JP5607051B2 - 三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体製造方法 - Google Patents

三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体製造方法、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体及びこれを含む創傷保護剤及び抗アレルギー性皮膚炎剤に関する。
スイゼンジノリ由来多糖体(サクラン(登録商標)ともいう。)は、スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)から抽出される高分子多糖類であり、NaOH水溶液を用いたスイゼンジノリ由来多糖体製造方法が知られている(特許文献1)。しかし、この方法は、工業的生産を考慮すると、収率が悪く、さらに改善された収率が得られる製造方法が、所望されていた。
また、上記製造方法によって得られるスイゼンジノリ由来多糖体は、水に対する溶解度が1.5%と低いことから、より水溶性の高いスイゼンジノリ由来多糖体が所望されていた。
消毒薬が容易に傷のタンパク質との反応によって細菌を殺す閾値以下の効力になる一方で、欠損組織を再生しつつある人体の細胞を殺すには充分な効力を保っていること、再生組織は乾燥によって容易に死滅し、傷口の乾燥は再生を著しく遅らせること、皮膚のような浅部組織は常在細菌に対する耐性が高く、壊死組織や異物が介在しなければ消毒しなくても感染症に至ることはほとんど無いことなどに注目して考案された、湿潤方法と呼ばれる創傷の治療方法がある。これは、傷口の内部に消毒薬を入れることを避け、再生組織を殺さないように創部を湿潤状態に保ち、なおかつ感染症の誘因となる壊死組織や異物を十分除去することで創部の再生を促すものである。医療現場において、ドレッシング材(被覆材)は、たとえば、ポリウレタンフィルム、ハイドロコロイド、ハイドロジェル、ハイドロポリマーなどが利用されてきた。
しかし、皮膚が再生するまでの時間は、乾燥療法よりも短くなったものの、依然として、かなり長期間を必要とする。また、細菌感染やウイルス感染のリスクが存在するという欠点があった。
WO 2008/062574
本発明は、改善された収率を有するスイゼンジノリ由来多糖体製造方法、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体及びこれを含む創傷保護剤及び抗アレルギー性皮膚炎剤を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意努力した結果、酸処理をすることによって、スイゼンジノリ由来多糖体製造の収率が改善されること、この方法によって得られたスイゼンジノリ由来多糖体が、優れた水溶性を有すること、そして、このスイゼンジノリ由来多糖体が、創傷保護剤及び抗アレルギー性皮膚炎剤として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)を酸で処理することを含む、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体の製造方法。
[2][1]に記載の方法で得られる、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体。
[3]水に対する溶解度が2〜30%である、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体。
[4][2]又は[3]に記載の三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体を含む、創傷保護剤。
[5][2]又は[3]に記載の三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体を含む、抗アレルギー性皮膚炎剤。
本発明によって、スイゼンジノリ由来多糖体製造の収率が改善され、この方法によって得られた三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体は、優れた水溶性を有し、そして、この三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体は、優れた創傷保護効果及び抗アレルギー性皮膚炎効果を奏する。
