JP5602873B2 - 粒子線治療装置 - Google Patents

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Description

本発明は、陽子線や炭素線等の重粒子線を含む荷電粒子ビームを、癌等の患部に照射し治療を行う医療装置である粒子線治療装置において、とくに患者の呼吸を誘導する呼吸誘導装置に関する。
粒子線治療は、治療対象となる患部に荷電粒子ビーム(以下、粒子ビームという)を照射して、患部組織にダメージを与えて治療を行うものであり、照射対象である患部組織に十分な線量を与えるとともに、周辺組織への線量を抑制する必要がある。そのため、予め測定した照射対象の形状に応じて照射線量や照射範囲(以降、照射野と称する)を制御するための治療計画を立案する。しかし、治療計画は、照射対象の形状や位置が変形(変位)しないことを前提に立案されているので、照射対象が呼吸に伴って変位する場合は、計画通りの照射を行うことができなくなる。そこで、呼吸に伴い変位する照射対象については、呼吸位相を計測し、位置や形態が安定する呼吸位相において粒子ビームを照射する、いわゆる呼吸同期によりビーム照射を制御する粒子線治療装置(例えば、特許文献1および2参照。)が提案されている。
さらに、呼吸が意識的に制御できることに着目し、呼気や吸気のタイミングを提示して、患者の呼吸を所定の周期に誘導する、呼吸誘導機能を有する粒子線治療装置(例えば、特許文献3ないし6参照。)が提案されている。
特開2006−288875号公報(段落0037〜0040、図7〜図9) 国際公開番号WO2006/082651A1(段落0092〜0096、図16) 特開2001−346773号公報(段落0013〜0015、図1) 特開2008−119449号公報(段落0014〜0020、図4、図5) 特開2008−259604号公報(段落0058〜0059、図3) 国際公開番号WO2009/150708A1(段落0021〜0026、図1、図6)
上記のような呼吸誘導機能は、患者の呼吸を加速器等の運転周期に適した周期のように、効率的にビーム照射が行えるように誘導するものであり、提示するタイミングに対して実際の呼吸がずれている場合は、緩急や深さなどを修正するための指示等を行うことが記載されている。しかしながら、いずれの粒子線治療装置でも、呼吸評価においては、呼吸信号の時間変化である呼吸波形の頂点または底辺の位置(最大/最小値)、あるいは呼吸波形のうちの閾値を超えている(または下回っている)部分の位置や長さ等を評価対象としており、それ以外の部分は評価対象からはずれていた。そのため、例えば、呼吸が不規則になった場合やノイズがのった場合など、想定外の波形が生じた場合に呼吸を正確に評価する事ができず、適切な制御または指示を実行することができなかった。つまり、呼吸に対して最適なタイミングで照射を行うことができなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、呼吸を正確に評価することにより、呼吸を適切に誘導できる呼吸誘導装置および粒子線治療装置を得ることを目的としている。
本発明の粒子線治療装置は、粒子ビームを発生させる加速器と、複数の治療室と、前記加速器と前記複数の治療室のそれぞれとを結ぶ粒子ビームの輸送経路と、前記輸送経路中に設置され、前記加速器が発生させた粒子ビームが前記複数の治療室のいずれかひとつの治療室に供給されるように前記粒子ビームの軌道を切り替える切替装置と、前記複数の治療室のそれぞれに設けられた呼吸誘導装置と、前記複数の治療室のそれぞれに設けられ、供給された粒子ビームを照射対象に応じた照射野に成形するとともに、少なくとも前記目標呼吸信号に同期して前記照射対象への照射を制御する照射装置と、を備え前記呼吸誘導装置には、患者の呼吸を誘導するための目標呼吸信号を生成する目標呼吸信号生成部と、前記患者の実呼吸を測定し、測定した実呼吸信号を出力する実呼吸測定部と、前記目標呼吸信号に対する前記実呼吸のずれを評価する呼吸評価部と、が設けられ、前記切替装置は、前記複数の治療室のうち、それぞれの呼吸評価部が評価した前記目標呼吸信号に対する前記実呼吸のずれが最も少ない治療室を治療対象に選択するように、前記粒子ビームの軌道を切り替えることを特徴とする。
本発明の粒子線治療装置によれば、実呼吸信号と目標呼吸信号のずれの評価結果に基づいて粒子ビームの軌道を切り替えるようにしたので、正確な照射が可能な治療室を選択して照射することができる。
本発明の実施の形態1に係る呼吸誘導装置を備えた粒子線治療装置の全体構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1に係る呼吸誘導装置を備えた粒子線治療装置の制御系の構成を説明するための機能ブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る呼吸誘導装置において使用する目標呼吸信号と評価関数および呼吸ゲート信号との関係を示した波形図である。 本発明の実施の形態1に係る呼吸誘導装置において評価関数を用いて呼吸信号を評価する際のゲインと位相の関係を示す複素平面図である。 本発明の実施の形態1に係る呼吸誘導装置の呼吸情報教示装置において呼吸誘導時に表示する表示画面例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る呼吸誘導装置の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る呼吸誘導装置の部分である呼吸評価部の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態1にかかる呼吸誘導装置、および、実施の形態2にかかる呼吸誘導プログラムの動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る呼吸誘導装置を実現するため、コンピュータ上に構築された呼吸誘導プログラムの構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る呼吸誘導装置の部分である呼吸評価部の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る呼吸誘導装置の呼吸情報教示装置において呼吸誘導時に表示する表示画面例を示す図である。 本発明の実施の形態4に係る呼吸誘導装置の部分である呼吸評価部の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態5に係る呼吸誘導装置の部分である呼吸評価部の構成を説明するためのブロック図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1にかかる呼吸誘導装置(呼吸ナビゲーション装置)および呼吸誘導装置を備えた粒子線治療装置の構成について説明する。図1〜図7は本発明の実施の形態1にかかる呼吸誘導装置および粒子線治療装置の構成について説明するためのもので、図1は粒子線治療装置全体の構成を示す図、図2は粒子線治療装置の制御に関する構成を説明するための機能ブロック図、図3は呼吸誘導において使用する(目標)呼吸信号と評価関数および呼吸ゲート信号との関係を示した波形図、図4は評価関数を用いて呼吸信号を評価する際のゲインと位相の関係を示す複素平面図、図5は呼吸誘導装置を構成する呼吸情報教示装置において呼吸誘導時に表示する表示画面例を示す図である。そして、図6は呼吸誘導装置の構成を説明するためのブロック図、図7は呼吸誘導装置の部分である呼吸評価部の構成を説明するためのブロック図、図8は呼吸誘導装置の動作を説明するためのフローチャートである。
はじめに、粒子線治療装置の大まかな構成について図1を用いて説明する。図において、粒子線治療装置は、荷電粒子ビームの供給源として、シンクロトロンである円形加速器1(以降、単に加速器と称する)と、治療室毎に設けられた照射装置を備える照射系2と、加速器1と各治療室とをつなぎ、加速器から荷電粒子ビームを各治療室の照射装置に輸送する輸送系3と、これら各系統(後述するサブシステム)を連携して制御する制御系4とを備えている。そして、本発明の実施の形態にかかる粒子線治療装置に特徴的な構成は、各治療室に設けた呼吸誘導装置において、実呼吸信号を周期が規定された目標呼吸信号の周期に合わせてデータ収集し、フーリエ級数展開した場合の1次項に相当する対をなす三角関数の係数から実呼吸信号の時間的な位置である位相と深さであるゲインを導き出し、呼吸誘導のための目標呼吸信号との定量的な比較を行えるようにしたものである。定量的な比較および、比較結果に基づく制御については後に詳しく説明することとして、各構成の説明に移る。
<加速器>
加速器1は、荷電粒子ビームが周回する軌道経路となる真空ダクト11、前段加速器5から供給された荷電粒子を真空ダクト11に入射するための入射装置12、荷電粒子が真空ダクト11内の周回軌道に沿って周回する荷電粒子ビームを形成するよう荷電粒子の軌道を偏向させるための偏向電磁石13a,13b,13c,13d(まとめて13と称する)、周回軌道上に形成された荷電粒子ビームが発散しないように収束させる収束用電磁石14a,14b,14c,14d(まとめて14と称する)、周回する荷電粒子に同期した高周波電圧を与えて加速する高周波加速空洞15、加速器1内で加速させた荷電粒子ビームを加速器1外に取りだし、輸送系3に出射するための出射装置16、出射装置16から荷電粒子ビームを出射させるために荷電粒子ビームの周回軌道に共鳴を励起する六極電磁石17を備えている。
