JP5597915B2 - 貼り合わせウェーハの製造方法 - Google Patents
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「表面に絶縁膜を有したまたは有しない活性層用ウェーハを、直接、支持層用ウェーハと貼り合わせたのち、活性層用ウェーハ部分を薄膜化することからなる、貼り合わせウェーハの製造方法であって、
活性層用ウェーハに酸素イオンを注入して、活性層内に酸素イオン注入層を形成する工程と、
活性層用ウェーハに対し、非酸化性雰囲気中にて1100℃以上の温度で熱処理を施す工程と、
活性層用ウェーハと支持層用ウェーハとを貼り合わせる工程と、
貼り合わせたウェーハの貼り合わせ強度を向上させるための熱処理工程と、
貼り合わせたウェーハの活性層用ウェーハ部分を、酸素イオン注入層の手前まで研削する工程と、
貼り合わせたウェーハの活性層用ウェーハ部分をさらに研磨またはエッチングして、酸素イオン注入層を露出させる工程と、
貼り合わせたウェーハを酸化処理して、酸素イオン注入層の露出面に酸化膜を形成する工程と、
この酸化膜を除去する工程と、
非酸化性雰囲気中にて1100℃以下の温度で熱処理を施して、貼り合わせたウェーハの活性層用ウェーハ部分を平坦化する工程と、
の時系列的結合になることを特徴とする、貼り合わせウェーハの製造方法。」
を開発し、これを開示した(特許文献2参照)。
この方法によれば、活性層の膜厚均一性に比較的優れ、また透過電子顕微鏡(TEM)による評価で比較的欠陥の少ない、直接貼り合わせウェーハの提供が可能になった。
また、研磨後には熱処理工程があるので、表面歪層の重金属はその熱処理でSiウェーハ内部へと拡散する。
しかも貼り合わせウェーハの製造プロセスでは活性層の厚みは通常2μm以下である。
それゆえ従来の方法では、この重金属汚染の、活性層の品質への影響が見られ、活性層が薄膜の場合は、品質への影響がさらに顕著になるという問題があった。
本発明は上記の知見に立脚するものである。
1.活性層用ウェーハと支持層用ウェーハとを貼り合わせて貼り合わせウェーハを製造する方法であって、
前記活性層用ウェーハに酸素イオン注入を施して、前記活性層用ウェーハ中に酸素イオン注入層を形成する工程と、
該工程の後、前記活性層用ウェーハと前記支持層用ウェーハとを直接、または絶縁膜を介して貼り合わせる工程と、
貼り合わせ後の前記活性層用ウェーハを研削により減厚化する工程と、
減厚化した前記活性層用ウェーハの表面に対して、砥粒を含まないエッチング液又はガスを用いて研削ダメージを除去するエッチングを施す工程と、
該エッチング後に、前記酸素イオン注入層を研磨ストップ層として、砥粒濃度が1質量%以下の砥粒を含む研磨液を用いた研磨を行い、前記酸素イオン注入層を露出させる工程と、
露出した前記酸素イオン注入層を除去する工程と、
を含むことを特徴とする、貼り合わせウェーハの製造方法。
まず、本実施形態で対象とする貼り合わせウェーハ及び、図1に示すプロセスフローに従う本実施形態の各製造工程について具体的に説明する。
・貼り合わせウェーハ
本実施形態により、貼り合わせウェーハを作製するには、活性層用ウェーハと支持層用ウェーハの2枚のシリコンウェーハを貼り合わせるわけであるが、本実施形態は両ウェーハの貼り合わせに際し、絶縁膜(酸化膜)を介する場合は勿論のこと、このような絶縁膜を介さずに直接貼り合わせる場合にも適用することができる。
なお、貼り合わせウェーハとしては、貼り合せに適した表面ラフネスが良好なものであれば、ドーパントの種類、濃度および酸素濃度などは限定されない。ただし、欠陥をより低減するためには、COP(Crystal Oriented Particle)がないまたは少ないウェーハが好ましい。ここに、COPの低減には、CZ引き上げ条件を最適化してCOPを少なくする方法、ウェーハ鏡面加工後還元雰囲気中で1000℃以上の高温熱処理を施す方法、ウェーハ上にCVDなどでSiをエピタキシャル成長させる方法などを適用することができる。
先ず本実施形態では、活性層用ウェーハに酸素イオンを注入する。
本実施形態においては、酸素イオン注入時の加速電圧は、最終製品の活性層厚さに応じて適宜選択することができ、特に限定されることはない。従って、通常の酸素イオン注入機の加速電圧:100〜300keV程度で行えばよい。
