JP5604123B2 - 液体混合物の分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液体が混合した液体混合物を分離膜により分離する液体混合物の分離方法、及び液体混合物を分離するための分離膜を有する液体混合物分離装置に関する。
膜分離技術は、省エネルギー及び環境負荷の観点から、食薬品分野や水処理分野で利用されてきている。近年、バイオマスを利用したエタノール製造における膜分離技術の応用、すなわち水とエタノールとの膜分離技術に代表されるように、混合物からある特定の成分を分離し、混合物の組成を変化させることが行われるようになってきている。
膜分離技術を用いた混合液体の分離操作については、近年、非水系分野、例えば石油精製プロセスや石油化学工業分野への適用が検討されてきている(特許文献1〜3)。
芳香族炭化水素は、化学製品の中間原料や高オクタン価ガソリン成分として、需要が大きい。特に、ベンゼン・トルエン・キシレン(BTX)は現在の有機化学工業における基礎原料として重要な物質である。芳香族炭化水素は、主に、石油ナフサを熱分解したもの(ナフサ分解残油)、或いは、接触改質したもの(リフォーメート)から得られる。ナフサ分解残油やリフォーメートには、芳香族成分と近接した沸点を持つのみならず、共沸混合物を作るパラフィン、ナフテン、オレフィンなどが含まれる。このため、芳香族の分離には、溶剤抽出や抽出蒸留といった、特殊な方法が用いられる(非特許文献1〜3)。
共沸混合物や近沸点混合物の安価な分離法として膜分離法が検討されており、有機高分子膜、ゼオライト膜、炭素膜がBTXと非芳香族炭化水素を分離することが知られている(非特許文献4、5)。
特開平10−180046号公報 特開平10−180057号公報 特開2000−157843号公報
石油精製プロセス、講談社、1998 有機プロセス工業、大日本図書、1997年 抽出、化学工業社、平成12年 Jounrnal of Membrane Science, 241, 2004, 1−21 化学工学会 研究発表講演要旨集 Vol. 2003f, 546
液体混合物を分離する膜として、有機高分子膜や無機膜の検討が行われている。しかしながら、有機高分子膜は、有機液体への耐食性が低く、長期使用の際にその性能が低下するという欠点がある。一方、無機膜は、有機高分子膜に比べて、有機液体への耐食性に優れるが、分離性が高くても、透過性が小さい、或いは、透過性が高くても、分離性が低いといった問題がある。
本発明の課題は、液体混合物中の特定成分を分離膜を用いて効率よく分離することができる液体混合物の分離方法、及び液体混合物分離装置を提供することである。
本願発明者らは、液体混合物中の特定成分の分離膜の透過を促進するための促進成分を分離膜を透過する前の液体混合物に添加することにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の液体混合物の分離方法、及び液体混合物分離装置が提供される。
[1] 芳香族炭化水素、鎖式炭化水素、環式炭化水素のうちの少なくとも1つを含む液体混合物を無機素材からなる分離膜により分離する前に、前記液体混合物中の特定成分の前記分離膜の透過を促進するための促進成分として、前記特定成分と共沸混合物を形成する炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、及びアルデヒドのいずれかを前記液体混合物に添加し、その後、前記分離膜により前記特定成分を分離成分として、浸透気化法、または蒸気透過法によって前記液体混合物から分離する液体混合物の分離方法。
[2] 前記分離成分が、前記促進成分とは異なる炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、及びアルデヒドのいずれかである前記[1]に記載の液体混合物の分離方法。
促進成分を液体混合物に添加することにより、液体混合物中の特定成分の分離膜の透過を促進させることができる。
