JP5609219B2 - 凝集剤添加方法 - Google Patents

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Description

例えば各種土工や浚渫工などを伴う工事現場では、泥土と付近の水流や雨水が混じり合うなどして濁水を成すことがある。こうした濁水は、そのまま河川等に放流することができないため、沈砂池等でその濁度を適宜低減させる必要がある。濁度を低減させる技術として各種の凝集剤を添加するものがある。
こうした凝集剤としては例えば、水処理用凝集剤50〜90重量部、発泡剤50〜10重量部および珪酸カルシウム0.1〜20重量部(水処理用凝集剤と発泡剤の合計量を100重量部とする)を含有してなることを特徴とする水処理用発泡性固形凝集剤(特許文献1参照)などが提案されている。
また、濁水の処理手法として例えば、汚濁水を、固形状を呈する陰イオン性凝集剤、陽イオン性凝集剤、非イオン性凝集剤、および両性凝集剤から選択された少なくとも2種類の凝集剤を併用して処理することを特徴とする汚濁水の処理方法(特許文献2参照)なども提案されている。
特開2007−136405号公報 特開昭58−219988号公報
従来技術のように、沈砂池において凝集剤を恒常的に浸漬しておくとする。当然、浸漬されている間中、凝集剤は沈砂池の水に溶け出し、浸漬期間が長くなれば大部分溶解してしまうことになる。すると、降雨時など濁水の量や濁度が急激に上昇する事態となっても、濁度を有効に低減させるための凝集剤を作用させることができない。そこで、常設施設ではない工事現場にも適用しやすい、低コストで簡易な解決策として、現場職員らが降雨時を見計らって、フレッシュな凝集剤を沈砂池に投下することが考えられる。しかし、現場職員らを、凝集剤の投下作業に向けて常に配置しておくのは煩雑であった。
また、凝集剤を沈砂池に載置する場合、濁水との接触面積を広く確保するために、平面的に広く展開する必要がある。つまり、凝集剤の設置に必要な面積を確保するために、沈砂池自体の面積を広くする必要があり、領域の限られた工事現場であれば沈砂池設置に困難を伴うことになる。
また、濁水は凝集剤と接することで浮遊懸濁物の凝集が進むが、攪拌されることで浮遊懸濁物群がさらに大きな集合体(フロック)を形成しやすくなる。しかしながら従来のように凝集剤が載置されただけの沈砂池では、濁水が攪拌される十分な水流もなく、したがってフロックを形成して効率的に濁度低減を図ることもできなかった。
そこで本発明は、濁水増加に的確に対応して、低コストで無駄なく凝集剤を作用させることが可能な技術の提供を目的とする。
上記課題を解決する本発明の凝集剤添加方法および凝集剤添加装置は、沈砂池において、濁水が流入してくる上流域と、水面が所定高さ以上になると放流するオーバーフローの放流口がある下流域とを区画するようオリフィスを設置し、前記上流域において、通常時の水面高から所定距離の上方位置に凝集剤を設置し、濁水増加による前記上流域の水面高上昇に伴って前記凝集剤を濁水に浸漬せしめることを特徴とする。前記オリフィスは、下部に通水孔を備えた堰体であり、沈砂池を前記上流域と下流域とに区画する構造体である。
勿論、通常時は前記通水孔を介して上流域と下流域とが一体の水域をなし、その水面高を同じくしている。一方、降雨時など濁水が急激に増加する時は、単位時間当たり上流域に流れ込む濁水の水量が、通水孔を介して上流域から下流域に流れ込める単位時間当たりの水量を上回り、上流域の水面高が急激に上昇する。そのため、上流域において、通常時の水面高から所定距離の上方位置に設置されている凝集剤にまで濁水が到達し、前記凝集剤を濁水に浸漬せしめることとなる。
