JP2004089516A - 放射線照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射線治療/診断において、患者が音楽に合わせて呼吸しなければならないという強制感を緩和する。
【解決手段】放射線照射装置は、患者の呼吸を測定して、呼吸による患部の位置の変動を示す呼吸信号を生成する呼吸測定部を有し、呼吸信号に応じて、患部に放射線を照射する。さらにこの放射線照射装置は、人の呼吸を数式化した呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相との差に応じて、呼吸モデルを修正し、修正した呼吸モデルの解の周期に基づいて、患者へ与える刺激を調整する調整信号を生成する演算部と、演算部が生成した調整信号に基づいて、患者へ与える刺激を制御する制御部とを備えている。また、呼吸モデルの解の位相と呼吸信号の位相との差が、所定値以下であると判定すると、目標呼吸周期と、修正した呼吸モデルの周期との差を算出し、差の一部を、修正した呼吸モデルの周期に加算する。
【選択図】 図5
【解決手段】放射線照射装置は、患者の呼吸を測定して、呼吸による患部の位置の変動を示す呼吸信号を生成する呼吸測定部を有し、呼吸信号に応じて、患部に放射線を照射する。さらにこの放射線照射装置は、人の呼吸を数式化した呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相との差に応じて、呼吸モデルを修正し、修正した呼吸モデルの解の周期に基づいて、患者へ与える刺激を調整する調整信号を生成する演算部と、演算部が生成した調整信号に基づいて、患者へ与える刺激を制御する制御部とを備えている。また、呼吸モデルの解の位相と呼吸信号の位相との差が、所定値以下であると判定すると、目標呼吸周期と、修正した呼吸モデルの周期との差を算出し、差の一部を、修正した呼吸モデルの周期に加算する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者の呼吸に同期して放射線照射や画像撮影を実施する際の、患者の呼吸を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
患部に放射線を照射して、患者を治療または診断する、放射線治療/診断が知られている。この放射線治療/診断には種々の問題がある。例えば、患者の呼吸の影響で対象患部が動くため、治療や診断の精度が劣化したり、正常組織に不要な被爆を与える、という問題がある。また、患部の画像を撮影する場合にも、ぶれ等により画像が劣化してしまうという問題もある。これらを防ぐため、従来より、バンド、歪ゲージ、レーザー変位計、位置計測用カメラ等の各種センサにより呼吸信号を検出し、患者の呼吸に同期して放射線照射や画像撮影を実施する呼吸同期方式が採用されている。
【0003】
しかし呼吸同期方式を採用した放射線治療/診断には、患者の呼吸が乱れると、放射線の照射精度が劣化し、撮影画像の画質も劣化するという問題がある。この問題点を改善するため、核磁気共鳴装置を対象とした従来技術(例えば、特開平1−97445)は、音楽を患者に聞かせ、音楽の小節周期を利用して患者の呼吸周期を引き込むという、音楽と呼吸の位相引き込み現象を応用する。具体的には、一定のリズムを持った、曲中のテンポが一定である音楽を患者に聞かせることで、患者の呼吸の乱れが少なくなるよう、すなわち患者が規則的に(一定周期で)呼吸するように誘導する。そして、患者の呼吸が定常状態となったのを確認してから放射線の照射、患部の撮影を開始する。このようにして撮影された呼吸同期撮影画像は、単なる呼吸同期方式により撮影した画像よりも画質が向上していることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術は、片方(患者の呼吸)を他方(音楽のテンポ)に一方的に誘導して一致させるという強制引き込みであるため、患者には、音楽に合わせて呼吸しなければならないという強制感が働く。これでは、高齢患者への適用が困難であると考えられる。
【0005】
また、従来技術では、音楽が元来有する一定のリズム(小節周期またはその整数倍の周期)に誘導するだけであり、患者の呼吸を任意の周期に誘導できない。
【0006】
本発明の第1の目的は、放射線治療/診断において、患者が音楽に合わせて呼吸しなければならないという強制感を緩和することである。また、第2の目的は、患者の呼吸を目標とする周期に誘導することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の放射線照射装置は、患者の呼吸を測定して、呼吸による患部の位置の変動を示す呼吸信号を生成する呼吸測定部を有し、該呼吸信号に応じて、患部に放射線を照射する放射線照射装置であって、人の呼吸を数式化した呼吸モデルの解の位相と、前記呼吸信号の位相との差に応じて、前記呼吸モデルを修正し、修正した呼吸モデルの解の周期に基づいて、患者へ与える刺激を調整する調整信号を生成する演算部と、演算部が生成した調整信号に基づいて、患者へ与える前記刺激を制御する制御部とを備えている。これにより上述の第1の目的が達成される。
【0008】
前記呼吸モデルの解の位相と、前記呼吸信号の位相は、前記呼吸信号のゼロクロス時点における位相であってもよい。
【0009】
演算部は、呼吸モデルの解の2つのゼロクロス点に基づいて、前記呼吸モデルの解の周期を算出してもよい。
【0010】
放射線照射装置は、患者の呼吸周期の目標値である目標呼吸周期を入力する入力部と、前記呼吸モデルの解の位相と前記呼吸信号の位相との差が、所定値以下か否かを判定する判定部とをさらに備え、判定部は、前記差が所定値以下であると判定すると、前記目標呼吸周期と、前記修正した呼吸モデルの周期との差を算出し、該差の一部を、前記修正した呼吸モデルの周期に加算する。これにより上述の第2の目的が達成される。
【0011】
判定部は、前記目標呼吸周期と、前記修正した呼吸モデルの周期との差がなくなるまで、該差の一部を、前記修正した呼吸モデルの周期に繰り返し加算してもよい。
【0012】
