JP6805454B2 - 超硬合金及びその製造方法、並びに超硬工具 - Google Patents

超硬合金及びその製造方法、並びに超硬工具 Download PDF

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Description

本発明は、超硬合金及びその製造方法、さらにその超硬合金を用いた超硬工具に関し、特に、硬度、抗折力、破壊靱性等の機械的特性の改善を図った炭化タングステン系の超硬合金及びその製造方法に関する。
従来、各種の鋼や鋳鉄などの金属材料やその他の加工物に対し切削などの加工を施すため切削工具が用いられている。この種の切削工具にあっては、長期の使用に亘って優れた仕上げ面精度を維持し、しかも安定した切削性能を発揮することが望まれている。このような要求を満たすため、高い硬度を有しながら高い抗折力を有する素材として、炭化タングステン(WC)の微細粒子をCoにより液相焼結したWC基超硬合金が広く用いられている。
この種のWC基超硬合金は、焼結工程において、硬質相を構成するWC粒子の成長が進むと、WC粒子を粗大化させ、硬さや曲げ強度等の機械的特性を低下させてしまう。このような問題点を改善するため、WC粒子の粒成長を抑制し、微細な粒径のWC粒子を形成し、機械的特性の改善を図った超硬合金が提案されている(非特許文献1)。
非特許文献1には、WC−Co超微粒超硬合金において、Co相中に溶解しないTi(C,N)を添加することにより、液相焼結時においてWC粒子の粒成長抑制が実現できることが記載されている。さらに、非特許文献1には、WCの粉末とCoの粉末を混合した混合粉末にTi(C,N)とCrの粉末を所定量ずつ複合添加した原料粉末を用いて焼結されたWC−Co超微粒超硬合金は、高硬度で高抗折力が得られる旨が開示されている。
高田直之、森吉弘、松田哲志、松原秀彰、「WC基超硬合金のTi(C,N)微粒子ピン止め効果による超微粒合金化について」、紛体粉末冶金協会、2015年度春季大会、大会概要集p.25
ところで、切削工具等の超硬工具に用いられる超硬合金にあっては、高硬度で高抗折力を有するのみならず、破壊靱性に優れていることが望まれている。さらに、超硬工具に用いられる超硬合金にあっては、耐酸化特性、耐食特性に優れていることが望まれている。
そこで、本発明は、高硬度で高抗折力を有し、しかも破壊靱性に優れ、さらには耐酸化特性、耐食特性に優れた超硬合金及びその製造法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、長期の使用に亘って優れた仕上げ面精度を維持し、しかも安定した切削性能を発揮することができる切削工具等の超硬工具を提供することを目的とする。
本発明者等は、炭化タングステン(WC)を主体とする硬質相と、Co、Ni及びFeからなる群より選択された少なくとも一種を主体とする結合相とを有する超硬合金が有する硬度、抗折力、破壊靱性等の改善を図ることを目的に鋭意研究した結果、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、硬質相を構成する炭化タングステン(WC)を主体とする粉末と、結合相を構成するCo、Ni及びFeからなる群より選択された少なくとも一種を主体とする粉末と、分散相を構成するTi化合物からなる粉末とを混合した原料粉末を所定形状に圧縮成形してなる圧縮成形体の焼結体からなる超硬合金であって、原料粉末を所定形状に圧縮成形した圧縮成形体を焼結して形成されてなる超硬合金であって、炭化タングステン(WC)を主体とする硬質相と、Co、NiおよびFeから成る群より選択された少なくとも一種を主体とする結合相と、前記結合相中に分散生成された粒径を50〜300nmとする下記一般式(1)で示されるチタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相とを備え、
(Ti1−x,W)(C1−Y,N) ・・・(1)
(式中、Xは0.2〜0.6であり、Yは0.2〜0.6である。)
前記結合相中に分散生成された前記チタン系炭窒化物の微細粒子の少なくとも一部が前記硬質相を構成するWC粒子の表面に付着して食い込み、前記WC粒子の表面に微細凹部を形成し、前記焼結による前記WC粒子の粒成長が抑制されていることを特徴とする。
本発明に係る超硬合金は、全重量に対し5〜30重量%の結合相と、0.15〜15重量%の分散相を含有して構成されている。残部は、硬質相と不可避不純物を含む。なお、分散相は、結合相に対しは3〜50重量%の割合で含有されている。
また、本発明において、前記炭窒化物を構成するWの一部をTa,Nb,Mo,Zr,Hf,Cr,Vからなる群より選択された少なくとも1種で置き換えたものであってもよい。
さらに、本発明は、上述した超硬合金を用いて形成した超硬工具である。
また、本発明は、超硬合金の製造方法であって、まず、硬質相を構成する炭化タングステン(WC)を主体とする粉末と、結合相を構成するCo、Ni及びFeからなる群より選択された少なくとも一種を主体とする粉末と、分散相を構成する(Ti,W)C,(Ti,W)(C,N),TiC,TiN,Ti(C,N)から選ばれた少なくとも1種のTi化合物からなる粉末とを混合して作成した原料粉末を所定形状に圧縮成形して圧縮成形体を作成する。