本発明の液体混合物分離装置の実施形態1を示す模式図である。 本発明の液体混合物分離装置の実施形態2を示す模式図である。 本発明の液体混合物分離装置の実施形態3を示す模式図である。 分離膜の配設された分離膜配設体の一実施形態を示す図である。 分離膜を配設した多孔質基材の端面及び外周面近傍の断面図である。 分離膜が配設された多孔質基材を備えるSUS製モジュールを示す断面図である。 分離装置の一実施形態を示す模式図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明の液体混合物の分離方法は、液体が混合した液体混合物を分離膜により分離する前に、液体混合物中の特定成分(分離成分、目的成分ともいう)の分離膜の透過を促進するための促進成分を液体混合物に添加し、その後、分離膜により液体混合物を分離する方法である。分離成分と促進成分が分離膜を選択的に透過する。分離対象の液体混合物に分離成分の透過を促進する促進成分を微量添加することで、分離成分の透過速度を向上させることができる。本発明の液体混合物の分離方法では、液体混合物を液体で供給して分離膜にガス透過させる方法(浸透気化法、パーベーパレーション法)でも良いし、液体を加熱により一旦全て気化して、分離膜にガス透過させる方法(蒸気透過法、ベーパーパーミエーション法)でも良い。また、液体の一部が気化する状態まで加熱してガス透過させる方法でも良い。
分離膜としては、分離性能や耐食性に問題がない限り、有機高分子膜と無機膜のどちらを用いてもよい。ただし、分離対象が有機液体の場合には、耐食性の観点から無機素材が好適である。具体的には、ゼオライト膜、炭素膜、シリカ膜等が挙げられる。
分離成分(目的成分)とは膜を選択的に透過する成分、非分離成分(非目的成分)とはそれ以外の成分である。促進成分とは、液体混合物の分離において、分離成分の選択的透過を促進する成分であり、意図的に分離対象の液体混合物に添加する成分をいう。促進成分には分離成分と膜表面の両方に対して親和性がある成分を用いることができる。
分離対象の液体混合物に促進成分を加えることで、透過性が高い促進成分にあたかも引きずられるようなかたちで、分離成分が膜の細孔を透過する。結果として、促進成分を添加することで、分離成分の透過が促進される。このような効果は、分離対象の混合物の状態が気体あるいは液体に関わらずにもたらされる。
膜の透過側からは、促進成分と分離成分の液体混合物が得られる。促進成分と分離成分の液体混合物は、そのまま混合物として用いてもよいが、必要に応じて、分離膜の後工程で、蒸留や分離膜等により、分離してもよい。分離成分と促進成分の分離が求められる場合には、促進成分は分離が容易であるものを用いる必要がある。
本発明の液体混合物の分離方法では、促進成分は特に限定はされないが、分離成分に対して強い相互作用があり、かつ、細孔での透過が迅速であるものがよい。炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、アルデヒドは、芳香族炭化水素、鎖式炭化水素、環式炭化水素等に対して相互作用が強く、また、分子径が比較的小さいために細孔での透過が速い。このため、炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、アルデヒドは、液体混合物から、芳香族炭化水素、鎖式炭化水素、環式炭化水素を分離する際の促進成分として用いることができる。また、これとは逆に、炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、アルデヒドを液体混合物から分離する際に、芳香族炭化水素、鎖式炭化水素、環式炭化水素等を促進成分として用いることができる。前記炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、アルデヒドとしては、アセトン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等が挙げられる。他、本発明における促進成分と分離成分の組み合わせとしては、促進成分と分離成分とが共沸混合物である系が好適である。前記共沸混合物を形成する系としては、例えば、炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、アルデヒドを含む系では、アセトン−シクロヘキサン、アセトン−ノルマルヘキサン、メタノール−アセトン、メタノール−パラキシレン、エタノール−酢酸エチル、エタノール−ノルマルヘキサン、1−プロパノール−ベンゼン、2−プロパノール−トルエン、ジエチルエーテル−イソブチレン、アセトアルデヒド−ノルマルブタンの各系が挙げられる。炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、アルデヒド以外を含む系では、例えば、ベンゼン−イソオクタン、ベンゼン−シクロヘキサンの各系が例示される。
