JP5601108B2 - 静電潜像現像剤用キャリア、および静電潜像現像剤 - Google Patents
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Description
電子写真法では、帯電、露光工程で感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て可視化される。
ここで用いる現像剤は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナーなどのように単独で用いる一成分現像剤があるが、二成分現像剤は、キャリアが現像剤の攪拌、搬送、帯電などの機能を分担し、現像剤として機能分離がなされているため、制御性がよいなどの理由で現在広く用いられている。
特に、樹脂被覆キャリアを用いる現像剤は、帯電制御性が優れ、環境依存性並びに経時安定性の改善が比較的容易である。
また、現像方法としては、古くはカスケード法などが用いられてきたが、現在は現像剤搬送担体として磁気ロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
現像剤の帯電劣化は、キャリアコート層へのトナー成分の固着又はコートの剥がれなどにより発生し易く、また、コート層が不均一になると、湿度、温度などの環境変動時、トナー追加時及び高トナー濃度時に背景部汚れ等を発生する傾向がある。
すなわち、本発明の目的は、長期に亘り安定した帯電付与能力を有し、膜の硬度及び靭性(可撓性&弾力性)の双方に優れ耐摩耗性(削れ・剥がれ)に優れて、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量の変化が少なく、トナー組成物のスペントによる帯電変動が少なく、かつ、帯電の環境変動を抑制し、さまざまな使用環境においても画像濃度変動、地肌汚れ、トナー飛散による機内汚染などを生じないという諸特性を同時に満足するキャリアを提供することにある。
さらに、この静電潜像現像用キャリアを用いた静電潜像用現像剤、静電潜像現像方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
(1)「磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該樹脂層は、導電性微粒子を含み、かつ、少なくとも下記一般式(1)で表されるモノマーA成分由来のA部位と下記一般式(2)で表されるモノマーB成分由来のB部位とを含む共重合体を加熱処理して得られた樹脂を含有するものであり、該被覆層にアミノ樹脂の架橋物を少なくとも含有することを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
R1:水素原子、またはメチル基
m:1〜8の整数
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
R3は、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
X:10〜90モル%
Y:10〜90モル%」
(2)「前記アミノ樹脂は、グアナミン樹脂であることを特徴とする前記(1)項に記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(3)「前記アミノ樹脂は、メラミン樹脂であることを特徴とする前記(1)項に記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(4)「前記被覆層を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(5)「前記加熱処理時の熱処理温度が100〜350℃であることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(6)「前記被覆層は、導電性粒子をさらに含有することを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(7)「前記共重合体は、下記一般式(5)で表される共重合体を含むことを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれか1項に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
R1:水素原子、またはメチル基
m:1〜8の整数
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
R3:炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
X:10〜40モル%
Y:10〜40モル%
Z:30〜80モル%
60モル%<Y+Z<90モル%」。
(9)「前記樹脂層は、平均膜厚が0.05μm以上4μm以下であることを特徴とする前記(1)項乃至(8)項のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(10)「前記芯材粒子は、重量平均粒径が20μm以上65μm以下であることを特徴とする前記(1)項乃至(9)項のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(11)「1kOeの磁場における磁化が40Am2/kg以上90Am2/kg以下であることを特徴とする前記(1)項乃至(10)項のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」
(12)「前記(1)項乃至(11)項のいずれかに記載のキャリア及びトナーを有することを特徴とする二成分現像剤。」
(13)「前記トナーは、カラートナーであることを特徴とする前記(12)項に記載の現像剤。」
(14)「キャリア及びトナーを含む補給用現像剤であって、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50重量部含有し、前記キャリアが前記(1)項乃至(11)項のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする補給用現像剤。」
(15)「静電潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、前記(12)項乃至(14)項のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。」
