JP2012181962A - 多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池 - Google Patents

多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2012181962A
JP2012181962A JP2011042925A JP2011042925A JP2012181962A JP 2012181962 A JP2012181962 A JP 2012181962A JP 2011042925 A JP2011042925 A JP 2011042925A JP 2011042925 A JP2011042925 A JP 2011042925A JP 2012181962 A JP2012181962 A JP 2012181962A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
ion
carbon atoms
salt
atom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011042925A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5596600B2 (ja
Inventor
Hideyasu Nakajima
秀康 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP2011042925A priority Critical patent/JP5596600B2/ja
Publication of JP2012181962A publication Critical patent/JP2012181962A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5596600B2 publication Critical patent/JP5596600B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

【課題】マグネシウムを用いた多価電荷輸送ができ、かつイオン伝導性が高く、供給安定性及び安全性に優れた多価イオン伝導性電解質、その製造に好適な多価イオン伝導性材料、それを使用した多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及びそれを備えた多価イオン電池の提供。
【解決手段】不飽和結合型窒素原子含有塩[R](Z1)、[R(X−L=)N](Z)、及び[R](Z)から1種以上と、窒素原子含有塩[R1415] (Z)、及び[R1617(W−L=)N](Z)から1種以上と、多価イオン塩Mg2+((YSO)N(Y))と、金属−酸素結合による架橋構造を含む金属−酸素結合型構造体と、が配合されてなることを特徴とする多価イオン伝導性材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、多価イオン伝導性材料、該多価イオン伝伝導性材料を使用した多価イオン伝導性電解質、該多価イオン伝導性電解質を使用した多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び該多価イオン伝導性電解質−電極接合体を使用した多価イオン電池に関する。
我々は、地球資源を使用してエネルギーを取り出し、所望の目的に利用することによって物質的に豊かな生活を手にしている。その一方で有史以来、エネルギーを利用した際に排出される生成物を蓄積してきた結果、様々な地球環境規模の環境問題を引き起こしてしまっている。今後予測される急激な世界人口の増加と、それに伴う食物・水・エネルギーの不足が予測される中、持続可能な成長を実現するためには、安全で、且つ地球環境に優しいクリーンなエネルギーを安定的に供給する必要がある。また、地球に住む我々は、人間中心の単なる利便性の追求だけでなく、クリーンなエネルギーを積極的に使用し、クリーンエネルギーに根ざした社会を構築していかなければならない。
近年、太陽光発電や風力発電、地熱発電、燃料電池などで発電したクリーンエネルギーをいったん蓄え、その後に使用できる二次電池が注目されている。中でも、リチウムイオン二次電池は高エネルギー密度と高電圧であることを特徴とし、1991年に初めて量産されて以来、ノートパソコン、携帯電話、デジタルビデオカメラなどのデジタル携帯機器に搭載されている。そして今後はハイブリッド自動車(HEV)、電気自動車(EV)などの車載用途をはじめとして、医療、住宅、情報分野などの様々な分野への展開が予想されている。そのため、このような今後の展開に対応すべく、リチウムイオン電池等の二次電池はより一層の性能向上、製造技術及び管理技術のさらなる向上が求められている。さらには、リチウムイオン電池を上回る革新型電池の実用化が期待されている。
一般に、リチウムイオン二次電池は、マンガン酸リチウム、リン酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム等のリチウム含有複合酸化物を活物質とする正極と、コークス、黒鉛、ハードカーボン等の炭素材料を活物質とする負極と、電極間の絶縁性とリチウムイオンの移動経路を確保するポリエチレン、ポリプロピレン製のセパレーターとセパレーターに含浸されたプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート等の非プロトン性有機溶媒を主たる構成成分とするリチウムイオン伝導性電解質と、六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩と、から構成されている。
しかしながら、一般にリチウムイオン伝導性電解質として使用される電解液は有機溶媒が主たる構成成分であるため、外部衝撃によって漏れて引火する可能性があり、必ずしも安全な電池であるとは言えない。また、過負荷がかかると電解液が電極で反応して、電池容量が低下してしまうことがある。すなわち、用途が多様化して大きな展開を見せる今後の二次電池分野において、電池の安全性と信頼性の向上は急務の課題であり、安心して使用できる電池の開発に大きな期待が寄せられている。
また、リチウムイオン電池は安全性だけでなく供給安定性に関しても課題がある。というのも、原料となるリチウム金属は、地球上に存在する原子の割合を示す指標となるクラーク数が0.006であり、我々に身近な材料である4.70の鉄や2.63のナトリウムと比較すると資源的に圧倒的に少なく、レアメタルと呼ばれている。しかも原料の埋蔵地域は偏在しており、実に上位五カ国のみでおよそ8割以上の確認埋蔵量を占める。それ故、近い将来、資源確保や独占によって1970年代に起こったオイルショックと同様の「リチウムショック」が起きてもおかしくはない。
つまり、リチウムイオン電池は、発火等の安全性と世界情勢によっては供給安定性に不安があり、今後さらなるエネルギー密度の向上が必要とされるため、クリーンエネルギーを効率的かつ安定的に安心して使用するための革新型電池の開発が急務である。
安定供給の不安がなく、電池になる可能性が高い元素としては、クラーク数が7.55のアルミニウム、3.39のカルシウム、2.63のナトリウムや1.93のマグネシウム等を使ったものが挙げられる。中でも多価イオンの輸送を利用した多価イオン電池は革新型電池の一つとして期待されている。 例えば、カルシウム、マグネシウムは2価であり、リチウムと比較すると、原子1個当たり2倍の電荷を輸送することができる。こうした多価電荷輸送は、高いエネルギー密度の電池や急速充放電に対応できる電池を実現できる可能性があるため、リチウムイオン電池よりも安全で安心できるエネルギーとしてその製品化が期待されている。
多価イオン伝導に関しては、今までにさまざまな報告がなされており、特許文献1には、多価イオン伝導性固体電解質コンポジットの報告がある。目的とする可動イオンよりも価数の高い陽イオンを含有する第二成分を固体酸化物中に分散させることで、酸化物イオンを捕捉し、可動イオンの伝導性を上げることができるとされている。
特許文献2には、リチウムイオン電池よりも優れた性能を示すと言われているリチウム−空気二次電池に関する具体的な実施例が示されている。また、実施例こそ報告されていないもののマグネシウム空気二次電池の可能性が示唆されている。
特許文献3には、多価カチオン化学種を用いた再充電可能な高電圧・大容量の電気化学バッテリセルに関する報告がある。放電時、充電時に、正極と負極それぞれで異なるイオンを同時に酸化還元することによって、平均するとイオン1個当たり1電子以上の多価電荷輸送ができるとされている。
特許文献4には、マグネシウムイオン伝導性電解液の報告がある。マグネシウムイオンの電解液としてグリニャール試薬を使用すると電位窓が小さくなるため、電池として不十分であるという課題があるところ、これを解決し、ドライルーム等の一般的な製造環境で製造できるとされている。
特許文献5には、マグネシウム空気二次電池について報告されており、放電時に発生する酸化マグネシウムが充電時に分解しないことが課題となっているのに対し、酸素を活物質とする正極に安定ラジカルを含有することで、充電時に酸化マグネシウムの分解を促進する方向に反応平衡を移動できるとされている。
特許文献6には、金属マグネシウムやマグネシウムイオンではなく、水素化マグネシウムを水素発生源とし、燃料として利用した燃料電池、及び水素化マグネシウムを負極として利用した二次電池について報告されている。水素化マグネシウムが反応して水素を発生する際に、水酸化マグネシウムの皮膜が形成されて電気化学反応を止めてしまうという課題を、塩化マグネシウムを利用したり、粒子系を数ナノ〜100μmに微粉化することによって除去し、解決できるとされている。
特開2000−82327号公報 特許第4015826号公報 特表2004−513470号公報 特開2010−15979号公報 特開2010−86924号公報 国際公開第2008/15844号パンフレット
リチウムイオン電池は高い出力密度を有しており、さまざまな電子機器に搭載されている一方で、自動車用途としてはエネルギー密度が小さく、航続距離がガソリンやディーゼルエンジン車と比較して短かった。また充電時間も、ガソリンやディーゼルエンジンの給油時間と比較すると長かった。
今後、自動車用途、住宅用途としてさらなるエネルギー密度の向上が期待されているが、リチウムの反応性は高く、過去には電池が発火したこともあり、安全性に対して不安があった。
また、リチウムイオン電池に使われるリチウムはレアメタルであり、世界情勢によっては供給安定性に不安があった。
より安全で安心して使用できるクリーンエネルギーを実現するために、これまで、カルシウム、マグネシウムの多価イオン伝導性電解質としてリチウムイオン伝導性電解質を転用した報告があるが、金属イオンへの配位力が強く、イオン伝導率は低かった。
さらに、多価イオンで金属空気二次電池を作製すると、放電時に正極で生じる金属酸化物や金属水酸化物が充電時に分解しにくいため、放電は可能でも充電は容易に行えないという課題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、マグネシウムを用いた多価電荷輸送ができ、かつイオン伝導性が高く、供給安定性及び安全性に優れた多価イオン伝導性電解質、該多価イオン伝導性電解質の製造に好適な多価イオン伝導性材料、該多価イオン伝導性電解質を使用した多価イオン伝導性電解質−電極接合体、該多価イオン伝導性電解質を備えた多価イオン電池、及び該多価イオン伝導性電解質−電極接合体を備えた多価イオン電池を提供することを課題とする。またエネルギー密度が高く、急速充放電の可能な電池を提供することを課題とする。
本発明の請求項1に記載の多価イオン伝導性材料は、
下記一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)からなる群から選ばれる1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)と、下記一般式(A2−a1)及び(A2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩(A2)と、下記一般式(B)で表される多価イオン塩(B)と、下記一般式(C)で表される金属−酸素結合による架橋構造を含む金属−酸素結合型構造体(C)と、が配合されてなることを特徴とする多価イオン伝導性材料。
Figure 2012181962
[一般式(A1−a1)中、Rは炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記RとRとが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基として結合していても良く、前記環を構成する炭素原子に結合している一部又は全部の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。一般式(A1−a1)中、Xは、炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、ビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基であり、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。
一般式(A1−a2)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記RとRとが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A1−a2)中、Lは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは前記一般式(A1−a1)におけるXと同じであり、 (Z)は前記一般式(A1−a1)における (Z)と同じである。
一般式(A1−b)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、前記RとRとが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A1−b)中、Xは前記一般式(A1−a1)におけるXと同じであり、Xは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は前記一般式(A1−a1)におけるXと同じであり、 (Z)は前記一般式(A1−a1)における (Z)と同じである。]
Figure 2012181962
[一般式(A2−a1)中、R14は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、R15は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記R14とR15とが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基として結合していても良く、前記環を構成する炭素原子に結合している一部又は全部の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。一般式(A2−a1)中、Wは、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10の、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基若しくはフルオロアルコキシ基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基であり、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。
一般式(A2−a2)中、R16及びR17はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記R16とR17とが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A2−a2)中、Lは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Wは前記一般式(A2−a1)におけるWと同じであり、(Z)は前記一般式(A2−a1)における(Z)と同じである。]
Figure 2012181962
[一般式(B)中、Yはフッ素原子、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキレン基であり、Yはフルオロスルホニル基、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキルスルホニル基、フルオロアルキルカルボニル基、フルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキレン基である。]
Figure 2012181962
[一般式(C)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、
は炭素数1〜100の二価の炭化水素基若しくはアルキレンオキシド又は酸素原子であり、R、R、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基若しくは式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基で表される基であり、
、n、n10及びn11は0又は1であり、「n+n+2」及び「n10+n11+2」は各々のMの原子価に一致し、
は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
本発明の請求項2に記載の多価イオン伝導性材料は、請求項1において、
下記一般式(A3)で表される四級アンモニウム塩(A3)を更に配合してなることを特徴とする請求項1に記載の多価イオン伝導性材料。
Figure 2012181962
[一般式(A3)中、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、R18とR19とが結合して環を形成していてもよく、
及びWは、それぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはフルオロアルキル基、前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数1〜6のフルオロアルコキシ基若しくはアルコキシ基であり、
(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。]
本発明の請求項3に記載の多価イオン伝導性電解質は、請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料中の少なくとも一部の前記X、X、X又はXが重合されたものであることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の多価イオン伝導性電解質は、請求項3において、前記X、X、X又はXの一部が重合され、さらに残りの少なくとも一部が前記金属−酸素結合型構造体(C)と結合しているものであることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の多価イオン伝導性電解質は、請求項3又は4において、請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料が、多孔質基材(G)に含浸されたことを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料を電極上に配し、乾燥、加熱、又は紫外線照射によって仮硬化させ、多価イオン伝導性電解質を形成した後、該多価イオン伝導性電解質上に対電極を配置して、加熱によって本硬化させることにより、該多価イオン伝導性電解質が前記電極及び対電極と接合されたものであることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、請求項3、4又は5に記載の多価イオン伝導性電解質が膜状に成形され、該膜の一方の面に正極が、他方の面に負極がそれぞれ接合されたことを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の多価イオン電池は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の多価イオン電解質を使用したことを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の多価イオン電池は、請求項6又は7に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項10に記載の多価イオン電池は、請求項9において、前記多価イオン伝導性電解質−電極接合体をラミネートセルに組んでなる複数の単位セルが、積層及び連結されたことを特徴とする。
本発明によれば、マグネシウムを用いた多価電荷輸送ができ、かつイオン伝導性が高く、供給安定性及び安全性に優れた多価イオン伝導性電解質、該多価イオン伝導性電解質の製造に好適な多価イオン伝導性材料、該多価イオン伝導性電解質を使用した多価イオン伝導性電解質−電極接合体、該多価イオン伝導性電解質を備えた多価イオン電池、及び該多価イオン伝導性電解質−電極接合体を備えた多価イオン電池を提供できる。またエネルギー密度が高く、急速充放電の可能な多価イオン電池を提供できる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の多価イオン伝導性材料は、下記一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)からなる群から選ばれる1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)と、下記一般式(A2−a1)及び(A2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩(A2)と、下記一般式(B)で表される多価イオン塩(B)と、下記一般式(C)で表される金属−酸素結合による架橋構造を含む金属−酸素結合型構造体(C)と、が配合されてなるものである。
<<A1成分>>
本発明の多価イオン伝導性材料のA1成分は、下記一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)からなる群から選ばれる1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)である。
以下、一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)で表される化合物を、それぞれ化合物(A1−a1)、化合物(A1−a2)、及び化合物(A1−b)と呼ぶことがある。また、不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)を単にA1成分と呼ぶことがある。
<化合物(A1−a1)>
化合物(A1−a1)は、下記一般式(A1−a1)で表される不飽和結合型窒素原子含有塩である。ここで、「不飽和結合型」とは、一般式(A1−a1)中のXが重合性の不飽和結合を有することを意味する。
Figure 2012181962
一般式(A1−a1)中、Rは、炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基である。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばメチリデン基(メチレン基)(=CH)、エチリデン基(=CHCH)、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、デシリデン基、イソプロピリデン基〔=C(CH〕等が挙げられる。これらなかでも、炭素数1〜8のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキリデン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の多価イオン伝導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばビニリデン基(=C=CH)、アリリデン基(=CH−CH=CH)、ブテニリデン基、ペンテニリデン基、イソペンテニリデン基〔=CH−CH−C(=CH)CH〕等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜8のアルケニリデン基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニリデン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルケニリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
一般式(A1−a1)中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基とは、鎖中に1〜3個の二重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキル基を意味し、例えばエテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記RとRとが結合して環を形成していても良い。ここで、「RとRとが結合して環を形成していても良い」とは、RとRとが結合して、R及びRと結合している窒素原子とともに環を形成していても良いことをいう。言い換えると、RとRとが結合した場合、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記RとRとが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記RとRとが結合する場合、Rの末端の炭素原子とRの末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、Rの鎖中の炭素原子とRの末端の炭素原子とが結合しても良く、Rの鎖中の炭素原子とRの末端の炭素原子とが結合しても良く、Rの鎖中の炭素原子とRの鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
前記RとRとが結合して形成される環を構成する炭素原子が、ヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、セレン等が挙げられる。なかでも、酸素又は窒素が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
化合物(A1−a1)の好適なカチオンとしては、前記R、R及び後述するXの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−a1)の好適なカチオンとしては、例えばメチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウムカチオン、エチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウムカチオン、アリル−プロピリデン−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、アリル−ブチリデン−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、アリリデン−メチル−ビニル−アンモニウムカチオン、アリリデン−エチル−ビニル−アンモニウムカチオン、アリル−3−ブテニリデン−エチル−アンモニウムカチオン、アリル−3−ブテニリデン−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、アリル−3−ブテニリデン−ビニル−アンモニウムカチオン、1−アリル−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ピリミジニウムカチオンが例示できる。
化合物(A1−a1)の好適なカチオンとして、イミダゾール環又はピリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。例えば下記一般式(A1−a1−01)で表されるイミダゾール環を骨格構造とするカチオン、下記一般式(A1−a1−02)で表されるピリジン環を骨格構造とするカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
一般式(A1−a1−01)中、R20、R21はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R20は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R21は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
化合物(A1−a1−01)の好適なものとしては、前記R20、R21及び後述するXの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−a1−01)の好適なものとしては、例えば1−ビニル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ビニル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ビニル−2−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−2,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−ビニル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン、1−ビニル−3−n−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−プロピルイミダゾリウムカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
一般式(A1−a1−02)中、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R22、R23及びR24は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
化合物(A1−a1−02)の好適なものとしては、前記R22、R23、R24及び後述するXの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−a1−02)の好適なものとしては、例えば1−ビニル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ビニル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ビニルピリジニウムカチオン、1−アリル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムカチオン、1−アリルピリジニウムカチオン、1−アリル−3−メチルピリジニウムカチオンが例示できる。
前記一般式(A1−a1)、一般式(A1−a1−01)及び一般式(A1−a1−02)中、Xは、炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、ビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基(アクリルアミド)、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシである。これらのなかでも、不飽和結合の重合性に優れることから、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。また、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基は比較的柔軟であるため、可動イオンのイオン伝導性に優れることからも、好適である。イミダゾリウムカチオンは優れたサイクル特性を示すため、好適である。
