JP5602401B2 - Pcb汚染物の溶融分解装置の運転制御方法及び運転制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)で汚染された汚泥、ウエス、安定器(トランス)等の廃棄物(以下、単に「PCB汚染物」とも称する。)に含まれる有害有機物質を高温にて分解処理しつつ無機物及び金属を溶融固化するPCB汚染物等の溶融分解装置の運転制御方法、及び運転制御装置に関する。
従来からPCB汚染物の溶融分解装置として、特許文献1に記載のものが知られている。このPCB汚染物の溶融分解装置は、図6に示されるように、溶融分解炉101と、汚染物投入装置102と、恒温チャンバ(熱滞留室又は温度保持領域)104と、減温塔114と、バグフィルタ116と、触媒反応塔118とを備えている。
この溶融分解装置100では、PCB汚染物は、ドラム缶やペール缶等に詰められた後に汚染物投入装置102によって内部温度が1400℃以上に保たれた溶融分解炉101に投入される。このPCB汚染物に含まれている有害有機物質は、前記1400℃以上の高温によって熱分解され、排ガスと共に恒温チャンバ104へ排出される。一方、前記PCB汚染物に含まれている無機物及び金属は溶融され、定期的に溶融分解炉101の外部へ排出される。
恒温チャンバ104は、溶融分解炉101から受け入れた排ガス内に含まれる未燃物を完全燃焼させると共に、溶融分解炉101において分解しきれなかったダイオキシン類等の有害有機物質を分解する。具体的に、恒温チャンバ104は、その内部を加熱するガスバーナー105と、当該恒温チャンバ104内に空気を供給する送風手段106とを備え、ガスバーナー105の燃焼によりその内部温度を1200℃以上に保った状態で溶融分解炉101から受け入れた排ガスがその内部を2秒以上かけて通過するように運転されている。これにより排ガスに含まれるダイオキシン類等の有害有機物質が1200℃以上の高温に2秒以上曝されて熱分解される。
この恒温チャンバ104からの排ガスは、減温塔114に送られて冷却される。そして、その下流側に配設されたバグフィルタ116及び触媒反応塔118に順に送られ、集塵、脱塩、NOxの分解等が行われたあと、大気中に放出される。
特開2005−262196号公報
前記の溶融分解装置100の恒温チャンバ104では、内部温度が所定の温度(例えば1200℃)以上に保たれ、その内部を排ガスが所定の時間(例えば2秒)以上かけて通過することが必須であるが、当該恒温チャンバ104内での不完全燃焼を防ぎつつ、これらの条件を満たすような空気供給量の制御が難しいという課題がある。
具体的に、ペール缶等に詰められたPCB汚染物が汚染物投入装置102によって溶融分解炉101にバッチ投入されると、このPCB汚染物に含まれる可燃成分が燃焼することで溶融分解炉101内の酸素濃度が低下し、これに伴って恒温チャンバ104でもその内部の酸素濃度が低下する。恒温チャンバ104では、このように内部の酸素濃度が低下すると、不完全燃焼によって一酸化炭素(CO)が発生するので、これを抑止するために、送風手段106によって恒温チャンバ104内に空気を供給する制御が必要である。この制御としては、例えば、前記の恒温チャンバ104内での酸素濃度の低下を検出し、この低下に追従して恒温チャンバ104内に供給する空気量を増やすフィードバック制御が考えられる。
しかし、このようなフィードバック制御では、溶融分解炉101に投入されるPCB汚染物の種類によっては必要以上の空気が恒温チャンバ104内に供給されてしまい、その結果として恒温チャンバ104内の温度が低下し易くなってその温度維持が難しくなると共に排ガス量をいたずらに増加させてしまう恐れがある。
例えば、溶融分解炉101に投入されるPCB汚染物の種類によっては、当該PCB汚染物に含まれる可燃物の燃焼に伴う酸素濃度の低下度合いが小さく、特に空気供給量を増やさなくても恒温チャンバ104内の酸素濃度が一酸化炭素の発生を招く程度まで降下する前に回復する場合がある。しかし、このような場合でも、前記のフィードバック制御によれば、酸素濃度の低下を検出した時点で恒温チャンバ104内に供給する空気の流量を増加させ、酸素濃度が回復するまで前記増加させた流量での空気の供給が行われるため、本来は不要な供給空気の増量がなされることになる。
本発明は、上記問題点に鑑み、一酸化炭素の発生を抑えながら恒温チャンバ内の温度の維持と排ガスの排出量の抑制を可能とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法及び運転制御装置を提供することを課題とする。
上記課題を解消すべく、本発明は、PCB汚染物を溶融分解する溶融分解炉と前記溶融分解により発生した排ガスを受け入れこの排ガスに含まれる特定の物質を除去するための恒温チャンバとを備えるPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法であって、前記恒温チャンバ内の温度を所定の温度に維持する温度維持ステップと、前記PCB汚染物の前記溶融分解炉への投入前に当該恒温チャンバ内に所定の基本空気流量で空気を供給する空気供給ステップと、前記PCB汚染物が前記溶融分解炉に投入された時点から所定の増量判断時間の経過までの間に前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が前記PCB汚染物の内容に基づいて予め定められた増量開始値まで下がった場合には、その増量開始値に達した時点から前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を前記基本空気流量よりも増やす増量制御ステップと、前記増量制御ステップで前記恒温チャンバに供給される空気の流量が前記基本空気流量から増やされた場合に、この増量制御ステップよりも後で前記増やされた空気の流量を前記基本空気流量以下に減らす減量制御ステップと、を備える。そして、前記空気供給ステップでの前記基本空気流量は、前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が初期の酸素濃度値となるような流量であり、前記減量制御ステップでは、前記増量制御ステップにおいて前記酸素濃度の値が前記増量開始値に到達した時点を基準とする所定の減量判断時間が経過するまでの間に、前記PCB汚染物の内容に基づいて定められ且つ前記初期の酸素濃度値より小さな減量開始値よりも前記酸素濃度の値が低下した場合には、この酸素濃度の値が前記減量開始値まで回復した時点から前記恒温チャンバに供給される空気の流量が前記基本空気流量以下に減らされ、前記減量開始値は前記増量開始値以下である、ことを特徴とする。
かかる構成によれば、酸素濃度の値が増量開始値まで下がった時点より、はじめて恒温チャンバ内に供給する空気の流量を増やすことで、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量を抑制することができ、これにより恒温チャンバにおいて一酸化炭素の発生を抑えながら温度維持と排ガスの排出量を抑制することができる。
具体的に、恒温チャンバ内の酸素濃度が低下したときにこの低下に追従して恒温チャンバ内に供給する空気の流量を増やす場合に比べ、当該酸素濃度が増量開始値まで下がるのを待って、即ち、恒温チャンバ内に供給する空気の流量を基本空気流量から増やすタイミングを酸素濃度が下がり始めたときよりも遅らせることで、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量を抑えることができる。このように供給される空気量の総量が抑えられると、温度維持ステップによる恒温チャンバ内の温度の維持が容易になると共に当該恒温チャンバからの排ガスの排出量を抑制することができる。しかも、溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容に基づいて増量開始値が定められているため、このPCB汚染物の溶融分解処理に伴う酸素濃度の低下によって不完全燃焼が起る前の適切なタイミングで、恒温チャンバ内に供給する空気の流量を増やすことが可能となり、その結果、一酸化炭素の発生を効果的に抑制しながら供給する空気量の総量を抑制することができる。
また、前記増量制御ステップは、前記増量判断時間の経過までの間に前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が前記増量開始値まで下がらなかった場合には、前記恒温チャンバ内に供給される空気の流量が前記基本空気流量のまま維持される。そのため、恒温チャンバ内への必要以上の空気の供給を防止でき、これにより温度維持ステップによる恒温チャンバ内の温度の維持が容易になると共に排ガスの排出量の抑制を効果的に達成することができる。