なお、偏向電磁石13には、偏向電磁石13の励磁電流を制御する偏向電磁石制御装置や、高周波加速空洞15には、高周波加速空洞15に高周波電圧を供給するための高周波源、高周波源を制御するための高周波制御装置というように、各部を制御するための図示しない装置が備えられており、偏向電磁石制御装置、高周波制御装置や収束用電磁石14などその他のコンポーネントを制御して加速器1全体を制御する加速器制御装置41を制御部4内に備えている。ただし、本発明の技術思想においては、加速器1自体の制御を限定するものではないので、上記構成に限ることなく、安定して荷電粒子ビームを輸送系3に出射できるものであれば、種々の変形が許されることはいうまでもない。
また、前段加速器5は、図では簡略化のためにひとつの機器のように記載しているが、実際には、陽子、炭素(重粒子)等の荷電粒子(イオン)を発生させるイオン源(イオンビーム発生装置)と、発生された荷電粒子を初期加速する線形加速器系とを備えている。そして、前段加速器5から加速器1に入射した荷電粒子は、高周波数の電界で加速され、磁石で曲げられながら、光速の約70〜80%まで加速される。
<輸送系>
加速器1により加速された荷電粒子ビームは、HEBT(高エネルギービーム輸送:High Energy Beam Transport)系と称される輸送系3へと出射される。輸送系3は、荷電粒子ビームの輸送経路となる真空ダクト(主ダクト31m、治療室A用ダクト31A、治療室B用ダクト31B、まとめて真空ダクト31)と、荷電粒子ビームのビーム軌道を切替える切替装置である切替電磁石32と、ビームを所定角度に偏向する偏向電磁石33とを備えている。そして加速器1により十分にエネルギーが与えられ、真空ダクト31により作られた輸送経路内を進む荷電粒子ビームを、切替電磁石32で必要に応じて軌道(31A方向、31B方向)を変え、指定された治療室に設けられた照射装置へと導く。
<照射系>
照射系2は、輸送系3から供給された荷電粒子ビームを照射対象である患者の患部の大きさや深さに応じた照射野に成形して患部へ照射する照射装置21、および照射の際の呼吸誘導といった呼吸ナビゲーション機能を有する呼吸誘導装置7とを備えたものである。そして、照射対象である患部への照射のON/OFFを呼吸誘導および実呼吸に連動して(目標呼吸信号および実呼吸信号の位相に応じて)制御する。なお、輸送系の説明において、「指定された治療室に設けられた照射装置」と記載したように、粒子線治療装置は治療効率の観点から、一般的に複数の治療室(図では6A、6B。まとめて治療室6と称する)を備える。すなわち、ここで示す照射系2は、照射装置21と呼吸誘導装置7とが治療室6毎に設けられたものであり、例えば、治療室6A用の照射系2Aは、照射装置21Aと呼吸誘導装置7Aとを備える。
呼吸ナビゲーション(以下、機器の構成では「呼吸誘導」と称するが、単独で用いる場合、一般的に用いられている「呼吸ナビゲーション」と称する)機能を実現するため、呼吸誘導装置7は、患者の呼吸状態を測定するための呼吸測定装置7aと、呼吸測定装置7aが測定した実呼吸波形と呼吸誘導のための目標呼吸波形とに基づいて患者への粒子線照射の是非を判断するとともに、呼吸誘導装置7全体を管理する呼吸誘導装置本体7cと、呼吸同期に関する情報を患者に教示するための呼吸情報教示装置7bとを備える。とくに、呼吸誘導装置本体7cにあっては、呼吸状態の評価において、後述するように実呼吸波形と呼吸誘導のための目標呼吸波形から数学的に算出した位相と振幅(ゲイン)に基づいて呼吸状態を定量的に評価し、その評価結果に基づいて呼吸誘導の修正の是非を判断する呼吸評価部7cEを備えている。
<治療室>
なお、図において、治療室A(6A)では、偏向電磁石33G部分から照射装置21Aを含む照射系全体が患者(治療台)を中心に回転し、患者への粒子ビームの照射角度を自由に回転できる回転照射室であり、回転ガントリとも言われる。そして、治療室B(6B)では、角度や位置を自在に設定可能な椅子に座した患者に対して照射装置21Bから水平方向に粒子ビームを照射する水平照射室である。例として、タイプの異なる2つの治療室を記載したが、呼吸ナビゲーション機能については、治療室のタイプに関係なく、同じ機能のものを適用できる。したがって、記載した以外のタイプの治療室であっても、また、治療室数が異なっても適用可能である。
<制御系>
このように複数のサブシステムからなる大型で複雑なシステムの制御系は、一般的に、各サブシステムを専ら制御するサブ制御器と全体を指揮し制御するメイン制御器からなることが多い。本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置の制御系4においても、このメイン制御器とサブ制御器の構成を採用している。簡単のため、粒子線治療装置の制御系のうち、加速器1、輸送系3、照射系2の3つのサブシステムの制御に関する制御系、つまり、図に示すように、加速器制御部41、輸送系制御部43、照射系制御部42および全体制御部40を備える制御系4について説明することとする。
制御系4について、制御系の構成を模式的に示した図2を用いて説明する。ところで、粒子線治療装置における制御器には、ワークステーションやコンピュータを用いることが一般的である。そのため、制御器を「計算機」という呼び方をする場合も多い。例えば、図2におけるメイン制御器40は、実態は照射系共通計算機と称されることが多いコンピュータ上の機能であるが、ここではある機能を有する制御器として扱う。また、機器制御計算機は、サブシステムである照射系2の制御を行うサブ制御器42に相当し、各治療室6A、6Bに分散して配置されている照射系2A、2Bに対応する制御器に対応する部分については、42A、42Bと区別する。このように、粒子線治療装置(システム)の制御系4では、メイン制御器40と加速器1用の制御器、照射系2用の制御器、輸送系3用の制御器であるサブ制御器41、42、43とを備える。
そして、各サブ制御器41、42、43は、メイン制御器40内に設けられたタイミング指示機能により、連携して制御動作を行うようにしている。なお、タイミング指示機能自体は、同期するためのタイミング信号を出すようなものでもよい。また、図1と図2ではサブ制御器の位置等が異なっているが、これは、図1では、制御機能を有する部分として制御器4としてまとめて記載し、図2では制御対象を基準に記載したためで、物理的な位置が異なっているか否かを表しているのではない。つまり、制御器として物理的にどう配置されているかは本質的な問題でないということである。なお、これら制御器を構成するために計算機にインストールするプログラムやそのプログラムのモジュール等の構成については、後で説明する。
機器制御計算機(サブ制御器42A、42B)に繋がれた「操作卓」とは、いわゆるキーボードやディスプレイ等、若しくはコントローラボックス等の端末であり、マンマシンインターフェース部である。操作卓は、治療室6、および治療室と分離して設けられることの多い照射操作室に設置される。機器制御計算機の下位部には、制御盤が繋がれる。制御盤は、具体的には括弧書きで記載されているように、制御対象である各種機器のドライバ、アンプ及びPLC(Programmable Logic Controller)等である。制御盤を経由して、さらに下位部には、機器が繋がれる。機器とは、治療台の各軸を動かすためのモータや、照射装置内のX線撮像装置を駆動するモータ等が含まれ、通常、上述した照射装置21や呼吸誘導装置7も含まれる。また、回転ガントリタイプの治療室6Aでは、照射系全体の回転位置等の制御に関するモータ等も対象となる。
ここで、本実施の形態1にかかる粒子線治療装置においては、呼吸誘導装置7に関する制御においては、各治療室6に設置された制御盤を経由せず、直接メイン制御器40で制御するようにした。これは、後述するように本実施の形態1にかかる粒子線治療装置においては、呼吸状態を定量的に評価することができる。そのため、とくに呼吸位相を正確に把握できるので、一つの治療室の中で呼吸ナビゲーションを最適化するにとどまらず、加速器の運転周期と同期して呼吸誘導を行う、あるいは、他の治療室での呼吸誘導と同期させる、というように連携制御を行う場合にその真価を一層発揮する事ができるからである。経由する機器をより少なくすることにより、無駄時間(遅れ)の発生によるタイミングのずれを回避でき、連携制御をスムーズに行うことができるからである。ただし、このように直接接続することは必須要件ではなく、連携動作の場合にはタイミングをとることができるのであれば、適宜変更してもよいことは言うまでもない。
照射系共通計算機(メイン制御器40)の他の役割は、このように粒子線治療装置の全体を指揮することであり、加速器系1や輸送系3と同期して制御が必要な機器の制御として、自身がサブ制御器42の機能を担うこともある。図1で42をかっこ書きで記しているのはこのことを意味している。