凝集剤と接することとなった濁水は、凝集剤の効果により浮遊懸濁物の凝集が生じる。また、前記オリフィス下部の通水孔では、急激に高まった上流域の水面高と、それほど上昇していない下流側の水面高との差異に基づいて噴流が生じることになり、上流側で生じた浮遊懸濁物の集合体はこの噴流で攪拌されることになる。この噴流は前記下流域全体をかき混ぜる効果も奏するから、オリフィス天端を越流して上流域から下流域に流れ込んだ水流についても攪拌が進むことになる。つまり、前記噴流により攪拌されることで凝集した浮遊懸濁物群がさらに大きな集合体(フロック)を形成しやすく、効率的に濁度低減を図ることができると言える。
なお、例えば、前記上流域は下流域と比較して狭い水域でよく、さらには、降雨時になどの急激な水面高上昇を利用して凝集剤と濁水との接触を図る構成となっているから、凝集剤を設置する際に、平面的に広く敷設する必要はなく、例えば縦長の柱状に凝集剤を設置するなどして、凝集剤の設置に必要な面積を従来より低減可能である。このため、沈砂池自体の面積を凝集剤設置のために広くする必要は無くなり、領域の限られた工事現場であっても沈砂池設置が容易となる。
また、前記オリフィスは、堰板の下部に適宜な径の通水孔を設けた簡単なものでよいし、或いは、土嚢で堰体を構成し下部の土嚢間に通水管を貫通させたものでもよく、工事現場での手配が容易で安価な部材を利用して簡便に構築できる。
このような技術によれば、降雨時など濁水量が増加して沈砂池上流域の水面高が上昇してきた際に、前記凝集剤が濁水に浸漬されることになる。従って濁度が大幅に上昇するような状況であっても的確に対応し、凝集剤添加を確実なものとすることができる。
なお、前記凝集剤添加方法および凝集剤添加装置において、前記上流域の水面上方に設置された支持部材を支点にして、上流域水面に浮かぶ浮体と釣り合いながら索状部材で結ばれた凝集剤を、前記通常時の水面高から所定距離上方に設置し、前記水面高上昇による浮体上昇に伴って下降した凝集剤を、濁水に浸漬せしめるとしてもよい。このような技術によれば、安価で入手容易、また機構も非常に単純な支持部材と浮体の組み合わせで凝集剤を設置し、降雨時など濁水量が増加して前記上流域の水面高が上昇してきた際に、前記浮体の上昇に伴って下降した前記凝集剤が濁水に浸漬されることになる。従って濁度が大幅に上昇するような状況であっても的確に対応し、凝集剤添加を確実なものとすることができる。
また、前記凝集剤添加方法において、前記凝集剤をアルミニウム系固形凝集剤とするとすれば好適である。アルミニウム系固形凝集剤は、硫酸バンドやPAC(ポリ塩化アルミニウム)等の溶解性が高いと言われる凝集剤であり、例えばカルシウム系固形凝集剤(例:石膏等)などの溶解性が低いと言われる凝集剤に比べて凝集効果が高く、その効果を発現するスピードも速いとされる。速効性が期待できる凝集剤と言えるが、溶解しやすい性質は長期間の浸漬に耐えられないという弱点でもあった。また、過剰に溶解すると、pHの低下や水酸化アルミニウムによる白濁が発生し、かえって沈砂池の濁度上昇を招く恐れもあった。しかしながら本発明では、降雨時など濁水量が急激に増加するタイミングに合わせて凝集剤添加を行えるため、前記のアルミニウム系固形凝集剤における弱点は解消され、優れた凝集効果が確実に発揮され、凝集速度も向上することになる。
また、前記凝集剤添加方法において、所定溶解度の凝集剤を前記上流域に設置し、前記上流域の凝集剤より溶解度の低い凝集剤を前記下流域に設置するとしてもよい。上流域に設置する凝集剤としては、例えばアルミニウム系固形凝集剤が好適である。また、下流域に設置する凝集剤としてはカルシウム系固形凝集剤が好適である。