刺激は音楽であってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1による、呼吸誘導型放射線照射装置100(以下、「放射線照射装置100」と称する)の構成を示すブロック図である。放射線照射装置100は、患者に音楽を聞かせ、音楽を媒介にして、患者の呼吸と所定の呼吸モデルとの相互引き込みを実現する。患者は、呼吸を音楽に同期させなければならないとする強制感が緩和されるため、容易に呼吸誘導される。その結果、患者は一定の周期で呼吸できるようになり、患者の呼吸に同期した粒子線(放射線)治療/診断等を円滑に行うことができる。
【0015】
放射線照射装置100は、音響制御部101と、呼吸測定部102と、呼吸信号処理部103と、テンポ制御部104と、放射線発生部105と、照射部106と、照射制御部107とを有する。放射線照射装置100の主要な特徴は、新たに呼吸を誘導する複数の手段として、呼吸測定部102、テンポ演算部104、および、音響制御部101を有することである。これらは、患者の呼吸信号に基づいて位相引き込みを発生させ、さらに、呼吸モデルの振る舞いに応じ音楽テンポを変化させ、患者に聞かせることでさらなる位相引き込みを発生させる。患者の呼吸リズムと音楽リズムの両者が互いに合わせあうという相互引き込みは双方向性であるため、強制感が緩和されることが期待できる。なお、相互引き込みは生物の世界ではよく知られている現象であり、集団ホタルの同期発光、心筋細胞の同期発火等が報告されている(鈴木良次:生体情報システム論,113/153,朝倉書店,日本,1991.)。
【0016】
音響制御部101は、患者Aに聞かせる音楽を再生する。音響制御部101は音源データとプレイヤーとスピーカーから構成され、外部からの信号(テンポ調整信号)に応じて任意にテンポ調整が可能である。音楽のデータ形式に制約はなく、そのテンポ制御は、音譜と音譜との間の時間を延ばし、または、縮めることで実現される。例えば、音源データがいわゆるMIDIデータである場合には、音譜と音譜との間隔を各音譜ごとに制御するようにしてもよい。また、音譜ごとに時間間隔が変わると違和感を覚える場合、音楽の小節ごとにテンポを変化させてもよい。
【0017】
呼吸測定部102は、患者Aの呼吸を測定して、呼吸信号を生成する。呼吸測定部102は、例えば位置計測用のカメラ102−1と、そのカメラを制御して呼吸を検出する呼吸検出部102−2から構成される。呼吸測定部102は、患者Aの呼吸に伴う、患者Aの体表に貼り付けたマーカーの位置変動を、カメラ102−1で撮影し、呼吸検出部102−2においてその変動を検出して、呼吸信号を生成する。すなわち呼吸信号は、患部の位置の変動を示す。呼吸信号を示す波形は、図2の(a)に示すとおりである。
【0018】
呼吸信号処理部103は、呼吸信号から照射に適したタイミングを判断して「照射可」を表すゲート信号を生成する。照射に適したタイミングとは、呼吸等により変動し、変形する患部が、位置決めや診断時とほぼ同じ状態、位置、形状になるタイミングをいう。換言すれば、ゲート信号とは、患部に放射線を照射可能な期間を示すといえる。図2の(a)は、呼吸信号の波形を、(b)は、呼吸信号に基づいて呼吸信号処理部103が生成したゲート信号を示す。呼吸信号処理部103は、呼吸信号が予め設定された閾値Tを下回ったときに、ONになるゲート信号を生成し、それ以外のときにOFFになるゲート信号を生成する。ゲート信号がONの場合のみ、照射部106から放射線が出射される。
【0019】
なお、放射線の照射を開始する前に、放射線技師が呼吸振幅ゲインの調整を行って、呼吸振幅の概ね三分の一から五分の一に、閾値Tを設定する。放射線技師はゲインの調整後は閾値Tの設定を変更しない。すなわち、閾値Tは一度設定されると放射線の照射が終了するまでそのままである。
【0020】
テンポ演算部104は、呼吸モデルの解をリアルタイムに数値計算するプログラムを搭載し、呼吸モデルの同期に基づいて音楽テンポを計算し、テンポ調整信号を生成する。呼吸モデルとは、人の呼吸がマクロ的にみれば非線形振動である点に鑑みてモデル化された微分方程式(1階の連立微分方程式)である。呼吸モデルとしては、例えば非線形振動子の代表であるvan der Pole方程式(数1)を利用する。
【0021】
【数1】
【0022】
van der Pole方程式は線形振動子より外乱に強く構造的に安定であり、位相平面(xy平面)上の振る舞いは安定な閉軌道であるリミットサイクル上に巻き付くという性質を有する。なお、テンポ演算部104のより詳しい説明は後述する。
【0023】
放射線発生部105は、放射線を加速する加速器である。加速器の種類としては、例えばシンクロトロンが挙げられる。シンクロトロンは陽子線や炭素線を発生させる。図3は、シンクロトロンの運転サイクルを示す図である。運転サイクルは、入射、加速、出射可能区間、減速の周期的な繰り返しである。一般的には、シンクロトロンの1サイクルの運転周期は、0.5秒〜4秒程度である。シンクロトロンの周期において、出射可能区間においてのみ、加速されたビームをシンクロトロンから取り出して、患者Aに照射できる。
【0024】
照射部106は、治療/診断のため、放射線を患者Aに照射する。照射部106は、例えば、照射野形成のためのコリメータやフィルタ等から構成されるノズルである。照射部106は、照射タイミング信号がON(ハイレベル)の場合に、放射線を患者Aに照射する。
【0025】
照射制御部107は、ゲート信号(図2の(b))に基づいて照射タイミング信号を生成し、放射線発生部105および照射部106を制御する。また、照射タイミング信号は、放射線発生部105の運転パターン(周期、放射線強度、タイミング)を制御する信号と、照射部106が放射線を患者Aに照射するタイミングおよび期間を指示する信号とを含む。このうち、放射線発生部105の運転パターンを制御する信号は、照射制御部107から恒常的に出力されており、以後、特に言及する必要がないので、以下、本明細書において「照射タイミング信号」とは、照射部106が放射線を患者Aに照射するタイミングおよび期間を指示する信号をいうとする。
【0026】
図4を参照して、照射タイミング信号の例を説明する。図4の(a)〜(d)は、放射線照射装置100の動作タイミングを示す信号の波形図である。呼吸信号(a)が閾値を下回ったときにONになるゲート信号(b)が生成される。そして、(1)加速器の運転パターンにおいて出射可能区間であり、かつ、(2)ゲート信号がONである区間において、照射制御部107(図1)は、ON(ハイレベル)になる照射タイミング信号を生成する。ON(ハイレベル)になるタイミングおよび時間は、(1)かつ(2)の区間内であればどのように設定してもよい。
