JP5609265B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の給電制御は、次のようにして行われる。すなわち、抵抗発熱層に流れる電流値を検出し、検出された電流値と印加電圧とから電気抵抗値Rを算出する。抵抗発熱層が有する正の抵抗温度特性から、算出された抵抗値Rに対する現在の温度Tを求める。求めた現在の温度Tが定着の目標温度よりも低い場合には、抵抗発熱層への給電を実行し、温度Tが目標温度よりも高い場合には、抵抗発熱層への給電を停止させる。
発熱ベルトの用紙幅方向長さは一定なので、用紙幅が大きいサイズの用紙が使用される場合、用紙幅方向における通紙領域は広くなり、非通紙領域は狭くなるが、小サイズの用紙が使用される場合には、通紙領域が狭くなり、非通紙領域が広くなる。
すなわち、用紙幅の異なる用紙が使用される場合、用紙幅毎に通紙領域と非通紙領域の大きさの比率が変わり、通紙領域と非通紙領域では各領域の温度の違いによって単位体積当たりの抵抗値が異なるので、仮に通紙領域が目標温度でも、抵抗発熱層全体の抵抗値は、通紙領域と非通紙領域の大きさの比率が用紙幅毎に変わる分だけ、異なることになる。
このような非通紙領域の過昇温を防止する技術として、特許文献2には、通紙部の温度を検出する第1温度検出手段と、非通紙部の温度を検出する第2温度検出手段を配置すると共に、非通紙部の温度を冷却する冷却手段を配置し、通紙部の温度を検出して通紙部の温度を目標温度に維持しつつ、非通紙部の過昇温が検出されると、非通紙部を冷却手段で冷却する技術が開示されている。
本発明は、電気抵抗値が温度により変化する抵抗温度特性を有する抵抗発熱層を用いる構成において、できるだけコストアップを防止しつつ装置簡素化を図り、幅の異なるシートを使用する場合でも抵抗発熱層における非通紙領域の過昇温を防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
ここで、前記冷却手段は、エアを送風するファンを含み、前記ファンによる前記第2回転体の非通紙領域への前記軸方向の送風領域の大きさが可変可能に構成されており、前記シートの幅毎にその幅の大きさに応じて前記送風領域の大きさを変化させることを特徴とする。
さらに、複数枚のシートを連続通紙して、シート1枚毎に、当該シートに未定着画像を形成すると共に未定着画像の形成後のシートを前記定着ニップに通して熱定着する画像形成動作を実行可能な構成であり、前記冷却手段は、画像形成速度を基準からこれよりも低速に減速する減速手段であり、前記冷却制御手段は、前記減速手段を制御して前記画像形成速度を基準よりも低速に減速させることにより、前記第1回転体の非通紙領域の冷却を行うことを特徴とする。
〔1〕プリンタの全体構成
図1は、プリンタ1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ1は、電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部10と、中間転写部20と、給送部30と、定着部40と、制御部50と、操作部60とを備え、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)色からなるカラーの画像形成を実行する。
給送部30は、給紙カセット31から記録シートSを搬送路39に1枚ずつ繰り出す。本実施の形態では、異なるサイズ、例えばA6〜A3サイズ、B6〜B4サイズの記録シートSを選択的に切り替えて給紙カセット31に収容可能に構成されている。ユーザは、記録シートSを、その長手方向が搬送方向に沿った姿勢(縦姿勢)と、その短手方向が搬送方向に沿った姿勢(横姿勢)のいずれでも切り替えてセットすることができる。
作像部10Y〜10K毎に、対応する色のトナー像が感光体ドラム11上に作像されると、作像されたトナー像は、感光体ドラム11の転写位置において転写ローラ15による静電力の作用を受けて、循環走行する中間転写ベルト21上に一次転写される。この際、各色の作像動作は、中間転写ベルト21上において同じ位置に多重転写されるようにタイミングをずらして実行される。
操作部60は、プリントジョブのプリント枚数の設定やトナー濃度の選択などのユーザからの入力を受け付ける機能と、受け付けた内容などを液晶画面に表示させる表示機能を有する。受け付けられた入力情報は、制御部50に送信される。
