JP5596187B2 - 有機物分解除去装置 - Google Patents

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Description

本発明は、有機物を分解して除去する有機物分解除去装置に関し、特に、スクリュー等の金属部材やセラミック部材等に付着したプラスチック樹脂や油脂等の有機物を、酸化チタンを用いて分解除去する有機物分解除去装置に関する。
一般に、プラスチック製品等の製造に用いられる射出成型機や押出し成形機をはじめとする樹脂加工装置等では、スクリュー等の金属部材又はセラミック部材に残留したプラスチックやゴム等の樹脂が付着するので、作業後に清掃や洗浄等のメンテナンスが必要になる。このようなプラスチックやゴム等の有機物の除去方法としては、直接バーナー等で焼いたり、ブラシ等で磨いたり、有機溶剤を用いて溶解させたりする方法があるが、高熱によって金属部材が変形したり、セラミック部材が破損したり、金属ブラシで細かい傷が付いてさらに汚れを付着させる原因になったり、また、有機溶剤を用いると金属部材が腐食したり、また廃液処理が煩雑であったりするという問題を抱えていた。また、一方で、年々増加している廃プラスチック等の有機物の処理において、埋め立て地の減少や焼却時の有害ガスの発生などの問題を踏まえて、酸化チタンを用いた熱分解方法や装置について検討されている。
例えば、特許文献1には、「有機物分解方法」という名称で、安価な装置で迅速に有機物を分解できる有機物分解方法に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明は、空気導入装置と、加熱装置と、攪拌装置を備え、酸化チタンが充填された分解装置に固体又は液体の有機物を投入して攪拌しながら気体にするものである。
固体又は液体の有機物は、加熱された酸化チタンの酸化触媒作用と、十分な酸素の供給と、攪拌による酸化チタンとの接触向上によって効率的に酸化分解されて気体になり、気体として大気中に放出されるので、廃プラスチック等の不用な有機物の処理として有効となる。また、後処理装置を設置することもでき、この後処理装置によって有害な気体を分解したり回収したりすることが可能である。また、有機物を予め熱分解してガス化させてから、酸化チタンによる分解反応を行うようにすることもでき、酸化チタンの分解反応を効率的に進めることも可能にしている。
また、特許文献2には、「廃プラスチックの分解方法」という名称で、顆粒体の酸化チタンを用いて効率を低下させることなく廃プラスチックを分解可能な廃プラスチックの分解方法に関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明は、酸化チタンと廃プラスチックを空気の流通下で攪拌しながら300〜600℃の範囲の温度に加熱して廃プラスチックをガス化して分解する方法である。そして、用いる酸化チタンの顆粒体はチタン酸化物のゾルを乾燥して酸化チタンゲルを生成してこの酸化チタンゲルを焼成して得られる焼成物を破砕してエッジ処理し、粒径が0.5〜1.18mmの割合が50〜95重量%の範囲にあり、摩耗率が2.0%以下のものである。
廃プラスチックは酸化チタンの熱分解触媒の作用を受けて分解してガス化し、処理されるが、用いられる酸化チタンの摩耗率が低いので、攪拌によって摩耗して微粉化することなく、酸化チタンの微粉化による損失を抑制して、熱分解効率を低下させることなく廃プラスチックの分解処理を行うことができる。また、酸化チタン以外の触媒を併用することも可能であり、この場合、熱分解温度範囲の拡大や生成ガスの種類の制御等を行うことができる。
また、特許文献3には、「廃プラスチック・有機物の分解方法、分解装置及び分解システム」という名称で、触媒を長期にわたって使用可能で有機物を効率良く分解し、金属及び無機物を分離・回収可能な廃プラスチック・有機物の分解方法、分解装置及び分解システムに関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、酸化チタン顆粒体の触媒を上流端から下流端に循環させる反応槽と、廃プラスチック・有機物を触媒とともに上流端から下流端に循環させる循環槽と、廃プラスチック・有機物と触媒を攪拌する攪拌手段と、触媒を上流端から下流端へ案内する帰還経路と、金属・無機物分離・回収手段とを有する廃プラスチック・有機物の分解装置である。
廃プラスチック・有機物が反応槽に投入されると、廃プラスチック・有機物と触媒は循環手段によって反応槽を循環しながら攪拌手段によって攪拌されるので、触媒と廃プラスチック・有機物が何度も接触して、触媒の作用によって分解反応が効率的に進行し、ガス化させることができる。また、金属・無機物分離・回収手段が設置されているので、ガス化せずに残存する金属・無機物は酸化を抑えた状態で取り出すことができる。さらに、分解工程中発生する塩化水素、フッ化水素、硫黄化合物、窒素化合物等を処理することも可能にしている。
特開2005−48160号公報 特許第4602690号公報 特許第4380783号公報
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明は、有機物を分解する方法であり、有機物との複合材料等から有機物以外の材料を回収することまで考慮されておらず、例えば金属体に付着した有機物を除去し、その後に金属体を回収することができないという課題があった。
また、特許文献2に開示された発明は、摩耗率の小さい酸化チタンを用いて攪拌による酸化チタンの損傷を低減しているが、攪拌機は回転することで撹拌するため、容器内の外側に酸化チタンの顆粒体が堆積してしまい、廃プラスチックとの接触が少量の酸化チタンに限定されてしまうという課題があった。また、撹拌機の回転軸と撹拌羽根が一体に構成されていない場合には、回転軸と撹拌羽根の隙間に酸化チタンが巻き込まれてしまうことで顆粒が微粉化してしまう。この微粉化は本文献にも記載があるが、廃プラスチックの熱分解効率の低下につながってしまうという課題があった。従って、攪拌装置のメンテナンスの頻度も高くなるという課題があった。また、特許文献1と同様に、有機物が付着した金属等から有機物を除去して金属等を回収することには不適であるという課題もあった。