一方、本実施形態においては酸素イオン注入を、基板温度を200℃以上(例えば450℃)の高温にするとともに、ドーズ量を1.0×1016〜3.0×1017 atoms/cm2に設定して行う。
一方、酸素イオン注入の際のドーズ量が3.0×1017 atoms/cm2を超える場合には、酸素イオン注入の際に高酸素が必要となるため、酸素イオン注入にコストが嵩んでしまう。
次いで本実施形態では、貼り合わせ前の段階で、1100℃以上でかつ1250℃以下の温度で、10分以上熱処理を施す。1100℃未満の温度では、酸素イオン注入層が単一層に纏まらずに二層構造となってしまうか、充分アモルファス状態にならず、研磨ストップ機能が充分高くならない。
一方、1250℃を超える温度では、スリップ転位発生のおそれがある。
この熱処理時、非酸化性雰囲気中で処理することにより、酸素イオン注入時に最表面近傍に注入された酸素を外方へ拡散させて酸素濃度を下げ、貼り合わせ強化熱処理時の最表面近傍の酸素析出物を抑制することに寄与し、その結果、欠陥密度のさらなる低減が可能となる。非酸化性雰囲気としては、ArやH2またはその混合雰囲気などが有利に適合する。
本実施形態では次いで、活性層用ウェーハと支持層用ウェーハとを貼り合わせるが、この貼り合わせに際しては、絶縁膜を介してもよいし、絶縁膜を介さずに直接、貼り合わせることもできる。
絶縁膜を介して貼り合わせを行う場合、絶縁膜としてはBOX等の酸化膜(SiO2)、窒化膜(Si3N4)などが好適である。また、成膜方法としては、酸化雰囲気や窒素雰囲気中での熱処理(熱酸化、熱窒化)、CVDなどが好適である。熱酸化としては、酸素ガスの他、水蒸気を使ったWet酸化なども使用することができる。
さらに、絶縁膜は、酸素イオン注入前に成膜しても良いし、注入後でも良い。
洗浄方法として、一般的なシリコンウェーハ洗浄方法である、SC1+SC2、HF+O3、有機酸またはその組み合わせなどが有効である。
さらに、1000℃以下の貼り合せ温度では貼り合せ強度が十分ではなく、貼り合わせ後の研削・研磨工程の条件(圧力・速度)によっては剥がれる危険性が懸念される場合には、貼り合せ強度を高めるために、貼り合わせ前のシリコン表面に、酸素・窒素・He・H2・Arまたはその混合雰囲気を使ったプラズマによる活性化処理を施すことが有利である。
本実施形態では次いで、貼り合せ強度を高めるための熱処理を行う。この熱処理は、結合強度を十分上げるために、1000℃以上の温度で処理するが、保持時間は1h以内とすることが好ましい。雰囲気については特に制限されないが、次工程の研削工程でのウェーハ裏面の保護のために、酸化雰囲気として、150nm以上の酸化膜をつけることが好ましい。
本実施形態では次いで、活性層用ウェーハを研削および研磨により減厚化し、酸素イオン注入層を露出させる。
貼り合わせウェーハの活性層用ウェーハの研削は、機械式の加工で実施される。この研削では、酸素イオン注入層の表面側に活性層用ウェーハの一部を残す。残される活性層用ウェーハの一部の膜厚は限定されない。
その後の工程での研磨工程時間を短縮するために、酸素イオン注入層の直前まで研削することが好ましいが、研削装置の精度、研削によるダメージ深さ(約2μm)および次工程でのエッチングを考慮すると、残膜Si厚さは6〜10μm 程度とするのが好ましい。
研削に引き続いて、貼り合わせウェーハの活性層用ウェーハの表面をエッチングして、研削ダメージ(研削歪)を除去する。
このエッチングは、40±5%のKOHのアルカリエッチング、フッ酸,硝酸,リン酸を用いた酸エッチングおよび、CF4,O2,N2を用いたガスエッチングのうちの何れか一つを用いるか、もしくは、アルカリエッチングまたは酸エッチングを行い次にガスエッチングを行うか、或いはガスエッチングを先に行い次にアルカリエッチングまたは酸エッチングを行うなど、エッチングを適宜組み合わせて用いる。
エッチング、特に好ましくはアルカリエッチングを行うと、ウェーハ表面の凹凸を除去できるので、研削歪を除去するとともにその歪内の重金属も除去することができる。
アルカリエッチングのためのアルカリ性溶液としては、無機アルカリ溶液(KOH,NaOH等)、有機アルカリ溶液(例えば、アミンを主成分とするピペラジンやエチレンジアミン等)またはこれらの混合溶液などが好適である。
エッチングに引き続いて、貼り合わせウェーハの活性層用ウェーハを研磨して、酸素イオン注入層を露出させる。
