JP5596434B2 - エッチング方法 - Google Patents

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Description

この発明は、エッチング方法、MEMS等を構成する基材にホールを形成する際に用いられるエッチング方法に関する。
従来から、例えば特許文献1に記載のように、真空槽内に平行に配設された一対の電極を有する容量結合型のエッチング装置が知られている。このエッチング装置では、一対の電極のいずれかに高周波電力を供給し、電極間に高周波電界を形成することによって、真空槽内のガスからプラズマを生成する。
以下に、図6を参照して、上記エッチング装置の構成をより詳細に説明する。エッチング装置は、アルミニウム等の金属からなるとともに、接地された有蓋円筒状の真空槽61を有している。真空槽61の上蓋61aには、接地された上部電極62が配設されている。上部電極62には、エッチングガスを真空槽61内に供給するガス供給路SRが形成されている。ガス供給路SRには、エッチングガスの供給源であるエッチングガス供給部63が接続されている。つまり、上部電極62は、真空槽61内にエッチングガスを供給するシャワープレート62としても機能する。
真空槽61の底面には、上部電極62と対向するように円柱状に成形された絶縁物からなる支持台64が配設されている。支持台64上には、上部電極62と対向し、且つ平行となるように下部電極65が設置されている。下部電極65は、処理対象の基板Sが載置されるステージとしても機能する。下部電極65には、整合回路とブロッキングコンデンサとを含む整合器66を介して高周波電源67が接続されている。また、真空槽61の底面には、真空槽61内のガス等を排気する排気部68が接続された排気路EPが形成されている。
エッチング処理時には、真空槽61に形成された搬出入口から基板Sが搬入された後、下部電極65上に載置される。次いで、排気部68が駆動されることで、真空槽61内の圧力が所定の圧力にまで低下される。そして、エッチングガス供給部63から所定流量のエッチングガスが供給された後に、高周波電力が高周波電源67から下部電極65に供給される。
これにより、上部電極62と下部電極65との間で放電が起こるため、真空槽61内のエッチングガスからプラズマが生成される。生成されたプラズマに含まれるイオンやラジカル等が基板Sの表面に到達することにより、基板Sが所定の形状にエッチングされる。
特開2009−123929号公報
近年では、こうした容量結合型のエッチング装置が、MEMSを構成する基材、例えばシリコン基板にホール等を形成するエッチング処理に用いられている。ホールは、その深さが10μmを超えるものであることが多いため、エッチング処理にはより高い異方性が求められている。また、ホールの形成に要する時間を短縮するために、より高いエッチングレートも求められている。これら高い異方性と高いエッチングレートとを実現する一つ
の手段として、超短波(VHF:Very High Frequency)と呼ばれる周波数帯の高周波電力を用いてプラズマ密度を高めることが知られている。
ところで、容量結合型のエッチング装置では上述のように、上部電極62と下部電極65との間のプラズマ生成領域PLにてプラズマが生成されることによって、下部電極65上に載置された基板Sがエッチングされる。
しかしながら、VHFのような高い周波数帯の高周波電力が用いられた場合、下部電極65と真空槽61の内壁との誘導結合によって、上述したプラズマ生成領域PL以外の領域でもプラズマが生成されやすくなる。特に、上部電極62と下部電極65との間の電極間距離Laと、下部電極65の縁部Eと真空槽61の内壁との距離Lbとが略同一になると、あるいは電極間距離Laよりも距離Lbが小さいと、下部電極65の縁部Eとこれに対向する内壁の領域との間でもプラズマDが生成されやすくなる。つまり、下部電極65に供給された高周波電力は、エッチングに寄与するプラズマの生成に消費されるばかりでなく、エッチングに寄与しないプラズマの生成によって消費されることになる。その結果、エッチングに寄与しない放電によって消費された高周波電力の分だけ、エッチングに寄与するプラズマの密度が低下することになる。このように、エッチング処理時のプラズマ密度を高める手段は、未だ改善の余地を残すものである。
なお、容量結合型のエッチング装置であって、上部電極に高周波電力が供給される装置や、上部電極及び下部電極の両方に高周波電力が供給される装置にあっても、上記問題及び要請は共通するものである。また容量結合型に限らず、他のプラズマ生成方式を用いたエッチング装置においても、エッチングの異方性とエッチンレートとを高めることが求められている。例えば、誘導結合型のエッチング装置には、プラズマを生成するための高周波電力が真空槽外に設けられた高周波アンテナに供給され、且つ、プラズマ中の正イオンを引き込むための高周波電力が下部電極に供給される装置もある。こうした装置においても、下部電極と真空槽の内壁との間に生じる放電によって、正イオンを引き込むための高周波電力が消費されることになる。そのため、下部電極と真空槽の内壁との間で放電が生じる分だけ、正イオンが基板に引き込まれにくくなる。つまり、こうした装置にあっても、真空槽内に配設された電極と真空槽の内壁との間で生じる放電が、エッチングの異方性及びエッチングレートとを高めるにあたっての障害となっている。
