JP5601044B2 - 回路遮断器 - Google Patents

Description

この発明は、サーキットプロテクタ（Circuit Protector）を対象とする小型の回路遮断器に関し、詳しくはテストトリップ（Test Trip）機能に対応する構造に係わる。

電路に接続したＦＡ機器，ＯＡ機器，電子機器などの各種機器、およびその制御回路を過電流から保護するコンポーネントとして、外郭ケース内に固定接触子と可動接触子からなる主回路接触子，開閉機構，および電磁式引外し装置を搭載した構成になる頭記のサーキットプロテクタが知られている（例えば、特許文献１参照）。

このサーキットプロテクタは国内外の規格に準拠の保護機能を備えた小型，コンパクトな回路遮断器であり、上位の配線用遮断器，漏電遮断器など(これらの回路遮断器にはシーケンスチェック用のテストトリップ機構を装備している)とは異なり、標準仕様の従来製品はテストトリップ機能を備えていない。そこで、ユーザー側でシーケンスチェック(Sequence Check)を行う際には、オプションの電圧引外し装置を使用するか、あるいは実際に過電流を通電してサーキットプロテクタをトリップさせる等の方法で対処しているのが現状である。

特開平９−３２６２２８号公報

先記のように、ユーザー側でシーケンスチェックを行う場合には、オプションの電圧引外し装置を購入してサーキットプロテクタに後付けするか、あるいはサーキットプロテクタに過電流を通電するなどの方法が必要であることから、この従来方法に代わる簡易なテスト手段がユーザーのニーズとして要望されている。

この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的はサーキットプロテクタ等を対象とした回路遮断器に簡易な変更を加えるだけで、実際に過電流を通電したり、オプションの電圧引外し装置を使用することなしにテストトリップが簡単に実行できるように改良した回路遮断器を提供することにある。

上記目的を達成するために、この発明によれば、外郭ケースに接触子，開閉機構，ハンドル，および固定鉄心の接極子に吸引されるアーマチュアを備えた電磁式引外し装置を搭載装備した回路遮断器において、回路遮断器の付属部品として、テストトリップ用治具を設け、前記外郭ケースの前記アーマチュアの近傍に前記テストトリップ用治具が挿入される治具挿入穴を設け、前記テストトリップ用治具は、先端に舌片状の操作片部を屈曲形成した梃子板になり、該梃子板の操作片部を挿入する前記外郭ケースの前記治具挿入穴が前記電磁式引外し装置のアーマチュアの側方に開口したスリット状の穴であり、テスト操作時に、前記テストトリップ用治具を外郭ケースの外方から前記治具挿入穴に挿入して電磁式引外し装置のアーマチュアをトリップ位置に押込み操作するものとし（請求項１）、具体的には次記のような態様で構成する。
（１）前記外郭ケースがケースとカバーを突き合わせた二分割構造になり、治具挿入穴として前記ケース，およびカバーの周縁部にスリット状の凹溝を向かい合わせに切欠き形成する（請求項２）。

上記の構成で、ユーザーが使用先のシステムでシーケンスチェックを行う場合には、回路遮断器の付属部品であるトリップテスト用治具（梃子板）を外郭ケースに開口した治具挿入穴に差し込み、手動で傾動操作する。この操作により、梃子板の操作片部が電磁式引外し装置のアーマチュアをトリップ位置に押し込むだけの簡単な操作で回路遮断器をトリップ動作させることができる。

したがって、従来製品のように実際に過電流を通電したり、あるいはオプションの電圧引外し装置等を使用することなく、付属部品である板状のトリップテスト用治具を回路遮断器の外郭ケースに設けた治具挿入穴に外部から差し込んで傾動操作するだけで簡単にシーケンスチェックを行うことができる。しかも、単純な形状のトリップテスト用治具はコストも安価で済み、また従来製品の回路遮断器の本体にも大幅な変更を加える必要もなく、外郭ケースのケース，カバーにスリット状の凹溝を追加形成するだけで簡単に対応できる。

サーキットプロテクタを例に、この発明の実施例による回路遮断器の外郭ケースにテストトリップ用治具を挿入セットしたテスト実施状態を表す回路遮断器の内部構造図である。 図１の補足説明図であって、（ａ）はテストトリップ用治具を外郭ケースに挿入した状態の外観斜視図、（ｂ）はテストトリップ用治具の外形図である。 図２からテストトリップ用治具を引き抜いた状態を表す回路遮断器の外形図であって、（ａ）は治具挿入穴側から見た斜視図、（ｂ）は端面図である。 図３に対応する外郭ケースの分解図であって、（ａ）は斜視図、（ｂ）は端面図である。

