JP5595057B2 - 風力発電装置 - Google Patents
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Description
上述したロータヘッドは、風車用タワー(以下、「タワー」と呼ぶ)上に設置されてヨー旋回可能なナセルの端部に取り付けられ、略水平な横方向の回転軸線周りに回転可能となるように支持されている。
このような風力発電装置は、コンバータ等の電気機器を備えているので、安定した運転を継続するためには、発熱体である電気機器等を冷却する必要がある。すなわち、風力発電装置は、運転に伴う機器損失の発熱が生じるので、機器類の温度上昇を所定値以内に抑えるためには適切な冷却が必要となる。
この場合、電気機器等の冷却対象はナセル3内に設置されたナセル内機器3aであり、換気ファン3bを運転してドア用開口部10の適所に設けた吸気口(不図示)からタワー2の内部に外気を導入し、この外気がナセル3の内部を通過して換気及び冷却をする。なお、ナセル内機器3aを冷却した外気は、換気ファン3bより大気へ排出される。
また、換気ファンにより強制換気する場合には、圧力損失が大きいために使用するファンの動力も大きくなり、結果として所内動力を消費することになって好ましくない。
本発明に係る風力発電装置は、風車翼に風力を受けて回転するロータヘッドがナセルの内部に設置された発電機を駆動して発電し、前記ナセルが基礎上に立設されたタワーの上端部に設置されるとともに、前記タワーの表面に設けたタワー開口からタワー内部に外気を導入して内部空間を冷却する風力発電装置において、前記タワー開口からタワー内側に延在する凹部を有し、前記凹部を構成する面の一部または全部に設置された圧損要素を介して通気可能に構成されるとともに、前記圧損要素を設置した有効開口面積が前記タワー開口の実開口面積よりも大きく、前記凹部がタワー内側へ延在する方向の断面形状は、前記タワー開口と同じ断面形状であることを特徴とするものである。
また、本発明の他の態様に係る風力発電装置は、風車翼に風力を受けて回転するロータヘッドがナセルの内部に設置された発電機を駆動して発電し、前記ナセルが基礎上に立設されたタワーの上端部に設置されるとともに、前記タワーの表面に設けたタワー開口からタワー内部に外気を導入して内部空間を冷却する風力発電装置において、前記タワー開口からタワー内側に延在する凹部を有し、前記凹部を構成する面の一部または全部に設置された圧損要素を介して通気可能に構成されるとともに、前記圧損要素を設置した有効開口面積が前記タワー開口の実開口面積よりも大きく、前記凹部がタワー内側へ延在する方向の断面形状は、前記タワー開口と同じ断面形状から末広がりに形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明における凹部は、円形断面や矩形断面の筒状形を包含し、タワー内側へ延在する方向の断面形状が、タワー開口と同じ断面形状またはタワー開口と同じ断面形状から末広がりに形成されている。この場合、タワー開口から末広がりに形成されている凹部は、大きな有効開口面積の確保が容易になる。
上記の発明において、前記凹部は、その構成面の何れかの位置に開閉可能な出入り口を備えたものが望ましい。
上記の発明において、前記凹部の断面形状が直線部を含んでいることが好ましく、これにより、ダクト等の接続及び設置が容易になる。この場合、直線部を含む好適な形状としては、正方形、長方形及び略楕円形等があり、特に、開口部を縦長の形状にすれば、円形や正方形の角形状と比較してタワー強度の確保が容易になる。
上記の発明において、大きな面積を確保した前記有効開口面積には、低圧力損失のフィルタが取り付けることが望ましい。
また、上記の発明において、前記有効開口面積を形成する面の、該面に対して下流側に外気吸引用のファンを設置すれば、積極的に外気を取り込むことができる。
この場合、前記バイパス流路内に吸音材を取り付けることが好ましく、これにより、熱交換器の稼働時に発生する熱交換器ファンの運転騒音を低減できる。
さらに、前記バイパス流路の出口側を延長して地面に向けて開口させれば、熱交換器の稼働時に発生する熱交換器ファンの運転騒音が周囲に広がることを抑制できる。
また、前記有効開口面積より下流側となる前記タワー内に仕切りを設けて外気吸引用のファンを設置してもよい。
また、前記有効開口面積を形成する面の、該面に対して下流側に外気吸引用のファンが設置されてもよい。
図2に示す風力発電装置1は、基礎B上に立設される風車用タワー(以下では「タワー」と呼ぶ)2と、タワー2の上端に設置されるナセル3と、略水平な横方向の回転軸線周りに回転可能に支持されてナセル3の前端部側に設けられるロータヘッド4とを有している。