ちなみに、MEMSのような厚膜に貫通孔を形成する場合だけでなく、例えば層間絶縁膜等に貫通孔等を形成する場合であっても、異方性を高めることが求められる。他方、上述のようなエッチングに寄与しない放電は、上記VHFに含まれる周波数帯の高周波電力よりも高い、あるいは低い周波数帯の高周波電力を用いたときにも起こり得るものである。
この発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エッチングの異方性と、エッチングレートとを高めることができるエッチング方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、接地された真空槽内に処理対象物を搬入する工程と、前記真空槽内に供給されるエッチングガスを高周波電力によってプラズマ化するとともに、前記真空槽内に配設された平板電極に高周波電力を供給して前記真空槽内に搬入された処理対象物を前記プラズマによってエッチングするエッチング工程と、前記真空槽に供給される成膜ガスを高周波電力によってプラズマ化して前記真空槽の内壁に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程とを備え、前記真空槽内に前記処理対象物を搬入する前に前記絶縁膜形成工程を実施し、前記エッチングガスと前記成膜ガスとは、シャワープレートに形成された複数のシャワーホールから前記真空槽内に供給され、前記絶縁膜形成工程では、前記真空槽の内壁に前記絶縁膜を形成する絶縁膜形成処理と、前記エッチングガスをプラズマ化して、前記絶縁膜形成処理によって前記シャワーホールに形成された前記絶縁膜をエッチングするシャワーホールエッチング処理とを実施するエッチング方法である。
請求項1に記載の発明では、処理対象物を真空槽に搬入する工程に先立ち、真空槽内に供給した成膜ガスをプラズマ化して、真空槽の内壁に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を実施するようにしている。これにより、エッチング工程の際に、高周波電力が供給された平板電極と接地電位である真空槽の内壁とがプラズマを介して誘導結合し難くなるため、平板電極と真空槽の内壁との間における放電が抑制されるようになる。それゆえに、平板電極と真空槽の内壁との間で放電が起こらない分だけ、平板電極に供給された高周波電力をエッチングに用いることができる。しかも絶縁膜によって囲まれる空間にプラズマを閉じ込めやすくなるため、エッチングに寄与するプラズマの密度が高められることになる。その結果、処理対象物のエッチングの異方性と、エッチングレートとが高められることになる。
一般に、エッチングガスや成膜ガスは、真空槽内に均一に分散するように複数のシャワーホールが形成されたシャワープレートを介して真空槽内に供給される。シャワープレートに形成されたシャワーホールは、その開口が真空槽の内部空間に露出している。そのため、真空槽内で絶縁膜形成工程が実施されると、絶縁膜を構成する粒子がシャワーホールの開口、特にその縁部にも堆積することもある。このようにシャワーホールに絶縁膜が形成された状態で、処理対象物のエッチング工程が実施されると、エッチングガスの流通に対する抵抗となることから、エッチングガスの流量が低下したり、エッチングガスの分布が不均一になったりする。
この点、請求項に記載の発明によれば、絶縁膜形成工程にて、シャワープレートのシャワーホールに形成された絶縁膜をエッチングするようにしている。これにより、絶縁膜形成工程後に実施されるエッチング工程において、シャワーホールの開口に絶縁膜が形成された状態にあることを抑制できる。つまり、エッチングガスの流量の減少を抑制することによって、プラズマ密度の低下を抑制することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のエッチング方法において、前記絶縁膜形成工程では、前記絶縁膜形成処理と前記シャワーホールエッチング処理とを順に複数回繰り返すことをその要旨とする。
請求項に記載の発明では、絶縁膜形成工程において絶縁膜形成処理を複数回実施するときには、絶縁膜形成処理を実施する毎に、それに続いてシャワーホールエッチング処理も実施するようにしている。そのため、エッチング工程時には、絶縁膜形成工程にて絶縁膜形成処理が実施される回数にかかわらず、シャワープレートのシャワーホールの開口に絶縁膜が形成された状態が抑制されていることになる。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載のエッチング方法において、前記真空槽は、前記処理対象物を載置する前記平板電極である下部電極と、前記下部電極と対向する上部電極とを備え、前記絶縁膜形成構成では、前記真空槽の前記内壁のうちで少なくとも前記下部電極の外周を囲う部分を前記絶縁膜で覆うことをその要旨とする。