なお、給紙カセット31の下方には、給紙カセット31に収容されている記録シートSのサイズを検出するシートサイズ検出センサ35が配置されている。シートサイズ検出センサ35により検出されたサイズ検出信号は、制御部50に送信される。
図2は、定着部40を図1の矢印Bで示す方向から見たときの定着部40の主要部の構成を示す斜視図である。
同図に示すように定着部40は、無端状の発熱ベルト101と、弾性体ローラ102と、加圧ローラ103と、給電部104と、温度検出センサ105と、冷却ファン106a、106bを備える。以下、弾性体ローラ102の軸方向をローラ軸方向といい、ローラ軸方向の一方端側を左側、他方端側を右側という場合がある。
無端状の発熱ベルト101は、筒状であり、弾性体ローラ102の外周を取り囲むように配され、弾性体ローラ102の半径方向にある程度の力を加えると弾性変形し、変形状態から力を離して自由にすると自身の復元力により元の筒状に戻る自己形状保持可能なものが用いられている。
絶縁層131は、厚みが例えば5〜100〔μm〕程度であり、PI(ポリイミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの耐熱性樹脂からなる。
樹脂としては、PI、PPS、PEEKなどの耐熱性樹脂が用いられるが、このうちPIが最も耐熱性を有するので望ましい。導電フィラーとしては、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケルなどの金属粉末と、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルなどの炭素化合物粉末と、ヨウ化銀、ヨウ化銅などの無機化合物中の高イオン導電体粉末が望ましく、それぞれ2種類以上を混合させて分散させても良い。さらに他の部材を混合させたものを用いるとしても良い。形状としては、少ない含有量でフィラー同士の接触する確率を高くするため、繊維状が望ましい。
金属微粒子は、特に針状やフレーク状の銀やニッケルが望ましく、粒径は0.01〜10〔μm〕が好ましい。炭素化合物や高イオン導電体と線状に絡み合うことで均一な体積抵抗率を有する抵抗発熱体層を成型できる。耐熱樹脂中に分散される導電フィラーは、耐熱樹脂重量に対して金属微粒子が50〜300重量%、炭素化合物と高イオン導電体が5〜100重量%であることが好ましい、
電気抵抗率は、抵抗発熱層132への印加電圧、供給電力、層厚、発熱ベルト101の径、発熱ベルト101のローラ軸方向長さなどにより予め適正値が決められる。例えば、1.0×10−6〜9.9×10−3〔Ω・m〕程度、より望ましくは、1.0×10−5〜5.0×10−3〔Ω・m〕とするとしても良い。
離型層134は、厚みが例えば5〜100〔μm〕程度であり、PFA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)等のフッ素系チューブ、フッ素系コーティングなどの離型性を有する材料からなる。導電性としても良い。フッ素系チューブの例としては、三井・デュポンフロロケミカル(株)製PFA350−J、451HP−J、951HPPlusなどがある。水との接触角は90度以上が良く、より望ましくは110度以上が良い。表面粗さは、Ra:0.01〜50〔μm〕程度が望ましい。
導電体層135a、135bは、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、真鍮、リン青銅などの金属材料からなり、厚みが例えば1〜10〔μm〕、より好ましくは2〜5〔μm〕の範囲であり、鍍金などにより抵抗発熱層132上に接合される。
導電体層135a、135bは、抵抗発熱層132と電気的に接続され、給電部104からの電力を抵抗発熱層132に供給するための電極として機能する。以下、電極135a、135bという。
弾性体ローラ102は、図2に示すように発熱ベルト101の周回経路の内側に配されており、軸部としての芯金181の周囲に弾性層が積層されてなる。
芯金181は、アルミニウムやステンレス等からなり、弾性層は、発泡ゴムや樹脂等からなる。なお、弾性層の表面に必要に応じて、例えばPFAチューブなどからなる表層を設けるとしても良い。
<加圧ローラ103の構成>
