JP5596600B2 - 多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池 - Google Patents
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Description
つまり、リチウムイオン電池は、発火等の安全性と世界情勢によっては供給安定性に不安があり、今後さらなるエネルギー密度の向上が必要とされるため、クリーンエネルギーを効率的かつ安定的に安心して使用するための革新型電池の開発が急務である。
特許文献2には、リチウムイオン電池よりも優れた性能を示すと言われているリチウム−空気二次電池に関する具体的な実施例が示されている。また、実施例こそ報告されていないもののマグネシウム空気二次電池の可能性が示唆されている。
特許文献4には、マグネシウムイオン伝導性電解液の報告がある。マグネシウムイオンの電解液としてグリニャール試薬を使用すると電位窓が小さくなるため、電池として不十分であるという課題があるところ、これを解決し、ドライルーム等の一般的な製造環境で製造できるとされている。
特許文献6には、金属マグネシウムやマグネシウムイオンではなく、水素化マグネシウムを水素発生源とし、燃料として利用した燃料電池、及び水素化マグネシウムを負極として利用した二次電池について報告されている。水素化マグネシウムが反応して水素を発生する際に、水酸化マグネシウムの皮膜が形成されて電気化学反応を止めてしまうという課題を、塩化マグネシウムを利用したり、粒子系を数ナノ〜100μmに微粉化することによって除去し、解決できるとされている。
今後、自動車用途、住宅用途としてさらなるエネルギー密度の向上が期待されているが、リチウムの反応性は高く、過去には電池が発火したこともあり、安全性に対して不安があった。
また、リチウムイオン電池に使われるリチウムはレアメタルであり、世界情勢によっては供給安定性に不安があった。
さらに、多価イオンで金属空気二次電池を作製すると、放電時に正極で生じる金属酸化物や金属水酸化物が充電時に分解しにくいため、放電は可能でも充電は容易に行えないという課題があった。
下記一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)からなる群から選ばれる1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)と、下記一般式(A2−a1)及び(A2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩(A2)と、下記一般式(B)で表される多価イオン塩(B)と、下記一般式(C)で表される金属−酸素結合による架橋構造を含む金属−酸素結合型構造体(C)と、が配合されてなることを特徴とする多価イオン伝導性材料。
一般式(A1−a2)中、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記R3とR4とが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A1−a2)中、L1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X2は前記一般式(A1−a1)におけるX1と同じであり、 (Z2)−は前記一般式(A1−a1)における (Z1)−と同じである。
一般式(A1−b)中、R5及びR6はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、前記R5とR6とが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A1−b)中、X3は前記一般式(A1−a1)におけるX1と同じであり、X4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は前記一般式(A1−a1)におけるX1と同じであり、 (Z3)−は前記一般式(A1−a1)における (Z1)−と同じである。]
一般式(A2−a2)中、R16及びR17はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記R16とR17とが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A2−a2)中、L2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、W2は前記一般式(A2−a1)におけるW1と同じであり、(Z5)−は前記一般式(A2−a1)における(Z4)−と同じである。]
R7は炭素数1〜100の二価の炭化水素基若しくはアルキレンオキシド又は酸素原子であり、R8、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基若しくは式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基で表される基であり、
n8、n9、n10及びn11は0又は1であり、「n8+n9+2」及び「n10+n11+2」は各々のMの原子価に一致し、
m1は1以上の整数であり、m1が2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR7、R8及びR9はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn8及びn9はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
下記一般式(A3)で表される四級アンモニウム塩(A3)を更に配合してなることを特徴とする請求項1に記載の多価イオン伝導性材料。
W3及びW4は、それぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはフルオロアルキル基、前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数1〜6のフルオロアルコキシ基若しくはアルコキシ基であり、
(Z6)−は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。]
本発明の請求項4に記載の多価イオン伝導性電解質は、請求項3において、前記X1、X2、X3又はX4の一部が重合され、さらに残りの少なくとも一部が前記金属−酸素結合型構造体(C)と結合しているものであることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の多価イオン伝導性電解質は、請求項3又は4において、請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料が、多孔質基材(G)に含浸されたことを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料を電極上に配し、乾燥、加熱、又は紫外線照射によって仮硬化させ、多価イオン伝導性電解質を形成した後、該多価イオン伝導性電解質上に対電極を配置して、加熱によって本硬化させることにより、該多価イオン伝導性電解質が前記電極及び対電極と接合されたものであることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、請求項3、4又は5に記載の多価イオン伝導性電解質が膜状に成形され、該膜の一方の面に正極が、他方の面に負極がそれぞれ接合されたことを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の多価イオン電池は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の多価イオン電解質を使用したことを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の多価イオン電池は、請求項6又は7に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の多価イオン電池は、請求項9において、前記多価イオン伝導性電解質−電極接合体をラミネートセルに組んでなる複数の単位セルが、積層及び連結されたことを特徴とする。
本発明の多価イオン伝導性材料は、下記一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)からなる群から選ばれる1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)と、下記一般式(A2−a1)及び(A2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩(A2)と、下記一般式(B)で表される多価イオン塩(B)と、下記一般式(C)で表される金属−酸素結合による架橋構造を含む金属−酸素結合型構造体(C)と、が配合されてなるものである。
本発明の多価イオン伝導性材料のA1成分は、下記一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)からなる群から選ばれる1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)である。
以下、一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)で表される化合物を、それぞれ化合物(A1−a1)、化合物(A1−a2)、及び化合物(A1−b)と呼ぶことがある。また、不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)を単にA1成分と呼ぶことがある。
化合物(A1−a1)は、下記一般式(A1−a1)で表される不飽和結合型窒素原子含有塩である。ここで、「不飽和結合型」とは、一般式(A1−a1)中のX1が重合性の不飽和結合を有することを意味する。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R1とR2とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R20は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R21は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R22、R23及びR24は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記(R25−SO3)−の好適なものとして、例えばメチルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン)、エチルスルホン酸イオン(エタンスルホン酸イオン)、n−プロピルスルホン酸イオン(n−プロパンスルホン酸イオン)、イソプロピルスルホン酸イオン(イソプロパンスルホン酸イオン)、n−ブチルスルホン酸イオン(n−ブタンスルホン酸イオン)、tert−ブチルスルホン酸イオン(tert−ブタンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