上部電極と下部電極とによって挟まれた領域で処理対象物をエッチングする場合、エッチングの異方性とエッチングレートとを高める上では、これら上部電極と下部電極との間にプラズマが閉じ込められることが好ましい。この点、請求項に記載の発明では、絶縁膜形成工程において、下部電極の外周を囲う部分が絶縁膜によって覆われるようにしているため、上部電極と下部電極との間にプラズマを閉じ込めやすく、ひいてはエッチングの異方性とエッチングレートとをより確実に高められる。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のエッチング方法において、前記エッチング工程では、前記真空槽内に搬送された処理対象物をエッチングするエッチング処理と、前記成膜ガスをプラズマ化して、前記エッチング処理によって前記処理対象物に形成された孔の内側及び前記真空槽の前記内壁に絶縁膜を形成する絶縁膜形成処理とを実施することをその要旨とする。
請求項に記載の発明では、エッチング工程において処理対象物をエッチングするエッチング処理と、処理対象物に形成された孔の内側及び真空槽の内壁の両方に絶縁膜を形成
する絶縁膜形成処理とを実施するようにしている。そのため、処理対象物のエッチング処理に伴い、基板を真空槽に搬送する以前に形成した絶縁膜の一部がエッチングされたとしても、エッチング工程にて新たな絶縁膜が真空槽の内壁に形成されることで、該真空槽の内壁の絶縁性が保たれやすくなる。また、基板に形成された孔の内壁に形成された絶縁膜によって、基板の厚さ方向と垂直な方向へのエッチングが抑制される。それゆえに、エッチングの異方性がより高められるようになる。
本発明に係るエッチング方法の一実施形態に用いられるエッチング装置の概略構成を示す図。 本実施形態のエッチング方法の処理手順を示すフローチャート。 (a)(b)図1の領域Bを拡大して示す図。 (a)本実施形態のエッチング方法を用いて形成したエッチング形状のSEM写真(b)従来のエッチング方法を用いて形成したエッチング形状のSEM写真。 エッチング装置の変形例の概略構成を示す図。 従来のエッチング装置の概略構成を示す図。
以下、本発明に係るエッチング方法の一実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態のエッチング方法が実施されるエッチング装置の概略構成を示している。エッチング装置は、アルミニウム等の導電性材料からなるとともに、接地された有蓋円筒状の真空槽11を有している。真空槽11の上蓋11aには、接地された上部電極12が配設されている。上部電極12には、プラズマの原料となる各種ガスが導入されるガス導入管12a、導入されたガスが拡散されるガス室12b、及び、ガス室12bと真空槽11とを連通するシャワーホール12cとが形成されている。つまり、上部電極12は、真空槽11内にガスを均一に分散させるシャワープレート12も兼ねている。
真空槽11内には、上部電極12と対向し、且つ平行となるように円板状の平板電極である下部電極13が配設されている。なお、下部電極13は、その縁部Eと真空槽11の内壁11bの表面との最短距離が、所定の距離Lbとなるように配置されている。下部電極13は、処理対象の基板Sが載置されるステージも兼ねている。また、下部電極13は、上下動する可動軸14に接続されることによって、真空槽11内での位置が決められている。可動軸14には、可動軸14を上部電極62と下部電極65との距離が増減するように移動させるモータ15が接続されている。モータ15が左右いずれかに回転すること
に伴って可動軸14が上下動することにより、真空槽11内での下部電極13の位置が変更されて、上部電極12と下部電極13との電極間距離Laが変更される。
下部電極13には、例えば60MHz等のVHFの周波数帯域に含まれる高周波電力を出力する高周波電源16が、整合器17を介して接続されている。高周波電源16は、下部電極13に高周波電力を供給し、下部電極13と上部電極12との間で放電を生じさせることでエッチングガスをプラズマ化する。なお、真空槽11内における上部電極12と下部電極13とによって挟まれた領域は、基板Sのエッチングに寄与するプラズマが形成されるプラズマ生成領域PLである。また、整合器17は、高周波電源16の出力インピーダンスと、真空槽11内を含む高周波電源16の入力インピーダンスとを整合させる。
上記上部電極12のガス導入管12aには、共通のガス供給管GLから分岐したエッチングガス供給部18と成膜ガス供給部19とが接続されている。エッチングガス供給部18は、例えば六フッ化硫黄(SF)ガス、酸素(O)ガス、及び臭化水素(HBr)ガスを含む混合ガスを真空槽11内に供給する。成膜ガス供給部19は、例えば八フッ化シクロブタン(C)ガスを真空槽11内に供給する。
真空槽11の底面には、排気路EPが貫通形成されている。排気路EPには、真空槽11内を排気する排気部20が接続されている。排気部20は、エッチング装置での各種処理の開始時から終了時までにわたり稼働されることによって、真空槽11内を所定の圧力に保つ。
こうしたエッチング装置にて基板Sのエッチングが実施されるときには、まず、真空槽11の搬出入口から基板Sが真空槽11内に搬入される。次いで、搬入された基板Sは下部電極13上に載置された後、モータ15が駆動されることによって、電極間距離Laが処理の条件に応じた大きさとされる。そして、排気部20が駆動されることで真空槽11内が所定の圧力にまで減圧された後、エッチングガス供給部18から、所定流量のガスが真空槽11内に供給される。その後、高周波電源16から、所定周波数且つ所定電力の高周波電力が下部電極13に供給されることによって、上部電極12と下部電極13との間で放電が起こり、真空槽11内のガスからプラズマが生成される。こうして生成されたプラズマに含まれる粒子が、基板Sの表面に到達することによって、基板Sの表面がエッチングされる。