前記連結基としての炭素数1〜3のアルキレン基としては、例えばメチレン基(−CH−)、エチレン基(−CH−CH−)、又はプロピレン基(トリメチレン基)(−CH−CH−CH−)が挙げられる。これらのなかでも、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
前記連結基としての炭素数2〜3のアルケニレン基としては、例えばビニレン基(−CH=CH−)、1−メチルビニレン基(−CH(CH)=CH−)、又はプロペニレン基(−CH−CH=CH−)が挙げられる。これらのなかでも、ビニレン基又は1−メチルビニレン基が好ましい。
前記連結基が炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であると、本発明にかかる多価イオン電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる多価イオン伝導性電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
前記一般式(A1−a1)中、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン(R25−SO、フルオロアルキルスルホン酸イオン(R26−SO、アルコキシスルホン酸イオン(R27−O−SO、フルオロアルコキシスルホン酸イオン(R28−O−SO、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R67−O−R68−SO、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R69−O−R70−SO、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R29−SO−)N]、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R30−SO−)N]、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R31−SO−)(F−SO−)N]、酢酸イオン(CHCOO)、フルオロアルキルカルボン酸イオン(R32−COO)、過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、テトラシアノホウ酸イオン[B(CN)、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R33−BF )、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R34−O−BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、又はヨウ化物イオン(I)である。
前記炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン(R25−SOにおいて、R25は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルキルスルホン酸イオンは、「アルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R25−SOの好適なものとして、例えばメチルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン)、エチルスルホン酸イオン(エタンスルホン酸イオン)、n−プロピルスルホン酸イオン(n−プロパンスルホン酸イオン)、イソプロピルスルホン酸イオン(イソプロパンスルホン酸イオン)、n−ブチルスルホン酸イオン(n−ブタンスルホン酸イオン)、tert−ブチルスルホン酸イオン(tert−ブタンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホン酸イオン(R26−SOにおいて、R26は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「フルオロアルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R26−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシスルホン酸イオン(R27−O−SOにおいて、R27は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルコキシスルホン酸イオンは、「アルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R27−O−SOの好適なものとして、例えばメトキシスルホン酸イオン(メチル硫酸イオン)、エトキシスルホン酸イオン(エチル硫酸イオン)、n−プロポキシスルホン酸イオン(n−プロピル硫酸イオン)、イソプロポキシスルホン酸イオン(イソプピル硫酸イオン)、n−ブトキシスルホン酸イオン(n−ブチル硫酸イオン)、tert−ブトキシスルホン酸イオン(tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシスルホン酸イオン(R28−O−SOにおいて、R28は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルコキシスルホン酸イオンは、「フルオロアルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R28−O−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシスルホン酸イオン(トリフルオロメチル硫酸イオン)、ペンタフルオロエトキシスルホン酸イオン(ペンタフルオロエチル硫酸イオン)、ヘプタフルオロ−n−プロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロ−n−プロピル硫酸イオン)、ヘプタフルオロイソプロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロイソプピル硫酸イオン)、ノナフルオロ−n−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−n−ブチル硫酸イオン)、ノナフルオロ−tert−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R67−O−R68−SOにおいて、R67は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基であり、R68は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。ただし、R67及びR68における炭素数の和は1〜10である。なお、前記アルコキシアルキレンスルホン酸イオンは、「アルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R67−O−R68−SOにおいて、「R67−O−」は「−R68−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R68−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R67−O−R68−SOの好適なものとして、例えばメトキシメチレンスルホン酸イオン、メトキシエチレンスルホン酸イオン、エトキシメチレンスルホン酸イオン、n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、イソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R69−O−R70−SOにおいて、R69は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、R70は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。前記2価のアルキレン基は、その炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。ただし、R69及びR70における炭素数の和は1〜10である。なお、前記フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオンは、「フルオロアルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R69−O−R70−SOにおいて、「R69−O−」は「−R70−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R70−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R69−O−R70−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレンスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシエチレンスルホン酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R29−SO−)N]において、R29は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記ビス(アルキルスルホニル)イミドイオンは、「ビス(アルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R29−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(メチルスルホニル)イミドイオン、ビス(エチルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(イソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R30−SO−)N]において、R30は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「ビス(フルオロアルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R30−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
30がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]も好適なものとして挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R31−SO−)(F−SO−)N]において、R31は前記R30と同じである。なお、前記フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオンは、「フルオロアルカンスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R31−SO−)(F−SO−)N]の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
31がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]も好適なものとして挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルカルボン酸イオン(R32−COO)において、R32は前記R30と同じである。
前記(R32−COO)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボン酸イオン(トリフルオロ酢酸イオン)、ペンタフルオロエチルカルボン酸イオン(ペンタフルオロプロパン酸イオン)、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸イオン(ヘプタフルオロブタン酸イオン)、ノナフルオロブチルカルボン酸イオン(ノナフルオロペンタン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R33−BF )において、R33は前記R30と同じである。
前記(R33−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R34−O−BF )において、「R34−O−」は前記「R28−O−」と同じである。
前記(R34−O−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
本発明において、化合物(A1−a1)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(A1−a1)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−a1)の好適なものとしては、例えばメチルスルホン酸(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(メチル−プロピリデン−ビニル−アンモニウム)塩、メチルスルホン酸(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、メトキシスルホン酸(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム)塩、メチルスルホン酸(1−ビニルピリジニウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(1−ブチルピリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−ビニルピリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−ビニルピリジニウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(1−ビニルピリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1−ビニルピリジニウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−ビニルピリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−ビニルピリジニウム)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(1−ビニルピリジニウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−ビニルピリジニウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−ビニルピリジニウム)塩が例示できる。
<化合物(A1−a2)>
化合物(A1−a2)は、下記一般式(A1−a2)で表される不飽和結合型窒素原子含有塩である。ここで、「不飽和結合型」とは、一般式(A1−a2)中のXが重合性の不飽和結合を有することを意味する。
Figure 2012181962
一般式(A1−a2)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基とは、鎖中に1〜3個の二重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキル基を意味し、例えばエテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記RとRとが結合して環を形成していても良い。ここで、「RとRとが結合して環を形成していても良い」とは、RとRとが結合して、R及びRと結合している窒素原子とともに環を形成していても良いことをいう。言い換えると、RとRとが結合した場合、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記RとRとが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記RとRとが結合する場合、Rの末端の炭素原子とRの末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、Rの鎖中の炭素原子とRの末端の炭素原子とが結合しても良く、Rの鎖中の炭素原子とRの末端の炭素原子とが結合しても良く、Rの鎖中の炭素原子とRの鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
前記RとRとが結合して形成される環を構成する炭素原子が、ヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、セレン等が挙げられる。なかでも、酸素又は窒素が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(A1−a2)中、Lは炭素数1〜6の炭化水素基であり、窒素との二重結合を除いて他に不飽和結合を有していても有していなくてもよい炭素数1〜6の炭化水素基である。好適なLとしては例えば、(=CH−CH−)、(=CH−CH−CH−)、(=CH−CH−CH−CH−)、(=CH−CH−CH−CH−CH−)等が挙げられる。
前記Lは炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。短い連結基であると、本発明にかかる多価イオン電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる多価イオン伝導性電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
一般式(A1−a2)中、Xは前記一般式(A1−a1)におけるXと同じである。
化合物(A1−a2)の好適なカチオンとしては、前記R、R、L及びXの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−a2)の好適なカチオンとしては、例えば3−ブテニリデン−メチル−プロピル−アンモニウムカチオン、メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウムカチオン、1−(4−ブテニリデン)−ピペリジニウムカチオン、1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン、4−(3−ブテニリデン)−4−モルフォリニウムカチオンが例示できる。これらのなかでも、比較的短い直鎖状のメチル基、エチル基、プロピル基を有すると耐電位性に優れることから、好適である。
一般式(A1−a2)中、 (Z)は前記一般式(A1−a1)における (Z)と同じである。
本発明において、化合物(A1−a2)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(A1−a2)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−a2)の好適なものとしては、例えばメチルスルホン酸(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(メチル−4−ペンテニリデン−プロピル−アンモニウム)塩、メチルスルホン酸(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(アリル−メチル−4−ペンテニリデン−アンモニウム)塩、メチルスルホン酸(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、メトキシスルホン酸(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−(4−ペンテニリデン)−ピペリジニウムカチオン)塩が例示できる。
<化合物(A1−b)>
化合物(A1−b)は、下記一般式(A1−b)で表される不飽和結合型窒素原子含有塩である。ここで、「不飽和結合型」とは、一般式(A1−b)中のX及びXが重合性の不飽和結合を有することを意味する。
Figure 2012181962
一般式(A1−b)中、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数4〜7のシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性を高める観点から、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記炭素数4〜7のシクロアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記RとRとが結合して環を形成していても良い。ここで、「RとRとが結合して環を形成していても良い」とは、RとRとが結合して、R及びRと結合している窒素原子とともに環を形成していても良いことをいう。言い換えると、RとRとが結合した場合、Rは炭素数1〜10のアルキレン基であり、Rは炭素数4〜7のシクロアルキレン基である。該シクロアルキレン基の具体例としては、シクロブチレン{−(C)−}、シクロペンチレン{−(C)−}、シクロヘキシレン{−(C10)−}、シクロヘプチレン{−(C12)−}が挙げられる。
前記RとRとが結合する場合、Rの末端の炭素原子とRのシクロアルカンを構成する炭素原子とが結合することが好ましいが、Rの鎖中の炭素原子とRのシクロアルカンを構成する炭素原子とが結合しても良い。
前記RとRとが結合して形成される環を構成する炭素原子が、ヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、セレン等が挙げられる。なかでも、酸素又は窒素が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(A1−b)中、Xは前記一般式(A1−a1)におけるXと同じであり、X は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は前記一般式(A1−a1)におけるXと同じである。
が炭素数1〜10のアルキル基である場合は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
が炭素数4〜7のシクロアルキル基である場合は、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性を高める観点から、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記炭素数4〜7のシクロアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
化合物(A1−b)の好適なカチオンとしては、前記R、R、X及びXの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−b)の好適なカチオンとしては、例えばトリエチルビニルアンモニウムカチオン、アリルトリエチルアンモニウムカチオン、トリ−n−オクチルビニルアンモニウムカチオン、アリルトリ−n−オクチルアンモニウムカチオン、トリ−n−ブチルビニルアンモニウムカチオン、アリルトリ−n−ブチルアンモニウムカチオン、ジ−n−ブチルメチルビニルアンモニウムカチオン、アリルジ−n―ブチルメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシプロピル)−N−メチルアンモニウムカチオン、N‐(2‐アクリロイルオキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N‐(2‐アクリロイルイミノエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、エチル−メチル−[2−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エチル]−ビニル−アンモニウムカチオン、エチル−メチル−ビス−[2−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エチル]−アンモニウムカチオンが例示できる。
これらのなかでも、直鎖状のアルキル基を複数有するアンモニウムカチオンは、耐電位性に優れることから、好適である。
化合物(A1−b)の好適なカチオンとして、ピロリジン環又はピペリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。例えば下記一般式(A1−b−01)で表されるピロリジン環を骨格構造とするカチオン、下記一般式(A1−b−02)で表されるピペリジンン環を骨格構造とするカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
化合物(A1−b−01)の好適なものとしては、例えば1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ビニル−ピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ビニル−ピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ビニル−ピロリジニウムカチオン、1−アリル−1−エチル−ピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−[2−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エチル]−ピロリジニウムカチオン、1,1−ジビニル−ピロリジニウムカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
化合物(A1−b−02)の好適なものとしては、例えば1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ビニル−ピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ビニル−ピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ビニル−ピペリジニウムカチオン、1−アリル−1−エチル−ピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−[2−(2−メチル−アクリロイルオキシ)−エチル]−ピペリジニウムカチオンが例示できる。
前記一般式(A1−b−01)及び(A1−b−02)において、Xは、前記一般式(A1−b)中のXと同じである。また、前記一般式(A1−b−01)及び(A1−b−02)において、Xは、前記一般式(A1−b)中のXと同じである。これらのなかでも、直鎖状のアルキル基を有するアンモニウムカチオンは、耐電位性に優れることから、好適である。ピロリジニウムカチオンやピペリジニウムカチオンといった脂肪族環状炭化水素は、電極との接触抵抗を低減する傾向があるため、炭素数1〜3の直鎖構造に相当する官能基X又はXを有するものが好適である。
一般式(A1−b)中、 (Z)は前記一般式(A1−a1)における (Z)と同じである。
本発明において、化合物(A1−b)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(A1−b)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A1−b)の好適なものとしては、例えばメチルスルホン酸(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(N,N−ジエチル‐N‐(2‐メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム)塩、メチルスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリフルオロメチルカルボン酸(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−メチル−1−ビニル−ピロリジニウム)塩、メチルスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメチルスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、ビス(メチルスルホニル)イミド(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメチルカルボン酸(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−メチル−1−ビニル−ピペリジニウム)塩が例示できる。
<<A2成分>>
本発明の多価イオン伝導性材料のA2成分は、下記一般式(A2−a1)及び(A2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩(A2)である。
以下、一般式(A2−a1)及び(A2−a2)で表される化合物を、それぞれ化合物(A2−a1)、及び化合物(A2−a2)と呼ぶことがある。また、窒素原子含有塩(A2)を単にA2成分と呼ぶことがある。
<化合物(A2−a1)>
化合物(A2−a1)は、下記一般式(A2−a1)で表される窒素原子含有塩である。
Figure 2012181962
一般式(A2−a1)中、R14は、炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基である。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばメチリデン基(メチレン基)(=CH)、エチリデン基(=CHCH)、プロピリデン基、ブチリデン基、ペンチリデン基、ヘキシリデン基、ヘプチリデン基、オクチリデン基、ノニリデン基、デシリデン基、イソプロピリデン基〔=C(CH〕等が挙げられる。これらなかでも、炭素数1〜8のアルキリデン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキリデン基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数1〜10のアルキリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明の多価イオン伝導性を高める観点から、直鎖状が好ましい。具体的には、例えばビニリデン基(=C=CH)、アリリデン基(=CH−CH=CH)、ブテニリデン基、ペンテニリデン基、イソペンテニリデン基〔=CH−CH−C(=CH)CH〕等が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜8のアルケニリデン基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニリデン基がより好ましく、炭素数2〜4のアルケニリデン基がさらに好ましい。
前記炭素数2〜10のアルケニリデン基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
