JP5608150B2 - 呼制御システムおよび呼制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、呼制御システムおよび呼制御方法に係り、特に、災害等によって網に輻輳が発生しているときに互いに連絡を取り合いたい者同士を優先して呼接続するための技術に関する。
大地震や風水害などの、大きな被害をもたらす自然災害が発生した場合、安否確認などを目的とする呼が被災地に集中して電話がつながりにくくなる災害型輻輳が生じることがある。このとき、通信システムのダウンにより警察や消防等への緊急電話もつながらなくなることを避けるために、被災地内の端末からの発信や、被災地の端末宛の発信を制限する輻輳制御が行われる。
このような輻輳制御下においても、家族間や友人間、知人間など、互いに連絡したい者同士の通話を優先するための従来技術として、特許文献1には、輻輳発生に伴う通信制限時に新規の発信が行われた際に、その着信先から当該発信元宛への発信がそれ以前になされているか否かを、過去の発信記録のデータベースから検索し、以前に発着が逆の発信がなされている場合は、その呼接続を優先して許可するシステムが記載されている。
特開2011−239316号公報
しかし、特許文献1に記載の先行技術では、新規に呼が発信されたときに、過去の発信記録のデータベースから発着が逆の呼情報をその都度検索して、該当する呼情報があれば通話を優先的に許可するので、次のような問題が生じる。
問題点1:大量発信によりデータベース検索中の呼が積滞し、呼制御機能部のリソース使用率(CPUやメモリの使用率)が逼迫するため、単位時間当たりに処理可能な呼数が制限される。
問題点2:優先的につなぐ呼であっても、呼制御機能部などの網リソースに空きが無ければ通話が開始できず、ユーザによるかけ直しが必要となる場合がある。
問題点3:データベース検索の結果、接続を許可された呼の接続相手が、他端末と通話中の場合は通話が成立せず、接続できない呼処理を行うため、呼制御機能部のリソースを無駄に消費する可能性がある。
本発明は、前記のような先行技術の問題点を解決するためになされたものであり、災害等に伴う輻輳制御下においても、家族間や友人間、知人間など、互いに連絡したい者同士の通話を優先するための、効率的な呼制御を実現する呼制御システムおよび呼制御方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、網の輻輳時に発信規制が実施される呼制御システムであって、端末の呼接続を司る呼接続制御手段により、発信規制の対象となって接続が拒否された呼の発信元電話番号と着信先電話番号とを含む呼情報を、前記呼接続制御手段から受け取り呼情報記憶部に保持する呼情報記憶手段と、前記呼情報記憶手段によって保持される複数の呼情報のなかから、発信元電話番号と着信先電話番号とが互いに逆となっている2つの呼情報を検索し、検索した2つの呼情報の双方に含まれる2つの電話番号間の呼接続の予約を行う呼接続予約手段と、前記呼接続予約手段によって予約された呼接続のなかから、所定の優先順位にしたがって呼接続の対象を選択して、前記呼接続制御手段に、第三者呼制御によって当該呼接続の対象となる電話番号間の通話路を設定させる第三者呼制御手段と、を有する第三者呼接続装置を備えるものとした。
こうすることにより、輻輳制御下において互いに連絡したい者同士の通話を優先するときに、呼接続制御手段の負担を軽減することができる。また、ユーザは何度も電話をかけ直す必要がなくなるので、網の輻輳状態が緩和され、呼接続制御全体の処理効率向上を図ることが可能となる。
また、本発明は、前記の呼制御システムにおいて、網リソースの使用状況を監視する網監視手段を備え、前記第三者呼制御手段は、前記呼接続の対象を選択したのちに、前記網監視手段に網リソースの使用可否を問い合わせるとともに、前記呼接続の対象となる2つの電話番号のそれぞれに対する呼接続を司る2つの呼接続制御手段に、当該電話番号が通話中か否かを問い合わせ、前記網監視手段からの網リソースが使用可能である旨の応答と、前記2つの呼接続制御手段からの当該電話番号が通話中でない旨の応答と、を受信した場合に、前記第三者呼制御による前記通話路の設定を行わせるものとした。
こうすることにより、前記第三者呼制御による前記通話路の設定が失敗する頻度を少なくできるので、呼接続制御全体の処理効率向上を図ることが可能となる。
