以下、実施形態の消色装置を図面に基づいて説明する。
第1の実施形態
図1から図3は第1の実施形態を示し、図1は消色装置(消去装置)の概略図、図2は図1の消色装置のハードウェア構成を説明する制御ブロック図、図3は給紙モード設定画面を示し、図4は図3に対応したメッセージ画面を示す。図5は図2の制御ブロックによるシートの給紙処理の流れを説明するフローチャートである。
図1は、消色装置(消去装置)の構成を説明する概略図である。消色装置100は、消色可能トナーや消色可能インク等の「消色可能色材(消去可能色材)」により画像を形成されたシートに対して、消色可能な色材による画像の色を消す「消色処理(消去処理)」を施す。消色可能な色材は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えばロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。消色可能な色材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため、消色する。以下、消色可能な色材を単に記録材料と呼ぶ。
消色装置100は、給紙トレイ102、給紙部材104、読取部106、消去部108、第1トレイ110、第2トレイ112、排出部材114、116、第1搬送路118、第2搬送路120、第3搬送路122、第1分岐部材124、第2分岐部材126および操作部128を備える。また、消色装置100は、ユーザの認証のためのユーザ認証部224を有する。ユーザ認証部224としては、例えばユーザの顔の特徴を認識する顔認証ユニット、ユーザの手のひらあるいは指などの生体的特徴を認証する生体認証ユニットあるいはIDカード等に付属する識別情報を用いるカードリーダなどを含む。
給紙トレイ102は、再利用するための用紙を積載する。給紙トレイ102は、A4、A3、B5等、様々なサイズのシートを積載する。給紙トレイ102が積載するシートは、例えば、所定温度以上に加熱することにより消色する記録材料で画像形成されたシートである。給紙部材104は、ピックアップローラ、シート供給ローラ、およびシート供給ローラに対向配置される分離ローラ等を有し、給紙トレイ102上に積載された最上位置のシートからシートを1枚ずつ消色装置100内部の第1搬送路118に供給する。また、給紙トレイ102は、給紙トレイ102上のシートの有無を検知する検知センサ103(以下、給紙開始検知センサと称す)を有する。給紙開始検知センサ103は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。給紙開始検知センサ103がシートの積載を検知すると、積載されたシートは設定された給紙モードに従って給紙される。後述する制御部200による給紙制御については後述する。
第1搬送路118は、給紙トレイ102から第1トレイ110へ向かう搬送路を形成する。第1搬送路118は、給紙されたシートを読取部106または第1トレイ110へ搬送する。
読取部106は、給紙トレイ102に対し、シート搬送方向下流において第1搬送路118に沿って配置される。読取部106は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)スキャナあるいはCMOSセンサ等の読取ユニットを有する。本実施形態では、読取部106は、搬送されるシートの第1面および第2面のそれぞれの画像を読み取る。すなわち、読取部106は、第1搬送路118に沿ってかつ搬送路を挟んで配置される第1の読み取りユニット1061および第2の読み取りユニット1062からなり、搬送されるシートの画像の両面読取を可能とする。読取部106の読取ユニットがシートの画像を読み取る位置を読取位置と呼ぶ。読取部106が読み取った画像は、後述する記憶部210(図2参照)へ保存される。例えば、消色処理する前に読取部106が読み取ったシート上の画像を電子化して記憶部へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することができる。その際、給紙トレイ102に積載された複数枚のシートは、最上位置のシートから順に給紙されるため、給紙の途中からシートを継ぎ足し難くしており、一度積載した複数枚のシートを消色処理の1単位として消色する。また、後述する制御部200は、読取部106が読み取った画像に基づいて、消色可能なシートか否か、あるいは、再利用可能なシートか否かを判断する。