エッチングの実施時に、高周波電源16から供給される高周波電力の周波数が特に超短波の周波数帯に含まれる場合、真空槽11の内壁11bの表面における表皮効果によって、該表面と下部電極13とがプラズマを介して誘導結合しやすく、真空槽11の内壁11bの表面にも電流が流れることになる。特に、真空槽11の内壁11bのうちで、下部電極13との距離が相対的に小さい領域、すなわち内壁11bの表面における下部電極13との距離が最も小さい領域である下部電極13の縁部Eと対向する領域Aにおいて高周波電力が消費されることになる。また、こうした現象は、縁部Eと内壁11bの表面との距離Lbが、電極間距離La以下となるときに起こりやすい。
こうして内壁11bの領域Aと下部電極13とがプラズマを介して誘導結合し、下部電極13の縁部Eと内壁11bとの間でエッチングガスのプラズマが生成される。しかしながら、このプラズマに含まれる粒子は基板Sの表面に到達し難い。そのため、下部電極13に供給された高周波電力のうちでプラズマ生成領域PLでのプラズマ生成に寄与する高周波電力は、縁部Eと内壁11bとの間での放電に消費される分だけ小さくなる。つまり、基板Sのエッチングに寄与するプラズマの密度が低下し、ひいては、エッチングの異方性や、エッチングレートが低下することになる。
そこで本実施形態では、基板Sをエッチング装置に搬入する以前に、真空槽11の内壁11bに絶縁膜I(図1)を形成する。これによって、エッチングに際して下部電極13に高周波電力が供給されたときに、下部電極13と真空槽11の内壁11bとの間における高周波電力の消費を抑制し、且つ、プラズマ生成領域PLにプラズマを閉じ込めやすくしている。なお、上述のエッチング装置において絶縁膜Iを形成するときには、上記エッチングガス供給部18からのエッチングガスの供給に代えて、成膜ガス供給部19からの成膜ガスの供給を実施する。また、下部電極13上には、エッチング対象となる基板Sではなくダミーウエハを載置する。
次に、こうした絶縁膜の形成も含めたエッチング方法の処理手順について、図2及び図3を参照して詳述する。図2は、エッチング方法の処理手順を示すフローチャートである。また、図3(a)、図3(b)は、図1に示される領域B、つまりシャワープレート12に形成されたシャワーホール12cの一部を含む領域を拡大して示している。
図2に示される方法においては、まず、エッチング装置の搬出入口からダミーウエハが真空槽11内に搬入される(ステップS11)。そして、真空槽11の内壁11bの表面に絶縁膜Iを形成する絶縁膜形成処理が実施される(ステップS12)。絶縁膜形成処理は例えば90秒間実施される。絶縁膜形成処理では、成膜ガス供給部19からCガスが例えば80sccmの流量で真空槽11内に供給される。その後、下部電極13に高周波電力が供給されることによって、Cガスを用いたプラズマが生成される。そしてプラズマ中に含まれる粒子が真空槽11の内壁11bに吸着するとともに、粒子同士が重合することによって、内壁11bの略全体に絶縁膜Iが形成される。このとき、図3(a)に示されるように、絶縁膜Iは、シャワープレート12におけるシャワーホール12cの開口12dが形成された開口面12eにも形成される。絶縁膜Iの形成が進むと、開口12dの外縁よりも内側に向かって突出した張出部Iaが形成される。これにより、シャワーホール12cの開口12dの直径よりも、絶縁膜Iの開口Ibにおける直径が小さくなる。こうして絶縁膜Iに形成された張出部Iaは、成膜ガスやエッチングガスが真空槽11内に流入する際に抵抗となるため、張出部Iaの有無によって、各種ガスの単位流量が変動しやすくなる。しかも、このようにして形成された張出部Iaのサイズとは、プラズマ密度の分布やCガスの分布に応じ、シャワーホール毎に互いに異なるものである。そのため、張出部Iaが形成された状態でシャワープレート12からエッチングガスが供給されると、エッチングガスの流量が低下し、シャワープレート12の全体においてエッチングガスの分布が不均一となることが懸念される。
そこで、本実施の形態では、絶縁膜形成処理に続いて、張出部Iaをエッチングして除去するシャワーホールエッチング処理を実施する(ステップS12)。シャワーホールエッチング処理は例えば50秒間実施される。このシャワーホールエッチング処理の実施時間は、上述した張出部Iaが除去され、且つ、内壁11bの略全体に絶縁膜Iが残存する時間に設定されている。シャワーホールエッチング処理では、エッチングガス供給部18から、SFガス、Oガス、及びHBrガスを含むエッチングガスが真空槽11内に供給される。SFガス、Oガス、及びHBrガスの流量は順に、例えば75sccm、75sccm、15sccmである。そして、下部電極13に例えば1200Wの高周波電力が供給されることで、エッチングガスからプラズマが生成される。ここで生成されたプラズマは、シャワーホール12cの近傍でプラズマ密度が高く、それゆえにエッチング速度も高いため、特に上述した張出部Iaがエッチングされやすい。これによって、シャワーホール12cの開口径と絶縁膜Iの開口径とを略等しくすることができる。