次に、圧縮成形体を真空雰囲気若しくは不活性雰囲気とされた加熱炉内で600〜900℃に加熱して予備焼結体を作成する。
その後、前記予備焼結体を酸化雰囲気中で1000℃となるまで加熱して、前記原料粉末に混合されたTi化合物を酸化し、次いで、この酸化されたTi化合物を前記原料粉末に混合された炭素粉末により還元、炭化してTi炭酸化物若しくはTi複炭酸化物を生成する。
さらに次いで、前記予備焼結体を窒素雰囲気中で1000℃以上に加熱して窒化処理し、前記還元、炭化の工程で生成されたTi炭酸化物若しくはTi複炭酸化物を還元、窒化し、Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物を生成する。
さらに次いで、前記予備焼結体を前記結合相を構成する金属が溶融して液相となる液相温度以上の温度である1350〜1500℃にて60〜120分間加熱処理し、焼結体としての超硬合金を得る。
そして、前記焼結体を生成する工程において、前記Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物に前記圧縮成形体中に含まれるWCを拡散させ、粒径を50〜300nmとする下記一般式(1)で示されるチタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相を前記結合相中に分散生成する。
(Ti1−X,W)(C1−Y,N) ・・・(1)
(式中、Xは0.2〜0.6であり、Yは0.2〜0.6である。)
このとき、分散相を構成するチタン系炭窒化物の微細粒子の少なくとも一部が、前記硬質相を構成するWC粒子の表面に付着し前記WC粒子の表面に微細凹凸を形成する。
なお、本発明方法において、Ti化合物としてTiOを用いたときには、原料粉末に含有されたTiOを直ちに前記原料粉末に原料粉末に混合した炭素粉末によりを還元し炭化してTi炭酸化物を生成するようにしてもよい。
本発明方法において、チタン系炭窒化物の微粒子は、Ti化合物を還元、炭化して生成されたTi炭酸化物若しくはTi複炭酸化物に窒化処理を施して生成されたTi(C,N)にWCを拡散させて生成したものを用いることができる。
本発明方法において、原料粉末に混合される分散相を構成するTi化合物は、TiC換算で、結合相を構成する金属粉末に対し2〜20重量%の範囲で添加されることが望ましい。
本発明に係る超硬合金は、結合相中に微細なチタン系炭窒化物の微細粒子が分散生成され、その一部がWC粒子の表面に付着することにより、焼結によるWC粒子の粒成長が抑制され、WC粒子の表面に微細凹凸が形成される。そして、本発明に係る超硬合金は、結合相の硬質相に対する密着性が改善され、破壊靱性に優れ、所望の硬度、抗折力を有し、さらには耐酸化特性、耐食特性に優れた特性を有する。
そして、本発明に係る超硬工具は、硬度、抗折力、破壊靱性が改善された超硬合金により形成されたことにより、長期の使用に亘って優れた仕上げ面精度を維持し、しかも安定した切削性能を発揮することができる。
本発明に係る方法を採用することにより、焼結時にWC粒子の粒成長を抑制した超硬合金を製造することができる。
本発明の実施例1に係る超硬合金の結合相中に(Ti,W)(C,N)の微粒子が生成された状態を示す断面組織の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1に係る超硬合金において、硬質相を構成するWC粒子の表面に微細凹凸が形成されている状態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2に係る超硬合金の結合相中に(Ti,W)(C,N)の微粒子が生成された状態を示す断面組織の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2に係る超硬合金において、硬質相を構成するWC粒子の表面に微細凹凸が形成されている状態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例3に係る超硬合金の結合相中に(Ti,W)(C,N)の微粒子が生成された状態を示す断面組織の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例3に係る超硬合金において、硬質相を構成するWC粒子の表面に微細凹凸が形成されている状態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例4に係る超硬合金の結合相中に(Ti,W)(C,N)の微粒子が生成された状態を示す断面組織の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例4に係る超硬合金において、硬質相を構成するWC粒子の表面に微細凹凸が形成されている状態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例5に係る超硬合金の結合相中に(Ti,W)(C,N)の微粒子が生成された状態を示す断面組織の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例5に係る超硬合金において、硬質相を構成するWC粒子の表面に微細凹凸が形成されている状態の一例を示す走査型電子顕微鏡写真である。
