JP2013214613A - コイルユニット及びコイルユニットを備える電力伝送装置 - Google Patents

コイルユニット及びコイルユニットを備える電力伝送装置 Download PDF

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Abstract

【課題】線間での近接効果を抑制して抵抗損失を抑えるとともに、磁束の指向性を高め、コイルのインダクタンスを高くして、コイルのQ値を上げることができるコイルユニット及びコイルユニットを備える電力伝送装置を提供すること。
【解決手段】コイルユニット100は、線状導体110をスパイラル状の平面曲線状に巻回して形成され、線状導体110の線間に磁性体120を介在させた平面渦巻きコイル111と、平面渦巻きコイル111の送受電面と反対の面を覆う磁性体シート130と、を備える。線状導体110の断面最大長さをWc、線間磁性体120の幅をWgとした場合、0.2≦Wg/Wc≦3.5である。また、線間磁性体120の透磁率は、1000[H/m]以上3000[H/m]以下、かつ、磁性体シート130の透磁率は、50[H/m]以上500[H/m]以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイルユニット及びコイルユニットを備える電力伝送装置に関し、例えば送電装置から電子機器等に対して電磁誘導により非接触で電力を伝送するコイルユニット及び電力伝送装置に関する。
従来、ワイヤレス電力伝送装置として、送電装置に設けた1次側送電用コイルと、受電側である電子機器や車両側に設けた2次側受電用コイルとの間で、両コイル間の電磁誘導作用を利用して電力伝送を行うワイヤレス電力伝送装置がある。ワイヤレス電力伝送では接点部分の露出がないために防水性の確保が容易なことや、電気的接点部分の不良や劣化を気にしなくてもよく、電力送電装置と電力受電機器の着脱を容易に行うことができるなどの利点がある。
これらの電子機器等に搭載されている1次側送電コイル及び2次側受電コイルは、コアに巻き線を巻いたものやボビンに巻き線を巻いたものが一般的に用いられているが、受電側の携帯電子機器に対しては、小型化、薄型化、高機能化が必要である。小型化等に対して、送電装置及び受電側の電子機器に設ける送受電のコイルとして平面コイルを用いることが提案されている。
上記ワイヤレス電力伝送装置は、1次側送電コイルと2次側受電コイルを電磁誘導結合が効率化できるように対向して備える。商用電源からの電圧を高周波インバータ回路により高周波交流電圧に変換して1次側送電コイルに加えることで、この1次側送電コイルに60〜600kHzの高周波の交流磁束を発生させ、電磁誘導作用により、受電側の電子機器内の2次側受電コイルにて該交流磁束により誘起された交流電圧を2次側の整流平滑回路で直流に変換した後に充電手段である2次電池に給電される。
送受電のコイルとして用いられるコイルは、ワイヤレス電力伝送装置を小型化するため、スパイラルで平面状に構成された平面コイルを用いることにより、小型化、薄型化される。しかし、それを平面化した場合にはコアの使用ができないので、コイルから発生する磁界による不要輻射の抑制、及び電力伝送の効率化を図る必要がある。
特許文献1には、電力伝送の効率化を図るため1次側送電用平面コイル及び2次側受電平面コイルは、その両者が対向する面の反対側の面に、磁性シートをそれぞれ設ける装置が記載されている。
上記特許文献1に記載のワイヤレス電力伝送装置は、装置を小型化するため、小型化されたコイルが約60〜600kHzの高周波で用いられる。そして、1次側送電用平面コイル及び2次側受電平面コイルは、その両者が対向する面の反対側の面に、磁性シートをそれぞれ設けられている。これによりコイルから発生する磁界による不要輻射を抑制することができる。
特開2006−42519号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電力伝送装置にあっては、単に磁性シートを配置するだけであったため、コイル線間での近接効果抑制に対しては不十分であった。また、発生する磁束強度を高めてワイヤレス電力電送効率の低下を抑えること、及び発生する磁束が受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くすることについても不十分であった。
本発明の目的は、線間での近接効果を抑制して抵抗損失を抑えるとともに、磁束の指向性を高め、コイルのインダクタンスを高くして、コイルのQ値を上げることができるコイルユニット及びコイルユニットを備える電力伝送装置を提供することである。
本発明に係るコイルユニットは、線状導体をスパイラル状に巻回して形成された平面コイルと、前記線状導体の線間に介在された第1の磁性体と、前記平面コイルの一側の面を覆って設けられた第2の磁性体と、を備える構成を採る。
本発明に係る電力伝送装置は、上記コイルユニットを用いて構成され、前記平面コイルの前記第2の磁性体との対向面とは反対側の面が送電側の面に配置された送電コイルと、該送電コイルに電力を供給する送電部と、を含む構成を採る。
本発明に係る電力伝送装置は、上記コイルユニットを用いて構成され、前記平面コイルの前記第2の磁性体との対向面とは反対側の面が受電側の面に配置された受電コイルと、該受電コイルで受電された電力を出力する受電装置と、を含む構成を採る。
