JP5606612B1 - Ni少量添加WC−Co基超硬合金またはそれを用いた工具 - Google Patents

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【課題】 従来の鍛造工具、切断工具、鉱山工具に用いる超硬合金は、衝撃圧縮強度を改善することが望まれていた。
【解決手段】 WC−Co超硬合金において、Coをγ→ ε’変態を損なわない範囲(0.1at%以上at%以下)でNiに置換し、Crを結合相に対して4mass%以上8.8mass%以下で添加した、WCの平均粒度が1.0μmを超え5.0μm未満の、超硬合金で作製する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、耐摩耗工具のうち特に衝撃圧縮強度を要求される鍛造工具、裁断工具、鉱山工具およびその素材に関する。
耐摩耗工具のうち、衝撃圧縮強度が要求される用途では、WC−Co基超硬合金が用いられている。
特開昭61−012847号公報 特開平02−190439号公報 特開平07−040282号公報 特開平08−336720号公報 特開平11−050182号公報 特開2013−170285号公報 特開平06−158214号公報
M.Hansen,K.Anderko:Constitution of Binary Alloys,Second Edition,McGraw−Hill Book Company,Inc.,1958 鈴木寿、山本孝春、林宏爾:「超硬合金における結合相の相変態について」、粉体および粉末冶金、第14巻第6号、1967年、p.262−266 鈴木寿、林宏爾:「WC−Co超硬合金の機械的性質に及ぼす表面研削の影響」、日本金属学会誌、第38巻第7号、1974年、p.604−608 鈴木寿、椙山正孝、梅田高照:「WC−Co合金の性質におよぼす焼鈍の影響」、日本金属学会誌、第28巻第5号、1964年、p.287−291 鈴木寿、林宏爾、山本孝春、中條宣義:「WC−10%Ni超硬合金の性質と結合相組成との関係」、粉体および粉末冶金、第13巻第6号、1966年、p.290−295 冨士原由雄、植田文洋、正富宏明、鈴木寿:「熱間静水圧焼結したWC−12%Co合金の疲労」、粉体および粉末冶金、第27巻第6号、1980年、p.181−184 鈴木寿、椙山正孝、梅田高照:「WC−Co超硬合金における時効現象について」、日本金属学会誌、第29巻第5号、1965年、p.467−471 鈴木寿、棚瀬照義、中山文夫:「WC−Co低炭素超硬合金の析出処理に基づく強度低下」、粉体および粉末冶金、第23巻第5号、1976年、p.163−166 鈴木寿、徳本啓:「WC−Cr3C2−15%Co超硬合金の組織と機械的性質」、粉体および粉末冶金、第31巻第2号、1984年、p.56−59 寺田修、斎藤実、鈴木寿:「ZrC添加のTiC基サーメットにおけるポアの成因」、粉体および粉末冶金、第40巻第11号、1993年、p.1131−1135
耐摩耗工具のうち、衝撃圧縮強度が要求される用途(鍛造工具、裁断工具、鉱山工具)では、炭化タングステン(WC)、コバルト(Co)、クロム(Cr)を含有し、WCの平均粒度が1.5〜20.0μmの超硬合金が用いられている。本合金については、古くから、強靭化への要望がある。
特許文献1では、組成がWC−0.1〜2.0重量%Cr−5〜40重量%Co(Ni)でWC粒度が0.7μm以下の超硬合金が提案されている。これは粒成長を制御し破壊の起源を小さくすることで平均強度を改善するものである。しかし、微粒WCでは、破壊靱性が低く、衝撃圧縮強度が要求される工具に十分対応出来ていない。
特許文献2では、粉末粒径1〜10μmのWCを用いたWC−0.1〜2重量%TaC(TiC、HfC)−2重量%以下Cr−10〜30重量%Ni超硬合金が長時間の主として水中用切断刃物用として示されている。これはWC−Ni系であるため結合相のγ→ε’変態がなく強度がその分劣る。そのため、実際の工具へのWC−Ni系の応用は、WC−Co系が用い難い場合、例えば耐食性が必要な用途に限られ、衝撃圧縮強度が要求される工具に十分対応出来ていない。