本実施の形態に係る超硬合金は、WC粒子を主体とする硬質相と、Co、Ni、Co−Ni合金、Co−Fe合金、Fe−Ni合金から選択された1種以上、若しくはこれら金属の少なくとも1種と、20重量%以下のW、CrとMoとVを固溶したCo−W合金、Ni−Cr合金、Co−Cr−V合金、Co−Ni−Cr合金、Co−Ni−W−Cr合金、Fe−Ni−Co−W−Cr−Mo合金のいずれか1種以上を含む結合相と、結合相中に分散生成されたチタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相とから構成されている。
この超硬合金において、結合相は、超硬合金の強度と靱性を維持するため、全重量に対し5重量%以上含有することが望ましく、超硬合金の硬度を維持するため全重量に対し30重量%以下であることが望ましい。そして、分散相は、WC粒子の表面に付着し、WC粒子の表面に微細凹凸を形成するため全重量に対し0.15〜15重量%の範囲で含有することが望ましい。分散相が、超硬合金の全重量に対し15重量%以上含有すると、分散相が凝集してWC粒子の表面に形成される微細凹凸の微細化が阻害される。この分散相は、結合相に対しては3〜50重量%の範囲で含有する。なお、超硬合金の残部は、硬質相を構成するWCと不可避不純物を含む。
そして、硬質相は、粒度を0.5〜30μmとするWC粉末により構成されている。結合相は、Co、Ni、Co−Ni合金、Fe−Ni合金から選択された1種以上、若しくはこれら金属の少なくとも1種と、20重量%以下のW、CrとMoとVを固溶したCo−W合金、Co−Cr合金、Co−Cr−V合金、Co−Ni−Cr合金、Co−Ni−W−Cr合金、Fe−Ni−Co−W−Cr−Mo合金のいずれか1種以上を含む金属により構成されている。
本実施の形態に係る超硬合金は、結合相中に分散されたチタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相を有する。この分散相は、下記一般式(1)で示されるチタン系炭窒化物であって、粒径を50〜300nm以下とする微細粒子からなる。
(Ti1−X,W)(C1−Y,N) ・・・(1)
(式中、Xは0.2〜0.6であり、Yは0.2〜0.6である。)
上記式(1)で示されるチタン系炭窒化物の微細粒子は、結合相中に生成され、その少なくとも一部は、硬質相を構成するWC粒子の表面に付着し、WC粒子の表面に微細凹凸を形成する。
本実施の形態に係る超硬合金において、WC粒子の表面のチタン系炭窒化物の微細粒子が付着した部分は、焼結過程において粒成長が阻害され、粒成長が抑制される。WC粒子の粒成長が抑制されることにより、WC粒子は、初期の粒度を維持することができ、所期の目的とする機械的な特性を有する超硬合金を得ることができる。
さらに、本実施の形態に係る超硬合金は、WC粒子の表面に微細凹凸が形成され、WC粒子の表面積が拡大することにより、WC粒子と結合相を構成する結合金属との密着性が向上する。さらに、WC粒子の表面積が増大することにより、WC粒子間を結合する結合金属の膜厚が小さくなり、当該超硬合金の硬度が上昇すると判断される。
このように、本実施の形態に係る超硬合金は、結合相中に微細なチタン系炭窒化物の微細粒子が分散生成され、その一部がWC粒子の表面に付着することにより、WC粒子の表面に微細凹凸が形成されWC粒子の粒成長が抑制される。その結果、本実施の形態に係る超硬合金は、結合相の硬質相に対する密着性が改善され、破壊靱性に優れ、所望の硬度、抗折力を有し、さらには耐酸化特性、耐食特性に優れた特性を有するものとなる。
また、本実施の形態に係る超硬合金は、結合相中に分散生成される微細粒子を構成するチタン系炭窒化物を構成するWの一部を、Ta,Nb,Mo,Zr,Hf,Cr,Vからなる群より選択された少なくとも1種で置き換えたものであってもよい。Wの一部と置き換えられる金属材料は、原料粉末中に予め添加される。なお、上記金属によるWの一部の置き換えは、本実施の形態に係る超硬合金を焼結する工程中で行われる。
上述した本実施の形態に係る超硬合金は、切削工具等の超硬工具に加工される。この超硬工具は、本実施の形態に係る超硬合金を基材とし、既知の製造方法を採用して製造される。
次に、本実施の形態に係る超硬合金の製造方法について説明する。
まず、本実施の形態に係る超硬合金を製造するために必要な原料粉末を準備する。この原料粉末は、硬質相を構成する金属粉末と、結合相を構成する金属粉末と、分散相を構成する金属粉末からなる。
