次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明におけるパレット搬送装置10を示す。各図において、互いに直交するX、Yの2軸を設定し、X軸が略水平横方向、Y軸が略水平前後方向に延びるものとし、パレット搬送装置10の構成について説明する。このパレット搬送装置10は、ワークを載せる複数のパレット11を循環軌道に沿って搬送する循環軌道搬送手段20と、その循環軌道搬送手段20により搬送される複数のパレット11の内の一部のパレット11を循環軌道上における基準位置Kと循環軌道から外れた目的位置M1〜M3とを連結する往復軌道に沿って搬送する往復軌道搬送手段50とを備える。この実施の形態では、5台のパレット11が設けられ、循環軌道搬送手段20はこの5台のパレット11を循環軌道で搬送し、往復軌道に沿って搬送される一部のパレットとはその内の1台のパレット11である場合を示す。
具体的に、この実施の形態における循環軌道搬送手段20は、複数のパレット11を移動可能に搭載して循環軌道を構成するパレットレール22〜25を備える。この実施の形態におけるパレットレールは、他方の側面を向かい合わせるようにY軸方向に離間して互いに平行にX軸方向に延びて架台9(図2)上に設けられた奥側パレットレール22及び手前側パレットレール23と、その奥側パレットレール22の一端に連続して設けられ奥側パレットレール22から分離して移動して手前側パレットレール23の他端に連続可能な第1可動レール24と、手前側パレットレール23の一端に連続して設けられ手前側パレットレール23から分離して移動して奥側パレットレール22の他端に連続可能な第2可動レール25とを備える。奥側及び手前側パレットレール22,23並びに第1及び第2可動レール24,25は同一構造であり、それぞれのレール22〜25は、支持板22a〜25aと、その支持板22a〜25aの上縁にねじ止めにより固定された市販の直線運動ガイドレール22b〜25bを備える。そして、図2、図3及び図8に示すように、奥側及び手前側パレットレール22,23の支持板22a,23aにはそれらの下端に取付板22c,23cが溶接され、これらの取付板22c,23cが架台9上に固定されて移動不能に設けられる。
図2〜図4に示すように、パレット11は、それぞれのレール22〜25における直線運動ガイドレール22b〜25bを跨いでそれらのレール22〜25上を移動可能に構成された直線運動ブロック11aと、そのブロック11aにねじ止めされた台座11bと、その台座11bの下側のレール22〜25を挟む両側に設けられた係止部材12とを有する。図2〜図4は奥側パレットレール22に搭載されたパレット11を示す。この直線運動ブロック11aは直線運動ガイドレール22bと対に販売される市販のものであって、図示しないローラーリテーナを備えるものが好ましい。この直線運動ブロック11aを用いることにより、その幅方向(Y軸方向)の移動を禁止しつつパレット11が奥側及び手前側パレットレール22,23並びに第1及び第2可動レール24,25上を移動する抵抗を著しく軽減することができる。そして、パレット11における台座11bには、その上部に図示しないワークを収めるワーク支持部材が取付けられる。
図1に戻って、X軸方向に延びて互いに平行に設けられた奥側及び手前側パレットレール22,23における支持板22a,23aには、それぞれの一端に第1及び第2可動レール24,25を収容可能な収容切欠き22d,23dが形成される。第1及び第2可動レール24,25は後述する第1及び第2エアシリンダ27,28により支持され、収容切欠き22d,23dを埋めた状態で奥側及び手前側パレットレール22,23と連続し、X軸方向に延びる直線を成すように構成される。
また、奥側及び手前側パレットレール22,23における支持板22a,23aの他端には受容切欠き22e,23eがそれぞれ形成される。奥側パレットレール22における受容切欠き22eは手前側パレットレール23の収容切欠き23dに対向して形成され、手前側パレットレール23における受容切欠き23eは奥側パレットレール22の収容切欠き22dに対向して形成される。そして、その収容切欠き22d,23dと受容切欠き22e,23eがY軸方向に一致するように奥側パレットレール22及び手前側パレットレール23が架台9(図3)に固定される。
収容切欠き22d,23d及び受容切欠き22e,23eのX軸方向の長さW1(図2に奥側パレットレールにおける受容切欠き22eのものを代表して示す。)はパレット11のX軸方向の長さL1と同一又はそれよりも長く形成され、その収容切欠き22d,23d及び受容切欠き22e,23eを埋めた第1及び第2可動レール24,25に奥側及び手前側パレットレール22,23から移動したパレット11を搭載可能に構成される。そして、その架台9には第1及び第2可動レール24,25を別々に支持する第1及び第2エアシリンダ27,28が設けられる。
この第1及び第2エアシリンダ27,28は、収容切欠き22d,23dと受容切欠き22e,23eに対向し、それらの両切欠きを貫通するY軸方向に中心軸が一致するように架台9に取付けられ、Y軸方向に出没可能なロッド27b,28bの先端に第1及び第2可動レール24,25が取付けられる。そして、第1可動レール24を支持する第1エアシリンダ27のロッド27bが突出状態で奥側パレットレール22の収容切欠き22dに第1可動レール24を埋め、そのロッド27bが没入状態で手前側パレットレール23の受容切欠き23eに第1可動レール24を埋めるように構成される。また、第2可動レール25を支持する第2エアシリンダ28のロッド28bが没入状態で手前側パレットレール23の収容切欠き23dに第2可動レール25を埋め、そのロッド22bが突出状態で奥側パレットレール22の受容切欠き22eに第2可動レール25を埋めるように構成される。
また、循環軌道搬送手段20は、パレットレール22,23に沿って設けられ複数のパレット11が係止する循環ベルト31,32を備える。この実施の形態における循環ベルトは、パレット11と係合可能に構成され奥側パレットレール22に沿って設けられて循環する奥側循環ベルト31と、パレット11と係合可能に構成され手前側パレットレール23に沿って設けられて循環する手前側循環ベルト32を有する。