また、特許文献3に開示された発明は、有機物に混入した金属や無機物を回収する手段が設けられているが、これは金網状のものであり、酸化チタンの触媒と廃プラスチック・有機物が共に循環手段で反応槽内を循環する際に、少量混入した金属や無機物をふるいにかけて回収するものである。すなわち、想定されている回収金属や無機物はいずれも少量・軽量であり、スクリューやボールネジのようなある程度大型で棒状、長尺形状のもので、酸化チタンの触媒と共に反応槽内を循環させることができないような金属部材を回収するような構成たり得ないという課題があった。また、酸化チタン触媒を循環させるスクリューフィーダは回転によって循環力を発揮するため、回転軸や回転軸端に酸化チタンをかみ込む可能性があり、特許文献2で述べたことと同様に酸化チタンの微粉化とそれに伴う高頻度のメンテナンス必要性が懸念されるという課題もあった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、大型のものも含めて金属部材やセラミック部材に付着したプラスチック樹脂や油脂、ゴム等の有機物を、酸化チタンを用いて分解・ガス化して除去し、酸化チタンの微粉化を防止して効率良く分解反応を促進させ、その後に金属部材やセラミック部材を容易に回収可能であり、構成が簡単で取り扱いが容易な有機物分解除去装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明である有機物分解除去装置は、有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を投入して金属部材又はセラミック部材から付着有機物を分解して除去する有機物分解除去装置であって、粒状の酸化チタンが充填され、この酸化チタンを加熱するヒーターを備える分解槽と、有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を揺動可能に保持する揺動部とを有し、揺動部は、金属部材又はセラミック部材を保持する保持部と、この保持部を固定して正逆回動する揺動軸とを備え、この揺動軸は分解槽に充填される酸化チタンよりも上方に配置されるものである。なお、本願では粒状の酸化チタンとしているが、酸化チタンの粒径が小さなものを排除する意図はなく、すなわち粒状は顆粒状の酸化チタンも含む概念である。なお、保持部の形状は特に限定するものではなく、フック形状やクリップ形状のものも含む概念である。また、単数に限定するものではなく、2式以上あってもよい。
このような構成の有機物分解除去装置によれば、分解槽に充填される酸化チタンはヒーターの加熱によって金属部材又はセラミック部材に付着した有機物を酸化分解するように作用し、揺動部は金属部材又はセラミック部材を揺動させて付着した有機物と酸化チタンが接触するように作用する。また、揺動部の保持部は金属部材又はセラミック部材を保持し、揺動軸は酸化チタンよりも上方に配置されて露出し、酸化チタンと接触しない状態で、保持部を固定して正逆回動するように作用する。
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載の有機物分解除去装置において、有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を揺動可能に保持する揺動部に代えて、有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を水平往復運動可能に保持する水平往復運動部を備え、この水平往復運動部は、前記金属部材又はセラミック部材を保持する保持部と、この保持部を固定して水平往復運動するピストン軸とを備え、このピストン軸は前記分解槽に充填される酸化チタンよりも上方に配置されることを特徴とするものである。
このように構成される有機物分解除去装置においては、ピストン軸が水平往復運動を行うように作用して金属部材又はセラミック部材を水平往復運動させるようにして、付着した有機物が酸化チタンと接触するように作用する。保持部の作用は請求項1に記載の発明と同様である。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の有機物分解除去装置において、揺動部は、酸化チタンを攪拌可能に揺動軸に少なくとも1個のパドルを備えるものである。
このような構成の有機物分解除去装置においては、請求項1に記載の発明の作用に加えて、揺動軸に設置される少なくとも1個のパドルは粒状の酸化チタンに接触してこれを攪拌するように作用する。
そして、請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置において、保持部は、金属部材又はセラミック部材の脱落を防止する脱落防止手段を備えるものである。
このような構成の有機物分解除去装置においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、脱落防止手段によって金属部材又はセラミック部材は揺動時においても脱落が防止されるように作用する。
そして、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置において、保持部は、金属部材又はセラミック部材を収容可能な容器を備え、この容器は酸化チタンが出入可能に少なくとも一部は網目状に形成されものである。
このような構成の有機物分解除去装置においては、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、容器は金属部材又はセラミック部材を収容するとともに、網目状に形成される一部によって容器内部に粒状の酸化チタンを出入させるように作用する。
そして、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置において、分解槽に空気を送入する空気送入手段と、分解槽において有機物の分解よって発生するガスを排気する排気手段とを備えるものである。