一般式(A2−a1)中、R15は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基とは、鎖中に1〜3個の二重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキル基を意味し、例えばエテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R14とR15とが結合して環を形成していても良い。ここで、「R14とR15とが結合して環を形成していても良い」とは、R14とR15とが結合して、R14及びR15と結合している窒素原子とともに環を形成していても良いことをいう。言い換えると、R14とR15とが結合した場合、R14及びR15は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記R14とR15とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記R14とR15とが結合する場合、R14の末端の炭素原子とR15の末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、R14の鎖中の炭素原子とR15の末端の炭素原子とが結合しても良く、R14の鎖中の炭素原子とR15の末端の炭素原子とが結合しても良く、R14の鎖中の炭素原子とR15の鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
前記R14とR15とが結合して形成される環を構成する炭素原子が、ヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、セレン等が挙げられる。なかでも、酸素又は窒素が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
化合物(A2−a1)の好適なカチオンとしては、前記R14、R15及び後述するWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A2−a1)の好適なカチオンとしては、例えばメトキシ−メチル−プロピリデン−アンモニウムカチオン、エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウムカチオン、メトキシ−プロピリデン−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、ブチリデン−メトキシ−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、アリリデン−メトキシ−メチル−アンモニウムカチオン、アリリデン−エトキシ−エチル−アンモニウムカチオン、3−ブテニリデン―エトキシ―エチル−アンモニウムカチオン、3−ブテニリデン−メトキシ−トリフルオロメチル−アンモニウムカチオン、3−ブテニリデン−エトキシ−メトキシ−アンモニウムカチオン、1−メトキシ−3−メチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1−ピリミジニウムカチオンが例示できる。
化合物(A2−a1)の好適なカチオンとして、イミダゾール環又はピリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。例えば下記一般式(A2−a1−01)で表されるイミダゾール環を骨格構造とするカチオン、下記一般式(A2−a1−02)で表されるピリジン環を骨格構造とするカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
一般式(A2−a1−01)中、R35、R36はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R35は、炭素数1〜8の、アルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記R36は、水素原子又は炭素数1〜8の、アルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
化合物(A2−a1−01)の好適なものとしては、前記R35、R36及び後述するWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A2−a1−01)の好適なものとしては、例えば1−メトキシ−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシ−2−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシ−2,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−n−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−エトキシ−3−プロピルイミダゾリウムカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
一般式(A2−a1−02)中、R37、R38及びR39は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。該炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子は、ヒドロキシ基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
前記R37、R38及びR39は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基が好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
化合物(A2−a1−02)の好適なものとしては、前記R37、R38、R39及び後述するWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A2−a1−02)の好適なものとしては、例えば1−メトキシ−3−メチルピリジニウムカチオン、1−メトキシ−4−メチルピリジニウムカチオン、1−メトキシピリジニウムカチオン、1−メトキシ−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウムカチオン、1−エトキシ−3−メチルピリジニウムカチオンが例示できる。
前記一般式(A2−a1)、一般式(A2−a1−01)及び一般式(A2−a1−02)中、Wは、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10の、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基若しくはフルオロアルコキシ基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基である。これらのなかでも、イオン伝導性に優れることから、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。
前記連結基としての炭素数1〜3のアルキレン基としては、例えばメチレン基(−CH−)、エチレン基(−CH−CH−)、又はプロピレン基(トリメチレン基)(−CH−CH−CH−)が挙げられる。これらのなかでも、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
前記連結基としての炭素数2〜3のアルケニレン基としては、例えばビニレン基(−CH=CH−)、1−メチルビニレン基(−CH(CH)=CH−)、又はプロペニレン基(−CH−CH=CH−)が挙げられる。これらのなかでも、ビニレン基又は1−メチルビニレン基が好ましい。
前記連結基が炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であると、本発明にかかる多価イオン電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる多価イオン伝導性電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものである。前記フルオロアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状であることが好ましい。また、前記フルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルコキシ基は、一般式(R40−O−)で表される基である。前記R40は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。つまり、前記炭素数1〜10のアルコキシ基の好適なものとして、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基は、前記炭素数1〜10のアルコキシ基に結合している水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものであり、一般式(R41−O−)で表される基である。前記R41は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。前記(R41−O−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ノナフルオロ−n−ブトキシ基、ノナフルオロ−tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基とは、鎖中に1〜3個の二重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキル基を意味し、例えばエテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記一般式(A2−a1)中、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン(R42−SO、フルオロアルキルスルホン酸イオン(R43−SO、アルコキシスルホン酸イオン(R44−O−SO、フルオロアルコキシスルホン酸イオン(R45−O−SO、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R71−O−R72−SO、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R73−O−R74−SO、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R46−SO−)N]、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R47−SO−)N]、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R48−SO−)(F−SO−)N]、酢酸イオン(CHCOO)、フルオロアルキルカルボン酸イオン(R49−COO)、過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、テトラシアノホウ酸イオン[B(CN)、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R50−BF )、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、又はヨウ化物イオン(I)である。
前記炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン(R42−SOにおいて、R42は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルキルスルホン酸イオンは、「アルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R42−SOの好適なものとして、例えばメチルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン)、エチルスルホン酸イオン(エタンスルホン酸イオン)、n−プロピルスルホン酸イオン(n−プロパンスルホン酸イオン)、イソプロピルスルホン酸イオン(イソプロパンスルホン酸イオン)、n−ブチルスルホン酸イオン(n−ブタンスルホン酸イオン)、tert−ブチルスルホン酸イオン(tert−ブタンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホン酸イオン(R43−SOにおいて、R43は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「フルオロアルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R43−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシスルホン酸イオン(R44−O−SOにおいて、R44は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルコキシスルホン酸イオンは、「アルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R44−O−SOの好適なものとして、例えばメトキシスルホン酸イオン(メチル硫酸イオン)、エトキシスルホン酸イオン(エチル硫酸イオン)、n−プロポキシスルホン酸イオン(n−プロピル硫酸イオン)、イソプロポキシスルホン酸イオン(イソプピル硫酸イオン)、n−ブトキシスルホン酸イオン(n−ブチル硫酸イオン)、tert−ブトキシスルホン酸イオン(tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシスルホン酸イオン(R45−O−SOにおいて、R45は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルコキシスルホン酸イオンは、「フルオロアルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R45−O−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシスルホン酸イオン(トリフルオロメチル硫酸イオン)、ペンタフルオロエトキシスルホン酸イオン(ペンタフルオロエチル硫酸イオン)、ヘプタフルオロ−n−プロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロ−n−プロピル硫酸イオン)、ヘプタフルオロイソプロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロイソプピル硫酸イオン)、ノナフルオロ−n−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−n−ブチル硫酸イオン)、ノナフルオロ−tert−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R71−O−R72−SOにおいて、R71は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基であり、R72は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。ただし、R71及びR72における炭素数の和は1〜10である。なお、前記アルコキシアルキレンスルホン酸イオンは、「アルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R71−O−R72−SOにおいて、「R71−O−」は「−R72−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R72−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R71−O−R72−SOの好適なものとして、例えばメトキシメチレンスルホン酸イオン、メトキシエチレンスルホン酸イオン、エトキシメチレンスルホン酸イオン、n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、イソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R73−O−R74−SOにおいて、R73は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、R74は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。前記2価のアルキレン基は、その炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。ただし、R73及びR74における炭素数の和は1〜10である。なお、前記フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオンは、「フルオロアルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R73−O−R74−SOにおいて、「R73−O−」は「−R74−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R74−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R73−O−R74−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレンスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシエチレンスルホン酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R46−SO−)N]において、R46は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記ビス(アルキルスルホニル)イミドイオンは、「ビス(アルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R46−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(メチルスルホニル)イミドイオン、ビス(エチルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(イソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R47−SO−)N]において、R47は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「ビス(フルオロアルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R47−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
47がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]も好適なものとして挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R48−SO−)(F−SO−)N]において、R48は前記R47と同じである。なお、前記フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオンは、「フルオロアルカンスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R48−SO−)(F−SO−)N]の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
48がフッ素原子である、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]も好適なものとして挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルカルボン酸イオン(R49−COO)において、R49は前記R47と同じである。
前記(R49−COO)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボン酸イオン(トリフルオロ酢酸イオン)、ペンタフルオロエチルカルボン酸イオン(ペンタフルオロプロパン酸イオン)、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸イオン(ヘプタフルオロブタン酸イオン)、ノナフルオロブチルカルボン酸イオン(ノナフルオロペンタン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R50−BF )において、R50は前記R47と同じである。
前記(R50−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R51−O−BF )において、「R51−O−」は前記「R45−O−」と同じである。
前記(R51−O−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
本発明において、化合物(A2−a1)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(A2−a1)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A2−a1)の好適なものとしては、例えばメタンスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、酢酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、過塩素酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、塩化(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、臭化(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、ヨウ化(エトキシ−エチル−プロピリデン−アンモニウム)塩、メタンスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、メトキシスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、酢酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、過塩素酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、塩化(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、臭化(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、ヨウ化(1−メトキシ−3−メチルイミダゾリウム)塩、メタンスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−メトキシピリジニウム)塩、酢酸(1−メトキシピリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、過塩素酸(1−メトキシピリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−メトキシピリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−メトキシピリジニウム)塩、塩化(1−メトキシピリジニウム)塩、臭化(1−メトキシピリジニウム)塩、ヨウ化(1−メトキシピリジニウム)塩が例示できる。
<化合物(A2−a2)>
化合物(A2−a2)は、下記一般式(A2−a2)で表される窒素原子含有塩である。
Figure 2012181962
一般式(A2−a2)中、R16及びR17は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数2〜10のアルケニル基とは、鎖中に1〜3個の二重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキル基を意味し、例えばエテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R16とR17とが結合して環を形成していても良い。ここで、「R16とR17とが結合して環を形成していても良い」とは、R16とR17とが結合して、R16及びR17と結合している窒素原子とともに環を形成していても良いことをいう。言い換えると、R16とRとが結合した場合、R16及びR17は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のアルケニレン基である。
前記R16とR17とが結合して形成される環は、4〜8員環であることが好ましく、4〜6員環であることがより好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。
前記R16とR17とが結合する場合、R16の末端の炭素原子とR17の末端の炭素原子とが結合することが好ましいが、R16の鎖中の炭素原子とR17の末端の炭素原子とが結合しても良く、R16の鎖中の炭素原子とR17の末端の炭素原子とが結合しても良く、R16の鎖中の炭素原子とR17の鎖中の炭素原子とが結合しても良い。
前記R16とR17とが結合して形成される環を構成する炭素原子が、ヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、セレン等が挙げられる。なかでも、酸素又は窒素が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(A2−a2)中、Lは炭素数1〜6の炭化水素基であり、窒素との二重結合を除いて他に不飽和結合を有していても有していなくてもよい炭素数1〜6の炭化水素基である。好適なLとしては例えば、(=CH−CH−)、(=CH−CH−CH−)、(=CH−CH−CH−CH−)、(=CH−CH−CH−CH−CH−)等が挙げられる。
前記Lは炭素数1〜3の炭化水素基であることがより好ましい。短い連結基であると、本発明にかかる多価イオン電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる多価イオン伝導性電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
一般式(A2−a2)中、Wは前記一般式(A2−a1)におけるWと同じである。
化合物(A2−a2)の好適なカチオンとしては、前記R16、R17、L及びWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A2−a2)の好適なカチオンとしては、例えば(2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウムカチオン、(3−メトキシ−プロピリデン)−メチル−プロピル−アンモニウムカチオン、(3−エトキシ−プロピリデン)−メチル−プロピル−アンモニウムカチオン、1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウムカチオン、1−(3−メトキシ−プロピリデン)−ピペリジニウムカチオン、4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウムカチオンが例示できる。これらのなかでも、比較的短い直鎖状のメチル基、エチル基、プロピル基を有すると耐電位性に優れることから、好適である。さらに、炭素数1〜3の直鎖状のアルコキシ基は可動イオンの伝導性に優れることから、好適である。
一般式(A2−a2)中、 (Z)は前記一般式(A2−a1)における (Z)と同じである。
本発明において、化合物(A2−a2)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(A2−a2)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A2−a2)の好適なものとしては、例えばメタンスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、酢酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、過塩素酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、塩化((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、臭化((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、ヨウ化((2−メトキシ−エチリデン)−メチル−プロピル−アンモニウム)塩、メタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、酢酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、過塩素酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、塩化(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、臭化(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、ヨウ化(1−(2−メトキシ−エチリデン)−ピペリジニウム)塩、メタンスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、メトキシスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、酢酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、過塩素酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、テトラシアノホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロヒ酸(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、塩化(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、臭化(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩、ヨウ化(4−(2−メトキシ−エチリデン)−4−モルフォリニウム)塩が例示できる。
<<B成分>>
本発明の多価イオン伝導性材料のB成分は、下記一般式(B)で表される化合物群から選ばれる1種以上の多価イオン塩(B)である。
以下、一般式(B)で表される化合物を化合物(B)と呼ぶことがある。また、多価イオン塩(B)を単にB成分と呼ぶことがある。
Figure 2012181962
一般式(B)中、Yはフッ素原子、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキル基若しくはフルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキレン基であり、Yはフルオロスルホニル基、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキルスルホニル基、フルオロアルキルカルボニル基若しくはフルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキレン基である。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものである。前記フルオロアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状であることが好ましい。また、前記フルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基は、炭素数1〜10のアルコキシ基に結合している水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものであり、一般式(R52−O−)で表される基である。前記R52は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。前記(R52−O−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ノナフルオロ−n−ブトキシ基、ノナフルオロ−tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシアルキレン基(R75−O−R76−)において、R75は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、R76は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。前記2価のアルキレン基は、その炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。ただし、R75及びR76における炭素数の和は1〜10である。