図1は、マウスの群による耳皮膚症状の平均重症度スコアの経時変化を示すグラフである。Aは、鱗屑/乾燥症状について、Bは、紅斑/出血症状について、Cは、表皮剥離/糜爛症状についてのスコアの経時変化である。なお、SACは、スイゼンジノリ由来多糖体群、HCTは、ヒドロコルチゾン群、VEHは、溶媒対照群、NORMは、正常対照群のデータに対応する。 *は、スイゼンジノリ由来多糖体群及びコルチゾン群の平均重症度が溶媒対照群と比べて有意に軽い(χ検定によるp値が0.01より小さい)ことを示す。#は、スイゼンジノリ由来多糖体群及びコルチゾン群の平均重症度が、溶媒対照群と比べて有意に軽い(χ検定によるp値が0.001より小さい)ことを示す。 図2は、塩化ピクリル暴露後1分以内の30秒間の各マウスの群の引っかき行動数である。なお、VEHは、溶媒対照群、SACは、スイゼンジノリ由来多糖体群、HCTは、ヒドロコルチゾン群、NORMは、正常対照群のデータに対応する。#は、スイゼンジノリ由来多糖体群の引っかき行動数が、溶媒対照群と比べて有意に少ない(スチューデントのt検定によるp値が0.0001より小さい)ことを示す。*は、ヒドロコルチゾン群の引っかき行動数が溶媒対照群と比べて有意に少ない(スチューデンのt検定によるp値が0.05より小さい)ことを示す。**は、スイゼンジノリ由来多糖体群の引っかき行動数がヒドロコルチゾン群と比べて有意に少ない(スチューデントのt検定によるp値が0.05より小さい)ことを示す。 図3は、各マウスの群についての実験第21日目の血清中濃度(pg/ml)を示す図である。Aは、IgE、Bは、TNFα及び Cは、IFNγついての各群の血清中濃度の比較である。#は、有意に低い(スチューデントのt検定によるp値が、0.0001より小さい)ことを示す。*は、有意に低い(スチューデントのt検定によるp値が、0.05より小さい)ことを示す。VEHは、溶媒対照群、SACは、スイゼンジノリ由来多糖体群、HCTは、ヒドロコルチゾン群、NORMは、正常対照群の血清中濃度データを示す。 図4は、実験第21日目の耳皮膚損傷の肉眼像及び耳標本の組織学的特長である。 上の段左の図中の長い矢印は、溶媒対照群のマウスの耳皮膚の皮膚バリアーの完全な破壊、表皮剥離及び出血、角質増殖及び肥大化している部位を示す。上の段中央と右の図中の垂直バーは、スイゼンジノリ由来多糖体群及びヒドロコルチゾン群のマウスにおける左耳皮膚上のいくつかの軽症鱗屑スポットの存在を示す。短い矢印は、発症ゾーンにおける炎症性細胞の存在を示す。
本発明で、スイゼンジノリとは、九州地方に自生している淡水性藍藻類である。本発明に用いるスイゼンジノリとしては、天然由来のものを用いてもよいが、培養されたものを用いることもできる。
スイゼンジノリは、生きたもの又は乾燥したものを用いることができる。スイゼンジノリは、そのまま用いることもできるが、水洗して水溶性色素を除去する、及び/又はエタノール、メタノール、イソプロパノール等のアルコールやアセトンで洗浄して脂溶性色素を除去することもできる。色素の除去は、酸処理の後に行うこともできる。本発明のスイゼンジノリ由来多糖体の製造方法とは、アルカリによる溶解の前に、スイゼンジノリを酸で処理することを特徴とする。用いる酸としては、弗酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、炭酸、リン酸、硼酸、ギ酸、酢酸、酪酸、吉草酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸などのプロトン酸を挙げることができるが、好ましくは、塩酸である。処理時のpHは、1〜5、好ましくは、2〜4、より好ましくは、3である。処理温度は、20〜80℃、好ましくは、50〜70℃、より好ましくは、60℃である。処理時間は、0.5〜2時間、好ましくは、1時間である。次に、酸処理物にアルカリを加え、酸処理物を溶解する。用いるアルカリとしては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、アンモニア水を挙げることができるが、好ましくは、水酸化ナトリウムである。アルカリの濃度は、0.01〜1N、好ましくは、0.1Nである。処理温度は、20〜90℃、好ましくは、60〜80℃、より好ましくは、70℃である。処理時間は、1〜5時間、好ましくは、3時間である。得られた溶解物を酸により中和しスイゼンジノリ由来多糖体の水溶液を得ることができる。必要に応じ、ガーゼ等で濾過して未溶解部分を除去することもできる。得られた水溶液を60−100%イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、ジオキサン、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアミド、テトラヒドロフランなどの水溶性有機溶媒に加えることによって、本発明のスイゼンジノリ由来多糖体を得ることができる。