このように、サブ制御器42のうち、呼吸誘導装置7に関する制御機能をメイン制御器40が担うようにした。その他の、例えば、回転ガントリや治療台の各軸を動かすためのモータや、照射装置内のX線撮像装置を駆動するモータ等の機器については、通常通り、サブ制御器42を経由して制御することにしている。これら、ガントリや治療台用のモータ、X線撮像装置用のモータは、ビーム照射中には動かさない。すなわち、加速器系1や輸送系3の制御と同期して制御する必要がないからである。照射系共通計算機(メイン制御器40)と照射系の機器制御計算機(サブ制御器42)とのやり取りは、どの治療室6の照射系2が位置決め完了して照射してよい状態かを示すReady信号や、どの治療室6の照射系2でビームを照射し、照射が終了したことを知らせる信号等、互いに状態を知らせる目的のものである。簡単に言えば、シーケンシャルなイベントを行っていくイメージである。つまり、サブ制御器42との関連における照射系共通計算機(メイン制御器40)の役割は、「どの治療室6の照射系2が加速器からのビームを取り合うか」といった照射を管理することであり、それさえ決まれば、後は治療室6毎のサブ制御器42の中でシーケンスを決定できるからである。
ところが、後述するように、呼吸を適切にナビゲートできる本発明の実施の形態1にかかる粒子線治療装置の特性を活かすために、呼吸誘導を他の治療室での呼吸誘導や加速器の運転周期に同期して制御することがある。つまり、治療室毎のサブ制御器のみでシーケンスを決定することができない場合、呼吸誘導装置7への指令値は、機器制御計算機(サブ制御器42)からではなく、照射系共通計算機(メイン制御器40)から直接送られるようにするとよい。
なお、照射系2の機能のうち、照射野を成形する機能については、本発明の本質的な部分ではない。そのため、照射装置21の構成については、記載を省略する。一方、呼吸ナビに連動して照射対象への照射のON/OFFを制御するビームゲートについては、輸送系3と同期が必要であるので、図2には記していないが、メイン制御器40により直接制御するようにしている。さらに、加速器系1と同期して制御が必要な、ワブラ電磁石若しくはスキャニング電磁石なども、照射装置21の機器であるが、同様の理由で直接照射系共通計算機40により制御するようにしている。
<呼吸の定量的評価>
上記のような構成を備えることにより、加速器から供給されたいわゆるペンシル状の粒子ビームを照射対象の位置や形状に応じた照射野に成形して照射可能となる。一方、照射対象が、呼吸に伴って変位する場合は、呼吸ナビゲーション機能により、呼吸状態を計測し、位置や形態が安定する呼吸位相で粒子ビームを照射するように制御する必要がある。ここで、問題となるのが、制御の基準となる呼吸の状態をどのように定量評価するかである。呼吸評価の目的が、照射対象の変位の評価であるため、評価項目は、誘導したリズム(目標呼吸波形)に対しての遅れや進み(タイミングのずれ)や、大きさ(深さ)のずれである。
呼吸は、基本的には周期運動と考えられるので、呼吸センサ等で測定した呼吸信号の経時変化である呼吸波形を基に、周期、位相、振幅を評価することにより、呼吸を定量的に評価することが可能となる。しかし、従来の呼吸ナビゲーションでは、背景技術で述べたように、呼吸波形のうち、最大値または最小値となる位置、あるいは、閾値を超えるか下回るかした位置のみから位相やゲインを評価していた。つまり、単にPeak to Peakのように呼吸波形中の特定の位置のみを評価対象としていたので、例えば途中で息が痞えるようなことがあってもそのような状態を評価することができなかった。さらに、例えば、ノイズが乗ったりして呼吸波形中にピークが複数生じたり、体姿勢のずれ等によりオフセットが変化したりした場合や、センサが飽和して一定値を示す部分が生じたりした場合には、評価自体が不能となることもあった。
一方、一般に、人間の呼吸の周期は一定ではなく、またその長さには個人差もある。しかも、呼吸波形はきれいなサイン波ではないので、単に呼吸波形全体を数学的に処理しようとしても、所望の位相やゲインを得ることは困難である。しかし、呼吸の特性に応じて適切な処理を行えば、不安定な呼吸を数学的に評価することが可能となる。そこで、本発明においては、呼吸が、自律神経が支配しているにもかかわらず、例外的に意識的動作が可能であること、そのため、通常は不規則な呼吸が、呼吸ナビゲーション装置のように所定のリズム(目標呼吸波形)を提示して呼吸誘導を行うことにより、少なくとも一定周期に導くことが可能であるという特性に着目した。つまり、呼吸誘導をした場合には、実呼吸波形を、呼吸誘導に用いた目標呼吸波形と同じ周期の波形とみなすことにより、後述するような数学的な評価が可能となることを見出し、実呼吸波形の位相と振幅を定量的に評価できるようにした。
ここで、本発明の説明を明りょう化するため、および呼吸波形(を形成する呼吸信号)を数学的に処理するため、いくつかの言葉や重要な概念について厳密に定義する。
<呼吸信号、目標呼吸信号と実呼吸信号>
呼吸信号:(Respiratory signal)R(t)
呼吸の状態を示す信号であり、呼気の動き、呼気に伴う温度変化、呼吸に伴う例えば腹部の動き等をセンサで測定することにより呼吸状態を信号として得ることが可能である。具体的には、フローセンサによる呼気の流れを検出したり、吸気に伴う鼻腔付近の温度変化をサーミスタや赤外線カメラによる画像処理を用いて計測したり、患者の腹部の動きを腹部に取り付けたレーザ光源をポジションセンシティブディテクタ(位置センサ)で検出したり、レーザ変位計により患者の腹部の動きを信号化したりする方式が考えられる。この呼吸信号の経時変化を示したものが呼吸波形である。そして、呼吸誘導に際して目標となる信号を目標呼吸信号とし、その経時変化を示したものを目標呼吸波形とする。説明を明りょう化するため、目標呼吸信号は添え字「tj(trajectoryの略)」を付してRtj(t)、実呼吸信号は添え字「rl(realの略)」を付してRrl(t)で表す。
<目標呼吸信号の取得>
呼吸ナビゲーション装置を用いる粒子線治療には、おおきく2つの段階が必要である。ひとつは目標呼吸信号を取得する段階、もうひとつはこれを利用し治療する段階である。治療する段階における実呼吸信号、つまり、呼吸誘導時の評価対象は、目標呼吸信号Rtj(t)に基づいて呼吸誘導した際の患者の呼吸状態を測定して得られた実呼吸信号Rrl(t)である。しかし、目標呼吸信号Rtj(t)自体も治療前に患者の呼吸を測定したいわゆる実呼吸信号(以下、元実呼吸信号と称する。)に基づいて取得している。
目標呼吸信号を取得する段階について説明する。目標呼吸信号の取得は、一般的に行われているのと同様の手法でよく、例えば、特許文献6の0031〜0037段落に記載されたような手法で取得できる。ただし、本発明の実施の形態にかかる粒子線治療装置の呼吸誘導においては、目標呼吸信号は、単に呼吸を誘導するためのタイミング設定のためだけではなく、後述するように実呼吸信号の位相や振幅を数学的に定量評価する際の比較対象とするので、取得において、以下の点については厳密に守る必要がある。
<目標呼吸信号取得時の厳守事項>
1:治療時の実呼吸信号を測定するセンサと同じセンサを用い、同じ方法で元実呼吸信号を取得する。2:必要な平均化処理、周期を調整するために伸縮処理、トランケーション処理をする。3:原則的には、治療する患者自身の元実呼吸信号から目標呼吸信号を作る。なお、例外的に、他人の呼吸信号から作成したり、artificial(人工的)に作成したりする場合もある。しかしこの場合、治療対象の患者と呼吸挙動が同一視できる程度のものを使用するか、あるいは、後述するゲインや位相に所定の差が生じる場合はその値を補正値として保持し、呼吸状態の評価において「所定の差」を考慮できるようにする必要がある。また、本実施の形態においては、このようにして作成(取得)した目標呼吸信号Rtj(t)は、加速器と同期したタイミングで、呼吸ナビ装置により教示される。
つぎに、呼吸および呼吸誘導に関連して上記のように定義した呼吸信号を評価するためのパラメータについて定義する。
<呼吸の周波数、周期>
呼吸の周期:Tres
広義の意味での呼吸の周期は、「吸って吐いて」の1サイクルにかかる時間をさす。本発明の実施の形態の呼吸誘導装置における呼吸ナビゲーションの目標呼吸信号Rtj(t)は、所定の周期を有し、周期関数(f(t)=f(t+T))として表現できる信号を用いる。したがって、狭義の意味での呼吸の周期は、この周期的な信号の周期Tをさす。すなわち、周期的な目標呼吸信号Rtj(t)の1サイクルにかかる時間をさす。単位は、一般的な時間の単位である[sec]を用いる。
呼吸の周波数:Fres
呼吸の周期Tresの逆数(Fres=1/Tres)である。単位は[1/sec]となる。また、呼吸の周波数を2π倍したもの(ωres=2πFres)を呼吸の角周波数とする。
<呼吸のゲイン及び位相、記述関数>
呼吸のゲイン:Gres
呼吸信号R(t)のゲインを、簡略して「呼吸のゲイン」とよぶ。ここでいうゲインは、厳密な定義を与えないといけない。もしも、呼吸信号R(t)が三角関数で与えられれば、そのゲインはいわゆる振幅である。
res=A if R(t)=Acos(ωrest+φres
呼吸の位相:φres
呼吸信号の位相φresを、簡略して「呼吸の位相」とよぶ。数学的には上記式におけるcos(ωrest)に対する位相進みを表し、単位は、角度の単位である「ラジアン」又は「度(°)」を用いる。なお、「位相進み」の反対は、「位相遅れ」というように表現する。