また、本発明は、前記の呼制御システムにおいて、前記第三者呼制御手段が呼接続の対象を選択するときの前記所定の優先順位は、予約時刻が早いものから選択する選択肢1、発信回数が多いものから選択する選択肢2、発信回数が少ないものから選択する選択肢3、被災地の電話番号を含む電話番号の組から選択する選択肢4、事前にユーザが登録した特定の電話番号の組から選択する選択肢5、携帯電話番号(090,080番号)同士の組から選択する選択肢6、性能の高い呼接続制御手段に収容されている電話番号の組から選択する選択肢7、の任意の組合せによって決定されるものとした。
こうすることにより、公平性を保ちつつ、より必要性が高いと考えられる通話を優先した第三者呼制御を実現することが可能となる。
また、本発明は、前記の呼制御システムにおいて、前記呼接続制御手段は、前記発信規制の対象となって接続を拒否した呼に対して、即座に輻輳トーキまたは輻輳トーンを応答するものとした。
こうすることにより、輻輳制御下における前記呼接続制御手段の処理負荷が軽減されるので、呼の積滞が発生しにくくなり、単位時間当たりに処理可能な呼数を増やすことが可能となる。
また、本発明は、網の輻輳時に発信規制が実施される呼制御システムにおいて、規制対象となった呼の発信元と着信先との端末間の通話路を設定する第三者呼接続装置の呼制御方法であって、端末の呼接続を司る呼接続制御手段により、発信規制の対象となって接続が拒否された呼の発信元電話番号と着信先電話番号とを含む呼情報を、前記呼接続制御手段から受け取り呼情報記憶部に保持する呼情報記憶ステップと、前記呼情報記憶ステップにおいて保持される複数の呼情報のなかから、発信元電話番号と着信先電話番号とが互いに逆となっている2つの呼情報を検索し、検索した2つの呼情報の双方に含まれる2つの電話番号間の呼接続の予約を行う呼接続予約ステップと、前記呼接続予約ステップにおいて予約された呼接続のなかから、所定の優先順位にしたがって呼接続の対象を選択して、前記呼接続制御手段に、第三者呼制御によって当該呼接続の対象となる電話番号間の通話路を設定させる第三者呼制御ステップと、を含むものとした。
こうすることにより、輻輳制御下において互いに連絡したい者同士の通話を優先するときに、呼接続制御手段の負担を軽減することができる。また、ユーザは何度も電話をかけ直す必要がなくなるので、網の輻輳状態が緩和され、呼接続制御全体の処理効率向上を図ることが可能となる。
また、本発明は、前記の呼制御方法において、前記呼制御システムは、網リソースの使用状況を監視する網監視手段を備えており、前記第三者呼制御ステップでは、前記呼接続の対象を選択したのちに、前記網監視手段に網リソースの使用可否を問い合わせるとともに、前記呼接続の対象となる2つの電話番号のそれぞれに対する呼接続を司る2つの呼接続制御手段に、当該電話番号が通話中か否かを問い合わせ、前記網監視手段からの網リソースが使用可能である旨の応答と、前記2つの呼接続制御手段からの当該電話番号が通話中でない旨の応答と、を受信した場合に、前記第三者呼制御による前記通話路の設定を行わせるものとした。
こうすることにより、前記第三者呼制御による前記通話路の設定が失敗する頻度を少なくすることができるので、呼接続制御全体の処理効率向上を図ることが可能となる。
また、本発明は、前記の呼制御方法において、前記第三者呼制御ステップにおいて呼接続の対象を選択するときの前記所定の優先順位は、予約時刻が早いものから選択する選択肢1、発信回数が多いものから選択する選択肢2、発信回数が少ないものから選択する選択肢3、被災地の電話番号を含む電話番号の組から選択する選択肢4、事前にユーザが登録した特定の電話番号の組から選択する選択肢5、携帯電話番号(090,080番号)同士の組から選択する選択肢6、性能の高い呼接続制御手段に収容されている電話番号の組から選択する選択肢7、の任意の組合せによって決定されるものとした。
こうすることにより、公平性を保ちつつ、より必要性が高いと考えられる通話を優先した第三者呼制御を実現することが可能となる。
本発明によれば、災害等に伴う輻輳制御下においても、家族間や友人間、知人間など、互いに連絡したい者同士の通話を優先するための、効率的な呼制御を実現する呼制御システムおよび呼制御方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る呼制御システムの構成図である。 呼管理機能部の機能構成例を示すブロック図である。 呼情報リストの構成およびデータ例である。 発信予約リストの構成およびデータ例である。 呼管理機能部が発信規制の対象となった呼の呼情報を受け付けるまでの動作の流れを示した説明図である。 呼管理機能部が受け付けた呼情報に基づいて互いに発信規制の対象となった2つの電話番号間の呼接続を行う場合の動作の流れを示した説明図である。 呼管理機能部が発信規制の対象となった呼の呼情報を受け付け、第三者呼制御の発信を予約するまでの動作のシーケンス図である。 呼管理機能部が呼接続の対象とする電話番号の組合せを選択して第三者呼制御により呼接続を行う動作のシーケンス図である。