具体的に、溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容によっては、当該PCB汚染物に含まれる可燃物の燃焼に伴う酸素濃度の低下度合いが小さく、特に空気供給量を増やさなくても恒温チャンバ内の酸素濃度が一酸化炭素の発生を招く程度まで降下する前に回復する場合がある。このような場合には、恒温チャンバ内の酸素濃度が下がっても当該恒温チャンバ内への空気の供給を基本空気流量のまま維持することで、必要以上の空気を恒温チャンバ内に供給することを防止することができる。
このように恒温チャンバ内の酸素濃度の値が初期の酸素濃度値まで回復する前に、増量制御ステップにおいて増量した空気の流量を減らすことで、一酸化炭素の発生を抑制しながら恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより効果的に抑制することができる。
具体的に、溶融分解炉でのPCB汚染物に含まれる可燃物の燃焼及び恒温チャンバ内での排ガスに含まれる未燃成分の燃焼等によって恒温チャンバ内の酸素濃度が低下するが、前記燃焼等が終わりに近づくと前記酸素濃度が回復してくる。このとき、酸素濃度が初期のある酸素濃度値まで回復する前に恒温チャンバ内に供給される空気の流量を基本流量以下にしても、前記燃焼等による酸素の消費が少なく若しくは消費が無ければ所定の流量で恒温チャンバ内に空気が供給されることで酸素濃度は回復する。これにより、酸素濃度の値が初期のある酸素濃度値に回復するまで基本流量より増量された流量で空気が供給される場合に比べ、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量を抑制することができる。しかも、溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容に基づいて減量開始値が定められることにより、このPCB汚染物の溶融分解処理において不完全燃焼による一酸化炭素が生じないタイミングで恒温チャンバ内に供給する空気の流量を減らすことができる。
また、前記減量制御ステップにおいて前記減量判断時間が経過するまでの間に前記酸素濃度の値が前記減量開始値よりも下がらなかった場合には、前記減量判断時間が経過した時点から前記空気の流量が前記基本空気流量以下に減らされる。これにより、恒温チャンバ内の酸素濃度が増量開始値よりも下がるが減量開始値まで下がらずに回復するような場合でも、酸素濃度が初期の酸素濃度値まで回復する前に恒温チャンバ内に供給される空気の流量を減らすことができる。その結果、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより抑制することができる。
前記増量制御ステップでは、前記溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容(特に、燃焼容易性)に応じて前記増量開始値が変更されるのが好ましい。
かかる構成によれば、溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容によって適切なタイミングで恒温チャンバ内に供給される空気の流量を基本空気流量から増やすことができ、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
具体的に、PCB汚染物の内容によって、含まれる可燃物の種類や排ガスに含まれる未燃成分の量等が異なるため恒温チャンバ内の酸素濃度の変動具合が異なる。そのため、溶融分解炉へ投入されるPCB汚染物の内容に応じて増量開始値を変更することによって恒温チャンバ内に供給される空気の流量を増やすタイミングを変更し、これにより一酸化炭素の発生を抑制しながら恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
尚、増量制御ステップと減量制御ステップとの両ステップを備える場合には、前記溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容(特に、燃焼容易性)に応じて、前記増量制御ステップにおいて前記増量開始値が変更されると共に前記減量制御ステップにおいて前記減量開始値が変更されるのがより好ましい。このようにすることで、溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容によって恒温チャンバ内に供給される空気の流量を適切なタイミングで増量すると共に、適切なタイミングでこの増量された空気の流量を減量することができ、これにより恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
内容に基づいて複数の群に分類されているPCB汚染物を群毎に前記溶融分解炉へ投入する投入ステップを備え、前記増量制御ステップでは、前記溶融分解炉に投入される前記PCB汚染物の群に応じて前記増量開始値が変更されるのが好ましい。また、増量制御ステップと減量制御ステップとの両ステップを備える場合には、内容に基づいて複数の群に分類されているPCB汚染物を群毎に前記溶融分解炉へ投入する投入ステップを備え、前記増量制御ステップで前記溶融分解炉に投入される前記PCB汚染物の群に応じて前記増量開始値が変更されると共に前記減量制御ステップで前記溶融分解炉に投入される前記PCB汚染物の群に応じて前記減量開始値が変更されるのが好ましい。
かかる構成によれば、共通の群に分類される複数種のPCB汚染物を同時に溶融分解炉に投入して溶融分解処理をすることができ、PCB汚染物の処理効率が向上する。
また、上記課題を解消すべく、本発明は、PCB汚染物を溶融分解する溶融分解炉と前記溶融分解により発生した排ガスを受け入れこの排ガスに含まれる特定の物質を除去するための恒温チャンバとを備えるPCB汚染物の溶融分解装置における制御装置であって、燃料を燃焼させることにより前記恒温チャンバ内を加熱する加熱手段と、前記恒温チャンバ内の温度を所定の温度に維持するために前記加熱手段を制御する温度制御手段と、前記恒温チャンバ内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段と、前記恒温チャンバ内に空気を供給する空気供給手段と、前記酸素濃度測定手段での測定結果に基づいて前記空気供給手段を制御する空気流量制御手段と、を備える。そして、前記空気流量制御手段は、前記PCB汚染物が前記溶融分解炉に投入された時点から所定の増量判断時間の経過までをカウントする増量判断時間カウント部と、前記PCB汚染物の内容に基づいて定められた増量開始値、及び前記PCB汚染物の内容に基づいて定められ且つ前記PCB汚染物の前記溶融分解炉への投入前の前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値である初期の酸素濃度値より小さな減量開始値を予め格納している記憶部と、前記空気供給手段が前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を制御可能な流量制御部と、前記酸素濃度の値が前記増量開始値に達した時点から所定の減量判断時間の経過までをカウントする減量判断時間カウント部と、を有し、前記減量開始値は前記増量開始値以下であり、前記流量制御部は、前記増量判断時間カウント部でのカウント前には所定の基本空気流量で前記恒温チャンバ内に空気を供給するように前記空気供給手段を制御すると共に、前記溶融分解炉にPCB汚染物が投入され前記増量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでの間に前記酸素濃度測定手段により測定された酸素濃度の値が前記記憶部に格納されている前記増量開始値まで下がった場合には、前記酸素濃度の値が前記増量開始値まで下がった時点から前記恒温チャンバ内に供給される空気の流量を前記基本空気流量よりも増やすように前記空気供給手段を制御し、その後、前記減量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでに、前記記憶部に格納されている減量開始値よりも前記酸素濃度測定手段により測定された酸素濃度の値が下がった場合には、前記酸素濃度の値が前記減量開始値まで回復した時点から前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を前記基本空気流量以下に減らすように前記空気供給手段を制御し、前記基本空気流量は、前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が前記初期の酸素濃度値となるような流量である、ことを特徴とする。
かかる構成によれば、酸素濃度の値が増量開始値まで下がった時点によりはじめて恒温チャンバ内に供給される空気の流量を増やすことで、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量を抑制することができ、これにより恒温チャンバ内において一酸化炭素の発生を抑えながら温度維持と排ガスの排出量を抑制することができる。しかも、供給される空気量の総量を抑えることで、恒温チャンバ内の温度を維持するために前記供給された空気を加熱する加熱手段での燃料の使用量を抑制することもできる。