加圧ローラ103は、軸部としての芯金182の周囲に弾性層が積層されてなり、外径が例えば20〜100〔mm〕であり、ベルト周回経路の外側に配置され、発熱ベルト101の外側から発熱ベルト101を介して弾性体ローラ102を押圧して、発熱ベルト101表面と加圧ローラ103間に定着ニップNを確保する。
弾性体ローラ102は、芯金181のローラ軸方向両端部が筐体(不図示)にベアリングなどの軸受部材(不図示)を介して回転自在に支持され、加圧ローラ103も芯金182のローラ軸方向両端部が筐体に軸受部材を介して回転自在に支持されている。
上記の芯金181、182は、中実であっても良いし、パイプ状であっても良い。パイプ状の場合には、例えば厚みを0.1〜10〔mm〕とすることができる。また、断面が円形ではなく三ツ矢形状などの異型のものを用いるとしても良い。
給電部104は、ローラ軸方向に間隔をあけて配された左側の給電部104aと右側の給電部104bからなり、それぞれが基本的に同じ構成になっている。
給電部104aは、ブラシ140aと圧縮バネ141aを備え、給電部104bは、ブラシ140bと圧縮バネ141bを備える。
ブラシ140a、140bには、給電線191a、191bが電気的に接続されており、給電線191a、191bは、電源199に接続されている。電源199は、例えば直流電源であり、電源199から給電線191a、ブラシ140a、電極135a、抵抗発熱層132、電極135b、ブラシ140b、給電線191bを介して電源199に戻るまでの間が電気的に接続されることにより、電源199と抵抗発熱層112を繋ぐ給電回路が形成される。給電線191bの途中にはスイッチ160が設けられており、スイッチ160のオン、オフにより、抵抗発熱層112への電力の供給と停止が切り替えられる。スイッチ160のオン、オフは、制御部50の指示により実行される。
電圧値検出部171と電流値検出部172により検出された検出値を示す情報は、制御部50に送信される。
温度検出センサ105は、発熱ベルト101に対してローラ軸方向中央かつ発熱ベルト101の外周面から所定間隔だけ離れた位置に配されており、発熱ベルト101の表面温度を非接触で検出して、その検出信号を制御部50に出力するセンサであり、例えばサーモパイルなどからなる。なお、非接触に限られず、接触する構成であっても良い。
本実施の形態では、非通紙領域を検出するための専用のセンサを別途、設けていないので、非通紙領域の過昇温をセンサで検出することはできないが、後述のように記録シートSのシート幅の大きさによって抵抗発熱層132の抵抗値の大きさが変わるというシート幅と抵抗値の関係を利用して、非通紙領域の過昇温を防止する構成をとっている。
<冷却ファン106a、106bの構成>
冷却ファン106a、106bは、非通紙領域の過昇温を防止するための冷却手段の一例として設けられたものである。
ファン161a、162aの送風口は、加圧ローラ103のローラ軸方向一方端側の表面に対向しており、送風口から送風される冷却風163aが加圧ローラ103の表面に吹き付けられることにより、加圧ローラ103のローラ軸方向一方端側が冷却される。
ファン161b、162bの送風口は、加圧ローラ103のローラ軸方向他方端側の表面に対向しており、送風口からの冷却風163bが加圧ローラ103の表面に吹き付けられることにより、加圧ローラ103のローラ軸方向他方端側が冷却される。
4個のファン161a〜162bは、使用される記録シートSのシート幅(ローラ軸方向長さ)の大きさに応じて、制御部50により個別に駆動制御される。以下、ファン161a、161bをローラ軸方向の内側に位置する内側ファンといい、ファン162a、162bをローラ軸方向の外側に位置する外側ファンという場合がある。
図2は、最大〜最小サイズの記録シートのうち、シート幅が最大サイズよりも小さいサイズの記録シートSが定着ニップNに通紙されている様子を示している。発熱ベルト101のシート幅方向全域のうち、定着ニップNを通過する記録シートSのシート幅に相当する領域が通紙領域dになり、通紙領域dを挟んでローラ軸方向両端側であり記録シートSが通過しない領域が非通紙領域d1、d2になる。
図4は、制御部50の構成を示す図である。
同図に示すように、制御部50は、通信インターフェース(I/F)部51と、画像処理部52と、画像メモリ53と、CPU54と、ROM55と、RAM56と、閾値決定テーブル57を備え、これらはバスを介して相互に通信を行えるようになっている。
