本発明を適用したカメラと、仮想空間サービスシステムについて説明する前に、まず本発明に関連する技術について説明する。本発明に関連する技術に係るカメラは、仮想サービスと電話回線やインターネット等の通信網によって接続されている。撮影画像やその撮影情報が所定の条件を満たすと、仮想空間に入ることができる。仮想空間に入ると、そこでの情景がカメラの表示部に表示され、ユーザーは気に入った画像があれば、通常のカメラ撮影と同様に、レリーズ操作を行なうことにより、その静止画像を記録することができる。
図1は、本発明に関連する技術に係わるデジタルカメラとその周辺のブロック図である。ユーザーが使用するカメラ100には、撮影レンズ2、AF(オートフォーカス)制御部2a、絞り2b、絞り制御部2c、撮像素子3、アナログフロントエンド(以下、AFEと略す)部4が設けられている。撮影レンズ2は、内部にフォーカスレンズを有し、入射した被写体20の像を撮像素子3上に結像させる。
AF制御部2aは、撮影レンズ2の合焦位置を、後述する画像処理部5内において画像処理を行い、いわゆる山登り法により検出し、フォーカスレンズを駆動して、合焦位置に移動させる。なお、山登り法は、撮影画像のコントラスト信号ピークから合焦位置(ピント位置)を検出する方式であるが、山登り法以外にも、例えば位相差法や三角測距法等公知の合焦方法に置き換えてもよい。AFによって合焦位置に達すると、このときの撮影レンズ2を検出することにより、距離判定を行うことができる。この場合、撮影レンズ2がズームレンズのときには、ズーム位置等を加味して距離の判定を行う。
撮影レンズ2内または近傍に、シャッタや絞りの効果を奏する絞り2bが設けられる。絞り2bは、撮影時に所定の口径まで開き、露出が終了すると閉じて露光を終了させるものである。絞り制御部2cは、絞り2bを駆動して絞り径を設定する。この絞りを変えることによって、レンズの被写界深度が変化するので、背景のぼけ具合などを調整して、被写体を浮かび上がらせたり、背景をしっかりと描写したりするなど、表現の切り替えを行うことができる。撮像素子3は、多数の受光面(画素)からなるCCDやCMOSセンサ等であり、撮影レンズ2を介して被写体20からの像を受光しこれを画像信号に変換する。
アナログフロントエンド(AFE)部4は、アナログデジタル変換(AD)手段を含み、撮像素子3からの信号をデジタル信号化する。そして、AFE部4は、撮像素子3から出力される画像信号について各種処理を行う。また、AFE部4には、撮像素子3のいくつかの画素をまとめて、一括して読み出す機能も設けられている。たとえば、4画素(2×2)や9画素(3×3)など、各画素の信号レベルが小さいときには、いくつかの画素信号を加算して、S/Nを向上させることができ、また、感度を上げることも出来る。
このような操作によって感度を上げることができ、シャッタスピードを速くする等、撮影上の工夫が可能となる。シャッタスピードが速いと、動いている被写体が止まっているように撮影することが可能となる。
また、AFE部4は、撮像素子3の出力する信号を取捨選択する機能を有し、受光範囲の中から限られた範囲の画像データを抽出することが出来る。一般に撮像素子3の画素から間引いた画素信号を抽出する場合には、高速読出が可能となる。これにより構図確認用の画像信号を、画像処理部5によって高速処理し、表示制御部8aを介して表示パネル8に表示することにより、フレーミングが可能となる。
AFE部4の出力は、画像処理部5に接続されている。画像処理部5は、入力信号の色や階調やシャープネスを補正処理する。また、撮像素子3から得られた画像信号を所定のレベルに増幅して、正しい濃淡、正しい灰色レベルに設定する増感部を有している。これは、デジタル化された信号レベルが、所定レベルになるようにデジタル演算するものである。また、画像処理部5は、ライブ画像をリアルタイムに表示部に表示できるように、撮像素子3からの信号を表示パネル8に表示できるようなサイズに加工するリサイズ部5bを有する。この働きによって、撮影に先立って撮像素子に入射する像を確認でき、これを見ながら撮影時のタイミングやシャッタチャンスを決定することが出来る。