上述のように、アルミニウム系固形凝集剤は、溶解性が高くて凝集効果が高いという特性があり、この特性を前記上流域で発現すると好適である一方、前記下流域に長期間浸漬させておくことには溶解性の高さや白濁の懸念があって不向きである。そこで、下流域にカルシウム系固形凝集剤(例:石膏等)などの溶解性が低いと言われる凝集剤を設置しておく。このカルシウム系固形凝集剤は、アルミニウム系固形凝集剤に比べて溶解性が低いから、長期間浸漬させ続けても凝集効果を失うほど溶解が進む懸念も少ない。また、このカルシウム系固形凝集剤であれば、万が一過剰溶解になったとしても、沈砂池におけるpHの変化はなく、白濁も発生しないという利点がある。従って、急激な濁水増加には上流域でアルミニウム系固形凝集剤が迅速・確実に作用し、通常時(勿論、濁水増加時にも作用するが)には効果穏やかなカルシウム系固形凝集剤が効率的に作用することになり、沈砂池全体および通常時、濁水増加時に亘って、優れた凝集効果を確実に発揮させることができる。
本発明によれば、濁水増加に的確に対応して、低コストで無駄なく凝集剤を作用させることが可能となる。
本実施形態における凝集剤添加方法の適用例1を示す図である。 本実施形態における凝集剤添加方法の適用例2を示す図である。 本実施形態における凝集剤添加方法の適用例3を示す図である。 本実施形態におけるSVと通水液中濃度の関係を示す図である。 本実施形態における通水速度と溶解速度の関係を示す図である。 本実施形態における凝集に必要な凝集剤濃度の測定結果を示す図である。
−−−適用例1−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態における凝集剤添加方法および凝集剤添加装置の適用例1を示す図である。図に示す例では、工事で発生した濁水1を土砂溜め2に一旦導いた後、その上澄み水3を流入路4を介して沈砂池5に導入する構成としている。前記土砂溜め2は数秒で沈降するような比較的粒径の大きな粒子を沈下させる役割を担う。この土砂溜め2の上縁部には適宜な配管や水路が設けてあり、上澄み水3がこの水路などを経由して流入路4から沈砂池5に流下する。流下する上澄み水3に含まれる粒子は、その沈下に凝集剤の添加が必要になる、いわゆる浮遊懸濁物が主となる。浮遊懸濁物は、電荷を帯びて静電気的な反発力が互いに働いており、時間が経過しても自ら沈降しない上、粒径が非常に小さいため通常の物理的処理では除去が困難である。そこで、電荷を中和する働きを示す凝集剤を濁水中に添加すれば、浮遊懸濁物は静電気的な反発力を失って互いに凝集するようになる。
従って沈砂池5において、本発明に従ってタイミングよく凝集剤添加が行われると、沈砂池5における濁水3の濁度を低減させることになる。
そこでまず、沈砂池5の水域を、濁水である前記上澄み水3が流入してくる上流域7と、水面が所定高さ以上になると放流するオーバーフローの放流口8がある下流域9とに、所定仕様のオリフィス10で区画した状況を推定する。そして、該当工事現場に適用するオリフィス10の設置位置(上流域7と下流域9の割合)、堰高、通水孔11のサイズ、等の設計値を勘案しながら、通常時(非降雨時など)の上下流域9の各水面高と、濁水増加時(降雨時など高水位になる時)の上下流域9の各水面高について予め算定等を行って特定しておく。当然ながら、通常時の水面高から所定距離の上方位置に濁水増加時の水面高が位置することになる。
なお、前記オリフィス10は、堰板の下部に適宜な径の通水孔11を設けた簡単なものでよいし、或いは、土嚢で堰体を構成し下部の土嚢間に通水管を貫通させたものでもよく、工事現場での手配が容易で安価な部材を利用して簡便に構築できる。こうしたオリフィス10は、沈砂池5において、前記上流域7と前記下流域9とを区画するよう設置される。また、オリフィス10における堰体の天端12は、前記通常時の水面高より上方に位置するものとなる。なお、前記上流域7と前記下流域9とを略同じ規模に区画するよう前記オリフィス10を設置してもよいが、前記上流域7を前記下流域9より狭く区画するよう前記オリフィス10を設置してもよい。このように前記上流域7を前記下流域9より狭く区画した場合、降雨時など濁水3が急激に増加する時は、単位時間当たり上流域7に流れ込む濁水3の水量が、通水孔11を介して上流域7から下流域9に流れ込める単位時間当たりの水量を大幅に上回り、上流域7の水面高が濁水3の水量に(上流域7と下流域9とを略同じ規模に区画した場合より)敏感に反応して急激に上昇することとなる。