奥側循環ベルト31は、奥側パレットレール22の一方の側面に設けられ収容切欠き22dを埋めて奥側パレットレール22の一端に連続する第1可動レール24に搭載されたパレット11が係止する奥側第1短ベルト31aと、奥側パレットレール22の一方の側面に設けられ受容切欠き22eを埋めて奥側パレットレール22の他端に連続する第2可動レール25に搭載されたパレット11が係止する奥側第2短ベルト31bと、奥側第1短ベルト31aと奥側第2短ベルト31bの間を連結するように奥側パレットレール22の他方の側面に設けられその奥側パレットレール22に搭載されたパレット11が係止する奥側第3短ベルト31cを有する。
奥側パレットレール22における支持板22aの一端に奥側サーボモータ33により回転する奥側駆動プーリ34が奥側パレットレール22の一方の側面に設けられる。具体的には、奥側パレットレール22における支持板22aの一端に奥側サーボモータ33が取付けられ、その回転軸33aに奥側駆動プーリ34が取付けられる。そして、収容切欠き22dと受容切欠き22eのX軸方向の内側であってその近傍には奥側第1〜第4従動プーリ35a〜35dがそれぞれ設けられ、奥側パレットレール22における支持板22aの他端には奥側第5従動プーリ35eが設けられる。
奥側第1及び第2従動プーリ35a,35bは奥側パレットレール22の幅方向(Y軸方向)の両側に中心軸35fにより連結されて設けられ、奥側第3及び第4従動プーリ35c,35dはその両側に中心軸35gにより連結されて設けられる。そして、一方における第1及び第3従動プーリ35a,35cが回転すると中心軸35f,35gにより連結された第2及び第4従動プーリ35b,35dも回転するようにそれらの中心軸35f,35gが奥側パレットレール22に枢支される。そして、奥側駆動プーリ34とそれに収容切欠き22dを挟んで一方の側面に設けられた第1従動プーリ35aに奥側第1短ベルト31aが掛け回され、奥側パレットレール22の他端における奥側第5従動プーリ35eとそれに受容切欠き22eを挟んで一方の側面に設けられた第4従動プーリ35dに奥側第2短ベルト31bが掛け回される。そして、奥側パレットレール22の他方の側面に設けられた奥側第2及び第3従動プーリ35b,35cに奥側第3短ベルト31cが掛け回される。
一方、手前側循環ベルト32は、手前側パレットレール23の一方の側面に設けられ収容切欠き23dを埋めて手前側パレットレール23の一端に連続する第2可動レール25に搭載されたパレット11が係止する手前側第1短ベルト32aと、手前側パレットレール23の一方の側面に設けられ受容切欠き23eを埋めて手前側パレットレール23の他端に連続する第1可動レール24に搭載されたパレット11が係止する手前側第2短ベルト32bと、手前側第1短ベルト32aと手前側第2短ベルト32bの間を連結するように手前側パレットレール23の他方の側面に設けられその手前側パレットレール23に搭載されたパレット11が係止する手前側第3短ベルト32cを有する。
手前側パレットレール23における支持板23aの一端に手前側サーボモータ36により回転する手前側駆動プーリ37が手前側パレットレール23の一方の側面に設けられる。具体的には、手前側パレットレール23における支持板23aの一端に手前側サーボモータ36が取付けられ、その回転軸36aに手前側駆動プーリ37が取付けられる。そして、収容切欠き23dと受容切欠き23eのX軸方向の内側であってその近傍には手前側第1〜第4従動プーリ38a〜38dがそれぞれ設けられ、手前側パレットレール23における支持板23aの他端には手前側第5従動プーリ38eが設けられる。
手前側第1及び第2従動プーリ38a,38bは手前側パレットレール23の幅方向(Y軸方向)の両側に中心軸38fにより連結されて設けられ、手前側第3及び第4従動プーリ38c,38dはその両側に中心軸38gにより連結されて設けられる。そして、一方における第1及び第3従動プーリ38a,38cが回転すると中心軸38f,38gにより連結された第2及び第4従動プーリ38b,38dも回転するようにそれらの中心軸38f,38gが手前側パレットレール23に枢支される。そして、手前側駆動プーリ37とそれに収容切欠き23dを挟んで一方の側面に設けられた第1従動プーリ38aに手前側第1短ベルト32aが掛け回され、手前側パレットレール23の他端における手前側第5従動プーリ38eとそれに受容切欠き23eを挟んで一方の側面に設けられた第4従動プーリ38dに手前側第2短ベルト32bが掛け回される。そして、手前側パレットレール23の他方の側面に設けられた手前側第2及び第3従動プーリ38b,38cに手前側第3短ベルト32cが掛け回される。
奥側及び手前側サーボモータ33,36には図示しないコントローラからの制御出力が接続され、図示しないコントローラからの指令により奥側及び手前側サーボモータ33,36が駆動すると、それらの回転軸33a,36aが奥側及び手前側駆動プーリ34,37とともに回転し、それらの駆動プーリ34,37に掛け回された奥側及び手前側第1短ベルト31a,32aが奥側及び手前側第1従動プーリ35a,38aとの間で循環し、これらの循環によりその奥側及び手前側第1従動プーリ35a,38aとともに奥側及び手前側第2従動プーリ35b,38bも回転し、第3従動プーリ35c,38cとの間に掛け回された奥側及び手前側第3短ベルト31c,32cを循環させる。すると、第3短ベルト31c,32cの循環により第3従動プーリ35c,38cとともに奥側及び手前側第4従動プーリ35d,38dも回転し、奥側及び手前側第5従動プーリ35e,38eとの間に掛け回された奥側及び手前側第2短ベルト31b,32bを循環させる。よって、奥側及び手前側サーボモータ33,36が駆動することにより、奥側及び手前側パレットレール22,23に沿って設けられた奥側及び手前側循環ベルト31,32を循環可能に構成される。