なお、真空槽11の内壁11bの略全体にわたり絶縁膜Iを形成する場合には、上述した絶縁膜形成処理において、成膜ガスが内壁11bの全体に行き渡るように下部電極13を上部電極12から大きく離間させる、つまり下部電極13を最下位置に配置する方法が
好ましい。一方、基板のエッチング処理時と同じ位置に下部電極13を配置して上述した絶縁膜形成処理を実施する方法であれば、エッチングガスの滞在時間が長くなる領域で成膜ガスの滞在時間を長くすることができる。これによれば、基板のエッチング処理においてエッチングが進行しやすい内壁11bの領域に、より厚い絶縁膜Iを形成することができる。ちなみに、これら絶縁膜形成処理(ステップS11)とシャワーホールエッチング処理(ステップS12)とから絶縁膜形成工程が構成される。
そして、絶縁膜形成処理とシャワーホールエッチング処理とがn回実施されると(ステップS13:YES)、エッチング装置からダミーウエハが搬出されるとともに、基板Sを搬入され(ステップS15)、該基板Sに対して基板エッチング工程が実施される(ステップS16)。基板エッチング工程では、上記エッチングガスがステップS12と同一の流量で真空槽11内に供給されつつ、下部電極13には例えば1200Wの高周波電力が供給されることで、エッチングガスからプラズマが生成される。プラズマ中に含まれるフッ素ラジカルにより、基板S上に予め形成されたマスクパターンの形状に応じたかたちで、基板Sの表面からその厚さ方向に向かってホールが形成される。
なお、絶縁膜形成工程の繰り返し回数は、形成される絶縁膜Iの厚さが、真空槽11の内壁11bと下部電極13との間での放電が十分に抑制される厚さとなる回数であって、各処理が継続される時間や真空槽11の内壁11bの表面積等に応じた回数に設定される。例えば本実施の形態では、上記繰り返し回数は5回に設定される。また、絶縁膜形成処理とシャワーホールエッチング処理とを1回ずつのみ実施するようにしてもよい。この場合、絶縁膜形成処理が例えば10分間実施されるとともに、シャワーホールエッチング処理が例えば5分間実施される。
ちなみに、絶縁膜形成処理で形成される絶縁膜Iの膜厚分布は、内壁11bの全体において所定のばらつきを有し、また内壁11bの温度やプラズマの状態に応じて変動する場合がある。またシャワーホールエッチング処理におけるエッチング速度の分布も、内壁11bの全体において所定のばらつきを有し、また内壁11bの温度やプラズマの状態に応じて変動する場合がある。そのため、真空槽11の内壁11bの全体が絶縁膜Iで覆われるように絶縁膜形成処理の処理時間とシャワーホールエッチング処理の処理時間とを設定する。そして内壁11bに形成された絶縁膜Iの全てが剥がれ落ちないように、これら絶縁膜形成処理とシャワーホールエッチング処理とを複数回実施する構成が好ましい。
本実施の形態では、処理対象物である基板Sを真空槽11内に搬入する工程に先立ち、真空槽11に供給した成膜ガスをプラズマ化して、真空槽11の内壁11bの略全体に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程を実施するようにしている。これにより、基板Sを搬入した後の基板エッチング工程にて、高周波電力が供給された下部電極13と真空槽11の内壁11bとが誘導結合し難いことから、下部電極13と真空槽11の内壁11bとの間において、高周波電力の消費とプラズマの拡散とが抑制される。つまり、下部電極13と真空槽11の内壁11bとの間で放電が起こらない分だけ、エッチングに寄与するプラズマの密度が高められることになる。その結果、真空槽11内に形成されたプラズマがシャワープレート12と下部電極13との間に閉じ込められやすくなり、処理対象物のエッチングの異方性と、エッチングレートとが高められることになる。
また、絶縁膜形成工程では、シャワープレート12が有するシャワーホール12c、特にシャワーホール12cの開口12dにおける外縁よりも内側に形成された絶縁膜Iの張出部Iaをエッチングするようにしている。これにより、絶縁膜形成工程後に実施される基板エッチング工程において、シャワーホール12cの開口12dに絶縁膜Iが形成された状態にあることを抑制できる。つまり、絶縁膜Iによるエッチングガスの流量の低下やエッチングガスの不均一化を抑制することによって、プラズマ密度の低下やプラズマの不
安定化を抑制することができる。
しかも、絶縁膜形成工程において絶縁膜形成処理を複数回実施するときには、絶縁膜形成処理を実施する毎に、それに続いてシャワーホールエッチング処理も実施するようにしている。そのため、基板エッチング工程時には、絶縁膜形成工程にて絶縁膜形成処理が実施される回数にかかわらず、絶縁膜Iの張出部Iaが形成された状態が抑制されていることになる。つまり、プラズマ密度の低下を抑制されるようになる。
本実施形態では、真空槽11の内壁11bを成膜ガスのプラズマによって形成される絶縁膜Iで覆うようにしている。そのため、内壁11b表面に形成された凹凸等の形状に関わらず、内壁11bの略全体にわたり絶縁することができる。また、下部電極13が上下動することによって、真空槽11の内壁11bにおいて高周波電力を消費しやすい領域である領域Aが上下動したとしても、該領域Aの位置に関わらず絶縁することができる。
[実施例]