本発明の方法により得られた三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体は、酸処理により以下の特徴を有しているために、水に対する溶解度が2〜30%と非常に高いものとなっている。
1)初期段階に於ける酸処理により、自然の川の中からスイゼンジノリ由来多糖体の負電荷部位に吸着しスイゼンジノリ由来多糖体分子鎖を物理的に架橋していたカルシウムイオンや鉄イオンなどの多価金属イオンと水素イオンを交換することにより、物理架橋点を除去した。
2)不純物として含まれていたアミノ酸およびその重合物などの多価カチオン性物質と水素イオンを交換することにより除去した。
3)その他の酸分解性不純物を分解除去した。以上により、以前の抽出方法では不純物として混在していたカチオン性成分が、今回の方法により混入しなくなった。
この中のカチオン性成分の代表例である金属イオンの量を、乾燥スイゼンジノリ由来多糖体中における金属酸化物の量として測定すると、下記のようになった。この結果は、明らかにアルミニウムや鉄などの三価金属成分が酸処理により減少していることを示している。スイゼンジノリ由来多糖体の不溶化には物理架橋能の高い三価金属成分の混入が想定されているので、これらの含量が減少していることはスイゼンジノリ由来多糖体の溶解度の上昇に関する原因であると考えられる。すなわち、本発明のスイゼンジノリ由来多糖体は、三価金属の含有量が低減された、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体である。
本発明の三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体の分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー法を用いて測定することができる。外部標準としては、たとえば、分子量200万以下のプルランを用いることができる。
本発明の創傷保護剤及び抗アレルギー性皮膚炎剤の剤型は任意であり、具体的には、液剤、軟膏、貼布剤等を例示することができる。本発明の創傷保護剤及び抗アレルギー性皮膚炎剤は、医薬品、医薬部外品、医療機器、化粧品等の形態であることができる。
また、本発明は、本発明の創傷保護剤又は抗アレルギー性皮膚炎剤を皮膚に塗布することを含む創傷保護剤又はアレルギー性皮膚炎の処置のための方法にも関する。
本発明の創傷保護剤及び抗アレルギー性皮膚炎剤には、本発明のスイゼンジノリ由来多糖体の他に、外用剤に使用される任意の成分を含むことができる。そのような成分としては、水、油剤(油性成分)、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、ゲル化剤、洗浄剤、増粘剤、pH調整剤、界面活性剤、キレート剤、薬剤(薬効成分)、香料、樹脂、防菌防黴剤、酸化防止剤、アルコール類等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の抗老化剤、美白剤、抗酸化剤、抗炎症剤、あるいは他の植物またはその抽出物などとの併用も可能である。
〔実施例1〕
まず、1kgの生きたスイゼンジノリを凍結し、融解した後に十分な量の水で水洗いすることにより水溶性色素を除去した。次いでpHを3.0に調整した塩酸約5リットル中に水洗いしたスイゼンジノリを分散させ、60℃に加熱して攪拌しながら約1時間酸処理を行った。塩酸を分離したスイゼンジノリを約30〜50%の水を含む多量のイソプロパノール中で一昼夜60℃に加熱して攪拌しながら、脂溶性色素を除去した。次いでイソプロパノールを分離した後、室温で一昼夜通風乾燥することで、約12gの色素除去したスイゼンジノリ乾燥物を得た。こうして得たスイゼンジノリ乾燥物を0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液4リットル中で70°Cに加熱し、攪拌しながら約3時間かけて溶解させた。溶解後、塩酸によりpH7.0〜8.0となるように調整し、ガーゼで濾過して溶け残り分を除去した。除去された溶け残り分は粘度の高いゲル状のもので、体積は約60mlであった。以上の操作により抽出したスイゼンジノリ由来多糖体の水溶液を十分な量の100%イソプロパノール(以降 IPAと表記する)に攪拌しながら流し込み、繊維状のスイゼンジノリ由来多糖体を得た。これを真空乾燥してイソプロパノールを除去した後に計量すると7.5gで、生きたスイゼンジノリに対するスイゼンジノリ由来多糖体の収率は0.75%であった。
〔比較例1〕