特許文献3では、組成がWC−0.1〜3重量%Cr(V)−5〜20重量%Coで、結合相にCoWが最も多く析出していることを特徴とするせん断刃を提案している。しかしWCの粒径が1.0μm以下であるため、特許文献1と同じく、破壊靱性が低く、衝撃圧縮強度が要求される工具に十分対応出来ていない。
特許文献4では、組成がWC−0.5〜2.0重量%Cr−10〜40重量%Coの切断刃を示し、結合相をWCやCrで固溶強化することを開示した。しかし実施例のWCの粒径が5〜20μmで大きく、WCが破壊の起源になりやすいため本質強度が不足しがちで、衝撃圧縮強度が要求される工具に十分対応出来ていない。
特許文献5では、WC−Co超硬合金を急冷することにより焼結温度直下近傍でCoに固溶したWを冷却過程で析出することなく固化し、Co相の結晶構造としての六方最密充填構造のhcp(ε相)、面心立方構造fcc(γ相)のX線回折強度の比率を0≦hcp/fcc≦0.1とすることで強靭化することを見出した。この技術は、急冷することから複雑な形状では割れ易く工具への応用は単純形状に限定され、衝撃圧縮強度が要求される工具に十分対応出来ていない。
特許文献6では、特許文献5と同様Co相の結晶構造に着目し、fcc(γ相)をなるべく多くする製法を提示している。同文献では800℃以下から500℃以上で保持することを必要としているが、非特許文献1によるCo−W系状態図(図1)によれば、560℃〜730℃にε相があるとされており、これはε相を増加させる可能性がある。
また、非特許文献2に記載されているように古くからWC−Co合金は焼結後にhcp(ε相)は存在せず、fcc(γ相)しか存在しないとされている。そして、非特許文献2および非特許文献3にあるように、γ相は、WC−Co合金の焼結体を加工する際の研削などの加工応力によってγ→ε’変態するので、工具表面部(表面から約20μmの深さ)にはε’相が多く存在する。すなわち、γ相のみのWC−Co焼結体は普通に存在し、さらに加工によってε’相が表面部に生じることから、特許文献6の方法では必ずしも強靭性超硬合金工具が得られるとは限らないので、衝撃圧縮強度が要求される工具に十分対応出来ていない。
以上から、今までの方法では衝撃圧縮強度が要求される用途に十分対応する強靭化方法が見出されておらず、また、従って高い衝撃圧縮強度を持つ工具が得られていない。
そこで、本発明者らは、衝撃圧縮強度が要求される用途に十分対応できる強靭化方法を開発するべく超硬合金の組織と強度の関係を総合的に再検討した。
古くから、WC−Co超硬合金の強化機構としては、結合相のCoの結晶構造の変化すなわちγ→ε’変態の歪誘起変態による強化がよく知られている。そして、今までの文献ではかならずしもよく説明されていないが、Wの固溶による、結合相の固溶強化も知られている。そして、CoWによる析出強化も示されている。
そこで、始めに本発明者らはγ→ε’変態の歪誘起変態による強化を維持しつつ、Wの固溶強化による強靭化を検討し、その次にCoWによる析出強化を検討することとした。
WC−Co超硬合金での結合相中へのWの固溶量は、非特許文献4にあるように低炭素域においては、高炭素域の約2〜3mass%よりもかなり多い、最大10mass%とされている。また、非特許文献5にあるようにWC−Ni超硬合金での結合相中へのWの固溶量は、低炭素域では高炭素域の約10mass%よりもかなり多い、最大31mass%とされており、低炭素域においてはWC−Ni超硬合金はWC−Co超硬合金より多いWにより固溶強化されていると考えられる。
しかし、Ni相は変態をしないので、γ→ε’変態強化が得られない。このため、WC−Ni超硬合金はWC−Co超硬合金に対して機械的性質が劣るとされ、応用が限られている。このことから、γ→ε’変態があって初めてWの固溶強化も効果があると言える。そこで、CoをNiで置換する方法は一見無意味に思えた。