本発明によれば、線間での近接効果を抑制して抵抗損失を抑えるとともに、磁束の指向性を高め、コイルのインダクタンスを高くして、コイルのQ値を上げることができる。また、電力電送効率の低下を抑え、高効率での送電側・受電側コイル間での長距離の電力伝送を実現することができる。さらに、送電側・受電側コイル間の少々の位置ずれがあったとしても、電力電送効率が大きく低下することがない電力伝送装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1に係るコイルユニットの構成を示す斜視図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの構成を示す平面図 図2のA−A’矢視断面図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの線状導体の他の構成を示す断面図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの線状導体の他の構成を示す断面図 上記実施の形態1に係るコイルユニットを送電装置の1次側送電コイルと電子機器の2次側受電コイルとして用いた構成を示す断面図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの電力伝送効率を測定する回路図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの磁束発生経路の磁束発生をシミュレーションにより示す図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの磁束発生経路の磁束発生をシミュレーションにより示す図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの伝送特性を示す図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの伝送特性を示す図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの伝送特性を示す図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの伝送特性を示す図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの伝送特性を示す図 上記実施の形態1に係るコイルユニットの伝送特性を示す図 本発明の実施の形態2に係るコイルユニットを備えるワイヤレス電力伝送装置の電子機器と送電装置の主要構成図 上記実施の形態2に係るコイルユニットを備えるワイヤレス電力伝送装置の構成を示す図
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るコイルユニットの構成を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係るコイルユニットの平面図、図3は、図2のA−A’矢視断面図である。以下、本発明に係るコイルユニットを、ワイヤレス電力伝送装置に適用される平面コイルで具現化した例で説明する。
図1乃至図3に示すように、コイルユニット100は、1次側送電コイル又は2次側受電コイルである。
コイルユニット100は、線状導体110をスパイラル状(渦巻き状)に巻回して形成され、線状導体110の線間に線間磁性体120(第1の磁性体)を介在させた平面渦巻きコイル111と、平面渦巻きコイル111の一方の面を覆う磁性体シート130(第2の磁性体)と、線状導体110の始端110aに接続された始端端子140と、線状導体110の終端110bに接続された終端端子150と、を備える。
ここで、平面渦巻きコイル111は、線状導体110が巻き回されて形成されたものである。平面渦巻きコイル111は、線状導体110と線間磁性体120とを一緒に巻き回して作製する。あるいは、平面渦巻きコイル111は、線状導体110の線間に線間磁性体120を挿入して作製する。
磁性体シート130は、平面渦巻きコイル111の送受電面と反対の面に設けた磁性体層であり、線状導体110が発生する磁界による不要輻射を抑制する。磁性体シート130は、ケイ素鋼板、アモルファス金属などの磁性材料からなる。
コイルユニット100の構成についてより詳細に説明する。
一般的に電力伝送コイルには、数十〜数百kHzの高周波電流が印加される。1本の単線を巻回してコイルを形成した線状導体110に高周波電流を流す場合、近接する2本以上の線状導体110に平行して同じ向きの電流が流れると、導体断面の電流分布は中心軸側に偏った形となり、コイルユニット100の抵抗値が増大し、損失が増大するといういわゆる近接効果が現れやすくなる傾向にある。
コイルユニット100を構成する線状導体110間に一定の間隙を設けることで、線間での近接効果を抑制することができる。コイルユニット100の抵抗値を低減でき、抵抗損失を抑える効果が得られる。しかし、コイルユニット100のインダクタンスも減少する傾向にあり、コイルユニット100のQ値を高めるには限界がある。
(1)コイルユニット100は、線状導体110間に高透磁率の線間磁性体120を介在させる。これにより、磁界が線間磁性体120に集中し、隣り合う導線パターン間での磁束の干渉を抑制することができる。近接効果が抑制されるとともに、線状導体110での抵抗値増大を防げるとともに、コイルユニット100のインダクタンスを高めることができ、コイルユニット100のQ値を高めることに寄与する。そして、発生する磁束が線間の線間磁性体120に集中し、その集中した磁束が受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くすることができる。
(2)コイルユニット100は、平面渦巻きコイル111を形成する線状導体110の断面最大長さをWc、線状導体110の間に介在させた磁性体120の幅をWgとした場合、以下の関係を満たす構成とする。
0.2≦Wg/Wc≦3.5
線間磁性体120の幅Wgを線状導体110の断面最大長さWcの0.2倍以上、3.5倍以下とする構成とすることにより、近接効果を抑制する効果と、発生する磁界を線間磁性体120に集中させて受電側の2次コイルとの電磁結合をより強いものとする効果を両立させる。0.2倍よりも短くすると近接効果抑制効果が弱まり、3.5倍よりも大きくなると、発生する磁界を線間磁性体120に集中させる効果が弱まる傾向にある。
(3)コイルユニット100は、平面渦巻きコイル111の送受電面と反対の面に磁性体シート130を設ける。