まず、1kgの生きたスイゼンジノリを凍結し、融解した後に十分な量の水で水洗いすることにより水溶性色素を除去した。次いで約30〜50%の水を含む多量のIPA中で一昼夜60℃に加熱して攪拌しながら、脂溶性色素を除去した。次いでIPAを分離した後、室温で一昼夜通風乾燥することで、約12gの色素除去したスイゼンジノリ乾燥物を得た。こうして得たスイゼンジノリ乾燥物を0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液4リットル中で70°Cに加熱し、攪拌しながら約3時間かけて溶解させた。溶解後、塩酸によりpH7.0〜8.0となるように調整し、ガーゼで濾過して溶け残り分を除去した。除去された溶け残り分は粘度の高いゲル状のもので、体積は約770mlであった。以上の操作により抽出したスイゼンジノリ由来多糖体の水溶液を十分な量の100%イソプロパノールに攪拌しながら流し込み、繊維状のスイゼンジノリ由来多糖体を得た。これを真空乾燥してイソプロパノールを除去した後に計量すると5.7gで、生きたスイゼンジノリに対するスイゼンジノリ由来多糖体の収率は0.57%であった。
〔実施例2〕
次に、実施例1で得た塩酸処理を行ったスイゼンジノリ由来多糖体と、比較例1で得た酸処理を行っていないスイゼンジノリ由来多糖体を、それぞれ0.1M硝酸ナトリウム水溶液に溶解した後、水系カラムにより分子量の測定を行った。実施例1で得た塩酸処理を行ったスイゼンジノリ由来多糖体の分子量は数平均分子量が10.0MDa、重量平均分子量が17.0MDa、分子量分布が1.70であった。即ち酸処理を行ったスイゼンジノリ由来多糖体の分子量は約17MDaと見積もられる。
一方、比較例1で得た塩酸処理を行っていないスイゼンジノリ由来多糖体の分子量は数平均分子量が9.0MDa、重量平均分子量が16.4MDa、分子量分布が1.82であった。即ち酸処理を行っていないスイゼンジノリ由来多糖体の分子量は約16MDaと見積もられる。
この結果から、抽出の工程に塩酸処理を加えることによって、得られるスイゼンジノリ由来多糖体の分子量に低下が認められず、寧ろ大きな分子量を持つスイゼンジノリ由来多糖体を効率的に抽出できていることが確認できた。
〔実施例3〕
次に、実施例1で得た塩酸処理を行ったスイゼンジノリ由来多糖体と、比較例1で得た酸処理を行っていないスイゼンジノリ由来多糖体それぞれの水への溶解性を調べるために溶解実験を行った。溶解実験では、80℃に熱した水に定量したスイゼンジノリ由来多糖体の繊維を投入し、攪拌しながらスイゼンジノリ由来多糖体が均一に分散し完全に溶解するまでの時間を計測した。実験結果を表2に示す。この結果から、塩酸処理を行ったスイゼンジノリ由来多糖体の方が明らかに水への溶解性が高く同一濃度のスイゼンジノリ由来多糖体水溶液を作製する場合、短時間で作製可能であることが確認できた。また、48時間の実験で塩酸処理を行っていないスイゼンジノリ由来多糖体は2%の水溶液を作製することが不可能であったが、塩酸処理を行うことにより、溶解できる最大濃度も明らかに上昇することが確認できた。
比較例1で得た酸処理を行っていないスイゼンジノリ由来多糖体を最大溶解度となるまで溶解することにより1.5%の水溶液を得、その動的粘弾性測定を行った。その結果、損失正接が0.8であり、ゾルゲル転移(溶液状態からゲル状態へと変化すること)における臨界値とされる1に近い値であり、充分な固さを保っておらず、マウスの皮膚の上に塗り広げた後に24時間以内に流れ落ちてしまう程度の流動性であった。
それに対し実施例1で得た酸処理スイゼンジノリ由来多糖体に関しては、より高濃度の水溶液を作製することが出来たので、損失正接をより下げることが出来た。例えば2%の水溶液では0.18であり10%の水溶液では0.11であった。この損失正接値は充分に小さく、マウスの皮膚の上に塗り広げた後に24時間以内に流れ落ちないものであった。これにより、創傷治癒に於ける評価を行うことが可能となった。
引っかき傷モデルにおける三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体の効果を検討した。HR−1ヘアレスマウスにバリカンを加重1kgで2秒×10回押し付けで引っかき傷を作成した。この傷の一部に本発明の三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体を1日1回塗布した。2日後において、スイゼンジノリ由来多糖体非塗布部分と比べて、三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体の塗布部位では、創傷の治癒が肉眼的にも病理学的にも早いことが認められた。
〔実施例4〕
塩化ピクリル接触性皮膚炎に対する三価金属低減スイゼンジノリ由来多糖体の効果を以下に示す。
