JP6027307B2 - 二次電池の製造方法、及び二次電池用アニオンフィルターの製造方法 - Google Patents

二次電池の製造方法、及び二次電池用アニオンフィルターの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アニオンフィルター、アニオンフィルターを用いた電解質体−電極接合体、及びアニオンフィルターを用いた二次電池に関する。
今後、人口の急増とそれに伴う食糧・水・エネルギー不足、環境破壊が予想される。持続可能な発展を実現するには、スマートグリッド等のクリーンエネルギーに根差した社会の構築が必要と考えられる。そのため、二次電池の性能や電力システムの管理技術の向上、革新型電池が望まれている。
多価イオンの輸送を利用した多価イオン電池は革新型電池の一つとして期待されている。例えば、カルシウム、マグネシウムは2価であり、リチウムと比較すると、原子1個当たり2倍の電荷を輸送することができる。こうした多価電荷輸送は、高いエネルギー密度の電池や急速充放電に対応できる電池を実現できる可能性がある。
特に、マグネシウムは急激な反応による発熱が起こりづらく、高性能電池の材料としても適した特性を備える元素であるため、製品化が期待されている。
多価イオン伝導に関しては、今までにさまざまな報告がなされており、特許文献1には、多価イオン伝導性の固体電解質コンポジットの報告がある。目的とする可動イオンよりも価数の高い陽イオンを含有する第二成分を固体酸化物中に分散させることで、酸化物イオンを捕捉し、可動イオンの伝導性を上げることができるとされている。
特許文献2には、リチウムイオン電池よりも優れた性能を示すと言われているリチウム−空気二次電池に関する具体的な実施例が示されている。また、実施例こそ報告されていないもののマグネシウム空気二次電池の可能性が示唆されている。
特許文献3には、多価カチオン化学種を用いた再充電可能な高電圧・大容量の電気化学バッテリセルに関する報告がある。放電/充電時に、正極では多価カチオンを、負極ではモノアニオン(1価のアニオン)を、それぞれ同時に酸化還元することによって、負極で大きな多価カチオンと相互作用する必要がなくなる。平均するとイオン1個当たり1電子以上の多価電荷輸送ができるとされている。
特許文献4には、非水系電解液を使用した空気電池に関して、イオン液体を用いることで電解液の揮発性を抑え安全性を向上できるとされている。
特許文献5には、非水系電解液をシリカ化合物によって固形状にすることで、漏液を防ぎ、安全性を向上できるとされている。
特許文献6には、マグネシウムイオン伝導性電解液の報告がある。マグネシウムイオンの電解液としてグリニャール試薬を使用すると電位窓が小さくなるため、電池として不十分であるという課題があるところ、これを解決し、ドライルーム等の一般的な製造環境で製造できるとされている。
特許文献7には、マグネシウム空気二次電池について報告されており、放電時に発生する酸化マグネシウムが充電時に分解しないことが課題となっているのに対し、酸素を活物質とする正極に安定ラジカルを含有することで、充電時に酸化マグネシウムの分解を促進する方向に反応平衡を移動できるとされている。
特許文献8には、金属マグネシウムやマグネシウムイオンではなく、水素化マグネシウムを水素発生源とし、燃料として利用した燃料電池、及び水素化マグネシウムを負極として利用した二次電池について報告されている。水素化マグネシウムが反応して水素を発生する際に、水酸化マグネシウムの皮膜が形成されて電気化学反応を止めてしまうという課題を、塩化マグネシウムを利用したり、粒子系を数ナノ〜100μmに微粉化することによって除去し、解決できるとされている。
特開2000−82327号公報 特許第4015826号公報 特表2004−513470号公報 特許第3974088号公報 特許第4197644号公報 特開2010−15979号公報 特開2010−86924号公報 国際公開第2008/15844号パンフレット
本発明者は、金属カチオンを含む電解質体を用いた二次電池では、金属カチオンがカウンターアニオンや溶媒に強く捕捉され、金属カチオンが正極に収容されて反応する際に、脱アニオン過程や脱溶媒和過程が反応律速となり、電解質‐電極界面抵抗が大きくなる問題を見出した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、イオン伝導性が向上した二次電池、該二次電池に使用するアニオンフィルター、及び該二次電池に使用しうる電解質体−電極接合体の提供を課題とする。
本発明の請求項1に記載の二次電池は、金属カチオン及びアニオンを含む電解質体、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過するアニオンフィルター、前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極、並びに前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極を有し、前記負極、電解質体及び正極がこの順に配置され、前記負極及び前記正極が前記電解質体によって電気化学的に接続され、前記アニオンフィルターが、前記電解質体中に、前記負極及び前記正極を隔てるように配されたことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の二次電池は、請求項1において、前記アニオンフィルターは、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有する構造体であり、前記結合を有さない樹脂製のセパレータよりも、前記アニオンの透過量が少ないことを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の二次電池は、請求項1又は2において、前記アニオンフィルターは、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有する構造体であり、前記結合を有さない樹脂製のセパレータよりも、酸素若しくは空気及び/又は水分の透過量が少ないことを特徴とする。
請求項4に記載のアニオンフィルターは、構造体(A1)と構造体(A2)とが、添加剤の存在下で反応して、ケイ素−酸素結合を形成して連結された材質を有し、前記構造体(A1)は、下記一般式(A1)で表される、ケイ素と酸素の結合又は金属と酸素の結合を有するものであり、前記構造体(A2)は、下記一般式(A2a)で表されるシラン化合物と、下記一般式(A2b)で表される窒素含有塩及び/又はリン含有塩とが反応して、前記シラン化合物と前記窒素含有塩及び/又はリン含有塩を構成するカチオンとが共有結合によって連結された、1つ以上のケイ素−酸素結合を有するものであり、前記添加剤(A3)は、下記一般式(A3a)又は(A3b)で表される化合物であることを特徴とする。
Figure 0006027307
[一般式(A1)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、
は炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
、n、n及びnは0又は1であり、「n+n+2」及び「n+n+2」は各々のMの原子価に一致し、
は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
Figure 0006027307
[一般式(A2a)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、Rは炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−Si−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−Si−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
及びn10は0又は1であり、「n+n10+2」はSiの原子価に一致し、
は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のR、R及びR10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びn10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
Figure 0006027307
[一般式(A2b)中、Xは下記一般式(X1)、(X2)、(X3)及び(X4)からなる群より選ばれる1種以上の窒素若しくはリンを含有する基であり、R12はビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、Lは単結合、炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であり、LはXを構成するY又はR21に結合する。]
Figure 0006027307
[一般式(X1)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、前記R13とR14とが結合して環を形成していても良く、該アルキル基及びシクロアルキル基における1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。R15は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R13〜R15は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している水素原子が1つ以上の炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
(Z)は、炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン若しくはフルオロアルコキシアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、酢酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、又はテトラシアノホウ酸イオンである。]
Figure 0006027307
[一般式(X2)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R16は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R17は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R16とR17とが結合して環を形成していても良く、R16及びR17は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。(Z)は前記一般式(X1)における (Z)と同じである。]
Figure 0006027307
[一般式(X3)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、R20は炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、前記R18及びR19が結合して環を形成していても良く、前記R19及びR20が結合して環を形成していても良く、R18〜R20は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
Figure 0006027307
[一般式(X4)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R21及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、R22は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R21及びR22が結合して環を形成していても良く、前記R22及びR23が結合して環を形成していても良く、R21〜R23は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
Figure 0006027307
[一般式(A3a)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R27は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R25及びR26が結合して環を形成していても良く、前記R26及びR27が結合して環を形成していても良く、R24〜R27は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R24、R25及びR26は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
Figure 0006027307
[一般式(A3b)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R28は炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R29は炭素数1〜20のアルキリデン基又は炭素数2〜20のアルケニリデン基であり、R30は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R28及びR29が結合して環を形成していても良く、前記R29及びR30が結合して環を形成していても良く、R28〜R30は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R28は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
本発明の請求項5に記載のアニオンフィルターは、請求項4において、電解質体に含まれる金属カチオンとアニオンのうち、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過するものであることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載のアニオンフィルターは、請求項4又は5において、電解質体に含まれる金属カチオンとアニオンのうち、前記アニオンの透過量が、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有さない樹脂製のセパレータよりも少ないことを特徴とする。
本発明の請求項7に記載のアニオンフィルターは、請求項4〜6のいずれか一項において、酸素若しくは空気及び/又は水分の透過量が、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有さない樹脂製のセパレータよりも少ないことを特徴とする。
本発明の請求項8に記載のアニオンフィルターは、請求項4〜7のいずれか一項において、多孔質基材によって補強されていることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の二次電池は、請求項4〜8のいずれか一項に記載のアニオンフィルター、金属カチオン及びアニオンを含む電解質体、前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極、並びに前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極を有し、前記負極、電解質体及び正極がこの順に配置され、前記負極及び前記正極が前記電解質体によって電気化学的に接続され、前記アニオンフィルターは、前記電解質体中に前記負極及び前記正極とを隔てるように配されたことを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の二次電池は、請求項9において、前記アニオンフィルターよりも負極側の前記電解質体は非水系溶媒を含み、前記アニオンフィルターよりも正極側の前記電解質体は水系溶媒を含むことを特徴とする。
本発明の請求項11に記載の電解質体−電極接合体は、ゲル状又は固体状の電解質体内に、請求項4〜8のいずれか一項に記載のアニオンフィルターが配され、前記アニオンフィルターの一方の側において正極が前記電解質体に接合し、前記アニオンフィルターの他方の側において負極が前記電解質体に接合されたことを特徴とする。
本発明の請求項12に記載の二次電池は、請求項11に記載の電解質体−電極接合体を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項13に記載の二次電池は、請求項12において、前記電解質体−電極接合体を単位セルとして、前記単位セルを積層及び連結し、複数の単位セルを1つのラミネートセルに組んでなることを特徴とする。
本発明の請求項14に記載の二次電池は、請求項9、10、12又は13において、前記正極が、充電時に、酸素を発生する材料又は酸化物を分解する材料を含むことを特徴とする。
本発明の請求項15に記載の二次電池は、請求項9、10、12、13又は14において、前記電解質体を構成する金属カチオンが、マグネシウムイオンであることを特徴とする。
本発明の二次電池によれば、アニオンフィルターを備えているため、正極における電解質−電極界面抵抗を低減できる。この結果、正極−負極間のイオン伝導性が高められ、より高いレートでの充放電を可能にし、サイクル特性に優れた二次電池となる。
本発明のアニオンフィルターによれば、二次電池の正極−負極間に配することによって、当該正極−負極間のイオン伝導性が高められる。
本発明の電解質体−電極接合体によれば、二次電池に用いることによって、当該正極−負極間のイオン伝導性を高められる。
本発明にかかる二次電池の構成を示す模式図である。
以下、本発明について詳しく説明する。
<<二次電池>>
本発明にかかる二次電池の第一態様は、図1に示すように、金属カチオン及びアニオンを含む電解質体1、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過するアニオンフィルター2、前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極3、並びに前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極4を有し、負極3、電解質体1及び正極4がこの順に配置され、負極3及び正極4が電解質体1によって電気化学的に接続され、アニオンフィルター2が、電解質体1中に、負極3及び正極4を隔てるように配された二次電池10である。
<<電解質体>>
電解質体1は、液体状、ゲル状又は固体状の何れであってもよい。液体状の電解質体1としては、前記金属カチオン及び前記アニオンを含む電解質が非水系溶媒に溶解された電解液が例示できる。ゲル状の電解質体1としては、前記電解質が非水系溶媒に溶解され、該溶液が高分子からなるゲルマトリックスに含浸されたゲル電解質が例示できる。固体状の電解質体1としては、ゲル電解質よりも溶媒成分の含有量が著しく低い固体電解質が例示できる。
電解質体1に含まれる金属カチオン及びアニオンは特に制限されず、従来の二次電池に使用されているものが適用できる。
前記金属カチオンとしては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄等のカチオンが例示できる。これらの中でも、本発明のアニオンフィルターの性能がより良く発揮されるため、リチウムイオン又はマグネシウムイオンが好ましく、マグネシウムイオンがより好ましい。
前記アニオンとしては、例えば、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、メトキシスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシスルホン酸イオン、ビス(メタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオンイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、I、I 等が挙げられる。これらの中でも、本発明のアニオンフィルターの性能がより良く発揮されるため、炭素原子、ホウ素原子又はヒ素原子を有するアニオンが好ましく、炭素原子を有するアニオンがより好ましい。
また、電解質体1に含まれる好適な電解質として、以下に示す「B1成分」、「B2成分」及び「B3成分」が挙げられる。
B1成分を使用する好ましい理由は以下の通りである。B1成分は、1分子で2個の電子をやりとりできるので、高いエネルギー密度の多価電荷輸送を行える。また、外部衝撃により空気と触れた際にも急速な反応は起こらないため、高いエネルギー密度を有しながらもより安全な電池となる。また急速充放電により適した安全な電池を実現できる。
B2成分を使用する好ましい理由は以下の通りである。B2成分は、B1成分とアニオンの交換を起こすことによって、多価カチオンが移動する。この時、B1成分とB2成分のアニオンが同じ場合、アニオン間の解離ならびに交換が起こりやすくなり、多価カチオンの効率的な移動を実現できる。
B3成分を使用する好ましい理由は以下の通りである。B3成分は、B1成分とアニオンの交換を起こすことによって、多価カチオンが移動する。この時、B1成分とB3成分のアニオンが同じ場合、アニオン間の解離ならびに交換が起こりやすくなり、多価カチオンの効率的な移動を実現できる。またB2成分とアニオン交換することによって、B2成分の流動性が上がり、B2成分と相互作用するB1成分の多価カチオンが移動しやすくなる。B3成分がB1成分とB2成分の両方と相互作用することで、多価カチオンの効率的な移動を実現できる。
本発明のアニオンフィルターと共に使用する電解質としては、イオン伝導性に優れることから、B1成分及び/又はB2成分を使用することがより好ましい。
<<B1成分>>
本発明における好適な電解質であるB1成分は、下記一般式(B1)で表される化合物群から選ばれる1種以上の多価イオン塩(B1)である。
以下、一般式(B1)で表される化合物を化合物(B1)と呼ぶことがある。また、多価イオン塩(B1)を単にB1成分と呼ぶことがある。
Figure 0006027307
一般式(B1)中、Y11はフッ素原子、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキル基であり、Y12はフルオロスルホニル基、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキルスルホニル基、フルオロアルキルカルボニルオキシ基、フルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキル基である。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものである。
前記フルオロアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状であることが好ましい。また、前記フルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基は、炭素数1〜10のアルコキシ基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものであり、一般式(R52−O−)で表される基である。前記R52は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。
前記(R52−O−)の好適なものとして、トリフルオロメトキ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ノナフルオロ−n−ブトキシ基、ノナフルオロ−tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシアルキル基(R75−O−R76−)において、R75は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、R76は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキレン基である。
該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。前記アルキレン基は、その炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。ただし、R75及びR76における炭素数の和は1〜10である。
前記(R75−O−R76−)において、「R75−O−」は「−R76−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R76−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO−」の硫黄原子に結合する。
前記(R75−O−R76−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチル基、トリフルオロメトキシエチル基、ペンタフルオロエトキシメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチル基、ヘプタフルオロイソプロポキシメチル基、ノナフルオロ−n−ブトキシメチル基、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチル基等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホニル基は、(R53−SO−)で表される基である。前記R53は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。
前記(R53−SO−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル基、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル基、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル基、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル基等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルカルボニルオキシ基は、(R54−COO−)で表される基である。前記R54は前記R53と同じである。
前記(R54−COO−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ペンタフルオロエチルカルボニルオキシ基、ヘプタフルオロプロピルカルボニルオキシ基、ノナフルオロブチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
本発明において、化合物(B1)の好適なものとしては、前記Y11の好適なもの又は例示したものと、前記Y12の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(B1)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B1)の好適なものとしては、ビス(ビス(フルオロスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(ビス(フルオロメタンスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(トリフルオロメトキシ(フルオロスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(トリフルオロメトキシ(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)マグネシウムが例示できる。これらのなかでも、フルオロアルコキシスルホン酸塩やフルオロアルキルスルホン酸塩がマグネシウムイオンを非局在化するのに優れることから、好適である。
また、化合物(B1)には該当しないが、化合物(B1)の代替品として、ビス(トリフルオロメタンスルホン酸)マグネシウム、ビス(ペンタフルオロエタンカルボン酸)マグネシウム等も好適に用いられる。
<<B2成分>>
本発明における好適な電解質であるB2成分は、下記一般式(B2−a1)及び(B2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩である。
Figure 0006027307
以下、一般式(B2−a1)及び(B2−a2)で表される化合物を、それぞれ化合物(B2−a1)及び化合物(B2−a2)と呼ぶことがある。また、前記窒素原子含有塩を単にB2成分と呼ぶことがある。
<化合物(B2−a1)>
化合物(B2−a1)は、下記一般式(B2−a1)で表される窒素原子含有塩である。
Figure 0006027307