以下、本発明をIP(Internet Protocol)電話ネットワークに適用した場合の実施形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る呼制御システムの構成図である。図1に示すように、呼制御システム100は、IP電話機やIP電話端末ソフトを搭載したPC(Personal Computer)などから構成される、電話番号が「A」である端末A(10A)および電話番号が「B」である端末B(10B)と、それぞれの電話番号に対する呼制御を司る呼接続制御手段としての呼制御機能部#1(20A)および呼制御機能部#2(20B)と、第三者呼接続装置としての呼管理機能部30と、網監視手段としての網監視機能部40とを備えて構築されている。図1には、端末とそれに対応する呼制御機能部とを2組のみ図示しているが、通常は1つの呼制御機能部には多数の端末が接続されるとともに、さらに多くの呼制御機能部を含んで呼制御システム100が構成される。
端末A(10A)から端末B(10B)に発信するときは、端末A(10A)から送信されるSIP(Session Initiation Protocol)信号を、呼制御機能部#1(20A)と呼制御機能部#2(20B)とが端末B(10B)に中継することで、両者の間にIPネットワーク50を介して音声データを送受信するためのSIPセッションが確立される。
呼制御機能部#1(20A)や呼制御機能部#2(20B)など(以下、まとめて呼制御機能部20と略記)は、発信規制の対象となる呼が発信された場合は、直ちに当該呼の発信元の端末10Aや10Bなど(以下、まとめて端末10と略記)に輻輳トーキ(音声ガイダンス)または輻輳トーンを送信するとともに、当該呼の発信元電話番号と着信先電話番号とを含む発信情報(以下、呼情報)を、呼管理機能部30に送信する。また、呼制御機能部20は、呼管理機能部30から問合せを受けた配下の電話番号が通話中か否かを判定し、呼管理機能部30に当該電話番号への接続可否を応答する。
網監視機能部40は、呼制御機能部20から各種の網リソースの使用状況(メモリ使用量、CPU使用率、帯域使用量など)を定期的に収集して不図示の記憶部に保持するとともに、網に輻輳が発生した場合には発信規制などの輻輳制御を行う。また、呼管理機能部30から問合せを受けた2つの電話番号間を呼接続するために必要な網リソースの使用率が所定の閾値を超えているか否かを判定し、呼管理機能部30に網リソースの使用可否を応答する。
また、呼管理機能部30は、輻輳制御下において、互いに通信したい加入者同士の呼接続を優先して行うための制御を司る。
図2は、呼管理機能部30の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、呼管理機能部30は、制御部31と、記憶部32と、通信インタフェース33とを備えて構成されている。制御部31は、呼情報記憶手段としての呼情報登録部311、呼接続予約手段としての発信予約部312、第三者呼制御手段としての第三者呼制御部313を備えている。また、記憶部32は、呼情報記憶部としての呼情報リスト321と、呼接続予約情報の記憶部としての発信予約リスト322とを備えている。
呼情報登録部311は、輻輳制御下において、呼制御機能部20が発信規制のため接続を拒否したときに呼管理機能部30に送信してくる、発信規制の対象となった呼の呼情報を、呼情報リスト321に登録して保持し、後記する集約処理によってその内容を定期的に整理する。
発信予約部312は、呼情報リスト321のなかから発着信の電話番号が互いに逆となっている呼情報の組を定期的に検索して、当該2つの電話番号間の呼接続を行うための呼接続予約情報を、発信予約リスト322に登録する。