前記(R75−O−R76−)において、「R75−O−」は「−R76−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R76−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO−」の硫黄原子に結合する。
前記(R75−O−R76−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレン基、トリフルオロメトキシエチレン基、ペンタフルオロエトキシメチレン基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレン基、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレン基、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレン基、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレン基等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホニル基は、(R53−SO−)で表される基である。前記R53は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。
前記(R53−SO−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル基、ペンタフルオロエチルスルホニル基、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル基、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル基、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル基、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル基等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルカルボニル基は、(R54−COO−)で表される基である。前記R54は前記R53と同じである。
前記(R54−COO)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボニル基、ペンタフルオロエチルカルボニル基、ヘプタフルオロプロピルカルボニル基、ノナフルオロブチルカルボニル基等が挙げられる。
本発明において、化合物(B)の好適なものとしては、前記Yの好適なもの又は例示したものと、前記Yの好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(B)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(B)の好適なものとしては、例えばビス(トリフルオロメタンスルホン酸)マグネシウム、ビス(ペンタフルオロエタンカルボン酸)マグネシウム、ビス(ビス(フルオロスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(ビス(フルオロメタンスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(トリフルオロメトキシ(フルオロスルホニル)イミド)マグネシウム、ビス(トリフルオロメトキシ(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)マグネシウムが例示できる。これらのなかでも、フルオロアルコキシスルホン酸塩やフルオロアルキルスルホン酸塩がマグネシウムイオンを非局在化するのに優れることから、好適である。
<<C成分>>
本発明の多価イオン伝導性材料のC成分は、下記一般式(C)で表される化合物群から選ばれる1種以上の金属−酸素結合型構造体(C)である。
以下、一般式(C)で表される化合物を化合物(C)と呼ぶことがある。また、金属−酸素結合型構造体(C)を単にC成分と呼ぶことがある。
Figure 2012181962
一般式(C)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、
は炭素数1〜100の二価の炭化水素基若しくはアルキレンオキシド又は酸素原子であり、R、R、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基{CH=C(−O)−CH−}、アセチルアセトナート基{CHC(=O)CH=C(−O)−CH−}、アセテート基{CHC(=O)−}、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基若しくは式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基で表される基であり
、n、n10及びn11は0又は1であり、「n+n+2」及び「n10+n11+2」は各々のMの原子価に一致し、
は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。
一般式(C)中、Rは、炭素数1〜100の二価の炭化水素基若しくはアルキレンオキシド又は酸素原子である。前記炭化水素基及びアルキレンオキシドにおいて、炭素数が100より多くなると架橋が不十分となり、多価イオン伝導性材料の耐膨潤性、耐熱性が不十分となる。
の二価の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良く、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。Rのアルキレンオキシドは、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでも良いが、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、直鎖状の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
前記脂肪族炭化水素基の特に好ましいものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が例示できる。
前記芳香族炭化水素基は、単環式及び多環式のいずれでも良いが、単環式であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
また、Rの二価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が結合した2価の基でも良く、このようなものとしては、芳香族炭化水素の二個の水素原子が2価の脂肪族炭化水素基で置換された二価の基が好ましい。ここで、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基としては、上記で説明したものの中から、炭素数の総数が100以下となる組み合わせを選択すれば良い。好ましいものとして具体的には、ベンゼンの1位及び4位の水素原子がアルキレン基で置換されたものが例示でき、該アルキレン基としては、炭素数が1〜5であるものが好ましく、炭素数が1〜3であるものがより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
は、ヘテロ原子を有していても良い。ここで、「ヘテロ原子を有する」とは、Rの少なくとも一つの水素原子又は炭素原子が、ヘテロ原子又はヘテロ原子を有する基で置換されていることを指す。また、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が例示できる。なかでも、Rの少なくとも一つの炭素原子が、酸素原子(−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−NH−C(=O)−)で置換されたものは、これらの結合形成の容易性、構造体の柔軟性、原料の入手容易性の観点から好ましい。特に飽和脂肪族炭化水素基の炭素原子が酸素原子(−O−)で置換されたアルキレンオキシドはイオン伝導性の観点から好ましい。
上記のなかでもRとしては、耐酸性が高く、極めて安定であることから、アルキレンオキシドが好ましい。さらに、屈曲可能な構造であるため、多価イオン伝導性材料を使用して得られる電解質に適度な柔軟性を付与でき、緻密性なども調整できることから、直鎖状のアルキレンオキシドであることが特に好ましい。これらのイオン伝導性、柔軟性、緻密性等は、アルキレンオキシドの分子長で調整できる。
一般式(C)中、Mは、それぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子又はクロム原子であり、ケイ素原子であることが好ましい。
一般式(C)中、R、R、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基若しくは式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基で表される基である。ここで、R〜R13のいずれかが、式「−O−M−」で表される基である場合には、金属−酸素結合型構造体(C)が、他の金属−酸素結合型構造体(C)と結合していることを示す。
一般式(C)中のR、R、R10、R11、R12及びR13が、前記アクリロイルオキシ基、前記メタクリロイルオキシ基、前記ビニル基、又は前記アリル基である場合、これらの基は、炭素数1〜10のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介して、前記Mに結合していてもよい。
前記連結基としては、炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基が好ましく、エチレン基又はプロピレン基がより好ましい。
一般式(C)中、n、n、n10及びn11は、Mに結合しているR、R、R10及びR11の数をそれぞれ示し、0又は1である。そして、「n+n+2」及び「n10+n11+2」はMの原子価に一致する。すなわち、R、R、R及びR12の総数は、これらが結合しているMの原子価と同じであり、R、R10、R11及びR13の総数は、これらが結合しているMの原子価と同じである。例えば、Mがケイ素原子である場合、これに結合しているR、R、R及びR12の総数は4である(R及びRの総数は2である)。このように、Mの種類によっては、R、R、R10及びR11のいずれかは存在しない。
一般式(C)中、mは、1以上の整数である。
が2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。また、mが2以上である場合には、複数のRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、同様に、複数のR及びRも、それぞれ互いに同一でも異なっていても良い。この場合、例えば、金属−酸素結合型構造体(C)は、Rとして炭素数1〜100の二価の炭化水素基と酸素原子とを両方含むものであっても良く、このようなものとして、一般式「−M−R’−M−O−(式中、R’は炭素数1〜100の二価の炭化水素基を表す)」で表される繰り返しの基本骨格を有するものが例示できる。
また、mが2以上である場合には、複数のnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、同様に、複数のnもそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。
金属−酸素結合型構造体(C)は、例えば、Rが酸素原子(O)であり、且つR〜R13が「−O−M−」である場合のように、無機化合物の場合もあれば、有機化合物を複合した有機無機複合体の場合もある。有機化合物を複合する場合は、無機物が有する耐熱性と、有機物が有する柔軟性とを両方兼ね備えた多価イオン伝導性材料を形成できる。このような化合物を使用する場合には、架橋構造間の分子構造設計により、イオン伝導性や柔軟性をはじめとする各膜物性の調整が可能である。
金属−酸素結合型構造体(C)のうち、例えば、Mがケイ素原子であるケイ素−酸素結合型構造体や、これを形成するための架橋性の原料化合物は、そのまま市販されているものもあり、さらに、不飽和結合を有するものは、対応するシリル化合物のヒドロシリル化反応により合成でき、水酸基やアミノ基等を有するものも同様に合成できる。
金属−酸素結合型構造体(C)の好ましいものとして、具体的には、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)オクタン、1,8−ビス(ジエトキシメチルシリル)オクタン、1,8−ビス(エチルジメトキシシリル)オクタン、1,8−ビス(エトキシジメチルシリル)オクタン、1,9−ビス(トリエトキシシリル)ノナン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、3−(アクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン及びn−ブチルトリメトキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラエトキシド、アルミニウムテトライソプロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド、バナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、テトラブトキシスズ等の金属アルコキシドが加水分解されたモノマーが重縮合した重縮合体が例示できる。そして、上記の金属アルコキシドのうち、前記一般式(C)で表されるものをそのまま金属−酸素結合型構造体(C)として使用しても良い。
また、スズジアセテート、クロムアセチルアセトナート、又はクロムアセテートヒドロキシドなどを前記金属アルコキシドに添加して加水分解し、この加水分解物を重合させることによって得られた生成物も、前記金属−酸素結合型構造体(C)として使用できる。なお、前記生成物には、前記金属アルコキシドのアルコキシ基がアセテート基、アセチルアセトナート基といった他の置換基で置換された金属アルコキシドが含まれている。
さらに、金属−酸素結合型構造体(C)の好ましいものとしては、ケイ酸や、少なくとも一つの水酸基が塩を形成しているケイ酸塩をモノマーとして重縮合したものも例示できる。
前記ケイ酸塩としては、ケイ酸マグネシウムが好ましい。
さらに、金属−酸素結合型構造体(C)は、オリゴマーが重縮合したものでも良く、好ましいオリゴマーとして、各種市販品も利用でき、例えば、ケイ素−酸素結合型構造体を形成するためのものとしては、KC−89、KR−500、KR−212、KR−213、KR−9218(いずれも信越化学工業社製)等が例示できる。
さらに、上記の各種モノマー及びオリゴマーを併用して、金属−酸素結合型構造体(C)としても良い。
金属−酸素結合型構造体(C)は、一種の原料化合物(前記モノマー又はオリゴマー)が重縮合したものでも良く、二種以上の原料化合物(前記モノマー及び/又はオリゴマー)が重縮合したものでも良い。二種以上が重縮合したものである場合、これら原料の組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
金属−酸素結合型構造体(C)は、前記原料化合物由来のアルコキシ基又は該アルコキシ基が加水分解された水酸基が少量なら残存していても良いが、水酸基の残存数が少ないものほど好ましく、水酸基が残存せずに、すべて重縮合反応したものが最も好ましい。水酸基の残存数が少なく、金属−酸素結合を形成しているほど、金属−酸素結合型構造体(C)は緻密な構造をとり、多価イオン伝導性材料を使用した電解質の耐熱性、機械的強度が向上する。
金属−酸素結合型構造体(C)は、前記X、X、X又はXが有する重合性不飽和二重結合を介して、前記A成分と結合しうる。すなわち、前記X、X、X又はXが有する重合性不飽和二重結合と、C成分の有する重合性不飽和二重結合が重合して結合しうる。
本発明においては、適切な金属−酸素結合型構造体(C)を使用することで、シリカ架橋粒子を形成することもでき、その架橋密度や粒子間結合強度を調整することで、多価イオン伝導性材料を用いた電解質の強度、可撓性を適宜調整することもできる。
このような適切な金属−酸素結合型構造体(C)としては、金属−酸素結合型構造体(C)形成時の重合温度が300℃以下であるもの、金属−酸素結合構造体(C)にアルコキシ基又は不飽和二重結合が一つ以上残存しているものが例示できる。
このような金属−酸素結合型構造体(C)は、前記A成分及びB成分の存在下での分散性が良好であり、これらの重合が容易に進行し、形成される多価イオン伝導性材料を使用した電解質の構造がより均一で好ましいものとなる。
金属−酸素結合型構造体(C)は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
<<重合について>>
本発明の多価イオン伝導性材料は、前記不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)、前記窒素原子含有塩(A2成分)、前記多価イオン塩(B成分)、及び前記金属−酸素結合型構造(C)を配合してなる硬化性組成物である。A1成分のカチオンは反応性二重結合(重合性不飽和二重結合)を有するため、これが互いに重合してポリマー化することにより、硬化させることができる。また、C成分が反応性二重結合を有する場合は、A1成分とC成分とが結合したポリマーを形成できる。
前記多価イオン伝導性材料(硬化性組成物)を重合させる方法は特に制限されず公知の方法が適用できる。例えば、前記多価イオン伝導性材料に市販の光重合開始剤と熱重合開始剤を添加し、紫外線等を照射することによって、前記多価イオン伝導性材料中のA1成分のXを仮重合させ、続く加熱処理によって本重合させる二段階硬化の方法が好適である。前記C成分の反応性二重結合も同様に重合させることができる。
ここで、「仮重合させる」とは、液状の多価イオン伝導性材料中の前記Xの少なくとも一部を重合させて、多価イオン伝導性材料を柔らかいゲル状態(半固体状態)又は高粘度状態にすることを意味し、「本重合させる」とは、多価イオン伝導性材料中の前記Xの大部分を重合させて、多価イオン伝導性材料を固体状態又はゲル状態にすることを意味する。
<<A3成分>>
本発明の多価イオン伝導性材料のA3成分は、下記一般式(A3)で表される化合物群から選ばれる1種以上の四級アンモニウム塩(A3)である。
以下、一般式(A3)で表される化合物を化合物(A3)と呼ぶことがある。また、四級アンモニウム塩(A3)を単にA3成分と呼ぶことがある。
Figure 2012181962
一般式(A3)中、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基である。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明の多価イオン電導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
前記炭素数4〜7のシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基が挙げられる。本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性を高める観点から、シクロヘキシル基又はシクロヘプチル基が好ましい。前記炭素数4〜7のシクロアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記R18とR19とが結合して環を形成していても良い。ここで、「R18とR19とが結合して環を形成していても良い」とは、R18とR19とが結合して、R18及びR19と結合している窒素原子とともに環を形成していても良いことをいう。言い換えると、R18とR19とが結合した場合、R18は炭素数1〜10のアルキレン基であり、R19は炭素数4〜7のシクロアルキレン基である。該シクロアルキレン基の具体例としては、シクロブチレン{−(C)−}、シクロペンチレン{−(C)−}、シクロヘキシレン{−(C10)−}、シクロヘプチレン{−(C12)−}が挙げられる。
前記R18とR19とが結合する場合、R18の末端の炭素原子とR19のシクロアルカンを構成する炭素原子とが結合することが好ましいが、R18の鎖中の炭素原子とR19のシクロアルカンを構成する炭素原子とが結合しても良い。
前記R18とR19とが結合して形成される環を構成する炭素原子が、ヘテロ原子によって置換されていても良い。前記へテロ原子としては、酸素、窒素、硫黄、セレン等が挙げられる。なかでも、酸素又は窒素が好ましい。
前記ヘテロ原子が環を構成する場合、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基(置換基)(側鎖)として結合していても良い。これらの官能基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記環を構成する炭素原子に結合している水素原子の一部又は全部が、炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。これらの置換基を有すると、本発明の多価イオン伝導性電解質の伝導性をより高められる場合がある。
前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好適なものとして例示できる。これらの炭化水素基の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
一般式(A3)中、W及びWはそれぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはフルオロアルキル基、前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数1〜6のフルオロアルコキシ基若しくはアルコキシ基である。
前記連結基としての炭素数1〜3のアルキレン基としては、例えばメチレン基(−CH−)、エチレン基(−CH−CH−)、又はプロピレン基(トリメチレン基)(−CH−CH−CH−)が挙げられる。これらのなかでも、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
前記連結基としての炭素数2〜3のアルケニレン基としては、例えばビニレン基(−CH=CH−)、1−メチルビニレン基(−CH(CH)=CH−)、又はプロペニレン基(−CH−CH=CH−)が挙げられる。これらのなかでも、ビニレン基又は1−メチルビニレン基が好ましい。
前記連結基が炭素数1〜3のアルキレン基又は炭素数2〜3のアルケニレン基であると、本発明にかかる多価イオン電池の充放電時の電気化学的安定性がより高められ、且つ、本発明にかかる多価イオン伝導性電解質における多価イオンのイオン伝導性がより高められる。
前記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル基は、前記炭素数1〜10のアルキル基に結合している水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものである。前記フルオロアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状であることが好ましい。また、前記フルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基であることが好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のフルオロアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ノナフルオロブチル基、ノナフルオロ−tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基とは、鎖中に1〜3個の二重結合を有する、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜10のアルキル基を意味し、例えばエテニル基(−CH=CH)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が好適なものとして例示できる。
前記炭素数2〜10のアルケニル基に結合している水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよい。
前記炭素数1〜10のアルコキシ基は、一般式(R55−O−)で表される基である。前記R55は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素であり、本発明のイオン伝導性を高める観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。前記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基等が好適なものとして例示できる。つまり、前記炭素数1〜10のアルコキシ基の好適なものとして、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基が例示できる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ基は、前記炭素数1〜10のアルコキシ基に結合している水素原子の一部又は全部をフッ素原子で置換したものであり、一般式(R56−O−)で表される基である。前記R56は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。前記(R56−O−)の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、ノナフルオロ−n−ブトキシ基、ノナフルオロ−tert−ブトキシ基が例示できる。
化合物(A3)の好適なカチオンとしては、前記R18、R19、W及びWの好適なもの又は例示したものを組み合わせて得られるカチオンが挙げられる。これらのカチオンは、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A3)の好適なカチオンとしては、例えばトリエチルメトキシアンモニウムカチオン、トリエチルエトキシアンモニウムカチオン、メトキシトリ−n−オクチルアンモニウムカチオン、エトキシトリ−n−オクチルアンモニウムカチオン、トリ−n−ブチルメトキシアンモニウムカチオン、トリ−n−ブチルエトキシアンモニウムカチオン、ジ−n−ブチルエトキシメトキシアンモニウムカチオン、エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウムカチオン、(2−エトキシ−エチル)−ジエチル−メチル−アンモニウムカチオン、ビス−(2−メトキシ−エチル)−ジメチル−アンモニウムカチオン、エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウムカチオンが例示できる。
化合物(A3)の好適なカチオンとして、ピロリジン環又はピペリジン環を骨格構造とするものが挙げられる。例えば下記一般式(A3−a1)で表されるピロリジン環を骨格構造とするカチオン、下記一般式(A3−a2)で表されるピペリジンン環を骨格構造とするカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
前記一般式(A3−a1)において、Wは、前記一般式(A3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記一般式(A3−a1)において、Wは、前記一般式(A3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記一般式(A3−a1)において、WとWとの組み合わせとして、一方がメチル基である場合、他方がエチル基であることが好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
A3−a1の好適なものとしては、例えば1−エチル−1−メチル−ピロリジニウムカチオン、1−メトキシ−1−メチル−ピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メトキシ−ピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メトキシメチル−ピロリジニウムカチオン、1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウムカチオン、1,1−ジメトキシ−ピロリジニウムカチオン、1−エトキシ−1−メトキシ−ピロリジニウムカチオンが例示できる。
Figure 2012181962
前記一般式(A3−a2)において、Wは、前記一般式(A3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記一般式(A3−a2)において、Wは、前記一般式(A3)中のWと同じであるが、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、より好ましくはメチル基又はエチル基である。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
前記一般式(A3−a2)において、WとWとの組み合わせとして、一方がメチル基である場合、他方がエチル基であることが好ましい。これらの好ましい基であると、本発明の多価イオン伝導性電解質のイオン伝導度をより高めることができる。
A3−a2の好適なものとしては、例えば1−エチル−1−メチル−ピペリジニウムカチオン、1−メトキシ−1−メチル−ピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−メトキシメチル−ピペリジニウムカチオン、1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウムカチオン、1,1−ジメトキシ−ピペリジニウムカチオン、1−エトキシ−1−メトキシ−ピペリジニウムカチオンが例示できる。これらのなかでも、直鎖状のアルキル基を有するアンモニウムカチオンは、耐電位性に優れることから、好適である。ピロリジニウムカチオンやピペリジニウムカチオンといった脂肪族環状炭化水素は、電極との接触抵抗を低減する傾向があり、サイクル特性も優れるため、マトリックスとして炭素数1〜3の直鎖構造に相当する官能基W、Wを有するものが好適である。さらに、複数のアルコキシ基を有すると、可動イオンの伝導性に優れることから、好適である。
A3成分のカチオンとして、直鎖状のテトラアルキルアンモニウムカチオンも、耐電位性に優れることから、好適である。