また、この画像処理部5の信号を利用して、撮像素子から入力されてくる画像の特徴などを判定する画像判定機能を有している。例えば、画像情報を加工して得られる輪郭情報から、撮像しているものの形状を検出する形状判定部5aや、画像の信号レベルのコントラストを判定して、被写体の距離を判定する距離判定部5c、また、時間による画像の変化を調べて、カメラや被写体の移動を検出する動き検出部5dなどが、このシステムには含まれている。これらは、写真撮影時に、ユーザーがどのような写真を撮ろうとしているかを判定して、撮影制御を最適化するために用いられるものである。
また、画像処理部5は、前述した画像のコントラストを判定する機能を有し、撮影レンズのピント合わせ手段との連動で、オートフォーカスの制御を行う。前述の距離判定部5cは、撮影レンズ2のピント合わせ時のレンズ位置の情報によって、被写体の距離や、背景の距離などが判定できる。
また、カメラ100には、圧縮部6、記録部9a、記録メディア9、送受信部9c、受信設定部9d、送信設定部9e、表示パネル8、表示制御部8a及びマルチ画像処理部8bが設けられている。圧縮部6は、撮影時に画像処理部5から出力された信号を圧縮する。圧縮部6内には、MPEG(Moving Picture Experts Group)4やH.264などの圧縮用コア部で構成される動画用の圧縮部及び
JPEG(Joint Photographic Experts Group)コア部など静止画像用の圧縮部が設けられる。また、圧縮部6は記録メディア9に記録されている画像を表示パネル8に再生する際には、画像伸張も行なう。
記録部9aは、圧縮された画像信号を記録メディア9に記録する。記録メディア9はカメラに着脱可能な保存用の記録媒体である。なお、画像信号の記録にあたっては、写真撮影した時の時間情報も併せて記録しても良い。撮影時間情報は、後述するMPU1内の時計部1tによって計測されており、MPU1は画像と関連付を行なう。
メディア9や記録部9aに記録された撮影画像データは、送受信部9cによって、インターネットや電話回線などの通信回線32経由で、画像を管理するサーバー33等の他の機器に転送したり、直接またはサーバー33を介して仮想空間サービスの提供者と接続することができる。また、送受信部9cは、受信設定部9dと送信設定部9eと接続されており、この受信設定部9dは受信先を指定する指定部であり、また送信設定部9eは送信先を指定する指定部である。
表示パネル8は、例えば液晶や有機EL等から構成され、撮影時には観察用に被写体画像を表示し、再生時には伸張処理された記録画像を表示する。また、この表示パネル8は、送受信部9cを介して受信した仮想空間のCG画像を表示する。
表示制御部8aは、表示パネル8への表示を制御する。マルチ画像処理部8bは、表示パネル8上に、複数の画像を表示する場合の制御部である。このマルチ画像処理部8bによって、撮影した画像や撮影する画像の上に、送信先のアドレスの文字表示や種々の警告表示をすることが可能である。なお、表示パネル8には、撮影して送信済み画像を一覧表示して、そこからサーバー34が運営するブログサービスなどにアップする画像や、アップして、ブログに表示する時のレイアウトを選択できるようにしてもよい。
カメラ100には、補助光発光部11、MPU(Micro
Processing Unit)1、レリーズスイッチ1a、モード切替スイッチ1b、他のスイッチ1cが設けられる。補助光発光部11は、白色LEDやXe放電発光管を有し、電流量で光量が制御できるようになっている。状況に応じて被写体20に光を照射して、明るさの不足や不均一な明るさを防止する。
MPU1は、カメラ全体の制御を司る制御手段である。レリーズスイッチ1a、モード切替スイッチ1b、他のスイッチ1cおよびプログラム等を記憶したROM(不図示)が、MPU1に接続される。MPU1内には、日や時刻を検出するための時計部1tが設けられており、写真の撮影日時を検出し、撮影画像と関連付けを行う。なお、スイッチ1b、1cは、スイッチを総称的に表示したものであって、実際には多数のスイッチ群から構成されている。
