しかしながら、従来の如く回転圧縮機構部と密閉容器との間にオイル分離機構を設ける場合、その分少なくとも密閉容器の径方向の寸法を拡大しなければならなくなる。また、コンプレッサを構成する部品も著しく増加することになるので、コストの高騰も引き起こす問題があった。
そこで回転圧縮機構部と密閉容器との間では無く、第2の回転圧縮要素の吐出消音室を構成するために支持部材の凹所を閉塞するカバーに遠心力を利用したオイル分離機構を設ける案もあるが、本来一定の強度のみ確保されていれば良いカバーの厚みが増大してしまい、今度は密閉容器の軸方向の寸法拡大が問題となると共に、横型では容易であるものの、縦型のロータリコンプレッサでは吐出消音室からカバー内のオイル分離機構に冷媒を流す経路が複雑化してしまう問題もあった(例えば、上記特許文献2参照)。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、遠心分離により密閉容器外部へのオイルの吐出を低減するオイル分離手段を用いた場合の寸法の拡大を防止し、オイル分離性能の改善も図ることができるロータリコンプレッサを提供することが目的である。
本発明のロータリコンプレッサは、密閉容器内に電動要素と、この電動要素の回転軸により駆動される回転圧縮機構部とを収納して成るものであって、回転圧縮機構部は、冷媒が内部で圧縮される圧縮室を有するシリンダと、このシリンダ内で圧縮された冷媒が吐出ポートを介して吐出される吐出室を有し、圧縮室を閉塞する閉塞部材と、この閉塞部材に形成され、吐出室に吐出された冷媒を外部に吐出するための吐出通路と、閉塞部材を貫通して当該閉塞部材とシリンダとを結合するための複数のボルトと、吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路に介在するかたちで閉塞部材に構成され、吐出室に吐出された冷媒中のオイルを遠心分離するオイル分離手段とを有し、吐出ポートは、所定のボルト間に位置する吐出室に設けられ、吐出通路は、吐出ポートが位置するボルト間とは異なる所定のボルト間に形成されており、オイル分離手段は、吐出ポートが位置するボルト間と吐出通路が位置するボルト間とは更に異なる所定のボルト間の閉塞部材に構成されていることを特徴とする。
上記のロータリコンプレッサにおいて、回転圧縮機構部は、シリンダ内の圧縮室を低圧室側と高圧室側に区画するベーンと、シリンダ内に冷媒を吸入するための吸込通路とを備え、ベーン及び吸込通路は、吐出ポートが位置するボルト間に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、密閉容器内に電動要素と、この電動要素の回転軸により駆動される回転圧縮機構部とを収納して成るロータリコンプレッサにおいて、回転圧縮機構部は、冷媒が内部で圧縮される圧縮室を有するシリンダと、このシリンダ内で圧縮された冷媒が吐出ポートを介して吐出される吐出室を有し、圧縮室を閉塞する閉塞部材と、この閉塞部材に形成され、吐出室に吐出された冷媒を外部に吐出するための吐出通路と、閉塞部材を貫通して当該閉塞部材とシリンダとを結合するための複数のボルトと、吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路に介在するかたちで閉塞部材に構成され、吐出室に吐出された冷媒中のオイルを遠心分離するオイル分離手段とを有しているので、シリンダ内で圧縮され、吐出室に吐出された冷媒に混入したオイルをオイル分離手段により遠心分離し、ロータリコンプレッサ外部へ吐出されるオイル量を効果的に低減することができるようになる。
この場合、オイル分離手段は閉塞部材に構成されているので、密閉容器の径方向の寸法拡大を防止することが可能となると共に、吐出室を構成するために本来一定の厚さ寸法を有する閉塞部材にオイル分離手段を構成することにより、閉塞部材の厚さ寸法を拡大することによる密閉容器の軸方向の寸法拡大も防止することが可能となり、以て遠心力を用いたオイル分離手段を設けることによるロータリコンプレッサの寸法拡大を効果的に解消することができるようになる。
また、吐出室が構成された閉塞部材にオイル分離手段を構成することで、吐出室とオイル分離の構造を閉塞部材に集約することが可能となり、生産性も向上すると共に、吐出室からオイル分離手段までの経路も短縮・簡素化される。そして、オイル分離手段のための格別な機構を回転圧縮機構部と密閉容器との間に設ける必要もなくなるので、部品点数の増加も抑制され、これらにより生産コスト及び部品コストの高騰も最小限に抑えられる。
ここで、吐出ポートが所定のボルト間に位置する吐出室に設けられ、吐出通路が吐出ポートが位置するボルト間とは異なる所定のボルト間に形成されているときに、オイル分離手段を吐出ポートが位置するボルト間に構成すると、吐出ポートに近過ぎて冷媒の流れが安定しておらず、オイル分離手段に流入しても、そこから出て行ってしまうオイル量が多くなる。また、シリンダ内の圧縮室を低圧室側と高圧室側に区画するベーンや、シリンダ内に冷媒を吸入するための吸込通路は、吐出ポートが位置するボルト間に位置することになるので、オイル分離手段を配置するスペースも小さい。逆にオイル分離手段を吐出通路が位置するボルト間に構成すると、吐出通路付近ではやはり冷媒の流れが乱れるため、同様にオイル分離手段に流入しても、そこから出て行ってしまうオイル量が多くなる。