前記上流域7において、通常時の水面高から所定距離の上方位置に凝集剤15を設置し、濁水増加による前記上流域7の水面高上昇に伴って前記凝集剤15を濁水3に浸漬せしめる。上流域7における凝集剤15の設置手法としては、例えば単管パイプや各種鋼材、或いは木杭、仮設材等の各種部材を組み合わせて簡単な櫓や構台を前記上流域上に構築する。構築の仕方に特に限定は無いが、柱材を上流域脇の沈砂池土手や或いは前記オリフィス10の構造体に建て込み、この柱材に棟木や筋交いなどを渡すなどして櫓20を建てる、といった手法が適用できる。或いは、門型に部材を組み合わせて上流域上空を跨らせる、上流域上空を横断するよう部材を沈砂池5に渡す、といったごく単純な手法を採用してもよい。ただしいずれにしても、特定しておいた前記濁水増加時の水面高さに凝集剤15を固定できる構造である必要はある。
勿論、通常時は前記オリフィス10の通水孔11を介して上流域7と下流域9とが一体の水域をなし、その水面高を同じくしている。一方、降雨時など濁水3が急激に増加する時は、単位時間当たり上流域7に流れ込む濁水3の水量が、通水孔11を介して上流域7から下流域9に流れ込める単位時間当たりの水量を上回り、上流域7の水面高が急激に上昇する。そのため、上流域7において、通常時の水面高から所定距離の上方位置に設置されている凝集剤15にまで濁水3が到達し、前記凝集剤15を濁水3に浸漬せしめることとなる。このような構造を採用することで、前記櫓20等に固定された凝集剤15は、非降雨時など通常時には前記上流域7の濁水3に触れることはないが、一方、降雨時など濁水3が増加して水面が上昇した時には、自ずと上流域7の濁水3中に浸漬されることになる。つまり、濁水増加による水面高上昇に伴って前記凝集剤15を濁水3に浸漬せしめることとなる。
また、凝集剤15と接することとなった濁水3は、凝集剤15の効果により浮遊懸濁物の凝集が生じる。また、前記オリフィス下部の通水孔11では、急激に高まった上流域7の水面高と、それほど上昇していない下流側の水面高との差異に基づいて噴流が生じることになり、上流側で生じた浮遊懸濁物の集合体は通水孔11を通過し、この噴流で攪拌されることになる。この噴流は前記下流域全体をかき混ぜる効果も奏するから、オリフィス天端12を越流して上流域7から下流域9に流れ込んだ水流についても攪拌が進むことになる。つまり、前記噴流により攪拌されることで凝集した浮遊懸濁物群がさらに大きな集合体(フロック)を形成しやすく、効率的に濁度低減を図ることができると言える。
なお、前記上流域7は下流域9と比較して狭い水域でよく、さらには、降雨時になどの急激な水面高上昇を利用して凝集剤15と濁水3との接触を図る構成となっているから、凝集剤15を設置する際に、平面的に広く敷設する必要はなく、例えば縦長の柱状に凝集剤15を設置するなどして、凝集剤15の設置に必要な面積を従来より低減可能である。このため、沈砂池自体の面積を凝集剤設置のために広くする必要は無くなり、領域の限られた工事現場であっても沈砂池設置が容易となる。
このような技術によれば、降雨時など濁水量が増加して沈砂池上流域7の水面高が上昇してきた際に、前記凝集剤15が濁水3に浸漬されることになる。従って濁度が大幅に上昇するような状況であっても的確に対応し、凝集剤添加を確実なものとすることができる。