画像処理部52は、通信I/F部51からのプリントジョブのデータをY〜Kの再現色の画像データに変換して、変換した画像データを画像メモリ53に格納させる。
CPU54は、ROM55から必要なプログラムを読み出して、画像処理部52での画像データの変換処理や、画像メモリ53における画像データの書き込み/読み出しなどを制御すると共に、画像プロセス部10、中間転写部20、給送部30、定着部40などの動作をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑なプリント動作を実行させる。
さらに、発熱ベルト101のベルト温度制御を行う。具体的には、温度検出センサ105の検出信号を受け付け、その検出信号から発熱ベルト101におけるローラ軸方向の中央部(通紙領域)の温度Tを検出する。検出温度Tが目標温度T0よりも低ければ、スイッチ160をオン(閉状態)にして、給電により抵抗発熱層132を発熱させて昇温させる。一方、検出温度Tが目標温度T0以上であれば、スイッチ160をオフ(開状態)にして、抵抗発熱層132への給電を停止させる。この抵抗発熱層132への給電の実行と停止を繰り返して行う。これにより、発熱ベルト101の温度が目標温度T0を中心に上下に数℃、例えば5℃程度の幅を有する温度域内の温度に維持される。この温度幅の大きさは、定着に支障が生じない範囲内に抑えられる。
演算した抵抗発熱層132の全体抵抗値〔Ω〕を用いて、冷却ファンによる冷却動作を制御する。この冷却動作の制御方法を、図5を用いて具体的に説明する。
図5(a)は、NTC特性を有する抵抗発熱層の温度(ベルト温度)〔℃〕と抵抗発熱層の抵抗値(ベルト抵抗値)〔Ω〕との関係を示す図であり、図5(b)〜(d)は、異なるシート幅の記録シート毎にその記録シートに対するベルト温度とベルト抵抗値の大きさの例を示す図である。図5(b)では、最大サイズ紙、例えばA3サイズの記録シートを縦姿勢で通紙する場合の例を示し、図5(c)では、最小サイズ紙、例えばA6サイズの記録シートを縦姿勢で通紙する場合の例を示し、図5(d)では、中間サイズ紙、例えばA5サイズの記録シートを縦姿勢で通紙する場合の例を示している。
また、図5(d)のように中間サイズ紙が用いられる場合には、シート通紙可能範囲Lの4/6の長さに相当するベルト中央が通紙領域になり、残りの2/6の長さに相当するベルト左側と右側が非通紙領域になっている。
従って、図5(d)のように中間サイズ紙におけるベルト中央(通紙領域)の抵抗値は、最小サイズ紙の場合よりも通紙領域が広くなった分だけ大きくなる。同図の例では、通紙領域の大きさが最小サイズ紙の2倍に拡大されているので、通紙領域の抵抗値が30〔Ω〕になっている。
発熱ベルト101における通紙領域の温度が目標温度になり、非通紙領域の温度がある上限温度(上記例では、200〔℃〕)になっているとしたとき、発熱ベルト101の抵抗温度特性と、通紙領域と非通紙領域の大きさ(比率)とから、予め、シート幅毎に発熱ベルト101の全体抵抗値(予測抵抗値)を求めることができる。
本実施の形態では、予測抵抗値(閾値Rth)が書き込まれた閾値決定テーブル57を参照することにより、閾値Rthを取得する構成をとっている。
図6は、閾値決定テーブル57の構成を示す図である。
同図に示すように、閾値決定テーブル57には、通紙領域の検出温度欄とシート幅欄とが設けられている。通紙領域の検出温度t〔℃〕とは、温度検出センサ105による検出温度を示しており、シート幅d(mm)とは、使用される記録シートSのシート幅を示している。同図では、使用可能な異なるサイズの記録シートSのシート幅に対応するようにシート幅がd<128、128≦d<148など5つのシート幅領域に分けられている。
閾値決定テーブル57は、シート幅領域毎に、検出温度tの温度領域571〜573に対応する閾値Rthがそれぞれ書き込まれる構成になっている。具体的には、通紙される記録シートSのシート幅dがd<128〔mm〕のシート幅領域に属する場合、検出温度tが190≦t〔℃〕の温度領域571内であれば、閾値Rth=41.2〔Ω〕、180≦t<190〔℃〕の温度領域572内であれば、閾値Rth=41.1〔Ω〕、t<180〔℃〕の温度領域573内であれば、閾値Rth=40.9〔Ω〕がそれぞれ対応付けされている。