そこで、本発明では吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路に介在するかたちで閉塞部材に構成したオイル分離手段を、吐出ポートが位置するボルト間と吐出通路が位置するボルト間とは更に異なる所定のボルト間に配置したので、ボルトを避けてオイル分離手段を配置しながら、オイル分離手段における遠心力によるオイル分離性能を改善し、ロータリコンプレッサ外部へのオイル吐出量を著しく低減することができるようになるものである。
また、本発明のロータリコンプレッサは、密閉容器内に電動要素と、この電動要素の回転軸により駆動される回転圧縮機構部とを収納して成るものであって、回転圧縮機構部は、冷媒が内部で圧縮される圧縮室を有するシリンダと、このシリンダ内で圧縮された冷媒が吐出ポートを介して吐出される吐出室を有し、圧縮室を閉塞する閉塞部材と、この閉塞部材に形成され、吐出室に吐出された冷媒を外部に吐出するための吐出通路と、閉塞部材を貫通して当該閉塞部材とシリンダとを結合するための複数のボルトと、吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路に介在するかたちで閉塞部材に構成され、吐出室に吐出された冷媒中のオイルを遠心分離するオイル分離手段とを有し、吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路側において回転軸を中心とした吐出ポートから吐出通路までの角度を100%とした場合に、40%の位置と80%の位置にボルトは配置されており、オイル分離手段は、当該ボルト間の閉塞部材に構成されていることを特徴とする。
上記のロータリコンプレッサにおいて、吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路側において回転軸を中心とした吐出ポートから吐出通路までの角度を100%とした場合に、50%以上70%以下の範囲にオイル分離手段を配置したことを特徴とする。
本発明によれば、密閉容器内に電動要素と、この電動要素の回転軸により駆動される回転圧縮機構部とを収納して成るロータリコンプレッサにおいて、回転圧縮機構部は、冷媒が内部で圧縮される圧縮室を有するシリンダと、このシリンダ内で圧縮された冷媒が吐出ポートを介して吐出される吐出室を有し、圧縮室を閉塞する閉塞部材と、この閉塞部材に形成され、吐出室に吐出された冷媒を外部に吐出するための吐出通路と、閉塞部材を貫通して当該閉塞部材とシリンダとを結合するための複数のボルトと、吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路に介在するかたちで閉塞部材に構成され、吐出室に吐出された冷媒中のオイルを遠心分離するオイル分離手段とを有しているので、同様にシリンダ内で圧縮され、吐出室に吐出された冷媒に混入したオイルをオイル分離手段により遠心分離し、ロータリコンプレッサ外部へ吐出されるオイル量を効果的に低減することができるようになる。
この場合、オイル分離手段は閉塞部材に構成されているので、密閉容器の径方向の寸法拡大を防止することが可能となると共に、吐出室を構成するために本来一定の厚さ寸法を有する閉塞部材にオイル分離手段を構成することにより、閉塞部材の厚さ寸法を拡大することによる密閉容器の軸方向の寸法拡大も防止することが可能となり、以て遠心力を用いたオイル分離手段を設けることによるロータリコンプレッサの寸法拡大を効果的に解消することができるようになる。
また、吐出室が構成された閉塞部材にオイル分離手段を構成することで、吐出室とオイル分離の構造を閉塞部材に集約することが可能となり、生産性も向上すると共に、吐出室からオイル分離手段までの経路も短縮・簡素化される。そして、オイル分離手段のための格別な機構を回転圧縮機構部と密閉容器との間に設ける必要もなくなるので、部品点数の増加も抑制され、これらにより生産コスト及び部品コストの高騰も最小限に抑えられる。
ここで、前述した如くオイル分離手段を吐出ポートの近傍に構成すると、吐出ポートに近過ぎて冷媒の流れが安定しておらず、オイル分離手段に流入しても、そこから出て行ってしまうオイル量が多くなる。逆にオイル分離手段を吐出通路の近傍に構成すると、吐出通路付近ではやはり冷媒の流れが乱れるため、同様にオイル分離手段に流入しても、そこから出て行ってしまうオイル量が多くなる。
そこで、本発明では吐出ポートから吐出通路に至る冷媒の経路側において回転軸を中心とした吐出ポートから吐出通路までの角度を100%とした場合に、40%の位置と80%の位置にボルトは配置されているときに、オイル分離手段を、当該ボルト間の閉塞部材に構成し、更に好ましくは角度50%以上70%以下の範囲にオイル分離手段を配置することにより、ボルトを避けてオイル分離手段を配置しながら、オイル分離手段における遠心力によるオイル分離性能を改善し、ロータリコンプレッサ外部へのオイル吐出量を著しく低減することができるようになるものである。
