JP5596202B1 - ゴンドラ装置および通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電波障害を発生させず、且つ、ワイヤロープの長さにかかわらず通信可能なゴンドラ装置および通信方法を提供する。
【解決手段】コイル13Lは、ケージに設置されており、電磁誘導で閉回路に電流信号を流すための磁束を発生する。電流出力部12は、閉回路に流す電流信号をコイル13Lに出力する。コイル54は、ワイヤロープ130上の任意の位置に設置されており、コイル13Lの電磁誘導で流れた電流信号によって生じた磁束による電磁誘導で、閉回路を流れる電流信号を受信する。共振回路13は、コイル13Lとコイル53Lとの間に存在するワイヤロープ130が短くなるに連れて共振周波数が高くなる、コイル13Lに接続されるコンデンサを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ゴンドラ装置および通信方法に関する。
ビル、船舶、発電所、タンク、煙突、或いは橋梁などの構造物の壁面の構築や補修などの高所作業を安全かつ能率的に作業者に遂行させるための装置として、ワイヤロープで吊り下げられたケージに作業者を搭乗させ、引き出すワイヤロープの長さを台車で調整することで、ケージの位置を調整可能なゴンドラ装置が、従来から知られている。
このコンドラ装置で、ケージと台車との通信を可能にするものとして、例えば、特許文献1に記載の信号伝達装置が知られている。
特許文献1に記載の信号伝達装置では、ケージ側に設置された送信側連絡用巻線(例えば、空芯コイル)の空芯部分と、台車側に設置された受信側連絡用巻線(例えば、空芯コイル)の空芯部分とに、ケーブル(ワイヤロープ)を挿通している。送信機である送信用組立体は、送信する電流信号を送信側連絡用巻線に流し、電磁誘導により、ケーブルに電流信号を流す。そして、ケーブルを流れている電流(信号)によって生じた磁束による電磁誘導で、受信機である受信用組立体は、電流信号を受信する。このようにして、この信号伝達装置は通信を可能にしている。
その他にも、ケーブルに信号を出力することで通信を可能にする装置として、例えば、特許文献2〜5に記載の誘導無線装置が知られている。
特許文献2〜4に記載の誘導無線装置は、閉ループ(閉回路)を形成するケーブル(支索)の引き出しに合わせて移動する搬器と、移動しない(固定の)例えば山頂の機器との間で、ケーブルを媒体とした信号の送受信を実現することで、通信を可能にしている。この誘導無線装置では、移動する搬器に備えられた送信器と受信器とは、アンテナで、ケーブルに電流信号を流す、または、ケーブルを流れる電流信号を受信する。また、山頂の機器に備えられた送信器と受信器とは、例えば、整合トランスで、ケーブルに電流信号を流す、または、ケーブルを流れる電流信号を受信する。
また、特許文献5に記載の信号伝送装置では、電気的閉ループを形成する鋼索(ケーブル)の引き出し・巻き取りに合わせて移動するケージに設置された変成器を構成するコイルの空芯部分と、移動しない(固定の)固定伝送設備に設置された変成器を構成するコイルの空芯部分とに、鋼索(ケーブル)を挿通している。この信号伝送装置は、これら変成器を構成するコイルの電磁誘導で、ケーブルに電流信号を流す、または、ケーブルを流れる電流信号を受信する。
特表昭61−502369号公報 特開平6−37678号公報 特開平6−37679号公報 特開平6−37680号公報 特開2002−205880号公報
特許文献1に記載の信号伝達装置は、ケーブルが閉じていない。よって、ケーブルに電流を流すと、ケーブルがアンテナになり、ケーブルから電波が放射される。従って、特許文献1に記載の信号伝達装置は、電波障害を発生し得るという問題点がある。
また、特許文献1に記載の信号伝達装置は、ケーブルの長さが30m以上の場合、信号の減衰が大きいので、受け取った信号を10000倍程度、増幅する必要がある。この10000倍程度の信号の増幅は、倍率が大きすぎるので、現実的ではない。よって、特許文献1に記載の信号伝達装置は、実際には、ケーブルの長さが所定の長さ以上(例えば、30m以上)になると、通信ができないという問題点がある。
また、特許文献2〜4に記載の誘導無線装置および特許文献5に記載の信号伝送装置では、移動する機器・ケージと固定されている機器・固定伝送設備との距離が変化しても、ケーブルに伝達する信号の振幅が、一定である。ここで、移動する機器・ケージと固定されている機器・固定伝送設備とが離れるに連れて、ケーブルの抵抗成分が大きくなる。よって、移動する機器・ケージと固定されている機器・固定伝送設備とが所定以上離れると、つまり、ケーブルの長さが所定の長さ以上(例えば、30m以上)になると、特許文献2〜4に記載の誘導無線装置および特許文献5に記載の信号伝送装置は、通信ができないという問題点がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、電波障害を発生させず、且つ、ワイヤロープの長さにかかわらず通信可能なゴンドラ装置および通信方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るゴンドラ装置は、構造物の上部から垂下された吊り下げ用ワイヤロープで吊り下げられたケージと前記ワイヤロープを巻き取ることで前記ケージの位置を調整する昇降機とを備える。短絡部は、ワイヤロープを短絡させて閉回路を形成する。第1のコイルは、ケージに設置されており、電磁誘導で閉回路に電流信号を流すための磁束を発生する。電流出力部は、閉回路に流す電流信号を第1のコイルに出力する。第2のコイルは、ワイヤロープ上の任意の位置に設置されており、第1のコイルの電磁誘導で流れた電流信号によって生じた磁束による電磁誘導で、閉回路を流れる電流信号を受信する。第1の共振回路は、第1のコイルに接続されて共振回路を構成するコンデンサを有し、第1のコイルと第2のコイルとの間に存在するワイヤロープの長さが変わり、第1のコイルと第2のコイルとの間隔が変わって、共振周波数が変わっても、第2のコイルで受信可能な電流信号を流すための磁束を第1のコイルに発生させる
本発明によれば、閉回路に電流信号を流すので、電波障害を発生させない。また、本発明によれば、第2のコイルで受信可能な電流信号を流すための磁束を第1のコイルに発生させる第1の共振回路を用いて閉回路に電流信号を流すので、第1のコイルと第2のコイルとの間に存在するワイヤロープの長さが変わり、第1のコイルと第2のコイルとの間隔が変わって、共振周波数が変わっても、通信可能である。
本発明の実施の形態に係るゴンドラ装置の配置を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワイヤロープを用いて形成される閉回路を示す図である。 本発明の実施の形態に係る第1の通信ユニットのブロック図および第2の通信ユニットのブロック図である。 第1のHブリッジドライバの内部構成および第2のHブリッジドライバの内部構成を示す図である。 A入力、B入力、C出力、D出力およびE出力を示す図である。 F出力、G出力およびH出力を示す図である。 第1の送信用共振回路の共振の強さの変化および第2の送信用共振回路の共振の強さの変化を示す図である。 閉回路の抵抗値の変化を示す図である。 受信した信号の振幅の比の変化を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るゴンドラ装置を示す図である。 ドラムに代えて、ワインダーおよびワイヤリールを用いた、昇降機を備える台車を示す図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係るコンドラ装置150を、図面を参照して説明する。コンドラ装置150は、図1に示すように、例えばビル等の構造物の上部から垂下された吊り下げ用ワイヤロープ130で吊り下げられたケージ120と、ビル等の例えば屋上に設置され、ワイヤロープ130を巻き取ることでケージ120の位置を調整する台車110と、を備える。
また、コンドラ装置150は、第1のコイル組10と第1の通信機20と第2のコイル50と第2の通信機60とを備える。
第1の通信機20は、第1のコイル組10の電磁誘導で、閉回路を形成する導電性のワイヤロープ130に電流信号を流して、第2の通信機60との通信を実現する。また、第2の通信機60は、第2のコイル組50の電磁誘導で、閉回路を形成する導電性のワイヤロープ130に電流信号を流して、第1の通信機20との通信を実現する。
ケージ120に搭乗する作業員は、第2の通信機60を使用して、例えば、ケージ120の昇降を指示する内容の信号を送信する。すると、第1の通信機20で信号が受信され、ケージ120の昇降を行う。
また、台車110の設置された構造物の屋上に配置する作業員は、第1の通信機20を使用して、例えば、ケージ120に当たる風が規定値を超えたため、ケージ120を屋上に戻す内容の信号を送信する。すると、第2の通信機60で信号が受信され、ケージ120に搭乗する作業員は、例えば、ケージ120の上昇でバランスを崩さないよう、ケージ120を掴むことができる。
第1のコイル組10は、例えば、円環状のコアに電線が巻きつけられたコアコイルを備える。第1のコイル組10に備えられたコアコイルの中空部分に、ワイヤロープ130が挿通されている。第1のコイル組10は、例えば、台車110から所定の距離になる位置(ワイヤロープ130上の、台車110の近くの任意の位置)に配置される。