奥側第1〜第3短ベルト31a〜31cからなる奥側循環ベルト31、及び手前側第1〜第3短ベルト32a〜32cからなる手前側循環ベルト32の全てはいわゆる歯付きベルトである。これらのベルト31,32は同一構造であるので奥側第1短ベルト31aを代表して説明すると、図2の拡大図に示すように、この歯付きベルトである奥側第1短ベルト31aは、幅方向に延びる凹凸31d,31eが長手方向に交互に連続するベルトであって、その凹凸31d,31eに係合可能な被凹凸12a,12bがパレット11に形成される。この実施の形態における被凹凸部12a,12bはパレット11を構成する係止部材12に形成される。図3に示すように、この係止部材12は台座11bの下側に存在する奥側パレットレール22を挟む両側にそれぞれ設けられる。
係止部材12を奥側パレットレール22を挟む両側に設けるのは、奥側パレットレール22の一方の側面に存在する奥側第1及び第2短ベルト31a,31bに係合する係止部材12と、奥側パレットレール22の他方の側面に存在する奥側第3短ベルト31cに係合する係止部材12を必要とするからである。そして、図2の拡大図に示すようにY軸方向から奥側第1短ベルト31aが進入すると、奥側第1短ベルト31aに形成された凹凸31d,31eが係止部材12における被凹凸12a,12bに係合するように構成される。そして、パレット11における被凹凸12a,12bが奥側第1短ベルト31aの凹凸31d,31eに係合すると、奥側第1短ベルト31aと独立したパレット11のX軸方向の移動は禁止され、これによりパレット11は循環ベルト31に係止される。このように、パレット11が係止された奥側第1短ベルト31aを循環させると、パレット11がその奥側第1短ベルト31aとともに移動し、奥側第1短ベルト31aが沿う奥側パレットレール22に沿ってそのパレット11を搬送するように構成される。
また、奥側及び手前側循環ベルト31,32の凹凸31d,31e及びパレット11における被凹凸12a,12bはその幅方向、即ちY軸方向に延びて形成されるので、パレット11を搭載する第1又は第2可動レール24,25が収容切欠き22d,23d又は受容切欠き22e,23eからY軸方向に移動して奥側又は手前側パレットレール22,23から分離する際にパレット11と奥側及び手前側循環ベルト31,32の係合は外れることになる。図8に、第2可動レール25が受容切欠き22eから移動する場合を代表して実線矢印で示す。逆に、奥側又は手前側パレットレール22,23から離脱していた第1又は第2可動レール24,25がY軸方向に移動して受容切欠き22e,23e又は受容切欠き22e,23eを埋めて奥側又は手前側パレットレール22,23と一直線上になったときにパレット11は奥側又は手前側パレットレール22,23に沿って設けられた奥側又は手前側循環ベルト32,31に係止するように構成される。図8に、第2可動レール25が受容切欠き22eを埋める場合を代表して破線矢印で示す。
次に、本発明のパレット搬送装置10における往復軌道搬送手段50を説明する。図1に示すように、この往復軌道搬送手段50は、循環軌道搬送手段20により搬送される複数のパレット11の内の一部のパレット11、この実施の形態では、単一のパレット11を循環軌道上における基準位置Kと、その循環軌道から外れた目的位置M1〜M3とを連結する往復軌道に沿って搬送するものである。この実施の形態における基準位置Kは、循環軌道を形成する奥側パレットレール22の略中央に設けられ、その基準位置Kにおける奥側パレットレール22にはパレット11と同一又はパレット11より僅かに広い欠損部22fが形成される。
往復軌道搬送手段50は、パレット11を搭載可能なパレットテーブル51を備える。図4及び図5に詳しく示すように、パレットテーブル51は、台板51aとその台板51aに取付けられた短レール51bとを備える。パレットテーブル51における短レール51bは奥側パレットレール22における直線運動ガイドレール22bと同一構造のものであり、その短レール51bは、図2に示すように、その長さL2が欠損部22fの幅W2よりも僅かに短く形成され、そのパレットテーブル51が欠損部22fに進入して基準位置Kに有る場合に、奥側パレットレール22における直線運動ガイドレール22bに連続し、その奥側パレットレール22から移動するパレット11を図4及び図5に示すようにパレットテーブル51が搭載可能に構成される。
また、往復軌道搬送手段50は、パレットテーブル51を基準位置Kと目的位置M1〜M3との間を往復移動させるテーブル移動機構を備える。このテーブル移動機構は、奥側パレットレール22の基準位置Kに一端が取付けられてその奥側パレットレール22と略直交するY軸方向に延びて架台9上に水平に取付けられた細長いハウジング52と、そのハウジング52の中央にそのハウジング52を貫通するように設けられたボールネジ53と、ハウジング52の一端に設けられそのボールネジ53を回動駆動するサーボモータ54と、このボールネジ53に螺合してハウジング52に沿って平行移動する従動子55を備える。サーボモータ54には、図示しないコントローラからの制御出力が接続され、ボールネジ53の回転数に応じて従動子55の移動距離が変更可能に構成される。そして、この従動子55にパレットテーブル51が取付けられ、パレットテーブル51は搭載するパレット11とともに、循環軌道上における基準位置Kと循環軌道から外れた目的位置M1〜M3とを連結する往復軌道に沿って搬送可能に構成される。
次に、上記パレット搬送装置を用いた本発明におけるワークの搬送方法を説明する。
本発明におけるワークの搬送方法は、上記パレット搬送装置10を用い、循環軌道及び往復軌道に沿って設けられたワークステーション1〜4にワークを搬送するワークの搬送方法であって、ワークを搭載した複数のパレット11を循環軌道に沿って搬送する循環軌道搬送工程と、複数のパレット11の内の一部のパレット11を循環軌道の基準位置Kと往復軌道に沿って設けられたワークステーションに対峙する目的位置M1〜M3との間で往復移動させる往復軌道搬送工程とを繰り返すことを特徴とする。
図1に示すように、この実施の形態におけるパレット搬送装置10は、モータ等の電動機におけるステータを製造するラインに設けられるものを例示し、この製造ラインは4種類のワークステーション1〜4がパレットの搬送経路に沿って設けられるものを示す。これらのワークステーション1〜4には、パレット搬送装置10によって搬送される図示しないワークに対して絶縁部材を挿入する挿入機、その絶縁部材にワイヤを巻回する巻線機、巻線されたワイヤからなるコイルにリード線を接続するカシメ機、及びそのリード線をワイヤに溶接する溶接機を備えるものであり、これらのワークステーション1〜4はこの順序で各種加工を順に行い、図示しないステータを自動的に製造するものとする。