前記(R26−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記(R27−O−SO3)−の好適なものとして、例えばメトキシスルホン酸イオン(メチル硫酸イオン)、エトキシスルホン酸イオン(エチル硫酸イオン)、n−プロポキシスルホン酸イオン(n−プロピル硫酸イオン)、イソプロポキシスルホン酸イオン(イソプピル硫酸イオン)、n−ブトキシスルホン酸イオン(n−ブチル硫酸イオン)、tert−ブトキシスルホン酸イオン(tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記(R28−O−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシスルホン酸イオン(トリフルオロメチル硫酸イオン)、ペンタフルオロエトキシスルホン酸イオン(ペンタフルオロエチル硫酸イオン)、ヘプタフルオロ−n−プロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロ−n−プロピル硫酸イオン)、ヘプタフルオロイソプロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロイソプピル硫酸イオン)、ノナフルオロ−n−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−n−ブチル硫酸イオン)、ノナフルオロ−tert−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記(R67−O−R68−SO3)−において、「R67−O−」は「−R68−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R68−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO3」の硫黄原子に結合する。
前記(R67−O−R68−SO3)−の好適なものとして、例えばメトキシメチレンスルホン酸イオン、メトキシエチレンスルホン酸イオン、エトキシメチレンスルホン酸イオン、n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、イソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記(R69−O−R70−SO3)−において、「R69−O−」は「−R70−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R70−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO3」の硫黄原子に結合する。
前記(R69−O−R70−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレンスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシエチレンスルホン酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記[(R29−SO2−)2N]−の好適なものとして、例えばビス(メチルスルホニル)イミドイオン、ビス(エチルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(イソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記[(R30−SO2−)2N]−の好適なものとして、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
R30がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO2−)2N]−も好適なものとして挙げられる。
前記[(R31−SO2−)(F−SO2−)N]−の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
R31がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO2−)2N]−も好適なものとして挙げられる。
前記(R32−COO−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボン酸イオン(トリフルオロ酢酸イオン)、ペンタフルオロエチルカルボン酸イオン(ペンタフルオロプロパン酸イオン)、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸イオン(ヘプタフルオロブタン酸イオン)、ノナフルオロブチルカルボン酸イオン(ノナフルオロペンタン酸イオン)等が挙げられる。
前記(R33−BF3 −)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記(R34−O−BF3 −)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
化合物(A1−a2)は、下記一般式(A1−a2)で表される不飽和結合型窒素原子含有塩である。ここで、「不飽和結合型」とは、一般式(A1−a2)中のX2が重合性の不飽和結合を有することを意味する。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R3とR4とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記L1は炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。短い連結基であると、本発明にかかる多価イオン電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる多価イオン伝導性電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
化合物(A1−b)は、下記一般式(A1−b)で表される不飽和結合型窒素原子含有塩である。ここで、「不飽和結合型」とは、一般式(A1−b)中のX3及びX4が重合性の不飽和結合を有することを意味する。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
これらのなかでも、直鎖状のアルキル基を複数有するアンモニウムカチオンは、耐電位性に優れることから、好適である。
本発明の多価イオン伝導性材料のA2成分は、下記一般式(A2−a1)及び(A2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩(A2)である。
以下、一般式(A2−a1)及び(A2−a2)で表される化合物を、それぞれ化合物(A2−a1)、及び化合物(A2−a2)と呼ぶことがある。また、窒素原子含有塩(A2)を単にA2成分と呼ぶことがある。
化合物(A2−a1)は、下記一般式(A2−a1)で表される窒素原子含有塩である。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R14とR15とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R35は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R36は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R37、R38及びR39は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記(R42−SO3)−の好適なものとして、例えばメチルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン)、エチルスルホン酸イオン(エタンスルホン酸イオン)、n−プロピルスルホン酸イオン(n−プロパンスルホン酸イオン)、イソプロピルスルホン酸イオン(イソプロパンスルホン酸イオン)、n−ブチルスルホン酸イオン(n−ブタンスルホン酸イオン)、tert−ブチルスルホン酸イオン(tert−ブタンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
前記(R43−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記(R44−O−SO3)−の好適なものとして、例えばメトキシスルホン酸イオン(メチル硫酸イオン)、エトキシスルホン酸イオン(エチル硫酸イオン)、n−プロポキシスルホン酸イオン(n−プロピル硫酸イオン)、イソプロポキシスルホン酸イオン(イソプピル硫酸イオン)、n−ブトキシスルホン酸イオン(n−ブチル硫酸イオン)、tert−ブトキシスルホン酸イオン(tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記(R45−O−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシスルホン酸イオン(トリフルオロメチル硫酸イオン)、ペンタフルオロエトキシスルホン酸イオン(ペンタフルオロエチル硫酸イオン)、ヘプタフルオロ−n−プロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロ−n−プロピル硫酸イオン)、ヘプタフルオロイソプロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロイソプピル硫酸イオン)、ノナフルオロ−n−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−n−ブチル硫酸イオン)、ノナフルオロ−tert−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記(R71−O−R72−SO3)−において、「R71−O−」は「−R72−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R72−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO3」の硫黄原子に結合する。