第1の通信機20は、例えば、台車110に配置される。
第1の通信機20は、第1のコイル組10に配線で接続されている。
第2のコイル組50は、例えば、円環状のコアに電線が巻きつけられたコアコイルを備える。第2のコイル組50に備えられたコアコイルの中空部分に、ワイヤロープ130が挿通されている。第2のコイル組50は、例えば、ケージ120から予め定められた距離になる位置(ケージ120の近くの位置)に配置される。
第2の通信機60は、例えば、ケージ120に配置される。
第2の通信機60は、第2のコイル組50に配線で接続されている。
ワイヤロープ130を用いて形成される閉回路について、図2を参照して説明する。図2に示すように、台車110は、樹脂(非導電性部材)で成形された樹脂シーブ111,116と、金属(導電性部材)で成形された金属シーブ112,113,114,115と、を内部に備える。
樹脂シーブ111(樹脂シーブ111a,111b)でガイドされ、台車110から引き出されたワイヤロープ130は、その1本がケージ120の一端部に挿通され、他の1本がケージ120の他端部に挿通されている。それらのワイヤロープ130同士は、例えばケージ120の底部で接続されている。つまり、これらワイヤロープ130同士は、導通している。
樹脂シーブ111(樹脂シーブ111a,111b)でガイドされ、台車110に引き込まれたワイヤロープ130は、金属シーブ112a,112bにガイドされる。金属シーブ112a,112bは、導電性である。また、金属シーブ112aと金属シーブ112bとは、台車110内で、導通している。
よって、金属シーブ112aにガイドされているワイヤロープ130と金属シーブ112bにガイドされているワイヤロープ130とは、金属シーブ112aと金属シーブ112bとによって、導通状態に保たれる(短絡される)。
従って、ワイヤロープ130は、金属シーブ112aと金属シーブ112bとの導通によって、金属シーブ112a→樹脂シーブ111a→ケージ120の一端部→ケージ120の底部→ケージ120の他端部→樹脂シーブ111b→金属シーブ112b→金属シーブ112aの経路からなる閉回路を形成する。
なお、金属シーブ112(金属シーブ112a,112b)でガイドされ、台車110に引き込まれたワイヤロープ130は、金属シーブ113a,113b,114a,114bにガイドされて昇降機118に巻き取られる。昇降機118は、ワイヤロープ130を巻き取る機器であり、金属シーブ115a,115bと樹脂シーブ116a,116bと金属製のドラム117とを備える。金属シーブ115a,115bと樹脂シーブ116a,116bとにガイドされたワイヤロープ130は、金属製のドラム117に巻き取られる。
このドラム117が、ワイヤロープ130を巻き取ることで、ケージ120と台車110との距離が短くなる。つまり、第1のコイル組10と第2のコイル組50との間に存在するワイヤロープ130が短くなる。また、ドラム117が、ワイヤロープ130を引き出すことで、ケージ120と台車110との距離が長くなる。つまり、第1のコイル組10と第2のコイル組50との間に存在するワイヤロープ130が長くなる。
なお、ドラム117も、導電性である。よって、ドラム117でも、金属シーブ112aにガイドされているワイヤロープ130と金属シーブ112bにガイドされているワイヤロープ130とを、導通状態に保つことができる。
なお、以後、第1のコイル組10と第1の通信機20とを、まとめて、第1の通信ユニット40と称し、第2のコイル組50と第2の通信機60とを、まとめて、第2の通信ユニット80と称する。
第1の通信ユニット40は、図3に示すように、第1の送信用DCカットコンデンサ11と、第1の送信用変成器12と、第1の送信用共振回路13と、第1の受信用コイル14と、第1の受信用変成器15と、第1の受信用DCカットコンデンサ16と、を備える。
また、第1の通信ユニット40は、第1の入出力回路21と、第1のマイクロコントローラ22と、第1のミキサ23と、第1のHブリッジ制御回路24と、第1のHブリッジドライバ25と、第1の判別回路26と、第1のコンパレータ27と、第1のBPF(Band Pass Filter)/検波回路28と、を備える。
第1の入出力回路21は、通信インターフェイスである。第1の入出力回路21には、例えば、マイクロフォンおよびスピーカが接続される。第1の入出力回路21は、音声が電気信号に変換された音声信号をマイクロフォンから受け取ると、その音声信号を、第1のマイクロコントローラ22に出力する。また、第1の入出力回路21は、第1のマイクロコントローラから出力された音声信号をスピーカに出力する。
第1のマイクロコントローラ22は、第1の入出力回路21から出力された音声信号を受け取ると、その音声信号に対応したPWM(Pulse Width Modulation)変調を行い、受け取った音声信号に対応したパルス幅を示すPWM信号を生成する。第1のマイクロコントローラ22は、生成したPWM信号(ベースバンド信号)を、第1のミキサ23の入力端子の1つ(A入力)に出力する。
第1のマイクロコントローラ22は、周波数f1(Hz)を示す正弦波の信号である搬送信号を、第1のミキサ23の入力端子の他の1つ(B入力)に出力する。
第1のミキサ23は、A入力から入力されたPWM信号(ベースバンド信号)を、B入力から入力された搬送信号で変調する。
よって、第1のミキサ23は、A入力から入力されたPWM信号がハイレベルである場合、入力されたPWM信号とB入力から入力された搬送信号とをミキシングして、所定の振幅(例えば、3.3ボルト)を示すミキシング信号を、第1のHブリッジ制御回路24に出力する。
一方、第1のミキサ23は、A入力から入力されたPWM信号がローレベルである場合、所定の振幅よりも極めて小さい振幅(例えば、0.1ボルト)を示すミキシング信号(ノイズと同程度の振幅を示すミキシング信号)を、第1のHブリッジ制御回路24に出力する。
第1のHブリッジ制御回路24は、受け取ったミキシング信号の振幅に応じて出力値が変わる制御信号を、第1のHブリッジドライバ25に出力する。
第1のHブリッジドライバ25は、第1のHブリッジ制御回路24から出力された制御信号に応じて、第1の送信用変成器12の一次コイルを通電する。
第1のHブリッジドライバ25は、図4に示すように、レベルシフタLVと、4つのバイポーラトランジスタT1,T2,T3,T4からなるHブリッジ回路と、で構成される。トランジスタT1とトランジスタT2とは、PNP型のトランジスタである。トランジスタT3とトランジスタT4とは、NPN型のトランジスタである。
レベルシフタLVは、第1のHブリッジ制御回路24のD1〜D4出力から出力される信号の電圧値(例えば、最大値3.3ボルト)を、より高い電圧値(例えば、最大値6.0ボルト)にシフトさせる。このレベルシフトにより、レベルシフタLVは、バイポーラトランジスタT1,T2,T3,T4を、個別に、導通状態にすることができる。
トランジスタT1のエミッタ端子とトランジスタT2とのエミッタ端子は、例えば15ボルトの直流電圧を供給する直流電源Vccに接続されている。
トランジスタT1のコレクタ端子は、第1の送信用変成器12の一次コイルの一端とトランジスタT3のコレクタ端子とに接続されている。
また、トランジスタT2のコレクタ端子は、第1の送信用変成器12の一次コイルの他端とトランジスタT4のコレクタ端子とに接続されている。
トランジスタT3のエミッタ端子とトランジスタT4とのエミッタ端子は、接地されている。
また、トランジスタT1のベース端子は、レベルシフタLVのD1出力に接続されている。トランジスタT2のベース端子は、レベルシフタLVのD2出力に接続されている。
トランジスタT3のベース端子は、レベルシフタLVのD3出力に接続されている。トランジスタT4のベース端子は、レベルシフタLVのD4出力に接続されている。
第1のHブリッジ制御回路24は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号の振幅が正の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号に対応する制御信号を、D1出力およびD4出力から、出力する。一方、第1のHブリッジ制御回路24は、D2出力およびD3出力からは、制御信号を出力しない。
すると、レベルシフタLVのD1出力およびD4出力から、トランジスタT1とトランジスタT4とを導通させる電圧が出力される。これにより、トランジスタT1とトランジスタT4とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT1のエミッタ−コレクタパス、第1の送信用変成器12の一次コイルの一端、第1の送信用変成器12の一次コイルの他端、トランジスタT4のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
一方、第1のHブリッジ制御回路24は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号の振幅が負の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号を反転させた制御信号を、D2出力およびD3出力から、出力する。一方、第1のHブリッジ制御回路24は、D1出力およびD4出力からは、制御信号を出力しない。
