JP5595195B2 - 位置決めステージ - Google Patents

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Description

本発明は、解析のための或る種の試料や、加工等を達成するための或る種のワーク等を設置する位置決めステージに関するものである。
光学顕微鏡や電子顕微鏡に使用される試料ステージに於いては、光ファイバーの端面を接合する加工工程やプリズムの貼付工程、或る種の試料に例えば放射線を照射して成分を解析するような過程等で、ワークや試料等を任意の方向から観察できるようにするため、これ等を所定位置にミクロン単位で移動或いは秒単位角度で傾斜姿勢となるように極めて精度高く設置する必要があり、これを達成するための装置が多く開発されている。
この種の位置決めステージの典型的な構造は、上面に試料を乗載する設置テーブルを固定ベース体に揺動自在に組み付ける構成で、この揺動を実現する手段として、ウォームとウォームホイールが用いられてきた。即ち、固定ベース体に貫通架設されたウォーム軸に対し設置テーブルに組み付けられたウォームホイールを噛合させ、ウォーム軸の回動によりウォームホイールを回転させ、設置テーブルを揺動傾斜させるものである。
しかしながらこのウォームとウォームホイールによる駆動機構は、噛合部が摩耗するために長時間使用すると所謂バックラッシュが発生し、位置決めステージのような高度の精度及び高い耐久性が要求される装置では不適合であった。その観点から、例えば以下のような発明が提案されている。
特開2009−113157号公報
この特許文献1の発明「傾斜ステージ」は、傾斜部材をベースの曲面案内部に沿って移動するように組み付け、ベースに回転自在に支持されたボールネジと、傾斜部材に取り付けられる雌ネジ体とボールネジとを螺合させる基本構成で、雌ネジ体の回転動を規制すると共に、傾斜部材に設けた空所内に位置する雌ネジ体と一体となったコ字状部材を貫通して傾斜部材にネジ止めされる棒状部材に第1のベアリングと第2のベアリング取り付け、第1のベアリングをコ字状部材の一方の壁部に当接、他方の壁部に非当接、また第2のベアリングを一方の壁部に非当接、他方の壁部に当接するようにした構成である。
この構成では、ボールネジの回転に伴い雌ネジ体が前進後退動し、それにより、コ字状部材の壁部に当接する第1のベアリングと第2のベアリングの何れかがコ字状部材を押圧し、ひいては傾斜部材を押圧するので、傾斜部材をベースに対して揺動往復させることができるとしている。
しかしながらここでは、コ字状部材及び第1のベアリングと第2のベアリングの組み付けに高度の正確さが要求されるので組み立て作業が難しく、多くの部品を用いるので製造コストが嵩み、これ等の部材を組み込むことになる傾斜部材に設ける空所の形成スペースを大きく取らなければならないので、全体として大型化し、或いは小型化ができない、といった多くの欠点がある。
よって本発明は、上述した従来技術の欠点、不都合、不満を解消するべく開発された位置決めステージであって、上面に試料が載置される設置テーブルを秒単位角度の傾斜姿勢となるように、精度高く制御し、且つ装置全体の大きさを極力抑えることができるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、固定ベース体に対し、上面に試料が載置される設置テーブルを揺動自在に組み付ける位置決めステージであって、前記した固定ベース体に、ボールネジを前記した設置テーブルの揺動軸に直交する方向に沿って貫通架設すると共に、このボールネジに前進後退動自在且つ回動不能にナット体を螺合組み付けし、弾性変形自在なプレート状の連結体の一端を前記したナット体に固定すると共に他端を前記した設置テーブルに固定したことを特徴とする構成である。
この場合、連結体を、平板プレートの中央部先端から一対のスリットを平行に切り欠いて中央に一方の舌片を形成すると共に両側に一対の他方の舌片を残存形成して構成し、前記した一方の舌片の先端部をナット体に固定すると共に他方の舌片の各先端部を設置テーブルに固定したことを特徴とする。
或いはこの場合、連結体を、平板プレートの中央部先端から一対の第一のスリットを平行に切り欠いて中央に第一の舌片を形成すると共に、この第一の舌片の両側に残存する夫々の側端部の中央部基端から第二のスリットを夫々切り欠いて、前記した第一の舌片の両側に第二の舌片、及びこの第二の舌片の外側に第三の舌片を夫々形成して構成し、前記した第一の舌片の先端部をナット体に固定すると共に前記した第三の舌片の各先端部を設置テーブルに固定したことを特徴とする。