前記一般式(A3)中、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン(R57−SO、フルオロアルキルスルホン酸イオン(R58−SO、アルコキシスルホン酸イオン(R59−O−SO、フルオロアルコキシスルホン酸イオン(R60−O−SO、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R77−O−R78−SO、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R79−O−R80−SO、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R61−SO−)N]、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン[(F−SO−)N]、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R62−SO−)N]、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R63−SO−)(F−SO−)N]、酢酸イオン(CHCOO)、フルオロアルキルカルボン酸イオン(R64−COO)、過塩素酸イオン(ClO )、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )、テトラシアノホウ酸イオン[B(CN)、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R65−BF )、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R66−O−BF )、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF )、ヘキサフルオロヒ酸イオン(AsF )、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、又はヨウ化物イオン(I)である。
前記炭素数1〜10のアルキルスルホン酸イオン(R57−SOにおいて、R57は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルキルスルホン酸イオンは、「アルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R57−SOの好適なものとして、例えばメチルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン)、エチルスルホン酸イオン(エタンスルホン酸イオン)、n−プロピルスルホン酸イオン(n−プロパンスルホン酸イオン)、イソプロピルスルホン酸イオン(イソプロパンスルホン酸イオン)、n−ブチルスルホン酸イオン(n−ブタンスルホン酸イオン)、tert−ブチルスルホン酸イオン(tert−ブタンスルホン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホン酸イオン(R58−SOにおいて、R58は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「フルオロアルカンスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R58−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホン酸イオン、ペンタフルオロエチルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシスルホン酸イオン(R59−O−SOにおいて、R59は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記アルコキシスルホン酸イオンは、「アルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R59−O−SOの好適なものとして、例えばメトキシスルホン酸イオン(メチル硫酸イオン)、エトキシスルホン酸イオン(エチル硫酸イオン)、n−プロポキシスルホン酸イオン(n−プロピル硫酸イオン)、イソプロポキシスルホン酸イオン(イソプピル硫酸イオン)、n−ブトキシスルホン酸イオン(n−ブチル硫酸イオン)、tert−ブトキシスルホン酸イオン(tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシスルホン酸イオン(R60−O−SOにおいて、R60は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルコキシスルホン酸イオンは、「フルオロアルキル硫酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R60−O−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシスルホン酸イオン(トリフルオロメチル硫酸イオン)、ペンタフルオロエトキシスルホン酸イオン(ペンタフルオロエチル硫酸イオン)、ヘプタフルオロ−n−プロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロ−n−プロピル硫酸イオン)、ヘプタフルオロイソプロポキシスルホン酸イオン(ヘプタフルオロイソプピル硫酸イオン)、ノナフルオロ−n−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−n−ブチル硫酸イオン)、ノナフルオロ−tert−ブトキシスルホン酸イオン(ノナフルオロ−tert−ブチル硫酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R77−O−R78−SOにおいて、R77は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基であり、R78は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。ただし、R77及びR78における炭素数の和は1〜10である。なお、前記アルコキシアルキレンスルホン酸イオンは、「アルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R77−O−R78−SOにおいて、「R77−O−」は「−R78−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R78−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R77−O−R78−SOの好適なものとして、例えばメトキシメチレンスルホン酸イオン、メトキシエチレンスルホン酸イオン、エトキシメチレンスルホン酸イオン、n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、イソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン(R79−O−R80−SOにおいて、R79は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基であり、R80は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10の2価のアルキレン基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。前記2価のアルキレン基は、その炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。ただし、R79及びR80における炭素数の和は1〜10である。なお、前記フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオンは、「フルオロアルキルエーテルスルホン酸イオン」と呼称されることもある。
前記(R79−O−R80−SOにおいて、「R79−O−」は「−R80−」の末端(一端)の炭素原子に結合し、「−R80−」の末端(他端)の炭素原子が「−SO」の硫黄原子に結合する。
前記(R79−O−R80−SOの好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシメチレンスルホン酸イオン、トリフルオロメトキシエチレンスルホン酸イオン、ペンタフルオロエトキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシメチレンスルホン酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシメチレンスルホン酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシメチレンスルホン酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(アルキルスルホニル)イミドイオン[(R61−SO−)N]において、R61は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。なお、前記ビス(アルキルスルホニル)イミドイオンは、「ビス(アルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R61−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(メチルスルホニル)イミドイオン、ビス(エチルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(イソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン[(R62−SO−)N]において、R62は直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜10のフルオロアルキル基である。該フルオロアルキル基は、それを構成するアルキル基の炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基であってもよいし、一部の水素原子がフッ素原子に置換されずに残っていてもよい。なお、前記フルオロアルキルスルホン酸イオンは、「ビス(フルオロアルカンスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R62−SO−)N]の好適なものとして、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル)イミドイオン、ビス(ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン[(R63−SO−)(F−SO−)N]において、R63は前記R62と同じである。なお、前記フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオンは、「フルオロアルカンスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン」と呼称されることもある。
前記[(R63−SO−)(F−SO−)N]の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ペンタフルオロエチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロ−n−プロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ヘプタフルオロイソプロピルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−n−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、ノナフルオロ−tert−ブチルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキルカルボン酸イオン(R64−COO)において、R64は前記R62と同じである。
前記(R64−COO)の好適なものとして、例えばトリフルオロメチルカルボン酸イオン(トリフルオロ酢酸イオン)、ペンタフルオロエチルカルボン酸イオン(ペンタフルオロプロパン酸イオン)、ヘプタフルオロプロピルカルボン酸イオン(ヘプタフルオロブタン酸イオン)、ノナフルオロブチルカルボン酸イオン(ノナフルオロペンタン酸イオン)等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R65−BF )において、R65は前記R62と同じである。
前記(R65−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロピル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブチル(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
前記炭素数1〜10のフルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン(R66−O−BF )において、「R66−O−」は前記「R60−O−」と同じである。
前記(R66−O−BF )の好適なものとして、例えばトリフルオロメトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロ−n−プロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘプタフルオロイソプロポキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−n−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ノナフルオロ−tert−ブトキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン等が挙げられる。
本発明において、化合物(A3)の好適なものとしては、前記カチオンの好適なもの又は例示したものと、前記アニオン(Z)の好適なもの又は例示したものとを組み合わせて得られるものが挙げられる。これらの化合物(A3)は、一種を単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いても良い。二種以上を組み合わせて用いる場合は、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
化合物(A3)の好適なものとしては、例えばメタンスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、酢酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、過塩素酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、塩化(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、臭化(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、ヨウ化(エチル−(2−メトキシ−エチル)−ジメチルアンモニウム)塩、メタンスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、メトキシスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホニル)イミド(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、酢酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、過塩素酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、テトラシアノホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、塩化(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、臭化(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、ヨウ化(エチル−ビス−(2−メトキシ−エチル)−メチル−アンモニウム)塩、メタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、酢酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、過塩素酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、塩化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、臭化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、ヨウ化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピロリジニウム)塩、メタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、メトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメトキシスルホン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ビス(メタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ビス(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンスルホニル(フルオロスルホニル)イミド(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、酢酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、トリフルオロメタンカルボン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、過塩素酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、テトラフルオロホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、テトラシアノホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエチル(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ペンタフルオロエトキシ(トリフルオロ)ホウ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロリン酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ヘキサフルオロヒ酸(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、塩化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、臭化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩、ヨウ化(1−(2−メトキシ−エチル)−1−メチル−ピペリジニウム)塩が例示できる。
<架橋剤(D)>
本発明の多価イオン伝導性材料には、不飽和結合を少なくとも含む架橋剤(D成分)を配合しても良い。架橋剤を含むことにより、A1成分のカチオン同士が重合してなるポリマー同士又はA1成分のカチオンとC成分が重合してなるポリマー同士を架橋することができる。これにより、多価イオン伝導性材料を重合させてなる多価イオン伝導性電解質の構造的強度(機械的強度)を一層高めることができる。
前記架橋剤としては、二つ又は三つ以上の不飽和結合を有する化合物が好ましい。
二つの不飽和結合を有する化合物としては、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールエトキシレートジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールプロポキシレートジアクリレート、1,6−ヘキサンジイルビス[オキシ(2−ヒドロキシー3,1−プロパンジイル)]ビスアクリレート、3−(アクリロイロキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオネートジアクリレート、ビス[2−(メタクリロイロキシ)エチル]ホスファート、ビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、ジウレタンジメタクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートビス[6−(アクリロイロキシ)ヘキサノエート]、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’―エチレンビス(アクリルアミド)、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、プロピレングリコールグリセロレートジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートメチルエーテルジアクリレート、2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、アリルエーテル、ジアリルカーボネート、マレイン酸ジアリル、ジアリルスクシネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等のモノマー;一種以上の前記モノマーが重合したオリゴマー又はポリマーが例示できる。
また、二つの不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和二重結合を有するシラン化合物(以下、「シラン化合物」と略記することがある)も例示できる。該シラン化合物は、本発明の多価イオン伝導性電解質の機械的強度を向上させることができる点で好ましいものである。
前記シラン化合物としては、例えば、3−(アクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロパントリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、ジアリルジメチルシラン、2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のモノマー;一種以上の前記モノマーが重合したオリゴマー又はポリマーが例示できる。
二つの不飽和結合を有する化合物は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
三つ以上の不飽和結合を有する化合物としては、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス[2−(アクリロイロキシ)エチル]イソシアヌレート、1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,4,6−トリアリロキシ−1,3,5−トリアジン等のモノマー;一種以上の前記モノマーが重合したオリゴマー又はポリマーが例示できる。
三つ以上の不飽和結合を有する化合物は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。
<多価イオン伝導性液体(E)>
本発明の多価イオン伝導性材料は、さらに、多価イオン伝導性液体(E成分)を配合することが好ましい。
前記E成分としては、公知の二次電池用電解質として使用される可塑剤(溶媒)が挙げられ、好ましいものとして具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、スルホラン、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,2,2,3−プロパンテトラカルボニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、1,3,5−シクロヘキサントリカルボニトリル、炭酸エチルメチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が例示できる。
また、前記E成分としては、極性部位を有する低分子液体、イオン性液体も好ましいものとして挙げられる。
前記低分子液体としては、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−シアノエチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、グリセロールエトキシレート等が例示できる。
前記イオン性液体としては、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヘキサフルオロフォスファート、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド等が例示できる。そして、これらのうち、塩は、イオン伝導の対象であるマグネシウムイオンに対するカウンターイオン(カウンターマグネシウムイオン)を有するものが好ましい。
また、前記E成分としては、前記窒素原子含有塩(A2成分)、前記四級アンモニウム塩(A3成分)、前記多価イオン塩(B成分)又は金属−酸素結合型構造体(C成分)、を溶解したり、前記不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)のカチオンの重合体に保持されるものが好ましい。このようなE成分を使用することで、マグネシウムイオンの伝導をより効率的に行うことができる。このようなE成分としては、双性イオン塩であるPSSハイドレート−オクタキス(テトラメチルアンモニウム)塩、ドデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、(メトキシカルボニルスルファモイル)トリエチルアンモニウムヒドロキシド分子内塩、1−(ジメチルカルバモイル)−4−(2−スルホエチル)ピリジニウムヒドロキシド分子内塩、ヘキサデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、オクタデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラデシルジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩、テトラブチルアンモニウムアセタート、1−(3−スルホプロピル)ピリジニウムヒドロキサイド分子内塩、アセチル(キノリン−1−イウム−1−イル)アザニド、(トリメチルアンモニオ)アセタート、3−メチル−5−オキソ−2,5−ジヒドロ−1,2,3−オキサジアゾール−3−イウム−2−イド−4−カルボン酸、1,2,2−トリメチルジアザン−2−イウム−1−イド、1,2,2,2−テトラメチルジアザン−2−イウム−1−イド、1,1,1−トリメチルジアザン−1−イウム−2−スルホナート等が例示できる。
前記E成分は、一種を単独で使用しても良いし、二種以上を併用しても良い。二種以上を併用する場合には、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて適宜選択すれば良い。
<添加剤(F)>
本発明の多価イオン伝導性材料は、さらに、添加剤(F)として、ルイス酸(F1)、リン酸エステル(F2)及び無機粒子(F3)からなる群より選択される少なくとも一種を配合することが好ましい。多価イオン伝導性材料は、添加剤(F)を配合することにより、可動イオンの伝導性が一層向上する。
添加剤(F)は、本発明の多価イオン伝導性電解質に含浸された状態で含まれる。
ルイス酸(F1)としては、トリス(トリメチルシリル)ボレート、2,4,6−トリメトキシボロキシン、トリメチルボレート等が例示できる。
リン酸エステル(F2)としては、トリエチルフォスファート、トリプロピルフォスファート、トリブチルフォスファート、リン酸トリス(トリメチルシリル)エステル、トリス(2−ブトキシエチル)フォスファート、トリメチルシリルポリフォスファート等が例示できる。
無機粒子(F3)としては、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸鉄、チタン酸鉛等が例示できる。
<多価イオン伝導性材料の製造方法>
本発明の多価イオン伝導性材料は、不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)、窒素原子含有塩(A2成分)、多価イオン塩(B成分)及び金属−酸素結合型構造体(C成分)、並びに必要に応じて、四級アンモニウム塩(A3成分)、架橋剤(D成分)、多価イオン伝導性液体(E成分)、添加剤(F成分)等のその他の成分を配合することで製造できる。
多価イオン伝導性材料中には、上記の成分以外に、さらに必要に応じて、各種添加剤を配合しても良い。前記添加剤としては、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、濡れ性改良剤等が例示できる。
各成分の配合時には、これら成分を添加して、各種手段により十分に混合することが好ましい。また、後述する本発明の電解質を引き続き製造する場合には、この時使用する有機溶媒をさらに添加して、得られた組成物を一括して混合するようにしても良い。
各成分は、これらを順次添加しながら混合しても良いし、全成分を添加してから混合しても良く、配合成分を均一に溶解又は分散させることができれば良い。
前記各成分の混合方法は、特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼、ボールミル、スターラー、超音波分散機、超音波ホモジナイザー、自公転ミキサー等を使用する公知の方法を適用すれば良い。
混合温度、混合時間等の混合条件は、各種方法に応じて適宜設定すれば良いが、通常は、混合時の温度は10〜50℃であることが好ましく、混合の総時間は30〜90分であることが好ましい。
多価イオン伝導性材料における各成分の配合量は、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は、以下の通りである。ただし、反応溶媒は各成分には含まれないものとする。本発明においては、多価イオン伝導性電解質として残存する各成分の配合比が重要となり、可動イオンの伝導に寄与しない反応溶媒は、最終的に除去してしまうため、その量は適宜調節すれば良い。
多価イオン伝導性材料における不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における窒素原子含有塩(A2成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、10〜50質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることが特に好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における多価イオン塩(B成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、1〜30質量%であることが好ましく、2〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが特に好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における金属−酸素結合型構造体(C成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、5〜50質量%であることが好ましく、8〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
また、多価イオン伝導性材料における四級アンモニウム塩(A3成分)、の配合量は、反応希釈溶媒を除く伝導材料の配合総重量に対して、0〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