硬質相を構成する金属粉末には、粒度(平均粒径)を0.5〜30μmとするWC粉末が用いられる。結合相を構成する金属粉末には、Co、Ni及びFeからなる群より選択された少なくとも一種を主体とする金属粉末が用いられる。結合相を構成する金属粉末には、さらに、Ta,Nb,Mo,Zr,Hf,Cr,Vからなる群より選択された少なくとも1種を添加するようにしてもよい。この結合相を構成する金属粉末には、粒度(平均粒径)を0.5〜3μmとするものが用いられる。そして、分散相を構成する金属粉末には、(Ti,W)C,(Ti,W)(C,N),TiC,TiN,Ti(C,N),TiOから選ばれた少なくとも1種を含むTi化合物からなる粉末が用いられる。ここで用いられるTi化合物の粉末は、粒度(平均粒径)を0.5〜3.0μmとするものが用いられる。これら金属粉末は、いずれも市販されているものを用いることができる。
なお、Ti化合物は、粒径の小さいチタン系炭窒化物が生成されるように、より粒径の小さい粉末を用いることが望ましく、0.5〜1.0μmのものが用いられる。
そして、原料粉末は、結合相を構成する金属粉末を5〜30重量%を含有し、分散相を構成するTi化合物をTiC換算で2〜20重量%を含有し、残部に硬質相を構成するWC粉末と不可避不純物を含有して構成されている。
原料粉末は、アトライターや転動ボールミルなどを用いて混合される。原料粉末は混合処理されることにより、各材料が均等に配合された状態となる。
原料粉末には、所定形状に成形する際の成形性を考慮し、パラフィンワックスなどの油脂成分が添加される。
そして、混合処理された原料粉末は、乾式加圧成形法、冷間静水圧成形法、射出成形法などの成形法を用いて所定形状の圧縮成形体に成形される。この圧縮成形体は、例えば切削工具などの超硬工具の所定形状に成形される。
パラフィンワックスなど油脂成分を添加した原料粉末を用いたときには、所定形状に圧縮成形された圧縮成形体に脱脂処理が施される。この脱脂処理は、圧縮成形体を、水素雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気、又は真空雰囲気とされた加熱炉中で300〜500℃まで加熱して行われる。
次に、脱脂処理が施された圧縮成形体は、真空雰囲気若しくは不活性ガス雰囲気とされた加熱炉中で600〜900℃の温度で予備焼結され予備焼結体とされる。予備焼結体は、必要があれば切削工具などの所望の工具形状に機械加工される。
圧縮成形体を予備焼結して得られた予備焼結体は、本焼結の工程を経て焼結体としての超硬合金とされる。予備焼結体の本焼結は、次のような工程を経て行われる。
本実施の形態において、予備焼結体の本焼結を行うには、まず、酸化雰囲気とされた加熱炉内で、予備焼結体を1000℃となるまで加熱処理する。予備焼結体が酸化雰囲気中で1000℃となるまで加熱されると、原料粉末に混合されたTi化合物が酸化される。次いで、酸化されたTi化合物が、原料粉末に混合された炭素粉末により還元され、さらに炭化されてTi炭酸化物あるいはTi複炭酸化物を生成する。
なお、Ti化合物として予め酸化されたTiOを用いた場合には、炉内を酸化雰囲気とすることなく真空雰囲気中で予備焼結体を1000℃となるまで加熱処理し、酸化工程を経ることなく、TiOに対し直接原料粉末に混合された炭素粉末による還元と炭化処理を施し、Ti炭酸化物を生成するようにしてもよい。
Ti化合物を還元し炭化する処理に続いて、予備焼結体を窒化処理する。予備焼結体の窒化処理は、還元、炭化処理を行った加熱炉内に窒素ガスを導入し、この炉内を窒素雰囲気として行われる。このとき、加熱炉内は、1000℃以上とされている。また、加熱炉内の窒素圧は、約1kPa程度とされる。この予備焼結体を窒素雰囲気にて焼結する加熱処理工程において、Ti化合物が還元され炭化されることにより生成されたTi炭酸化物あるいはTi複炭酸化物が、還元、窒化されTi(C,N)あるいはTi複炭窒化物が生成される。
次に、予備焼結体を焼結体としての超硬合金とする焼結処理を行う。この焼結処理は、結合相を構成する結合金属が溶融して液相となる液相温度以上の温度域の1350〜1500℃程度の温度にて予備焼結体を60〜120分間保持することにより行われる。この焼結工程は、焼結炉を用いて行われる。この焼結炉は、前述の工程で用いた加熱炉を用いるようにしてもよい。
ところで、予備焼結体が焼結され、焼結体である超硬合金が作成される過程で、上述した焼結の過程で生成されたTi(C,N)あるいはTi複炭窒化物に、焼結体中に含まれるWCが拡散し(Ti,W)(C,N)で示されるチタン系炭窒化物が生成される。ここで生成されるチタン系炭窒化物である(Ti,W)(C,N)は、下記一般式(1)で示される。
(Ti1−X,W)(C1−Y,N) ・・・(1)
(式中、Xは0.2〜0.6であり、Yは0.2〜0.6である。)
上記式(1)で示されるチタン系炭窒化物の微細粒子は、結合相中に生成され、その少なくとも一部は、硬質相を構成するWC粒子の表面に付着し、WC粒子の表面に微細凹凸を形成する
ところで、圧縮成形体を焼結処理する過程を経て(Ti,W)(C,N)とされるTi化合物は、上述した各温度範囲で、酸化処理され、Cにより還元、炭化された後、窒化処理され、その後WがTiに拡散され固溶する過程を経ることにより微細化される。この焼結処理工程を経ることにより、粒径を0.5〜3.0μmとするTi化合物は、粒径を50〜300nmとする微細粒子とされる。