しかし、上述したように、呼吸信号R(t)がきれいな三角関数であることはない。しかし、少なくとも目標呼吸信号Rtj(t)は、一定周期の信号であるので、目標呼吸信号Rtj(t)を目標呼吸信号Rtj(t)に最も近い三角関数に変換してゲインおよび位相を算出することを考える。そこで、目標呼吸信号Rtj(t)を例えば、式(1)に示すようにフーリエ級数展開した場合に展開される0次項からn次項のうち、式(2)に示すように、その一次項に相当する対をなす三角関数の係数a、bを算出し、算出した係数a、bを呼吸信号の状態を示す記述関数として規定する。つまり、目標呼吸波形のうち、定数項と高周波成分をのぞいた基本波形成分を構成する余弦関数と正弦関数の係数a、bを計算する。図3に、目標呼吸信号Rtj(t)と、式(2)で得られたa、bからなる記述関数を示す。
Figure 0005602873
上記のように抽出した記述関数を構成するa、bから、式(3)に示すようにゲインGresを、式(4)に示すように位相φresを得ることができる。図4に、係数a、bから得られる目標呼吸信号Rtj(t)のゲインGresと位相φresの復素平面上での関係を示す。
Figure 0005602873
<積分範囲と計算頻度>
ここで、上記のように目標呼吸信号Rtj(t)から数学的に記述関数を抽出してゲインGresと位相φresを算出することができるのは、目標呼吸信号Rtj(t)が、一定の角周波数ωresを有する周期関数であるからである。そして、式(2)によれば、ゲイン及び位相の計算に必要な積分範囲は、ωrest:0→2πである。すなわち、t:0→2π/ωres=Tresであり、呼吸周期Tresが計算に必要な積分範囲、つまり計算単位となる。
一方、実呼吸信号Rrl(t)は、上述したように不規則な信号である。しかし、目標呼吸信号Rtj(t)に基づいて呼吸誘導を行うと、実呼吸信号Rrl(t)も目標呼吸信号Rtj(t)と同じ周期を有する周期関数になる。その呼吸特性を利用することにより、実呼吸信号Rrl(t)についても、目標呼吸信号Rtj(t)と同様に、式(2)に示すようにフーリエ級数展開をした場合の一次項に相当する対をなす三角関数の係数a、bからなる記述関数を計算することができる。
呼吸ナビゲーションにおいて、目標呼吸信号Rtj(t)は、例えば粒子ビームを効率よく活用するために、加速器と同期したタイミングで教示されるとする。この場合、実呼吸を把握するだけではなく、患者の呼吸を予め定めたタイミングに同期させる必要がある。したがって、装置側から出力する規則的な目標呼吸信号Rtj(t)と実際の患者の呼吸状態を測定して得られる実呼吸信号Rrl(t)が、図5に示すように共通の時間軸上で現時点tより過去側と未来側とを区別して表示される。このように呼吸ナビゲーションを行うと、通常は不規則な実呼吸信号Rrl(t)も、図に示すように目標呼吸信号Rtj(t)と同じ呼吸周期Tresの関数とみなせるようになる。そのため、それぞれのゲインGtj、Grl及び位相φtj、φrlも、共通の時間軸「t」で計算することができる。つまり、加速器と同期したタイミングの基礎となる、共通の時間軸「t」における1周期Tres分を積分範囲(計算ウィンドウ)として、上記各式を適用することになる。
このとき、目標呼吸信号Rtj(t)および実呼吸信号Rrl(t)のゲインGtj、Grl及び位相φtj、φrl位相を計算する頻度は、大きく2とおり考えられる。1つめは、共通の時間軸上で、呼吸周期Tresごとに計算する場合で、このときの計算のウィンドウは、周期中の一定の位相から始まり、例えば、周期の頭(位相0)を始点と設定すると、常に0〜2πを計算ウィンドウとする。2つめは、サンプリング周期ごとに計算する場合で、この場合、計算のウィンドウは、(サンプリング時点−2π)〜(サンプリング時点)までとなる。
1つめの場合は、計算のウィンドウが呼吸周期ごとにあらわれて、位相0から常に始まる。2つめの場合は、長さが呼吸周期Tresであるウィンドウが、常に現時刻で終わるようスライドする。必要な位相は、目標呼吸信号に対する相対的な値であり、上記各式では計算ウィンドウの始点をどこに設定してもよいので、どちらのやり方でも可能となる。一方、従来のように周期中の特異点から位相を求める場合は、特異点を基準に評価の始点を設定する必要があるので、呼吸周期毎の評価しか行えない。
なお、2つめの場合において、「サンプリング周期ごとに計算する」と記載した。サンプリングとは、連続時間的に変化する信号から、離散時間的に信号を取出すことをいう。式(2)は、連続時間での式を表現したが、実際の計算においては離散時間的に行う。一般的に、このような計算を行う計算機は、離散時間的にしか信号を扱えないからである。
つぎに、上記のように、定義し、評価方法を定めた呼吸信号を用いた呼吸ナビゲーションの具体的な方法について、先の説明で用いた図5および、呼吸信号を評価するための機能ブロック図を用いて説明する。
目標呼吸信号は、最終的に加速器からの仕様などから、所望の周期Tresで設計される。そして、設定した目標呼吸信号Rtj(t)は、式(3)、式(4)を用いてゲインGtjと位相φtjを求める。これにより、設定した目標呼吸信号Rtj(t)自身がどのような大きさ及びタイミングであるかを定量化し、例えば、後述する呼吸評価部7c2では、実呼吸信号を定量的に評価するための基準(比較対象)とすることができる。
<呼吸ナビゲーションの具体的な方法>
呼吸ナビゲーションは、視覚はもとより、聴覚に訴えることでより効果が期待できる。具体的には、「吐いて〜、吸って〜」と音声で指示することである。さらに効果的なのは、前記音声指示に加えて、図5に示すようにメトロノーム音を加えることである。ここで、本実施の形態にかかる粒子線治療装置で使用する目標呼吸信号Rtj(t)は、計画された所望の周期Tresで設計され、さらに、式(3)、(4)を用いて、ゲインGtjと位相φtjが求められている。この呼吸周期Tresと、1周期分の信号から計算した位相(情報)から、メトロノーム音を加えることができる。メトロノーム音は、例えば呼吸周期Tresを1小節として、これを8部音符に分解して鳴らす、すなわち、目標呼吸信号Rtj(t)の位相が45度進むごとに鳴らす。また、メトロノーム音と合わせて呼吸誘導装置は、バウンシングボールBBを表示するとよい。バウンシングボールとは、メトロノームと連動した動きのボールのアニメーションである。アニメーションは、バウンシングボールに限らず、メトロノームMtを視覚化できればよい。
その際、実際の治療の段階においては、図5に示すように、目標呼吸信号Rtj(t)の波形と、患者の実呼吸信号Rrl(t)の波形とを、共通の時間軸で表示して過去と未来を識別して患者に教示する。なお、この方法については、例えば特許文献6の段落0038〜0045に詳細に記載されており、これにより患者は自分の呼吸状態と目標呼吸信号とのずれを自覚しやすくなり、目標呼吸信号に合わせやすくなる。しかし、患者には高齢の方も多く、必ずしも自分でずれを確認して修正することが容易であるとは言えず、修正に関して直接的な指示が必要であるという問題点があった。そこで、本発明の実施の形態にかかる呼吸誘導装置および粒子線治療装置においては、さらに、上記のように呼吸のゲインと位相を定量的に算出し、算出したゲインと位相に基づいて修正指示を出すようにする。
図6は、本実施の形態1にかかる粒子線治療装置における各治療室に設けられた呼吸誘導装置の構成を説明するためのものである。図において、呼吸誘導装置7は、呼吸誘導装置本体7cと、患者の呼吸(信号)を測定するための呼吸同期センサとも呼ばれる呼吸測定装置7aと、上述した呼吸同期に関する情報を患者に視覚的に教示するための表示画面であるディスプレイと聴覚から伝達するための音声等指示部であるスピーカを有する呼吸情報教示装置7bと、当該呼吸ナビゲーション装置の操作者が、表示画面のレイアウトを選択する等の呼吸誘導に関する設定や当該装置とのやりとりを行うための入力I/Fであるキーボード、マウス、補助的に上記音声等指示を当該装置に入力するための音声等入力部であるマイク等とを有するインタフェース7dと、を備える。
そして、呼吸誘導装置本体7cは、粒子線治療装置との情報信号の入出力を行う入出力部7cI/Oを備え、例えば、インタフェース7dからの入力情報に基づいて呼吸誘導(呼吸ナビゲーション)を開始する場合、粒子線治療装置側の治療計画装置のデータベースから呼吸誘導に必要な目標呼吸波形として少なくとも1周期分の目標呼吸信号データを取得する。そして、取得した目標呼吸波形が粒子線治療装置側の加速器と同期するように、目標呼吸信号Rtj(t)を生成して呼吸情報表示装置7bから表示させるとともに、患者の実呼吸状態を呼吸測定装置7aに測定させ、測定した実呼吸信号Rrl(t)を取得する。
そして、呼吸誘導装置本体7c内に設けられた呼吸評価部7cEは、図7に示すように、同期して入力された実呼吸信号Rrl(t)と目標呼吸信号Rtj(t)に対して、それぞれ、式(3)、(4)を用いて、ゲインGtj、Grl及び位相φtj、φrlを算出するとともに、ゲインの比(Gri/Gtj)と位相の差(φrl−φtj)を算出する呼吸評価情報算出部7cE1と、算出した呼吸評価情報に基づいて、呼吸状態を評価する呼吸状態評価部7cE2と、呼吸状態の評価結果Ievに基づいて呼吸ナビゲーションの修正情報Imdを生成するナビ修正情報生成部7cE3と、を備えている。修正情報Imdは、呼吸誘導制御部7cCに出力され、例えば、図5に示すような表示装置に表示するための表示データを生成する際に利用される。なお、呼吸誘導装置7には、当然ながら実呼吸信号と目標呼吸信号とに基づいて患者への粒子線照射の是非を判断する機能を備えているが、この機能については、呼吸誘導制御部7cCが担っている。