ここで、本発明者らは、非特許文献1のCo−W系状態図(図1)によると、Wの固溶量は400℃ではγ→ε’変態温度およびε→γ逆変態温度に関係しないことを確認した。そして次に、非特許文献1によるCo−Ni系状態図(図2)を確認し、400℃でもCoに対してNiの置換量を約5at%(ほぼ5mass%)以下であれば、γ→ε’変態をほとんど損なわず、Niで置換した分W固溶量を増加できることに気がついた。これらが第1の知見である。
ここで、衝撃圧縮応力が作用する使用条件下では、工具(超硬合金)の変形量が多くなるほど、クラックを生じやすくなり破壊しやすくなる。さらに表面が摩耗するなどして摩擦熱等が発生する場合、例えば冷間鍛造であっても焼付を生じ、焼付いた被加工材の色から、200℃〜400℃に達していることが知られている。そこで、高温ビッカース硬さ試験による400℃での一定時間荷重を保持する方法のクリープ試験を行うことにより超硬合金の変形特性を知ることは、衝撃圧縮応力が作用する使用条件への適性を評価できると考えついた。この場合、変形量が少ない超硬合金ほど優れることになる。これは第2の知見である。
そこで、WC粒度を3.9μmとしたWC−Co超硬合金で低炭素合金とした場合のCoの少量をNiで置換した合金を作製し、高温ビッカース硬さ試験によるクリープ試験を行った。その結果、図3が得られ、予想したとおりWC−Co超硬合金のCoの少量をNiで置換することでクリープ試験時の変形量が抑制され、0.5at%〜at%の間で最も変形量を抑制することができ、約15at%で変形抑制効果は完全に失われ、それ以上ではNi無置換よりも変形量が増加することを確かめた。
念のため、よりCo量の多い場合でも同様のクリープ試験を行い、図4および図5を得て、図3の変形量の抑制が最も大きくなるNi置換量域の再現性を確かめた。次に、Ni置換による固溶強化を確かめるため、図3から図5の結果を、(変形減少量/W固溶量増加分)に及ぼす、CoをNiで置換した影響としてまとめ、それを図6に示す。ここで、変形量、変形減少量、W固溶量増加分の詳細については後述の実施例に関連して示す。
図6より、少量のNi置換により著しく変形量が抑制されることが分かる。結合相量が多い超硬合金の場合ほどその傾向が顕著である。これらのことから、Wの固溶量増加による固溶強化で説明できると思われる。ここで、0.5at%でのW固溶量増加は低炭素合金で0.03at%(0.1mass%)と極めて少ない量であったが(表1、試料No.11とNo.12の比較)、それでも変形量が減少するのは、Ni添加によってNi無添加の場合よりW固溶量が増加したために他ならない。
さらに、3mass(at)%Ni添加から、変形量抑制効果が減少するのは、図2に示されるようにNiで置換するほどγ→ε’変態が抑制される量が増加するためと考えられる。ここで明らかにされた、少量のNi置換により著しく変形量が抑制できることは、今まで知られていない現象であり、第3の知見である。
以上から、WC−Co超硬合金のCoをγ→ ε’変態を損なわない範囲、すなわちCoの0.1at%以上at%以下をNiで置換し、Wの固溶量を従来より0.1mass%〜1.05mass%増加させた超硬合金は有用と思われた。CoのNi置換量を0.1at%以上とする必要があるが、これより少ないと固溶量が急激に変化するので特性が安定しないためである。CoのNi置換量の上限はat%以下としなければならない。これより多く置換するとγ→ε’変態が抑制されてWによる結合相の固溶強化の効果が打ち消されるめである。
合金の靭性に大きく影響する結合相の厚さは、同一の結合相量の下ではWCの粒度に比例する。よって、WCの粒度は、1.0μmを超え、5.0μm未満がよい。この場合の粒度は、合金において、Fullmanの式で測定したものである。非特許文献6より結合相のγ→
ε’変態によって生じるε’相の破面の最小寸法は約1.0μmと見積もられる。よって、WCの粒度を1.0μmを超えるとした。これより小さいとγ→
ε’変態の生成が不十分となる。WCの粒度を5.0μm未満としたのは、5.0μm以上では粗粒WCが破壊の起源となりやすくなって強度が得られなくなるためである。