すると、レベルシフタLVのD2出力およびD3出力から、トランジスタT2とトランジスタT3とを導通させる電圧が出力される。これにより、トランジスタT2とトランジスタT3とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT2のエミッタ−コレクタパス、第1の送信用変成器12の一次コイルの他端、第1の送信用変成器12の一次コイルの一端、トランジスタT3のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
なお、第1のHブリッジ制御回路24は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号の振幅がゼロボルトを示す場合、D1出力、D2出力、D3出力およびD4出力から、制御信号を出力しない。
このように、第1のHブリッジ制御回路24は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号に応じて、第1のHブリッジドライバ25に出力する制御信号を変える。これにより、第1のHブリッジドライバ25は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号に対応して、第1の送信用変成器12の一次コイルを通電することができる。
第1の送信用変成器12の入力端子の一方には、第1の送信用DCカットコンデンサ11が接続されている。第1の送信用DCカットコンデンサ11は、第1のHブリッジドライバ25から出力される電流の直流成分を除去する。
第1の送信用変成器12は、一次コイルと二次コイルとを備える絶縁型の変成器である。第1のHブリッジドライバ25から出力された電流(直流成分を除去後の電流)が一次コイルに流れると、二次コイルに電圧が誘起される。この二次コイルに誘起された電圧は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号に対応している。
第1の送信用共振回路13は、コイル13Lとコンデンサ13Cとワイヤロープ130のリアクタンス分(ワイヤロープ130のインダクタンス分と相互インダクタンス分)とからなる共振回路である。コイル13Lの空洞部分に、ワイヤロープ130が挿通されている。
第1の通信ユニット40では、第1のマイクロコントローラ22から出力される搬送信号の周波数がf1であるので、第1の送信用共振回路13の共振周波数は、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに(ケージ120が台車110から最も離れた位置のとき、或いは、最も離れた位置から規定範囲内の位置のときに)、f1になるように、コイル13Lの値とコンデンサ13Cの値とが設定されている。よって、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに、第1の送信用共振回路13の共振の強さを示すQ値も、最大になる。
第1の送信用共振回路13を構成するコイル13Lは、第1の送信用変成器12の二次コイルに電圧が誘起されると、ワイヤロープ130に電磁誘導によって電流信号を流すための磁束を発生させる。すると、発生した磁束の変化で、台車110から引き出されたワイヤロープ130(閉回路)に、電流信号が流れる。この電流信号は、後述する第2の通信ユニット80の第2の受信用コイル54で受信される。
第1の受信用コイル14は、後述する第2の通信ユニット80のコイル52Lによって流れた電流信号を、電流信号によって生じた磁束による電磁誘導で受信する。
第1の受信用変成器15は、一次コイルと二次コイルとを備える絶縁型の変成器である。第1の受信用コイル14から出力された電流が一次コイル(第1の受信用コイル14に接続されているコイル)に流れると、二次コイルに電圧が誘起される。この二次コイルに誘起された電圧は、第1の受信用コイル14で受信された電流信号に対応している。
第1の受信用変成器15の二次コイルの一方には、第1の受信用DCカットコンデンサ16が接続されている。第1の受信用DCカットコンデンサ16は、第1の受信用変成器15の二次コイルに誘起された電圧の直流成分を除去する。
第1の受信用DCカットコンデンサ16で直流成分が除去された電圧は、第1のプリアンプ29に印加される。プリアンプ29は、バッファアンプである。第1のプリアンプ29は、印加された電圧を増幅して増幅信号とし、その増幅信号を、第1のBPF/検波回路28に出力する。
第1のBPF/検波回路28は、帯域通過フィルタ回路と、検波回路とを備える。帯域通過フィルタ回路は、第1のプリアンプ29から出力された増幅信号のうち、第2の通信ユニット80の搬送信号の周波数f2(Hz)を中心とした予め定められた帯域内の周波数を示す増幅信号を、検波回路に出力する。検波回路は、帯域通過フィルタ回路から出力された増幅信号の包絡線のうち、正の値を示す包絡線を取得する検波を行う。増幅信号を検波すると、第1のBPF/検波回路28は、検波した増幅信号(検波信号)を、第1のコンパレータ27に出力する。
第1のコンパレータ27は、受け取った検波信号の電圧と予め定められた閾値電圧とを比較する。そして、第1のコンパレータ27は、検波信号の電圧が閾値電圧以上であれば、ハイレベルの電圧(例えば、3.3ボルトの電圧)を、第1の判別回路26に出力する。一方、第1のコンパレータ27は、検波信号の電圧が閾値電圧未満であれば、ローレベルの電圧(例えば、0ボルトの電圧)を、第1の判別回路26に出力する。よって、第1の判別回路26に出力される信号は、ハイレベルの電圧とローレベルの電圧との2つの電圧から構成される。
第1の判別回路26は、第1のコンパレータ27から出力された信号に含まれるハイレベル電圧の維持期間をその維持期間毎に特定する(信号のパルス幅をパルス毎に特定する)。そして、第1の判別回路26は、予め定められている閾値期間と、特定したパルス幅とを比較して、例えばノイズが原因で発生したパルスであるか、第2の通信ユニット80から送信されたパルスであるかを、パルスに対応づけて判別する。第1の判別回路26は、第1のコンパレータ27から受け取った信号と判別結果とを、第1のマイクロコントローラ22に出力する。
第1のマイクロコントローラ22は、信号と判別結果とを受け取ると、判別結果に基づいて、受け取った信号から、第2の通信ユニット80から送信されたパルスを抽出する。そして、第1のマイクロコントローラ22は、第1の入出力回路21にスピーカが接続されている場合、抽出したパルスから例えば音声を合成して、第1の入出力回路21に出力する。これにより、ユーザは、第1の入出力回路21に接続されたスピーカで、第2の通信ユニット80から送られた音声を聞くことができる。
次に、第2の通信ユニット80を説明する。
第2の通信ユニット80は、第2の送信用DCカットコンデンサ51と、第2の送信用変成器52と、第2の送信用共振回路53と、第2の受信用コイル54と、第2の受信用変成器55と、第1の受信用DCカットコンデンサ56と、を備える。
また、第2の通信ユニット80は、第2の入出力回路61と、第2のマイクロコントローラ62と、第2のミキサ63と、第2のHブリッジ制御回路64と、第2のHブリッジドライバ65と、第2の判別回路66と、第2のコンパレータ67と、第2のBPF/検波回路68と、を備える。
第2の入出力回路61は、第1の入出力回路21と同様、通信インターフェイスである。第2の入出力回路61には、例えば、マイクロフォンおよびスピーカが接続される。
第2のマイクロコントローラ62は、第2の入出力回路61から出力された電気信号を受け取ると、その電気信号に対応したPWM変調を行い、受け取った電気信号に対応したパルス幅を示すPWM信号(ベースバンド信号)を生成する。第2のマイクロコントローラ62は、生成したPWM信号を、第2のミキサ63の入力端子の1つ(A入力)に出力する。
また、第2のマイクロコントローラ62は、周波数f2(Hz)を示す正弦波の信号である搬送信号を、第2のミキサ63の入力端子の他の1つ(B入力)に出力する。
ここで、第2のマイクロコントローラ62から出力される搬送信号の周波数f2を整数倍した値のそれぞれと、第1のマイクロコントローラ26から出力される搬送信号の周波数f1を整数倍した値のそれぞれとは、全て異なっている。よって、周波数f2の搬送信号と周波数f2の搬送信号の高調波とが、周波数f1の搬送信号に干渉することはない。また、同様に、周波数f1の搬送信号と周波数f1の搬送信号の高調波とが、周波数f2の搬送信号に干渉することはない。よって、第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80との全二重通信が可能である。
第2のミキサ63は、第1のミキサ23と同様、A入力から入力されたPWM信号(ベースバンド信号)を、B入力から入力された搬送信号で変調する。
よって、第2のミキサ63は、A入力から入力されたPWM信号がハイレベルである場合、受け取ったPWM信号とB入力から入力された搬送信号とをミキシングして、所定の振幅(例えば、3.3ボルト)を示すミキシング信号を、第2のHブリッジ制御回路64に出力する。
一方、第2のミキサ63は、A入力から入力されたPWM信号がローレベルである場合、所定の振幅よりも極めて小さい振幅(例えば、0.1ボルト)を示すミキシング信号(ノイズと同程度の振幅を示すミキシング信号)を、第2のHブリッジ制御回路64に出力する。