このような構成の有機物分解除去装置においては、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、空気送入手段によって分解槽に空気が送入されると、空気中の酸素が有機物の分解を促進させるように作用する。また、排気手段は、有機物の分解によって発生するガスを有機物分解除去装置の外部に排出するように作用する。
そして、請求項7記載の発明は、請求項6に記載の有機物分解除去装置において、排気手段は、塩素又はその化合物を除去可能な塩素除去手段を備えるものである。
このような構成の有機物分解除去装置においては、請求項6に記載の発明の作用に加えて、塩素除外手段は、有機物の分解によって発生する塩素又はその化合物を除去するように作用する。
最後に、請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置において、移動手段を備えて可搬式であるものである。
このような構成の有機物分解除去装置においては、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、移動手段によって可搬となるという作用を有する。
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の有機物分解除去装置においては、有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を酸化チタンが充填された分解槽に投入すると、加熱及び揺動により酸化チタンの触媒作用を高めて有機物を効果的に分解除去し、清浄な状態の金属部材又はセラミック部材を得ることができる。また、揺動部の保持部によって保持される金属部材又はセラミック部材を揺動軸によって揺動させることで粒状の酸化チタンを撹拌することが可能であり、特にインペラ等の撹拌部材を用いることなく、酸化チタンと金属部材又はセラミック部材の接触面積を増大させることが可能である。
また、揺動部の揺動軸を酸化チタンの上方になるように配置して露出させ、揺動軸やその駆動系に酸化チタンが接触しないような構造にしているので、揺動軸の動作に粒状の酸化チタンが巻き込まれることがなく、酸化チタンの損傷や摩耗による分解作用の低下を防止することができる。また、酸化チタンが揺動軸に付着することもない。従って、分解槽内や揺動軸のメンテナンスの頻度も低くすることができ、メンテナンス自体も容易となる。
なお、保持部が2式以上ある場合には、揺動される金属部材又はセラミック部材を複数同時に処理することが可能である。
また、本発明の請求項2に記載の有機物分解除去装置においても、請求項1に記載された発明と同様の効果を発揮することが可能である。但し、請求項1に記載の発明が揺動軸と垂直な方向への正逆回動による揺動であるので、揺動軸と垂直な方向への幅(径)を大きくとること酸化チタンの撹拌に重要となるものの、本請求項に記載される発明の場合には、ピストン軸に平行な方向への往復運動となるので、ピストン軸と垂直は方向への幅(径)は小さくとることができる。ただ、ピストン軸のストロークを大きくとることが酸化チタンの撹拌に重要となるので、軸方向へ長い形状とすることが必要となる。
また、本発明の請求項3に記載の有機物分解除去装置においては、設置されるパドルによって分解槽に充填される酸化チタンが十分に攪拌されると、有機物と酸化チタンとの接触頻度が向上し、有機物の分解を促進することができるので、短時間で分解反応を終了させることができる。パドルを備えることで金属部材又はセラミック部材の揺動範囲を超えてパドルを揺動させることができるため、より粒状酸化チタンの撹拌を促進させることができるのである。
そして、本発明の請求項4に記載の有機物分解除去装置においては、脱落防止手段によって、スクリュー等の大型の金属部材又はセラミック部材においてもその脱落をより効果的に防止することができ、再設置に伴う作業効率の低下や金属部材又はセラミック部材の破損を防ぐことができる。
本発明の請求項5に記載の有機物分解除去装置においては、ボルトやナット等の小型の金属部材又はセラミック部材についても、網目状に形成される容器内に収容して、容器ごと揺動軸で揺動させることで、網目状に形成された容器内に粒状の酸化チタンを導入させ、金属部材又はセラミック部材に接触させることが可能であり、付着した有機物を簡単に分解除去することができる。なお、この容器は、スクリュー軸などのような長尺物であっても、一本の中心軸にスリーブ状の多種多様のスクリューセグメントが組み込まれた形状となっている場合も多く、そのような場合には分解して収容することが可能である。
本発明の請求項6に記載の有機物分解除去装置においては、空気送入手段によって適宜空気が送入されるので、活性化された粒状の酸化チタンによる酸化作用も空気中の酸素の供給によって有機物の分解を促進させることができる。従って、分解処理を効率的に行うことができる。また、有機物の分解によって生じる水と二酸化炭素等のガスを分解槽から排気する排気手段を備えているので、分解反応を停滞させることなく進行させることができる。
そして、本発明の請求項7に記載の有機物分解除去装置においては、塩素を含む有機物を分解する際に発生する有害な塩素ガス等や塩化物等を、塩素除去装置によって除去することができるので、有害なガスや液体、固体(粉体)を大気中に排出することなく、環境保全に適した装置となる。
最後に、本発明の請求項8に記載の有機物分解除去装置においては、移動手段を備えて可搬であるので、必要な作業場所に容易に移動して作業することができ、作業効率を上げることができる。また、可搬式であるので収納やメンテナンス時の移動等も便利であり、設置場所の有無に無関係に用いることが可能という利点もある。
本発明の実施の形態に係る有機物分解除去装置の外形図である。 本実施の形態に係る有機物分解除去装置の内部構造を示す概念図である。 図2中にA−A線で示された部分の矢視断面図である。 (a)乃至(c)は本実施の形態に係る有機物分解除去装置の揺動軸の動作を示す概念図であり、(d)は同じく揺動軸へのスクリューの着脱の様子を説明するための概念図である。 本実施の形態に係る有機物分解除去装置の構成図である。 (a)は本実施の形態に係る有機物分解除去装置の容器の外形図であり、(b)は同じく容器の上面図であり、(c)は同じく容器を揺動軸に設置した場合の概念図である。