上記した本発明にあって、設置テーブルは固定ベース体に揺動自在に組み付けられており、固定ベース体に貫通架設されるボールネジはこの設置テーブルの揺動軸に直交する方向に沿って設けられているので、ボールネジを所定方向に回転させると、このボールネジに回動不能に螺合組み付けされたナット体は、揺動軸に直交する方向に前進後退動する。そして設置テーブルは、ナット体とプレート状の連結体で連結されているので、この前進後退動に伴い押され、或いは引かれて固定ベース体に対し揺動する。
プレート状の連結体は弾性変形が自在であるので、連結体が連結固定されている設置テーブルが水平移動するナット体に対して上昇揺動すると、これに追随して連結体は弾性変形し、原位置に下降揺動すればこれに追随して連結体は弾性復帰するので、設置テーブルは常に安定して且つ正確に円滑な状態で揺動することができる。即ち、揺動に伴う設置テーブルの高さ方向の変位、偏角が連結体の弾性変形で吸収されるため、柔軟に追従できるのである。そしてその揺動量はボールネジの回転量の制御によって達成できるため、その回転ピッチに応じた所望の秒単位角度で上面の傾斜姿勢を変位させることができる。
また上記した動作にあって、設置テーブルの移動量が大きいほど高さ方向の変位量、偏角量が大きくなるので、結果として連結体に加わる応力が大きくなる。上記した構成では、プレート状の連結体の両端に設置テーブルとナット体を連結しているので応力がこの両端の2点に集中してしまうため、耐久性に影響を及ぼす虞れがあり、更には、連結体の両端が揺動中心に位置してないので、ボールネジを同一ピッチだけ正逆回転させ、同一量だけナット体を前進後退動させても、高さ方向への変位によって、一方への揺動送り量と他方への揺動送り量が異なってしまう。
そこで連結体を、平板プレートの中央部先端から一対のスリットを平行に切り欠いて中央に一方の舌片を形成すると共に両側に一対の他方の舌片を残存形成して構成すると、ナット体に固定される一方の舌片の先端部と設置テーブルに固定される他方の舌片の先端部だけでなく、何れにも固定されていない平板プレートの基端部にも応力がかかって3点に分散されることになるので耐久性が向上し、連結体の両端を揺動中心に位置させることができ、一方と他方への揺動送り量をほぼ等しくすることができる。
そして、連結体を、平板プレートの中央部先端から一対の第一のスリットを平行に切り欠いて中央に第一の舌片を形成すると共に、この第一の舌片の両側に残存する夫々の側端部の中央部基端から第二のスリットを夫々切り欠いて、前記した第一の舌片の両側に第二の舌片、及びこの第二の舌片の外側に第三の舌片を夫々形成して構成すると、ナット体に固定される第一の舌片の先端部と設置テーブルに固定される他方の舌片の各先端部だけでなく、何れにも固定されていない平板プレートの基端部及び側端部の先端部の2点にも応力が加わって、4点となるので耐久性が更に向上する。
しかも、ナット体と設置テーブルとの連結はプレート状の連結体だけであるから、構造が極めて簡単であり、動作が円滑であり、占有スペースを最小限にとどめることができて装置としての小型化が図れる等、多くの優れた作用効果を奏する。
位置決めステージの透視斜視図である。 設置テーブルを外した状態の斜視図である。 位置決めステージの斜視図である。 図3のA−A線断面図である。 図3のB−B線断面図である。 連結体の一例を示す部分拡大斜視図である。 図6の連結体の弾性変形状態を示す仮想斜視図である。 連結体の他の例を示す部分拡大斜視図である。 図8の連結体の弾性変形状態を示す仮想斜視図である。 連結体の更に他の例を示す部分拡大斜視図である。 図10の連結体の弾性変形状態を示す仮想斜視図である。 図6、図7の連結体を用いた場合の揺動状態を示す断面図である。 図8、図9の連結体を用いた場合の揺動状態を示す断面図である。 図10、図11の連結体を用いた場合の揺動状態を示す断面図である。 夫々の連結体を用いた場合の変形量を示す模試図である。
本発明の位置決めステージ1は、固定ベース体10に対し、上面に試料が載置される設置テーブル20を揺動自在に組み付ける構成であって、固定ベース体10に、揺動動作体30の一部であるボールネジ31を、設置テーブル20の揺動軸に直交する方向に沿って貫通架設すると共に、このボールネジ31に前進後退動自在且つ回動不能にナット体34を螺合組み付けし、弾性変形自在なプレート状の連結体40の一端をナット体34に固定すると共に他端を設置テーブル20に固定した構成である。
従って、揺動動作体30に於けるモーター32を動作させてボールネジ31を所定方向に回転させると、それに伴いナット体34が押されまたは引かれて前進または後退動し、ナット体34に固定された連結体40を介して設置テーブル20は所定方向に揺動変位することになる。