タワー2の下端部付近には、タワー内へ出入りするためのドア6が設けられている。
ナセル3の外周面適所(たとえば上部等)には、周辺の風速値を測定する風速計7や、風向を測定する風向計8等が設置されている。
なお、図示のタワー2は鋼製のモノポール式とされ、複数に分割したタワーセクションのフランジ(不図示)を接続することにより、必要な長さ(高さ)を確保した円筒タワーとなる。
上述した風力発電装置1は、たとえば図1に示すように、タワー2の表面に設けたタワー開口20からタワー内部に外気を導入し、機器損失に伴う発熱により温度上昇した内部空気を冷却するようになっている。この場合の機器損失に伴う発熱としては、たとえばコンバータ等の電気機器類や増速機等の回転機器類による運転時の発熱があり、これらの発熱機器類は一般的にタワー2やナセル3の内部に配設されている。
また、上述した筒形状部21は、たとえば骨格部材(不図示)を格子状に組み合わせて筒形状を形成し、その周面及び両端面を開口させている。こうして形成された筒形状部21の開口は、タワー開口20となるタワー外の円筒端面(タワー外端面)を除いて、周面21a及びタワー内端面21bの全部または一部を実開口面積Seとして使用することが可能であり、圧損要素となるガラリ、フィルタ及び除塩フィルタ等の設置に利用される。なお、圧損要素の固定支持は、たとえば上述した骨格部材を使用して容易に実施可能である。
なお、筒形状部21の有効開口面積Seは、厳密には骨格部材の分だけ小さくなるが、骨格部材により塞がれる面積は、通常は周面21aの面積と比較して十分に小さいものとなる。
また、タワー2内への出入り口となるドア6については、タワー開口20からタワー内側に延在する凹部となる筒形状部21の構成面を利用して設置可能であり、構成面の何れかに開閉可能なドア6を取り付ければよい。
図4(a)に示す第1変形例の筒形状部21Aは、タワー2の開口からタワー軸中心方向へ上向きに傾斜する凹部となるように形成されている。すなわち、第1変形例の筒形状部21Aは、タワー2の外表面に開口するタワー開口20からタワー2の内部へ向けて、斜め上向きに傾斜しながら引っ込む(凹む)ように形成された円筒形状となっている。
なお、この場合の末広がりは、好適にはタワー内側へ拡径する円錐台形状となるが、水平方向または鉛直方向のいずれか一方のみに末広がりとしてもよい。
また、実開口面積となるタワー開口に直線部を含んでいると、筒形状部を形成する一般的なダクト等の設置が容易になる。特に、長方形20Bや略楕円形状20C等のように、タワー開口20に縦長の形状を採用すれば、同面積の円形や正方形の角形状が開口している場合と比較して、縦長比の調整により、タワー径に対する開口径の割合が小さくなるため、タワー強度を低下させる要因が小さくなるので、タワー強度の確保に有効である。
以下では、本発明に係る風力発電装置1について、第2の実施形態を図6に示して説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、有効開口面積Seより下流側となるタワー2の内部に仕切部材2aを設けて上下に仕切り、仕切部材2aに外気吸引用のファン30を設置している。このファン30が運転されると、タワー開口20から外気が吸引されて筒形状部21の圧損部材を通過する。この外気は、さらにファン30及びタワー2の内部を通過してナセル3の内部へ供給される。
以下では、本発明に係る風力発電装置1について、第3の実施形態を図8に示して説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この実施形態では、有効開口面積Seの面から分岐して大気に連通する外気のバイパス流路40を設け、このバイパス流路40内に外気との熱交換により冷却媒体を冷却する熱交換器50を設置している。すなわち、筒形状部21の周面21aから分岐して外気に連通するバイパス流路40を形成し、このバイパス流路40内に冷却媒体から吸熱して冷却する熱交換器50が設置されている。なお、筒形状部21の周面21aから分岐して外気に連通するバイパス流路40の入口は、圧損要素がなくてもよい。
また、この熱交換器50をバイパス流路40に設置したので、熱交換器50で吸熱した高温の外気はバイパス出口41から大気へ流出する。このため、熱交換器50の排熱がタワー2の内部へショートサーキットすることはなく、従って、タワー開口20から筒形状部21内に導入した低温の外気は、バイパス流路40へ流出した一部を除いて、圧損要素を通過してナセル3まで導入される。