次に、非特許文献7によると、WC−Co超硬合金を800℃以上1000℃未満で保持して冷却する(以下熱処理と記載する)と組織中に固溶していたWは、CoWとして析出する。これ自体は、特許文献3でも知られていることである。本発明では、予めWC−Co超硬合金のCoの少量をNiで置換し、Wの固溶量を増加しているので、熱処理でのCoWの析出量が従来方法より多くなり、このため、従来知られているCoW増加方法によるよりも長寿命化できた。これは第4の知見である。
結合相量については5mass%以上28mass%以下がよい。5mass%より少ないと、結合相の合金強化効果が得難くなる。28mass%より多いと圧縮強度が不足する。
なお、一般の鋼材などでは固溶強化または析出硬化させると、強度が向上するとされているが、超硬合金の場合は、結合相が硬くなることで脆化することになり、曲げ応力や引張り応力が作用する場合は、不利とされている(非特許文献8)。本発明者らもこの知見に同意する。しかし、鍛造工具、裁断工具、鉱山工具のように主として衝撃圧縮応力が作用する場合は、結合相が硬くなることは、逆に有利となることに今回気がついた。これが第5の知見である。
鍛造工具、裁断工具、鉱山工具では、しばしば耐酸化性、耐食性が必要となるのでCrを結合相に対して4mass%以上8.8mass%以下添加されている。4mass%未満では耐酸化性およびまたは耐食性が不足し、8.8mass%より多いとCrが析出して強度が不足する。非特許文献9によると、Crは低炭素合金では結合相中に約11mass%固溶することが知られており、従ってCr添加によっても固溶強化され、かつγ→ε変態の寄与があると考えられた。
この推察は、図3などと同じ方法でクリープ試験して得た図7により、確証できた。すなわち、結合相に対して5mass%Cr添加までは変形率が減少して最小値を示した。しかし、それ以上の添加では変形率は上昇することが分かった。これは、図8に示すCo−Cr系状態図(非特許文献1)より、γ→ε’変態が最も多くなるのが約5mass%Crで、それ以上のCr添加ではγ→ε’変態が抑制され始めることと一致する。これらの点からもCr添加量は結合相に対して4mass%以上8.8mass%以下の添加がよい。ここで、図7で上限になっている10mass%Cr が、8.8mass%Crに対応する。
最後に、Zrの少量添加(実際はZrCで添加される)も高温特性を改善すると古くから示されている(特許文献7)。本発明者らも、その効果を調べ、分散強化によって、高温での変形が抑制されることを確かめた。しかし、市販のZrCを添加すると、含まれている酸化物ZrOが液相出現後に炭素で還元して生じるCOガスにより合金中にポアを発生する(非特許文献10)。よって、衝撃圧縮強度を必要とする耐摩耗工具には適していない。また、酸素量の少ないZrC粉末が容易には手に入らない。従って、ZrCの少量添加は有効ではない。以上のようにして、本発明を完成した。
WC−Co超硬合金のCoをγ→ ε’変態を損なわない範囲(0.1at%以上at%以下)でNiに置換し、Crを結合相に対して4mass%以上8.8mass%以下で添加した、WCの平均粒度が1.0μmを超え5.0μm未満の超硬合金を使用することにより、衝撃圧縮強度を必要とする耐摩耗工具(鍛造工具、裁断工具、鉱山工具)に十分対応でき、長寿命化を達成できる。
Co−W系状態図である。非特許文献1のp.519のFig.305に一部加筆している。 Co−Ni系状態図である。非特許文献1のp.486のFig.282に一部加筆している。 WC−0.5mass%Cr−10mass%Co超硬合金の、400℃における変形量に及ぼす、Coに対するNi置換量の影響である。 WC−0.9mass%Cr−18%Co超硬合金の、400℃における変形量に及ぼす、Coに対するNi置換量の影響である。 WC−1.1mass%Cr−22mass%Co超硬合金の、400℃における変形量に及ぼす、Coに対するNi置換量の影響である。 図3から図5の結果を、(変形減少量/W固溶量増加分)に及ぼす、CoをNiで置換した影響としてまとめた結果である。 