すなわち、発熱ベルト101の温度制御は、上記のように目標温度T0を中心に目標温度T0を挟んで上下にある程度の温度域内で変動する。この温度変動は、図5に示すベルト中央(通紙領域)の温度がある程度の幅(定着に支障が生じない範囲)で変動することを意味している。図5では、ベルト中央の温度が目標温度であると仮定したときに、シート幅によって変わる通紙領域と非通紙領域の大きさの比率から予測抵抗値を決めることができる旨を説明したが、実際のベルト温度制御によって、ベルト中央の温度が目標温度からずれてしまうと、そのずれた温度分だけ予測抵抗値の大きさも変わることになる。
ベルト中央の温度がX〔℃〕下がった場合でも、閾値Rth=41〔Ω〕とすると、閾値41〔Ω〕<ベルト抵抗値=(41+Y)〔Ω〕の関係になって、発熱ベルト101の温度が目標温度より下がっているのに、冷却動作が実行されることが生じる。
ベルト中央の温度が目標温度の185〔℃〕よりもX〔℃〕上がった場合は、上記のX〔℃〕下がった場合の逆になる。すなわち、X〔℃〕上がった分だけ全体抵抗値はY〔Ω〕下がり、このときのベルト抵抗値は(41−Y)〔Ω〕になる。
図7は、制御部50による冷却動作制御の内容を示すフローチャートであり、当該制御は、一のジョブが実行される毎に、図示しないメインルーチンによりコールされることによって当該ジョブの実行中に実行される。当該一のジョブにより使用されるシート枚数は、1枚でも良いし、複数枚でも良い。なお、複数枚の場合には、複数枚のシートSが1枚ずつ所定の間隔をおいて連続通紙され、1枚毎に、そのシート上にトナー像(未定着画像)が形成され、そのシートが定着ニップNを通過する際に未定着画像が熱定着された後、機外に排出される画像形成動作が実行される。
次に、検出されたシートサイズから、使用される記録シートSのシート幅dを求める(ステップS2)。ここでは、シートサイズ毎にそのシートサイズに対応するシート幅dを示す情報、具体的には上記の縦姿勢で記録シートSが搬送される場合においてA3サイズに対してシート幅d=297〔mm〕、A4サイズに対してシート幅d=210〔mm〕、A5サイズに対してシート幅d=148〔mm〕などを示す情報が予めROM55に記憶されており、この記憶されている情報を参照することにより行われる。
このようにしているのは、本実施の形態では最大サイズ紙が通紙される場合、非通紙領域がほとんど存在しない、具体的には記録シートSと発熱ベルト101との相対的なローラ軸方向のずれを考慮して、発熱ベルト101のローラ軸方向両端側にローラ軸方向に数ミリ程度の幅の非通紙領域を設けているが、この程度の幅であれば非通紙領域の温度が上がろうとしてもその熱が、記録シートSに熱を奪われた通紙領域との境界を介してその通紙領域内に流れるようになって過昇温にまで至らないからである。
最大サイズ紙のシート幅ではないと判断すると(ステップS3で「NO」)、現在の発熱ベルト101の温度(ベルト温度)tを検出する(ステップS4)。ベルト温度tの検出は、温度検出センサ105の検出信号を受け付けることにより行われる。
そして、ステップS7では、発熱ベルト101における抵抗発熱層132の現在の全体抵抗値R〔Ω〕を演算する。具体的には、検出された電圧値と電流値を上記のオームの法則に基づく式に代入することにより全体抵抗値Rが演算される。
全体抵抗値R<閾値Rthではない、すなわちR≧Rthであれば(ステップS8で「NO」)、発熱ベルト101における非通紙領域が過昇温に至っていない(上記例では、200〔℃〕以下の状態になっている)として、ステップS9に移る。
ジョブ終了ではないと判断すると(ステップS9で「NO」)、ステップS4に戻り、発熱ベルト101の温度検出を再度、実行する。そして、ステップS4〜S8までの処理を実行する。
ジョブ終了と判断すると(ステップS9で「YES」)、当該処理を終了する。
ファン駆動制御は、冷却ファン106a、106bを構成する4個のファン161a〜162bのうち、どのファンを駆動制御するかを、シート幅dの大きさに応じて切り替えることにより行われる。ここでは、4個のファン161a〜162bそれぞれについて、全速回転と、単位時間当たりの冷却風の風量が全速回転の半分になる半速回転と、全速回転の1/4になる1/4速回転に切り替えて駆動させることができるようになっている。