多価イオン伝導性材料における架橋剤(D成分)の配合量は、A1成分、A2成分、B成分、C成分、及びA3成分の総配合量に対して、0.5〜50質量%であることが好ましく、0.7〜40質量%であることがより好ましく、1〜30質量%であることが特に好ましい。
多価イオン伝導性材料における多価イオン伝導性液体(E成分)の配合量は、A1成分、A2成分、B成分、C成分、及びA3成分の総配合量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、15〜70質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることが特に好ましい。このような範囲とすることにより、多価イオン伝導性液体(E成分)が多価イオン伝導性電解質の外部への漏れ出すことを、より一層防止することができ、多価イオン伝導性電解質のイオン伝導性をより高めることができる。
多価イオン伝導性材料における添加剤(F)の配合量は、多価イオン伝導性電解質の用途又は形態等に応じて、適宜調整すれば良い。
多価イオン伝導性材料における光重合開始剤の配合量は、多価イオン伝導性材料に含まれる前記重合性不飽和二重結合の種類や量にもよるが、0.5〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが特に好ましい。
多価イオン伝導性材料における熱重合開始剤の配合量も、多価イオン伝導性材料に含まれる前記重合性不飽和二重結合の種類や量にもよるが、1〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが特に好ましい。
以上で説明した本発明の多価イオン伝導性材料は、少なくとも不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)、窒素原子含有塩(A2成分)、多価イオン塩(B成分)及び金属−酸素結合型構造体(C成分)を配合したものである。A1成分はイオン液体となることが可能であり、かつ反応性二重結合(重合性不飽和二重結合)を有するため、重合してポリマー化することによって、対イオン(Z)〜(Z)の移動や交換が活発に起こり易いという特性を有する。A2成分を配合する利点・効果は構造内における可動イオンの流動性を高めるためである。B成分を構成する目的の可動イオン(Mg2+)は対イオンに局在化しない状態であることによって、移動が容易にできるという特性を有する。C成分は、A1成分のカチオンのポリマー化による網目構造内に、空隙を作る役目を果たす。この空隙をマグネシウムイオンが伝導することによって、高いイオン伝導性が実現できる。これらの特性を有する本発明の多価イオン伝導材料は、多価イオンのイオン伝導性が高い、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン二次電池の材料として優れている。また、充放電を繰り返して使用する多価イオン二次電池の電解質としても優れている。
<多価イオン伝導性電解質、及びその製造方法>
本発明の多価イオン伝導性電解質は、前述の多価イオン伝導性材料に含まれる不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)を構成するカチオンのX、X、X又はXの少なくとも一部が重合されたもの、又は前記多価イオン伝導性材料を後述の多孔質基材(G)に含浸させたものである。
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、前述の多価イオン伝導性材料に含まれる不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)を構成するカチオンのX、X、X又はXの少なくとも一部が重合されたものが好ましい。
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、前記X、X、X又はXの一部が重合され、さらに前記X、X、X又はXの残りの少なくとも一部が金属−酸素結合型構造体(C成分)と結合しているものであることがより好ましい。
前記重合(結合)の方法は特に限定されず、公知の方法が適用できる。例えば、多価イオン伝導性材料に市販の光重合開始剤と熱重合開始剤を添加し、紫外線等を照射することによって、仮重合させ、続く加熱処理によって本重合させる二段階の重合方法が好適である。
ここで、前記X、X、X又はXの少なくとも一部が重合されている状態としては、多価イオン伝導性材料中の前記X、X、X又はXの有する反応性二重結合のうち、0.1〜100%が重合していることが好ましく、10〜100%が重合していることがより好ましく、50〜100%が重合していることがさらに好ましい。なお、仮重合及び本重合の意味は、前述の通りである。また、前記X、X、X又はXの一部が重合されている状態としては、多価イオン伝導性材料中の前記X、X、X又はXの有する反応性二重結合のうち、例えば20〜80%が重合している状態が挙げられる。
<多価イオン伝導性電解質膜、及びその製造方法>
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、該多価イオン伝導性電解質を膜状に成形した多価イオン伝導性電解質膜とすることが好ましい。これにより、小型電池の電解質として使用できる。
前記多価イオン伝導性電解質膜は、本発明の多価イオン伝導性電解質を膜状に成形することで製造できる。この時、多価イオン伝導性電解質の製造時に使用した、多価イオン伝導性液体(E成分)に該当しない溶媒は、乾燥により除去することが好ましい。そして、溶媒は減圧乾燥により除去することが好ましい。
多価イオン伝導性電解質を膜状に形成する方法としては、平板基材上に、スピンコーター等を使用して前記多価イオン伝導性材料を均一に塗布し、UV照射や加熱処理等によって硬化させる方法が例示できる。
多価イオン伝導性電解質膜の製造には、多孔質基材(G)に含浸されている多価イオン伝導性材料(多価イオン伝導性電解質)を使用することが好ましい。このようにすることで、多孔質基材(G)で強化され、機械的強度が高められた多価イオン伝導性電解質膜が得られる。
<多孔質基材(G)>
本発明の多価イオン伝導性電解質としては、前記多価イオン伝導性材料が多孔質基材(G)に含浸されたものも挙げられる。この場合、前記多価イオン伝導性材料の不飽和二重結合が重合されて硬化していても良いし、該不飽和二重結合が重合されずに単に含浸されただけのものであっても良い。
多孔質基材(G)は、有機材料からなるものでも良いし、無機材料からなるものでも良い。これら材料には、レーヨンや精製セルロースのようなセルロース系繊維、絹のようなフィブリル化を起こし易い繊維も含まれる。
有機材料としては、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリイミド、ポリアリレート系液晶ポリマー等の高分子化合物が例示できる。なかでも、フッ素樹脂、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン又はポリイミドからなる高分子材料は、膜厚や孔径の異なる様々な種類のものが市販されているので好適である。
無機材料としては、ガラス、シリカ、アルミナ、カーボン、炭化ケイ素等が例示できる。
多孔質基材(G)は、複数種類の材料からなるものでも良い。また、多孔質基材(G)は、親水化処理されたものが好ましい。
多孔質基材(G)の形態(形状)としては、上記各材料からなる繊維をシート状に成形した不織布、織布が例示できる。織布は平織り、斜文織、朱子織、からみ織り等のいずれの織り方で織られていても良い。織布はまた、個々の繊維を直接織ったものでも良く、繊維を束ねて形成させたもの(例えば、ガラス糸等の無機糸)を織ったものでも良い。シート状の多孔質基材は、二種以上の繊維を組み合わせて構成されていても良い。
多孔質基材(G)の空孔は、平均孔径が0.01〜10μmであることが好ましい。孔径が小さ過ぎると、多価イオン伝導性材料や、これを形成するための前記組成物が充填され難くなり、多価イオン伝導性が低下する虞がある。また、孔径が大き過ぎると、膜の強度が低下して、破損する虞がある。
多孔質基材(G)の空孔率は、多価イオン伝導性電解質の強度、あるいは多価イオン伝導性電解質の充填率との兼ね合いにより一概には言えないが、通常は10〜98%であることが好ましく、20〜97%であることがより好ましい。
多孔質基材(G)の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良いが、通常は0.3〜100μmであることが好ましく、0.5〜80μmであることがより好ましい。
多孔質基材(G)で強化された多価イオン伝導性電解質(膜)を製造する場合には、多価イオン伝導性電解質を形成するための多価イオン伝導性材料(硬化性組成物)を多孔質基材に含浸させ、次いで、オーブン等を使用して加熱すること、又は該多孔質基材をUV照射することで、前記多価イオン伝導性材料を硬化させれば良い。硬化時の条件は、多孔質基材(G)を使用しない場合と同様で良い。また、含浸させた多価イオン伝導性材料を硬化させずに、そのまま電解質として使用しても良い。
<多価イオン伝導性電解質−電極接合体>
本発明の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、前述の多価イオン伝導性電解質を電極及び対電極に接合させたものである。ここで、「電極及び対電極」は、電池における正極と負極のように、対になる電極の組み合わせをいう。つまり、前記電極が正極である場合は前記対電極が負極であり、前記電極が負極である場合は前記対電極が正極である。また、前記「接合」とは、前記多価イオン伝導性電解質と前記電極とが電気化学的に接続されていることを意味する。例えば、前記多価イオン伝導性電解質と前記電極及び対電極とが物理的に接触することにより、これらを接合できる。
以下では、本発明の多価イオン伝導性電解質−電極接合体を、単に「電解質−電極接合体」と略記することがある。
前記電極及び対電極としては、例えば公知のリチウムイオン二次電池又は多価イオン二次電池に使用される正極及び負極が適用できる。
本発明の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、前述の多価イオン伝導性材料を電極上に配し、乾燥、加熱、又は紫外線照射によって仮硬化させた多価イオン伝導性電解質を形成した後、該多価イオン伝導性電解質上に対電極を配置して、加熱によって本硬化することにより、該多価イオン伝導性電解質が前記電極及び対電極と接合されたものが好ましい。
前記仮硬化された多価イオン伝導性電解質は、完全には硬化しておらず、対電極に対する接着性を有する状態であることが好ましい。後段の加熱による本硬化によって、多価イオン伝導性電解質を電極及び対電極に充分に接合できる。
前記乾燥、加熱、又は紫外線照射の条件は、多価イオン伝導性電解質に含まれる不飽和二重結合や重合開始剤等の含有量に基づいて、適宜設定すればよい。
本発明の多価イオン伝導性電解質−電極接合体を構成する多価イオン伝導性電解質は、膜状に形成された多価イオン伝導性電解質膜であることが好ましい。
また、本発明の多価イオン伝導性電解質−電極接合体は、前述の多価イオン伝導性電解質が膜状に成形され、該膜の一方の面に正極が、他方の面に負極がそれぞれ接合された、いわゆる「膜−電極接合体」であることが好ましい。
前記多価イオン伝導性電解質膜と正極との接合は、これらが電気化学的に接続されていれば、その形態は特に限定されない。具体例としては、前記多価イオン伝導性電解質膜と正極とを物理的に接触させる方法が挙げられる。
前記多価イオン伝導性電解質膜と負極との接合も、正極の場合と同様である。
本発明の電解質−電極接合体は、例えば、上記本発明の多価イオン伝導性材料を電極(正極又は負極)上に形成し、乾燥、加熱、又は紫外線照射により仮硬化させて成膜した後、該膜上に対電極(負極又は正極)を配置して加熱することにより本硬化させ、多価イオン伝導性電解質膜を前記電極及び対電極と接合することで製造できる。ここで、多価イオン伝導性材料の乾燥とは、上記の多価イオン伝導性電解質の製造方法の場合と同様に、多価イオン伝導性材料の形成時に使用した、多価イオン伝導性液体(E)に該当しない溶媒を除去することを指す。そして、この製造方法においては、前記多価イオン伝導性材料(硬化性組成物)を電極上に均一に塗布して重合させることで多価イオン伝導性電解質を形成し、対電極を配置して熱硬化することにより、多価イオン伝導性電解質(膜)を前記電極及び対電極と接合する一貫法が、好ましい製造方法として例示できる。
前記電解質−電極接合体における多価イオン伝導性電解質膜の膜厚としては、例えば1μm〜200μmが好ましく、5μm〜100μmがより好ましく、20μm〜80μmがさらに好ましい。この範囲の膜厚であると、電極−対電極間(正極−負極)のイオン伝導性を向上しつつ、多価イオン伝導性電解質膜−電極接合体の機械的強度を充分に維持することができる。
[多価イオン電池]
本発明の多価イオン電池(多価イオン二次電池)は、前述の本発明にかかる多価イオン電解質を使用したものである。
また、本発明の多価イオン電池(多価イオン二次電池)は、前述の「電解質−電極接合体」を備えたものが好ましい。
本発明の多価イオン電池としては、電池の外装体として電池缶の代わりにラミネートフィルムを使用し、前記電解質−電極接合体をラミネートセルに組んで構成した薄型電池が好ましく、この薄型電池を単位セルとして、複数の前記単位セルが積層され、連結されたものが好ましい。このような構成とすることにより、前記単位セルが電気的に直列に接続されるので、一層高出力の電池となる。
前記ラミネートセルは、樹脂等からなる袋又はケースで、前記電解質−電極接合体を密閉するように包み、封止できるものであれば特に限定されず、公知のものが使用できる。
前記単位セルは、単独で機能する多価イオン電池である。積層する単位セルの数や連結方法は、多価イオン電池の用途や形態に応じて、適宜調整すれば良い。
以上で説明した本発明の多価イオン電池(多価イオン金属空気二次電池)において、それを構成する多価イオン伝導性電解質は、立体障害の大きなアニオン及び反応性二重結合を有するカチオンから成る、イオン液体になり得るA1成分、並びに、そのA1成分のアニオンと交換可能なアニオン及びマグネシウムイオンをカチオンとする塩(B成分)を配合してなる多価イオン性伝導材料を用いて作製されている。さらに、A1成分のカチオンのポリマー化による網目構造内に空隙を作る役目を果たす、C成分も配合されている。このため、本発明の多価イオン伝導性電解質によれば、多価イオンの高いイオン伝導性を実現できる。これは、前記A1成分のカチオンのX、X、X又はXの少なくとも一部が結合(重合)して部分固定されているため、対イオンであるアニオンの解離ならびに交換が起こりやすくなった結果、特に目的の多価イオンの移動を伴う、A1成分とB成分の間、及びB成分とB成分の間における、アニオンの交換が容易に起こるからだと考えられる。したがって、本発明の多価イオン電池によれば、高出力の電力を供給できる。リチウムと比較して、原子1個当たり、マグネシウムは2倍の電荷を有している。このため、高密度電荷輸送によって、高いエネルギー密度の電池や急速充放電に対応できる高機能電池が可能になる。また、ありふれた元素で構成されるため、世界情勢に左右されず安定して材料を提供できる。さらにイオン液体は燃えにくいため、安全で安心して使えるクリーン電池が提供できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)の合成〕
容積1Lの三口フラスコに、メタクリル酸2−(ジエチル)アミノエチル(50.93g)とテトラヒドロフラン(400mL)を入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン(24.19mL)をテトラヒドロフラン(500mL)に溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウムの白色結晶を得た。
得られた白色結晶(63.9g)を精製水(300mL)に溶かし、氷冷下、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(57.42g)を水溶液(300mL)としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを得た。
〔窒素原子含有塩(A2)の合成〕
容積1Lの三口フラスコに、1−エチルイミダゾール(36.81g)とテトラヒドロフラン(400mL)を入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン(19.25mL)をテトラヒドロフラン(500mL)に溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウムを得た。
得られたヨウ化1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(46.3g)を精製水(300mL)に溶かし、氷冷下、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(53.74g)を水溶液(300mL)としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルとジエチルエーテルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(67.4g)を得た。
〔多価イオン塩(B)の合成〕
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、−20℃の条件で1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド47gとちょうど半分のモル数に相当する水酸化マグネシウムを反応させた。48時間かけて、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドの水溶液を滴下し、中和反応を行った。真空下、減圧乾燥を行い、マグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(93g)を得た。
〔金属−酸素結合型構造体(C)の合成〕
3−(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(11.3g、東京化成社製)、ビニルトリメトキシシラン(20.1g、東京化成社製)、ビス(エトキシジメチルシリル)オクタン(13.8g、アヅマックス社製)、ビス(トリエトキシシリル)オクタン(12.6g、ジェレスト社製)、テトラエトキシシラン(37.8g、東京化成社製)、テトラメトキシシラン(11.4g、東京化成社製)、2−シアノエチルトリエトキシシラン(10.1g、東京化成社製)をフラスコに計量した。エタノール(30.2g、和光純薬社製)、メタノール(22.5g、和光純薬社製)を加え、0℃で30分間撹拌した。次いで、0.01N塩酸(8.2g)、エタノール(19.3g、和光純薬社製)、メタノール(25.6g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、0℃で2時間撹拌し、40℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。続いて、フッ化カリウム(0.361g、和光純薬社製)、エタノール(14.7g、和光純薬社製)、メタノール(8.9g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、40℃で2時間撹拌し、80℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。得られた混合溶液を0℃に冷却した後、40℃真空にて残存アルコール、水を分留した。得られた溶液を再度0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で1時間撹拌した後、メンブレンフィルター(ミリポア社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を使用して濾過した。さらにもう一度濾過した後、得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、金属−酸素結合型構造体(C)として、ケイ素−酸素結合型構造体(不飽和二重結合含有ケイ素−酸素結合オリゴマー)(81.6g、無色透明液体)を得た。このケイ素−酸素結合型構造体の化学式は、上記合成方法に基づくと、下記化学式(C−01)であると考えられる。
Figure 2012181962
化学式(C−01)中、Rはそれぞれ独立に水酸基、メトキシ基、エトキシ基、アクリロイルオキシプロピル基、ビニル基、メチル基、シアノエチル基、又は3−(アクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビス(エトキシジメチルシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン及び2−シアノエチルトリエトキシシランが加水分解して得られる基、或いは前記加水分解して得られる基が縮重合した基である。また、Rは酸素原子及び/又はオクチレン基であり、mは1以上の整数であり、mが2以上である場合には複数のRはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても良い。
〔多価イオン伝導性塗布材料の配合〕
下記化学式(A1−01)で表されるA1成分である、N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(15.3g)と、下記化学式(A2−01)で表されるA2成分である、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(13.7g)と、下記化学式(B1−01)で表されるB成分である、マグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(2.13g)と、前記化学式(C−01)で表されるC成分である、ケイ素−酸素結合型構造体(10.2g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(35mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.13g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.32g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(0.91g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(1)を得た。
Figure 2012181962
Figure 2012181962
Figure 2012181962
<多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(1)の溶液(3.58g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(1)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(1)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(1)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
[実施例2]
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)〕
実施例1で合成した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B)〕
実施例1で合成した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔金属−酸素結合型構造体(C)〕
実施例1で合成した同一のケイ素−酸素結合型構造体を使用した。
〔四級アンモニウム塩(A3)の合成〕
容積1Lの三口フラスコに、ジエチルアミノエチルメチルエーテル(43.36g)とテトラヒドロフラン(400mL)を入れ、撹拌した。氷冷し、ヨードメタン(19.82mL)をテトラヒドロフラン(500mL)に溶かして、滴下した。24時間かけて滴下を行い、室温でさらに24時間撹拌した。析出した固体を溶解し、テトラヒドロフランで再結晶を行い、ヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウムを得た。
得られたヨウ化N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム(51.3g)を精製水(300mL)に溶かし、氷冷下、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(51.21g)を水溶液(300mL)としたものをゆっくり滴下した。24時間かけて、滴下した後、室温で24時間撹拌した。容積1Lの分液ロートを使用し、酢酸エチルとジエチルエーテルで下層黄色液体を抽出した。真空下、減圧乾燥を行い、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを得た。
〔多価イオン伝導性塗布材料の配合〕
前記化学式(A1−01)で表されるA1成分である、N,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(16.2g)と、前記化学式(A2−01)で表されるA2成分である、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(14.9g)と、前記化学式(B1−01)で表されるB成分である、マグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(2.71g)と、前記化学式(C−01)で表されるC成分である、ケイ素−酸素結合型構造体(9.8g)と、下記化学式(A3−01)で表されるA3成分である、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(10.1g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.29g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(1.12g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(2)を得た。
Figure 2012181962
<多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(2)の溶液(3.67g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(2)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(2)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(2)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
[実施例3]
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)〕
実施例1で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B成分)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔金属−酸素結合型構造体(C成分)〕
実施例1で作製した同一のケイ素−酸素結合型構造体を使用した。
〔四級アンモニウム塩(A3成分)〕
実施例2で合成した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン伝導性塗布材料の配合〕
実施例3における前記A1成分(10.3g)と前記C成分(5.2g)にN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)を加え、さらに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.20g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(0.54g、アルドリッチ社製、無水)を加え、50℃で24時間撹拌した。その後、前記A1成分(4.9g)、前記A2成分(14.5g)と、前記B成分(2.82g)と、前記C成分(5.1g)と、前記A3成分(9.9g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.10g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(0.74g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(3)を得た。
<多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(3)の溶液(3.44g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(3)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(3)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(3)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
[実施例4]
<多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)〕
実施例1で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B成分)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔金属−酸素結合型構造体(C成分)〕
実施例1で作製した同一のケイ素−酸素結合型構造体を使用した。
〔四級アンモニウム塩(A3成分)〕
実施例2で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン伝導性塗布材料の配合〕
実施例4における前記A1成分(17.1g)と、前記A2成分(15.6g)と、前記B成分(2.97g)と、前記C成分(10.3g)と、前記A3成分(11.2g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.32g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(1.35g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(4)を得た。
<多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(4)の溶液(6.75g)をフッ素樹脂フィルム上でポリエチレン/ポリプロピレン製多孔質膜(厚さ:1〜60μm、空孔率:30〜95%、平均孔径:0.01〜10μm)に含浸させた。含浸後の前記多孔質膜にフッ素樹脂フィルムを被せ、その上からアプリケーターで膜厚がおよそ20〜60μmになるようにレベリングし、室温で24時間室温静置した。UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置した。次いで前記フッ素樹脂フィルムを前記多孔質膜から剥がし、再度該多孔質膜をUV照射して、該多孔質膜に含浸された多価イオン伝導性材料(4)を仮硬化した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記多孔質膜に被せ、2枚のガラス板でフッ素樹脂フィルムを介して前記多孔質膜を挟み、室温で24時間静置した。次いで、オーブンを使用して、80℃で24時間加熱して本硬化した後、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多孔質材に含浸された多価イオン伝導性材料(4)を重合及び硬化させることにより、多価イオン電導性電解質を得た。