16匹の雄性NC/Ngaマウス(自然発症皮膚炎モデルマウス、7週齢)を下記の4群に分け、それぞれの塗布群毎の皮膚炎症状の変化を比較した。
1.スイゼンジノリ由来多糖体(SAC)群 (スイゼンジノリ由来多糖体の濃度は水溶液 2重量%。)
2.陽性対照10mg/ml水溶性ヒドロコルチゾン(HCT)群
3.溶媒対照(VEH)群
4.正常対照(NORM)群
マウスの腹部に5%塩化ピクリルを塗布し、マウスを感作した(第1日)。スイゼンジノリ由来多糖体群については、第8、14、16、18及び20日にスイゼンジノリ由来多糖体で前処理し、30分後に1%塩化ピクリルをマウスの耳介に塗布した。VEH群については、バッファーで前処理し、1%塩化ピクリルを塗布した。そして、NORM群については、バッファーでの前処理のみとした。
第8、14、16、18、20日に、引っかき行動をビデオ録画し、そしてデジタルノギスで耳介の厚さ測定した。第21日に、耳の皮膚のバイオプシー及び血液を採取した。IgE、TNFα、IFNγの血中レベルを測定し、皮膚標本をヘマトキシリン−エオシン染色した。
図1は、紅斑/出血(B)及び表皮剥離/糜爛(C)について、溶媒対照群と比べてスイゼンジノリ由来多糖体群及びヒドロコルチゾン群の両者において重症度がより低かったことを示す(それぞれ、p<0.01及びp<0.001)。スイゼンジノリ由来多糖体群は、耳皮膚の鱗屑及び乾燥の進行に対しては良い阻害効果を示したが、この効果は、僅かな有意差に過ぎなかった(p=0.0870)。
図2に見られるように、正常対照群を除き、全てのマウスについて耳皮膚を塩化ピクリルに暴露後、1分以内の経過時間中での30秒間の引っかき行動数を計数した。各マウス群はいずれも塩化ピクリルへの暴露の前30分に、対応する対照薬剤で前処理した。溶媒対照群に比べて、スイゼンジノリ由来多糖体群(p<0.0001)及びヒドロコルチゾン群(p<0.05)において引っかき行動数が統計学的に有意に少なかった。さらに、スイゼンジノリ由来多糖体群は、ヒドロコルチゾン群(p<0.05)に比べてより優れた引っかき行動の阻害効果を示し、スイゼンジノリ由来多糖体群及び正常対照群との間には有意差は全く認められなかった(p>0.05)。
図3に実験第21日目に全てのマウスから血液サンプルを採取し、IgE、TNFα及びIFNγの血清中濃度をELISAキットを用いて測定したデータを示す。対照群と比べてスイゼンジノリ由来多糖体群及びヒドロコルチゾン群マウスではIgE産生が統計学的に有意に低かった(p<0.0001)。スイゼンジノリ由来多糖体群、ヒドロコルチゾン群及び正常対照群の間ではIgEの血清中濃度に統計学的にな有意差は認められなかった(p>0.05)。TNFα及びIFNγの血清中濃度については、スイゼンジノリ由来多糖体群は、溶媒対照群に比べて血清中濃度が有意に低かった(p<0.05)が、ヒドロコルチゾン群は、IFNγの血清中濃度のみ有意に低かった(p<0.05)。図中のIgE、TNFα及びINFγの血清中濃度の値は、平均±標準偏差でデータの範囲を示している(図3)。
図4は、実験21日目のマウスの耳介の皮膚の障害の外観とヘマトキシンーエオシンで染色した組織の観察写真である。溶媒対照群の殆ど全てのマウスで、実験の第2週内に、角質増殖及び耳皮膚の肥大化、軽症から重症の鱗屑、出血及び表皮剥離が見られた。一方、スイゼンジノリ由来多糖体群及びヒドロコルチゾン群マウスでは、この時点で、重症や軽症の皮膚障害は殆ど見られなかった。スイゼンジノリ由来多糖体群及びヒドロコルチゾン群マウスに比べて溶媒対照群マウスでは、出血ゾーンでの炎症性細胞の高密度の浸潤が観察された。

Claims (2)

  1. 下記工程:
    スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)を塩酸で処理し、酸処理物を得る工程、
    得られた酸処理物をアルカリで処理し、溶解物を得る工程、及び
    得られた溶解物を酸により中和し、スイゼンジノリ由来多糖体の水溶液を得る工程
    を含む方法によって得られた、スイゼンジノリ由来多糖体の水溶液を含む、創傷保護剤。
  2. 下記工程:
    スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)を塩酸で処理し、酸処理物を得る工程、
    得られた酸処理物をアルカリで処理し、溶解物を得る工程、及び
    得られた溶解物を酸により中和し、スイゼンジノリ由来多糖体の水溶液を得る工程
    を含む方法によって得られた、スイゼンジノリ由来多糖体の水溶液を含む、抗アレルギー性皮膚炎剤。
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