直径8インチ、厚さ725μmのシリコン基板に、厚さ11.79μmのレジストパターンRPを形成し、上記エッチング装置を用いて以下の条件でエッチングを実施した。
・高周波電力の周波数 60MHz
・高周波電力 1200W
・真空槽内の圧力 22Pa
・基板温度 −20℃
・エッチングガス SF/O/HBr混合ガス
・エッチングガス流量 75/75/15sccm
・エッチング時間 7分
[実施例1]
基板Sの搬入以前に、以下の条件で絶縁膜形成工程を実施した。
・成膜ガス Cガス
・成膜ガス流量 80sccm
・絶縁膜形成処理時間 90秒
・エッチングガス SF/O/HBr混合ガス
・エッチングガス流量 75/75/15sccm
・シャワーホールエッチング処理時間 50秒
・繰り返し回数 5回
[比較例1]
基板Sの搬入以前に絶縁膜形成工程を実施せずに、基板Sの搬入後すぐに基板エッチング工程を実施した。
上記実施例1、比較例1のエッチング条件によれば、図4及び以下の表1に示されるようなエッチング形状が得られた。
実施例1によれば、ホールHの最大幅WaからレジストパターンRPの開口部の直径Wbを引いたサイドエッチング量SEは、1.58μmであった。また、単位時間(分)あたりのエッチング量であるエッチングレートは、14.43μm/minであった。そして、エッチング後のレジストパターンRPの厚さ(残厚)TRが6.89μmであり、レジストパターンRPに対するシリコン基板の選択比が20.61であった。
他方、比較例1によれば、ホールHの最大幅WaからレジストパターンRPの開口部の直径Wbを引いたサイドエッチング量SEは、5.54μmであった。また、単位時間(分)あたりのエッチング量であるエッチングレートは、9.15μm/minであった。そして、エッチング後のレジストパターンRPの厚さ(残厚)TRが5.94であり、レジストパターンRPに対するシリコン基板の選択比が15.64であった。
このように、実施例1に記載のような絶縁膜形成工程を実施することによって、比較例1のように絶縁膜形成工程を実施しない場合と比較して、サイドエッチングを減らすこと、すなわちエッチングの異方性が高められること、及び、エッチングレートが高められることが認められた。また、実施例1によれば比較例1よりも、レジストパターンRPに対するシリコン基板の選択比が高められることが認められた。これは、以下のような理由によるものと考えられる。
つまり、真空槽11の内壁11bに絶縁膜Iが形成されたために、基板エッチング工程において、真空槽11の内壁11b、特に上記領域Aと下部電極13との間での放電が抑制されることによって、プラズマ生成に用いられる高周波電力が増加することから、プラズマ生成領域PLのプラズマ密度が高められる。これにより、基板Sの表面に引き込まれる正イオンの量が増えることで、基板の厚さ方向に略平行なエッチングが起こりやすくなるため、エッチングの異方性とエッチングレートとが高められるようになる。加えて、エッチングレートが高められることによって、ホールHの表面積が増加する速度も高くなることから、ラジカルが反応することのできるホールHの領域もより速く拡大されるため、ラジカルの等方的なエッチングも抑制されやすくなる。
以上説明したように、本実施形態によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)基板Sを真空槽11内に搬入する工程に先立ち、接地された真空槽11内に供給された成膜ガスをプラズマ化して、真空槽11の内壁11bに絶縁膜Iを形成するようにした。これにより、基板エッチング工程の際に、高周波電力が供給された下部電極13と接地電位である真空槽11の内壁11bとが誘導結合し難くなるため、下部電極13と真空槽11の内壁11bとの間における放電が抑制されるようになる。つまり、下部電極13と真空槽11の内壁11bとの間で放電が起こらない分だけ、エッチングに寄与するプラズマの密度が高められることになる。その結果、基板Sのエッチングの異方性と、エッチングレートとが高められることになる。
(2)絶縁膜形成工程にて、シャワーホール12cが有する開口12dに形成された絶縁膜Iの張出部Iaをシャワーホールエッチング処理によって除去するようにした。これにより、絶縁膜形成工程後に実施される基板エッチング工程において、シャワーホール12cの開口12dの外縁に絶縁膜Iが形成された状態にあることを抑制できる。つまり、エッチングガスの流量の低下やエッチングガスの分布の不均一化を抑制することによって、プラズマ密度の低下やプラズマの不安定化を抑制することができる。
(3)絶縁膜形成工程において絶縁膜形成処理を複数回実施するときには、絶縁膜形成処理を実施する毎に、それに続いてシャワーホールエッチング処理も実施するようにした。そのため、エッチング工程時には、絶縁膜形成工程にて絶縁膜形成処理が実施される回数にかかわらず、シャワープレート12のシャワーホール12cの開口12dに絶縁膜Iの張出部Iaが形成された状態が抑制されていることになる。つまり、プラズマ密度の低下やプラズマの不安定化がより確実に抑制されるようになる。
(4)真空槽11の内壁11bを成膜ガスのプラズマによって形成される絶縁膜Iで覆うようにした。そのため、内壁11b表面に形成された凹凸等の形状に関わらず、内壁11bの全体にわたり絶縁することができる。