一般式(B2−a1)中、R114は、炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基である。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン電導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばメチリデン基(=CH)、エチリデン基(=CHCH)、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、デシリデン基、イソプロピリデン基〔=C(CH〕等が挙げられる。これらなかでも、炭素数1〜8のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキリデン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン伝導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばビニリデン基(=C=CH)、アリリデン基(=CH−CH=CH)、ブテニリデン基、ペンテニリデン基、イソペンテニリデン基〔=CH−CH−C(=CH)CH〕等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜8のアルケニリデン基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニリデン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルケニリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
一般式(B2−a1)中、R115は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、本発明の二次電池におけるイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
化合物(B2−a1)においては、前記R114とR115とが結合して環を形成していても良い。ここで、「R114とR115とが結合して環を形成していても良い」とは、R114とR115とが結合して、R114、R115、及びこれらが結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。
言い換えると、R114とR115とが結合した場合、R115とR114は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記R114とR115とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記R114とR115とが結合する場合、R114の末端の炭素原子とR115の末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、R114の鎖中の炭素原子とR115の末端の炭素原子とが結合しても良く、R114の鎖中の炭素原子とR115の末端の炭素原子とが結合しても良く、R114の鎖中の炭素原子とR115の鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
前記R114とR115とが結合して形成される環を構成する炭素原子は、一部又は全部がヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の二次電池における電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記一般式(B2−a1)中、Wは、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10の、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基若しくはフルオロアルコキシ基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基である。これらのなかでも、イオン伝導性に優れることから、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。
前記連結基としての炭素数1〜3のアルキレン基としては、例えばメチレン基(−CH−)、エチレン基(−CH−CH−)、又はプロピレン基(トリメチレン基)(−CH−CH−CH−)が挙げられる。これらのなかでも、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
前記連結基としての炭素数2〜3のアルケニレン基としては、例えばビニレン基(−CH=CH−)、1−メチルビニレン基(−CH(CH)=CH−)、又はプロペニレン基(−CH−CH=CH−)が挙げられる。これらのなかでも、ビニレン基又は1−メチルビニレン基が好ましい。
前記連結基が炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であると、本発明の二次電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導性がより高められる。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基がより好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、前記炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものである。前記フルオロアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状であることが好ましい。また、前記フルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルコキシ基は、一般式(R40−O−)で表される基である。前記R40は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖のアルキル基であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。つまり、前記炭素数1〜10のアルコキシ基の好適なものとして、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基は、前記炭素数1〜10のアルコキシ基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものであり、一般式(R41−O−)で表される基である。前記R41は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。前記(R41−O−)の好適なものとして、トリフルオロメトキ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ノナフルオロ−n−ブトキシ基、ノナフルオロ−tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
化合物(B2−a1)の好適なカチオンとしては、前記R114、R115及びWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B2−a1)の好適なカチオンとしては、メトキシ−メチル−プロピリデン−アンモニウムカチオン、エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウムカチオン、メトキシ−プロピリデン−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、ブチリデン−メトキシ−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、アリリデン−メトキシ−メチル−アンモニウムカチオン、アリリデン−エトキシ−エチル−アンモニウムカチオン、3−ブテニリデン―エトキシ―エチル−アンモニウムカチオン、3−ブテニリデン−メトキシ−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、3−ブテニリデン−エトキシ−メトキシ−アンモニウムカチオン、1−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ピリミジニウムカチオンが例示できる。
化合物(B2−a1)の好適なカチオンとして、イミダゾール環又はピリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。例えば下記一般式(B2−a1−01)で表されるイミダゾール環を骨格構造とするカチオン、下記一般式(B2−a1−02)で表されるピリジン環を骨格構造とするカチオンが挙げられる。
Figure 0006027307
一般式(B2−a1−01)中、R35、R36はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R35は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R36は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
化合物(B2−a1−01)の好適なものとしては、前記R35、R36及びWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B2−a1−01)の好適なものとしては、1−メトキシ−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシ−2−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシ−2,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−n−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−プロピルイミダゾリウムカチオンが例示できる。
Figure 0006027307
一般式(B2−a1−02)中、R37、R38及びR39は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R37、R38及びR39は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
化合物(B2−a1−02)の好適なものとしては、前記R37、R38、R39及びWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B2−a1−02)の好適なものとしては、1−メトキシ−3−メチルピリジニウムカチオン、1−メトキシ−4−メチルピリジニウムカチオン、1−メトキシピリジニウムカチオン、1−メトキシ−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムカチオン、1−エトキシ−3−メチルピリジニウムカチオンが例示できる。
前記一般式(B2−a1)中、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン(R42−SO、フルオロアルキルスルホン酸イオン(R43−SO、アルコキシスルホン酸イオン(R44−O−SO、フルオロアルコキシスルホン酸イオン(R45−O−SO、アルコキシアルキルスルホン酸イオン(R71−O−R72−SO、フルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオン(R73−O−R74−SO、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R46−SO−)N]、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R47−SO−)N]、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R48−SO−)(F−SO−)N]、酢酸イオン(CHCOO)、フルオロアルキルカルボン酸イオン(R49−COO)、過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、テトラシアノホウ酸イオン[B(CN)、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R50−BF )、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−BF )、フルオロアルコキシアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−R59−BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、又はヨウ化物イオン(I)である。
前記炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン(R42−SOにおいて、R42は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルキルスルホン酸イオンは、「アルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R42−SOの好適なものとして、例えばメチルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン)、エチルスルホン酸イオン(エタンスルホン酸イオン)、n−プロピルスルホン酸イオン(n−プロパンスルホン酸イオン)、イソプロピルスルホン酸イオン(イソプロパンスルホン酸イオン)、n−ブチルスルホン酸イオン(n−ブタンスルホン酸イオン)、tert−ブチルスルホン酸イオン(tert−ブタンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホン酸イオン(R43−SOにおいて、R43は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「フルオロアルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R43−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシスルホン酸イオン(R44−O−SOにおいて、R44は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルコキシスルホン酸イオンは、「アルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R44−O−SOの好適なものとして、例えばメトキシスルホン酸イオン(メチル硫酸イオン)、エトキシスルホン酸イオン(エチル硫酸イオン)、n−プロポキシスルホン酸イオン(n−プロピル硫酸イオン)、イソプロポキシスルホン酸イオン(イソプピル硫酸イオン)、n−ブトキシスルホン酸イオン(n−ブチル硫酸イオン)、tert−ブトキシスルホン酸イオン(tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシスルホン酸イオン(R45−O−SOにおいて、R45は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。なお、前記フルオロアルコキシスルホン酸イオンは、「フルオロアルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R45−O−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシスルホン酸イオン(トリフルオロメチル硫酸イオン)、ペンタフルオロエトキシスルホン酸イオン(ペンタフルオロエチル硫酸イオン)、ヘプタフルオロ−n−プロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロ−n−プロピル硫酸イオン)、ヘプタフルオロイソプロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロイソプピル硫酸イオン)、ノナフルオロ−n−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−n−ブチル硫酸イオン)、ノナフルオロ−tert−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシアルキルスルホン酸イオン(R71−O−R72−SOにおいて、R71は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基であり、R72は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。ただし、R71及びR72における炭素数の和は1〜10である。なお、前記アルコキシアルキルスルホン酸イオンは、「アルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R71−O−R72−SOにおいて、「R71−O−」は「−R72−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R72−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R71−O−R72−SOの好適なものとして、例えばメトキシメチルスルホン酸イオン、メトキシエチルスルホン酸イオン、エトキシメチルスルホン酸イオン、n−プロポキシメチルスルホン酸イオン、イソプロポキシメチルスルホン酸イオン、n−ブトキシメチルスルホン酸イオン、tert−ブトキシメチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオン(R73−O−R74−SOにおいて、R73は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、R74は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。前記2価のアルキレン基は、その炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。ただし、R73及びR74における炭素数の和は1〜10である。なお、前記フルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオンは、「フルオロアルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R73−O−R74−SOにおいて、「R73−O−」は「−R74−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R74−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R73−O−R74−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチルスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシエチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R46−SO−)N]において、R46は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記ビス(アルキルスルホニル)イミドイオンは、「ビス(アルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R46−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(メチルスルホニル)イミドイオン、ビス(エチルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(イソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R47−SO−)N]において、R47は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「ビス(フルオロアルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R47−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
47がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]も好適なものとして挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R48−SO−)(F−SO−)N]において、R48は前記R47と同じである。なお、前記フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオンは、「フルオロアルカンスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R48−SO−)(F−SO−)N]の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
48がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]も好適なものとして挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルカルボン酸イオン(R49−COO)において、R49は前記R47と同じである。
前記(R49−COO)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボン酸イオン(トリフルオロ酢酸イオン)、ペンタフルオロエチルカルボン酸イオン(ペンタフルオロプロパン酸イオン)、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸イオン(ヘプタフルオロブタン酸イオン)、ノナフルオロブチルカルボン酸イオン(ノナフルオロペンタン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R50−BF )において、R50は前記R47と同じである。
前記(R50−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−BF )において、「R51−O−」は前記「R45−O−」と同じである。
前記(R51−O−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−R59−BF )において、「R51−O−R59−」は前記「R71−O−R72−−O−」と同じである。
前記(R51−O−R59−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
また、上記「メチル基」を「エチル基」に変えたものも好適である。
本発明において、化合物(B2−a1)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(B2−a1)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B2−a1)の好適なものとしては、例えばメタンスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、酢酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、過塩素酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、塩化(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、臭化(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ヨウ化(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、メタンスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、メトキシスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、酢酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、過塩素酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、塩化(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、臭化(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ヨウ化(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、メタンスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、酢酸(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、過塩素酸(1−メトキシピリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、塩化(1−メトキシピリジニウム)塩、臭化(1−メトキシピリジニウム)塩、ヨウ化(1−メトキシピリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−エチル−3−メチルイミダゾリウム)塩が挙げられる。
<化合物(B2−a2)>
化合物(B2−a2)は、下記一般式(B2−a2)で表される窒素原子含有塩である。
Figure 0006027307
一般式(B2−a2)中、R116及びR117は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のものが好ましく、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状アルキル基がより好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R116とR117とが結合して環を形成していても良い。ここで、「R116とR117とが結合して環を形成していても良い」とは、R116とR117とが結合して、R116、R117、及びこれらが結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。言い換えると、R116とR117とが結合した場合、R16及びR117は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記R116とR117とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記R116とR117とが結合する場合、R116の末端の炭素原子とR117の末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、R116の鎖中の炭素原子とR117の末端の炭素原子とが結合しても良く、R116の鎖中の炭素原子とR117の末端の炭素原子とが結合しても良く、R116の鎖中の炭素原子とR117の鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
前記R116とR117とが結合して形成される環を構成する炭素原子は、一部又は全部がヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の二次電池における電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の二次電池における電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(B2−a2)中、Lは炭素数1〜6の炭化水素基であり、窒素との二重結合を除いて他に不飽和結合を有していても有していなくてもよい炭素数1〜6の炭化水素基である。好適なLとしては例えば、(=CH−CH−)、(=CH−CH−CH−)、(=CH−CH−CH−CH−)、(=CH−CH−CH−CH−CH−)等が挙げられる。
前記Lは炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。短い連結基であると、本発明にかかる二次電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる二次電池の電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
一般式(B2−a2)中、Wは前記一般式(B2−a1)におけるWと同じである。
化合物(B2−a2)の好適なカチオンとしては、前記R116、R117、L及びWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B2−a2)の好適なカチオンとしては、(2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウムカチオン、(3−メトキシ−プロピリデン)−メチル−プロピル−アンモニウムカチオン、(3−エトキシ−プロピリデン)−メチル−プロピル−アンモニウムカチオン、1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウムカチオン、1−(3−メトキシ−プロピリデン)−ピペリジニウムカチオン、4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウムカチオンが例示できる。これらのなかでも、比較的短い直鎖状のメチル基、エチル基、プロピル基を有すると耐電位性に優れることから、好適である。さらに、炭素数1〜3の直鎖状のアルコキシ基は可動イオンの伝導性に優れることから、好適である。