前記(R71−O−R72−SO3)−の好適なものとして、例えばメトキシメチレンスルホン酸イオン、メトキシエチレンスルホン酸イオン、エトキシメチレンスルホン酸イオン、n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、イソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記(R73−O−R74−SO3)−において、「R73−O−」は「−R74−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R74−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO3」の硫黄原子に結合する。
前記(R73−O−R74−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレンスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシエチレンスルホン酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記[(R46−SO2−)2N]−の好適なものとして、例えばビス(メチルスルホニル)イミドイオン、ビス(エチルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(イソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記[(R47−SO2−)2N]−の好適なものとして、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
R47がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO2−)2N]−も好適なものとして挙げられる。
前記[(R48−SO2−)(F−SO2−)N]−の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
R48がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO2−)2N]−も好適なものとして挙げられる。
前記(R49−COO−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボン酸イオン(トリフルオロ酢酸イオン)、ペンタフルオロエチルカルボン酸イオン(ペンタフルオロプロパン酸イオン)、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸イオン(ヘプタフルオロブタン酸イオン)、ノナフルオロブチルカルボン酸イオン(ノナフルオロペンタン酸イオン)等が挙げられる。
前記(R50−BF3 −)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記(R51−O−BF3 −)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
化合物(A2−a2)は、下記一般式(A2−a2)で表される窒素原子含有塩である。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R16とR17とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記L2は炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。短い連結基であると、本発明にかかる多価イオン電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる多価イオン伝導性電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
本発明の多価イオン伝導性材料のB成分は、下記一般式(B)で表される化合物群から選ばれる1種以上の多価イオン塩(B)である。
以下、一般式(B)で表される化合物を化合物(B)と呼ぶことがある。また、多価イオン塩(B)を単にB成分と呼ぶことがある。
前記(R75−O−R76−)において、「R75−O−」は「−R76−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R76−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO2−」の硫黄原子に結合する。
前記(R75−O−R76−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレン基、トリフルオロメトキシエチレン基、ペンタフルオロエトキシメチレン基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレン基、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレン基、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレン基、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレン基等が挙げられる。
前記(R53−SO2−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル基、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル基、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル基、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル基等が挙げられる。
前記(R54−COO−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボニル基、ペンタフルオロエチルカルボニル基、ヘプタフルオロプロピルカルボニル基、ノナフルオロブチルカルボニル基等が挙げられる。
本発明の多価イオン伝導性材料のC成分は、下記一般式(C)で表される化合物群から選ばれる1種以上の金属−酸素結合型構造体(C)である。
以下、一般式(C)で表される化合物を化合物(C)と呼ぶことがある。また、金属−酸素結合型構造体(C)を単にC成分と呼ぶことがある。
R7は炭素数1〜100の二価の炭化水素基若しくはアルキレンオキシド又は酸素原子であり、R8、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基{CH2=C(−O−)−CH2−}、アセチルアセトナート基{CH3C(=O)CH=C(−O−)−CH2−}、アセテート基{CH3C(=O)−}、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基若しくは式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基で表される基であり
n8、n9、n10及びn11は0又は1であり、「n8+n9+2」及び「n10+n11+2」は各々のMの原子価に一致し、
m1は1以上の整数であり、m1が2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR7、R8及びR9はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn8及びn9はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。
R7の二価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。R7のアルキレンオキシドは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
前記脂肪族炭化水素基の特に好ましいものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が例示できる。
m1が2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。また、m1が2以上である場合には、複数のR7はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、同様に、複数のR8及びR9も、それぞれ互いに同一でも異なっていても良い。この場合、例えば、金属−酸素結合型構造体(C)は、R7として炭素数1〜100の二価の炭化水素基と酸素原子とを両方含むものであっても良く、このようなものとして、一般式「−M−R7’−M−O−(式中、R7’は炭素数1〜100の二価の炭化水素基を表す)」で表される繰り返しの基本骨格を有するものが例示できる。
また、m1が2以上である場合には、複数のn8はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、同様に、複数のn9もそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。
また、スズジアセテート、クロムアセチルアセトナート、又はクロムアセテートヒドロキシドなどを前記金属アルコキシドに添加して加水分解し、この加水分解物を重合させることによって得られた生成物も、前記金属−酸素結合型構造体(C)として使用できる。なお、前記生成物には、前記金属アルコキシドのアルコキシ基がアセテート基、アセチルアセトナート基といった他の置換基で置換された金属アルコキシドが含まれている。
前記ケイ酸塩としては、ケイ酸マグネシウムが好ましい。
このような適切な金属−酸素結合型構造体(C)としては、金属−酸素結合型構造体(C)形成時の重合温度が300℃以下であるもの、金属−酸素結合構造体(C)にアルコキシ基又は不飽和二重結合が一つ以上残存しているものが例示できる。