(5)下部電極13が上下動することによって、真空槽11の内壁11bにおいて最も電流が流れやすい領域である領域Aが上下動したとしても、該領域Aの位置に関わらず、該領域Aと下部電極13との間における高周波電力の消費を抑えることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・基板エッチング工程では、SFガス、Oガス、及びHBrガスを混合したエッチングガスをエッチング装置に連続して供給することによって、基板Sをエッチングするようにした。これに限らず、基板エッチング工程では、エッチングガスのプラズマによって基板Sをエッチングするエッチング処理と、これに加えて、基板Sに形成されたホールの内側と真空槽11の内壁11bとの両方に成膜ガスのプラズマによって絶縁膜を形成する絶縁膜形成処理とを順に実施するようにしてもよい。これにより、基板Sを真空槽11内に搬送する前に真空槽11の内壁11bに形成された絶縁膜Iが、基板Sのエッチングに伴ってエッチングされたとしても、基板エッチング工程における絶縁膜形成処理によって新たな絶縁膜を真空槽の内壁に形成することができる。それゆえに、真空槽11の内壁11bの絶縁性が保たれやすくなる。また、基板Sに形成された孔の内壁に形成された絶縁膜によって、基板Sの厚さ方向と垂直な方向へのエッチングが抑制されるため、エッチングの異方性がより高められるようになる。
・絶縁膜形成工程では、真空槽11の内壁11bの略全体を絶縁膜Iによって覆うようにした。これに限らず、基板エッチング工程において、真空槽11の内壁11bのうちで該下部電極13の外周を囲う領域、すなわち内壁11bの領域Aを絶縁膜Iによって覆うようにすればよい。これにより、真空槽11の内壁11b全体を絶縁膜Iで覆う場合と比較して、より少ない成膜ガスの量で、真空槽11の内壁11bと下部電極13との間での放電を確実に抑制することができる。
・絶縁膜形成処理とシャワーホールエッチング処理とを順に繰り返す回数は、真空槽11の内壁11bの表面積や、内壁11bに形成する絶縁膜Iの厚さ等に応じて適宜変更可能である。
・絶縁膜形成工程では、シャワーホール12cからのエッチングガスの供給が担保される場合、シャワーホールエッチング処理を実施しなくてもよい。
・真空槽11は、アルミニウムをアルマイト処理したもので形成するようにしてもよい。なお、アルマイト処理した真空槽であっても、その内壁と下部電極13との距離や高周波電力の周波数に応じ、これら内壁と下部電極13との間で放電が生じる場合がある。上述のように真空槽の内壁を絶縁膜によって覆うことで、こうした放電を抑制することができる。ちなみに、基板のエッチング処理が繰り返されると、アルマイト処理で形成された被膜もエッチャントによって少なからずエッチングされ、その被膜の絶縁性が徐々に失われることとなる。一方、上記絶縁膜形成工程で形成された絶縁膜は、基板がエッチングされる毎に新たに形成されるものである。そのため、上述した絶縁膜形成工程によれば、基板エッチング工程の実施回数に関わらず、上述した効果を得ることができる。
・真空槽11はアルミニウム以外の金属によって形成するようにしてもよい。
・絶縁膜形成処理の継続時間、及びシャワーホールエッチング処理の継続時間は、例えば、真空槽11の大きさや、上部電極12に形成されたシャワーホール12cの大きさ等に応じて任意に変更可能である。
・成膜ガスとしてCガスを用いるようにしたが、例えばシラン(SiH)ガス等の絶縁膜を形成可能な他のガスを用いるようにしてもよい。
・エッチングガスとしてSFガス、Oガス、及びHBrガスの混合ガスを用いるようにしたが、HBrガスを割愛してもよい。また、他のエッチングガス、例えばNF、F、XeF、IFx(X=1〜7)、COF、Cl、ClF、SiF、BCl、SiCl等を用いるようにしてもよい。
・60MHzの高周波電力に限らず、VHFに含まれる他の周波数の高周波電力を用いるようにしてもよい。また、VHFの周波数帯に含まれない高周波電力を用いるようにしてもよい。
・上記エッチング方法は、図6に記載のような、下部電極の位置を変更することのできないエッチング装置にも適用することができる。
・上記エッチング方法は、上部電極12に高周波電源が接続された容量結合型のエッチング装置にも適用することができる。これにより、上部電極12と真空槽11の内壁11bとの間で生じる放電が抑制されるようになる。
・上記エッチング方法は、上部電極12と下部電極13とに高周波電源が接続された容量結合型のエッチング装置にも適用することができる。この場合、上部電極12には、プラズマを生成するための高周波電力であって、例えば上記60MHzの高周波電力を含め、VHFの周波数帯に含まれる高周波電力が供給される。一方、下部電極13には、プラズマ中の正イオンを基板Sの表面に引き込むための高周波電力であって、例えば2MHzや13.56MHz等の高周波電力が供給される。
・上記エッチング方法は、図1に示される容量結合型のエッチング装置に限らず、例えば図5に示される誘導結合型のエッチング装置にも適用することができる。以下、誘導結合型のエッチング装置について、上記容量結合型のエッチング装置と異なる点を中心に説明する。誘導結合型のエッチング装置では、真空槽11の上蓋11aにシャワープレートSPが設けられている。シャワープレートSPは、真空槽11の上蓋11aに貫通形成されたガス導入管SPa、ガス導入管SPaから導入された各種ガスが一旦貯留されるガス室SPb、及びガス室SPbと真空槽11とを連通するシャワーホールSPcを有している。