そして、挿入機、カシメ機及び溶接機を備えるワークステーション1,3,4の加工時間は略同一であるけれども、巻線機を備えるワークステーション2の加工時間は他のワークステーション1,3,4の加工時間の3倍かかるものとし、図1では、循環軌道を構成する奥側パレットレール22に沿って比較的加工時間の短い挿入機とカシメ機と溶接機を備えるワークステーション1,3,4が設けられる。挿入機を備えるワークステーション1は奥側パレットレール22における収容切欠き22dと欠損部22fの中間に対向して設けられ、カシメ機を備えるワークステーション3はその欠損部22fと奥側パレットレール22における受容切欠き22eの中間に対向して設けられる。そして、溶接機を備えるワークステーション4は奥側パレットレール22における受容切欠き22eに対向して設けられる。これにより、パレットテーブル51が欠損部22fに進入して基準位置Kに有る場合に、受容切欠き22eと、挿入機を備えるワークステーション1と、パレットテーブル51と、カシメ機を備えるワークステーション3と、溶接機を備えるワークステーション4はX軸方向に一定の間隔を持って配置されることになる。
挿入機1とカシメ機3の間の加工を行う巻線機を備えるワークステーション2は往復軌道に沿って3台設けられる。この実施の形態では、往復軌道搬送手段50におけるハウジング52に沿って巻線機を備えるワークステーション2が3台設けられ、ハウジングの基準位置Kから最も遠いワークステーション2に対向する位置を第1目的地M1とし、次に遠いワークステーション2に対向する位置を第2目的地M2とし、最も近いワークステーション2に対向する位置を第3目的地M3とする。そして、これら3台のワークステーション2とハウジング52の間には、ワーク交換機器6が設けられ、パレットテーブル51に載って目的位置M1〜M3まで搬送されたパレット11から巻線がされる以前のワークを取出してワークステーション2における作業テーブル2aに置き、その作業テーブル2aに置かれていた既に巻線されたワークをそのパレット11に巻線がされる以前のワークと取り替えて搭載するものとする。
このような複数種類の加工を行うワークステーション1〜4が配置されたことを前提として、本発明における各工程を以下に詳しく説明する。
<循環軌道搬送工程>
この工程では、ワークを載せる複数のパレット11を循環軌道に沿って搬送し、パレット11の位置を同一方向にひとつづつずらす。上記パレット搬送装置10を用いるので循環軌道は四角形状を成し、図1に示すように、搬送以前の状態における5台のパレット11は、収容切欠き22dに存在する第1可動レール24と、挿入機を備えるワークステーション1とカシメ機を備えるワークステーション3に対向する位置の奥側パレットレール22と、溶接機4に対向して受容切欠き22eに存在する第2可動レール25と、基準位置Kである欠損部22fに存在するパレットテーブル51にそれぞれ搭載される。そして、各パレット11には加工の対象である図示しないワークがそれぞれ搭載されているものとし、それらのワークに対して各加工機を備えるワークステーション1,3,4における加工が全て終了した状態からこの工程における搬送が開始される。具体的には、第1可動レール24に搭載されたパレット11に未加工のワークが搭載され、ワークステーション1に対峙するパレット11に絶縁部材が挿入されたワークが搭載され、基準位置Kに存在するパレットに巻線がされたワークが搭載され、ワークステーション3に対峙するパレット11にコイルにリード線が接続されたワークが搭載され、第2可動レール25に搭載されたパレット11にリード線がワイヤに溶接されたワークが搭載された状態から、この工程における搬送が開始される。
この循環軌道搬送工程では、図6の破線矢印で示すように、先ず、第2エアシリンダ28によりそのロッド28bを没入させ、溶接機を備えるワークステーション4に対向して受容切欠き22eに存在する第2可動レール25をパレット11とともに手前側パレットレール23に向けてY軸方向に移動させる。すると、第2可動レール25に搭載されて奥側パレットレール22から離れるパレット11は、図8の実線矢印で示すようにそのパレット11に設けられた被凹凸部12a,12bが奥側パレットレール22に沿って設けられた奥側循環ベルト31の凹凸31d,31eから離脱する。そして、その第2可動レール25をパレット11とともに手前側パレットレール23の収容切欠き23dに収容して手前側パレットレール23に接続すると、その第2可動レール25が手前側パレットレール23の収容切欠き23dに収まった時点でその第2可動レール25は手前側パレットレール23と一直線上になり、そのパレット11は手前側パレットレール23に沿って設けられた手前側循環ベルト32に新たに係止される。そして、図6の破線矢印で示すように駆動機構である手前側サーボモータ36を駆動させ、その手前側循環ベルト32を循環させて、第2可動レール25におけるパレット11を手前側パレットレール23に移動させる。この手前側循環ベルト32の循環はそのパレット11が作業者Pの前面に至った状態で停止され、作業者Pはそのパレット11に搭載された加工が終了したワークを、これから加工するワークと交換する。
その後、第2エアシリンダ28によりそのロッド28bを図6の実線矢印で示すように突出させ、手前側パレットレール23の収容切欠き23dに存在する第2可動レール25を奥側パレットレール22に向けてY軸方向に移動させ、その受容切欠き22eに納めてその第2可動レール25を奥側パレットレール22と連結させる。そして、図7の破線矢印で示すように、奥側サーボモータ33を駆動することによりその奥側循環ベルト31を循環させ、奥側パレットレール22に沿って存在する残り4つのパレット11をX軸方向に順次搬送する。そして、カシメ機を備えるワークステーション3に対峙していたパレット11が溶接機を備えるワークステーション4に対峙して第2可動レール25に搭載され、パレットテーブル51に搭載されていたパレット11が移動してカシメ機を備えるワークステーション3に対峙し、挿入機を備えるワークステーション1に対峙していたパレット11が移動してパレットテーブル51に搭載され、第1可動レール24に搭載されていたパレット11が移動して挿入機を備えるワークステーション1に対峙した段階で奥側循環ベルト31の循環は停止され、これら4つのパレット11の搬送を停止する。
