以下に続く好ましい実施形態の説明では、適切である場合には、異なる図に示す同様又は同一の特徴部を同じ参照識別名で表す。
光学リソグラフィでは、より小さい特徴部を忠実に結像することを可能にする軸外照明を使用することは公知である。この技術を使用すると、パターン化構造(パターン)を与えるマスクは、焦点深度を増大させることによって工程許容範囲が改善されるように及び/又はコントラストが改善されるように傾斜(非垂直)角で照明される。
図1は、軸外照明の原理を示している。投影露光系の照明系ILLは、1次光源LSから1次放射を受光して照明光を形成し、ビームBが、パターンPATを保持するマスクM上にビ入射する。ビームは、従来法では垂直である光軸OAに対して傾いた角度γで傾斜して入射する。入射ビームBは、マスクM上のパターンPATの特徴部によって回折され、これらの特徴部は、フォトレジストRESの層で被覆されたウェーハW上に投影対物系POによって結像されることになる。図1には、ゼロ次及び2つの1次の回折ビーム(0,±1)を示している。コヒーレントであるゼロ次と1次の一方との少なくとも一部が投影対物系POによって捕捉されてウェーハW上に像を形成するのに使用される場合には、改善された性能を得ることができる。
λが、ビームB内の放射の公称作動波長である時に、マスクM上のパターンの特徴部のピッチP(又は周期長)が小さい程、回折角βは、β=λ/Pに従って大きくなる。特徴部のサイズが過度に小さくなり、及び/又はその密度が過度に高くなる場合には、投影対物系POの瞳が1つよりも多い回折次数をもはや捕捉することができない点に至ることになる。実際の系では、光源の部分干渉を判断し、従って、露光許容範囲、焦点深度、及び近接効果のような露光工程の性能指数に対して重要な開口角γの範囲が存在することになる。
角度γの分布は、有効放射源(有効光源)の強度分布、又は同等に投影対物系の瞳平面内の強度分布を考慮することによって視覚化することができる。図2は、代表的な例を示している。
図2Aは、図に矢印に示しているパラメータσによって特徴付けられる単純な軸上照明モードを示している。σ(多くの場合にコヒーレンス因子とも呼ばれる)の値は、瞳の半径に対する照明強度円盤(ハッチングしている)の半径の比として従来通りに見積もられる。
図2Bは、瞳平面における空間強度分布が、瞳平面に対するフーリエ変換平面であるマスク平面における角度分布に関連することを考慮して、光源の強度分布が軸外照明の入射角度範囲を制限するように環状に拘束される輪帯照明モードを示している。環状は、瞳の半径に対する内側半径及び外側半径の比である値σi及びσoによって特徴付けることができる。
図2Cは、その使用が環状モード又はコヒーレントモードに対して改善された結像結果を場合によって与える四重極照明モードの強度分布を示している。従来そのような四重極構成を使用する場合には、投影されるマスクのパターン化構造が、x軸とy軸に沿う直交線の部分パターンを含み、4つの極の各々が、これらのx軸とy軸によってこれらの軸の交点に定められる4つの四分円のうちのそれぞれの1つに位置するように照明が向けられることが仮定される。
特定の用途では、二重極照明モードが使用される。図2Dは、二重極モードにおける二重極照明強度分布の例を示している。このモードの2つの極P1、P2は、結像系の光軸OAから外れて位置する。例示目的で、図2Dに例示している2つの極をx軸に沿って位置するように表し、これらの極は、y軸と平行に延びる結像線、すなわち、2つの極を結ぶ極方位軸POAと垂直に延びる結像線に対して最適になる。時によってx軸及びy軸をそれぞれ水平及び垂直と呼ぶが、一般的に、これらの用語は、機械の向きに対するいかなる関係も伴わない。
図2Dに例示しているように、従来系における極P1、P2の幾何学形状は、環状の方位角区画に対応することができる。最大コントラストを得るために1次の回折次数が投影対物系の開口を完全に通過しなければならないという要件に起因して、極のラジアル幅Δσ=σo−σiと、極角Θによって定めることができる極の方位角幅(円周方向の幅)とに対して制限がもたらされる。二重極照明では、理論的に理想的なコントラスト及び焦点深度を有する2ビーム結像のための条件を発生させるために、有効光源は2つの極に拘束される。
瞳平面内の空間放射強度分布は、瞳平面内の放射エネルギ(又は強度)分布に敏感な1つ又はそれよりも多くのエネルギ分布パラメータによって更に特徴付けることができる。図3に関連していくつかの例を説明する。
図3A、図3Bは、瞳平面を中心で再分割する分割平面DPの2つの側の間で放射エネルギが如何に配分されるかの量的尺度であるパラメータ「極均整(PB)」の定義に関する。図3Aでは、分割平面DPはx方向に沿って延び、一方、二重極照明設定の2つの極P1、P2は、垂直なy方向に向けられる。極均整は、2つの瞳半域内の積分強度の間の比として定めることができる。二重極照明の場合には、対応する極均整パラメータPBは、最大強度を有する極の強度と最低強度を有する極の強度の間の比IMAX/IMINとして定めることができる。従って、両方の極において等しい強度は、PB=1をもたらし、極の間の不均等な強度分布は、1とは異なる極均整値をもたらすことになる。図3Bでは、分割平面DPは、対応する極均整パラメータPBが、瞳の上側半域と下側半域の間の強度比に関連するようにy方向に沿って延びている。このパラメータは、極内のエネルギが瞳の上側半域と下側半域にわたって均等に配分される場合には、y方向の2つの極の強度の差には殆ど依存しない。しかし、x方向に不均衡が存在する場合には、この不均衡は、この極均整パラメータに現れることになる。
図3C、3Dは、パラメータ「楕円率(EL)」の定義を示している。一般的に、楕円率は、瞳中心で交わる2つ又はそれよりも多くの軸を中心とする領域に沿って放射エネルギが如何に配分されるかを判断するエネルギ分布パラメータである。殆どの場合、楕円率は、瞳平面内で2つの互いに直交する方向に関するエネルギ分布を指す。図3Cは、水平/垂直楕円率ELHVを示している。瞳は、x方向とy方向の間で45°に延びる分割平面によって4つの90°四分円IからIVに再分割される。第1及び第3の四分円I及びIIIは、y方向を中心とし、それに対して第2及び第3の四分円II及びIVは、x方向を中心とする。楕円率を判断するために、四分円の各々内に含まれるエネルギが別々に積分される。次に、ELHV=(II+IIII)/(III+IIV)に従って、y方向を中心とする第1の四分円内のエネルギと第3の四分円内のエネルギとの和は、y方向を中心とする第2の四分円内のエネルギと第4の四分円内のエネルギとの和によって割算される。図3Dは、図3Cの四分円に対して45°に配置された四分円内の別の定義の楕円率ELSTを示している。この場合、四分円I及びIIIは、x方向とy方向の間のような中間の対角線を中心とし、楕円率値は、図3に関連して説明したものと同様に計算される。y極を有する二重極照明の楕円率を判断する場合に、第2又は第4の四分円内にいかなる強度も案内されない限り、図3Cの水平/垂直の楕円率は、2つの極の強度の不均整に依存しないことは明らかである。しかし、楕円率ELSTは、極の各々の内部のエネルギがy軸に関して均等に配分されない場合には、何らかの変化を示す場合がある。一般的に、楕円率は、最も多くの場合に、輪帯照明設定、六角形照明設定、又は従来照明設定におけるエネルギ分布を定量化するのに使用される。
図3E、3Fは、照明設定のエネルギ分布を表す上でエネルギ分布パラメータ「勾配(GRAD)」を判断することを有利とすることができる状況を示している。基本的に、勾配は、瞳平面内の1つの所定の方向に沿う強度変化として表すことができる2次元エネルギ不均衡を表す。図3Eの例では、強度は、負のy値から正のy値に向けて連続して増大し、勾配は、関数E(y)の傾きによって表すことができる。図3Fでは、関数E(y)は、瞳中心において最小値を有し、エネルギが、瞳の中心から縁部に向けてラジアル方向に増大することを示している。
図4は、二重極照明モードに向けて構成された投影露光系における照明系ILLの実施形態を略示している。1次光源LSによって供給される1次放射は照明系ILLによって変換され、パターンPATを担持するマスクM上の照明視野IF内に入射する照明放射が供給される。放射は、パターンPATによって回折され、投影対物系(図示せず)を通じて伝播する投影放射を形成し、投影対物系は、マスクのパターンをレジスト層で被覆されたウェーハのような基板上に結像する。
照明系ILLは、2つの極P1とP2とによって特徴付けられる二重極照明設定に対応する照明系の瞳平面PILLにおける所定の空間強度分布によって形成される有効光源ESを発生させる瞳成形ユニットPSUを含む。有効光源ESが形成されるPILLは、マスクMが位置する投影対物系の物体平面OSに対するフーリエ変換面である。従って、有効光源ESの空間光強度分布は、マスクM上に入射する照明放射の角度分布を判断する。フーリエ変換を実施するために、コンデンサー系CSが設けられる。
投影対物系の瞳面は、照明系の瞳面PILLに対して光学的に共役である。従って、マスクの不在時には、有効光源ESにおける強度分布と同等の空間強度分布を投影対物系の瞳面内に形成することができる。パターンを担持するマスクが照明系と投影対物系の間に挿入された場合には、投影対物系の瞳平面内の強度分布は、更にマスクパターンPATの特性に対応する回折情報を含む。