以下に、本発明に係る有機物分解除去装置の実施の形態を図1乃至図6を参照しながら説明する。(請求項1、3乃至請求項8に対応)
図1は、本発明の実施の形態に係る有機物分解除去装置の外形図である。
図1において、有機物分解除去装置1は、分解槽2とこの分解槽2に覆設される蓋3を備え、分解槽2の側部に設置されるギアボックス7とともに載置台8に固設されている。ギアボックス7には、分解槽2に貫設される揺動軸5の端部が露出しており、この揺動軸5はギヤードモーター6によって正逆回動するようになっている。また、載置台8には複数の車輪9が設置されており、有機物分解除去装置1は移動可能な可搬式になっている。なお、符号4は蓋3に設置される取っ手であり、蓋3を開閉する際に把持するものである。
有機物分解除去装置1では、分解槽2の内部に粒状の酸化チタンが充填されており、この酸化チタン中に有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を投入し、ヒーターを用いて加熱すると酸化チタンの触媒作用が活性化されて金属部材又はセラミック部材に付着した有機物を効果的に分解してガス化し除去することができる。なお、本願明細書では、粒状とはさらに径の小さな顆粒状も含む概念である。また、金属部材又はセラミック部材は、揺動軸5から延設されるスクリュー保持部材(図2参照)に保持されて揺動軸5の正逆回動に伴って酸化チタン中を揺動し、粒状の酸化チタンを撹拌しながら、酸化チタンとの接触効率を高めながら有機物の分解反応を効率良く進行させていく。
本願明細書で想定している有機物とは、射出成形機や押出し成形機等のような樹脂加工装置で発生するプラスチック樹脂や、多種多様な装置で用いられるグリースなどの油脂類、ゴム類、顔料や染料も含めた概念である。また、これらが付着した金属部材やセラミック部材とは、それらの有機物を取り扱う装置におけるシャフト(軸)、ボールネジ、インペラやパーツ(部品)、ローラ類、ボルト類、ネジ類等である。
次に、本実施の形態に係る有機物分解除去装置の内部構造について図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本実施の形態に係る有機物分解除去装置の内部構造を示す概念図である。
図2において、車輪9を備える載置台8には、分解槽2とギアボックス7が固設されており、棒状の揺動軸5が分解槽2及びギアボックス7に貫設されている。そして、分解槽2の内部には粒状の酸化チタン18が充填されており、分解槽2の底部には酸化チタン18を加熱するためのヒーター21が設置されている。さらに、ヒーター21の上部には空気層20が設けられており、この空気層20には、図示していないがブロアー等の空気送入装置から空気が適宜送入されている。また、符号19はフィルターであり、酸化チタン18の粒径よりも細かく形成されているので、空気層20からの空気を分解槽2内に通しつつ、酸化チタン18の空気層20への落下を防止している。
そして、揺動軸5は、分解槽2の内部において、全長に亘って酸化チタン18に接触しないように粒状の酸化チタン18の層から露出するように上方に配置されて、有機物が付着したスクリュー15を保持している。この保持は、揺動軸5の両端部側にそれぞれ設置される固定具13a,13bに固定されたスクリュー保持部材12a,12bによって行われる。これらのスクリュー保持部材12a,12bによるスクリュー15の保持は、スクリュー15の揺動等の動作を許容するものであり、スクリュー保持部材12a,12bからスクリュー15が脱落しないように脱落防止部材14a,14bが設けられている。この脱落防止部材14a,14bはスクリュー15を両端側から挟持する筒状のソケットのように構成されることで、脱落を防止している。また、このスクリュー15が金属部材又はセラミック部材からなるものであり、これに付着する有機物を分解除去するものである。本実施の形態ではスクリュー15としているが、特にスクリューに限定するものではなく、ボールネジ、単なるシャフト等の棒状、長尺物でもよい。
また、スクリュー保持部材12a,12bと脱落防止部材14a,14bは図2中では簡略化されて示されているが、例えば、フック状のスクリュー保持部材12a,12bに対して、そのフックの開口から脱落を防止すべく開口を塞ぐレバー状の留め具などが考えられる。このレバー状の留め具にボルト締め等によるロック機構を備えることで留め具の外れを防止して脱落防止の効果を高めるような構成としてもよい。また、スクリュー保持部材12a,12bはクリップ状のものでもよい。この場合にはクリップ状のものに付着した有機物を除去するための金属部材やセラミック部材を挟むように固定する。この場合の脱落防止部材14a,14bとしてはこのクリップ状のものが開かないようする開動作抑制具等が考えられる。
さらに、揺動軸5には、固定具17a,17bによって固定されるパドル16a,16bが複数個設置されており、図中では揺動軸5の前面側に3個のパドル16aと後面側に4個のパドル16bが交互になるように配置されて、前面側のパドル16aと後面側のパドル16bの間にスクリュー15が挟まれるように構成されている。また、パドル16a,16bと形状が異なるが、スクリュー保持部材12a,12bにもそれぞれパドル16cが設置されている。このようにスクリュー15を挟むようにその外側にパドル16a〜16cを配置することで、スクリュー15の揺動範囲よりもパドル16a〜16cの揺動範囲を広げることが可能となり、粒状の酸化チタンの撹拌を促進させることが可能である。なお、パドル16a〜16cがなくとも有機物を除去する対象であるスクリュー15によって酸化チタンを撹拌することが可能である。