これら4つのパレットが搬送された後には、各ワークステーション1,3,4における挿入機、カシメ機及び溶接機はそれらに対峙するパレット11に搭載された図示しないワークに対してそれぞれの加工を開始する。これらの各ワークステーション1,3,4における加工の間、図7の実線矢印で示すように、第1エアシリンダ27によりそのロッド27bを没入させ、奥側パレットレール22の収容切欠き22dに存在する第1可動レール24を手前側パレットレール23に向けてY軸方向に移動させ、その第1可動レール24を手前側パレットレール23の受容切欠き23eに収容してその手前側パレットレール23に接続する。そして、手前側サーボモータ36を駆動することにより手前側循環ベルト32を循環させ、手前側パレットレール23に搭載されて作業者Pにより交換された新たなワークが搭載されたパレット11をこの第1可動レール24に搭載し、搭載された段階で手前側循環ベルト32の循環を停止させる。その後、第1エアシリンダ27によりそのロッド27bを一点鎖線矢印で示すように突出させ、手前側パレットレール23の受容切欠き23eに存在する第1可動レール24を奥側パレットレール22に向けてY軸方向に移動させ、その収容切欠き22dに納めてその第1可動レール24を奥側パレットレール22と連結させる。
この場合であっても、第1可動レール24の交換された新たなワークを搭載するパレット11がその第1可動レール24とともに手前側パレットレール23から離れる際にパレット11の被凹凸12a,12bと手前側循環ベルト32における凹凸32d,32eの係合は外れるので、その第1可動レール24が移動することに支障を生じさせない。そして、第1可動レール24が奥側パレットレール22の収容切欠き22dに収まった状態で、その第1可動レール24は奥側パレットレール22と一直線上になり、そのパレット11は奥側パレットレール22に沿って設けられた奥側循環ベルト31に新たに係止される。これにより、5つのパレットは4角形を成す循環軌道において反時計方向に順次搬送されてひとつづつずれたことになり、この回における循環軌道搬送工程は終了する。
<往復軌道搬送工程>
この工程では、複数のパレット11の内の一部のパレット11、この実施の形態では、パレットテーブル51に搭載された単一のパレット11を循環軌道上における基準位置Kと往復軌道に沿って設けられた3台のワークステーション2に対峙する目的位置M1〜M3との間で往復移動させる。上記パレット搬送装置10を用いるので、前述の循環軌道搬送工程の終了時において、パレットテーブル51は、奥側パレットレール22に形成された欠損部22f、即ち基準位置Kにある。このため、前述の循環軌道搬送工程が終了すると、挿入機を備えるワークステーション1による加工が施されたワークを搭載するパレット11が基準位置Kのパレットテーブル51に搭載されることになる。そして、この往復軌道搬送工程では、先ず、そのパレットテーブル51をパレット11とともに循環軌道を構成する奥側パレットレール22から外して目的位置M1〜M3に向けて移動させる。
ここで、奥側循環ベルト31として歯付きベルトを用い、そのパレット11に係止する第3短ベルト31cを奥側パレットレール22の他方の側面に設けるので、パレット11が奥側パレットレール22の一方の側面から遠ざかると、Y軸方向に移動しない奥側循環ベルト31の凹凸31d,31eから係止片12における被凹凸12a,12bがY軸方向へずれて外れる。即ち、奥側循環ベルト31を奥側パレットレール22の両側に交互に設けられた第1〜第3短ベルト31a〜31cにより構成することにより、パレット11を搭載するパレットテーブル51を循環軌道から外れた目的位置M1〜M3に移動させることができ、その奥側循環ベルト31として歯付きベルトを用いることにより、パレットテーブル51を目的位置M1〜M3に移動するだけで、パレットテーブル51に搭載されたパレット11をその循環ベルト31から容易に外すことができる。
パレットテーブル51の移動は、図5の実線矢印で示すように、サーボモータ54を駆動してボールネジ53を回転させ、そのボールネジ53に螺合している従動子55をハウジング52の長手方向に沿って目的位置M1〜M3に向けて移動させることにより行われ、その従動子55とともに移動するパレットテーブル51の移動量はボールネジ53の回転数に応じて決定される。そして、この往復軌道搬送手段50の沿線に設けられた巻線機を備える3台のワークステーション2のそれぞれが目的位置M1〜M3となり、図示しないコントローラはパレットテーブル51に搭載されたパレット11を循環軌道から外してそれらの目的位置M1〜M3のいずれかにまで搬送するようにサーボモータ54を制御する。
各ワークステーション2に対峙する3つの目的位置M1〜M3の内のいずれか1つの目的位置にパレットテーブル51が移動してそのワークステーション2にパレット11が対峙すると、そのワークステーション2に設けられたワーク交換機6がそのワークステーション2に備えられた巻線機により既に巻線が施されて作業台2aに載せられて待機するワークと、そのパレット11に搭載されている前工程により絶縁部材が挿入された図示しないワークとを交換する。交換機6によりワークが交換されると、その巻線機を備えるワークステーション2では交換されたワークに対して新たに巻線が開始される。そして、巻線が成されたワークがパレット11に搭載されると、パレットテーブル51を、そのパレット11とともにそのワークステーション2に対峙する目的位置M1〜M3から循環軌道上の基準位置Kに戻す。