なお、前記凝集剤15としては、各種の無機系凝集剤、有機系凝集剤を用いることができ、形態としては、固形状(塊状)、粒状、粉状、などが適用可能である。こうした凝集剤15はそのまま前記上流域上の構造物に固定するより、通水性のある目の粗い袋物や網状の籠などの収容体に収めて固定する。
ところで、前記凝集剤15をアルミニウム系固形凝集剤とするとすれば好適である。アルミニウム系固形凝集剤は、硫酸バンドやPAC(ポリ塩化アルミニウム)等の溶解性が高いと言われる凝集剤であり、例えばカルシウム系固形凝集剤(例:石膏等)などの溶解性が低いと言われる凝集剤に比べて凝集効果が高く、その効果を発現するスピードも速いとされる。速効性が期待できる凝集剤と言えるが、溶解しやすい性質は長期間の浸漬に耐えられないという弱点でもあった。また、過剰に溶解すると、pHの低下や水酸化アルミニウムによる白濁が発生し、かえって沈砂池5の濁度上昇を招く恐れもあった。しかしながら本発明では、降雨時など濁水量が急激に増加するタイミングに合わせて凝集剤添加を行えるため、前記のアルミニウム系固形凝集剤における弱点は解消され、優れた凝集効果が確実に発揮され、凝集速度も向上することになる。
−−−適用例2−−−
また、図2に示すように、所定溶解度の凝集剤15Aを前記上流域7に設置し、前記上流域7の凝集剤15Aより溶解度の低い凝集剤15Bを前記下流域9に設置するとしてもよい。上流域7に設置する凝集剤15Aとしてはアルミニウム系固形凝集剤が好適であり、下流域9に設置する凝集剤15Bとしてはカルシウム系固形凝集剤が好適である。上述のように、アルミニウム系固形凝集剤は、溶解性が高くて凝集効果が高いという特性があり、この特性を前記上流域7で発現すると好適である一方、前記下流域9に長期間浸漬させておくことには溶解性の高さや白濁の懸念があって不向きである。そこで、下流域9にカルシウム系固形凝集剤(例:石膏等)などの溶解性が低いと言われる凝集剤を設置しておく。このカルシウム系固形凝集剤は、アルミニウム系固形凝集剤に比べて溶解性が低いから、長期間浸漬させ続けても凝集効果を失うほど溶解が進む懸念も少ない。また、このカルシウム系固形凝集剤であれば、万が一過剰溶解になったとしても、沈砂池5におけるpHの変化はなく、白濁も発生しないという利点がある。従って、急激な濁水増加には上流域7でアルミニウム系固形凝集剤15Aが迅速・確実に作用し、通常時(勿論、濁水増加時にも作用するが)には効果穏やかなカルシウム系固形凝集剤15Bが効率的に作用することになり、沈砂池全体および通常時、濁水増加時に亘って、優れた凝集効果を確実に発揮させることができる。
また、これらアルミニウム系固形凝集剤15A、カルシウム系固形凝集剤15Bらは、固形であるからハンドリングや保管も容易であり、上述したような収容体からの少なくない漏出や、頻繁な状況監視や補充作業なども発生せず、工事現場であっても非常に扱いが容易なものと言える。
特に断らないが、以下に示す適用例でも同様にアルミニウム系固形凝集剤15Aやカルシウム系固形凝集剤15Bを適用すると好適である。
−−−適用例3−−−
図3は本実施形態における凝集剤添加方法および凝集剤添加装置の適用例3を示す図である。この例では、前記上流域7に凝集剤15を設置する手法として、上流域7の水面上方に設置された支持部材たる滑車30を支点にして、上流域水面に浮かぶ浮体35と釣り合いながら索状部材36で結ばれた凝集剤15を、前記通常時の水面高から所定距離上方に設置する方法を適用する。