図3は、呼情報リスト321の構成およびデータ例である。図3に示すように、呼情報リスト321には、項番、発番号、着番号、受付時刻、および発信回数を属性としてもつ呼情報レコードが登録される。項番とは、各呼情報レコードに付される一連番号である。発番号および着番号とは、呼制御機能部20から受信した呼情報に含まれていた発信元端末の電話番号(発信元電話番号)および着信先端末の電話番号(着信先電話番号)である。受付時刻とは、当該発番号と着番号との組合せに該当する最新の呼情報が呼情報登録部311によって受け付けられた時刻である。また、発信回数とは、発信規制中に同じ発番号と着番号との組合せをもつ呼情報を呼情報登録部311が受け付けた回数であり、呼情報登録部311が新たに受け付けた呼情報を登録するときには、値が「1」に設定される。
呼情報登録部311は、呼制御機能部20から新たな呼情報が送信される毎に、そのなかから発番号と着番号とを抽出し、受付時刻を設定するとともに、発信回数を「1」に設定した新たな呼情報レコードを生成して、呼情報リスト321の最後に順次追加登録していく。また、呼情報登録部311は、定期的に同じ発番号と着番号との組合せをもつ複数のレコードを、1つの呼情報レコードにまとめる集約処理を実行する。この集約処理において、呼情報登録部311は、次の2つの処理を実行する。
処理1:同じ発番号と着番号との組合せをもつ呼情報レコードが複数存在する場合は、受付時刻が最新のレコードだけを残し、その発信回数に当該呼情報レコードの総数を設定する。
処理2:受付時刻から所定時間以上を経過している呼情報レコードを削除する。
このうち、処理1は、同一の発番号から同一の着番号に繰り返して発信が行われた場合に、対応する複数レコードを1つの呼情報レコードにまとめるための処理であり、処理2は、古い呼情報を無効化するための処理であり、いずれも呼情報リスト321が膨大になることを防止するために実行される処理である。
また、発信予約部312は、呼情報リスト321のなかから、発番号と着番号とが互いに逆となっている呼情報レコードの対、例えば、発番号が「A」で着番号が「B」のレコードと、発番号が「B」で着番号が「A」のレコードとの対を、定期的に検索し、該当する呼情報レコードの対があれば、当該2つの電話番号の組合せに対応する発信予約レコードを発信予約リスト322に追加登録して、呼情報リスト321からは双方の呼情報レコードを削除する。
図4は、発信予約リスト322の構成およびデータ例である。図4に示すように、発信予約リスト322には、項番、番号1、番号2、予約時刻、および発信回数を属性としてもつ発信予約レコード(呼接続予約情報)が、発信予約された2つの電話番号の組合せの数だけ登録される。項番とは、各レコードに付される一連番号である。番号1および番号2とは、発信予約される2つの電話番号である。予約時刻とは、当該発信予約レコードがこの発信予約リスト322に追加された時刻である。また、発信回数とは、対応する2つの呼情報レコードに登録されていた発信回数に基づいて設定される回数であり、当該2つの呼情報レコードの発信回数同士を加算した値、いずれか大きい方の発信回数の値、またはいずれか小さい方の発信回数の値が設定される。
図2に戻り、第三者呼制御部313は、発信予約リスト322に登録されている発信予約レコードのなかから、所定の優先順位で発信対象(呼接続の対象)とするレコードを選択し、当該レコードに含まれる2つの電話番号間の呼接続条件が整っているか否かを判定し、呼接続条件が整っている場合は、いわゆる第三者呼制御(3PCC:3rd Party Call Control)によって両電話番号間の呼接続を実行する。
このとき、呼接続条件としては、
条件1:両電話番号間の接続に必要な網リソースが使用可能な状態となっている。
条件2:両電話番号とも通話中ではなく接続可能な状態となっている。
の2つの条件がともに成立している必要がある。
このうち、条件1については、網監視機能部40に網リソースの使用可否を問い合わせ、使用可能である旨の応答が返送されることを確認する。また、条件2については、それぞれの電話番号の呼接続を司る呼制御機能部20に接続可否を問い合わせ、接続可能である旨の応答(通話中でない旨の応答)が返送されることを確認する。
続いて、図1に例示した呼制御システム100において、呼制御機能部#1(20A)が呼接続を司る電話番号帯の地域において災害が発生し、見舞呼等によるトラフィックの増加に対応するために、網監視機能部40から被災地に対しては発信規制が、被災地以外に対しては被災地の電話番号帯を着信先電話番号とする呼の発信を規制する対地発信規制が指示された場合の動作例を説明する。