促進成分の添加量は、分離成分に対して質量比0.01以上(=促進成分の質量%/分離成分の質量%)が好ましい。これより少ないと、透過促進効果が小さくなる。上限については、特に制約はないが、経済性の観点からは、例えば、分離成分に対して質量比1が好ましい。分離成分は必ずしも1種類である必要はなく、液体混合物に複数種含まれても良い。また、非分離成分についても、必ずしも1種類である必要はなく、液体混合物に複数種含まれても良い。促進成分についても、複数種の混合物でもよい。
次に図1A〜1Cを用いて本発明の液体混合物分離装置101を説明する。本発明の液体混合物分離装置101は、液体が混合した液体混合物を透過させることにより液体混合物中の特定成分(分離成分、目的成分ともいう)を透過させて液体混合物を分離するための分離膜11を有する分離部23と、分離部23に液体混合物を供給する供給部21と、供給部21に、または供給部21と分離部23との間に、液体混合物中の特定成分の分離膜11の透過を促進するための促進成分を液体混合物に添加するための促進成分添加部22と、分離膜11を透過した特定成分を回収するための回収部24と、を備える。促進成分添加部22を備えることにより、特定成分の分離膜11の透過を促進するための促進成分を液体混合物に添加することができ、これにより分離成分の透過流束を向上させることができる。
図1Aに、液体混合物分離装置101の実施形態1を示す。図1Aの液体混合物分離装置101は、上流側から供給部21、促進成分添加部22、分離部23、回収部24を備える。実施形態1は、目的成分と促進成分は、そのまま、液体混合物として製品とするような場合を示す。
図1Bに液体混合物分離装置101の実施形態2を示す。図1Bに示すように、分離部23の下流に、特定成分(分離成分、目的成分)と促進成分とを分離するための促進成分分離部25を備える。すなわち、分離部23における分離の後に、後工程(促進成分分離部25)を設けて、目的成分と促進成分を分離する。促進成分分離部25は、分離膜によって分離するように構成することもできるし、蒸留によって分離するように構成することもできる。
図1Cに液体混合物分離装置101の実施形態3を示す。促進成分分離部25により分離された促進成分を分離部23の上流にて分離される前の液体混合物に再度添加する再添加手段26を備えるように構成することもできる。これにより、促進成分分離部25にて分離した促進成分を、分離対象の液体混合物に再添加することができる。
次に分離部23について、図2〜図4を用いて具体的に説明する。分離部23は、液体混合物を分離するための分離膜11を有する。分離膜11は、多孔質基材1上に形成され、分離膜11とそれを支持する多孔質基材1(図2参照)とが一体となった分離膜配設体100の状態で使用される。多孔質基材1の長手方向に沿って形成された貫通孔2の内壁面5に分離膜11が形成され、両端面4,4にシール部12が配設されている(図3参照)。シール部12は、多孔質基材1(モノリス形状基材)の両端面4,4全体に貫通孔2を塞がないようにして配設されている。
分離膜配設体100は、液体混合物をモノリス形状基材1aの貫通孔2の開口部51から貫通孔2内に流入させ、液体混合物の一部(通過流体)を貫通孔2の内壁面5に配設された分離膜11を通過させてモノリス形状基材1a内部に流入させ、モノリス形状基材1aの側面から外部に排出することにより液体混合物を分離するものである。シール部12により、液体混合物がモノリス形状基材1aの端面4からモノリス形状基材内部に流入して、分離膜11を通過した通過流体と端面4から流入した液体混合物とが混ざって側面3から流出することを防止する。
本実施形態の分離膜配設体100において、多孔質基材1は、強度、透過性能、耐食性などが十分であれば材質を問わず、金属やセラミックスが使え、特に限定されないが、セラミックスからなる多孔質基材を用いることが好ましく、セラミックス粒子としては、アルミナ、シリカ、コージェライト、ジルコニア、ムライト等が好ましい。特に、多孔質基材の平均細孔径は、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。また、気孔率は、20〜80%であることが好ましく、30〜70%であることが更に好ましい。