一般式(B2−a2)中、 (Z)は前記一般式(B2−a1)における (Z)と同じである。
本発明において、化合物(B2−a2)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(A2−a2)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B2−a2)の好適なものとしては、例えばメタンスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、酢酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、過塩素酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、塩化((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、臭化((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ヨウ化((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、メタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、酢酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、過塩素酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、塩化(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、臭化(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ヨウ化(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、メタンスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、メトキシスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、酢酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、過塩素酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、テトラシアノホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロヒ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、塩化(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、臭化(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ヨウ化(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩が挙げられる。
<<B3成分>>
B3成分は、下記一般式(B3)で表される化合物群から選ばれる1種以上の四級アンモニウム塩(B3)である。
以下、一般式(B3)で表される化合物を化合物(B3)と呼ぶことがある。また、四級アンモニウム塩(B3)を単にB3成分と呼ぶことがある。
Figure 0006027307
一般式(B3)中、R118及びR119はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数4〜7の環状のアルキル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のものが好ましく、本発明の二次電池におけるイオン電導性を高める観点から、直鎖状アルキル基がより好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数4〜7のシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。本発明の二次電池における電解質の伝導性を高める観点から、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記炭素数4〜7のシクロアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
化合物(B3)において、前記R118とR119とが結合して環を形成していても良い。ここで、「R118とR119とが結合して環を形成していても良い」とは、R118とR119とが結合して、R118、R119、及びそれら結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。言い換えると、R118とR119とが結合した場合、R118及びR119は炭素数1〜10のアルキレン基である。
前記R118とR119とが結合する場合、R118の末端の炭素原子とR119の末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、R118の鎖中の炭素原子とR119の鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
前記R118とR119とが結合して形成される環を構成する炭素原子は、一部又は全部がヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の二次電池における電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の二次電池における電解質体の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(B3)中、W及びWはそれぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはフルオロアルキル基、前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数1〜6のフルオロアルコキシ基若しくはアルコキシ基である。
前記連結基としての炭素数1〜3のアルキレン基としては、例えばメチレン基(−CH−)、エチレン基(−CH−CH−)、又はプロピレン基(トリメチレン基)(−CH−CH−CH−)が挙げられる。これらのなかでも、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
前記連結基としての炭素数2〜3のアルケニレン基としては、例えばビニレン基(−CH=CH−)、1−メチルビニレン基(−CH(CH)=CH−)、又はプロペニレン基(−CH−CH=CH−)が挙げられる。これらのなかでも、ビニレン基又は1−メチルビニレン基が好ましい。
前記連結基が炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であると、本発明の二次電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導性がより高められる場合がある。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のものが好ましく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基がより好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、前記炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものである。前記フルオロアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状であることが好ましい。また、前記フルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜10のアルコキシ基は、一般式(R55−O−)で表される基である。前記R55は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。つまり、前記炭素数1〜10のアルコキシ基の好適なものとして、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基は、前記炭素数1〜10のアルコキシ基中の水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものであり、一般式(R56−O−)で表される基である。前記R56は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、アルキル基の炭素原子に結合している水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残ったものでもよい。前記(R56−O−)の好適なものとして、トリフルオロメトキ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ノナフルオロ−n−ブトキシ基、ノナフルオロ−tert−ブトキシ基が例示できる。
化合物(B3)の好適なカチオンとしては、前記R118、R119、W及びWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B3)の好適なカチオンとしては、トリエチルメトキシアンモニウムカチオン、トリエチルエトキシアンモニウムカチオン、メトキシトリ−n−オクチルアンモニウムカチオン、エトキシトリ−n−オクチルアンモニウムカチオン、トリ−n−ブチルメトキシアンモニウムカチオン、トリ−n−ブチルエトキシアンモニウムカチオン、ジ−n−ブチルエトキシメトキシアンモニウムカチオン、エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウムカチオン、(2−エトキシ−エチル)−ジエチル−メチル−アンモニウムカチオン、ビス−(2−メトキシ−エチル)−ジメチル−アンモニウムカチオン、エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウムカチオンが例示できる。
化合物(B3)の好適なカチオンとして、ピロリジン環又はピペリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。下記一般式(B3−a1)で表されるピロリジン環を骨格構造とするカチオン、下記一般式(B3−a2)で表されるピペリジンン環を骨格構造とするカチオンが例示できる。
Figure 0006027307
前記一般式(B3−a1)において、Wは、前記一般式(B3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池の電解質体のイオン伝導度をより高められる場合がある。
前記一般式(B3−a1)において、Wは、前記一般式(B3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池の電解質体のイオン伝導度をより高められる場合がある。
前記一般式(B3−a1)において、WとWとの組み合わせとして、一方がメチル基である場合、他方がエチル基であることが好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池の電解質体のイオン伝導度をより高められる場合がある。
B3−a1の好適なものとしては、1−エチル−1−メチル−ピロリジニウムカチオン、1−メトキシ−1−メチル−ピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メトキシ−ピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メトキシメチル−ピロリジニウムカチオン、1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウムカチオン、1,1−ジメトキシ−ピロリジニウムカチオン、1−エトキシ−1−メトキシ−ピロリジニウムカチオンが例示できる。
Figure 0006027307
前記一般式(B3−a2)において、Wは、前記一般式(B3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池の電解質体のイオン伝導度をより高められる場合がある。
前記一般式(B3−a2)において、Wは、前記一般式(B3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池の電解質体のイオン伝導度をより高められる場合がある。
前記一般式(B3−a2)において、WとWとの組み合わせとして、一方がメチル基である場合、他方がエチル基であることが好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池の電解質体のイオン伝導度をより高められる場合がある。。
B3−a2の好適なものとしては、1−エチル−1−メチル−ピペリジニウムカチオン、1−メトキシ−1−メチル−ピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−メトキシメチル−ピペリジニウムカチオン、1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウムカチオン、1,1−ジメトキシ−ピペリジニウムカチオン、1−エトキシ−1−メトキシ−ピペリジニウムカチオンが例示できる。これらのなかでも、直鎖状のアルキル基を有するアンモニウムカチオンは、耐電位性に優れることから、好適である。ピロリジニウムカチオンやピペリジニウムカチオンといった脂肪族環状炭化水素は、電極との接触抵抗を低減する傾向があり、サイクル特性も優れるため、炭素数1〜3の直鎖構造に相当する官能基W、Wを有するものが好適である。さらに、複数のアルコキシ基を有すると、可動イオンの伝導性に優れることから、好適である。
B3成分のカチオンとして、直鎖状のテトラアルキルアンモニウムカチオンも、耐電位性に優れることから、好適である。
一般式(B3)中、(Z)は、前述の (Z)と同じである。
本発明において、化合物(B3)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(B3)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B3)の好適なものとしては、例えばメタンスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、酢酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、過塩素酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、塩化(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、臭化(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ヨウ化(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、メタンスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、酢酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、過塩素酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、塩化(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、臭化(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ヨウ化(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、メタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、酢酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、過塩素酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、塩化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、臭化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ヨウ化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、メタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、酢酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、過塩素酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、塩化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、臭化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ヨウ化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩が挙げられる。
<<溶媒>>
前記電解質を溶解する溶媒(可塑剤)としては、従来の二次電池に使用されるものが適用できる。例えば、好適なものとして、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、スルホラン、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,2,2,3−プロパンテトラカルボニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、1,3,5−シクロヘキサントリカルボニトリル、炭酸エチルメチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、n−ブチルメチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン等の非水系溶媒が挙げられる。
また、前記溶媒としては、極性部位を有する低分子液体、イオン液体も好ましいものとして挙げられる。
前記低分子液体としては、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−シアノエチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、グリセロールエトキシレート等が例示できる。
前記イオン液体としては、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヘキサフルオロフォスファート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド等が例示できる。これらのうち、イオン液体は、電池性能を左右する電解質を構成する金属カチオンに対するカウンターアニオンと同一若しくは類似した構造のアニオンを有するものが好ましい。この時、電解質の解離が起こりやすくなり、電解質を構成するアニオンと溶媒であるイオン液体におけるアニオン間の交換が起こりやすくなり、金属カチオンの効率的な移動を伴うため好ましい。
また、前記溶媒としては、双性イオン塩であるPSSハイドレート−オクタキス(テトラメチルアンモニウム)塩、ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩、1−(ジメチルカルバモイル)−4−(2−スルホエチル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩、ヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、オクタデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラブチルアンモニウムアセタート、1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムヒドロキサイド分子内塩、アセチル(キノリン−1−イウム−1−イル)アザニド、(トリメチルアンモニオ)アセタート、3−メチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,3−オキサジアゾール−3−イウム−2−イド−4−カルボン酸、1,2,2−トリメチルジアザン−2−イウム−1−イド、1,2,2,2−テトラメチルジアザン−2−イウム−1−イド、1,1,1−トリメチルジアザン−1−イウム−2−スルホナート等も用いることができる。
前記溶媒は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記溶媒には、さらに、補助添加剤として、ルイス酸、リン酸エステル及び無機粒子からなる群より選択される少なくとも一種を配合してもよい。これらの、補助添加剤を配合することにより、可動イオンの伝導性が一層向上することがある。
前記ルイス酸としては、トリス(トリメチルシリル)ボレート、2,4,6−トリメトキシボロキシン、トリメチルボレート等が例示できる。
前記リン酸エステルとしては、トリエチルフォスファート、トリプロピルフォスファート、トリブチルフォスファート、リン酸トリス(トリメチルシリル)エステル、トリス(2−ブトキシエチル)フォスファート、トリメチルシリルポリフォスファート等が例示できる。
前記無機粒子としては、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉄、チタン酸鉛等が例示できる。
電解質体1を調製する際の各成分の配合時には、各成分を各種手段により十分に混合することが好ましい。各成分は、これらを順次添加しながら混合しても良いし、全成分を添加してから混合しても良く、配合成分を均一に溶解又は分散させることができれば良い。各成分の混合方法は、特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼、ボールミル、スターラー、超音波分散機、超音波ホモジナイザー、自公転ミキサー等を使用する公知の方法を適用すれば良い。
混合温度、混合時間等の混合条件は、各種方法に応じて適宜設定すれば良いが、通常は、混合時の温度は10〜50℃であることが好ましく、混合の総時間は30〜90分であることが好ましい。
電解質体1における各成分の配合量は、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、以下の通りである。
B1成分の配合量は、電解質体1の総量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることが特に好ましい。
B2成分の配合量は、電解質体1の総量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、15〜85質量%であることがより好ましく、20〜80質量%であることが特に好ましい。
B3成分の配合量は、電解質体1の総量に対して、0〜90質量%であることが好ましく、0〜80質量%であることがより好ましく、0〜70質量%であることが特に好ましい。
前記溶媒の配合量は、B1成分、B2成分及びB3成分の総配合量に対して、1〜90質量%であることが好ましく、1〜70質量%であることがより好ましく、1〜50質量%であることが特に好ましい。
<<アニオンフィルター(F)>>
アニオンフィルター2は、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過する材質を有して成るものである。
ここで、前記金属カチオンは、電解質体1に含まれる金属カチオンであり、従来の二次電池に使用されているものが適用できる。前記金属カチオンとしては、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄等のカチオンが挙げられる。これらの中でも、本発明のアニオンフィルターの性能がより良く発揮されるため、リチウムイオン又はマグネシウムイオンが好ましく、マグネシウムイオンがより好ましい。
アニオンフィルター2の形状は特に制限されず、例えば従来のセパレータと同様のシート状や更に薄い膜状の形状が挙げられる。
本発明にかかる二次電池の第一態様において、アニオンフィルター2はシート状である。シート状のアニオンフィルター2の厚さは特に制限されないが、例えば1μm〜500μmが好ましく、10μm〜250μmがより好ましく、10μm〜100μmが更に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、アニオンフィルター2の機能が充分に発揮され、上記範囲の上限値以下であると、金属カチオンの透過量の低減を抑制できる。
本発明のアニオンフィルターは、構造的な強度を高めるために、多孔質基材によって補強されていることが好ましい。
前記多孔質基材としては、従来電池のセパレータとして使用されている樹脂製の多孔質膜が好適である。例えば、CELGARD社製のCelgard2400やこれと同等品を用いることができる。
前記多孔質膜内に本発明のアニオンフィルターを配することによって、アニオンフィルターの構造的強度を高められると共に、当該アニオンフィルターの厚さや大きさを調整する際の操作性を高められる。
本発明のアニオンフィルターの補強材として使用できる他の多孔質基材については、後で詳述する。
シート状のアニオンフィルター2の一方の側から他方の側へ、前記金属カチオン及び前記アニオンが透過する際、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過する。
ここで、『優先的に』とは、前記金属カチオンの透過量が前記アニオンの透過量よりも多いことを意味する。
前記金属カチオンの透過量(Ct)と前記アニオンの透過量(At)の比(Ct/At)は、5〜1000が好ましく、10〜1000がより好ましく、50〜1000が更に好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、アニオンフィルター2の機能が充分に発揮され、上記範囲の上限値以下であると、金属カチオンの透過量の低減を抑制できる。
また、アニオンフィルター2は、前記アニオンを実質的に透過しないものであってもよい。
アニオンフィルター2は、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有する構造体であり、
前記結合を有さない樹脂製のセパレータよりも、前記アニオンの透過量が少ないものであることが好ましい。
アニオンフィルター2は、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有する構造体であり、
前記結合を有さない樹脂製のセパレータよりも、酸素若しくは空気及び/又は水分の透過量が少ないものであることが好ましい。
前記構造体は、ケイ素原子と酸素原子との結合(−Si−O−)を有する高分子化合物であることが好ましい。より具体的な好ましい前記構造体は、後で詳述する。
前記樹脂製のセパレータは、従来の二次電池において正極と負極とが短絡することを防止するものであり、通常はシート状である。
前記透過量について、本発明のアニオンフィルターと比較する前記樹脂製のセパレータは、CELGARD社製のCelgard2400(登録商標)である。このセパレータは、ポリプロピレン製の単層の多孔質膜であり、膜厚は25μm、JIS規格 P8117:1998に基づくガーレー式の透気度は350sec/100cc・inであり、多孔率は30%〜40%である。これと同等のポリプロピレン製セパレータであれば、Celgard2400(登録商標)に代えて、本発明のアニオンフィルターと比較対象としてもよい。ここで、当該同等のセパレータは、膜厚が20μm〜30μm、ガーレー式透気度が300〜400sec/100cc・in、且つ多孔率が25%〜45%であるものとする。
本発明のアニオンフィルターにおける前記金属カチオン及び前記アニオンの透過量は、イオンクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーにおいて、イオン対試薬を用いる逆相分配クロマトグラフィーで調べられる。同様の方法で、セパレータの前記透過量も調べられる。
本発明のアニオンフィルターにおける酸素若しくは空気及び/又は水分の透過量は、ガスリークディテクタを用いた酸素リーク量の測定やガスクロマトグラフィーを用いた透過水蒸気量の測定といった方法で調べられる。同様の方法で、セパレータの前記透過量も調べられる。
<<負極>>