上記のロータリコンプレッサにおいて、オイル分離手段は、中心軸が上下方向とされた円筒状の空間部と、この空間部に冷媒を導入するための冷媒導入部と、空間部の中心軸上において当該空間部内に連通した冷媒導出部と、空間部の下端に連通したオイル流出部とを備え、空間部はオイル流出部に向かって細くなる形状を呈し、冷媒導入部から空間部内に流入した冷媒は、当該空間部の内周面に沿って旋回した後、冷媒導出部に流入すると共に、冷媒から分離したオイルはオイル流出部に流下することを特徴とする。
この発明によれば、オイル分離手段は、中心軸が上下方向とされた円筒状の空間部と、この空間部に冷媒を導入するための冷媒導入部と、空間部の中心軸上において当該空間部内に連通した冷媒導出部と、空間部の下端に連通したオイル流出部とを備え、空間部はオイル流出部に向かって細くなる形状を呈し、冷媒導入部から空間部内に流入した冷媒は、当該空間部の内周面に沿って旋回した後、冷媒導出部に流入すると共に、冷媒から分離したオイルはオイル流出部に流下するようにしたので、オイル分離手段の空間部内で冷媒を旋回させ、遠心力によりオイルを効率的に分離させ、冷媒は冷媒導出部に流入させ、分離したオイルはオイル流出部を介して円滑に密閉容器内等に戻すことが可能となる。
上記のロータリコンプレッサにおいて、密閉容器に接続された冷媒吐出管を備え、吐出通路は、吐出室と冷媒吐出管とを連通して、吐出室に吐出された冷媒を、密閉容器内を経ること無く密閉容器外に吐出することを特徴とする。
上記のロータリコンプレッサにおいて、回転圧縮機構部は、第1及び第2の回転圧縮要素を備え、第1の回転圧縮要素で圧縮された冷媒を密閉容器内に吐出し、この密閉容器内に吐出された冷媒を第2の回転圧縮要素を構成するシリンダで圧縮し、吐出室に吐出することを特徴とする。
この発明によれば、上記に加えて密閉容器に接続された冷媒吐出管を備え、吐出通路は、吐出室と冷媒吐出管とを連通して、吐出室に吐出された冷媒を、密閉容器内を経ること無く密閉容器外に吐出するロータリコンプレッサ、例えば、回転圧縮機構部が、第1及び第2の回転圧縮要素を備え、第1の回転圧縮要素で圧縮された冷媒を密閉容器内に吐出し、この密閉容器内に吐出された冷媒を第2の回転圧縮要素を構成するシリンダで圧縮し、吐出室に吐出するロータリコンプレッサの如く、密閉容器内でオイルが分離されること無く、冷媒が外部に吐出されるロータリコンプレッサのオイルの流出をオイル分離手段により効果的に抑制することが可能となるものである。
本発明によれば、遠心分離により密閉容器外部へのオイルの吐出を低減するオイル分離手段を用いた場合の寸法の拡大を防止し、オイル分離性能の改善も図ることができるロータリコンプレッサを提供することができる。
以下に図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の一実施例のロータリコンプレッサ10の概略縦断面図、図2は回転圧縮機構部18の概略縦断面図、図3は回転圧縮機構部18の上部カバー66及びガスケット65を除く平面図をそれぞれ示している。尚、図1及び図2における部材の位置関係は、説明を行い易くするために実際の配置と変えて示しており、実際の位置関係とは異なるものもある。
各図において、10は本発明の一実施例としての内部中間圧型多段(2段)圧縮式の縦型ロータリコンプレッサで、このロータリコンプレッサ10は、鋼板からなる縦型円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部空間の上側に配置収納された電動要素(駆動要素)14及びこの電動要素14の下側に配置され、電動要素14の回転軸16により駆動される第1の回転圧縮要素32(1段目)及びその上側に位置した第2の回転圧縮要素34(2段目)から成る回転圧縮機構部18にて構成されている。
密閉容器12は、底部をオイル溜め13とし、電動要素14と回転圧縮機構部18を収納する容器本体12Aと、この容器本体12Aの上部開口を閉塞する略椀状のエンドキャップ(蓋体)12Bとで構成され、且つ、このエンドキャップ12Bの上面中心には電動要素14に電力を供給するためのターミナル(配線を省略)20が取り付けられている。
電動要素14は、密閉容器12の上部空間の内周面に沿って環状に取り付けられたステータ22と、このステータ22の内側に若干の隙間を設けて挿入配置されたロータ24とからなる。このロータ24は中心を通り鉛直方向(密閉容器12の軸方向)に延びる前記回転軸16に固定されている。
ステータ22は、ドーナッツ状の電磁鋼板を積層した積層体26と、この積層体26の歯部に直巻き(集中巻き)方式により巻装されたステータコイル28を有している。また、ロータ24もステータ22と同様に電磁鋼板の積層体30で形成され、この積層体30内に永久磁石MGを挿入して構成されている。