各スイッチ1a〜1cは、ユーザーの操作を検出して、その結果をマイクロコントローラからなる演算制御手段であるMPU1に通知する。MPU1が、これらのスイッチの操作に従って動作を切り換える。また、MPU1は撮影時には、AF制御部2aや絞り制御部2c等の制御を行う撮影制御部として機能し、さらに、仮想空間の撮影時には、インターネット等を介して受信した仮想空間のCG画像を取り込み、記録部9aや記録メディア9に記録を行う。
このカメラ100は、前述したように、送受信部9cを利用して仮想空間のサービスの提供を受けることができる。このサービスは、仮想空間をCGで構成して提供するものであり、ユーザーは、この仮想空間内の仮想の土地に、建物のグラフィックを作成し、あたかも都市のような景観を呈しているものがある。このようなサービスは、あくまで仮想の世界であるが、最新の3D技術によって、その中を歩いていくような感覚が得られ、あたかも現実の世界のような体験が得られる。
従って、このような空間に入って行くにも、不自然なインターフェースでの設定が介在すると興趣がそがれる。現実空間の撮影を経て、仮想空間に入っていくような自然なインターフェースが求められ、現実と仮想現実を意識せずに行き来しながら撮影ができることが好ましい。そこで、現実の撮影を楽しんでいるうちに、仮想空間の撮影に移行できるような工夫が望まれる。本実施形態においては、所定の条件を満たす撮影を行うと、仮想空間を提供するサーバーにアクセスし、仮想空間に入りこむようにしている。MPU1に接続された条件判定部1dが、リアルからバーチャル移行の条件を満たすか否かを判定する。
次に、図2を用いて、カメラ100、サーバー33および仮想空間を提供するサーバー34の間における画像データや情報の授受を中心に説明する。図2は、サーバー33の内部構造と、カメラ100によって送信される画像とサーバー33から送信されるCG画像データの授受を示している。
サーバー33は、仮想空間のCGを提供するサーバー34と連携しており、このサーバー34内には、仮想空間のCGを生成するためのCGライブラリ34aが設けられている。サーバー33は、カメラ100のアクセス先のサーバーであり、この内部には、カメラ100からアクセスを受けた際に、データを受信するための受信部33c、この受信部33cに接続されて、データを記録するための記録部33bが設けられている。
また、受信部33cには、受信した撮影条件等の情報が添付された画像が所定条件を満たすか否かの判定を行なう条件判定部33aが接続されている。さらに、条件判定部33aには、判定結果に応じてサーバー34と連携するための連携部33fが接続されている。この連携部33fはサーバー34と接続しており、サーバー34から仮想空間のCGデータを受信する。連携部33fは送信部33bと接続しており、送信部33bはカメラ100にCGデータを送信する。
この図2を用いて、本実施形態に係るシステムの動作について説明する。カメラ100で撮影された撮影画像は、受信部33cにおいて受信され、記録部33dに保存される。記録部33dに記録された画像は、一般に公開し閲覧することが可能である。また、受信した撮影画像は、条件判定部33aによって、図3を用いて後述するような所定条件を満たすか否かの判定が行なわれる。
この判定部で所定条件が満たされた場合、連携部33fを介して仮想空間のCGライブラリ34aを有するサーバー34と連携し、所定の景色の画像を選択し、送信部33bを介して、CG画像データ36をカメラ100に送信する。カメラ100は、仮想空間の画像データ36を受信すると、カメラ背面等に設けられた表示パネル8に仮想空間の画像を動画像として表示する(図4参照)。この表示パネル8は、通常の使用では、撮影レンズ2を介して取得したスルー画像、あるいは記録された撮像画像の再生画像を表示しているが、本実施形態では、これらの画像に加えて仮想空間の画像も表示される。