負極3は、前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容されるものであれば特に制限されず、従来の二次電池に使用される負極を適用できる。好ましい負極3は、前記金属カチオンからなる金属である。例えば、前記金属カチオンとしてLiイオンを用いた場合は、負極3としてリチウム箔を使用することが好ましい。同様に、前記金属カチオンとしてMgイオンを用いた場合は、負極3としてマグネシウム箔を使用することが好ましい。可動イオンである金属カチオンと同じ材料からなる負極を使用することにより、当該負極に対して、当該金属カチオンを可逆的に放出及び/又は収容することが、一層確実となる。
<<正極>>
正極4は、前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出されるものであれば特に制限されず、従来の二次電池に使用される正極を適用できる。好ましい正極4は、炭素材料を銅(Cu)板等にコーティングして配したものが挙げられる。
ここで、正極4において「前記金属カチオンが収容される」とは、前記金属カチオンが酸化物となって当該正極4に付着することも含む概念である。
本発明の二次電池は、いわゆる空気電池であってもよい。この場合の正極活物質は空気中の酸素であり、当該酸素と正極4に到達した前記金属カチオンとが反応して酸化物となり、正極4に付着する(正極4に収容される)ことがあり得る。当該酸化物は、充電時に分解されて、当該金属カチオンが放出されると共に、正極4において酸素が発生し得る。
前記炭素材料としては、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等が例示できる。
これらの炭素材料は、一種のみを用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。二種以上の場合には、その組み合わせ及び比率は目的に応じて適宜選択すればよい。
前記炭素材料には、バインダー樹脂を含んでもよい。
前記バインダー樹脂は、前記炭素材料同士を結合させる結着剤として機能し、これを使用することで、前記炭素材料を任意の形状に成形できる。
前記バインダー樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム等が例示できる。
前記バインダー樹脂の使用量は、特に限定されないが、炭素材料100質量部に対して、3〜50質量部であることが好ましい。下限値以上とすることで、バインダー樹脂を使用した効果がより十分に得られ、上限値以下とすることで、正極の導電性がより向上しうる。
前記バインダー樹脂には、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を有機溶媒として含有してもよい。当該バインダー樹脂及び前記炭素材料を混合した混合物を前記銅板に配する際、前記混合物の成形及び塗布が容易となるので好ましい。
本発明にかかる二次電池の正極4において、充電時に、酸素を発生する材料又は酸化物を分解する材料が含まれることが好ましい。
この構成とすることによって、前述のように、充電時に、正極4における金属カチオンの放出効率を向上させられる。
前記材料としては、白金、マンガン酸化物、鉄酸化物、コバルト酸化物等が例示できる。これらの中でも、前記酸化物の分解効率に優れる白金が好ましい。
本発明のアニオンフィルターは、電解質体1に含まれる金属カチオンが透過(通過)するものである。当該金属カチオンは、負極3側の電解質体1中において電解質を構成するアニオンや溶媒によって強く配位されている。この金属カチオンがアニオンフィルター2を透過する際、配位溶媒や配位アニオンが外れて、正極4における電解質−電極界面抵抗が低減されうる別のアニオンに置換される又は溶媒の配位の仕方が変わると考えられる。つまり、当該金属カチオンが正極4に収容される際に妨げとなりうる配位溶媒の状態及び/又は対アニオンの種類が、アニオンフィルター2を透過することによって変わると考えられる。正極4において、当該金属カチオンに配位している溶媒や対アニオンが外れ易くなり、より容易に正極3に収容される結果、金属カチオン(電解質)−正極界面抵抗が低減できると考えられる。
アニオンフィルター2を当該金属カチオンが透過する際に、配位溶媒や対アニオンが変わることは、エネルギー的に不利な配位子の交換を行うことになると考えられる。この交換は、本発明のアニオンフィルター2に特殊なメソポーラス構造があるため、及び本発明のアニオンフィルターに窒素又はリンを骨格に有する塩が含まれるため、だと考えられる。つまり、前記メソポーラス構造による物理的な作用と前記塩の化学的な作用とが協奏的に働いて、前記交換が成されていると考えられる。
また、前記メソポーラス構造は、「ケイ素又は金属」と酸素との結合を有する架橋構造体が添加剤(A3)の存在下で形成されることによって実現されていると考えられる。
<<アニオンフィルターの好適な例>>
本発明の二次電池におけるアニオンフィルターとしては、以下の構造体(A1)と構造体(A2)とを、添加剤(A3)の存在下で反応させて、ケイ素−酸素結合を形成して連結された材質を有するものが好ましい。
前記構造体(A1)は、下記一般式(A1)で表される、ケイ素と酸素の結合又は金属と酸素の結合を有するものであり、
前記構造体(A2)は、下記一般式(A2a)で表されるシラン化合物と、下記一般式(A2b)で表される窒素含有塩及び/又はリン含有塩とが反応して、前記シラン化合物と前記窒素含有塩及び/又はリン含有塩を構成するカチオンとが共有結合によって連結された、1つ以上のケイ素−酸素結合を有するものであり、
前記添加剤(A3)は、下記一般式(A3a)又は(A3b)で表される化合物である。
<<構造体(A1)>>
構造体(A1)は、下記一般式(A1)で表される、ケイ素と酸素の結合又は金属と酸素の結合を有するものである。
Figure 0006027307
一般式(A1)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、ケイ素原子であることが好ましい。
は炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子である。前記炭化水素基、アルキレンオキシ基(−R−O−、)及びオキシアルキレン基(−O−R−)において、炭素数が100より多くなると架橋が不十分となり、アニオンフィルターの耐膨潤性、耐熱性が不十分となる。
前記アルキレンオキシ基及びオキシアルキレン基の式中のRはアルキレン基を表し、該アルキレン基は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
の二価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでも良いが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
前記脂肪族炭化水素基の特に好ましいものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が例示できる。
前記芳香族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでも良いが、単環式であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
また、Rの二価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が結合した2価の基でも良く、このようなものとしては、芳香族炭化水素の二個の水素原子が2価の脂肪族炭化水素基で置換された二価の基が好ましい。ここで、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基としては、上記で説明したものの中から、炭素数の総数が100以下となる組み合わせを選択すれば良い。好ましいものとして具体的には、ベンゼンの1位及び4位の水素原子がアルキレン基で置換されたものが例示でき、該アルキレン基としては、炭素数が1〜5であるものが好ましく、炭素数が1〜3であるものがより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
は、ヘテロ原子を有していても良い。ここで、「ヘテロ原子を有する」とは、Rの少なくとも一つの水素原子又は炭素原子が、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する基で置換されていることを指す。また、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が例示できる。なかでも、Rの少なくとも一つの炭素原子が、酸素原子(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−NH−C(=O)−)で置換されたものは、これらの結合形成の容易性、構造体の柔軟性、原料の入手容易性の観点から好ましい。特に飽和脂肪族炭化水素基の炭素原子が酸素原子(−O−)で置換されたアルキレンオキシ基又はオキシアルキレン基はイオン伝導性の観点から好ましい。
が、アルキレンオキシ基又はオキシアルキレン基であると、構造体(A1)及び本発明のアニオンフィルターの耐酸性等の化学的安定性を高められるので好ましい。さらに、アニオンフィルターに適度な柔軟性を付与でき、緻密性なども調整できることから、直鎖状のアルキレンオキシ基又はオキシアルキレン基であることがより好ましい。アニオンフィルターのイオン透過性、イオン伝導性、柔軟性、緻密性等は、アルキレンオキシ基の分子長で調整できる。
一般式(A1)中、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基{CHC(=O)CH=C(−O)−CH−}、アセテート基{CH=C(−O)−CH−}、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基である。
ここで、R〜Rのいずれかが、式「−O−M−」で表される基である場合には、構造体(A1)が、他の構造体(A1)と結合していることを示す。
一般式(A1)中のR、R、R、R、R及びRのいずれかが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基である場合、これらの基は、炭素数1〜10のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介して、前記Mに結合していてもよい。
前記連結基としては、炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基が好ましく、エチレン基又はプロピレン基がより好ましい。
一般式(A1)中、n、n、n及びnは、Mに結合しているR、R、R及びRの数をそれぞれ示し、0又は1である。そして、「n+n+2」及び「n+n+2」は各々のMの原子価に一致する。すなわち、R、R、R及びRの総数は、これらが結合しているMの原子価と同じであり、R、R、R及びRの総数は、これらが結合しているMの原子価と同じである。例えば、Mがケイ素原子である場合、これに結合しているR、R、R及びRの総数は4である(R及びRの総数は2である)。このように、Mの種類によっては、R、R、R及びRのいずれかは存在しない。
一般式(A1)中、mは、1以上の整数である。
が2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。また、mが2以上である場合には、複数のRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、同様に、複数のR及びRも、それぞれ互いに同一でも異なっていても良い。この場合、例えば、構造体(A1)は、Rとして炭素数1〜100の二価の炭化水素基と酸素原子とを両方含むものであっても良く、このようなものとして、一般式「−M−R’−M−O−(式中、R’は炭素数1〜100の二価の炭化水素基を表す)」で表される繰り返しの基本骨格を有するものが例示できる。
また、mが2以上である場合には、複数のnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、同様に、複数のnもそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。
の上限値は特に制限されないが、例えば、1,000以下とすればよい。
構造体(A1)は、例えば、Rが酸素原子(O)であり、且つR〜Rが「−O−M−」である場合のように、無機化合物の場合もあれば、有機化合物を複合した有機無機複合体の場合もある。有機化合物を複合する場合は、無機物が有する耐熱性と、有機物が有する柔軟性とを両方兼ね備えたアニオンフィルターを形成できる。このような化合物を使用する場合には、架橋構造間の分子構造設計により、イオン透過性、イオン伝導性、柔軟性、透気度等の各物性の調整が可能である。
構造体(A1)のうち、例えば、Mがケイ素原子であるケイ素−酸素結合型の構造体や、これを形成するための架橋性の原料化合物は、そのまま市販されているものもあり、さらに、不飽和結合を有するものは、対応するシリル化合物のヒドロシリル化反応により合成でき、水酸基やアミノ基等を有するものも同様に合成できる。
構造体(A1)の好ましいものとして、具体的には、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,8−ビス(ジエトキシメチルシリル)オクタン、1,8−ビス(エチルジメトキシシリル)オクタン、1,8−ビス(エトキシジメチルシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、3−(アクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン及びn−ブチルトリメトキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラエトキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド、バナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、テトラブトキシスズ等のアルコキシドが加水分解されたモノマーが重縮合(縮重合)した重縮合体が例示できる。そして、上記のアルコキシドのうち、前記一般式(A1)で表されるものをそのまま構造体(A1)として使用しても良い。
また、スズジアセテート、クロムアセチルアセトナート、又はクロムアセテートヒドロキシドなどを前記アルコキシドに添加して加水分解し、この加水分解物を重合させることによって得られた生成物も、前記構造体(A1)として使用できる。なお、前記生成物には、前記アルコキシドのアルコキシ基がアセテート基、アセチルアセトナート基といった他の置換基で置換されたアルコキシドが含まれている。
構造体(A1)の好ましいものとしては、ケイ酸や、少なくとも一つの水酸基が塩を形成しているケイ酸塩をモノマーとして重縮合したものも例示できる。
前記ケイ酸塩としては、ケイ酸マグネシウムが好ましい。
構造体(A1)は、オリゴマーが重縮合したものでも良く、好ましいオリゴマーとして、各種市販品も利用でき、例えば、構造体(A1)を合成するためのものとしては、型番がKC−89、KR−500、KR−212、KR−213、KR−9218(いずれも信越化学工業社製)等のオリゴマーが挙げられる。
さらに、上記の各種モノマー及びオリゴマーを併用して、構造体(A1)としても良い。
構造体(A1)は、一種の原料化合物(前記モノマー又はオリゴマー)が重縮合したものでも良く、二種以上の原料化合物(前記モノマー及び/又はオリゴマー)が重縮合したものでも良い。二種以上が重縮合したものである場合、これら原料の組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
構造体(A1)は、前記原料化合物由来のアルコキシ基又は該アルコキシ基が加水分解された水酸基が少量なら残存していても良いが、水酸基の残存数が少ないものほど好ましく、水酸基が残存せずに、すべて重縮合反応したものが最も好ましい。水酸基の残存数が少なく、ケイ素−酸素結合又は金属−酸素結合を形成しているほど、構造体(A1)は緻密な構造をとり、アニオンフィルターの耐熱性、機械的強度が向上する。
構造体(A1)は、R、R、R、R、R及びRが有していてもよい重合性不飽和二重結合を介して、後述の構造体(A2)と結合しうる。すなわち、構造体(A1)が有する重合性不飽和二重結合と、構造体(A2)の有する重合性不飽和二重結合とが重合して結合しうる。
構造体(A1)は重合性の不飽和二重結合を有するものも好適に用いられる。すなわち、一般式(A1)のR、R、R、R、R及びRのいずれかが、炭素数1〜10のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基である構造体(A1)を用いることも好ましい。
構造体(A1)が重合性二重結合を有すると、アニオンフィルターの調製時に、構造体(A2)が有する重合性二重結合と重合させることができる。アニオンフィルターの形成時には、構造体(A1)、構造体(A2)及び添加剤(A3)を含む組成物を静置して、添加剤(A3)を核とするポーラス構造を形成させることが好ましく、このポーラス構造の形成を促進するために、前記静置の直前に構造体(A1)が有する重合性二重結合と構造体(A2)が有する重合性二重結合とを重合させることが好ましい。この様に安定化されたポーラス構造は、前記静置に続く加熱処理によって構造体(A1)と構造体(A2)とがケイ素−酸素結合(Si−O結合)により連結されることによって、メソポーラス構造になると考えられる。詳細は未解明であるが、このメソポーラス構造が、本発明のアニオンフィルターの機能を支えていると考えられる。
構造体(A1)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
<<構造体(A2)>>
構造体(A2)は、下記一般式(A2a)で表されるシラン化合物と、下記一般式(A2b)で表される窒素含有塩及び/又はリン含有塩とが反応して、前記シラン化合物と前記窒素含有塩及び/又はリン含有塩を構成するカチオンとが共有結合によって連結された、1つ以上のケイ素−酸素結合を有するものである。
<<シラン化合物(A2a)>>
Figure 0006027307
一般式(A2a)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基である。
前記炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良い。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでも良いが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。
前記脂肪族炭化水素基の好ましいものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。
前記芳香族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでも良いが、単環式であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。
一般式(A2a)中、Rは炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子である。
前記1〜100の二価の炭化水素基の説明は、前述のRにおける二価の炭化水素基の説明と同様である。
前記アルキレンオキシ基及びオキシアルキレン基の説明は、前述のRにおける当該基の説明と同様である。
一般式(A2a)中、R、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基{CH−C(=O)O−}、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−Si−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−Si−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基である。
ここで、R〜R11のいずれかが、式「−O−Si−」で表される基である場合には、構造体(A2)が、他の構造体(A2)と結合していることを示す。
一般式(A2a)中のR、R10及びR11のいずれかが、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、又はアリル基である場合、これらの基は、炭素数1〜10のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介して、前記Mに結合していてもよい。
前記連結基としては、炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基が好ましく、エチレン基又はプロピレン基がより好ましい。
一般式(A2a)中、n及びn10は0又は1であり、「n+n10+2」はSiの原子価に一致し、mは1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のR、R及びR10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びn10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。
の上限値は特に制限されないが、例えば、1,000以下とすればよい。
一般式(A2a)で表されるシラン化合物(A2a)は、市販されているものをそのまま用いてもよいし、架橋性の原料化合物を重縮合させても得られる。また、不飽和結合を有するものは、対応するシリル化合物のヒドロシリル化反応により合成でき、水酸基やアミノ基等を有するものも同様に合成できる。
シラン化合物(A2a)の好ましいものとして、具体的には、アリルトリメトキシシラン、トリエトキシビニルシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル等の不飽和二重結合を持つアルコキシシランと、メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン等の不飽和結合を有さないアルコキシシラン化合物とを、加水分解し、得られた加水分解物を重縮合したシラン化合物が挙げられる。
<<窒素又はリン含有塩(A2b)>>
シラン化合物(A2a)と反応させる前記窒素含有塩及び/又はリン含有塩は、以下の一般式(A2b)で表されるものである。以下では窒素又はリン含有塩(A2b)と呼ぶことがある。
当該反応により、シラン化合物(A2a)と窒素又はリン含有塩(A2b)を構成するカチオンとが共有結合によって連結されて、構造体(A2)が形成される。
Figure 0006027307
一般式(A2b)中、R12はビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である。重合反応の制御がより容易であるので、ビニル基、アリル基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
一般式(A2b)中、Lは単結合、炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であり、単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
LはXを構成するY又はR21に結合する。
前記アルキレン基としては、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
前記アルケニレン基としては、(−CH=CH−)、(−CH−CH=CH−)、又は(−CH=CH−CH−)が好ましい。
一般式(A2b)中、Xは下記一般式(X1)、(X2)、(X3)及び(X4)からなる群より選ばれる1種以上の窒素若しくはリンを含有する基(塩)である。
Figure 0006027307
一般式(X1)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子である。
一般式(X1)中、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基である。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。
前記アルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。
前記炭素数4〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記シクロアルキル基は、前記アルキル基を連結基として、Yに結合していてもよい。
前記シクロアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
また、R13とR14とが結合して環を形成していてもよい。ここで、「R13とR14とが結合して環を形成していても良い」とは、R13とR14とが結合して、R13、R14、及びこれらが結合しているYとで環を形成していても良いことをいう。
13とR14とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
一般式(X1)中、R13とR14の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良い。
さらに、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
一般式(X1)中、R15は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。
前記アルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。
一般式(X1)中、R13〜R15は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している水素原子が1つ以上の炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(X1)中、(Z)は、炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン(R42−SO)、フルオロアルキルスルホン酸イオン(R43−SO、アルコキシスルホン酸イオン(R44−O−SO、フルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオン(R73−O−R74−SO、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R46−SO−)N]、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R47−SO−)N]、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R48−SO−)(F−SO−)N]、フルオロアルキルカルボン酸イオン(R49−COO)、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R50−BF )、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−BF )若しくはフルオロアルコキシアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−R59−BF )、酢酸イオン(CHCOO)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)又はヨウ化物イオン(I)、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]、過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、又はテトラシアノホウ酸イオン[B(CN)である。
(Z)の説明は、前述の (Z)の説明と同じである。
一般式(A2b)のXが一般式(X1)で表される基である場合の、好ましい塩としては、ビニルトリメチルアンモニウム トリフルオロメタンスルホン酸塩、アリルジエチルメチルアンモニウム フルオロメタンスルホン酸塩、ヨウ化アリルエチルジメチルホスホニウム、塩化アクリロイルオキシプロピルエチルジメチルアンモニウム、及びメタクリロイルオキシエチルジメチルホスホニム ビス(メチルスルホニル)イミド塩、並びにこれらの塩を構成する重合性不飽和結合が前述の連結基Lを介しているものが挙げられる。これらの塩は、窒素原子やリン原子の周辺に炭化水素基が存在することによって、カチオン部の電子密度が適度に高くなっているため、優れた還元耐性を示す。
Figure 0006027307
一般式(X2)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子である。
一般式(X2)中、R16は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。