(16)「静電潜像担持体、該感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を(12)項乃至(14)項のいずれかに記載の現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。」
(17)「静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、(12)項乃至(14)項のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法。」
さらに、この静電潜像現像用キャリアを用いた静電潜像用現像剤、静電潜像現像方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができる。
また、磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子表面を被覆する被覆層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該被覆層に導電性微粒子を含み、かつ上記一般式(3)の樹脂の架橋物と、グアナミンまたはメラミン樹脂の架橋物のどちらか一方、または両方を少なくとも含有するキャリアは、芯材粒子との密着性が高く、被覆強度を高める。
さらに、磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子表面を被覆する被覆層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該被覆層に上記一般式(3)に示す樹脂の架橋物と、グアナミンまたはメラミン樹脂の架橋物のどちらか一方、または両方を少なくとも含有するキャリアは、導電性微粒子との密着性が高く、被覆強度を高める。
さらに、磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子表面を被覆する被覆層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該被覆層に導電性微粒子を含み、かつ上記一般式(3)に示す樹脂の架橋物と、グアナミンまたはメラミン樹脂の架橋物のどちらか一方、または両方を少なくとも含有するキャリアの製造工程において、変形せず、また、軟化・溶融による熱変形が実質的に生じないため、製造が容易である。
本発明のキャリアは、磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該樹脂層は、導電性微粒子を含み、かつ、少なくとも一般式(1)で表されるモノマーA成分由来のA部位と一般式(2)で表されるモノマーB成分由来のB部位とを含み上記一般式(3)で表される共重合体を加熱処理して得られた樹脂を含有するものであり、該被覆層にアミノ樹脂の架橋物を少なくとも含有することを特徴とする静電潜像現像剤用キャリアである。
上記のように、芯材粒子表面を被覆する樹脂は、下記一般式(1)で表されるA部位(及びそのためのモノマーA成分;以下同じ)、と下記一般式(2)で表されるB部位(及びそのためのモノマーB成分;以下同じ)とを含み、ラジカル共重合して得られるアクリル系共重合体、及び、アミノ樹脂を少なくとも含有した樹脂を被覆した後、加熱処理して得られる樹脂である。
R2は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、このようなA部位を生じるモノマーA成分としては、次式で示されるトリス(トリアルキルシロキシ)シラン化合物が例示される。
CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe3)3
CH2=CH−COO−C3H6−Si(OSiMe3)3
CH2=CMe−COO−C4H8−Si(OSiMe3)3
CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiEt3)3
CH2=CH−COO−C3H6−Si(OSiEt3)3
CH2=CMe−COO−C4H8−Si(OSiEt3)3
CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiPr3)3
CH2=CH−COO−C3H6−Si(OSiPr3)3
CH2=CMe−COO−C4H8−Si(OSiPr3)3
R1:水素原子、またはメチル基、
m:1〜8の整数、
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基、
R3:炭素数1〜8のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、又は炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)、をそれぞれ表わす。
B部位(B成分)が10モル%未満だと、強靭さが十分得られない。一方、90モル%より多いと、被膜は固くて脆くなり、膜削れが発生し易くなる。また、環境特性が悪化する。加水分解した架橋成分がシラノール基として多数残り、環境特性(湿度依存性)を悪化させていることも考えられる。
本発明においては、十分な可とう性を付与し、かつ、芯材と樹脂層、及び樹脂層と導電性微粒子との接着性を良好にするため、前記一般式(3)の共重合体は、さらに下記一般式(4)で表されるC部位(モノマーC成分)を含む一般式(5)で表されるものであることができる。
R1:水素原子、またはメチル基
R2:炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基であるアクリロイル基、またはメタアクリロイル基を有するラジカル重合性アクリル系化合物である。
C部位(モノマーC成分)が80モル%より大きくなると、X、およびYのいずれかが10以下となるため、キャリア被膜の撥水性、硬さと可とう性(膜削れ)を両立させることが難しくなる。
また、イソシアネート化合物による架橋よりも、本発明におけるシロキサン結合による架橋の方が、結合エネルギーが大きく熱ストレスに対しても安定しているため、樹脂層の経時安定性が保たれていると推察される。