本発明に係る方法により、結合相中に、チタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相が生成され、分散相を構成するチタン系炭窒化物の微細粒子の少なくとも一部が硬質相を構成するWC粒子の表面に付着し、WC粒子の表面に微細凹凸を形成した超硬合金が得られる。
本実施の形態に係る製造方法により作成された超硬合金は、結合相中に分散生成された微細なチタン系炭窒化物からなる微細粒子の一部がWC粒子の表面に付着することによりWC粒子の表面に微細凹凸を形成し、WC粒子の粒成長を抑制する。その結果、結合相の硬質相に対する密着性が改善され、破壊靱性に優れ、所望の硬度、抗折力を有し、さらには耐酸化特性、耐食特性に優れた特性を有するものとなる。
次に、本発明方法により製造される超硬合金の具体的な実施例を説明する。
〔実施例1〕
実施例1の超硬合金は、硬質相を構成する粒度を1.5μmとするWC粉末と、結合相を構成する粒度を1.1μmとするCo粉末と、分散相を構成するTi化合物として粒度を1.0μmとするTiO粉末を混合した原料粉末を用いて作成した。
ここで、原料粉末は、Co粉末を10重量%と、TiO粉末を1.3重量%含有し、残部をWC粉末と不可避不純物とから構成されている。
この原料粉末は、エタノール溶媒が添加され、ボールミルを用いて粉砕混合される。混合粉砕された原料粉末は、ボールミルから取り出され乾燥される。この粉砕乾燥された原料粉末には、成形工程での成形性を向上するため、パラフィンワックスが添加される。
パラフィンワックスが添加された原料粉末は、乾式加圧成形法を用いて所定形状の圧縮成形体に成形される。
次に、圧縮成形体は、水素雰囲気とされた加熱炉中で500℃まで加熱され、脱脂処理される。脱脂処理が施された圧縮成形体は、真空雰囲気とされた加熱炉中で900℃まで加熱され予備焼結される。
この圧縮成形体を予備焼結して得られた予備焼結体は、次に示す焼結工程を経て焼結され、焼結体としての超硬合金とされる。
まず、予備焼結体は、真空雰囲気とされた加熱炉中で1000℃となるまで加熱処理される。この加熱処理の工程で、原料粉末に混合されたTiOが原料粉末に混合された炭素粉末により還元、炭化されてTi炭酸化物とされる。
次に、Ti化合物を還元、炭化する処理に続いて、予備焼結体を窒化処理する。予備焼結体の窒化処理は、還元、炭化処理を行った加熱炉内に窒素ガスを導入して行う。このとき、加熱炉内の窒素圧は、約1kPaとされる。そして、加熱炉内を1000℃以上として予備焼結体を加熱処理する。予備焼結体を窒素雰囲気中で1000℃以上に加熱し、前記還元、炭化の工程で生成されたTi炭酸化物を還元、窒化し、Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物を生成する。
次に、加熱炉内をさらに昇温し、予備焼結体を、結合相を構成する結合金属が溶融して液相となる液相温度以上の1400℃まで加熱する。予備焼結体は、1400℃に加熱された状態で120分間保持されることにより、硬質相と結合相が焼結結合された焼結体である超硬合金とされる。
ここで作成された超硬合金は、その後冷却され、試験片として用いた。ここで得られた試験片は、中央で切断される。切断された試験片の切断面に、ダイヤモンド砥石にて研削加工を施した後、ダイヤモンドペーストにて鏡面加工を施し、走査型電子顕微鏡を用いて組織観察を行った。観察した結果を図1、図2に示す。これら図1、図2に示すように、硬質相を構成するWC粒子1を結合した結合相2中に粒径を50〜300nmとする多数の微細粒子3が分散生成されている。これら分散相を構成する微細粒子3の一部は、図2に示すように、硬質相を構成するWC粒子1の表面に付着し、WC粒子1の表面に微細凹凸4を形成しWC粒子1の粒成長を抑制している。
そして、結合相2中に生成された微粒子3は、エネルギー分散型X線分析装置で分析したところ、(Ti0.54,W0.46)(C0.75,N0.25)で示されるチタン系炭窒化物であることが確認された。
〔実施例2〕
実施例2の超硬合金は、硬質相を構成する粒度を1.5μmとするWC粉末と、結合相を構成する粒度を1.1μmとするCo粉末と、分散相を構成するTi化合物として粒度を1.0μmとするTiO粉末を混合した原料粉末を用いて作成した。
ここで、原料粉末は、Co粉末を20重量%と、TiO粉末を1.3重量%含有し、残部をWC粉末と不可避不純物とから構成されている。
本実施例も、上述した実施例1と同様に、上記原料粉末を粉砕混合し、この粉砕混合した原料粉末を所定の形状の圧縮成形体に成形される。
次に、圧縮成形体は、水素雰囲気とされた加熱炉中で500℃まで加熱され、脱脂処理される。脱脂処理が施された圧縮成形体は、真空雰囲気とされた加熱炉中で900℃まで加熱され予備焼結される。
予備焼結された予備焼結体は、実施例1と同様に、真空雰囲気とされた加熱炉中で1000℃となるまで加熱処理され、原料粉末に混合されたTiOを原料粉末に混合された炭素粉末により還元、炭化されてTi炭酸化物とする。次に、Ti化合物を還元、炭化する処理に続いて、予備焼結体を窒化処理し、還元、炭化の工程で生成されたTi炭酸化物を還元、窒化し、Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物を生成する。