図4の図は、大きく簡略化したものであり、正確な縮尺のものではない。特にこれは、様々な光学ユニットを少数の光学要素のみで表すことを意味する。実際にはこれらのユニットは、有意により多くのレンズ及び他の光学要素を含むことができる。次に、照明系をより詳細に説明する。
約193nmの作動波長の1次放射を放出するエキシマレーザは、1次放射源LSとして機能する。他の波長、例えば、248nm又は157nmも考えられている。エキシマレーザによって放出される放射は、ビーム送出系BDによって照明系ILLに案内されてビーム拡大ユニットEXPに入射し、放射束は、ビーム拡大ユニット内で幾何学的光学流束を変化させることなく拡大される。ビーム拡大ユニットは、図示のようにいくつかのレンズを含むことができ、又は例えばミラー配列として達成することができる。放射は、ビーム拡大ユニットEXPから矩形断面を有する実質的に平行な放射ビームRBとして射出する。断面のサイズは、例えば、15mmと25mmの間程度のものとすることができる。
ビーム拡大ユニットEXPを通過した後に、放射ビームの光線は、回折光学要素(DOE)で形成された透過光学ビーム偏向要素BDE上に入射する。回折光学要素BDEは、放射を望ましい伝播方向にエネルギ損失を殆ど伴わずに偏向する偏向構造として機能する所定の回折格子構造を各々が有する小さいセルの2次元ラスター配列を含む。エネルギ損失は、15%よりも少ない程度、例えば、5%と15%の間にあるとすることができる。ビーム偏向要素は、図示の実施形態では、発散が導入されるように各入射光線を偏向する回折格子で形成された偏向構造を含む。これは、ビーム偏向要素上の各位置において、放射がある一定の角度範囲で回折されることを意味する。図4ではこの回折を2つの発散光線R1、R2に分割される軸線方向光線において略示している。すなわち、回折光学要素BDEは、入射放射の角度分布を修正し、遠視野強度分布に影響を及ぼす。
回折ビーム偏向要素BDEは、異なる角度分布を生成する別のビーム偏向要素で容易に置換することができるように、交換ホルダH内に受け取られる。ホルダHに関連付けられた駆動系DRIは、照明系を組み込む投影露光装置の中央制御ユニットCUから受信される駆動信号に応答して、ホルダと、ホルダ内に受け取られるビーム偏向要素BDEとを照明系の光軸OAに対して垂直な平面(x−y平面)内で制御可能に移動するように構成される。従って、駆動系を作動させることにより、ビーム偏向要素BDEの異なる領域を放射ビーム経路に連続的にシフトさせることができる。移動は、x方向、y方向におけるもの、又はx駆動とy駆動との組合せ作動に依存していずれかの横断方向におけるものとすることができる。
この移動は、例えば、ビーム偏向要素を傾斜させるx/y平面内の軸の回りの回転を含むことができる。図4では、ビーム偏向要素BDEの傾斜移動を曲線双方向矢印TIに示している。傾斜角は、1°又はそれよりも大きい程度、例えば、約1°と約5°の間にあるとすることができる。ビーム偏向要素が傾斜された場合には、入射放射の入射角及び照明区域を若干変更することができる。傾斜は、照明される偏向領域の有効構造を変更することができること、及び/又は入射放射に対して作用する偏向領域の空間形状及び位置をビーム偏向要素を傾斜させることによって若干変更することができることを主な理由として、放出放射のエネルギ分布を変更するのに寄与することができる。更に、正確な法線入射から逸れる回折ビーム偏向要素の緩やかな傾斜は、0次の回折次数における望ましくない強度を低減するのを促進することができることが見出されている。0次の次数におけるそのような残差強度は、例えば、位相段階回折光学要素における段差面の製造中のエッチング深さの不正確性からもたらされる可能性がある。従って、傾斜は、ビーム偏向要素によって生成される強度分布を改善することができる。
回折光学要素BDEは、回折ビーム偏向要素から射出する発散光線を平行化するズームレンズ群Zの前側焦点面FFPに位置決めされる。この場合、ズームレンズ群Zを調節することにより、放射束の直径を変更することができる。ズームレンズ群を出る少なくとも実質的に平行化された光線束は、次に、対向する円錐面を有するアキシコン要素の対AXに入射する。両方のアキシコン要素が接触状態にある一定の場合には、アキシコン対AXは、平行平面の面を有する板の効果を有する。両方のアキシコン要素が移動して離れた場合には、アキシコン要素の間の間隔は、放射エネルギのラジアル方向に外向きのシフトをもたらす。この場合、円盤の断面を有する光線束は、リング(又は環状)の断面を有する光線束に変換されることになる。アキシコン要素は、当業技術でそのように公知であるから、本明細書ではより詳細に説明しない。
参照識別名PILLは、照明系ILLの瞳平面を表す。瞳平面PILLの直前には、複数のマイクロレンズアレイを含むことができる光学ラスター要素FDEが配置される。光学ラスター要素FDEは、照明系瞳平面PILL内に複数の2次光源を生成する。2次光源は、x方向とy方向とに沿って異なる発散を有する光を生成することができる。例えば、マスク上でスリット形状の照明視野が望ましい場合には、光学ラスター要素FDEの射出側開口数は、x方向に0.28から0.35の範囲、y方向に0.07から0.09の範囲にあるのものとすることができる。図4では、光学ラスター要素FDEによって導入された発散を2つの異なる2次光源から射出する発散光線R3、R3、R4、R4で略示している。
光学ラスター要素FDEから射出する発散光線は、コンデンサー系CSに入射する。コンデンサー系の前側焦点面は系瞳平面PILLと一致し、以下では後焦点面を中間視野平面IFPと呼ぶ。この場合、系瞳平面内の特定の2次光源から射出する発散光束は、平行光線束としてコンデンサー系CSを離れ、中間視野平面IFPを完全に照明する。一方、同じ角度の下に2次光源から射出する全ての光線は、中間視野平面IFP内の単一の点に収束することになる(図4の点描区域を参照されたい)。
中間視野平面IFP内又はその近くに視野絞りFSが位置決めされる。結像対物系IOは、中間視野平面IFPを露光作動中にマスクMが位置決めされる像平面に対して光学的に共役にする。この像平面をマスク平面とも呼び、像平面は、その後の投影対物系(図示せず)の物体平面OSに対応する。この場合、結像対物系IOは、中間視野平面IFPに配置された視野絞りFSをマスクM上に結像し、少なくともy方向に沿って延びる短側辺において照明視野IFの鮮明な縁部を保証する。
照明系(有効光源ES)の瞳面の軸線方向の図を示す挿入図4Aによって示しているように、照明系は、強度がy方向に瞳の外縁にのみ存在するように(図2Dとも比較されたい)、光軸OAから外れてx方向に対して対称に配置された2つの強度極P1、P2を有する二重極照明を与えるように構成される。この空間強度分布は、回折ビーム偏向要素BDEとズームアキシコン系ZAとの組合せ作用によってもたらされ、アキシコン要素は、相補円錐面の間に間隔が設けられるように分離される。回折光学要素BDEが、y方向の周りの2つの楔形の角度ゾーン内に光線を偏向するのに対して、ズームアキシコン系は、光軸上にいかなる強度も存在しないように光線をラジアル方向に外向きに向け直す。この構成では、回折光学要素によって生成される光線角度分布は、極の方位角幅(極角Θ)を定める。極のラジアル位置及びラジアル幅Δσは、ズームアキシコン系の適切な分離によって調節される。
次に、二重極設定を生成するのに使用される光学ビーム偏向要素BDEの第1の実施形態を図5を参照してより詳細に説明する。図5Aは、照明系の光軸と平行な方向、すなわち、入射放射ビームRBの光線の方向に対してほぼ平行な方向にビーム偏向要素BDEの平面図を示している。図5Bは、図5A内で円によって示している拡大詳細図を示している。基本的にビーム偏向要素は、作動波長のレーザ放射に対して透過性を有する溶融シリカ(SiO2)又はフッ化カルシウム(CaF2)のような光学品質材料から作成された平行平面板を含む。ビーム偏向要素BDEは、屈折ではなく回折によって入射放射の経路変更を行う回折光学要素(DOE)である。回折光学要素BDEは、基本的にエネルギ損失を伴わずに放射を望ましい伝播方向に偏向する偏向構造として機能する所定の回折格子構造を各々が有する小さい矩形セルC1、C2、C3、...の2次元ラスター配列を含む。矩形セルは、互いに直接に隣接し、ビーム偏向要素の光学的使用断面を間隙なしに埋める。回折セルは、回折光学要素の所定の領域を埋めるセル群を形成するように配分される。回折構造は、望ましい角度分布に基づく逆算によって生成される。そのような要素をコンピュータ生成ホログラム(CGH)とも表す。
回折光学要素の中心の周りに形成された矩形の第1の偏向領域DR1は、同じ回折構造を各々が有する同一第1のセルC1の配列を含み、それによってこの同じ回折構造は、第1の偏向領域のセル内で複数個にわたって繰り返される。第1の偏向領域のサイズは、ビーム偏向要素が入射放射ビームを中心とする第1の作動位置に配置される場合に、入射放射が第1のセルC1のみを照明するように、入射放射ビームの断面形状よりもx方向とy方向の両方において幾分大きい。図5Aでは、第1の作動位置における放射ビームのフットプリントRB1を破線に示している。