この研磨法においては、砥粒濃度が1質量%以下の研磨液を供給しながら行うことが好ましい。このような研磨液としては、砥粒(例えばシリカ)濃度が1質量%以下のアルカリ性溶液が挙げられる。なお、アルカリ性溶液としては先のアルカリエッチングと同様、無機アルカリ溶液(KOH,NaOH等)、有機アルカリ溶液(例えば、アミンを主成分とするピペラジンやエチレンジアミン等)またはこれらの混合溶液などが好適である。
この研磨法は、砥粒濃度が1質量%以下であることもあって、砥粒による機械的な研磨作用はほとんどなく、化学的な研磨作用が優先される。そして、このアルカリ性溶液による化学的な研磨作用により、活性層用ウェーハの一部(Si層)が研磨される。アルカリ性溶液は、Si/(酸素原子を含んだSiアモルファス層)のエッチングレート比が高いため、活性層用ウェーハの一部であるSi層は効率よく研磨することができるが、酸素原子を含んだSiアモルファス層は殆ど研磨されない。従って、研磨装置の機械的精度が十分でなくても、酸素イオン注入層はほとんど研磨されずに、Si層のみが研磨される結果、酸素イオン注入層を均一に露出させることができる。
すなわち、本実施形態における酸素イオン注入層は、充分高い研磨ストップ機能を持つ研磨ストップ層として機能する。
本実施形態では次いで、露出した酸素イオン注入層を除去する。この酸素イオン注入層は、酸素原子を含んだSiアモルファス、一部再結晶化したSiおよびSiO2からなる。除去方法としては、エッチング法、酸化+エッチング法、研磨などが適用できる。
・エッチング法
酸素イオン注入層が完全なSiO2層(BOX層)となるためには酸素ドーズ量・熱処理が必要であるが、十分でない条件を選択しているため、エッチングにはSiO2を除去するHF溶液、Siを除去するアルカリ溶液、またはSiを酸化するSC1溶液やオゾン溶液と酸化して生成したSiO2を除去するHF溶液とを交互に行うなどのエッチング条件が好ましい。
いずれにしても、HF溶液を使用し、HF溶液に浸漬した後、SiO2除去の目安となる、ウェーハ表面全体が撥水面になるまで、酸化+HFを繰り返し行うことが好ましい。
この方法は、酸素イオン注入層の露出面に所定厚さの酸化膜を形成する工程と、この酸化膜を除去する工程からなる。
この酸化処理は、酸化性雰囲気中で行えばよく、処理温度は特に限定されないが、好適には600〜1000℃の酸化性雰囲気である。
但し、酸素イオン注入層のアモルファスが再結晶化されることで発生するSiO2粒子に起因した表面ラフネスの劣化を抑制するためには、低温で処理することが好ましく、600〜900℃がより好ましい。
低温で酸化処理を行う場合、酸化膜成長速度を大きくするために、H2O蒸気を使ったWet酸化やHClガスを含んだ酸化性ガス処理の塩酸酸化を適用することができ、高いスループットを得るためにより好ましい。
酸化膜の厚さは、特に限定されるものではないが、酸素イオン注入層に結晶欠陥層が存在する場合には、その厚さ以上とすることが好ましく、本実施形態の酸素イオン注入条件においては、100〜500nm程度とすることが好ましい。酸化膜の厚さが100nm未満では、本実施形態の酸素イオン注入条件ではSiアモルファス層を十分に除去することができず、一方500nm超では、酸化膜の面内均一性の崩れにより、活性層膜厚均一性が劣化する。
この酸化膜を除去するには、HF液による洗浄でもよいし、水素ガスやArガスまたはHFを含むガスを使ったアニールによるエッチングでもよい。ここに、上記の酸化処理および除去処理は、複数回行ってもよい。これにより、平坦化された表面粗さを維持したまま、活性層の一層の薄膜化が可能となる。
酸化膜を除去した後に、例えば有機酸とフッ酸との混合液に貼り合わせウェーハを浸積して、貼り合わせウェーハの表面に付着するパーティクルおよび金属不純物を除去することは有利である。
本実施形態では次いで、活性層用ウェーハ表面の平坦化等を行う。
酸素イオン注入層除去後の貼り合わせウェーハ表面は、鏡面研磨と比較すると荒れているため、平坦にすることが望ましい。
平坦化方法としては、還元雰囲気中での熱処理、研磨およびSiエッチングができるガス・イオン・ラジカルなどからなるガスエッチングなどが適用できる。
・研磨法
貼り合わせ表面を極僅か研磨してラフネスを改善する。研磨代は10〜500nm程度とするのが好ましい。10nm未満では十分にラフネスが改善できず、一方500nm超えでは活性層の膜厚均一性が劣化する。この処理により、表面ラフネス(RMS)を0.5nm以下にすることが可能である。