シラノール基、及び/又は加水分解によりシラノ−ル基を生成することが可能な官能基(例えば、アルコキシ基やSi原子に結合するハロゲノ基等の陰性基)を有するシリコーン樹脂は、前記共重合体の架橋成分Bと直接的に、あるいはシラノール基に変化した状態の架橋成分Bと縮重合することができる。そして、前記共重合体に、シリコーン樹脂成分を含有させることにより、トナースペント性を更に改善される。
シリコーン樹脂の重量平均分子量としては、1,000〜100,000、好ましくは、1,000〜30,000程度である。用いる樹脂の分子量が100,000より大きい場合、塗布時に塗布液の粘度が上昇しすぎ、塗膜の均一性が十分得られなかったり、硬化後に樹脂層の密度が十分上がらない場合がある。1,000より小さいと硬化後の樹脂層がもろくなるなどの不具合が生じやすい。
5重量%より少ないとスペント性などの改良効果が得られず、80重量%より多いと樹脂層の強靭性が不足して、膜削れし易くなる。
特に、シリコーン樹脂に対しては、トナー帯電量調整のため、以下に示すアミノシランカップリング剤を適量(0.001〜30重量%)含有させることが有効である。
H2N(CH2)3Si(OCH3)3 MW 179.3
H2N(CH2)3Si(OC2H5)3 MW 221.4
H2NCH2CH2CH2Si(CH3)2(OC2H5) MW 161.3
H2NCH2CH2CH2Si(CH3)(OC2H5)2 MW 191.3
H2NCH2CH2NHCH2Si(OCH3)3 MW 194.3
H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2 MW 206.4
H2NCH2CH2NHCH2CH2CH2Si(OCH3)3 MW 224.4
(CH3)2NCH2CH2CH2Si(CH3)(OC2H5)2 MW 219.4
(C4H9)2NC3H6Si(OCH3)3 MW 291.6
また、適度にキャリアの帯電付与能力を制御する必要がある場合には、メラミン樹脂及び/又はベンゾグアナミン樹脂と、他のアミノ樹脂を併用してもよい。
これは、架橋成分Bに由来するシラノール基の縮合反応を促進する効果が大きく、且つ触媒が失活しにくいためであると考えられる。チタンアルコキシド系触媒の例としては、下記構造式5で表されるチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)が挙げられ、また、チタンキレート系触媒の例としては、下記構造式6で表されるチタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)が挙げられる。
具体的には、樹脂層用組成物で芯材粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させることにより形成してもよいし、樹脂層用組成物で芯材粒子を被覆した後に、シラノール基を縮合させることにより形成してもよい。
樹脂層用組成物で芯材粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させる方法としては、特に限定されないが、熱、光等を付与しながら、樹脂層用組成物で芯材粒子を被覆する方法等が挙げられる。また、樹脂層用組成物で芯材粒子を被覆した後に、シラノール基を縮合させる方法としては、特に限定されないが、樹脂層用組成物で芯材粒子を被覆した後に加熱する方法等が挙げられる。
また、通常は分子量の大きな樹脂は粘度が非常に高く、粒径の小さな基体に塗布する場合、粒子の凝集、樹脂層の不均一化などが生じ易く、コートキャリアを製造することが極めて難しい。
したがって、本発明の共重合樹脂は、重量平均分子量が5,000〜100,000であることが好ましく、10,000〜70,000であることがより好ましく、30,000〜40,000であることがさらに好ましい。5,000より小さいと、樹脂層の強度が不足し、100,000であると、液粘度が高くなり、キャリア製造性が悪くなる。
本発明における樹脂層組成物は、アミノ樹脂とアクリル樹脂の架橋物を含有することがさらに好ましい。これにより、適度な弾性を維持したまま、樹脂層同士の融着を抑制することができる。
アミノ樹脂の中でも、キャリアの帯電付与能力を向上させることができるため、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が好ましい。また、適度にキャリアの帯電付与能力を制御する必要がある場合には、メラミン樹脂及び/又はベンゾグアナミン樹脂が好ましい。
その中で鋭意検討した結果、ヒドロキシル基が最も適していることがわかった。
5部未満では、長期にわたり充分な帯電制御能力を発揮することができず、また、20部を越えると、焼き付け硬化しても充分な被膜強度を得ることができない。
本発明に用いるグアナミン樹脂としては、グアナミン類とホルムアルデヒドとアルコール類との共縮合物を挙げることができる。
分子内に含有されるグアナミン類としては、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、シクロヘキシルグアナミン、シクロテトラオキサスピロウンデカン(CTU)グアナミンなどを挙げることができるが、摩擦帯電電荷の付与能力向上、帯電の環境安定性、維持性の面でベンゾグアナミンが最適である。
この中で、アルキル樹脂と架橋させるのに好適なのは、完全アルキル型である。
その理由として、このタイプは硬化反応をさせる際に、自己縮合がほとんど起こらずにアクリル樹脂との架橋反応が起こるため、比較的柔らかな塗膜となるためである。
この場合の本発明の更なる特徴は、アクリル樹脂の柔らかさを生かしながら、グアナミンによる密な架橋構造を作ることにより、柔らかいにもかかわらず削れ難く、更にスペントもしにくいことにある。
イミノ型は、完全アルキル型と比較して、自己縮合が進み易く密な架橋ができにくいが固い被膜ができる。
メチロール基型もほとんどイミノ型と同じであるが、加熱時に脱ホルマリン反応を起こすため安全上好ましくない。
また、完全に反応が終了しないとメチロール基が残り環境安定性が極端に悪化する。
メチロール/イミノ型は、当然メチロール型とイミノ型の両方の特性を有する。
重合度の大きいグアナミンを用いると、自己縮合と合わせてクラスター構造ができ易く硬くてもろい樹脂となり易い。
この比率以上にグアナミンを添加すると自己縮合する割合が増えてきて膜が硬くなり好ましくない。