[比較例1]
〔リチウムイオン伝導性材料の調製〕
性能を比較・評価するために、代表的なリチウム塩含有有機電解液である六フッ化リン酸リチウム溶液(溶媒はジメチルカーボネート:エチレンカーボネート=1:1の混合溶媒、溶質濃度は1.0M、キシダ化学社製)をイオン伝導性電解質の基準として使用した。
〔リチウムイオン伝導性電解質の作製〕
アルゴン雰囲気下、前記六フッ化リン酸リチウム溶液(8.92g)を、市販のセパレーターであるCelgard2400(登録商標)(10cm×10cm)上に滴下した。得られた電解液を含浸させたセパレーターをオーブンに移して、室温から60℃まで加熱して、含浸を確実に完了し、後述の評価において基準とするイオン伝導性電解質を得た。
[比較例2]
<比較用の多価イオン伝導性材料の調製>
〔不飽和結合型窒素原子含有塩(A1成分)〕
実施例1で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン塩(B成分)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔四級アンモニウム塩(A3成分)〕
実施例2で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン伝導性塗布材料の配合〕
比較例2における前記A1成分(20.2g)と、前記A2成分(17.9g)と、前記B成分(2.97g)と、前記A3成分(14.4g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、光重合開始剤(KR−02、0.12g、ライトケミカル社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.28g、和光純薬社製)、及びジクロロメタン(1.52g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(5)を得た。
<比較用の多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(5)の溶液(3.58g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(5)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、UV照射により重合を開始した後、室温で24時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(5)を仮硬化したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、再度UV照射した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(5)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
[比較例3]
<比較用の多価イオン伝導性材料の調製>
〔窒素原子含有塩(A2成分)〕
実施例1で作製した同一の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔マグネシウム多価イオン塩(B)〕
実施例1で作製した同一のマグネシウム(II)ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を使用した。
〔金属−酸素結合型構造体(C成分)の合成〕
ビス(エトキシジメチルシリル)オクタン(15.6g、アヅマックス社製)、ビス(トリエトキシシリル)オクタン(13.1g、ジェレスト社製)、テトラエトキシシラン(39.4g、東京化成社製)、テトラメトキシシラン(14.7g、東京化成社製)、2−シアノエチルトリエトキシシラン(12.4g、東京化成社製)、エチルトリメトキシシラン(8.4g、東京化成社製)、トリエトキシメチルシラン(7.1g、東京化成社製)、ジメトキシジメチルシラン(9.6g、東京化成社製)をフラスコに計量した。エタノール(27.5g、和光純薬社製)、メタノール(21.9g、和光純薬社製)を加え、0℃で30分間撹拌した。次いで、0.01N塩酸(7.3g)、エタノール(16.6g、和光純薬社製)、メタノール(29.4g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、0℃で2時間撹拌し、40℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。続いて、フッ化カリウム(0.337g、和光純薬社製)、エタノール(12.6g、和光純薬社製)、メタノール(6.8g、和光純薬社製)を混合した溶液を添加し、40℃で2時間撹拌し、80℃に昇温後、さらに4時間撹拌した。得られた混合溶液を0℃に冷却した後、40℃真空にて残存アルコール、水を分留した。得られた溶液を再度0℃に冷却し、ジエチルエーテル200mLを加えて、0℃で1時間撹拌した後、メンブレンフィルター(ミリポア社製、オムニポアメンブレン孔径0.2μm)を使用して濾過した。さらにもう一度濾過した後、得られた濾液から40℃真空にてジエチルエーテルを分留し、金属−酸素結合型構造体(C)として、ケイ素−酸素結合型構造体(不飽和二重結合含有ケイ素−酸素結合オリゴマー)(76.3g、無色透明液体)を得た。このケイ素−酸素結合型構造体の化学式は、上記合成方法に基づくと、下記化学式(C−02)であると考えられる。
Figure 2012181962
化学式(C−02)中、Rはそれぞれ独立に水酸基、メトキシ基、エトキシ基、メチル基、エチル基、シアノエチル基、又はビス(エトキシジメチルシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、及びジメトキシジメチルシランが加水分解して得られる基、或いは前記加水分解して得られる基が縮重合した基である。また、Rは酸素原子及び/又はオクチレン基であり、mは1以上の整数であり、mが2以上である場合には複数のRはそれぞれ互いに同一であっても異なっていても良い。
〔四級アンモニウム塩(A3成分)〕
実施例2で作製した同一のN,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)−N−メチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用した。
〔多価イオン伝導性塗布材料の配合〕
比較例3における前記A2成分(24.8g)と、前記B成分(3.10g)と、前記C成分(9.5g)と、前記A3成分(18.9g)と、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)とを混合し、撹拌した。
次に、ジクロロメタン(1.54g、アルドリッチ社製、無水)を加え、0℃で12時間撹拌し、多価イオン伝導性材料(6)を得た。
<比較用の多価イオン伝導性電解質の作製>
得られた多価イオン伝導性材料(6)の溶液(3.31g)をテフロン(登録商標)基板状にキャストし、アプリケーターを使用して、塗布した多価イオン伝導性材料(6)の厚さを20〜100μmに調整した。そして、室温で72時間静置することによって、多価イオン伝導性材料(6)を仮硬化(乾燥)したフィルム(膜)を得た。次いで該フィルムを剥がし、オーブンを使用して40℃で静置した。そして、フッ素樹脂フィルムを新たに前記膜に被せ、オーブンを使用して室温から60℃まで段階的に昇温し、24時間加熱して本硬化した。次いで、減圧下、真空乾燥させて溶媒を留去した。
上記のようにして、多価イオン伝導性材料(6)を重合及び硬化させることにより、多価イオン伝導性電解質を得た。
<電極の作製>
実施例1〜4および比較例1〜3で作製した電解質を使用した各種電池の性能を評価するために、以下に示す各種電極を作製(準備)した。
〔負極〕
負極は目的の可動イオンの金属電極を使用した。すなわち実施例1〜4、および比較例2〜3の電解質に対してはマグネシウムの金属箔を使用し、比較例1の電解質に対してはリチウムの金属箔をそれぞれ使用した。
〔コーティング正極の作製〕
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、実施例1〜4、及び比較例1〜3で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)、をそれぞれ正極(Electro Chem社製、白金担持カーボン付GDE)上にパスツールピペットを使用して滴下した。そして、アプリケーターでイオン伝導性材料の厚さをおよそ50μmになるように調整した。
次いで、実施例1で得られた硬化性組成物に関しては、UV照射を行い仮硬化させた。その後、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた硬化性組成物を塗布した、全ての電極に関して、室温から80℃まで徐々に昇温し、24時間加熱して、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去した後、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、コーティング正極をそれぞれ得た。
〔スラリー電極の作製〕
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(0.21g、ケッチェンブラック)、実施例1で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)(0.197g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(6.11g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(1.62g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例1の電解質を使用したスラリー正極を得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(3.4g、ケッチェンブラック)、実施例2で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)(10.6g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(5.4g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(1.3g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、自公転ミキサーで1時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例2の電解質を使用したスラリー正極を得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(3.5g、ケッチェンブラック)、実施例3で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)(10.9g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(5.7g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(1.5g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、自公転ミキサーで1時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例3の電解質を使用したスラリー正極を得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(3.8g、ケッチェンブラック)、実施例4で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)(10.8g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(5.5g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(1.5g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、自公転ミキサーで1時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、実施例4の電解質を使用したスラリー正極を得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(3.7g、ケッチェンブラック)、比較例1で使用した六フッ化リン酸リチウム溶液(8.1g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(3.7g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(2.1g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、自公転ミキサーで1時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、電極材料への電解質の浸透(エージング処理)と余分な溶媒をとばす加熱乾燥を行った。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、比較例1の電解質を使用したスラリー正極を得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(3.7g、ケッチェンブラック)、比較例2で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)(11.0g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(5.4g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(2.2g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、自公転ミキサーで1時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、比較例2の電解質を使用したスラリー正極を得た。
グローブボックス内で高純度アルゴン(99.9999%)雰囲気下、白金担持カーボンブラック(3.9g、ケッチェンブラック)、比較例3で得られたイオン伝導性材料(硬化性組成物)(11.2g)をそれぞれサンプル瓶に入れ、N,N−ジメチルホルムアミド(5.2g、アルドリッチ社製、無水)とクロロホルム(1.9g、アルドリッチ社製、無水)を加え、室温で6時間撹拌し、自公転ミキサーで1時間撹拌し、正極電極スラリーを得た。
前記正極電極スラリーをGDL(東レ社製、厚さ100μm)上に塗布した。そして、アプリケーターで前記電極スラリーの厚さをおよそ50μmになるように調整した後、UV照射を行い仮硬化させた。その後、110℃で12時間乾燥させ、本硬化させた。そして、加熱後、減圧下で真空乾燥させることにより溶媒を留去し、電極を直径16mmの大きさとなるように切り出し、比較例3の電解質を使用したスラリー正極を得た。
<対称型ハーフセル、及び非対称型フルセルの作製>
実施例1〜4及び比較例2〜3で作製したイオン伝導性電解質を、前述のように硬化させて、表1に記載した厚みの電解質膜とした。比較例1で得られた電解質(イオン伝導性材料)については、市販のセパレーターであるCelgard2400(登録商標)に含浸させて、表1に記載した厚みの電解質膜とした。これらの電解質膜をそれぞれ電気化学セル(宝泉社製、HSセル又はCR2032型コインセル)にセットした。この際、対称型ハーフセルを作製する場合は、各電解質の可動イオンと同じ金属からなる金属箔で挟み込んで、対称型ハーフセルとした。また、非対称型フルセルを作製する場合は、負極は各電解質の可動イオンと同じ金属からなる金属箔として、正極は各電解質を塗布して得られた前述のコーティング電極で挟みこんで密着させ、非対称型フルセルとした。
<電解質内−拡散移動抵抗、及び電極界面−電荷移動抵抗の評価>
実施例1〜4及び比較例2〜3で得られた電解質を使用した、前記対称型ハーフセルに電気化学インピーダンス測定装置(ソーラトロン社製、12608W型電気化学測定システム)を接続し、周波数0.01Hz〜100kHzの領域でインピーダンスを測定して、サンプルの全イオン伝導度を測定した。
まず、前記ハーフセルのインピーダンスを測定することによって、可動イオン(全イオン)の電解質における拡散移動抵抗を求めた。つぎに、前記フルセルのインピーダンスを測定し、前記拡散移動抵抗を参照することによって、可動イオンの負極界面における電荷移動抵抗および可動イオンの正極界面における電荷移動抵抗の大きさをそれぞれ見積もった。この際、正極及び負極を多孔質電極であると仮定した。
また、比較例1の電解質を使用した対称型ハーフセル及び非対称型フルセルについて、同様の条件でインピーダンスを測定しし、この測定値を基準(基準値)とした。つづいて、実施例1〜4及び比較例2〜3の、前記拡散移動抵抗(電解質内における可動イオンの移動抵抗)、前記負極界面における電荷移動抵抗(負極と電解質との界面における電荷の移動抵抗)、及び前記正極界面における電荷移動抵抗(正極と電解質との界面における電荷の移動抵抗)の各インピーダンス測定値を、前記基準値でそれぞれ割った比を算出した。これらの結果を表1に示す。
〔輸率の評価〕
実施例及び比較例で得たイオン伝導性電解質膜の輸率(t)は、以下に示すように、直流分極測定と交流インピーダンス測定の併用によって算出した。
すなわち、実施例1〜4及び比較例1〜3で作製したイオン伝導性電解質を使用した対称型ハーフセルをそれぞれ作製し、各セルを80℃で5時間保持してエージングを行い、この状態(初期状態、0)における交流インピーダンスをそれぞれ測定した。次に直流分極測定を行った(△V)。そして、電流が一定の状態(定常状態、s)になったことを確認して、再度交流インピーダンスを測定した。
次いで、前記直流分極測定値(△V)、初期状態と定常状態のそれぞれにおける界面抵抗値(Ri、Ri)及び電流値(I、I)を下記式(1)に代入して、輸率(t)を求めた。伝導度及び輸率の評価結果を表1に示す。
Figure 2012181962
Figure 2012181962
表1の結果から、本発明にかかる実施例1〜4の拡散移動抵抗比及び輸率は、比較例1〜3よりも優れることが明らかである。また、本発明にかかる実施例1〜4の電極界面抵抗比も低減しており、比較例1〜3より優れる。
<膜−電極接合体の評価>
〔充放電特性の評価〕
実施例1〜4、及び比較例1〜3で作製したイオン伝導性電解質を、金属電極(負極)と前記コーティング電極(正極)、又は金属電極(負極)と前記スラリー電極(正極)で挟み込んで密着させ、非対称型ラミネートセルを作製した。前記金属電極は、実施例1〜4及び比較例2〜3の電解質に対してはマグネシウム箔を使用し、比較例1の電解質に対してはリチウム箔を使用した。
次いで、電池充放電装置(HJ−SM8システム、北斗電工社製)を使用し、前記非対称型ラミネートセルについて、電流密度0.1mA/cmで、3Cの充放電レートで、定電流測定を行い、初期容量(a)と、100サイクル後の容量(b)を測定し、これら測定値を下記式(2)に代入して容量維持率(m)(%)を求め、前記非対称型ラミネートセルの急速充放電時の特性を評価した。評価結果を表2に示す。
なお、充放電レートは、1Cが「1時間で充電・放電ができる充放電スピード」を意味し、3Cが「20分で充電・放電ができる充放電スピード」を意味する。3Cの充放電レートは急速充放電レートとみなすことができる。
Figure 2012181962
Figure 2012181962
表2の結果から、本発明にかかる実施例1〜4の容量維持率は、比較例1〜3よりも約10%優れている。このことからも、本発明にかかる電解質を使用した多価イオン電池が急速充放電において優れた特性を有することが明らかである。
以上で示した結果から、本発明にかかる実施例1〜4の多価イオン伝導性材料からなる電解質は、高いイオン伝導性を有することが明らかである。また、マグネシウムは豊富に存在する資源であるから供給安定性にも優れる。さらに、本発明にかかる多価イオン伝導性材料は硬化させることが可能なので、電池セル等の電気化学デバイスから漏れ出す虞が無く、安全性に優れている。また、本発明にかかる多価イオン電池は、2価のマグネシウムイオンを可動イオンとして使用しているので、従来のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度が高い。また、本発明にかかる多価イオン電池は、急速充放電が可能な電池特性を有する。
本発明の多価イオン導電性材料は、多価イオン電池を作製するために広く利用することが可能である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(A1−a1)、(A1−a2)、及び(A1−b)からなる群から選ばれる1種以上の不飽和結合型窒素原子含有塩(A1)と、下記一般式(A2−a1)及び(A2−a2)からなる群から選ばれる1種以上の窒素原子含有塩(A2)と、下記一般式(B)で表される多価イオン塩(B)と、下記一般式(C)で表される金属−酸素結合による架橋構造を含む金属−酸素結合型構造体(C)と、が配合されてなることを特徴とする多価イオン伝導性材料。
    Figure 2012181962
    [一般式(A1−a1)中、Rは炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記RとRとが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基として結合していても良く、前記環を構成する炭素原子に結合している一部又は全部の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。一般式(A1−a1)中、Xは、炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、ビニル基、アリル基、アクリロイルイミノ基、アクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基であり、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。
    一般式(A1−a2)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記RとRとが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A1−a2)中、Lは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Xは前記一般式(A1−a1)におけるXと同じであり、 (Z)は前記一般式(A1−a1)における (Z)と同じである。
    一般式(A1−b)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、前記RとRとが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A1−b)中、Xは前記一般式(A1−a1)におけるXと同じであり、Xは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基又は前記一般式(A1−a1)におけるXと同じであり、 (Z)は前記一般式(A1−a1)における (Z)と同じである。]
    Figure 2012181962
    [一般式(A2−a1)中、R14は炭素数1〜10のアルキリデン基又は炭素数2〜10のアルケニリデン基であり、R15は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記R14とR15とが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に炭素数1〜6の炭化水素基が官能基として結合していても良く、前記環を構成する炭素原子に結合している一部又は全部の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されていても良い。一般式(A2−a1)中、Wは、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10の、アルキル基、フルオロアルキル基、アルコキシ基若しくはフルオロアルコキシ基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基であり、(Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。
    一般式(A2−a2)中、R16及びR17はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜10のアルケニル基であり、前記R16とR17とが結合して環を形成していても良く、該環を構成する炭素原子がヘテロ原子によって置換されていても良く、該ヘテロ原子に結合している水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基によって置換されていても良い。一般式(A2−a2)中、Lは炭素数1〜6の炭化水素基であり、Wは前記一般式(A2−a1)におけるWと同じであり、(Z)は前記一般式(A2−a1)における(Z)と同じである。]
    Figure 2012181962
    [一般式(B)中、Yはフッ素原子、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキレン基であり、Yはフルオロスルホニル基、又は炭素数1〜10の、フルオロアルキルスルホニル基、フルオロアルキルカルボニル基、フルオロアルコキシ基若しくはフルオロアルコキシアルキレン基である。]
    Figure 2012181962
    [一般式(C)中、Mはそれぞれ独立にケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子、バナジウム原子、ジルコニウム原子、スズ原子、又はクロム原子であり、
    は炭素数1〜100の二価の炭化水素基若しくはアルキレンオキシド又は酸素原子であり、R、R、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、フェニル基、アセトナート基、アセチルアセトナート基、アセテート基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、式「−O−M−」で表される基、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基又はアリル基であり、少なくとも一つはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシキ基、イソプロポキシキ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、水酸基若しくは式「−O−M−」で表される基、又は前記連結基を介していてもよい、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基若しくはアリル基で表される基であり、
    、n、n10及びn11は0又は1であり、「n+n+2」及び「n10+n11+2」は各々のMの原子価に一致し、
    は1以上の整数であり、mが2以上である場合には、複数のMはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のR、R及びRはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良く、複数のn及びnはそれぞれ互いに同一でも異なっていても良い。]
  2. 下記一般式(A3)で表される四級アンモニウム塩(A3)を更に配合してなることを特徴とする請求項1に記載の多価イオン伝導性材料。
    Figure 2012181962
    [一般式(A3)中、R18及びR19はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数4〜7のシクロアルキル基であり、R18とR19とが結合して環を形成していてもよく、
    及びWは、それぞれ独立に、水素原子、或いは炭素数1〜3のアルキレン基若しくは炭素数2〜3のアルケニレン基を連結基として介していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはフルオロアルキル基、前記連結基を介していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、又は前記連結基を介していてもよい炭素数1〜6のフルオロアルコキシ基若しくはアルコキシ基であり、
    (Z)は、炭素数1〜10の、アルキルスルホン酸イオン、フルオロアルキルスルホン酸イオン、アルコキシスルホン酸イオン、フルオロアルコキシスルホン酸イオン、アルコキシアルキレンスルホン酸イオン、フルオロアルコキシアルキレンスルホン酸イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミドイオン、フルオロアルキルスルホニル(フルオロスルホニル)イミドイオン、酢酸イオン、フルオロアルキルカルボン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、フルオロアルキル(トリフルオロ)ホウ酸イオン、フルオロアルコキシ(トリフルオロ)ホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである。]
  3. 請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料中の少なくとも一部の前記X、X、X又はXが重合されたものであることを特徴とする多価イオン伝導性電解質。
  4. 前記X、X、X又はXの一部が重合され、さらに残りの少なくとも一部が前記金属−酸素結合型構造体(C)と結合しているものであることを特徴とする請求項3に記載の多価イオン伝導性電解質。
  5. 請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料が、多孔質基材(G)に含浸されたことを特徴とする多価イオン伝導性電解質。
  6. 請求項1又は2に記載の多価イオン伝導性材料を電極上に配し、乾燥、加熱、又は紫外線照射によって仮硬化させ、多価イオン伝導性電解質を形成した後、該多価イオン伝導性電解質上に対電極を配置して、加熱によって本硬化させることにより、該多価イオン伝導性電解質が前記電極及び対電極と接合されたものであることを特徴とする多価イオン伝導性電解質−電極接合体。
  7. 請求項3、4又は5に記載の多価イオン伝導性電解質が膜状に成形され、該膜の一方の面に正極が、他方の面に負極がそれぞれ接合されたことを特徴とする多価イオン伝導性電解質−電極接合体。
  8. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の多価イオン電解質を使用したことを特徴とする多価イオン電池。
  9. 請求項6又は7に記載の多価イオン伝導性電解質−電極接合体を備えたことを特徴とする多価イオン電池。
  10. 前記多価イオン伝導性電解質−電極接合体をラミネートセルに組んでなる複数の単位セルが、積層及び連結されたことを特徴とする請求項9に記載の多価イオン電池。