これによって、現実の撮影のあと、仮想空間にさまよいこんだような効果が得られる。ここでは、あたかも現実の風景が続いているような表示画像を用意しておき、そこからさらに奥に入り込めるようにする。レンズ内の撮影の画像が移動すると、それを画像処理部5内の動き検出部5dによって検出し、検出結果に応じて、図4(a)から(b)に示すように、風景が移り変わるようにすればよい。このとき、動き検出部5での検出結果をサーバー33に送信することにより、サーバー33は動きに応じた仮想空間の画像をカメラ100に送信する。
仮想空間の風景が表示パネル8に表示されると、カメラ100で仮想空間の撮影が可能となる。この状態で撮影操作を行うと、仮想空間の風景の画像が静止画像として撮影され、記録部9aや記録メディア9に記録される。なお、撮影信号を送信することによって、高品位の仮想空間の画像を表す静止画データをサーバー34からカメラ100に送信するようにしてもよい。
このように、本実施形態に係わるカメラ100は、現実と仮想空間のいずれをも撮影できるが、次に、図3を用いて、現実と仮想空間の遷移方法について説明する。現実の世界から仮想空間への遷移方法については、種々あるが、ここでは3つの例を挙げる。
第1の例は、撮影位置の変化に基づく遷移方法である。図3(a)の地図で示す場所Aで撮影し、そのあと場所Bで撮影を行う。条件判定部1dは、GPSによって検出した撮影位置情報から、撮影者は図3(a)の地図上で左下に移動しながら撮影していると判断する。そして次はCの場所で撮影したいという判断を行い、Cの場所は実際には海であるが、仮想都市を形成したサービスとリンクして、この仮想の景観を撮影できるようにする。このように実際に撮影できないような空間での撮影が可能となる。なお、条件判定部1dまたは後述するようにサーバー33の条件判定部33aが画像判定機能を有し、この画像判定機能によって撮影場所を特定することができれば、撮影画像に撮影位置情報を添付する必要がなくなる。
第2の例は、時間情報の変化に基づく遷移方法である。図3(a)に示したような場所の変化だけではなく、図3(b)に示すように、所定の日時に撮影し、次の撮影を所定の日時に行えば、その次の撮影が仮想空間撮影になるようにしてもよい。例えば、週末の土曜の旅先に撮影を行い、翌日、同じ場所で日曜に撮影を行った時、次の月曜は旅先から戻って、実際には旅先にはいなくとも、その場所の風景を擬似的に構成したCG映像を撮影可能なようにすれば、旅から帰った後も、その余韻にひたった撮影を行うことができる。
第3の例は、撮影禁止領域の撮影に基づく遷移方法である。これは、図3(c)のように、撮影禁止の看板を遠くから撮影し、少し近づいて撮影する。サーバー33はこのような画像であると判定すると、看板の先は実際には撮影禁止領域であるが、撮影禁止の看板の先にある風景の画像を配信し、それを擬似的に撮影できるようなサービスを行うことができる。実際には立ち入り禁止の文化財であっても、擬似的に眺め、撮影等できることから、文化財などの保護に役立つサービスが可能となる。
次に、カメラ100の動作について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、現実世界から仮想空間への遷移の判定は、サーバー33内の条件判定部33aでは行わず、カメラ100内の条件判定部1dに行っている。まず、最初に撮影画像が仮想空間に遷移するための所定条件を満たしているか、すなわち、図3(a)から(c)に示したような条件を満たしているか否かの判定を行なう(S1)。判定の結果、所定の条件を満たしていない場合には、ステップ2以下に進み、通常のカメラ制御を行う。
通常のカメラ制御として、まずスルー画表示を行う(S2)。ここでスルー画表示は、撮影レンズ2によって撮像素子3上に結像された被写体像を光電変化し、これに基づく画像データを表示パネル8に動画表示する。次に、レリーズ操作がなされ、撮影を行うか否かを判定する(S4)。判定の結果、撮影を行う場合には、静止画像データを取得し(S5)、記録部9aまたは記録メディア9に画像データの記録を行う(S6)。