このパレットテーブル51の戻しは、図5の破線矢印で示すようにサーボモータ54を駆動してボールネジ53を逆方向に回転させ、そのボールネジ53に螺合している従動子55をパレットテーブル51とともに移動させることにより行われる。そして、パレット11を奥側パレットレール22に沿って設けられた奥側循環ベルト31に係止させる。循環ベルト31として歯付きベルトを用いるこの実施の形態では、パレットテーブル51を目的位置M1〜M3から循環軌道上の基準位置Kにまで戻すことにより、図5に示すように、ベルト31における凹凸31d,31eに、係止片12における被凹凸12a,12bを係合させることができる。これによりパレット11は奥側循環ベルト31に係止し、その後に再び行われる循環軌道搬送工程において、その循環ベルト31を循環させることによりそのパレット11をパレットテーブル51から奥側パレットレール22に移動させることが可能になる。
この往復軌道搬送工程は、それ以前の循環軌道搬送工程が終了して各ワークステーション1,3,4における加工が開始された後に開始され、それらによる加工が終了する以前に終了される。よって、各ワークステーション1,3,4における加工が終了すると直ちに次の循環軌道搬送工程を開始することが可能になり、次の循環軌道搬送工程において複数のパレット11の位置を同一方向にひとつづつずらすことにより、巻線が終了した図示しないワークを搭載したパレット11はパレットテーブル51から奥側パレットレール22に移動し、そのパレット11をその次の工程であるカシメ機を備えるワークステーション3に対峙させることができる。
本発明のワークの搬送方法では、このような循環軌道搬送工程と往復軌道搬送工程とを交互に繰り返す。但し、往復軌道搬送工程におけるパレット11の搬送距離は前回の往復軌道搬送工程におけるパレット11の搬送距離と異ならせる。往復軌道搬送手段50の沿線に3台の巻線機を備えるワークステーション2が設けられたこの実施の形態では、その3台のワークステーション2に対峙する目的位置M1〜M3が順次異なり、最も遠いワークステーション2に対向する第1目的地M1から順に、次の往復軌道搬送工程ではそのパレット11を次に遠いワークステーション2に対向する第2目的地M2まで搬送し、その次の往復軌道搬送工程では、最も近いワークステーション2に対向する第3目的地M3にパレット11を搬送するものとする。
具体的に説明すると、ワークを載せる複数のパレット11の位置を同一方向にひとつづつずらした循環軌道搬送工程の後の往復軌道搬送工程において、基準位置Kにおけるパレット11は最も遠いワークステーション2に対向する第1目的地M1にまで搬送され、そこでパレット11に搭載されたワークと、そのワークステーション2の巻線機により既に巻線が施されたワークが交換され、その後そのパレット11は再び基準位置Kに戻る。そして、次の循環軌道搬送工程において基準位置Kのパレットは巻線が施されたワークとともにカシメ機を備えたワークステーション3に対峙し、基準位置Kにあるパレットテーブル51には、巻線が成されていないワークを搭載するパレット11が移動して新たに搭載されることになる。
一方、その次の往復軌道搬送工程において、基準位置Kにおけるパレット11は次に遠いワークステーション2に対向する第2目的地M2にまで搬送され、そこで搭載されたワークが既に巻線が施されたワークと交換され、その後そのパレット11は既に巻線が施されたワークとともに再び基準位置Kに戻る。そして、次の循環軌道搬送工程において基準位置Kのパレットは巻線が施されたワークとともにカシメ機を備えたワークステーション3に対峙し、そのワークステーション3に対峙していたパレット11はコイルにリード線が接続されたワークとともに更に移動して溶接機を備えるワークステーション4に対峙することになる。これと同時に、基準位置Kにあるパレットテーブル51には、巻線が成されていないワークを搭載するパレット11が再び移動して搭載されることになる。
更に、その次の往復軌道搬送工程において、基準位置Kにおけるパレット11は最も近いワークステーション2に対向する第3目的地M3にまで搬送され、そこで搭載されたワークが既に巻線が施されたワークと交換され、その後そのパレット11は既に巻線が施されたワークとともに再び基準位置Kに戻る。そして、次の循環軌道搬送工程において基準位置Kのパレットは巻線が施されたワークとともにカシメ機を備えたワークステーション3に対峙し、そのワークステーション3に対峙していたパレット11はコイルにリード線が接続されたワークとともに更に移動して溶接機を備えるワークステーション4に対峙し、そのワークステーション4に対峙していたパレット11はリード線がワイヤに溶接されたワークとともに第2可動レール25に搭載されて奥側パレットレール22から離れることになる。これと同時に、基準位置Kにあるパレットテーブル51には、巻線が成されていないワークを搭載するパレット11が再び移動して搭載されることになる。
そして、次の往復軌道搬送工程において、その基準位置Kにおけるパレット11が再び最も遠いワークステーション2に対向する第1目的地M1にまで搬送され、そこでパレット11に搭載されたワークと、そのワークステーション2の巻線機により既に巻線が施されたワークが交換されて基準位置Kに戻る。この結果、3台のワークステーション2の内の任意の一つが1回加工を行う間に循環軌道に沿ったパレット11の搬送は3回行われ、基準位置を通過する3台のパレット11に搭載されたワークに対して3台のワークステーション2が順次巻線を行うことになる。
よって、循環軌道を構成する奥側パレットレール22に沿って設けられたワークステーション1における挿入機による巻線加工の3分の1の時間をかけて絶縁部材の挿入が行われたワークは3台のワークステーション2に順次搬送され、そこで3倍の時間をかけて巻線加工がなされる。このため、絶縁部材が挿入されたワークを搭載するパレット11が巻線機を備えるワークステーション2に搬送されずに渋滞するようなことはない。また、その奥側パレットレール22に沿って設けられたカシメ機を備えるワークステーション3と溶接機を備えるワークステーション4にあっては、巻線加工が終了したワークを搭載したパレット11が対峙することになるけれども、そのワークは3台のワークステーション2により巻線がなされたものが順次対峙することになるので、巻線加工の3分の1の時間でカシメ及び溶接を行う必要が生じ、それらの加工が終了した時点から次回の循環軌道搬送工程までの間に空白の時間が生じるようなこともない。