また、前記流量制御部は、前記増量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでの間に前記酸素濃度測定手段で測定された酸素濃度の値が前記記憶部に格納されている前記増量開始値まで下がらなかった場合には、前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量が前記基本空気流量のまま維持されるように前記空気供給手段を制御する。そのため、恒温チャンバ内への必要以上の空気の供給を防止でき、これにより加熱手段及び温度制御手段による恒温チャンバ内の温度の維持が容易になると共に加熱手段での燃料の使用量を抑制することができる。また、排ガスの排出量も効果的に抑制することができる。
このように恒温チャンバ内の酸素濃度の値が初期の酸素濃度値まで回復する前に、基本空気流量から増やした空気の流量を減らすことで、一酸化炭素の発生を抑制しながら、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより効果的に抑制することができる。
また、前記流量制御部は、前記減量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでの間に前記酸素濃度測定手段により測定された酸素濃度の値が前記減量開始値よりも下がらなかった場合には、前記減量判断時間カウント部でのカウントが終了した時点から前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を前記基本空気流量以下に減らすように前記空気供給手段を制御する。これにより、恒温チャンバ内の酸素濃度が増量開始値よりも下がったが減量開始値まで下がらずに回復するような場合でも、酸素濃度が初期の酸素濃度値まで回復する前に恒温チャンバ内に供給される空気の流量を減らすことができる。その結果、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより確実に抑制することができる。
前記溶融分解炉へ投入される前に前記PCB汚染物の内容を検知する検知手段又は前記PCB汚染物の内容を前記空気流量制御手段に入力可能な入力手段の少なくとも一方を備え、前記記憶部には、互いに異なる複数の増量開始値が予め格納され、前記流量制御部は、前記記憶部に格納された複数の増量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に応じた増量開始値を用いて前記空気供給手段を制御するのが好ましい。
かかる構成によれば、溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容を検知手段で検知し又は入力手段から入力されることにより、適切なタイミングで恒温チャンバ内に供給される空気の流量を基本空気流量から増やすことができ、恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
また、前記溶融分解炉へ投入される前に前記PCB汚染物の内容を検知する検知手段又は前記PCB汚染物の内容を前記空気流量制御手段に入力可能な入力手段の少なくとも一方を備え、前記記憶部には、互いに異なる複数の増量開始値が予め格納されると共に互いに異なる複数の減量開始値が予め格納され、前記流量制御部は、前記記憶部に格納された複数の増量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に応じた増量開始値を用いると共に、前記記憶部に格納された複数の減量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に応じた減量開始値を用いて前記空気供給手段を制御することで、恒温チャンバ内に供給される空気の流量を適切なタイミングで増量すると共にこの増量された空気の流量を適切なタイミングで減らすことができ、これにより恒温チャンバ内に供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
前記記憶部に格納された複数の増量開始値は、内容に基づいて複数の群に分類されたPCB汚染物の各群に応じて定められた増量開始値であり、前記流量制御部は、前記記憶部に予め格納された複数の増量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容に対応する前記群又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に対応する前記群に応じた増量開始値を用いて前記空気供給手段を制御するのが好ましい。また、記憶部に複数の増量開始値及び複数の減少開始値が格納されている場合は、前記記憶部に格納された複数の増量開始値及び複数の減量開始値は、内容に基づいて複数の群に分類されたPCB汚染物の各群に応じてそれぞれ定められた増量開始値及び減量開始値であり、前記流量制御部は、前記記憶部に予め格納された複数の増量開始値及び複数の減量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容に対応する前記群又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に対応する前記群にそれぞれ応じた増量開始値と減量開始値とを用いて前記空気供給手段を制御するのが好ましい。
かかる構成によれば、共通の群に分類される複数種のPCB汚染物を同時に溶融分解炉に投入して溶融分解処理することができ、PCB汚染物の処理効率が向上する。
以上より、本発明によれば、一酸化炭素の発生を抑えながら恒温チャンバ内の温度の維持と排ガスの排出量の抑制を可能とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法及び運転制御装置を提供することができる。
本実施形態に係るPCB汚染物の溶融分解装置の概略構成図である。 前記溶融分解装置の運転制御装置の構成ブロック図である。 前記運転制御装置で用いられるテーブルである。 内容に基づいてグループに分類したPCB汚染物の一例を示す図である。 恒温チャンバ内の酸素濃度トレンドの概略図である。 従来のPCB汚染物の溶融分解装置の概略構成図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るPCB汚染物の溶融分解装置(以下、単に「溶融分解装置」とも称する。)は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)で汚染された汚泥、ウエス、安定器(トランス)等を無害化処理するための装置である。本実施形態の溶融分解装置では、ペール缶に充填されたPCB汚染物がペール缶ごと溶融分解炉に投入されて無害化処理が行われる。具体的に、溶融分解装置は、図1及び図2に示されるように、溶融分解炉20と、恒温チャンバ30と、減温塔11と、バグフィルタ12と、触媒反応塔13と、活性炭吸着槽14とを備える。また、この溶融分解装置10は、前記PCB汚染物の無害化処理を行う際に当該溶融分解装置を構成する各装置等を制御する運転制御装置40を備える。
溶融分解炉20は、PCB汚染物を溶融分解処理するものであり、投入装置22と炉本体24とを備える。本実施形態の溶融分解炉20は、プラズマを用いて炉内温度を高温に保つ、いわゆるプラズマ分解炉であるが、これに限定されず、コークス等の化石燃料や電力を用いて炉内温度を高温に保つ溶融分解炉であってもよい。
投入装置(プッシャー)22は、PCB汚染物が充填されたペール缶を炉本体24内へ投入するものであり、炉本体24の投入ゲート26に隣接するように配置されている。
炉本体24は、投入ゲート26から投入装置22によってその内部に投入されたPCB汚染物を溶融分解するものであり、プラズマトーチ28を有する。このプラズマトーチ28は、炉本体24内でプラズマを発生させ、このプラズマにより炉本体24の内部を加熱するもので、これによりPCB汚染物を溶融分解するときには炉内温度が1400℃以上に保たれる。
恒温チャンバ(熱滞留室又は温度保持領域)30は、溶融分解炉20でのPCB汚染物の溶融分解により発生した排ガスを受け入れ、この排ガスに含まれる特定の物質を除去するものである。詳しくは、恒温チャンバ30は、溶融分解炉20からの排ガスを受け入れ可能に前記溶融分解炉20に接続され、前記排ガスに含まれる未燃成分を燃焼させると共に当該排ガスに含まれるダイオキシン類等の有害有機物質の完全分解(PCBの分解率は、99.999wt%以上)を行う。この恒温チャンバ30には、その内部を加熱するための加熱手段41と、前記内部の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段42と、前記内部に外部からの空気を供給する空気供給手段43とが設けられている。
加熱手段41は、燃料(本実施形態では重油)を燃焼させるバーナー44と、このバーナー44に接続されて燃料を供給する給油ポンプ45と、バーナー44に接続され前記燃料を燃焼させるときに必要な空気を供給する送風機46とを有する。この加熱手段41には、恒温チャンバ30内の温度を所定の温度、即ち、有害有機物質を完全分解可能な1200℃以上の所定の温度(例えば、1220℃)に維持するために加熱手段41を制御する温度制御手段47が接続されている。