このような金属−酸素結合型構造体(C)は、前記A成分及びB成分の存在下での分散性が良好であり、これらの重合が容易に進行し、形成される多価イオン伝導性材料を使用した電解質の構造がより均一で好ましいものとなる。
本発明の多価イオン伝導性材料は、前記不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)、前記窒素原子含有塩(A2成分)、前記多価イオン塩(B成分)、及び前記金属−酸素結合型構造(C)を配合してなる硬化性組成物である。A1成分のカチオンは反応性二重結合(重合性不飽和二重結合)を有するため、これが互いに重合してポリマー化することにより、硬化させることができる。また、C成分が反応性二重結合を有する場合は、A1成分とC成分とが結合したポリマーを形成できる。
本発明の多価イオン伝導性材料のA3成分は、下記一般式(A3)で表される化合物群から選ばれる1種以上の四級アンモニウム塩(A3)である。
以下、一般式(A3)で表される化合物を化合物(A3)と呼ぶことがある。また、四級アンモニウム塩(A3)を単にA3成分と呼ぶことがある。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記(R57−SO3)−の好適なものとして、例えばメチルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン)、エチルスルホン酸イオン(エタンスルホン酸イオン)、n−プロピルスルホン酸イオン(n−プロパンスルホン酸イオン)、イソプロピルスルホン酸イオン(イソプロパンスルホン酸イオン)、n−ブチルスルホン酸イオン(n−ブタンスルホン酸イオン)、tert−ブチルスルホン酸イオン(tert−ブタンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
前記(R58−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記(R59−O−SO3)−の好適なものとして、例えばメトキシスルホン酸イオン(メチル硫酸イオン)、エトキシスルホン酸イオン(エチル硫酸イオン)、n−プロポキシスルホン酸イオン(n−プロピル硫酸イオン)、イソプロポキシスルホン酸イオン(イソプピル硫酸イオン)、n−ブトキシスルホン酸イオン(n−ブチル硫酸イオン)、tert−ブトキシスルホン酸イオン(tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記(R60−O−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシスルホン酸イオン(トリフルオロメチル硫酸イオン)、ペンタフルオロエトキシスルホン酸イオン(ペンタフルオロエチル硫酸イオン)、ヘプタフルオロ−n−プロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロ−n−プロピル硫酸イオン)、ヘプタフルオロイソプロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロイソプピル硫酸イオン)、ノナフルオロ−n−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−n−ブチル硫酸イオン)、ノナフルオロ−tert−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記(R77−O−R78−SO3)−において、「R77−O−」は「−R78−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R78−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO3」の硫黄原子に結合する。
前記(R77−O−R78−SO3)−の好適なものとして、例えばメトキシメチレンスルホン酸イオン、メトキシエチレンスルホン酸イオン、エトキシメチレンスルホン酸イオン、n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、イソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記(R79−O−R80−SO3)−において、「R79−O−」は「−R80−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R80−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO3」の硫黄原子に結合する。
前記(R79−O−R80−SO3)−の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレンスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシエチレンスルホン酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記[(R61−SO2−)2N]−の好適なものとして、例えばビス(メチルスルホニル)イミドイオン、ビス(エチルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(イソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記[(R62−SO2−)2N]−の好適なものとして、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記[(R63−SO2−)(F−SO2−)N]−の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記(R64−COO−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボン酸イオン(トリフルオロ酢酸イオン)、ペンタフルオロエチルカルボン酸イオン(ペンタフルオロプロパン酸イオン)、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸イオン(ヘプタフルオロブタン酸イオン)、ノナフルオロブチルカルボン酸イオン(ノナフルオロペンタン酸イオン)等が挙げられる。
前記(R65−BF3 −)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記(R66−O−BF3 −)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
本発明の多価イオン伝導性材料には、不飽和結合を少なくとも含む架橋剤(D成分)を配合しても良い。架橋剤を含むことにより、A1成分のカチオン同士が重合してなるポリマー同士又はA1成分のカチオンとC成分が重合してなるポリマー同士を架橋することができる。これにより、多価イオン伝導性材料を重合させてなる多価イオン伝導性電解質の構造的強度(機械的強度)を一層高めることができる。
二つの不飽和結合を有する化合物としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、1,6−ヘキサンジイルビス[オキシ(2−ヒドロキシー3,1−プロパンジイル)]ビスアクリレート、3−(アクリロイロキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネートジアクリレート、ビス[2−(メタクリロイロキシ)エチル]ホスファート、ビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、ジウレタンジメタクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートビス[6−(アクリロイロキシ)ヘキサノエート]、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’―エチレンビス(アクリルアミド)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、プロピレングリコールグリセロレートジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートメチルエーテルジアクリレート、2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、アリルエーテル、ジアリルカーボネート、マレイン酸ジアリル、ジアリルスクシネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等のモノマー;一種以上の前記モノマーが重合したオリゴマー又はポリマーが例示できる。
前記シラン化合物としては、例えば、3−(アクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、ジアリルジメチルシラン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のモノマー;一種以上の前記モノマーが重合したオリゴマー又はポリマーが例示できる。
三つ以上の不飽和結合を有する化合物は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
本発明の多価イオン伝導性材料は、さらに、多価イオン伝導性液体(E成分)を配合することが好ましい。
前記E成分としては、公知の二次電池用電解質として使用される可塑剤(溶媒)が挙げられ、好ましいものとして具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、スルホラン、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,2,2,3−プロパンテトラカルボニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、1,3,5−シクロヘキサントリカルボニトリル、炭酸エチルメチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が例示できる。
前記低分子液体としては、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−シアノエチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、グリセロールエトキシレート等が例示できる。