この構成により、コイルユニット100のインダクタンスを高めることができ、コイルユニット100のQ値を高め、発生する磁束が線間磁性体120に集中し、その集中した磁束が受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くすることができる。また、コイルユニット100の伝送面と反対側に低透磁率の磁性体(第2の磁性体)を設けることにより、コイルユニット100から発生した磁束の漏れを低減して磁気シールド効果を発揮できる。さらに、高周波成分のコイルユニット間での結合係数を高めて電送効率を向上することができ、低ノイズ化を図ることができる。その結果、磁束の指向性を高め、伝播損失の低減を図ることができる。
(4)コイルユニット100は、線間磁性体120の透磁率は、磁性体シート130の透磁率よりも高い。具体的には、線間磁性体120の磁性体の透磁率は、1000[H/m]以上3000[H/m]以下であり、磁性体シート130の磁性体の透磁率は、50[H/m]以上500[H/m]以下である。
線間磁性体120よりも透磁率の低い磁性シート130をコイルユニット100の送受電面と反対側に設ける構成により、発生する磁界を線間磁性体120に集中させて近接効果を抑制し、線状導体110での抵抗値増大を防ぐとともに、集中した磁束が受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くすることができる。そして、コイルユニット100から発生した磁束の漏れを低減して磁気シールド効果を発揮できるとともに、磁束の指向性を高めて電送効率を上げることができる。
線間磁性体120の透磁率が1000[H/m]よりも小さいと、線状導体110での抵抗値増大を防ぐ効果が発揮しにくく、また、受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くする効果が弱まる傾向がある。また、線間磁性体120の透磁率が3000[H/m]よりも大きいと、磁性シート130自体の材料コストが上がる。
磁性体シート130の透磁率が50[H/m]よりも小さいと、コイルユニット100における電力伝送方向へのインダクタンス特性を高める効果が弱くなる傾向がある。磁性体シート130の透磁率が500[H/m]よりも大きいと、電力伝送方向外での面の磁気シールド機能が弱まる傾向がある。
以下、本実施の形態のコイルユニット100の具体的な構造について説明する。
図2に示すように、コイルの素線である線状導体110を始端端子140から終端端子150までスパイラル状に巻回して円形状にコイルユニット100を形成した。このとき、コイルユニット100を形成する線状導体110間に一定の線間隙を保持した形で巻回し、その間隙に線間磁性体120を存在させた。
図3に示すように、コイルユニット100は、線状導体110と、その隣接する線状導体110間に一定の間隙を設け、その間隙に線間磁性体120を介在させる。さらに、送受電面の方向とは逆の面に磁性体シート130を設ける。
線状導体110は、一定の太さを有する素線1本から構成される場合や、矩形状のものや、細い素線を複数本並べたものや、複数の素線を束ねたリッツ線の構成とすることができる。
図3では、好ましい一つの構成として、正方形のような矩形状の線状導体110を使用した構成を示す。単位断面積当たりの導線の占めうる領域が多くなり、コイルユニット100のインダクタンスを高める効果が得られる。そして、矩形状の線間磁性体120間に高透磁率の線間磁性体120を介在させることで、コイルユニット100のインダクタンスを高めることができる。また、磁界が線間磁性体120により集中する効果が得られ、これにより近接効果が抑制され、線状導体110での抵抗値増大を防ぐ効果を得ることができる。
図4及び図5は、本実施の形態の他のコイルユニットの線状導体の構成を示す断面図である。
図4に示すように、コイルユニット100Aは、1本の素線からなる線状導体110Aを有する。
また、図5に示すように、コイルユニット100Bは、細い素線を複数本並べた線状導体110Bを有する。図5では、線状導体110Bは、4本を平行に配置した素線である。また、線状導体110Bとして、複数の素線を束ねて巻き回したリッツ線の構成とすることも好ましい。
本実施の形態のコイルユニット100は、線状導体110間にフェライト等の線間磁性体120を介在させる構成を採る。この構成により、コイルユニット100のインダクタンスを増加させることができる。また、コイルユニット100の抵抗損失を低減でき、コイルユニット100のQ値を向上させて、電送効率を改善することができる。
ここで、線状導体110の断面横幅長さWcと、線状導体110の間に介在させる線間磁性体120の幅Wgについて説明する。
本実施の形態のコイルユニット100は、コイルを形成する線状導体110の断面横幅長さをWc、線状導体110の間に介在させる線間磁性体120の幅をWgとすると、以下の関係をみたす構成とすることが好ましい。
0.2≦Wg/Wc≦3.5
線間磁性体120の幅Wgを線状導体110の断面最大長さWcの0.2倍以上で、3.5倍以下とする構成とすることにより、近接効果を抑制してコイルユニット100の損失抵抗を低減させるとともに、コイルユニット100のインダクタンスをより高める効果を発揮させる範囲を明確にした。発生する磁界を線間磁性体120に集中させて受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くする。0.2倍よりも短くすると近接効果抑制効果が弱まり、3.5倍よりも大きくなると、コイルユニット100インダクタンスが低下して発生する磁界を線間磁性体120に集中させる効果が弱まる傾向にある。好ましくは、線間磁性体120の幅Wgを線状導体110の断面最大長さWcの0.4倍以上で、2.5倍以下、より好ましくは線間磁性体120の幅Wgを線状導体110の断面最大長さWcの0.6倍以上で、1.5倍以下である。