同図に示すように、シート幅dがd<128〔mm〕であるか否かを判断する(ステップS21)。シート幅dの値は、上記のステップS2で求められた値が用いられる。
シート幅d<128〔mm〕と判断すると(ステップS21で「YES」)、4個のファン161a〜162bを全速回転させて(ステップS22)、リターンする。
シート幅dが128≦d<148ではなく(ステップS23で「NO」)、148≦d<182と判断すると(ステップS25で「YES」)、外側のファン162a、162bを全速回転、内側のファン161a、161bを停止させて(ステップS26)、リターンする。
シート幅dが182≦d<210ではない、すなわち210≦dと判断すると(ステップS27で「NO」)、外側のファン162a、162bを1/4速回転、内側のファン161a、161bを停止させて(ステップS29)、リターンする。
なお、上記のように複数のファンの駆動(オンとオフ)と風量を切り替える構成に限られず、例えば送風口を非通紙領域に向けて可変可能な構成のファンを用いれば、シート幅dの大きさに応じて送風口の向きを切り替えることにより、非通紙領域だけに冷却風を送風する構成をとることも可能になる。
図7に戻って、ステップS11では、ジョブ終了か否かを判断する。ここで、ジョブ終了ではないと判断すると(ステップS11で「NO」)、ファン駆動制御を継続する。ジョブ終了を判断すると(ステップS11で「YES」)、駆動中のファンを停止させて(ステップS12)、当該処理を終了する。
使用される記録シートは、A4サイズ(シート幅d=210〔mm〕)の記録シートSであり、この記録シートを100枚連続通紙しつつ、ジョブ実行中にベルト中央の温度が目標温度T0になるように制御するベルト温度制御を実行した。
なお、抵抗発熱層132の全体抵抗値Rは、ジョブ実行中に上記ステップS6とS7と同じ処理により電圧値と電流値のサンプリング毎に演算した結果を示している。
これに対して、図9(a)に示すように実施例では、通紙枚数が20枚位までは比較例と同様にベルト端部(非通紙領域)の温度が上昇しているが、20枚位をすぎる頃にはベルト端部の温度上昇と抵抗発熱層の全体抵抗値の下降が止まり、これ以降は100枚に達するまでの間、ベルト端部の温度と抵抗発熱層の全体抵抗値が略一定の値に維持されている。ジョブ開始からプリント枚数が20枚位に達した時点で冷却動作が開始され、ジョブ終了までの間、ベルト温度制御と共に冷却動作が実行されたことによるものである。
以上、説明したように本実施の形態では、抵抗発熱層132の抵抗温度特性を利用しつつ、発熱ベルト101における非通紙領域の温度を検出する専用のセンサを配置しなくても非通紙領域の過昇温を防止可能になるので、専用のセンサとこれを支持する台座を定着部に設ける必要がなくなり、コストアップの防止と装置簡素化を実現することができる。
〔7〕変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
低速のZ1の値を遅くすれば冷却効果は上がるが、それだけプリントの生産性が落ちるので、生産性と冷却効果を比較考慮しつつ、適したZ1の値が決められる。冷却ファンを設けなくて済み、さらなる装置構成の簡素化とコスト低下を図ることができる。
(2)上記実施の形態では、抵抗発熱層132の全体抵抗値〔Ω〕を演算するために、発熱ベルト101への供給電圧値と電流値をそれぞれ検出する構成例を説明したが、全体抵抗値〔Ω〕を演算できれば、電圧値と電流値の両方を検出する構成に限られない。
また、定電圧の場合、ベルト抵抗値と電流値が反比例の関係を有するので、発熱ベルト101の全体抵抗値が決まれば、発熱ベルト101に流れる電流値も一義的に決まる。例えば、定電圧値が100〔V〕、全体抵抗値が50〔Ω〕であれば、電流値は2〔A〕、全体抵抗値が25〔Ω〕であれば、電流値は4〔A〕という具合である。
定電流であれば、ベルト抵抗値と電圧値が比例関係を有するので、発熱ベルト101の全体抵抗値が決まれば、発熱ベルト101の印加電圧も一義的に決まる。
このように定電圧や定電流では、全体抵抗値を演算することに代えて、電流値や電圧値を検出して、その検出値と閾値(電流値や電圧値)を比較する構成をとることでも、冷却の要否を判断することができる。この電圧値と電流値は、検出値が抵抗発熱層132の現在の抵抗値を指標する値であり、閾値が上限温度のときの抵抗値を指標する値といえる。