揺動軸5は、ギアボックス7内において揺動軸5の端部に設置されるギア11とギヤードモーター6に接続されるギア10が咬合して正逆回動する。この揺動軸5の正逆回動に伴って、スクリュー保持部材12a,12b、スクリュー15、パドル16a〜16cは酸化チタン18中で揺動することができる。また、揺動軸5の回動角度は、パドル16a〜16cの下端部が酸化チタン18の層の表面から出ないように制御される必要はないが、スクリュー15は露出しないようにすることが望ましい。なお、本実施の形態においては、揺動部とは、揺動軸5、スクリュー保持部材12a,12b、固定部材13a,13b及びギヤードモーター6を指す。
また、蓋3には排気口24が設置されており、この排気口24では、スクリュー15に付着した有機物が分解する際に発生するガスを有機物分解除去装置1の外部に放出することができる。
酸化チタン18には主としてルチル型とアタナーゼ型が存在しているが、このうちアナターゼ型結晶が光触媒活性が強いとされているため好適である。また、粒径は、0.1mmから5.0mmの範囲が重量で95%以上であることが望ましい。より好ましくは0.1mmから0.5mmの範囲が重量で50%以上、さらに好ましくは、0.1mmから0.5mm範囲が重量で30%以上でかつ1.2mm以上の範囲が重量で20%以上であることが挙げられる。粒径が0.1mmから0.5mmの範囲のものが反応速度が速いためであり、1.2mm以上のものがあると溶融した有機物が揺動の際に掻き取られ易く、有機物の除去に好適であるためである。しかしながら、粒径が0.1mm以下になると、加熱によって液状になった有機物にトラップされて分解効果が減衰あるいは消失し、一方、粒径が5mm以上になると、有機物との接触面積が小さくなるので分解効果が低減してしまう。したがって、粒径が、0.1mmから0.5mmの範囲にあるものが、有機物をより効果的に分解することができる。また、少量の1.2mm程度あるいはそれ以上で5.00mmまでのものが含まれる場合がさらに望ましい。
なお、本実施の形態においては、触媒として酸化チタン18を採用して説明したが、酸化チタン(TiO)の他にも有機物を分解することが知られている触媒として、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化鉄(Fe)、酸化スズ(SnO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化マンガン(MnO)、酸化コバルト(CoO)等の金属酸化物、あるいはこれらを成分とする複合酸化物を用いることで好適に有機物分解の作用を発揮することが可能である。
また、加熱温度は、金属部材又はセラミック部材に付着した有機物の種類にもよるが、400℃から650℃の範囲に設定するとよい。この温度範囲において、酸化チタン18が好適に有機物を分解除去するように作用する。
ヒーター21を通電して酸化チタン18を400℃から650℃の温度範囲になるように加熱し、ギヤードモーター6を作動させて揺動軸5を正逆回動させると、スクリュー15が酸化チタン18内を揺動して、粒状の酸化チタン18を撹拌する。それと同時にスクリュー15に付着した有機物は酸化チタン18と接触しながら酸化分解を開始し、徐々にガス化して蓋3の内部を浮遊し、排気口24に誘導されて有機物分解除去装置1の外部に放出される。
このとき、パドル16a〜16cも揺動軸5の正逆回動によって揺動し、この揺動によって酸化チタン18は攪拌されるので、スクリュー15に付着した有機物と酸化チタン18の接触頻度を向上させて分解反応を促進させることができる。特に、スクリュー15を挟むように揺動軸5に固定されるので、揺動軸5によってスクリュー15の揺動範囲よりも広範囲に揺動されるので、スクリュー15の揺動による酸化チタン18の撹拌効果よりも高い効果が期待できる。
なお、パドル16a〜16cの形状は特に限定されるものではなく、本実施の形態では、略長方形の薄板状に形成しているが、酸化チタン18を攪拌可能であればどのような形状であっても構わない。例えば、単一な平面のみならず曲面を備えるようにして揺動軸5に対して垂直方向のみならず揺動軸5に平行方向への撹拌をもたらすようにしてもよい。このようにすることでより広範囲に酸化チタン18の撹拌を行うことが可能となり、酸化チタン18による有機物の分解除去効果を促進させることが可能である。さらに、パドル16a〜16cの長さも同一とする必要はなく、長短のパドルを組合せてもよい。このような組み合わせによって立体的な酸化チタン18の撹拌が可能となる。また、スクリュー保持部材12a,12bを揺動軸5に固定する固定具13a,13bやパドル16a,16bを固定する固定具17a,17bは、その上部に設けられた留めネジで固定及び解除が容易に可能であり、解除した際には容易に揺動軸5上を移動させることが可能である。従って、スクリュー15の長さに応じて移動させて位置を調整することが可能である。また、これらの固定具は、例えば断面をコの字状にすることで揺動軸5を分解あるいは取り外すことなく脱着可能としておくとよい。
また、有機物分解除去装置1において酸化チタン18に接触する構成要素は、酸化チタンによる酸化反応を起こさない材料を選定する必要がある。
次に、図3は、図2中にA−A線で示された部分の矢視断面図である。
図3において、有機物分解除去装置1の分解槽2には酸化チタン18が充填され、その上方に断面が矩形状の揺動軸5が配置されている。このように揺動軸5の断面を矩形にすることで、揺動軸5に固定されるスクリュー保持部材12a,12bやパドル16a〜16cが揺動軸5の周面に対して滑ることを抑制することが可能である。この滑り防止の機能は、揺動時にスクリュー15、スクリュー保持部材12a,12b及びパドル16a〜16cには酸化チタン18との間で大きな摩擦力がかかるため、滑りが発生する可能性が高く特に重要な機能である。
揺動軸5には固定具13bによってスクリュー保持部材12bが垂設され、そして、スクリュー保持部材12bによってスクリュー15が保持されている。また、揺動軸5にはパドル16a,16bが斜設されており、パドル16aとパドル16bの間にスクリュー15が挟まれるように配置されている。なお、図示していないが、揺動軸5の両端部の断面形状は、回動動作に影響を及ぼさない円形状に形成されている。矩形状のまま分解槽2やギアボックス7を貫通させると貫通孔との隙間を大きくとる必要があるのと同時に、軸受との接続性を考慮すると断面が円形である必要があるためである。