固定ベース体10の左右両側端部の上面には揺動湾曲面11が形成され(図2)、固定ベース体10の前後両端の壁部の中央間に、揺動湾曲面11の揺動軸に直交する方向に沿ってボールネジ31が貫通架設される。そして、揺動湾曲面11の内側にはクロスローラガイドを形成する一方のローラレース12が揺動湾曲面11に沿って突設されている。このローラレース12は、精密研削加工されたV溝転送面13内に精密円筒コロを交互に直交させてローラケージ14を組み込んだ構成である(図2)。
また、揺動動作体30はボールネジ31を回転させる例えば高精度モーター32を駆動源とし、モーター32の回転軸はカップリング33を介してボールネジ31に連結される(図4)。
ボールネジ31に螺合組み付けされるナット体34はブロック体であって、中央に貫通する雌ネジ孔にボールネジ31が螺合するものであるが、ボールネジ31の回転に伴いナット体34も同時に回転してしまうことのないように、その下面は固定ベース体10の底面となる受け板15の上面に面接しており、従ってボールネジ31を回転させるとナット体34は回動不能に受け板15の上面を摺動して前進後退動することになる。
次に、上面に試料が載置される設置テーブル20は、その左右両側端部下面に、前記した固定ベース体10の揺動湾曲面11に対応した揺動湾曲面21が形成されていて(図5、図12、図13、図14)、固定ベース体10に乗載組み付けすることにより、揺動湾曲面11に揺動湾曲面21が面接し、摺動して揺動する。そして揺動湾曲面21の内側の下面には、前記した固定ベース体10の一方のローラレース12に対向して他方のローラレース22が揺動湾曲面21に沿って垂下突設されており(図1)、この一方のローラレース12と他方のローラレース22とをもってクロスローラガイドを形成するものである。ここではローラレース12、22上を複数の円筒コロが転動するため、設置テーブル20の揺動動作は、停止時から起動時への摩擦の変化(静止摩擦と動摩擦の差)が小さく、作動滑りが生じにくく、線接触で荷重を支えるので剛性が高いものになる。
連結体40の最も簡易な形態は一枚の平板プレート41であり、図6、図7にあって、湾曲弾性変形可能に成形した第一のプレート41は、ボルトピン35を介してナット体34に組み付けられると共に(図6)、ボルトピン23を介して設置テーブル20に組み付けられる(図示省略)。図12は、その平板プレート41を用いた状態の動作状態を示すもので、図12(a)はナット体34が中央に位置した姿勢で、設置テーブル20の上面が水平状態となっている。そして図12(b)はナット体34を後退させ、図12(c)はナット体34を前進させ、夫々設置テーブル20の上面を所定の傾斜状態としたものである。この動作では、ナット体34と設置テーブル20に夫々固定した平板プレート41の両端部分であるa部分とb部分が弾性変形して応力が加わることが理解されよう。即ち、図15(a)で示したように、最大揺動変位量をhとすると、第一のプレート41の変形量の角度はθaということになる。
図8、図9は、連結体40として一部を切り欠いて湾曲弾性変形可能に成形した第二のプレート42で、図8は、第二のプレート42をボルトピン35を介してナット体34に組み付けた状態を示し、またボルトピン23は設置テーブル20(図示省略)への組み付けのためのものである。
そして図9は、この第二のプレート42の湾曲弾性変形した状態を示す仮想斜視図であり、平板プレートの中央部先端から一対のスリット421を平行に切り欠いて中央に一方の舌片422を形成すると共に、両側に一対の他方の舌片423を残存形成して構成し、一方の舌片422の先端部をボルトピン35を介してナット体34に固定すると共に、一対の他方の舌片423をボルトピン23を介して設置テーブル20に固定する。
図13は、連結体40としてこの第二のプレート42を用いた状態の動作状態を示すもので、図13(a)はナット体34が中央に位置した姿勢で、設置テーブル20の上面が水平状態となっており、図13(b)はナット体34を後退させ、図13(c)はナット体34を前進させ、夫々設置テーブル20の上面を所定の傾斜状態としたものである。
ここではナット体34を前進後退動させて第二のプレート42が湾曲弾性変形すると、ナット体34に連結固定される一方の舌片422の先端部分であるa部分と設置テーブル20に連結固定される一対の他方の舌片423の先端部分であるb部分の部分だけでなく、第二のプレート42の基端部分cも弾性変形して応力が加わる。従って図15(b)で示したように、第二のプレート42は基端部分cで反転しているために、最大揺動変位量hを確保するのに必要な第二のプレート42の変形量の角度はθbということになり、小さなスペース内での変形量を前記した第一のプレート41の変形量の角度θaに較べて小さく抑えることができ、結果として、a部分、b部分、c部分に夫々加わる応力を極力抑えることができる。