JP2011042925A 2011-02-28 2011-02-28 多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池 Active JP5596600B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011042925A JP5596600B2 (ja) 2011-02-28 2011-02-28 多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011042925A JP5596600B2 (ja) 2011-02-28 2011-02-28 多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012181962A true JP2012181962A (ja) 2012-09-20
JP5596600B2 JP5596600B2 (ja) 2014-09-24

Family

ID=47013009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011042925A Active JP5596600B2 (ja) 2011-02-28 2011-02-28 多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5596600B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109065950A (zh) * 2018-07-19 2018-12-21 合肥国轩高科动力能源有限公司 一种基于表面活性剂的低温锂离子电池电解液及锂离子电池
CN111883834A (zh) * 2020-07-24 2020-11-03 香河昆仑化学制品有限公司 一种非水锂离子电池电解液添加剂、包含其的电解液以及锂离子电池

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10265674A (ja) * 1997-03-25 1998-10-06 Mitsubishi Chem Corp 高分子化合物複合体及びその製造方法
JP2003086258A (ja) * 2001-06-28 2003-03-20 Toshiba Corp 電解質組成物用原料キット、電解質組成物及び光増感型太陽電池
JP2003257491A (ja) * 2002-03-06 2003-09-12 Sanyo Chem Ind Ltd ゲル状高分子電解質およびそれを用いた電気化学素子
JP2003277506A (ja) * 2001-11-15 2003-10-02 Korea Inst Of Chemical Technology 新規架橋剤とそれを含有する架橋型固体高分子電解質
JP2007280627A (ja) * 2006-04-03 2007-10-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd マグネシウム二次電池
JP2010015979A (ja) * 2008-06-05 2010-01-21 Sony Corp マグネシウムイオン含有非水電解液及びこれを用いた電気化学デバイス

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10265674A (ja) * 1997-03-25 1998-10-06 Mitsubishi Chem Corp 高分子化合物複合体及びその製造方法
JP2003086258A (ja) * 2001-06-28 2003-03-20 Toshiba Corp 電解質組成物用原料キット、電解質組成物及び光増感型太陽電池
JP2003277506A (ja) * 2001-11-15 2003-10-02 Korea Inst Of Chemical Technology 新規架橋剤とそれを含有する架橋型固体高分子電解質
JP2003257491A (ja) * 2002-03-06 2003-09-12 Sanyo Chem Ind Ltd ゲル状高分子電解質およびそれを用いた電気化学素子
JP2007280627A (ja) * 2006-04-03 2007-10-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd マグネシウム二次電池
JP2010015979A (ja) * 2008-06-05 2010-01-21 Sony Corp マグネシウムイオン含有非水電解液及びこれを用いた電気化学デバイス

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109065950A (zh) * 2018-07-19 2018-12-21 合肥国轩高科动力能源有限公司 一种基于表面活性剂的低温锂离子电池电解液及锂离子电池
CN111883834A (zh) * 2020-07-24 2020-11-03 香河昆仑化学制品有限公司 一种非水锂离子电池电解液添加剂、包含其的电解液以及锂离子电池
CN111883834B (zh) * 2020-07-24 2022-12-13 香河昆仑新能源材料股份有限公司 一种非水锂离子电池电解液添加剂、包含其的电解液以及锂离子电池

Also Published As

Publication number Publication date
JP5596600B2 (ja) 2014-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5462747B2 (ja) リチウムイオン伝導性材料、リチウムイオン伝導性電解質膜、リチウムイオン伝導性電解質膜−電極接合体及びリチウムイオンポリマー電池
Yang et al. In situ catalytic polymerization of a highly homogeneous PDOL composite electrolyte for long‐cycle high‐voltage solid‐state lithium batteries
Zhou et al. Flexible, self-healing, and fire-resistant polymer electrolytes fabricated via photopolymerization for all-solid-state lithium metal batteries
Wang et al. Polymer-laden composite lignin-based electrolyte membrane for high-performance lithium batteries
Guo et al. Flame retardant and stable Li1. 5Al0. 5Ge1. 5 (PO4) 3-supported ionic liquid gel polymer electrolytes for high safety rechargeable solid-state lithium metal batteries
Wang et al. Molecular engineering of a gel polymer electrolyte via in-situ polymerization for high performance lithium metal batteries
US9627713B2 (en) Composite electrolyte including polymeric ionic liquid matrix and embedded nanoparticles, and method of making the same
Shan et al. Solid-state polymer electrolyte solves the transfer of lithium ions between the solid–solid interface of the electrode and the electrolyte in lithium–sulfur and lithium-ion batteries
US20120231346A1 (en) Electrochemical device using solid polymer electrolyte using fine polymer composite particles
Tian et al. High-charge density polymerized ionic networks boosting high ionic conductivity as quasi-solid electrolytes for high-voltage batteries
Zhao et al. Fumed silica-based single-ion nanocomposite electrolyte for lithium batteries
Zhang et al. Metal–organic framework-supported poly (ethylene oxide) composite gel polymer electrolytes for high-performance lithium/sodium metal batteries
Zhang et al. In situ generation of a soft–tough asymmetric composite electrolyte for dendrite-free lithium metal batteries
WO2012138844A2 (en) Non-aqueous electrolytes for lithium-air batteries
JP5504152B2 (ja) 多価イオン伝導性材料、多価イオン伝導性電解質、多価イオン伝導性電解質−電極接合体、及び多価イオン電池
Huang et al. Poly (ionic liquid)‐based hybrid hierarchical free‐standing electrolytes with enhanced ion transport and fire retardancy towards long‐cycle‐life and safe lithium batteries
Yang et al. Excellent electrolyte-electrode interface stability enabled by inhibition of anion mobility in hybrid gel polymer electrolyte based Li–O2 batteries
JP6027307B2 (ja) 二次電池の製造方法、及び二次電池用アニオンフィルターの製造方法
Huang et al. Boosting lithium-ion transport capability of LAGP/PPO composite solid electrolyte via component regulation from ‘Ceramics-in-Polymer’to ‘Polymer-in-Ceramics'
Wu et al. Recent progress in ionic liquid-based electrolytes for nonaqueous and aqueous metal batteries
Lv et al. Flame-retardant solid polymer electrolyte based on phosphorus-containing polyurethane acrylate/succinonitrile for lithium-ion batteries
Yang et al. Facile design of asymmetric flame-retardant gel polymer electrolyte with excellent interfacial stability for sodium metal batteries
Bao et al. Imidazolium-type poly (ionic liquid) endows the composite polymer electrolyte membrane with excellent interface compatibility for all-solid-state lithium metal batteries
Wu et al. Gel electrolyte for Li metal battery
Alvarez-Tirado et al. Design of highly conductive iongel soft solid electrolytes for Li-O2 batteries

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20131018

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140414

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140422

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140715

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140807

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5596600

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250