第1のセルの各々は、回折光線において同じ光線角度分布を発生させるように構造化される。この光線角度は、幾何学的光線角度分布が瞳平面内の照明ゾーン(極)の幾何学形状を定めるように照明系の瞳平面内の光線位置に変換される。更に、回折放射の強度(エネルギ)は、第1のセル上に入射する全体強度が、第1のセルによって発生する異なる回折角又は伝播方向にわたって如何に配分されるかを表す第1の強度分布に従って様々な光線方向にわたって配分される。第1の強度分布は、2つの極P1、P2内の強度が、極の内側の全ての位置において均一な強度を有し、かつ極の外側で実質的にいかなる強度も持たないトップハット関数に基本的に対応するように定めることができる。更に、強度レベルは、両方の極内で同じであることが意図される。
y方向に第1の偏向領域DR1の直近には、全てが基本的に同じものである第2の偏向構造を各々が有する第2のセルC2で構成された矩形の第2の偏向領域DR2が存在する。照明された第2のセルの組は、第1の偏向領域の第1のセルによって同様に生成される幾何学的光線角度分布に属する伝播方向を各々が有する第2の光線の第2の光束を生成する。従って、第2のセルが照明されると、回折放射は、第1及び第2の極内の同じ照明領域に向けて案内される。しかし、第2の光線は、第1の強度分布とは異なる第2の強度分布に従う第2の強度を有する。言い換えれば、第1のセルC1と第2のセルC2とは、回折光線において実質的に同じ光線角度(伝播方向)を生成するが、発生した光線角度にわたる放射エネルギの分布は、第1のセルと第2のセルとの間で異なる。
更に、ビーム偏向要素の右上コーナは、第3のセルC3内に構成された第3の偏向構造群によって形成された第3の偏向領域DR3を含む。第3のセル内の第3の偏向構造の各々は同じであり、第1のセル及び第2のセルと同じ光線角度分布を発生させる。しかし、発生した光線角度分布を有する光線にわたる強度分布は、第1及び第2の強度分布とは異なる。
更に、光学ビーム偏向要素は、第1の偏向領域DR1の直近でそれに対してx方向に横方向にオフセットされた第4の偏向領域DR4を含む。第4の偏向領域は、第4のセルC4内に第4の偏向構造を含み、第4のセルの各々は、第1、第2、及び第3の偏向領域によって同様に発生する光線角度分布内の伝播方向(又は光線角度)を全てが有する第4の光線の第4の光束を生成する。しかし、これらの第4の光線にわたる強度分布は、第1、第2、第3の偏向領域の強度分布とは異なる。第1の偏向領域の他の側部には、図5Aに略示しているように更に別の偏向領域が配置される。
異なる偏向領域DR1、DR2、DR3、DR4等が有する異なるセル内の全ての偏向構造は、ビーム偏向要素の位置に対してフーリエ変換関係にある瞳平面内の特定の二重極空間強度分布に変換される実質的に同じ幾何学的光線角度分布を生成することは理解されるものとする。しかし、第1のセルC1は、回折光線において第2のセル、第3のセル、又は第4のセルとは異なる強度分布を生成する。従って、瞳平面内の照明ゾーン(極)内の空間放射強度分布を入射放射ビームによって照明されるセルの適切な個数と種類とを選択することによって変更することができる。例えば、第1の偏向領域内の第1のセルC1は、二重極照明の2つの極内に一様な強度分布が存在するように構造化することができる。第2の偏向構造にある第2のセルC2は、強度分布の楕円率ELが、第1の偏向領域によって生成される楕円率と比較して低下するように構造化することができる。この状況を「EL」に示している。第3の偏向領域内の第3のセルC3は、第2のセルC2と同じ楕円率(EL-)を発生させるが、全体エネルギが極の間でシフトされ、極均整PBが第1又は第2のセルによって生成される強度分布におけるものよりも小さくなる(PB-に示す)ように構造化することができる。それとは対照的に、第4の偏向領域DR4内の第4のセルC4は、第1の偏向領域DR1内の第1のセルと同じ空間強度分布及び楕円率値を生成するが、極にわたって異なるエネルギ分布を生成して極均整(PB-)を低下させるように構造化される。
当業者は、そのような光学ビーム偏向要素が有効であり、かつ瞳平面内の所定の空間強度分布内で、すなわち、瞳平面内の照明区域の形状、サイズ、及び位置を実質的に変化させることなくエネルギ分布を連続的に変更する照明系内のエネルギ分布マニピュレータとして使用することができることを理解する。これは、図5Aの概略図面から理解することができる。第1の作動位置では、入射放射ビームは、第1の偏向領域DR1のみの上に入射し(フットプリントRB1に示している)、それによって第1のセルC1によって生成される光線角度を有する光線の角度分布及び第1のセルにのみ対応する第1の強度分布を発生させる。ビーム偏向要素のこの中立位置で得られるエネルギ分布が、印刷された構造において不十分な結果しか生成しないことが見出された場合には、別の強度分布を生成する偏向構造が瞳平面内の強度分布の形成に寄与するように入射放射ビームに対してビーム偏向要素を横方向にシフトさせることにより、同じ極にわたるエネルギ分布を変更することができる。この例では、入射放射ビームが、第1の偏向領域DR1内の第1のセルだけではなく、第2、第3、及び第4の偏向領域内の第2のセル、第3のセル、及び第4のセルも照明するように、光学ビーム偏向要素は、x−y平面内でx方向とy方向とに対角線方向SHに沿ってシフトされる。ビーム偏向要素の第2の作動位置における放射ビームのフットプリントRB2を一点鎖線に示している。第2、第3、及び第4のセルが、この時点で入射放射ビームによって照明される単独セルの相対個数にほぼ比例する程度で瞳平面内の全体強度分布に寄与するという事実に起因して、エネルギ分布は、この時点で修正され、低い楕円率(EL-)及び低い極均整(PB-)がもたらされる。第1、第2、第3、及び第4のセルの相対寄与は、入射放射ビームに対するビーム偏向要素の移動量(及び方向)に依存して連続的に変更することができる。
この例示的な説明から、図5のビーム偏向要素を入射放射ビームに対する変位量における方向に基づいて、2つの異なるエネルギ分布パラメータ、すなわち、極均整PBと楕円率ELとを互いに独立して又は組合せで変更するように作動させることができることは明らかである。具体的には、極均整(PB)を低下させるか又は増大させるかのいずれかを行う上で、x方向のみの移動を使用することができる。また、楕円率(EL)を低下させるか又は増大させるかのいずれかを行う上で、y方向のみの移動を使用することができる。x方向とy方向の間の任意の方向の移動は、極均整と楕円率の両方を適切なシフト方向とシフト長さとを選択することにより、連続的に調節可能な量だけ変更することができる。
図6は、y方向に沿って極を有する二重極照明設定における極均整を入射放射ビームRBに対して回折ビーム偏向要素をシフトさせることによって如何に操作することができるかを略示している。図6Aに示す第1の構成では、ビーム偏向要素BDEは、入射放射ビームが第1の偏向領域DR1内のセル上にのみ入射する中立位置に配置される。セルの回折偏向構造は、照明系の瞳PILL内に二重極照明を生成するように構造化される。上部にある部分図は、強度Iが2つの極P1、P2の間で如何に配分されるかを示している。この例では、左手側の第1の極P1は、右手側の第2の極P2よりも大きいエネルギを受け取る。強度の不均衡を極均整PB≠1に示している。極にわたるエネルギ分布の不均衡は、露光工程の不十分な像品質に現れる可能性がある。像品質は、2つの極にわたるエネルギ分布を修正することによって改善することができる。これを図6Bに略示している。この第2の構成では、ビーム偏向要素BDEは、関連付けられた駆動系DRIにより、入射放射ビームRBが、第1の偏向領域DR1内の第1のセルと第2の偏向領域DR2内の第2のセルの両方を第1の偏向領域DR1に対して横方向にオフセットされて照明するようにシフトされる。この領域は、瞳の右側の極により大きい強度を案内し、左手側により小さい強度を案内し、それによってある一定量の放射強度を左手側から右手側にシフトさせる偏向構造を有するセルを含む。ビーム偏向要素は、両方の極が実質的に同じ強度を受け取る位置に制御可能にシフトさせることができ、この状況を極均整PB=1に示している。
次に、回折ビーム偏向要素BDEの第2の実施形態を図7及び図8に関連して解説する。ビーム偏向要素は、入射放射ビームに対するビーム偏向要素の位置の僅かな移動により、ビーム偏向要素によって生成される空間放射分布において非常に高速の変化をもたらすように使用することができる。図7Aに示しているように、ビーム偏向要素は、間隙なしに光学的使用区域全体を埋める直交アレイに配置された矩形の上位セルAの2次元配列を含む。図7Bに示しているように、各上位セルAは、3列3行で配置された9個のセルC1からC9のような所定の個数のセルに再分割される。各セルC1からC9は、単極設定又は四重極設定のような特定の照明設定に従って所定の光線角度分布を有する強度分布を生成する回折構造を有する。光線角度分布は、ビーム偏向要素が、入射放射ビームがビーム偏向要素上の何処に入射するかに関係なく、対応する空間強度分布形状を生成するように、上位セルA内の全てのセルにおいて実質的に同じである。