前記回転圧縮機構部18は、第1及び第2の回転圧縮要素32、34をそれぞれ構成し、冷媒が内部で圧縮される圧縮室を有する下シリンダ(第1のシリンダ)40及び上シリンダ(第2のシリンダ)38と、これら上下シリンダ38、40内にそれぞれ設けられた上下偏心部42、44に嵌合されて偏心回転する上下ローラ46、48と、上下シリンダ38、40及びローラ46、48の間に介在して第1及び第2の回転圧縮要素32、34を仕切る中間仕切板36と、ローラ46、48に当接して上下シリンダ38、40内の圧縮室をそれぞれ低圧室側と高圧室側に区画するベーン50、52と、上シリンダ38の圧縮室の上側の開口面及び下シリンダ40の圧縮室の下側の開口面をそれぞれ閉塞して回転軸16の軸受け54A、56Aを有した支持部材である閉塞部材としての上部支持部材(上部閉塞部材)54及び下部支持部材(下部閉塞部材)56にて構成されている。
上部支持部材54及び下部支持部材56には、図示しない吸込ポートにて上下シリンダ38、40の内部とそれぞれ連通する吸込通路60(図3)、61と、上部支持部材54の上面及び下部支持部材56の下面の一部をそれぞれ凹陥させ、各凹所の上面開口及び下面開口を上部カバー66、下部カバー68にてそれぞれ閉塞することにより形成される吐出室としての一定の容積を有した吐出消音室62、64とが設けられている。即ち、上部支持部材54及び下部支持部材56は、各吐出消音室62、64を凹陥形成するために一定の厚さ寸法を有している。尚、前記軸受け54A、56Aは前記上部カバー66、下部カバー68に形成しても良い。
この場合、上部支持部材54と上部カバー66の間には、シール用のガスケット65が介設されている(図示しないが下部支持部材56と下部カバー68間にも同様に介設されている)。また、下部カバー68は周辺部を複数(実施例では4本)のボルト129・・・によって下から下部支持部材56に固定されている。このボルト129・・・は下部カバー68、下部支持部材56、及び、中間仕切板36を貫通し、それらの先端は上部支持部材54に螺合する。
尚、第1の回転圧縮要素32の吐出消音室64と密閉容器12内とは連通路にて連通されている。この連通路は下部支持部材56、上部支持部材54、上部カバー66、上下シリンダ38、40や中間仕切板36を貫通する図示しない孔である。この場合、連通路の上端には中間吐出管121が立設されており、この中間吐出管121から密閉容器12内に中間圧の冷媒が吐出される。
また、電動要素14は密閉容器12内の上部カバー66の上方に所定間隔を存して設けられている。この上部カバー66は周辺部が複数(実施例では4本)のボルト78・・・により、上から上部支持部材54に固定され、結合されている。このボルト78・・・は上部カバー66、上部指示部材54、及び、中間仕切板36を貫通し、それらの先端は下部支持部材56に螺合する。
図3に示す85A〜85Dは上部カバー66に形成された貫通孔であり、回転軸16の軸芯Oに対して90°の等間隔で合計4箇所形成されている。ボルト78・・・はこれら貫通孔85A〜85Dに挿通される。尚、図3の第1の貫通孔85Aに挿通されるボルトを以後第1のボルト78A、第2の貫通孔85Bに挿通されるボルトを第2のボルト78B、第3の貫通孔85Cに挿通されるボルトを第3のボルト78C、第4の貫通孔85Dに挿通されるボルトを第4のボルト78Dとする。
一方、回転軸16内には軸中心に鉛直方向のオイル孔80が形成され、このオイル孔80は下端のオイルポンプ84に連通している。回転軸16の回転によりオイルポンプ84はオイル溜め13内のオイルをオイル孔80に吸い上げる。回転軸16には更にこのオイル孔80に連通する横方向の給油孔82(上下偏心部42、44やそれらの上下に複数形成されている)が形成されており、ここから回転圧縮機構部18の軸受け54A、56Aその他の摺動部等にオイルが供給される構成とされている。
そして、この場合の冷媒としては二酸化炭素(CO2)が使用され、ロータリコンプレッサ10の最終圧力は極めて高い圧力となる。また、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、PAG(ポリアルキレングリコール)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油等既存のオイルが使用される。
密閉容器12の容器本体12Aの側面には、上部支持部材54と下部支持部材56の吸込通路60、61、上部カバー66の上側(電動要素14の下端に略対応する位置)に対応する位置に、スリーブ141、142、143及び144がそれぞれ溶接固定されている。スリーブ141と142は上下に隣接すると共に、スリーブ143はスリーブ144と略90°ずれた位置にある。
そして、スリーブ141内には上シリンダ38に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管92の一端が挿入接続され、この冷媒導入管92の一端は上シリンダ38の吸込通路60に連通される。この冷媒導入管92は密閉容器12の上側を通過してスリーブ144に至り、他端はスリーブ144内に挿入接続されて密閉容器12内に連通する。