【0027】
次に図5を参照して、放射線照射装置100(図1)が、放射線の照射に際して、患者の呼吸を誘導する処理を説明する。図5は、放射線照射装置100が患者の呼吸を誘導する処理を示すフローチャートである。
【0028】
まず放射線照射装置100は、音響制御部101(図1)を動作させて、患者に対し、一定のリズムを保った音楽の再生を開始する。そして同時に、呼吸測定部102(図1)において、患者Aの呼吸を測定して、呼吸信号を生成するとともに、テンポ演算部104(図1)において、呼吸モデル(数1)の解を数値計算するプログラムの実行を開始する(ステップS51)。このプログラムは、例えば4次のルンゲクッタ法を用いた数値計算を行うコンピュータプログラムである。テンポ演算部104は、時間刻み幅△Tごとに数1の解を計算する。また、呼吸測定部102も、時間刻み幅△Tで患者の呼吸をサンプリングし、呼吸信号(図4の(a))を生成する。呼吸測定部102で検出された呼吸信号は、呼吸信号処理部103(図1)と、テンポ演算部104とに送信される。
【0029】
呼吸信号処理部103(図1)は、呼吸測定部102から受け取った呼吸信号の閾値Tを下回った時点を検出してゲート信号(図4の(b))を生成し(ステップS52)、照射制御部107(図1)に送る。照射制御部107は、ゲート信号に基づいて照射タイミング信号(図4の(d))を生成して、照射部106(図1)に送る。照射部106は、照射制御部107から受け取った照射タイミング信号に基づいて、放射線発生部105からの放射線を患者Aに照射する(ステップS53)。
【0030】
一方、テンポ演算部104もまた、呼吸信号を受け取り、ゼロクロスを検出する。そして、テンポ演算部104は、呼吸信号のゼロクロスを検出する度に、ゼロクロス時点での呼吸信号の位相(θ1)と呼吸モデルの解の位相(θ2)との位相差(θ2−θ1)を求める。図6の(a)は、呼吸モデルの解の波形を示し、(b)は、呼吸信号の波形を示す図である。図に示すように、呼吸モデルの解の周期をA、呼吸モデルの解のゼロクロス点と呼吸信号のゼロクロス点との差をBとしたとき、呼吸モデルの解の位相(θ2)は、θ2=2π×B/Aと求められる。ゼロクロス時点での呼吸信号の位相(θ1)は0なので、位相差(θ2−θ1)は、θ2−θ1=2π×B/Aとなる。なお、ゼロクロス点を利用したのは、算出が容易だからである。テンポ演算部104は、位相差(θ2−θ1)を求めると、呼吸モデルを修正する(ステップS54)。具体的には、数1に示す呼吸モデルに、位相差(θ2−θ1)に応じた外乱項H×sin(θ2−θ1)が挿入され、修正された呼吸モデル(数2)を得る。ここで、Hは、ある高さで、ある時間幅Wを持つパルスを表す。
【0031】
【数2】
【0032】
ゼロクロス時点からの時間経過がHの時間幅Wを越えない範囲では、テンポ演算部104は、数2に基づいて呼吸モデルの解を算出し、その他の範囲では、数1に基づいて呼吸モデルの解を算出する。テンポ演算部104は、呼吸モデルの解のゼロクロスを検出する度に、その解の周期を計算する(ステップS55)。人の呼吸は通常振動的であるため、正から負への変化(または負から正への変化)が現れる、2つのゼロクロス点間の時間を計算すればよい。そして、その周期に応じて、テンポ演算部104は再生中の音楽のテンポを決定する(ステップS56)。具体的に説明すると、まずテンポ演算部104は、呼吸モデルの解の周期から、1分間あたりの呼吸数を算出する。すなわち、1分間の周期数を計算する。そして、1分間あたりの呼吸数と、1小節を構成する拍数とを掛け合わせた値を、音楽のテンポとすればよい。例えば、呼吸モデル周期が4秒で四分の四拍子の曲であれば、1分間あたりの呼吸数は15(回/分)、1小節を構成する拍数は4(拍)となり、60(BPM:Beat Per Minitue)が音楽テンポになる。テンポ演算部104は、この音楽テンポを決定する信号、すなわちテンポ調整信号を音響制御部101に送り、音響制御部101は、テンポ調整信号にしたがって音楽を再生する(ステップS57)。そして、処理は再びステップS52に戻り、呼吸の誘導、および、放射線の照射が継続される。放射線の照射を終了する指示を受けると、放射線照射装置100は処理を終了する。
【0033】
以上、実施の形態1を説明した。本発明により呼吸を誘導し安定化を図った場合には、呼吸振幅のばらつきが減少するため、患部の位置決めや診断時とほぼ同じ位置である呼吸ボトムに閾値を近づけることができる。以上により、照射精度が向上する。これは、従来から周知の呼吸同期方式で、呼吸ボトムに閾値を近づけられなかったことと比較すると非常に有利である。従来の呼吸同期方式では、患者の呼吸が安定しないため、ゲート信号生成のための設定閾値が最適ではなかった。より詳しくは、本来ならば、患部の位置決めや診断時とほぼ同じ呼吸ボトムのタイミングで放射線を照射する必要があり、閾値を呼吸ボトムに近づける必要がある。しかし、患者の呼吸振幅は目視でピークが確認できない程小さくなる現象が高頻度で起こり、一定ではなく不安定である。そのため、治療時間の延長回避、加速器の安全上の問題(ビームを出射せずに減速が繰り返されると、破棄されるビーム量が大きくなり、放射能レベルが上昇し危険な状態になる)のため閾値を下げることができない。
【0034】
以上から、本実施の形態によれば、患者に課される呼吸あわせの強制感が緩和された呼吸誘導を実現でき、かつ、放射線の照射を確実に行うことができる。
【0035】
なお、これまでの説明では、呼吸測定部102(図1)からの呼吸信号は、呼吸信号処理部103およびテンポ演算部104に送られるとしたが、呼吸信号処理部103にのみ送られるとしてもよい。この場合には、呼吸信号処理部103は、自らが検出したゼロクロス点の情報のみをテンポ演算部104に送ればよい。これにより、テンポ演算部104は、自らゼロクロス点を求める必要がなくなる。
【0036】
(実施の形態2)