空気供給手段43は、外部の空気を恒温チャンバ30内に送風する送風機48と、この送風機48と恒温チャンバ30とを接続して送風機48から送風される空気を恒温チャンバ30内まで案内する送風管49と、この送風管49の恒温チャンバ30との接続部位に設けられ、恒温チャンバ30内に送風される空気の流量を調整するためのダンパー(流量調整手段)50とを有する。
送風管49は、恒温チャンバ30内に複数箇所(本実施形態では、2箇所)から空気を供給可能に当該恒温チャンバ30に接続されており、恒温チャンバ30との各接続部位にはダンパー50がそれぞれ設けられている。本実施形態の送風管49は、上下に並ぶように2箇所で恒温チャンバ30に接続されている。以下では、上側の接続部位を上側送風口49a、下側の接続部位を下側送風口49bと称する。
各ダンパー50は、運転制御装置40の流量制御部61と接続され、この流量制御部61からの指令信号によってその開度を変更する。ダンパー50がその開度を変更すると、この開度の変更に伴って上側送風口49a又は下側送風口49bから吹き出す空気の流量が変化する。
以上の加熱手段41、温度制御手段47、酸素濃度測定手段42及び空気供給手段43は、それぞれ運転制御装置40の一部を構成する。
減温塔11は、恒温チャンバ30から受け入れた排ガスを冷却するものである。このように排ガスが冷却されると、当該排ガス中において、恒温チャンバ30で完全分解されたダイオキシン類等の有害有機物質の再合成が防止される。この減温塔11には排ガスを冷却するための冷却水と冷却空気とが供給され、排ガスがこれらと接することにより冷却される。
バグフィルタ12は、集塵のための装置である。本実施形態では、2つのバグフィルタ(第1バグフィルタ12aと第2バグフィルタ12b)が配置されている。第1バグフィルタ12aは減温塔11の下流側に配置され、第2バグフィルタ12bは触媒反応塔13を挟んでその下流側に配置されている。第1バグフィルタ12a及び第2バグフィルタ12bは、粉末の活性炭を吹き込んで排ガスに含まれる微量のダイオキシン類等の有害有機物質を吸着、除塵すると共に、消石灰を添加して排ガス中のHCl等の酸性ガスを吸着させて除去する。
触媒反応塔13は、排ガス中でダイオキシン類等が再合成された場合にはそのダイオキシン類等を分解すると共に、NOxも分解するものである。この触媒反応塔13の内部には、チタン、バナジウム、ニッケル等の触媒となり得る金属をセラミックに練り込んで成形したものが配置されている。本実施形態では、2つの触媒反応塔13,13が連続して配置されている。
活性炭吸着槽14は、排ガスの系の最終段階で排ガス中に万一有害有機物質が残存していた場合にそれを吸着するためのもので、内部には活性炭が充填されている。
運転制御装置40は、溶融分解装置10を構成する各装置等を制御するためのものである。具体的に、運転制御装置40は、前述の加熱手段41と温度制御手段47と酸素濃度測定手段42と空気供給手段43とを備えると共に、入力手段51と空気流量制御手段60とを備える。また、運転制御装置40は、投入装置22、減温塔11、バグフィルタ12、触媒反応塔13、活性炭吸着槽14等を制御する制御手段52も備える。
入力手段51は、空気流量制御手段60、詳しくは流量制御部61に溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の内容(例えば、PCB汚染物が属するグループ番号(図4参照))を入力するものである。
空気流量制御手段60は、酸素濃度測定手段42での測定結果に基づいて空気供給手段43を制御するものであり、カウント部62と、記憶部63と、流量制御部61とを備える。
カウント部(タイマー)62は、所定の時間をカウントする部位である。本実施形態では、増量判断時間カウント部62aと、減量判断時間カウント部62bとの時間をカウントする部位を2つ有する。増量判断時間カウント部62aは、PCB汚染物が溶融分解炉20に投入された時間から所定の増量判断時間の経過までをカウントする。減量判断時間カウント部62bは、恒温チャンバ30内の酸素濃度の値が増量開始値に達した時点から所定の減量判断時間の経過までをカウントする。本実施形態では、増量判断時間が100秒、減量判断時間が300秒である。尚、減量判断時間カウント部は、恒温チャンバ30内の酸素濃度の値が前記増量開始値に達することなく回復した場合は、カウントを行わない。
記憶部63は、情報を出し入れ自由に格納可能な部位である。本実施形態の記憶部63は、増量開始値と減量開始値とを予め格納している。
具体的に、記憶部63には、複数のグループ(群)に分類されたPCB汚染物の各グループに増量開始値と減量開始値とを対応させるための図3に示すようなテーブルが格納されている。このテーブルにより、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の含まれるグループが指定されると、このグループに対応する増量開始値と減量開始値と基本空気流量とがそれぞれ決定される。
グループは、PCB汚染物をその内容に基づいて分類したものである。本実施形態では、図4に示されるように、PCB汚染物がその可燃容易性に基づいて5つのグループ(第1〜第5グループ)に分類されている。第1グループが最も燃え難いグループであり、第5グループに向って順に燃え易くなっている。
増量開始値(β−ΔPV)は、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の含まれるグループに基づいて定められる値である。この増量開始値は、恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を増やすときの目標値となる。本実施形態の増量開始値は、PCB汚染物の溶融分解炉20への投入時の恒温チャンバ30内の酸素濃度の値(投入値β)と、グループ毎に定められた酸素濃度変化量設定値ΔPV(図3参照)との差により決定される。例えば、溶融分解炉にウエスや運転廃棄物(繊維)が充填されたペール缶が投入された場合、投入値β(例えば16%)からグループ2に対応する酸素濃度変化量設定値ΔPV(3%)を引いた値(13%)がグループ2に対応する増量開始値となる(図3及び図5参照)。尚、投入値βは、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量が所定の基本空気流量のときの恒温チャンバ30内の酸素濃度の値である。そのため、投入値βは、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量(基本空気流量)が変動しなくても、恒温チャンバ30内の状態や溶融分解炉20内の状態等により変動する場合がある。
減量開始値(α−ΔPV2)は、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の含まれるグループに基づいて定められる値である。この減量開始値は、恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を減らすタイミングの目標値となる。本実施形態の減量開始値は、PCB汚染物の溶融分解炉20への投入前の待機状態での恒温チャンバ30内の酸素濃度の値(初期値α)と、前記グループ毎に定められた酸素濃度変化量設定値ΔPV2(図3参照)との差により決定される。例えば、溶融分解炉20にウエスや運転廃棄物(繊維)が充填されたペール缶が投入された場合、初期値α(例えば15%)からグループ2に対応する酸素濃度変化量設定値ΔPV2(6%)を引いた値(9%)がグループ2に対応する減量開始値となる(図3及び図5参照)。尚、本実施形態では、減量開始値は増量開始値以下に設定されている。また、初期値(初期の酸素濃度値)αは、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量が待機状態において恒温チャンバ30内に供給される所定の空気の流量(待機空気流量)のときの恒温チャンバ30内における酸素濃度の値である。そのため、初期値αは、投入値β同様、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量(待機空気流量)が変動しなくても、恒温チャンバ30内の状態や溶融分解炉20内の状態等により変動する場合がある。
基本空気流量は、溶融分解炉20にPCB汚染物が投入される前に、待機状態において恒温チャンバ30内に供給される空気の流量(待機空気流量)から必要に応じて増やされた空気の流量である。このように、PCB汚染物を投入する直前に恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を増やして酸素濃度の値を上げることで、燃え易いPCB汚染物が溶融分解炉20に投入されて酸素濃度が急激に下がっても、一酸化炭素(CO)が発生する酸素濃度までは下がり難くなるからである。例えば、溶融分解炉20に廃プラが充填されたペール缶が投入される場合には、この廃プラが含まれるグループ5に対応する基本空気流量投入時設定値800Nm/hが基本空気流量となり(図3及び図4参照)、恒温チャンバ30内の酸素濃度の値が初期値α(例えば15%)から投入値β(15.5%)に上昇する(図5参照)。