第2のHブリッジ制御回路64は、第1のHブリッジ制御回路24と同様、受け取ったミキシング信号の振幅に応じて出力値が変わる制御信号を、第2のHブリッジドライバ65に出力する。
第2のHブリッジドライバ65は、第2のHブリッジ制御回路64から出力された制御信号に応じて、第2の送信用変成器52の一次コイルを通電する。
第2のHブリッジドライバ65は、第1のHブリッジドライバ25と同様、図4に示すように、レベルシフタLVと、4つのバイポーラトランジスタT1,T2,T3,T4からなるHブリッジ回路と、で構成される。
第2のHブリッジ制御回路64は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号の振幅が正の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号に対応する制御信号を、D1出力およびD4出力から、出力する。一方、第1のHブリッジ制御回路24は、D2出力およびD3出力からは、制御信号を出力しない。
すると、レベルシフタLVのD1出力およびD4出力から、トランジスタT1とトランジスタT4とを導通させる電圧が出力される。これにより、トランジスタT1とトランジスタT4とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT1のエミッタ−コレクタパス、第2の送信用変成器52の一次コイルの一端、第2の送信用変成器52の一次コイルの他端、トランジスタT4のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
一方、第2のHブリッジ制御回路64は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号の振幅が負の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号を反転させた制御信号を、D2出力およびD3出力から、出力する。一方、第1のHブリッジ制御回路24は、D1出力およびD4出力からは、制御信号を出力しない。
すると、レベルシフタLVのD2出力およびD3出力から、トランジスタT2とトランジスタT3とを導通させる電圧が出力される。これにより、トランジスタT2とトランジスタT3とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT2のエミッタ−コレクタパス、第2の送信用変成器52の一次コイルの他端、第2の送信用変成器52の一次コイルの一端、トランジスタT3のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
なお、第2のHブリッジ制御回路64は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号の振幅がゼロボルトを示す場合、D1出力、D2出力、D3出力およびD4出力から、制御信号を出力しない。
このように、第2のHブリッジ制御回路64は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号に応じて、第2のHブリッジドライバ65に出力する制御信号を変える。これにより、第2のHブリッジドライバ65は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号に対応して、第2の送信用変成器52の一次コイルを通電することができる。
第2の送信用変成器52の入力端子の一方には、第2の送信用DCカットコンデンサ51が接続されている。第2の送信用DCカットコンデンサ51は、第2のHブリッジドライバ65から出力される電流の直流成分を除去する。
第2の送信用変成器52は、一次コイルと二次コイルとを備える絶縁型の変成器である。第2のHブリッジドライバ65から出力された電流(直流成分を除去後の電流)が一次コイルに流れると、二次コイルに電圧が誘起される。この二次コイルに誘起された電圧は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号に対応している。
第2の送信用共振回路53は、コイル53Lとコンデンサ53Cとワイヤロープ130のリアクタンス分(ワイヤロープ130のインダクタンス分と相互インダクタンス分)とからなる共振回路である。コイル53Lの空洞部分に、ワイヤロープ130が挿通されている。
第2の通信ユニット80では、第2のマイクロコントローラ62から出力される搬送信号の周波数がf2であるので、第2の送信用共振回路53の共振周波数は、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに(ケージ120が台車110から最も離れた位置のとき、或いは、最も離れた位置から規定範囲内の位置のときに)、f2になるように、コイル53Lの値とコンデンサ53Cの値とが設定されている。よって、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに、第2の送信用共振回路53の共振の強さを示すQ値も、最大になる。
第2の送信用共振回路63を構成するコイル53Lは、第2の送信用変成器52の二次コイルに電圧が誘起されると、ワイヤロープ130に電磁誘導によって電流信号を流すための磁束を発生させる。すると、発生した磁束の変化で、台車110から引き出されたワイヤロープ130(閉回路)に、電流信号が流れる。この電流信号は、第1の通信ユニット40の第1の受信用コイル14で受信される。
第2の受信用コイル54は、第1の通信ユニット40のコイル12Lの電磁誘導によって流れた電流信号を、電流信号によって生じた磁束による電磁誘導で受信する。
第2の受信用変成器55は、一次コイルと二次コイルとを備える絶縁型の変成器である。第2の受信用コイル54から出力された電流が一次コイルに流れると、二次コイルに電圧が誘起される。この二次コイルに誘起された電圧は、第2の受信用コイル54で受信された電流信号に対応している。
第2の受信用変成器55の二次コイルの一方には、第2の受信用DCカットコンデンサ56が接続されている。第2の受信用DCカットコンデンサ56は、第2の受信用変成器55の二次コイルに誘起された電圧の直流成分を除去する。
第2の受信用DCカットコンデンサ56で直流成分が除去された電圧は、第2のプリアンプ69に印加される。第2のプリアンプ69は、バッファアンプである。第2のプリアンプ69は、印加された電圧を増幅して増幅信号とし、その増幅信号を、第2のBPF/検波回路68に出力する。
第2のBPF/検波回路68は、帯域通過フィルタ回路と、検波回路とを備える。帯域通過フィルタ回路は、第2のプリアンプ69から出力された増幅信号のうち、第1の通信ユニット40の搬送信号の周波数f1を中心とした予め定められた帯域内の周波数を示す増幅信号を、検波回路に出力する。検波回路は、帯域通過フィルタ回路から出力された増幅信号の包絡線のうち、正の値を示す包絡線を取得する検波を行う。増幅信号を検波すると、第2のBPF/検波回路68は、検波した増幅信号(検波信号)を、第2のコンパレータ67に出力する。
第2のコンパレータ67は、受け取った検波信号の電圧と予め定められた閾値電圧とを比較する。そして、第1のコンパレータ27は、検波信号の電圧が閾値電圧以上であれば、ハイレベルの電圧(例えば、3.3ボルトの電圧)を、第2の判別回路66に出力する。一方、第2のコンパレータ67は、検波信号の電圧が閾値電圧未満であれば、ローレベルの電圧(例えば、0ボルトの電圧)を、第2の判別回路66に出力する。
第2の判別回路66は、第2のコンパレータ67から出力された信号に含まれるハイレベル電圧の維持期間をその維持期間毎に特定する(信号のパルス幅をパルス毎に特定する)。そして、第2の判別回路66は、予め定められている閾値期間と、特定したパルス幅とを比較して、例えばノイズが原因で発生したパルスであるか、第1の通信ユニット40から送信されたパルスであるかを、パルスに対応づけて判別する。第2の判別回路66は、第2のコンパレータ67から受け取った信号と判別結果とを、第2のマイクロコントローラ62に出力する。
第2のマイクロコントローラ62は、信号と判別結果とを受信すると、判定結果に基づいて、受信した信号から、第1の通信ユニット40から送信されたパルスを抽出する。そして、第2のマイクロコントローラ62は、第2の入出力回路61にスピーカが接続されている場合、抽出したパルスから例えば音声を合成して、第2の入出力回路61に出力する。これにより、ユーザは、第2の入出力回路61に接続されたスピーカで、第1の通信ユニット40から送られた音声を聞くことができる。
第1の通信ユニット40から情報を送信して、第2の通信ユニット80で情報を受信する場合、第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80とは、次のように動作する。
第1の通信ユニット40に設けられた第1の入出力回路21に接続されている例えばマイクロフォンに向かって、台車110が設置された例えば構造物の屋上に配置する作業員は、例えば、ケージ120に当たる風が規定値を超えたため、ケージ120を屋上に戻す内容の発音をすると、第1の入出力回路21は、マイクロフォンから音声信号を受け取り、受け取った音声信号を、第1のマイクロコントローラ22に出力する。