実施の形態2は、患者の呼吸を、予め設定された目標となる呼吸周期に誘導する構成を説明する。目標となる呼吸周期への誘導は、相互引き込み状態を多段階的に創出させることで実現する。具体的には、患者の呼吸と呼吸モデルの相互引き込み状態を判定し、相互引き込みが達成された場合、呼吸モデルの周期を目標周期へ若干近づけて変化させることにより,次の相互引き込み状態を誘発する。以上を繰り返し実行することで、患者の呼吸を任意の目標周期に誘導可能とする。
【0037】
図7は、実施の形態2による、呼吸誘導型放射線照射装置200(以下、「放射線照射装置200」と称する)の構成を示すブロック図である。放射線照射装置200は、判定部201と、目標値入力部202とが新たに設けられている点において、放射線照射装置100と相違する。これらの構成の追加に伴い、テンポ演算部104は新たな動作を行う。
【0038】
以下、放射線照射装置200の構成および動作を説明する。ただし、以下説明する構成および動作以外については、実施の形態1の放射線照射装置100(図1)と同じであるので、その説明は省略する。
【0039】
まず、目標値入力部202は、患者の呼吸周期の目標値を入力する装置であり、例えば、キーボード、マウス、数値ダイヤル等である。なお、実施の形態1で説明したように、患者の呼吸周期とテンポとは相関関係があるので、患者の呼吸周期に変えて、目標となる音楽のテンポを入力し、患者の呼吸周期を求めてもよい。
【0040】
判定部201は、患者の呼吸と呼吸モデルの相互引き込み状態を判定する。本実施の形態では、呼吸信号の位相(θ1)と呼吸モデルの解の位相(θ2)との位相差(θ2−θ1)が所定の値以下になった場合に引き込みが成立したとする。このとき、テンポ演算部104は、相互引き込み時の呼吸モデルの周期と、目標値入力部202から入力された目標呼吸周期との差分の一部を、相互引き込み時の呼吸モデルの周期に加算する。例えば、差分が4Sのとき、差分の一部(2S)を、相互引き込み時の呼吸モデルの周期に加算する。これにより、次の目標呼吸周期として呼吸モデルの周期(固有振動数)が変更される。さらに次の目標呼吸周期には、差分の残り2Sの一部(例えば、S)が加算される。このように呼吸モデルの周期を目標周期へ徐々に近づけて変化させることにより、次の相互引き込み状態を誘発する。その結果、患者の呼吸は最終的な目標呼吸周期に誘導される。また、患者の呼吸と加速器の運転周期・初期位相とを一致させることにより、時間短縮による大幅な治療効率の向上が期待できる。
【0041】
実施の形態1および2では、再生する音楽のテンポを利用して、患者の呼吸を誘導するとして説明した。しかし音楽に限らず、例えば、光の緩やかな明滅や、患者の手足等への振動であってもよい。すなわち患者が呼吸を合わせることができる刺激であればよい。
【0042】
なお、実施の形態1および2で説明した放射線照射装置の動作は、例えば、図5に示すフローチャートの処理を実現するコンピュータプログラムにより実現できる。したがって、そのような動作を行うコンピュータプログラム自体もまた、本発明の範疇に含まれる。そのようなコンピュータプログラムは、CD、DVD等の光ディスク、フロッピーディスク等の磁気記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体記録媒体に記録される。また、そのようなコンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介して伝送される。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、人の呼吸を数式化した呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相との差に応じて、呼吸モデルを修正し、修正した呼吸モデルの解の周期に基づいて、患者へ与える刺激を調整する調整信号を生成する。呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相との差が反映されて呼吸モデルが修正されるので、与えられた刺激に患者が呼吸を合わせるだけでなく、与えられる刺激の頻度が調整される。よって、患者は呼吸を刺激に同期させなければならないとする強制感が緩和されるため、容易に呼吸誘導される。その結果、患者は一定の周期・振幅で呼吸できるようになり、患者の呼吸に同期した放射線治療/診断等を円滑に、かつ精度よく行うことができる。
【0044】
呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相とは、呼吸信号のゼロクロス時点における位相である。そのため、位相が容易に算出できる。
【0045】
また、呼吸モデルの解の周期は、呼吸モデルの2つのゼロクロス点に基づいて算出される。ゼロクロス点の算出は容易であるから、周期も容易に得ることができる。
【0046】
呼吸モデルの解の位相と呼吸信号の位相との差が、所定値以下の場合には、患者の呼吸周期の目標値である目標呼吸周期と、修正した呼吸モデルの周期との差を算出し、差の一部を、修正した呼吸モデルの周期に加算する。これにより、患者の呼吸周期を目標呼吸周期に近づけることができる。
【0047】
さらに、差の一部を、修正した呼吸モデルの周期に繰り返し加算することにより、患者の呼吸を任意の周期に誘導することができる。
【0048】
刺激を音楽にすることにより、患者は音楽に合わせて呼吸すればよく、呼吸を同期させなければならない強制感がより緩和される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による、呼吸誘導型放射線照射装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、呼吸信号の波形を、(b)は、呼吸信号に基づいて呼吸信号処理部が生成したゲート信号を示す図である。
【図3】シンクロトロンの運転サイクルを示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、放射線照射装置の動作タイミングを示す信号の波形図である。
【図5】放射線照射装置が患者の呼吸を誘導する処理を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、呼吸モデルの解の波形を示し、(b)は、呼吸信号の波形を示す図である。
