNi−AL−Cu系時効硬化型の鋼が切削性の観点から望ましく、硬さがHRC35〜50であるのが望ましい。HRC35〜50の硬度で、基本的に缶胴材の折り曲げ加工により複雑なレリーフやエンボス模様を形成する成形工具としては十分な耐摩耗性・耐久性を確保することが可能である。これを満たす市販のブリハードン鋼としては、例えば大同特殊鋼(株)社製のNAK80がある。硬度はHRC37〜43である。
本発明では、上記プリハードン鋼の鋼塊から次のような切削条件で切削加工して、成形工具としての外型工具を得ることができた。
本実施形態での切削加工は、CNC高速マシニングセンタで行い、通常荒加工、中仕上加工、仕上加工の順で行うが、ここでは微細な切削加工が要求される仕上加工について主に説明する。
(1)切削工具:ボールエンドミル
ボールエンドミルのR形状を用いて自由曲面を成形する。仕上げ工程の切削工具は、直径1〜6mmの小径工具を用いる。直径が小さい程長時間加工となるが、切削面の品位が向上し、より複雑な模様を形成することができ、周状多面体壁缶成形用の外型工具の切削加工には、上記範囲が望ましく、本実施形態ではより望ましいものとして、φ2ボールエンドミルの小径工具を用いる。
ボールエンドミルは、工具の材料としては超硬合金が主流であるが、超硬は磨耗が激しいので、使用開始直後と多くの加工した後では刃先が大きく変化するため、仕上加工には工具の頻繁な交換が必要で高コストと生産性の低下をもたらすため、仕上工程には不利である。そこで、本実施形態では超硬合金工具よりも高温硬さが高く耐摩耗性に優れているCBN(立方晶窒化ホウ素)をボールエンドミルの刃先部分に埋め込んだ工具(以下、CBN工具という。)を使用することにした。図4は、本実施形態に係るCBN工具10の要部拡大図であり、刃先部分にCBN焼結体11を使用してある。
しかしながら、CBN工具は、硬度が高い反面、靱性に劣るため、小径のエンドミルによる長時間加工すると刃先部が熱的折損をするという不都合が発生した。該熱的折損は、従来の超硬合金ボールエンドミルで同条件で切削を行った場合に発生する刃先の微細な欠けに比べて、折損度合いが大きい。したがって、従来の切削加工方法でプリハードン鋼の複雑形状の切削面を得ようとしても、単純に超硬合金工具をCBN工具に置き換えた場合、折損の問題から工具寿命が悪化してしまうことがわかった。このように、CBNボールエンドミルは、熱的折損で欠けやすい欠点があるが、この問題を克服できれば、超硬工具に比べて有利な点(切れ味がよく、表面粗さが小さく且つ一定に保たれるなど)が多く、仕上げ加工には有利である。そこで、本発明ではこの問題を次のような切削方法を採用することによって解決してCBN工具の採用を可能にした。
(2)切削方法
[切削条件]
回転数 :10,000〜20,000mm/min
送り速度 :1,000〜2,000mm/min
加工ピッチ:0.05〜0.1mm
切り込み量:0.03〜0.06mm
加工時間 :8〜14時間/個
以上のように、従来のエンドミルによる切削加工に比べて1回の切り込み量を少なくして加工速度を上げ、且つ加工ピッチを微細にすることによって、切削負荷の軽減と形状精度の向上及び品位の向上が図れた。CBN工具は、欠損しやすいため、適用できる加工が限定されるが、後述する冷却・潤滑と共に上記のように加工速度・加工量等の切削条件を適性に選択することによって、従来ダイヤモンド工具しか適用でなかった高硬度鋼の仕上加工にCBN工具の適用可能性を見出した。
図5は、切削加工におけるボールエンドミルのR形状を用いてワークに自由曲面21を成型する状態を模式的に示している。図5(a)は上記小径ボールエンドミルによる中仕上工程での加工ピッチを模式的に示し、図5(b)は本実施形態における仕上加工工程での加工ピッチを模式的に示している。同図(a)に示す中仕上工程での加工ピッチは約0.1mmであり、同図(b)に示す仕上工程での加工ピッチは0.05〜0.1mmであり、加工ピッチを微細にした。
[冷却]
CBN工具は、欠損しやすいため工具への切削負荷が低い場合にしか適用できないが、本発明では前記の通り加工ピッチを微細にすると共に、冷却法を工夫することによって、工具先端(刃先)の折損問題を解決した。即ち、従来の高硬度鋼の切削加工では、一般に切削油や水溶性切削液を使用することによって加工点での発熱を冷却しているが、本発明者の実験では高速切削加工の場合は冷却性能が高いと熱的折損が発生してしまうことがわかった。これを解消するためには、微量の油を含ませた圧縮エアーを加工点に吹き付けながら冷却を行う、いわゆるオイルミスト加工法を適用した。微量ながら油を使用するために潤滑性に優れ、工具の磨耗劣化を防ぎ、且つ加工点での冷却性能が水溶性切削液や切削油を用いる場合と比べて低く、熱的折損を効果的に防ぎ、CBN工具による刃先の欠損を防ぐことができた。油使用量としては、5〜15cc/hourの範囲が望ましいことが分かった。5cc/hour未満であると潤滑性が劣り、工具の磨耗劣化抑制効果がなく、15cc/hourを超えると冷却性能が高くなり刃先の熱的折損が多くなるため、上記範囲が望ましく、より望ましくは10cc/hour程度である。
本発明者は、仕上加工におけるCBN工具における上記オイルミスト法の効果を検証するために図1に示す外型工具を次のように製造する実験を行った。
外型工具:
材質:Ni−AL−Cu系時効硬化型のプリハードン鋼:NAK80(大同特殊鋼株式会社製)
硬度:公称HRC40
加工機械:CNC高速マシンニングセンタ
切削工具:ボールエンドミル
先端がCBN(立方晶窒化ホウ素)であるφ2mmのボールエンドミル
切削条件:切削は荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工に分けて行ったが、ここでは仕上げ加工工程について説明する。
回転数:18,000rpm
送り速度:1,000〜2,000mm/分
割り出し:任意の角度分割して加工
上記切削条件で、仕上加工におけるCBN工具の効果検証のために、実施例として、油使用量:10cc/hourを含ませた圧縮エアを加工点に吹きつけながら切削加工を行なった。また、比較例として、CBNボールエンドミルをエアーブロー法で冷却しながら、実施例と同条件で切削を行った。
そして、実施例及び比較例とも54時間使用後のCBNボールエンドミルの刃先の欠損状態を確認した。図6(a)は本発明の実施形態に係るCBNボールエンドミルの刃先の未使用状態での拡大写真であり、同図(b)は実施例のオイルミスト法で冷却しながら54時間切削加工を行った後の状態、(c)は比較例のエアーブロー法で冷却しながら54時間切削加工を行った後の状態である。
写真から明らかなように、同じCBNボールエンドミルで同条件で切削を行っても、実施例のオイルミスト法で冷却した場合は54時間使用後でも殆ど欠損が無く、高い工具寿命が確認された。これに対し、比較例のエアーブロー法での冷却では刃先の大きな欠損16が確認され、工具寿命が短く良好な切削が得られなかった。
さらに、本実施形態におけるオイルミスト法と工具の材質との関係を調べるために、ボールエンドミルを従来の超硬ボールエンドミルを使用して実施例と同様な条件で切削を行った。図7(a)は超硬ボールエンドミル15の未使用状態での刃先部の拡大写真であり、図7(b)は実施例と同様にオイルミスト法で切削加工を行なった場合における54時間使用後の状態を示す写真である。その結果、同図(b)に示すように刃先に微細な欠け17が発生したが、これはエアーブローで冷却を行った場合とほぼ同じ状態であった。この結果から、超硬ボールエンドミルの場合は、オイルミスト法とエアーブロー法との差異は殆どないが、CBN工具の場合はその差が顕著であり、ボールエンドミルの刃先の欠損を防ぐのにCBN工具とオイルミスト法の組み合わせが有効であることが確認された。
以上の実施例に示すように、従来材料硬度がHRC40以上の高硬度材料の切削には、超硬工具を使用してエアーブロー法で行っているのが一般的であるが、CBN工具を使用してオイルミスト法で冷却することによって、高い工具寿命が得られ、その結果工具の交換回数を少なくすることができ、工具本数の削減ができた。その結果、図1に示す外型工具を20個加工すると想定した場合、比較例の超硬工具、エアーブロー法では工具本数20本を要するのに対し、実施例のCBN工具、オイルミスト法では6本で済み、その分工具交換作業に伴う調整作業、確認作業等が削減でき、加工効率化、品質の安定化、コストダウンという顕著な効果が得られた。以上のように、CBN工具は、扱いが難しい工具であるが、超硬度材料からなるワークの複雑形状の切削に適用できた場合の効果は大きく、従来の放電加工の場合と比べて短時間で付加価値の高い加工ができた。
従来複雑な模様等を形成する成形工具(成形金型)は耐摩耗性・耐久性の観点から、超硬合金製が採用されていたが、本発明の成形工具およびその加工方法によれば超硬合金によらず、成形工具として必要な硬度と耐久性を有し、複雑な形状であっても切削加工で形成できる。したがって本発明は、種々の高硬度でかつ複雑な形状の金型の製作に適用でき、産業上の利用可能性が高い。
1 外型工具
2 内型工具
4 成形片面
5 包絡線
10 CBN工具
11 CBN焼結体
15 超硬ボールエンドミル
16 欠損
21 自由曲面
101 缶胴
102 周状多面体壁缶
103 構成単位

Claims (2)

  1. ワークに立体的模様を形成するための加工面を有する成形工具の加工方法であって、
    前記成形工具は、加工面の形状が基準型を円筒回転体の周面を回転させて得られた包絡線からなる多面体であり、硬度がHRC35〜50で、Ni−Al−Cu系時効硬化型のプリハードン鋼からなり、且つ前記立体模様を形成するための凹凸を有する加工面を切削加工により形成してなり、
    該切削加工は、前記プリハードン鋼の鋼塊を、先端部が立方晶窒化ホウ素焼結体から形成されたボールエンドミルで、微量の油を含ませた圧縮エアを加工点に吹き付けながら行うことからなり、
    前記ボールエンドミルの先端部直径が1〜6mmであり、回転数10,000〜20,000rpm、送り速度1,000〜2,000mm/minで、かつ加工ピッチ0.05〜0.1mmで切削加工を行ない、そのR形状を用いて加工面粗さがRzjis2〜3である自由曲面を成形しながら、切削加工を行なうことを特徴とする成形工具の加工方法
  2. 前記成形工具は、加工面が前記円筒回転体の約半周部分に形成されている断面扇形状になっている請求項1に記載の成形工具の加工方法。
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