スリーブ142内には下シリンダ40に冷媒ガスを導入するための冷媒導入管94の一端が挿入接続され、この冷媒導入管94の一端は下シリンダ40の吸込通路61に連通される。また、スリーブ143内には冷媒吐出管96が挿入接続され、上部支持部材54に設けられた吐出通路70(図3)に連通されている。尚、この吐出通路70は前記第3の貫通孔85C(78C)と第4の貫通孔85D(78D)の間に形成されている(図3)。
そして、この回転圧縮機構部18には、第2の回転圧縮要素34で圧縮され、吐出された冷媒中のオイルを分離するための本発明のオイル分離手段としてのオイル分離機構90が構成され、このオイル分離機構90は、第2の回転圧縮要素34の上部支持部材54から上シリンダ(第2のシリンダ)38、及び、中間仕切板36を経て下シリンダ(第1のシリンダ)40まで渡っている。
次に、このオイル分離機構90について説明する。上部支持部材54の軸受け54Aの周囲には、図3に示されるように凹所が形成されており、前述した如くこの凹所の上面開口がガスケット65を介して上部カバー66により閉塞されることで、凹所内が第2の回転圧縮要素34の吐出消音室(吐出室)62とされる。この吐出消音室62内には上シリンダ38の内部に連通する吐出ポート71を閉塞する吐出弁72が配置されている。この吐出弁72は上シリンダ38の高圧室が規定の吐出圧力まで上昇した場合に吐出ポートを開くものである。
尚、この吐出ポート71、ベーン50及び吸込通路60は前記第1の貫通孔85A(78A)と第2の貫通孔85B(78B)の間に位置して上部支持部材54(吐出ポート71及び吸込通路60)に形成され、或いは、上シリンダ38(ベーン50)に配置されており、吐出ポート71が第1の貫通孔85A(78A)側、それとベーン50を挟んで吸込通路60が第2の貫通孔85B(78B)側に位置している(図3)。
また、前記吐出通路70は吐出ポート71(吐出弁72)と軸受け54Aを挟んで略反対側の第3の貫通孔85C(78C)と第4の貫通孔85D(78D)の間(吐出ポート71が位置する第1の貫通孔85A(78A)及び第2の貫通孔85B(78B)間とは異なるボルト間)に形成され、吐出消音室62に連通している。そして、吐出消音室62は軸受け54Aを挟んで略反対側の位置の上部支持部材54に形成された仕切壁54B、54Cによって吐出ポート71(吐出弁72)側(62A)と吐出通路70側(62B)とに仕切られている。
一方の仕切壁54Cは第2の貫通孔85B(78B)と第3の貫通孔85C(78C)間に位置しており、この仕切壁54C内に位置して本発明のオイル分離機構90が構成されている。即ち、オイル分離機構90は、吐出ポート71、ベーン50、及び、吸込通路60が位置する第1の貫通孔85A(78A)及び第2の貫通孔85B(78B)間と、吐出通路70が位置する第3の貫通孔85C(78C)及び第4の貫通孔85D(78D)間とは更に異なる第2の貫通孔85B(78B)及び第3の貫通孔85C(78C)間の上部支持部材54に構成されている。
このオイル分離機構90は、上部支持部材54に貫通形成された円筒状の第1の孔91A、その下側に対応して上シリンダ(第2のシリンダ)38に形成された円筒状の第2の孔91B、その下側に対応して上シリンダ38に形成された円筒状の第3の孔91C、その下側に対応して中間仕切板36に形成された円筒状の第4の孔91D、及び、その下側に対応して中間仕切板36に形成された円筒状の第5の孔91Eとから成り、全体としては中心軸が上下方向とされた円筒状の空間部91と、この空間部91の孔91Aの軸受け54Aとは反対側の上縁部に開口形成された冷媒導入部95と、空間部91の中心軸上に位置して一端が空間部91(孔91A)内に開口し、他端が吸込通路70側の吐出消音室62(図3に62Bで示す)に開口した冷媒導出部97と、空間部91を構成する孔91Eの下端に対応して下シリンダ(第1のシリンダ)40の上面に凹陥形成されたオイル溜まり104と、このオイル溜まり104に連通して下シリンダ(第1のシリンダ)40内に形成されたオイル流出部としての細孔98とから構成されている。
前記空間部91は上下に連続する孔91A、91B、91C、91D、及び、91Eにより全体としては円筒状であるが、第2の孔91Bの内径は第1の孔91Aの内径より小さく、第3の孔91Cの内径は第2の孔91Bの内径より小さい。また、第4の孔91Dの内径は第3の孔91Cの内径と同一であるが、第5の孔91Eの内径は第4の孔91Dの内径よりも小さく構成されている。即ち、空間部91を構成する複数の孔91A〜91Eの内径は、下方のもの程小さくなるように構成されており、これにより、空間部91の下部はオイル溜まり104及び細孔98に向かって内径が段階的に小さくなる形状を呈している。
この場合、第1の孔91Aは上部支持部材54を最大径の第1のドリルで切削加工することにより、貫通形成される。また、第2の孔91Bは上記第1のドリルよりも細い径の第2のドリルで上シリンダ(第2のシリンダ)50を上方から中途部まで切削加工することにより形成される。また、第3の孔91Cは上記第2のドリルよりも細い径の第3のドリルで上シリンダ(第2のシリンダ)50を上方若しくは下方から切削加工し、第2の孔91Bに連通させてこれら孔91B、91Cにより上シリンダ38を貫通することにより形成される。即ち、実施例では上シリンダ38に内径の異なる複数の孔91B、91Cが形成される。