第1のマイクロコントローラ22は、第1の入出力回路21から出力された音声信号を受け取ると、その音声信号に対応したPWM信号(ベースバンド信号)を生成する。そして、第1のマイクロコントローラ22は、生成したPWM信号を、第1のミキサ23の入力端子の1つ(A入力)に出力する。また、第1のマイクロコントローラ22は、周波数f1を示す正弦波の信号である搬送信号を、第1のミキサ23の入力端子の他の1つ(B入力)に出力する。
第1のミキサ23は、A入力から入力されたPWM信号(ベースバンド信号)を、B入力から入力された搬送信号で変調する。
第1のミキサ23の入力端子の1つ(A入力)に入力されるPWM信号(ベースバンド信号)は、例えば、図5(a)に示す波形であり、第1のミキサ23の入力端子の他の1つ(B入力)に入力される搬送信号は、例えば、図5(b)に示す波形であり、第1のミキサ23の出力端子(C出力)から出力されるミキシング信号は、図5(c)に示す波形である。
第1のHブリッジ制御回路24は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号の振幅が正の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号に対応する制御信号を、図5(d)に示すように、D1出力およびD4出力から、出力する。一方、第1のHブリッジ制御回路24は、D2出力およびD3出力からは、制御信号を出力しない。
すると、第1のHドライバブリッジ25のトランジスタT1とトランジスタT4とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT1のエミッタ−コレクタパス、第1の送信用変成器12の一次コイルの一端、第1の送信用変成器12の一次コイルの他端、トランジスタT4のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
一方、第1のHブリッジ制御回路24は、第1のミキサ23から出力されたミキシング信号の振幅が負の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号を反転させた制御信号を、図5(d)に示すように、D2出力およびD3出力から、出力する。一方、第1のHブリッジ制御回路24は、D1出力およびD4出力からは、制御信号を出力しない。
すると、第1のHドライバブリッジ25のトランジスタT2とトランジスタT3とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT2のエミッタ−コレクタパス、第1の送信用変成器12の一次コイルの他端、第1の送信用変成器12の一次コイルの一端、トランジスタT3のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
このとき、第1のHドライバブリッジ25の出力端子(E出力)から出力される電圧、つまり、第1の送信用変成器12の一次コイルに誘起される電圧は、例えば、図5(e)に示す波形である。
第1のHブリッジドライバ25から出力され、第1の送信用DCカットコンデンサ11で直流成分が除去された電流が、第1の送信用変成器12の一次コイルに流れると、第1の送信用変成器12の二次コイルに電圧が誘起される。
第1の送信用変成器12の二次コイルに電圧が誘起されると、コイル13Lは、ワイヤロープ130に電磁誘導によって電流信号を流すための磁束を発生させる。すると、発生した磁束の変化で、台車110から引き出されたワイヤロープ130(閉回路)に、電流信号が流れる。
ワイヤロープ130を流れる電流信号は、第2の受信用コイル54で受信される。すると、第2の受信用変成器55の一次コイルが通電され、二次コイルに電圧が誘起される。
第2の受信用変成器55の二次コイルに誘起された電圧は、第2の受信用DCカットコンデンサ56で直流成分が除去されて、第2のプリアンプ69に印加される。第2のプリアンプ69は、印加された電圧を増幅して、その増幅した信号を、第2のBPF/検波回路68に出力する。
第2のBPF/検波回路68は、第2のプリアンプ69から出力された増幅信号のうち、第2の通信ユニット80の搬送信号の周波数f2を中心とした予め定められた帯域内の周波数を示す増幅信号を通過させ、通過させた信号の包絡線のうち、正の値を示す包絡線を取得する。そして、第2のBPF/検波回路68は、検波した信号を、第2のコンパレータ67に出力する。
第2のプリアンプ69の出力端子(F出力)から出力される信号は、例えば、図6(a)に示す波形であり、第2のBPF/検波回路68の出力端子(G出力)から出力される信号は、例えば、図6(b)に示す波形である。
第2のコンパレータ67は、第2のBPF/検波回路68から出力された信号の電圧と予め定められた閾値電圧とを比較する。そして、第2のコンパレータ67は、検波信号の電圧が閾値電圧以上であれば、ハイレベルの電圧(例えば、3.3ボルトの電圧)を、第2の判別回路66に出力する。一方、第2のコンパレータ67は、検波信号の電圧が閾値電圧未満であれば、ローレベルの電圧(例えば、0ボルトの電圧)を、第2の判別回路66に出力する。
第2のコンパレータ67の出力端子(H出力)から出力される電圧は、例えば、図6(c)に示す波形である。
第2の判別回路66は、第2のコンパレータ67から出力された信号のパルス幅をパルス毎に特定する。そして、第2の判別回路66は、予め定められている閾値期間と、特定したパルス幅とを比較して、例えばノイズが原因で発生したパルスであるか、第1の通信ユニット40から送信されたパルスであるかを、パルスに対応づけて判別する。第2の判別回路66は、第2のコンパレータ67から受け取った信号と判別結果とを、第2のマイクロコントローラ62に出力する。
そして、第2のマイクロコントローラ62は、信号と判別結果とを受信すると、判定結果に基づいて、受信した信号から、第1の通信ユニット40から送信されたパルスを抽出する。そして、第2のマイクロコントローラ62は、第2の入出力回路61にスピーカが接続されている場合、パルスから例えば音声を合成して、第2の入出力回路61に出力する。これにより、ユーザは、第2の入出力回路61に接続されたスピーカで、第1の通信ユニット40から送られた音声(ケージ120を屋上に戻す内容の音声)を聞くことができる。
これにより、ケージ120に搭乗する作業員は、例えば、ケージ120の上昇でバランスを崩さないよう、ケージ120を掴むことができる。
上述とは逆に、第2の通信ユニット80から情報を送信して、第1の通信ユニット40で情報を受信する場合、第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80とは、次のように動作する。
第2の通信ユニット80に設けられた第2の入出力回路61に接続されている例えばマイクロフォンに向かって、ケージ120に搭乗する作業員は、例えば、ケージ120の昇降を指示する内容の発音をすると、第2の入出力回路61は、マイクロフォンから音声信号を受け取り、受け取った音声信号を、第2のマイクロコントローラ62に出力する。
第2のマイクロコントローラ62は、第2の入出力回路61から出力された音声信号を入力すると、その音声信号に対応したPWM信号(ベースバンド信号)を生成する。そして、第2のマイクロコントローラ62は、生成したPWM信号を、第2のミキサ63の入力端子の1つ(A入力)に出力する。また、第2のマイクロコントローラ62は、周波数f2を示す正弦波の信号である搬送信号を、第2のミキサ63の入力端子の他の1つ(B入力)に出力する。
第2のミキサ63は、A入力から入力されたPWM信号(ベースバンド信号)を、B入力から入力された搬送信号で変調する。
第2のミキサ63の入力端子の1つ(A入力)に入力されるPWM信号(ベースバンド信号)は、例えば、図5(a)に示す波形であり、第2のミキサ63の入力端子の他の1つ(B入力)に入力される搬送信号は、例えば、図5(b)に示す波形であり、第2のミキサ63の出力端子(C出力)から出力されるミキシング信号は、図5(c)に示す波形である。
第2のHブリッジ制御回路64は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号の振幅が正の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号に対応する制御信号を、図5(d)に示すように、D1出力およびD4出力から、出力する。一方、第2のHブリッジ制御回路64は、D2出力およびD3出力からは、制御信号を出力しない。
すると、第2のHドライバブリッジ65のトランジスタT1とトランジスタT4とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT1のエミッタ−コレクタパス、第2の送信用変成器52の一次コイルの一端、第2の送信用変成器52の一次コイルの他端、トランジスタT4のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
一方、第2のHブリッジ制御回路64は、第2のミキサ63から出力されたミキシング信号の振幅が負の電圧を示す場合、例えば、ミキシング信号を反転させた制御信号を、図5(d)に示すように、D2出力およびD3出力から、出力する。一方、第2のHブリッジ制御回路64は、D1出力およびD4出力からは、制御信号を出力しない。