前記アルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(X2)中、R17は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基である。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン電導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばメチリデン基(=CH)、エチリデン基(=CHCH)、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、デシリデン基、イソプロピリデン基〔=C(CH〕等が挙げられる。これらなかでも、炭素数1〜8のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキリデン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン伝導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばビニリデン基(=C=CH)、アリリデン基(=CH−CH=CH)、ブテニリデン基、ペンテニリデン基、イソペンテニリデン基〔=CH−CH−C(=CH)CH〕等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜8のアルケニリデン基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニリデン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルケニリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R16とR17とが結合して環を形成していても良い。ここで、「R16とR17とが結合して環を形成していても良い」とは、R16とR17とが結合して、R16、R17、及びこれらが結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。言い換えると、R16とR17とが結合した場合、R16とR17は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記R16とR17とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記R16とR17とが結合する場合、R16の末端の炭素原子とR17の末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、R16の鎖中の炭素原子とR17の末端の炭素原子とが結合しても良く、R16の鎖中の炭素原子とR17の末端の炭素原子とが結合しても良く、R16の鎖中の炭素原子とR17の鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
16及びR17は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(X2)で表される好ましい基として、下記一般式(X2−a1)又は(X2−a2)で表される、イミダゾール環又はピリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。
Figure 0006027307
一般式(X2−a1)中、破線は前記Lへの結合を表し、R135、R136はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R135は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R136は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
一般式(X2−a1)及び(A2b)で表される塩を構成するカチオンの好適なものとしては、前記R135、R136、R12及びLの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記カチオンの好適なものとしては、1−ビニル−3−メチル−イミダゾリウムカチオン、1−ビニル−3−エチル−イミダゾリウムカチオン、1−ビニル−3−プロピル−イミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−メチル−イミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−エチル−イミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−プロピル−イミダゾリウムカチオン、1−アクリロイルオキシ−3−メチル−イミダゾリウムカチオン、1−アクリロイルオキシ−3−エチル−イミダゾリウムカチオン、1−アクリロイルオキシ−3−プロピル−イミダゾリウムカチオン、1−メタリロイルオキシ−3−メチル−イミダゾリウムカチオン、1−メタリロイルオキシ−3−エチル−イミダゾリウムカチオン、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピル−イミダゾリウムカチオンが例示できる。
Figure 0006027307
一般式(X2−a2)中、破線は前記Lへの結合を表し、R137、R138及びR139は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R137、R138及びR139は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
一般式(X2−a2)及び(A2b)で表される塩を構成するカチオンの好適なものとしては、前記R137及びR138、R139及びLの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記カチオンの好適なものとしては、1−ビニル−3−メチル−ピリジニウムカチオン、1−ビニル−3−エチル−ピリジニウムカチオン、1−ビニル−3−プロピル−ピリジニウムカチオン、1−アリル−3−メチル−ピリジニウムカチオン、1−アリル−3−エチル−ピリジニウムカチオン、1−アリル−3−プロピル−ピリジニウムカチオン、1−アクリロイルオキシ−3−メチル−ピリジニウムカチオン、1−アクリロイルオキシ−3−エチル−ピリジニウムカチオン、1−アクリロイルオキシ−3−プロピル−ピリジニウムカチオン、1−メタリロイルオキシ−3−メチル−ピリジニウムカチオン、1−メタリロイルオキシ−3−エチル−ピリジニウムカチオン、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピル−ピリジニウムカチオンが例示できる。
一般式(X2)中、(Z)は前記一般式(X1)における (Z)と同じである。
一般式(A2b)のXが一般式(X2)で表される基である場合の好ましい塩としては、例えば1−ビニル−3−メチル−イミダゾリウム トリフルオロメタンスルホン酸塩、1−アリル−3−プロピルイミダゾリム トリフルオロカルボン酸塩、ヨウ化1−ビニルピリジニウム、塩化1−アリルピリジニウム、及びこれらの塩を構成する重合性不飽和結合が前述の連結基Lを介しているものが挙げられる。これらの塩は、比較的短い炭化水素基を置換基に持つ環状構造であることから、カチオン部の電子密度が適度に高いため、優れた還元耐性を示す。
Figure 0006027307
一般式(X3)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子である。
一般式(X3)中、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基である。
前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。
前記アルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数4〜7のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記シクロアルキル基は、前記アルキル基を連結基として、Yに結合していてもよい。
前記シクロアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていてもよい。
また、R18とR19とが結合して環を形成していてもよい。ここで、「R18とR19とが結合して環を形成していても良い」とは、R18とR19とが結合して、R18、R19、及びこれらが結合しているYとで環を形成していても良いことをいう。
18とR19とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
一般式(X3)中、R18とR19の1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良い。
さらに、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
一般式(X3)中、R20は炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記炭素数1〜10のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
前記炭素数2〜10のアルケニレン基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキレン基及び前記炭素数2〜10のアルケニレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
また、前記R19及びR20が結合して環を形成していても良い。ここで、「R19とR20とが結合して環を形成していても良い」とは、R19とR20とが結合して、R19、R20、及びこれらが結合しているYとで環を形成していても良いことをいう。
19は、R20を構成する炭素原子のうち、Yに近い炭素原子(Yに隣接する炭素原子から数えて1番目〜3番目の炭素原子)と結合して環を形成することが好ましい。このような分子構造であると、R19とスルホ基(−SO )との立体障害を避け易くなり、カチオン部と電解質におけるアニオンとのより大きな相互作用が生まれ、効率的なアニオンフィルター効果が実現できる。
19とR20とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
18〜R20は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良い。また、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(A2b)のXが一般式(X3)で表される基である場合の、好ましい塩としては、エチルメチルビニルアンモニウムメタンスルホン酸塩(X3−01)、プロピルメチルビニルアンモニウムメタンスルホン酸塩(X3−02)、アリルエチルプロピルホスホニウムエタンスルホン酸塩(X3−03)、及びこれらの塩を構成する重合性不飽和結合が前述の連結基Lを介しているものが挙げられる。これらの塩は、窒素原子やリン原子の周辺に炭化水素基が存在することによって、カチオン部の電子密度が適度に高いため、優れた還元耐性を示す。
Figure 0006027307
Figure 0006027307
一般式(X4)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子である。
一般式(X4)中、R21及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記炭素数1〜10のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
前記炭素数2〜10のアルケニレン基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等が好適なものとして例示できる。
前記アルキレン基及びアルケニレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(X4)中、R22は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基である。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン電導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばメチリデン基(=CH)、エチリデン基(=CHCH)、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、デシリデン基、イソプロピリデン基〔=C(CH〕等が挙げられる。これらなかでも、炭素数1〜8のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキリデン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン伝導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばビニリデン基(=C=CH)、アリリデン基(=CH−CH=CH)、ブテニリデン基、ペンテニリデン基、イソペンテニリデン基〔=CH−CH−C(=CH)CH〕等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜8のアルケニリデン基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニリデン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルケニリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R21及びR22が結合して環を形成していても良い。ここで、「R21とR22とが結合して環を形成していても良い」とは、R21とR22とが結合して、R21、R22、及びこれらが結合しているYとで環を形成していても良いことをいう。
21とR22とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
また、前記R22及びR23が結合して環を形成していても良い。ここで、「R22とR23とが結合して環を形成していても良い」とは、R22とR23とが結合して、R22、R23、及びこれらが結合しているYとで環を形成していても良いことをいう。
22は、R23を構成する炭素原子のうち、Yに近い炭素原子(Yに隣接する炭素原子から数えて1番目〜3番目の炭素原子)と結合して環を形成することが好ましい。このような分子構造であると、R22とスルホ基(−SO )との立体障害を避け易くなり、カチオン部と電解質におけるアニオンとのより大きな相互作用が生まれ、効率的なアニオンフィルター効果が実現できる。
22とR23とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
21〜R23は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良い。また、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(X4)で表される好ましい基として、下記一般式(X4−a1)又は(X4−a2)で表される、イミダゾール環又はピリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。
Figure 0006027307
一般式(X4−a1)中、破線は前記Lへの結合を表し、R235、R236はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R235は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R236は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
一般式(X4−a1)中、R234は炭素数1〜9のアルキレン基又は炭素数2〜9のアルケニレン基である。
前記炭素数1〜9のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
前記炭素数2〜9のアルケニレン基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜9のものが好ましく、エテニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等が好適なものとして例示できる。
前記アルキレン基及びアルケニレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
234が長くなるほど、環骨格の正電荷からR234の負電荷が離れるため、また一般式(X4−a1)で表される基が柔軟に可動できる範囲が広がるため、効果的に金属カチオンの伝達を促進できる。
一般式(X4−a1)及び(A2b)で表される分子内塩の好適なものとしては、前記R234、R235、R236、R12及びLの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの分子内塩は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記分子内塩の好適なものとしては、例えば1−ビニル−3−メチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−ビニル−3−エチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−ビニル−3−プロピル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アリル−3−メチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アリル−3−エチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アリル−3−プロピル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−3−メチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−3−エチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−3−プロピル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メタリロイルオキシ−3−メチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メタリロイルオキシ−3−エチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、
1−ビニル−3−メチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−ビニル−3−エチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−ビニル−3−プロピル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アリル−3−メチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アリル−3−エチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アリル−3−プロピル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−3−メチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−3−エチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−3−プロピル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メタリロイルオキシ−3−メチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メタリロイルオキシ−3−エチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、及びこれらの塩を構成する重合性不飽和結合が前述の連結基Lを介しているものが挙げられる。これらの塩は、比較的短い炭化水素基を置換基に持つ環状構造であることから、カチオン部の電子密度が適度に高いため、優れた還元耐性を示す。
なお、「−5−メチルスルホン酸」とは、イミダゾリウム骨格の5位の炭素原子に「−CH−SO 」が結合していることを意味する。同様に、「−5−エチルスルホン酸」とは、イミダゾリウム骨格の5位の炭素原子に「−CH−CH−SO 」が結合していることを意味する。
Figure 0006027307
一般式(X4−a2)中、破線は前記Lへの結合を表し、R237、R238及びR239は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R237、R238及びR239は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
一般式(X4−a2)中、R234は炭素数1〜9のアルキレン基又は炭素数2〜9のアルケニレン基である。このR234の説明は、一般式(X4−a1)におけるR234の説明と同様である。
一般式(X4−a2)及び(A2b)で表される分子内塩としては、前記R237及びR238、R239及びLの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記分子内塩の好適なものとしては、1−ビニル−2−メタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、1−ビニル−2−エタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、1−アリル−2−メタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、1−アリル−2−エタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−2−メタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、1−アクリロイルオキシ−2−エタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、1−メタクリロイルオキシ−2−メタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、1−メタリロイルオキシ−2−エタンスルホン酸ピリジニウム分子内塩、及びこれらの塩を構成する重合性不飽和結合が前述の連結基Lを介しているものが例示できる。これらの塩は、比較的短い炭化水素基を置換基に持つ環状構造であることから、カチオン部の電子密度が適度に高いため、優れた還元耐性を示す。
なお、「−2−メタンスルホン酸」とは、ピロリジニウム骨格の2位の炭素原子に「−CH−SO 」が結合していることを意味する。同様に、「−2−エタンスルホン酸」とは、ピロリジニウム骨格の2位の炭素原子に「−CH−CH−SO 」が結合していることを意味する。
前記塩のうち、アニオン部とカチオン部とを連結する炭化水素基が長くなるほど、カチオン部を構成する環骨格の正電荷から炭化水素基の負電荷が離れるため、また前記塩が分子内において柔軟に可動できる範囲が広がるため、効果的にカチオンの伝達を促進できる。
<塩(A2b)の入手方法>
前述の一般式(A2b)で表される窒素含有塩及びリン含有塩は、市販品をそのまま使用してもよいし、対応する塩を有する化合物を用いた銀塩法、中和法、アルキル化法等、公知の方法により合成したものを用いても良い。
<構造体(A2)の製造方法>
シラン化合物(A2a)と塩(A2b)を構成するカチオンとを共有結合によって連結する方法としては、両者が有する重合性二重結合(反応性不飽和二重結合)によって互いに連結させる公知の重合反応を適用できる。例えば公知の熱重合開始剤と、シラン化合物(A2a)及び塩(A2b)とを適当な溶媒に混合した組成物を調製し、該組成物を加熱することによって重合させればよい。この重合反応によって、構造体(A2)が得られる。
シラン化合物(A2a)と塩(A2b)を構成するカチオンの組み合わせは目的に応じて適宜選択すればよい。この際、シラン化合物(A2a)及び塩(A2b)を構成するカチオンは各々1種ずつ用いてもよいし、各々2種以上用いてもよい。
シラン化合物(A2a)と塩(A2b)を構成するカチオンとを重合させる際の両者の混合比(モル比)としては、シラン化合物(A2a):塩(A2b)を構成するカチオン=1:1〜20:1が好ましく、2:1〜15:1がより好ましく、4:1〜10:1がさらに好ましい。
重合させる際の温度、時間、雰囲気は、公知の方法に従い、適宜設定すればよい。特にA2aとA2bの反応は、空気中の水分や自身の反応熱によって反応が影響を受けるため、なるべくグローブボックス等を用いて、不活性雰囲気下でペルチエ素子等を使用して、温度管理をしながら精密合成を行うことが好ましい。
構造体(A2)は1つ以上のケイ素−酸素結合を有するものである。このケイ素−酸素結合は、構造体(A2)を構成するシラン化合物(A2a)に予め形成されているものであっても良いし、ケイ素−酸素結合を有するシラン化合物を(A2a)及び/又は(A2b)に結合させても良いし、重合開始剤を入れずに(A2a)を100℃以上に加熱し、オリゴマー化する方法で形成されたものであっても良い。より確実に構造体(A2)がケイ素−酸素結合を有するためには、構造体(A2)の合成時に、ケイ素−酸素結合を有するシラン化合物(A2a)を用いることが好ましい。
シラン化合物(A2a)が有する不飽和二重結合と塩(A2b)が有する不飽和二重結合とを、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を用いて重合させる場合、シラン化合物(A2a)及び塩(A2b)が有する重合性の不飽和二重結合のうち、40〜99%が重合していることが好ましく、50〜90%が重合していることがより好ましく、50〜80%が重合していることがさらに好ましい。
重合して得られる構造体(A2)が未重合の重合性二重結合を有すると、アニオンフィルターの調製時に、構造体(A2)が有する重合性二重結合同士又は構造体(A1)が有する重合性二重結合と重合させることができる。アニオンフィルターの形成時には、構造体(A1)、構造体(A2)及び添加剤(A3)を含む組成物を静置して、添加剤(A3)を核とするポーラス構造を形成させることが好ましく、このポーラス構造の形成の促進及び/又は形成されたポーラス構造を安定化するために、前記静置の直前に、添加剤(A3)の存在下で前記重合を行うことが好ましい。この様に安定化されたポーラス構造は、前記静置に続く加熱処理によって構造体(A1)と構造体(A2)とがケイ素−酸素結合(Si−O結合)により連結されることによって、メソポーラス構造になると考えられる。詳細は未解明であるが、このメソポーラス構造が、本発明のアニオンフィルターの機能を支えていると考えられる。
<架橋剤(D)>
構造体(A2)を合成する際、重合性不飽和結合を少なくとも1つ以上含む架橋剤(D成分)を配合しても良い。架橋剤を含むことにより、シラン化合物(A2a)と塩(A2b)とを重合させたポリマー同士を架橋させることができる。これにより、構造体(A2)の機械的強度を一層高められる。
架橋剤(D成分)を前記組成物に配合する量は、シラン化合物(A2a)及び塩(A2b)の総配合量に対して、0.5〜50質量%であることが好ましく、0.7〜40質量%であることがより好ましく、1〜30質量%であることが特に好ましい。
前記架橋剤としては、二つ又は三つ以上の不飽和結合を有する化合物が好ましい。
二つの不飽和結合を有する化合物としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、1,6−ヘキサンジイルビス[オキシ(2−ヒドロキシー3,1−プロパンジイル)]ビスアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネートジアクリレート、ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスファート、ビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、ジウレタンジメタクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートビス[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノエート]、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’―エチレンビス(アクリルアミド)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、プロピレングリコールグリセロレートジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートメチルエーテルジアクリレート、2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、アリルエーテル、ジアリルカーボネート、マレイン酸ジアリル、ジアリルスクシネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等のモノマー;一種以上の前記モノマーが重合したオリゴマー又はポリマーが例示できる。