そして、ナビ修正情報生成部7cE3では、算出した位相の差に基づいて、呼吸の位相(進める/遅らせる)やゲイン(深く/浅く)を修正するための具体的な指示も生成する。例えば位相が想定以上に遅れていると判断すると、呼吸を早める必要がある旨の修正情報Imdを生成する。これにより、例えば、図5におけるメッセージ欄に「呼吸を少し早めてください」と表示するための画像データを生成するとともに、音声で同内容を伝達するように音声データを生成して呼吸情報教示装置7bを制御する。また、ゲインそのものを表示する場合は、目標呼吸信号のゲインを100とした場合の値を表示するようにゲインの比のデータを修正情報Imdに加えて出力する。呼吸誘導制御部7cCは、それを数字あるいはグラフ等で表示するための画像データを生成する。このように、表示の方法は、数値を直接表示してもよいし、レベルゲージのようにグラフ化してもよく、呼吸誘導制御部7cCにおいて、例えば入力I/Fからの入力で指定された方法で表示すればよい。
しかし、上述したように、目標呼吸波形と実呼吸波形を同じ時間軸上でリアルタイム表示した場合でも、人間にはどうしても時間遅れが生じたりし、目標呼吸信号に合わないことがある。このとき、呼吸評価情報算出部7cE1において計算した実呼吸信号の位相φrlが、目標呼吸信号の位相φtjに比べていつも約θだけ遅れていた、つまり、数周期の間、位相の差として一定値(−θ)を維持しているとすると。この場合、遅れの原因を、聴覚および視覚による指示の与え方が悪い、つまり、患者の特性に合っていないため、と考えることができる。つまり、実呼吸がいつも位相約θだけ遅れているのであれば、指示をその分早く出せばよい。すなわち、呼吸状態評価部7cE2において、位相遅れや進みが一定値を示している状態であると判断した場合、その評価結果Ievに加え、ナビ修正情報生成部7cE3では、実呼吸信号の位相遅れ(または進み)を呼吸ナビ計算機にフィードバックし、指示を早めるように修正情報Imdを生成して出力する。これにより、患者は、自身で目標呼吸に対する合わせ方を変更する必要が無く、無理なく呼吸を合わせることができるようになる。
呼吸信号の位相情報の使い方を説明したが、当然にゲイン情報を利用することで、良好な効果が期待できる。人間は、眠くなると呼吸が浅くなってくる傾向があることが報告されている。呼吸のゲインは、まさにこの呼吸の深さ(大きさ)を表す指標である。したがって、目標呼吸と実呼吸とのゲインを比較して、「もっと大きく」等の指示が出せる。反対に、目標呼吸よりも実呼吸の方のゲインが大きくなれば、「小さく」との指示を出す。なお、これらの指示は、音声と合わせて図5の表示画面例のメッセージ部に表示してもよい。
上記動作を図8のフローチャートを用いて説明する。
図において、呼吸ナビゲーションの動作を開始すると、はじめに呼吸ナビゲーションを行うタイミングを加速器1の運転周期と同期させるため、制御部4から入力されたタイミング信号および周期情報に基づいて同期タイミングや周期を設定する(ステップS10)。つぎに、その患者に対して取得した目標呼吸波形のデータと設定した周期と同期タイミングに基づいて目標呼吸信号Rtj(t)を生成し、目標呼吸波形を提示する(ステップS20)。患者が目標呼吸波形に応じて呼吸を始めると実呼吸信号Rrl(t)を測定する(ステップS30)。実呼吸信号Rrl(t)および目標呼吸信号Rtj(t)から少なくともゲインGと位相φを含む呼吸評価情報を算出し(ステップ40)、算出した呼吸評価情報に基づいて呼吸状態を評価し(ステップ50)、実呼吸信号と目標呼吸信号のずれを評価する情報であるゲインGresの比や位相の差Δφが許容範囲ならば(ステップS60で「Y」)、呼吸ナビゲーションをそのまま継続する。
ずれが許容範囲を超えている場合(ステップS60で「N」)、さらに波形の修正が必要であるか否かを判断し(ステップS200)、例えば、位相のずれΔφが一定値であった場合のように、提示する目標呼吸波形の位相を修正する必要があると判断した場合(ステップS200で「Y」)なら、波形を提示するタイミングをΔφ分補正するようにして(ステップS230)、ステップS20へ移行する。一方、例えば、ゲインGを大きくしてほしいといった単に指示をすればすむような状態であれば(ステップS200で「N」)、提示内容を生成して(ステップS210)追加指示を出し(ステップS220)、呼吸ナビゲーションを継続する(ステップS100)。なお、呼吸ナビゲーション中には、実呼吸信号と目標呼吸信号に基づいて患者への照射の可否を判断する動作を継続的に実行しているが、このフローでは呼吸ナビゲーションと実呼吸とのずれの評価に特化して記載しているので、照射の可否の判断等については記載を省略している。
つまり、呼吸評価情報算出部7cE1が同期して入力された実呼吸信号Rrl(t)と目標呼吸信号Rtj(t)に対して、目標呼吸信号Rtj(t)の周期にあわせてサンプリングした目標呼吸信号Rtj(t)と実呼吸信号Rrl(t)のそれぞれを、数学的な処理でゲインGtj、Grl及び位相φtj、φrlを算出するとともに、呼吸状態評価部7cE2では、算出した定量的な呼吸評価情報をもとに、呼吸状態を評価するようにしたので、実呼吸の目標呼吸に対するずれを定量的に評価して、患者が意識せずとも呼吸を修正できるように呼吸誘導のタイミングを修正したり、適切な指示を出したりすることが可能になる。
次に、上記呼吸の状態評価するための定量的な情報を算出することにより、単なる呼吸の状態ではなく、患者の生理的な状態も評価できるようになる。以下、呼吸評価情報に基づいた患者の生理的な状態の評価について述べる。一般的に、粒子線治療における1回の治療時間は15〜30分、そのうち照射時間は1〜2分程度といわれている。照射以外の時間は、患部の位置決めや、実呼吸を目標呼吸にあわせることに費やされる。このような治療時間中では、患者が眠ってしまったり咳き込んでしまったりする場合も当然に起こり得る。呼吸誘導において、患者の実呼吸波形から、患者の睡眠や咳き込みなどの状態を検知できることは有用である。
患者が正常に目標呼吸波形に対して実呼吸を合わせるようにしている場合、一般に、実呼吸信号のゲインと位相は、徐々に目標呼吸信号のゲインと位相に近づいていく傾向にある。ところが、患者が睡眠状態に陥ると、実呼吸信号のゲインは段々と小さくなり、また実呼吸信号の位相は目標呼吸信号の位相と相関がなくなってくる。そこで、呼吸状態評価部7cE2において、実呼吸信号Rtj(t)のゲインGtjがあらかじめ設定した値を下回ったときに、睡眠状態の蓋然が高いと判断する機能を備える。この場合、呼吸状態評価部7cE2は、患者が睡眠状態に入った可能性がある旨の評価結果Ievを出力し、ナビ修正情報生成部7cE3は、表示画面に睡眠状態の蓋然性が高い旨のメッセージを表示、あるいは覚醒を喚起するような音声出力が出せるような表示を修正するための修正情報Imdを生成する。
粒子線治療装置では、治療を行う医者や技師等は、治療室とは別の照射操作室において、患者が見る表示画面と同じ内容が示されている別の表示画面を見ることができるようになっていることが多い。この場合、このメッセージを見るようにしていれば、照射操作室に待機していても、上記メッセージを見た医者・技師等は、インターフォン等の手段によって患者に話しかけることによって患者を起こすことができる。
上述したように、治療を行う医者・技師等は、粒子線の曝射を避けるために、治療室とは別の照射操作室に待機する。治療室と照射操作室とは、インターフォン等の手段によってお互いが会話でき、多くの場合カメラモニタによって患者の様子を見たり聞いたりすることができる。したがって、患者が咳き込んだ場合、照射操作室に待機している医者・技師等は、当該インターフォン等の手段によって、知ることができる。また、患者が正常に目標呼吸波形に対して呼吸を追従させている場合、一般に、実呼吸信号のゲインと位相は、緩やかに変化しながら目標呼吸波形のゲインと位相に近づいていく。ところが、患者が咳き込んだ場合、実呼吸波形のゲインと位相は、急激な変化を起こす。そこで、呼吸状態評価部7cE2において、実呼吸信号Rtj(t)のゲインGtjまたは位相φtjの変化率があらかじめ設定した範囲を超えたときに、咳き込みの蓋然性が高いと判断する機能を備える。この場合、呼吸状態評価部7cE2は、患者の咳き込みの可能性が高い旨の評価結果を出力し、ナビ修正情報生成部7cE3は、表示画面に咳き込みの蓋然性が高い旨のメッセージを表示するための修正情報Imdを生成する。
この場合でも、治療を行う医者や技師等が、治療室とは別の照射操作室において、このメッセージを見るようにしていれば、照射操作室に待機していても、上記メッセージを見た医者・技師等は、インターフォン等の手段によって患者に話しかけることによって患者をリラックスさせて咳き込みから解放させてあげたり、場合によっては一旦休憩したりすることができる。