すると、第2のHドライバブリッジ65のトランジスタT2とトランジスタT3とが遮断状態から導通状態になり、トランジスタT2のエミッタ−コレクタパス、第2の送信用変成器52の一次コイルの他端、第2の送信用変成器52の一次コイルの一端、トランジスタT3のコレクタ−エミッタパスの順で、電流が流れる。
このとき、第2のHドライバブリッジ65の出力端子(E出力)から出力される電圧(第2の送信用変成器52の一次コイルに誘起される電圧)は、例えば、図5(e)に示す波形である。
第2のHブリッジドライバ65から出力され、第2の送信用DCカットコンデンサ51で直流成分が除去された電流が、第2の送信用変成器52の一次コイルに流れると、第2の送信用変成器52の二次コイルに電圧が誘起される。
第2の送信用変成器52の二次コイルに電圧が誘起されると、コイル53Lは、ワイヤロープ130に電磁誘導によって電流信号を流すための磁束を発生させる。すると、発生した磁束の変化で、台車110から引き出されたワイヤロープ130に、電流信号が流れる。
ワイヤロープ130を流れる電流信号は、第1の受信用コイル14で受信される。すると、第1の受信用変成器15の一次コイルが通電され、二次コイルに電圧が誘起される。
第1の受信用変成器15の二次コイルに誘起された電圧は、第1の受信用DCカットコンデンサ16で直流成分が除去されて、第1のプリアンプ29に印加される。第1のプリアンプ29は、印加された電圧を増幅して、その増幅した信号を、第1のBPF/検波回路28に出力する。
第1のBPF/検波回路28は、第1のプリアンプ29から出力された増幅信号のうち、第2の通信ユニット80の搬送信号の周波数f2を中心とした予め定められた帯域内の周波数を示す増幅信号を通過させ、通過させた信号の包絡線のうち、正の値を示す包絡線を取得する。そして、第1のBPF/検波回路28は、検波した信号を、第1のコンパレータ27に出力する。
第1のプリアンプ29の出力端子(F出力)から出力される信号は、例えば、図6(a)に示す波形であり、第1のBPF/検波回路28の出力端子(G出力)から出力される信号は、例えば、図6(b)に示す波形である。
第1のコンパレータ27は、第1のBPF/検波回路28から出力された信号の電圧と予め定められた閾値電圧とを比較する。そして、第1のコンパレータ27は、検波信号の電圧が閾値電圧以上であれば、ハイレベルの電圧(例えば、3.3ボルトの電圧)を、第1の判別回路26に出力する。一方、第1のコンパレータ27は、検波信号の電圧が閾値電圧未満であれば、ローレベルの電圧(例えば、0ボルトの電圧)を、第1の判別回路26に出力する。
第1のコンパレータ27の出力端子(H出力)から出力される電圧は、例えば、図6(c)に示す波形である。
第1の判別回路26は、第1のコンパレータ27から出力された信号のパルス幅をパルス毎に特定する。そして、第1の判別回路26は、予め定められている閾値期間と、特定したパルス幅とを比較して、例えばノイズが原因で発生したパルスであるか、第2の通信ユニット80から送信されたパルスであるかを、パルスに対応づけて判別する。第1の判別回路26は、第1のコンパレータ27から受け取った信号と判別結果とを、第1のマイクロコントローラ22に出力する。
そして、第1のマイクロコントローラ22は、信号と判別結果とを受信すると、判別結果に基づいて、受信した信号から、第2の通信ユニット80から送信されたパルスを抽出する。そして、第1のマイクロコントローラ22は、第1の入出力回路21にスピーカが接続されている場合、パルスから例えば音声を合成して、第1の入出力回路21に出力する。これにより、ユーザは、第1の入出力回路21に接続されたスピーカで、第2の通信ユニット80から送られた音声(ケージ120の昇降を指示する内容の音声)を聞くことができる。
これにより、台車110が設置された例えば構造物の屋上に配置する作業員は、台車110を操作して、ケージ120の昇降を行う。
ここで、第1の通信ユニット40に設けられた第1の送信用共振回路13の共振周波数は、図7に示すように、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに(ケージ120が台車110から最も離れた位置のとき、或いは、最も離れた位置から規定範囲内の位置のときに)、搬送信号の周波数f1になるように、コイル13Lの値とコンデンサ13Cの値とが設定されている。よって、第1の送信用共振回路13は、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに、図7に示すように、共振の強さを示すQ値が最大Qmaxを示す。
また、第2の通信ユニット80に設けられた第2の送信用共振回路53の共振周波数は、図7に示すように、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに、搬送信号の周波数f2になるように、コイル53Lの値とコンデンサ53Cの値とが設定されている。よって、第2の送信用共振回路53は、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときに、図7に示すように、共振の強さを示すQ値が最大Qmaxを示す。
従って、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるとき、コイル13LおよびコイルL2によってワイヤロープ130に伝達される信号の振幅を、最大にすることができる。
ここで、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるとき、ワイヤロープ130を用いて形成される閉回路の回路長が最長、或いは、最長から所定範囲内になるので、図8に示すように、閉回路の抵抗値が大きくなる。
しかし、閉回路の抵抗値が大きくなっても、第1の送信用共振回路13と第2の送信用共振回路53とは、図7に示すように、周波数に対するQ値が最大Qmaxになっている。よって、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であっても、コイル13Lおよびコイル53Lは、受信時に十分な振幅を示す電流信号を、ワイヤロープ130に流すことができる。
一方、引き出されたワイヤロープ130の長さが短くなり、ワイヤロープ130の長さが所定範囲内になくなると、ワイヤロープ130を用いて形成される閉回路の回路長も短くなる。すると、ワイヤロープ130のリアクタンス分に含まれるインダクタンス成分が小さくなる。
ここで、第1の送信用共振回路13の共振周波数と第2の送信用共振回路53の共振周波数とは、共振周波数f=1/(2×π√(LC))で決定される。よって、引き出されたワイヤロープ130の長さが短くなるに連れて、この式で示される値Lが小さくなる。一方、コイル13Lの値とコンデンサ13Cの値とコイル53Lの値とコンデンサ53Cの値とは、固定である。これにより、第1の送信用共振回路13の共振周波数と第2の送信用共振回路53の共振周波数とは、引き出されたワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内であるときよりも、高い値にシフトする(周波数f1→周波数f1a→周波数f1bと変化する)。この共振周波数のシフトにより、第1の送信用共振回路13と第2の送信用共振回路53とは、引き出されたワイヤロープ130の長さが短くなるに連れて、つまり、ケージ120が台車110に近づくに連れて、搬送信号の周波数f1(f2)におけるQ値が低下する(値Qmax→値Qm→値Qminと変化する)。
ただし、引き出されたワイヤロープ130の長さが最大よりも短くなると、ワイヤロープ130を用いて形成される閉回路の回路長も短くなるので、図8に示すように、閉回路の抵抗値も小さくなる。
閉回路の抵抗値が小さくなることで、第1の送信用共振回路13と第2の送信用共振回路53とは、図7に示すように、周波数に対するQ値の変化がなだらかになる。よって、引き出されたワイヤロープ130の長さが最短になっても、つまり、ケージ120が台車110から最も近い位置に存在しても、第1の送信用共振回路13と第2の送信用共振回路53とは、ある程度のQ値を確保する。従って、引き出されたワイヤロープ130の長さが最短になっても、コイル13Lおよびコイル53Lは、受信時に十分な振幅を示す電流信号を、ワイヤロープ130に流すことができる。
第1の送信用共振回路13(第1の通信ユニット40)から、ワイヤロープ130に電流信号を流して、その電流信号を、第2の受信用コイル54(第2の通信ユニット80)で受信した場合の、ワイヤロープ130の長さに対する電流信号の振幅の比(送信された電流信号の振幅に対する受信した電流信号の振幅の比)は、図9に示すようになる。
第1の送信用共振回路13(第1の通信ユニット40)から、ワイヤロープ130に電流信号を流した場合、ワイヤロープ130の長さが最短である場合の振幅とワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内である場合の振幅とは、約2dB程度の違いを示す。
一方、第1の送信用共振回路13を用いずに、例えば、単にコイルから、電流信号を流した場合、ワイヤロープ130の長さが最短である場合の振幅とワイヤロープ130の長さが最長、或いは、最長から所定範囲内である場合の振幅とは、約40dB程度の違いを示す。
このように、第1の送信用共振回路13からワイヤロープ130に電流信号を流すことで、台車110から引き出されたワイヤロープ130の長さが変わっても、第2の受信用コイル54で受信する信号の振幅を、約2dB程度の変動に抑制することができる。