また、線間磁性体120の透磁率は、1000[H/m]以上、磁性体シート130の透磁率は、50[H/m]以上500[H/m]以下の構成とすることが好ましい。
この構成により、発生する磁界を線間磁性体120に集中させて近接効果を抑制し、線状導体110での抵抗値増大を防ぐとともに、集中した磁束が受電側の2次コイルとの電磁結合をより強いものとできる。そして、コイルユニット100から発生した磁束の漏れを低減して磁気シールド効果を発揮できるとともに、磁束の指向性を高めて電送効率を上げる構成を明確にした。
線間磁性体120の透磁率が1000よりも小さいと線状導体110での抵抗値増大を防ぐ効果が発揮しにくく、また、受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くする効果が弱まる傾向にある。磁性体シート130の透磁率が50[H/m]よりも小さいと、コイルユニット100における電力伝送方向へのインダクタンス特性を高める効果が弱くなる傾向になる。磁性体シート130の透磁率が500[H/m]よりも大きいと、電力伝送方向外での面の磁気シールド機能が弱まる傾向になる。
また、線間磁性体120の透磁率は、3000[H/m]以下とすることが好ましい。3000[H/m]よりも大きいと、電送効率が低下する傾向にある。
また、磁性体としては、Ni−Zn系のフェライト、Mn−Zn系のフェライト、Mg−Zn系のフェライトシート等が使用可能である。アモルファス金属も磁性シートとして用いることができる。磁性体としてフェライトを使用する場合は、コイルユニット100の交流抵抗を低下させる点で有利である。磁性体としてアモルファス金属を使用する場合はコイルユニット100を薄型化することができる。
また、電力伝送用の1次送電コイルから発生した磁束が、線間磁性体120内を通り、反対面にまで通過することなく線間磁性体120端部から前面に出て行く。その前面から放出された磁束は受電側の2次受電コイルへと収束される。磁性体材料としては、鉄の酸化物を含んだ化合物の結晶体が集まってできたフェライト、特に比抵抗が大きく、フェライト内部での渦電流損失の少ないNi−Zn系フェライトを用いることが好ましい。また、樹脂中に磁性体であるフェライト粒子を分散させたグリーンシートのような構造のものは透磁率(μ)を低くすることができる。
次に、本実施の形態のコイルユニット100の製造方法について説明する。
まず、磁性体シート130全面にドライフィルムレジストを塗布し、配線パターン以外の部分を熱硬化又は紫外線硬化を施し、エッチング処理により、非箇所を除去する。その後、シリカ微粒子によるサンドブラスト処理することにより、幅0.1〜1mm程度の螺旋状の溝を設けることができる。その溝に線状導体110を挿入し固定する。そして電力電送方向とは逆の面に一定の厚さと透磁率を持つ磁性体シート130を接着等で固定して、コイルユニット100を得ることができる。
また、フェライト基板に一定の深さの凹部を形成するため、その形状の非磁性絶縁体(誘電体等)を未焼成の磁性材料に埋め込み、フェライト基板を焼成する。その後この非磁性絶縁体をサンドブラスト(パウダービーム)、レーザ、エッチング等の処理により除去する。除去された凹の螺旋状パターンに線状導体110を挿入し固定することができる。あるいは、線状導体110を挿入する代わりに、フェライト基板全表面に対して、めっき、蒸着、スパッタ等の処理を行うことによりCu等の導体層を形成する。続いて、凹部の溝のみに導体が残るように表面を研磨して、溝部の導体以外を削除して螺旋状導体を形成してコイル部とする。その後、電力電送方向とは逆の面に一定の厚さと透磁率を持つフェライト磁性粉入りのエポキシ樹脂を、スクリーン印刷法等により磁性体シート130をコイル上に塗布して、熱硬化させ(例えば約150℃)、コイル上に一定の厚さのフェライト磁性粉入りエポキシ樹脂層を形成することができる。
次に、コイルユニット100を、送電装置の1次側送電コイル、又は電子機器の2次側受電コイルとして用いる場合について説明する。
図1に示すように、コイルユニット100は、平面渦巻きコイルである線状導体110と、線状導体110の線間に介在させた線間磁性体120と、線状導体110及び線間磁性体120の一方の面を覆う磁性体シート130と、始端端子140と、終端端子150と、を備える。
始端端子140及び終端端子150は、図示しない送電回路部又は受電回路部に電気的に接続される。コイルユニット100から生成される磁束は、紙面に垂直なZ軸方向に向かう。
図6は、コイルユニット200を、送電装置の1次側送電コイル210と電子機器の2次側受電コイル220として用いた構成を示す断面図である。
図6に示すように、コイルユニット200は、電磁誘導により電力を送電する1次側送電コイル210と、1次側送電コイル210からの電力を受電する2次側受電コイル220と、1次側送電コイル210を収容する送電装置のハウジング230と、2次側受電コイル220を収容する電子機器のハウジング240と、を備える。
1次側送電コイル210は、線状導体110をスパイラル状(渦巻き状)に巻回して形成され、線状導体110の線間に磁性体120を介在させた平面渦巻きコイル111と、平面渦巻きコイル111の一方の面を覆う磁性体シート130Aと、を備える。1次側送電コイル210は、送電装置のハウジング230の内面に磁性体シート130A側が収容されるように設置されている。
2次側受電コイル220は、線状導体110をスパイラル状に巻回して形成され、線状導体110の線間に磁性体120を介在させた平面渦巻きコイル111と、線状導体110の線間に介在された線間磁性体120と、平面渦巻きコイル111の一方の面を覆う磁性体シート130Bと、を備える。
以上の構成において、送電装置のハウジング230と電子機器のハウジング240とが近接して電磁誘導結合することにより、ワイヤレスで電力伝送を行うことができる。
以下、本発明に係るワイヤレス電力伝送についてより具体的な実施例を挙げて説明する。