しかし、セルの偏向構造は、所定の設定範囲のエネルギ分布に関して異なる。この目的のために、ビーム偏向要素は、上位セルAの縁部長さに従う周期性で周期的に繰り返す偏向構造を含む。y方向と平行な1つの周期性方向では楕円率ELは増大が、それに対して極均整は一定である。直交x方向では楕円率は一定であり、極均整が変化する。例えば、上位セルAの左下コーナにある第1のセルC1は、第1の楕円率EL1及び第1の極均整PB1を発生させる。y方向に隣接するセルC2及びC3内では、極均整は同じままに留まり、それに対して楕円率は、セルC2内の第2の楕円率EL2及びセルC3内の第3の楕円率EL3に変更される。上位セルAの第1のセルC1に対して1つのy周期分オフセットされて隣接する上位セルAの第1のセルC1内では、エネルギ分布パラメータPB1及びEL1は、第1のセルC1内のものと同じであり、y方向の周期性を示している。x方向では、類似の方式で楕円率は一定に留まり、極均整が変化する。具体的には、第4のセルC4は、第1の楕円率EL1及び第2の極均整PB2を生成し、第7のセルC7は、第1の楕円率EL1及び第3の極均整PB3を生成する。隣接する上位セルA内に続くセルC1は、第1のC1の構造と同一であり、x方向の周期性を示している。
セルC1、C1、C1のような同じ強度分布を与える全てのセルは、第1の周期的ラスター配列で離間した位置に配置された第1の偏向領域と見なすことができ、隣接する第2のセルは、第1の偏向領域に対して横方向にオフセットされた第2の周期的ラスター配列で離間した位置に配置された第2の偏向領域と見なすことができる。この実施形態は、第3の周期的ラスター配列で離間した位置に配置された第3の偏向領域も含む。
入射放射ビームが、ラスター配列のそれぞれのセル上に照明スポットを形成する部分ビームに分離される場合には、各ラスター配列内で同じ強度分布を生成するセルを同時にアドレス可能である。図8は、そのようなビーム偏向要素BDEをアドレス指定するように構成された瞳成形ユニットのいくつかの構成要素を示している。この概略図では、第1の偏向領域DR1をハッチングに示しており、それに対して第1の偏向領域の間の空間に配置された偏向領域DR2は無地である。ビーム偏向要素BDEは、光軸OAに対して垂直な平面内でビーム偏向要素をシフトさせるように構成された駆動系DRIに関連付けられた保持構造H内に受け取られる。
ビーム送出によって供給される放射ビームRBは、拡大ユニットEXPによって直径が拡大される。拡大ユニットとビーム偏向要素BDEの間にはビーム分離器SEPが配置される。ビーム分離器は、ビーム分離器SEPの照明チャンネル数に対応する個数の部分ビームPBに入射放射ビームを幾何学的に分割する複数の光学チャンネルを形成するレンズ又はレンズ系のラスター配列を含むマイクロレンズアレイを含む。光線が光軸OAに対して基本的に平行にビーム偏向要素上に入射するように全ての部分ビーム内でほぼ共直線の光線を供給するために、ビーム分離器とビーム偏向要素の間に更に別のレンズアレイを配置することができる。ビーム偏向要素の領域内では、部分ビームは、照明される偏向領域のラスター配列に対応するビーム偏向要素の単独セルにサイズ及び位置が対応する照明スポットを形成する。
図8の例では、全ての部分ビームは、2つの種類のビーム偏向領域のみを有するビーム偏向要素内で第1の偏向領域DR1を照明する。図7の実施形態では、ビーム偏向要素が、ビーム分離器によって供給される規則的なパターンの照明スポットに対して適切に位置決めされた場合に、第1のセルC1、C1、C1のみが部分ビームによって照明されるように、照明を再分割することができる。
図示していない代替の実施形態では、ビーム分離器は、ビーム偏向要素に向けられた部分ビームをもたらす複数の透過開口を有する不透過マスクを含む。1つ又はそれよりも多くのマイクロレンズアレイのような比較的複雑で高価な光学要素を省くことができるが、通常、穿孔マスクは、多くの用途において望ましくない場合がある有意な放射損失をもたらす。
交互配置(ネスト)構成にある偏向領域の周期的ラスター配列から構成される2つ又はそれよりも多くの組を有する実施形態では、望ましい幾何学的光線角度分布及び望ましい強度分布を各々が有する射出ビーム(多数の部分ビームから構成される)を生成するために、多数の単独偏向領域を同時に照明することができる。同時に、他の偏向領域が照明されるような入射ビームに対するビーム偏向要素の(又はその逆の)ごく僅かの移動により、強度分布の迅速な変更を行うことができる。入射放射ビームによって照明される偏向領域の種類を完全に変更するのにごく僅かな相対変位しか必要とされないので、この構成は、所定の照明設定の範囲で強度分布の非常に高速な変更を可能にする。
図7及び図8に関連して説明した異なる効果を有する偏向領域から構成される2つ又はそれよりも多くの交互配置された周期的ラスター配列を利用するという概念は、完全に異なる照明設定が望ましい場合に、これらの照明設定の間で切り換えを行う上で利用することができる。例えば、図8の第1の偏向領域は、特定の二重極照明を生成するように構造化することができ、それに対して第2の偏向領域DR2は、四重極照明を生成するように構造化することができる。従って、ビーム偏向要素上に入射する部分ビームによって生成される照明スポットの規則的アレイに対するビーム偏向要素の僅かな移動により、二重極照明と四重極照明の間の高速な変更を提供することができる。
次に、光学ビーム偏向要素の更に別の特性及び異なる実施形態におけるこれらの特性の用法を図9及びそれ以降に関連して説明する。これらの実施形態では、ビーム偏向要素BDEは、屈折ではなく回折によって入射放射の経路変更をもたらす回折光学要素(DOE)の形態にある。従って、以下に続く説明の状況では、「ビーム偏向要素(BDE)」という用語と「回折光学要素(DOE)」という用語とを交換可能に使用することができる。
一般的に、回折光学要素は、偏向構造上に入射する放射ビームRBを構成する放射を基本的にエネルギ損失なしにセル内の回折格子構造の特定の構造によって定められる望ましい伝播方向に偏向する偏向構造として有効な所定の回折格子構造を各々が有する小さいセルの2次元ラスター配列を含むことができる。DOE内には数百個又は数千個のセルが存在することができる。図9は、ビーム偏向要素を組み込む光学系の光軸と平行なものとすることができる基準方向REFと平行にセル上に入射する放射ビームRB内に含まれる放射に対する単一のセルCの光学効果を示している。図9の実施形態では、単独セルC9の照明ゾーンは、放射エネルギ又は放射強度が、放射エネルギを受け取る全ての伝播方向に同じである放射円錐として成形された光線ペンシル(光線束又は部分光線束とも呼ぶ)を生成する。図9は、いくつかの代表的な伝播方向を表す矢印を示しており、この場合、矢印の長さは、矢印によって表す対応する立体角分割区画内で伝播する放射強度に比例する。伝播方向は、空間において基準方向に対する角度を定める方向パラメータu(u,v)によって定めることができる。図9の右手側の図は、光線ペンシルによって含まれる全ての伝播方向uにおいて強度Iが非ゼロ定数I0であり、他の全ての方向において強度がゼロであることを示している。
図10は、回折ビーム偏向要素内に形成されたセルC10内の異なる種類の格子構造の光学効果を示している。この実施形態では、回折格子は、異なる伝播方向の強度が伝播方向にわたって変化し、最外側光線方向の間のある一定の伝播方向がいかなる強度も全く持たない光線ペンシルをセルC10が発生させるように構造化される。具体的に、放射ビームRBの放射は、2つの空間的に分離した光線ペンシルに回折され、各光線ペンシル内では、基準方向に対して大きい角度を有する伝播方向の強度が大きく、基準方向に近い伝播方向に向けてほぼ線形に低下する。図9及び図10は、偏向構造によってもたらされる空間放射強度分布を偏向構造の適切な設計によってターゲット方式で選択することができることを示している。
図11のビーム偏向要素BDEによって例示的に示しているように、ビーム偏向要素は、異なる強度分布を有する射出光線束を生成する異なる偏向構造を有する異なる種類のセルを有することができる。一般的に、ビーム偏向要素は、2つ又はそれよりも多くの異なる種類のセル又は2つ又はそれよりも多くの異なるセル群を有することができ、セル群の各セルは、基本的に同じ回折構造を有する。図11の例では、文字「A」で表す回折セル(種類Aのセル)は、伝播方向A5に最大強度を伝播方向A1に最低強度を有し、これらの方向の間で強度の線形低下を有する光線束を生成する。一方、セルAから空間的に分離して位置した「B」で表すセルは、同じ伝播方向(同じ回折角)を網羅するが、異なる強度分布を有する射出光線束を生成する。具体的には、方向B5(方向A5と平行な)に伝播する放射は、最低量の放射エネルギを搬送し、それに対して方向B1(方向A1と平行な)に伝播する放射は、セルBによって向け直された最大量の放射エネルギを搬送する。言い換えれば、両方のセル(種類A及び種類B)は、同じ伝播方向に強度を有する光線束を生成するが、伝播方向にわたる放射強度の分布は、異なる種類のセルの間で異なる。
ビーム偏向要素の異なる位置に配置された異なるセルは、光線ペンシル(光線束)が放出される光源と見なすことができ、各光線ペンシルは、それぞれの伝播方向とこの伝播方向に沿って進む強度とによって特徴付けられる。異なるセルによって放出される放射は、ビーム偏向要素から同じ伝播方向(又は角度)の下で射出する全ての光線が、ビーム偏向要素の遠視野内に位置する平面内の共通の単一の位置Pに収束するように、ビーム偏向要素の遠視野領域内で重なることになる。言い換えれば、ビーム偏向要素における光線角度(又は伝播方向)は、遠視野内の特定の位置(又は位置)に変換される。同時に、ビーム偏向要素上の異なる位置は、遠視野内の異なる光線角度に対応する。一般的に、ビーム偏向要素の遠視野は、ビーム偏向要素の異なる位置から射出する放射エネルギの重ね合わせによって特徴付けられる。