多孔質基材1の形状は、特に限定されず、円板状、多角形板状、円筒、角筒等の筒状、円柱、角柱等の柱状等、目的に合わせてその形状を決定することができる。また、多孔質基材1の大きさは、特に限定されず、支持体として必要な強度を満たすとともに、分離する流体の透過性を損なわない範囲で、目的に合わせてその大きさを決定することができる。容積に対する膜面積比率が大きいことから、特にモノリス形状であることが望ましい(図2参照)。「モノリス形状基材」とは、長手方向に複数の貫通孔が形成されたレンコン状あるいはハニカム状の基材を言う。
シール部12としては、ガラスシール、金属シールを挙げることができ、これらの中でも、多孔質基材1との熱膨張係数を合わせやすい点に優れることより、ガラスシールが好ましい。ガラスシールに用いるガラスの物性としては、特に限定されないが、多孔質基材1の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有することが好ましい。また、ガラスシールに用いるガラスとしては、鉛を含まない無鉛ガラス等が好ましい。
分離膜11の形状は、特に限定されないが、上記多孔質基材を支持体として、例えば、棒形状、ペレット形状、平板形状、チューブ形状、モノリス形状及びハニカム形状等とすることができる。基材容積に対する膜面積比を大きくできることから、特にモノリス形状の基材の内部に形成することが好ましい。
分離膜11の膜種は限定されないが、耐食性の観点からは、無機素材の膜が好適である。特に、ゼオライト膜、炭素膜が好ましい。ゼオライト膜は、MFI型、FAU型、MOR型、BEA型が好適である。MFI型、FAU型、MOR型、BEA型ゼオライト膜は、公知の方法、例えば、水熱合成法、気相輸送法、ドライゲルコンバージョン法により作製することができる。本発明の炭素膜とは、多孔質基材の表面に配設された実質的に炭素からなる多孔質の炭素膜をいい、「実質的に炭素からなる」とは、炭素を質量比において50%以上含むことを意味する。炭素膜は前駆体である炭素含有層を酸素不活性雰囲気下で熱分解することにより炭化して得られる。炭素膜は、酸化加熱処理を行ったものが特に好ましい。酸化加熱処理とは、前駆体である炭素含有層を酸素不活性雰囲気下で熱分解することにより得た炭素膜を、酸化ガスを含む混合ガスを流通させながら加熱処理することをいう。
分離部23の具体的な構成の一実施形態について図4に、及び混合物分離装置101の具体的な構成の一実施形態について図5に示す。すなわち、分離部23は、図4に示すように、分離膜配設体100を内部に備えたモジュール37として構成することができる。つまり、分離部23は、上述の液体混合物用分離膜11を備えてこれを支持する多孔質基材1を有するモジュール37によって構成されている。モジュール37のケーシング部の材質は、特に問わないが、SUSを用いることもできるし、コストの観点からは安価なプラスティックを、軽量化のためにはアルミ等を用いることもできる。
供給部21は、分離部23に液体混合物を供給できる構成であれば、どのような構成であってもよい。図5に示すように、供給部21は、供給タンク35、ポンプ36によって構成することができる。なお、供給液排出口37bから排出された液体混合物を供給タンク35に戻し、循環させてもよい。
促進成分添加部22は、供給部21に、または供給部21と分離部23との間に、設ける。促進成分を液体混合物に添加できる構成であれば、どのような構成であってもよい。なお、促進成分とは、液体混合物中の特定成分(分離成分)の分離膜11の透過を促進するための成分である。特定成分の分離膜11の透過を促進するとは、その液体の透過流束が向上することをいう。促進成分が分離成分に対して質量比で0.008以上(=促進成分の質量%/分離成分の質量%)含まれるように添加することが好ましい。より好ましくは0.01以上0.15以下である。
促進成分添加部22と分離膜部23の間に、促進成分の濃度を検出する濃度検出手段(濃度センサー等)を設け、分離成分に対する促進成分の質量比を随時測定すると共に、それに応じて、促進成分の供給速度を適宜調整してもよい。また、促進成分添加部22と分離膜部23の間に、促進成分と液体混合物の混合液体を均一にするための攪拌機器を設けてもよい。攪拌機器によって混合液体を均一にすることにより、促進成分添加の効果を向上させることができる。