また、式(3)、(4)により得られる呼吸のゲイン及び位相を利用するメリットは、他にもある。実呼吸信号は、呼吸センサにより測定して得られ、目標呼吸信号も基本的には同じセンサで測定した値から取得する。しかし、どのようなセンサを用いても、目標呼吸信号取得時と実呼吸信号計測時で、オフセットが異なることがある。オフセットとは、式(1)における「a/2」:オフセット項(バイアス項、DC成分、0次項などともいう)の部分である。つまり、時間に拠らない定数項である。例えばレーザ変位計により腹部の動きを測定する場合、腹部への平均的な距離が相当する。ところが、本手法では式(1)中の1次項のみを使用するので、オフセット項の値によらず、ゲインと位相を求めることができる。ちなみに、粒子線の飛程(体内でのブラッグピークの位置)は、体表面からの深さによる。空気中の伝播距離よりは、体表面からどれくらいの深さかということの方が重要である。したがって、本手法によれば、呼吸同期センサの測定信号で、オフセット項はそれほど重要ではなくなり、呼吸同期センサのオフセット調整をしなくとも、実呼吸測定を開始できるとともに、実呼吸状態を評価することができる。
以上のように、本実施の形態1にかかる呼吸誘導装置7によれば、粒子線治療において、患者の呼吸を誘導する呼吸誘導装置7であって、患者の呼吸を誘導するための目標呼吸信号Rtj(t)を生成する目標呼吸信号生成部として機能する呼吸誘導制御部7cCと、患者の実呼吸を測定し、測定した実呼吸信号Rrl(t)を出力する実呼吸測定部7aと、目標呼吸信号Rtj(t)の1周期Tres分のデータを計算単位として、目標呼吸信号Rtj(t)のデータと、目標呼吸信号Rtj(t)のデータと同期して収集した実呼吸信号Rrl(t)のデータと、に対してそれぞれフーリエ級数展開した場合の一次項に相当する対をなす三角関数の係数a,bを計算し、計算した係数a,bから求めたそれぞれのゲインGtj、Grlと位相φtj、φrlとを比較して、目標呼吸信号Rtj(t)に対する実呼吸(厳密には、実呼吸の測定値である実呼吸信号Rrl(t))のずれを評価する呼吸評価部7cEと、を備えるように構成したので、呼吸を正確に評価することにより、呼吸を適切に誘導することができる。また、目標呼吸波形を取得するための実呼吸の測定と治療時の実呼吸の測定においてオフセットにずれがあっても、評価結果に影響を与えないので、オフセット調整なしで治療を行うこともできる。
さらに、呼吸評価部7cEは、比較した目標呼吸信号の位相φtjと実呼吸信号φrlの位相の差Δφ、および/または、比較した目標呼吸信号のゲインGtjと実呼吸信号のゲインGrlの比の変化率によって、実呼吸の状態を判断するようにしたので、患者が睡眠状態に入っているのか咳き込んでいるかのような生理状態も把握することができる。
とくに、呼吸評価部7cEが、位相の差Δφが、所定時間、一定の値を維持していると判断すると、ナビゲーションで提示する目標呼吸信号の位相を修正するための修正情報Imdを生成し、目標呼吸信号生成部である呼吸誘導制御部7cCは、修正情報Imdに基づいて、目標呼吸信号の位相を一定の値ずらして生成する、ようにしたので、患者が意識しなくても自然に実呼吸を目標呼吸に合わせることができる。
また、本実施の形態1にかかる粒子線治療装置によれば、粒子ビームを発生させる加速器1と、複数の治療室6と、加速器1と複数の治療室6のそれぞれとを結ぶ粒子ビームの輸送経路3と、輸送経路3中に設置され、加速器1が発生させた粒子ビームが複数の治療室6のいずれかひとつの治療室に供給されるように粒子ビームの軌道を切り替える切替装置である切替電磁石32と、複数の治療室6のそれぞれに設けられた上述した呼吸誘導装置7と、複数の治療室6のそれぞれに設けられ、供給された粒子ビームを照射対象に応じた照射野に成形するとともに、少なくとも目標呼吸信号Rtj(t)に同期して照射対象への照射を制御する照射装置21と、を備えるようにしたので、呼吸を正確に評価することにより、呼吸を適切に誘導して正確な照射が可能となる。
さらに、目標呼吸信号生成部7cCは、加速器1の動作に同期して目標呼吸信号Rtj(t)を生成する、ようにしたので、加速器の特性に呼吸を正確に合わせ、正確で効率的な照射が可能となる。
あるいは、切替装置32は、複数の治療室6のそれぞれの呼吸評価部7cEが評価した目標呼吸信号に対する実呼吸のずれの情報Ievに基づいて、粒子ビームの軌道を切り替える、ようにしたので、その時間帯において、正確な照射が可能な治療室を選択して治療する事ができる。
実施の形態2.
上記実施の形態1における呼吸誘導装置7では、例えば図8に示す動作を実行するために、図6のブロック図で示す各部分を専用のハードウェアを用いて構成することができるのはいうまでもない。しかし、図6に示す部分のうち、呼吸同期センサ7aを除いて、他の部分は、汎用のコンピュータ又はワークステーションによって呼吸誘導装置7の機能を発現するようにできることがわかる。すなわち、呼吸ナビゲーションの大部分の機能は、汎用のコンピュータ又はワークステーションを用いることを前提として、これらコンピュータ等で動作するプログラムを用いることで容易に実現できる。そこで、本実施の形態2においては、呼吸誘導装置をコンピュータ上で実現するためのプログラムとして説明する。ここでは当該プログラムを、「本発明の実施の形態にかかる呼吸誘導プログラム」とよぶ。なお、ディスプレイやスピーカ等は、横臥状態の患者が見やすいように、実際には、カスタマイズされる(専用ハードウェアを用いる)場合もあるが、表示するという機能においては通常のコンピュータに付属するディスプレイ等と同様であるので、呼吸同期センサ7aを除いた部分がコンピュータにプログラムをインストールすることで呼吸誘導装置が実現できるとして説明する。
大型で複雑なプログラムは、機能単位である「モジュール」に分割して設計・開発される。ここでは、呼吸誘導プログラムとして一般的に必須なモジュール(基本モジュール)と、本発明の実施の形態にかかる呼吸誘導プログラムのために追加したモジュール(追加モジュール)とに分け、実施の形態1で説明した対応ブロックを含めて図9のモジュール構成図を用いて説明する。
基本モジュールとしては、呼吸ナビゲーション動作全体を制御し、とくに各モジュール(図では「Md」と表示)を同期制御するためのモジュールA(7cC相当)と、モジュールAから出力された目標呼吸信号Rtj(t)を表示画面に表示したり、音声でガイドしたりするための表示データSdを生成するモジュールC(7cC相当)と、呼吸同期センサ7aにより測定された実呼吸信号Rrl(t)を取り込むモジュールB(7cI/O相当)と、が必須である。また、モジュールCについては、呼吸のずれを患者に自覚させるために、実呼吸信号Rrl(t)を目標呼吸信号Rtj(t)と同じ時間軸で表示画面に表示するための表示データSdを生成する機能をさらに備えることが好ましい。なお、実呼吸信号Rrl(t)と目標呼吸信号Rtj(t)とに基づいて患者への粒子線照射の是非を判断してゲート信号を生成する機能は図9においては、モジュールAで受け持つようにしている。
追加モジュールとしては、呼吸信号R(t)(目標呼吸信号Rtj(t)及び実呼吸信号Rrl(t))から呼吸状態を評価するための呼吸評価情報であるゲインGと位相φとを計算するモジュールD(7cE1相当)と、計算された呼吸信号のゲインGと位相φから呼吸状態を評価し、呼吸をナビゲートするのに有用な情報である評価結果Ievを生成するモジュールE(7cE2相当)と、評価結果Ievに基づいて、呼吸ナビゲーションを修正するためのナビ修正情報Imdを生成するモジュールF(7cE3相当)と、を備えている。また、これら追加モジュールを追加したことにより、基本モジュールの構成が適宜修正されていることは言うまでもない。
ここで、「呼吸をナビゲートするのに有用な情報」とは、例えば以下のものである。実呼吸信号のゲインGtjであれば、目標呼吸信号のゲインGrlを100とした場合の値が、評価結果Ievであり、修正情報Imdにもなり、レベルゲージ等で表示画面に表示するための情報となる。実呼吸信号の位相φtjであれば、目標呼吸信号の位相φrlに対する位相進み若しくは位相遅れを映像化して表示画面に表示する情報である。さらに、これらの値を所定値と比較したときの判断情報も含まれる。同様に、ゲインや位相の変化率、および変化率が所定の値を超えているか否かの判断情報も含まれる。また、後述する各実施の形態において、説明する表示画面に表示する項目とその方法、音声等指示部により指示する項目とその方法も、当該有用な情報に含まれる。
上記モジュールを備えた呼吸誘導プログラムの動作を実施の形態1の説明で用いた図8のフローチャートの各ステップとの関係について説明する。
モジュールAは、呼吸誘導を行うタイミングを加速器1の運転周期と同期させるため、制御部4から入力されたタイミング信号SSおよび周期情報に基づいて同期タイミングや周期を設定する(ステップS10)。つぎに、モジュールAは、その患者に対して取得した目標呼吸波形のデータと設定した周期と同期タイミングに基づいて目標呼吸信号Rtj(t)を生成し、モジュールCにより目標呼吸波形を提示する(ステップS20)。モジュールBは、患者が目標呼吸波形に応じて呼吸を始めると実呼吸信号Rrl(t)を測定する(ステップS30)。