ビーム偏向要素の異なる位置又はセルから放出される放射の正確に合致する重ね合わせは、ビーム偏向要素の下流の適切な位置に光学変換系Kを配置することによって達成することができる。図11に示している配列では、ビーム偏向要素BDEのセルは、光学変換系K(焦点距離FKを有する)の前側焦点面FFPに配置される。この場合、異なるセルから放出される放射エネルギの正確に合致する重ね合わせが、光学変換系の後焦点面BFP内で得られる。この配列では、後焦点面BFPを「重ね合わせ平面」で表すことができる。FKが光学変換系Kの焦点距離である時には、ビーム偏向要素BDEと重ね合わせ平面の間の距離は、光学変換系Kの焦点距離の2倍である。
この配列では、光学変換系Kによって実施される変換は、フーリエ変換に対応し、ビーム偏向要素BDE上のある放出点における特定の伝播方向範囲(立体角)が、後焦点面BFP内の特定の照明区域IAに変換されるという効果を有する。この効果は、前側焦点面内の各伝播方向が後焦点面内の特定の位置P(x,y)に変換されることに起因する。その結果、前側焦点面内の伝播方向の立体角は、後焦点面内の照明区域に変換される。一般的に、同じエネルギ重心伝播方向u(u,v)を有する全ての部分光線束は、後焦点面BFP内の同じ位置P(x,y)の周りの区域内に重ね合わされる。
一般的に、光学変換系は、前側焦点面内の角度が後焦点面内の位置に(及びその逆に)変換され、前側焦点面内の立体角が後焦点面内の区域に(及びその逆に)変換されるようなフーリエ変換を実行する。この変換を次式によって表すことができる。
P(x,y)=FK *sin u(x,y)
及び
dR(x,y)=FK *d sin u(x,y)
これらの式において、d sin uという項は、光線束のエネルギ重心からの光線束の許容範囲(又は広がり)を表し、sin u(x,y)という項は、光線束のエネルギ重心伝播方向を表す。
顕著なことには、前側焦点面内の(ビーム偏向要素における)光線束の射出点の位置は、強度量だけを考慮する限り、後焦点面内の放射エネルギの重ね合わせに対していかなる影響も持たない。図11には、これをA及びBにおける別々の光線ペンシルによって後焦点面BFP内に生成される強度分布を示す右手側の概略図によって示している。実線は、セルAを出る放射によって生成される強度分布を表しており、破線は、セルBを出る放射によって生成される強度分布を表している。セルAによって生成される最大強度を有する光線A5によって生成される強度寄与とセルBによって生成される最低強度を有する光線B5の強度とは、後焦点面内の同じ位置(A5+B5)において重なることは明らかである。この重ね合わせは、光線A5とB5とが互いと平行であり、すなわち、同じ伝播方向を有することに起因する。同様に、前側焦点面の近くで互いと平行な光線A1とB1とは、照明区域のA1+B1における下側縁部において重なる。異なるセルによって生成される全ての強度にわたる積分は、後焦点面内の照明区域内で、この実施形態では照明区域内の全ての点において均一な強度をもたらす。しかし、各位置Pは、異なる方向(角度)から全体強度への異なる寄与を受け取る。
更に、z方向に対して垂直なx−y平面内での偏向構造(セルA、B)と入射放射との相対変位は、重ね合わせ平面(後焦点面BFP)内での位置P(x,y)を変化させない。
図11に関連して例示的に説明した重ね合わせの原理は、ビーム偏向要素の異なる作動モードを可能にする。一般的に、後焦点面内の照明区域は、入射放射ビームによって照明されるセルからのみ放射強度を受け取る。各照明セルは、それぞれの偏向構造によって判断されるそのセルの特定の偏向特徴に従って重ね合わせに寄与する。後焦点面内の照明区域内の強度分布の特徴は、入射放射ビームRBによって照明されるセルの個数及び種類を選択することによって修正することができる。図12は、いくつかのセルC1、C1などを後焦点面内の強度に寄与するように如何に選択することができるかの一部の例を示している。図12Aの例では、入射放射ビーム(ビーム偏向要素上でハッチングに示している矩形のフットプリント)は、15個のセルを含む矩形の区域を照明する。x−y平面内での入射放射に対するビーム偏向要素の変位及び/又はビーム偏向要素に対する入射放射ビームの変位は、異なる組のセルをアドレス指定するのを可能にする。図12Bは、寄与するセルの選択をビーム偏向要素上の2つ又はそれよりも多くの区域を照明する2つ又はそれよりも多くの部分ビームに再分割することにより、又はビーム偏向要素内のセルを照明する1つ又はそれよりも多くの更に別の光源を追加することによって達成することができることを示している。
本明細書に詳細に説明する実施形態では、ビーム偏向要素の各セルは、基本的に同じ所定の光線角度分布で伝播方向を有する放射を生成する。しかし、強度分布は、所定の伝播方向(又は光線角度)分布内で、異なる種類のセルにおいて異なる。一般的に、互いに隣接するセル、隣接するセル行、又は隣接するセル列の間の強度分布の差は比較的小さく、例えば、約1%と5%の間程度である。
以下に続く例は、セルによって生成される光線角度(伝播方向)分布が全てのセルにおいて同じであるが、所定の光線角度分布にある光線にわたる放射エネルギ(又は強度)分布が異なるセルの間で異なるとすることができる各々が特定の偏向構造を有する複数のセルを有するビーム偏向要素の用法を説明する。設計におけるいくつかの自由度は、これらの限定条件の下に留まる。最初に、光線束を構成する光線にわたる強度分布は、偏向構造を適切に構造化することによって調節することができる。次に、異なるセルは、射出光線束における所定の伝播方向にわたって同じか又は異なる放射エネルギ分布を有することができる。照明されるセルの各々に対して全放射流束が変化しない条件の下では、上述のことは、放射強度を所定の方式で(基本的にエネルギ損失なしに)再配分させるように偏向構造を構成することができることを意味する。
次に、マイクロリソグラフィ投影露光装置における照明系のような照明系内でテレセントリック性マニピュレータとして機能することができる回折ビーム偏向要素の実施形態を図13A、図13Bに関連して以下に説明する。図13Aは、後焦点面が前側焦点面に対するフーリエ変換平面である(図11と比較されたい)前側焦点面FFPと後焦点面BFPとを定める焦点距離FKを有する光学変換系Kを略示している。回折ビーム偏向要素(回折光学要素)は、前側焦点面FFPに配置される。簡略化のために、3つの異なる種類のセル、すなわち、セルA、セルB、及びセルCのみを示している。光学変換系によって定められる光軸に対して基本的に平行な放射ビームを受ける場合に、セルの各々は、照明されると、それぞれのセルによって生成される全ての伝播方向の光線を含む円錐光線束(放射円錐)を放出する。光線角度(伝播方向)分布は、全ての3つの種類のセルA、B、Cにおいて同じである。図13Aは、セルAから放出された代表的な光線A1、A2、A3、セルBから放出された代表的な光線B1、B2、B3、及びセルCから放出された代表的な光線C1、C2、C3を示している。この図では、光線A1、B1、C1(概略図では上方に進む)は、互いに平行であり、すなわち、これらの光線は、前側焦点面の近くで同じ伝播方向を有する。同様に、光線A2、B2、C2は、互いに平行である(かつ光線A1、B1、C1に対して傾いている)。最後に、光線A3、B3、C3(図では下向き方向に進む)は、互いに平行である
異なる伝播方向に進む相対強度を矢印の長さによって示している。比較的大量の放射エネルギが方向A1に沿って進み、より少ない量が方向A2に沿って進み、更に少ない量のエネルギが方向A3に沿って進む。共通の射出点から射出する(又は共通の点に向けて収束する)光線束内に含まれる放射エネルギの分布は、「エネルギ重心光線」又は簡潔に光線束の「エネルギ重心」又は「エネルギ中心」と呼ぶことができる仮想光線によって特徴付けることができる。エネルギ重心光線は、それぞれの伝播方向に進むそれぞれのエネルギ量(又は強度)によって重み付けされた光線束に存在する全ての伝播方向の平均を表す。エネルギ重心の方向は、剛体の重心(COG)の位置と同様に判断することができる。
上述の例に戻ると、セルAから放出される円錐光線束にわたる放射エネルギ分布は非対称(不均整)であり、エネルギ重心ECは、方向A1とA2の間のどこかに位置する。
セルCによって生成される強度分布も非対称であるが、反対方向に非対称であり、従って、エネルギ重心光線は、光線C2とC3の間のどこかに進む。最後に、セルBは、全ての伝播方向にわたって均等な放射エネルギ分布を有する光線束を生成し、従って、エネルギ重心方向は、入射放射と平行に(光線B2と平行に)延びている。
図13Bは、左列に円錐光線束におけるエネルギ状態を示しており、参照符号A、B、及びCは、セルA、B、及びCそれぞれによって生成された放射円錐を通る断面に対応する。「+」符号は、円錐の中心に位置する円錐の各々が有する幾何学的中心GCを表す。この図では、エネルギ重心ECの位置を小さい円で印している。