次に、実施例1と同様に、加熱炉内をさらに昇温し、予備焼結体を、結合相を構成する結合金属が溶融して液相となる液相温度以上の1400℃まで加熱し、この加熱された状態を120分間保持することにより、硬質相と結合相と焼結結合した焼結体である超硬合金を作成する。
ここで作成された超硬合金を冷却し試験片とし、この試験片の切断面に実施例1と同様の鏡面加工を施し、走査型電子顕微鏡を用いて組織観察を行った。観察した結果を図3、図4に示す。これら図3、図4に示すように、硬質相を構成するWC粒子1を結合した結合相2中に粒径を50〜300nmとする多数の微細粒子3が分散生成されている。
本実施例2においては、前記実施例1の超硬合金に比し結合相の割合を大きくしているが、実施例1と同様に、結合相中に分散形成された分散相を構成する微細粒子3の一部は、図4に示すように、硬質相を構成するWC粒子1の表面に付着し、WC粒子1の表面に微細凹凸4を形成しWC粒子1の粒成長を抑制している。
本実施例2の結合相2中に生成された微粒子3は、エネルギー分散型X線分析装置で分析したところ、(Ti0.52,W0.48)(C0.6,N0.4)で示されるチタン系炭窒化物であることが確認された。
〔実施例3〕
実施例3の超硬合金は、硬質相を構成する粒度を6.0μmとするWC粉末と、結合相を構成する粒度を1.1μmとするCo粉末と、分散相を構成するTi化合物として粒度を1.0μmとするTiO粉末を混合した原料粉末を用いて作成した。
ここで、原料粉末は、Co粉末を10重量%と、TiO粉末を2.7重量%含有し、残部をWC粉末と不可避不純物とから構成されている。
本実施例も、上述した各実施例と同様に、粉砕混合した原料粉末を圧縮成形して圧縮成形体を形成し、この圧縮成形体を予備焼結し、次いで焼結処理を行うことにより超硬合金を作成する。
ここで作成された超硬合金を試験片とし、この試験片の切断面に実施例1、2と同様の鏡面加工を施し、走査型電子顕微鏡を用いて組織観察を行った。観察した結果を図5、図6に示す。これら図5、図6に示すように、硬質相を構成するWC粒子1を結合した結合相2中に粒径を50〜300nmとする多数の微細粒子3が分散生成されている。
本実施例3に係る超硬合金は、粒度を6.0μmとするWC粉末を用いて作成されているので、硬質相を構成するWC粒子1の粒径は、実施例1、2に係る超硬合金のWC粒子1より大きなものとなっている。
本実施例3に係る超硬合金も、結合相中に分散形成された分散相を構成する微細粒子3の一部が、図6に示すように、硬質相を構成するWC粒子1の表面に付着し、WC粒子1の表面に微細凹凸4を形成しWC粒子1の粒成長を抑制している。
本実施例3の結合相2中に生成された微粒子3は、エネルギー分散型X線分析装置で分析したところ、(Ti0.63,W0.37)(C0.56,N0.44)で示されるチタン系炭窒化物であることが確認された。
〔実施例4〕
実施例4の超硬合金は、硬質相を構成する粒度を6.0μmとするWC粉末と、結合相を構成する粒度を1.1μmとするCo粉末と、分散相を構成するTi化合物として粒度を1.0μmとするTiO粉末を混合した原料粉末を用いて作成した。
ここで、原料粉末は、Co粉末を20重量%と、TiO粉末を1.3重量%含有し、残部をWC粉末と不可避不純物とから構成されている。
本実施例4も、上述した各実施例と同様に、粉砕混合した原料粉末を圧縮成形して圧縮成形体を形成し、この圧縮成形体を予備焼結し、次いで焼結処理を行うことにより超硬合金を作成する。
ここで作成された超硬合金を試験片とし、この試験片の切断面に各実施例と同様の鏡面加工を施し、走査型電子顕微鏡を用いて組織観察を行った。観察した結果を図7、図8に示す。これら図7、図8に示すように、硬質相を構成するWC粒子1を結合した結合相2中に粒径を50〜300nmとする多数の微細粒子3が分散生成されている。
本実施例4に係る超硬合金は、粒度を6.0μmとするWC粉末を用いて作成されているので、硬質相を構成するWC粒子1の粒径は、実施例1、2に係る超硬合金のWC粒子1より大きなものとなっている。
本実施例4に係る超硬合金は、前記実施例3の超硬合金に比し結合相の割合を大きくしているが、実施例3と同様に、結合相中に分散形成された分散相を構成する微細粒子3の一部は、図8に示すように、硬質相を構成するWC粒子1の表面に付着し、WC粒子1の表面に微細凹凸4を形成しWC粒子1の粒成長を抑制している。
本実施例4の結合相2中に生成された微粒子3は、エネルギー分散型X線分析装置で分析したところ、(Ti0.65,W0.35)(C0.46,N0.54)で示されるチタン系炭窒化物であることが確認された。
〔実施例5〕
実施例5の超硬合金は、硬質相を構成するWC粉末として粒度を6.0μmとするものを用い、結合相をCo、Ni、Crにより構成し、分散相を(Ti,W)Cから生成した。