【図7】実施の形態2による、呼吸誘導型放射線照射装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 放射線照射装置、 101 音響制御部、 102 呼吸測定部、103 呼吸信号処理部、 104 テンポ演算部、 105 放射線発生部、 106 照射部、 107 照射制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、患者の呼吸に同期して放射線照射や画像撮影を実施する際の、患者の呼吸を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
患部に放射線を照射して、患者を治療または診断する、放射線治療/診断が知られている。この放射線治療/診断には種々の問題がある。例えば、患者の呼吸の影響で対象患部が動くため、治療や診断の精度が劣化したり、正常組織に不要な被爆を与える、という問題がある。また、患部の画像を撮影する場合にも、ぶれ等により画像が劣化してしまうという問題もある。これらを防ぐため、従来より、バンド、歪ゲージ、レーザー変位計、位置計測用カメラ等の各種センサにより呼吸信号を検出し、患者の呼吸に同期して放射線照射や画像撮影を実施する呼吸同期方式が採用されている。
【0003】
しかし呼吸同期方式を採用した放射線治療/診断には、患者の呼吸が乱れると、放射線の照射精度が劣化し、撮影画像の画質も劣化するという問題がある。この問題点を改善するため、核磁気共鳴装置を対象とした従来技術(例えば、特開平1−97445)は、音楽を患者に聞かせ、音楽の小節周期を利用して患者の呼吸周期を引き込むという、音楽と呼吸の位相引き込み現象を応用する。具体的には、一定のリズムを持った、曲中のテンポが一定である音楽を患者に聞かせることで、患者の呼吸の乱れが少なくなるよう、すなわち患者が規則的に(一定周期で)呼吸するように誘導する。そして、患者の呼吸が定常状態となったのを確認してから放射線の照射、患部の撮影を開始する。このようにして撮影された呼吸同期撮影画像は、単なる呼吸同期方式により撮影した画像よりも画質が向上していることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術は、片方(患者の呼吸)を他方(音楽のテンポ)に一方的に誘導して一致させるという強制引き込みであるため、患者には、音楽に合わせて呼吸しなければならないという強制感が働く。これでは、高齢患者への適用が困難であると考えられる。
【0005】
また、従来技術では、音楽が元来有する一定のリズム(小節周期またはその整数倍の周期)に誘導するだけであり、患者の呼吸を任意の周期に誘導できない。
【0006】
本発明の第1の目的は、放射線治療/診断において、患者が音楽に合わせて呼吸しなければならないという強制感を緩和することである。また、第2の目的は、患者の呼吸を目標とする周期に誘導することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の放射線照射装置は、患者の呼吸を測定して、呼吸による患部の位置の変動を示す呼吸信号を生成する呼吸測定部を有し、該呼吸信号に応じて、患部に放射線を照射する放射線照射装置であって、人の呼吸を数式化した呼吸モデルの解の位相と、前記呼吸信号の位相との差に応じて、前記呼吸モデルを修正し、修正した呼吸モデルの解の周期に基づいて、患者へ与える刺激を調整する調整信号を生成する演算部と、演算部が生成した調整信号に基づいて、患者へ与える前記刺激を制御する制御部とを備えている。これにより上述の第1の目的が達成される。
【0008】
前記呼吸モデルの解の位相と、前記呼吸信号の位相は、前記呼吸信号のゼロクロス時点における位相であってもよい。
【0009】
演算部は、呼吸モデルの解の2つのゼロクロス点に基づいて、前記呼吸モデルの解の周期を算出してもよい。
【0010】
放射線照射装置は、患者の呼吸周期の目標値である目標呼吸周期を入力する入力部と、前記呼吸モデルの解の位相と前記呼吸信号の位相との差が、所定値以下か否かを判定する判定部とをさらに備え、判定部は、前記差が所定値以下であると判定すると、前記目標呼吸周期と、前記修正した呼吸モデルの周期との差を算出し、該差の一部を、前記修正した呼吸モデルの周期に加算する。これにより上述の第2の目的が達成される。
【0011】
判定部は、前記目標呼吸周期と、前記修正した呼吸モデルの周期との差がなくなるまで、該差の一部を、前記修正した呼吸モデルの周期に繰り返し加算してもよい。
【0012】
刺激は音楽であってもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1による、呼吸誘導型放射線照射装置100(以下、「放射線照射装置100」と称する)の構成を示すブロック図である。放射線照射装置100は、患者に音楽を聞かせ、音楽を媒介にして、患者の呼吸と所定の呼吸モデルとの相互引き込みを実現する。患者は、呼吸を音楽に同期させなければならないとする強制感が緩和されるため、容易に呼吸誘導される。その結果、患者は一定の周期で呼吸できるようになり、患者の呼吸に同期した粒子線(放射線)治療/診断等を円滑に行うことができる。
【0015】
放射線照射装置100は、音響制御部101と、呼吸測定部102と、呼吸信号処理部103と、テンポ制御部104と、放射線発生部105と、照射部106と、照射制御部107とを有する。放射線照射装置100の主要な特徴は、新たに呼吸を誘導する複数の手段として、呼吸測定部102、テンポ演算部104、および、音響制御部101を有することである。これらは、患者の呼吸信号に基づいて位相引き込みを発生させ、さらに、呼吸モデルの振る舞いに応じ音楽テンポを変化させ、患者に聞かせることでさらなる位相引き込みを発生させる。患者の呼吸リズムと音楽リズムの両者が互いに合わせあうという相互引き込みは双方向性であるため、強制感が緩和されることが期待できる。なお、相互引き込みは生物の世界ではよく知られている現象であり、集団ホタルの同期発光、心筋細胞の同期発火等が報告されている(鈴木良次:生体情報システム論,113/153,朝倉書店,日本,1991.)。
【0016】
音響制御部101は、患者Aに聞かせる音楽を再生する。音響制御部101は音源データとプレイヤーとスピーカーから構成され、外部からの信号(テンポ調整信号)に応じて任意にテンポ調整が可能である。音楽のデータ形式に制約はなく、そのテンポ制御は、音譜と音譜との間の時間を延ばし、または、縮めることで実現される。例えば、音源データがいわゆるMIDIデータである場合には、音譜と音譜との間隔を各音譜ごとに制御するようにしてもよい。また、音譜ごとに時間間隔が変わると違和感を覚える場合、音楽の小節ごとにテンポを変化させてもよい。