また、少なすぎると架橋が疎になり強度の弱い膜になり耐久性に問題が生じてくる。
本発明に用いるメラミン樹脂としては、重合度2以下の完全アルキル置換型メラミンまたは、メラミン誘導体とを含有した樹脂が好ましい。
メラミンには、完全アルキル型、メチロール基型、イミノ型、メチロール/イミノ型がある。
この中で、アルキル樹脂と架橋させるのに好適なのは、完全アルキル型である。
本発明の特徴は、この被膜が柔らかいことにより被膜が削れずに更にスペントもしにくいことにある。しかし、硬化反応をさせる温度を高くしすぎると自己縮合をする性質があるため注意を要する。
イミノ型は、完全アルキル型と比較して、自己縮合が進み易く密な架橋ができにくいが固い被膜ができる。
メチロール基型もほとんどイミノ型と同じであるが、加熱時に脱ホルマリン反応を起こすため安全上好ましくない。
また、完全に反応が終了しないとメチロール基が残り環境安定性が極端に悪化する。
メチロール/イミノ型は、当然メチロール型とイミノ型の両方の特性を有する。
本発明に使用する完全アルキル型メラミンは、下記一般式(8)、(9)のものが用いられる。
重合度が大きいものを使用すると自己縮合が進んだ場合と同じ結果になる。
完全アルキル型メラミンを用いると上述のように比較的柔らかで密な架橋構造を得ることができるが、反面アクリル樹脂とメラミンの配合比、硬化温度の設定など設計が難しくなる。
特に、キャリア用被覆樹脂として好適なのは、完全アルキル置換型メラミンまたはメラミン誘導体との含有割合を50:50〜90:10にしたときである。
この比率以上にメラミン誘導体を添加すると自己縮合する割合が増えてきて膜が硬くなり好ましくない。
また、少なすぎると架橋が疎になり強度の弱い膜になり耐久性に問題が生じてくる。
被膜の架橋による高耐久化技術としては、特許第3691115号公報に開示がある。
この特許第3691115号公報には、磁性粒子表面を、少なくとも末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびイミド基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するラジカル共重合性単量体との共重合体をイソシアネート系化合物により架橋させた熱硬化性樹脂で被覆した静電荷像現像用キャリアが記載されているが、被膜の剥がれ・削れにおいて十分な耐久性が得られていないのが現状である。
その理由は十分明らかになっているとは言えないが、前述の共重合体をイソシアネート系化合物により架橋させた熱硬化性樹脂の場合、構造式からも分かるように、共重合体樹脂中のイソシアネート化合物と反応(架橋)する単位重量当りの官能基(アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキル基、メルカプト基等の活性水素含有基)が少なく、架橋点において、二次元、あるいは三次元的な緻密な架橋構造を形成することができず、そのために長時間使用すると、被膜剥がれ・削れなどが生じ(被膜の耐磨耗性が小さく)易く、十分な耐久性が得られていないと推察される。
被膜の剥がれ・削れが生じると、キャリア抵抗低下による画像品質の変化、キャリア付着が起こる。また、被膜の剥がれ・削れは、現像剤の流動性を低下させ、汲み上げ量低下を引き起こし、画像濃度低下、TCアップに伴う時汚れ、トナー飛散の原因となっている。
本発明は樹脂単位重量当たりでみても、二官能、あるいは三官能の架橋可能な官能基(点)を多数(重量当り、2倍〜3倍多い)有した共重合樹脂であり、これを更に、縮重合により架橋させたものであるため、被膜が極めて強靭で削れ難く、高耐久化が図られていると考えられる。
また、イソシアネート化合物による架橋より、本発明のシロキサン結合による架橋の方が、結合エネルギーが大きく熱ストレスに対しても安定しているため、被膜の経時安定性が保たれていると推察される。
本発明において、被覆層に導電性粒子を含有することが好ましい。これにより、キャリアの体積固有抵抗を調整することができる。導電性粒子としては、特に限定されないが、カーボンブラック、ITO、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
導電性粒子の添加量は、樹脂全体に対して、0.1〜1000質量%であることが好ましい。導電性粒子の添加量が0.1質量%未満であると、キャリアの体積固有抵抗を調整する効果が不十分となることがあり、1000質量%を超えると、導電性微粒子を保持することが難しくなり、キャリアの表面層が破壊され易くなる。
体積固有抵抗が1×109Ω・cm未満であると、非画像部でキャリア付着が発生することがあり、1×1017Ω・cmを超えると、エッジ効果が許容できないレベルになることがある。
導電性微粒子の添加量が5重量部未満であると、樹脂層を充分強度アップできず、またキャリア抵抗の調整が不十分となることがあり、200重量部を超えると導電性微粒子が脱離し易くなり、使用によりキャリアの体積固有抵抗が変化し易くなることがある。
100℃より低いと、縮合による架橋反応が進まず、樹脂層の十分な強度が得られない。
一方、350℃より高い温度になると、前記共重合体が炭化してくる等の理由のため、樹脂層が削れ易くなる。
前記樹脂層の平均膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察し、樹脂層の平均膜厚を測定した。
重量平均粒径Dwが前記範囲よりも大きいと、キャリア付着がより起こりにくくなるが、潜像に対してトナーが忠実に現像されなくなって、ドット径のバラツキが大きくなり粒状性が低下する。また、トナー濃度が高いと地汚れし易くなる。
前記キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を示す。
それぞれの電界が強いほどキャリア付着し易い。画像部は、トナー現像されることにより電界が弱められるため、地肌部に比べ、キャリア付着は起こり難い。
この場合の重量平均粒径Dwは次式で表わされる。
また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
本発明に使用されるトナーは、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含有させたものであり、従来公知の各種のトナーを用いることができる。このトナーは、重合法、造粒法などの各種のトナー製法によって作成された不定形または球形のトナーであることができる。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも使用可能である。