次に図10、図11は、連結体40として一部を切り欠いて湾曲弾性変形可能に成形した第三のプレート43で、図10は、第三のプレート43をボルトピン35を介してナット体34に組み付けた状態を示し、またボルトピン23は設置テーブル20(図示省略)への組み付けのためのものである。
そして図11は、この第三のプレート43の湾曲弾性変形した状態を示す仮想斜視図であり、平板プレートの中央部先端から一対の第一のスリット431を平行に切り欠いて中央に第一の舌片432を形成すると共に、この第一の舌片432の両側に残存する夫々の側端部の中央部基端から第二のスリット433を夫々切り欠いて、第一の舌片432の両側に第二の舌片434、及びこの第二の舌片434の外側に第三の舌片435を夫々形成して構成し、第一の舌片432の先端部をボルトピン35を介してナット体34に固定すると共に一対の第三の舌片435の先端部をボルトピン23を介して設置テーブル20に固定する。
図14は、連結体40としてこの第三のプレート43を用いた状態の動作状態を示すもので、図14(a)はナット体34が中央に位置した姿勢で、設置テーブル20の上面が水平状態となっており、図14(b)はナット体34を後退させ、図14(c)はナット体34を前進させ、夫々設置テーブル20の上面を所定の傾斜状態としたものである。
ここではナット体34を前進後退動させて第三のプレート43が湾曲弾性変形すると、ナット体34に連結固定される第一の舌片432の先端部分であるa部分と設置テーブル20に連結固定される第三の舌片435の先端部分であるb部分の部分だけでなく、第三のプレート43の基端部分c、並びに第三のプレート43の側端部の先端部分dに対しても応力が加わる。従って図15(c)で示したように、第三のプレート43は基端部分cで反転し、更に第三のプレート43の側端部の先端部分dで再度反転しているために、最大揺動変位量hを確保するのに必要な第三のプレート43の変形量の角度はθcということになり、小さなスペース内での変形量を前記した第一のプレート41の変形量の角度θa或いは第二のプレート42の変形量の角度θbに較べて更に小さく抑えることができ、結果として、a部分、b部分、c部分、d部分に夫々加わる応力を極力抑えることができる。
1 位置決めステージ
10 固定ベース体
11 揺動湾曲面
12 一方のローラレース
13 V溝転送面
14 ローラケージ
15 受け板
20 設置テーブル
21 揺動湾曲面
22 他方のローラレース
23 ボルトピン
30 揺動動作体
31 ボールネジ
32 モーター
33 カップリング
34 ナット体
35 ボルトピン
40 連結体
41 平板プレート
42 第二のプレート
421 スリット
422 一方の舌片
423 他方の舌片
43 第三のプレート
431 第一のスリット
432 第一の舌片
433 第二のスリット
434 第二の舌片
435 第三の舌片

Claims (2)

  1. 固定ベース体(10)に対し、上面に試料が載置される設置テーブル(20)を揺動自在に組み付ける位置決めステージであって、前記固定ベース体(10)に、ボールネジ(31)を前記設置テーブル(20)の揺動軸に直交する方向に沿って貫通架設すると共に、該ボールネジ(31)に前進後退動自在且つ回動不能にナット体(34)を螺合組み付けし、弾性変形自在な平板プレートの連結体(40)を、中央部先端から一対のスリット(421)を平行に切り欠いて中央に一方の舌片(422)を形成すると共に両側に一対の他方の舌片(423)を残存形成して構成し、前記一方の舌片(422)の先端部を前記ナット体(34)に固定すると共に他方の舌片(423)の各先端部を前記設置テーブル(20)に固定したことを特徴とする位置決めステージ。
  2. 固定ベース体(10)に対し、上面に試料が載置される設置テーブル(20)を揺動自在に組み付ける位置決めステージであって、前記固定ベース体(10)に、ボールネジ(31)を前記設置テーブル(20)の揺動軸に直交する方向に沿って貫通架設すると共に、該ボールネジ(31)に前進後退動自在且つ回動不能にナット体(34)を螺合組み付けし、弾性変形自在な平板プレートの連結体(40)を、中央部先端から一対の第一のスリット(431)を平行に切り欠いて中央に第一の舌片(432)を形成すると共に、該第一の舌片(432)の両側に残存する夫々の側端部の中央部基端から第二のスリット(433)を夫々切り欠いて、前記第一の舌片(432)の両側に第二の舌片(434)、及び該第二の舌片(434)の外側に第三の舌片(435)を夫々形成して構成し、前記第一の舌片(432)の先端部を前記ナット体(34)に固定すると共に前記第三の舌片(435)の各先端部を前記設置テーブル(20)に固定したことを特徴とする位置決めステージ。
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