以下、先記のサーキットプロテクタを例に、この発明の実施の形態を図１〜図４に示す実施例に基づいて説明する。
各図において、１は回路遮断器（サーキットプロテクタ）の外郭ケース、１ａは後記するテストトリップ用治具を外方から外郭ケースの中に差し込む治具挿入穴、２，３は電源側，負荷側の主回路端子、４は固定接触子と可動接触子からなる主回路接触子の開閉機構、５はハンドル、６は消弧装置、７は固定鉄心の接極子に吸引されるアーマチュア７ａを備えた電磁式引外し装置、８は電磁式引外し装置７のアーマチュア７ａと開閉機構４との間を連係するラッチ機構、９はこの発明により回路遮断器の付属部品として新たに追加したテストトリップ用治具であり、該治具に対応して外郭ケース１に形成した前記の治具挿入穴１ａは、電磁式引外し装置７のアーマチュア７ａの組込み位置に対応して外郭ケース１の側壁端面に開口している。また、前記外郭ケース１は、図４で示すようにケース１０とカバー１１を突き合わせて結合した二分割構造になる。なお、この回路遮断器（サーキットプロテクタ）の機能，動作については先記の特許文献１にも詳しく述べられており、ここではその説明を省略する。

また、前記のテストトリップ用治具９（回路遮断器の付属部品）は、図２（ｂ）で示すように先端側に舌片状の操作片部９ａを“く”字形に屈曲形成した簡単な構造の梃子板（例えば、樹脂製）で作られている。一方、テストトリップ用治具９の操作片部９ａを挿入する外郭ケース１の治具挿入穴１ａは、前記電磁式引外し装置７のアーマチュア７ａの側方に対向して開口したスリット状の穴であり、図４で示すようにケース１０，およびカバー１１の周縁部には位置を合わせてスリット状の凹溝１０ａ，１１ａを向かい合わせに切欠き形成しておき、ケース１０とカバー１１を突き合わせた外郭ケース１の組立状態でスリット状の治具挿入穴１ａを形成するようにしている。

次に、前記のテストトリップ用治具９を使ってシーケンスチェックを行う際のテスト操作について述べる。すなわち、図２（ａ）のように外郭ケース１の側壁端面に開口したスリット状の治具挿入穴１ａにテストトリップ用治具９の操作片部９ａを矢印Ａ方向から差込んでＢ方向に引き上げると、治具挿入穴１ａの縁を支点として操作片部９ａが反時計方向に傾動し、図１に示した電磁式引外し装置７のアーマチュア７ａを固定鉄心の接極子に向けて押し込む。このアーマチュア７ａの動きは電磁式引外し装置７が過電流を検知してアーマチュア７ａを接極子に吸着させる動作と同じであり、このテスト操作によりラッチ機構８（図１参照）を介して開閉機構４がトリップ動作し、主回路接触子が開極する。なお、この回路遮断器をリセットするには、テストトリップ用治具９を外郭ケース１から引き抜き、ハンドル５を一旦リセット位置に移動してからオン位置に切換ることにより、回路遮断器は投入状態に復帰する。

上記説明で明らかなように、ユーザーが使用先現場で回路遮断器をテストトリップする場合には、回路遮断器に過電流を実際に通電したり、オプションとしての電圧引外し装置を別途用意することなく、梃子板式のテストトリップ用治具９を外郭ケース１の治具挿入穴１ａに差し込んで傾動操作するだけの操作で簡単にシーケンスチェックを行うことができる。

しかも、前記のテストトリップ用治具９は簡単な板状構造でコストも安価で済み、また回路遮断器の本体にも大幅な変更を加える必要はなく、従来製品の生産工程で外郭ケース１の成形金型に僅かな変更を加えるだけで簡単に対応できる。

１ 外郭ケース
１ａ 治具挿入穴
４ 開閉機構
５ ハンドル
７ 電磁式引外し装置
７ａ アーマチュア
９ テストトリップ用治具
９ａ 操作片部

Claims (2)

1. 外郭ケースに接触子，開閉機構，ハンドル，および固定鉄心の接極子に吸引されるアーマチュアを備えた電磁式引外し装置を搭載装備した回路遮断器において、
   回路遮断器の付属部品として、テストトリップ用治具を設け、
   前記外郭ケースの前記アーマチュアの近傍に前記テストトリップ用治具が挿入される治具挿入穴を設け、
   前記テストトリップ用治具は、先端に舌片状の操作片部を屈曲形成した梃子板になり、該梃子板の操作片部を挿入する前記外郭ケースの前記治具挿入穴が前記電磁式引外し装置のアーマチュアの側方に開口したスリット状の穴であり、
   テスト操作時に、前記テストトリップ用治具を外郭ケースの外方から前記治具挿入穴に挿入して電磁式引外し装置のアーマチュアをトリップ位置に押込み操作することを特徴とする回路遮断器。
2. 請求項１に記載の回路遮断器において、外郭ケースがケースとカバーを突き合わせた二分割構造になり、治具挿入穴として前記ケース，およびカバーの周縁部にスリット状の凹溝を向かい合わせに切欠き形成したことを特徴とする回路遮断器。

Images