スチレン系バインダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、スチレン系やアクリル系樹脂に比して、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能であるため、好ましく用いることができる。このようなポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
磁性体としては、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライトなどの微粉末が使用できる。
なお、ブラック以外のカラートナーにおいては、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好ましい。
離型剤材料としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等を単独または混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
なお、トナー粒径はコールターマルチサイザーII(コールターカウンター社製)を用いて測定した。
つまり、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替え、長期間に渡って帯電量を安定に保ち、安定した画像が得られる。本方式は、特に高画像面積印字時に有効である。高画像面積印字時の劣化は、キャリアへのトナースペントによるキャリア帯電能力低下が主なキャリアの劣化であるが、本方式を用いることで、高画像面積時には、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度が高くなる。これにより、極めて長期間に渡って安定した画像を得られる。
図1は、本発明の画像形成方法および画像形成装置の現像部を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、潜像担持体である感光体ドラム(20)に対向して配設された現像装置(40)は、現像剤担持体としての現像スリーブ(41)、現像剤収容部材(42)、規制部材としてのドクターブレード(43)、支持ケース(44)等から主に構成されている。
感光体ドラム(20)側に開口を有する支持ケース(44)には、内部にトナー(21)を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー(45)が接合されている。トナーホッパー(45)に隣接した、トナー(21)とキャリア粒子(23)とからなる現像剤を収容する現像剤収容部(46)には、トナー粒子(21)とキャリア粒子(23)を撹拌し、トナー粒子に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構(47)が設けられている。
トナーアジテータ(48)及びトナー補給機構(49)は、トナーホッパー(45)内のトナー(21)を現像剤収容部(46)に向けて撹拌しながら送り出す。
感光体ドラム(20)とトナーホッパー(45)との間の空間には、現像スリーブ(41)が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ(41)は、キャリア粒子(23)による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像装置(40)に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。
現像剤収容部材(42)の、支持ケース(44)に取り付けられた側と対向する側には、規制部材(ドクターブレード)(43)が一体的に取り付けられている。規制部材(ドクターブレード)(43)は、この例では、その先端と現像スリーブ(41)の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
回収されたトナー粒子は、トナーリサイクル手段(図示せず)により現像部および/またはトナー補給部に搬送され、再使用されても良い。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて標準ポリスチレン換算で求めた。粘度は25℃でJIS−K2283に準じて測定した。また、不揮発分はコーティング剤組成物1gをアルミ皿に秤取り、150℃で1時間加熱した後の重量を測定して、次式に従って算出した。
不揮発分(%)=(加熱前の重量−加熱後の重量)×100/加熱前の重量
以下、本発明に使用する樹脂の合成例を示す。
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、
CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe3)(式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクロリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキサン)シラン84.4g(200ミリモル:サイラプレーン TM071T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)、メタクリル酸メチル65.g(650ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は33,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。
このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.8mm2/sであり、比重は0.91であった。
3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)を、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)を3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 37.2g(150ミリモル)に替える以外は、樹脂合成例1と全く同じようにして、ラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。
このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.7mm2/sであり、比重は0.91であった。
撹拌機付きフラスコにトルエン500gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe3)(式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクロリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキサン)シラン126.65g(300ミリモル:サイラプレーン TM071T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 173.6g(700ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は35,000であった。
次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.5mm2/sであり、比重は0.91であった。
攪拌器、コンデンサー、温度計、窒素導入管、滴下装置を備えた容量500mlのフラスコにMEK(メチルエチルケトン)を100部を仕込んだ。別に窒素雰囲気下80℃でMMA(メチルメタクリレート)を32.6部、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を2.5部、MPTS(オルガノポリシロキサン−1:3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)を64.9部、V−40(1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル))を1部をMEK100部に溶解させて得られた溶液を2時間にわたり反応容器中に滴下し、5時間熟成させた。
この共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにMEK(メチルエチルケトン)で希釈した。
[キャリア製造比較例1]
樹脂合成例1で得られた重量平均分子量33,000のメタクリル系共重合体(100部)、導電性微粒子製造例1の導電性微粒子40部、触媒としてチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)TC−750(マツモトファインケミカル社製)4部を、トルエンで希釈して、固形分10wt%の樹脂溶液を得た。
芯材として重量平均粒径が35μmのMnフェライト粒子を用いて、芯材表面において平均膜厚が0.30μmになるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を各70℃に制御して塗布・乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃/2時間焼成し、キャリアAを得た。
樹脂を合成実施例2の樹脂に替える以外は、キャリア製造比較例1と全く同じ方法で、キャリア製造比較例2にあたるキャリアBを得た。
樹脂を合成実施例3の樹脂に替える以外は、キャリア製造比較例1と全く同じ方法で、キャリア製造比較例3にあたるキャリアCを得た。
樹脂を合成実施例4の樹脂に替える以外は、キャリア製造比較例1と全く同じ方法で、キャリア製造比較例4にあたるキャリアDを得た。
樹脂を合成実施例1の樹脂91部と購入品であるベンゾグアナミン・n‐ブチルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合体(共縮合比1:1:3)2部、アクリル樹脂(三井東圧社製、アルマテックス748‐5M、固形分55%)7部の割合で混合したものに替える以外は、キャリア製造比較例1と全く同じ方法で、キャリア製造実施例1にあたるキャリアEを得た。
樹脂を合成実施例2の樹脂91部とベンゾグアナミン・n‐ブチルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合体(共縮合比1:1:3)2部、アクリル樹脂(三井東圧社製、アルマテックス748‐5M、固形分55%)7部の割合で混合したものに替える以外は、キャリア製造比較例1と全く同じ方法で、キャリア製造実施例2にあたるキャリアFを得た。
樹脂を合成実施例3の樹脂91部とベンゾグアナミン・n‐ブチルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合体(共縮合比1:1:3)2部、アクリル樹脂(三井東圧社製、アルマテックス748‐5M、固形分55%)7部の割合で混合したものに替える以外は、キャリア製造比較例1と全く同じ方法で、キャリア製造実施例3にあたるキャリアGを得た。
樹脂を合成実施例4の樹脂91部とベンゾグアナミン・n‐ブチルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合体(共縮合比1:1:3)2部、アクリル樹脂(三井東圧社製、アルマテックス748‐5M、固形分55%)7部の割合で混合したものに替える以外は、キャリア製造比較例1と全く同じ方法で、キャリア製造比較例5にあたるキャリアHを得た。
以下、キャリアの特性の評価方法を示す。
その測定条件は以下のとおりである。
[1]粒径範囲:100〜8μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
キャリア約0.15gを、内径が2.4mm、高さが8.5mmのセルに充填した後、VSM−P7−15(東英工業社製)を用いて、1kOeの磁場において、磁化を測定した。
体積固有抵抗は、図5に示すセルを用いて測定した。具体的には、まず、表面積2.5cm×4cmの電極1a及び電極1bを、0.2cmの距離を隔てて収容したフッ素樹脂製容器2からなるセルに、キャリア3を充填し、落下高さ1cm、タッピングスピード30回/分で、10回のタッピングを行った。次に、電極1a及び1bの間に1000Vの直流電圧を印加して30秒後の抵抗r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード社製)を用いて測定し、次式