[実施例1]
図1に示すコイルユニット100を使用してワイヤレス電力伝送を評価した。スイッチング周波数は150kHz、1次側送電コイルと2次側受電コイルとの伝送距離は40mm、送電装置からの送電電力は20Wで行った。
図7は、コイルユニット100の電力伝送効率を測定する回路図である。
図7の測定回路250において、電力伝送効率(η=V×I/V×I)を測定した。
測定回路250は、送電側が定電圧電源251、送電回路252及び1次側送電コイル210を備え、受電側が2次側受電コイル220、受電回路253、及び負荷254を備える。
定電圧電源251により定電圧源供給される電流(I)、電圧(V)を、送電回路252を通じて1次側送電コイル210に送る。そして、電磁誘導により2次側受電コイル220に誘起された電圧を、受電回路253を通じて、電流(I)、負荷254にかかる電圧(V)から電力電送効率を測定した。
表1は、比較例1−3と本実施例1におけるコイル特性を示す。Wc[mm]は、コイルユニット100の横幅の最大長さ、この場合は導線の直径を示す。Wg[mm]は、コイルユニット100を構成する近接する線状導体110間の間隙又はその間隙に介在させる線間磁性体120の幅を示す。コイルユニット100が円形の場合は、内径R1[mm]、外径D1[mm]、矩形状コイルの場合は内径は、N1、外径はM1に相当する。Re[Ω]は、コイルユニット100の抵抗、Qはコイルユニット100のQ値、η[%]は電力電送の伝送効率を示す。
比較例1は、従来のコイルユニットである。このコイルユニットは、スパイラル状に直径0.6mmの線状導体を巻き回した構成である。
比較例2は、上記従来のコイルユニットにおいて、電力電送面と反対側に透磁率2200[H/m]の厚さ0.8mmの磁性体シート13を配置した構成である。
比較例3は、従来の他のコイルユニットである。このコイルユニットは、エポキシ樹脂の基板上にスパイラル状のパターンの溝を形成し、溝にスパイラル状に直径0.6mmの線状導体を巻き回し、隣接する線状導体間に一定の間隙Wgを設けた構成である。
実施例1は、図2及び図3に示すコイルユニット100のコイル特性である。コイルユニット100は、透磁率400の磁性体シート130の上にスパイラル状に直径0.6mmの線状導体110を巻き回して平面コイルを形成し、隣接する線状導体110間の間隙Wgに透磁率2800[H/m]の厚さ0.8mmの線間磁性体120を介在させた構成である。
上述したように、コイルユニット100は、まず、磁性体シート130全面にドライフィルムレジストを塗布し、配線パターン以外の部分を紫外線硬化を施し、エッチング処理により、配線箇所部を除去する。その後、シリカ微粒子によるサンドブラスト処理することにより、幅0.6mmの螺旋状の溝を設ける。その溝に線状導体110を挿入し固定する。そして電力電送方向とは逆の面に0.8mmの厚さの磁性体シート130を接着等で固定して、図3に示したコイルユニット100を得た。
表1に示すように、比較例2では、コイルユニット100の電送面と逆の面に磁性体シート130を配置すると、コイルインダクタンスは増加する。しかしながら、コイルユニット10の損失抵抗が増加し、その結果、コイルユニット100のQ値が低下し、電送効率を下げてしまう。比較例3では、近接する線状導体110間に一定の間隙を設けることにより、コイルインダクタンスは減少する。近接効果の抑制によりコイルユニット200の損失抵抗が減少し、コイルユニット100のQ値が高くなり、電送効率の向上につながっている。
上記比較例1−3に対して、本実施例1のコイルユニット100は、近接する線状導体110間に線間磁性体120を介在させることにより、コイルの損失抵抗は増加するものの、コイルインダクタンスは増加し、コイルのQ値が高くなることで、電送効率が改善する効果が得られている。
図8及び図9は、コイルユニットの磁束発生経路の磁束発生をシミュレーションにより示す図である。図8は、比較例3のコイルユニット200の線状導体110間に一定の間隙を設けた場合の磁束発生経路の磁束発生を示す。図9は、本実施例1のコイルユニット100の磁性体シート130の上にスパイラル状に線状導体110を巻き回し、近接する線状導体110間の間隙に線間磁性体120を介在させた場合の磁束発生経路の磁束発生を示す。
図9に示すように、コイルユニット100付近から強い磁束の発生が見られ、それが上方に誘導されている状態が観察される。
表2は、コイルユニット100のWgを変えたときのコイル特性を示す。N1、M1は、図2に示す内辺長、外辺長である。
図10は、コイルユニット100の伝送特性を示す図である。横軸は線状導体110の断面最大幅長Wcに対する線間磁性体120の幅Wgの割合(Wg/Wc)、縦軸は各実施例のコイルユニット100の抵抗値Re[Ω]を示す。
図10に示すように、Wg/Wcの増加に伴い、つまり、線状導体110の断面最大幅長Wcに対して、近接する線状導体110間の間隔に介在する線間磁性体120の幅Wgを大きくするに従い、コイルユニット100の抵抗値が減少する傾向にある。近接する線状導体110間での近接効果の抑制の効果と考えられる。
図11は、コイルユニット100の伝送特性を示す図である。横軸はWg/Wc、縦軸は各コイルのQ値を示す。
図11に示すように、Wg/Wcの増加に伴い、コイルユニット100のインダクタンスの低下が抑えられ、コイル抵抗の減少により、コイルQ値は上昇する。一定のWg/Wcからやや減少する傾向にあるが、全体として高いコイルのQ値を維持している。
図12は、コイルユニット100の伝送特性を示す図である。横軸はWg/Wc、縦軸は電送効率を示す。
図12に示すように、コイルのQ値と似た傾向を示しており、全体的に、高い電送効率を保持することが可能となる。
このように、本実施例1のコイルユニット100は、前述した比較例1−3に対して、近接する線状導体110間に間隙を設け線間磁性体120を介在させることにより、コイルの損失抵抗はやや増加する傾向にあるものの、コイルインダクタンスは増加し、コイルQ値が高くなることで、電送効率が改善する効果が得られている。