次に、ステップS5で撮影された画像の判定を行う(S7)。ここでの判定は、条件判定部1dによってなされ、図3を用いて前述したような仮想空間への遷移条件を満たすか否かの判定である。判定の結果、所定条件を満たす場合は、条件を満たす旨の設定がなされる(S8→S9)。なお、ステップS7での条件判定は、現実世界から仮想空間への遷移のみならず、仮想空間から現実世界に戻る場合も含めて条件判定され、仮想空間にいる場合に、条件を満たした場合には、ステップ9では「条件満たす」から「満たさない」に変更される。
ステップS9において、条件を満たす旨の設定がなされると、フローをリターンし、再びステップS1に戻っての判定の際に、所定条件を満たしていることから、ステップS3aに進む。ステップS3aは、現実の撮影から仮想空間の表示に移るステップで、サーバー33に仮想空間の画像データを要求し、送信されてきた仮想空間の画像を表示パネル8に再生表示する(S3a)。
続いて、ユーザーがカメラ100を動かし移動したか否かを、撮像素子3から出力される画像信号に基づいて動き検出部5dで検出し、動いている場合には、仮想空間を移動して行くように画像の切り替えを行う(S3b)。そして、ステップS4において、ユーザーが仮想空間の情景を撮影したい場合には、前述した撮影動作のステップを実行する。すなわち、現実の撮影と何ら差異なく撮影が楽しめるように、S4以下のステップは共通で、撮影操作は共通となっている。
ステップS4において、撮影でないと判定された場合には、ステップS11に進み、再生か否かの判定を行なう。ユーザーが画像の再生を望む場合には、モード切替スイッチ1b等により再生モードに切り替えるので、これらのスイッチを検出することにより判定する。判定の結果、再生であった場合には、再生動作を行う(S12)。撮影レンズ2および撮像素子3によって取得した被写体画像および仮想空間の画像を再生し、表示パネル8に表示し、楽しむことができる。
この本発明に関連する技術によれば、通常のカメラでは、撮影できないようなシーンでも、通常のカメラと同じ操作で撮影が可能なカメラが提供できる。すなわち、本発明に関連する技術においては、送受信部9cを介して、コンピュータグラフィックで生成された仮想空間の画像を受信し、これを表示パネル8に表示すると共に、通常撮影と同様にレリーズ操作がなされると、この仮想空間の画像を記録部9aや記録メディア9に記録することができる。
また、本発明に関連する技術によれば、送受信部9cで受信した仮想空間の画像を表示パネル8に表示中に、撮像素子3からの画像信号に基づいて画像処理部5cの動き検出部5dがカメラ100の動きを検出し、この検出された動きに応じて、仮想空間の画像が移動するように、サーバー33に画像を要求するようにしている。このためカメラ100の表示パネル8を通して、仮想空間の中を自在に見て回ることができる。
さらに、本発明に関連する技術によれば、条件判定部1dにおいて、複数の撮影画像が所定の条件を満たしているか否かを判定し、仮想空間に遷移するようにしている。現実の世界からバーチャルの世界に飛び込むに、単に特定のアドレスに接続するだけでは、あまりに機械的すぎて仮想空間を楽しむことができない。そこで、本実施形態においては、仮想サービスから仮想空間の画像の提供を受けるにあたって、現実からバーチャル世界への変化を体験できるように設定している。
次に、図6および図7のフローチャートを用いて、本発明の一実施形態を説明する。本発明に関連する技術においては、仮想空間への遷移する所定条件を満たしているか否かの判定は、カメラ100内に設けた条件判定部1dにおいて行なっていた。本発明の一実施形態においては、所定条件を満たしているか否かの判定を、サーバー33の条件判定部33aにおいて行なっている。本実施形態の構成は、本発明に関連する技術において図5のフローチャートを図6および図7に置き換える以外は同様であるので、相違点のみを中心に説明する。