読取部106の下流には、切り替え部としての第1分岐部材124がある。第1分岐部材124は、搬送されるシートの搬送方向を切り替える。第1分岐部材124は、第1搬送路118を搬送されるシートを第2搬送路120または第1トレイ110へ搬送する。第2搬送路120は、第1分岐部材124が配置される分岐点において第1搬送路118より分岐する。分岐点より分岐した第2搬送路120は、シートを消去部108へ搬送する。また、第2搬送路120は、読取部106よりもシート搬送方向上流における合流点121において、第1搬送路118に合流する。すなわち、第2搬送路120は、給紙トレイ102と読取部106の間における合流点121で第1搬送路118に合流する。したがって、第2搬送路120は、読取部106から搬送されてきたシートを、消去部108を経由して、再び、読取部106へ搬送することを可能とする。言い換えれば、消色装置100は、給紙部材104から供給されたシートを、第1分岐部材124を制御して、読取部106、消去部108、読取部106の順に搬送することができる。
第1搬送路118は、第1分岐部材124の下流に第2分岐部材126を有する。第2分岐部材126は、第1分岐部材124から搬送されたシートを第1トレイ110または第3搬送路122へ案内する。第3搬送路122は、シートを第2トレイ112へ搬送する。
消去部108は、搬送されるシートの画像の色を消す。例えば、消去部108は、搬送されるシートへ接触した状態で、シートを所定の消色温度まで加熱することにより、記録材料によりシート上に形成された画像の色を消色する。例えば、本実施形態の消色装置100の消去部108は、シートの第1面消色用および第2面消色用の2つの消色ユニット1081、1082を有する。消色ユニット1081および1082は、第2搬送路120を挟んで対向配置される。消色ユニット1081は、シートの一方の面側からシートへ当接して加熱する。消色ユニット1082は、シートの他方の面側からシートへ当接して加熱する。すなわち、消去部108は、搬送されるシート両面の画像を一度の搬送で消色する。消色ユニット1081および1082がシートを加熱する位置、すなわち、消色ユニット108aおよび108bが有する加熱部(不図示)が、搬送されるシートに対して熱を与えて画像の色を消す位置を消色位置と呼ぶ。消去部108は、消色ユニット1081および1082の加熱部の温度を検知する温度センサ1091、1092をそれぞれ有する。温度センサ1091、1092は、接触式であっても非接触式であっても良い。
消色装置100の装置本体に配置された操作部128は、タッチパネル式の表示部と各種の操作キーとを有し、例えば消色装置本体の上部に配置される。操作キーは、例えばテンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。
本実施形態において、給紙トレイ102積載されたシートを設定した後述する給紙モードに従って給紙される。ユーザは、操作部128により前述した給紙モードの設定操作に加え、消色の開始あるいは消色するシートの画像の読み込み等の消色装置100の機能動作を指示する。操作部128は、消色装置100の設定情報や動作ステータス、ログ情報、あるいはユーザへのメッセージを表示する。
なお、操作部128は、消色装置100の本体に配置されるものに限定されない。例えばネットワークを介して消色装置100と接続される外部装置の操作部から操作できる構成であっても良い。あるいは、操作部は、消色装置本体から独立した形態であり、有線あるいは無線通信によって消色装置100を操作する構成であっても良い。本実施形態の操作部は、消色装置100に対して処理の指示や情報の閲覧等ができるものであれば良い。
排出部材114、116は、シートを、本体の下部に上下に配置された第1トレイ110、第2トレイ112へ排出する。たとえば、第1トレイ110は、シート上の画像が消色され、再利用可能となったシートを積載する。第2トレイ112は、再利用不可と判断されたシートを積載する。以下、第1トレイ110をリユーストレイ、第2トレイ112をリジェクトトレイと呼ぶ。なお、リユーストレイ110とリジェクトトレイ112は、受け入れる対象とするシートを入れ替えることも可能である。それぞれのトレイがどのようなシートを積載するかの設定、すなわち、シートの搬送先の設定は、例えば、操作部128から設定すればよい。この設定により、第2分岐部材126は、搬送路を切り替えて、搬送されたシートを第1トレイ110または第3搬送路122へ案内する。
消色装置100は、第1乃至第3搬送路118、120、122を搬送されるシートを検知する複数のシート検知センサ130、131、132、133および134を有する。シート検知センサは、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。シート検知センサは、搬送路の適切な位置に配置される。