尚、基本空気流量の設定値やPCB汚染物の燃焼し易さ(燃焼容易性)によっては、PCB汚染物の溶融分解炉20への投入の際に、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を待機空気流量から基本空気流量に必ずしも増加させる必要はない。例えば、第5や第4グループに含まれるPCB汚染物よりも燃焼し難い第1乃至第3グループに含まれるPCB汚染物を投入する場合、いずれも場合も基本空気流量が600Nm/hであるため待機空気流量と同一である(図3参照)。従って、恒温チャンバ30内の酸素濃度の値も初期値αと投入値βとが同一となる。また、本実施形態において、仮に待機空気流量を800Nm/hに設定しておけば、第4又は第5グループに含まれるPCB汚染物を投入する場合でも、投入時に恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を増やす必要はない。
流量制御部61は、空気供給手段43が恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を制御する部位である。この流量制御部61には、各カウント部62a,62b、記憶部63、入力手段51、酸素濃度測定手段42、空気供給手段43(詳しくはダンパー50)等が接続されている。
この流量制御部61では、具体的には以下のような制御が行われる。
<1>溶融分解炉20にPCB汚染物が投入される前の待機状態
流量制御部61は、所定の待機空気流量で恒温チャンバ30内に空気を供給するように空気供給手段43を制御する。具体的に、流量制御部61は、上側送風口49aと下側送風口49bとの各ダンパー50に指令信号を出力して各ダンパー50の開度を調整することにより恒温チャンバ30内に上記待機空気流量で空気を供給する。
尚、本実施形態の溶融分解装置10の運転中においては、流量制御部61は、下側送風口49bのダンパー50の開度を固定し、この下側送風口49bから常に一定の流量で恒温チャンバ30内に空気を供給した状態で上側送風口49aのダンパー50の開度だけを調整するように空気供給手段43を制御する。このように、本実施形態の流量制御部61は、上側送風口49aから恒温チャンバ30内に供給される空気の流量のみを調整することによって恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を調整するように空気供給手段43を制御する。これにより、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量が所定の待機空気流量となる。
<2>溶融分解炉20へのPCB汚染物の投入の直前状態
溶融分解炉20へPCB汚染物が投入される直前には、流量制御部61は、恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を待機空気流量から基本空気流量となるように空気供給手段43を制御する。具体的に、流量制御部61は、入力手段51から入力されたPCB汚染物の含まれるグループに基づき、記憶部63に格納されているテーブルにより前記グループに対応する基本空気流量を決定する。このとき、流量制御部61は、前記グループに対応する増量開始値及び減量開始値も決定し、これらを記憶部63に一時的に格納する。そして、流量制御部61は、上側送風口49aのダンパー50に指令信号を出力してその開度を変更することにより、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を待機空気流量から基本空気流量にする。これにより恒温チャンバ30内の酸素濃度が初期値αから投入値βになる。尚、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の内容等により、待機空気流量と基本空気流量とが同じ流量の場合があり、この場合には酸素濃度も同じ(即ち、初期値αと投入値βとも同じ)値となる。
<3>増量判断時間カウント部62aでのカウント状態
溶融分解炉20にPCB汚染物が投入されることで増量判断時間カウント部62aでのカウントが開始される。そして、流量制御部61は、このカウントが終了するまでの間に、酸素濃度測定手段42により測定された酸素濃度の値が前記記憶部63に一時的に格納した増量開始値まで下がった場合には、酸素濃度の値が前記増量開始値まで下がった時点から恒温チャンバ30内への供給空気流量を基本空気流量よりも増やすように空気供給手段43を制御する。本実施形態の流量制御部61は、酸素濃度の値が前記増量開始値まで下がった時点からCAS(カスケード)制御を開始する。このCAS制御は、前記増量開始値を目標値としてダンパー50の開度(詳しくは、上側送風口49aのダンパーの開度)を調整することにより恒温チャンバ30内の酸素濃度を回復させる。このような空気流量の制御により、恒温チャンバ30内での酸素濃度の低下による不完全燃焼が抑制され、これにより一酸化炭素の発生が抑制される。
一方、カウントが終了するまでの間に酸素濃度測定手段42で測定された酸素濃度の値が前記記憶部63に一時的に格納した増量開始値まで下がらなかった場合には、流量制御部61は、恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を基本空気流量のまま維持するように空気供給手段43を制御する。
<4>減量判断時間カウント部62bでのカウント状態
酸素濃度の値が増量開始値まで下がった場合には、酸素濃度の値が前記増量開始値に達した時点から減量判断時間カウント部62bでのカウントが開始される。そして、このカウントが終了するまでに前記記憶部63に一時的に格納した減量開始値よりも酸素濃度測定手段42により測定された酸素濃度の値が下がった場合には、流量制御部61は、酸素濃度の値が減量開始値まで回復した時点から恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を基本空気流量以下(基本空気流量又は待機空気流量)まで減らすように空気供給手段43を制御する。即ち、流量制御部61は、酸素濃度の値が一度減量開始値よりも下がったあと再び減量開始値まで回復したときに前記のCAS制御を終了し、基本空気流量又は待機空気流量での空気の供給を始める。
一方、カウントが終了するまでの間に、酸素濃度測定手段42により測定された酸素濃度の値が減量開始値よりも下がらなかった場合には、流量制御部61は、カウントが終了した時点から恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を基本空気流量又は待機空気流量でまで減らすように空気供給手段43を制御する。即ち、流量制御部61は、酸素濃度の値が減量開始値まで下がらなかった場合は、減量判断時間カウント部でのカウントの終了と共にCAS制御を終了する。尚、基本空気流量まで空気の流量を減らした場合は、ある所定の時間を経過したあとに待機空気流量までさらに空気の流量を減らし、待機状態とする。
以上のように構成される溶融分解装置10では、以下のようにして運転される。
PCB汚染物が図4に従ってグループ分けされ、グループ毎にペール缶に充填される。このようにペール缶に充填されたPCB汚染物は、そのままの状態、即ち、ペール缶に詰められたままの状態で溶融分解炉20に投入される。
具体的に、待機状態において、溶融分解炉20では炉内温度が1400℃程度に保たれ、恒温チャンバ30では、待機空気流量で空気が供給されることで内部の酸素濃度の値が初期値α(例えば15%)になると共に、加熱手段41により内部温度が1220℃に保たれている(図5の第1区間参照)。尚、運転中の恒温チャンバ30内の温度は、ダイオキシン類等の有害有機物質の完全分解に必要であることから、温度制御手段47による加熱手段41の制御によって常に1200℃以上(本実施形態では1220℃程度)に維持されている。
この状態で、投入装置22に前記PCB汚染物が充填されたペール缶がセットされ、作業者等が投入ボタンを押すことで投入装置22がこのペール缶を溶融分解炉20の投入ゲート(気密ゲート)26まで移送する。このとき、作業者は入力手段51からこのペール缶に充填されているPCB汚染物の含まれるグループ番号を入力する。例えば、ペール缶に廃プラ(第5グループ:図4参照)が充填されている場合、作業者等はグループ番号の5を入力する。
この入力により恒温チャンバ30内に供給される空気の流量が待機空気流量(600Nm/h)から第5グループに対応する基本空気流量(800Nm/h)に変更される。これにより、恒温チャンバ30内の酸素濃度の値が初期値α(15%)から投入値β(例えば15.5%)に変わる(図5の第2区間参照)。恒温チャンバ30内の温度が1220℃程度になると、溶融分解炉20の投入ゲート26が開き、投入装置22によってPCB汚染物(詳しくはPCB汚染物が充填されたペール缶)が炉内部に押し込まれる。