また、図10に示す第2変形例のように、バイパス流路40の出口側を下向きに延長して、バイパス出口41を地面に向けて開口させれば、熱交換器50の稼働時に発生する熱交換器ファン51の運転騒音が周囲に広がることを抑制できる。
以下では、本発明に係る風力発電装置1について、第4の実施形態に係る参考例を図11に示して説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例では、タワー開口20からタワー外側に延在する凸部の筒形状部21´を形成し、筒形状部21´を構成する周面21a及びタワー外端面21cの一部または全部を使用してタワー開口20の実開口面積Sより大きな圧損要素設置用の有効開口面積Seとして確保している。すなわち、本参考例では、有効開口面積Seとなる凸部構成面が実開口面積Sより大(Se>S)となるように、タワー開口20からタワー外部へ飛び出すようにして突出した凸状の筒形状部21´を形成している。
また、上述した筒形状部21´は、たとえば骨格部材(不図示)を格子状に組み合わせて筒形状を形成し、その周面及び両端面を開口させている。こうして形成された筒形状部21´の開口は、タワー開口20となるタワー側の円筒端面(タワー側端面)を除いて、周面21a及びタワー外端面21cが実開口面積Seとして使用可能となり、圧損要素の設置に利用される。
このようなタワー開口20及び筒形状部21´は、タワー2の適所に設ければよいが、たとえば図3に示すように、ドア6を設置するためのドア用開口部10を利用して設けてもよい。
なお、外箱22の傾斜配置は、図示した直線的な傾斜に限定されることはなく、たとえば途中に水平部を有する複数段階の傾斜としてもよい。
なお、外箱22の形状は略角柱形状に限定されることはなく、たとえばドア用開口部10と同じ断面形状を有する筒形状としてもよい。
この場合、ドア用開口部10の上部領域10aをドア設置面として閉じ、階段23aより下方の下部領域10bが外気を通す流路として常時開口されている。
同様に、図15に示す本実施形態の第3変形例では、階段状外箱23Aの底面23cと地面との間に外気が流通可能な空間を形成し、底面23cに有効開口面積Seを確保して圧損要素24を設置してもよい。
このように、外箱22Aの底面22bや階段状外箱23Aの底面23cに有効開口面積Seを確保して圧損要素24を設置すれば、粉塵や雨水等の異物が圧損要素24まで到達しにくい構造となる。
このような構成にすれば、熱交換器50の排熱がタワー2内へショートサーキットして流入することを防止できる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、たとえば凹の筒形状で説明した実施形態や変形例を凸の筒形状に適用するなど、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 風車用タワー
2a 仕切部材
3 ナセル
4 ロータヘッド
5 風車翼
6 ドア
10 ドア用開口部
20,20A〜20C タワー開口
21,21′,21A,21B 筒形状部
22,22A,22B 外箱
23,23A,23B 階段状外箱
30 ファン
40 バイパス流路
41 バイパス出口
42 吸音材
50 熱交換器
Claims (17)
- 風車翼に風力を受けて回転するロータヘッドがナセルの内部に設置された発電機を駆動して発電し、前記ナセルが基礎上に立設されたタワーの上端部に設置されるとともに、前記タワーの表面に設けたタワー開口からタワー内部に外気を導入して内部空間を冷却する風力発電装置において、
前記タワー開口からタワー内側に延在する凹部を有し、
前記凹部を構成する面の一部または全部に設置された圧損要素を介して通気可能に構成されるとともに、前記圧損要素を設置した有効開口面積が前記タワー開口の実開口面積よりも大きく、
前記凹部がタワー内側へ延在する方向の断面形状は、前記タワー開口と同じ断面形状であることを特徴とする風力発電装置。 - 風車翼に風力を受けて回転するロータヘッドがナセルの内部に設置された発電機を駆動して発電し、前記ナセルが基礎上に立設されたタワーの上端部に設置されるとともに、前記タワーの表面に設けたタワー開口からタワー内部に外気を導入して内部空間を冷却する風力発電装置において、
前記タワー開口からタワー内側に延在する凹部を有し、
前記凹部を構成する面の一部または全部に設置された圧損要素を介して通気可能に構成されるとともに、前記圧損要素を設置した有効開口面積が前記タワー開口の実開口面積よりも大きく、
前記凹部がタワー内側へ延在する方向の断面形状は、前記タワー開口と同じ断面形状から末広がりに形成されていることを特徴とする風力発電装置。 - 前記タワー開口は、タワー内部に出入りするためのドアを設置するドア用開口部の少なくとも一部が利用されることを特徴とする請求項1または2に記載の風力発電装置。