また、分解槽2の側壁部の底部には送入管22が穿設されて、空気層20とブロアー23を連結している。ブロアー23からは空気が空気層20に向けて送出され、この空気はフィルター19を抜けて酸化チタン18によって形成される層内に拡散される。空気中に含まれる酸素が酸化チタンに接触すると活性酸素となり、有機物の酸化分解反応を促進させることができる。有機物が分解ガス化されてスクリュー15から除去される。図3中ではフィルター19自体を断面を多角形の一部のように凸型に構成しているが、剛性のある構造材で補強しなければならないことは言うまでもない。また、3辺のうちの底部に相当する部分のみなど一部にフィルター19を設けて後は構造材とする構成でもよいし、断面を円弧上に形成してもよい。このような構造とすることで分解槽2の隅に滞留して分解反応に寄与しない酸化チタン18を減らすことができ、効率的に有機物の分解反応を生じさせることができる。
そして、蓋3には、排気口24が設けられており、この排気口24から、有機物の分解ガスが有機物分解除去装置1の外部へ排出される。なお、後述するが、排気口24には、塩素除去装置を設けることができ、塩素を含む有機物を分解した場合に発生するダイオキシン等の有害なガスを除去することができる。また、排気口24に吸引装置を備えたダクトを接続してもよい。吸引装置を備えることでより効率的に酸素の供給と分解ガスの回収を行うことが可能である。もちろん、塩素除去装置を設ける場合には、その下流側に吸引装置を設けることで塩素ガス等の除去あるいは塩化物等の除去を促進させることも可能である。樹脂等の有機物を分解すると、塩素ガスや塩化物以外のガスが発生することも考えられるため、塩素除去装置以外にもそれぞれの発生ガスに対応した除去装置を設けることが望ましい。
続いて、揺動軸の動作について図4を参照しながら説明する。
図4(a)乃至(c)は、本実施の形態に係る有機物分解除去装置の揺動軸の動作を示す概念図であり、(d)は同じく揺動軸へのスクリューの着脱の様子を説明するための概念図である。
図4(a)乃至(d)は、有機物分解除去装置の長手方向に対する断面を簡略化して示しており、分解槽2には酸化チタン18が充填され、揺動軸5には、スクリュー保持部材12bによってスクリュー15が保持され、また、パドル16a,16bが設置されている。
図4(a)において、有機物分解除去装置1は作動していない状態であり、揺動軸5は停止して、スクリュー保持部材12b、スクリュー15及びパドル16a,16bは静止している。ギヤードモーターを作動させて、揺動軸5を動かすと、揺動軸5はまず分解槽2の正面側の正方向に回動し、図4(b)に示すように図中では左側に回動し、スクリュー保持部材12b、スクリュー15及びパドル16a、16bも左方向に回転移動する。続いて、揺動軸5は、パドル16aの下端部が酸化チタン18の表面から上方に出ない角度あるいは上方に出るもののスクリュー15が出ない角度で止まり、逆方向の回動に移る。
そして、揺動軸5は、分解槽2の後面側の逆方向に回動を始めると、揺動軸5の回動に伴って、スクリュー保持部材12b、スクリュー15及びパドル16a,16bも逆方向に回転移動する。図4(c)に示すように、揺動軸5は、図中において右側に回転移動したパドル16bの下端部が酸化チタン18の表面から上方に出ない角度で回動を停止して、再び正方向の回動を開始してもよいし、パドル16bは露出するもののスクリュー15は酸化チタン18の表面から上方に出ない角度で回動を停止して再び正方向の回動を開始してもよい。このように揺動軸5は、パドル16a,16bの下端部が酸化チタン18から突出しない角度範囲あるいはスクリュー15が酸化チタン18から突出しない角度範囲において正逆回動を繰り返し、この正逆回動に伴ってスクリュー保持部材12b、スクリュー15及びパドル16a,16bは正逆方向に回転移動し、本実施の形態においては、この動作を揺動としている。また、パドル16a,16bを酸化チタン18よりも上方に露出させないことによって、分解槽2内における酸化チタン18の飛散を回避できるので、揺動軸5を酸化チタン18の上方に配置することに加えて揺動軸5への粒状の酸化チタン18の接触を防止することができる。したがって、揺動軸5の回動に酸化チタン18が巻き込まれることもなく、酸化チタン18が割れたり、欠けたりする損傷がなく、その微粉化を防止して有機物の分解効果の低減することなく円滑に除去作業を進めることができる。酸化チタン18の微粉化は前述のとおり、酸化チタン18本来の触媒効果を低減させてしまうためでこれを抑制する必要がある。
但し、回動の速度が遅い場合には、パドル16a,16bが酸化チタン18よりも上方に露出することによる飛散の影響が小さく、それ以上に酸化チタン18の撹拌の効果が大きいと考えられる場合もあり、そのような場合にはパドル16a,16bを酸化チタン18の上方に露出させるような角度範囲まで回動させてもよい。
なお、さらに回動が進んで、角度範囲が360度となる回転となる場合も考えられる。例えば一方向への回転運動や正逆回転運動である。この場合においても酸化チタン18の飛散による影響が少ない場合には、酸化チタン18の微粉化の問題もないと考えられるので、このように構成されてもよい。
なお、回動あるいは回転の速度は、100mm/sec程度のゆっくりしたものが考えられる。
そして、図4(d)には、スクリュー15を着脱する際のイメージを示しており、スクリュー15を着脱する際には、揺動軸5は、設定の回動角度を超えて回動して停止、固定させることができ、スクリュー保持部材12b、スクリュー15及びパドル16a,16bは酸化チタン18の表面から上方へ上げることができる。この状態で、スクリュー15はスクリュー保持部材12aに取り付けたり、取り外したりすることができるので、作業性しやすく、短時間で着脱を行うことができる。なお、図示していないが、分解槽2の蓋3に透明のガラス等の窓を設置することにより、分解の状況を視認することができる。さらに、蓋3に分解槽2の内部を照らす照明も設置することでより視認性が向上する。