図5は、呼管理機能部30が発信規制の対象となった呼の呼情報を受け付けるまでの動作の流れを示した説明図である。図5に示すように、端末A(10A)が設置されている地域が被災地となり、網監視機能部40が、呼制御機能部#1(20A)に対しては緊急呼以外の発信の受付を禁ずる発信規制を指示し((1)発信規制)、呼制御機能部#2(20B)に対しては被災地の電話番号帯宛の発信を禁ずる対地発信規制を指示する((2)対地発信規制)。さらに、網監視機能部40は、呼管理機能部30に対して発信規制情報を通知する((3)発信規制情報)。これにより、呼管理機能部30は、発信規制の対象となった呼の呼情報の受付を開始する。
この状態で端末A(10A)から端末B(10B)宛の呼が発信されると((4)Bへ発信)、呼制御機能部#1(20A)は発信規制中であるため、直ちに呼の接続を拒否して端末A(10A)に輻輳トーキ(または輻輳トーン)を送信する一方で、呼管理機能部30に接続を拒否した呼の呼情報を送信する((5)呼情報(A→B)、端末Aから端末B宛の呼が発信されたことを表すものとする)。逆に、端末B(10B)から端末A(10A)宛の呼が発信されたものとすると((6)Aへ発信)、呼制御機能部#2(20B)は端末A(10A)が対地発信規制の対象となっているため、直ちに呼の接続を拒否して端末B(10B)に輻輳トーキ(または輻輳トーン)を送信する一方で、呼管理機能部30に接続を拒否した呼の呼情報を送信する((7)呼情報(B→A)、端末Bから端末A宛の呼が発信されたことを表すものとする)。
このように、発信規制を指示されたそれぞれの呼制御機能部#1(20A),#2(20B)が、発信を行った端末A(10A),B(10B)に対して即座に輻輳トーキ(または輻輳トーン)を返すことにより、同時に多数の端末からの発信がなされた場合であっても、接続判定処理待ち等による呼の積滞を防ぐことができ、処理可能な呼数を増やすことができる。
前記にて説明したように、呼制御機能部#1(20A)および呼制御機能部(20B)から呼管理機能部30に送信された呼情報(呼情報(A→B)および呼情報(B→A))は、呼情報リスト321(図3)に順次追加登録されるとともに、それぞれの繰返しの発信回数を記録する形に定期的に集約されて保持される。
図6は、呼管理機能部30が受け付けた呼情報に基づいて互いに発信規制の対象となった2つの電話番号間の呼接続を行う場合の動作の流れを示した説明図である。前記にて説明したように、呼管理機能部30は、受け付けた呼情報のなかから、発番号と着番号とが互いに逆となっている2つの電話番号の組合せを検索して、その2つの電話番号の組合せを発信予約リスト322に追加登録して保持しており、所定の優先順位にしたがって発信予約リスト322のなかから発信対象(呼接続の対象)とする電話番号の組合せを順次選択し、第三者呼制御による呼接続を実行する。
このとき、発信対象(呼接続の対象)を選択する優先順位の決め方としては、先行技術にて提案されているものも含めて、以下のような選択肢を挙げることができる。優先順位の決定に用いるこれらの選択肢の組合せや選択肢の適用順序は任意に設定可能である。
選択肢1:予約時刻が早いものから選択(先着順)
選択肢2:発信回数が多いものから選択
選択肢3:発信回数が少ないものから選択
選択肢4:被災地の電話番号を含む電話番号の組合せから選択
選択肢5:事前にユーザが登録した特定の電話番号の組合せから選択
本発明では、さらに以下の選択肢6および7を追加して提案する。
選択肢6:携帯電話番号(090,080番号)同士の組合せから選択
選択肢7:性能の高い呼制御機能部に収容されている電話番号の組合せから選択
この選択肢6に関しては、携帯電話は、固定電話に比べてユーザの手元に端末がある可能性が高いと考えられるので、3PCCによる発信に対してユーザが応答し、通話セッションが開始される可能性が高くなるという利点がある。ただし、選択肢6を採用するに当たっては、ネットワークが携帯電話網単体であるか、もしくは固定電話網と携帯電話網との双方の呼制御機能部20および網監視機能部40が、同一の呼管理機能部30と連携可能であることが前提となる。
また、選択肢7においては、各呼制御機能部20に性能の差がある場合、より性能の高い呼制御機能部20に収容されている電話番号の組を選択する。これにより、網監視機能部40への網リソース使用可否の問合せに対して使用可能と判定されやすくなることから、より接続可能性が高い電話番号の組合せを選択することができる。ただし、選択肢7を採用するに当たっては、呼管理機能部30は各呼制御機能部20の性能をあらかじめ保持しておく必要がある。