図2は、消色装置100のハードウェア構成を説明するブロック図である。消色装置100は、制御部200と、記憶部210と、検知センサ103を含む検知部212と、通信インターフェース(通信I/F)214と、給紙部材104を含む搬送部216と、読取部106と、消去部108と、操作部128と、表示部222と、排紙部220と、ユーザ認証部224を有する。
制御部(コントローラ)200は、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ202、メモリ204を有する。制御部200は、読取部106、消去部108、操作部128、表示部222、搬送部216、排紙部220を制御する。
メモリ204は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)206と、プロセッサ202に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)208とを有する。例えば、ROM206は、再利用可否の閾値とする用紙の印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値等を格納する。RAM208は、読取部106で読み取った画像を一時的に保存しても良い。消色装置100の各コンポーネントは、バス218を介して接続される。
消色装置100は、例えば、給紙処理、読取処理、消色処理、分別処理、事前分別処理を有する。消色装置100の制御部200は、設定された処理に応じて、搬送部216、読取部106、消去部108、およびその他の構成を制御する。給紙処理については後述する。
読取処理では、制御部200は、読取部106が読み取った画像(イメージ)を記憶部210(図2参照)へ保存する。消色処理では、制御部200は、消去部108によってシートの画像を消す。
分別処理では、制御部200は、読取部106が読み取った画像に基づいて、シートが再利用可能か否かを判断する。例えば、分別処理では、制御部200は、読取部106が読み取ったデータに基づいて、シート上に画像があるか否かを判断し、画像がある場合には、再利用不可能とする。例えば、消去部108で消色処理された後のシートを読み取った場合に、消去されずに残っている画像がある場合には、制御部200は、消色残りがあるとして、再利用不可と判断する。また、分別処理では、制御部200は、読取部106が読み取ったデータに基づいて、しわ深さや、折れ、破れの有無を判断する。しわ深さが規定値以上の場合や、折れ、破れあるいは穴がある場合には、消色装置100は、シートを再利用不可能と判断する。
事前分別処理では、制御部200は、消色処理をする前に読取部106が読み取ったデータに基づいて、シート上の画像の印字率を判断する。印字率が所定の値以上である場合には、制御部200は、消色処理を実行せず、シートを再利用不可能とする。制御部200は、再利用不可能と判断したシートをリジェクトトレイ112へ排紙する。あるいは、制御部200は、読取部106が読み取ったシート画像のデータ中に機密データ等の消色を禁止すべき禁止データが含まれているか否かを判定してもよい。消色を禁止すべきデータが含まれる場合には、制御部200は、シートをリジェクトトレイ112へ搬送する。
消色処理の前に読取部106によるイメージの読み取りを実行するか否か、消色処理を実行するか否か、分別処理を実行するか否か、および自動給紙処理を実行するか否かは選択可能である。
各処理の選択は、消色装置100の操作部128で設定できる。なお、実行する処理の選択は、消色装置100の操作部128に限らず、外部の端末から設定しても良い。上述した給紙処理、読取処理、消色処理、分別処理、あるいは事前分別処理は、操作部128等を介して、適宜組み合わせて選択が可能となる。なお、本実施形態の消色装置100では、上記処理を組み合わせる場合、一例として、給紙処理、読取処理、消色処理、分別処理の順で優先して実行される。また、読取処理と事前分別処理の優先度は等しいとする。
例えば、読取処理、消色処理、分別処理が選択された場合には、消色装置100は、読取部106による読取処理、消去部108による消色処理、読取部106による分別処理の順に処理する。
すなわち、消去部108がシートの画像を消色する前に、読取部106でシートの画像を読み取り、消去部108がシートの画像を消色した後に、消色されたシートの画像を読取部106が読み取る。
事前分別処理、消色処理、分別処理が選択された場合には、消色装置100は、読取部106による事前分別処理、消去部108による消色処理、読取部106による分別処理の順に実施する。
読取処理と事前分別処理が選択された場合には、消色装置100は、読取部106で読み取ったデータに基づいて、読取処理と、印字率に基づく事前分別処理を同時に行う。