(3)上記実施の形態では、ジョブ実行中に一度、R<Rthと判断されると(ステップS8で「YES」)、これ以降は、全体抵抗値Rと閾値Rthの大小に関係なく、当該ジョブが終了するまで冷却動作が継続して実行されるとしたが、これに限られない。
図10は、当該変形例に係る冷却動作制御の一部の内容を示すフローチャートであり、図7の冷却動作制御のフローチャートと異なる部分を抜き出して示している。なお、図7と同じ内容のステップには、同じ符号を付している。
ジョブ実行中にステップS8で、R<Rthではないと判断されるまで、ステップS4〜S8、S10、S11を経てS4に戻るという処理が繰り返し実行される。
このようにジョブ実行中に全体抵抗値Rと閾値Rthを比較し、R<Rthになれば非通紙領域の冷却を行い、R≧Rthになれば非通紙領域の冷却を停止することにより、きめ細かい冷却制御を実行することが可能になる。
また、検出温度を複数の領域に分けて、温度領域毎に閾値Rthを設定したのは、冷却が不要と想定される場合には冷却を停止でき、冷却が必要と想定される場合に冷却を実行できるといった、きめ細かな制御を行うためであるが、装置構成によっては、ここまでの細かな制御が不要である場合もあり得る。このような場合には、検出温度欄を設けずに、一のシート幅領域に対して一の閾値Rthを設定する構成をとるとしても構わない。
また、例えば最大サイズと小サイズとの2つのサイズの記録シートを搬送可能な構成であれば、その小サイズのみに対する閾値Rthを設定するとしても良い。
また、上限温度に達したときの抵抗発熱層131の抵抗値を指標する値を示す閾値情報を、記憶手段としての閾値決定テーブル57に格納しておくとしたが、これに限られず、例えば外部から取得するとしても良い。
例えば、発熱ベルト101として、より高剛性のものが用いられる場合、弾性体ローラ102を配さずに、発熱ベルト101の幅方向両端を周回可能に支持しつつ加圧ローラ103で発熱ベルト101を押圧して加圧ローラ103と発熱ベルト101間に定着ニップNを確保する構成が想定される。
また、シートサイズの検出ではなく、シート幅dを直接検出するセンサなどの検出器を備える構成であれば、その検出信号の受信をシート幅情報の取得としても構わない。さらに、外部からシートサイズまたはシート幅dの情報を受信することが可能な構成であれば、その情報の受信をシート幅情報の取得とすることもできる。
さらに、発熱ベルト101、弾性体ローラ102、加圧ローラ103、給電部104などに含まれる各部材の形状、材料、大きさ、長さ、厚みなどが上記のものに限られないことはいうまでもなく、装置構成に応じて、その構成に適した形状、材料、寸法等が決められる。目標温度と閾値についても同様に上記の値に限られない。また、抵抗発熱層に供給される電力は、直流に限られず、例えば交流であっても良い。
例えば、ベルト温度が上がるとベルト(電気)抵抗値が上昇し、ベルト温度が下がるとベルト(電気)抵抗値が下降する正の温度特性(PTC:Positive Temperature Coefficient)を有する抵抗発熱層を用いることも可能である。PTCを用いる場合、NTCとはベルト温度に対するベルト抵抗値の大小関係が逆になるので、閾値決定テーブル57における検出温度とシート幅に対応する閾値の大小関係もNTCのものとは逆の関係になる。
35 シートサイズ検出センサ
40 定着部
50 制御部
57 閾値決定テーブル
101 発熱ベルト
102 弾性体ローラ
103 加圧ローラ
104a、104b 給電部
105 温度検出センサ
106a、106b 冷却ファン
132 抵抗発熱層
161a、161b 内側ファン
162a、162b 外側ファン
171 電圧検出部
172 電流検出部
181、182 芯金(回転軸)
199 電源
571、572、573 温度領域
d シート幅(通紙領域)
d1、d2 非通紙領域
N 定着ニップ
Claims (7)
- 正または負の抵抗温度特性を有する抵抗発熱層が設けられた第1回転体と、これに圧接される第2回転体との間に定着ニップを確保し、前記抵抗発熱層に通電して当該抵抗発熱層を発熱させ、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通して未定着画像をシートに熱定着する画像形成装置であって、