このように、往復軌道に沿って設けられた複数のワークステーション2のワークに対する処理時間が、循環軌道に沿って設けられたワークステーション1,3,4のワークに対する処理時間より長い。そして、往復軌道に沿って設けられたワークステーション2におけるワークに対する処理時間と、循環軌道に沿って設けられたワークステーション1,3,4の内の最も長いワークに対する処理時間との比に相当する数のワークステーション2を往復軌道に沿って設けることにより、各ワークステーション1〜4における加工時間が異なる場合であっても、比較的短時間で加工が終了したパレット11の次の加工に行くまでに待機する時間が、その加工時間を超える様な事態を解消することができる。
また、循環軌道搬送工程では、パレット11を循環ベルト31,32に係止することにより、奥側パレットレール22及び手前側パレットレール23に沿ってそのパレット11の搬送を行うので、パレット11のベルト31,32に係合する位置を変化させることにより、先にそのベルト31,32に係合して奥側パレットレール22又は手前側パレットレール23に沿って搬送された先のパレット11との間隔、即ち先のパレット11との搬送ピッチを容易に変更することができる。よって、各ワークステーション1〜4の変更又は加工対象であるワークの種類の変更等が成されて、ワークを搬送するピッチの変更が必要になっても、パレット11自体を変更することなく速やかにそのピッチの変更に対応させることが可能となる。
なお、上述した実施の形態では、奥側パレットレール22における支持板22aの一端に奥側サーボモータ33により回転する奥側駆動プーリ34を設け、手前側パレットレール23における支持板23aの一端に手前側サーボモータ36により回転する手前側駆動プーリ37を設けたけれども、それぞれのサーボモータ33,36は循環ベルト31,32を循環可能である限り、いずれの場所に設けても良く、図1における第1及び第2従動プーリ35a,35b,38a,38bが設けられた位置、又は第3及び第4従動プーリ35c,35d,38c,38dが設けられた位置、又は第5従動プーリ35e,38eが設けられた位置にそれらのサーボモータ33,34を設けるようにしても良い。
例えば、図1における第3及び第4従動プーリ35c,35d,38c,38dが設けられた位置にそれぞれのサーボモータ33,36が設けられる例を図9に示す。この図9では、奥側及び手前側パレットレール22,23におけるそれぞれの支持板22a,23aのX軸方向の中央部分と受容切欠き22e,23eとの間に、奥側及び手前側サーボモータ33,36が往復軌道搬送手段50におけるサーボモータ54と並んで取付けられる。この奥側及び手前側サーボモータ33,36は取付部材33b,36bを介して架台9(図3)に直接取付けられ、それらの回転軸33a,36aに駆動プーリ34,37が取付けられる。それぞれの駆動プーリ34,37は、連結軸34a,37aを介して奥側及び手前側パレットレール22,23の両側にそれぞれ設けられ、一方の駆動プーリ34,37に第3短ベルト31c,32cが掛け回され、他方の駆動プーリ34,37に第2短ベルト31b,32bが掛け回される。そして、一方の駆動プーリ34,37とともに第3短ベルト31c,32cが掛け回された第2従動プーリ35b,38bは中心軸35f,38fを介して奥側及び手前側第1短ベルト31a,32aが掛け回された第1従動プーリ35a,38aと連結される。これにより、このような位置にそれぞれのサーボモータ33,36を設けたとしても、奥側及び手前側サーボモータ33,36が駆動することにより、奥側及び手前側パレットレール22,23に沿って設けられた奥側及び手前側循環ベルト31,32をそれぞれ循環させることができる。
また、上述した実施の形態では、奥側及び手前側循環ベルト31,32を循環させる2つのサーボモータ33,36を備える場合を説明したけれども、この奥側及び手前側循環ベルト31,32を循環させる動力源としてのサーボモータは2つであることに限られずに単一であっても又は3つ以上であっても良い。例えば、図10に示すように、4つのサーボモータ33,36,41,42を用いて奥側及び手前側循環ベルト31,32を循環させても良い。図10では、奥側第3短ベルト31cを循環させる奥側サーボモータ33と、手前側第3短ベルト32cを循環させる手前側サーボモータ36と、奥側第1短ベルト31aと手前側第2短ベルト32bを循環させる左端部サーボモータ41と、奥側第2短ベルト31bと手前側第1短ベルト32aを循環させる右端部サーボモータ42とを備える場合を示す。
図10における奥側及び手前側サーボモータ33,36の回転軸33a,36aにはそれぞれ駆動プーリ34,37が設けられ、これらの駆動プーリ34,37と奥側及び手前側パレットレール22,23に設けられた第2従動プーリ35b,38bとの間に第3短ベルト31c,32cがそれぞれ掛け渡される。左端部サーボモータ41の回転軸41aには奥側左駆動プーリ43が取付けられ、その奥側左駆動プーリ43には手前側左駆動プーリ44が左連結軸44aを介して同軸に更に取付けられる。そして、奥側左駆動プーリ43と奥側第1従動プーリ35aとの間に奥側第1短ベルト31aが掛け渡され、手前側左駆動プーリ44と手前側第4従動プーリ38dとの間に手前側第2短ベルト32bが掛け渡される。一方、右端部サーボモータ42の回転軸42aには奥側右駆動プーリ46が取付けられ、その奥側右駆動プーリ46には手前側右駆動プーリ47が右連結軸47aを介して同軸に更に取付けられる。そして、奥側右駆動プーリ46と奥側第4従動プーリ35dとの間に奥側第2短ベルト31bが掛け渡され、手前側右駆動プーリ47と手前側第1従動プーリ38aとの間に手前側第1短ベルト32aが掛け渡される。そして、第1及び第2従動プーリ35a,35b,38a,38bは連結されておらず、これにより奥側サーボモータ33は奥側第3短ベルト31cを循環させ、手前側サーボモータ36は手前側第3短ベルト32cを循環させ、左端部サーボモータ41は奥側第1短ベルト31aと手前側第2短ベルト32bを循環させ、右端部サーボモータ42は奥側第2短ベルト31bと手前側第1短ベルト32aを循環させるように構成される。