設置の手順としては、まず、例えば門型の枠体40を前記上流域脇の沈砂池土手か前記オリフィス10の構造体に反力をとって建て込み、この枠体40の上部に滑車30を吊す。次に、この滑車30にワイヤーロープやチェーンなどの索状部材36を通し、その一端を上流域水面に浮かぶ浮体35に、他端を凝集剤15(の収容体)に取り付ける。浮体35の自重だけで凝集剤15との釣り合いがとれない場合には、例えば浮体下部に適宜な重量の錘37を吊下する。前記索状部材36の長さは、通常時の上流域水面高と前記滑車30との間の高低差に、前記滑車30と前記濁水増加時の水面高さとの間の高低差を合算したものになる。なお、支持部材30としては滑車を例に挙げたが、勿論これに限定されることはない。索状部材36を支持する支点になりうる構造のものであれば、例えば、索状部材36を適宜な滑性をもって支持する棒状部材、索状部材36を挿通・支持する環状部材なども適用できる。
こうした構造を採用すれば、通常時においては、上流域水面に浮かぶ浮体35に滑車30および索状部材36を介して釣り合いをとった凝集剤15が、濁水増加時の水面高、つまり水面上空に設置されることになり、上流域内の濁水3と接することがない。一方、降雨時など濁水3が増加して上流域7の水面が急激に上昇した時には、ここに浮かぶ浮体35も水位とともに上昇し、これに伴って索状部材36が凝集剤側に送り出されることになる。当然、浮体35の上昇分だけ凝集剤15は水面に向かって下降する。この場合の浮体35の上昇分は、通常時の水面と濁水増加時の水面との差異に対応するから、前記凝集剤15は水位を増した濁水中に自ずと浸漬されることになる。つまり、濁水増加による水面高上昇に伴って前記凝集剤15を濁水3に浸漬せしめることとなる。
従って濁度が大幅に上昇するような状況であっても的確に対応し、凝集剤添加を確実なものとすることができる。
−−−凝集剤設置量の算定について−−−
ここで、凝集剤設置量の算定手法について説明しておく。ここでは凝集剤として適用できる、アルミニウム系固形凝集剤とカルシウム系固形凝集剤に関してその設置量を算定するものとする。
1)SVと通水液中のAl濃度、Ca濃度の関係
図4中で示す「SV」は、「1時間当りの通水量/固形凝集剤の体積」を示している。これは、凝集に必要なAl濃度、Ca濃度に達するためには、通水量に対して、どのくらいの固形凝集剤体積を設置すればよいかを表している値である。以下に、このSVに関するデータをもとに、アルミニウム系固形凝集剤やカルシウム系固形凝集剤の設置量を設計する。
(1)まず、濁水の種類に応じて、最適Al濃度、最適Ca濃度を決定する。これは、図6に示す表(凝集に必要な凝集剤濃度の測定結果)から、ある濁度Aを濁度Bまで低減させるアルミニウム系固形凝集剤、カルシウム系固形凝集剤の濃度を見つける。例えば、「ダム濁水」について、当初の濁度“396mg/l”を1時間後に濁度“34mg/l”まで低減させるAl濃度は、“10mg/l”だと特定する。
(2)次に、上記(1)で特定したAl濃度、Ca濃度と、現場での通水量(流入路4での濁水の水量)と、前記「SV」のグラフから、現場で設置が必要な固形凝集剤の体積を算出する。
具体的には、例えば現場の排水量が20m/hで、粒径20mmの石膏(カルシウム系固形凝集剤)を使用する場合、例えば最適Ca濃度(200mg/L)にするためには、SV=4(図4のグラフ2の交点)で通水する必要がある。この関係は”SV=4=20m/h/5m”となるので、この式から、前記石膏の設置量は5mと算定できる。
また、他の例として、現場の排水量が10m/hで、粒径5mmの石膏を使用する場合、例えば最適Ca濃度(200mg/L)にするためには、SV=100(図4のグラフ2の交点)で通水する必要がある。この関係は、“SV=100=10m/h/0.1m”となるので、前記石膏の設置量は0.1mと算定できる。
また、現場の排水量が20m/hで、粒径20mmの硫酸バンドを使用する場合、例えば最適Al濃度(10mg/L)にするためには、SV=40000(図4のグラフ1の交点)で通水する必要がある。この関係は、“SV=40000=20m/h/0.5L”となるので、硫酸バンドの設置量は0.5Lと算定できる。