また、真空槽11の上蓋11aには、高周波アンテナAnが載置されている。高周波アンテナAnには、例えば13.56MHz等の高周波電力を出力する高周波電源GEが、
整合器Mを介して接続されている。高周波電源GEから高周波アンテナAnに高周波電力が供給されると、真空槽11内のエッチングガスからプラズマが形成される。
他方、真空槽11内の下部電極13に接続された高周波電源16は、例えば2MHzあるいは13.56MHzの高周波電力を出力する。下部電極13に供給された高周波電力によって、該下部電極13が負の電位となる。そのため、プラズマ中の正イオンが下部電極13上に載置された基板Sの表面に引き込まれる。
上記誘導結合型のエッチング装置では、下部電極13に高周波電力が供給されると、真空槽11の内壁11bにおける領域Aと、下部電極13の縁部Eとがプラズマを介して誘導結合する。このように、下部電極13に供給された高周波電力が、正イオンの引き込み以外によって消費されると、こうした消費が生じない場合と比較して、基板Sの表面に引き込まれるイオンが減少することになるため、エッチングレートが低下する。また、正イオンによるエッチングが進行しにくい分だけ、ラジカルが反応することのできるホールの表面積が減少することから、ラジカルによる等方的なエッチングが進行しやすくなる。さらに、正イオンを引き込むための高周波電力も少なからずプラズマの密度を高める作用を有するため、上述のように下部電極13の縁部Eと領域Aとの間で高周波電力が消費されることになれば、プラズマの密度が低くなってしまう。
そこで、基板Sを真空槽11内に搬入する以前に、絶縁膜形成処理によって真空槽11の内壁11bに絶縁膜Iを形成することとすれば、上記放電を抑制することができる。これにより、基板Sへの正イオンの引き込みに用いられる高周波電力が増えるため、引き込まれる正イオンが増加することになる。それゆえに、エッチングの異方性とエッチングレートとが高められるようになる。
・上記エッチング方法は、真空槽11の内壁11bの一部が、予め絶縁物によって覆われているエッチング装置に適用することもできる。
11,61…真空槽、11a,61a…上蓋、11b…内壁、12,62…上部電極(シャワープレート)、12a,SPa…ガス導入管、12b,SPb…ガス室、12c,SPc…シャワーホール、13,65…下部電極、14…可動軸、15…モータ、16,67…高周波電源、17,66,M…整合器、18,63…エッチングガス供給部、19…成膜ガス供給部、20,68…排気部、An…高周波アンテナ、EP…排気路、GE…高周波アンテナ用高周波電源、GL…ガス供給管、I…絶縁膜、Ia…張出部、Ib…開口、PL…プラズマ生成領域、S…基板、SP…シャワープレート。

Claims (4)

  1. 接地された真空槽内に処理対象物を搬入する工程と、
    前記真空槽内に供給されるエッチングガスを高周波電力によってプラズマ化するとともに、前記真空槽内に配設された平板電極に高周波電力を供給して前記真空槽内に搬入された処理対象物を前記プラズマによってエッチングするエッチング工程と、
    前記真空槽に供給される成膜ガスを高周波電力によってプラズマ化して前記真空槽の内壁に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程とを備え、
    前記真空槽内に前記処理対象物を搬入する前に前記絶縁膜形成工程を実施し、
    前記エッチングガスと前記成膜ガスとは、シャワープレートに形成された複数のシャワーホールから前記真空槽内に供給され、
    前記絶縁膜形成工程では、
    前記真空槽の内壁に前記絶縁膜を形成する絶縁膜形成処理と、
    前記エッチングガスをプラズマ化して、前記絶縁膜形成処理によって前記シャワーホールに形成された前記絶縁膜をエッチングするシャワーホールエッチング処理とを実施するエッチング方法
  2. 請求項に記載のエッチング方法において、
    前記絶縁膜形成工程では、
    前記絶縁膜形成処理と前記シャワーホールエッチング処理とを順に複数回繰り返す
    ことを特徴とするエッチング方法。
  3. 請求項1又は2に記載のエッチング方法において、
    前記真空槽は、
    前記処理対象物を載置する前記平板電極である下部電極と、
    前記下部電極と対向する上部電極とを備え、
    前記絶縁膜形成工程では、
    前記真空槽の前記内壁のうちで少なくとも前記下部電極の外周を囲う部分を前記絶縁膜で覆う
    ことを特徴とするエッチング方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のエッチング方法において、
    前記エッチング工程では、
    前記真空槽内に搬送された処理対象物をエッチングするエッチング処理と、
    前記成膜ガスをプラズマ化して、前記エッチング処理によって前記処理対象物に形成された孔の内側及び前記真空槽の前記内壁に絶縁膜を形成する絶縁膜形成処理とを実施する
    ことを特徴とするエッチング方法。
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