回収部24は、分離膜11を透過した目的成分を回収し、例えば、容器等に充填できるように構成することができる。回収部24は、図5に示すように、冷却トラップ38、真空ポンプ39によって構成することができる。
促進成分分離部25は、分離膜11を透過した目的成分(分離成分)と促進成分とを分離するためのものである。膜を有し、膜で目的成分と促進成分とを分離するように構成してもよいし、蒸留等で分離するように構成してもよい。
再添加手段26は、促進成分分離部25にて分離された促進成分を再度、分離膜11によって分離される前に液体混合物に添加するためのものである。具体的には、促進成分分離部25からパイプ等により、添加成分添加部22へ流通させるように構成することができる。
図5に示す混合物分離装置101は、供給タンク35内に入れられた、芳香族炭化水素を含む液体混合物(原料または供給液ともいう)を所定の温度(例えば50℃)に加熱保持する。
モジュール37には、供給側空間31に連通するように供給液導入口37aと供給液排出口37bとが形成され、透過側空間32には透過蒸気を外部に排出するための透過蒸気回収口37cが形成されている(図4参照)。供給タンク35内の液体混合物は、ポンプ36によって、モジュール37の供給側空間31に供給されるように構成されている。また、モジュール37の上流側にて、促進成分添加部22により促進成分が添加されるように構成されている。
モジュール37は、ゼオライト膜や炭素膜等の分離膜11が形成されたモノリス形状基材1aを、その両端外周部にo−リング33を介して所定の位置に設置できるように構成されている。モジュール37は、o−リング33、ガラスシール(シール部12)および分離膜11により、供給側空間31と透過側空間32に区画されることになる。
モジュール37の透過蒸気回収口37c側には、冷却装置である冷却トラップ38、真空ポンプ39が設けられ、透過蒸気回収口37cから排出される透過蒸気を液体窒素トラップにて回収するように構成されている。
液体混合物分離装置101においては、分離部23に供給される液体混合物を加熱する液体加熱装置を備え、液体を加熱状態、或いは、全量を気化させ、蒸気として供給してもよい。液体加熱装置は、モジュール37の前段に配設することもできるが、モジュール37全体を加熱するように配設され、間接的に液体混合物を加熱するように構成しても良い。また、モジュール37と一体化され、モジュール37自体が液体加熱装置を兼ねていても良い。
上記構成により、ポンプ36にてモジュール37の供給側空間31に、促進成分を加えた液体混合物を供給導入口37aより導入して分離膜11の膜供給側11aに接触させる。真空ポンプ39にて分離膜11の支持体側を減圧することで、分離膜11の膜透過側11bへ透過し、透過蒸気回収口37cから排出される透過蒸気を液体窒素トラップ等の冷却トラップ38にて回収する。透過側空間32の真空度は圧力制御機により所定の減圧下(例えば約0.5Torr)に制御する。これにより、液体混合物と平衡する混合蒸気の組成と膜透過側の蒸気の組成とを異ならせることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例、比較例)
(1)膜の作製方法
(1−1)多孔質基材の作製
長手方向に沿って直径2.5mmの貫通直線孔(貫通孔2)を55個設けた、直径30mm、長さ160mmの多孔質アルミナ質の円柱状基材(モノリス形状基材1a)を押出成形および焼成により作製した。更に、モノリス形状基材1aの両端部にガラスの溶融によりシールを施し(シール部12)、後の試験に供した。
(1−2)分離膜の作製
(1−2−1)MFI型ゼオライト膜
公知文献(特許文献4(WO2007/058387))を参考にし、モノリス形状基材の貫通直線孔内面に形成されたMFI型ゼオライト膜を得た。
(1−2−2)炭素膜
公知文献(特許文献5(特開2003−286018))を参考にし、モノリス形状基材1aの貫通直線孔内面に、形成された炭素膜を得た。
(2)実験装置