Ar、H2またはその混合雰囲気中で熱処理することにより、貼り合わせウェーハ表面のラフネスを改善する。処理温度は1000℃以上1300℃以下程度とすることが好ましい。処理時間については低温ほど長時間とする必要があり、1000〜1200℃では1〜2h程度、1200〜1250℃では10〜30min程度、1250℃以上では1〜5min程度とすることが好ましい。上記の温度および時間を超えて高温・長時間熱処理にすると、非酸化性雰囲気のエッチング作用により活性層の面内均一性が劣化するおそれがある。
本実施形態では、貼り合せ後、酸素イオン注入層除去までの熱処理が1000℃以上の温度域における滞在時間が1h以内に制限されるため、必ずしも十分な貼り合せ強度が得られるとは限らない。よって、酸素イオン注入層除去後に貼り合せ強度が改善される1100℃以上の温度での平坦化処理は、より好ましい。
貼り合せ前処理でプラズマなどによる表面活性化を施した場合は、必ずしも1100℃以上の熱処理は必要ない。
熱処理炉としては、複数枚を同時に処理できる抵抗加熱型の縦型炉または一枚毎処理するランプ加熱式のRTA(高速昇降温炉)などが好適である。特に1200℃以上の処理ではRTAが有効である。
そして、上記の熱処理により、研磨法の場合と同様に、表面ラフネス(RMS)を0.5nm以下にすることが可能である。
この熱処理により生じた表面酸化膜の除去は、HF液による洗浄でもよいし、水素ガスやArガスまたはHFを含むガスを使ったアニールによるエッチングを用いてもよい。
CZ法により育成され、ボロンがドーパントとされたシリコンインゴットからスライスした直径:300mmのシリコンウェーハを2枚×2組準備して、1組を実施例、1組を比較例とし、各組の2枚のうち一方のシリコンウェーハを活性層用ウェーハとするとともに、他方のシリコンウェーハを支持層用ウェーハとした。
実施例、比較例とも活性層用ウェーハに対し、酸化雰囲気中にて1000℃で3hの熱処理を施し、厚さ:150nmの酸化膜を成膜した。
次に、実施例、比較例とも活性層用ウェーハの表面から、酸素イオン注入を加速電圧:200 keVで実施した。この際、実施例、比較例の何れも、基板温度を450℃とするとともに、ドーズ量を1.2×1017atoms/cm2とした。
その結果、実施例、比較例とも活性層用ウェーハの表面から約600〜800nmの深さ位置に酸素イオン注入層が形成された。
次いで、実施例、比較例とも活性層用ウェーハを非酸化性(Ar)雰囲気中で、1200℃×1hr(時間)貼り合わせ前熱処理(アニール)した。
その後、各組の両ウェーハの貼り合わせ界面を強固に結合するための貼り合わせ後熱処理(アニール)を行った。熱処理条件は、酸化性ガス雰囲気中で1000℃、1時間とし、貼り合せウェーハ表裏面に約150nm厚の酸化膜をつけ、後加工時の裏面保護膜とした。
次に、研削装置を用いて、各貼り合わせウェーハの活性層用ウェーハを、その表面から所定の厚さ分だけ研削した。すなわち、酸素イオン注入層の表面側に活性層用ウェーハの一部(膜厚略5μm)だけを残す研削処理を施した。
Claims (2)
- 活性層用ウェーハと支持層用ウェーハとを貼り合わせて貼り合わせウェーハを製造する方法であって、
前記活性層用ウェーハに酸素イオン注入を施して、前記活性層用ウェーハ中に酸素イオン注入層を形成する工程と、
該工程の後、前記活性層用ウェーハと前記支持層用ウェーハとを直接、または絶縁膜を介して貼り合わせる工程と、
貼り合わせ後の前記活性層用ウェーハを研削により減厚化する工程と、
減厚化した前記活性層用ウェーハの表面に対して、砥粒を含まないエッチング液又はガスを用いて研削ダメージを除去するエッチングを施す工程と、
該エッチング後に、前記酸素イオン注入層を研磨ストップ層として、砥粒濃度が1質量%以下の砥粒を含む研磨液を用いた研磨を行い、前記酸素イオン注入層を露出させる工程と、
露出した前記酸素イオン注入層を除去する工程と、
を含むことを特徴とする、貼り合わせウェーハの製造方法。 - 前記エッチング方法として、アルカリエッチング、酸エッチングおよびガスエッチングの少なくとも一つを用いることを特徴とする、請求項1記載の貼り合せウェーハの製造方法。
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