表3は、図3における線間磁性体120の透磁率(μ1)及び磁性体Bの透磁率(μ2)を変えたときのコイルユニット100の特性を示す。
図13は、コイルユニット100の伝送特性を示す図である。横軸は線間磁性体120の透磁率と磁性体シート130の透磁率(μ1/μ2)の値、縦軸はコイルの抵抗値Re(Ω)を示す。
図13に示すように、透磁率の増加に伴い、コイルの抵抗値がやや増加する傾向にある。
図14は、コイルユニット100の伝送特性を示す図である。横軸は線間磁性体120の透磁率と磁性体シート130の透磁率(μ1/μ2)の値、縦軸は各コイルのQ値を示す。
図14に示すように、μ1/μ2が一定の高い値である場合には、コイルの高いインダクタンス値が支配的になり、高いコイルQ値を保持する傾向にある。μ1/μ2が下がることで、やや減少する傾向にあるが、全体として高いコイルのQ値を維持している。
図15は、コイルユニット100の伝送特性を示す図である。横軸は線間磁性体120の透磁率と磁性体シート130の透磁率(μ1/μ2)の値、縦軸は電送効率を示す。
図15に示すように、コイルのQ値と似た傾向を示しており、全体的に、高い電送効率を保持することが可能となる。
このように、近接する線状導体110間に間隙を設け、線間磁性体120を介在させ、一定の透磁率を有する線間磁性体120を使用することにより、高いコイルインダクタンスにより、高いコイルQ値を保持でき、電送効率が向上する効果が得られる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、コイルユニット100は、線状導体110をスパイラル状の平面曲線状に巻回して形成され、線状導体110の線間に磁性体120を介在させた平面渦巻きコイル111と、平面渦巻きコイル111の送受電面と反対の面を覆う磁性体シート130と、を備える。線状導体110の断面最大長さをWc、線間磁性体120の幅をWgとした場合、0.2≦Wg/Wc≦3.5である。また、線間磁性体120の透磁率は、1000[H/m]以上3000[H/m]以下、かつ、磁性体シート130の透磁率は、50[H/m]以上500[H/m]以下である。
この構成により、以下の効果を得ることができる。
(1)近接する線状導体同士において、導体断面の電流分布は中心軸側に偏った形となり、コイルの抵抗値が増大しやすい傾向にある。そこで、コイルを構成する線状導体110間に一定の間隙を設けることで、線間での近接効果を抑制して抵抗損失を抑えることができる。
(2)線状導体110の線間に高透磁率の線間磁性体120を介在させることで、磁界が磁線間磁性体120に集中する。これにより近接効果が抑制され、線状導体110での抵抗値増大を防ぐことができる。また、発生する磁束が線間磁性体120に集中し、その集中した磁束が受電側の2次コイルとの電磁結合をより強くすることができる。
(3)線状導体110間に介在させた線間磁性体120よりも透磁率の低い磁性体シート130で、線状導体110の送受電面と反対側の面を覆うことで、線状導体110から発生した磁束の漏れを低減して磁気シールド効果を発揮することができる。また、磁束の指向性を高め、コイルのインダクタンスを高くすることができる。その結果、コイル伝送特性のQ値を上げることが可能になり、伝播損失の低減を図ることができる。
以上のことから、コイルユニット100は、高出力のワイヤレス電力伝送に使用しても、電力電送効率の低下を抑えることができ、1次側・2次側コイル間での長距離の電力伝送が可能となる。また、1次側・2次側コイル間に少しの位置ずれがあったとしても、電力電送効率が大きく低下することがないという優れた効果を奏する。
(実施の形態2)
実施の形態1では、コイルユニット100について説明した。
実施の形態2は、コイルユニット100を備えるワイヤレス電力伝送装置について説明する。
図16及び図17は、本発明の実施の形態2のコイルユニットを備えるワイヤレス電力伝送装置の構成を示す図である。図16は、上記ワイヤレス電力伝送装置の電子機器と送電装置の主要構成図、図17は、充電装置と電子機器端末間でのワイヤレス電力伝送の制御回路図である。図6と同一構成部分には同一符号を付している。
図16及び図17に示すように、ワイヤレス電力伝送装置300は、送電装置310と、受電装置である電子機器320と、を含んで構成される。
送電装置310と電子機器320とは、電磁誘導結合することにより、ワイヤレスで電力伝送を行うワイヤレス電力伝送装置を形成する。
<送電装置310>
送電装置310は、電子機器320が載置されて、電子機器320の2次電池321の充電を行う充電装置である。
送電装置310は、1次側送電コイル210と、送電制御部312と、送電回路部313と、を備える。
1次側送電コイル210は、電子機器320の2次電池321の充電を行う際の送電側のワイヤレス電力伝送コイルである。1次側送電コイル210は、本実施例1のコイルユニット100を用いる。
送電制御部312は、1次側送電コイル210へ電力供給とその制御を行う。
<電子機器320>
電子機器320は、受電側の電子機器である。ここでは、電子機器内の負荷として蓄電用の2次電池321を内蔵する電子機器に適用している。
電子機器320は、2次側受電コイル220と、2次電池321と、充電制御回路322と、を含む回路基板を備える。
2次側受電コイル220は、2次電池321の充電を行う際の受電側となる受電側のワイヤレス電力伝送コイルであり、本実施例1のコイルユニット100を用いる。
2次電池321は、端末の動作電力を発生する。
次に、ワイヤレス電力伝送装置300の動作を説明する。
電子機器320の2次側受電コイル220が、送電装置310の1次側送電コイル210に接近することで、両コイルの電磁誘導結合により2次側受電コイル220に交流電圧が誘起される。誘起された交流電圧は、受電回路部323に供給される。