前記イオン性液体としては、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヘキサフルオロフォスファート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド等が例示できる。そして、これらのうち、塩は、イオン伝導の対象であるマグネシウムイオンに対するカウンターイオン(カウンターマグネシウムイオン)を有するものが好ましい。
本発明の多価イオン伝導性材料は、さらに、添加剤(F)として、ルイス酸(F1)、リン酸エステル(F2)及び無機粒子(F3)からなる群より選択される少なくとも一種を配合することが好ましい。多価イオン伝導性材料は、添加剤(F)を配合することにより、可動イオンの伝導性が一層向上する。
添加剤(F)は、本発明の多価イオン伝導性電解質に含浸された状態で含まれる。
リン酸エステル(F2)としては、トリエチルフォスファート、トリプロピルフォスファート、トリブチルフォスファート、リン酸トリス(トリメチルシリル)エステル、トリス(2−ブトキシエチル)フォスファート、トリメチルシリルポリフォスファート等が例示できる。
無機粒子(F3)としては、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉄、チタン酸鉛等が例示できる。
本発明の多価イオン伝導性材料は、不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)、窒素原子含有塩(A2成分)、多価イオン塩(B成分)及び金属−酸素結合型構造体(C成分)、並びに必要に応じて、四級アンモニウム塩(A3成分)、架橋剤(D成分)、多価イオン伝導性液体(E成分)、添加剤(F成分)等のその他の成分を配合することで製造できる。
各成分は、これらを順次添加しながら混合しても良いし、全成分を添加してから混合しても良く、配合成分を均一に溶解又は分散させることができれば良い。
前記各成分の混合方法は、特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼、ボールミル、スターラー、超音波分散機、超音波ホモジナイザー、自公転ミキサー等を使用する公知の方法を適用すれば良い。
混合温度、混合時間等の混合条件は、各種方法に応じて適宜設定すれば良いが、通常は、混合時の温度は10〜50℃であることが好ましく、混合の総時間は30〜90分であることが好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における窒素原子含有塩(A2成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における多価イオン塩(B成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが特に好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における金属−酸素結合型構造体(C成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、8〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における四級アンモニウム塩(A3成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、0〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
多価イオン伝導性材料における熱重合開始剤の配合量も、多価イオン伝導性材料に含まれる前記重合性不飽和二重結合の種類や量にもよるが、1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが特に好ましい。
本発明の多価イオン伝導性電解質は、前述の多価イオン伝導性材料に含まれる不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)を構成するカチオンのX1、X2、X3又はX4の少なくとも一部が重合されたもの、又は前記多価イオン伝導性材料を後述の多孔質基材(G)に含浸させたものである。
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、前述の多価イオン伝導性材料に含まれる不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)を構成するカチオンのX1、X2、X3又はX4の少なくとも一部が重合されたものが好ましい。
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、前記X1、X2、X3又はX4の一部が重合され、さらに前記X1、X2、X3又はX4の残りの少なくとも一部が金属−酸素結合型構造体(C成分)と結合しているものであることがより好ましい。
ここで、前記X1、X2、X3又はX4の少なくとも一部が重合されている状態としては、多価イオン伝導性材料中の前記X1、X2、X3又はX4の有する反応性二重結合のうち、0.1〜100%が重合していることが好ましく、10〜100%が重合していることがより好ましく、50〜100%が重合していることがさらに好ましい。なお、仮重合及び本重合の意味は、前述の通りである。また、前記X1、X2、X3又はX4の一部が重合されている状態としては、多価イオン伝導性材料中の前記X1、X2、X3又はX4の有する反応性二重結合のうち、例えば20〜80%が重合している状態が挙げられる。
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、該多価イオン伝導性電解質を膜状に成形した多価イオン伝導性電解質膜とすることが好ましい。これにより、小型電池の電解質として使用できる。
前記多価イオン伝導性電解質膜は、本発明の多価イオン伝導性電解質を膜状に成形することで製造できる。この時、多価イオン伝導性電解質の製造時に使用した、多価イオン伝導性液体(E成分)に該当しない溶媒は、乾燥により除去することが好ましい。そして、溶媒は減圧乾燥により除去することが好ましい。
多価イオン伝導性電解質を膜状に形成する方法としては、平板基材上に、スピンコーター等を使用して前記多価イオン伝導性材料を均一に塗布し、UV照射や加熱処理等によって硬化させる方法が例示できる。
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、前記多価イオン伝導性材料が多孔質基材(G)に含浸されたものも挙げられる。この場合、前記多価イオン伝導性材料の不飽和二重結合が重合されて硬化していても良いし、該不飽和二重結合が重合されずに単に含浸されただけのものであっても良い。
多孔質基材(G)は、有機材料からなるものでも良いし、無機材料からなるものでも良い。これら材料には、レーヨンや精製セルロースのようなセルロース系繊維、絹のようなフィブリル化を起こし易い繊維も含まれる。
多孔質基材(G)の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は0.3〜100μmであることが好ましく、0.5〜80μmであることがより好ましい。
本発明の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、前述の多価イオン伝導性電解質を電極及び対電極に接合させたものである。ここで、「電極及び対電極」は、電池における正極と負極のように、対になる電極の組み合わせをいう。つまり、前記電極が正極である場合は前記対電極が負極であり、前記電極が負極である場合は前記対電極が正極である。また、前記「接合」とは、前記多価イオン伝導性電解質と前記電極とが電気化学的に接続されていることを意味する。例えば、前記多価イオン伝導性電解質と前記電極及び対電極とが物理的に接触することにより、これらを接合できる。
以下では、本発明の多価イオン伝導性電解質−電極接合体を、単に「電解質−電極接合体」と略記することがある。
前記乾燥、加熱、又は紫外線照射の条件は、多価イオン伝導性電解質に含まれる不飽和二重結合や重合開始剤等の含有量に基づいて、適宜設定すればよい。
前記多価イオン伝導性電解質膜と負極との接合も、正極の場合と同様である。
本発明の多価イオン電池(多価イオン二次電池)は、前述の本発明にかかる多価イオン電解質を使用したものである。
また、本発明の多価イオン電池(多価イオン二次電池)は、前述の「電解質−電極接合体」を備えたものが好ましい。
本発明の多価イオン電池としては、電池の外装体として電池缶の代わりにラミネートフィルムを使用し、前記電解質−電極接合体をラミネートセルに組んで構成した薄型電池が好ましく、この薄型電池を単位セルとして、複数の前記単位セルが積層され、連結されたものが好ましい。このような構成とすることにより、前記単位セルが電気的に直列に接続されるので、一層高出力の電池となる。
[実施例1]
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)の合成〕
容積1Lの三口フラスコに、メタクリル酸2−(ジエチル)アミノエチル(50.93g)とテトラヒドロフラン(400mL)を入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン(24.19mL)をテトラヒドロフラン(500mL)に溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムの白色結晶を得た。
得られた白色結晶(63.9g)を精製水(300mL)に溶かし、氷冷下、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(57.42g)を水溶液(300mL)としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを得た。
容積1Lの三口フラスコに、1−エチルイミダゾール(36.81g)とテトラヒドロフラン(400mL)を入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン(19.25mL)をテトラヒドロフラン(500mL)に溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウムを得た。
得られたヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(46.3g)を精製水(300mL)に溶かし、氷冷下、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(53.74g)を水溶液(300mL)としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルとジエチルエーテルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(67.4g)を得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、−20℃の条件で1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド47gとちょうど半分のモル数に相当する水酸化マグネシウムを反応させた。48時間かけて、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドの水溶液を滴下し、中和反応を行った。真空下、減圧乾燥を行い、マグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(93g)を得た。
3−(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(11.3g、東京化成社製)、ビニルトリメトキシシラン(20.1g、東京化成社製)、ビス(エトキシジメチルシリル)オクタン(13.8g、アヅマックス社製)、ビス(トリエトキシシリル)オクタン(12.6g、ジェレスト社製)、テトラエトキシシラン(37.8g、東京化成社製)、テトラメトキシシラン(11.4g、東京化成社製)、2−シアノエチルトリエトキシシラン(10.1g、東京化成社製)をフラスコに計量した。エタノール(30.2g、和光純薬社製)、メタノール(22.5g、和光純薬社製)を加え、0℃で30分間撹拌した。次いで、0.01N塩酸(8.2g)、エタノール(19.3g、和光純薬社製)、メタノール(25.6g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、0℃で2時間撹拌し、40℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。続いて、フッ化カリウム(0.361g、和光純薬社製)、エタノール(14.7g、和光純薬社製)、メタノール(8.9g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、40℃で2時間撹拌し、80℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。得られた混合溶液を0℃に冷却した後、40℃真空にて残存アルコール、水を分留した。得られた溶液を再度0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で1時間撹拌した後、メンブレンフィルター(ミリポア社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を使用して濾過した。さらにもう一度濾過した後、得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、金属−酸素結合型構造体(C)として、ケイ素−酸素結合型構造体(不飽和二重結合含有ケイ素−酸素結合オリゴマー)(81.6g、無色透明液体)を得た。このケイ素−酸素結合型構造体の化学式は、上記合成方法に基づくと、下記化学式(C−01)であると考えられる。
下記化学式(A1−01)で表されるA1成分である、N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(15.3g)と、下記化学式(A2−01)で表されるA2成分である、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(13.7g)と、下記化学式(B1−01)で表されるB成分である、マグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(2.13g)と、前記化学式(C−01)で表されるC成分である、ケイ素−酸素結合型構造体(10.2g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(35mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.13g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.32g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(0.91g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(1)を得た。
得られた多価イオン伝導性材料(1)の溶液(3.58g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(1)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(1)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(1)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)〕
実施例1で合成した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B)〕
実施例1で合成した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔金属−酸素結合型構造体(C)〕
実施例1で合成した同一のケイ素−酸素結合型構造体を使用した。
容積1Lの三口フラスコに、ジエチルアミノエチルメチルエーテル(43.36g)とテトラヒドロフラン(400mL)を入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン(19.82mL)をテトラヒドロフラン(500mL)に溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウムを得た。
得られたヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム(51.3g)を精製水(300mL)に溶かし、氷冷下、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(51.21g)を水溶液(300mL)としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルとジエチルエーテルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを得た。
前記化学式(A1−01)で表されるA1成分である、N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(16.2g)と、前記化学式(A2−01)で表されるA2成分である、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(14.9g)と、前記化学式(B1−01)で表されるB成分である、マグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(2.71g)と、前記化学式(C−01)で表されるC成分である、ケイ素−酸素結合型構造体(9.8g)と、下記化学式(A3−01)で表されるA3成分である、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(10.1g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.29g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(1.12g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(2)を得た。
得られた多価イオン伝導性材料(2)の溶液(3.67g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(2)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(2)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(2)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)〕
実施例1で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B成分)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔金属−酸素結合型構造体(C成分)〕
実施例1で作製した同一のケイ素−酸素結合型構造体を使用した。
〔四級アンモニウム塩(A3成分)〕
実施例2で合成した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
実施例3における前記A1成分(10.3g)と前記C成分(5.2g)にN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)を加え、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.20g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(0.54g、アルドリッチ社製、無水)を加え、50℃で24時間撹拌した。その後、前記A1成分(4.9g)、前記A2成分(14.5g)と、前記B成分(2.82g)と、前記C成分(5.1g)と、前記A3成分(9.9g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.10g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(0.74g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(3)を得た。