なお、発信予約リスト322に発信可能な電話番号の組合せがなく、かつ3PCCによる発信能力に余裕がある場合には、発着の電話番号が逆の呼情報でなくても、呼情報リスト321のなかから被災地から発信された呼情報を呼接続の対象として選択するようにしてもよい。これにより、被災地の端末から発信された呼を、他地域の端末から発信された呼よりも優先して呼接続を行うことができる。
ここでは、発信予約リスト322のなかから、端末A(10A)と端末B(10B)との電話番号の組合せが呼接続の対象として選択されたものと仮定し、説明を続ける。図6に示すように、呼管理機能部30は、網監視機能部40に両者間の呼接続に必要な網リソースを確保できることを確認し((8)網リソースはOK?)、呼制御機能部#1(20A)と呼制御機能部#2(20B)とは、それぞれ端末A(10A)と端末B(10B)とが通話中でなく接続可能な状態にあることを確認する((9)Aは接続可?、(10)Bは接続可?)。
呼管理機能部30は、これらすべての接続条件が整わない場合には、次の呼接続の対象を選択して同様の処理を行い、すべての接続条件が整った場合に、端末A(10A)と端末B(10B)との間の第三者呼制御(3PCC)による呼接続を実行する。このように、すべての接続条件が整った場合だけに呼接続を実行することにより、接続不可となる呼を発信する処理のために生じる呼制御機能部20などの網リソースの浪費を防ぐことができる。
3PCCでは、例えば、まず、いずれか一方の端末(ここでは端末A(10A)とする)に対して発信を行い((11)Aへ発信、(12)Aに着信)、端末A(10A)が着信応答したらもう一方の端末(ここでは端末B(10B))に対しても発信を行い((13)Bへ発信、(14)Bに着信)、端末B(10B)が着信応答した時点で、両端末間に通話路としてのSIPセッションを確立させる((15)SIPセッション(通話路))。
図7は、呼管理機能部30が発信規制の対象となった呼の呼情報を受け付け、第三者呼制御の発信を予約するまでの動作のシーケンス図である。
図7において、まず、網監視機能部40は、定期的に呼制御機能部#1(20A),#2(20B)などから、各種の網リソースの使用状況を収集することによって被災地における輻輳の発生を検出し(S1)、被災地の呼制御機能部#1(20A)に発信規制指示を送信し(S2)、被災地以外の呼制御機能部#2(20B)に被災地の電話番号帯への対地発信規制指示を送信し(S3)、呼管理機能部30にそれらの発信規制情報を送信する(S4)。これにより、呼管理機能部30は、呼制御機能部20によって発信規制された呼に関する情報(呼情報)の受付を開始する(S5)。
続いて、被災地の端末A(10A)から被災地以外の端末B(10B)へ発信を行うと、電話番号「A」から電話番号「B」への接続を要求するINVITE信号(図7では、INVITE(from A to B) と表記)が、端末A(10A)から呼制御機能部#1(20A)に送信される(S6)。このとき、呼制御機能部#1(20A)には、発信規制が指示されているため、この接続要求を直ちに拒否して端末A(10A)に輻輳トーキ(または輻輳トーン)を送出し(S7)、呼管理機能部30に当該接続要求があった旨を示す呼情報(図7では、呼情報(from A to B) と表記)を送信する(S8)。同様に、端末B(10B)から端末A(10A)へ発信を行うと、端末B(10B)から呼制御装置#2(20B)にINVITE信号(INVITE(from B to A))が送信され(S9)、端末B(10B)に輻輳トーキ(または輻輳トーン)が送出され(S10)、呼管理機能部30には当該接続要求についての呼情報(呼情報(from Bto A))が送信される(S11)。
呼管理機能部30は、呼制御機能部#1(20A)および呼制御機能部#2(20B)から受信したこれらの呼情報を前記の呼情報リスト321に登録し(S12)、定期的に繰返しの接続要求についての発信回数をカウントして呼情報を集約するとともに、発番号と着番号とが互いに逆となっている呼情報の対があれば、その双方に含まれる2つの電話番号の組合せを前記の発信予約リスト322に登録することにより第三者呼制御の発信予約を行う(S13)。
図8は、呼管理機能部30が呼接続の対象とする電話番号の組合せを選択して第三者呼制御により呼接続を行う動作のシーケンス図である。
図8において、まず、呼管理機能部30は、前記のように所定の優先順位で呼接続の対象とする電話番号の組合せ(発信対象)を選択すると(S14)、網監視機能部40に当該2つの電話番号間の呼接続に必要な網リソースの使用可否を問い合わせる(S15)。その結果、網監視機能部40から使用不可の応答があった場合は、当該電話番号間の呼接続は不可であると判断して、S14に戻って発信対象とする次の電話番号の組合せを選択して、再度網監視機能部40に網リソースの使用可否を問い合わせる。