商用電源311である100[V]の交流電圧を、図示しないAC/DCコンバータにより所定の直流電圧に変換し、その直流電圧を所定の周波数の交流電圧を生成して、その生成された交流電圧を送電回路部313に送る。生成された交流電圧は、送電回路部313から1次側送電コイル210に供給され、1次側送電コイル210を所定の共振周波数で発振させる。共振コンデンサの容量は、電力伝送の信号の搬送波周波数F[Hz]と、コイルのインダクタンスから決定することができ、F=1/2π√LC、で与えられる。
一方、電子機器320では、送電装置310の1次側送電コイル210の発振によって2次側受電コイル220に交流電圧が誘起される。誘起された交流電圧は、図示しない整流回路を通じて整流され、平滑回路にて平滑化した直流電圧により2次電池321の充電を行う。
ここで、送電装置310の1次側送電コイル210の発振によって2次側受電コイル220に交流電圧が誘起され2次電池321の充電を行う前に、受電装置である電子機器320が送電装置310の端末載置台に設置されていることを検知する。
まず、送電装置310の端末載置台に電子機器320が置かれ、電子機器320の2次側受電コイル220と送電装置310の1次側送電コイル210とが近接配置される。この近接配置により、負荷インピーダンスが変化して、1次側送電コイル210に電圧又は電流値の変動が生じる。送電制御部312は、上記変動値を予め定めておいた値と比較して、充電対象である電子機器320が存在することを検知する。
同様に、受電側である電子機器320でも、送電装置310の端末載置台に電子機器320が置かれて、2次側受電コイル220と1次側送電コイル210とが近接配置されることで、負荷インピーダンスが変化することにより1次側送電コイル210に生じた電圧又は電流値の変動を検知する。受電制御回路322は、上記変動値を予め定めておいた値と比較して、電子機器320が充電装置である送電装置310の載置台に置かれたことを検知する。
電子機器320が、送電装置310の載置台に置かれる際、コイル同士が適切な近接配置に置かれることにより高効率の電力伝送がなされる。しかし、電子機器320が不適切な位置に置かれると、電力電送効率は低下する傾向にある。そのため、適切な位置関係に置かれているかどうかをユーザに何らかの方法で通知し、適切な位置に置くように促すことが好ましい。
本実施の形態のワイヤレス電力伝送装置300は、両コイル間の少々の位置ずれがあったとしても、電力電送効率が大きく低下することがないため、比較的ラフな位置決めであっても一定の電力電送効率が得られる。
また、本実施の形態のワイヤレス電力伝送装置300は、送電装置310と電子機器320とは、1次側送電コイル210と2次側受電コイル220を介して双方の機器に関する情報信号の伝達が可能である。例えば、1次側送電コイル210と2次側受電コイル220とが近接配置され、そのときの電圧変動を検出して、適切な配置を検知した場合、1次側送電コイル210及び2次側受電コイル220間で各々の機器及び装置の識別情報をやりとりして、互いに相手方の認証を行う。そして、1次側送電コイル210と2次側受電コイル220とが適切な近接配置された検知し、各々の機器及び装置が互いに相手方を認証できた場合に、1次側送電コイル210から2次側受電コイル220に電力伝送が行われ、その伝送された電力により電子機器320の2次電池321の充電が行われる。
次に、送電装置310と電子機器320間でのワイヤレス電力伝送の制御について説明する。
図17に示すように、送電装置310は、送電制御部312、送電回路部312、及び1次側送電コイル210を備える。
商用電源311から供給される交流電圧は、図示しないAC/DCコンバータを通じて所定の直流電圧に変換される。この直流電圧は、送電制御部312を介して送電回路部312へ供給される。
送電回路部313は、少なくともドライバ及び共振回路(いずれも図示略)を有している。ドライバは、送電制御部312による制御によって、AC/DCコンバータからの直流電圧を所定の周波数を有する交流電圧に変換する。共振回路は、コンデンサの容量CとコイルのインダクタンスLからなる共振回路により、ドライバからの交流電圧に応じて共振する。これにより、1次側送電コイル210を所定の共振周波数で発振させる。
また、送電回路部313は、送電制御部312から供給される装置の状態や認証のための情報を含んだ変調信号を電力伝送用の交流信号に重畳するか又は、その情報のみを単独で電子機器320への情報送信も行うことが可能である。
送電制御部312は、送電装置310から電子機器320へ充電電力を伝送する場合には、送電回路部313のドライバを制御し、ドライバから1次側送電コイル210へ所定の周波数の交流電圧を供給させる。また、送電制御部312は、送電装置310の載置台へ電子機器320の接近配置や移動により1次側送電コイル210に発生する電圧又は電流変動を検知する。そして、送電装置310の載置台へ電子機器320の接近配置や移動の検知に基づいて、ドライバから1次側送電コイル210への交流電圧の供給と停止の制御などを行う。さらに、送電制御部312は、送電装置310と電子機器320間での各々の機器状態の情報を送信する変復調回路(図示略)を有している。機器の状態の情報に応じて変調した信号を生成して送信を行うことにより、1次側送電コイル210から、2次側受電コイル220へ情報送信が行われる。
逆に、電子機器320から機器情報の受信を行う場合、電子機器320から送られてきた変調信号を取り出し、変復調回路で変調信号の復調が行われ、電子機器320から送られる情報の受信が行われる。
一方、電子機器320は、2次側受電コイル220、受電回路部323、受電制御部324、充電制御回路322、及び2次電池321を、主に備える。