二つの不飽和結合を有する化合物は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
三つ以上の不飽和結合を有する化合物としては、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,6−トリアリロキシ−1,3,5−トリアジン等のモノマー;一種以上の前記モノマーが重合したオリゴマー又はポリマーが例示できる。
三つ以上の不飽和結合を有する化合物は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
構造体(A2)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
<<添加剤(A3)>>
添加剤(A3)は、、下記一般式(A3a)又は(A3b)で表される化合物(分子内塩)である。
<化合物(A3a)>
Figure 0006027307
一般式(A3a)中、Yは、スルホ基(−SO 若しくは−SOH)又はカルボキシル基(−COO若しくは−COOH)である。前記スルホ基又はカルボキシル基は、プロトンが解離して陰イオンになっているものが好ましい。
一般式(A3a)中、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基である。
前記炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。
24〜R26のうち、いずれか1つが炭素数11〜20の長鎖アルキル基であることが好ましい。また、R24〜R26のうち、いずれか2つが炭素数1〜10の短鎖アルキル基であることが好ましい。さらに、R24〜R26のうち、いずれか1つが前記長鎖アルキル基であり、且つ残りの2つが前記短鎖アルキル基であることがより好ましい。
24〜R26中に1つ以上の前記長鎖アルキル基があることにより、長鎖アルキル基の親和性による集合力の効果が奏されるので好ましい。この結果、長鎖アルキル基が船のアンカーのような働きをし、それを核又は鋳型として構造体(A1)と構造体(A2)が集まり、反応することによって特徴あるポーラス構造が形成されると考えられる。
前記長鎖アルキル基及び短鎖アルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基で置換されていてもよい。
前記炭素数4〜14のシクロアルキル基は、単環であっても多環であってもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記シクロアルキル基は、前記アルキル基を連結基として、窒素原子に結合していてもよい。
前記シクロアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜12のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
25とR26とが結合して環を形成していてもよい。ここで、「R25とR26とが結合して環を形成していても良い」とは、R25とR26とが結合して、R25とR26と結合している窒素原子とともに環を形成していても良いことをいう。
25とR26とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
一般式(A3a)中、R27は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基である。
前記炭素数1〜20のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
前記炭素数2〜20のアルケニレン基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜20のものが好ましく、エテニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜20のアルキレン基及び前記炭素数2〜20のアルケニレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R26及びR27が結合して環を形成していても良い。ここで、「R26とR27とが結合して環を形成していても良い」とは、R26とR27とが結合して、R26、R27、及びこれらが結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。
26は、R27を構成する炭素原子のうち、窒素原子に近い炭素原子(窒素原子に隣接する炭素原子から数えて1番目〜3番目の炭素原子)と結合して環を形成することが好ましい。このような分子構造であると、R26とYとの立体障害を避け易くなり、カチオン部と電解質におけるアニオンとのより大きな相互作用が生まれ、効率的なアニオンフィルター効果が実現できる。
26とR27とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
24〜R27は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良い。また、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良い。
前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
また、R24、R25及びR26は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。これら重合性二重結合が、例えば構造体(A2)に結合すると、メソポーラス構造形成後に離脱せず、アニオンフィルターの一部として、電解質のフィルター効果を向上することができるため好ましい。
一般式(A3a)の好ましい化合物としては、ヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、ヘキサデシルジメチル(3−カルボキシプロピル)ホスホニウムヒドロキシド分子内塩等が挙げられる。これらは、比較的長いアルキル鎖を持つために、そのアンカー効果によって集合し、特徴ある性能を発現する構造の核となる。また同一分子内に正電荷と負電荷を有しており、不要なイオンが離脱しないため、好ましい。
<化合物(A3b)>
Figure 0006027307
一般式(A3b)中、Yは、スルホ基(−SO 若しくは−SOH)又はカルボキシル基(−COO若しくは−COOH)である。前記スルホ基又はカルボキシル基は、プロトンが解離して陰イオンになっているものが好ましい。
一般式(A3b)中、R28は炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基である。
前記炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が例示できる。R28は炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。
前記アルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基で置換されていてもよい。
28は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。これら重合性二重結合が、例えば構造体(A2)に結合すると、メソポーラス構造形成後に離脱せず、アニオンフィルターの一部として、電解質のフィルター効果を向上することができるため好ましい。
前記炭素数4〜14のシクロアルキル基は、単環であっても多環であってもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記シクロアルキル基は、前記アルキル基を連結基として、窒素原子に結合していてもよい。
前記シクロアルキル基の1つ以上の水素原子はフッ素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基で置換されていてもよい。
前記炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
28とR29とが結合して環を形成していてもよい。ここで、「R28とR29とが結合して環を形成していても良い」とは、R28とR29とが結合して、R28、R29、及びこれらが結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。
28とR29とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
一般式(A3b)中、R29は炭素数1〜20のアルキリデン基又は炭素数2〜20のアルケニリデン基である。
前記炭素数1〜20のアルキリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン電導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばメチリデン基(=CH)、エチリデン基(=CHCH)、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、デシリデン基、イソプロピリデン基〔=C(CH〕等が挙げられる。これらなかでも、炭素数1〜8のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキリデン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数1〜20のアルキリデン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜20のアルケニリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の二次電池におけるイオン伝導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばビニリデン基(=C=CH)、アリリデン基(=CH−CH=CH)、ブテニリデン基、ペンテニリデン基、イソペンテニリデン基〔=CH−CH−C(=CH)CH〕等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜8のアルケニリデン基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニリデン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルケニリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数2〜20のアルケニリデン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
一般式(A3b)中、R30は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基である。
前記炭素数1〜20のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
前記炭素数2〜20のアルケニレン基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のものが好ましく、エテニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜20のアルキレン基及び前記炭素数2〜20のアルケニレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R28及びR29が結合して環を形成していても良い。ここで、「R28とR29とが結合して環を形成していても良い」とは、R28とR29とが結合して、R28、R29、及びこれらが結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。言い換えると、R28とR29とが結合した場合、R28とR29は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキレン基、又は炭素数2〜20のアルケニレン基である。
前記R28とR29とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記R28とR29とが結合する場合、R28の末端の炭素原子とR29の末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、R28の鎖中の炭素原子とR29の末端の炭素原子とが結合しても良く、R28の鎖中の炭素原子とR29の末端の炭素原子とが結合しても良く、R28の鎖中の炭素原子とR29の鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
また、前記R29及びR30が結合して環を形成していても良い。ここで、「R29とR30とが結合して環を形成していても良い」とは、R29とR30とが結合して、R29、R30、及びこれらが結合している窒素原子とで環を形成していても良いことをいう。
29は、R30を構成する炭素原子のうち、窒素原子に近い炭素原子(窒素原子に隣接する炭素原子から数えて1番目〜3番目の炭素原子)と結合して環を形成することが好ましい。このような分子構造であると、R29とYとの立体障害を避け易くなる。
29とR30とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
28〜R30は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良い。また、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良い。
前記へテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。なかでも、酸素原子又は窒素原子が好ましい。
前記炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子は、一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(A3b)で表される好ましい化合物として、下記一般式(A3b−a1)、(A3b−a2)、又は(A3b−b1)で表される、イミダゾール環又はピリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。
Figure 0006027307
一般式(A3b−a1)中、Yは、スルホ基(−SO 若しくは−SOH)又はカルボキシル基(−COO若しくは−COOH)である。前記スルホ基又はカルボキシル基は、プロトンが解離して陰イオンになっているものが好ましい。
一般式(A3b−a1)中、R327、R328、R329はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
328は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。これらの重合性二重結合が、例えば構造体(A2)に結合することによって、メソポーラス構造形成後に離脱せず、化合物(A3b−a1)がアニオンフィルターの一部として、電解質のフィルター効果を一層向上させることができるため好ましい。
前記R327は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R329は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R328は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
一般式(A3b−a1)中、R330は、単結合、炭素数1〜19のアルキレン基又は炭素数2〜19のアルケニレン基である。
前記炭素数1〜19のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
前記炭素数2〜19のアルケニレン基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜19のものが好ましく、エテニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等が好適なものとして例示できる。
前記アルキレン基及びアルケニレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。R330の長さを調節することによってアニオンフィルターのメソポーラス構造の多孔径を調整することができるため、フィルター機能に選択性を付与することが期待される。
一般式(A3b−a1)で表される分子内塩の好適なものとしては、前記R327、R328、R329、R330及びYの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの分子内塩は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記分子内塩の好適なものとしては、例えば1−エチル−3−メチル−5−スルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−エチル−5−スルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−プロピル−5−スルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−メチル−5−スルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−エチル−5−スルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−プロピル−5−スルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、
1−エチル−3−メチル−5−カルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−エチル−5−カルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−プロピル−5−カルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−メチル−5−カルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−エチル−5−カルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−プロピル−5−カルボン酸−イミダゾリウム分子内塩が挙げられる。
さらに、一般式(A3b−a1)で表される好適な分子内塩として、例えば1−エチル−3−メチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−エチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−メチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−エチル−5−エチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−プロピル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−メチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−エチル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−プロピル−5−メチルスルホン酸−イミダゾリウム分子内塩、
1−エチル−3−メチル−5−メチルカルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−エチル−5−メチルカルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−メチル−5−エチルカルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−エチル−5−エチルカルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−エチル−3−プロピル−5−メチルカルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−メチル−5−メチルカルボン酸−イ
ミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−エチル−5−メチルカルボン酸−イミダゾリウム分子内塩、1−メチル−3−プロピル−5−メチルカルボン酸−イミダゾリウム分子内塩が挙げられる。
ここで例示した分子内塩は、比較的短い炭化水素基を置換基に持つ環状構造であることから、カチオン部の電子密度が適度に高いため優れた還元耐性を示すので好ましい。また、ここで例示した分子内塩は、不飽和結合を有する環状構造に比較的短い置換基がついており、正電荷を有する環状構造を中心として負電荷を有する直鎖状の置換基が周辺に伸びている構造であり、これが分子運動をする。重合反応時には、この分子内塩が核となって反応が進行するため、比較的均一に、アニオンフィルターの多孔状の表面に、前記分子内塩の構造を反映した球状のメソポーラス構造を形成しやすい。その結果、アニオンフィルターの機能をより良く発現することができると考えられる。
なお、「−5−スルホン酸」とは、イミダゾリウム骨格の5位の炭素原子に「−SO 」が結合していることを意味する。また、「−5−メチルスルホン酸」とは、イミダゾリウム骨格の5位の炭素原子に「−CH−SO 」が結合していることを意味する。同様に、「−5−エチルスルホン酸」とは、イミダゾリウム骨格の5位の炭素原子に「−CH−CH−SO 」が結合していることを意味する。カルボン酸の場合も同様である。
Figure 0006027307
一般式(A3b−a2)中、Yは、スルホ基(−SO 若しくは−SOH)又はカルボキシル基(−COO若しくは−COOH)である。前記スルホ基又はカルボキシル基は、プロトンが解離して陰イオンになっているものが好ましい。
一般式(A3b−a2)中、R327、R329はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
327及び/又はR329は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。これらの重合性二重結合が、例えば構造体(A2)に結合することによって、メソポーラス構造形成後に離脱せず、化合物(A3b−a2)がアニオンフィルターの一部として、電解質のフィルター効果を一層向上させることができるため好ましい。
前記R327は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R329は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
一般式(A3b−a2)中、R331は、炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基である。
前記炭素数1〜20のアルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基がより好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基がより好ましい。
前記炭素数2〜20のアルケニレン基は、1〜3個の二重結合(C=C)を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜20のものが好ましく、エテニレン基(−CH=CH−)、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基等が好適なものとして例示できる。
前記アルキレン基及びアルケニレン基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。R331の長さを調節することによってアニオンフィルターのメソポーラス構造の多孔径を調整することができるため、フィルター機能に選択性を付与することが期待される。
一般式(A3b−a2)で表される分子内塩の好適なものとしては、前記R327、R329、R331及びYの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの分子内塩は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記分子内塩の好適なものとしては、例えば1−メチルスルホン酸−2−エチル−3−メチル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルスルホン酸−2−エチル−3−エチル−イミダゾリウム分子内塩、1−エチルスルホン酸−2−エチル−3−メチル−イミダゾリウム分子内塩、1−エチルスルホン酸−2−エチル−3−エチル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルスルホン酸−2−エチル−3−プロピル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルスルホン酸−2−メチル−3−メチル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルスルホン酸−2−メチル−3−エチル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルスルホン酸−2−メチル−3−プロピル−イミダゾリウム分子内塩、
1−メチルカルボン酸−2−エチル−3−メチル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルカルボン酸−2−エチル−3−エチル−イミダゾリウム分子内塩、1−エチルカルボン酸−2−エチル−3−メチル−イミダゾリウム分子内塩、1−エチルカルボン酸−2−エチル−3−エチル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルカルボン酸−2−エチル−3−プロピル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルカルボン酸−2−メチル−3−メチル−イ
ミダゾリウム分子内塩、1−メチルカルボン酸−2−メチル−3−エチル−イミダゾリウム分子内塩、1−メチルカルボン酸−2−メチル−3−プロピル−イミダゾリウム分子内塩が挙げられる。これらの分子内塩は、比較的短い炭化水素基を置換基に持つ環状構造であることから、カチオン部の電子密度が適度に高いため優れた還元耐性を示すので、好ましい。
また、ここで例示した分子内塩は、不飽和結合を有する環状構造に比較的短い置換基がついており、正電荷を有する環状構造を中心として負電荷を有する直鎖状の置換基が周辺に伸びている構造であり、これが分子運動をする。重合反応時には、この分子内塩が核となって反応が進行するため、比較的均一に、アニオンフィルターの多孔状の表面に、前記分子内塩の構造を反映した球状のメソポーラス構造を形成しやすい。その結果、アニオンフィルターの機能をより良く発現することができると考えられる。
なお、「1−メチルスルホン酸」とは、イミダゾール骨格の1位の炭素原子に「−CH−SO 」が結合していることを意味する。同様に、「1−エチルスルホン酸」とは、イミダゾリウム骨格の1位の炭素原子に「−CH−CH−SO 」が結合していることを意味する。カルボン酸の場合も同様である。
Figure 0006027307
一般式(A3b−b1)中、Yは、スルホ基(−SO 若しくは−SOH)又はカルボキシル基(−COO若しくは−COOH)である。前記スルホ基又はカルボキシル基は、プロトンが解離して陰イオンになっているものが好ましい。
一般式(A3b−b1)中、R326、R327、R328及びR329は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
326、R327、R328及び/又はR329は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。これらの重合性二重結合が、例えば化合物(A2)に結合することで、メソポーラス構造形成後に離脱せず、化合物(A3b−b1)アニオンフィルターの一部として、電解質のフィルター効果を向上することができるため好ましい。
前記R326、R327、R328及びR329は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
一般式(A3b−b1)中、R331は、炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基である。このR331の説明は、一般式(A3b)におけるR30の説明と同様である。
一般式(A3b−b1)で表される分子内塩としては、前記R326、R327、R328、R329、R331及びYの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
前記分子内塩の好適なものとしては、例えば1−メチルカルボン酸−ピリジニウム塩、1−エチルカルボン酸−ピリジニウム塩、1−プロピルカルボン酸−ピリジニウム塩、