なお、消色装置100は、上記処理をユーザが適宜選択するものに限定されない。例えば、消色装置100は、事前に組み合わせが決められた処理モードを有し、ユーザがその処理モードを選択する構成であっても良い。消色装置100の制御部200は、選択された処理に基づいて、シートの搬送経路を適宜変更する。
制御部200は、検知部212からの信号に基づいて、装置内部の各構成を制御する。検知部212は、図1に示す給紙開始検知センサ103、温度センサ1091、1092、およびシート検知センサ130、131、132、133、134等がある。制御部200は、検知センサ103からの信号に基づいて給紙トレイ102上のシートの有無を判断する。また、制御部200は、温度センサ1091、1092を用いて消色ユニット1081および1082の加熱部の温度を検知するとともに、消色ユニット1081および1082の加熱部の温度を制御する。また、制御部200は、シート検知センサ130、131、132、133、134を用いて、第1乃至第3搬送路118、120、122内のシートの位置を把握する。例えば、制御部200は、読取部106下流近傍のシート検知センサ130を用いて、読取部106を通過したシートを検知する。
記憶部210は、アプリケーションプログラムおよびOSを記憶する。アプリケーションプログラムは、読取部106による読取機能、消去部の消色機能といった消色装置が有する機能を実行するプログラムを含む。アプリケーションプログラムは、更には、Webクライアント用のアプリケーション(Webブラウザ)やその他のアプリケーションを有する。記憶部210は、読取部106で読み取った画像を保存する。また、記憶部210は、消色装置100で処理したシートの処理枚数を記憶する。記憶部210としては、例えば、ハードディスクドライブやその他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリ等の半導体記憶装置またはこれらの任意の組合せであってよい。
通信I/F214は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F214は、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE3304等の適切な無線または有線を介してネットワーク上の外部装置と通信する。通信I/F214は、更に、USB規格の接続端子が接続されるUSB接続部やパラレルインタフェース等を含んでも良い。制御部200は、通信I/F214を介して複合機、その他外部機器と通信する。例えば、読取部106が読み取った画像は、消色装置100の記憶部210が記憶するとしたが、これに限定されなくともよい。例えば、外部機器であるユーザ端末(Personal Computer)や複合機、あるいはサーバと通信I/F214を介して通信し、これら外部機器の記憶部へ保存するようにしても良い。外部機器へ保存された画像データは、複合機の操作部やユーザ端末から読みだすようにすればよい。
制御部200は、使用者を個人認証するユーザ認証部224によりユーザが特定されると、そのユーザの使用履歴に基づいて、前回実行した処理を設定する。また、ユーザ認証部224がログイン、ログアウト機能を備える場合には、消色装置100のログアウト時に、消色装置100のRAM208あるいは記憶部210に保存された画像のデータを外部装置に送信し、保存するようにしても良い。
搬送部216は、第1搬送路118、第2搬送路120および第3搬送路122に配置される給紙部材104を含む複数の搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送モータとをする。制御部200は、搬送部216の搬送モータの駆動を制御することによって、シートの搬送速度を制御する。
給紙処理は、給紙トレイ102にシートを積載するだけで、シートの自動給紙を開始するモードと、給紙スタートボタンの押下げにより給紙を開始するモードを有し、給紙モードの設定操作は操作部108により行う。
図3は給紙モード設定画面を示す。給紙モード設定画面300は、設定された給紙モードを表示するモード表示部301、読み取ったイメージの保存が選択されると表示されるイメージ保存表示部302、消色処理が選択されると表示される消色表示部303と、分別処理が選択されると表示される分別表示部304と、自動給紙開始待ち時間表示部305と、給紙開始の指示を行うスタートボタン306とを有する。自動給紙開始待ち時間表示部305には、待ち時間(秒)として、0秒、3秒、5秒、10秒が設定される。制御部200は、第1給紙モードと、第2給紙モードと、第3給紙モードを備える。第1給紙モードは基本給紙モードとしており、第2または第3給紙モードでのシートの給紙が終了すると、給紙モードが自動的に第1給紙モードにデフォルトされる。また、操作部18において読取部106で読み取ったイメージの保存を選択すると、第1給紙モードに設定される。