溶融分解炉20に投入されたPCB汚染物は、溶融分解炉20内部の高温(1400℃以上)によって溶融分解処理される。具体的に、PCB汚染物に含まれる有害有機物質は、1400℃以上の高温によって完全分解され、排ガスと共に恒温チャンバ30へ排出される一方、PCB汚染物に含まれている無機物及び金属は溶融され、定期的に溶融分解炉20の外部へ排出される。
このとき、PCB汚染物の可燃成分が燃焼することによって溶融分解炉20内の酸素濃度が下がり始め、これに伴い恒温チャンバ30内の酸素濃度も下がり始める(図5の第3区間参照)。恒温チャンバ30内の酸素濃度が増量開始値(14.5%)まで下がると、CAS制御が開始され、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量が増える。また、酸素濃度の値が増量開始値に達した時点から減量判断時間カウント部によるカウントが開始される。
尚、増量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでに、PCB汚染物が投入されても恒温チャンバ30内の酸素濃度が前記増量開始値まで下がらなかった場合には、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量は、増やされること無く基本空気流量のまま維持される。
恒温チャンバ30内の酸素濃度が増量開始値からさらに低下して減量開始値よりも下がったのち、PCB汚染物の燃焼が終わりに近づくことで恒温チャンバ30内の酸素濃度が回復し始める。そして、その値が減量開始値(8%)まで回復すると、酸素濃度の値が減量開始値に達した時点でCAS制御が終了する(図5の第4区間参照)。このCAS制御の終了により、恒温チャンバ30内に供給される空気の流量が最終的には待機空気流量(600Nm/h)に減らされるが、PCB汚染物の燃焼による酸素の消費が少なく若しくは消費が無いため、恒温チャンバ30内の酸素濃度は初期値α(15%)まで回復する(図5の第5区間参照)。
尚、減量判断時間カウント部によるカウントの終了までに、酸素濃度の値が減量開始値まで低下しなかった場合には、当該カウント終了時点から、基本空気流量から増量されていた空気流量が最終的には待機空気流量に戻され、待機状態に戻る。
このように恒温チャンバ30内に供給される空気流量が制御されることにより、溶融分解炉20で発生した排ガスが、内部温度が1220℃程度に維持された恒温チャンバ30内を2秒以上かけて通過する。これにより、排ガスに含まれるダイオキシン等の有害有機物質が1200℃以上の高温に2秒以上曝され、完全に分解される。そして、この有害有機物質が分解された排ガスは減温塔11に送られる。
減温塔11に送られた排ガスは、この減温塔11に供給される冷却水と冷却空気とにより冷却される。そして、その下流側に配設されたバグフィルタ12a,12b、触媒反応塔13及び活性炭吸着槽14に送られ、集塵、脱塩、NOxの分解等が行われたあと、大気中に放出される。
以上のように、本実施形態の溶融分解装置10における運転制御装置40では、酸素濃度の値が増量開始値まで下がった時点より、はじめて恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を増やすことで、恒温チャンバ30内に供給される空気量の総量を抑制することができ、これにより恒温チャンバ30において一酸化炭素の発生を抑えながら温度維持と排ガスの排出量を抑制することができる。
具体的に、恒温チャンバ30内の酸素濃度が低下したときにこの低下に追従して恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を増やす場合に比べ、増量開始値まで下がるのを待って、即ち、恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を基本空気流量から増やすタイミングを酸素濃度が下がり始めたときよりも遅らせることで、恒温チャンバ30内に供給される空気量の総量を抑えることができる。このように供給される空気量の総量が抑えられると、加熱手段41及び温度制御手段47による恒温チャンバ30内の温度の維持が容易になると共に当該恒温チャンバ30からの排ガスの排出量を抑制することができる。しかも、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の内容に基づいて増量開始値が定められているため、このPCB汚染物の溶融分解処理に伴う酸素濃度の低下によって不完全燃焼が起る前の適切なタイミングで、恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を増やすことが可能となり、その結果、一酸化炭素の発生を効果的に抑制しながら供給する空気量の総量を抑制することができる。
さらに、供給される空気量の総量を抑えることで、恒温チャンバ30内の温度を維持するために前記供給された空気を加熱する加熱手段41での燃料の使用量を抑制することもできる。
また、流量制御部61は、増量判断時間カウント部62aでのカウントが終了するまでの間に、酸素濃度の値が増量開始値まで下がらなかった場合には、恒温チャンバ30内に供給する空気の流量が空気基本流量のまま維持されるように空気供給手段43を制御する。その結果、恒温チャンバ30内への必要以上の空気の供給を確実に防止でき、これにより加熱手段41及び温度制御手段47による恒温チャンバ30内の温度の維持が容易になると共に加熱手段41での燃料の使用量を抑制することができる。また、排ガスの排出量も効果的に抑制することができる。
具体的に、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の内容によっては、特に空気供給量を増やさなくても恒温チャンバ30内の酸素濃度が一酸化炭素の発生を招く程度まで降下する前に回復する場合がある。例えば、PCB汚染物に含まれる可燃物の燃焼に伴う酸素濃度の低下度合いが小さい場合である。このような場合には、恒温チャンバ30内の酸素濃度が下がっても当該恒温チャンバ30内への空気の供給を基本空気流量のまま維持することで、必要以上の空気を恒温チャンバ30内に供給することを防止することができる。
本実施形態の運転制御装置40では、酸素濃度の値が増量開始値まで下がって恒温チャンバ30内に供給される空気の流量が増やされたあと減量判断時間カウント部62bでのカウントが終了するまでの間に、記憶部63に格納されている減量開始値よりも酸素濃度の値が下がった場合には、流量制御部61は、酸素濃度の値が前記減量開始値まで回復した時点から恒温チャンバ30内に供給する前記増やされた空気の流量を基本空気流量又は待機空気流量まで減らすように空気供給手段43を制御する。このように恒温チャンバ30内の酸素濃度の値が初期値αまで回復する前に、基本空気流量から増やした空気の流量を減らすことで、一酸化炭素の発生を抑制しながら、恒温チャンバ30内に供給される空気量の総量をより効果的に抑制することができる。
具体的に、溶融分解炉20でのPCB汚染物に含まれる可燃物の燃焼及び恒温チャンバ30内での排ガスに含まれる未燃成分の燃焼等によって恒温チャンバ30内の酸素濃度が低下するが、前記燃焼等が終わりに近づくと前記酸素濃度が回復してくる。このとき、酸素濃度が初期値αまで回復する前に恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を基本流量以下にしても、前記燃焼等による酸素の消費が少なく若しくは消費が無ければ所定の流量で恒温チャンバ30内に空気が供給されることで酸素濃度は回復する。これにより、酸素濃度の値が初期値αに回復するまで基本空気流量より増量された流量で空気が供給される場合に比べ、恒温チャンバ30内に供給される空気量の総量を抑制することができる。しかも、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の内容に基づいて減量開始値が定められることにより、このPCB汚染物の溶融分解処理において不完全燃焼による一酸化炭素が生じないタイミングで恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を減らすことができる。
また、流量制御部61は、減量判断時間カウント部62bでのカウントが終了するまでの間に、酸素濃度測定手段42により測定された酸素濃度の値が減量開始値よりも下がらなかった場合には、減量判断時間カウント部62bでのカウントが終了した時点から恒温チャンバ30内に供給する空気の流量を基本空気流量以下に、最終的には待機空気流量まで減らすように空気供給手段43を制御する。これにより、恒温チャンバ30内の酸素濃度が増量開始値よりも下がったが減量開始値まで下がらずに回復するような場合でも、酸素濃度が初期値αまで回復する前に恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を減らすことができる。その結果、恒温チャンバ30内に供給される空気量の総量をより抑制することができる。