【0017】
呼吸測定部102は、患者Aの呼吸を測定して、呼吸信号を生成する。呼吸測定部102は、例えば位置計測用のカメラ102−1と、そのカメラを制御して呼吸を検出する呼吸検出部102−2から構成される。呼吸測定部102は、患者Aの呼吸に伴う、患者Aの体表に貼り付けたマーカーの位置変動を、カメラ102−1で撮影し、呼吸検出部102−2においてその変動を検出して、呼吸信号を生成する。すなわち呼吸信号は、患部の位置の変動を示す。呼吸信号を示す波形は、図2の(a)に示すとおりである。
【0018】
呼吸信号処理部103は、呼吸信号から照射に適したタイミングを判断して「照射可」を表すゲート信号を生成する。照射に適したタイミングとは、呼吸等により変動し、変形する患部が、位置決めや診断時とほぼ同じ状態、位置、形状になるタイミングをいう。換言すれば、ゲート信号とは、患部に放射線を照射可能な期間を示すといえる。図2の(a)は、呼吸信号の波形を、(b)は、呼吸信号に基づいて呼吸信号処理部103が生成したゲート信号を示す。呼吸信号処理部103は、呼吸信号が予め設定された閾値Tを下回ったときに、ONになるゲート信号を生成し、それ以外のときにOFFになるゲート信号を生成する。ゲート信号がONの場合のみ、照射部106から放射線が出射される。
【0019】
なお、放射線の照射を開始する前に、放射線技師が呼吸振幅ゲインの調整を行って、呼吸振幅の概ね三分の一から五分の一に、閾値Tを設定する。放射線技師はゲインの調整後は閾値Tの設定を変更しない。すなわち、閾値Tは一度設定されると放射線の照射が終了するまでそのままである。
【0020】
テンポ演算部104は、呼吸モデルの解をリアルタイムに数値計算するプログラムを搭載し、呼吸モデルの同期に基づいて音楽テンポを計算し、テンポ調整信号を生成する。呼吸モデルとは、人の呼吸がマクロ的にみれば非線形振動である点に鑑みてモデル化された微分方程式(1階の連立微分方程式)である。呼吸モデルとしては、例えば非線形振動子の代表であるvan der Pole方程式(数1)を利用する。
【0021】
【数1】
【0022】
van der Pole方程式は線形振動子より外乱に強く構造的に安定であり、位相平面(xy平面)上の振る舞いは安定な閉軌道であるリミットサイクル上に巻き付くという性質を有する。なお、テンポ演算部104のより詳しい説明は後述する。
【0023】
放射線発生部105は、放射線を加速する加速器である。加速器の種類としては、例えばシンクロトロンが挙げられる。シンクロトロンは陽子線や炭素線を発生させる。図3は、シンクロトロンの運転サイクルを示す図である。運転サイクルは、入射、加速、出射可能区間、減速の周期的な繰り返しである。一般的には、シンクロトロンの1サイクルの運転周期は、0.5秒〜4秒程度である。シンクロトロンの周期において、出射可能区間においてのみ、加速されたビームをシンクロトロンから取り出して、患者Aに照射できる。
【0024】
照射部106は、治療/診断のため、放射線を患者Aに照射する。照射部106は、例えば、照射野形成のためのコリメータやフィルタ等から構成されるノズルである。照射部106は、照射タイミング信号がON(ハイレベル)の場合に、放射線を患者Aに照射する。
【0025】
照射制御部107は、ゲート信号(図2の(b))に基づいて照射タイミング信号を生成し、放射線発生部105および照射部106を制御する。また、照射タイミング信号は、放射線発生部105の運転パターン(周期、放射線強度、タイミング)を制御する信号と、照射部106が放射線を患者Aに照射するタイミングおよび期間を指示する信号とを含む。このうち、放射線発生部105の運転パターンを制御する信号は、照射制御部107から恒常的に出力されており、以後、特に言及する必要がないので、以下、本明細書において「照射タイミング信号」とは、照射部106が放射線を患者Aに照射するタイミングおよび期間を指示する信号をいうとする。
【0026】
図4を参照して、照射タイミング信号の例を説明する。図4の(a)〜(d)は、放射線照射装置100の動作タイミングを示す信号の波形図である。呼吸信号(a)が閾値を下回ったときにONになるゲート信号(b)が生成される。そして、(1)加速器の運転パターンにおいて出射可能区間であり、かつ、(2)ゲート信号がONである区間において、照射制御部107(図1)は、ON(ハイレベル)になる照射タイミング信号を生成する。ON(ハイレベル)になるタイミングおよび時間は、(1)かつ(2)の区間内であればどのように設定してもよい。
【0027】
次に図5を参照して、放射線照射装置100(図1)が、放射線の照射に際して、患者の呼吸を誘導する処理を説明する。図5は、放射線照射装置100が患者の呼吸を誘導する処理を示すフローチャートである。
【0028】
まず放射線照射装置100は、音響制御部101(図1)を動作させて、患者に対し、一定のリズムを保った音楽の再生を開始する。そして同時に、呼吸測定部102(図1)において、患者Aの呼吸を測定して、呼吸信号を生成するとともに、テンポ演算部104(図1)において、呼吸モデル(数1)の解を数値計算するプログラムの実行を開始する(ステップS51)。このプログラムは、例えば4次のルンゲクッタ法を用いた数値計算を行うコンピュータプログラムである。テンポ演算部104は、時間刻み幅△Tごとに数1の解を計算する。また、呼吸測定部102も、時間刻み幅△Tで患者の呼吸をサンプリングし、呼吸信号(図4の(a))を生成する。呼吸測定部102で検出された呼吸信号は、呼吸信号処理部103(図1)と、テンポ演算部104とに送信される。
【0029】
呼吸信号処理部103(図1)は、呼吸測定部102から受け取った呼吸信号の閾値Tを下回った時点を検出してゲート信号(図4の(b))を生成し(ステップS52)、照射制御部107(図1)に送る。照射制御部107は、ゲート信号に基づいて照射タイミング信号(図4の(d))を生成して、照射部106(図1)に送る。照射部106は、照射制御部107から受け取った照射タイミング信号に基づいて、放射線発生部105からの放射線を患者Aに照射する(ステップS53)。