得られた多価イオン伝導性材料(3)の溶液(3.44g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(3)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(3)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(3)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)〕
実施例1で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B成分)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔金属−酸素結合型構造体(C成分)〕
実施例1で作製した同一のケイ素−酸素結合型構造体を使用した。
〔四級アンモニウム塩(A3成分)〕
実施例2で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
実施例4における前記A1成分(17.1g)と、前記A2成分(15.6g)と、前記B成分(2.97g)と、前記C成分(10.3g)と、前記A3成分(11.2g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.32g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(1.35g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(4)を得た。
得られた多価イオン伝導性材料(4)の溶液(6.75g)をフッ素樹脂フィルム上でポリエチレン/ポリプロピレン製多孔質膜(厚さ:1〜60μm、空孔率:30〜95%、平均孔径:0.01〜10μm)に含浸させた。含浸後の前記多孔質膜にフッ素樹脂フィルムを被せ、その上からアプリケーターで膜厚がおよそ20〜60μmになるようにレベリングし、室温で24時間室温静置した。UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置した。次いで前記フッ素樹脂フィルムを前記多孔質膜から剥がし、再度該多孔質膜をUV照射して、該多孔質膜に含浸された多価イオン伝導性材料(4)を仮硬化した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記多孔質膜に被せ、2枚のガラス板でフッ素樹脂フィルムを介して前記多孔質膜を挟み、室温で24時間静置した。次いで、オーブンを使用して、80℃で24時間加熱して本硬化した後、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多孔質材に含浸された多価イオン伝導性材料(4)を重合及び硬化させることにより、多価イオン電導性電解質を得た。
〔リチウムイオン伝導性材料の調製〕
性能を比較・評価するために、代表的なリチウム塩含有有機電解液である六フッ化リン酸リチウム溶液(溶媒はジメチルカーボネート:エチレンカーボネート=1:1の混合溶媒、溶質濃度は1.0M、キシダ化学社製)をイオン伝導性電解質の基準として使用した。
アルゴン雰囲気下、前記六フッ化リン酸リチウム溶液(8.92g)を、市販のセパレーターであるCelgard2400(登録商標)(10cm×10cm)上に滴下した。得られた電解液を含浸させたセパレーターをオーブンに移して、室温から60℃まで加熱して、含浸を確実に完了し、後述の評価において基準とするイオン伝導性電解質を得た。
<比較用の多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)〕
実施例1で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B成分)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔四級アンモニウム塩(A3成分)〕
実施例2で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
比較例2における前記A1成分(20.2g)と、前記A2成分(17.9g)と、前記B成分(2.97g)と、前記A3成分(14.4g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.28g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(1.52g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(5)を得た。
<比較用の多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(5)の溶液(3.58g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(5)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(5)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(5)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
<比較用の多価イオン伝導性材料の調製>
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔マグネシウム多価イオン塩(B)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
ビス(エトキシジメチルシリル)オクタン(15.6g、アヅマックス社製)、ビス(トリエトキシシリル)オクタン(13.1g、ジェレスト社製)、テトラエトキシシラン(39.4g、東京化成社製)、テトラメトキシシラン(14.7g、東京化成社製)、2−シアノエチルトリエトキシシラン(12.4g、東京化成社製)、エチルトリメトキシシラン(8.4g、東京化成社製)、トリエトキシメチルシラン(7.1g、東京化成社製)、ジメトキシジメチルシラン(9.6g、東京化成社製)をフラスコに計量した。エタノール(27.5g、和光純薬社製)、メタノール(21.9g、和光純薬社製)を加え、0℃で30分間撹拌した。次いで、0.01N塩酸(7.3g)、エタノール(16.6g、和光純薬社製)、メタノール(29.4g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、0℃で2時間撹拌し、40℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。続いて、フッ化カリウム(0.337g、和光純薬社製)、エタノール(12.6g、和光純薬社製)、メタノール(6.8g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、40℃で2時間撹拌し、80℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。得られた混合溶液を0℃に冷却した後、40℃真空にて残存アルコール、水を分留した。得られた溶液を再度0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で1時間撹拌した後、メンブレンフィルター(ミリポア社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を使用して濾過した。さらにもう一度濾過した後、得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、金属−酸素結合型構造体(C)として、ケイ素−酸素結合型構造体(不飽和二重結合含有ケイ素−酸素結合オリゴマー)(76.3g、無色透明液体)を得た。このケイ素−酸素結合型構造体の化学式は、上記合成方法に基づくと、下記化学式(C−02)であると考えられる。
実施例2で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
比較例3における前記A2成分(24.8g)と、前記B成分(3.10g)と、前記C成分(9.5g)と、前記A3成分(18.9g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、ジクロロメタン(1.54g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(6)を得た。
<比較用の多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(6)の溶液(3.31g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(6)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、室温で72時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(6)を仮硬化(乾燥)したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、オーブンを使用して40℃で静置した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(6)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
実施例1〜4および比較例1〜3で作製した電解質を使用した各種電池の性能を評価するために、以下に示す各種電極を作製(準備)した。
負極は目的の可動イオンの金属電極を使用した。すなわち実施例1〜4、および比較例2〜3の電解質に対してはマグネシウムの金属箔を使用し、比較例1の電解質に対してはリチウムの金属箔をそれぞれ使用した。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、実施例1〜4、及び比較例1〜3で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)、をそれぞれ正極(Electro Chem社製、白金担持カーボン付GDE)上にパスツールピペットを使用して滴下した。そして、アプリケーターでイオン伝導性材料の厚さをおよそ50μmになるように調整した。