図10に示すように4つのサーボモータ33,36,41,42を用いたとしても、それら4つのサーボモータ33,36,41,42を駆動させることにより、奥側及び手前側パレットレール22,23に沿って設けられた奥側及び手前側循環ベルト31,32をそれぞれ循環させることができる。そして、それぞれの第1〜第3短ベルト31a〜31c,32a〜32cはそれぞれ別のサーボモータ33,36,41,42により循環されるので、図示しないコントローラからの指令により、隣接する短ベルト同士の連結箇所における凹凸31d,31e,32d,32e(図2及び図8)を長手方向に所定の間隔で交互に連続するようにすれば、その奥側及び手前側循環ベルト31,32の循環により、それに係止されたパレット11を奥側及び手前側パレットレール22,23に沿って支障なく搬送することができる。
また、上述した実施の形態では、単一の循環軌道搬送手段20に対して単一の往復軌道搬送手段50が設けられたパレット搬送装置10を説明したが、例えば、図11に示すように、単一の循環軌道搬送手段20に対して複数の往復軌道搬送手段50を設けても良い。図11には、単一の循環軌道搬送手段20に対して2つの往復軌道搬送手段50が設けられたパレット搬送装置10が例示され、一方の往復軌道搬送手段50は、循環軌道上における第1基準位置K1と循環軌道から外れた目的位置M1〜M3とを連結する往復軌道に沿ってパレット11を搬送可能に構成され、他方の往復軌道搬送手段50は、循環軌道上にあって第1基準位置K1に隣接する第2基準位置K2と循環軌道から外れた目的位置N1,N2とを連結する往復軌道に沿ってパレット11を搬送可能に構成される。図11では、第1基準位置K1と第2基準位置K2の両側に、循環軌道を構成する奥側パレットレール22に沿って、比較的加工時間の短いワークステーション1及びワークステーション4が設けられる。そして、一方の往復軌道搬送手段50におけるハウジング52に沿ってワークステーション2が3台設けられ、他方の往復軌道搬送手段50におけるハウジング52に沿ってワークステーション3が2台設けられる場合が例示される。
図11に示すパレット搬送装置10では、ワークステーション1及び4における加工時間は略同一であるけれども、ワークステーション2の加工時間はそれらのワークステーション1及び4の加工時間の3倍かかり、ワークステーション3の加工時間はそれらのワークステーション1及び4の加工時間の2倍かかる場合に好ましい。即ち、図11に示すような複数の往復軌道搬送手段50が設けられたパレット搬送装置10では、循環軌道に沿って設けられたワークステーション1において加工が終了したワークは一方の往復軌道に沿って設けられた3台のワークステーション2に順次搬送され、そこでワークステーション1における加工時間の3倍の時間をかけて加工がなされる。そして、そのワークステーション2において加工が終了したワークは他方の往復軌道に沿って設けられた2台のワークステーション3に順次搬送され、そこでワークステーション1における加工時間の2倍の時間をかけて加工がなされることになる。このため、ワークステーション1における加工が終了したワークを搭載するパレット11がワークステーション2に搬送されずに渋滞するようなことはなく、ワークステーション2における加工が終了したワークを搭載するパレット11がワークステーション3に搬送されずに渋滞するようなこともない。
また、図11に示すワークステーション4にあっては、ワークステーション3における加工が終了したワークを搭載したパレット11が順次対峙することになるけれども、そのワークは2台のワークステーション3により加工がなされたものが順次対峙することになる。このため、ワークステーション3における加工時間の2分の1の時間で、ワークステーション4における加工を行う必要が生じる。ここで、ワークステーション3における加工時間はワークステーション4における加工時間の2倍であるので、往復軌道搬送工程においてワークステーション3において加工が終了したワークを搭載する第2基準位置K2のパレット11を次の循環軌道搬送工程において直ちに搬送することが可能になり、その搬送までの間に空白の時間が生じるようなこともない。
このように、単一の循環軌道搬送手段20に対して複数の往復軌道搬送手段50を設けたとしても、往復軌道に沿って設けられたワークステーション2及び3におけるワークに対する処理時間と、循環軌道に沿って設けられたワークステーション1及び4のワークに対する処理時間との比に相当する数のワークステーション2及び3をそれらの往復軌道に沿って設けることにより、各ワークステーション1〜4における加工時間が異なる場合におけるパレット11の渋滞を効果的に解消することができる。
また、上述した実施の形態では、5台のパレット11が設けられ、往復軌道に沿って搬送される一部のパレットがその内の1台のパレット11である場合を例示したが、パレット11の台数は5台に限らず、循環軌道に沿って設けられるワークステーション1,3,4の数に応じて適宜に増減されるものであって、6台や7台又は8台以上であっても良い。そして、往復軌道に沿って搬送される一部のパレットとは、1台に限らず複数のパレット11の内の一部を構成する限り、2台でも3台でも4台以上であっても良い。
また、上述した実施の形態では、循環軌道搬送工程においてパレット11が反時計回り方向の軌道に循環する場合を説明したが、反時計回り方向に限らず、各パレット11を時計回り方向に搬送することも可能である。
また、上述した実施の形態では、循環ベルト31,32を電気駆動式のサーボモータ33,36により循環させる場合を例示するが、サーボモータに代えて、流体圧シリンダ又は流体圧モータ等を用いて循環ベルトを循環させても良い。
また、上述した実施の形態では、挿入機、巻線機、カシメ機、及び溶接機を備えるワークステーション1〜4を用い、ステータを自動的に製造する場合を説明したが、各ワークステーションはこれらに限るものではない。
更に、上述した実施の形態では、往復軌道搬送手段50としてボールネジ53を電気駆動式のサーボモータ54により回転させて一部のパレット11を往復移動させたけれども、サーボモータ54に代えて、流体圧シリンダ又は流体圧モータ等を用いてボールネジ53を回転させ、又はそれらにより直接パレットテーブル51を往復軌道に沿って移動させ、それにより一部のパレット11を往復移動させても良い。