本実施形態の運転制御装置40では、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の内容(特に、燃焼容易性)に応じて増量開始値を変更することにより、前記投入されるPCB汚染物の内容によって適切なタイミングで恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を基本空気流量から増やすことができ、恒温チャンバ30内に供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
具体的に、PCB汚染物の内容によって、これに含まれる可燃物の種類や排ガスに含まれる未燃成分の量等が異なるため、恒温チャンバ30内の酸素濃度の変動具合が異なる。そのため、溶融分解炉20へ投入されるPCB汚染物の内容に応じて増量開始値を変更することによって恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を増やすタイミングを変更し、これにより一酸化炭素の発生を抑制しながら恒温チャンバ30内に供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
さらに、前記溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容(特に、燃焼容易性)に応じて減量開始値を変更することにより、前記投入されるPCB汚染物の内容によって恒温チャンバ30内に供給される空気の流量を適切なタイミングで減量することができ、これにより供給される空気量の総量をより好適に抑制することができる。
本実施形態の運転制御装置40では、内容(特に、燃焼容易性)に基づいて複数のグループに分類されたPCB汚染物の各グループに応じてそれぞれ定められた増量開始値及び減量開始値が用いられることで、共通のグループに分類される複数種のPCB汚染物を同時に溶融分解炉20に投入して溶融分解処理することができ、PCB汚染物の処理効率が向上する。
尚、本発明に係るPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法及び運転制御装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記の運転制御装置40では、溶融分解炉20に投入されるPCB汚染物の内容(グループ)が作業者等の人手により確認され、入力手段51から流量制御部61に入力されているが、これに限定されない。即ち、本発明に係る運転制御装置は、溶融分解炉20に投入予定のPCB汚染物の内容を検知する検知手段と、この検知手段からの検知結果に基づいて増量開始値や減量開始値等を決定する手段とを備えたものでもよい。
また、上記の運転制御装置40では、恒温チャンバ30内の酸素濃度の値が一旦低下したあと減量開始値まで回復したときに、基本空気流量から増量されていた空気の流量は基本空気流量又は待機空気流量まで減らされるが、基本空気流量以下のいずれの流量にまで減らされてもよい。溶融分解炉20でのPCB汚染物の溶融分解処理等が終われば、酸素の消費が少なく若しくは消費が無いため、基本空気流量以下の流量で恒温チャンバ30に空気を供給してもこの恒温チャンバ30内の酸素濃度は回復する。
また、基本空気流量は変更されてもよい。即ち、基本空気流量は、溶融分解炉20の種類、投入されるPCB汚染物の内容や、溶融分解処理の方法(プラズマを用いた溶融、コークス等を用いた溶融等)、恒温チャンバ30内の形状等によって適宜変更されてもよい。
また、上記の運転制御装置40では、PCB汚染物をその内容に基づき複数のグループに分類し、各グループに応じて増量開始値及び減量開始値を変更しているが、これに限定されない。例えば、PCB汚染物をグループ化せず、具体的な内容に応じて、その都度増量開始値及び減量開始値を決定してもよい。また、例えば、処理対象のPCB汚染物が予め決まっている設備では、その処理対象のPCB汚染物に見合った増量開始値及び減量開始値に固定されてもよい。
10 PCB汚染物の溶融分解装置
20 溶融分解炉
30 恒温チャンバ
40 運転制御装置
41 加熱手段
42 酸素濃度測定手段
43 空気供給手段
47 温度制御手段
51 入力手段
60 空気流量制御手段
61 流量制御部
62a 増量判断時間カウント部
62b 減量判断時間カウント部
63 記憶部

Claims (14)

  1. PCB汚染物を溶融分解する溶融分解炉と前記溶融分解により発生した排ガスを受け入れこの排ガスに含まれる特定の物質を除去するための恒温チャンバとを備えるPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法であって、
    前記恒温チャンバ内の温度を所定の温度に維持する温度維持ステップと、
    前記PCB汚染物の前記溶融分解炉への投入前に当該恒温チャンバ内に所定の基本空気流量で空気を供給する空気供給ステップと、
    前記PCB汚染物が前記溶融分解炉に投入された時点から所定の増量判断時間の経過までの間に前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が前記PCB汚染物の内容に基づいて予め定められた増量開始値まで下がった場合には、その増量開始値に達した時点から前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を前記基本空気流量よりも増やす増量制御ステップと、
    前記増量制御ステップで前記恒温チャンバに供給される空気の流量が前記基本空気流量から増やされた場合に、この増量制御ステップよりも後で前記増やされた空気の流量を前記基本空気流量以下に減らす減量制御ステップと、を備え、
    前記空気供給ステップでの前記基本空気流量は、前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が初期の酸素濃度値となるような流量であり、
    前記減量制御ステップでは、前記増量制御ステップにおいて前記酸素濃度の値が前記増量開始値に到達した時点を基準とする所定の減量判断時間が経過するまでの間に、前記PCB汚染物の内容に基づいて定められ且つ前記初期の酸素濃度値より小さな減量開始値よりも前記酸素濃度の値が低下した場合には、この酸素濃度の値が前記減量開始値まで回復した時点から前記恒温チャンバに供給される空気の流量が前記基本空気流量以下に減らされ、
    前記減量開始値は前記増量開始値以下である、ことを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法。
  2. 請求項1に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法において、
    前記増量制御ステップは、前記増量判断時間の経過までの間に前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が前記増量開始値まで下がらなかった場合には、前記恒温チャンバ内に供給される空気の流量が前記基本空気流量のまま維持されることを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法。
  3. 請求項1又は2に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法において、
    記減量制御ステップでは、前記減量判断時間が経過するまでの間に前記酸素濃度の値が前記減量開始値よりも下がらなかった場合には、前記減量判断時間が経過した時点から前記空気の流量が前記基本空気流量以下に減らされることを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法において、
    前記増量制御ステップでは、前記溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容に応じて前記増量開始値が変更されることを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法において、
    前記溶融分解炉に投入されるPCB汚染物の内容に応じて、前記増量制御ステップにおいて前記増量開始値が変更されると共に前記減量制御ステップにおいて前記減量開始値が変更されることを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法において、
    内容に基づいて複数の群に分類されているPCB汚染物を群毎に前記溶融分解炉へ投入する投入ステップを備え、
    前記増量制御ステップでは、前記溶融分解炉に投入される前記PCB汚染物の群に応じて前記増量開始値が変更されることを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法。