第1給紙モードは、消色処理の前に読取部106で読み取ったイメージの保存を行うモードで、例えば操作部108で給紙モード表示を選択すると表示される。図3(a)に示すように、イメージ保存表示部302と消色処理表示部303が表示される。また、待ち時間表示部305には、基本設定される例えば3秒が表示される。消色装置100は、タッチパネル式の表示部222に図3、図4に示す画面を表示するが、消去処理の待機状態では、図3(a)の第1給紙モードの設定画面に対応する図4(a)に示すメッセージ画面が表示される。メッセージ画面400のメッセージ表示部401には、例えば「自動給紙を開始します。スキャン後消去します。イメージは保存します。」とのメッセージを表示し、この消色装置100を用いてシートのイメージを消色しようとするユーザに注意を喚起する。第1給紙モードのメッセージを表示した状態で待機し、給紙トレイ102にシートを載置後、待ち時間が経過する間に操作部108を操作しない限り、待ち時間の経過後にシートの自動給紙を開始する。なお、中止表示部402を押すと、給紙が中止する。この場合、既に給紙したシートの搬送、消色処理を中止するようにしても良く、また給紙トレイ102上のシートの給紙のみを中止するようにしてもよい。
また、イメージの保存処理、消色処理、分別処理の選択は、図3に示す給紙モード設定画面において、イメージ保存表示部302、消色処理表示部303、分別処理表示部304をタッチして選択することもできる。この場合、イメージ保存表示部302をオンすると、図3(a)に示す第1給紙モードが設定される。
本実施形態において、消色装置100は、消去処理の待機状態では第1給紙モードに設定されているので、使用者は、給紙トレイ102に消色する複数枚のシート積載しさえすれば、その後は何等の操作を行わなくても、シートの給紙が自動的に開始されるので、直ぐに消色装置100から離れることができる。
第2給紙モードは、読取部106での読取を行わずに消去処理を行うモードで、図3(b)に示すように、消色処理表示部303が表示され、イメージ保存表示部302と分別処理表示部304と待ち時間表示部305は非表示状態としている。図4(b)は第2給紙モードに対応するメッセージ画面で、例えば給紙開始検知センサ103が給紙トレイ102にシートが載置されたことを検知すると、図3(b)の画面から切り換わる。図4(b)に示す第2給紙モードのメッセージ画面400のメッセージ表示部401には、「スキャンせずに消去します。スタートボタンを押して下さい。イメージは保存しません。」というメッセージが表示される。
第3給紙モードは、読取部106のスキャンによりイメージの読取は行うが、手動操作で給紙トレイ102上のシートの給紙開始を指示するモードである。この第3給紙モードの設定は、操作部18で行ってもよいが、図3(a)に示す第1給紙モードの設定画面300において、待ち時間表示部305の0秒を選択しても設定することができる。待ち時間を0秒とすることは、待ち時間がないこと、すなわち自動給紙を行わないこととし、読取部106によるスキャンによるイメージの保存と消去処理を実行するが、手動による給紙の開始を行う。図4(c)は図3(c)の第3給紙モードに対応したメッセージ画面で、メッセージ表示部401には「スキャン後消去します。イメージは保存します。スタートボタンを押して下さい。」というメッセージが表示され、スタートボタン403が表示される。第3給紙モードでは、第1給紙モードと同様に、イメージを保存するが、給紙トレイ102に載置したシートについて、イメージの保存の要否を最終的に確認してから消去開始のスタートボタン403を押し、消去処理を開始できる。
図5は図2の制御ブロックによるシートの給紙処理の流れを説明するフローチャートである。
Act1は、消色装置100における待機状態において、給紙モードが第1給紙モードにデフォルトされているか否かを判断し、第1給紙モードであればAct2に進み、第1給紙モード以外であればAct9に進む。
Act2では、第1給紙モードのメッセージ画面を表示し、Act3に進む。
Act3では、給紙トレイ102にシートが載置されたことを給紙開始検知センサ103が検知するとAct4に進む。
Act4では、設定している自動給紙開始待ち時間である所定時間が経過するのを待ってAct5に進む。
Act5では、操作部108が操作中か否かを判断し、操作中でなければAct6に進み、操作中であればAct12に進む。