なお、第2の送信用共振回路53(第2の通信ユニット80)から第1の通信ユニット40に信号を出力して、第1の通信ユニット40の第1の受信用コイル14で信号を受信した場合の、信号の振幅の比も、図9と同様になる。
上述した通り、本実施の形態のゴンドラ装置150は、第1の送信用共振回路13を用いてワイヤロープ130に電流信号を流す。また、ゴンドラ装置150は、第2の送信用共振回路53を用いてワイヤロープ130に電流信号を流す。よって、台車110から引き出されたワイヤロープ130の長さが変わっても、つまり、第1のコイル組10と第2のコイル組50との間に存在するワイヤロープ130の長さが変わっても、第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80との通信が可能である。
また、ゴンドラ装置150は、ワイヤロープ130を短絡して閉回路を形成し、この閉回路に電流信号を流す。よって、ワイヤロープ130に電流信号を流した場合に、ワイヤロープ130は、アンテナとして機能しない。よって、よって、ワイヤロープ130に電流信号を流した場合、ワイヤロープ130から放射される電波は、極めて微弱である。従って、ゴンドラ装置150は、電波障害を発生させない。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るコンドラ装置151を、図10を参照して説明する。実施の形態2に係るコンドラ装置151は、ケージ120に搭載した昇降機118でワイヤロープ130を巻き取ることで、ケージ120の位置を調整可能である。
実施の形態2に係るゴンドラ装置151については、実施の形態1のゴンドラ装置150と同一の構成に同一の番号を付している。
ゴンドラ装置151は、第1の通信ユニット40と、第2の通信ユニット80と、昇降機118と、ケージ120と、突梁121a,121bと、吊り下げ部材122と、ワイヤロープ130と、を備えている。
突梁121a,121bは、例えばビル等の構造物の屋上からケージ120を吊り下げるためのワイヤロープ130を支持する。
突梁121aと突梁121bとは、導電性の例えばケーブルで接続されている。これにより、突梁121aと突梁121bとは、導通している。
よって、突梁121aに支持されているワイヤロープ130と突梁121bに支持されているワイヤロープ130とは、突梁121aと突梁121bとによって、導通状態に保たれる(短絡される)。
突梁121aには、例えばワイヤである吊り下げ部材122の一端が接続されている。そして、吊り下げ部材122の他端には、第1の通信ユニット40が接続されている。
第1の通信ユニット40の第1のコイル組10に備えられたコアコイルの中空部分に、ワイヤロープ130が挿通されている。第1のコイル組10は、例えば、突梁121aから所定の距離になる位置(ワイヤロープ130上の、突梁121aの近くの位置)に配置される。
第1の通信機20は、例えば、突梁121aから所定の距離になる位置(ワイヤロープ130上の、突梁121aの近くの任意の位置)に配置される。
第1の通信機20は、第1のコイル組10に配線で接続されている。
第1の通信ユニット80の第2のコイル組50に備えられたコアコイルの中空部分に、ワイヤロープ130が挿通されている。第2のコイル組50は、例えば、ケージ120から予め定められた距離になる位置(ケージ120の近くの位置)に配置される。
第2の通信機60は、例えば、ケージ120に配置される。
第2の通信機60は、第2のコイル組50に配線で接続されている。
ケージ120は、ワイヤロープ130で吊り下げられている。ケージ120は、ワイヤロープ130を巻き取ってケージ120の位置を調整する昇降機118を備える。昇降機118は、エンドレスワインダー140a,140bと、ワイヤリール141a,141bと、を備える。
エンドレスワインダー140a,140bには、ワイヤロープ130が巻き掛けられている。エンドレスワインダー140a,140bは、巻き掛けられたワイヤロープ130を巻き取る。エンドレスワインダー140a,140bを例えば作業者が操作することで、ケージ120を、ワイヤロープ130に沿って昇降させることができる。
ワイヤリール141a,141bは、エンドレスワインダー140a,140bで巻き取られたワイヤロープを収納する。
エンドレスワインダー140aとエンドレスワインダー140bとは、導電性の例えばケーブルで接続されている。これにより、エンドレスワインダー140aとエンドレスワインダー140bとは、導通している。
よって、エンドレスワインダー140aに巻き掛けられているワイヤロープ130とエンドレスワインダー140bに巻き掛けられているワイヤロープ130とは、エンドレスワインダー140aとエンドレスワインダー140bとによって、導通状態に保たれる(短絡される)。
従って、ワイヤロープ130は、突梁121a→突梁121b→ケージ120の一端部→エンドレスワインダー140b→エンドレスワインダー140a→ケージ120の他端部→突梁121aの経路からなる閉回路を形成する。
エンドレスワインダー140a,140bが、ワイヤロープ130を巻き取ることで、ケージ120と突梁121a,121bとの距離が短くなる。つまり、第1のコイル組10と第2のコイル組50との間に存在するワイヤロープ130が短くなる。また、エンドレスワインダー140a,140bが、ワイヤロープ130を引き出すことで、ケージ120と突梁121a,121bとの距離が長くなる。つまり、第1のコイル組10と第2のコイル組50との間に存在するワイヤロープ130が長くなる。
ここで、ゴンドラ装置151は、実施の形態1のゴンドラ装置150と同様、第1の通信ユニット40に設けられた第1の送信用共振回路13を用いて、ワイヤロープ130に電流信号を流す。また、ゴンドラ装置151は、実施の形態1のゴンドラ装置150と同様、第2の通信ユニット80に設けられた第2の送信用共振回路53を用いて、ワイヤロープ130に電流信号を流す。よって、ケージ120と突梁121a,121bとの距離が変わっても、つまり、第1のコイル組10と第2のコイル組50との間に存在するワイヤロープ130の長さが変わっても、第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80との通信が可能である。
また、ゴンドラ装置151は、実施の形態1のゴンドラ装置150と同様、ワイヤロープ130を短絡して閉回路を形成し、この閉回路に電流信号を流す。よって、ワイヤロープ130に電流信号を流した場合に、ワイヤロープ130は、アンテナとして機能しない。よって、よって、ワイヤロープ130に電流信号を流した場合、ワイヤロープ130から放射される電波は、極めて微弱である。従って、ゴンドラ装置151は、実施の形態1のゴンドラ装置150と同様、電波障害を発生させない。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この発明は上記の実施の形態に限定されず、種々の変形および応用が可能である。
上述した実施の形態では、第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80とは、双方向通信を行うことができるが、これに限られるものではない。例えば、第2の通信ユニット80から第1の通信ユニット40への片方向通信を行うように、ゴンドラ装置150,151を構成してもよく、或いは、第1の通信ユニット40から第2の通信ユニット80への片方向通信を行うように、ゴンドラ装置150,151を構成してもよい。
第2の通信ユニット80から第1の通信ユニット40への片方向通信を行うように、ゴンドラ装置150,151を構成する場合、第2の通信ユニット80から、54,55,56,66,67,68,69の各部を取り除き、第1の通信ユニット40から、11,12,1313CL,23,24,25の各部を取り除けばよい。
また、第1の通信ユニット40から第2の通信ユニット80への片方向通信を行うように、ゴンドラ装置150,151を構成する場合、第1の通信ユニット40から、14,15,16,26,27,28,29の各部を取り除き、第2の通信ユニット80から、51,52,5353CL,63,64,65の各部を取り除けばよい。
上述した実施の形態では、第1のマイクロコントローラ26から出力される搬送信号の周波数f1を整数倍した値のそれぞれと、第2のマイクロコントローラ62から出力される搬送信号の周波数f2を整数倍した値のそれぞれとを、全て異ならせることで、第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80との全二重通信が可能であったが、これに限られるものではない。第1の通信ユニット40と第2の通信ユニット80とは半二重通信を行なってもよい。この構成の場合は、第1のマイクロコントローラ26から出力される搬送信号の周波数f1を整数倍した値のそれぞれと、第2のマイクロコントローラ62から出力される搬送信号の周波数f2を整数倍した値のそれぞれとが、全て同じであってもよい。