次に、これまで説明した本実施の形態の変形例について説明する。(特に、請求項2に対応)
これまで説明した本実施の形態では、スクリュー15はスクリュー保持部材12a,12bを介して揺動軸5に固定されており、この揺動軸5が正逆回動することでスクリュー15やパドル16a〜16cが揺動し、もって分解槽2に充填されている酸化チタン18を撹拌しながら、スクリュー15に付着している有機物を分解除去するものであったが、この変形例として、揺動軸5に代えて、ピストン軸を導入してもよい。ピストン軸とは、形状は揺動軸5と同様なシャフト状のものであるが、運動態様が回転によって揺動を促すものではなく、その軸方向に水平に往復運動を繰り返すことでこのピストン軸に同様に固定されているスクリュー保持部材12a,12b及びこれを介して保持されるスクリュー15を水平往復運動させるものである。また、このピストン軸にはパドル16a〜16cを設けてもよい。ピストン軸を採用する場合には、ギヤードモーター6、ギア10,11に代えて、ピストン軸を水平往復運動させるためのピストン駆動部が必要となる。ピストン駆動部については既に存在しているもので十分であり、その駆動源は限定しない。
このように揺動軸5に代えてピストン軸を備える水平往復運動部を備えることでもこれまで述べた実施の形態の有機物分解除去装置1と同様の効果を発揮し得る。ピストン軸に平行に水平往復運動する場合にはそのストロークを大きく取ろうとすると、分解槽2をより長形とする必要があるが、ピストン軸に垂直方向には移動量が小さくなるため、分解槽2の幅(径)を細くすることが可能である。
さらに、変形例としては、最初の実施の形態や変形例に追加して、載置台8自体を水平往復運動あるいは水平回転運動させる運動装置を付加することで、揺動軸5による揺動やピストン軸による水平往復運動に加えて、分解槽2全体が水平往復運動したり水平回転運動することも考えられる。装置自体は多少複雑化するものの、分解槽2内に充填される酸化チタン18の撹拌を促進させて、短時間にスクリュー15に付着した有機物の分解除去を効果的に行うことが可能である。
次に、本実施の形態に係る有機物分解除去装置の周辺装置を含めたシステムについて図5を参照しながら説明する。(特に、請求項5に対応)
図5は、本実施の形態に係る有機物分解除去装置の構成図である。
図5において、有機物分解除去装置1には、加熱装置25、空気送入装置26排気装置27及び塩素系化合物除去装置28が設置されている。
加熱装置25は、酸化チタンを加熱する装置であり、酸化チタンを加熱可能であればどのようなものでもよく、例えば、電気やガス等を用いた加熱方式のものを用いることができる。図2中では分解槽2の底部にヒーター21として設置されている。
空気送入装置26は、酸化チタン中に空気を送入する装置であり、図3に示すブロアー23等を用いるとよい。空気中に含まれる酸素が有機物の分解反応を促進させるので、空気に代わって酸素ガスを送入するようにしてもよい。
排気装置27は、有機物の分解によって発生するガスを有機物分解除去装置の外部に排出させるものであり、図3に示すように単に外部につながる開口を形成するようにしてもよい。
そして、有機物分解除去装置には、塩素系化合物除去装置28を設置することもできる。塩素系化合物除去装置28は、排気装置27に接続されて、有機物の分解ガスに塩素系化合物が混在する場合には、この塩素系化合物を吸着等によって除去することができる。したがって、大気中には有害なガスを放出しないので安全で環境に配慮した有機物分解除去装置1となる。塩素系化合物除去装置28は、本実施の形態では排気装置27の下流側に設けられているが、上流側に設けてもよい。排気装置27は分解槽2から有機物の分解によって発生するガスを吸引して排気するものである。
次に、本実施の形態に係る有機物分解除去装置の容器について図6を参照しながら説明する。
図6(a)は、本実施の形態に係る有機物分解除去装置の容器の外形図であり、(b)は同じく容器の上面図であり、(c)は同じく容器を揺動軸に設置した場合の概念図である。
図6(a)において、容器29は網目状の金属で形成された箱状体であり、同じく網目状の金属で形成された蓋30を備えている。この容器29は、有機物が付着したインペラやボルト等の金属部材又はセラミック部材を収容して、有機物分解除去装置の揺動軸に設置し、先述のスクリューと同様に、酸化チタン中を揺動させると、容器29の網目を透過して粒状の酸化チタンが容器29の内部に入り込み、有機物が付着した小型の金属部材又はセラミック部材と接触し、有機物を分解除去することができる。
また、図6(b)に示すように、容器29には網目状で形成される複数の仕切り31を設けることができ、これらの仕切り31によって容器29には複数の収容空間32及び収容空間33を形成することができる。したがって、複数の小型の金属部材又はセラミック部材を各収容空間にわけて収容することによって、揺動によって各金属部材又はセラミック部材が一か所に集まったり、それらの部材が接触、衝突することで欠損や傷がつくことを抑制することができ、酸化チタンとの接触頻度を低下させることなく、有機物の分解除去を効率的に行うことができる。容器29の容量については、酸化チタン18との接触効率と揺動抵抗を考慮する必要があるが、有機物を除去する対象によってその大きさを定めればよい。なお、このような容器29に限定するものではなく、例えば多連のフックのような形状のものでもよいし、有機物の分解除去を行う対象物に即した形状とすればよい。具体的には網状のトレイやフック、クリップ、リング状のものでもよい。
そして、図6(c)において、有機物分解除去装置1は長手方向の断面を簡略化して示しているが、略中央に配置される揺動軸5には、2本の固定アーム34a,34bが固定されて、これらの固定アーム34a,34bによって容器29は保持されている。また、これらの固定アーム34a,34bと同様の形状の固定アームが揺動軸5の他端部側にも設けられており、容器29の両端部において保持されている。したがって、揺動軸5が正逆回動すると、固定アーム34a,34bに保持される容器29は、固定アーム34a,34b及びパドル16a,16bとともに酸化チタン18中を揺動し、容器29中に収容される金属部材又はセラミック部材と酸化チタン18を接触させて、付着した有機物を分解除去することができる。本実施の形態においてもパドル16a,16bの効果は同様である。