また、第4の孔91Dは上記第3のドリルで中間仕切板36を上方から中途部まで切削加工することにより形成される。また、第5の孔91Eは上記第3のドリルよりも細い径の第4のドリルで中間仕切板36を上方若しくは下方から切削加工し、第4の孔91Dに連通させてこれら孔91D、91Eにより中間仕切板36を貫通することにより形成される。即ち、実施例では中間仕切板36に内径の異なる複数の孔91D、91Eが形成される。
また、オイル流出部としての細孔98は、オイル溜まり104から下シリンダ(第1のシリンダ)40内を密閉容器12方向に延在し、当該密閉容器12内に開口して連通している。これにより、細孔98は空間部91(孔91E)の下端と密閉容器12内とをオイル溜まり104を介して連通している。
また、冷媒導入部95は導入通路99を介して吐出ポート71側の吐出消音室62(図3に62Aで示す)に連通しており、該吐出消音室62内の冷媒は、冷媒導入部95より空間部91の中心軸を中心とする円の接線方向から当該空間部91内に導入され、空間部91の内面に沿って旋回するよう構成とされている。そして、これら空間部91(孔91A)と冷媒導入部95の上面は上部カバー66にて閉塞される。
前記冷媒導出部97は、上部カバー66の下面を掘削することにより形成された溝(図3には実際には上部カバー66は存在しないが、仮想線で溝(冷媒導出部97)を示している)により構成されている。即ち、この溝の一端は空間部91(孔91A)の中心軸上まで延在し、その上端部において下方に向けて開口しており、他端は吸込通路70側の吐出消音室62(62B)まで延在し、下方に向けて開口している。そして、これら一端と他端の間の溝の下面開口は、仕切壁54Cにより下から閉塞されている。そして、これによってオイル分離機構90は吐出ポート71(吐出弁72)から吐出通路70に至る冷媒の経路に介在するかたちとなる。
ここで、図3を参照して更に詳しくオイル分離機構90の位置を説明する。回転軸16の軸芯Oと吐出ポート71を結ぶ線をL1、軸芯Oと吐出通路70を結ぶ線をL2、軸芯Oとオイル分離機構90(空間部91)を結ぶ線をL3で示している。この場合、吐出ポート71から吐出通路70に至る冷媒の経路側において、回転軸16の軸芯Oを中心とした吐出ポート71(L1)から吐出通路70(L2)までの角度を100%とした場合に、第2の貫通孔85B(第2のボルト78B)は40%の位置に配置され、第3の貫通孔95C(第3のボルト78C)は80%の位置に配置されている。
そして、これら第2の貫通孔85B(第2のボルト78B)及び第3の貫通孔95C(第3のボルト78C)間にオイル分離機構90(L3)は位置し、回転軸16の軸芯Oを中心とした吐出ポート71(L1)から吐出通路70(L2)までの角度を100%とした場合に、50%以上70%の以下の範囲、実施例では65%の位置に配置されている(図3)。このように配置することで、オイル分離機構90は第2のボルト78B(第2の貫通孔85B)及び第3のボルト78C(第3の貫通孔85C)を回避した位置に構成することができる。
以上の構成で次に動作を説明する。ターミナル20および図示されない配線を介して電動要素14のステータコイル28に通電されると、電動要素14が起動してロータ24が回転する。この回転により回転軸16と一体に設けた上下偏心部42、44に嵌合された上下ローラ46、48が上下シリンダ38、40内を前述の如く偏心回転する。
これにより、冷媒導入管94及び下部支持部材56に形成された吸込通路61を経由して図示しない吸込ポートから下シリンダ(第1のシリンダ)40の低圧室側に吸入された低圧の冷媒ガスは、ローラ48とベーン52の動作により圧縮されて中間圧となり、下シリンダ40の高圧室側より図示しない吐出ポート、下部支持部材56に形成された吐出消音室64から図示しない前記連通路を経て中間吐出管121から密閉容器12内に吐出される。これによって、密閉容器12内は中間圧となる。尚、吐出消音室64は冷媒が流れる流路が広くなったり狭くなったりするように形成されているため、消音効果が得られる。
そして、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスは、スリーブ144から出て冷媒導入管92及び上部支持部材54に形成された吸込通路58を経由して吸込ポート60から上シリンダ(第2のシリンダ)38の低圧室側に吸入される。吸入された中間圧の冷媒ガスは、ローラ46とベーン50の動作により2段目の圧縮が行なわれて高温高圧(最終圧力)の冷媒ガスとなり、高圧室側から吐出ポート71を通り、吐出弁72から上部支持部材54に形成された吐出消音室62(62A)に吐出される。吐出消音室62は冷媒が流れる流路が広くなったり狭くなったりするように形成されているため、消音効果が得られる。吐出消音室62に吐出された冷媒は、図3に矢印で示す如く導入通路99を経て冷媒導入部95からオイル分離機構90の空間部91内に吐出される。