1−メチルスルホン酸−2−メチル−ピリジニウム塩、1−メチルスルホン酸−2−エチル−ピリジニウム塩、1−メチルスルホン酸−2−プロピル−ピリジニウム塩、1−エチルスルホン酸−2−メチル−ピリジニウム塩、1−エチルスルホン酸−2−エチル−ピリジニウム塩、1−エチルスルホン酸−2−プロピル−ピリジニウム塩、1−プロピルスルホン酸−2−メチル−ピリジニウム塩、1−プロピルスルホン酸−2−エチル−ピリジニウム塩、1−プロピルスルホン酸−2−プロピル−ピリジニウム塩が挙げられる。これらは、比較的短い炭化水素基を置換基に持つ環状構造であることから、カチオン部の電子密度が適度に高いため、優れた還元耐性を示し、好ましい。
なお、「1−メチルスルホン酸」とは、ピロリジニウム骨格の1位の窒素原子に「−CH−SO 」が結合していることを意味する。同様に、「1−エチルスルホン酸」、「1−プロピルスルホン酸」とは、各々、ピロリジニウム骨格の1位の窒素原子に「−CH−CH−SO 」、「−CH−CH−CH−SO 」が結合していることを意味する。同様に、「1−メチルカルボン酸」、「1−エチルカルボン酸」、「1−プロピルカルボン酸」とは、各々、ピロリジニウム骨格の1位の窒素原子に「−CH−COO」、「−CH−CH−COO」、「−CH−CH−CH−COO」が結合していることを意味する。
<化合物(A3)の入手方法>
前述の一般式(A3)、(A3a)、(A3b)、(A3b−a1)及び(A3b−b1)で表される窒素含有塩及びリン含有塩は、それぞれ市販品をそのまま使用してもよいし、公知の方法により合成したものを用いても良い。
<アニオンフィルターの製造方法>
以上で説明した構造体(A1)と構造体(A2)とを、添加剤(A3)の存在下で反応させる方法としては、これら3成分を混合した組成物を加熱し、構造体(A1)の「M−R結合(RはR〜Rの何れか1以上)」及び構造体(A2)の「Si−O結合(ケイ素−酸素結合)」において、ルイス酸の電子アクセプターや、アルコールや水等の水素結合を形成しうる化合物が酸素及び/又は「R」の非共役電子対に結合して「Si−O結合」及び/又は「M−R結合」を弱めて、これらの結合が切れた分解物を生じさせる。つづいて段階的に加熱温度を下げることによって分解物を重縮合させることによって、構造体(A1)と構造体(A2)との間に「Si−O結合」を形成させて連結することができる。
本発明のアニオンフィルターを形成する際、前記分解を行う前に、構造体(A1)が有する不飽和二重結合と構造体(A2)が有する不飽和二重結合とを、又は構造体(A2)が有する不飽和二重結合同士を、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を用いて、添加剤(A3)の存在下で互いに重合させておくことが好ましい。この予めの重合反応を行っておくことにより、添加剤(A3)を核としてポーラス構造をより安定に形成できると考えられる。この後、ポーラス構造が形成された状態で構造体(A1)と構造体(A2)とを前記分解及び重縮合によって「Si−O結合」で連結すると、メソポーラス構造が形成されると考えられる。本発明のアニオンフィルターの優れた性能は、このメソポーラス構造によるところが大きいと考えられる。
前記組成物における構造体(A1)、構造体(A2)、添加剤(A3)の混合比(重量比)としては、各々、A1:A2=10:1〜1:10が好ましく、5:1〜1:5がより好ましく、2:1〜1:2がさらに好ましく、(A1+A2):A3=50:1〜5:1が好ましく、40:1〜10:1がより好ましく、30:1〜15:1がさらに好ましい。
上記範囲内となるように構造体(A1)と構造体(A2)との割合を調整することによって、構造体(A1)と構造体(A2)とを偏りなく連結することができる。つまり、構造体(A1)同士又は構造体(A2)同士が不均一に偏って連結して、構造体(A1)と構造体(A2)とが分離してしまうことを防ぐことができる。仮に不均一に偏った連結が形成されてしまうと、前記ポーラス構造内に存在する構造体(A2)が疎又は密になるため、アニオンフィルターにおける電解質のフィルター機能が十分に発揮されない場合がある。
また、上記範囲内となるように添加剤(A3)の混合割合を調整することによって、前記ポーラス構造を充分な数で形成できる。添加剤(A3)の混合割合が極端に少ないと、前記ポーラス構造を形成する核が極端に少なくなり、メソポーラス構造も形成されない場合がある。一方、添加剤(A3)の混合割合が極端に多いと、前記ポーラスの径が大きくなり過ぎたり、添加剤(A3)が組成物中で分離してしまうことがある。
前記分解の反応温度は、60〜300℃が好ましく、70〜200℃がより好ましく、80〜150℃がさらに好ましい。
上記温度範囲の上限値以下であると、原材料の過分解を抑制して、構造体(A1)と構造体(A2)を充分な数のケイ素−酸素結合で連結できる。また、原材料中の有機物が分解することを防ぎ、原材料中のケイ素−酸素結合が極端に少なくなることを抑制できる。
上記温度範囲の下限値以上であると、構造体(A1)における「−M−O−」結合、構造体(A2)における「−Si−O−」、及び原材料中の重合性二重結合が充分に反応しうる。
前記分解の反応時間としては、3〜100時間が好ましく、4〜50時間がより好ましく、5〜24時間がさらに好ましい。
上記反応時間の範囲の下限値以上であると、結合をより充分に形成できる。また、上限値以下であると、反応材料の分解を抑制できる。
前記反応後に段階的に温度を室温まで下げる際の温度低下速度は、1〜20℃/hrが好ましく、2〜15℃/hrがより好ましく、4〜10℃/hrがさらに好ましい。
上記速度範囲内であると、アニオンフィルターの構造的強度を充分に高められ、その性能がより良く発揮され得る。
構造体(A1)が有する不飽和二重結合と構造体(A2)が有する不飽和二重結合とを、熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤を用いて、添加剤(A3)の存在下で互いに重合させる場合、構造体(A1)及び構造体(A2)が有する重合性の不飽和二重結合のうち、50〜100%が重合していることが好ましく、75〜100%が重合していることがより好ましく、90〜100%が重合していることがさらに好ましい。
前記組成物には、反応に適した溶媒を必要量添加することが好ましい。また、重合開始剤を添加する場合には、その種類や濃度は重合性二重結合の種類や量に基づいて適宜設定すればよい。前記組成物には、前記連結を阻害するものでなく、前記ポーラス構造や前記メソポーラス構造の形成を阻害するものでなければ、他の成分を配合してもよい。
構造体(A1)と構造体(A2)を加熱して、ケイ素−酸素結合によって連結(本硬化)する前に、添加剤(A3)及びルイス酸の電子アクセプター若しくは水素結合を形成しうる化合物の存在下で、室温で10時間以上の静置を行う(養生する)ことが好ましい。これにより、形成されている及び形成されつつあるM−O結合及び/又はSi−O結合が添加剤(A3)を核にしてポーラス構造を形成する配置とすることができる。前記静置前に、構造体(A1)と構造体(A2)とを両者が有する重合性二重結合によって重合させて予め結合させておくこと、又は構造体(A2)同士を構造体(A2)が有する重合性二重結合によって重合させて予め結合させておくこと、がより好ましい。これにより、前記ポーラス構造の形成が一層安定化させることができる。
また、加熱後の除熱は徐々に(段階的に)行うことが好ましい。硬化させて得られたアニオンフィルターの強度が増すとともに、前記ポーラス構造がメソポーラス構造となることが一層確実に得られる。
前記組成物に光重合開始剤又は熱重合開始剤を配合する場合、当該組成物中に含まれる重合性二重結合の種類や量にもよるが、0.5〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
前記組成物を調製する際の各成分の配合時には、各種手段により十分に混合することが好ましい。各成分は、これらを順次添加しながら混合しても良いし、全成分を添加してから混合しても良く、配合成分を均一に溶解又は分散させることができれば良い。
前記各成分の混合方法は、特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼、ボールミル、スターラー、超音波分散機、超音波ホモジナイザー、自公転ミキサー等を使用する公知の方法を適用すれば良い。
混合温度、混合時間等の混合条件は、各種方法に応じて適宜設定すれば良いが、通常は、混合時の温度は0〜30℃であることが好ましく、混合の総時間は30〜90分であることが好ましい。
以上のように、前記組成物を反応させて得た生成物であるアニオンフィルターは不定形であるため、シート状又は膜状に成形して用いることが好ましい。成形の方法としては、例えば前記反応後の溶液を平板底の容器にキャストして、溶媒を揮発させることによって行うことができる。また、別の方法としては、電極表面に反応後の溶液を溶媒や電解質とともにキャストして、コーティング膜を形成することによって行うことができる。さらに、アニオンフィルターを生成する前記反応を多孔質基材中で行うことによって、生成するアニオンフィルターを多孔質基材内に含浸させた状態で得ることができる。反応後に、当該多孔質基材から溶媒を除去することによって、多孔質基材で補強されたアニオンフィルターを得られる。
本発明のアニオンフィルターは、前記電解質体に含まれる前記金属カチオンと前記アニオンのうち、前記金属カチオンが前記アニオンよりも優先的に透過するものであることが好ましい。このような特性を有するアニオンフィルターを二次電池に使用することにより、正極−負極間における電解質体のイオン伝導性を高められる。
本発明のアニオンフィルターは、前記電解質体に含まれる前記金属カチオンと前記アニオンのうち、前記アニオンの透過量が、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有さない樹脂製のセパレータよりも少ないものであることが好ましい。このような特性を有するアニオンフィルターを二次電池に使用することにより、正極−負極間における電解質のイオン伝導性を高められる。
本発明のアニオンフィルターは、酸素若しくは空気及び/又は水分の透過量が、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子と酸素との結合を有さない樹脂製のセパレータよりも少ないものであることが好ましい。このような特性を有するアニオンフィルターを二次電池に使用することにより、電解質体内に外部から入った酸素、空気又は水分が、アニオンフィルターを通過して拡散することを抑制できる。この結果、電解質体を構成する溶媒、電解質が酸化により劣化することを抑制できると共に、負極に使用される金属が不動態化することを抑制できる。この優れた効果は、特に本発明の二次電池が、正極活物質として酸素を利用する空気電池である場合に一層顕著となる。
以上で説明したアニオンフィルター、前記金属カチオン及びアニオンを含む電解質体、前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極、並びに前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極を、前記負極、電解質体及び正極の順に配置し、前記負極及び前記正極を前記電解質体によって電気化学的に接続し、さらに、前記アニオンフィルターを前記電解質体中に前記負極及び前記正極とを隔てるように配することによって、本発明の二次電池とすることができる。
各構成の具体的な組み立ては、従来の二次電池と同様に行うことができる。この際、従来の二次電池に使用されていた多孔質膜シートからなるセパレータの代わりに、本発明のアニオンフィルターを配すればよい。
本発明のアニオンフィルターは、従来のセパレータと比較して、水、酸素、空気の透過性が格段に低い。従って、電解質体内を正極側と負極側の二つの区画に分けるように配されたアニオンフィルターは水の透過を遮断するので、負極側の電解質体内には非水系溶媒を含有させ、正極側の電解質体内には水系溶媒を含有させることができる。
したがって、本発明の二次電池は、前記アニオンフィルターよりも負極側の前記電解質体は非水系溶媒を含み、前記アニオンフィルターよりも正極側の前記電解質体は水系溶媒を含む構成とすることができる。
<電解質体−電極接合体>
本発明の電解質体−電極接合体は、ゲル状又は固体状の電解質体内に、前述のアニオンフィルターが配され、前記アニオンフィルターの一方の側において正極が前記電解質体に接合し、前記アニオンフィルターの他方の側において負極が前記電解質体に接合されたものである。
前記ゲル状又は固体状の電解質体は、公知のゲル電解質又は固体電解質を適用できる。これらの電解質体は、通常、前記電解質を前記溶媒に溶解して電解液とし、さらに高分子ポリマー等を添加して当該電解液の粘度を増加させることによって製造できる。ポリマーが添加された電解液に含まれる溶媒を適宜揮発させることによって、ゲル状の電解質体又は固体状の電解質体とすることができる。
前記ゲル状又は固体状の電解質体内に前記アニオンフィルターを配する方法は特に制限されず、アニオンフィルターの両側に当該電解質体を密着させて配すればよい。この際、アニオンフィルターの全体を覆うように当該電解質体を密着させて配することが好ましい。
前記高分子ポリマーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、フッ化ポリビニリデン等が例示できる。これらの添加濃度や添加方法は、従来公知の方法が適用できる。
また、本発明の電解質体−電極接合体における電解質体として、アニオンフィルター中
に電解質体を含ませて、得られたゲル状又は固体状の電解質体を用いることが好ましい。この際、当該アニオンフィルターは、前記多孔質基材によって補強されていることが好ましい。アニオンフィルターに電解質体が含浸されることによって、当該アニオンフィルターは当該電解質体内に配されることになる。
アニオンフィルターを内部に配した電解質体は、シート状又は膜状であることが好ましい。このシート状又は膜状の電解質体(以下では、これを電解質膜と呼ぶことがある。)の一方の側に正極を物理的に接合して又は密着させて、他方の側に負極を物理的に接合して又は密着させることによって、本発明の電解質体−電極接合体が得られる。
前記電解質膜と電極との接合は、これらが電気化学的に接続されていれば、その形態は特に限定されない。具体例としては、前記電解質膜と電極とを物理的に接触させる又は密着させる方法が挙げられる。
前記電解質膜の厚さとしては、例えば1μm〜200μmが好ましく、5μm〜100μmがより好ましく、20μm〜80μmがさらに好ましい。この範囲の膜厚であると、正極−負極間のイオン伝導性を向上しつつ、当該電解質膜及び電解質体−電極接合体の機械的強度を充分に維持することができる。
前記正極及び負極の材料は、各々、従来公知の電池用電極の材料が適用できる。
本発明の電解質体−電極接合体は、二次電池の構成部材として有用である。
本発明の二次電池は、前述の「電解質体−電極接合体」を備えたものが好ましい。
本発明の二次電池としては、電池の外装体として電池缶の代わりにラミネートフィルムを使用し、前記電解質体−電極接合体を単位セルとして、前記単位セルを積層及び連結し、複数の単位セルを1つのラミネートセルに組んでなる二次電池が好ましい。このような構成とすることにより、前記単位セルを電気的に直列に接続することができ、高出力の電池とすることが可能となる。
前記ラミネートセルは、樹脂等からなる袋又はケースで、前記電解質体−電極接合体を密閉するように包み、封止できるものであれば特に限定されず、公知のものが使用できる。
前記単位セルは、二次電池として単独で機能し得るものである。積層する単位セルの数や連結方法は、二次電池の用途や形態に応じて、適宜調整すれば良い。
<多孔質基材>
本発明のアニオンフィルターの補強材として使用しうる多孔質基材としては、有機材料からなるものでも良いし、無機材料からなるものでも良い。これら材料には、レーヨンや精製セルロースのようなセルロース系繊維、絹のようなフィブリル化を起こし易い繊維も含まれる。
前記有機材料としては、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリイミド、ポリアリレート系液晶ポリマー等の高分子化合物が例示できる。なかでも、フッ素樹脂、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン又はポリイミドからなる高分子材料は、膜厚や孔径の異なる様々な種類のものが市販されているので好適である。
前記無機材料としては、ガラス、シリカ、アルミナ、カーボン、炭化ケイ素等が例示できる。
前記多孔質基材は、複数種類の材料からなるものでも良い。また、前記多孔質基材は、親水化処理されたものが好ましい。
前記多孔質基材の形態(形状)としては、上記各材料からなる繊維をシート状に成形した不織布、織布が例示できる。織布は平織り、斜文織、朱子織、からみ織り等のいずれの織り方で織られていても良い。織布はまた、個々の繊維を直接織ったものでも良く、繊維を束ねて形成させたもの(例えば、ガラス糸等の無機糸)を織ったものでも良い。シート状の多孔質基材は、二種以上の繊維を組み合わせて構成されていても良い。
前記多孔質基材の空孔は、平均孔径が0.01〜10μmであることが好ましい。孔径が小さ過ぎると、アニオンフィルターや、これを形成するための前記組成物が充填され難くなり、イオン伝導性が低下する虞がある。また、孔径が大き過ぎると、膜の強度が低下して、破損する虞がある。
前記多孔質基材の空孔率は、電解質体の態様、電解質の濃度、又は電解質体の充填率との兼ね合いにより一概には言えないが、通常は10〜98%であることが好ましく、20〜90%であることがより好ましい。前記多孔質基材の空孔率を調整することによって、アニオンフィルターのイオン透過性、酸素透過性及び水透過性を調整することができる。すなわち、空孔率を多くするほど、イオン、酸素及び水の透過性を多くすることができ、空孔率を少なくするほど、イオン、酸素及び水の透過性を少なくすることができる。前記イオンは電解質を構成する金属カチオン及びアニオンの両方を指す。
前記多孔質基材の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は0.3〜100μmであることが好ましく、0.5〜80μmであることがより好ましい。
前記多孔質基材で強化されたアニオンフィルターを製造する場合には、例えばアニオンフィルターを形成するための構造体(A1)、構造体(A2)、添加剤(A3)、光重合開始剤及び/又は熱重合開始剤を含む組成物を多孔質基材に含浸させ、該多孔質基材をUV照射して重合性二重結合を重合させ、次いで、オーブン等を使用して加熱することによって、構造体(A1)と構造体(A2)とをケイ素−酸素結合で連結する反応を行えばよい。この反応条件は、多孔質基材を使用しない場合と同様でよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<アニオンフィルターの作製>
〔ケイ素−酸素結合型の構造体(A1)の調製〕
メチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製)33.6g、テトラエトキシシラン(信越化学工業社製、型番:KBE−04)101.5g、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン(アルドリッチ社製)15.2g、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(アルドリッチ社製)20.3g、ビニルトリメトキシシラン(東京化成社製)11.4g、及びメタノール31.4gをフラスコに計量し、0℃で10分撹拌した。そこに、0.01N塩酸10.3gとメタノール12.4gとを混合した溶液を添加し、0℃で1時間撹拌し、40℃に昇温後、更に2時間撹拌した。次いで、フッ化カリウム(和光純薬工業社製)0.21gとメタノール27.6gとを混合した溶液を添加し、40℃で1時間撹拌し、80℃に昇温後、更に2時間撹拌した。混合溶液を0℃に冷却し、その後、40℃で減圧してアルコールを分留し除いた。得られた溶液を0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で10分撹拌した後、メンブレンフィルター(ミリポア社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を用いて濾過した。得られた濾液を40℃で減圧してジエチルエーテルを分留して除き、ケイ素‐酸素結合型の構造体(A1)としてシランオリゴマーを得た。
このシランオリゴマーの化学式は、上記合成方法に基づくと、下記化学式(A1−01)であると考えられる。
Figure 0006027307
化学式(A1−01)中、Rはそれぞれ独立に、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、ビニル基、又はメチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、及びビニルトリメトキシシランが加水分解して得られる基、或いは前記加水分解して得られる基が縮重合した基である。また、Rは酸素原子、(−CH−CH−)又は(−C−)であり、mは1以上の整数であり、mが2以上である場合には複数のR及びRはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても良い。
〔窒素原子を含有する塩である構造体(A2)の調製〕
(A2b−01の調製)
容積1Lの三口フラスコに、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル50.93gとテトラヒドロフラン400mLを入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン24.19mLをテトラヒドロフラン500mLに溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を60℃に加熱して溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムの白色結晶を得た。
得られた白色結晶63.9gを精製水300mLに溶かし、氷冷下、リチウム メタンスルホン酸28.65gを精製水に溶かして300mLの水溶液としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム メタンスルホン酸を、窒素含有塩(A2b−01)として得た。
得られたN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム メタンスルホン酸1.87gと、シラン化合物であるアリルトリメトキシシラン(東京化成社製)1.35g、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート (東京化成社製)2.49g 、テトラエトキシシラン(信越化学工業社製、型番:KBE−04)1.37gと、テトラメトキシシラン(東京化成工業社製)0.81gを混合した溶液に、水0.25gとトリエチルアミン(和光純薬工業社製)0.1gとを滴下した。室温で10分攪拌した後、混合溶液を0℃に冷却し、10分間撹拌した。この時反応で生じている、下記一般式(A2a−01)で表されるシラン化合物とN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム メタンスルホン酸の混合物に、熱重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)0.1gを添加し、40℃まで加熱し、5時間撹拌し、窒素原子を含有する塩である構造体(A2−01)を得た。
Figure 0006027307
Figure 0006027307
化学式(A2a−01)中、Rはそれぞれ独立に、メトキシ基、エトキシ基、アリル基、メタクリロイルオキシプロピル基又はアリルトリメトキシビニルシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、テトラエトキシシラン及びテトラメトキシシランが加水分解して得られる基、或いは前記加水分解して得られる基が縮重合した基である。また、Rは(−O−)又は(−CH−)であり、mは1以上の整数であり、mが2以上である場合には複数のR及びRはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても良い。
構造体(A2−01)は、1つ以上のケイ素−酸素結合を有するものである。この結合には、構造体(A2−01)の原材料に予め含まれていたケイ素−酸素結合が残ったものと、前記原材料を構成するアルコキシ基に含まれる酸素原子が、当該原材料中のケイ素と結合して新たに形成されたものと、が含まれる。
〔添加剤(A3)〕
市販の界面活性剤であるヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩(東京化成工業社製)(A3a−01)を使用した。
〔多孔質基材〕
市販のセパレーターであるCelgard2400(登録商標)を使用した。
〔アニオンフィルターの作製〕
以上で調製したシランオリゴマーである構造体(A1−01)1.99gと、窒素原子を含有する塩である構造体(A2−01)3.48gと、ヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩(A3a−01)0.22gとを混合し、さらに光重合開始剤(ライトケミカル社製、型番:KR−02)0.1gと、熱重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)0.1gを添加し、アニオンフィルターの材料として重合性組成物を得た。
得られた重合組成物3gをN,N−ジメチルホルムアミド5mL、テトラヒドロフラン10mL及びメタノール2mLの混合溶媒に溶かして得られた溶液を、テフロン(登録商標)基板上に置いたCelgard2400(登録商標)にキャストし、含浸させた。UV照射してから室温で80時間養生した。この間に、構造体(A1−01)と構造体(A2−01)が添加剤(A3a−01)を核にしてポーラス構造を形成する配置となる、と考えられる。
また、前記UV照射によって、構造体(A2−01)に未反応の状態で残っていた重合性二重結合が重合することによって、前記ポーラス構造が安定に維持されている、と考えられる。
続いて、ギアオーブンを用いて120℃で24時間、加熱硬化した後、2時間で10度ずつ段階的に温度を下げた。この処理により、構造体(A1−01)と構造体(A2−01)間にSi−O結合が形成されるとともに、前記ポーラス構造がメソポーラス構造となる、と考えられる。この結果、メソポーラス構造を形成する複数のSi−O結合を含む架橋構造体から前記化合物(A2b−01)が伸びる半透明のアニオンフィルター(F1)を得た。
<電解質体(B)の調製>
〔イオン塩(B1−01)の合成〕
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、−20℃の条件で1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド47gとちょうど半分のモル数に相当する水酸化マグネシウムを反応させた。48時間かけて、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドの水溶液を滴下し、中和反応を行った。真空下、減圧乾燥を行い、マグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(93g)を得た。
Figure 0006027307
〔電解質(B2−01)の合成〕
容積1Lの三口フラスコに、1−エチルイミダゾール(36.81g)とテトラヒドロ
フラン(400mL)を入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン(19.25mL)をテトラヒドロフラン(500mL)に溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を60℃に加熱して溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウムを得た。
得られたヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(46.3g)を精製水(300mL)に溶かし、氷冷下、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(53.74g)を水溶液(300mL)としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、
滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルとジエチルエーテルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(67.4g)(B2−01)を得た。
Figure 0006027307
以上で調製した電解質(B1−01)5.94gと、電解質(B2−01)23.1gと、2−メチルテトラヒドロフラン(0.53g)と、n−ブチルメチルエーテル(1.07g)を混合し、電解質体(B−01)を得た。
<電極の作製>