上述した実施の形態1では、ケージ120の一端部に挿通されたワイヤロープ130の1本と、ケージ120の他端部に挿通されたワイヤロープ130の他の1本とを、例えばケージ120の底部で接続することで、ワイヤロープ130同士を導通させたが、これに限られるものではない。ケージ120に導電体(例えば、金属板)がある場合、台車110から引き出されたワイヤロープ130同士をこの導電体に接続することで、ワイヤロープ130同士を導通させて、閉回路を形成してもよい。また、一本のワイヤロープ130を台車100から取り出し、取り出したワイヤロープ130を、ケージ120の一端部に挿通し、ケージ120の底部に挿通して、更に、ケージ120の他端部から引き出して、台車110に引き込ませることで、閉回路を形成してもよい。
上述した実施の形態1では、金属シーブ112aと金属シーブ112bとを台車110内で導通させることで、ワイヤロープ130を短絡したが、これに限られるものではない。金属シーブ112aと金属シーブ112bとを台車110内で導通させることができない場合、例えば、ワイヤロープ130を傷つけることなくワイヤロープ130への付着物を取り除くための導電性のブラシ(例えば、金属製のブラシ)を、2つ、台車100内に設ける。そして、台車100内に引き込まれる2本のワイヤロープ130のそれぞれに、導電性のブラシを当てる。その後、導電性のブラシ同士を例えば導線で接続することで、ワイヤロープ130同士を導通させ、ワイヤロープ130を短絡してもよい。
上述した実施の形態1では、台車110に搭載された昇降機118は、ワイヤロープ130をドラム117で巻き取る構成であったが、これに限られるものではない。例えば、図11に示すように、台車110に搭載された昇降機118は、ドラム117に代えて、エンドレスワインダー142a,142bおよびワイヤリール143a,143bを用いた構成であってもよい。なお、エンドレスワインダー142a,142bは、巻き掛けられたワイヤロープ130を巻き取る。また、ワイヤリール143a,143bは、エンドレスワインダー142a,142bで巻き取られたワイヤロープを収納する。
また、上述した実施の形態2では、エンドレスワインダー140aとエンドレスワインダー140bとを例えばケーブルで接続することで、ワイヤロープ130を短絡したが、これに限られるものではない。ケージ120に導電体(例えば、金属板)がある場合、エンドレスワインダー140aで巻き取られたワイヤロープ130とエンドレスワインダー140bで巻き取られたワイヤロープ130とをこの導電体に接続することで、ワイヤロープ130同士を導通させて、閉回路を形成してもよい。
上述した実施の形態のゴンドラ装置150,151では、第1の入出力回路21と第2の入出力回路61とに、例えばマイクロフォンとスピーカとを接続したが、これに限られるものではない。第1の入出力回路21と第2の入出力回路61とに、例えば、キーボードとディスプレイを接続してもよい。
この構成の場合、第1の入出力回路21に接続されている例えばキーボードをユーザが操作すると、第1の入出力回路21は、キーボードで入力された入力値を示す電気信号を、第1のマイクロコントローラ22に出力する。第2の入出力回路61も、上述と同様に動作する。
また、第1のマイクロコントローラ22は、第2の通信ユニット80から送信された信号を第1の判別回路26から受け取ると、受け取った信号を表示した画面情報を生成する。そして、第1の入出力回路21は、第1のマイクロコントローラ22から画面情報を取得すると、その画面情報をディスプレイに表示する。第2の入出力回路61および第2のマイクロコントローラ62も、上述と同様に動作する。
この構成により、作業者は、受け取った信号を含む画面を視認することができる。
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態および変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、上述した実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
10 第1のコイル組、20 第1の通信機、40 第1の通信ユニット、50 第2のコイル組、60 第2の通信機、80 第2の通信ユニット、110 台車、120 ケージ、130 ワイヤロープ、150,151 ゴンドラ装置。

Claims (9)

  1. 構造物の上部から垂下された吊り下げ用ワイヤロープで吊り下げられたケージと前記ワイヤロープを巻き取ることで前記ケージの位置を調整する昇降機とを備えるゴンドラ装置であって、
    前記ワイヤロープを短絡させて閉回路を形成する短絡部と、
    前記ケージに設置されており、電磁誘導で前記閉回路に電流信号を流すための磁束を発生する第1のコイルと、
    前記閉回路に流す電流信号を前記第1のコイルに出力する電流出力部と、
    前記ワイヤロープ上の任意の位置に設置されており、前記第1のコイルの電磁誘導で流れた電流信号によって生じた磁束による電磁誘導で、前記閉回路を流れる電流信号を受信する第2のコイルと、
    前記第1のコイルに接続されて共振回路を構成するコンデンサを有し、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に存在するワイヤロープの長さが変わり、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間隔が変わって、共振周波数が変わっても、前記第2のコイルで受信可能な電流信号を流すための磁束を前記第1のコイルに発生させる第1の共振回路と、
    を備えるゴンドラ装置。
  2. 前記第1のコイルの値と前記第1のコイルに接続されるコンデンサの値とは、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に存在するワイヤロープが短くなるに連れて、共振の強さを示すQ値が小さくなるよう、設定されている、
    請求項1に記載のコンドラ装置。
  3. 前記電流出力部が前記第1のコイルに出力する電流信号は、情報を伝達するための信号で第1の搬送信号を変調したものである、
    請求項2に記載のゴンドラ装置。
  4. 前記ワイヤロープ上の任意の位置に設置され、電磁誘導で前記閉回路に電流信号を流すための磁束を発生する送信用コイルと、
    前記閉回路に流す電流信号を前記送信用コイルに出力する電流送出部と、
    前記ケージに設置され、前記送信用コイルの電磁誘導で流れた電流信号によって生じた磁束による電磁誘導で、前記閉回路を流れる電流信号を受信する受信用コイルと、
    前記送信用コイルと前記受信用コイルとの間に存在するワイヤロープの長さが短くなるに連れて共振周波数が高くなる、前記送信用コイルに接続される送信用コンデンサを有する第2の共振回路と、
    を備える請求項3に記載のコンドラ装置。
  5. 前記電流送出部が前記送信用コイルに出力する電流信号は、情報を伝達するための信号で第2の搬送信号を変調したものである、
    請求項4に記載のゴンドラ装置。
  6. 前記第1の共振回路および前記第2の共振回路は、前記ワイヤロープのリアクタンス分を反映させて、それぞれの共振周波数が設定されており、
    前記第1の共振回路の共振周波数は、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に存在するワイヤロープの長さが最大のときに、前記第1の搬送信号の周波数になり、
    前記第2の共振回路の共振周波数は、前記送信用コイルと前記受信用コイルとの間に存在するワイヤロープの長さが最大のときに、前記第2の搬送信号の周波数になる、
    請求項5に記載のゴンドラ装置。
  7. 前記第1のコイルの値と前記第1のコイルに接続されるコンデンサの値は、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間に存在するワイヤロープの長さが最大のときに、前記第1の共振回路のQ値が最大になるよう設定され、
    前記送信用コイルの値と前記送信用コイルに接続される送信用コンデンサの値は、前記送信用コイルと前記受信用コイルとの間に存在するワイヤロープの長さが最大のときに、前記第2の共振回路のQ値が最大になるよう設定されている、
    請求項6に記載のゴンドラ装置。
  8. 前記第1の搬送信号の周波数を整数倍した値のそれぞれと、前記第2の搬送信号の周波数を整数倍した値のそれぞれとは、全て異なっている、
    請求項7に記載のゴンドラ装置。
  9. 構造物の上部から垂下された吊り下げ用ワイヤロープで吊り下げられたケージと前記ワイヤロープを巻き取ることで前記ケージの位置を調整する昇降機とを備えるゴンドラ装置の通信方法であって、
    前記ケージに設置された第1のコイルと前記ワイヤロープ上の任意の位置に設置された第2のコイルとの間に存在するワイヤロープの長さが変わり、前記第1のコイルと前記第2のコイルとの間隔が変わって、共振周波数が変わっても、前記第1のコイルに、前記第2のコイルで受信可能な電流信号を流すための磁束を発生させる第1の共振回路を構成するコンデンサに接続された前記第1のコイルが、電磁誘導によって、前記ワイヤロープが短絡されることで形成された閉回路に電流信号を流す信号ステップと、
    前記第1のコイルの電磁誘導で流れた電流信号によって生じた磁束による電磁誘導で、前記閉回路を流れる電流信号を、前記第2のコイルで受信する受信ステップと、
    を含む通信方法。
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