なお、図4の各グラフは、SV100(例えば固形凝集剤1mに100m/h通水)一定とした場合、粒径20mmの硫酸バンドは1500mg/L溶けるが(グラフ1)、石膏は50mg/Lしか溶けない(グラフ2)と読むこともできる。
2)通水速度と溶解速度の関係
図5に示すグラフ3および表3,4から、同じ通水速度でも、硫酸バンドの方が石膏よりも溶解速度が早いことがわかる。また、同じ固形凝集剤であっても、通水速度が早いほど、たくさんの濁水が凝集剤に接触するので、早く溶解することがわかる。凝集剤に接触する濁水の流速を測定ないし算定しておいて、本グラフから溶解度を特定する。そして、この溶解度と固形凝集剤のサイズとを勘案して、固形凝集剤が一定基準以上小さくなると思われる時期を推定し、固形凝集剤の交換頻度を設計すればよい。
以上、本実施形態によれば、濁水増加に的確に対応して、低コストで無駄なく凝集剤を作用させることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
1 工事発生濁水
2 土砂溜め
3 上澄み水(沈砂池に流入する濁水)
4 流入路
5 沈砂池
7 上流域
8 放流口
9 下流域
10 オリフィス
11 通水孔
12 オリフィスの天端
15 凝集剤
15A アルミニウム系固形凝集剤
15B カルシウム系固形凝集剤
20 櫓、構台
30 滑車(支持部材)
35 浮体
36 索状部材
37 錘
40 枠体

Claims (4)

  1. 沈砂池において、濁水が流入してくる上流域と、水面が所定高さ以上になると放流するオーバーフローの放流口がある下流域とを区画するようオリフィスを設置するとともに、前記上流域において、通常時の水面高から所定距離の上方位置に凝集剤を設置し、濁水増加による前記上流域の水面高上昇に伴って前記凝集剤を濁水に浸漬せしめる凝集剤添加方法であって、
    前記オリフィスが、堰板の下部に通水孔を設けたものであり、該通水孔にて上流域の水面高と下流側の水面高との差異に基づいて噴流を生じ、下流域を撹拌することを特徴とする凝集剤添加方法。
  2. 沈砂池において、濁水が流入してくる上流域と、水面が所定高さ以上になると放流するオーバーフローの放流口がある下流域とを区画するようオリフィスを設置するとともに、前記上流域において、前記上流域の水面上方に設置された支持部材を支点にして、上流域水面に浮かぶ浮体と釣り合いながら索状部材で結ばれた凝集剤を、通常時の水面高から所定距離上方に設置し、濁水増加による前記上流域の水面高上昇による浮体上昇に伴って下降した凝集剤を、濁水に浸漬せしめることを特徴とする凝集剤添加方法。
  3. 沈砂池において、濁水が流入してくる上流域と水面が所定高さ以上になると放流するオーバーフローの放流口がある下流域とを区画するよう設置されるオリフィスと、前記上流域において通常時の水面高から所定距離の上方位置に設置され、前記上流域の水面高上昇に伴って濁水に浸漬される凝集剤とを備え、
    前記オリフィスが、堰板の下部に通水孔を有し、該通水孔にて上流域の水面高と下流側の水面高との差異に基づいて噴流を生じ、下流域を撹拌することを特徴とする凝集剤添加装置。
  4. 沈砂池において、濁水が流入してくる上流域と水面が所定高さ以上になると放流するオーバーフローの放流口がある下流域とを区画するよう設置されるオリフィスと、前記上流域において前記上流域の水面上方に設置された支持部材を支点にして、上流域水面に浮かぶ浮体と釣り合いながら索状部材で結ばれるとともに、通常時の水面高から所定距離上方に設置され、濁水増加による前記上流域の水面高上昇による浮体上昇に伴って下降し、濁水に浸漬される凝集剤とを備えることを特徴とする凝集剤添加装置。
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