受電回路部323は、1次側送電コイル210からの電磁誘導により2次側受電コイル220に誘起された交流電圧を直流電圧に変換する整流回路(図示略)と、整流回路から送られた直流電圧を電子機器320の充電で使用される所定電圧に変換するレギュレータ(図示略)から構成される。また送電装置310へ機器状態の情報を送るための2次側受電コイル220の共振回路とドライバ(いずれも図示略)を備えている。
レギュレータにより、所定電圧に変換された直流電圧は、受電制御部324に送られる。受電制御部324は、受電回路部323が受電した電力を、充電制御回路322へ送り、2次電池321の充電を行う。また、受電制御部324は、電子機器320の機器状態、例えば温度上昇、2次電池321の充電状態、2次側受電コイル220に発生する電圧変動等を検出する。さらに、受電制御部324は、送電装置310へ機器情報に応じた変調した信号を受電回路部323へ送る変復調回路(図示略)を備える。
受電回路部323の発振回路は、電子機器320から送電装置310へ情報伝送を行う際、ドライバは受電制御部324により、共振回路を共振させることにより、2次側受電コイル220を所定の共振周波数で発振させる。ドライバは、受電制御部324から供給される情報送信用の変調信号を送信する。
送電装置310と電子機器320間での情報信号の送受信は、単純なビット通信でもあってもよいし、コード化通信であってもよい。
また、本実施の形態では、送電装置310は、負荷インピーダンスの変化に基づく電圧値が予め定めた所定の電圧値にならなかった時や、相互の機器間での識別認証ができなかった時は何らかの異常な状態にあるものとして、1次側送電コイル210への電力供給を行わないように制御される。
また、本実施の形態では、1次側送電コイル210と2次側受電コイル220の両コイルが、電磁誘導結合により2次側受電コイル220に交流電圧が誘起され、受電回路部323に供給され、電子機器320の2次電池321の充電が行われている場合、送電装置310と電気機器2との間で、1次側送電コイル210及び2次側受電コイル220を介して2次電池321の充電情報の送信が行われる。例えば、2次電池321の充電の継続が必要な場合は、1次側送電コイル210からの電力伝送を継続する。また、2次電池321の充電が完了した場合は、電力伝送を停止する。また何らかの異常を示す情報が供給されたような場合にも電力伝送を停止する制御を行う。
なお、本実施の形態では、コイルユニットを充電装置及び電子機器、またワイヤレス電力伝送装置に用いた例について説明したが、コイルユニットは、携帯端末等どのような電子機器に適用してもよい。電磁誘導により非接触で電力を伝送する機器であれば、どのような装置でもよく、例えば携帯電話機等の携帯端末装置に適用してもよい。当然のことながら、コイルユニットは、送電コイル又は受電コイルのいずれであってもよい。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
また、上記各実施の形態では、コイルユニット及び電力伝送装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、コイルユニットは平面コイル、送電コイル又は受電コイル、電力伝送装置はワイヤレス電力伝送装置、非接触電力伝送システム等であってもよい。
さらに、上記コイルユニットを構成する各部、例えば線状導体、線間磁性体、磁性体シート等の種類・形状、取付方法などは前述した実施の形態に限られない。また、線状導体は、スパイラル状に巻回して形成されていればよく、形状は円形のほか、矩形を含む多角形でもよい。
本発明のコイルユニット及び電力伝送装置は、例えば充電装置などの送電装置に受電対象物である電子機器等を着脱可能に装着又は接近させ、送電装置から電子機器等に対して電磁誘導により非接触で電力伝送するためのコイルユニット及びコイルユニットを備える電力伝送装置全般に適用することが可能である。
100、100A、100B、200 コイルユニット
110、110A、110B 線状導体
111 平面渦巻きコイル
120 線間磁性体(第1の磁性体)
130、130A、130B 磁性体シート(第2の磁性体)
140 始端端子
150 終端端子
210 1次側送電コイル
220 2次側受電コイル
300 ワイヤレス電力伝送装置
310 送電装置
312 送電制御部
313 送電回路部
320 電子機器
321 2次電池
322 充電制御回路
323 受電回路部
324 受電制御部

Claims (6)

  1. 線状導体をスパイラル状に巻回して形成された平面コイルと、
    前記線状導体の線間に介在された第1の磁性体と、
    前記平面コイルの一側の面を覆って設けられた第2の磁性体と、
    を備えるコイルユニット。
  2. 前記線状導体の断面最大長さをWc、前記第1の磁性体の幅をWgとした場合、以下の関係を満たす、
    0.2≦Wg/Wc≦3.5
    請求項1記載のコイルユニット。
  3. 前記第1の磁性体の透磁率は、前記第2の磁性体の透磁率よりも高い、請求項1記載のコイルユニット。
  4. 前記第1の磁性体の透磁率は、1000[H/m]以上3000[H/m]以下、かつ、前記第2の磁性体の透磁率は、50[H/m]以上500[H/m]以下である、請求項3記載のコイルユニット。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイルユニットを用いて構成され、前記平面コイルの前記第2の磁性体との対向面とは反対側の面が送電側の面に配置された送電コイルと、該送電コイルに電力を供給する送電部と、
    を含む電力伝送装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコイルユニットを用いて構成され、前記平面コイルの前記第2の磁性体との対向面とは反対側の面が受電側の面に配置された受電コイルと、該受電コイルで受電された電力を出力する受電装置と、
    を含む電力伝送装置。
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