  7. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法において、
    内容に基づいて複数の群に分類されているPCB汚染物を群毎に前記溶融分解炉へ投入する投入ステップを備え、
    前記増量制御ステップで前記溶融分解炉に投入される前記PCB汚染物の群に応じて前記増量開始値が変更されると共に前記減量制御ステップで前記溶融分解炉に投入される前記PCB汚染物の群に応じて前記減量開始値が変更されることを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御方法。
  8. PCB汚染物を溶融分解する溶融分解炉と前記溶融分解により発生した排ガスを受け入れこの排ガスに含まれる特定の物質を除去するための恒温チャンバとを備えるPCB汚染物の溶融分解装置における運転制御装置であって、
    燃料を燃焼させることにより前記恒温チャンバ内を加熱する加熱手段と、
    前記恒温チャンバ内の温度を所定の温度に維持するために前記加熱手段を制御する温度制御手段と、
    前記恒温チャンバ内の酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段と、
    前記恒温チャンバ内に空気を供給する空気供給手段と、
    前記酸素濃度測定手段での測定結果に基づいて前記空気供給手段を制御する空気流量制御手段と、を備え、
    前記空気流量制御手段は、前記PCB汚染物が前記溶融分解炉に投入された時点から所定の増量判断時間の経過までをカウントする増量判断時間カウント部と、前記PCB汚染物の内容に基づいて定められた増量開始値、及び前記PCB汚染物の内容に基づいて定められ且つ前記PCB汚染物の前記溶融分解炉への投入前の前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値である初期の酸素濃度値より小さな減量開始値を予め格納している記憶部と、前記空気供給手段が前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を制御可能な流量制御部と、前記酸素濃度の値が前記増量開始値に達した時点から所定の減量判断時間の経過までをカウントする減量判断時間カウント部と、を有し、
    前記減量開始値は前記増量開始値以下であり、
    前記流量制御部は、前記増量判断時間カウント部でのカウント前には所定の基本空気流量で前記恒温チャンバ内に空気を供給するように前記空気供給手段を制御すると共に、前記溶融分解炉にPCB汚染物が投入され前記増量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでの間に前記酸素濃度測定手段により測定された酸素濃度の値が前記記憶部に格納されている前記増量開始値まで下がった場合には、前記酸素濃度の値が前記増量開始値まで下がった時点から前記恒温チャンバ内に供給される空気の流量を前記基本空気流量よりも増やすように前記空気供給手段を制御し、その後、前記減量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでに、前記記憶部に格納されている減量開始値よりも前記酸素濃度測定手段により測定された酸素濃度の値が下がった場合には、前記酸素濃度の値が前記減量開始値まで回復した時点から前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を前記基本空気流量以下に減らすように前記空気供給手段を制御し、
    前記基本空気流量は、前記恒温チャンバ内の酸素濃度の値が前記初期の酸素濃度値となるような流量である、ことを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置。
  9. 請求項8に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置において、
    前記流量制御部は、前記増量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでの間に前記酸素濃度測定手段で測定された酸素濃度の値が前記記憶部に格納されている前記増量開始値まで下がらなかった場合には、前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量が前記基本空気流量のまま維持されるように前記空気供給手段を制御することを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置。
  10. 請求項8又は9に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置において、
    記流量制御部は、前記減量判断時間カウント部でのカウントが終了するまでの間に前記酸素濃度測定手段により測定された酸素濃度の値が前記減量開始値よりも下がらなかった場合には、前記減量判断時間カウント部でのカウントが終了した時点から前記恒温チャンバ内に供給する空気の流量を前記基本空気流量以下に減らすように前記空気供給手段を制御することを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置。
  11. 請求項8乃至10のいずれか1項に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置において、
    前記溶融分解炉へ投入される前に前記PCB汚染物の内容を検知する検知手段又は前記PCB汚染物の内容を前記空気流量制御手段に入力可能な入力手段の少なくとも一方を備え、
    前記記憶部には、互いに異なる複数の増量開始値が予め格納され、
    前記流量制御部は、前記記憶部に格納された複数の増量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に応じた増量開始値を用いて前記空気供給手段を制御することを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置。
  12. 請求項8乃至10のいずれか1項に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置において、
    前記溶融分解炉へ投入される前に前記PCB汚染物の内容を検知する検知手段又は前記PCB汚染物の内容を前記空気流量制御手段に入力可能な入力手段の少なくとも一方を備え、
    前記記憶部には、互いに異なる複数の増量開始値が予め格納されると共に互いに異なる複数の減量開始値が予め格納され、
    前記流量制御部は、前記記憶部に格納された複数の増量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に応じた増量開始値を用いると共に、前記記憶部に格納された複数の減量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に応じた減量開始値を用いて前記空気供給手段を制御することを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置。
  13. 請求項11又は12に記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置において、
    前記記憶部に格納された複数の増量開始値は、内容に基づいて複数の群に分類されたPCB汚染物の各群に応じて定められた増量開始値であり、
    前記流量制御部は、前記記憶部に予め格納された複数の増量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容に対応する前記群又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に対応する前記群に応じた増量開始値を用いて前記空気供給手段を制御することを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置。
  14. 請求項12記載のPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置において、
    前記記憶部に格納された複数の増量開始値及び複数の減量開始値は、内容に基づいて複数の群に分類されたPCB汚染物の各群に応じてそれぞれ定められた増量開始値及び減量開始値であり、
    前記流量制御部は、前記記憶部に予め格納された複数の増量開始値及び複数の減量開始値の中から前記検知手段で検知したPCB汚染物の内容に対応する前記群又は前記入力手段から入力されたPCB汚染物の内容に対応する前記群にそれぞれ応じた増量開始値と減量開始値とを用いて前記空気供給手段を制御することを特徴とするPCB汚染物の溶融分解装置の運転制御装置。
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