このとき、冷媒ガス及び当該冷媒ガス中に混入したオイルは、空間部91の内面に沿って吐出され、吐出された冷媒ガス及びオイルは、吐出時の勢いにより空間部91の内周面に沿って螺旋状に旋回しながら孔91A、91B、91C、91D、91Eへと空間部91内を降下して行く(図2)。
このときの旋回による遠心力で冷媒ガス中に混入したオイルが冷媒ガスから分離され、空間部91の内面に付着し、当該内面を伝わって空間部91の下端に対応して形成されたオイル溜まり104に流入し、そこに貯留される。オイル溜まり104に貯留されたオイルは図2中破線矢印の如く細孔98を通って密閉容器12の下部のオイル溜め13に流下する。
一方、オイルが分離された冷媒ガスは、空間部91の段階的な先細り形状に案内されて中心に集まり、上昇気流となって冷媒導出部97の一端の開口から内部に流入する。冷媒導出部97内に流入した冷媒ガスは、各図に実線矢印で示す如く上部カバー66に形成された溝(冷媒導出部97)内を通過して他端の開口から吐出通路70側の吐出消音室62(62B)内に入り、該吐出消音室62内を経て吐出通路70に至る。そして、冷媒吐出管96に流出し、外部に吐出されるので、これにより、吐出消音室62に吐出された冷媒ガスは、密閉容器12内を経ること無く外部に吐出されることになる。
このように、第2の回転圧縮要素34で圧縮された冷媒ガス中に混入したオイルをオイル分離機構90にて遠心分離することで、冷媒ガス中に混入したオイルを効果的に分離することができる。これにより、コンプレッサ10から吐出されるオイル吐出量を低減することができるので、コンプレッサ10内がオイル不足となる不都合や冷媒回路内に悪影響を及ぼす不都合も未然に回避することができるようになる。
ここで、図6は前述した如く吐出ポート71から吐出通路70に至る冷媒の経路側において、回転軸16の軸芯Oを中心とした吐出ポート71(L1)から吐出通路70(L2)までの角度を100%とした場合に、吐出ポート71(L1)からのオイル分離機構90の位置を37%〜82%に変更したときの、未分離のオイル量(ロータリコンプレッサ10外部に吐出されるオイル量。%)を測定したグラフを示している。
図4はオイル分離機構90を上記37%の位置に配置した状態を示し、図5は82%の位置に配置した状態を示している。37%の位置ではオイル分離機構90は吐出ポート71と同じ第1の貫通孔85A(第1のボルト78A)と第2の貫通孔85B(第2のボルト78B)間に位置しており、82%では第3の貫通孔85C(第3のボルト78C)より僅かに第4の貫通孔85D(第4のボルト78D)側に位置している(図5では第3の貫通孔85Cと殆ど同じ位置に示されているが、実際は第4の貫通孔85D側に位置する)。
図6に示されるように、図4の位置では未分離のオイル量が極めて多く、そこから減少して行って50%〜70%の範囲では少なくなり、実施例の65%の位置で最も少なくなる。そして、70%を超えて図5の82%の位置となると再度未分離のオイル量が増加するという傾向となる。これは、図4の如く吐出ポート71の近傍では冷媒の流れが安定せず、オイル分離機構90に入っても冷媒と共に出て行ってしまうオイル量が多くなるからであり、また、図5の如く吐出通路70の近傍においても冷媒の流れが乱れるため、同様にオイル分離機構90から冷媒と共に出て行ってしまうオイル量が多くなるからである。
しかしながら、本発明では前述した如く吐出ポート71や吐出通路70が位置するボルト間では無い第2のボルト78B(第2の貫通孔85B)と第3のボルト78C(85C)間にオイル分離機構90を配置し、その場合でも前述した図6で最も未分離のオイル量が少なくなる65%の位置に設けたので、ボルト78を避けてオイル分離機構90を設けながらオイル分離性能を最大限に発揮させ、ロータリコンプレッサ10からのオイル吐出量を著しく低減することができた。
また、オイル分離機構90を回転圧縮機構部18に構成しているので、オイル分離機構90のための格別な機構を回転圧縮機構部18と密閉容器12との間に設ける必要もなくなり、部品点数の増加も抑制される。
更に、オイル分離機構90は、中心軸が上下方向とされた円筒状の空間部91と、この空間部91に冷媒を導入するための冷媒導入部95と、空間部91の中心軸上において当該空間部91内に連通した冷媒導出部97と、空間部91の下端に連通した細孔98とを備えているので、冷媒導入部95から空間部91内に流入した冷媒は、当該空間部91の内周面に沿って旋回した後、冷媒導出部97に流入すると共に、冷媒から分離したオイルは細孔98に流下するようになる。これにより、オイル分離機構90の空間部91内で冷媒を旋回させ、遠心力によりオイルを効率的に分離させ、冷媒は冷媒導出部97に流入させ、分離したオイルは細孔98を介して円滑に密閉容器12内に戻すことが可能となる。