図5に示すような分離膜11を用いた分離装置を用いた。分離装置としては、上流側から供給部21、促進成分添加部22、分離部23、回収部24を備えるものを用いた(なお、促進成分分離部25、再添加手段26を備えないものを用いた。)。分離部23は、上述の分離膜11を備えてこれを支持する多孔質基材を有するSUS製モジュール(分離膜11が形成されたモノリス形状基材を、その両端外周部にo−リングを介してSUS製ケーシングに収納したもの)によって構成されている。また、供給部21は、供給タンク35、ポンプ36によって構成され、回収部24は、冷却装置である冷却トラップ38、真空ポンプ39によって構成されている。
(3)実験方法
浸透気化法を用い、液体混合物の分離試験を行った。供給タンクに入れられた液体混合物液、及び、促進成分を所定の温度(50℃)に加熱保持した。ポンプ36にてSUS製モジュール37の供給側空間31に、供給液導入口37aより促進成分を加えた液体混合物を供給した。真空ポンプ39にて分離膜11の支持体側を減圧することで、分離膜11の膜透過側へ透過し、透過蒸気回収口から排出される透過蒸気を液体窒素トラップ(冷却トラップ38)で回収した。透過側は、圧力制御器を用いながら、真空ポンプで減圧し、所定の圧力(真空度0.1torr以下)に保持した。分離膜11を透過し、透過蒸気回収口から排出された透過蒸気は、液体窒素トラップで冷却し、液体として回収した。
透過した液体の質量は電子天秤にて秤量し、液体の組成はガスクロマトグラフィーにて分析した。試験条件及び結果を表1及び表2に示す。表中、透過流束(kg/mh)とは、単位時間、単位分離膜面積当たりに、分離膜11を透過した全物質の質量をいう。また、分離係数(α)は、供給液中の分離成分濃度(質量%)と非分離成分濃度(質量%)との比に対する透過液中の分離成分濃度(質量%)と非分離成分濃度(質量%)との比の値をいう(次式)。
Figure 0005604123
Figure 0005604123
Figure 0005604123
(4)結果
(4−1)実施例1と比較例1
MFI膜において、促進成分として炭素数3のケトンであるアセトンを添加した実施例1は無添加の比較例1に比べて、分離成分であるノルマルヘキサンの透過流束が約1.1倍向上した。分離係数についても、実施例1は比較例1に比べて高かった。実施例1が比較例1に比べて、ノルマルヘキサンの透過流束及び、分離係数が高かったのは、炭素数3以下のケトンであるアセトンの添加によって、ノルマルヘキサンの透過が促進されたためと考えられる。
(4−2)実施例1〜5と比較例1
実施例1〜4の比較から、促進成分(アセトン)と分離成分(ノルマルヘキサン)の質量%比を高くすることで、ノルマルヘキサンの透過流束がより向上することが判明した。具体的には、促進成分を添加しなかった比較例1に比べて、促進成分と分離成分の質量%比が0.008、0.01、0.1、0.15、0.20の実施例1、2、3、4、5は、ノルマルヘキサンの透過流束がそれぞれ、約1.1倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.5倍となった。促進成分であるアセトンについては、分離成分のノルマルヘキサンと共に、分離膜を透過した。このため、分離成分は促進成分との液体混合物として得られた。
(4−3)実施例6と比較例2
炭素膜において、促進成分である炭素数1のアルコールのメタノールを添加した実施例6は無添加の比較例2に比べて、分離成分である炭素数3のケトンのアセトンの透過流束が約1.2倍向上した。分離係数についても、実施例6は比較例2に比べて高かった。実施例6が比較例2に比べて、アセトンの透過流束及び、分離係数が高かったのは、炭素数3以下のアルコールであるメタノールの添加によって、アセトンの透過が選択的に向上したためと考えられる。促進成分のメタノールは、分離成分のアセトンと共に、分離膜を透過した。このため、分離成分は促進成分との液体混合物として得られた。
(4−4)参考と比較例1
MFI膜において、促進成分として炭素数2のエーテルであるジメチルエーテルを添加した参考は無添加の比較例1に比べて、分離成分であるノルマルヘキサンの透過流束が約1.1倍向上した。分離係数についても、参考は比較例1に比べて高かった。参考が比較例1に比べて、ノルマルヘキサンの透過流束及び、分離係数が高かったのは、炭素数3以下のエーテルであるジメチルエーテルの添加によって、ノルマルヘキサンの透過が促進されたためと考えられる。
(4−5)参考と比較例3