ここで、入射放射が、全ての3つの種類のセルA、B、及びC上に入射する場合を考察する。図11に関連して上述したように、光学変換系Kの上流で(前側焦点面FFPの近くの円錐先端の領域内で)ある一定の伝播方向に沿って互いと平行に進む全ての光線は、後焦点面BFP内の同じ位置P(x,y)に向けて、この位置の上に入射する全体強度へのそれぞれの寄与を伴って収束することになる。従って、前側焦点面FFP内で互いに対して横方向にオフセットされたセルA、B、Cから放出された光線A1、B1、C1は、後焦点面BFP内の共通点P1上に入射する。しかし、前側焦点面上の各角度が、後焦点面BFP上の位置に変換され、前側焦点面における各位置が、後焦点面における特定の角度に変換されることに注意すると、方向A1、B1、及びC1に進む放射は、異なる方向から(すなわち、異なる角度で)共通点P1上に入射することが明らかである。点P1上に入射する光線の相対強度に起因して、P1に向けて収束する円錐のエネルギ中心E1は、基準方向REFに対して傾斜され、光線A1に対応する方向と光線B1に対応する方向の間に位置する。図13Aでは、点P1上に入射する光線円錐のエネルギ中心E1を太線の破線で印している。同様にして、全く反対の方向にセルA、B、及びCを出る放射(光線A3、B3、及びC3)は、後焦点面内の点P3に向けて、それぞれの強度を伴って収束し、それによって基準方向に対してE1と反対の方向に傾斜されたエネルギ中心E3を有する光線円錐を生成する。点P2上に入射する光線円錐は、各々が同量のエネルギを搬送する光線A2、B2、C2内に含まれる放射から構成される。それぞれのエネルギ重心E2は、基準方向と平行に向けられる。
この簡略化した例は、回折ビーム偏向要素が、放射のエネルギ重心に対応する角度又は方向が照明区域IAにわたって変化する放射束を光学変換系Kの後焦点面内に生成するのに有効であることを示している。この有効性は、照明区域にわたるエネルギテレセントリック性の変化に対応する。本出願に使用する「エネルギテレセントリック性」という用語は、基準方向に対するエネルギ重心の方向の相対的な向きを特徴付けるのに使用することができる。好ましくは、基準方向は、光学変換系Kによって定められる光軸と平行なものとすることができる。この場合、後焦点面内の所定の位置Pにおけるテレセントリック性は、この位置に対応するエネルギ重心の方向と基準方向の間に定められる傾斜角TCによって表すことができる。図13の例では、テレセントリック性は、点P1、P2、及びP3を含む照明区域にわたって空間的に変化する。
この例は、後焦点面(又はそれと光学的に共役な平面)における照明区域内のテレセントリック性状態を調節することを特定の目的としたエネルギ分布マニピュレータとしてビーム偏向要素を使用することができることも示している。例えば、入射放射が、種類A及び種類Bのセル上にしか入射しないように案内される場合には、それぞれのエネルギ中心の方向は、全ての3種類のセルが照明される図13Aに示している状況に対してシフトすることになる。照明区域上に入射する放射を生成するのにビーム偏向要素のセルから構成される異なる部分集合を任意的に選択する効果を図13Bの右列に関連して略示する。「A+B」で表す上側の円では、セルAから放出された放射とセルBから放出された放射との重ね合わせを幾何学的中心(「+」記号)と純A状態におけるエネルギ中心の位置との間のどこかにあるエネルギ重心に示している。同様に、下側の図「A+C」は、種類B及びCそれぞれのセルから放出された放射の重ね合わせを有する状況を示している。
ここで、可変エネルギ分布マニピュレータとして使用することができる回折ビーム偏向要素(回折光学要素)の実施形態を図14A、図14Bに関連して以下に説明する。この実施形態では、様々なセル内の偏向構造は、エネルギ分布における楕円率を補正又は調節するように最適化される。図13A、図13Bの図と同様に、回折光学要素は、入射放射ビームのエネルギ再配分に関して異なる特徴を有するA、B、及びCという名称の3つの異なる種類のセルを有する。矢印の方向は、部分光線束内に含まれる放射エネルギの伝播方向を表し、矢印の長さは、それぞれの強度量を表す。各種類のセルは、図14Bの左列にある断面に示しているように、円錐光線束を生成する。光線A1、A3、B1、B3、及びC1、C3は、y−z平面内の放射方向を表す。A2、B2、及びC2という名称の矢印対は、y−z平面に対して垂直なx−z平面内の放射方向を表す。例示目的でのみこれらの矢印を別々に示している。図13A、図13Bの実施形態の場合と同様に、放射円錐の幾何学的中心GCは、円形断面の中心に位置する。しかし、強度は、円錐内の全ての方向の間で均等に配分されない。代替的に、強度は、円錐の幾何学的中心の周りの中心領域内で一般的に高く、放射円錐の外縁に向けて全ての方向に連続的に低下する。図14Bの左列に示しているように、種類Bのセルによって発生する立体角にわたる放射エネルギ分布は、幾何学的中心GCに関して回転対称であり、すなわち、強度は、入射ビームの方向に沿って最大値を有し、全てのラジアル方向に同じ角度関数に従って徐々に低下する。一方、セルA及びCによって生成される放射束内では、円錐の外縁と比較して高い強度のゾーンは、一般的に、楕円形の形状を有する。セルAによって生成される放射束では、楕円形ゾーンの長軸は、x方向に延びるのに対して、種類Cのセルによって生成される放射束では、楕円の長軸は、y方向に向けられる。種類A及びCのセル内の偏向構造は、放射円錐の幾何学的中心GCに対して2重ラジアル対称性を有するが、いかなる回転対称も持たない強度分布を有する光線束を生成する。更に、強度分布の対称性に従ってエネルギ中心ECは、光線束の幾何学的中心GCと常に一致する。
図13の実施形態と図14の実施形態とを比較すると、図14のセルの各々は、放出放射束内に対称強度分布を生成し、それに対して図13の実施形態のセルは、エネルギ中心が、放射束の幾何学的中心に対して角度によってオフセットされる(偏心する)ような非対称強度分布を生成することに注意すべきである。
本出願の関連では、偏向構造は、エネルギ重心の方向が放射束の幾何学的中心の方向と一致する場合に、放出光線束内に「対称強度分布」を生成する。一方、光線束の幾何学的中心に対応する方向と光線束のエネルギ重心に対応する方向とが一致せず、これらの方向の間に有限角を含む異なる方向に沿って位置する場合には、偏向構造を「非対称強度分布」を生成するもので表す。
異なる種類の偏向セルによって生成される放射エネルギの重ね合わせの効果を光学変換系Kの後焦点面BFPにおける状況を示す図14Aの右手側に例示している。図13Aの場合と同様に、図14Aは、放射が、光学変換系Kの後焦点面BFP内に位置する照明区域内の3つの空間的に分離した点P1、P2、及びP3上に如何に入射するかを略示している。光学変換系は、入射側(前側焦点面)の伝播方向(又は角度)を射出側(後焦点面)上の位置(位置)に変換するので、同じ伝播方向を有する全ての光線A1、B1、及びC1は、ビーム偏向要素を出ると、それぞれの部分強度を伴って共通の点P1に向けて収束し、それによってセルCがセルA及びBよりも相対的に大きいエネルギに寄与することに起因してz方向に向けて傾いたエネルギ中心方向E1を有する収束放射円錐を発生させる。点P2に向けて収束する放射束は、エネルギ重心E2がz方向と平行であるようにエネルギ的に対称である。セルCによって生成される光線C1内に含まれる相対強度と光線C3内に含まれる相対強度とが同じマグニチュードを有し、同様にセルAによって生成される光線A1内に含まれる相対強度と光線A3内に含まれる相対強度とが同じマグニチュードを有することに起因して、点P3に向けて収束する光線束内のエネルギ分布は、点P1に向けて収束する光線束内のエネルギ分布と同じである。それによって点P3に向けて収束する光線束内のエネルギ重心E3の方向は、点P1に向けて収束する光線束内のエネルギ重心E1と平行になる(すなわち、E1‖E3)。言い換えれば、図14Aの実施形態において後焦点面上に入射する放射のテレセントリック状態は、照明区域の外縁において(P1及びP3において)同じである。従って、テレセントリック性は、後焦点面内の照明区域にわたって僅かしか変化しない。それとは対照的に、非対称セルによって生成される図13の実施形態では、テレセントリック性において比較的大きい局所変化が存在する。
図14Bは、ビーム偏向要素内でどの種類のセルが照明されるかに依存する様々な強度重ね合わせを示している。例えば、種類A及び種類Bのセルのみが照明される場合には、重ね合わせ強度(A+B)は、x方向に長軸を伴って延びる楕円ゾーンに似る。セルBからの放射とセルCからの放射とを重ねることにより、y方向に延びる長軸を有する楕円分布B+Cがもたらされることになる。他の組合せが可能である。
図14Bは、生成される強度分布の形状又は形態をセル毎に徐々に変化させることができることを略示している。強度分布形状の変化は、水平方向及び/又は垂直方向に、すなわち、2次元セルアレイの行及び/又は列に沿って発生させることができる。この実施形態では、比較的高い強度を有する部分立体角領域の楕円率の特徴は、異なる種類のセルAとBとCとの間で変化する。より少ない個数又はより多い個数の異なる種類のセルをビーム偏向要素に存在させることができることは言うまでもない。射出放射を生成する特定の関連において実際に照明される各種類のセルのセル種類及びセル数量に基づいて「モーフィング効果」を得ることができる。所定の放射立体角の範囲のエネルギ分布は、入射放射によってどの種類のセルが照明されるか、及び各種類のセルが何個照明されるかを選択することによって変更することができる。それによって放射エネルギが光学系を通じて伝播する際の所定の角度(又は伝播方向)範囲でエネルギ分布を変更することができるエネルギ分布マニピュレータを開発することが可能になる。