なお、網目状に形成されるのは容器全体であることが酸化チタン18との間の接触頻度や揺動抵抗の観点からも望ましいが、必ずしも全体である必要はなく、一部分であってもよい。また、仕切り31についても同様である。
このように構成された本実施の形態においては、有機物が付着したスクリュー等の金属部材又はセラミック部材を加熱された酸化チタン中に揺動させることによって酸化チタンに接触した有機物が徐々に酸化分解してガス化するので、不用な有機物を除去することができる。
特に、揺動軸が酸化チタンよりも上方に露出して設置され、且つ、揺動時に酸化チタンが飛散しないように揺動軸の回動角度を制御しているので、揺動軸の回動に酸化チタンが巻き込まれることがなく、酸化チタンの損傷を防止して微粉化を抑制することで分解効果を低減させない。さらに、揺動軸の回動速度や回動加速度を制御することによれば、酸化チタンの飛散のみならず、酸化チタンの撹拌効率や有機物の分解効率を制御することも可能であると考えられるので、望ましい。
また、複数のパドルを備えているので、パドルによって酸化チタンが攪拌されて有機物との接触頻度が向上し、分解反応を促進させることができる。
そして、空気送入装置、排気装置及び塩素化合物除去装置を設置することもでき、空気中の酸素の供給によって分解反応を迅速に進め、また、排気装置及び塩素化合物除去装置によって有害な分解ガスを取り除くことができる。
さらに、金属部材又はセラミック部材を収容して有機物分解除去装置に設置することができる容器を備えているので、長尺物でないインペラ、ボルトやナット等に付着した有機物についても収納することで簡単に分解除去することができる。
また、有機物分解除去装置は、車輪を備えた載置台に固設されているので、移動が可能な可搬となり、作業したい場所に容易に運搬することができ、不要時には容易に収納庫などに運搬することが可能である。
なお、先の実施の形態に対する変形例として説明した揺動軸5に代えてピストン軸を用いる変形例は本実施の形態においても有効であり、揺動軸5を用いた実施の形態と同様の効果を発揮し得るものである。
以上説明したように、請求項1乃至請求項7に記載された本発明は、金属部材又はセラミック部材に付着した有機物を酸化チタンを用いて簡単に分解除去可能な有機物分解除去装置を提供可能であり、有機物を取り扱う各種製造工場において利用可能である。
1…有機物分解除去装置 2…分解槽 3…蓋 4…取っ手 5…揺動軸 6…ギヤードモーター 7…ギアボックス 8…載置台 9…車輪 10…ギア 11…ギア 12a,12b…スクリュー保持部材 13a,13b…固定具 14a,14b…脱落防止部材 15…スクリュー 16a〜16c…パドル 17a,17b…固定具 18…酸化チタン 19…フィルター 20…空気層 21…ヒーター 22…送入管 23…ブロアー 24…排気口 25…加熱装置 26…空気送入装置 27…排気装置 28…塩素系化合物除去装置 29…容器 30…蓋 31…仕切り 32…収容空間 33…収容空間 34a,34b…固定アーム

Claims (8)

  1. 有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を投入して金属部材又はセラミック部材から付着有機物を分解して除去する有機物分解除去装置であって、
    粒状の酸化チタンが充填され、この酸化チタンを加熱するヒーターを備える分解槽と、前記有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を揺動可能に保持する揺動部とを有し、前記揺動部は、前記金属部材又はセラミック部材を保持する保持部と、この保持部を固定して正逆回動する揺動軸とを備え、この揺動軸は前記分解槽に充填される酸化チタンよりも上方に配置されることを特徴とする有機物分解除去装置。
  2. 請求項1記載の有機物分解除去装置において、有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を揺動可能に保持する揺動部に代えて、有機物が付着した金属部材又はセラミック部材を水平往復運動可能に保持する水平往復運動部を備え、この水平往復運動部は、前記金属部材又はセラミック部材を保持する保持部と、この保持部を固定して水平往復運動するピストン軸とを備え、このピストン軸は前記分解槽に充填される酸化チタンよりも上方に配置されることを特徴とする有機物分解除去装置。
  3. 前記揺動部は、前記酸化チタンを攪拌可能に前記揺動軸に少なくとも1個のパドルを備えることを特徴とする請求項1に記載の有機物分解除去装置。
  4. 前記保持部は、前記金属部材又はセラミック部材の脱落を防止する脱落防止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置。
  5. 前記保持部は、前記金属部材又はセラミック部材を収容可能な容器を備え、この容器は前記酸化チタンが出入可能に少なくとも一部は網目状に形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置。
  6. 前記分解槽に空気を送入する空気送入手段と、前記分解槽において有機物の分解よって発生するガスを排気する排気手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置。
  7. 前記排気手段は、塩素又はその化合物を除去可能な塩素除去手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の有機物分解除去装置。
  8. 移動手段を備えて可搬式であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の有機物分解除去装置。
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