WC−10mass%Co超硬合金の、400℃における変形量に及ぼす、Cr添加の影響である。 Co−Cr系状態図である。非特許文献1のp.467のFig.271に一部加筆している。 試料No.6(従来合金)と試料No.8(発明合金)を用いて衝撃圧縮疲労試験を行った結果である。 試料No.11(従来合金)と試料No.13(発明合金)を用いて、鍛造ダイスを作製して実用試験を行った結果である。 熱処理有無の、試料No.1(従来合金)と試料No.3(発明合金)について、無荷重と荷重4GPaとの間で30Hzの振動数で、衝撃圧縮疲労試験を行った結果である。
原料粉末として平均粒度4μmのWC、1.5μmのCo、2.4μmのNi、1.3μmのCrを用い、粉砕メディアを総粉末量と等量用いて、普通の湿式ボールミルで24hr粉砕し、乾燥、成形して、1380℃で真空焼結した。組成は表1のようにした。こうして得られた超硬合金について、ニコン株式会社製高温ビッカース硬さ試験機QM−2を用いて、荷重を1kgとし、15secと3600secの2種類保持した後の、圧痕の対角長を比較し、その増加率を変形量(%)とした。
図3は試料1から5に関する結果である。図4は試料6から10、図5は試料11から14の結果である。いずれの場合もCoを置換した量が0.5at%〜at%の間で変形量が最も小となっていることが分かる。これらを(変形減少量/W固溶量増加分)に及ぼすNi置換量の関係で見ると図6となり、0.1mass%〜mass%で変形量を小とできることが明らかである。ここで、変形減少量とは、Ni置換の場合の変形量からNi無置換の場合の変形量を引いた値で、W固溶量増加分とは、Ni無置換の場合から増加したW固溶量をいう。
試料No.6(従来合金)と試料No.8(発明合金)を用いて衝撃圧縮疲労試験を行い、図9を得た。無荷重と荷重3.75GPaとの間で30Hzの振動数で実施した。発明合金は破断までの繰り返し回数が約1.7倍以上多く、従来合金より優れることが分かる。
試料No.11(従来合金)と試料No.13(発明合金)を用いて、鍛造ダイスを作製して衝撃圧縮が作用する実用試験を行い、図10を得た。従来合金は、8万shotで亀裂を生じたため再研削を必要としたが、発明合金は24万shotまで使用でき、従来合金の3倍の寿命を示した。
試料No.1(従来合金)および試料No.3(発明合金)を用いて、熱処理を行わない場合と、800℃で1hr加熱する熱処理を行った場合にとついて、無荷重と荷重4GPaとの間で30Hzの振動数で、衝撃圧縮疲労試験を行い、図11の結果を得た。熱処理が共通の場合、熱処理有の場合も無の場合も、試料No.1より試料No.3の方が優れ、同一試料では、熱処理有の方が優れる。前者は、Ni添加でWによる固溶強化があるためであり、後者は予めNi添加でWの固溶量を増加しているため、熱処理後のCo Wの析出が通常より多くなり、より強化されたためである。
本発明合金は衝撃圧縮強度を改善することにより、耐摩耗工具の性能を著しく向上させるものである。本発明合金を鍛造工具、裁断工具、鉱山工具に応用することにより、著しい長寿命化、およびそれに起因する経済性を得ることができる。製品として1年で約10億円以上の売上げが見込まれる。

Claims (3)

  1. WC−5mass%Co〜28mass%Co超硬合金において、結合相のγ→ ε’変態を損なわない範囲である0.1at%以上at%以下のCoをNiで置換し、Crを結合相に対して4mass%以上8.8mass%以下で添加した、WCの平均粒度が1.0μmを超え5.0μm未満の、超硬合金。
  2. 請求項1に記載の超硬合金を真空、窒素または不活性ガスの雰囲気中で800℃以上1000℃未満で20min以上3600min以下の熱処理をすることにより、CoWを析出させ強化した超硬合金。
  3. 請求項1または請求項2に記載の超硬合金を用いて作製した、主として衝撃圧縮応力が作用する、耐摩耗工具。
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