前記抵抗発熱層の抵抗値を指標する値を検出する検出手段と、
使用されるシートの幅の大きさを指標するシート幅情報を取得する第1取得手段と、
前記第1回転体の前記軸方向全域のうち、前記使用されるシートの通紙領域を除く非通紙領域を冷却する冷却手段と、
前記使用されるシートについて、前記抵抗発熱層の抵抗温度特性と当該シートの幅の大きさとから得られる、前記抵抗発熱層の非通紙領域の温度が上限温度に達したときの当該抵抗発熱層の抵抗値を指標する値を閾値として取得する第2取得手段と、
前記検出手段による検出値と前記閾値との比較結果に基づいて、前記冷却手段の冷却動作を制御する冷却制御手段と、
前記第1回転体における通紙領域の温度を検出する温度検出手段と、
前記上限温度に達したときの当該抵抗発熱層の抵抗値を指標する値を、前記異なるシートの幅の大きさ毎に対応付けてなる閾値情報を記憶している記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段には、
異なる温度領域のそれぞれに、当該温度領域に前記第1回転体の通紙領域の温度が属している場合における前記閾値情報が対応付けて記憶されており、
前記第2取得手段は、
前記記憶手段に記憶されている閾値情報であって、前記異なる温度領域のうち前記温度検出手段により検出された温度が属する温度領域に対応する閾値情報から、前記使用されるシートの幅に対応する前記抵抗値を指標する値を読み出すことにより、前記閾値を取得することを特徴とする画像形成装置。 - 前記抵抗温度特性が、負の温度特性である場合には、
前記異なる温度領域のうち、第1温度領域について第1のシートの幅に対する抵抗値を第1の値とすると、前記第1温度領域よりも低い第2温度領域について当該第1のシートの幅と同じシートの幅に対する抵抗値が前記第1の値よりも低い第2の値であり、
前記抵抗温度特性が、正の温度特性である場合には、
前記異なる温度領域のうち、第1温度領域について第1のシートの幅に対する抵抗値を第1の値とすると、前記第1温度領域よりも低い第2温度領域について当該第1のシートの幅と同じシートの幅に対する抵抗値が前記第1の値よりも高い第3の値である関係を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記冷却手段は、
前記第2回転体のうち、前記使用されるシートの通紙領域を除く非通紙領域であり、前記定着ニップにおいて前記第1回転体の非通紙領域に接する部分を冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 前記冷却手段は、
エアを送風するファンを含み、前記ファンによる前記第2回転体の非通紙領域への前記軸方向の送風領域の大きさが可変可能に構成されており、
前記シートの幅毎にその幅の大きさに応じて前記送風領域の大きさを変化させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。 - 前記冷却手段は、
エアを送風するファンを含み、前記ファンによる前記第1回転体の非通紙領域への前記軸方向の送風領域の大きさが可変可能に構成されており、
前記シートの幅毎にその幅の大きさに応じて前記送風領域の大きさを変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。 - 複数枚のシートを連続通紙して、シート1枚毎に、当該シートに未定着画像を形成すると共に未定着画像の形成後のシートを前記定着ニップに通して熱定着する画像形成動作を実行可能な構成であり、
前記冷却手段は、
画像形成速度を基準からこれよりも低速に減速する減速手段であり、
前記冷却制御手段は、
前記減速手段を制御して前記画像形成速度を基準よりも低速に減速させることにより、前記第1回転体の非通紙領域の冷却を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記検出手段による検出値および前記閾値は、
前記抵抗発熱層の抵抗値、定電圧の場合の前記抵抗発熱層に流れる電流値、または定電流の場合の前記抵抗発熱層に印加される電圧値で示されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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