本実施形態におけるカメラ100の制御フローは、通常の撮影はステップS34以下で行い、再生表示はステップS41以下で行い、それ以外のモードとして、ステップS51以下において仮想空間要求を行なっている。まず、ステップS31において、サーバー33より仮想空間の画像データを受信中か否かの判定を行なう。判定の結果、受信中ではない場合には、本発明に関連する技術におけるステップS2と同様にスルー画表示を行なう(S32)。
次に、本発明に関連する技術におけるステップS4と同様に撮影か否かの判定を行なう(S34)。判定の結果、撮影の場合には、ステップS5と同様に撮影を行う(S35)。この後、図3で説明したような仮想空間への遷移条件を満たしているか否かを判定する等のために、位置情報や時間情報等の撮影条件の情報付加を行う(S36)。撮影条件の付加が終わると、撮影画像の記録を行う(S37)。この記録にあたっては、撮影画像に関連付けて撮影条件の付加情報も記録する。記録が終わると、フローの最初に戻る。
ステップS34の判定の結果、撮影ではない場合には、次に再生か否かの判定を行なう(S41)。判定の結果、再生の場合には、本発明に関連する技術のステップS12と同様に、再生動作を行う。再生動作が終わると、次にサーバー33に記録通信を行なうか否かの判定を行なう(S43)。すなわち、再生中の画像をサーバー33に送信し公開したい場合は、記録通信の操作を行う(S44)。送信された画像はサーバー33の記録部33dに格納され、公開される。
ステップS41における判定の結果、再生ではなかった場合には、仮想空間への遷移についての所定条件を満たしているか判定を行なうか否かを判定する。この判定を行なうのは、ホットスポット等でサーバー33と通信が可能となった場合である。所定条件を満たしているか判定する場合には、ステップS36で求めた撮影条件をサーバー33に送信し(S52)、仮想画像送信を要求する(S53)。サーバー33は、撮影条件を判定し、満足していれば、カメラ100の置かれている状態に相応しい仮想空間の画像を送信する。仮想空間要求を送信すると、最初のステップに戻る。なお、カメラ100を強制的に仮
想空間に遷移させるための仮想空間モードに設定した場合にも、ステップS51をYesで抜けて、仮想空間要求を行なう。
ステップS31に戻り、仮想空間の画像の受信の有無を判定し、受信がある場合には、仮想空間のバーチャル画像の表示を行う(S33a)。この時、カメラ100の撮像素子3の画像信号に基づき動き検出部5dによって、カメラの動きを検出し、サーバー33に送信する(S33b)。サーバー33は動きに応じて、仮想風景を移動させる。ユーザーは本発明に関連する技術と同様に、気に入った情景があれば、ステップS34以下において撮影動作を行い、その画像を記録する(S37)。以上の動作によって、ユーザーは、いつのまにか仮想空間に紛れ込んだような感覚で、撮影を楽しめる。
次に、カメラ100に仮想空間の画像を送信するサーバー33の動作を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。まず、カメラ100から撮影画像が送信されてきたか否かの判定を行なう。これは、前述のステップS44(図6)においてカメラ100が行なった画像送信を、サーバー33が受信するステップである。判定の結果、画像を入力した場合には、記録部33dに画像記録を行う(S102)。ここで記録された画像は、多くの人に閲覧可能で、迅速な画像公開ができる。つまり、PCや携帯電話からのアクセスがあれば、ステップS121でその信号を判定し、ステップS122で所定の暗証が一致した場合に、画像閲覧を可能とする(S123)。もちろん、多くの人に見てもらいたい場合、閲覧制限を行わなくてもよい。
ステップS101における判定の結果、画像入力ではない場合には、次に、仮想空間通信か否かの判定を行なう(S111)。すなわち、カメラ100は仮想空間の画像要求をステップS53にて行う際にステップS36にて取得した撮影条件と共に撮影画像を送信してくる。
ステップS111における判定の結果、仮想空間通信の場合には、次に、撮影位置、時間変化が条件を満たすか否かの判定を行なう(S112)。ここでは、図3(a)、(b)で説明したような、撮影画像の位置や時間の変化が所定の条件を満たした場合には、Yesで抜けてステップS115に進む。一方、ステップS112の判定の結果が、Noであった場合には、図3(c)で説明したような撮影画像が所定の変化をしているか否かの判定を行う。