本実施例5に係る超硬合金は、粒度を6.0μmとするWC粉末と、粒度を0.5〜3.0μmの範囲にあるCo、Ni、Crの粉末と、粒度を1.5μmとする(Ti,W)Cの粉末を混合した原料粉末を用いて作成した。ここで、原料粉末は、結合相を構成するCo粉末を6重量%と、Ni粉末を4重量%と、Cr粉末を0.7重量%と、分散相を構成する(Ti,W)C粉末を2重量%含有し、残部をWC粉末と不可避不純物とから構成されている。
本実施例5において、原料粉末は、前記各実施例と同様に、エタノール溶媒が添加され、ボールミルを用いて粉砕混合される。混合粉砕された原料粉末は、ボールミルから取り出され乾燥される。この粉砕乾燥された原料粉末には、成形工程での成形性を向上するため、パラフィンワックスが添加される。
パラフィンワックスが添加された原料粉末は、冷間静水圧成形法を用いて所定形状の圧縮成形体に成形される。この圧縮成形体は、水素雰囲気とされた加熱炉中で500℃まで加熱され、脱脂処理される。脱脂処理が施された圧縮成形体は、真空雰囲気とされた加熱炉中で900℃まで加熱され予備焼結される。
この圧縮成形体を予備焼結して得られた予備焼結は、次に示す焼結工程を経て焼結され、焼結体としての超硬合金とされる。
本実施例5は、分散相を構成するTi化合物として(Ti,W)C粉末を用いているので、(Ti,W)Cを酸化する酸化処理が行われる。この酸化処理は、酸化雰囲気とされた加熱炉内で、予備焼結体を1000℃となるまで加熱処理することによって行われる。この加熱処理工程において、酸化された((Ti,W)Cは、原料粉末に含まれるCにより還元、炭化されてTi複炭酸化物とされる。
次に、Ti化合物を還元、炭化する処理に続いて、予備焼結体を窒化処理する。予備焼結体の窒化処理は、還元、炭化処理を行った加熱炉内に窒素ガスを導入して行う。このとき、加熱炉内の窒素圧は、約1kPaとされる。そして、加熱炉内を1000℃以上として予備焼結体を加熱処理する。予備焼結体を窒素雰囲気中で1000℃以上に加熱し、前記還元、炭化の工程で生成されたTi複炭酸化物を還元、窒化し、(Ti,W)(C,N)を生成する。
次に、予備焼結体を、結合相を構成する結合金属が溶融して液相となる液相温度以上の1400℃まで加熱する。予備焼結体は、1400℃に加熱された状態で120分間保持されることにより、硬質相と結合相が焼結結合された焼結体である超硬合金とされる。
ここで作成された超硬合金を試験片とし、この試験片の切断面に前述の各実施例と同様の鏡面加工を施し、走査型電子顕微鏡を用いて組織観察を行った。観察した結果を図9、図10に示す。これら図9、図10に示すように、硬質相を構成するWC粒子1を結合した結合相2中に粒径を50〜300nmとする多数の微細粒子3が分散生成されている。
本実施例5に係る超硬合金は、粒度を6.0μmとするWC粉末を用いて作成されているので、硬質相を構成するWC粒子1は、実施例3、4と同様に、実施例1、2に係る超硬合金のWC粒子1に比し大きな粒度を有する。
そして、本実施例5に係る超硬合金は、結合相にCo、Ni、Crを用いているが、実施例3、4と同様に、結合相中に分散形成された分散相を構成する微細粒子3の一部が、図10に示すように、硬質相を構成するWC粒子1の表面に付着して微細凹凸4を形成し、WC粒子1の粒成長を抑制している。
したがって、作成される超硬合金の機械的な特性を考慮して結合相を構成する金属を適宜選択した場合であっても、焼結により硬質相を構成するWC粒子1の表面に付着した微細粒子3により微細凹凸4を形成しWC粒子の粒成長を抑制することができる。
本実施例5の結合相2中に生成された微粒子3は、エネルギー分散型X線分析装置で分析したところ、(Ti0.41,W0.59)(C0.78,N0.22)で示されるチタン系炭窒化物であることが確認された。
1 WC粒子、2 結合相、3 微細粒子、4 微細凹凸



Claims (8)

  1. 硬質相を構成する炭化タングステン(WC)を主体とする粉末と、結合相を構成するCo、Ni及びFeからなる群より選択された少なくとも一種を主体とする粉末と、分散相を構成するTi化合物からなる粉末とを混合した原料粉末を所定形状に圧縮成形してなる圧縮成形体の焼結体からなる超硬合金であって、
    炭化タングステン(WC)を主体とする硬質相と、Co、NiおよびFeから成る群より選択された少なくとも一種を主体とする結合相と、前記結合相中に分散生成された粒径を50〜300nmとする下記一般式(1)で示されるチタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相とを備え、
    (Ti1−x,W)(C1−Y,N) ・・・(1)
    (式中、Xは0.2〜0.6であり、Yは0.2〜0.6である。)
    前記焼結により前記結合相中に分散生成された前記チタン系炭窒化物の微細粒子の少なくとも一部が前記硬質相を構成するWC粒子の表面に付着して食い込み前記WC粒子の表面に微細凹部を形成し、前記焼結による前記WC粒子の粒成長が抑制されていることを特徴とする超硬合金。
  2. 前記炭窒化物を構成するWの一部がTa,Nb,Mo,Zr,Hf,Cr,Vからなる群より選択された少なくとも1種に置き換えられていることを特徴とする請求項1記載の超硬合金。