また、網監視機能部40から使用可能である旨の応答(使用可応答)があった場合は(S16)、次に、呼制御機能部#1(20A)と呼制御機能部#2(20B)とに、それぞれ電話番号「A」と電話番号「B」とが通話中ではなく接続可能であるか否かを問い合わせる(S17,S18)。その結果、呼制御機能部#1(20A)と呼制御機能部#2(20B)とのいずれかから接続不可の応答があった場合は、当該電話番号間の呼接続は不可であると判断して、S14に戻って再び次の電話番号の組合せを選択して同様の処理を行う。
また、呼制御機能部#1(20A)と呼制御機能部#2(20B)との双方から通話中でない旨の応答(接続可応答)があった場合は(S19,S20)、S21〜S32の手順によって端末A(10A)と端末B(10B)との間の3PCCによる呼接続処理を行い、呼接続処理が完了した時点で、発信予約リスト322から当該電話番号の組合せ(発信予約レコード)を削除する(S33)。
この3PCCによる呼接続の手順(S21〜S32)は、非特許文献1に記載のFlowIのシーケンスに基づくものであり、呼管理機能部30が、SDP(Session Decsription Protocol)のoffer/answerモデルを用いて、端末A(10A)と端末B(10B)との間の通話セッションの確立に必要なIPアドレスなどの情報を双方の端末から取得して両者に媒介することによって呼接続を行うものである。
この呼接続の手順では、呼管理機能部30からそれぞれの端末10A,10B宛に発信され中継されたINVITE信号(S22,S26)によって起動される着信音に対して、双方の端末10A,10Bが受話器をオフフックするなどして着信応答すると(S23,S27)、呼管理機能部30が双方の端末10A,10Bに3PCCによるSIPセッションの確立を指示するACK信号を送信し(S30,S32)、これを受信した双方の端末10A,10Bによって通話のためのSIPセッションが確立され、通話が開始される(S34)。
以上説明したように、本発明によれば、大規模災害の発生などにより、特定地域に対する発信が規制されている輻輳制御下であっても、双方の端末間で互いに発信を試みた加入者間を優先して呼接続することが可能となる。また、発信規制時には、各呼接続制御手段(呼制御機能部20)は規制対象の呼に対して即座に輻輳トーキまたは輻輳トーンを応答すればよいので、呼の積滞が発生しにくくなり、従来システムよりも多くの呼処理が可能となる。また、呼接続のための網リソースが使用可能であり、かつ呼接続する2つの電話番号が通話中でないときだけに第三者呼制御による呼接続を行うので、呼接続の失敗によって生じる網リソースの浪費を防ぐことができる。
以上にて本発明を実施するための形態の説明を終えるが、本発明の実施の態様はこれに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
100 呼制御システム
10,10A,10B 端末
20,20A,20B 呼制御機能部(呼接続制御手段)
30 呼管理機能部(第三者呼接続装置)
31 制御部
311 呼情報登録部(呼情報記憶手段)
312 発信予約部(呼接続予約手段)
313 第三者呼制御部(3PCC)(第三者呼制御手段)
32 記憶部
321 呼情報リスト(呼情報記憶部)
322 発信予約リスト(予約された呼接続)
33 通信インタフェース

Claims (7)

  1. 網の輻輳時に発信規制が実施される呼制御システムであって、
    端末の呼接続を司る呼接続制御手段により、発信規制の対象となって接続が拒否された呼の発信元電話番号と着信先電話番号とを含む呼情報を、前記呼接続制御手段から受け取り呼情報記憶部に保持する呼情報記憶手段と、
    前記呼情報記憶手段によって保持される複数の呼情報のなかから、発信元電話番号と着信先電話番号とが互いに逆となっている2つの呼情報を検索し、検索した2つの呼情報の双方に含まれる2つの電話番号間の呼接続の予約を行う呼接続予約手段と、
    前記呼接続予約手段によって予約された呼接続のなかから、所定の優先順位にしたがって呼接続の対象を選択して、前記呼接続制御手段に、第三者呼制御によって当該呼接続の対象となる電話番号間の通話路を設定させる第三者呼制御手段と、を有する第三者呼接続装置を備える