次いで、実施例1で得られた硬化性組成物に関しては、UV照射を行い仮硬化させた。その後、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた硬化性組成物を塗布した、全ての電極に関して、室温から80℃まで徐々に昇温し、24時間加熱して、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去した後、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、コーティング正極をそれぞれ得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(0.21g、ケッチェンブラック)、実施例1で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)(0.197g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(6.11g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(1.62g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例1の電解質を使用したスラリー正極を得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例2の電解質を使用したスラリー正極を得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例3の電解質を使用したスラリー正極を得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例4の電解質を使用したスラリー正極を得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、電極材料への電解質の浸透(エージング処理)と余分な溶媒をとばす加熱乾燥を行った。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、比較例1の電解質を使用したスラリー正極を得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、比較例2の電解質を使用したスラリー正極を得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、比較例3の電解質を使用したスラリー正極を得た。
実施例1〜4及び比較例2〜3で作製したイオン伝導性電解質を、前述のように硬化させて、表1に記載した厚みの電解質膜とした。比較例1で得られた電解質(イオン伝導性材料)については、市販のセパレーターであるCelgard2400(登録商標)に含浸させて、表1に記載した厚みの電解質膜とした。これらの電解質膜をそれぞれ電気化学セル(宝泉社製、HSセル又はCR2032型コインセル)にセットした。この際、対称型ハーフセルを作製する場合は、各電解質の可動イオンと同じ金属からなる金属箔で挟み込んで、対称型ハーフセルとした。また、非対称型フルセルを作製する場合は、負極は各電解質の可動イオンと同じ金属からなる金属箔として、正極は各電解質を塗布して得られた前述のコーティング電極で挟みこんで密着させ、非対称型フルセルとした。
実施例1〜4及び比較例2〜3で得られた電解質を使用した、前記対称型ハーフセルに電気化学インピーダンス測定装置(ソーラトロン社製、12608W型電気化学測定システム)を接続し、周波数0.01Hz〜100kHzの領域でインピーダンスを測定して、サンプルの全イオン伝導度を測定した。
まず、前記ハーフセルのインピーダンスを測定することによって、可動イオン(全イオン)の電解質における拡散移動抵抗を求めた。つぎに、前記フルセルのインピーダンスを測定し、前記拡散移動抵抗を参照することによって、可動イオンの負極界面における電荷移動抵抗および可動イオンの正極界面における電荷移動抵抗の大きさをそれぞれ見積もった。この際、正極及び負極を多孔質電極であると仮定した。
また、比較例1の電解質を使用した対称型ハーフセル及び非対称型フルセルについて、同様の条件でインピーダンスを測定しし、この測定値を基準(基準値)とした。つづいて、実施例1〜4及び比較例2〜3の、前記拡散移動抵抗(電解質内における可動イオンの移動抵抗)、前記負極界面における電荷移動抵抗(負極と電解質との界面における電荷の移動抵抗)、及び前記正極界面における電荷移動抵抗(正極と電解質との界面における電荷の移動抵抗)の各インピーダンス測定値を、前記基準値でそれぞれ割った比を算出した。これらの結果を表1に示す。
実施例及び比較例で得たイオン伝導性電解質膜の輸率(t)は、以下に示すように、直流分極測定と交流インピーダンス測定の併用によって算出した。
すなわち、実施例1〜4及び比較例1〜3で作製したイオン伝導性電解質を使用した対称型ハーフセルをそれぞれ作製し、各セルを80℃で5時間保持してエージングを行い、この状態(初期状態、0)における交流インピーダンスをそれぞれ測定した。次に直流分極測定を行った(△V)。そして、電流が一定の状態(定常状態、s)になったことを確認して、再度交流インピーダンスを測定した。
次いで、前記直流分極測定値(△V)、初期状態と定常状態のそれぞれにおける界面抵抗値(Ri0、Ris)及び電流値(I0、Is)を下記式(1)に代入して、輸率(t)を求めた。伝導度及び輸率の評価結果を表1に示す。
〔充放電特性の評価〕
実施例1〜4、及び比較例1〜3で作製したイオン伝導性電解質を、金属電極(負極)と前記コーティング電極(正極)、又は金属電極(負極)と前記スラリー電極(正極)で挟み込んで密着させ、非対称型ラミネートセルを作製した。前記金属電極は、実施例1〜4及び比較例2〜3の電解質に対してはマグネシウム箔を使用し、比較例1の電解質に対してはリチウム箔を使用した。
次いで、電池充放電装置(HJ−SM8システム、北斗電工社製)を使用し、前記非対称型ラミネートセルについて、電流密度0.1mA/cm2で、3Cの充放電レートで、定電流測定を行い、初期容量(a)と、100サイクル後の容量(b)を測定し、これら測定値を下記式(2)に代入して容量維持率(m)(%)を求め、前記非対称型ラミネートセルの急速充放電時の特性を評価した。評価結果を表2に示す。
なお、充放電レートは、1Cが「1時間で充電・放電ができる充放電スピード」を意味し、3Cが「20分で充電・放電ができる充放電スピード」を意味する。3Cの充放電レートは急速充放電レートとみなすことができる。
Claims (10)
- 下記一般式(A1−b)で表される1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)と、下記一般式(A2−a1−01−00)で表される1種以上の窒素原子含有塩(A2)と、下記一般式(B)で表される多価イオン塩(B)と、下記一般式(C)で表される金属−酸素結合による架橋構造を含む金属−酸素結合型構造体(C)と、が配合されてなることを特徴とする多価イオン伝導性材料。
(Z4)−は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。]
n8、n9、n10及びn11は0又は1であり、「n8+n9+2」及び「n10+n11+2」は各々のMの原子価に一致し、
m1は1以上の整数であり、m1が2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR7、R8及びR9はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn8及びn9はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。] - 下記一般式(A3)で表される四級アンモニウム塩(A3)を更に配合してなることを特徴とする請求項1に記載の多価イオン伝導性材料。
W3及びW4は、それぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはフルオロアルキル基、前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数1〜6のフルオロアルコキシ基若しくはアルコキシ基であり、
(Z6)−は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。] - 請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料中の少なくとも一部の前記X3 が重合されたものであることを特徴とする多価イオン伝導性電解質。
- 前記X3 の一部が重合され、さらに残りの少なくとも一部が前記金属−酸素結合型構造体(C)と結合しているものであることを特徴とする請求項3に記載の多価イオン伝導性電解質。
- 請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料が、多孔質基材(G)に含浸されたことを特徴とする多価イオン伝導性電解質。
- 請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料を電極上に配し、乾燥、加熱、又は紫外線照射によって仮硬化させ、多価イオン伝導性電解質を形成した後、該多価イオン伝導性電解質上に対電極を配置して、加熱によって本硬化させることにより、該多価イオン伝導性電解質が前記電極及び対電極と接合されたものであることを特徴とする多価イオン伝導性電解質−電極接合体。
- 請求項3、4又は5に記載の多価イオン伝導性電解質が膜状に成形され、該膜の一方の面に正極が、他方の面に負極がそれぞれ接合されたことを特徴とする多価イオン伝導性電解質−電極接合体。
- 請求項3〜5のいずれか一項に記載の多価イオン伝導性電解質を使用したことを特徴とする多価イオン電池。
- 請求項6又は7に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体を備えたことを特徴とする多価イオン電池。
- 前記多価イオン伝導性電解質−電極接合体をラミネートセルに組んでなる複数の単位セルが、積層及び連結されたことを特徴とする請求項9に記載の多価イオン電池。
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