すると、モジュールDが実呼吸信号Rrl(t)および目標呼吸信号Rtj(t)から少なくともゲインGと位相φを含む呼吸評価情報を算出する(ステップ40:ずっと繰り返す)。モジュールEは、算出した呼吸評価情報に基づいて呼吸状態を評価して評価結果Ievを出力し(ステップ50)、モジュールFは、実呼吸信号と目標呼吸信号のずれが許容範囲ならば(ステップS60で「Y」)、ナビゲーションをそのまま継続するように修正情報Imdを生成する。ずれが許容範囲を超えている場合(ステップS60で「N」)、さらに波形の修正が必要であるか否かを判断し(ステップS200)、例えば、位相のずれΔφが一定値であるように要修正と判断した場合(ステップS200で「Y」)なら、波形を提示するタイミングをΔφ分補正するように修正情報Imdを生成して(ステップS230)、ステップS20へ移行する。一方、例えば、ゲインGを大きくしてほしいといった指示をすればすむような状態であれば(ステップS200で「N」)、指示を提示するための修正情報Imdを生成する(ステップS210)。するとモジュールAは、修正した提示を行うための表示データSdを生成するようモジュールCに指示を出し(ステップS220)、ナビゲーションを継続する(ステップS100)。なお、呼吸ナビゲーション中の、実呼吸信号Rrl(t)と目標呼吸信号Rtj(t)に基づいて患者への照射の可否を判断する動作はモジュールAが継続的に実行している。
以上のように、本実施の形態2にかかる呼吸誘導プログラムによれば、粒子線治療において、患者の呼吸を誘導する呼吸誘導装置をコンピュータ上に構築するための呼吸誘導プログラムであって、患者の呼吸を誘導するための目標呼吸信号Rtj(t)を生成する目標呼吸信号生成ステップS20と、患者の実呼吸を測定し、測定した実呼吸信号Rrl(t)を出力する実呼吸測定ステップS30と、目標呼吸信号Rtj(t)の1周期Tres分のデータを計算単位として、目標呼吸信号Rtj(t)のデータと、目標呼吸信号Rtj(t)のデータと同期して収集した実呼吸信号Rrl(t)のデータと、に対してそれぞれフーリエ級数展開した場合の一次項に相当する対をなす三角関数の係数a,bを計算し、計算した係数a,bから求めたそれぞれのゲインGtj、Grlと位相φtj、φrlとを比較して、目標呼吸信号Rtj(t)に対する実呼吸(厳密には、実呼吸の測定値である実呼吸信号Rrl(t))のずれを評価する呼吸評価ステップS40〜S220と、を備えるように構成したので、呼吸を正確に評価することにより、呼吸を適切に誘導することができ、目標呼吸波形を取得するための実呼吸の測定と治療時の実呼吸の測定においてオフセットにずれがあっても、評価結果に影響を与えないので、オフセット調整なしで治療を行うこともできる呼吸誘導装置をコンピュータ上に構築することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3では、呼吸の定量評価において、実施の形態1、2で示したゲインと位相に加えて、さらに総合的な評価を行った。もっとも直接的に実呼吸を評価する方法は、式(5)に示すように実呼吸信号Rrl(t)と目標呼吸信号Rtj(t)との誤差を評価する方法である。
Figure 0005602873
ここで、Jresは評価関数である。
なお、式(5)では、評価関数Jresを連続時間で与えたが、実施の形態1の「サンプリング周期毎の計算」で説明したように、実際には離散的に計算する。また、この評価関数Jresを算出する式(5)も、式(2)と同様に、積分範囲は1呼吸周期Tresである。したがって、計算の頻度も、式(2)と同様に、呼吸周期Tresごと、およびサンプリング周期ごととの大きく2とおりが考えられる。しかし、本評価はゲインと位相とは独立して計算できるので、演算に用いる信号同士が同時間帯で収集(同期)できていれば、必ずしも式(2)の計算と収集タイミングを合わせる必要はない。
上記式(5)による計算を行うため、本実施の形態3にかかる呼吸誘導装置では、図10に示すように、呼吸評価部307cに評価関数演算機能部を設けている。そして、その結果Jresは、図11に示すように、例えば、表示枠FEVを設けて、経時データJres(t)を過去からの履歴としてグラフで示してもよく、あるいは、現時点での値Jres(t)を数字で示したり、レベルメータLMで表示したりすればよい。これにより、患者や医師等は、実呼吸が目標呼吸波形に対して総合的にどれだけ合致しているかを数字であるいは感覚的に認識することができる。
以上のように、本実施の形態3にかかる呼吸誘導装置307および当該呼吸誘導装置307を備えた粒子線治療装置によれば、呼吸評価部307cEは、所定時間内における目標呼吸信号Rtj(t)と実呼吸信号Rrl(t)間の誤差Jresを算出し、算出した信号データ間の誤差Jresを含めて目標呼吸信号Rtj(t)に対する実呼吸のずれを評価する、ように構成したので、実呼吸のずれの大きさを総合的に評価でき、治療の有効性や線量分布等の妥当性、をさらに向上させることが可能となる。例えば、患者に対する効果としては、実呼吸が目標呼吸にどれだけ近づいたか、ひとつの数値として知らせることができる。医者及び技師等に対する効果としては、荷電粒子ビームの照射が可能な状態か、ひとつの数字で定量的にわかる。つまり、患者の呼吸にともなう臓器移動の影響を排除した照射をより効率的に実現できる。
実施の形態4.
実施の形態3において、ゲインと位相による評価に加え、実呼吸を目標呼吸にどれくらい近いかで評価する方法を記載した。実呼吸が、治療計画の前提になっている目標呼吸に近ければ近いほど、理想的状況である。しかし、それだからといって呼吸波形を全く同じにしなければならないわけではない。そこで、実施の形態4では、ゲインと位相による評価に加える実呼吸の総合評価として、実施の形態3よりも条件を緩和して、呼吸を総合的に評価する方法を説明する。
ここで、評価に用いるのが、目標呼吸信号および実呼吸信号に基づいて患者への粒子線の照射の可否を制御する呼吸ゲート信号である。説明を明りょう化するため、「呼吸ゲート信号」を定義する。実施の形態1の説明で用いた図3を用いて説明する。図3は呼吸信号のうち、目標呼吸信号Rtj(t)を記述関数D(t)により近似したことを示した図であるが、実呼吸信号Rrl(t)についても同様であるので、目標呼吸信号Rtj(t)を共通の呼吸信号R(t)と読み替えて説明する。図3において、横軸は時間軸であり、右にいくほど時間が未来へ進む。図3上段の縦軸は呼吸の状態を示すものであり、上は「吸」、下は「呼(吐く)」の状態を表す。一般的に、患者の臓器は「呼(吐く)」の状態で安定することが知られている。したがって、粒子線治療において、治療計画も実際の治療も、患者の呼吸が「呼」の状態のときに照射するとして設定する。そのため、呼吸信号R(t)に対して閾値Lを設定し、呼吸信号R(t)がその閾値L未満かどうかを判断する。この呼吸信号R(t)が閾値L未満かどうかを示す信号として、呼吸ゲート信号P(t)というものを用いる。
ここで、呼吸ゲート信号P(t)を呼吸信号R(t)が、あらかじめ設定された閾値L未満のときONとなり、それ以外はOFFとなるものと定義すると、呼吸ゲート信号P(t)は式(6)のように表され、値として2値(1ビット)を取ることになる。
Figure 0005602873
ここで、目標呼吸信号Rtj(t)に対して生成される呼吸ゲート信号は、Ptj(t)で表し、実呼吸信号Rrl(t)に対して生成される呼吸ゲート信号は、Prl(t)で表し区別する。
本実施の形態4においては、上記のように定義した呼吸ゲート信号P(t)を用いて呼吸の総合的な評価を行う。具体的には、目標呼吸信号及び実呼吸信号に基づいてそれぞれ生成された呼吸ゲート信号P(t)の誤差として、式(7)に示す評価関数Jres2を算出して評価する。
Figure 0005602873
なお、式(7)では、評価関数Jres2を連続時間で与えたが、実施の形態3で説明したようにここでも、離散的に計算する。また、この評価関数Jres2を算出する式(7)も、式(2)と同様に、積分範囲は1呼吸周期Tresである。したがって、計算の頻度も、式(2)と同様に、呼吸周期Tresごと、およびサンプリング周期ごとの大きく2とおりが考えられる。しかし、本評価はゲインと位相とは独立して計算できるので、演算に用いる信号同士が同時間帯で収集(同期)できていれば、必ずしも式(2)の計算と収集タイミングを合わせる必要はない。
式(7)による計算を行うため、本実施の形態4にかかる呼吸誘導装置では、図12に示すように、呼吸評価部407cに評価関数演算機能部を設けている。そして、その結果Jres2も実施の形態3で説明したように、呼吸誘導装置によって患者へ表示するとよい。なお、図12において、呼吸信号R(t)から式(6)により呼吸ゲート信号P(t)を演算する機能を呼吸評価情報算出部407cE1で行うように記載しているが、呼吸ゲート信号P(t)については、呼吸誘導制御部7cCで演算したものを用いてもよい。
以上のように、本実施の形態4にかかる呼吸誘導装置407および当該呼吸誘導装置407を備えた粒子線治療装置によれば、目標呼吸信号Rtj(t)と実呼吸信号Rrl(t)のそれぞれに対して予め定めた閾値を下回るか否かを示す呼吸ゲート信号Prl(t),Ptj(t)に変換する呼吸ゲート信号変換部として機能する呼吸評価部407cEまたは呼吸誘導制御部を備え、呼吸評価部407cEは、変換した呼吸ゲート信号P(t)間の誤差Jres2を算出し、算出した誤差Jres2を含めて目標呼吸信号Rtj(t)に対する実呼吸のずれを評価する、ように構成したので、実際の治療に必要な呼吸の「呼」の状態に重みを付けて実呼吸のずれの大きさを総合的に評価でき、治療の有効性や線量分布等の妥当性、をさらに向上させることが可能となる。また、照射制御に用いる呼吸ゲート信号を転用でき、しかも、2値に簡略化されているので、演算処理が容易にできる。
実施の形態5.