炭素膜において、促進成分として炭素数2のアルデヒドであるアセトアルデヒドを添加した参考は無添加の比較例3に比べて、分離成分であるノルマルヘキサンの透過流束が約1.2倍向上した。分離係数についても、参考は比較例3に比べて高かった。参考が比較例3に比べて、ノルマルヘキサンの透過流束及び、分離係数が高かったのは、炭素数3以下のアルデヒドであるアセトンの添加によって、ノルマルヘキサンの透過が促進されたためと考えられる。
(4−6)参考と比較例4
MFI膜において、促進成分であるノルマルヘキサンを添加した参考は無添加の比較例4に比べて、分離成分である酢酸メチルの透過流束が約1.3倍向上した。分離係数についても、参考は比較例4に比べて高かった。参考が比較例4に比べて、酢酸メチルの透過流束及び、分離係数が高かったのは、分離成分と共沸混合物を形成するノルマルヘキサンの添加によって、酢酸メチルの透過が促進されたためと考えられる。促進成分であるノルマルヘキサンについては、分離成分の酢酸メチルと共に、分離膜を透過した。このため、分離成分は促進成分との液体混合物として得られた。
(4−7)参考と比較例5
炭素膜において、促進成分であるベンゼンを添加した参考は無添加の比較例5に比べて、分離成分であるシクロヘキサンの透過流束が約1.2倍向上した。分離係数についても、参考は比較例5に比べて高かった。参考が比較例5に比べて、シクロヘキサンの透過流束及び、分離係数が高かったのは、分離成分と共沸混合物を形成するベンゼンの添加によって、シクロヘキサンの透過が促進されたためと考えられる。促進成分であるベンゼンについては、分離成分のシクロヘキサンと共に、分離膜を透過した。このため、分離成分は促進成分との液体混合物として得られた。
(考察)
促進成分を添加することで、分離成分の透過流束が向上したのは、分離対象の液体混合物に、分離成分と膜表面の両方に対して親和性がある成分(促進成分)を加えることで、透過流束が高い促進成分にあたかも引きずられるようなかたちで、分離成分が細孔を透過するようになるためと推定される。ただし、どのような膜でもこのような効果が得られるわけではなく、膜の選択が重要である。要件は、(1)促進成分や分離成分に対して親和性があること、(2)促進成分や分離成分が透過できる十分な大きさの細孔があること、である。これらの要件を満たすのが、MFI型、FAU型、BEA型、MOR型のゼオライト膜や炭素膜である。
本願によれば、分離対象の液体混合物に僅かに促進成分を加えることで、透過性が高く、同一膜面積でより多くの目的成分を分離することができる。このため、分離装置のコンパクト化や高効率化等の実用的なメリットがもたらされる。
本発明の液体混合物の分離法は、例えば、ナフサの精製プロセスや、エステル製造などの化学プロセス等において適用することができる。
1:多孔質基材、1a:モノリス形状基材、2:貫通孔(貫通直線孔)、3:側面、4:端面、5:内壁面、11:分離膜(炭素膜)、11a:膜供給側、11b:膜透過側、12:シール部、21:供給部、22:促進成分添加部、23:分離部、24:回収部、25:促進成分分離部、26:再添加手段、31:供給側空間、32:透過側空間、33:o−リング、35:供給タンク、36:ポンプ、37:モジュール、37a:供給液導入口、37b:供給液排出口、37c:透過蒸気回収口、38:冷却トラップ、39:真空ポンプ、51:開口部、60:長手方向、100:分離膜配設体、101:液体混合物分離装置。

Claims (2)

  1. 芳香族炭化水素、鎖式炭化水素、環式炭化水素のうちの少なくとも1つを含む液体混合物を無機素材からなる分離膜により分離する前に、前記液体混合物中の特定成分の前記分離膜の透過を促進するための促進成分として、前記特定成分と共沸混合物を形成する炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、及びアルデヒドのいずれかを前記液体混合物に添加し、その後、前記分離膜により前記特定成分を分離成分として、浸透気化法、または蒸気透過法によって前記液体混合物から分離する液体混合物の分離方法。
  2. 前記分離成分が、前記促進成分とは異なる炭素数3以下のケトン、アルコール、エーテル、及びアルデヒドのいずれかである請求項1に記載の液体混合物の分離方法。
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