JP5600993B2 - ポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、この方法では、得られるポリカーボネートジオールジアクリレート化合物が茶色に着色するという製品の品質に係る大きな問題があった。更に、この方法では、原料のアクリル酸を過剰に用いるため、合成後、それらを中和して水洗することにより除去しても、得られる生成物中に、酸性触媒、原料に起因する硫黄分、不純物が残存し、品質の悪化(悪臭、金属腐食)が起こりやすいという課題がある。
R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、
nは、平均重合度を表し、1〜50の数である)
で表されるポリカーボネートジオールと、式(II):
R2は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、
R3は、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素原子数7〜10のアラルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基である)
アクリル酸エステル化合物を、リパーゼ存在下、反応させることを特徴とするポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法に関する。
本発明は、式(II)におけるR3が、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である、上記のポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法に関する。
本発明は、リパーゼが、バルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼ、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)を起源とするリパーゼ、カンジダ・シリンドラセア (Candida cylindracea)を起源とするリパーゼ、アルカリジェネス・エスピー(Alcaligenes sp.)を起源とするリパーゼから選択される、上記のいずれかのポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法に関する。
本発明は、リパーゼが、バルクホルデリア・セパシア(シュードモナス・セパシア)(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼである、上記のポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法に関する。
本発明で使用されるポリカーボネートジオールは、式(I):
R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、
nは、平均重合度を表し、1〜50の数である)で表される。
前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基−環状のアルキレン基−直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基からなる2価基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジメチレン基、シクロヘキサン−1,4−ジメチレン基等が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン−1,4−ジメチレン基である。
本発明で使用されるアクリル酸エステル化合物は、式(II):
R2は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、
R3は、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素原子数7〜10のアラルキル基または炭素原子数6〜10のアリール基である)
で表されるアクリル酸エステル化合物である。
本発明で使用するリパーゼとしては、特に限定されないが、好ましくは、バルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼ(例えば、Amano PS(アマノエンザイム社製)等)、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)を起源とするリパーゼ(例えば、LIP-301(東洋紡製))、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)を起源とするリパーゼ(例えば、Lipase OF(名糖産業製))、アルカリジェネス・エスピー (Alcaligenes sp.)を起源とするリパーゼ(例えば、Lipase PLG(名糖産業製))。特に好ましくはバルクホルデリア・セパシア(シュードモナス・セパシア)(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼである。これらは、アルコール−カーボネート交換活性が低く、その一方で、アルコール−エステル活性を示すリパーゼであり、本発明において有利である。前記リパーゼの中でも、ポリカーボネート鎖の重合度の低下が少ない点から、バルクホルデリア・セパシア(シュードモナス・セパシア)(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼ(例えば、Amano PS(天野エンザイム製)やAmano PS-CI(アマノPS/セラミック担体吸着、天野エンザイム製))がより好ましい。
本発明の反応は、有機溶媒を使用して、又は無溶媒で行なうことができる。有機溶媒としては、基質を溶解でき、かつ、リパーゼを失活させない溶媒であれば特に限定されない。
本発明の方法は、可逆反応であり、化学平衡を生成物側へ移動させることで、反応が速やかに進行する。それゆえ、副生するアルコールを除去する操作を行いながら反応を行なうことが好ましい。
本発明において、反応温度は、0〜100℃とすることができ、好ましくは10〜90℃であり、より好ましくは40〜80℃である。
種々リパーゼを用いて、アルコール−カーボネート交換活性及びアルコール−エステル交換活性を評価した。
カーボネート交換活性評価の基質として、n−ブタノールとジメチルカーボネート(DMC)、エステル交換活性評価の基質としては、n−ブタノールとアクリル酸エチルを用いた。交換活性は、一定時間後の転化率(n−ブタノール基準)にて評価した。具体的には、以下のとおりである。
n−ブタノール25mgに6当量のDMC(380mg)又はアクリル酸エチル(404mg)を加え、トルエンにて2mlに定容したものを反応液とした。試験管に反応液2mlと(固定化)リパーゼ20mgを加え、70℃で反応した。規定時間ごとに反応液を0.1ml分取し、ガスクロマトグラフィーにて、n−ブタノール量を定量し、テトラデカンを内標物質とした内部標準法にて転化率を算出した。表1に結果を示す。また、アルコール−カーボネート交換反応の転化率/アルコール−エステル交換反応の転化率(24時間)を表2に示す。
装置:島津GC−1700(昇温型)
カラム:DB−5(30m、0.25mmID)
カラム温度:60℃(2分間)、150℃から200℃に昇温(10℃/分)及び200℃(2分間)
Inj(注入部):200
Det.(検出部):280、FID(検出器)
スプリット比: 1:10
名称 由来
Novozyme 435 (Candida antarctica由来リパーゼ)Novozyme社製
Lipozyme RM IM (Rhizomucor miehei由来リパーゼ)Novozyme社製
LIP-301 (Pseudomonas sp.由来リパーゼ)東洋紡製
Amano PS (Burkhoderia cepacia由来リパーゼ)天野エンザイム製
Amano PS-CI アマノPS/セラミック担体吸着、天野エンザイム製
Amano AK (Pseudomonas fluorescens由来リパーゼ)天野エンザイム製
Lipase OF (Candida cylindracea由来リパーゼ)名糖産業製
Lipase SL (Burkholderia cepacia由来リパーゼ)名糖産業製
Lipase PLG (Alcaligenes sp. 由来リパーゼ)名糖産業製
ポリカーボネートジオール(UH200(ポリ(ヘキサメチレンカーボネート))ジオール:平均分子量2000:宇部興産製1.0g(0.5mmol)にアクリル酸エステル5mmolと、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール1mgを加え、そこにトルエンを加えて10mlにメスアップしたものを反応液とした。
反応終了後、反応液を0.2μmフィルターでろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて、溶媒を減圧留去した後、残渣を60℃デシケーター中、2時間、減圧下で乾燥させ、NMR分析に供した。結果を表3に示す。
一方、アルコール−カーボネート交換活性の低いAmanoPS-CIをを用いた場合、重合度が低下せず、アルコキシ末端も認められなかった。
Claims (3)
- 式(I):
(式中、
R1は、同一又は異なっており、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基の1つ以上で構成された2価基であり、該2価基は、置換基を有していてもよく、かつ/又は非末端の1つ以上の炭素原子が2価の芳香族基、2価のヘテロ環式基、酸素原子若しくは硫黄原子で置き換えられていてもよいか、あるいは、架橋炭素環の2価の基であり、
nは、平均重合度を表し、1〜50の数である)
で表されるポリカーボネートジオールと、式(II):
(式中、
R2は、水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、
R3は、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、炭素原子数7〜10のアラルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基である)
で表されるアクリル酸エステル化合物を、バルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼ、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)を起源とするリパーゼ、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)を起源とするリパーゼ、アルカリジェネス・エスピー (Alcaligenes sp.)を起源とするリパーゼから選択されるリパーゼの存在下、反応させることを特徴とするポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法。 - 式(II)におけるR3が、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である、請求項1記載のポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法。
- リパーゼが、バルクホルデリア・セパシア(シュードモナス・セパシア)(Burkholderia cepacia)を起源とするリパーゼである、請求項1又は2記載のポリカーボネートジオールジアクリレート化合物の製造方法。
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