- 前記凹部は、その構成面の何れかの位置に開閉可能な出入り口を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の風力発電装置。
- 前記凹部は、前記タワー開口からタワー軸中心方向へ上向きに傾斜していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の風力発電装置。
- 前記凹部の断面形状が直線部を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の風力発電装置。
- 前記有効開口面積に低圧力損失のフィルタが取り付けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の風力発電装置。
- 前記有効開口面積より下流側となる前記タワー内に仕切りを設けて外気吸引用のファンを設置したことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の風力発電装置。
- 前記有効開口面積を形成する面の、該面に対して下流側に外気吸引用のファンが設置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の風力発電装置。
- 前記有効開口面積の面から分岐して大気に連通する外気のバイパス流路を設け、該バイパス流路内に外気との熱交換により冷却媒体を冷却する熱交換器を設置したことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の風力発電装置。
- 前記バイパス流路内に吸音材を取り付けたことを特徴とする請求項10に記載の風力発電装置。
- 前記バイパス流路の出口側を延長して地面に向けて開口させたことを特徴とする請求項10または11に記載の風力発電装置。
- 風車翼に風力を受けて回転するロータヘッドがナセルの内部に設置された発電機を駆動して発電し、前記ナセルが基礎上に立設されたタワーの上端部に設置されるとともに、前記タワーの表面に設けたタワー開口からタワー内部に外気を導入して内部空間を冷却する風力発電装置において、
前記タワー開口は、タワー内部に出入りするためのドアを設置するドア用開口部の少なくとも一部が利用され、
前記タワー開口からタワー外側に延在するとともに構成面の何れかの位置に開閉可能な出入り口を備えた凸部を有し、
前記凸部が前記ドア用開口部の周囲から突出する外箱とされ、該外箱を構成する露出面の一部または全部に設置された圧損要素を介して通気可能に構成されるとともに、前記圧損要素を設置した有効開口面積が前記タワー開口の実開口面積よりも大きく、
前記外箱の内部に独立した外気循環流路を備えた機器設置空間を形成したことを特徴とする風力発電装置。 - 風車翼に風力を受けて回転するロータヘッドがナセルの内部に設置された発電機を駆動して発電し、前記ナセルが基礎上に立設されたタワーの上端部に設置されるとともに、前記タワーの表面に設けたタワー開口からタワー内部に外気を導入して内部空間を冷却する風力発電装置において、
前記タワー開口は、タワー内部に出入りするためのドアを設置するドア用開口部の少なくとも一部が利用され、
前記タワー開口からタワー外側に延在するとともに構成面の何れかの位置に開閉可能な出入り口を備えた凸部を有し、
前記凸部が前記ドア用開口部の下端部側から突出する階段状外箱とされ、該階段状外箱を構成する露出面の一部または全部に設置された圧損要素を介して通気可能に構成されるとともに、前記圧損要素を設置した有効開口面積が前記タワー開口の実開口面積よりも大きく、
前記階段状外箱の内部に独立した外気循環流路を備えた機器設置空間を形成したことを特徴とする風力発電装置。 - 前記外箱または前記階段状外箱の底面と地面との間に空間を形成し、前記底面に前記有効開口面積を確保したことを特徴とする請求項13または14に記載の風力発電装置。
- 前記有効開口面積より下流側となる前記タワー内に仕切りを設けて外気吸引用のファンを設置したことを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の風力発電装置。
- 前記有効開口面積を形成する面の、該面に対して下流側に外気吸引用のファンが設置されていることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の風力発電装置。
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