上記実施の形態4においては、呼吸の総合評価として、呼吸ゲート信号P(t)を用いて、呼のタイミングの重視する方法を示した。本実施の形態5では、記述関数を用いて、呼吸のゲインと位相の情報を重視する方法を示す。
記述関数としては、実施の形態1において、呼吸信号R(t)の1周期分のデータをフーリエ級数展開を仮定したときの1次項D(t)について説明したが、本実施の形態5においては、D(t)から算出したゲインGresと位相φresを用いて式(8)で定義した記述関数D(t)を用いる。
(t)=Grescos(ωrest+φres) ・・・(8)
ここで、目標呼吸信号Rtj(t)に対して生成される記述関数は、D2tj(t)で表し、実呼吸信号Rrl(t)に対して生成される記述関数は、D2rl(t)で表し区別する。
上記のように定義した記述関数D(t)を用いて、呼吸の評価を行う方法を説明する。具体的には、目標呼吸信号及び実呼吸信号に基づいてそれぞれ生成された記述関数D2tj(t)とD2rl(t)の誤差として、式(9)に示す評価関数Jres3を算出して評価する。
Figure 0005602873
なお、式(9)では、評価関数Jres3を連続時間で与えたが、実施の形態3で説明したようにここでも、離散的に計算する。また、この評価関数Jres3を算出する式(9)も、式(2)と同様に、積分範囲は1呼吸周期Tresである。したがって、計算の頻度も、式(2)と同様に、呼吸周期Tresごと、およびサンプリング周期ごとの大きく2とおりが考えられる。
式(8)による記述関数D(t)の定義、および式(9)による計算を行うため、本実施の形態5にかかる呼吸誘導装置では、図15に示すように、呼吸評価部507cに記述関数定義機能部と評価関数演算機能部とを設けている。そして、その結果Jres3も実施の形態3、4で説明したように、呼吸誘導装置によって患者へ表示するとよい。
以上のように、本実施の形態5にかかる呼吸誘導装置507および当該呼吸誘導装置507を備えた粒子線治療装置によれば、呼吸評価部507cEは、目標呼吸信号Rtj(t)と実呼吸信号Rrl(t)のそれぞれに対して算出したゲインGtj、Grlと位相φtj、φrlを用いてそれぞれ三角関数D(t)=Grescos(ωrest+φres)を定義して、定義したそれぞれの三角関数D2rl(t),D2tj(t)間の誤差Jres3を算出し、算出した誤差Jres3を含めて目標呼吸信号Rtj(t)に対する実呼吸のずれを評価する、ように構成したので、呼吸の波形の状態であるゲインと位相に重みを付けて実呼吸のずれの大きさを総合的に評価でき、治療の有効性や線量分布等の妥当性、をさらに向上させることが可能となる。
なお、上記各実施の形態1〜5においては、治療室ごとに、呼吸評価情報に基づいて照射制御を行ったり、ナビゲーションのタイミングを修正したりする方法について説明した。しかし、照射制御やナビゲーションのタイミング制御は、必ずしも治療室ごとに行う必要はなく、例えば、粒子線治療装置共通の制御部(図1における4)において、まとめて行うようにしてもよい。さらにいえば、呼吸評価自体もタイミングのずれ等を生じないように信号処理ができるのであれば、粒子線治療装置共通の制御部4でまとめて行うようにしてもよい。この場合、各治療室の呼吸誘導装置で測定した呼吸信号や評価した呼吸評価情報や同期信号等を制御部とやり取りするように信号系統を編成すればよい。このように共通の制御部で演算等を行うことにより、複雑な演算をする装置を複数も受ける必要がなくなる。また、例えば、複数の治療室で同じ時間帯に治療を行うような場合、各治療室での呼吸評価結果を比較して、最も呼吸状態がよい(実呼吸と目標呼吸のずれが少ない)治療室を治療対象に選択するような制御ができる。この場合、選択した治療室に粒子線が導かれるよう、制御器は、コース切替え偏向電磁石を制御する。あるいは、例えば、複数の治療室で同期して呼吸誘導を行うことが容易にできるようになる。
つまり、切替装置32を複数の治療室6のそれぞれの呼吸評価部7cEが評価した目標呼吸信号に対する実呼吸のずれの情報Ievに基づいて、粒子ビームの軌道を切り替える、ようにしたので、その時間帯において、正確な照射が可能な治療室を選択して治療する事ができる。
1 加速器(シンクロトロン)、 2 照射系(21:照射装置、7:呼吸誘導装置)、 3 輸送系(31:輸送経路、32:切替電磁石(切替装置))、 4 制御系(制御器)(40:メイン制御器)、 6 治療室、 7a 呼吸測定装置(呼吸同期センサ)、 7b 呼吸誘導教示装置、 7c 呼吸誘導装置本体(7cC:呼吸誘導装置制御部(目標呼吸信号生成部、呼吸ゲート信号変換部)、7cE:呼吸評価部(呼吸ゲート信号変換部)、7cI/O:入出力部)、 (22a:呼吸測定装置))、 7d 入出力I/F、 Jres 誤差、 Gres ゲイン、 P(t) 呼吸ゲート信号、 R(t) 呼吸信号、 Tres 呼吸周期、 φres 位相、
百位の数字は実施形態による違いを示す。

Claims (3)

  1. 粒子ビームを発生させる加速器と、
    複数の治療室と、
    前記加速器と前記複数の治療室のそれぞれとを結ぶ粒子ビームの輸送経路と、
    前記輸送経路中に設置され、前記加速器が発生させた粒子ビームが前記複数の治療室のいずれかひとつの治療室に供給されるように前記粒子ビームの軌道を切り替える切替装置と、
    前記複数の治療室のそれぞれに設けられ、患者の呼吸を誘導するための目標呼吸信号を生成する目標呼吸信号生成部を有する呼吸誘導装置と、
    前記複数の治療室のそれぞれに設けられ、供給された粒子ビームを照射対象に応じた照射野に成形するとともに、少なくとも前記目標呼吸信号に同期して前記照射対象への照射を制御する照射装置と、を備え
    前記呼吸誘導装置は、
    前記患者の実呼吸を測定し、測定した実呼吸信号を出力する実呼吸測定部と、
    前記目標呼吸信号に対する前記実呼吸のずれを評価する呼吸評価部と、を有し、
    前記切替装置は、前記複数の治療室のうち、それぞれの呼吸評価部が評価した前記目標呼吸信号に対する前記実呼吸のずれが最も少ない治療室を治療対象に選択するように、前記粒子ビームの軌道を切り替えることを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 前記呼吸評価部は、前記目標呼吸信号の1周期分のデータを計算単位として、前記目標呼吸信号と、前記目標呼吸信号と同期して収集した前記実呼吸信号と、に対してそれぞれフーリエ級数展開した場合の一次項に相当する対をなす三角関数の係数を計算し、計算した係数から求めたそれぞれのゲインと位相とを比較して、前記目標呼吸信号に対する前記実呼吸のずれを評価することを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療装置。
  3. 前記呼吸誘導装置には、前記呼吸評価部の評価結果に基づき、前記実呼吸のずれを修正するための修正情報を生成する修正情報生成部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子線治療装置。
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