【0030】
一方、テンポ演算部104もまた、呼吸信号を受け取り、ゼロクロスを検出する。そして、テンポ演算部104は、呼吸信号のゼロクロスを検出する度に、ゼロクロス時点での呼吸信号の位相(θ1)と呼吸モデルの解の位相(θ2)との位相差(θ2−θ1)を求める。図6の(a)は、呼吸モデルの解の波形を示し、(b)は、呼吸信号の波形を示す図である。図に示すように、呼吸モデルの解の周期をA、呼吸モデルの解のゼロクロス点と呼吸信号のゼロクロス点との差をBとしたとき、呼吸モデルの解の位相(θ2)は、θ2=2π×B/Aと求められる。ゼロクロス時点での呼吸信号の位相(θ1)は0なので、位相差(θ2−θ1)は、θ2−θ1=2π×B/Aとなる。なお、ゼロクロス点を利用したのは、算出が容易だからである。テンポ演算部104は、位相差(θ2−θ1)を求めると、呼吸モデルを修正する(ステップS54)。具体的には、数1に示す呼吸モデルに、位相差(θ2−θ1)に応じた外乱項H×sin(θ2−θ1)が挿入され、修正された呼吸モデル(数2)を得る。ここで、Hは、ある高さで、ある時間幅Wを持つパルスを表す。
【0031】
【数2】
【0032】
ゼロクロス時点からの時間経過がHの時間幅Wを越えない範囲では、テンポ演算部104は、数2に基づいて呼吸モデルの解を算出し、その他の範囲では、数1に基づいて呼吸モデルの解を算出する。テンポ演算部104は、呼吸モデルの解のゼロクロスを検出する度に、その解の周期を計算する(ステップS55)。人の呼吸は通常振動的であるため、正から負への変化(または負から正への変化)が現れる、2つのゼロクロス点間の時間を計算すればよい。そして、その周期に応じて、テンポ演算部104は再生中の音楽のテンポを決定する(ステップS56)。具体的に説明すると、まずテンポ演算部104は、呼吸モデルの解の周期から、1分間あたりの呼吸数を算出する。すなわち、1分間の周期数を計算する。そして、1分間あたりの呼吸数と、1小節を構成する拍数とを掛け合わせた値を、音楽のテンポとすればよい。例えば、呼吸モデル周期が4秒で四分の四拍子の曲であれば、1分間あたりの呼吸数は15(回/分)、1小節を構成する拍数は4(拍)となり、60(BPM:Beat Per Minitue)が音楽テンポになる。テンポ演算部104は、この音楽テンポを決定する信号、すなわちテンポ調整信号を音響制御部101に送り、音響制御部101は、テンポ調整信号にしたがって音楽を再生する(ステップS57)。そして、処理は再びステップS52に戻り、呼吸の誘導、および、放射線の照射が継続される。放射線の照射を終了する指示を受けると、放射線照射装置100は処理を終了する。
【0033】
以上、実施の形態1を説明した。本発明により呼吸を誘導し安定化を図った場合には、呼吸振幅のばらつきが減少するため、患部の位置決めや診断時とほぼ同じ位置である呼吸ボトムに閾値を近づけることができる。以上により、照射精度が向上する。これは、従来から周知の呼吸同期方式で、呼吸ボトムに閾値を近づけられなかったことと比較すると非常に有利である。従来の呼吸同期方式では、患者の呼吸が安定しないため、ゲート信号生成のための設定閾値が最適ではなかった。より詳しくは、本来ならば、患部の位置決めや診断時とほぼ同じ呼吸ボトムのタイミングで放射線を照射する必要があり、閾値を呼吸ボトムに近づける必要がある。しかし、患者の呼吸振幅は目視でピークが確認できない程小さくなる現象が高頻度で起こり、一定ではなく不安定である。そのため、治療時間の延長回避、加速器の安全上の問題(ビームを出射せずに減速が繰り返されると、破棄されるビーム量が大きくなり、放射能レベルが上昇し危険な状態になる)のため閾値を下げることができない。
【0034】
以上から、本実施の形態によれば、患者に課される呼吸あわせの強制感が緩和された呼吸誘導を実現でき、かつ、放射線の照射を確実に行うことができる。
【0035】
なお、これまでの説明では、呼吸測定部102(図1)からの呼吸信号は、呼吸信号処理部103およびテンポ演算部104に送られるとしたが、呼吸信号処理部103にのみ送られるとしてもよい。この場合には、呼吸信号処理部103は、自らが検出したゼロクロス点の情報のみをテンポ演算部104に送ればよい。これにより、テンポ演算部104は、自らゼロクロス点を求める必要がなくなる。
【0036】
(実施の形態2)
実施の形態2は、患者の呼吸を、予め設定された目標となる呼吸周期に誘導する構成を説明する。目標となる呼吸周期への誘導は、相互引き込み状態を多段階的に創出させることで実現する。具体的には、患者の呼吸と呼吸モデルの相互引き込み状態を判定し、相互引き込みが達成された場合、呼吸モデルの周期を目標周期へ若干近づけて変化させることにより,次の相互引き込み状態を誘発する。以上を繰り返し実行することで、患者の呼吸を任意の目標周期に誘導可能とする。
【0037】
図7は、実施の形態2による、呼吸誘導型放射線照射装置200(以下、「放射線照射装置200」と称する)の構成を示すブロック図である。放射線照射装置200は、判定部201と、目標値入力部202とが新たに設けられている点において、放射線照射装置100と相違する。これらの構成の追加に伴い、テンポ演算部104は新たな動作を行う。
【0038】
以下、放射線照射装置200の構成および動作を説明する。ただし、以下説明する構成および動作以外については、実施の形態1の放射線照射装置100(図1)と同じであるので、その説明は省略する。
【0039】
まず、目標値入力部202は、患者の呼吸周期の目標値を入力する装置であり、例えば、キーボード、マウス、数値ダイヤル等である。なお、実施の形態1で説明したように、患者の呼吸周期とテンポとは相関関係があるので、患者の呼吸周期に変えて、目標となる音楽のテンポを入力し、患者の呼吸周期を求めてもよい。
【0040】