特に実施例のように空間部91を、内径の異なる円筒状の複数の孔91A〜91Eから構成し、各孔91A〜91Eの内径を、下方のもの程小さくしたので、冷媒からのオイルの分離と、オイルが分離された冷媒の冷媒導出部97への流入を円滑に行わせることができる。この場合、空間部91の下部を徐々に縮径させる場合には、加工が面倒なものとなるが、本発明の如く内径の異なる複数の孔91A〜91Eにて構成すれば、孔を形成するためのドリルを変更すれば良いことになるので、空間部91を構成するための加工を著しく簡素化することが可能となる。これらにより、ロータリコンプレッサ10の寸法の拡大とコストの高騰を防止、若しくは、抑制することが可能となる。
また、オイル分離機構90の空間部91を、上部支持部材54から上シリンダ(第1のシリンダ)38を経て中間仕切板36まで渡って構成しているので、ロータリコンプレッサ10の寸法を拡大すること無く、オイル分離機構90の上下寸法を確保することができるようになる。それにより、オイル分離機構90内における冷媒の流速を上げるために冷媒導入部95を狭くする必要が無くなり、オイル分離機構90における圧損の増大を効果的に抑制することができるようになる。
更に、吐出消音室62が構成された上部支持部材54から上シリンダ38に渡ってオイル分離機構90を構成したことで、上シリンダ38内で圧縮され、吐出消音室62に吐出された冷媒に混入したオイルをオイル分離機構90により効果的に遠心分離することができるようになると共に、吐出消音室62からオイル分離機構90までの経路も短縮・簡素化することができる。
特に、空間部91を構成する上シリンダ38部分の孔91B、91Cの内径を、上部支持部材54部分の孔91Aの内径より小さくし、中間仕切板36部分の91Eの内径を、上シリンダ38部分の孔91Cの内径より小さくしたので、中間仕切板36に形成する孔91Eと上シリンダ38に形成する孔91Cの内径や、上シリンダ38に形成する孔91Bと上部支持部材54に形成する孔91Aの内径を変えるだけで空間部91を構成することができるようになり、加工性は一段と向上する。
特に、実施例のように上シリンダ38や中間仕切板36部分の空間部91を、複数の孔91B、91C、91D、91Eにより構成すれば、段階的により細かく空間部91の形状を先細りとすることができるようになり、空間部91内において旋回する冷媒を冷媒導出部97より一層円滑に流出させることができるようになる。
また、オイル分離機構90を、吐出弁72と吐出通路70の間に介在するかたちで構成しているので、実施例の如く回転圧縮機構部18を第1及び第2の回転圧縮要素32、34から構成し、第1の回転圧縮要素32で圧縮された冷媒を密閉容器12内に吐出し、この密閉容器12内に吐出された冷媒を第2の回転圧縮要素34を構成する上シリンダ38で圧縮し、吐出消音室62に吐出するロータリコンプレッサ10の如く、吐出消音室62から密閉容器12内を経ること無く、即ち、密閉容器12内でオイルが分離されること無く、冷媒が外部に吐出されるロータリコンプレッサ10のオイルの流出をオイル分離機構90により効果的に抑制することが可能となる。
この場合、オイル分離機構90は吐出弁72と吐出通路70の間に介在するかたちで設けられているので、吐出弁72から吐出消音室62とオイル分離機構90を経て吐出通路70に至る冷媒の流れを円滑化し、且つ、経路も最短距離とすることができる。
尚、実施例ではオイル分離機構90の冷媒導出部97を、上部カバー66の下面に形成された溝により構成したが、それに限らず、配管により冷媒導出部97を構成しても良い。但し、溝により構成すれば、配管で構成する場合に比して構造を著しく簡素化し、生産コストを低減することができるようになる。
また、実施例では所謂内部中間圧型多段(2段)圧縮式の縦型ロータリコンプレッサに本発明を適用したが、それに限らず、所謂単段、若しくは、三段以上の多段圧縮式のロータリコンプレッサに適用しても良く、特に、吐出消音室に吐出された冷媒が、密閉容器内を経ること無く外部に吐出されるものに適用すれば、本発明は極めて有効なものとなる。
即ち、単段の場合には上部支持部材からシリンダ(実施例の上部支持部材54から上シリンダ38)に渡るかたちで空間部91を構成すれば良い。その場合は、オイル溜まり104と細孔98はシリンダに構成しても良く、下部支持部材(実施例の中間仕切板36の位置となる)に構成しても良い。
また、実施例の如き2段圧縮式のロータリコンプレッサの場合にも、上部支持部材54から上シリンダ(第1のシリンダ)38まで渡るかたち、又は、中間仕切板36まで渡るかたちでオイル分離機構90を構成しても良く、その場合はオイル溜まり104と細孔98は上シリンダ(第1のシリンダ)38、又は、中間仕切板36に構成すれば良い。
また、実施例ではオイル分離機構90にて分離されたオイルを細孔98にて密閉容器12内のオイル溜め13に戻したが、それに限らず、回転圧縮機構部18の摺動部等に戻すものしても構わない。更に、実施例では上シリンダ(第1のシリンダ)38と中間仕切板36に異なる径の孔91B、91Cや、91D、91Eを形成したが、それに限らず、上部支持部材54に異なる径の孔を複数形成してもよい。また、実施例では