図15は、例えば、マイクロリソグラフィのための投影露光系内に使用することができる照明系の実施形態の一部を略示している。概略的なレイアウトは、図4に関連して詳細に説明した照明系ILLの対応する部分と類似のものとすることができる。簡略化の目的で、対応する構成要素又は群を同じ参照識別名で表す。図15に示している構成要素は、エキシマレーザのような1次光源LSによって放出された放射を変換し、照明系の中間視野平面IFP内に照明区域IA(照明視野)を照明強度Iの分布に関して、更に、照明強度がこの照明区域上に入射する方向に関して所定の特徴を伴って生成するように組合せで機能する。
図4の実施形態の場合と同様に、照明系は、照明系の瞳平面PILL内に所定の空間強度分布によって形成される有効光源を発生させる瞳成形ユニットPSUを含む。有効光源が形成される瞳平面PILLは、中間視野平面IFPに対するフーリエ変換面であり、更に、中間視野平面IFPは、マイクロリソグラフィ処理のマスク(レチクル)が位置する投影対物系(図示せず)の物体平面に対して光学的に共役な位置にある。フーリエ変換を実施するために、コンデンサー系CSが設けられる。中間視野平面IFPの下流の構成要素は、図4に示しているものと類似のものとすることができる。
光源LSによって放出された放射は、ビーム送出系BDによってビーム拡大ユニットEXP内に案内され、ビーム拡大ユニットEXPは、照明系の光軸OAに対して基本的に平行に伝播する全ての光線を有する実質的に平行な放射から構成される射出放射ビームRBを形成する。放射ビームRBは、回折光学要素(DOE)で形成された透過光学ビーム偏向要素BDE上に入射する。回折光学要素は、放射を基本的にエネルギ損失なしにビーム偏向要素の光学的下流で望ましい伝播方向に偏向する偏向構造として機能する所定の回折格子構造を各々が有する小さいセルC1、C2のような2次元ラスター配列(行及び列)を含む。
回折ビーム偏向要素BDEは、投影露光装置の制御ユニットCUによって制御される駆動系DRIに関連付けられた交換ホルダH内に受け取られる。駆動系は、光軸OAに対して垂直なx−y平面内でビーム偏向要素を入射放射ビームに対して連続的にシフトさせるように構成される。従って、回折光学要素の移動は、どの単一のセル群(又は複数のセル群)が、放射ビームに配置されるか、従って、照明区域上に入射する照明放射に寄与するかを選択することを可能にする。
ビーム偏向要素は、この回折ビーム偏向要素から射出する発散放射を平行化する光学変換系Kの前側焦点面FFPに位置決めされる。光学変換系は、任意的に1対のアキシコン要素を有するズーム系を含むことができ、又は固定焦点距離を有し、アキシコン要素を有する又は持たない光学変換系のような異なる設計を有することができる。図13及び図14に関連して詳細に説明されているように、光学変換系は、フーリエ変換を実施して、光学変換系の前側焦点面内の回折光学要素を出る放射の光線角度(伝播方向)を後焦点面BFP内の位置に変換し、前側焦点面内の位置を後焦点面BFP内の伝播方向(角度)に変換する。
視野定義要素FDEの第1のラスターアレイRA1は、光学変換系の後焦点面又はその近くに配置される。第1のラスターアレイRA1は、各々が正の屈折力を有するマイクロレンズMLの形態にある複数の第1のラスター要素を含む。ラスター要素は、行と列とで配置され、互いの間に間隙を実質的に持たずに互いに直接に隣接して配置される。図15の子午断面図は、y方向に列を構成する4つのマイクロレンズを示している。マイクロレンズは、照明区域IAにおいて望ましい矩形形状に対応する1以外のアスペクト比を有する矩形形状を有する。視野定義要素は、第1のラスターアレイRA1が位置する後焦点面に対するフーリエ変換平面である照明系の瞳面PILL又はその近くに配置された正の屈折力を有するマイクロレンズの形態にある第2のラスター要素から構成される第2のラスター配列RA2を含む。第1及び第2のラスターアレイRA1及びRA2は視野定義要素FDEの構成要素であり、ラスターアレイ内の対応するマイクロレンズによって定められる複数の光学チャンネルI、II、III、IVを形成する。従って、視野定義要素FDEは、基本的にフライアイコンデンサーと同様に構成される。実際の実施形態では、視野定義要素は、数百の光学チャンネルのような多数の光学チャンネルを有することができる。
第2のラスターアレイRA2のマイクロレンズは、コンデンサー系CSと共に、第1のラスターアレイRA1のマイクロレンズを中間視野平面IFP内に結像し、個々の第1のラスター要素の像は、中間視野平面内で重ね合わされる(完全に重なり合う)。それによって光学インテグレーターの光混合効果が得られる。
図13及び図14に関連して上述したように、回折ビーム偏向要素内の偏向構造の特定の設計は、光学変換系の後焦点面BFP内の点上に入射する放射のエネルギ重心の方向を判断することを可能にする。更に、入射方向は、どの種類のセルが照明されるか、従って、後焦点面上に入射する放射を生成するのに使用されるかを適切に選択することによって変更することができる。ここで、これらの機能が、照明区域IA内の照明強度の特徴に影響を及ぼすことを如何に可能にするかを以下に説明する。
この例では、ビーム偏向要素は、図13に関連して説明したものと類似の非対称強度分布を生成するセルを有することができる。従って、光学チャンネルI及びIIは、放射が光学チャンネルに傾斜して入射するように、エネルギ重心E1、E2の方向が光軸OAとの有限角を含む放射を受ける。光軸の反対側に配置されたチャンネルIII及びIVでは、エネルギ重心E3、E4の方向の上記と反対の傾斜が生成される。
チャンネルの各々内に連続して配置されたマイクロレンズと、その下流に配置されたコンデンサー系のうちの関連付けられた部分とは、理想的な(収差のない)結像系を形成しない。代替的に、光学作用は、入射部分ビームが、光軸に対して基本的に平行に進むか、又は光軸に対して実質的に傾いているかに依存して異なる。光軸に対して基本的に平行に進む入射部分ビームは、照明区域内に照明区域にわたって基本的に一定の強度分布を生成することになるのに対して、入射放射が光学チャンネルに傾斜して入射する場合には、すなわち、光軸に対する有限角の下では、光学チャンネルによって与えられる強度勾配が一般的に生成されることになる。これらの効果の詳細説明は、特許出願US 2009/0021715 A1に、特に、その図1から図6に関連して示されている。それぞれの情報は、引用によって本明細書に組み込まれている。
図15の例示的な実施形態では、光学チャンネルI及びIIを通過する放射は、照明区域内の全体強度分布に対して、最低強度値が照明区域の上側縁部にあり、最大強度値が下側縁部にある照明区域にわたる勾配(実線I+II)を有する部分強度に寄与することになる。一方、光軸に対して反対方向に向けて傾斜された第3及び第4のチャンネルIII及びIVに入射する放射は、最大値を照明区域の上側縁部に有し、最低値を下側縁部に有する勾配(一点鎖線III+IV)を生成することになる。両方の場合に、勾配は線形とすることができる。
照明区域IA内での強度の重ね合わせに起因して、照明区域にわたる全体強度は、破線I−IVに示しているように、照明区域内の全ての位置にわたって一定である。しかし、照明区域内の各位置において受け取られる強度寄与は、強度が入射する照明方向(又はチャンネル)に関して照明区域にわたって変化する。例えば、上側縁部にある視野点P1は、チャンネルI及びIIからよりもチャンネルIII及びIVから相対的に大きいエネルギを受け取る。下側縁部にある視野点P3では反対のことが成り立つ。中心点P2は、全てのチャンネル(すなわち、方向)から基本的に同じエネルギ寄与を受け取る。従って、照明区域内のエネルギ重心の方向(又は角度)は、照明視野にわたって空間的に変化し、これは、照明視野にわたってテレセントリック性(エネルギの)状態の空間変化が存在することを意味する。言い換えれば、照明区域内の全体強度は、照明区域にわたって基本的に一定であるが、強度の角度分布は、照明区域にわたって空間的に変化する。
図15に示している後焦点面内に入射する放射のエネルギ重心E1からE4の方向は、ビーム偏向要素BDEの特定の位置に対して提供した単なる例として用いたものに過ぎず、照明されるセルの選択、すなわち、偏向領域の選択に応じて発生することに注意されたい。後焦点面が照明される方向にわたるエネルギの角度分布に対する調節は、照明系の瞳平面PILL内の空間強度分布を変更することなく、すなわち、照明設定を変更することなく同じビーム偏向要素が有するセルの異なる組(すなわち、別の偏向領域)を照明することによって行うことができる。従って、セルの異なる組が照明されるように図15に示している位置に対してビーム偏向要素を変位させることにより、照明区域IA上に入射する照明放射のエネルギテレセントリック性特性をターゲット方式で変更することができる(図6と比較されたい)。
図16は、エネルギ分布マニピュレータとして使用することができる透過ビーム偏向要素BDEの別の実施形態を示している。ビーム偏向要素は、同一フレネルゾーン構造の行と列とで構成された規則的な2次元アレイで配置された複数の円形フレネルゾーン構造FRを含む。円形フレネルゾーン構造の間には、菱形の間隙空間が形成される。ビーム偏向要素の本体上のフレネルゾーン構造の間の隙間には、CGH構造とも表すコンピュータ生成ホログラム構造CGHが形成される。ビーム偏向要素は、溶融シリカ又はフッ化カルシウム又は入射紫外放射に対して十分な透過性を有する別の材料で作成された板状本体を有する。フレネルゾーン構造及びCGH構造は、リソグラフィ工程のような適切な微細構造化工程によって透過性の本体の片側に形成することができる。ビーム偏向要素の全体の有利区域の50%よりも多くが回折フレネルゾーン構造で覆われる。