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察して、樹脂層の平均膜厚を測定した。
帯電量は図6に示すブローオフ装置を用いて、測定を行った。
具体的には、まず、キャリア6.0g、トナー0.4gを軽量し、1500ガウス、280rpmで5分攪拌した後、図6に示すブローオフ装置にてトナーを除去し、キャリア1.0g当りの帯電量を測定した。
そして、図5に示されるように、表面積2.5cm×4cmの電極(12a)及び電極(12b)を、0.2cmの距離を隔てて収容したフッ素樹脂製容器(11)からなるセルに、キャリア(13)を充填し、落下高さ1cm、タッピングスピード30回/分で、10回のタッピングを行った。次に、電極(12a)及び(12b)の間に1000Vの直流電圧を印加して30秒後の抵抗r[Ω]を、ハイレジスタンスメーター4329A(横川ヒューレットパッカード社製)を用いて測定し、次式;
ポリエステル樹脂 100部
[重量平均分子量(Mw)18,000、数平均分子量(Mn)4000、
ガラス転移点(Tg)59℃、軟化点;120℃]
離型剤:カルナウバワックス 5部
カーボンブラック(#44 三菱化学社製) 10部
含フッ素4級アンモニウム塩 4部
以上の各成分をヘンシェルミキサーにより十分混合し、2軸式押出し機にて溶融混練し、混練物を圧延冷却した。放冷後カッターミルで粗粉砕し、ついでジェット気流式微粉砕機で微粉砕し、さらに風力分級機を用いて分級して、重量平均粒径7.4μmのトナー母体粒子を得た。
更に、このトナー母体粒子100部に対して、疎水性シリカ微粒子(R972:日本アエロジル社製)1.0部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーIを得た。
キャリア製造例で得られたキャリアA〜Q(93部)に対して、トナー製造例で得られたトナー1(7.2μm)を7.0部加えて、ボールミルで20分攪拌して、現像剤A〜Qを作成した。
作成した現像剤AからQを用いて初期の画像出しをした後、この現像剤をImagioColor4000に装着し、単色モードで10分間攪拌した。その後、画像面積7%のチャートを使用して10万枚のランニングを行い、試験終了後、帯電量(Q/M)変化、電気抵抗変化、キャリア膜厚み変化、トナースペント量、Q/M環境変化率、現像剤汲上量変動率を、チェックした。
価結果を下記表2に示す。
なお、画像品質確認および信頼性試験等の特性試験は、リコー社製 イマジオカラー4000(リコー製デジタルカラー複写機・プリンタ複合機)を使用し、次の現像条件で作成した。
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.3mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.65mm
・感光体線速度:200mm/sec
・(現像スリーブ線速度)/(感光体線速度):1.80
・書込み密度:600dpi
・帯電電位(Vd):−600V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC−500V/交流バイアス成分:2KHz、−100V〜―900V、50%duty
品質評価は転写紙上で実施、但しキャリア付着は現像後転写前の状態を感光体上から粘着テープに転写して観察した。
(現像剤の物性変動)
(1)現像剤汲み上げ量の変動率(%)
={(初期における現像剤汲み上げ量―10万枚ランニング後の現像剤汲み上げ量)/初期における現像剤汲み上げ量}×100
但し、現像スリーブ上の現像剤汲み上げ量=mg/cm2
±5%未満 :◎大変良好
±5以上〜±10%未満 :○良好
±10以上〜±20%未満 :△使用可能
±20%以上 :×不良
0以上〜0.03Wt%未満 :◎大変良好
0.03Wt%以上 〜0.07t%未満 :○良好
0.07Wt%以上 〜0.15Wt%未満 :△使用可能
0.15Wt%以上 :×不良
0以上〜10%未満 :◎大変良好
10以上〜30%未満 :○良好
30以上〜70%未満 :△使用可能
70%以上 :×不良
一定量の現像剤を、両端に金属メッシュを備えた導体容器(ケージ)に入れる。メッシュ(ステンレス製)の目開きはトナーとキャリアの粒径の中間のもの(目開き20μm)選び、トナーがメッシュの間を通過するように設定する。ノズルから圧縮窒素ガス(1kgf/cm2)を60秒間吹き付けて、トナーをゲージの外へ飛び出させると、ケージ内にトナーの電荷と逆極性を持ったキャリアが残される。
その電荷量Qと、飛び出したトナーの質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量を帯電量Q/Mとして算出する。トナー帯電量はμc/gで表示される。
また、画像濃度、ハイライト部の画像濃度、画像の粒状性、地汚れ時汚れ、キャリア付着についても、チェックした。結果は表3、表4に示される。
上記の画像形成において画像の評価に採用した試験方法および評価基準は以下のとおりである。
画像品質評価は転写紙上で実施、但しキャリア付着は現像後、転写前の状態を感光体上から粘着テープに転写して観察した。
注1;
現像ポテンシャル400V相当箇所=(露光部電位−現像バイアスDC)=−100V−(−500V)
注2;
現像ポテンシャル150V相当箇所=(ハイライト部電位−現像バイアスDC)=−350V−(−500V)
粒状度=exp(aL+b)∫(WS(f))1/2・VTF(f)df
L:平均明度
f:空間周波数(cycle/mm)
WS(f):明度変動のパワースペクトラム
VTF(f):視覚の空間周波数特性
a,b:係数
0以上〜0.2未満 :◎(大変良好)
0.2以上〜0.3未満 :○(良好)
0.3以上〜0.4未満 :△(使用可能)
0.4以上 :×(不良)
キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。感光体上にキャリア付着が発生しても、一部のキャリアしか紙に転写しないため、以下の方法で評価した。
前述の現像条件(帯電電位(Vd):−600V、画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V、現像バイアス:DC−500V)における、イマジオカラー4000のベタ画像(30mm×30mm)に付着したキャリアの個数を、感光体上でカウントしてベタキャリア付着の評価を行った。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良とした。
キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。感光体上にキャリア付着が発生しても、一部のキャリアしか紙に転写しないため、以下の方法で評価した。
帯電電位(Vd)を−600V、露光部電位−100V、現像バイアス(Vb)DC−400Vの現像条件で、即ち、地肌ポテンシャル200Vの条件で、感光体上の副走査方向に2ドットライン(100lpi/inch)の画像を形成した。
次に、感光体上に現像された2ドットラインを粘着テープ(面積100cm2)で転写し、その個数をカウントしてキャリア付着の評価を行った。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
ΔID= 30℃90%時と10℃15%時のベタ部の画像濃度の差
0以上〜0.05未満 :◎(大変良好)
0.05以上〜0.15未満 :○(良好)
0.15以上〜0.25未満 :△(使用可能)
0.25以上 :×(不良)
10万枚ランニング後の現像装置周辺のトナーの飛散状態を以下の基準で評価した。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
以上の結果をまとめて表3、表4に示す。
12a 電極
12b 電極
13 キャリア
20 感光体ドラム
21 トナー
23 キャリア
24a 駆動ローラ
24b 駆動ローラ
26 クリーニング前露光光源
32 像担持体帯電部材
33 像露光系
40 現像装置
41 現像スリーブ
42 現像剤収容部材
43 現像剤供給規制部材(ドクターブレード)
44 支持ケース
45 トナーホッパー
46 現像剤収容部
47 現像剤撹拌機構
48 トナーアジテータ
49 トナー補給機構
50 転写機構
60 クリーニング機構
61 クリーニングブレード
62 トナー回収室
64 ブラシ状クリーニング手段
70 除電ランプ
80 中間転写媒体
Claims (17)
- 磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、該樹脂層は、導電性微粒子を含み、かつ、少なくとも下記一般式(1)で表されるモノマーA成分由来のA部位と下記一般式(2)で表されるモノマーB成分由来のB部位とを含む共重合体を加熱処理して得られた樹脂を含有するものであり、該被覆層にアミノ樹脂の架橋物を少なくとも含有することを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
R1:水素原子、またはメチル基
m:1〜8の整数
R2:炭素原子数1〜4のアルキル基
R3は、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
X:10〜90モル%
Y:10〜90モル% - 前記アミノ樹脂は、グアナミン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記アミノ樹脂は、メラミン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記被覆層を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記加熱処理時の熱処理温度が100〜350℃であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記被覆層は、導電性粒子をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 体積固有抵抗が1×109Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記樹脂層は、平均膜厚が0.05μm以上4μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 前記芯材粒子は、重量平均粒径が20μm以上65μm以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 1kOeの磁場における磁化が40Am2/kg以上90Am2/kg以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
- 請求項1乃至11のいずれかに記載のキャリア及びトナーを有することを特徴とする二成分現像剤。
- 前記トナーは、カラートナーであることを特徴とする請求項12に記載の現像剤。
- キャリア及びトナーを含む補給用現像剤であって、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50重量部含有し、前記キャリアが請求項1乃至11のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする補給用現像剤。
- 静電潜像担持体と、該潜像担持体を帯電させる帯電手段と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項12乃至14のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
- 静電潜像担持体、該感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体上に形成された静電潜像を12乃至14のいずれかに記載の現像剤を用いて現像する現像部と、前記静電潜像担持体をクリーニングするクリーニング部材を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、請求項12乃至14のいずれかに記載の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する工程と、該静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する工程と、該記録媒体に転写されたトナー像を定着させる工程とを有することを特徴とする画像形成方法。
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