Act6では、給紙処理を開始する。給紙処理が自動で開始されると、給紙トレイ102上に積載されたシートは、順次最上位のシートから読取部106に給紙されてスキャンされ、イメージが記憶部210に記憶され、Act7に進む。給紙処理の際、給紙が開始された給紙トレイ102には、新たにシートを給紙できないため、記憶部210に記憶される1ファイル毎のイメージの記憶容量が無限に増えることがなく、ある容量で終了する。給紙トレイ102に1セットとして積載したシートに対する読取処理と消去処理が実行される。そして、消去処理が終了し、消色可否の判断が終了したシートが第2搬送路122を搬送されて第1トレイ110または第2トレイ112に向けて排紙され、Act7に進む。
Act7において、排紙処理が終了するとAct8に進む。
Act8では、給紙モードを第1給紙モードにデフォルトし、この動作を終了する。
一方、Act1において、給紙モードが第1給紙モードから他の給紙モードに変更されている場合、Act9において、変更した給紙モードが第2給紙モードか否かを判断する。Act9において第2給紙モードと判断されると、Act10に進んで第2給紙モードのメッセージ画面を表示してAct12に進み、また第2給紙モードでなければAct11に進んで第3給紙モードのメッセージ画面を表示し、Act12に進む。
Act12において、給紙開始のスタートボタンが押し下げられると、Act6に進んで給紙処理を開始し、Act7で排紙処理の終了を待ってAct9に進む。第2給紙モードまたは第3給紙モードでのシートの給紙を行っていたので、Act8では、給紙モードを第1給紙モードにデフォルトし、この動作を終了する。
本実施形態によれば、消色処理待ちの待機状態において、給紙モードを自動給紙して、消色部108による消色処理の前に、読取部106によりイメージを読み取って保存する第1給紙モードに設定しているので、イメージを保存せずに誤って消去するトラブルを未然に防止することができる。
第2の実施形態
図6および図7は第2の実施形態を示す。
第2の実施形態は、消色装置100に登録されているユーザの使用履歴に基づく給紙モード(ユーザ給紙モードとする)を自動設定するもので、消色処理の待機状態に設定される第1給紙モードからユーザ給紙モードに切り替わる。ユーザの認証は、ユーザ認証部224により認証した情報に基づく。ユーザの情報は記憶部210に記録され、併せて給紙モードが時系列に記録されている。給紙モードの使用履歴において、特定の曜日、日、午前・午後といった使用状況からユーザ給紙モードを自動設定してもよいが、第2の実施形態では、最後に使用した給紙モードをユーザ給紙モードとして自動設定する場合を例にして説明する。
ユーザが認識されると、消色装置100の表示部222には、図6に示すメッセージ画面600が表示される。メッセージ表示画面600のメッセージ表示部601には、「ユーザ(○×さん)の前回の給紙モードは、第1給紙モードです。変更があれば使用する給紙モード表示部を押して下さい。」とのメッセージが表示される。ここでは、ユーザ給紙モードとして第1給紙モードが設定されているので、変更表示部602には第2給紙モード、変更表示部603には第3給紙モードが表示され、変更表示部602または603を押すと、押した給紙モードが設定される。
図7に示すフローチャートにより、ユーザ認証による給紙モードの設定動作の流れを説明する。
Act21において、ユーザ認証がなされると、Act22に進む。
Act22では、認証したユーザの使用履歴から前回使用した給紙モードを呼び出し、Act23に進む。ここでは、前回使用の給紙モードが第1給紙モードの場合には第1給紙モードをユーザ給紙モードとして呼び出す。
Act23において、図6に示すメッセージ画面が表示され、前回使用した給紙モードを表示し、Act24に進む。
Act24では、給紙モードが所定時間内に変更された否かを判断し、変更がなければAct25に進み、変更があればAct26に進む。
Act25では給紙モードを前回使用した給紙モードに設定し、Act26では、給紙モードを変更した給紙モードに設定し、この動作を終了する。
このように、ユーザの使用履歴を利用すると、使用頻度が高い給紙モードが自動的に設定されるため、ユーザはメッセージ画面を見て、給紙モードを確認すれば良い。例えば第1給紙モードが設定されていれば、自動給紙によりイメージが保存され、その後に消色処理される処理が実行されるので、ユーザは、給紙トレイ102にシートを載置するだけでその後は操作を不要とする。また、給紙モードを変更する場合には、変更する給紙モードを選択するだけの操作で済み、給紙モードの設定にできるだけ手間を省くことができる。特に特定の給紙モード以外は使用しないユーザに対しては、給紙モードの設定を行う手間を省くことができる。
本実施形態は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施できる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。