  3. 前記結合相を当該超硬合金の全重量に対し5〜30重量%の範囲で含有し、前記分散相を前記結合相に対し3〜40重量%含有していることを特徴とする請求項1又は2記載の超硬合金。
  4. 工具基体を請求項1〜3のいずれか1項記載の超硬合金により形成したことを特徴とする超硬工具。
  5. 硬質相を構成する炭化タングステン(WC)を主体とする粉末と、結合相を構成するCo、Ni及びFeからなる群より選択された少なくとも一種を主体とする粉末と、分散相を構成する(Ti,W)C,(Ti,W)(C,N),TiC,TiN,Ti(C,N)から選ばれた少なくとも1種のTi化合物からなる粉末とを混合して作成した原料粉末を所定形状に圧縮成形して圧縮成形体を作成し、
    前記圧縮成形体を真空雰囲気若しくは不活性雰囲気とされた加熱炉内で600〜900℃に加熱して予備焼結体を作成し、
    次いで、前記予備焼結体を酸化雰囲気下で1000℃となるまで加熱して、前記原料粉末に混合されたTi化合物を酸化し、前記酸化されたTi化合物を前記原料粉末に混合した炭素粉末により還元、炭化してTi炭酸化物若しくはTi複炭酸化物を生成し、
    さらに次いで、前記予備焼結体を窒素雰囲気中で1000℃以上に加熱して窒化処理し、前記Ti炭酸化物若しくはTi複炭酸化物を還元、窒化し、Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物を生成し、
    さらに次いで、前記予備焼結体を窒素雰囲気中で前記結合相を構成する金属が溶融して液相となる液相温度以上の温度である1350〜1500℃にて60〜120分間加熱して焼結体を生成するとともに、
    前記焼結体を生成する工程において、前記Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物に前記圧縮成形体中に含まれるWCを拡散させ、粒径を50〜300nmとする下記一般式(1)で示されるチタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相を前記結合相中に分散生成するとともに、前記チタン系炭窒化物の微細粒子の少なくとも一部を、前記硬質相を構成するWC粒子の表面に付着させ、前記WC粒子の表面に微細凹凸を形成し、前記WC粒子の粒成長を抑制したことを特徴とする特徴とする超硬合金の製造方法。
    (Ti1−x,W)(C1−Y,N) ・・・(1)
    (式中、Xは0.2〜0.6であり、Yは0.2〜0.6である。)
  6. 前記結合相中に分散生成される前記式(1)で示されるチタン系炭窒化物は、前記Ti化合物を還元し炭化して生成された前記Ti炭酸化物若しくはTi複炭酸化物に窒化処理を施して生成されたTi(C,N)にWCを拡散させて生成されたことを特徴とする請求項5記載の燒結金属の製造方法。
  7. 前記原料粉末は、結合相を構成する金属粉末を5〜30重量%を含有し、分散相を構成するチタン系炭窒化物を炭化チタン(TiC)換算で2〜20重量%を含有し、残部に硬質相を構成するWC粉末と不可避的な不純物を含有していることを特徴とする請求項5記載の超硬合金の製造方法。
  8. 硬質相を構成する炭化タングステン(WC)を主体とする粉末と、結合相を構成するCo、Ni及びFeからなる群より選択された少なくとも一種を主体とする粉末と、分散相を構成するTiO の粉末とを混合して作成した原料粉末を所定形状に圧縮成形して圧縮成形体を作成し、
    前記圧縮成形体を真空雰囲気若しくは不活性雰囲気とされた加熱炉内で600〜900℃に加熱して予備焼結体を作成し、
    次いで、前記予備焼結体を1000℃となるまで加熱して、前記原料粉末に混合された前記TiO を前記原料粉末に混合された炭素粉末により還元、炭化してTi炭酸化物若しくはTi複炭酸化物を生成し、
    さらに次いで、前記予備焼結体を窒素雰囲気中で1000℃以上に加熱して窒化処理し、前記Ti炭酸化物若しくはTi複炭酸化物を還元、窒化し、Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物を生成し
    さらに次いで、前記予備焼結体を窒素雰囲気中で前記結合相を構成する金属が溶融して液相となる液相温度以上の温度である1350〜1500℃にて60〜120分間加熱して焼結体を生成するとともに、
    前記焼結体を生成する工程において、前記Ti(C,N)若しくはTi複炭窒化物に前記圧縮成形体中に含まれるWCを拡散させ、粒径を50〜300nmとする下記一般式(1)で示されるチタン系炭窒化物の微細粒子からなる分散相を前記結合相中に分散生成するとともに、前記チタン系炭窒化物の微細粒子の少なくとも一部を、前記硬質相を構成するWC粒子の表面に付着させ、前記WC粒子の表面に微細凹凸を形成して前記焼結による前記WC粒子の粒成長を抑制したたことを特徴とする特徴とする超硬合金の製造方法。
    (Ti 1−x ,W )(C 1−Y ,N ) ・・・(1)
    (式中、Xは0.2〜0.6であり、Yは0.2〜0.6である。)
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