フレネルゾーン構造とCGH構造は、両方共に入射放射ビームからビーム偏向要素の遠視野内に円形空間強度分布を生成するのに有効な回折偏向構造である(図16の右側を参照されたい)。従って、ビーム偏向要素が瞳成形ユニット内に適切に組み込まれると、所定のコヒーレンス因子を有する従来照明が、このビーム偏向要素によって生成される。
ビーム偏向要素の照明領域を完全に覆うフレネルゾーン構造とCGH構造との組合せは、CGH構造のみを含む回折ビーム偏向要素と比較して、ビーム偏向要素の効率(又は伝達率)を高めるのに有利であるとすることができる。これは、以下の考察から理解することができる。例えば、リングゾーン内に8段階の位相厚を有する位相段差型の回折フレネル構造は、約94%の理論最高効率に達することができることが研究によって示されている。本明細書に使用する効率という用語は、回折ビーム内の強度比率を入射ビーム内のエネルギ比率で割算したものを表す。一方、8段階CGH構造は、理論的に約90%の最高効率に達する。従って、フレネルゾーン構造を使用することにより、ビーム偏向要素の全体効率(又は伝達率)が高まるように考えられている。従って、フレネルゾーン構造とCGH構造との組合せは、CGH構造のみを有する回折ビーム偏向要素と比較した場合に、ビーム偏向要素の全体効率を高めることができる。一方、フレネルゾーン構造に加えてCGH構造を設けることにより、ビーム偏向要素によって生成される幾何学的光線角度分布内のエネルギ分布に関して高い柔軟性が与えられ、それによって例えば照明系の瞳面内の空間強度分布を微調整することが可能になる。
図17は、上記に解説した実施形態によるビーム偏向要素BDEをビーム偏向要素の特定のセル又はゾーンに各々が関連付けられた複数の部分ビームPBを含む入射放射を供給する特定の構成との組合せで含む照明系の一部分の2つの例を17A及び17Bに示している。これらの配列の各々は、これらの図には示していない光源コントローラによって互いに独立して制御することができる複数の光源LS1、LS2、...などを含む光源配列LSAを含む。この実施形態では、複合光源が有する各個別光源LS1、LS2、LS3等は、点灯構成(×を書き込んだ矩形に示している)と消灯構成(空白の矩形に示している)との間で制御を行うことができる高効率発光ダイオード(LED)である。複合光源とビーム偏向要素の間には、マイクロレンズアレイMLAが、マイクロレンズアレイの単一のレンズが複数の光源のうちの1つからの放射を集光し、かつ基本的にビーム偏向要素のセル又はゾーンのうちの1つのみの上に入射する部分ビームPBを形成するように配置される。個別光源は、2つ又はそれよりも多くの単独セルを含むビーム偏向要素のセルの部分集合に関連付けることができる。
図17Aに示している状況では、第1、第3、第4、及び第6の個別光源LS1、LS3、LS4、及びLS6は点灯しており、それに対して他の光源LS2及びLS4は消灯している。従って、ビーム偏向要素のセル又はセル群C1、C3、C4、及びC6のみがビーム偏向要素を出る放射に寄与し、図示の瞬間に作動状態に使用される第1の偏向領域を組合せで形成する。セルC1、C2のような各々は、射出部分ビーム内に同じ幾何学的光線角度分布を生成するのに有効である。しかし、セル又はセル群は、幾何学的光線角度分布を構成する光線にわたる強度分布に関して異なる。従って、光学ビーム偏向要素は、所定の瞬間にどのセル群が複合光源によって照明されるかに依存するエネルギ分布マニピュレータとして有効である。
図17Aは、全ての単独セルが同じ種類の偏向構造(例えば、回折格子、CGH構造、又はフレネルゾーン構造)で作成されるのに対して、図17Bのビーム偏向要素は、フレネルゾーン構造を有するセルと、フレネルゾーン構造の間の隙間にCGH構造を有する領域とを組み合わせる図16に示している一般的な種類のものである。
一般的に、ビーム偏向要素との組合せで、個々にアドレス可能な単独光源を有する複合光源を組み合わせる配列は、所定の設定範囲の異なるエネルギ分布の間で非常に高速に切り換えを行うことを可能にする。切り換え時間は、例えば、5ms又はそれ未満の程度のものとすることができる。この高速な切り換えは、異なる構成の間で切り換えを行うのにビーム偏向要素を機械的に移動する必要がないことに起因する。
複合光源又は光源配列LSA内での複数の発光ダイオードの使用は、単なる例に過ぎない。他の複合光源が可能である。例えば、単一の入射レーザビームからの放射は、複合光源の光源として機能する2次光源を形成するように集束させることができる複数の部分ビームに適切なビーム分離器によって分離することができる。ビーム偏向要素の単独セル又はセルの部分群は、次に、例えば、適切なシャッターを使用することによって2次光源のうちの1つ又はそれよりも多くを点灯又は消灯することにより、個々にアドレス可能である。
図18は、入射放射の部分ビームPBをそれぞれのセル又はセル群に案内することにより、ビーム偏向要素BDEの単独セル又はセルの部分群を別々にアドレス指定することを可能にする別の配列を示している。入射放射は、例えば、複数の個々に制御可能な発光ダイオードを含む複合光源又は光源配列LSAにより、又は共通の入射レーザビームから生成された2次光源によって供給される。単独光源の各々に関連付けられたレンズ又はレンズ群を有するマイクロレンズアレイMLAは、共通の光軸に対して基本的に平行な光線を有する複数の平行な部分ビームPBを生成する。部分ビームの各々の全体の輝度を別々に制御するのに、部分ビームの各々に対して可変直径を有する開口を与える絞りDを使用することができる。各部分ビームは、光入射側の光軸に対して45°だけ傾斜した複合ミラーアレイMMAが有する複数の傾斜可能ミラー要素MEのうちの1つの上に案内される。複合ミラーアレイは、2次元マイクロミラーアレイを含み、マイクロミラーの各々は、個々のミラーによって反射される部分ビームの方向を制御するために、2つの方向に制御可能方式で傾斜させることができる。この種の複合ミラーアレイは当業技術で公知であり、従って、本明細書では詳細には説明しない。
図18の実施形態では、複合ミラーアレイは、所定の瞬間に光源配列の所定の単独光源によってビーム偏向要素のどの単独セル又はセルの部分群が照明され、ビーム偏向要素を出る全体の放射に寄与するかを選択することができるように、複合光源とビーム偏向要素の間に配置される。言い換えれば、各単独光源とビーム偏向要素内でアドレス可能なセルとの間で可能な可変割り当てが存在する。
図17の実施形態の場合のように、ビーム偏向要素は固定位置に装着され、射出光線束内の異なるエネルギ分布の間の切り換えは、複合ミラーアレイMMAの個々のミラーの反射角を制御することによって行われる。更に、双方向矢印に示しているように、光源LS1、LS2の位置をこれらに関連付けられたマイクロレンズアレイMLAのレンズ又はレンズ系に対して移動することにより、複合ミラーアレイ上に入射する部分ビームの方向及び焦点を調節することができる。図18に例示的に示している種類の配列は、一種類のみの偏向構造(CGH構造又はフレネルゾーン構造)を含むビーム偏向要素、又は図16に示しているように異なる種類の偏向構造の組合せを含むビーム偏向要素との組合せに使用することができる。
複合光源を含む配列は、ビーム偏向要素上に照明スポット配列を形成してビーム偏向要素の選択された領域を照明する複数の部分ビームを生成するのに有効な可変配列であり、配列が有する異なる作動モードにおいてビーム偏向要素上の異なる選択された領域が照明されるように可変的に制御可能な配列の例である。異なる偏向領域を利用するビーム偏向要素が有する異なる作動モード間の選択は、例えば、所定の時間に個別光源のうちのどれが付勢されるかを選択すること、及び/又は図18の複合ミラーアレイのミラーのような空間光調整器の個々に制御可能な要素の特性を選択することによって行うことができる。
本発明の態様を二重極照明設定を例示的に用いて詳細に説明した。二重極照明は、1つの方向にのみ延びる微細な周期的線構造を印刷するのに多くの場合に使用される。他のパターン構造に最適化された他の照明設定を生成し、修正することもできる。マイクロリソグラフィ処理において多くの場合に使用される他の典型的なマスク構造、及びこれらの構造に適合された対応する照明設定の例は、US 2008/0013065 A1に開示されている。この文献のそれぞれの開示内容は、引用によって本出願に組み込まれている。
本明細書に使用する「放射」及び「光」という用語は交換可能であり、紫外(UV)放射(例えば、約365nm、248nm、193nm、157nm、又は126nmの波長を有する)を含む異なる種類の電磁放射を含む。
好ましい実施形態の以上の説明は、一例として提供したものである。提供した開示内容から、当業者は、本発明及びそれに伴う利点を理解するだけでなく、開示した構造及び方法への明らかな様々な変形及び修正をも見出すであろう。従って、本出願人は、全てのそのような変形及び修正を特許請求の範囲及びその均等物によって定められる本発明の精神及び範囲に収まるものとして含めることを求めるものである。