判定部201は、患者の呼吸と呼吸モデルの相互引き込み状態を判定する。本実施の形態では、呼吸信号の位相(θ1)と呼吸モデルの解の位相(θ2)との位相差(θ2−θ1)が所定の値以下になった場合に引き込みが成立したとする。このとき、テンポ演算部104は、相互引き込み時の呼吸モデルの周期と、目標値入力部202から入力された目標呼吸周期との差分の一部を、相互引き込み時の呼吸モデルの周期に加算する。例えば、差分が4Sのとき、差分の一部(2S)を、相互引き込み時の呼吸モデルの周期に加算する。これにより、次の目標呼吸周期として呼吸モデルの周期(固有振動数)が変更される。さらに次の目標呼吸周期には、差分の残り2Sの一部(例えば、S)が加算される。このように呼吸モデルの周期を目標周期へ徐々に近づけて変化させることにより、次の相互引き込み状態を誘発する。その結果、患者の呼吸は最終的な目標呼吸周期に誘導される。また、患者の呼吸と加速器の運転周期・初期位相とを一致させることにより、時間短縮による大幅な治療効率の向上が期待できる。
【0041】
実施の形態1および2では、再生する音楽のテンポを利用して、患者の呼吸を誘導するとして説明した。しかし音楽に限らず、例えば、光の緩やかな明滅や、患者の手足等への振動であってもよい。すなわち患者が呼吸を合わせることができる刺激であればよい。
【0042】
なお、実施の形態1および2で説明した放射線照射装置の動作は、例えば、図5に示すフローチャートの処理を実現するコンピュータプログラムにより実現できる。したがって、そのような動作を行うコンピュータプログラム自体もまた、本発明の範疇に含まれる。そのようなコンピュータプログラムは、CD、DVD等の光ディスク、フロッピーディスク等の磁気記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体記録媒体に記録される。また、そのようなコンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介して伝送される。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、人の呼吸を数式化した呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相との差に応じて、呼吸モデルを修正し、修正した呼吸モデルの解の周期に基づいて、患者へ与える刺激を調整する調整信号を生成する。呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相との差が反映されて呼吸モデルが修正されるので、与えられた刺激に患者が呼吸を合わせるだけでなく、与えられる刺激の頻度が調整される。よって、患者は呼吸を刺激に同期させなければならないとする強制感が緩和されるため、容易に呼吸誘導される。その結果、患者は一定の周期・振幅で呼吸できるようになり、患者の呼吸に同期した放射線治療/診断等を円滑に、かつ精度よく行うことができる。
【0044】
呼吸モデルの解の位相と、呼吸信号の位相とは、呼吸信号のゼロクロス時点における位相である。そのため、位相が容易に算出できる。
【0045】
また、呼吸モデルの解の周期は、呼吸モデルの2つのゼロクロス点に基づいて算出される。ゼロクロス点の算出は容易であるから、周期も容易に得ることができる。
【0046】
呼吸モデルの解の位相と呼吸信号の位相との差が、所定値以下の場合には、患者の呼吸周期の目標値である目標呼吸周期と、修正した呼吸モデルの周期との差を算出し、差の一部を、修正した呼吸モデルの周期に加算する。これにより、患者の呼吸周期を目標呼吸周期に近づけることができる。
【0047】
さらに、差の一部を、修正した呼吸モデルの周期に繰り返し加算することにより、患者の呼吸を任意の周期に誘導することができる。
【0048】
刺激を音楽にすることにより、患者は音楽に合わせて呼吸すればよく、呼吸を同期させなければならない強制感がより緩和される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による、呼吸誘導型放射線照射装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、呼吸信号の波形を、(b)は、呼吸信号に基づいて呼吸信号処理部が生成したゲート信号を示す図である。
【図3】シンクロトロンの運転サイクルを示す図である。
【図4】(a)〜(d)は、放射線照射装置の動作タイミングを示す信号の波形図である。
【図5】放射線照射装置が患者の呼吸を誘導する処理を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、呼吸モデルの解の波形を示し、(b)は、呼吸信号の波形を示す図である。
【図7】実施の形態2による、呼吸誘導型放射線照射装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
100 放射線照射装置、 101 音響制御部、 102 呼吸測定部、103 呼吸信号処理部、 104 テンポ演算部、 105 放射線発生部、 106 照射部、 107 照射制御部
Claims (6)
- 患者の呼吸を測定して、呼吸による患部の位置の変動を示す呼吸信号を生成する呼吸測定部を有し、該呼吸信号に応じて、患部に放射線を照射する放射線照射装置であって、
人の呼吸を数式化した呼吸モデルの解の位相と、前記呼吸信号の位相との差に応じて、前記呼吸モデルを修正し、修正した呼吸モデルの解の周期に基づいて、患者へ与える刺激を調整する調整信号を生成する演算部と、
演算部が生成した調整信号に基づいて、患者へ与える前記刺激を制御する制御部と
を備えた放射線照射装置。 - 前記呼吸モデルの解の位相と、前記呼吸信号の位相は、前記呼吸信号のゼロクロス時点における位相である、請求項1に記載の放射線照射装置。
- 演算部は、呼吸モデルの解の2つのゼロクロス点に基づいて、前記呼吸モデルの解の周期を算出する、請求項1に記載の放射線照射装置。
- 患者の呼吸周期の目標値である目標呼吸周期を入力する入力部と、
前記呼吸モデルの解の位相と前記呼吸信号の位相との差が、所定値以下か否かを判定する判定部と
をさらに備え、
判定部は、前記差が所定値以下であると判定すると、前記目標呼吸周期と、前記修正した呼吸モデルの周期との差を算出し、該差の一部を、前記修正した呼吸モデルの周期に加算する、請求項1〜3に記載の放射線照射装置。 - 判定部は、前記目標呼吸周期と、前記修正した呼吸モデルの周期との差がなくなるまで、該差の一部を、前記修正した呼吸モデルの周期に繰り返し加算する、請求項4に記載の放射線照射装置。
- 前記刺激は音楽である、請求項1〜5に記載の放射線照射装置。
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