    ことを特徴とする呼制御システム。
  2. 請求項1に記載の呼制御システムにおいて、
    網リソースの使用状況を監視する網監視手段を備え、
    前記第三者呼制御手段は、
    前記呼接続の対象を選択したのちに、前記網監視手段に網リソースの使用可否を問い合わせるとともに、前記呼接続の対象となる2つの電話番号のそれぞれに対する呼接続を司る2つの呼接続制御手段に、当該電話番号が通話中か否かを問い合わせ、
    前記網監視手段からの網リソースが使用可能である旨の応答と、前記2つの呼接続制御手段からの当該電話番号が通話中でない旨の応答と、を受信した場合に、前記第三者呼制御による前記通話路の設定を行わせる
    ことを特徴とする呼制御システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の呼制御システムにおいて、
    前記第三者呼制御手段が呼接続の対象を選択するときの前記所定の優先順位は、
    予約時刻が早いものから選択する選択肢1、発信回数が多いものから選択する選択肢2、発信回数が少ないものから選択する選択肢3、被災地の電話番号を含む電話番号の組から選択する選択肢4、事前にユーザが登録した特定の電話番号の組から選択する選択肢5、携帯電話番号(090,080番号)同士の組から選択する選択肢6、性能の高い呼接続制御手段に収容されている電話番号の組から選択する選択肢7、の任意の組合せによって決定される
    ことを特徴とする呼制御システム。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の呼制御システムにおいて、
    前記呼接続制御手段は、
    前記発信規制の対象となって接続を拒否した呼に対して、即座に輻輳トーキまたは輻輳トーンを応答する
    ことを特徴とする呼制御システム。
  5. 網の輻輳時に発信規制が実施される呼制御システムにおいて、規制対象となった呼の発信元と着信先との端末間の通話路を設定する第三者呼接続装置の呼制御方法であって、
    端末の呼接続を司る呼接続制御手段により、発信規制の対象となって接続が拒否された呼の発信元電話番号と着信先電話番号とを含む呼情報を、前記呼接続制御手段から受け取り呼情報記憶部に保持する呼情報記憶ステップと、
    前記呼情報記憶ステップにおいて保持される複数の呼情報のなかから、発信元電話番号と着信先電話番号とが互いに逆となっている2つの呼情報を検索し、検索した2つの呼情報の双方に含まれる2つの電話番号間の呼接続の予約を行う呼接続予約ステップと、
    前記呼接続予約ステップにおいて予約された呼接続のなかから、所定の優先順位にしたがって呼接続の対象を選択して、前記呼接続制御手段に、第三者呼制御によって当該呼接続の対象となる電話番号間の通話路を設定させる第三者呼制御ステップと、を含む
    ことを特徴とする呼制御方法。
  6. 請求項5に記載の呼制御方法において、
    前記呼制御システムは、網リソースの使用状況を監視する網監視手段を備えており、
    前記第三者呼制御ステップでは、
    前記呼接続の対象を選択したのちに、前記網監視手段に網リソースの使用可否を問い合わせるとともに、前記呼接続の対象となる2つの電話番号のそれぞれに対する呼接続を司る2つの呼接続制御手段に、当該電話番号が通話中か否かを問い合わせ、
    前記網監視手段からの網リソースが使用可能である旨の応答と、前記2つの呼接続制御手段からの当該電話番号が通話中でない旨の応答と、を受信した場合に、前記第三者呼制御による前記通話路の設定を行わせる
    ことを特徴とする呼制御方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載の呼制御方法において、
    前記第三者呼制御ステップにおいて呼接続の対象を選択するときの前記所定の優先順位は、
    予約時刻が早いものから選択する選択肢1、発信回数が多いものから選択する選択肢2、発信回数が少ないものから選択する選択肢3、被災地の電話番号を含む電話番号の組から選択する選択肢4、事前にユーザが登録した特定の電話番号の組から選択する選択肢5、携帯電話番号(090,080番号)同士の組から選択する選択肢6、性能の高い呼接続制御手段に収容されている電話番号の組から選択する選択肢7、の任意の組合せによって決定される
    ことを特徴とする呼制御方法。
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