電解質体(B−01)を使用した二次電池において、アニオンフィルターを用いた場合(実施例1)と、アニオンフィルターを用いずに通常のセパレータを用いた場合(比較例1)との電池性能を比較して評価するために、以下に示す各種電極を作製した。
〔負極〕
負極として、目的の可動イオンの金属電極を使用した。すなわち実施例1および比較例1の電解質体に対してマグネシウムの金属箔を使用した。
〔コーティング正極の作製〕
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、電解質体(B−01)を正極(Electro Chem社製、白金担持カーボン付GDE)上にパスツールピペットを使用して滴下した。そして、アプリケーターで電解質体(B−01)の厚さをおよそ50μmになるように調整した。
次いで、室温から80℃まで徐々に昇温し、24時間加熱して、電極構造の内部まで電解質体(B−01)を浸透させた。そして、加熱後に、減圧下で真空乾燥した後、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、コーティング正極を得た。
<電気化学セルの作製>
[対称型ハーフセル、非対称型フルセルの作製]
実施例1で作製したアニオンフィルターに電解質体(B−01)をキャストし、含浸させて、表1に記載した厚みの電解質膜とした。
比較例1の電解質膜は、実施例1でアニオンフィルターの補強基材として使用した市販のセパレーターであるCelgard2400(登録商標)に、電解質体(B−01)を含浸させて、表1に記載した厚みの電解質膜とした。
これらの電解質膜をそれぞれ電気化学セル(CR2032型コインセル)にセットした。この際、対称型ハーフセルを作製する場合は、負極であるマグネシウムからなる金属箔で挟み込んで、対称型ハーフセルとした。
また、非対称型フルセルを作製する場合は、負極としてマグネシウムからなる金属箔を使用し、正極として電解質体(B−01)を塗布して得られた前述のコーティング電極を使用し、集電体カバーの中心と、上下左右対称にφ4の穴を計5つ開けた集電体で、これらを密着させ、非対称型フルセルとした。この非対称型フルセルは、正極の活物質として酸素を利用する、いわゆる空気電池とした。
<電解質体内における拡散移動抵抗、及び電極界面における電荷移動抵抗の評価>
前記対称型ハーフセルに電気化学インピーダンス測定装置(ソーラトロン社製、12608W型電気化学測定システム)を接続し、周波数0.01Hz〜100kHzの領域でインピーダンスを測定して、サンプルの全イオン伝導度を測定した。
まず、実施例1のハーフセルのインピーダンスを測定することによって、電解質に負荷をかけた際の電場勾配における、「電解質体中を移動するイオンの速度」と「負極と電解質体の間を移動するイオンの速度」を測定することができる。このように移動する電解質体を構成するイオン(カチオン及びアニオン)の拡散移動抵抗と負極界面の電荷移動抵抗を求めた。
次に、実施例1のフルセルのインピーダンスを測定し、前記拡散移動抵抗を参照することによって、可動イオンの正極界面における電荷移動抵抗の大きさをそれぞれ見積もった。この際、正極及び負極を多孔質電極であると仮定した。
また、比較例1の対称型ハーフセル及び非対称型フルセルについても同様に測定し、この測定値を基準(基準値)とした。
実施例の、前記拡散移動抵抗(電解質内における可動イオンの移動抵抗)、前記負極界面における電荷移動抵抗(負極と電解質との界面における電荷の移動抵抗)、及び前記正極界面における電荷移動抵抗(正極と電解質との界面における電荷の移動抵抗)の各インピーダンス測定値を、前記基準値でそれぞれ割った比を算出した。これらの結果を表1に示す。
<アニオンフィルターの金属カチオン及びアニオンの透過量評価>
直径2cmの円形の窓を有する二つの円柱形セルを使用し、窓の部分でゴムパッキンを介して、実施例1で作製したアニオンフィルターを挟み込んだ。一方のセルにはテトラヒドロフランを入れ、他方のセルには0.5Mに調整した電解質体(B−01)のテトラヒドロフラン溶液を入れた。これにより、一方のセルと他方のセルとは前記アニオンフィルターで隔てられた構成となっている。次に40℃で3時間、スターラーで攪拌した。その後、一方のセル中のテトラヒドロフランに含まれる透過イオンをイオンクロマトグラフィーにより測定し、金属カチオンの透過量と前記アニオンの透過量をそれぞれ求め、また両者の比(ピーク強度の比)を算出して、アニオンフィルターのイオン選択性の評価尺度とした。
また、アニオンフィルターの代わりに、二次電池における代表的なセパレーターCelgard2400(登録商標)を使用して同様に評価した。これらの結果を表2に示す。
下記の測定条件によって、アニオンフィルター又は比較用のセパレータにおける金属イオンとカウンターアニオンの透過量を測定した。
・イオンクロマトグラフィーシステム:IC−2010
・メーカー:東ソー株式会社
・データ処理プログラム:IC−2010 WorkStation
・カラム:東ソー TSKgel SuperIC−A/C
・カラム温度:40℃
・流量:0.6mL/分
・溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製、安定剤不含、HPLC用)、LiBr 10mmol/L含有
・サンプル:0.1wt%
・検出器:CM
<正極とアニオンフィルターとの接合体の作製>
実施例1で作製したアニオンフィルターに電解質体(B−01)をキャストし、含浸させて、表2〜4に記載した厚みの電解質膜とした。正極として、電解質体(B−01)を塗布して得られた前述のコーティング電極を使用した。前記電解質膜と正極とを密着させて、正極とアニオンフィルターとの接合体とした。この接合体を用いて、以下の評価に供した。
一方、比較用のサンプルとして、二次電池における代表的なセパレーターCelgard2400(登録商標)に、電解質(B−01)を含浸させたものを、前記コーティング電極と密着させて使用した。
<正極とアニオンフィルターとの接合体における、正極側からアニオンフィルター側への酸素の透過性評価>
(酸素ガス透過試験)
島津製作所社製のガスリークディテクタMSE−2000形装置を用いて酸素ガス透過試験を行った。この装置はヘリウムリーク測定用に製作された装置であるが、原理からすれば、測定するガスをヘリウムから酸素に変えることも可能である。この装置の原理は一定流量の窒素管路中にサンプルからリークしたガスを混合させ、混合気体の一部を一定流量で計測部に導入する。計測部は質量分析計と同等の構造をしており、リークガスのみを検出する条件に予め調整してあり、混合気体中のリークガス量を計測できるというものである。
この装置では、サンプルを通して混合した酸素量の総てを検出しているわけではないので、サンプルの酸素透過量の絶対値は測定できないが、複数のサンプルの相対的な比較は可能である。
前述したガス遮断性評価試験において、一定時間に一定流量の酸素を流してサンプル(前記接合体)を通過させた圧力と、膜を設置せずに窒素のみを同様に流した時の圧力を比較し、単位時間あたりの圧力差を算出して、それを透過ガス量の指標とした。
常温で、酸素ガス圧0.2MPaを与え、圧力が安定するのに要する時間(約30秒)を待った後に、サンプルを透過した圧力を測定し、透過酸素ガス量を評価した。サンプルを設置せずに測定した圧力から、単位時間あたりの圧力差を算出し、透過酸素ガス量の指標とした。
前記接合体に代えて、前記比較用のサンプルを用いて、同様の条件で酸素透過量を算出し、この算出値で前記接合体の酸素透過量を割った比を求めて、外部からの水の透過性を評価した。これらの結果を表3に示す。
<正極とアニオンフィルターとの接合体における、正極側からアニオンフィルター側への水分の透過性評価>
正極に接する外部の空気中に含まれる水分の透過性を、水の透過係数(以下、WCOという。)を測定することによって評価した。上記WCOは例えば、以下の方法により測定することができる。
直径2cmの円形の窓を有する二つの円柱形セルを使用し、窓の部分でゴムパッキンを介して、前記接合体を挟み込んだ。一方のセルには純水を入れ、他方のセルには窒素を500kPaで流した。これにより、一方のセルと他方のセルとは前記アニオンフィルターで隔てられた構成となっている。次に40℃で3時間、スターラーで攪拌した。その間、流れてきた窒素中に含まれる水蒸気をガスクロマトグラフィーにより測定し、水の検出濃度が安定するのを確認した。安定してから、1時間で検出された水蒸気量の総量Yを測定し、下記式(1)によって定義した水の透過係数を算出した。式(1)中、Tはサンプルの厚み(μm)、Hは試験時間(hr)、Rは評価セルの窓の半径(cm)を表す。
WCO(μmol/cm/day)=
(Y×1,000,000/18.02)×(T/10000)×(24/H)×(1/πR )・・・(1)
前記接合体に代えて、前記比較用のサンプルを用いて、同様の条件でWCOを算出した。比較例1の算出値で前記接合体のWCOを割った比を算出し、外部からの水の透過性を評価した。これらの結果を表3に示す。
<電池特性の評価>
電池充放電装置(HJ−SM8システム、北斗電工社製)を使用し、前記非対称型フルセルについて、電流密度0.1mA/cmで定電流測定を行い、初期容量(a)と、10サイクル後の容量(b)を測定し、これら測定値を下記式(2)に代入して容量維持率(c)(%)を求め、前記非対称型フルセルの充放電特性を評価した。これらの結果を表4に示す。
Figure 0006027307
Figure 0006027307
Figure 0006027307
Figure 0006027307
Figure 0006027307
本発明のアニオンフィルターは、上記構成により40℃という比較的高温においても、水の透過量を低く抑えることができる。そのため正極側から入り込んだ水分が負極に到達して、負極が不動態化して反応が止まることはなく、信頼性に優れた電池を構成できる。また、本発明のアニオンフィルターを用いることで、正極活物質として空気電池の燃料となる酸素ガスが、正極側から負極側へアニオンフィルターを透過する量を1/10以下にすることができる。この結果、正極において効率的に酸素還元及び金属カチオンの酸化物形成反応が起こるため、放電反応における酸素ガスの利用効率が高い。さらに、アニオンフィルターを用いることによって、負極側の電解質体が酸素ガスに曝されることが少なくなるので、電解質体が酸化されることによる劣化を防ぐことができる。この結果、耐久性に優れた電池となる。これらの優れた電池性能は、本発明のアニオンフィルターが、極めて高い水遮断性と酸素遮断性を有するからだといえる。
また、本発明にかかる実施例1の電極界面抵抗比(正極)は、比較例1よりも低減している。このことは、本発明の二次電池における電解質のイオン伝導性が優れることを示すと共に、二次電池のより高いレートでの充放電を可能にし、サイクル特性を向上させられることを示している。この優れた電池性能は、本発明のアニオンフィルターが、これを透過するイオンに対して高い選択性を有するからだと考えられる。
本発明の二次電池、アニオンフィルター、電解質−電極接合体は、電気デバイスの分野で利用可能である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(A2a)で表されるシラン化合物と、下記一般式(A2b)で表される窒素含有塩及び/又はリン含有塩とを反応させ、前記シラン化合物と前記窒素含有塩及び/又はリン含有塩を構成するカチオンとが共有結合によって連結された、1つ以上のケイ素−酸素結合を有す構造体(A2)を得る工程と、
    下記一般式(A1)で表され、且つ、ケイ素と酸素の結合又は金属と酸素の結合を有する構造体(A1)と、前記構造体(A2)とを、下記一般式(A3a)又は(A3b)で表される化合物である添加剤(A3)の存在下で反応させ、ケイ素−酸素結合を形成して連結された材質を有するアニオンフィルターを得る工程と、
    前記アニオンフィルター、金属カチオン及びアニオンを含む電解質体、前記金属カチオンが可逆的に放出及び/又は収容される負極、並びに前記金属カチオンが可逆的に収容及び/又は放出される正極を使用して、
    前記アニオンフィルターを、前記電解質体中に前記負極と前記正極とを隔てるように配する工程と、前記負極、電解質体及び正極をこの順に配置し、前記負極及び前記正極を前記電解質体によって電気化学的に接続する工程と、
    を備えることを特徴とする二次電池の製造方法。
    Figure 0006027307
    [一般式(A1)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、
    は炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
    、n、n及びnは0又は1であり、「n+n+2」及び「n+n+2」は各々のMの原子価に一致し、
    は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A2a)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、Rは炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−Si−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−Si−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
    及びn10は0又は1であり、「n+n10+2」はSiの原子価に一致し、
    は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のR、R及びR10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びn10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A2b)中、Xは下記一般式(X1)、(X2)、(X3)及び(X4)からなる群より選ばれる1種以上の窒素若しくはリンを含有する基であり、R12はビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、Lは単結合、炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であり、LはXを構成するY又はR21に結合する。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X1)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、前記R13とR14とが結合して環を形成していても良く、該アルキル基及びシクロアルキル基における1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。R15は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R13〜R15は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している水素原子が1つ以上の炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
    (Z)は、炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン若しくはフルオロアルコキシアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、酢酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、又はテトラシアノホウ酸イオンである。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X2)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R16は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R17は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R16とR17とが結合して環を形成していても良く、R16及びR17は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。(Z)は前記一般式(X1)における (Z)と同じである。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X3)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、R20は炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、前記R18及びR19が結合して環を形成していても良く、前記R19及びR20が結合して環を形成していても良く、R18〜R20は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X4)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R21及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、R22は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R21及びR22が結合して環を形成していても良く、前記R22及びR23が結合して環を形成していても良く、R21〜R23は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A3a)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R27は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R25及びR26が結合して環を形成していても良く、前記R26及びR27が結合して環を形成していても良く、R24〜R27は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R24、R25及びR26は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A3b)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R28は炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R29は炭素数1〜20のアルキリデン基又は炭素数2〜20のアルケニリデン基であり、R30は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R28及びR29が結合して環を形成していても良く、前記R29及びR30が結合して環を形成していても良く、R28〜R30は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R28は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
  2. 前記アニオンフィルターを得る工程において、多孔質基材内で、前記構造体(A1)と、前記構造体(A2)とを、前記添加剤(A3)の存在下で反応させることを特徴とする請求項1に記載の二次電池の製造方法。
  3. 前記負極側の前記電解質体内に非水系溶媒を含有させ、前記正極側の前記電解質体内に水系溶媒を含有させることを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池の製造方法。
  4. ゲル状又は固体状の前記電解質体内に前記アニオンフィルターを配し、前記アニオンフィルターの一方の側において前記正極を前記電解質体に接合し、前記アニオンフィルターの他方の側において負極を前記電解質体に接合して、電解質体−電極接合体を得て、
    前記電解質体−電極接合体を単位セルとして、複数の前記単位セルを積層及び連結し、複数の単位セルを1つのラミネートセルに組むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の二次電池の製造方法。
  5. 前記正極が、充電時に、酸素を発生する材料又は酸化物を分解する材料を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の二次電池の製造方法。
  6. 前記電解質体を構成する金属カチオンが、マグネシウムイオンであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の二次電池の製造方法。
  7. 下記一般式(A2a)で表されるシラン化合物と、下記一般式(A2b)で表される窒素含有塩及び/又はリン含有塩とを反応させ、前記シラン化合物と前記窒素含有塩及び/又はリン含有塩を構成するカチオンとが共有結合によって連結された、1つ以上のケイ素−酸素結合を有す構造体(A2)を得る工程と、
    下記一般式(A1)で表され、且つ、ケイ素と酸素の結合又は金属と酸素の結合を有する構造体(A1)と、前記構造体(A2)とを、下記一般式(A3a)又は(A3b)で表される化合物である添加剤(A3)の存在下で反応させ、ケイ素−酸素結合を形成して連結された材質を有する二次電池用アニオンフィルターを得る工程と、
    を備えることを特徴とする二次電池用アニオンフィルターの製造方法。
    Figure 0006027307
    [一般式(A1)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、
    は炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基若しくはメタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
    、n、n及びnは0又は1であり、「n+n+2」及び「n+n+2」は各々のMの原子価に一致し、
    は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A2a)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、Rは炭素数1〜100の二価の炭化水素基、アルキレンオキシ基、オキシアルキレン基又は酸素原子であり、R、R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−Si−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基、式「−O−Si−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基であり、
    及びn10は0又は1であり、「n+n10+2」はSiの原子価に一致し、
    は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のR、R及びR10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びn10はそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A2b)中、Xは下記一般式(X1)、(X2)、(X3)及び(X4)からなる群より選ばれる1種以上の窒素若しくはリンを含有する基であり、R12はビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、Lは単結合、炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であり、LはXを構成するY又はR21に結合する。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X1)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R13及びR14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、前記R13とR14とが結合して環を形成していても良く、該アルキル基及びシクロアルキル基における1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。R15は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、R13〜R15は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している水素原子が1つ以上の炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。
    (Z)は、炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキルスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン若しくはフルオロアルコキシアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、酢酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、又はテトラシアノホウ酸イオンである。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X2)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R16は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、R17は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R16とR17とが結合して環を形成していても良く、R16及びR17は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。(Z)は前記一般式(X1)における (Z)と同じである。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X3)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、R20は炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、前記R18及びR19が結合して環を形成していても良く、前記R19及びR20が結合して環を形成していても良く、R18〜R20は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(X4)中、破線は前記Lへの結合を表し、Yは窒素原子又はリン原子であり、R21及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のアルケニレン基であり、R22は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、前記R21及びR22が結合して環を形成していても良く、前記R22及びR23が結合して環を形成していても良く、R21〜R23は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A3a)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R24、R25及びR26はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R27は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R25及びR26が結合して環を形成していても良く、前記R26及びR27が結合して環を形成していても良く、R24〜R27は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R24、R25及びR26は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
    Figure 0006027307
    [一般式(A3b)中、Yはスルホ基又はカルボキシル基であり、R28は炭素数1〜20のアルキル基又は該アルキル基を連結基として介していても良い炭素数4〜14のシクロアルキル基であり、R29は炭素数1〜20のアルキリデン基又は炭素数2〜20のアルケニリデン基であり、R30は炭素数1〜20のアルキレン基又は炭素数2〜20のアルケニレン基であり、前記R28及びR29が結合して環を形成していても良く、前記R29及びR30が結合して環を形成していても良く、R28〜R30は1つ以上の炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、前記炭素原子及びヘテロ原子に結合している1つ以上の水素原子が炭素数1〜12の炭化水素基によって置換されていても良く、R28は1つ以上の水素原子がアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基によって置換されていても良い。]
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