ステップS113における判定の結果が、Noであった場合には、カメラ100が所定モードに設定されているか否かの判定を行なう(S114)。すなわち、カメラ100が仮想空間モードに設定されステップS53で仮想空間要求がなされている場合や、撮影位置がアミューズメントパーク等の特定場所にある等、その他の条件を満たしているか否かの判定を行なう。判定の結果、所定モード設定となっていれば、ステップS115に進む。
ステップS115においては、現在仮想空間内にあるか否かの判定を行なう。すなわち、本実施形態においては、仮想空間にない場合に、所定の条件を満たせば、仮想空間に入り、一方、仮想空間にある場合に所定の条件を満たせば仮想空間から現実の世界に戻るように構成している。そこで、判定の結果、仮想空間にない場合はステップS115からステップS116に分岐して、カメラ100から送信されてきた画像の条件に応じて、サーバー33は、仮想空間の画像データの送信を行う。
この時、カメラ100から送信されてきた画像の条件の中に、撮影位置情報が含まれている場合には、この撮影位置に応じた仮想空間の画像を送るようにしても良い。例えば、ディズニーランドのようなアミューズメントパークであれば、それに相応しい仮想空間とする。次に、ステップS33bにおいて送信されてきたカメラ100の動き信号を受信し、動き信号に応じた仮想空間の表示切替を行う(S117)。これによって、仮想空間を移動しての撮影ができる。
ステップS114の判定の結果、すでに仮想空間に入っている場合は、ステップS115からS118に分岐し、その仮想空間内で所定の条件の撮影がなされると、現実空間の撮影に切り替わる。例えば、図4(b)に示すような扉37に向って行って、そこを開けると、現実画像に戻るような方法であれば、自然な風景の遷移となる。
本発明の一実施形態によれば、撮影条件の判定をカメラ100ではなく、画像送信先のサーバー33が行い、外部のデータベースを利用することができるので、より複雑な条件設定が可能となる。なお、本実施形態においては、仮想空間に遷移し、また仮想空間から現実世界に復帰するための所定条件については、サーバー33において判定しているが、まず、カメラ100の条件判定部1dにおいて、1次判定を行い、この1次判定を満足した場合に、サーバー33で、より複雑な条件で判定するようにしてもよい。
以上、説明したように本発明の実施形態によれば、現実空間からさらに撮影領域を拡大したカメラを提供でき、カメラを使用、携帯する率が高まり、カメラを利用し易くなる。また、通常のカメラでは、撮影できないようなシーンでも、通常のカメラと同じ操作で撮影が可能なカメラが提供できる。
また、本実施形態によれば、仮想空間の画像を表示パネル8に表示中に、カメラ100の動きを検出し、この検出された動きに応じて、仮想空間の画像を移動させている。このため、仮想空間でありながら、現実の世界のように楽しむことができる。なお、本実施形態においては、カメラ100の動きは、撮像素子3からの画像信号に基づいて画像処理部5cの動き検出部5dが検出していたが、これに限らず、例えば、手振れ判定のセンサなどによって、カメラ100の動きを検出するようにしても良い。
さらに、本実施形態によれば、カメラ100内の条件判定部1dやサーバー33の条件判定部33aにおいて、撮影条件や撮影画像に基づいて遷移のための所定の条件を満たしているか否かを判定し、仮想空間と現実世界の間を遷移するようにしている。このため、現実から仮想へ、仮想から現実へ自然なインターフェースで切り換えることができる。
なお、各実施形態の説明において、記録部9aや記録メディア9に記録する画像は静止画像のデータであったが、これに限らず、動画を記録するようにしても良い。この場合には、レリーズスイッチ1aが操作された時に動画像の記録を開始し、次に、レリーズスイッチ1aが操作された時に動画像の記録を停止するようにすれば良い。